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技術 レーダ装置

出願人 三菱電機株式会社
発明者 星野赳寛諏訪啓若山俊夫
出願日 2013年12月9日 (7年0ヶ月経過) 出願番号 2014-552035
公開日 2017年1月12日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 WO2014-092052
状態 特許登録済
技術分野 レーダ方式及びその細部
主要キーワード ラジアル速度 遅延距離 変化率α 電波送信機 パルス繰返し周期 パルス番号 中心時刻 補償処理後
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題・解決手段

信号干渉位相補償部35が、1次レンジマイグレーション補償部34から出力されたレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の偶数次の位相の変動を補償するように構成する。これにより、積分時間内の目標レンジセルの移動や演算量の増大を招くことなく、目標の探知距離延伸させることができる。

概要

背景

レーダ装置として、既存の電波発信源から発信される電波を利用して、目標レーダ画像観測するパッシブレーダがある。
パッシブレーダは、自ら電波を放射しないため、省電力・省電波資源に資する方式として注目されている。電波発信源としては、テレビラジオなどの電波発信源に加えて、GNSS(Global Navigation Satellite System)などが検討されている。
パッシブレーダでは、図1に示すように、電波発信源から送信された電波のうち、その電波発信源から直接受信局に到来する直接波と、目標に散乱された後に受信局に到来する散乱波とを受信局で受信することで、その直接波の経路と散乱波の経路との差(経路長差)や、散乱波のドップラー周波数シフト計測する方式を採用している。

例えば、以下の非特許文献1には、パッシブレーダに関する従来の開発成果や、パッシブレーダの利点・欠点などが体系的に記載されている。
パッシブレーダの最大の課題は、探知距離延伸である。
探知距離を延伸させるために、信号の積分時間を延長して、SNR(Signal to Noise Ratio)を改善する方式が、例えば、以下の特許文献1〜3に開示されている。
信号の積分時間を延長すると、目標が積分時間内にレンジセルを移動してしまう問題が発生するが、以下の特許文献1〜3には、この問題に対処する方法が開示されている。

以下の特許文献1〜3に開示されている対処方法は、初めに、比較的短い積分時間でドップラー処理を実施し、その処理結果を用いて目標候補を検出する。
次に、目標候補の検出信号ドップラー周波数をもって、目標信号補償処理を実施する方式である。
したがって、この対処方法では、比較的短い積分時間で、ある程度、目標が検出されていることが前提となる。

また、以下の非特許文献2,3には、電波発信源から直接受信局に到来する直接波の信号に対して、“Stretch Processing”という処理を施すことにより、直接波の信号から、目標の速度に応じたレンジセルの移動を予め織り込んだ参照信号を生成し、この参照信号と散乱波の信号との相互相関を求めることによって、レンジセルの移動を補償し、積分可能な時間を延長する方式が開示されている。

以下の非特許文献4には、ドップラー周波数の変化による加速度的な影響を考慮して、目標の加速度に応じたレンジセルの移動を予め織り込んだ参照信号を生成し、この参照信号と散乱波の信号との相互相関を求めることによって、レンジセルの移動を補償し、非特許文献2,3に開示されている方式よりも、さらに積分可能な時間を延長する方式が開示されている。
しかし、非特許文献2〜4に開示されている方式では、演算量が多くなってしまう問題がある。

パッシブレーダの最大の課題は、上述したように、探知距離の延伸であるが、パッシブレーダにおいて、探知距離の延伸が困難である原因は以下の2つである。
(1)警戒管制レーダなどと比較して、電波発信源から発信される電波(放送波)の送信電力微弱であるため、SNR(Signal to Noise Ratio)が極めて低い。
(2)散乱波の観測チャネルにおいては、直接波が干渉波として振舞うが、直接波の信号レベルが散乱波に対してはるかに大きいため、SIR(Signal to Interference Ratio)が極めて低い。
したがって、探知距離を延伸させるには、SNRの向上とSIRの向上が課題となる。

概要

信号干渉位相補償部35が、1次レンジマイグレーション補償部34から出力されたレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の偶数次の位相の変動を補償するように構成する。これにより、積分時間内の目標のレンジセルの移動や演算量の増大を招くことなく、目標の探知距離を延伸させることができる。

目的

この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、積分時間内の目標のレンジセルの移動や演算量の増大を招くことなく、目標の探知距離を延伸させることができるレーダ装置を得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

目標によって散乱された送信電波散乱波を受信して、上記散乱波の信号を出力する電波得手段と、上記送信電波の信号及び上記電波取得手段から出力された散乱波の信号をパルスに分割して、パルス単位で、上記送信電波の信号と上記散乱波の信号との相互相関を求め、上記相相関を示すパルス毎のレンジプロフィールを生成するパルス毎レンジ圧縮手段と、上記パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールに重畳されているヒット方向の位相の変動を補償する位相補償手段と、上記位相補償手段により位相の変動が補償されたレンジプロフィールをヒット方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるドップラー周波数スペクトルを出力するドップラー処理手段と、上記ドップラー処理手段より出力されたドップラー周波数スペクトルから目標を検出する目標検出手段とを備えたレーダ装置

請求項2

目標によって散乱された送信電波の散乱波を受信して、上記散乱波の信号を出力する電波取得手段と、上記送信電波の信号及び上記電波取得手段から出力された散乱波の信号をパルスに分割して、パルス単位で、上記送信電波の信号と上記散乱波の信号との相互相関を求め、上記相互相関を示すパルス毎のレンジプロフィールを生成するパルス毎レンジ圧縮手段と、上記パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールをブロック単位にまとめて、ブロック単位のレンジプロフィールをヒット方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるブロック毎のドップラー周波数スペクトルを出力するブロック毎ドップラー処理手段と、上記ブロック毎ドップラー処理手段から出力されたブロック毎のドップラー周波数スペクトルの中で、ブロック方向に発生している1次のレンジマイグレーションを補償し、レンジマイグレーション補償後のドップラー周波数スペクトルをレンジ方向逆フーリエ変換して、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールを出力する1次レンジマイグレーション補償手段と、上記1次レンジマイグレーション補償手段から出力されたレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を補償する位相補償手段と、上記位相補償手段により位相の変動が補償されたレンジプロフィールをブロック方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるドップラー周波数スペクトルを出力するブロック方向ドップラー処理手段と、上記ブロック方向ドップラー処理手段より出力されたドップラー周波数スペクトルから目標を検出する目標検出手段とを備えたレーダ装置。

請求項3

目標によって散乱された送信電波の散乱波を受信して、上記散乱波の信号を出力する電波取得手段と、上記送信電波の信号及び上記電波取得手段から出力された散乱波の信号をパルスに分割して、パルス単位で、上記送信電波の信号と上記散乱波の信号との相互相関を求め、上記相互相関を示すパルス毎のレンジプロフィールを生成するパルス毎レンジ圧縮手段と、上記パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールをブロック単位にまとめて、ブロック単位のレンジプロフィールをヒット方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるブロック毎のドップラー周波数スペクトルを出力するブロック毎ドップラー処理手段と、上記ブロック毎ドップラー処理手段から出力されたブロック毎のドップラー周波数スペクトルの中で、ブロック方向に発生している1次のレンジマイグレーションを補償し、レンジマイグレーション補償後のドップラー周波数スペクトルをレンジ方向に逆フーリエ変換して、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールを出力する1次レンジマイグレーション補償手段と、上記1次レンジマイグレーション補償手段から出力されたレンジプロフィールを2つのレンジに分割するレンジ分割処理手段と、上記レンジ分割処理手段により分割された一方のレンジのレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を複素乗算処理によって補償する信号干渉型位相補償手段と、上記レンジ分割処理手段により分割された他方のレンジのレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を2次以上の位相補償関数によって補償する探索型位相補償手段と、上記信号干渉型位相補償手段により位相の変動が補償された一方のレンジのレンジプロフィールと上記探索型位相補償手段により位相の変動が補償された他方のレンジのレンジプロフィールを統合するレンジ統合処理手段と、上記レンジ統合処理手段により統合されたレンジプロフィールをブロック方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるドップラー周波数スペクトルを出力するブロック方向ドップラー処理手段と、上記ブロック方向ドップラー処理手段より出力されたドップラー周波数スペクトルから目標を検出する目標検出手段とを備えたレーダ装置。

請求項4

パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールに含まれている不要信号であるクラッタ抑圧するクラッタ抑圧手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

請求項5

パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールに含まれている不要信号であるクラッタを抑圧するクラッタ抑圧手段を備えたことを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。

請求項6

パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールに含まれている不要信号であるクラッタを抑圧するクラッタ抑圧手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。

請求項7

電波取得手段は、予め電波発信源から送信される電波の信号をメモリに格納し、上記メモリに格納されている信号を送信電波の信号としてパルス毎レンジ圧縮手段に出力、あるいは、上記電波発信源から送信された電波の直接波を受信し、上記直接波の信号を上記送信電波の信号として上記パルス毎レンジ圧縮手段に出力することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

請求項8

電波取得手段は、予め電波発信源から送信される電波の信号をメモリに格納し、上記メモリに格納されている信号を送信電波の信号としてパルス毎レンジ圧縮手段に出力、あるいは、上記電波発信源から送信された電波の直接波を受信し、上記直接波の信号を上記送信電波の信号として上記パルス毎レンジ圧縮手段に出力することを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。

請求項9

電波取得手段は、予め電波発信源から送信される電波の信号をメモリに格納し、上記メモリに格納されている信号を送信電波の信号としてパルス毎レンジ圧縮手段に出力、あるいは、上記電波発信源から送信された電波の直接波を受信し、上記直接波の信号を上記送信電波の信号として上記パルス毎レンジ圧縮手段に出力することを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。

請求項10

電波取得手段は、送信電波の信号を格納する送信信号格納部と、上記送信信号格納部により格納されている送信電波の信号を送信する電波送信機と、散乱波の信号を受信する散乱波受信機と、上記電波送信機又は上記散乱波受信機を交互にアンテナに接続する送受切換機とから構成されていることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

請求項11

電波取得手段は、送信電波の信号を格納する送信信号格納部と、上記送信信号格納部により格納されている送信電波の信号を送信する電波送信機と、散乱波の信号を受信する散乱波受信機と、上記電波送信機又は上記散乱波受信機を交互にアンテナに接続する送受切換機とから構成されていることを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。

請求項12

電波取得手段は、送信電波の信号を格納する送信信号格納部と、上記送信信号格納部により格納されている送信電波の信号を送信する電波送信機と、散乱波の信号を受信する散乱波受信機と、上記電波送信機又は上記散乱波受信機を交互にアンテナに接続する送受切換機とから構成されていることを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。

請求項13

パルス毎レンジ圧縮手段は、送信電波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、上記送信電波の信号をパルスに分割する送信電波信号フーリエ変換部と、散乱波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、上記散乱波の信号をパルスに分割する散乱波信号フーリエ変換部と、上記送信電波信号フーリエ変換部により分割されたパルスと上記散乱波信号フーリエ変換部により分割されたパルスとの複素共役乗算を実施する複素共役乗算部と、上記複素共役乗算部の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるパルス毎のレンジプロフィールを出力するパルス毎逆フーリエ変換部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

請求項14

パルス毎レンジ圧縮手段は、送信電波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、上記送信電波の信号をパルスに分割する送信電波信号フーリエ変換部と、散乱波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、上記散乱波の信号をパルスに分割する散乱波信号フーリエ変換部と、上記送信電波信号フーリエ変換部により分割されたパルスと上記散乱波信号フーリエ変換部により分割されたパルスとの複素共役乗算を実施する複素共役乗算部と、上記複素共役乗算部の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるパルス毎のレンジプロフィールを出力するパルス毎逆フーリエ変換部とから構成されていることを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。

請求項15

パルス毎レンジ圧縮手段は、送信電波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、上記送信電波の信号をパルスに分割する送信電波信号フーリエ変換部と、散乱波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、上記散乱波の信号をパルスに分割する散乱波信号フーリエ変換部と、上記送信電波信号フーリエ変換部により分割されたパルスと上記散乱波信号フーリエ変換部により分割されたパルスとの複素共役乗算を実施する複素共役乗算部と、上記複素共役乗算部の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるパルス毎のレンジプロフィールを出力するパルス毎逆フーリエ変換部とから構成されていることを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。

請求項16

位相補償手段は、パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールをヒット方向に時間反転して、時間反転レンジプロフィールを生成する時間反転レンジプロフィール生成部と、上記時間反転レンジプロフィール生成部により生成された時間反転レンジプロフィールと上記パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールとの複素共役乗算を実施することで、上記レンジプロフィールに重畳されているヒット方向の位相の変動を補償する複素共役乗算部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

請求項17

位相補償手段は、1次レンジマイグレーション補償手段から出力されたレンジプロフィールをブロック方向に時間反転して、時間反転レンジプロフィールを生成する時間反転レンジプロフィール生成部と、上記時間反転レンジプロフィール生成部により生成された時間反転レンジプロフィールと上記1次レンジマイグレーション補償手段から出力されたレンジプロフィールとの複素共役乗算を実施することで、上記レンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を補償する複素共役乗算部とから構成されていることを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。

請求項18

1次レンジマイグレーション補償手段は、ブロック毎のドップラー周波数スペクトルにおける各々のドップラー周波数セルに対応するブロック方向の1次のレンジマイグレーションの量に相当する位相変化の補償に用いる1次レンジマイグレーション位相補償関数を格納する1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部と、上記1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部に格納されている1次レンジマイグレーション位相補償関数をブロック毎ドップラー処理手段から出力されたブロック毎のドップラー周波数スペクトルに乗算する位相補償関数乗算部と、上記位相補償関数乗算部の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールを出力するパルス毎逆フーリエ変換部とから構成されていることを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。

請求項19

1次レンジマイグレーション補償手段は、ブロック毎のドップラー周波数スペクトルにおける各々のドップラー周波数セルに対応するブロック方向の1次のレンジマイグレーションの量に相当する位相変化の補償に用いる1次レンジマイグレーション位相補償関数を格納する1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部と、上記1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部に格納されている1次レンジマイグレーション位相補償関数をブロック毎ドップラー処理手段から出力されたブロック毎のドップラー周波数スペクトルに乗算する位相補償関数乗算部と、上記位相補償関数乗算部の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールを出力するパルス毎逆フーリエ変換部とから構成されていることを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。

請求項20

電波発信源から送信された電波の直接波を受信して、上記直接波の信号を出力するとともに、目標によって散乱された上記電波の散乱波を受信して、上記散乱波の信号を出力する電波取得手段と、上記電波取得手段から出力された直接波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、上記直接波の信号をパルスに分割する送信電波信号フーリエ変換部と、上記電波取得手段から出力された散乱波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、上記散乱波の信号をパルスに分割する散乱波信号フーリエ変換部と、上記送信電波信号フーリエ変換部により分割されたパルスと上記散乱波信号フーリエ変換部により分割されたパルスとの複素共役乗算を実施する複素共役乗算部と、上記複素共役乗算部の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるパルス毎のレンジプロフィールを出力するパルス毎逆フーリエ変換部と上記パルス毎逆フーリエ変換部から出力されたパルス毎のレンジプロフィールに含まれている不要信号であるクラッタを抑圧するクラッタ抑圧手段と、上記クラッタ抑圧手段によりクラッタが抑圧されたパルス毎のレンジプロフィールをブロック単位にまとめて、ブロック単位のレンジプロフィールをヒット方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるブロック毎のドップラー周波数スペクトルを出力するブロック毎ドップラー処理手段と、ブロック毎のドップラー周波数スペクトルにおける各々のドップラー周波数セルに対応するブロック方向の1次のレンジマイグレーションの量に相当する位相変化の補償に用いる1次レンジマイグレーション位相補償関数を格納する1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部と、上記1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部に格納されている1次レンジマイグレーション位相補償関数を上記ブロック毎ドップラー処理手段から出力されたブロック毎のドップラー周波数スペクトルに乗算する位相補償関数乗算部と、上記位相補償関数乗算部の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールを出力するパルス毎逆フーリエ変換部と、上記パルス毎逆フーリエ変換部から出力されたレンジプロフィールをブロック方向に時間反転して、時間反転レンジプロフィールを生成する時間反転レンジプロフィール生成部と、上記時間反転レンジプロフィール生成部により生成された時間反転レンジプロフィールと上記パルス毎逆フーリエ変換部から出力されたレンジプロフィールとの複素共役乗算を実施することで、上記レンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を補償する複素共役乗算部と、上記複素共役乗算部により位相の変動が補償されたレンジプロフィールをブロック方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるドップラー周波数スペクトルを出力するブロック方向ドップラー処理手段と、上記ブロック方向ドップラー処理手段より出力されたドップラー周波数スペクトルから目標を検出する目標検出手段とを備えたレーダ装置。

技術分野

0001

この発明は、目標レーダ画像観測するに際して、観測時間を長くすることでドップラー周波数分解能信号対雑音電力比を高めるレーダ装置に関するものである。

背景技術

0002

レーダ装置として、既存の電波発信源から発信される電波を利用して、目標のレーダ画像を観測するパッシブレーダがある。
パッシブレーダは、自ら電波を放射しないため、省電力・省電波資源に資する方式として注目されている。電波発信源としては、テレビラジオなどの電波発信源に加えて、GNSS(Global Navigation Satellite System)などが検討されている。
パッシブレーダでは、図1に示すように、電波発信源から送信された電波のうち、その電波発信源から直接受信局に到来する直接波と、目標に散乱された後に受信局に到来する散乱波とを受信局で受信することで、その直接波の経路と散乱波の経路との差(経路長差)や、散乱波のドップラー周波数シフト計測する方式を採用している。

0003

例えば、以下の非特許文献1には、パッシブレーダに関する従来の開発成果や、パッシブレーダの利点・欠点などが体系的に記載されている。
パッシブレーダの最大の課題は、探知距離延伸である。
探知距離を延伸させるために、信号の積分時間を延長して、SNR(Signal to Noise Ratio)を改善する方式が、例えば、以下の特許文献1〜3に開示されている。
信号の積分時間を延長すると、目標が積分時間内にレンジセルを移動してしまう問題が発生するが、以下の特許文献1〜3には、この問題に対処する方法が開示されている。

0004

以下の特許文献1〜3に開示されている対処方法は、初めに、比較的短い積分時間でドップラー処理を実施し、その処理結果を用いて目標候補を検出する。
次に、目標候補の検出信号のドップラー周波数をもって、目標信号補償処理を実施する方式である。
したがって、この対処方法では、比較的短い積分時間で、ある程度、目標が検出されていることが前提となる。

0005

また、以下の非特許文献2,3には、電波発信源から直接受信局に到来する直接波の信号に対して、“Stretch Processing”という処理を施すことにより、直接波の信号から、目標の速度に応じたレンジセルの移動を予め織り込んだ参照信号を生成し、この参照信号と散乱波の信号との相互相関を求めることによって、レンジセルの移動を補償し、積分可能な時間を延長する方式が開示されている。

0006

以下の非特許文献4には、ドップラー周波数の変化による加速度的な影響を考慮して、目標の加速度に応じたレンジセルの移動を予め織り込んだ参照信号を生成し、この参照信号と散乱波の信号との相互相関を求めることによって、レンジセルの移動を補償し、非特許文献2,3に開示されている方式よりも、さらに積分可能な時間を延長する方式が開示されている。
しかし、非特許文献2〜4に開示されている方式では、演算量が多くなってしまう問題がある。

0007

パッシブレーダの最大の課題は、上述したように、探知距離の延伸であるが、パッシブレーダにおいて、探知距離の延伸が困難である原因は以下の2つである。
(1)警戒管制レーダなどと比較して、電波発信源から発信される電波(放送波)の送信電力微弱であるため、SNR(Signal to Noise Ratio)が極めて低い。
(2)散乱波の観測チャネルにおいては、直接波が干渉波として振舞うが、直接波の信号レベルが散乱波に対してはるかに大きいため、SIR(Signal to Interference Ratio)が極めて低い。
したがって、探知距離を延伸させるには、SNRの向上とSIRの向上が課題となる。

0008

特開平8−179037号公報
特開2006−258786号公報
特開2009−270827号公報

先行技術

0009

N.J. Willis and H.D. Griffiths, “Advances in Bistatic Radar,” Scitech publishing Inc., 2007.
K.S. Kulpa, J. Misiurewicz, “Stretch Processing for Long Integration Time Passive Covert Radar,” International Conference on Radar, 2006.
R.M. Admard, H. Habibi, M.H. Bastani, F. Behnia,“Target's range migration compensation in passive radar,”European Radar Conference, 2009. EuRAD2009.
M. Malanowski、K. Kulpa、K.E. Olsen、“Extending the integration time in DVB-T-based passive radar、” European Radar Conference、2011.EuRAD 2011.

発明が解決しようとする課題

0010

従来のレーダ装置は以上のように構成されているので、信号の積分時間を延長すれば、探知距離を延伸させることができるが、信号の積分時間を延長すると、目標が積分時間内にレンジセルを移動してしまう問題が発生する。
特許文献1〜3では、この問題に対処する方法を開示しているが、初めに、比較的短い積分時間で、ある程度、目標を検出できていることが前提であるため、目標を検出できていなければ、この問題に対処することができない課題があった。
また、非特許文献2〜4にも、積分可能な時間を延長する方式が開示されているが、演算量が多くなってしまう課題があった。

0011

この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、積分時間内の目標のレンジセルの移動や演算量の増大を招くことなく、目標の探知距離を延伸させることができるレーダ装置を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

この発明に係るレーダ装置は、目標によって散乱された送信電波の散乱波を受信して、その散乱波の信号を出力する電波取得手段と、送信電波の信号及び電波取得手段から出力された散乱波の信号をパルスに分割して、パルス単位で、その送信電波の信号と散乱波の信号との相互相関を求め、その相互相関を示すパルス毎のレンジプロフィールを生成するパルス毎レンジ圧縮手段と、パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールに重畳されているヒット方向の位相の変動を補償する位相補償手段と、位相補償手段により位相の変動が補償されたレンジプロフィールをヒット方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるドップラー周波数スペクトルを出力するドップラー処理手段とを設け、目標検出手段が、ドップラー処理手段より出力されたドップラー周波数スペクトルから目標を検出するようにしたものである。

発明の効果

0013

この発明によれば、送信電波の信号及び散乱波の信号をパルスに分割して、パルス単位で、その送信電波の信号と散乱波の信号との相互相関を求め、その相互相関を示すパルス毎のレンジプロフィールを生成するパルス毎レンジ圧縮手段を設け、位相補償手段が、パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールに重畳されているヒット方向の位相の変動を補償するように構成したので、積分時間内の目標のレンジセルの移動や演算量の増大を招くことなく、目標の探知距離を延伸させることができる効果がある。

図面の簡単な説明

0014

パッシブレーダ方式のレーダ装置を示す概念図である。
この発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態1による他のレーダ装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態1によるレーダ装置のパルス毎レンジ圧縮部31を示す構成図である。
この発明の実施の形態1によるレーダ装置の1次レンジマイグレーション補償部34を示す構成図である。
この発明の実施の形態1によるレーダ装置の信号干渉型位相補償部35を示す構成図である。
この発明の実施の形態1によるレーダ装置の信号取得部11における送信信号取得部21及び受信信号取得部22を示す構成図である。
この発明の実施の形態2によるレーダ装置の信号取得部11における送信信号取得部21及び受信信号取得部22を示す構成図である。
この発明の実施の形態3によるレーダ装置の信号取得部11における送信信号取得部21及び受信信号取得部22を示す構成図である。
この発明の実施の形態4によるレーダ装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態4によるレーダ装置の探索型位相補償部92を示す構成図である。
この発明の実施の形態5によるレーダ装置を示す構成図である。

実施例

0015

以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
この実施の形態1では、パッシブレーダ方式を採用しているレーダ装置について説明するが、信号を得るまでの過程において、電波発信源がレーダ装置の制御下にあれば、直接波受信用アンテナを省略することが可能であり、アクティブレーダとして扱えることが可能である。
図1はパッシブレーダ方式のレーダ装置を示す概念図である。
図1において、電波発信源1は搬送波周波数がfc、信号帯域がBの信号(電波)を継続的に発信(放送)している発信源である。

0016

直接波受信用アンテナ2は電波発信源1を指向するように配置されており、電波発信源1から送信された電波の直接波を受信する。
直接波受信機3は直接波受信用アンテナ2の受信信号を増幅し、増幅後の受信信号を帯域フィルタに通して、所望の帯域の信号を取り出した後、所望の帯域の信号をダウンコンバートしてサンプリングする処理を実施する。

0017

散乱波受信用アンテナ4は目標が存在している観測領域を指向するように配置されており、電波発信源1から送信された後、目標によって散乱された電波の散乱波を受信する。
散乱波受信機5は散乱波受信用アンテナ4の受信信号を増幅し、増幅後の受信信号を帯域フィルタに通して、所望の帯域の信号を取り出した後、所望の帯域の信号をダウンコンバートしてサンプリングする処理を実施する。
直接波受信用アンテナ2、直接波受信機3、散乱波受信用アンテナ4及び散乱波受信機5から電波取得手段が構成されている。

0018

ただし、信号帯域が既知又は可変であり、かつ、サンプリング周波数が可変又は既知であれば、信号帯域やサンプリング周波数を選択することで、所望の帯域の信号をダウンコンバートせずにサンプリングすることも可能である。
また、電波発信源1の信号が既知であれば、直接波受信用アンテナ2及び直接波受信機3を省略することが可能であることは言うまでもない。
この実施の形態1では、直接波受信用アンテナ2と散乱波受信用アンテナ4を別の実体として説明するが、2つ以上のアンテナで受信した信号を用いて、デジタルビームフォーミングによって直接波と散乱波を分離するように構成しても構わない。

0019

また、散乱波受信用アンテナ4として、互いに直交する偏波特性を有する2つの受信アンテナを用いることによって、目標によって散乱された散乱波の偏波特性を計測することも可能である。
この場合、以下に説明する各処理を、2つの散乱波受信用アンテナで得られた信号に対して各々適用することによって、偏波特性の異なる2つのレーダ画像を生成することが可能である。

0020

psバー(明細書の文書中では、電子出願の関係上、文字の上部に“−”の記号を付することができないため、「psバー」のように表記している)は固定の電波発信源1の位置を表す位置ベクトルである。
prバーは受信局である散乱波受信用アンテナ4の位置を表す位置ベクトルである。
ptバーは目標の重心位置を表す位置ベクトルであり、vバーは目標の速度を表す速度ベクトルである。
図1では、直接波受信用アンテナ2と散乱波受信用アンテナ4が異なる位置に設置されている例を示しているが、直接波受信用アンテナ2と散乱波受信用アンテナ4が同じ位置に設置されていてもよい。また、直接波受信機3と散乱波受信機5が同じ位置に設置されていてもよい。

0021

isハット(明細書の文書中では、電子出願の関係上、文字の上部に“^”の記号を付することができないため、「isハット」のように表記している)は目標から電波発信源1への向きを表す単位ベクトルである。
irハットは目標から散乱波受信用アンテナ4への向きを表す単位ベクトルである。

0022

このとき、目標と電波発信源1の距離rs、目標と直接波受信用アンテナ2又は散乱波受信用アンテナ4との距離rr、電波発信源1と直接波受信用アンテナ2又は散乱波受信用アンテナ4との距離rdは、下記の式(2)で表すことができる。

ただし、目標は移動しているので、ptバー、vバー、isハット、irハット及びrrは時刻tの関数であり、以下の説明では必要に応じて明示的にptバー(t)などのように表記する。

0023

図2はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
図2のレーダ装置は、信号取得部11と信号処理装置12から構成されている。
図2において、信号取得部11は送信信号取得部21と受信信号取得部22から構成されており、送信信号取得部21は図1の直接波受信用アンテナ2と直接波受信機3から構成されている(図7を参照)。
受信信号取得部22は図1の散乱波受信用アンテナ4及び散乱波受信機5から構成されている(図7を参照)。

0024

信号処理装置12は、パルス毎レンジ圧縮部31、クラッタ抑圧部32、ブロック毎ドップラー処理部33、1次レンジマイグレーション補償部34、信号干渉型位相補償部35、ブロック方向ドップラー処理部36及び目標検出部37から構成されている。
パルス毎レンジ圧縮部31は送信信号取得部21により取得された送信電波の信号及び受信信号取得部22により取得された散乱波の信号をパルスに分割して、パルス単位で、送信電波の信号と散乱波の信号との相互相関を求め、その相互相関を示すパルス毎のレンジプロフィールを生成する処理を実施する。なお、パルス毎レンジ圧縮部31はパルス毎レンジ圧縮手段を構成している。

0025

クラッタ抑圧部32はパルス毎レンジ圧縮部31により生成されたパルス毎のレンジプロフィールに含まれている不要信号であるクラッタを抑圧する処理を実施する。なお、クラッタ抑圧部32はクラッタ抑圧手段を構成している。
ブロック毎ドップラー処理部33はクラッタ抑圧部32によりクラッタが抑圧されたパルス毎のレンジプロフィールをブロック単位にまとめて、ブロック単位のレンジプロフィールをヒット方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるブロック毎のドップラー周波数スペクトルを出力する処理を実施する。なお、ブロック毎ドップラー処理部33はブロック毎ドップラー処理手段を構成している。

0026

1次レンジマイグレーション補償部34はブロック毎ドップラー処理部33から出力されたブロック毎のドップラー周波数スペクトルの中で、ブロック方向に発生している1次のレンジマイグレーションを補償し、レンジマイグレーション補償後のドップラー周波数スペクトルをレンジ方向逆フーリエ変換して、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールを出力する処理を実施する。なお、1次レンジマイグレーション補償部34は1次レンジマイグレーション補償手段を構成している。
信号干渉型位相補償部35は1次レンジマイグレーション補償部34から出力されたレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を補償する処理を実施する。なお、信号干渉型位相補償部35は位相補償手段を構成している。

0027

ブロック方向ドップラー処理部36は信号干渉型位相補償部35により位相の変動が補償されたレンジプロフィールをブロック方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるドップラー周波数スペクトルを出力する処理を実施する。なお、ブロック方向ドップラー処理部36はブロック方向ドップラー処理手段を構成している。
目標検出部37はブロック方向ドップラー処理部36より出力されたドップラー周波数スペクトルから目標を検出する処理を実施する。なお、目標検出部37は目標検出手段を構成している。

0028

図2の例では、レーダ装置における信号処理装置12の構成要素であるパルス毎レンジ圧縮部31、クラッタ抑圧部32、ブロック毎ドップラー処理部33、1次レンジマイグレーション補償部34、信号干渉型位相補償部35、ブロック方向ドップラー処理部36及び目標検出部37のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)から構成されているものを想定しているが、信号処理装置12がコンピュータで構成されていてもよい。
信号処理装置12がコンピュータで構成されている場合、パルス毎レンジ圧縮部31、クラッタ抑圧部32、ブロック毎ドップラー処理部33、1次レンジマイグレーション補償部34、信号干渉型位相補償部35、ブロック方向ドップラー処理部36及び目標検出部37の処理内容記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。

0029

この実施の形態1では、信号処理装置12がクラッタ抑圧部32を実装している例を説明するが、例えば、不要信号であるクラッタの影響が少ないような場合には、クラッタ抑圧部32を実装せずに、装置構成を簡略化するようにしてもよい。ただし、クラッタ抑圧部32を実装している方が、目標の検出精度が向上することは言うまでもない。

0030

この実施の形態1では、信号処理装置12がブロック毎ドップラー処理部33及び1次レンジマイグレーション補償部34を実装している例を説明するが、図3に示すように、ブロック毎ドップラー処理部33及び1次レンジマイグレーション補償部34を実装せずに、装置構成を簡略化するようにしてもよい。
ブロック毎ドップラー処理部33及び1次レンジマイグレーション補償部34を実装しない場合、図3に示すように、ブロック方向ドップラー処理部36の代わりに、ドップラー処理手段として、信号干渉型位相補償部35により位相の変動が補償されたレンジプロフィールをヒット方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるドップラー周波数スペクトルを出力するドップラー処理部38を実装する必要がある。
なお、この場合の信号干渉型位相補償部35は、ブロック毎のレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を補償するのではなく、パルス毎のレンジプロフィールに重畳されているヒット方向の位相の変動を補償することになる。
ブロック毎ドップラー処理部33及び1次レンジマイグレーション補償部34を実装する構成の方が、より長時間の観測に対応することができる。

0031

図4はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置のパルス毎レンジ圧縮部31を示す構成図である。
図4において、送信信号FFT部41は送信信号取得部21により取得された送信電波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、送信電波の信号をパルスに分割する処理を実施する。なお、送信信号FFT部41は送信電波信号フーリエ変換部を構成している。
受信信号FFT部42は受信信号取得部22により取得された散乱波の信号をレンジ方向にフーリエ変換することで、散乱波の信号をパルスに分割する処理を実施する。なお、受信信号FFT部42は散乱波信号フーリエ変換部を構成している。

0032

複素共役乗算部43は送信信号FFT部41により分割されたパルスと受信信号FFT部42により分割されたパルスとの複素共役乗算を実施する処理を実施する。
パルス毎IFFT部44は複素共役乗算部43の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるパルス毎のレンジプロフィールをクラッタ抑圧部32に出力する処理を実施する。なお、パルス毎IFFT部44はパルス毎逆フーリエ変換部を構成している。

0033

図5はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置の1次レンジマイグレーション補償部34を示す構成図である。
図5において、1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部51はブロック毎のドップラー周波数スペクトルにおける各々のドップラー周波数セルに対応するブロック方向の1次のレンジマイグレーションの量に相当する位相変化の補償に用いる1次レンジマイグレーション位相補償関数を格納するメモリである。

0034

位相補償関数乗算部52は1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部51に格納されている1次レンジマイグレーション位相補償関数をブロック毎ドップラー処理部33から出力されたブロック毎のドップラー周波数スペクトルに乗算する処理を実施する。
パルス毎IFFT部53は位相補償関数乗算部52の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールを信号干渉型位相補償部35に出力する処理を実施する。なお、パルス毎IFFT部53はパルス毎逆フーリエ変換部を構成している。

0035

図6はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置の信号干渉型位相補償部35を示す構成図である。
図6において、時間反転レンジプロフィール生成部61は1次レンジマイグレーション補償部34から出力されたレンジプロフィールをブロック方向に時間反転して、時間反転レンジプロフィールを生成する処理を実施する。
ただし、時間反転レンジプロフィール生成部61は、図3の信号処理装置12に実装されている信号干渉型位相補償部35に適用する場合、クラッタ抑圧部32によりクラッタが抑圧されたパルス毎のレンジプロフィールをヒット方向に時間反転して、時間反転レンジプロフィールを生成する処理を実施する。

0036

複素共役乗算部62は時間反転レンジプロフィール生成部61により生成された時間反転レンジプロフィールと1次レンジマイグレーション補償部34から出力されたレンジプロフィールとの複素共役乗算を実施することで、そのレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を補償する処理を実施する。
ただし、複素共役乗算部62は、図3の信号処理装置12に実装されている信号干渉型位相補償部35に適用する場合、時間反転レンジプロフィール生成部61により生成された時間反転レンジプロフィールとクラッタ抑圧部32によりクラッタが抑圧されたパルス毎のレンジプロフィールとの複素共役乗算を実施することで、そのレンジプロフィールに重畳されているヒット方向の位相の変動を補償する処理を実施する。

0037

次に動作について説明する。
この実施の形態1では、電波発信源1が搬送波周波数fc、信号帯域Bの電波を継続的に送信し、直接波受信用アンテナ2が電波発信源1から送信された電波の直接波を受信し、散乱波受信用アンテナ4が目標によって散乱された上記電波の散乱波を受信する。
このとき、直接波受信機3は、観測時間T[sec]の間、直接波受信用アンテナ2の受信信号を増幅し、増幅後の受信信号を帯域フィルタに通して、所望の帯域の信号を取り出した後、所望の帯域の信号をダウンコンバートしてサンプリングする。
また、散乱波受信機5は、観測時間T[sec]の間、散乱波受信用アンテナ4の受信信号を増幅し、増幅後の受信信号を帯域フィルタに通して、所望の帯域の信号を取り出した後、所望の帯域の信号をダウンコンバートしてサンプリングする。

0038

この実施の形態1では、詳細は後述するが、信号処理装置12のパルス毎レンジ圧縮部31によって、直接波及び散乱波の受信信号が時間幅Tb[sec]のブロックに分割される(N個のブロックに分割される)。
また、各々のブロックが時間幅T0[sec]のパルスに分割される(M個のパルスに分割される)。

0039

以降、時間幅Tbをブロック幅と称し、時間幅T0をパルス幅と称する。
なお、パルスとパルスは隣接しているため、パルスの繰り返し周期はパルス幅T0と一致する。そのため、必要に応じて時間幅T0[sec]をパルス繰返し周期(PRI:Pulse Repetition Interval)と呼ぶ場合がある。
定義より、T、Tb、T0は、下記の次の関係を満足する。

0040

この実施の形態1において、信号をパルスに分割したり、ブロックにまとめたりするのは、処理の高速化を図るためである。
詳細は後述するが、長時間観測したデータを短いパルスに区切ることにより、直接波と散乱波の長時間の相関処理を全てFFT(Fast Fourier Transform)によって構成することができる。
また、いくつかのパルスをまとめたブロック単位の処理を導入することで、観測時間中の1次レンジマイグレーションへの対処を高速化することができる。

0041

続いて、信号処理装置12における各処理部の動作を説明するために、電波発信源1から発信された直接波の信号と、目標によって散乱された散乱波の信号とを定式化する。
電波発信源1から発信される信号は、信号帯域幅がB、中心周波数がfc、ベースバンド信号がw(t)の狭帯域信号であるから、直接波の信号をsd(t)、散乱波の信号をss(t)とすると、下記のように表すことができる。
以下では、広義定常性(WSS:wide−sense stationary)が成立するものとする。



式(4)(5)において、adは直接波受信時の信号の振幅、asは散乱波受信時の信号の振幅、τdは直接波が直接波受信機3に到達するまでの遅延時間、R0(t)は散乱波の遅延距離、cは伝播線路中の電磁波の速さ、tは時間変数、fdはドップラー周波数である。

0042

ここで、直接波の信号sd(t)及び散乱波の信号ss(t)の位相検波を実施することにより、次のビデオ信号sd(t)チルダ,ss(t)チルダが得られる。



明細書の文書中では、電子出願の関係上、文字の上部に“〜”の記号を付することができないため、「sd(t)チルダ」のように表記している。

0043

直接波の信号sd(t)と散乱波の信号ss(t)との遅延距離差R(t)は、下記の式(8)のように定義される。

この実施の形態1では、目標のドップラー周波数fd(t)が1次の時間変化をする場合を想定する。
そこで、ドップラー周波数の変化率α[Hz/s]を導入し、目標のドップラー周波数fd(t)を次式モデル化する。

0044

よって、

であることを考慮すると、式(9)及び式(10)より、遅延距離差R(t)とラジアル速度v(t)は、下記の式(11)(12)のように表される。

0045

なお、アルゴリズム導出の過程で、ブロック幅Tb[sec]の間は、ドップラー周波数が一定であると見なせると仮定する。
あるブロックにおけるm番目のパルスの中心時刻をtmとし、n番目のブロックの中心時刻をtnとすると、tm,tnは、下記の式(13)(14)によって定義される。



R(t)はtmの定義域において、次の1次関数Rn(tm)とする。

0046

以下、レーダ装置における信号処理装置12の処理内容を具体的に説明する。
パルス毎レンジ圧縮部31は、送信信号取得部21の直接波受信機3から送信電波(直接波)の信号sd(t)を受け、受信信号取得部22の散乱波受信機5から散乱波の信号ss(t)を受けると、その直接波の信号sd(t)及び散乱波の信号ss(t)を短時間のパルスに分割し、パルス単位で、その直接波の信号と散乱波の信号との相互相関を求め、その相互相関を示すパルス毎のレンジプロフィールを生成する。

0047

即ち、パルス毎レンジ圧縮部31の送信信号FFT部41は、送信信号取得部21の直接波受信機3から直接波の信号sd(t)を受けると、直接波の信号sd(t)をレンジ方向にフーリエ変換することで、直接波の信号sd(t)を短時間のパルスに分割する。
また、パルス毎レンジ圧縮部31の受信信号FFT部42は、受信信号取得部22の散乱波受信機5から散乱波の信号ss(t)を受けると、散乱波の信号ss(t)をレンジ方向にフーリエ変換することで、散乱波の信号ss(t)を短時間のパルスに分割する。

0048

そして、パルス毎レンジ圧縮部31の複素共役乗算部43は、送信信号FFT部41により分割されたパルスと、受信信号FFT部42により分割されたパルスとの複素共役乗算を実施することで、その直接波の信号と散乱波の信号との相互相関を求める。
ここで、複素共役乗算部43により求められる相互相関を示す相互相関関数x(τ,tm,tn)は、下記の式(16)のように表され、レンジプロフィールと呼ばれる。
ただし、x(τ,tm,tn)はn番目のブロックのm番目のパルスにおけるレンジプロフィールである。

0049

ここで、ベースバンド信号w(t)については、広義定常性(WSS)が成立すると仮定しているので、自己相関関数期待値C(τ)は下記の式(17)で表される。

期待値について議論すると、次のようになる。

ただし、τはレンジ圧縮処理後の時間変数、*は複素共役、E[・]は期待値、C(・)は自己相関関数である。

0050

周波数空間上でのレンジ圧縮は、下記の式(19)で表現される。

ただし、Cf(f)は自己相関関数C(τ)のフーリエ変換である。F[g(τ)]τは関数g(τ)の変数τについてのフーリエ変換を表している。
パルス毎レンジ圧縮部31のパルス毎IFFT部44は、複素共役乗算部43の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果をパルス毎のレンジプロフィールとして、クラッタ抑圧部32に出力する。

0051

クラッタ抑圧部32は、パルス毎レンジ圧縮部31からパルス毎のレンジプロフィールを受けると、パルス毎のレンジプロフィールから、各パルスのレンジプロフィールのパルス方向平均を差し引く処理を実施することで、背景静止物からの反射信号(クラッタ)を抑圧する。
即ち、クラッタ抑圧部32は、下記の式(20)に示す処理を実施することで、クラッタを抑圧する。

0052

これにより、クラッタ抑圧部32が、式(20)に示すクラッタ抑圧後の信号X逆弧(f,tm,tn)(明細書の文書中では、電子出願の関係上、文字の上部に“∪”の記号を付することができないため、「X逆弧」のように表記している)をブロック毎ドップラー処理部33に出力するが、静止物からの反射波の信号については、遅延時間差がパルス毎に変化しない(ドップラー周波数シフトを受けていない)。
このことは、式(19)において、目標が固定であれば、Rn(tm)=constとなり、パルス番号mによらず、信号の位相が一定になることからも確認することができる。
式(20)において、Nパルスのレンジプロフィールを平均化することによって、ドップラー周波数がゼロの信号を抽出し、各レンジプロフィールからドップラー周波数がゼロの信号を差し引くことで、ドップラー周波数がゼロの信号を抑圧している。これにより、背景の静止物からの反射信号を抑圧することができる。
ただし、このクラッタ抑圧部32は、この実施の形態1を構成する必須の機能ではない。仮にクラッタ抑圧部32の処理を省いても、その他については、同様の処理を実施することが可能である。

0053

ブロック毎ドップラー処理部33は、クラッタ抑圧部32からクラッタ抑圧後のパルス毎のレンジプロフィールX逆弧(f,tm,tn)を受けると、クラッタ抑圧後のパルス毎のレンジプロフィールX逆弧(f,tm,tn)をブロック単位にまとめて、ブロック単位のレンジプロフィールをヒット方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるブロック毎のドップラー周波数スペクトルを1次レンジマイグレーション補償部34に出力する。
以下、ブロック毎ドップラー処理部33の処理内容を具体的に説明する。

0054

まず、n番目のブロックにおけるレンジ圧縮後の信号X(f,tm,tn)は、式(15)を式(19)に代入することで、下記の式(21)のように表すことができる。

ここでは、レンジ圧縮後の信号X(f,tm,tn)を式(21)で表しているが、式(15)を式(20)に代入することで、クラッタが抑圧されたレンジ圧縮後の信号X逆弧(f,tm,tn)を表すことができる。

0055

レンジ圧縮後の信号X(f,tm,tn)を、mについて離散フーリエ変換すると、下記の式(22)が得られる。

ただし、fdkはk番目のドップラー周波数セルの中心周波数であり、下記の式(23)で定義される。

0056

式(22)における近似は、次の関係式による。
fc >> f∈[−B/2,B/2] (24)
式(24)は、信号の比帯域が小さければ、式(22)の近似が成り立つことを示している。
ここでは、ブロック幅Tbにおける目標の移動量がレンジ分解能以下であることを示す下記の式(25)の関係を満たしている必要がある。

ただし、fdmaxはパルス繰返し周期PRIで決まる値であり、fdmax=1/(2T0)である。したがって、式(25)は次のように整理することができる。

0057

1次レンジマイグレーション補償部34は、ブロック毎ドップラー処理部33からブロック毎のドップラー周波数スペクトルを受けると、ブロック毎のドップラー周波数スペクトルの中で、ブロック方向に発生している1次のレンジマイグレーションを補償し、レンジマイグレーション補償後のドップラー周波数スペクトルをレンジ方向に逆フーリエ変換して、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を出力する。
以下、1次レンジマイグレーション補償部34の処理内容を具体的に説明する。

0058

ブロック毎ドップラー処理部33では、ブロック幅Tbの間は、ドップラー周波数が一定であることを仮定して処理を実施しているが、観測時間Tの全体を考える場合は、ドップラー周波数fd(t)が1次の変化をする式(9)のモデルを考える。
このことを踏まえ、式(22)のR(tn),v(tn)に式(11),式(12)を代入することで、下記の式(27)を得る。

0059

この実施の形態1では、ブロック方向の処理を実施するために、目標信号のレンジ方向の移動(マイグレーション)を補償する。
ここでは、ドップラー周波数が1次の変化をするモデルを考えているので、目標信号のレンジは1次と2次の変化をする。1次レンジマイグレーション補償部34では、1次の変化量を補償する。
k番目のドップラー周波数セルに含まれる信号のドップラー周波数はfdkであるから、n番目のブロックにおける遅延量の1次成分ΔRn(tn)は、下記の式(28)で表される。

0060

式(27)に対する1次レンジマイグレーション位相補償関数Ψcmp1(f,fdk,tn)は、下記の式(29)で表され、予め、1次レンジマイグレーション位相補償関数Ψcmp1(f,fdk,tn)は、1次レンジマイグレーション補償部34の1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部51に格納される。

ただし、*は複素共役である。

0061

1次レンジマイグレーション補償部34の位相補償関数乗算部52は、ブロック毎ドップラー処理部33からブロック毎のドップラー周波数スペクトルを受けると、1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部51に格納されている1次レンジマイグレーション位相補償関数Ψcmp1(f,fdk,tn)をブロック毎のドップラー周波数スペクトルに乗算することで、1次のレンジマイグレーションを補償する。

0062

1次レンジマイグレーション位相補償関数Ψcmp1(f,fdm,tn)を用いた関数y(τ,fdk,tn)の1次のレンジマイグレーション補償は、下記の式(30)のようになる。これは周波数空間における畳み込み演算に相当する。

ただし、δfdk=β−fdkである。
1次レンジマイグレーション補償部34のパルス毎IFFT部53は、位相補償関数乗算部52の乗算結果をレンジ方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を信号干渉型位相補償部35に出力する。

0063

信号干渉型位相補償部35は、1次レンジマイグレーション補償部34からレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を受けると、そのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の位相の変動を補償する。
以下、信号干渉型位相補償部35の処理内容を具体的に説明する。

0064

まず、ドップラーセルマイグレーション補償のため、式(30)のfdkについて逆離散フーリエ変換を実施する。

0065

ここで、信号干渉型位相補償関数Ψcmp2fast(f,tm,tn)は、信号のブロック時間反転を用いると、下記の式(32)のようになり、信号干渉型位相補償部35の時間反転レンジプロフィール生成部61が時間反転レンジプロフィールΨcmp2fast(τ,fdk,tn)を生成する。

0066

信号干渉型位相補償部35の複素共役乗算部62は、時間反転レンジプロフィール生成部61が時間反転レンジプロフィールΨcmp2fast(τ,fdk,tn)を生成すると、下記の式(33)に示すように、その時間反転レンジプロフィールΨcmp2fast(τ,fdk,tn)と1次レンジマイグレーション補償部34から出力されたレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)との複素共役乗算を実施することで、そのレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の偶数次の位相の変動を補償する。

ただし、下記の式(34)の近似を用いている。

0067

ブロック方向ドップラー処理部36は、信号干渉型位相補償部35により位相の変動が補償されたレンジプロフィールXcmp2(τ,fdk,tn)を受けると、そのレンジプロフィールXcmp2(τ,fdk,tn)をブロック方向にフーリエ変換し、そのフーリエ変換結果であるドップラー周波数スペクトルfdiを目標検出部37に出力する。
以下、ブロック方向ドップラー処理部36の処理内容を具体的に説明する。

0068

式(33)に対して、tnについて離散フーリエ変換を実施すると、下記の式(35)のようになる。

0069

式(35)の近似については、レンジマイグレーション補償処理後は、信号がブロック番号によらず、同一のレンジセルに存在していると見なせる。以降では、fdnを下記の式(36)で表すようにする。ただし、fdkはk番目のドップラー周波数セルの中心周波数であり、次式で定義される。

また、新たなドップラー周波数fdiを下記の式(37)のように定義する。

0070

ただし、m(i),n(i)は、下記の式(38)のように定義される。

floor(i)は、iの小数点以下を切り捨てる演算子であり、mod(i,N)はiをNで割った余りを得る演算子である。
式(37),(38)より、式(35)は、下記の式(39)のようになる。

式(39)において、実質の周波数分解能Δfdは、1つ目のsinc関数よって、下記の式(40)のようになる。

0071

目標検出部37は、ブロック方向ドップラー処理部36がドップラー周波数スペクトルfdiを算出すると、そのドップラー周波数スペクトルfdiを用いて、目標を検出する。
即ち、目標検出部37は、式(35)によって算出される信号xcmp2(τ,fdk,fdl)の強度P1(τ,fdk,fdl)、あるいは、式(39)によって算出される信号xcmp2(τ,fdi)の強度P2(τ,fdi)を算出する。



目標検出部37は、信号強度P1(τ,fdk,fdl)、あるいは、信号強度P2(τ,fdi)に対して、CFAR(Constant False Alarm Rate)処理などの検出処理を適用することによって、目標信号を検出する。CFAR処理については公知の技術であるため詳細な説明を省略する。

0072

なお、CFAR処理を実施する前に、信号強度P1(τ,fdk,fdl)、あるいは、信号強度P2(τ,fdi)について、レンジ方向又はドップラー周波数方向、あるいは、その両方向に互いに隣接する複数セルにまたがってインコヒーレントに積分を行うようにしてもよい。
この処理により、雑音成分の標準偏差を低減することができるほか、目標信号がドップラーレンジ方向又はドップラー周波数方向、あるいは、その両方向に広がっている場合、信号成分をインコヒーレントに積み上げることができるため、SNR(Signal to Noise Ratio)を改善することが可能になる。

0073

以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、信号干渉型位相補償部35が、1次レンジマイグレーション補償部34から出力されたレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の偶数次の位相の変動を補償するように構成したので、積分時間内の目標のレンジセルの移動や演算量の増大を招くことなく、目標の探知距離を延伸させることができる効果を奏する。
即ち、1次のレンジマイグレーションが補償された後に、信号干渉型位相補償を行うことで、精度・効率よく、長時間コヒーレント積分が可能になるため、演算量の増大を招くことなく、目標の探知距離を延伸させることができる効果を奏する。

0074

実施の形態2.
上記実施の形態1では、信号取得部11の送信信号取得部21が図1の直接波受信用アンテナ2と直接波受信機3から構成され、信号取得部11の受信信号取得部22が図1の散乱波受信用アンテナ4と散乱波受信機5から構成されているものを示したが、図8に示すように、信号取得部11の送信信号取得部21が、予め電波発信源1から送信される電波(直接波)の信号sd(t)を格納する電波発信源信号格納部71(メモリ)を備え、電波発信源信号格納部71により格納されている直接波の信号sd(t)を信号処理装置12のパルス毎レンジ圧縮部31に出力するようにしてもよい。
この場合、図1の直接波受信用アンテナ2と直接波受信機3を省略することができるため装置構成の簡略化を図ることができる。

0075

実施の形態3.
上記実施の形態1では、レーダ装置と別個既設の電波発信源1が存在しているものを示したが、図9に示すように、信号取得部11の受信信号取得部22が、電波発信源1から発信される電波に相当する電波を送信する電波送信機81と、送受信アンテナ82と、電波送信機81又は散乱波受信機5を交互に送受信アンテナ82に接続する送受切換機83とを備えるようにしてもよい。
この場合、電波送信機81が送受切換機83によって送受信アンテナ82と接続されたとき、電波発信源1から発信される電波に相当する電波を目標に向けて送信し、散乱波受信機5が送受切換機83によって送受信アンテナ82と接続されたとき、目標によって散乱された上記電波の散乱波を受信して、その散乱波の信号を信号処理装置12のパルス毎レンジ圧縮部31に出力する。
なお、送信信号取得部21の送信信号格納部84は、電波送信機81から送信される電波の信号を格納しており、その信号を信号処理装置12のパルス毎レンジ圧縮部31に出力する。

0076

この場合、上記実施の形態2と同様に、図1の直接波受信用アンテナ2と直接波受信機3を省略することができるため装置構成の簡略化を図ることができる。
また、既設の電波発信源1が存在していない場合でも、目標の検出処理を実施することができる。

0077

実施の形態4.
図10はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
レンジ分割処理部91は1次レンジマイグレーション補償部34から出力されたレンジプロフィールを2つのレンジに分割する処理を実施する。なお、レンジ分割処理部91はレンジ分割処理手段を構成している。

0078

探索型位相補償部92はレンジ分割処理部91により分割された他方のレンジのレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を2次以上の位相補償関数によって補償する処理を実施する。なお、探索型位相補償部92は探索型位相補償手段を構成している。
レンジ統合処理部93は信号干渉型位相補償部35により位相の変動が補償された一方のレンジのレンジプロフィールと、探索型位相補償部92により位相の変動が補償された他方のレンジのレンジプロフィールとを統合する処理を実施する。なお、レンジ統合処理部93はレンジ統合処理手段を構成している。

0079

図10の例では、レーダ装置における信号処理装置12の構成要素であるパルス毎レンジ圧縮部31、クラッタ抑圧部32、ブロック毎ドップラー処理部33、1次レンジマイグレーション補償部34、レンジ分割処理部91、信号干渉型位相補償部35、探索型位相補償部92、レンジ統合処理部93、ブロック方向ドップラー処理部36及び目標検出部37のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)から構成されているものを想定しているが、信号処理装置12がコンピュータで構成されていてもよい。
信号処理装置12がコンピュータで構成されている場合、パルス毎レンジ圧縮部31、クラッタ抑圧部32、ブロック毎ドップラー処理部33、1次レンジマイグレーション補償部34、レンジ分割処理部91、信号干渉型位相補償部35、探索型位相補償部92、レンジ統合処理部93、ブロック方向ドップラー処理部36及び目標検出部37の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。

0080

図11はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置の探索型位相補償部92を示す構成図である。
図11において、探索型位相補償関数格納部101はレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を補償するための2次以上の位相補償関数を格納しているメモリである。
位相補償関数乗算部102は探索型位相補償関数格納部101により格納されている2次以上の位相補償関数をレンジ分割処理部91により分割された他方のレンジのレンジプロフィールに乗算することで、そのレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を補償する処理を実施する。

0081

次に動作について説明する。
ただし、レンジ分割処理部91、探索型位相補償部92及びレンジ統合処理部93を実装している点以外は、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは、レンジ分割処理部91、探索型位相補償部92及びレンジ統合処理部93の処理内容を主に説明する。

0082

レンジ分割処理部91は、1次レンジマイグレーション補償部34が、上記実施の形態1と同様に、ブロック毎のドップラー周波数スペクトルの中で、ブロック方向に発生している1次のレンジマイグレーションを補償し、レンジマイグレーション補償後のドップラー周波数スペクトルをレンジ方向に逆フーリエ変換して、その逆フーリエ変換結果であるレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を出力すると、そのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を2つのレンジに分割する。
レンジ分割処理部91は、レンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を2つのレンジに分割すると、一方のレンジのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を信号干渉型位相補償部35に出力し、他方のレンジのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を探索型位相補償部92に出力する。

0083

信号干渉型位相補償部35は、レンジ分割処理部91から一方のレンジのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を受けると、上記実施の形態1と同様に、複素乗算を実施することで、そのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の偶数次の位相の変動を補償する。

0084

探索型位相補償部92は、レンジ分割処理部91から他方のレンジのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)を受けると、そのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の位相の変動を2次以上の位相補償関数によって補償する。
即ち、探索型位相補償部92の位相補償関数乗算部102は、探索型位相補償関数格納部101により格納されている2次以上の位相補償関数をレンジ分割処理部91により分割された他方のレンジのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に乗算することで、そのレンジプロフィールに重畳されているブロック方向の位相の変動を補償する。

0085

レンジ統合処理部93は、信号干渉型位相補償部35が一方のレンジのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の位相の変動を補償し、探索型位相補償部92が他方のレンジのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の位相の変動を補償すると、位相変動補償後の一方のレンジのレンジプロフィールと、位相変動補償後の他方のレンジのレンジプロフィールとを統合し、統合後のレンジプロフィールをブロック方向ドップラー処理部36に出力する。

0086

以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、信号干渉型位相補償部35が一方のレンジのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の位相の変動を補償し、探索型位相補償部92が他方のレンジのレンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の位相の変動を補償するように構成したので、レンジプロフィールXcmp1(τ,fdk,tn)に重畳されているブロック方向の位相の変動の補償精度を高めることができる効果を奏する。

0087

実施の形態5.
図12はこの発明の実施の形態5によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図2図4図5及び図6と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図12のレーダ装置は、上記実施の形態1で説明しているパルス毎レンジ圧縮部31、クラッタ抑圧部32、ブロック毎ドップラー処理部33、1次レンジマイグレーション補償部34、信号干渉型位相補償部35、ブロック方向ドップラー処理部36及び目標検出部37から構成されており、パルス毎レンジ圧縮部31、1次レンジマイグレーション補償部34及び信号干渉型位相補償部35の具体的な構成を開示している実施例である。

0088

なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。

0089

この発明に係るレーダ装置は、送信電波の信号と散乱波の信号との相互相関を求め、その相互相関を示すパルス毎のレンジプロフィールを生成するパルス毎レンジ圧縮手段と、パルス毎レンジ圧縮手段により生成されたパルス毎のレンジプロフィールに重畳されているヒット方向の位相の変動を補償する位相補償手段を備え、積分時間内の目標のレンジセルの移動や演算量の増大を招くことなく、目標の探知距離を延伸させることができるので、パッシブレーダ方式のレーダ装置に用いるのに適している。

0090

1電波発信源、2直接波受信用アンテナ(電波取得手段)、3 直接波受信機(電波取得手段)、4散乱波受信用アンテナ(電波取得手段)、5 散乱波受信機(電波取得手段)、11信号取得部、12信号処理装置、21送信信号取得部、22受信信号取得部、31パルス毎レンジ圧縮部(パルス毎レンジ圧縮手段)、32クラッタ抑圧部(クラッタ抑圧手段)、33ブロック毎ドップラー処理部(ブロック毎ドップラー処理手段)、34 1次レンジマイグレーション補償部(1次レンジマイグレーション補償手段)、35信号干渉型位相補償部(位相補償手段)、36 ブロック方向ドップラー処理部(ブロック方向ドップラー処理手段)、37目標検出部(目標検出手段)、38 ドップラー処理部(ドップラー処理手段)、41 送信信号FFT部(送信電波信号フーリエ変換部)、42 受信信号FFT部(散乱波信号フーリエ変換部)、43複素共役乗算部、44 パルス毎IFFT部(パルス毎逆フーリエ変換部)、51 1次レンジマイグレーション位相補償関数格納部、52 位相補償関数乗算部、53 パルス毎IFFT部(パルス毎逆フーリエ変換部)、61時間反転レンジプロフィール生成部、62 複素共役乗算部、71 電波発信源信号格納部、81電波送信機、82送受信アンテナ、83送受切換機、84 送信信号格納部、91レンジ分割処理部(レンジ分割処理手段)、92 探索型位相補償部(探索型位相補償手段)、93 レンジ統合処理部(レンジ統合処理手段)、101 探索型位相補償関数格納部、102 位相補償関数乗算部。

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