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技術 透明電極、電子デバイス、および有機電界発光素子

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 吉田和央波木井健石代宏木下敏幸
出願日 2013年11月25日 (7年1ヶ月経過) 出願番号 2014-550179
公開日 2017年1月5日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 WO2014-084170
状態 特許登録済
技術分野 エレクトロルミネッセンス光源 ピリジン系化合物 複数複素環系化合物 その他のN系縮合複素環2 Nおよび(O又はS)縮合複素環
主要キーワード 光取り出し部材 成長型 接界面 各発光パネル 無アルカリガラス製 定電流印加 不飽和環状構造 中間金属層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題・解決手段

窒素含有層と、これに隣接して設けられた電極層とを備えた透明電極である。窒素含有層は、窒素原子を含有すると共に当該窒素原子が有する非共有電子対のうち芳香族性関与せずかつ金属に配位していない非共有電子対の数をn、分子量をMとした場合の有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10-3≦[n/M]となる化合物を用いて構成されている。電極層は、銀を主成分とし、添加元素としてアルミニウム、金、インジウム、銅、パラジウムプラチナのうちの少なくとも1種を含有している。

概要

背景

有機材料エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機電界発光素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度高発光効率薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイバックライト看板非常灯等の表示板照明光源等の面発光体として近年注目されている。

このような有機電界発光素子は、2枚の電極間に有機材料を用いて構成された発光層を挟持した構成であり、発光層で生じた発光光電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成される。

透明電極としては、酸化インジウムスズ(SnO2−In2O3:Indium Tin Oxide:ITO)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った検討もなされている(例えば下記特許文献1,2参照)。しかしながら、ITOはレアメタルインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗下げるために成膜後に300℃程度でアニール処理する必要がある。そこで、電気伝導率の高い銀等の金属材料薄膜化した構成や、銀にアルミニウムを混ぜることにより銀単独よりも薄い膜厚導電性を確保する構成(例えば下記特許文献3参照)、さらには銀以外の金属からなる下地層上に銀薄膜層を設けた積層構造とすることにより光透過性を確保する構成(例えば下記特許文献4参照)が提案されている。

概要

窒素含有層と、これに隣接して設けられた電極層とを備えた透明電極である。窒素含有層は、窒素原子を含有すると共に当該窒素原子が有する非共有電子対のうち芳香族性関与せずかつ金属に配位していない非共有電子対の数をn、分子量をMとした場合の有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10-3≦[n/M]となる化合物を用いて構成されている。電極層は、銀を主成分とし、添加元素としてアルミニウム、金、インジウム、銅、パラジウムプラチナのうちの少なくとも1種を含有している。

目的

本発明は、十分な導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

窒素原子(N)を含有すると共に当該窒素原子(N)が有する非共有電子対のうち芳香族性関与せずかつ金属に配位していない非共有電子対の数をn、分子量をMとした場合の有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10-3≦[n/M]となる化合物を用いて構成された窒素含有層と、銀(Ag)を主成分とし添加元素としてアルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)のうちの少なくとも1種を含有し、前記窒素含有層に隣接して設けられた電極層とを有する透明電極

請求項2

前記化合物における前記有効非共有電子対含有率[n/M]が、3.9×10-3≦[n/M]である請求項1記載の透明電極。

請求項3

前記化合物における前記有効非共有電子対含有率[n/M]が、6.5×10-3≦[n/M]である請求項1に記載の透明電極。

請求項4

前記窒素含有層は、前記電極層側の界面における前記有効非共有電子対含有率[n/M]の値が2.0×10-3≦[n/M]である請求項1〜3の何れかに記載の透明電極。

請求項5

前記電極層における前記添加元素の濃度は0.01〜10.0原子%である請求項1〜4の何れかに記載の透明電極。

請求項6

前記窒素含有層は、前記化合物と共に他の化合物を用いて構成され、これらの化合物の混合比を考慮した前記有効非共有電子対含有率[n/M]の平均値が、2.0×10-3≦[n/M]である請求項1〜5の何れかに記載の透明電極。

請求項7

前記窒素含有層は、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(1)中において、X11は、−N(R11)−または−O−を表し、E101〜E108は、各々−C(R12)=または−N=を表し、E101〜E108のうち少なくとも一つは−N=であり、前記R11および前記R12は、それぞれが水素原子(H)または置換基を表す。]

請求項8

前記窒素含有層は、前記一般式(1)におけるX11を−N(R11)−とした下記一般式(1a)で表される構造を有する化合物を含有する請求項7に記載の透明電極。

請求項9

前記窒素含有層は、前記一般式(1a)におけるE104を−N=とした下記一般式(1a−1)で表される構造を有する化合物を含有する請求項8に記載の透明電極。

請求項10

前記窒素含有層は、前記一般式(1a)におけるE103およびE106を−N=とした下記一般式(1a−2)で表される構造を有する化合物を含有する請求項8記載の透明電極。

請求項11

前記窒素含有層は、前記一般式(1)におけるX11を−O−とし、E104を−N=とした下記一般式(1b)で表される構造を有する化合物を含有する請求項7に記載の透明電極。

請求項12

前記窒素含有層は、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(2)中、Y21は、アリーレン基ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表し、E201〜E216、E221〜E238は、各々−C(R21)=または−N=を表し、前記R21は、水素原子(H)または置換基を表し、E221〜E229の少なくとも1つおよびE230〜E238の少なくとも1つは−N=であり、k21およびk22は、0〜4の整数を表すが、k21+k22は2以上の整数である。]

請求項13

前記窒素含有層は、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。 [ただし一般式(3)中、E301〜E312は、各々−C(R31)=を表し、前記R31は水素原子(H)または置換基を表し、Y31は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。]

請求項14

前記窒素含有層は、下記一般式(4)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(4)中、E401〜E414は、各々−C(R41)=を表し、前記R41は水素原子(H)または置換基を表し、Ar41は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表し、k41は3以上の整数を表す。]

請求項15

前記窒素含有層は、下記一般式(5)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。 [ただし一般式(5)中、R51は置換基を表し、E501,E502、E511〜E515、E521〜E525は、各々−C(R52)=または−N=を表し、E503〜E505は、各々−C(R52)=を表し、前記R52は、水素原子(H)または置換基を表し、E501およびE502のうち少なくとも1つは−N=であり、E511〜E515のうち少なくとも1つは−N=であり、E521〜E525のうち少なくとも1つは−N=である。]

請求項16

前記窒素含有層は、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(6)中、E601〜E612は、各々−C(R61)=または−N=を表し、前記R61は水素原子(H)または置換基を表し、Ar61は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。]

請求項17

前記窒素含有層は、下記一般式(7)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の透明電極。〔ただし一般式(7)中、R71〜R73は、各々水素原子(H)または置換基を表し、Ar71は、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。〕

請求項18

前記窒素含有層は、下記一般式(8)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の透明電極。〔ただし一般式(8)中、R81〜R86は、各々水素原子(H)または置換基を表し、E801〜E803は、各々−C(R87)=または−N=を表し、前記R87は、水素原子(H)または置換基を表し、Ar81は、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。〕

請求項19

前記窒素含有層は、下記一般式(8a)で表される構造を有する化合物を含有する請求項18に記載の透明電極。〔ただし一般式(8a)中において、E804〜E811は、各々−C(R88)=または−N=を表し、前記R88は、それぞれが水素原子(H)または置換基と表し、E808〜E811のうち少なくとも一つは−N=であり、E804〜E807、E808〜E811は、各々互いに結合して新たな環を形成してもよい。〕

請求項20

請求項1〜19の何れかに記載の透明電極を有する電子デバイス

請求項21

前記電子デバイスが有機電界発光素子である請求項20に記載の電子デバイス。

請求項22

請求項1〜19の何れかに記載の透明電極と、前記透明電極における前記電極層側に設けられた発光機能層と、前記透明電極との間に前記発光機能層を挟持する状態で設けられた対向電極とを有する有機電界発光素子。

請求項23

請求項1〜19の何れかに記載の透明電極と、前記透明電極における前記窒素含有層側に設けられた発光機能層と、前記透明電極との間に前記発光機能層を挟持する状態で設けられた対向電極とを有する有機電界発光素子。

技術分野

0001

本発明は、透明電極電子デバイス、および有機電界発光素子に関し、特には導電性光透過性とを兼ね備えた透明電極、さらにはこの透明電極を用いた電子デバイスおよび有機電界発光素子に関する。

背景技術

0002

有機材料エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機電界発光素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度高発光効率薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイバックライト看板非常灯等の表示板照明光源等の面発光体として近年注目されている。

0003

このような有機電界発光素子は、2枚の電極間に有機材料を用いて構成された発光層を挟持した構成であり、発光層で生じた発光光電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成される。

0004

透明電極としては、酸化インジウムスズ(SnO2−In2O3:Indium Tin Oxide:ITO)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った検討もなされている(例えば下記特許文献1,2参照)。しかしながら、ITOはレアメタルインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗下げるために成膜後に300℃程度でアニール処理する必要がある。そこで、電気伝導率の高い銀等の金属材料薄膜化した構成や、銀にアルミニウムを混ぜることにより銀単独よりも薄い膜厚で導電性を確保する構成(例えば下記特許文献3参照)、さらには銀以外の金属からなる下地層上に銀薄膜層を設けた積層構造とすることにより光透過性を確保する構成(例えば下記特許文献4参照)が提案されている。

先行技術

0005

特開2002−15623号公報
特開2006−164961号公報
特開2009−151963号公報
特開2008−171637号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、電気伝導率の高い銀やアルミニウムを用いて構成された透明電極であっても、十分な導電性と光透過性との両立を図ることは困難であった。

0007

そこで本発明は、十分な導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を提供すること、およびこの透明電極を用いることによって性能の向上が図られた電子デバイスおよび有機電界発光素子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

このような目的を達成するための本発明の透明電極は、次のような構成である。窒素原子を含有すると共に当該窒素原子が有する非共有電子対のうち芳香族性関与せずかつ金属に配位していない非共有電子対の数をn、分子量をMとした場合の有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10-3≦[n/M]となる化合物を用いて構成された窒素含有層を有する。また、銀(Ag)を主成分とし添加元素としてアルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)のうちの少なくとも1種を含有し、前記窒素含有層に隣接して設けられた電極層を有する。

0009

また本発明の電子デバイスは、上記構成の透明電極を有することを特徴としている。電子デバイスは、例えば有機電界発光素子であることとする。

0010

以上のように構成された透明電極は、窒素原子を含有する化合物を用いて構成された窒素含有層に対して、銀を主成分とした電極層を隣接させて設けた構成である。これにより銀を主成分とする電極層は、窒素含有層を構成する窒素原子との相互作用により、隣接界面においての銀の拡散距離が減少して凝集が抑えられたものとなる。このため、一般的には核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立し易い銀薄膜が、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の電極層が得られるようになる。

0011

また窒素含有層に対する電極層を構成する銀の結合安定性指標として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]を適用し、この値が2.0×10-3≦[n/M]となる化合物を用いて窒素含有層を構成するようにした。これにより、上述したような「銀の凝集を抑える」効果が確実に得られる窒素含有層を、電極層に隣接して設けることが可能になる。これは、後の実施例で詳細に説明するように、このような窒素含有層上には、6nmと言った極薄膜でありながらもシート抵抗の測定が可能な電極層が形成されることからも確認された。

0012

そして特に、銀(Ag)を主成分とする電極層には、銀に対する固溶元素であるアルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)のうちの少なくとも1種を含有させている。これにより、電極層は、銀(Ag)とこれらの添加元素との固溶体で構成されたものとなり、銀(Ag)のマイグレーションが抑制されたものとなる。

0013

したがって、この透明電極においては、薄い膜厚であることで光透過性を確保しつつも、均一な膜厚であることで導電性が確保された電極層を確実に得ることができ、かつマイグレーションの発生が抑えられたことにより、このような光透過性および導電性を維持することができる。これにより、銀を用いた透明電極における導電性の向上と光透過性の向上との両立と共に、信頼性の向上を図ることが可能になる。

発明の効果

0014

以上説明したように本発明によれば、透明電極における導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ると共に信頼性の向上を図ることが可能になり、またこの透明電極を用いた電子デバイスおよび有機電界発光素子の性能の向上を図ることが可能になる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の透明電極の構成を示す断面模式図である。
窒素原子の結合様式を説明するためのTBACとIr(ppy)3の構造式を示す図である。
ピリジン環の構造式と分子軌道を示す図である。
ピロール環の構造式と分子軌道を示す図である。
イミダゾール環の構造式と分子軌道を示す図である。
δ−カルボリン環の構造式と分子軌道を示す図である。
本発明の透明電極を用いた有機電界発光素子の第1例を示す断面構成図である。
本発明の透明電極を用いた有機電界発光素子の第2例を示す断面構成図である。
本発明の透明電極を用いた有機電界発光素子の第3例を示す断面構成図である。
本発明の透明電極を用いた有機電界発光素子の第4例を示す断面構成図である。
窒素含有層の有効非共有電子対含有率[n/M]と、窒素含有層に積層された電極層のシート抵抗との関係を示すグラフである。
実施例2で作製したボトムエミッション型の有機電界発光素子を説明する断面構成図である。

0016

以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。
1.透明電極
2.透明電極の用途
3.有機電界発光素子の第1例(トップエミッション型
4.有機電界発光素子の第2例(ボトムエミッション型)
5.有機電界発光素子の第3例(両面発光型
6.有機電界発光素子の第4例(逆積み構成)
7.有機電界発光素子の用途
8.照明装置I
9.照明装置II

0017

≪1.透明電極≫
図1は、本発明の実施形態の透明電極の構成を示す断面模式図である。この図に示すように、透明電極1は、窒素含有層1aと、これに隣接して設けられた電極層1bとを積層した2層構造であり、例えば基材11の上部に、窒素含有層1a、電極層1bの順に設けられている。このうち、透明電極1における電極部分を構成する電極層1bは、銀(Ag)を主成分として構成された層である。また窒素含有層1aは、窒素原子(N)を含有する化合物を用いて構成されており、特に電極層1bを構成する主材料である銀と安定的に結合する窒素原子の非共有電子対を[有効非共有電子対]とし、この[有効非共有電子対]の含有率が所定範囲である化合物を用いていることを特徴としている。さらに、電極層1bは、銀(Ag)を主成分とし、添加元素としてアルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)のうちの少なくとも1種を含有していることを特徴としている。

0018

以下に、このような積層構造の透明電極1が設けられる基材11、透明電極1を構成する窒素含有層1aおよび電極層1bの順に、詳細な構成を説明する。尚、本発明の透明電極1の透明とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。

0019

<基材11>
本発明の透明電極1が形成される基材11は、例えばガラスプラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基材11は透明であっても不透明であってもよい。本発明の透明電極1が、基材11側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基材11は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基材11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基材11は、透明電極1およびこれを用いて構成される有機電界発光素子などの電子デバイスにフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。

0020

ガラスとしては、例えば、シリカガラスソーダ石灰シリカガラス鉛ガラスホウケイ酸塩ガラス無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、窒素含有層1aとの密着性耐久性平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理を施したり、無機物または有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成される。

0022

樹脂フィルムの表面には、無機物または有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜およびハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m2・24時間)以下のバリア性フィルムバリア膜等ともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10-3ml/(m2・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10-5g/(m2・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。

0023

以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素素子劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素二酸化珪素窒化珪素等を用いることができる。さらに当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。

0024

バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法スパッタリング法反応性スパッタリング法分子線エピタキシー法クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法プラズマ重合法大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法レーザーCVD法熱CVD法コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。

0025

一方、基材11が不透明なものである場合、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、不透明樹脂基板セラミック製の基板等を用いることができる。これらの基板は、フレキシブル屈曲するフィルム状であっても良い。

0026

<窒素含有層1a>
窒素含有層1aは、電極層1bに隣接して設けられた層であり、窒素原子(N)を含有する化合物を用いて構成されている。そして特にこの化合物は、当該化合物に含有される窒素原子のうち、特に電極層1bを構成する主材料である銀と安定的に結合する窒素原子の非共有電子対を[有効非共有電子対]とし、この[有効非共有電子対]の含有率が所定範囲であることを特徴としている。

0027

ここで[有効非共有電子対]とは、化合物に含有される窒素原子が有する非共有電子対のうち、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない非共有電子対である。ここでの芳香族性とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ不飽和環状構造を言い、いわゆる「ヒュッケル則」に従う芳香族性であって、環上のπ電子系に含まれる電子の数が「4n+2」(n=0、または自然数)個であることを条件としている。

0028

以上のような[有効非共有電子対]は、その非共有電子対を備えた窒素原子自体が、芳香環を構成するヘテロ原子であるか否かにかかわらず、窒素原子が有する非共有電子対が芳香族性と関与しているか否かによって選択される。例えば、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子であっても、その窒素原子の非共有電子対が、芳香族性に必須要素として直接的に関与しない非共有電子対、すなわち共役不飽和環構造(芳香環)上の非局在化したπ電子系に芳香族性発現のために必須のものとして関与していない非共有電子対であれば、その非共有電子対は[有効非共有電子対]の一つとしてカウントされる。これに対して、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子でない場合であっても、その窒素原子の非共有電子対が芳香族性に関与していれば、その窒素原子の非共有電子対は[有効非共有電子対]としてカウントされることはない。尚、各化合物において、上述した[有効非共有電子対]の数nは、[有効非共有電子対]を有する窒素原子の数と一致する。

0029

次に、上述した[有効非共有電子対]について、具体例を挙げて詳細に説明する。

0030

窒素原子は、第15族元素であり、最外殻に5個の電子を有する。このうち3個の不対電子は他の原子との共有結合に用いられ、残りの2個は一対の非共有電子対となる。このため、通常、窒素原子の結合本数は3本である。

0031

例えば、窒素原子を有する基として、アミノ基(−NR1R2)、アミド基(−C(=O)NR1R2)、ニトロ基(−NO2)、シアノ基(−CN)、ジアゾ基(−N2)、アジド基(−N3)、ウレア結合(−NR1C=ONR2−)、イソチオシアネート基(−N=C=S)、チオアミド基(−C(=S)NR1R2)などが挙げられる。尚、R1,R2は、それぞれ水素原子(H)または置換基である。これらの基を構成する窒素原子の非共有電子対は、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していないため、[有効非共有電子対]に該当する。このうち、ニトロ基(−NO2)の窒素原子が有する非共有電子対は、酸素原子との共鳴構造に利用されているものの、以降の実施例で示すように良好な効果が得られていることから、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]として窒素上に存在すると考えられる。

0032

また、窒素原子は、非共有電子対を利用することで4本目の結合を作り出すこともできる。この場合の一例を図2を用いて説明する。図2は、テトラブチルアンモニウムクロライド(TBAC)の構造式と、トリス(2−フェニルピリジンイリジウム(III)[Ir(ppy)3]の構造式である。

0033

このうち、TBACは、四つのブチル基のうちの1つが窒素原子とイオン結合しており、対イオンとして塩化物イオンを有する第四級アンモニウム塩である。この場合、窒素原子の非共有電子対を構成する電子のうちの1つは、ブチル基とのイオン結合に供与される。このため、TBACの窒素原子は、そもそも非共有電子対が存在していないと同等になる。したがって、TBACを構成する窒素原子の非共有電子対は、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]には該当しない。

0034

また、Ir(ppy)3は、イリジウム原子と窒素原子とが配位結合している中性金属錯体である。このIr(ppy)3を構成する窒素原子の非共有電子対は、イリジウム原子に配位していて、配位結合に利用されている。したがって、Ir(ppy)3を構成する窒素原子の非共有電子対も、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]には該当しない。

0035

また、窒素原子は、芳香環を構成することのできるヘテロ原子として一般的であり、芳香族性の発現に寄与することができる。この「含窒素芳香環」としては、たとえば、ピリジン環、ピラジン環ピリミジン環トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環テトラゾール環等が挙げられる。

0036

図3は、以上に例示した基のうちの一つであるピリジン環の構造式と分子軌道を示す図である。図3に示すとおり、ピリジン環は、6員環状に並んだ共役(共鳴不飽和環構造において、非局在化したπ電子の数が6個であるため、4n+2(n=0または自然数)のヒュッケル則を満たす。6員環内の窒素原子は、−CH=を置換したものであるため、1個の不対電子を6π電子系に動員するのみで、非共有電子対は芳香族性発現のために必須のものとして関与していない。

0037

したがって、ピリジン環を構成する窒素原子の非共有電子対は、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]に該当する。

0038

図4は、ピロール環の構造式と分子軌道を示す図である。図4に示すとおり、ピロール環は、5員環を構成する炭素原子のうちの一つが窒素原子に置換された構造であるが、やはりπ電子の数は6個であり、ヒュッケル則を満たした含窒素芳香環である。ピロール環の窒素原子は、水素原子とも結合しているため、非共有電子対が6π電子系に動員される。

0039

したがって、ピロール環の窒素原子は、非共有電子対を有するものの、この非共有電子対は、芳香族性発現のために必須のものとして利用されているため、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]には該当しない。

0040

図5は、イミダゾール環の構造式と分子軌道を示す図である。図5に示すとおり、イミダゾール環は、二つの窒素原子N1,N2が、5員環内の1、3位に置換した構造を有しており、やはりπ電子数が6個の含窒素芳香環である。このうち一つの窒素原子N1は、1個の不対電子のみを6π電子系に動員し、非共有電子対を芳香族性発現のために利用していないピリジン環型の窒素原子であり、この窒素原子N1の非共有電子対は、[有効非共有電子対]に該当する。これに対して、他方の窒素原子N2は、非共有電子対を6π電子系に動員しているピロール環型の窒素原子であるため、この窒素原子N2の非共有電子対は、[有効非共有電子対]に該当しない。

0041

したがって、イミダゾール環においては、これを構成する二つの窒素原子N1,N2のうちの一つの窒素原子N1の非共有電子対のみが、[有効非共有電子対]に該当する。

0042

以上のような「含窒素芳香環」の窒素原子における非共有電子対の選別は、含窒素芳香環骨格を有する縮環化合物の場合も同様に適用される。

0043

図6は、δ−カルボリン環の構造式と分子軌道を示す図である。図6に示すとおり、δ−カルボリン環は、含窒素芳香環骨格を有する縮環化合物であり、ベンゼン環骨格、ピロール環骨格、およびピリジン環骨格がこの順に縮合したアザカルバゾール化合物である。このうち、ピリジン環の窒素原子N3は1個の不対電子のみをπ電子系に動員し、ピロール環の窒素原子N4は非共有電子対をπ電子系に動員しており、環を形成している炭素原子からの11個のπ電子とともに、全体のπ電子数が14個の芳香環となっている。

0044

したがって、δ-カルボリン環の二つの窒素原子N3,N4のうち、ピリジン環を構成する窒素原子N3の非共有電子対は[有効非共有電子対]に該当するが、ピロール環を構成する窒素原子N4の非共有電子対は、[有効非共有電子対]に該当しない。

0045

このように、縮環化合物を構成する窒素原子の非共有電子対は、縮環化合物を構成するピリジン環やピロール環等の単環中の結合と同様に、縮環化合物中の結合に関与する。

0046

そして以上説明した[有効非共有電子対]は、電極層1bの主成分である銀と強い相互作用を発現するために重要である。そのような[有効非共有電子対]を有する窒素原子は、安定性、耐久性の観点から、含窒素芳香環中の窒素原子であることが好ましい。したがって、窒素含有層1aに含有される化合物は、[有効非共有電子対]を持つ窒素原子をヘテロ原子とした芳香族複素環を有することが好ましい。

0047

特に本実施形態においては、このような化合物の分子量Mに対する[有効非共有電子対]の数nを、例えば有効非共有電子対含有率[n/M]と定義する。そして窒素含有層1aは、この[n/M]が、2.0×10-3≦[n/M]となるように選択された化合物を用いて構成されているところが特徴的である。また窒素含有層1aは、以上のように定義される有効非共有電子対含有率[n/M]が、3.9×10-3≦[n/M]の範囲であれば好ましく、6.5×10-3≦[n/M]の範囲であればさらに好ましい。

0048

また窒素含有層1aは、有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲である化合物を用いて構成されていれば良く、このような化合物のみで構成されていても良く、またこのような化合物と他の化合物とを混合して用いて構成されていても良い。他の化合物は、窒素原子が含有されていてもいなくても良く、さらに有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲でなくても良い。

0049

窒素含有層1aが、複数の化合物を用いて構成されている場合、例えば化合物の混合比に基づき、これらの化合物を混合した混合化合物の分子量Mを求め、この分子量Mに対しての[有効非共有電子対]の合計の数nを、有効非共有電子対含有率[n/M]の平均値として求め、この値が上述した所定範囲であることが好ましい。つまり窒素含有層1a自体の有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であることが好ましい。

0050

尚、窒素含有層1aが、複数の化合物を用いて構成されている場合であって、膜厚方向に化合物の混合比(含有比)が異なる構成であれば、電極層1bと接する側の窒素含有層1aの表面層における有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であれば良い。

0051

[化合物I]
以下に、窒素含有層1aを構成する化合物として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10-3≦[n/M]を満たす化合物の具体例(No.1〜No.48)を示す。各化合物No.1〜No.48には、[有効非共有電子対]を有する窒素原子に対して○を付した。また、下記表1には、これらの化合物No.1〜No.48の分子量M、[有効非共有電子対]の数n、および有効非共有電子対含有率[n/M]を示す。下記化合物33の銅フタロシアニンにおいては、窒素原子が有する非共有電子対のうち銅に配位していない非共有電子対が[有効非共有電子対]としてカウントされる。

0052

0053

0054

0055

0056

0057

0058

0059

尚、上記表1には、これらの例示化合物が、以降に説明する他の化合物IIを表す一般式(1)〜(8a)にも属する場合の該当一般式を示した。

0060

[化合物II]
また窒素含有層1aを構成する化合物としては、以上のような有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲である化合物に加え、他の化合物を用いても良い。窒素含有層1aに用いられる他の化合物は、有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲で有る無しにかかわらず、窒素原子を含有する化合物が好ましく用いられる。中でも[有効非共有電子対]を有する窒素原子を含有する化合物が特に好ましく用いられる。また窒素含有層1aに用いられる他の化合物は、この窒素含有層1aを備えた透明電極1が適用される電子デバイスごとに必要とされる性質を有する化合物が用いられる。例えば、この透明電極1が、有機電界発光素子の電極として用いられる場合、その成膜性や、電子輸送性の観点から、窒素含有層1aを構成する化合物として、以降に説明する一般式(1)〜(8a)で表される構造を有する化合物が好ましく用いられる。

0061

これらの一般式(1)〜(8a)で示される構造を有する化合物の中には、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまる化合物も含まれ、このような化合物であれば単独で窒素含有層1aを構成する化合物として用いることができる(上記表1参照)。一方、下記一般式(1)〜(8a)で示される構造を有する化合物が、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまらない化合物であれば、有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した範囲の化合物と混合することで窒素含有層1aを構成する化合物として用いることができる。

0062

0063

上記一般式(1)中におけるX11は、−N(R11)−または−O−を表す。また一般式(1)中におけるE101〜E108は、各々−C(R12)=または−N=を表す。E101〜E108のうち少なくとも1つは−N=である。上記R11およびR12は、それぞれが水素原子(H)または置換基を表す。

0064

この置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基エチル基プロピル基イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基芳香族炭素環基アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基トリル基キシリル基ナフチル基アントリル基アズレニル基、アセナフテニル基フルオレニル基フェナントリル基インデニル基ピレニル基ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基チエニル基ピリジル基ピリダジニル基ピリミジニル基ピラジニル基、トリアジニル基イミダゾリル基ピラゾリル基チアゾリル基キナゾリニル基、カルバゾリル基カルボニル基ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基エトキシ基プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基プロピルチオ基、ペンチチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子塩素原子臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基メルカプト基シリル基(例えば、トリメチルシリル基トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。

0065

これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。これらの置換基は、化合物と銀(Ag)との相互作用を阻害することのないものが好ましく用いられ、さらには上述した有効非共有電子対を有する窒素を有するものが特に好ましく適用される。尚、以上の置換基に関する記述は、以降に説明する一般式(2)〜(8a)の説明において示される置換基に対して同様に適用される。

0066

以上のような一般式(1)で表される構造を有する化合物は、化合物中の窒素と、電極層1bを構成する銀との間で強力な相互作用を発現できるため、好ましい。

0067

0068

上記一般式(1a)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(1)で示される構造を有する化合物の一形態であり、一般式(1)におけるX11を−N(R11)−とした化合物である。このような化合物であれば、上記相互作用をより強力に発現できるため、好ましい。

0069

0070

上記一般式(1a−1)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(1a)で示される構造を有する化合物の一形態であり、一般式(1a)におけるE104を−N=とした化合物である。このような化合物であれば、より効果的に上記相互作用を発現できるため、好ましい。

0071

0072

上記一般式(1a−2)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(1a)で示される構造を有する化合物の他の一形態であり、一般式(1a)におけるE103およびE106を−N=とした化合物である。このような化合物は、窒素原子の数が多いことから、より強力に上記相互作用を発現できるため、好ましい。

0073

0074

上記一般式(1b)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(1)で示される構造を有する化合物の他の一形態であり、一般式(1)におけるX11を−O−とし、E104を−N=とした化合物である。このような化合物であれば、より効果的に上記相互作用を発現できるため、好ましい。

0075

さらに、以下の一般式(2)〜(8a)で表される構造を有する化合物であれば、より効果的に上記相互作用を発現できるため、好ましい。

0076

0077

上記一般式(2)は、一般式(1)の一形態でもある。上記一般式(2)の式中、Y21は、アリーレン基ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E201〜E216、E221〜E238は、各々−C(R21)=または−N=を表す。R21は水素原子(H)または置換基を表す。ただし、E221〜E229の少なくとも1つ、およびE230〜E238の少なくとも1つは−N=を表す。k21およびk22は0〜4の整数を表すが、k21+k22は2以上の整数である。

0078

一般式(2)において、Y21で表されるアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基アントラセンジイル基ナフタセンジイル基ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が例示される。

0079

また一般式(2)において、Y21で表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環オキサジアゾール環ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等が例示される。

0080

Y21で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましく、また、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基またはジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。

0081

一般式(2)において、E201〜E208のうちの6つ以上、およびE209〜E216のうちの6つ以上が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。

0082

一般式(2)において、E225〜E229の少なくとも1つ、およびE234〜E238の少なくとも1つが−N=を表すことが好ましい。

0083

さらには、一般式(2)において、E225〜E229のいずれか1つ、およびE234〜E238のいずれか1つが−N=を表すことが好ましい。

0084

また、一般式(2)において、E221〜E224およびE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい態様として挙げられる。

0085

さらに、一般式(2)で表される化合物において、E203が−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましく、さらに、E211も同時に−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましい。

0086

さらに、E225及びE234が−N=で表されることが好ましく、E221〜E224およびE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。

0087

0088

上記一般式(3)は、一般式(1a−2)の一形態でもある。上記一般式(3)の式中、E301〜E312は、各々−C(R31)=を表し、R31は水素原子(H)または置換基を表す。また、Y31は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。

0089

また一般式(3)において、Y31で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、一般式(2)のY21と同様のものが挙げられる。

0090

0091

上記一般式(4)は、一般式(1a−1)の一形態でもある。上記一般式(4)の式中、E401〜E414は、各々−C(R41)=を表し、R41は水素原子(H)または置換基を表す。またAr41は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。さらにk41は3以上の整数を表す。

0092

また一般式(4)において、Ar41が芳香族炭化水素環を表す場合、この芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環アズレン環アントラセン環フェナントレン環、ピレン環クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は、さらに一般式(1)のR11,R12として例示した置換基を有しても良い。

0093

また一般式(4)において、Ar41が芳香族複素環を表す場合、この芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環等が挙げられる。尚、アザカルバゾール環とは、カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。これらの環は、さらに一般式(1)において、R11,R12として例示した置換基を有しても良い。

0094

0095

上記一般式(5)の式中、R51は置換基を表す。E501,E502、E511〜E515、E521〜E525は、各々−C(R52)=または−N=を表す。E503〜E505は、各々−C(R52)=を表す。R52は、水素原子(H)または置換基を表す。E501およびE502のうちの少なくとも1つは−N=であり、E511〜E515のうちの少なくとも1つは−N=であり、E521〜E525のうちの少なくとも1つは−N=である。

0096

0097

上記一般式(6)の式中、E601〜E612は、各々−C(R61)=または−N=を表し、R61は水素原子(H)または置換基を表す。またAr61は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。

0098

また一般式(6)において、Ar61が表す、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環は、一般式(4)のAr41と同様のものが挙げられる。

0099

0100

上記一般式(7)の式中、R71〜R73は、各々水素原子(H)または置換基を表し、Ar71は、芳香族炭化水素環基あるいは芳香族複素環基を表す。

0101

また一般式(7)において、Ar71が表す芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環は、一般式(4)のAr41と同様のものが挙げられる。

0102

0103

上記一般式(8)は、一般式(7)の一形態でもある。上記一般式(8)の式中、R81〜R86は、各々水素原子(H)または置換基を表す。E801〜E803は、各々−C(R87)=または−N=を表し、R87は水素原子(H)または置換基を表す。Ar81は、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。

0104

また一般式(8)において、Ar81が表す、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環は、一般式(4)のAr41と同様のものが挙げられる。

0105

0106

上記一般式(8a)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(8)で示される構造を有する化合物の一形態であり、一般式(8)におけるAr81がカルバゾール誘導体である。上記一般式(8a)の式中、E804〜E811は、各々−C(R88)=または−N=を表し、R88は水素原子(H)または置換基を表す。E808〜E811のうち少なくとも一つは−N=であり、E804〜E807、E808〜E811は、各々互いに結合して新たな環を形成してもよい。

0107

[化合物III]
また窒素含有層1aを構成するさらに他の化合物として、以上のような一般式(1)〜(8a)で表される化合物の他、下記に具体例を示す化合物1〜166が例示される。これらの化合物は、電極層1bを構成する銀と相互作用する窒素原子を含有する化合物である。また、これらの化合物は、電子輸送性または電子注入性を備えた材料である。したがって、これらの化合物を用いて窒素含有層1aを構成した透明電極1は、有機電界発光素子における透明電極として好適であり、有機電界発光素子における電子輸送層または電子注入層として窒素含有層1aを用いることができるのである。尚、これらの化合物1〜166の中には、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまる化合物も含まれ、このような化合物であれば単独で窒素含有層1aを構成する化合物として用いることができる。さらに、これらの化合物1〜166の中には、上述した一般式(1)〜(8a)に当てはまる化合物もある。

0108

0109

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0140

0141

0142

0143

[化合物の合成例]
以下に代表的な化合物の合成例として、化合物5の具体的な合成例を示すが、これに限定されない。

0144

0145

工程1:(中間体1の合成)
窒素雰囲気下、2,8−ジブロモジベンゾフラン(1.0モル)、カルバゾール(2.0モル)、銅粉末(3.0モル)、炭酸カリウム(1.5モル)を、DMAc(ジメチルアセトアミド)300ml中で混合し、130℃で24時間撹拌した。これによって得た反応液を室温まで冷却後、トルエン1Lを加え、蒸留水で3回洗浄し、減圧雰囲気下において洗浄物から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘプタン:トルエン=4:1〜3:1)にて精製し、中間体1を収率85%で得た。

0146

工程2:(中間体2の合成)
室温、大気下で中間体1(0.5モル)をDMFジメチルホルムアミド)100mlに溶解し、NBS(N−ブロモコハク酸イミド)(2.0モル)を加え、一晩室温で撹拌した。得られた沈殿濾過し、メタノールで洗浄し、中間体2を収率92%で得た。

0147

工程3:(化合物5の合成)
窒素雰囲気下、中間体2(0.25モル)、2−フェニルピリジン(1.0モル)、ルテニウム錯体[(η6−C6H6)RuCl2]2(0.05モル)、トリフェニルホスフィン(0.2モル)、炭酸カリウム(12モル)を、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)3L中で混合し、140℃で一晩撹拌した。

0148

反応液を室温まで冷却後、ジクロロメタン5Lを加え、反応液を濾過した。次いで減圧雰囲気下(800Pa、80℃)において濾液から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:Et3N=20:1〜10:1)にて精製した。

0149

減圧雰囲気下において、精製物から溶媒を留去した後、その残渣をジクロロメタンに再び溶解し、水で3回洗浄した。洗浄によって得られた物質無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧雰囲気下において乾燥後の物質から溶媒を留去することにより、化合物5を収率68%で得た。

0150

[窒素含有層1aの成膜方法
以上のような窒素含有層1aが基材11上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、塗布法インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。

0151

特に、複数の化合物を用いて窒素含有層1aを成膜する場合であれば、複数の蒸着源から複数の化合物を同時に供給する共蒸着が適用される。また化合物として高分子材料を用いる場合であれば、塗布法が好ましく適用される。この場合、化合物を溶媒に溶解させた塗布液を用いる。化合物を溶解させる溶媒が限定されることはない。さらに、複数の化合物を用いて窒素含有層1aを成膜する場合であれば、複数の化合物を溶解させることが可能な溶媒を用いて塗布液を作製すれば良い。

0152

<電極層1b>
電極層1bは、銀を主成分とし添加元素を含有した層であって、窒素含有層1aに隣接して成膜された層である。電極層1bを構成する添加元素は、銀(Ag)と均一に溶け合って固溶体を構成する元素のうち、特に金属元素が用いられる。このような添加元素は、アルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)である。電極層1bは、このうちの少なくとも1種を含有していることとする。

0153

また電極層1bにおける、上述した添加元素の濃度は、0.01〜10.0原子%の範囲であることとする。

0154

以上のような電極層1bは、銀を主成分として添加元素を含有する合金層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。また1層の電極層1bまたは複数層からなる電極層1bの各層に、複数種類の添加元素が添加されていても良い。

0155

さらにこの電極層1bは、膜厚が4〜12nmの範囲にあることが好ましい。膜厚が12nm以下であることにより、層の吸収成分または反射成分が低く抑えられ、電極層1bの光透過率が維持されるため好ましい。また、膜厚が4nm以上であることにより、層の導電性も確保される。

0156

以上のような電極層1bの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。

0157

例えば、スパッタ法を適用した電極層1bの成膜であれば、主材料である銀(Ag)に対して添加元素の濃度があらかじめ調整されたスパッタターゲット用意し、このスパッタゲートを用いたスパッタ成膜を行う。

0158

また特に、添加元素としてアルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)を用いる場合であれば、蒸着法を適用した電極層1bの成膜が行われる。この場合、これらの添加元素と銀(Ag)とを共蒸着する。この際、添加元素の蒸着速度と銀(Ag)の蒸着速度とをそれぞれ調整することにより、主材料である銀(Ag)に対する添加元素の添加濃度を調整した蒸着成膜を行う。

0159

また電極層1bは、窒素含有層1a上に成膜されることにより、成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。

0160

尚、以上のような、窒素含有層1aとこれに隣接して設けられた電極層1bとからなる積層構造の透明電極1は、電極層1bの上部が保護膜で覆われていたり、別の導電性層が積層されていても良い。この場合、透明電極1の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び導電性層が光透過性を有することが好ましい。また、窒素含有層1aの下部、すなわち、窒素含有層1aと基材11との間にも、必要に応じた層を設けた構成としても良い。

0161

<透明電極1の効果>
以上のように構成された透明電極1は、窒素原子を含有する化合物を用いて構成された窒素含有層1aに隣接させて、銀を主成分とした電極層1bを設けた構成である。これにより、窒素含有層1aに隣接させて電極層1bを成膜する際には、電極層1bを構成する銀原子が窒素含有層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物と相互作用し、銀原子の窒素含有層1a表面においての拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。このため、一般的には核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立し易い銀薄膜が、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の電極層1bが得られるようになる。

0162

そして特に、窒素含有層1aに対する電極層1bを構成する銀の結合安定性の指標として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]を適用し、この値が2.0×10-3≦[n/M]となる化合物を用いて窒素含有層1aを構成するようにした。これにより、上述したような「銀の凝集を抑える」効果が確実に得られる窒素含有層1aを設けることが可能になる。これは、後の実施例で詳細に説明するように、このような窒素含有層1a上には、6nmと言った極薄膜でありながらもシート抵抗の測定が可能な電極層1bが形成されることからも確認された。

0163

そして特に、銀(Ag)を主成分とする電極層1bには、銀(Ag)に対する固溶元素であるアルミニウム(Al)、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)のうちの少なくとも1種を含有させている。これにより、電極層1bは、銀(Ag)とこれらの添加元素とが均一に溶け合った固溶体で構成されたものとなり、電極層1b内においての銀(Ag)のマイグレーションが抑制される。このため、電極層1bにおいての銀(Ag)のマイグレーションによる膜質の劣化が防止される。またこの他にも、銀(Ag)にこれらの固溶元素を添加して電極層1bとすることにより、電極層1bの酸化硫化が防止される。

0164

したがって、この透明電極1においては、薄い膜厚であることで光透過性を確保しつつも、均一な膜厚であることで導電性が確保された電極層1bを確実に得ることができ、かつマイグレーションの発生が抑えられたことにより、このような光透過性および導電性を維持することができる。これにより、銀を用いた透明電極1における導電性の向上と光透過性の向上との両立と共に、信頼性の向上を図ることが可能になる。

0165

またこのような透明電極1は、レアメタルであるインジウム(In)を用いていないため低コストであり、またZnOのような化学的に不安定な材料を用いていないことからも長期信頼性に優れたものとなる。

0166

≪2.透明電極の用途≫
上述した構成の透明電極1は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、有機電界発光素子、LED(light Emitting Diode)、液晶素子太陽電池タッチパネル等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて光透過性を必要とされる電極部材として、上述の透明電極1を用いることができる。

0167

以下では、用途の一例として、透明電極を陽極および陰極として用いた有機電界発光素子の実施の形態を説明する。

0168

≪3.有機電界発光素子の第1例(トップエミッション型)≫
<有機電界発光素子EL-1の構成>
図7は、本発明の透明電極1を用いた有機電界発光素子の第1例を示す断面構成図である。以下にこの図に基づいて有機電界発光素子の構成を説明する。

0169

図7に示す有機電界発光素子EL-1は、基板13上に設けられており、基板13側から順に、対向電極5-1、有機材料等を用いて構成された発光機能層3、および透明電極1をこの順に積層して構成されている。この有機電界発光素子EL-1においては、透明電極1として、先に説明した本発明の透明電極1を用いているところが特徴的である。このため有機電界発光素子EL-1は、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも基板13と逆側から取り出すトップエミッション型として構成されている。

0170

また有機電界発光素子EL-1の全体的な層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であって良い。ここでは、透明電極1が陰極側に配置され、主に電極層1bが陰極として機能する一方、対向電極5-1が陽極として機能する。

0171

有機電界発光素子EL-1における代表的な素子構成としては、以下の構成を上げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の中で(7)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。

0172

本例においては、陽極である対向電極5-1側から順に[正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3e]を積層した構成が例示されるが、このうち少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが必須である。

0173

本発明に係る発光層は、単層または複数層で構成されており、発光層が複数の場合は各発光層の間に非発光性の中間層を設けてもよい。

0174

必要に応じて、発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう)や電子注入層(陰極バッファー層ともいう)を設けてもよく、また、発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう)や正孔注入層(陽極バッファー層ともいう)を設けてもよい。

0175

本発明に係る電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。

0176

本発明に係る正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。

0177

上記の代表的な素子構成において、陽極と陰極を除いた発光機能層3を「有機層」ともいう。尚、発光機能層3のうち、例えば電子注入層は無機材料で構成されている場合もある。

0178

またさらに、陰極として設けられた透明電極1のうち、窒素含有層1aは、電子注入層を兼ねていても良く、電子輸送層および電子注入層を兼ねていても良い。

0179

タンデム構造
また、本発明に係る有機電界発光素子は、少なくとも1層の発光層を含む発光機能層を1つの発光ユニットとし、陽極と陰極との間にこの発光ユニット(発光機能層)を複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。

0180

タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば以下の構成を挙げることができる。
[陽極/第1発光ユニット/中間層/第2発光ユニット/中間層/第3発光ユニット/陰極]

0181

ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット、および第3発光ユニットは、全て同じであっても、異なっていてもよい。また2つの発光ユニットが同じであり、残る1つが異なっていてもよい。

0182

複数の発光ユニットは直接積層されていても、中間層を介して積層されていてもよく、中間層は、一般的に中間電極中間導電層電荷発生層電子引抜層、接続層中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。

0183

中間層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO2、TiN、ZrN、HfN、TiOx、VOx、CuI、InN、GaN、CuAlO2、CuGaO2、SrCu2O2、LaB6、RuO2、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi2O3等の2層膜や、SnO2/Ag/SnO2、ZnO/Ag/ZnO、Bi2O3/Au/Bi2O3、TiO2/TiN/TiO2、TiO2/ZrN/TiO2等の多層膜、またC60等のフラーレン類オリゴチオフェン等の導電性有機物金属フタロシアニン類無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0184

発光ユニット(発光機能層)内の好ましい構成としては、例えば上記の代表的な素子構成で挙げた(1)〜(7)の構成から、陽極と陰極を除いたもの等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。そして、最も陰極側の発光ユニット(発光機能層)が電子注入層または電子輸送層を有する場合、窒素含有層1aがこれらの層を兼ねてもよい。

0185

タンデム型の有機電界発光素子の具体例としては、例えば、米国特許第6,337,492号、米国特許第7,420,203号、米国特許第7,473,923号、米国特許第6,872,472号、米国特許第6,107,734号、米国特許第6,337,492号、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号、特開2006−24791号、特開2006−49393号、特開2006−49394号、特開2006−49396号、特開2011−96679号、特開2005−340187号、特許第4711424号、特許第3496681号、特許第3884564号、特許第4213169号、特開2010−192719号、特開2009−076929号、特開2008−078414号、特開2007−059848号、特開2003−272860号、特開2003−045676号、国際公開第2005/094130号
等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0186

以下、上述した有機電界発光素子EL-1を構成するための主要各層の詳細を、基板13、透明電極1、対向電極5-1、発光機能層3を構成する各層、発光機能層3の形成方法、補助電極15、および透明封止材17の順に説明する。その後、有機電界発光素子EL-1の作製方法を説明する。

0187

[基板13]
基板13は、先に説明した本発明の透明電極1が設けられる基材と同様のものが用いられる。ただしこの有機電界発光素子EL-1が、対向電極5-1側からも発光光hを取り出す両面発光型である場合、例示した基材のうちから光透過性を有する透明なものが選択して用いられる。

0188

[透明電極1(陰極側)]
透明電極1は、先に説明した本発明の透明電極1であり、発光機能層3側から順に、窒素含有層1aおよび電極層1bを順に成膜した構成である。ここでは特に、透明電極1を構成する電極層1bが実質的な陰極となる。また有機電界発光素子EL-1においては、発光機能層3と、実質的な陰極として用いられる電極層1bとの間に、有機材料からなる窒素含有層1aが配置された構成となる。このため本第1例における透明電極1の窒素含有層1aは、発光機能層3の一部を構成する層であるともみなされる。

0189

このような窒素含有層1aは、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲の化合物のなかから、さらに電子輸送性または電子注入性を有する化合物を用いて構成される。または、このような窒素含有層1aは、窒素含有層1a自体が上述した有効非共有電子対含有率[n/M]となるように、電子輸送性または電子注入性を有する化合物と、ある程度の大きさの有効非共有電子対含有率[n/M]を有する化合物とを混合して用いて構成されていても良い。また図面においては、窒素含有層1aが発光機能層3上のみに設けられた構成を図示したが、発光機能に影響を及ぼさない場合であれば、窒素含有層1aは電極層1bに隣接する全面に設けても良く、これにより電極層1b全体の導電性を得ることができる。また窒素含有層1aは、積層構造であっても良い。この場合、窒素含有層1aにおける電極層1b側の膜厚5nm程度の界面層が、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]となるように構成されていることが好ましい。一方、これよりも発光機能層3側の層は、窒素含有化合物を用いた電子輸送層または電子注入層として構成されていていることが好ましい。

0190

[対向電極5-1(陽極)]
対向電極5-1は、発光機能層3に正孔を供給するための陽極として機能する電極膜である。陽極として適する材料としては、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.5eV以上)金属、合金電気伝導性化合物及びこれらの混合物電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。

0191

陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。

0192

あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式コーティング方式湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。

0193

陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。

0194

尚、この有機電界発光素子EL-1が、対向電極5-1側からも発光光hを取り出す、両面発光型であれば、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料を選択して対向電極5-1を構成すれば良い。

0195

[発光層3c]
本発明に用いられる発光層3cは、電極または隣接層から注入されてくる電子及び正孔が再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても、発光層と隣接層との界面であってもよい。本発明に係る発光層は、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成に特に制限はない。

0196

発光層の膜厚の総和は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧印加するのを防止し、且つ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、より好ましくは2nm〜500nmの範囲に調整され、更に好ましくは5nm〜200nmの範囲に調整される。

0197

また、発光層の膜厚としては、2nm〜1μmの範囲に調整することが好ましく、より好ましくは2nm〜200nmnmの範囲に調整され、更に好ましくは3nm〜150nmの範囲に調整される。

0198

発光層には、発光ドーパント発光性ドーパント化合物、ドーパント化合物、単にドーパントともいう)と、ホスト化合物マトリックス材料発光ホスト化合物、単にホストともいう)とを含有することが好ましい。

0199

(1)発光ドーパント
本発明に係る発光ドーパントについて説明する。
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント蛍光ドーパント蛍光性化合物ともいう)と、リン光発光性ドーパントリン光ドーパントリン光性化合物ともいう)が好ましく用いられる。本発明においては、少なくとも1層の発光層がリン光発光ドーパントを含有することが好ましい。

0200

発光層中の発光ドーパントの濃度については、使用される特定のドーパントおよびデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができ、発光層の膜厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。

0201

また、本発明に係る発光ドーパントは、複数種を併用して用いてもよく、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。

0202

本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルセンシング(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。

0203

本発明においては、1層または複数層の発光層が、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、白色発光を示すことも好ましい。

0204

白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に限定はないが、例えば青と橙や、青と緑と赤の組み合わせ等が挙げられる。

0205

本発明の有機EL素子における白色とは、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。

0206

(1.1)リン光発光性ドーパント
本発明に係るリン光発光性ドーパント(以下、「リン光ドーパント」ともいう)について説明する。

0207

本発明に係るリン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。

0208

上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。

0209

リン光ドーパントの発光は原理としては二種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こりリン光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。

0210

(さらに本発明においては併用する)リン光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。

0211

本発明に使用できる公知のリン光ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。

0212

赤色のリン光ドーパントが記載されている文献:Nature 395,151 (1998)、Appl. Phys. Lett. 78, 1622 (2001)、Adv. Mater. 19, 739 (2007)、Chern. Mater. 17, 3532 (2005)、Adv. Mater. 17, 1059 (2005)、国際公開第2009100991号、国際公開第2008101842号、国際公開第2003040257号、米国特許公開第2006835469号、米国特許公開第20060202194号、米国特許公開第20070087321号、米国特許公開第20050244673号等である。

0213

緑色のリン光ドーパントが記載されている文献:Inorg. Chern. 40, 1704 (2001)、Chern. Mater. 16, 2480 (2004)、Adv. Mater. 16, 2003 (2004)、Angew. Chern. lnt. Ed. 2006, 45, 7800、Appl. Phys. Lett. 86, 153505 (2005)、Chern. Lett. 34, 592 (2005)、Chern. Commun. 2906 (2005)、Inorg. Chern. 42, 1248 (2003)、国際公開第2009050290号、国際公開第2002015645号、国際公開第2009000673号、米国特許公開第20020034656号、米国特許第7332232号、米国特許公開第20090108737号、米国特許公開第20090039776号、米国特許第6921915号、米国特許第6687266号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20060008670号、米国特許公開第20090165846号、米国特許公開第20080015355号、米国特許第7250226号、米国特許第7396598号、米国特許公開第20060263635号、米国特許公開第20030138657号、米国特許公開第20030152802号、米国特許第7090928号等である。

0214

青色のリン光ドーパントが記載されている文献:Angew. Chern. lnt. Ed. 47, 1 (2008)、Chern. Mater. 18, 5119 (2006)、Inorg. Chern. 46, 4308 (2007)、Organometallics 23, 3745 (2004)、Appl. Phys. Lett. 74, 1361 (1999)、国際公開第2002002714号、国際公開第2006009024号、国際公開第2006056418号、国際公開第2005019373号、国際公開第2005123873号、国際公開第2007004380号、国際公開第2006082742号、米国特許公開第20060251923号、米国特許公開第20050260441号、米国特許第7393599号、米国特許第7534505号、米国特許第7445855号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20080297033号、米国特許第7338722号、米国特許公開第20020134984号、米国特許第7279704号、米国特許公開第2006098120号、米国特許公開第2006103874号等である。

0215

青色を中心に各色のリン光ドーパントが記載されている文献:国際公開第2005076380号、国際公開第2010032663号、国際公開第第2008140115号、国際公開第2007052431号、国際公開第2011134013号、国際公開第2011157339号、国際公開第2010086089号、国際公開第2009113646号、国際公開第2012020327号、国際公開第2011051404号、国際公開第2011004639号、国際公開第2011073149号、米国特許公開第2012228583号、米国特許公開第2012212126号、特開2012−069737号、特開2012−195554、特開2009−114086号、特開2003−81988号、特開2002−302671号、特開2002−363552号等である。

0216

中でも、好ましいリン光ドーパントとしてはIrを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも1つの配位様式を含む錯体が好ましい。

0217

ここで、本発明に使用できる公知のリン光ドーパントの具体例(D1〜D81)を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。

0218

0219

0220

0221

0222

0223

(1.2)蛍光発光性ドーパント
本発明に係る蛍光発光性ドーパント(以下、「蛍光ドーパント」ともいう)について説明する。

0224

本発明に係る蛍光ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。

0226

また、近年では遅延蛍光を利用した発光ドーパントも開発されており、これらを用いてもよい。

0227

遅延蛍光を利用した発光ドーパントの具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011−213643号、特開2010−93181号等に記載の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0228

(2)ホスト化合物
本発明に係るホスト化合物は、発光層において主に電荷の注入および輸送を担う化合物であり、有機EL素子においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。

0229

好ましくは室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であり、さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。

0230

また、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有される発光ドーパントの励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。

0231

ホスト化合物は、単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。

0232

本発明で用いることができるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。低分子化合物でも繰り返し単位を有する高分子化合物でもよく、また、ビニル基やエポキシ基のような反応性基を有する化合物でもよい。

0233

公知のホスト化合物としては、正孔輸送能または電子輸送能を有しつつ、且つ、発光の長波長化を防ぎ、さらに、有機EL素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好まし。好ましくはTgが90℃以上であり、より好ましくは120℃以上である。

0234

ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。

0235

本発明の有機EL素子に用いられる、公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0236

特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報、米国特許公開第20030175553号、米国特許公開第20060280965号、米国特許公開第20050112407号、米国特許公開第20090017330号、米国特許公開第20090030202号、米国特許公開第20050238919号、国際公開第2001039234号、国際公開第2009021126号、国際公開第2008056746号、国際公開第2004093207号、国際公開第2005089025号、国際公開第2007063796号、国際公開第2007063754号、国際公開第2004107822号、国際公開第2005030900号、国際公開第2006114966号、国際公開第2009086028号、国際公開第2009003898号、国際公開第2012023947号、特開2008−074939号、特開2007−254297号、EP2034538等である。

0237

[電子輸送層]
本発明において電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。

0238

本発明の電子輸送層の総膜厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

0239

また、有機EL素子においては発光層で生じた光を電極から取り出す際、発光層から直接取り出される光と、光を取り出す電極と対極に位置する電極によって反射されてから取り出される光とが干渉を起こすことが知られている。光が陰極で反射される場合は、電子輸送層の総膜厚を数nm〜数μmの間で適宜調整することにより、この干渉効果を効率的に利用することが可能である。

0240

一方で、電子輸送層の膜厚を厚くすると電圧が上昇しやすくなるため、特に膜厚が厚い場合においては、電子輸送層の電子移動度は10−5cm2/Vs以上であることが好ましい。

0241

電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性または輸送性、正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。

0242

例えば、含窒素芳香族複素環誘導体(カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換されたもの)、ピリジン誘導体ピリミジン誘導体ピラジン誘導体ピリダジン誘導体トリアジン誘導体キノリン誘導体キノキサリン誘導体フェナントロリン誘導体アザトリフェニレン誘導体オキサゾール誘導体チアゾール誘導体オキサジアゾール誘導体チアジアゾール誘導体トリアゾール誘導体ベンズイミダゾール誘導体ベンズオキサゾール誘導体ベンズチアゾール誘導体等)、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体シロール誘導体、芳香族炭化水素環誘導体(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン等)等が挙げられる。

0243

また、配位子キノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。

0244

その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型Si、n型SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。

0245

本発明に係る電子輸送層においては、電子輸送層にドープ材ゲスト材料としてドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層の具体例としては、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。

0246

本発明の有機EL素子に用いられる、公知の好ましい電子輸送材料の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0247

米国特許第6528187号、米国特許第7230107号、米国特許公開第20050025993号、米国特許公開第20040036077号、米国特許公開第20090115316号、米国特許公開第20090101870号、米国特許公開第20090179554号、国際公開第2003060956号、国際公開第2008132085号、Appl. Phys. Lett. 75, 4 (1999)、Appl. Phys. Lett. 79, 449 (2001)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 79, 156 (2001)、米国特許第7964293号、米国特許公開第2009030202号、国際公開第2004080975号、国際公開第2004063159号、国際公開第2005085387号、国際公開第2006067931号、国際公開第2007086552号、国際公開第2008114690号、国際公開第2009069442号、国際公開第2009066779号、国際公開第2009054253号、国際公開第2011086935号、国際公開第2010150593号、国際公開第2010047707号、EP2311826号、特開2010−251675号、特開2009−209133号、特開2009−124114号、特開2008−277810号、特開2006−156445号、特開2005−340122号、特開2003−45662号、特開2003−31367号、特開2003−282270号、国際公開第2012115034号等である。

0248

本発明におけるよりより好ましい電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体が挙げられる。

0249

電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。

0250

[正孔阻止層]
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する層であり、好ましくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。

0251

また、前述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。

0252

本発明の有機EL素子に設ける正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。

0253

本発明に係る正孔阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。

0254

正孔阻止層に用いられる材料としては、前述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト化合物として用いられる材料も正孔阻止層に好ましく用いられる。

0255

[電子注入層]
本発明に係る電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう)とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティーエス発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。

0256

本発明において電子注入層は必要に応じて設け、上記の如く陰極と発光層との間、または陰極と電子輸送層との間に存在させてもよい。

0257

電子注入層はごく薄い膜であることが好ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5nmの範囲が好ましい。また構成材料が断続的に存在する不均一な膜であってもよい。

0258

電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウムフッ化ナトリウムフッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウムフッ化カルシウム等に代表されるアルカリ土類金属化合物酸化アルミニウムに代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、前述の電子輸送材料を用いることも可能である。
また、上記の電子注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。

0259

[正孔輸送層]
本発明において正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有していればよい。

0260

本発明の正孔輸送層の総膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

0261

正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という)としては、正孔の注入性または輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。

0262

例えば、ポルフィリン誘導体フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体ピラゾリン誘導体ピラゾロン誘導体フェニレンジアミン誘導体ヒドラゾン誘導体スチルベン誘導体ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体アントラセンナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、、及びポリビニルカルバゾール芳香族アミンを主鎖または側鎖に導入した高分子材料またはオリゴマーポリシラン導電性ポリマーまたはオリゴマー(例えばPEDOT:PSSアニリン系共重合体ポリアニリンポリチオフェン等)等が挙げられる。

0263

トリアリールアミン誘導体としては、αNPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。

0264

また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。

0265

さらに不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。

0266

また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料やp型Si、p型SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらにIr(ppy)3に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。

0267

正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖または側鎖に導入した高分子材料またはオリゴマー等が好ましく用いられる。

0268

本発明の有機EL素子に用いられる、公知の好ましい正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0269

例えば、Appl. Phys. Lett. 69, 2160 (1996)、J. Lumin. 72-74, 985 (1997)、Appl. Phys. Lett. 78, 673 (2001)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 51, 913 (1987)、Synth. Met. 87, 171 (1997)、Synth. Met. 91, 209 (1997)、Synth. Met. 111,421 (2000)、SID Symposium Digest, 37, 923 (2006)、J. Mater. Chern. 3, 319 (1993)、Adv. Mater. 6, 677 (1994)、Chern. Mater. 15,3148 (2003)、米国特許公開第20030162053号、米国特許公開第20020158242号、米国特許公開第20060240279号、米国特許公開第20080220265号、米国特許第5061569号、国際公開第2007002683号、国際公開第2009018009号、EP650955、米国特許公開第20080124572号、米国特許公開第20070278938号、米国特許公開第20080106190号、米国特許公開第20080018221号、国際公開第2012115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号、米国特許出願番号13/585981号等である。

0270

正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。

0271

[電子阻止層]
電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有する層であり、好ましくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。

0272

また、前述する正孔輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る電子阻止層として用いることができる。

0273

本発明の有機EL素子に設ける電子阻止層は、発光層の陽極側に隣接して設けられることが好ましい。

0274

本発明に係る電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。

0275

電子阻止層に用いられる材料としては、前述の正孔輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト化合物として用いられる材料も電子阻止層に好ましく用いられる。
[正孔注入層]
本発明に係る正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。

0276

本発明において正孔注入層は必要に応じて設け、上記の如く陽極と発光層又は陽極と正孔輸送層との間に存在させてもよい。

0277

正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に用いられる材料としては、例えば前述の正孔輸送層に用いられる材料等が挙げられる。

0278

中でも銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003−519432や特開2006−135145等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。

0279

前述の正孔注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。

0280

含有物
前述した発光機能層を構成する各層は、さらに他の含有物が含まれていてもよい。
含有物としては、例えば臭素ヨウ素及び塩素等のハロゲン元素ハロゲン化化合物、Pd、Ca、Na等のアルカリ金属アルカリ土類金属遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。

0281

含有物の含有量は、任意に決定することができるが、含有される層の全質量%に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。

0282

ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。

0283

[発光機能層の形成方法]
発光機能層を構成する各層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)の形成方法について説明する。

0284

発光機能層を構成する各層の形成方法は、特に制限はなく、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう)等による形成方法を用いることができる。

0285

湿式法としては、スピンコート法キャスト法、インクジェット法、印刷法ダイコート法ブレードコート法ロールコート法、スプレーコート法カーテンコート法、LB法(ラングミュアブロジェット法)等があるが、均質な薄膜が得られやすく、且つ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。

0287

また、分散方法としては、超音波高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。

0288

更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。

0289

本発明の有機層の形成は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際は作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。

0290

[補助電極15]
補助電極15は、透明電極1の抵抗を下げる目的で設けるものであって、透明電極1の電極層1bに接して設けられる。補助電極15を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面17aからの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。このような補助電極15の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法などが挙げられる。補助電極15の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極15の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。

0291

[透明封止材17]
透明封止材17は、有機電界発光素子EL-1を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材であって接着剤19によって基板13側に固定されるものであっても良く、封止膜であっても良い。この透明封止材17の表面は、有機電界発光素子EL-1の発光光hを取り出す光取り出し面17aとなっている。このような透明封止材17は、有機電界発光素子EL-1における透明電極1および対向電極5-1の端子部分を露出させる状態で、少なくとも発光機能層3を覆う状態で設けられている。また透明封止材17に電極を設け、有機電界発光素子EL-1の透明電極1および対向電極5-1の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていても良い。

0292

板状(フィルム状)の透明封止材17としては、具体的には、ガラス基板ポリマー基板が挙げられ、これらの基板材料をさらに薄型のフィルム状にして用いても良い。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラスバリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラスホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイドポリサルフォン等を挙げることができる。

0293

なかでも、素子を薄膜化できるということから、透明封止材17としてポリマー基板を薄型のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。

0294

さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10-3ml/(m2・24時間・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が、1×10-3g/(m2・24時間)以下のものであることが好ましい。

0295

また以上のような基板材料は、凹板状に加工して透明封止材17として用いても良い。この場合、上述した基板部材に対してサンドブラスト加工化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。

0296

またこのような板状の透明封止材17を基板13側に固定するための接着剤19は、透明封止材17と基板13との間に挟持された有機電界発光素子EL-1を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。

0297

またこのような接着剤19としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプ紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。

0298

なお、有機電界発光素子EL-1を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤19は、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいてもよい。

0299

透明封止材17と基板13との接着部分への接着剤19の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。この接着剤19は、図示したように透明封止材17の周縁のみに設けられても良いし、硬化後に十分な光透過性を有する材料であれば、透明封止材17と有機電界発光素子EL−1との間に隙間なく充填されても良い。

0300

また板状の透明封止材17と基板13と接着剤19との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物封入することもできる。

0301

吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム酸化カリウム酸化カルシウム酸化バリウム酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム硫酸カルシウム硫酸マグネシウム硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル臭化セリウム臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。

0302

一方、透明封止材17として封止膜を用いる場合、有機電界発光素子EL-1における発光機能層3を完全に覆い、かつ有機電界発光素子EL-1における透明電極1および対向電極5-1の端子部分を露出させる状態で、基板13上に封止膜が設けられる。

0303

このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機電界発光素子EL-1における発光機能層3の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等の無機材料が用いられる。さらに封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜と共に、有機材料からなる膜を用いて積層構造としても良い。

0304

これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。

0305

[保護膜、保護板
尚、ここでの図示は省略したが、基板13との間に有機電界発光素子ELおよび透明封止材17を挟んで保護膜もしくは保護板を設けても良い。この保護膜もしくは保護板は、有機電界発光素子ELを機械的に保護するためのものであり、特に透明封止材17が封止膜である場合には、有機電界発光素子ELに対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜もしくは保護板を設けることが好ましい。

0306

以上のような保護膜もしくは保護板は、ガラス板ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム金属板、これよりも薄型の金属フィルム、またはポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち特に、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。

0307

また、本発明の有機電界発光素子EL-1は、発光光hの室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、5%以上であるとより好ましい。ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機電界発光素子の外部に取り出された光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。また、光取りだし側に配置する状態で、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。

0308

[有機電界発光素子の作製方法]
ここでは一例として、図7に示す有機電界発光素子EL-1の製造方法を説明する。

0309

先ず基板13上に、先に説明した適宜の方法により、陽極となる対向電極5-1を形成し、さらに発光機能層3を形成する。

0310

次いで、窒素含有層1aを、1μm以下、好ましくは10nm〜100nmの膜厚になるように形成する。その後、銀(または銀を主成分とした合金)からなる電極層1bを、4nm〜12nmの膜厚になるように形成し、陰極側の透明電極1を作製する。これらの窒素含有層1aおよび電極層1bの形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、スパッタ法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法が特に好ましい。

0311

また特に電極層1bの形成においては、発光機能層3によって対向電極5-1に対して絶縁状態を保ちつつ、発光機能層3の上方から基板13の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。また、電極層1bの形成前後には、必要に応じて補助電極15のパターン形成を行う。これにより、有機電界発光素子EL-1が得られる。またその後には、有機電界発光素子EL-1における透明電極1および対向電極5-1の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光機能層3を覆う透明封止材17を設ける。この際、接着剤19を用いて、透明封止材17を基板13側に接着し、これらの透明封止材17−基板13間に有機電界発光素子EL-1を封止する。

0312

以上により、基板13上に所望の有機電界発光素子EL-1が得られる。このような有機電界発光素子EL-1の作製においては、一回の真空引きで一貫して発光機能層3から対向電極5-1まで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から基板13を取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。

0313

このようにして得られた有機電界発光素子EL-1に直流電圧を印加する場合には、陽極である対向電極5-1を+の極性とし、陰極である電極層1bを−の極性として、電圧2V以上40V以下程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。尚、印加する交流波形は任意でよい。

0314

<有機電界発光素子EL-1の効果>
以上説明した有機電界発光素子EL-1は、本発明の導電性と光透過性とを兼ね備えると共に信頼性の向上が図られた透明電極1を陰極として用い、この透明電極1における窒素含有層1a側に発光機能層3と陽極となる対向電極5-1とをこの順に設けた構成である。このため、透明電極1と対向電極5-1との間に十分な電圧を印加して有機電界発光素子EL-1での高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。しかも、このような性能を長期的に維持することができ、長期信頼性の向上をも図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減によっても、発光寿命の向上が図られる。

0315

≪4.有機電界発光素子の第2例(ボトムエミッション型)≫
<有機電界発光素子の構成>
図8は、本発明の透明電極を用いた有機電界発光素子の第2例を示す断面構成図である。この図に示す第2例の有機電界発光素子EL-2が、図7を用いて説明した第1例の有機電界発光素子EL-1と異なるところは、透明基板13’上に透明電極1を設け、この上部に発光機能層3と対向電極5-2とをこの順に積層したところにある。以下、第1例と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第2例の有機電界発光素子EL-2の特徴的な構成を説明する。

0316

図8に示す有機電界発光素子EL-2は、透明基板13’上に設けられており、透明基板13’側から順に、陽極となる透明電極1、発光機能層3、および陰極となる対向電極5-2が積層されている。このうち、透明電極1として、先に説明した本発明の透明電極1を用いているところが特徴的である。このため有機電界発光素子EL-2は、少なくとも透明基板13’側から発光光hを取り出すボトムエミッション型として構成されている。

0317

このような有機電界発光素子EL-2の全体的な層構造が限定されることはく、一般的な層構造であって良いことは、第1例と同様である。本第2例の場合の一例としては、陽極として機能する透明電極1の上部に、正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eがこの順に積層され、さらにこの上部に陰極となる対向電極5-2が積層された構成が例示される。ただし、このうち少なくとも有機材料を用いて構成された発光層3cを有することが必須である。また、電子輸送層3dは、電子注入層3eを兼ねたもので、電子注入性を有する電子輸送層3dとして設けられていても良い。

0318

尚、発光機能層3は、これらの層の他にも、第1例で説明したと同様に、必要に応じたさまざまな構成が採用され、ここでの図示を省略した正孔阻止層や電子阻止層が設けられても良い。以上のような構成において、透明電極1と対向電極5-2とで発光機能層3が挟持された部分のみが、有機電界発光素子EL-2における発光領域となることも、第1例と同様である。

0319

また本第2例の有機電界発光素子EL-2においては、透明電極1のうち実質的に陽極として機能する電極層1b上に、直接、発光機能層3が設けられる。したがって、窒素含有層1aは、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲の化合物を用いて構成され、さらには窒素含有層1a自体の有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であれば好ましく、正孔輸送性正孔注入性を有する材料を用いる必要はない。また窒素含有層1aは、積層構造であっても良い。この場合、窒素含有層1aにおける電極層1b側の膜厚5nm程度の界面層が、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]となるように構成されていることが好ましい。

0320

また以上のような層構成においては、透明電極1の低抵抗化を図ることを目的とし、透明電極1の電極層1bに接して補助電極15が設けられていても良いことは、第1例と同様である。

0321

さらに、発光機能層3の上方に設けられる対向電極5-2は、陰極として機能する電極膜であり、発光機能層3に接する側の界面層が、陰極として適する材料で構成されていることとする。陰極として適する材料としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウムナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。

0322

陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。

0323

またこのようなボトムエミッション型の有機電界発光素子EL-2を封止する封止材17’は、光透過性を有している必要はない。このような封止材17’は、先の第1例で用いた透明封止材と同様の材料の他、金属材料で構成されたものを用いることができる。金属材料としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロムチタンモリブデンシリコンゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。このような金属材料は、薄型のフィルム状にして封止材17’として用いることにより、有機電界発光素子が設けられた発光パネル全体を薄膜化できる。

0324

尚、この有機電界発光素子EL-2が、対向電極5-2側からも発光光hを取り出すものである場合、対向電極5-2を構成する材料としては、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料を選択して用いれば良い。またこの場合、封止材17’としては、光透過性を有する透明封止材が用いられる。

0325

<有機電界発光素子EL-2の効果>
以上説明した有機電界発光素子EL-2は、本発明の導電性と光透過性とを兼ね備えると共に信頼性の向上が図られた透明電極1を陽極として用い、この上部に発光機能層3と陰極となる対向電極5-2とを設けた構成である。このため、第1例と同様に、透明電極1と対向電極5-2との間に十分な電圧を印加して有機電界発光素子EL-2での高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。しかも、このような性能を長期的に維持することができ、長期信頼性の向上をも図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減によっても、発光寿命の向上が図られる。

0326

≪5.有機電界発光素子の第3例(両面発光型)≫
<有機電界発光素子の構成>
図9は、本発明の透明電極を用いた有機電界発光素子の第3例を示す断面構成図である。この図に示す第3例の有機電界発光素子EL-3が、図7を用いて説明した第1例の有機電界発光素子EL-1と異なるところは、基板として透明基板13’を用い、2つの透明電極1間に発光機能層3を挟持させたところにある。以下、第1例と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第3例の有機電界発光素子EL-3の特徴的な構成を説明する。

0327

図9に示す有機電界発光素子EL-3は、透明基板13’上に設けられており、透明基板13’側から順に、陽極となる透明電極1、発光機能層3、および陰極となる透明電極1がこの順に積層されている。このうち、透明電極1として、先に説明した本発明の透明電極1を用いているところが特徴的である。これにより有機電界発光素子EL-3は、透明基板13’側およびこれとは逆側の透明封止材17側の両面から発光光hを取り出す両面発光型として構成されている。

0328

このような有機電界発光素子EL-3の全体的な層構造が限定されることはく、一般的な層構造であって良いことは、第1例と同様である。本第3例の場合の一例としては、陽極となる透明電極1の上部に、正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3dをこの順に設けた構成が例示され、この上部に陰極となる透明電極1が積層された構成が例示される。図示した例では、電子輸送層3dが、電子注入層を兼ねると共に、陰極となる透明電極1の窒素含有層1aを兼ねて設けられている。

0329

尚、発光機能層3は、第1例で説明したと同様に、必要に応じたさまざまな構成が採用され、ここでの図示を省略した正孔阻止層や電子阻止層が設けられても良い。以上のような構成において、2つの透明電極1で挟持された部分のみが、有機電界発光素子EL-3における発光領域となることも、第1例と同様である。

0330

また本第3例の有機電界発光素子EL-3においては、透明基板13’側に設けられた透明電極1は、透明基板13’側から窒素含有層1a、電極層1bの順に設けられ、実質的に陽極として機能する電極層1bの上部に発光機能層3が直接設けられた状態となる。したがって、透明基板13’側の窒素含有層1aは、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲を満たす化合物を用いて構成されれば良く、さらには窒素含有層1a自体の有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であれば好ましく、正孔輸送性や正孔注入性を有する材料を用いる必要はない。またこの窒素含有層1aは、積層構造であっても良い。この場合、窒素含有層1aにおける電極層1b側の膜厚5nm程度の界面層が、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]となるように構成されていることが好ましい。

0331

これに対して、発光機能層3上に設けられた透明電極1は、発光機能層3側から窒素含有層1a、電極層1bの順に設けられ、実質的に陰極として機能する電極層1bと発光機能層3との間に窒素含有層1aが配置された状態となる。このため、発光機能層3上の窒素含有層1aは、発光機能層3の一部を構成する層ともなる。このような窒素含有層1aは、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲の化合物のなかから、さらに電子輸送性または電子注入性を有する化合物を用いて構成される。または、このような窒素含有層1aは、窒素含有層1a自体が上述した有効非共有電子対含有率[n/M]となるように、電子輸送性または電子注入性を有する化合物と、ある程度の大きさの有効非共有電子対含有率[n/M]を有する化合物とを混合して用いて構成されていても良い。尚、図面においては、窒素含有層1aが発光機能層3における発光層3c上のみに設けられた構成を図示したが、発光機能に影響を及ぼさない場合であれば、窒素含有層1aは電極層1bに隣接する全面に設けても良く、これにより電極層1b全体の導電性を得ることができる。またこの窒素含有層1aは、積層構造であっても良い。この場合、窒素含有層1aにおける電極層1b側の膜厚5nm程度の界面層が、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]となるように構成されていることが好ましい。一方、これよりも発光機能層3側の層は、窒素含有化合物を用いた電子輸送層または電子注入層として構成されていていることが好ましい。

0332

また以上のような層構成においては、透明電極1の低抵抗化を図ることを目的とし、2つの透明電極1の電極層1bに接して補助電極15が設けられていても良いことも、第1例と同様である。

0333

さらにこの有機電界発光素子EL-3は、両面発光型であるため、光透過性を有する透明封止材17によって封止される。

0334

<有機電界発光素子EL-3の効果>
以上説明した有機電界発光素子EL-3は、本発明の導電性と光透過性とを兼ね備えると共に信頼性の向上が図られた透明電極1を陽極および陰極として用い、この間に発光機能層3を挟持した構成である。このため、第1例と同様に、2つの透明電極1間に十分な電圧を印加して有機電界発光素子EL-3での高輝度発光を実現しつつ、2つの透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。しかも、このような性能を長期的に維持することができ、長期信頼性の向上をも図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。

0335

≪6.有機電界発光素子の第4例(逆積み構成)≫
<有機電界発光素子の構成>
図10は、本発明の透明電極を用いた有機電界発光素子の第4例を示す断面構成図である。この図に示す第4例の有機電界発光素子EL-4が、図7を用いて説明した第1例の有機電界発光素子EL-1と異なるところは、透明基板13’側から順に陰極(透明電極1)、発光機能層3、陽極(対向電極5-4)を設けて積層順を逆にしたところにある。以下、第1例と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第4例の有機電界発光素子EL-4の特徴的な構成を説明する。

0336

図10に示す有機電界発光素子EL-4は、透明基板13’上に設けられており、透明基板13’側から順に、陰極となる透明電極1、発光機能層3、および陽極となる対向電極5-4がこの順に積層されている。このうち、透明電極1として、先に説明した本発明の透明電極1を用いているところが特徴的である。このため有機電界発光素子EL-4は、少なくとも透明基板13’側から発光光hを取り出すボトムエミッション型として構成されている。

0337

このような有機電界発光素子EL-4の全体的な層構造が限定されることはく、一般的な層構造であって良いことは、第1例と同様である。本第4例の場合の一例としては、陰極となる透明電極1の上部に、電子注入層3e/電子輸送層3d/発光層3c/正孔輸送層3b/正孔注入層3aをこの順に設けた構成が例示され、この上部に陽極となる対向電極5-4が積層された構成が例示される。

0338

尚、発光機能層3は、第1例で説明したと同様に、必要に応じたさまざまな構成が採用され、ここでの図示を省略した正孔阻止層や電子阻止層が設けられても良い。以上のような構成において、透明電極1と対向電極5-4とで挟持された部分のみが、有機電界発光素子EL-4における発光領域となることも、第1例と同様である。

0339

また本第4例の有機電界発光素子EL-4においては、透明基板13’側に設けられた透明電極1は、実質的に陰極として機能する電極層1b上に、直接、発光機能層3が設けられた状態となる。したがって窒素含有層1aは、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲を満たす化合物を用いて構成されれば良く、さらには窒素含有層1a自体の有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であれば好ましく、電子輸送性や電子注入性を有する材料を用いる必要はない。また窒素含有層1aは、積層構造であっても良い。この場合、窒素含有層1aにおける電極層1b側の膜厚5nm程度の界面層が、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]となるように構成されていることが好ましい。

0340

また以上のような層構成においては、透明電極1の低抵抗化を図ることを目的とし、透明電極1の電極層1bに接して補助電極15が設けられていても良いことも、第1例と同様である。

0341

さらに、発光機能層3の上方に陽極として設けられる対向電極5-4は、第1例の陽極と同様の材料を用いて構成される。

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