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技術 溶融ガラス搬送設備要素、溶融ガラス搬送設備要素の製造方法、溶融ガラス搬送設備要素を含むガラス製造装置、およびガラス物品の製造方法

出願人 AGC株式会社
発明者 丹羽章文五十嵐仁堀圭司
出願日 2013年11月7日 (7年3ヶ月経過) 出願番号 2014-545743
公開日 2016年9月8日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 WO2014-073594
状態 特許登録済
技術分野 ガラスの溶融、製造 セラミックスの接合 酸化物セラミックスの組成2
主要キーワード 円柱形試料 形状変化率 設備寿命 体積減少率 二酸化ケイ素換算 キャスタブルセメント 骨格粒子 ガラス溶解槽
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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、加熱時の熱膨張、若しくは、冷却時の収縮により導管亀裂発生防止、および、溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形防止を達成し、かつ、何らかの理由で溶融ガラスが漏えいするようなことがあっても、侵食され難いセラミックス構造体を有する溶融ガラス搬送設備要素および溶融ガラス搬送設備要素の製造方法、ならびに該溶融ガラス搬送設備要素を含むガラス製造装置を提供する。

概要

背景

減圧脱泡装置のようなガラス製造装置において、溶融ガラス導管構成材料耐熱性および溶融ガラスに対する耐食性に優れていることが求められる。これを満たす材料として、白金または白金合金が用いられている(特許文献1参照)。白金または白金合金製の溶融ガラスの導管の周囲には、該導管を取り囲むように断熱れんがが配置されている。
導管を構成する白金または白金合金と、該導管の周囲に配置する断熱れんがと、は熱膨張係数が異なっているため、加熱時の熱膨張量の差、および、冷却時の収縮量の差が問題となる。
このような加熱時の熱膨張量の差、若しくは、冷却時の収縮量の差を吸収させるため、温度変化が生じた際に両者がわずかに相対移動できるように、両者の間にはキャスタブルセメントのような不定形セラミックス材料充填される。

本願発明者らは、溶融ガラスの導管の配置によっては、不定形のセラミックス材料の充填では、加熱時の熱膨張量の差、若しくは冷却時の収縮量の差を吸収しきれない場合があることを見出した。たとえば、垂直管水平管との接合部では、加熱時の熱膨張量の差、若しくは冷却時の収縮量の差を不定形のセラミックス材料で吸収することができず、該接合部で亀裂が発生するおそれがある。接合部で亀裂が発生すると、該亀裂か漏えいした溶融ガラスによって周囲に配置された断熱れんがが侵食される問題がある。これにより、修復工事による生産性の低下、設備寿命が短くなる等の問題がある。
このような問題を解決するため、本願発明者らは、特許文献2に記載の溶融ガラス搬送設備要素およびガラス製造装置を提供した。
特許文献2に記載の溶融ガラス搬送設備要素では、白金または白金合金製の溶融ガラスの導管の周囲に、該導管を構成する白金または白金合金と線熱膨張係数がほぼ一致するセラミックス構造体を配置することにより、加熱時の熱膨張量、若しくは冷却時の収縮量の差がきわめて小さくなる。このため、加熱時の熱膨張、若しくは冷却時の収縮によって、垂直管と水平管との接合部で亀裂が発生することが防止される。

概要

本発明は、加熱時の熱膨張、若しくは、冷却時の収縮により導管の亀裂発生防止、および、溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形防止を達成し、かつ、何らかの理由で溶融ガラスが漏えいするようなことがあっても、侵食され難いセラミックス構造体を有する溶融ガラス搬送設備要素および溶融ガラス搬送設備要素の製造方法、ならびに該溶融ガラス搬送設備要素を含むガラス製造装置を提供する。

目的

本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するため、加熱時の熱膨張、若しくは、冷却時の収縮により導管の亀裂発生防止、および、溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形防止を達成し、かつ、何らかの理由で溶融ガラスが漏えいするようなことがあっても、侵食され難いセラミックス構造体を有する溶融ガラス搬送設備要素および溶融ガラス搬送設備要素の製造方法、ならびに該溶融ガラス搬送設備要素を含むガラス製造装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

白金または白金合金からなる少なくとも1つの導管を含む溶融ガラス用導管構造体、該導管の周囲に配される第1のセラミックス構造体、および、該第1のセラミックス構造体の周囲に位置する第2のセラミックス構造体を有する溶融ガラス搬送設備要素の製造方法であって、全体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを90wt%以上含有し、メディアン径D50が0.2〜10μmの第1の粒子、全体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを75wt%以上含有し、かつ、前記酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合が80wt%以上であり、安定化剤として、酸化イットリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも1つを合計含有率で6〜25wt%含有する、メディアン径D50が0.2〜2mmの第2の粒子、および、全体組成に対する質量%で二酸化ケイ素を50wt%以上含有し、メディアン径D50が1〜500μmの第3の粒子を、前記第2の粒子の質量に対する前記第1の粒子の質量比(第1の粒子の質量/第2の粒子の質量)が0.25〜0.6、かつ、前記第1の粒子および前記の第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の前記第3の粒子の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/(第1の粒子の質量+第2の粒子の質量))が0.05〜0.2になるように配合したスラリー体を、前記導管と、前記第2のセラミックス構造体と、の間隙充填すること、及び1300〜1550℃の温度で前記スラリー体を焼結させることで前記第1のセラミックス構造体を形成すること、を含む溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項2

白金または白金合金からなる少なくとも1つの導管を含む溶融ガラス用導管構造体、該導管の周囲に配される第1のセラミックス構造体、および、該第1のセラミックス構造体の周囲に位置する第2のセラミックス構造体を有する溶融ガラス搬送設備要素の製造方法であって、全体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを90wt%以上含有し、メディアン径D50が0.2〜10μmの第1の粒子、全体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを75wt%以上含有し、かつ、前記酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合が80wt%以上であり、安定化剤として、酸化イットリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも1つを合計含有率で6〜25wt%含有する、メディアン径D50が0.2〜2mmの第2の粒子、および、全体組成に対する質量%で二酸化ケイ素を50wt%以上含有し、メディアン径D50が1〜500μmの第3の粒子を、前記第2の粒子の質量に対する前記第1の粒子の質量比(第1の粒子の質量/第2の粒子の質量)が0.3〜0.6、前記第1の粒子の質量に対する二酸化ケイ素換算の前記第3の粒子の質量比(二酸化ケイ素換算の前記第3の粒子の質量/第1の粒子の質量)が0.1〜0.9、かつ、前記第1の粒子および前記の第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の前記第3の粒子の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/(第1の粒子の質量+第2の粒子の質量))が0.05〜0.2になるように配合したスラリー体を、前記導管と、前記第2のセラミックス構造体と、の間隙に充填すること、及び1300〜1550℃の温度で前記スラリー体を焼結させることで前記第1のセラミックス構造体を形成すること、を含む溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項3

前記第3の粒子が、実質的に二酸化ケイ素のみからなる、請求項1または2に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項4

前記第3の粒子のメディアン径D50が10〜300μmである、請求項3に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項5

前記第3の粒子が、全体組成に対する質量%で二酸化ケイ素を50wt%以上含有するガラス粒子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項6

前記第3の粒子のメディアン径D50が20〜100μmである、請求項5に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項7

前記溶融ガラス用導管構造体は、垂直方向中心軸のある第1の導管と、該第1の導管と連通する水平方向に中心軸のある第2の導管と、を、少なくとも1本ずつ有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項8

前記導管として、周方向に360度連続する凸部および凹部の少なくとも一方を有する導管を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項9

前記導管として、内部にスターラーが設けられた導管を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項10

前記導管を構成する白金または白金合金が、白金または白金合金に金属酸化物粒子が分散された強化白金である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項11

前記第1の粒子の積算ふるい下90%径(D90)が15μm以下であり、前記第2の粒子の積算ふるい下10%径(D10)が0.1mm以上である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項12

前記第2のセラミックス構造体が、アルミナマグネシアジルコン、およびシリカからなる群から選択される少なくとも1つを主体とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法。

請求項13

請求項1〜12のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法により製造された溶融ガラス搬送設備要素であって、前記第1のセラミックス構造体の平均開気孔率が20〜60%であり、前記第1のセラミックス構造体の20〜1000℃における線熱膨張係数が8×10-6〜12×10-6/℃であり、前記導管と前記第1のセラミックス構造体との間隙が0.5mm未満である、溶融ガラス搬送設備要素。

請求項14

前記第1のセラミックス構造体の20〜1000℃における線熱膨張係数が、前記導管を構成する白金または白金合金の20〜1000℃における線熱膨張係数の±15%以内である、請求項13に記載の溶融ガラス搬送設備要素。

請求項15

前記第1のセラミックス構造体の厚さが15〜50mmである、請求項13または14に記載の溶融ガラス搬送設備要素。

請求項16

前記第1のセラミックス構造体の1400℃における圧縮強度が5MPa以上である、請求項13〜15のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素。

請求項17

請求項13〜16のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送設備要素を含むガラス製造装置

請求項18

請求項17に記載のガラス製造装置を用いたガラス物品の製造方法であって、ガラス原料を、加熱して溶融ガラスを得ること、及び前記溶融ガラスを成形徐冷してガラス物品を得ること、を含むガラス物品の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、減圧脱泡装置のようなガラス製造装置に好適に用いることができる溶融ガラス搬送設備要素、溶融ガラス搬送設備要素の製造方法、該溶融ガラス搬送設備要素を含むガラス製造装置、およびガラス物品の製造方法に関する。

背景技術

0002

減圧脱泡装置のようなガラス製造装置において、溶融ガラスの導管構成材料耐熱性および溶融ガラスに対する耐食性に優れていることが求められる。これを満たす材料として、白金または白金合金が用いられている(特許文献1参照)。白金または白金合金製の溶融ガラスの導管の周囲には、該導管を取り囲むように断熱れんがが配置されている。
導管を構成する白金または白金合金と、該導管の周囲に配置する断熱れんがと、は熱膨張係数が異なっているため、加熱時の熱膨張量の差、および、冷却時の収縮量の差が問題となる。
このような加熱時の熱膨張量の差、若しくは、冷却時の収縮量の差を吸収させるため、温度変化が生じた際に両者がわずかに相対移動できるように、両者の間にはキャスタブルセメントのような不定形セラミックス材料充填される。

0003

本願発明者らは、溶融ガラスの導管の配置によっては、不定形のセラミックス材料の充填では、加熱時の熱膨張量の差、若しくは冷却時の収縮量の差を吸収しきれない場合があることを見出した。たとえば、垂直管水平管との接合部では、加熱時の熱膨張量の差、若しくは冷却時の収縮量の差を不定形のセラミックス材料で吸収することができず、該接合部で亀裂が発生するおそれがある。接合部で亀裂が発生すると、該亀裂か漏えいした溶融ガラスによって周囲に配置された断熱れんがが侵食される問題がある。これにより、修復工事による生産性の低下、設備寿命が短くなる等の問題がある。
このような問題を解決するため、本願発明者らは、特許文献2に記載の溶融ガラス搬送設備要素およびガラス製造装置を提供した。
特許文献2に記載の溶融ガラス搬送設備要素では、白金または白金合金製の溶融ガラスの導管の周囲に、該導管を構成する白金または白金合金と線熱膨張係数がほぼ一致するセラミックス構造体を配置することにより、加熱時の熱膨張量、若しくは冷却時の収縮量の差がきわめて小さくなる。このため、加熱時の熱膨張、若しくは冷却時の収縮によって、垂直管と水平管との接合部で亀裂が発生することが防止される。

先行技術

0004

日本国特開2002−87826号公報
国際公開第2010/067669号

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献2に記載の溶融ガラス搬送設備要素では、白金または白金合金製の導管と、セラミックス構造体と、の間に間隙を設けることで、両者の間での加熱時の熱膨張、若しくは冷却時の収縮のタイミングのずれを吸収することができ、接合部で亀裂が発生するのを防止できるとされているが、このような間隙が存在すると、導管が変形し破損するおそれもありうる。
特許文献2に記載の溶融ガラス搬送設備要素では、白金または白金合金製の導管が使用時において十分な強度を有していると考えられているが、高温環境下での使用による導管の材料の劣化等により、導管の強度が低下するおそれもありうる。また、溶融ガラス搬送設備要素の使用形態の変化し、例えば、導管内部を通過する溶融ガラスをスターラー等で撹拌することにより、溶融ガラスから加わる膨張圧力が増加する場合がある。これらの結果、導管の強度が、溶融ガラスから加わる膨張圧力に対して不十分になり、導管が変形し破損するおそれもありうる。

0006

導管の変形を防止するには、導管の周囲に間隙を設けずにセラミックス構造体を配置すればよいことになるが、導管の配置や導管の形状によっては、導管の周囲に間隙を設けずにセラミックス構造体を配置することが困難な場合がある。たとえば、垂直管と水平管との接合部では、導管の周囲に間隙を設けずにセラミックス構造体を配置することが困難である。また、日本国再表2004−070251号公報には、熱による伸縮を吸収させるため、周方向に360度連続する少なくとも1つの凸部が設けられた白金または白金合金製の中空管が開示されている。また、日本国特開2006−315894号公報には、長期間の使用時において、熱応力や外部からの応力が加わることで、導管が破損するのを防止するため、周方向に360度連続する凸部および凹部が、軸方向に沿って交互に設けられた白金または白金合金製の中空管が開示されているが、このような凸部や凹部が設けられた導管の周囲に間隙を設けずにセラミックス構造体を配置することは困難である。

0007

また、白金または白金合金製の導管に配置するセラミックス構造体には、溶融ガラスに対して優れた耐食性を有する材料が選定されている。しかし、導管内を通過する溶融ガラスが、特に高温の場合、例えば、導管内を通過する溶融ガラスの温度が1450℃以上の場合、導管の破損によって流出した溶融ガラスがセラミックス構造体と接触すると、セラミックス構造体が顕著な浸食を受けるおそれがある。

0008

本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するため、加熱時の熱膨張、若しくは、冷却時の収縮により導管の亀裂発生防止、および、溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形防止を達成し、かつ、何らかの理由で溶融ガラスが漏えいするようなことがあっても、侵食され難いセラミックス構造体を有する溶融ガラス搬送設備要素および溶融ガラス搬送設備要素の製造方法、ならびに該溶融ガラス搬送設備要素を含むガラス製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は、前記ガラス製造装置により、良好な品質のガラス物品を安定的に生産することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

上記の目的を達成するため、本発明は、白金または白金合金からなる少なくとも1つの導管を含む溶融ガラス用導管構造体、該導管の周囲に配される第1のセラミックス構造体、および、該第1のセラミックス構造体の周囲に位置する第2のセラミックス構造体を有する溶融ガラス搬送設備要素の製造方法であって、
体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを90wt%以上含有し、メディアン径D50が0.2〜10μmの第1の粒子、全体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを75wt%以上含有し、かつ、前記酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合が80wt%以上であり、安定化剤として、酸化イットリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも1つを合計含有率で6〜25wt%含有する、メディアン径D50が0.2〜2mmの第2の粒子、および、全体組成に対する質量%で二酸化ケイ素を50wt%以上含有し、メディアン径D50が1〜500μmの第3の粒子を、前記第2の粒子の質量に対する前記第1の粒子の質量比(第1の粒子の質量/第2の粒子の質量)が0.25〜0.6、かつ、前記第1の粒子および前記の第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の前記第3の粒子の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/(第1の粒子の質量+第2の粒子の質量))が0.05〜0.2になるように配合したスラリー体を、前記導管と、前記第2のセラミックス構造体と、の間隙に充填すること、及び
1300〜1550℃の温度で前記スラリー体を焼結させることで前記第1のセラミックス構造体を形成すること、を含む溶融ガラス搬送設備要素の製造方法を提供する。

0010

また、本発明は、本発明の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法により製造された溶融ガラス搬送設備要素であって、前記第1のセラミックス構造体の平均開気孔率が20〜60%であり、前記第1のセラミックス構造体の20〜1000℃における線熱膨張係数が8×10-6〜12×10-6/℃であり、前記導管と前記第1のセラミックス構造体との間隙が0.5mm未満である、溶融ガラス搬送設備要素を提供する。

0011

また、本発明は、本発明の溶融ガラス搬送設備要素を含むガラス製造装置を提供する。
さらに、本発明は、前記ガラス製造装置を用いたガラス物品の製造方法であって、ガラス原料を、加熱して溶融ガラスを得ること、及び前記溶融ガラスを成形徐冷してガラス物品を得ること、を含むガラス物品の製造方法を提供する。

発明の効果

0012

本発明の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法によれば、溶融ガラスの導管を構成する白金または白金合金との線熱膨張係数がほぼ一致しており、所定の平均開気孔率の第1のセラミックス構造体を、導管の配置や形状に影響されることなしに、白金または白金合金製の溶融ガラスの導管の周囲に、間隙を設けずに形成することができる。

0013

本発明の溶融ガラス搬送設備要素では、白金または白金合金製の溶融ガラスの導管と、該導管の周囲に配置されるセラミックス構造体と、の線熱膨張係数がほぼ一致しているため、加熱時の熱膨張量、若しくは冷却時の収縮量の差がきわめて小さい。このため、加熱時の熱膨張、若しくは冷却時の収縮によって、導管に亀裂が発生すること、たとえば、垂直方向中心軸がある導管と水平方向に中心軸がある導管との接合部で亀裂が発生すること、が防止されている。さらに、何らかの理由で特に高温の溶融ガラス、具体的には、温度が1450℃以上の溶融ガラス、が漏えいするようなことがあっても本発明におけるセラミックス構造体は侵食され難い。
また、本発明の溶融ガラス搬送設備要素では、溶融ガラスの流通時の温度域において、十分な圧縮強度を有する第1のセラミックス構造体が、溶融ガラスの導管の周囲に間隙を設けずに形成されているため、内部を通過する溶融ガラスから加わる膨張圧力により導管が変形することが防止されている。
このような溶融ガラス搬送設備要素を含む本発明のガラス製造装置は、加熱時の熱膨張、若しくは冷却時の収縮によって、導管に亀裂が発生することが防止されていること、内部を通過する溶融ガラスから加わる膨張圧力により導管が変形することが防止されていること、および、何らかの理由で溶融ガラスが漏えいするようなことがあってもセラミックス構造体が侵食され難いことから、信頼性に優れており、長期間にわたって安定してガラスを製造することができる。
さらに、本発明のガラス物品の製造方法では、前記ガラス製造装置によって、良好な品質のガラス物品を安定的に生産することができる。

図面の簡単な説明

0014

図1は、本発明の溶融ガラス搬送設備要素の1構成例を示した断面図である。
図2は、本発明の溶融ガラス搬送設備要素の別の1構成例を示した断面図である。
図3は、本発明のガラス物品の製造方法の一例を示す流れ図である。
図4は、例1のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図5は、例2のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図6は、例3のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図7は、例4のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図8は、例5のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図9は、例6のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図10は、例7のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図11は、例8のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図12は、例9のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図13は、例10のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図14は、例11のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図15は、例12のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図16は、例13のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図17は、例14のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図18は、例15のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図19は、例16のガラス耐食性評価後の断面写真である。
図20は、例17のガラス耐食性評価後の断面写真である。

0015

以下、図面を参照して本発明について説明する。
図1は、本発明の溶融ガラス搬送設備要素の1構成例を示した断面図である。
図1に示す溶融ガラス搬送設備要素において、溶融ガラス用導管構造体1は、垂直方向に中心軸のある導管(以下、「垂直管」という。)1aに対して、水平方向に中心軸のある2本の導管(以下、「水平管」という。)1b,1bが連通した構造である。

0016

図1において、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(垂直管1aおよび水平管1b)の周囲には、第1のセラミックス構造体2が配されており、該第1のセラミックス構造体2の周囲には、第2のセラミックス構造体3が位置している。

0017

本発明における溶融ガラス搬送設備要素は、導管を少なくとも1つ有していればよく、図示した態様に限定されない。
図2は、本発明の溶融ガラス搬送設備要素の別の1構成例を示した断面図である。
図2に示す溶融ガラス搬送設備要素において、溶融ガラス用導管構造体1は、1本の導管1cのみを有している。該導管1cは、周方向に360度連続する凸部および凹部が、軸方向に沿って交互に設けられており、蛇腹状の外形をなしている。
図2においても、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管1cの周囲には、第1のセラミックス構造体2が配されており、該第1のセラミックス構造体2の周囲には、第2のセラミックス構造体3が位置している。

0018

図1に示すような垂直管と水平管とが連通した構造の場合、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(垂直管1a、水平管1b)と、該導管の周囲に配置されるセラミックス構造体と、の熱膨張係数の差が大きいと、加熱時の熱膨張量の差、若しくは冷却時の収縮量の差を管材料伸びにより吸収することができない。これにより、垂直管1aと、水平管1bと、の接合部において、亀裂が発生するおそれがある。このため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管と、該導管の周囲に配される第1のセラミックス構造体2と、の熱膨張係数の差が小さく、加熱時の熱膨張、若しくは冷却時の収縮によって、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管での亀裂の発生を抑制することができる本発明を適用するのが好適である。
また、垂直管1aと、水平管1bと、の接合部の周辺では、導管(垂直管1a、水平管1b)と、該導管の周囲に配置される耐火レンガ等のセラミックス構造体と、の間に間隙が生じやすく、溶融ガラスから加わる膨張圧力によって導管が変形し、破損するおそれがある。このため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(垂直管1a、水平管1b)と、該導管の周囲に配される第1のセラミックス構造体2と、の間隙がきわめて小さく、溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形を抑制できる本発明を適用するのが好適である。
なお、図1に示すような垂直管と水平管とが連通した構造についても、図示した態様に限定されず、1本の垂直管に対して1本の水平管が連通するものであってもよい。また、1本の垂直管に対して1本の水平管がその一端側で連通しており、かつ、該水平管がその他端側において、さらに別の1本の垂直管と連通するものであってもよい。このような構造にさらに1本以上の垂直管若しくは水平管、またはその両方が連通するものであってもよい。

0019

また、本発明における垂直管は、その中心軸が厳密な意味で垂直方向であることは必ずしも要求されず、その中心軸が垂直方向に対して傾斜しているものであってもよい。水平管についても同様であり、その中心軸が厳密な意味で水平方向であることは必ずしも要求されず、その中心軸が水平方向に対してある程度傾斜するものであってもよい。要するに、本発明における垂直管および水平管は、それらの相対的な関係を意図したものであり、一方の導管を垂直管とした場合に、これに交差する関係となる導管を水平管とするものである。

0020

また、溶融ガラス用導管構造体を構成する導管が、図2に示す導管1cのように凹凸を有する形状の場合、該導管の周囲に配置される耐火レンガ等のセラミックス構造体と、の間に間隙が生じやすい。これにより、溶融ガラスから加わる膨張圧力によって導管が変形し、破損するおそれがあるため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管1cと、該導管1cの周囲に配される第1のセラミックス構造体2と、の間隙がきわめて小さく、溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形を抑制できる本発明を適用するのが好適である。
なお、図2に示すような1本の導管のみを有する場合についても、図示するような、周方向に360度連続する凸部および凹部が、軸方向に沿って交互に設けられているものに限定されず、凸部または凹部のうち、一方のみを有するものであってもよい。さらには、凸部や凹部を持たない通常の直管であってもよい。

0021

また、溶融ガラス用導管構造体を構成する導管の内部に溶融ガラスを撹拌するためのスターラーが設けられていてもよい。
溶融ガラス用導管構造体を構成する導管の内部に溶融ガラスを撹拌するためのスターラーが設けられている場合、スターラーによる撹拌時に、溶融ガラスから加わる膨張圧力によって導管が変形し、破損するおそれがあるため、溶融ガラス用導管構造体を構成する導管と、該導管の周囲に配される第1のセラミックス構造体と、の間隙がきわめて小さく、かつ、溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形を抑制できる本発明を適用するのが好適である。

0022

本発明において、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)は、溶融ガラスの導管として用いられるものであるため、その構成材料は耐熱性および溶融ガラスに対する耐食性に優れていることが求められる。このため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)は白金、または白金−金合金白金−ロジウム合金、白金−イリジウム合金のような白金合金からなる。
溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)を構成する白金または白金合金は、白金または白金合金にAl2O3、ZrO2、Y2O3のような金属酸化物粒子を分散させた強化白金からなることが好ましい。強化白金では、白金または白金合金に分散させた金属酸化物粒子が転位結晶粒成長を妨げる効果を生じ、これによって機械的強度が高められている。しかしながら、その一方で通常の白金または白金合金に比べて材料の延性が低下しているため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管と、該導管の周囲に配置される断熱レンガ等のセラミックス構造体と、の加熱時の熱膨張量の差、若しくは冷却時の収縮量の差を管材料の伸びにより吸収することができず、該導管に亀裂が発生するおそれがある。このため、加熱時の熱膨張、若しくは冷却時の収縮によって、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管での亀裂の発生を抑制することができる本発明を適用するのが好適な材料ということができる。

0023

本発明において、第1のセラミックス構造体2は、全体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを65wt%以上含有し、かつ、酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合が60wt%以上である。言い換えると、第1のセラミックス構造体2は、完全安定化ジルコニアである立方晶ジルコニアを主体としたものである。
立方晶ジルコニアを主体とすることにより、加熱時の熱膨張量、若しくは冷却時の収縮量が、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管と、該導管の周囲に配される第1のセラミックス構造体2と、でほぼ等しくなる。この結果、加熱時の熱膨張量若しくは冷却時の収縮量の差がきわめて小さくなり、加熱時の熱膨張若しくは冷却時の収縮によって、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管で亀裂が発生すること、例えば、図1における垂直管1aと水平管1bとの接合部で亀裂が発生することが防止される。
完全安定化ジルコニアである立方晶ジルコニアは、以下に示すように、20〜1000℃において、該導管を構成する白金または白金合金と極めて近い線熱膨張係数を有するためである。
白金、白金合金:9.5×10-6/℃〜11×10-6/℃
立方晶ジルコニア:8.5×10-6/℃〜10.5×10-6/℃
なお、立方晶ジルコニアのような酸化ジルコニウムは、耐熱性、溶融ガラスの耐食性、および腐食性ガスに対する耐食性等に優れているため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)の周囲に配する、第1のセラミックス構造体2として好適である。

0024

上記の効果を奏するためには、セラミックス構造体の20〜1000℃における線熱膨張係数が8×10-6〜12×10-6/℃であり、9×10-6〜11×10-6/℃であることが好ましく、9.5×10-6〜10.5×10-6/℃であることがより好ましい。
但し、白金または白金合金の線熱膨張係数は組成によって多少異なるので、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)に用いる白金または白金合金の線熱膨張係数に応じて、第1のセラミックス構造体2の線熱膨張係数を選択することが好ましい。具体的には、第1のセラミックス構造体2の20〜1000℃における線熱膨張係数が、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)に用いる白金または白金合金の20〜1000℃における線熱膨張係数の±15%以内であることが好ましく、±10%以内であることがより好ましく、±5%以内であることがさらに好ましい。

0025

上記の線熱膨張係数を達成するためには、第1のセラミックス構造体2に含まれる酸化ジルコニウムは65wt%以上であり、そのうちに占める立方晶ジルコニアの割合を60wt%以上とする必要がある。第1のセラミックス構造体2に含まれる酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合が63wt%以上であることが好ましく、67wt%以上であることがより好ましい。

0026

本発明において、第1のセラミックス構造体2は、平均開気孔率が20〜60%である。上記組成の第1のセラミックス構造体2は溶融ガラスに対する耐食性に優れているが、平均開気孔率が60%超だと溶融ガラスに対する耐食性が低下する。一方、平均開気孔率が20%未満だと、第1のセラミックス構造体2の耐熱衝撃性が低下する。また、熱容量が増加するため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第1のセラミックス構造体2と、の間で、加熱時の熱膨張、若しくは冷却時の収縮のタイミングにずれが生じやすくなり、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管で亀裂が発生するおそれがある。また、加熱若しくは冷却に要する時間も長くなる。
第1のセラミックス構造体2は、平均開気孔率が25〜50%であることが好ましく、30〜40%であることがより好ましい。
第1のセラミックス構造体2の平均開気孔率は、アルキメデス法や水銀ポロシメークによる測定により求めることができる。
第1のセラミックス構造体2は、部位によって開気孔率が異なっていてもよい。例えば、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と面する部位を他の部位よりも開気孔率を低くすることで、溶融ガラスに対する耐食性を高めることができる。

0027

また、第1のセラミックス構造体2は、以下に示す2つの特徴により、特に高温の溶融ガラス、具体的には、温度が1450℃以上の溶融ガラスに対する耐食性に優れている。
第1の特徴として、第1のセラミックス構造体2に含まれる酸化ジルコニウムの質量に対する酸化イットリウムおよび酸化セリウムの合計質量の質量比(酸化イットリウムおよび酸化セリウムの合計質量/酸化ジルコニウムの質量)が0.05〜0.25である。

0028

本願発明者らは、1450℃以上の溶融ガラスに対するセラミックス構造体の耐食性について鋭意検討した結果、セラミックス構造体を1450℃以上の溶融ガラスに浸漬させた際、酸化ジルコニウムを安定化ジルコニアである立方晶ジルコニアとするために、安定化剤として添加している酸化イットリウムや酸化セリウムが、セラミックス構造体から抜け出し、セラミックス構造体を構成する粒子が微細化することが、セラミックス構造体が浸食される原因であることを見出した。

0029

そのため、本発明の第1のセラミックス構造体2では、酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合を60wt%以上とするのに必要な量の酸化イットリウムや酸化セリウムを安定化剤として含有させる一方で、セラミックス構造体から抜け出す酸化イットリウムや酸化セリウムができるだけ少なくなるように、セラミックス構造体に含まれる酸化イットリウムおよび酸化セリウムの合計質量を、酸化ジルコニウムに対する質量比で0.05〜0.25とする。この質量比が0.05より低いと、酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合を60wt%以上にならないおそれがある。
一方、この質量比が0.25より高いと、セラミックス構造体を1450℃以上の溶融ガラスに浸漬させた際、安定化剤として添加している酸化イットリウムや酸化セリウムが、セラミックス構造体から抜け出し、セラミックス構造体を構成する粒子が微細化するおそれがある。
この質量比が、0.05〜0.08であることがより好ましく、0.055〜0.07であることがさらに好ましい。

0030

第2の特徴として、第1のセラミックス構造体2に含まれる酸化ジルコニウムの一部が、ジルコン(ZrSiO4)化している。
上述したように、セラミックス構造体を1450℃以上の溶融ガラスに浸漬させた際、安定化剤として添加している酸化イットリウムや酸化セリウムが、セラミックス構造体から抜け出し、セラミックス構造体を構成する粒子が微細化する。本願発明者らは、セラミックス構造体中の酸化ジルコニウムが、溶融ガラス中の二酸化ケイ素(SiO2)成分と反応して、ジルコン(ZrSiO4)化することで、この微細化の進行が抑制され、セラミックス構造体のさらなる侵食が抑制されることを見出した。

0031

そのため、本発明の第1のセラミックス構造体2では、第1のセラミックス構造体2に含まれる酸化ジルコニウムの一部を、予めジルコン(ZrSiO4)化させている。
具体的には、本発明の第1のセラミックス構造体2は、ジルコン(ZrSiO4)を1〜20wt%含有する。

0032

第1のセラミックス構造体2中のジルコン(ZrSiO4)の含有量が1%より低いと、1450℃以上の溶融ガラスへの浸漬時において、セラミックス構造体を構成する粒子の微細化の進行の抑制が不十分となり、セラミックス構造体のさらなる侵食を抑制できない。

0033

一方、第1のセラミックス構造体2中のジルコン(ZrSiO4)の含有量が20%より高いと、第1のセラミックス構造体2の20〜1000℃における線熱膨張係数が小さくなるため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管の加熱時の熱膨張が阻害され、該導管が破損するおそれがある。

0034

第1のセラミックス構造体2中のジルコン(ZrSiO4)含有量は、3〜15wt%であることがより好ましく、5〜10wt%であることがさらに好ましい。

0035

図1,2において、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第1のセラミックス構造体2と、の間には間隙が存在しない。
上述したように、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第1のセラミックス構造体2と、の間に間隙が存在すると、溶融ガラスから加わる膨張圧力によって導管が変形し、破損するおそれがある。
溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第1のセラミックス構造体2と、の間隙が存在しなければ、溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形を抑制できる。
但し、本発明では、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第1のセラミックス構造体2と、の間隙がきわめて小さければよく、具体的には、0.5mm未満であればよい。
溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第1のセラミックス構造体2と、の間隙は、0.4mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましく、間隙が存在しないことがさらに好ましい。

0036

溶融ガラスから加わる膨張圧力によって溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管の変形を抑制するため、第1のセラミックス構造体2は、溶融ガラスの流通時の温度域において、十分な圧縮強度を有していることが求められる。具体的には、第1のセラミックス構造体2は、1400℃における圧縮強度が5MPa以上であることが好ましく、8MPa以上であることがより好ましく、10MPa以上であることがさらに好ましい。ここで、1400℃における圧縮強度としたのは、溶融ガラスの流通時において、第1のセラミックス構造体2が通常経験する温度だからである。

0037

本発明において、第1のセラミックス構造体2の厚さdが15mm以上50mm以下であることが好ましい。第1のセラミックス構造体2の厚さdが15mm未満だと、第1のセラミックス構造体2の加熱時の熱膨張量、若しくは冷却時の収縮量が、第2のセラミックス構造体3によって妨げられるため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第1のセラミックス構造体2と、の間で、加熱時の熱膨張量、若しくは冷却時の収縮量の差が大きくなり、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管で亀裂が発生するおそれがある。
また、第1のセラミックス構造体2の厚さdが15mm未満だと、後述する手順で、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管と、第2のセラミックス構造体3と、の間隙にスラリー体を充填し、該スラリー体を焼結させて第1のセラミックス構造体2を形成する際に、施工性に劣るおそれがある。
立方晶ジルコニアは高価な材料であるため、第1のセラミックス構造体2の厚さは、必要最小限に留めることがコスト面から好ましい。この観点から、第1のセラミックス構造体2の厚さdが50mm以下であることが好ましい。
また、第1のセラミックス構造体2の厚さdが、50mmよりも大きいと、溶融ガラスの流通時において、第1のセラミックス構造体2の厚さ方向で温度差が生じるおそれがある。
第1のセラミックス構造体2の厚さdは、20〜40mmであることがより好ましく、25〜35mmであることがさらに好ましい。
なお、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管が、図2の導管1cのように凹凸を有する場合、導管1cの凹凸と対面する第1のセラミックス構造体2の全て部位において、厚さが上記の範囲を満たすようにする。

0038

上述したように、立方晶ジルコニアは高価な材料であるため、第1のセラミックス構造体2の厚さは、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管と、第2のセラミックス構造体3と、の間隙にスラリー体を充填し、該スラリー体を焼結させて第1のセラミックス構造体2を形成するため、第1のセラミックス構造体2の周囲には、第2のセラミックス構造体3が位置することになる。
第2のセラミックス構造体3としては、アルミナマグネシア、ジルコンおよびシリカからなる群から選択される少なくとも1つを主体とする断熱れんがを用いることができる。
第2のセラミックス構造体3として用いる断熱れんがの具体例としては、シリカ・アルミナ質断熱れんが、ジルコニア質断熱れんが、マグネシア質断熱れんが等が挙げられる。市販品としては、SP−15(日の丸窯業株式会社製)、LBK3000(イソライト工業株式会社製)等が挙げられる。

0039

次に、本発明の溶融ガラス搬送設備要素の製造方法について説明する。
本発明では、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第1のセラミックス構造体2と、の間隙を0.5mm未満にすることが求められるが、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管の周囲に、完全安定化ジルコニアである立方晶ジルコニアを主体とする断熱レンガを配置したのでは、上記の間隙を達成することができない。
このため、本発明では、上記した第1のセラミックス構造体2の組成((1)酸化ジルコニウムは65wt%以上であり、そのうちに占める立方晶ジルコニアの割合を60wt%以上である。(2)セラミックス構造体に含まれる酸化ジルコニウムに対する酸化イットリウムおよび酸化セリウムの合計質量の質量比が0.05〜0.25である。(3)第1のセラミックス構造体2中のジルコン(ZrSiO4)含有量が1〜20wt%である。)を満たすように、以下に述べる第1の粒子、第2の粒子、および第3の粒子を含むスラリー体を、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第2のセラミックス構造体3と、の間隙に充填し、該スラリー体を焼結させることで第1のセラミックス構造体2を形成する。

0040

ここで、形成後の第1のセラミックス構造体2と、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、の間隙を0.5mm未満にし、かつ、形成後の第1のセラミックス構造体2が、溶融ガラスの流通時の温度域において、十分な圧縮強度を有しているように、使用するスラリー体に含まれるジルコニア粒子(第1の粒子、第2の粒子)を選択する必要がある。

0041

形成後の第1のセラミックス構造体2と、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、の間隙を小さくするためには、スラリー体の焼結時の寸法変化(収縮)を小さくすればよい。このためには、粒子径が大きいジルコニア粒子(第1の粒子、第2の粒子)を含むスラリー体を使用すればよいことになる。
しかしながら、粒子径が大きい粒子(第1の粒子、第2の粒子、第3の粒子)のみを含むスラリー体を使用した場合、粒子相互接合面積が小さいため、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度が低くなる。

0042

一方、粒子径が小さいジルコニア粒子(第1の粒子、第2の粒子)を含むスラリー体を使用した場合、大きな粒子の接合点補強するように結合するため、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度が高くなる。
しかしながら、粒子径が小さいジルコニア粒子(第1の粒子、第2の粒子)のみを含むスラリー体を使用した場合、スラリー体の焼結時の寸法変化(収縮)が大きくなるため、形成後の第1のセラミックス構造体2と、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、の間隙が大きくなる。

0043

本発明では、以下に述べるように、第1の粒子、第2の粒子、および、第3の粒子として、特定の粒子径の範囲の粒子を選択し、かつ、これらの粒子を特定の割合で配合したスラリー体を使用することで、形成後の第1のセラミックス構造体2と、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、の間隙を0.5mm未満にし、かつ、形成後の第1のセラミックス構造体2が、溶融ガラスの流通時の温度域において、十分な圧縮強度を有するものとする。

0044

すなわち、本発明では、全体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを90wt%以上含有し、メディアン径D50が0.2〜10μmの第1の粒子、全体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを75wt%以上含有し、かつ、前記酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合が80wt%以上であり、安定化剤として、酸化イットリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも1つを合計含有率で6〜25wt%含有する、メディアン径D50が0.2〜2mmの第2の粒子、および、全体組成に対する質量%で二酸化ケイ素を50wt%以上含有し、メディアン径D50が1〜500μmの第3の粒子を、第2の粒子の質量に対する第1の粒子の質量比(第1の粒子の質量/第2の粒子の質量)が0.25〜0.6、かつ、第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/(第1の粒子の質量+第2の粒子の質量))が0.05〜0.2になるように配合したスラリー体を使用する。
なお、安定化剤を含まない第1の粒子は、通常のジルコニア粒子であり、安定化剤を含む第2の粒子は安定化ジルコニア粒子である。

0045

上記のスラリー体において、メディアン径D50が大きい第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)が、焼結体の骨格をなすことにより、焼結時の寸法変化(収縮)を抑制する一方で、メディアン径D50が小さい第1の粒子(ジルコニア粒子)が、焼結体の骨格となる大きな粒子の結合点を補強するため、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度が高くなる。

0046

なお、第1の粒子と第2の粒子のうち、一方を通常のジルコニア粒子、他方を安定化ジルコニア粒子とするのは、安定化剤を含まないジルコニア粒子を用いることで、第1のセラミックス構造体2に含まれる酸化イットリウムおよび酸化セリウムの合計質量を、酸化ジルコニウムに対する質量比で0.05〜0.25とするためであり、また、スラリー体の焼結時に、全体組成に対する質量%で二酸化ケイ素を50wt%以上含有する第3の粒子と、安定化剤を含まないジルコニア粒子と、を反応させて、ジルコン(ZrSiO4)化させるためである。
ここで、メディアン径D50が小さい第1の粒子を、安定化剤を含まないジルコニア粒子とするのは、メディアン径D50が大きい第2の粒子は、焼結体の骨格をなすため、第1の粒子と、第3の粒子と、を反応させて、ジルコン(ZrSiO4)化させるためである。

0047

なお、第1の粒子(ジルコニア粒子)、および、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)は、単に粒子径が互いに異なるだけではなく、メディアン径D50が上記の範囲であることが重要である。
第1の粒子(ジルコニア粒子)のメディアン径D50が0.2μm未満だと、粒子の凝集が生じ易く、均一な分散ができなくなる結果、焼結体の骨格粒子の結合点が強化されない部位が残存するため、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度が低くなる。
本発明では、メディアン径D50が互いに異なる2種類のジルコニア粒子(第1の粒子(ジルコニア粒子)、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子))を配合してスラリー体とするため、メディアン径D50が小さい第1の粒子(ジルコニア粒子)を、イオン交換水pH調整剤、および、必要に応じて添加する有機バインダとともにボールミルで混合してスラリー前駆体とした後、該スラリー前駆体と、メディアン径D50が大きい第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)と、をプラネタリーミキサーで混合してスラリー体とすることが好ましい。なお、第3の粒子は、そのメディアン径D50に応じて、混合する段階を選択する。第3の粒子のメディアン径D50が1〜10μmの場合、第1の粒子とともに混合してスラリー前駆体とすることが好ましい。第3の粒子のメディアン径D50が10〜500μmの場合、第2の粒子とともに混合することが好ましい。

0048

第1の粒子(ジルコニア粒子)のメディアン径D50が10μm超だと、上記の手順でスラリー前駆体を作製する際に、第1の粒子が沈降するため、良好なスラリー前駆体(ジルコニア粒子が均一に分散したスラリー前駆体)を得ることができない。
また、スラリー前駆体が得られた場合でも、該スラリー前駆体を用いて作製したスラリー体を焼結した際に、焼結体の骨格粒子の接合点を十分に強化することができず、焼結体に多数の空隙が存在するため、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度が低くなる。
第1の粒子(ジルコニア粒子)は、メディアン径D50が1〜5μmであることが好ましく、2〜4μmであることがより好ましい。

0049

第1の粒子(ジルコニア粒子)は、積算ふるい下90%径(D90)が15μm以下であることが、スラリー均一性を維持し、かつ、焼結体の圧縮強度を高くするうえで好ましく、10μm以下であることがより好ましい。

0050

第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)のメディアン径D50が0.2mm未満だと、焼結時の寸法変化(収縮)が大きくなる。

0051

一方、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)のメディアン径D50が2mm超だと、第1の粒子(ジルコニア粒子)を含むスラリー前駆体と、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)と、をプラネタリーミキサーで混合する際に、第1の粒子(ジルコニア粒子)と、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)と、が均一に分散せず、所望の組成のスラリー体を得ることができない。
また、スラリー体が得られた場合でも、該スラリー体を焼結した際に、焼結体の骨格粒子としての接合面積が小さくなってしまい、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度が低くなる。
第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)は、メディアン径D50が0.25〜1.75mmであることが好ましく、0.5〜1.5mmであることがより好ましい。

0052

第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)は、積算ふるい下10%径(D10)が0.1mm以上であることが、焼結時の寸法変化(収縮)を抑制し、かつ、焼結体の圧縮強度を高くするうえで好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。

0053

また、スラリー体において、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)の質量に対する第1の粒子(ジルコニア粒子)の質量比(第1の粒子の質量/第2の粒子の質量)が0.25よりも小さいと、スラリー体を焼結した際に、焼結体の骨格粒子である粗大粒子の接合点を十分に強化することができず、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度が低くなる。

0054

一方、スラリー体において、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)の質量に対する第1の粒子(ジルコニア粒子)の質量比(第1の粒子の質量/第2の粒子の質量)が0.6よりも大きいと、焼結時の寸法変化(収縮)が大きくなる。

0055

スラリー体において、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)の質量に対する第1の粒子(ジルコニア粒子)の質量比(第1の粒子の質量/第2の粒子の質量)が0.30〜0.55であることが好ましく、0.35〜0.5であることがより好ましく、0.4〜0.5であることがさらに好ましい。

0056

本発明では、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第2のセラミックス構造体3と、の間隙に充填し、該スラリー体を焼結させることで第1のセラミックス構造体2を形成するため、スラリー体に含まれる第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)は、上述した第1のセラミックス構造体と同様の組成であり、かつ、第1のセラミックス構造体よりも、酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合が高いことが好ましい。これは、第1の粒子として、安定化剤を含まないジルコニア粒子を用いるからである。
このため、第2の粒子は、全体組成に対する質量%で酸化ジルコニウムを75wt%以上含有し、かつ、該酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合が80wt%以上の安定化ジルコニア粒子とする。

0057

第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)は、酸化ジルコニウムを除いた残部として、酸化ジルコニウムを安定化ジルコニアである立方晶ジルコニアとするために添加する安定化剤を含有する。
安定化剤としては、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム酸化カルシウム酸化エルビニウム等があるが、溶融ガラスに対する耐食性に優れる、入手が容易である、長時間高温で保持しても安定である等の理由から酸化イットリウムおよび酸化セリウムが好ましい。
安定化剤として酸化イットリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも1つを含有する場合、両者の合計含有率が6wt%以上であり、8wt%以上であることが好ましく、10wt%以上であることがより好ましい。
しかしながら、安定化剤の添加量が多すぎると、焼結が難しい、原料費が上がる等の問題がある。このため、両者の合計含有率が25wt%以下であり、20wt%以下であることが好ましい。

0058

第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)の残部としては不可避不純物等が含まれうる。また、本発明に影響を与えない限り、酸化ジルコニウムおよび安定化剤以外の他の成分を合計で8wt%程度まで第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)に含有させてもよい。このような他の成分としては、例えば焼結性向上のために添加するAl2O3やMgOが挙げられ、これらは合計で5wt%程度まで含有させることができる。

0059

第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)における酸化ジルコニウムの含有量は安定化剤の添加量によって異なるが、熱膨張係数を所定の範囲にするために75wt%以上であり、80wt%以上であることが好ましく、85wt%以上であることがより好ましい。その一方で、安定化剤の添加量との兼ね合いから、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)における酸化ジルコニウムの含有量は94wt%程度が上限となる。

0060

第1の粒子(ジルコニア粒子)は、酸化ジルコニウムを除いた残部として、不可避不純物等が含まれうる。また、本発明に影響を与えない限り、酸化ジルコニウム以外の他の成分を合計で8wt%程度まで第1の粒子(ジルコニア粒子)に含有させてもよい。このような他の成分としては、例えば焼結性向上のために添加するAl2O3やMgOが挙げられ、これらは合計で5wt%程度まで含有させることができる。

0061

上述したように、第3の粒子は、スラリー体の焼結時において、第1の粒子(ジルコニア粒子)と反応させて、ジルコン(ZrSiO4)化させるために配合する。
このため、第3の粒子は、全体組成に対する質量%で二酸化ケイ素を50wt%以上含有する。第3の粒子としては、実質的に二酸化ケイ素のみからなるシリカ粒子以外に、全体組成に対する質量%で二酸化ケイ素を50wt%以上含有するガラス粒子も使用することができる。但し、第3の粒子のうち、二酸化ケイ素以外の成分は、スラリー体の焼結後、焼結体中に残存するため、粒子中の二酸化ケイ素の含有量が高いことが好ましい。第3の粒子として、ガラス粒子を使用する場合、二酸化ケイ素を60wt%以上含有する粒子を用いることが好ましく、70wt%以上含有する粒子を用いることがより好ましい。
第3の粒子として、ガラス粒子を使用する場合、二酸化ケイ素以外の成分は特に限定されないが、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(1a,1b,1c)内を通過する溶融ガラスと同一組成のものを用いることが好ましい。

0062

第3の粒子としては、メディアン径D50が1〜500μmのシリカ粒子またはガラス粒子を用いる。メディアン径D50が1μmより小さい粒子を使用した場合、粒子の凝集が生じ易く、均一な分散ができなくなる結果、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の組成を均一にすることが難しくなるという問題がある。
一方、メディアン径D50が500μmより大きい粒子を使用した場合、焼結体中に粒子径が大きな粒子が残存するため、第1の粒子(ジルコニア粒子)同士の焼結を妨げ、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度および溶融ガラス中での耐食性が低下するという問題がある。

0063

第3の粒子として、シリカ粒子を使用する場合、メディアン径D50が5〜50μmの粒子を使用することがより好ましく、10〜30μmの粒子を使用することがさらに好ましい。
第3の粒子として、ガラス粒子を使用する場合、メディアン径D50が10〜300μmの粒子を使用することがより好ましく、20〜100μmの粒子を使用することがさらに好ましい。

0064

第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/(第1の粒子の質量+第2の粒子の質量))が0.05よりも小さいと、スラリー体の焼結時において、ジルコン(ZrSiO4)化が不十分となり、1450℃以上の溶融ガラスへの浸漬時において、セラミックス構造体を構成する粒子の微細化の進行の抑制が不十分となり、セラミックス構造体のさらなる侵食を抑制できない。
一方、第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/(第1の粒子の質量+第2の粒子の質量))が0.2よりも大きいと、第1の粒子(ジルコニア粒子)同士の焼結を妨げ、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度および溶融ガラス中での耐食性が低下するという問題がある。また、焼結によって生じるジルコン(ZrSiO4)が多くなりすぎることで、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の20〜1000℃における線熱膨張係数が小さくなるため、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管の加熱時の熱膨張が阻害され、該導管が破損するおそれがある。
なお、第3の粒子について、二酸化ケイ素換算の質量としているのは、第3の粒子としてガラス粒子を使用する場合があるからである。
スラリー体において、第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/(第1の粒子の質量+第2の粒子の質量))が0.07〜0.15であることがより好ましく、0.08〜0.12であることがさらに好ましい。

0065

また、第1の粒子の質量に対する二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/第1の粒子の質量)が0.1以上であると、スラリー体の焼結時において、1450℃以上の溶融ガラスへの浸漬の際に、ジルコン(ZrSiO4)化を十分にし、セラミックス構造体を構成する粒子の微細化の進行の抑制を十分にし、セラミックス構造体のさらなる侵食を抑制できる点で好ましい。
一方、第1の粒子の質量に対する二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/第1の粒子の質量)が0.9以下であると、第1の粒子(ジルコニア粒子)同士の焼結を妨げず、焼結体、すなわち、第1のセラミックス構造体2の圧縮強度および溶融ガラス中での耐食性を低下させない点で好ましい。
スラリー体において、第1の粒子の質量に対する二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量の質量比(二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量/第1の粒子の質量)が0.15〜0.6であることがより好ましく、0.25〜0.45であることがさらに好ましい。

0066

上述したように、本発明では、メディアン径D50が互いに異なる2種類のジルコニア粒子(第1の粒子(ジルコニア粒子)、第2の粒子(安定化ジルコニア粒子))を配合してスラリー体とするため、メディアン径D50が小さい第1の粒子(ジルコニア粒子)を、イオン交換水、pH調整剤、および、必要に応じて添加する有機バインダとともにボールミルで混合してスラリー前駆体とした後、該スラリー前駆体と、メディアン径D50が大きい第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)と、をプラネタリーミキサーで混合してスラリー体とすることが好ましい。なお、第3の粒子は、そのメディアン径D50に応じて、混合する段階を選択する。第3の粒子のメディアン径D50が1〜10μmの場合、第1の粒子とともに混合してスラリー前駆体とすることが好ましい。第3の粒子のメディアン径D50が10〜500μmの場合、第2の粒子とともに混合することが好ましい。
但し、スラリー体の調製方法はこれに限定されず、たとえば、一般的に知られる粉末やスラリーの混合方法を用いることもできる。

0067

上記のスラリー体の調製方法において、スラリー前駆体を作製する際にpH調整剤を使用するのは、イオン交換水中に第1の粒子(ジルコニア粒子)を均一に分散させるためには、pHを弱アルカリ性(pH7〜9程度)に調整する必要があるからである。
pH調整剤としては、CaO、アンモニア炭酸カリウム等を用いることができる。これらの中でもCaOが、扱いが容易であり、加熱後の残存物が少ないことから好ましい。
pH調整剤としてCaOを使用する場合、スラリー体の全体組成に対する質量%で0.01〜0.2wt%であることが好ましく、0.02〜0.1wt%であることがより好ましく、0.03〜0.5wt%であることがさらに好ましい。

0068

スラリー体には、常温での取扱性を向上させるために、必要に応じて有機バインダを配合させる。
有機バインダとしては、メチルセルロース流動パラフィンポリエチレングリコール等を用いることができる。メチルセルロースを成分とする有機バインダとしては、たとえば、信越化学工業株式会社の製品メトロースがある。
有機バインダはスラリー体の焼結時に燃焼し、飛散するため、有機バインダの配合量が高すぎると、燃焼後にカーボンとして残存する。
このため、有機バインダの配合量は、スラリー体の全体組成に対する質量%で0.5wt%以下であることが好ましく、0.3wt%以下であることがより好ましく、0.2wt%以下であることがさらに好ましい。

0069

スラリー体における第1〜第3の粒子と、イオン交換水と、の配合割合は、スラリー体の充填性、すなわち、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第2のセラミックス構造体3と、の間隙にスラリー体を充填する際の充填性、および、常温での取扱性を考慮して選択される。
スラリー体における第1〜第3の粒子と、イオン交換水と、の配合割合は、第1〜第3の粒子の合計質量に対する、イオン交換水の質量の質量%で4〜20wt%であることが好ましく、6〜15wt%であることがより好ましく、8〜12wt%であることがさらに好ましい。

0070

溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第2のセラミックス構造体3と、の間隙にスラリー体を充填した後、スラリー体に含まれるイオン交換水を除去するため、大気中で乾燥させる。
その後、1300〜1550℃の温度でスラリー体を焼結させる。
1300℃未満だと、スラリー体に含まれる第1の粒子(ジルコニア粒子)および第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)が十分に焼結せず、また、第1の粒子(ジルコニア粒子)と第3の粒子(シリカ粒子またはガラス粒子)とのジルコン(ZrSiO4)化が進行しない。一方、1550℃超だと、第1の粒子(ジルコニア粒子)と第3の粒子(シリカ粒子またはガラス粒子)とのジルコン(ZrSiO4)化が進行しない。
スラリー体の焼結温度は、1350〜1500℃であることが好ましく、1400〜1450℃であることがより好ましい。

0071

本発明において、溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管(図1の垂直管1a、水平管1b、および、図2の導管1c)と、第1のセラミックス構造体2と、の間隙を0.5mm未満とするためには、スラリー体の焼結時の寸法変化(収縮)が小さいことが求められる。この点に関して、焼結前後での体積減少率が、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、4%以下であることがさらに好ましい。すなわち焼結前後での体積率((加熱後の体積/加熱前の体積)×100)は90%以上が好ましく、93%以上がより好ましく、96%以上がさらに好ましい。

0072

本発明において、溶融ガラスから加わる膨張圧力によって溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管の変形を抑制するため、焼結体は、溶融ガラスの流通時の温度域において、十分な圧縮強度を有していることが求められる。具体的には、焼結体の1400℃における圧縮強度が5MPa以上であることが好ましく、8MPa以上であることがより好ましく、10MPa以上であることがさらに好ましい。

0073

本発明において、何らかの理由で溶融ガラス用導管構造体1を構成する導管から、特に高温の溶融ガラス、具体的には、温度が1450℃以上の溶融ガラス、が漏えいするようなことがあっても、焼結体の顕著な浸食を受けることがないように、焼結体は、温度が1450℃以上の溶融ガラスに対して、十分な耐食性を有していることが求められる。
このため、後述する実施例に記載の手順で、溶融ガラスへの浸漬試験を実施した際に、試験実施前後での、焼結体の形状変化率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。

0074

本発明のガラス製造装置は、溶融ガラスの流路の少なくとも一部として、本発明の溶融ガラス搬送設備要素を用いたものである。本発明のガラス製造装置の一例としては、溶融ガラスの流路の少なくとも一部として、本発明の溶融ガラス搬送設備要素を用いた減圧脱泡装置が挙げられる。本発明のガラス製造装置は、溶融ガラスの流路の少なくとも一部として、本発明の溶融ガラス搬送設備要素を用いたものであれば特に限定されず、上流側のガラス溶解槽や下流側の板ガラス成形装置(例えば、フロートバス)を含むものであってもよい。
なお、本発明のガラス製造装置は、溶融ガラスの流路のうち、特に高温の溶融ガラス、具体的には、温度が1450℃以上の溶融ガラスが通過する部位に、本発明の溶融ガラス搬送設備要素を用いることが好ましい。

0075

本発明で用いられる溶融ガラスは、融点ソーダライムガラスより約100℃高温である以下の無アルカリガラスが好ましい。
酸化物基準質量百分率表示で、
SiO2:50〜73%、
Al2O3:10.5〜24%、
B2O3:0〜12%、
MgO:0〜10%、
CaO:0〜14.5%、
SrO:0〜24%、
BaO:0〜13.5%、
ZrO2:0〜5%、
を含有し、MgO+CaO+SrO+BaOが8〜29.5%である無アルカリガラス。

0076

歪点が高く溶解性を考慮する場合は、好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO2:58〜66%、
Al2O3:15〜22%、
B2O3:5〜12%、
MgO:0〜8%、
CaO:0〜9%、
SrO:3〜12.5%、
BaO:0〜2%、
を含有し、MgO+CaO+SrO+BaOが9〜18%である無アルカリガラス。

0077

特に溶解性を考慮する場合は、好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO2:50〜61.5%、
Al2O3:10.5〜18%、
B2O3:7〜10%、
MgO:2〜5%、
CaO:0〜14.5%、
SrO:0〜24%、
BaO:0〜13.5%、
を含有し、MgO+CaO+SrO+BaOが16〜29.5%である無アルカリガラス。

0078

特に高歪点を考慮する場合は、好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO2:56〜70%、
Al2O3:14.5〜22.5%、
B2O3:0〜3%、
MgO:0〜10%、
CaO:0〜9%、
SrO:0〜15.5%、
BaO:0〜2.5%、
を含有し、MgO+CaO+SrO+BaOが10〜26%である無アルカリガラス。

0079

特に高歪点であり溶解性も考慮する場合は、好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO2:54〜73%、
Al2O3:10.5〜22.5%、
B2O3:1.5〜5.5%、
MgO:0〜10%、
CaO:0〜9%、
SrO:0〜16%、
BaO:0〜2.5%、
を含有し、MgO+CaO+SrO+BaOが8〜25%である無アルカリガラス。

0080

本発明のガラス物品の製造方法の一実施態様は、前述した溶融ガラス搬送設備要素を含むガラス製造装置によって、ガラス原料を、加熱して溶融ガラスを得て、その溶融ガラスを成形し徐冷してガラス物品を得るガラス物品の製造方法である。本発明のガラス物品の製造方法は、溶融ガラスの流路の少なくとも一部として、前述の溶融ガラス搬送設備要素を用いたものであれば特に限定されない。なお、本発明のガラス物品の製造方法は、溶融ガラスの流路のうち、特に高温の溶融ガラス、具体的には、温度が1450℃以上の溶融ガラスが通過する部位に、前述の溶融ガラス搬送設備要素を用いることが好ましい。
溶融工程>
ガラス原料の溶融方法は、ガラス原料を溶融する公知の方法が適用でき、特に限定されない。例えば、ガラス原料の溶融は、シーメンス型やるつぼ型のガラス溶融炉を用いる。

0081

具体的には、ガラス溶融炉内にガラス原料を投入し、加熱して融解を進行させ、徐々に溶融ガラスとする。ガラス溶融炉内に溶融ガラスが存在する場合は、溶融ガラスの液面上にガラス原料を投入し、ガラス原料が塊(バッチ山、batch pileともいう。)となったものをバーナー等によって加熱して溶融する。
大型の装置を用いて大量のガラスを製造する場合などには、ガラス原料として、バッチ原料ガラス板などを破砕して得られるカレットを混合して投入してもよい。
溶融工程において、溶融ガラスの清澄や溶融ガラスの温度調整を行う工程に溶融ガラスを移送する部分に前述の本発明の溶融ガラス搬送設備要素を用いることができる。溶融ガラスの清澄を、減圧脱泡装置を用いて行う場合に溶融ガラスを減圧装置に移送したり、減圧装置から排出する部分にも前述の本発明の溶融ガラス搬送設備要素を用いることができる。
また、成形工程に溶融ガラスを移送する部分に前述の本発明の溶融ガラス搬送設備要素を用いることができる。

0082

<成形工程および徐冷工程>
図3は本発明のガラス物品の製造方法の一例を示す流れ図である。符号S1はガラス溶融工程である。
まず、ガラス溶融工程S1で得た溶融ガラスを、成形工程S2で目的の形状に成形した後、徐冷工程S3にて徐冷する。その後、必要に応じて後加工工程S4において切断や研磨など、公知の方法で後加工を施すことによりガラス物品G5が得られる。
ガラス物品が板状の物品である場合、成形工程S2はフロート法ダウンドロー法フュージョン法等の公知の方法で行うことができる。フロート法は、溶融スズ上で溶融ガラスを板状に成形する方法である。徐冷工程S3も公知の方法で行うことができる。本発明のガラス物品の製造方法を用いることにより、導管の亀裂発生防止、および、溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形防止を達成し、かつ、何らかの理由で溶融ガラスが漏えいするようなことがあっても、侵食され難いセラミックス構造体を有するので、良好な品質のガラス物品を安定的に得ることができる。

0083

<ガラス物品>
本発明の方法で製造されるガラス物品は、前記した組成を有する溶融ガラスからなるガラス物品であることが好ましい。

0084

本発明のガラス物品は板状のガラス物品であることが好ましい。板状のガラス物品はディスプレイ基板等に用いられる。

0085

(例1〜8)
以下において例4〜6は実施例、例1〜3、例7、8は比較例である。
第1粒子として、メディアン径D50が4.3μmである完全安定化ジルコニア粒子F1、およびメディアン径D50が各々4.1μm、31μmである通常のジルコニア粒子F2及びF3を準備した。なお、これらの粒子のうち、粒子F1、F2が本発明における第1の粒子(ジルコニア粒子)のメディアン径D50を満たしている。一方で粒子F1は、安定化剤として酸化イットリウムを16.5wt%含有しており、酸化ジルコニウムの含有率は82wt%であり、本発明における第1の粒子(ジルコニア粒子)の酸化ジルコニウム90wt%以上を満たしていない。粒子F2は酸化ジルコニウムを99.5%含有し、本発明における第1の粒子(ジルコニア粒子)の酸化ジルコニウム90wt%以上を満たしている。粒子F3は本発明における第1の粒子(ジルコニア粒子)のメディアン径D50を満たしていないが、酸化ジルコニウムの含有率は98wt%であり、本発明における第1の粒子(ジルコニア粒子)の酸化ジルコニウム90wt%以上を満たしている。
粒子F1、F2及びF3:76.85%、イオン交換水:23%、CaO(pH調整剤):0.05%、メトロース(有機バインダ、信越化学工業株式会社製):0.1%の質量比で配合し、ジルコニア製のポットボールを用いて、ボールミル混合を3時間行い、スラリー前駆体を作製した。

0086

第2粒子として、メディアン径D50が0.42mmである完全安定化ジルコニア粒子Cを準備した。粒子Cは本発明における第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)のメディアン径D50を満たしている。粒子Cは、安定化剤として酸化イットリウムを8wt%含有しており、酸化ジルコニウムの含有率は90wt%であり、酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合は95wt%であった。本発明における第2の粒子(安定化ジルコニア粒子)の酸化ジルコニウム75wt%以上、酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合80wt%以上、酸化イットリウム6〜25wt%を満たしている。

0087

第3粒子として、メディアン径D50が0.2mmであるガラス粒子G1、およびメディアン径D50が24μmであるシリカ粒子G2を準備した。粒子G1、G2は本発明における第3の粒子のメディアン径D50を満たしている。
粒子G1は、二酸化ケイ素を59.5wt%含有しており、粒子G2は二酸化ケイ素を99.5wt%含有している。本発明における第3の粒子の二酸化ケイ素50wt%以上を満たしている。
これらの粒子を、質量比で第1の粒子/第2の粒子が0.43、質量比で第3の粒子/第1の粒子、および第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3粒子の質量比(第3の粒子/(第1の粒子+第2の粒子))が表1の値となるように、プラネタリーミキサーを用いて、上記の手順で得られたスラリー前駆体と、第2、第3の粒子とを20分間混合してスラリー体を得た。

0088

上記の手順で作製したスラリー体の例1〜8については、内径:25mm、高さ:30mmの円柱形の型に充填し、大気中で10時間乾燥させた後、80℃に加熱した恒温槽を用いて24時間乾燥させた。乾燥の後、型を外し円柱形の試料を得た。この円柱形試料を1400℃の大気中に10時間保持し、スラリー体を焼結させた後、1400℃の大気中における圧縮強度(MPa)を下記手順で測定した。
(圧縮強度の測定方法
圧縮強度の測定は門型万能試験機島津製作所製:オートグラフ)を用い、円柱型試料をアルミナ治具を介して炉内(大気雰囲気)にて圧縮することによって実施した。なお、クロスヘッドの移動速度は毎分0.5mmとし、最高負荷を圧縮強度とした。これらの測定によって得られた結果を表1にまとめた。

0089

(ガラス耐食性の評価)
上記の手順で作製した例1〜8のスラリー体を、長さ100mm、幅20mm、高さ10mmの型に充填し、大気中で10時間乾燥させた後、80℃に加熱した恒温槽を用いて24時間乾燥させた。乾燥の後、1500℃の大気中に10時間保持し、スラリー体を焼結させて棒状試料を得た。該棒状試料を300ccの白金るつぼの中央に立て、周囲にガラスを充填した後、1500℃の大気中で100時間保持した。その後、常温まで徐冷してコアドリルで棒状試料をくり抜き、縦に半分に切断して断面観察を行なった。本評価では、棒状の形状を維持できているものをガラスに対する耐食性が高いと判断する。一方、崩れてジルコニア粒子が底にたまってしまっているものはガラスに耐食性が悪いと判断する。図4〜11は、例1〜8のガラス耐食性評価後の断面写真である。
(スラリー体の焼結時の収縮率の評価)
以下の手順で、スラリー体の焼結時の体積減少率として収縮率の評価を行った。上記の手順で作成した乾燥後の棒状試料の長辺の長さLを測定した。その棒状試料を1500℃の大気中に10時間保持し、長辺の長さL’を測定した。例1〜8のスラリー体について、これらのL、L’に基づいて、収縮率(%)を式{1−(L’/L)3}x100によって求めた。

0090

0091

表に示すように、第1の粒子に本発明のD50を満たす粒子F1、F2を使用し、第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3粒子の質量比(第3の粒子/(第1の粒子+第2の粒子))が0.05〜0.2を満たす例2〜6は、いずれも1400℃における圧縮強度が10MPa以上であった。
一方、質量比(第3の粒子/(第1の粒子+第2の粒子))が0.2よりも大きい例7では、1400℃における圧縮強度が4.8MPaと低かった。
また、第1の粒子のD50が10μmより大きい粒子F3を使用した例8では、1400℃における圧縮強度が2.1MPaと低かった。

0092

第1の粒子に本発明のD50および酸化ジルコニウムの含有率90%以上を満たす粒子F2を使用し、第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量比(第3の粒子/(第1の粒子+第2の粒子))が0.05〜0.2を満たす例4〜6(図7〜9)は、1500℃の溶融ガラスに対する耐食性が高かった。
一方、第1の粒子に酸化ジルコニウムの含有率が90%よりも低い粒子F1を使用した例1〜3(図4〜6)では、試料の原形を止めず、1500℃の溶融ガラスに対する耐食性が低かった。
また、質量比(第3粒子/(第1粒子+第2粒子))が0.2よりも大きい例7(図10)では、1500℃の溶融ガラスに対する耐食性が低かった。
また、第1の粒子のD50が10μmより大きい粒子F3を使用した例8(図11)では、1500℃の溶融ガラスに対する耐食性が低かった。
さらに、例1〜8の収縮率(%)の測定結果は、例1が0.6、例2が3.3、例3が2.1、例4が3.8、例5が2.7、例6が3.6、例7が6.2、例8が1.2となった。

0093

(例9〜17)
以下において例9、10、13、14は実施例、例11、12、15〜17は比較例である。
第1粒子として、メディアン径D50が4.1μmである完全安定化ジルコニア粒子F2を準備した。F2は、前述したように本発明における第1の粒子の条件を満たしている。
粒子F2:76.85%、イオン交換水:23%、CaO(pH調整剤):0.05%、メトロース(有機バインダ、信越化学工業株式会社製):0.1%の質量比で配合し、ジルコニア製のポットとボールを用いて、ボールミル混合を3時間行い、スラリー前駆体を作製した。

0094

第2粒子として、メディアン径D50が0.42μm、0.28μm、1.65μm、0.11μm、3.00μmである完全安定化ジルコニア粒子C、D、E、F、Gを準備した。これらの粒子のうち、粒子C、D、Eが本発明における第2の粒子のメディアン径D50を満たしている。粒子C、D、E,F、Gは、安定化剤として酸化イットリウムを8wt%含有しており、酸化ジルコニウムの含有率は90wt%であり、酸化ジルコニウムに占める立方晶ジルコニアの割合は95wt%であり、本発明における第2の粒子の条件を満たしている。

0095

第3粒子として、メディアン径D50が24μmであるシリカ粒子G2を準備した。粒子G2は前述の通り、本発明における第3の粒子の条件を満たしている。
これらの粒子を、質量比で第1の粒子/第2の粒子、質量比で第3の粒子/第1の粒子、第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3粒子の質量比(第3の粒子/(第1の粒子+第2の粒子))が表2の値となるように、プラネタリーミキサーを用いて、上記の手順で得られたスラリー前駆体と、第2、第3の粒子とを20分間混合してスラリー体を得た。

0096

上記の手順で作製したスラリー体の例9〜17については、例1〜8と同じ方法によって、圧縮強度、ガラス耐食性、収縮率の評価を行った。図12〜20は、例9〜17のガラス耐食性評価後の断面写真である。

0097

0098

表に示すように、第1の粒子に本発明のD50を満たす粒子F2を使用し、第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3粒子の質量比(第3の粒子/(第1の粒子+第2の粒子))が0.05〜0.2を満たす例9〜11、13〜15は、いずれも1400℃における圧縮強度が10MPa以上であった。
一方、質量比(第1の粒子/第2の粒子)が0.25よりも小さい例12では、1400℃における圧縮強度が4.1MPaと低かった。

0099

第1の粒子に本発明のD50および酸化ジルコニウムの含有率90%以上を満たす粒子F2を使用し、第1の粒子および第2の粒子の合計質量に対する、二酸化ケイ素換算の第3の粒子の質量比(第3の粒子/(第1の粒子+第2の粒子))が0.05〜0.2を満たす例9、10、13、14(図12、13、16、17)は、1500℃の溶融ガラスに対する耐食性が高かった。
一方、質量比(第1粒子/第2粒子)が0.6よりも大きい例11と、質量比(第1粒子/第2粒子)が0.25よりも小さい例12(図15)、第2粒子の本発明のD50を満足しない例15、16(図18、19)では、1500℃の溶融ガラスに対する耐食性が低かった。
また、第3の粒子を使用しない例17(図20)では、1500℃の溶融ガラスに対する耐食性が低かった。
さらに、例9〜17の収縮率(%)は、例9が5.6、例10が2.4、例11が12.9、例12が1.5、例13が8.4、例14が2.7、例15が7.0、例16が2.1、例17が1.9となった。例13の収縮率は、他の例に比べて大きいが好ましい範囲になった。例11の収縮率は、他の例に比べて顕著に大きくなった。

実施例

0100

本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2012年11月12日出願の日本特許出願2012−248210に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

0101

1,1a,1b,1c:導管
2:第1のセラミックス構造体
3:第2のセラミックス構造体

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