図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2016年9月8日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

200℃程度の使用温度にて安定した耐熱強度性を示し、生産性に優れたアルミニウム合金鋳物製コンプレッサーインペラーを提供する。

解決手段

ボス部、複数の羽根部及びディスク部を備えるAl合金鋳物コンプレッサーインペラーにおいて、この鋳物が、Cu:1.4〜3.2mass%(以下、「%」)、Mg:1.0〜2.0%、Ni:0.5〜2.0%、Fe:0.5〜2.0%、Ti:0.01〜0.35%を含有するAl合金からなり、ボス部、羽根部、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔が20〜50μm、10〜35μm、5〜25μmであり、ボス部、羽根部、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔の最大値をAmax、Bmax、CmaxとしてAmax>Bmax>Cmaxの関係を満たし、200℃における0.2%耐力値が260MPa以上であるAl合金鋳物製コンプレッサーインペラー及びその製造方法。

概要

背景

自動車船舶用内燃機関に用いられるターボチャージャーには、高速回転によって空気を圧縮して内燃機関に供給するためのコンプレッサーインペラーが設けられている。このコンプレッサーインペラーは、高速回転中には150℃程度の高温に達し、さらに回転中心近傍、特にディスク部には回転軸からのねじり応力遠心力などによる高い応力が発生する。

コンプレッサーインペラーは、ターボチャージャーの要求性能に応じて種々の素材によって形成される。船舶用などの大型の用途には通常アルミニウム合金熱間鍛造材からインペラー形状に削り出したものが使用されている。乗用車トラックなどの自動車用小型船舶用などの比較的小型なものは、大量生産性コストが重視される。そのため、鋳造性の良好なJIS−AC4CH(Al−7%Si−0.3%Mg合金)、ASTM−354.0(Al−9%Si−1.8%Cu−0.5%Mg合金)、ASTM−C355.0(Al−5%Si−1.3%Cu−0.5%Mg合金)等、Siを主要添加元素とした易鋳造性アルミニウム合金を、石膏型プラスターモールド)を用いて低圧鋳造法減圧鋳造法又は重力鋳造法などによって鋳造し、これを溶体化処理時効処理により強化したものが広く使用されている。この基本的な製造方法は、特許文献1に詳細に開示されている。

近年になって、エンジンの小型化、高出力化排気再循環量増加に伴う空気の高圧縮比化が要求される中、ターボチャージャーのより高速な回転が指向されている。しかしながら、回転数の増大によって空気の圧縮による発熱量が増加し、また排気側タービンインペラーも同時に高温化するため、その伝熱によりコンプレッサーインペラーに発生する温度は増大する。このため、上述の従来用いられていたSiを主要添加元素とした易鋳造性アルミニウム合金製のコンプレッサーインペラーでは使用中に変形したり、更には疲労破壊したりする不具合が発生し易く、正常な回転の継続が不可能となることが判明した。具体的には、これらの既存のコンプレッサーインペラーでは150℃程度が使用可能な温度の上限であるが、上述の高速回転指向のため、200℃程度でも使用可能なコンプレッサーインペラーの開発が強く望まれている。

そこで、アルミニウム合金組成をより高温強度の優れた、例えばJIS−AC1B(Al−5%Cu−0.3%Mg合金)などに変更することが考えられる。しかしながら、特許文献2に記載されているように、コンプレッサーインペラーのように複雑形状で、かつ薄肉羽根の部分を有する場合には、同合金では溶湯の良好な流動性欠け、薄肉部への湯回り不良(充填不良)が発生し易い問題点があった。

特許文献2では上記問題点を解消すべく、湯回り性の重要視される羽根部にはAC4CHなどのAl−Si系の易鋳造性の合金を用い、強度の必要な回転軸に結合されるボス部からディスク部にかけてはAC1BなどのAl−Cu系の高強度の合金を用いて、これらを2回に分けて注湯して合体させ、コンプレッサーインペラーを形成する方法が提案されている。

また、特許文献3には、羽根部には鋳造性の良好な合金を用い、応力が加わるボス部からディスク部中央部にかけては25%Bを含有するアルミニウムウィスカーなどの強化材にアルミニウムを含浸させて強化した強化複合材を別途製造して用い、これらを接合してコンプレッサーインペラーを形成する方法が提案されている。

特許文献4には、羽根部とボス部(及びディスク部)を摩擦圧接によって接合する方法が提案されている。しかしながら、これら各部に異なる材料を併用する方法では、生産性が劣りコスト増加となる問題点が残り、未だに工業化は達成されていない。

このような異なる材料を用いる問題点に鑑み、特許文献5には、Al−Cu−Mg基合金の添加元素とその組み合わせの範囲を適正化することで単一合金での鋳造を可能とし、180℃での耐力値を250MPa以上としたコンプレッサーインペラーが提案されている。特許文献6には、Al−Cu−Mg基合金の添加元素とその組み合わせの範囲を更に適正化して結晶粒径を制御することで鋳造歩留まりを改善し、200℃での耐力値を260MPa以上としたコンプレッサーインペラーが提案されている。

しかしながら、上記Al−Cu−Mg基合金の単一合金鋳造においては、ターボチャージャーの更なる高速回転化に伴い、200℃付近での高温使用に対して長期間にわたって安定して耐えられることが課題となっている。また、安定した生産性の確保のために、鋳造歩留の向上も課題として残っている。

概要

200℃程度の使用温度にて安定した耐熱強度性を示し、生産性に優れたアルミニウム合金鋳物製コンプレッサーインペラーを提供する。ボス部、複数の羽根部及びディスク部を備えるAl合金鋳物製コンプレッサーインペラーにおいて、この鋳物が、Cu:1.4〜3.2mass%(以下、「%」)、Mg:1.0〜2.0%、Ni:0.5〜2.0%、Fe:0.5〜2.0%、Ti:0.01〜0.35%を含有するAl合金からなり、ボス部、羽根部、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔が20〜50μm、10〜35μm、5〜25μmであり、ボス部、羽根部、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔の最大値をAmax、Bmax、CmaxとしてAmax>Bmax>Cmaxの関係を満たし、200℃における0.2%耐力値が260MPa以上であるAl合金鋳物製コンプレッサーインペラー及びその製造方法。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、200℃程度の使用温度においても長期間にわたって安定した強度が得られ、かつ生産性に優れたアルミニウム合金(以下、「Al合金」と記す)鋳物製コンプレッサーインペラー及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ボス部、複数の羽根部及びディスク部を備えるAl合金鋳物コンプレッサーインペラーにおいて、前記Al合金鋳物が、Cu:1.4〜3.2mass%、Mg:1.0〜2.0mass%、Ni:0.5〜2.0mass%、Fe:0.5〜2.0mass%、Ti:0.01〜0.35mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl合金からなり、前記ボス部の二次デンドライトアーム間隔が20〜50μmであり、前記羽根部の二次デンドライトアーム間隔が10〜35μmであり、前記ディスク部の二次デンドライトアーム間隔が5〜25μmであり、前記ボス部の二次デンドライトアーム間隔の最大値Amaxと、前記羽根部の二次デンドライトアーム間隔の最大値Bmaxと、前記ディスク部の二次デンドライトアーム間隔の最大値Cmaxとが、Amax>Bmax>Cmaxの関係を満たし、200℃における0.2%耐力値が260MPa以上であることを特徴とするAl合金鋳物製コンプレッサーインペラー。

請求項2

型用途に用いられ、前記ボス部の高さが200〜80mm、ディスク部の直径が300〜100mm、羽根部の高さが180〜60mm、羽根先端肉厚が4.0〜0.4mm及び羽根の枚数が30〜10枚である、請求項1に記載のAl合金鋳物製コンプレッサーインペラー。

請求項3

小型用途に用いられ、前記ボス部の高さが100〜20mm、ディスク部の直径が120〜25mm、羽根部の高さが90〜5mm、羽根先端肉厚が3.0〜0.1mm及び羽根の枚数が20〜4枚である、請求項1に記載のAl合金鋳物製コンプレッサーインペラー。

請求項4

請求項1〜3に記載のいずれか一項に記載のAl合金鋳物製コンプレッサーインペラーの製造方法において、Cu:1.4〜3.2mass%、Mg:1.0〜2.0mass%、Ni:0.5〜2.0mass%、Fe:0.5〜2.0mass%、Ti:0.01〜0.35mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる720〜780℃のAl合金溶湯を調製する溶湯調製工程と;調製したAl合金溶湯を、200〜350℃の石膏型インペラーディスク面に接する面に配置された100〜250℃の冷やし金とで構成される製品形状の空間に圧入する圧力鋳造法によりAl合金鋳物を鋳造する鋳造工程であって、石膏型の温度と冷やし金の温度が、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満たす鋳造工程と;当該Al合金鋳物を溶体化処理する溶体化処理工程と;溶体化処理したAl合金鋳物を時効処理する時効処理工程と;を備えることを特徴とするAl合金鋳物製コンプレッサーインペラーの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、自動車船舶内燃機関用ターボチャージャーに使用される、アルミニウム合金鋳物製のコンプレッサーインペラー及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

自動車や船舶用内燃機関に用いられるターボチャージャーには、高速回転によって空気を圧縮して内燃機関に供給するためのコンプレッサーインペラーが設けられている。このコンプレッサーインペラーは、高速回転中には150℃程度の高温に達し、さらに回転中心近傍、特にディスク部には回転軸からのねじり応力遠心力などによる高い応力が発生する。

0003

コンプレッサーインペラーは、ターボチャージャーの要求性能に応じて種々の素材によって形成される。船舶用などの大型の用途には通常アルミニウム合金熱間鍛造材からインペラー形状に削り出したものが使用されている。乗用車トラックなどの自動車用小型船舶用などの比較的小型なものは、大量生産性コストが重視される。そのため、鋳造性の良好なJIS−AC4CH(Al−7%Si−0.3%Mg合金)、ASTM−354.0(Al−9%Si−1.8%Cu−0.5%Mg合金)、ASTM−C355.0(Al−5%Si−1.3%Cu−0.5%Mg合金)等、Siを主要添加元素とした易鋳造性アルミニウム合金を、石膏型プラスターモールド)を用いて低圧鋳造法減圧鋳造法又は重力鋳造法などによって鋳造し、これを溶体化処理時効処理により強化したものが広く使用されている。この基本的な製造方法は、特許文献1に詳細に開示されている。

0004

近年になって、エンジンの小型化、高出力化排気再循環量増加に伴う空気の高圧縮比化が要求される中、ターボチャージャーのより高速な回転が指向されている。しかしながら、回転数の増大によって空気の圧縮による発熱量が増加し、また排気側タービンインペラーも同時に高温化するため、その伝熱によりコンプレッサーインペラーに発生する温度は増大する。このため、上述の従来用いられていたSiを主要添加元素とした易鋳造性アルミニウム合金製のコンプレッサーインペラーでは使用中に変形したり、更には疲労破壊したりする不具合が発生し易く、正常な回転の継続が不可能となることが判明した。具体的には、これらの既存のコンプレッサーインペラーでは150℃程度が使用可能な温度の上限であるが、上述の高速回転指向のため、200℃程度でも使用可能なコンプレッサーインペラーの開発が強く望まれている。

0005

そこで、アルミニウム合金組成をより高温強度の優れた、例えばJIS−AC1B(Al−5%Cu−0.3%Mg合金)などに変更することが考えられる。しかしながら、特許文献2に記載されているように、コンプレッサーインペラーのように複雑形状で、かつ薄肉羽根の部分を有する場合には、同合金では溶湯の良好な流動性欠け、薄肉部への湯回り不良(充填不良)が発生し易い問題点があった。

0006

特許文献2では上記問題点を解消すべく、湯回り性の重要視される羽根部にはAC4CHなどのAl−Si系の易鋳造性の合金を用い、強度の必要な回転軸に結合されるボス部からディスク部にかけてはAC1BなどのAl−Cu系の高強度の合金を用いて、これらを2回に分けて注湯して合体させ、コンプレッサーインペラーを形成する方法が提案されている。

0007

また、特許文献3には、羽根部には鋳造性の良好な合金を用い、応力が加わるボス部からディスク部中央部にかけては25%Bを含有するアルミニウムウィスカーなどの強化材にアルミニウムを含浸させて強化した強化複合材を別途製造して用い、これらを接合してコンプレッサーインペラーを形成する方法が提案されている。

0008

特許文献4には、羽根部とボス部(及びディスク部)を摩擦圧接によって接合する方法が提案されている。しかしながら、これら各部に異なる材料を併用する方法では、生産性が劣りコスト増加となる問題点が残り、未だに工業化は達成されていない。

0009

このような異なる材料を用いる問題点に鑑み、特許文献5には、Al−Cu−Mg基合金の添加元素とその組み合わせの範囲を適正化することで単一合金での鋳造を可能とし、180℃での耐力値を250MPa以上としたコンプレッサーインペラーが提案されている。特許文献6には、Al−Cu−Mg基合金の添加元素とその組み合わせの範囲を更に適正化して結晶粒径を制御することで鋳造歩留まりを改善し、200℃での耐力値を260MPa以上としたコンプレッサーインペラーが提案されている。

0010

しかしながら、上記Al−Cu−Mg基合金の単一合金鋳造においては、ターボチャージャーの更なる高速回転化に伴い、200℃付近での高温使用に対して長期間にわたって安定して耐えられることが課題となっている。また、安定した生産性の確保のために、鋳造歩留の向上も課題として残っている。

先行技術

0011

米国特許第4,556,528号明細書
特開平10−58119号公報
特開平10−212967号公報
特開平11−343858号公報
特開2005−206927号公報
特開2012−25986号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、200℃程度の使用温度においても長期間にわたって安定した強度が得られ、かつ生産性に優れたアルミニウム合金(以下、「Al合金」と記す)鋳物製コンプレッサーインペラー及びその製造方法を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0013

本発明の特徴は、ボス部、複数の羽根部及びディスク部を備えるAl合金鋳物製コンプレッサーインペラーにおいて、前記Al合金鋳物が、Cu:1.4〜3.2mass%、Mg:1.0〜2.0mass%、Ni:0.5〜2.0mass%、Fe:0.5〜2.0mass%、Ti:0.01〜0.35mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl合金からなり、前記ボス部の二次デンドライトアーム間隔が20〜50μmであり、前記羽根部の二次デンドライトアーム間隔が10〜35μmであり、前記ディスク部の二次デンドライトアーム間隔が5〜25μmであり、前記ボス部の二次デンドライトアーム間隔の最大値Amaxと、前記羽根部の二次デンドライトアーム間隔の最大値Bmaxと、前記ディスク部の二次デンドライトアーム間隔の最大値Cmaxとが、Amax>Bmax>Cmaxの関係を満たし、200℃における0.2%耐力値が260MPa以上であることを特徴とするAl合金鋳物製コンプレッサーインペラーとする。

0014

本発明の更なる特徴は、大型用途に用いられ、前記ボス部の高さが200〜80mm、ディスク部の直径が300〜100mm、羽根部の高さが180〜60mm、羽根先端肉厚が4.0〜0.4mm及び羽根の枚数が30〜10枚である。

0015

本発明の別の特徴は、小型用途に用いられ、前記ボス部の高さが100〜20mm、ディスク部の直径が120〜25mm、羽根部の高さが90〜5mm、羽根先端肉厚が3.0〜0.1mm及び羽根の枚数が20〜4枚である。

0016

本発明の更に別の特徴は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のAl合金鋳物製コンプレッサーインペラーの製造方法において、Cu:1.4〜3.2mass%、Mg:1.0〜2.0mass%、Ni:0.5〜2.0mass%、Fe:0.5〜2.0mass%、Ti:0.01〜0.35mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる720〜780℃のAl合金溶湯を調製する溶湯調製工程と;調製したAl合金溶湯を、200〜350℃の石膏型とインペラーディスク面に接する面に配置された100〜250℃の冷やし金とで構成される製品形状の空間に圧入する圧力鋳造法によりAl合金鋳物を鋳造する鋳造工程であって、石膏型の温度と冷やし金の温度が、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満たす鋳造工程と;当該Al合金鋳物を溶体化処理する溶体化処理工程と;溶体化処理したAl合金鋳物を時効処理する時効処理工程と;を備えることを特徴とするAl合金鋳物製コンプレッサーインペラーの製造方法とする。

発明の効果

0017

本発明によれば、200℃付近での高温領域においても長期間にわたって安定した耐熱強度を示し、かつ、鋳造歩留などの生産性に優れたアルミニウム合金鋳物製コンプレッサーインペラーを得ることができる。

図面の簡単な説明

0018

本発明に係るAl合金鋳物製コンプレッサーインペラーの構造の一例を示す斜視図である。
本発明に係るAl合金鋳物製コンプレッサーインペラー内部のDAS測定箇所を示す説明図である。

0019

以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。

0020

A.Al合金鋳物製コンプレッサーインペラーの形状
図1に本実施形態に係るアルミニウム合金鋳物製コンプレッサーインペラー(以下、単に「コンプレッサーインペラー」と記す)の形状の一例を示す。コンプレッサーインペラー1は、回転中心軸(ボス部)2と、これに一体に連なるディスク部3と、このディスク部3から突出する複数枚の薄肉の羽根4を有する。このコンプレッサーインペラー1の温度は、高速回転中には200℃程度の高温に達し、回転中心の近傍、特にディスク部や羽根部には回転軸からのねじり応力や遠心力などによる高い応力が発生する。

0021

本発明者等は、上述の課題を解決するために種々実験検討を重ねた結果、アルミニウム合金において、鋳造中冷却速度分布を制御し、コンプレッサーインペラー内部の二次デンドライトアーム間隔分布を適正化することで鋳造歩留を格段に向上させ、かつ、200℃程度の高温使用時においても、ディスク部及び羽根部での破損のなく耐熱強度が長期間にわたって安定して優れているコンプレッサーインペラーが得られることを見出した。

0022

なお、本発明において「耐熱強度が長期間にわたって安定して優れる」とは200℃程度での使用温度でも、変形や疲労破壊が長期間にわたって発生しないことを意味する。具体的には、200℃での引張試験により得られる0.2%耐力値が260MPa以上、かつ、200℃、15万rpm×200時間でのターボ組み付け耐久試験による破損が無いこととする。

0023

B.二次デンドライトアーム間隔
本発明で用いるアルミニウム合金は、従来のAl−Si系アルミニウム合金鋳物の製造方法に準じて、石膏型(プラスターモールド)を使用し圧力鋳造法(低圧鋳造法、減圧鋳造法又は差圧鋳造法)によってコンプレッサーインペラー形状に鋳造される。

0024

この石膏型を使用した圧力鋳造法では、各鋳物内部の最大二次デンドライトアーム間隔がディスク部で25μm以下、羽根部で35μm以下、ボス部で50μm以下となるように凝固条件を制御する必要がある。これは、コンプレッサーインペラーの回転の加減速により発生する繰り返し応力による疲労破壊を防止するためである。二次デンドライトアーム間隔が各部位で上記数値を超えると、粗大なデンドライトアーム境界に沿って線状に分布する金属間化合物に沿って疲労亀裂が発生・進展し易い。特に、ディスク部と羽根部は肉厚が薄い上に回転に伴う引張応力が加わるため、デンドライトアーム間隔の上限値はボス部より小さくする必要がある。ディスク部は羽根部からのねじり応力も加わるため、ディスク部のデンドライトアーム間隔の上限値は、羽根部における上限値より小さくする必要がある。なお、デンドライトとは金属が凝固中に形成する樹枝状の固層形であり、樹枝から出る枝を二次デンドライトアームという。

0025

上述のように、二次デンドライトアーム間隔を小さくするためには冷却速度を増加する必要がある。しかしながら、冷却速度を増加して凝固時間を短くし過ぎると凝固過程での押し湯効果が有効に作用しなくなり、凝固収縮による引け巣の残存及び寸法精度の悪化が生じ易くなる。特に、コンプレッサーホイールのような肉厚の薄い複雑形状の鋳物品の鋳造歩留や寸法精度を十分に確保するためには、ある程度の凝固時間を確保する必要がある。具体的には、ボス部で20μm以上、羽根部で10μm以上、ディスク部で5μm以上の二次デンドライトアーム間隔となるような冷却速度に調整する必要がある。

0026

C.冷却速度の制御
上述のような二次デンドライトアーム間隔分布を得るためには、石膏型に圧入する溶湯の温度、ならびに、コンプレッサーホイール内の冷却速度を制御することが必要である。溶湯は、720〜780℃に温度調整する必要がある。また、コンプレッサーホイール内の冷却速度の制御は、冷やし金(チルプレート)の温度、石膏型の予熱温度、ならびに、鋳造温度を適正化することにより可能となる。具体的には、ディスク面に接する面に100〜250℃に温度調整した金属製の冷やし金を配置し、石膏型の予熱温度を200〜350℃とする必要がある。以上のように、溶湯、冷やし金及び石膏型の温度を設定することにより、上記のようなボス部で20μm〜50μm、羽根部で10μm〜35μm、ディスク部で5μm〜25μmの二次デンドライトアーム間隔の範囲を達成することができる。

0027

溶湯の温度が720℃未満では、圧入された溶湯が製品形状空間内で早期に凝固することから湯回り不良が生じて製品形状が確保できなくなる。一方、溶湯の温度が780℃を超えると溶湯の酸化が進行して水素ガスの吸収および酸化物の増加により溶湯品質が悪化し、製品強度を確保することが困難となる。石膏型の予熱温度が200℃未満では、型の先端に溶湯が充填される前に凝固が進行してしまうため湯回り不良が生じて製品形状が確保できなくなる。一方、石膏型の予熱温度が350℃を超えると、石膏型内での凝固が遅くなり引け巣不良が発生することとなる。また、冷やし金の温度が100℃未満では、凝固の進行が速すぎて湯回り不良が生じることとなる。一方、冷やし金の温度が250℃を超えると、冷やし金からの凝固が遅くなり引け巣不良が発生することとなる。

0028

なお、冷やし金の材質は、熱伝導率が高い銅及び銅合金が好ましいが、鉄、ステンレス鋼なども使用できる。また、冷やし金の温度調整には、冷やし金内部に水などの冷却媒体を通して鋳造中の過熱を抑制する機構を用いるのが好ましい。

0029

D.各部における二次デンドライトアーム間隔の最大値の関係
引け巣に起因する内部欠陥を低減して鋳造歩留を向上するためには、コンプレッサーホイール内部での凝固順序も重要であり、冷やし金に接しているディスク部からボス部に向かう一方向凝固を達成させることでボス部及びディスク部での引け巣欠陥を防止することができる。また、羽根部の引け巣欠陥を防ぐためにはボス部が凝固する前に羽根部での凝固が完了している必要がある。すなわち、ディスク部、羽根部、ボス部をこの順序で凝固させる必要がある。

0030

ここで、凝固が一番遅い部分の二次デンドライトアーム間隔が最も大きくなることから、上記ディスク部→羽根部→ボス部の凝固順序を満たすためには、ボス部の二次デンドライトアーム間隔の最大値Amax、羽根部の二次デンドライトアーム間隔の最大値Bmax、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔の最大値Cmaxにおいて、Amax>Bmax>Cmaxの関係を満たすことが望ましい。この関係を得るためには、冷やし金の温度を、石膏型の温度から50℃低い温度未満に設定することで達成できる。冷やし金の温度が、石膏型の温度から50℃低い温度以上の場合には、冷やし金に近いディスク部よりも羽根部が先に凝固することになるため、上記のAmax>Bmax>Cmaxの関係が得られない。

0031

E.Al合金の成分組成
次に、本発明で用いるAl合金の成分組成とその限定理由について説明する。

0032

Cu、Mg:
CuとMgはAl母相中に固溶し、固溶強化によって機械的強度を向上させる効果を有する。また、CuとMgが共存することによって、Al2Cu、Al2CuMg等の析出強化による強度向上にも寄与する。但し、これらの2種の元素凝固温度範囲を拡大する元素であるため、過剰な添加は鋳造性を劣化させる。

0033

Cu含有量が1.4mass%(以下、単に「%」と記す)未満の場合、Mg含有量が1.00%未満の場合には、200℃の高温において必要とされる機械的強度が得られない場合がある。一方、Cu含有量が3.2%を超える場合、Mg含有量が2.0%を超える場合には、コンプレッサーインペラーとしての鋳造性が劣化し、特に羽根先端部への湯回りが不十分となって欠肉が発生し易くなる場合がある。以上により、Cu含有量を1.4〜3.2%、Mg含有量を1.0〜2.0%とするのが好ましい。なお、使用中の変形などの不具合を確実に防止し、かつ、鋳造時の欠肉発生を可及的に防止して工業的に好適な歩留まりを得るためには、Cu含有量を1.7〜2.8%、Mg含有量を1.3〜1.8%とするのがより好ましい。

0034

Ni、Fe:
NiとFeは、Alとの間で金属間化合物を形成してAl母相中に分散し、Al合金の高温強度を向上させる効果を奏する。そのためには、Ni含有量を0.5%以上、Fe含有量も0.5%以上とするのが好ましい。しかしながら、両元素は共に過剰に含有されると、金属間化合物が粗大化してしまうだけでなく、高温においてCu2FeAl7やCu3NiAl6を形成してAl母相中の固溶Cu量を低減させ、かえって強度を低下させてしまう場合がある。そのため、Ni含有量を2.0%以下、Fe含有量も2.0%以下とするのが好ましい。以上により、Ni含有量を0.5〜2.0%、Fe含有量を0.5〜2.0%とするのが好ましい。なお、Ni含有量を0.5〜1.4%、Fe含有量を0.7〜1.5%とするのがより好ましい。上記より好ましい範囲の下限値は製造の際のバラツキを考慮し工業的に安定的な量産をする上での目安値であり、上限値は効果が飽和しこれ以上の添加は無駄となる添加量の目安値である。

0035

Ti:
Tiは、鋳造時の初晶アルミニウム結晶粒の成長抑制効果を奏するため、鋳造中の凝固組織微細化して溶湯補給性を改善し、湯回り性を改善する効果を発揮するため添加される。Ti含有量が0.01%未満では、上記効果が十分に得られない場合がある。一方、Ti含有量が0.35%を超えると、Alとの間に数10〜数100μmの大きさの粗大な金属間化合物を形成して回転時に疲労亀裂の起点となり、コンプレッサーインペラーとしての信頼性を低下させる場合がある。以上により、Ti含有量を0.01〜0.35%とするのが好ましく、0.02〜0.30%とするのがより好ましい。

0036

Al合金の不可避的不純物として、0.3%程度以下のSi、ならびに、0.2%程度以下のZn、Mn、Crなどが含有されていても、コンプレッサーインペラーの特性を損なうことがないので許容される。

0037

本発明に係るコンプレッサーインペラーは、200℃程度の使用温度においても長期間にわたって安定した強度を維持する。具体的には、200℃での引張試験における0.2%耐力値を260MPa以上と規定するものである。この耐力値は、好ましくは265MPa以上である。なお、耐力値の上限値は、アルミニウム基材合金組成製造条件によって自ずと決まるが、本発明では380MPaとする。

0038

F.製造方法
次に、本発明に係るAl合金鋳物製コンプレッサーインペラーの製造方法について説明する。この製造方法は、溶湯調整工程、鋳造工程及び熱処理工程から構成される。

0039

溶湯調整工程:
通常の方法に従って、上述のAl合金組成となるように各成分元素を加えて加熱溶解し、脱水素ガス処理及び介在物除去処理などの溶湯処理を行なう。そして、最終的な溶湯温度が720〜780℃となるように温度が調整される。

0040

鋳造工程:
鋳造工程では、720〜780℃に温度調整された溶湯を、石膏型を用いた圧力鋳造法によってコンプレッサーインペラー形状に鋳造する。上述のように、ディスク面に接する面に配置する冷やし金の温度は100℃〜250℃に調整され、石膏型の予熱温度は200〜350℃に調整される。ここで、溶湯は、通常0.01〜0.4MPaの圧力で石膏型に加圧注入されるが、石膏型内を0.01〜0.4MPaの圧力分だけ減圧してもよい。

0041

熱処理工程:
鋳造されたAl合金鋳物は、熱処理工程にかけられる。熱処理工程は、溶体化処理工程と時効処理工程とで構成される。熱処理工程により、Cuによる固溶強化;CuとMgによる析出強化;AlとFeとの間、ならびに、AlとNiとの間で形成される金属間化合物による分散強化;を有効に活用することができる。

0042

溶体化処理工程:
溶体化処理は、固相線温度から5〜25℃低い温度範囲で行うのが好ましい。本発明において好適に用いられるAl合金においては、固相線温度から5〜25℃低い温度範囲は510〜530℃となる。固相線温度から5〜25℃低い温度範囲を超える温度では、
結晶粒界の第2相溶融する危険性が高まり、強度確保が困難となる。一方、この温度範囲未満の温度では、元素拡散が十分に進まずに十分な溶体化が行われないこととなる。

0043

時効処理:
時効処理は、180〜230℃で3〜30時間熱処理するのが好ましく、190〜210℃で5〜20時間熱処理するのがより好ましい。処理温度が180℃未満の場合や、処理時間が3時間未満の場合には、強度向上のための析出強化が不十分な場合がある。一方、処理温度が230℃を超える場合や、処理時間が30時間を超える場合には、形成された析出相が粗大化(過時効)して十分な強化作用が得られないとともに、Cuの固溶強化能が低下する。

0044

G.コンプレッサーホイール形状
本発明に係るコンプレッサーインペラーの形状や寸法、ならびに、羽根の枚数は特に限定されるものではなく、船舶用の大型用途や自動車などの小型用途など多くの用途のものに適用することができる。例えば、船舶用の大型用途の場合には、ボス部の高さ、ディスク部の直径及び羽根部の高さは、それぞれ、200〜80mm、300〜100mm、180〜60mm、好ましくは180〜100mm、260〜120mm、160〜90mmであり、羽根先端肉厚は4.0〜0.4mm、好ましくは3.0〜0.6mmである。羽根の枚数は、30〜10枚、好ましくは26〜12枚である。また、自動車などの小型用途の場合には、ボス部の高さ、ディスク部の直径及び羽根部の高さは、それぞれ、100〜20mm、120〜25mm、90〜5mm、好ましくは90〜25mm、100〜30mm、80〜8mmであり、羽根先端肉厚は3.0〜0.1mm、好ましくは2.0〜0.2mmである。羽根の枚数は、20〜4枚、好ましくは18〜6枚である。

0045

以下において、実施例により本発明を更に詳細に説明する。

0046

第1の実施例(本発明例1〜5及び比較例1〜16)
表1に示す組成のAl合金を、通常の溶湯処理を施して溶解し、溶湯を表1に示す温度に調製する溶湯調製工程にかけた。溶湯調製工程では、表1に示す組成のAl合金150kgを溶解して溶湯を得た。次いで、回転ガス吹込み装置を用いてローター回転数400rpm、気体流量2.5Nm3/hの条件にて、アルゴンガス溶湯中に20分間吹き込んだ。その後、溶湯全体を1時間鎮静保持し、除滓した。

0047

0048

次いで、溶湯調製工程で調製したAl合金溶湯は、表1の予熱温度に調整された石膏型と、インペラーディスク面に接する面に配置され、表1の温度に調整された銅製冷やし金とで構成される所定空間に加圧注入する低圧鋳造法によりAl合金鋳物を作製した。このAl合金鋳物コンプレッサーインペラーは、ボス部高さ40mm、ディスク部直径40mm、羽根部高さ35mm、羽根数12枚、羽根先端肉厚0.3mmの形状を有する乗用車ターボチャージャー用コンプレッサーインペラーである。溶湯の注入圧力は100kPaとし、Al合金鋳物全体の凝固が完了するまでこの圧力で加圧保持した。

0049

上記Al合金鋳物を石膏型から取り外した後、530℃で8時間の溶体化処理を施し、その後、200℃で20時間の時効処理を施した。以上のようにして、Al合金鋳物製コンプレッサーインペラー試料を作製した。

0050

上記のようにして作製した各試料について、ボス部、羽根部及びディスク部の二次デンドライトアーム間隔、高温特性(200℃の0.2%耐力値、耐久試験評価)、ならびに、生産性(鋳造歩留評価)を、以下のようにして評価した。

0051

1.二次デンドライトアーム間隔の測定
「アルミニウムのデンドライトアームスペーシングと冷却速度の測定法」、軽金属学会研究部会報告書No.20(1988年)、46〜52頁に記載される方法に準拠して、二次デンドライトアーム間隔(DAS)を測定した。具体的には、試料を羽根部が通る中心線で切断して断面を研磨した。図2には、コンプレッサーインペラーの中心軸8の片側の研磨断面を示す。このような研磨断面において、ボス部DAS測定断面5、ディスク部DAS測定断面6、及び羽根部DAS測定断面7の各金属組織光学顕微鏡により倍率100倍で観察して、交線法により二次デンドライトアーム間隔を求めた。結果を表2に示す。なお、ボス部、ディスク部及び羽根部のそれぞれについて、任意に10箇所観察した。表2に示す各部の数値範囲は、観察した10箇所の二次デンドライトアーム間隔の最小値(左側数値)と最大値(右側数値)を示す。

0052

0053

2.高温強度特性
試料の中心軸より丸棒試験片(φ8mm)を採取して、200℃における引張試験より0.2%耐力値を測定した。結果を表2に示す。

0054

3.高温での耐久性
高温での耐久試験(ターボ組み付け、150000rpm×200時間、出側温度200℃)により高温疲労強度を評価した。結果を表2に示す。表2に記載の耐久性試験評価では、試験中に破断した場合を「×」、破断はしなかったが亀裂が発生した場合を「△」、破断も亀裂も発生せず健全な状態のままの場合を「○」とした。なお、△と×における括弧内は、亀裂と破断の発生箇所をそれぞれ示す。

0055

4.鋳造歩留評価
各例について1000個の試料を作製して、鋳造歩留評価を行なった。各試料における検査項目は、湯回り及び引け巣の外観不良検査と、X線検査によって内部のブローホールを検出する内部不良検査とした。全試料のうち湯回り不良品の割合(%)、引け巣不良品の割合(%)及び内部不良品の割合(%)を求めた。そして、100%からこれら不良品の割合の合計を差し引いた割合を良品割合(%)とした。良品割合が、90%未満である場合を「×」(現行品以下)、90%以上95%未満である場合を「△」(現行品同等)、95%以上100%以下である場合を「○」(現行品より大幅改善)とした。結果を表2に示す。

0056

本発明例1〜5では、ボス部・羽根部・ディスク部の二次デンドライトアーム間隔及び凝固過程の順番、ならびに、高温耐力値が請求項1に記載の範囲内であることから、鋳造歩留も良好で、かつ、高温での耐久性にも優れる。

0057

これに対して比較例1では、石膏温度が高く、ボス部及び羽根部の二次デンドライトアーム間隔が大きくなった。その結果、耐力値が低下した。また、羽根部で破損し高温での耐久性に劣った。

0058

比較例2では、冷やし金の温度が高く、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さず、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔が大きくなり、かつ、Amax>Bmax>Cmaxの関係が満たされなかった。その結果、耐力値が低下した。また、ディスク部で破損し高温での耐久性に劣った。

0059

比較例3では、石膏型の温度が低く、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さず、ボス部の二次デンドライトアーム間隔は小さくなった。その結果、羽根部における湯回りの外観不良が多発したため、鋳造歩留が大きく低下した。

0060

比較例4では、冷やし金の温度が低く、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔が小さくなった。その結果、ディスク部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣り、またディスク部における湯回りの外観不良が多発し鋳造歩留が低下した。

0061

比較例6では、溶湯温度が高く、ボス部における冷却速度が低下してボス部の二次デンドライトアーム間隔が大きくなった。その結果、耐力値が低下した。また、ボス部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣った。

0062

比較例7では、Cu成分が少なく、耐力値が低下した。また、ディスク部で破損して高温での耐久性に劣った。

0063

比較例8では、Mg成分が少なく、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さなかった。その結果、耐力値が低下した。また、ボス部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣った。

0064

比較例9では、Fe成分が少なく、耐力値が低下した。また、羽根部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣った。

0065

比較例10では、Ni成分が少なく、耐力値が低下した。また、ディスク部で破損して高温での耐久性に劣った。

0066

比較例11では、Ti成分が少なく、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さなかった。その結果、羽根部で破損して高温での耐久性に劣り、また、結晶粒微細化効果が不十分で羽根部における湯回りの外観不良が多発したため鋳造歩留が低下した。

0067

比較例12では、Cu成分が多く、羽根部における湯回り不良が多発し鋳造歩留が低下した。

0068

比較例13では、Mg成分が多く、羽根部における湯回り不良が多発し鋳造歩留が低下した。

0069

比較例14では、Fe成分が多く、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さなかった。その結果、耐力値が低下した。また粗大な晶出物相が存在するためにディスク部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣った。

0070

比較例15では、Ni成分が多く、耐力値が低下した。また粗大な晶出物相が存在するためにボス部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣った。

0071

比較例16では、Ti成分が多く、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さなかった。その結果、Amax>Bmax>Cmaxの関係が満たされず、また粗大な晶出物相が存在するためにディスク部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣った。

0072

第2の実施例(本発明例9〜14、16及び比較例17〜22)
Al合金として、Cu:2.6%、Mg:1.6%、Ni:1.1%、Fe:0.9%、Ti:0.15%含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl合金を用いた。これに通常の溶湯処理を施して溶解し、溶湯を表3に示す温度に調製する溶湯調製工程にかけた。溶湯調製工程では、上記Al合金150kgを溶解して溶湯を得た。次いで、回転ガス吹込み装置を用いてローター回転数400rpm、気体流量2.5Nm3/hの条件にて、アルゴンガスを溶湯中に20分間吹き込んだ。その後、溶湯全体を1時間鎮静保持し、除滓した。

0073

0074

次いで、溶湯調製工程で調製したAl合金溶湯は、表3の予熱温度に調整された石膏型と、インペラーディスク面に接する面に配置され、表3の温度に調整された銅板製の冷やし金とで構成される所定空間に加圧注入する低圧鋳造法によりAl合金鋳物を作製した。このAl合金鋳物コンプレッサーインペラーは、ボス部高さ70mm、ディスク部直径80mm、羽根部高さ60mm、羽根数14枚、羽根先端肉厚0.4mmの形状を有するトラックターボチャージャー用コンプレッサーインペラーである。溶湯の注入圧力は100kPaとし、Al合金鋳物全体の凝固が完了するまでこの圧力で加圧保持した。

0075

上記Al合金鋳物を石膏型から取り外した後、表3に示す条件で溶体化処理を施し、その後、同じく表3に示す条件で時効処理を施した。以上のようにして、Al合金鋳物製コンプレッサーインペラー試料を作製した。

0076

上記のようにして作製した各試料について、ボス部、羽根部及びディスク部の二次デンドライトアーム間隔、高温特性(200℃の0.2%耐力値、耐久試験評価)、ならびに、生産性(鋳造歩留評価)を、第1の実施例と同じに評価した。結果を表4に示す。

0077

0078

本発明例9〜14、16では、適正な鋳造条件が採用されているので、ボス部・羽根部・ディスク部の二次デンドライトアーム間隔及び凝固過程の順番、ならびに、高温耐力値が適正である。その結果、鋳造歩留が良好で、かつ、高温での耐久性にも優れる。

0079

これに対して比較例17では、石膏温度が高く、ボス部及び羽根部の二次デンドライトアーム間隔が大きくなった。その結果、耐力値が低下した。また、ボス部で破損し高温での耐久性に劣った。

0080

比較例18では、石膏型の温度が低く、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さなかった。その結果、羽根部の二次デンドライトアーム間隔が小さくなり、かつ、Amax>Bmax>Cmaxの関係が満たされなかった。また、羽根部で破損して高温での耐久性に劣り、羽根部における湯回りの外観不良が多発し鋳造歩留が低下した。

0081

比較例19では、冷やし金の温度が低く、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔は非常に小さくなった。その結果、ディスク部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣った。また、凝固が早く進行するために鋳造時の湯回り不良に起因した亀裂による外観不良が多発し鋳造歩留が低下した。

0082

比較例20では、冷やし金の温度が高く、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さなかった。その結果、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔が大きくなり、ディスク部で破損し高温での耐久性に劣った。

0083

比較例21では溶体化処理工程が実施されず、比較例22では時効処理工程が実施されなかった。その結果、耐力値が低下した。また、ディスク部で破損し高温での耐久性に劣った。

0084

第3の実施例(本発明例20、21、24、26、27及び比較例23〜30)
Al合金として、Cu:2.9%、Mg:1.7%、Ni:1.1%、Fe:1.1%、Ti:0.17%含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるAl合金を用いた。これに通常の溶湯処理を施して溶解し、溶湯を表5に示す温度に調製する溶湯調製工程にかけた。溶湯調製工程では、上記Al合金200kgを溶解して溶湯を得た。次いで、回転ガス吹込み装置を用いてローター回転数400rpm、気体流量2.5Nm3/hの条件にて、アルゴンガスを溶湯中に40分間吹き込んだ。その後、溶湯全体を1時間半鎮静保持し、除滓した。

0085

0086

次いで、溶湯調製工程で調製したAl合金溶湯は、表5の予熱温度に調整された石膏型と、インペラーディスク面に接する面に配置され、表5の温度に調整された銅板製の冷やし金とで構成される所定空間に加圧注入する低圧鋳造法によりAl合金鋳物を作製した。このAl合金鋳物コンプレッサーインペラーは、ボス部高さ160mm、ディスク部直径150mm、羽根部高さ120mm、羽根数16枚、羽根先端肉厚0.6mmの形状を有する船舶ターボチャージャー用コンプレッサーインペラーである。溶湯の注入圧力は100kPaとし、Al合金鋳物全体の凝固が完了するまでこの圧力で加圧保持した。

0087

上記Al合金鋳物を石膏型から取り外した後、表5に示す条件で溶体化処理を施し、その後、同じく表5に示す条件で時効処理を施した。以上のようにして、Al合金鋳物製コンプレッサーインペラー試料を作製した。

0088

上記のようにして作製した各試料について、ボス部、羽根部及びディスク部の二次デンドライトアーム間隔、高温特性(200℃の0.2%耐力値、耐久試験評価)、ならびに、生産性(鋳造歩留評価)を、第1の実施例と同じに評価した。結果を表6に示す。

0089

0090

本発明例20、21、24、26、27では、適正な鋳造条件が採用されているので、ボス部・羽根部・ディスク部の二次デンドライトアーム間隔及び凝固過程の順番、ならびに、高温耐力値が適正である。その結果、鋳造歩留が良好で、かつ、高温での耐久性にも優れる。

0091

これに対して比較例23では、溶湯温度が高く、すべての二次デンドライトアーム間隔が大きくなった。その結果、耐力値が低下した。また、ボス部で破損し高温での耐久性に劣った。

0092

比較例25では、冷やし金の温度が低く、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔は非常に小さくなった。その結果、ディスク部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣った。また、凝固が早く進行するために鋳造時の湯回り不良に起因した亀裂による外観不良が多発し鋳造歩留が低下した。

0093

比較例26では、冷やし金の温度が高く、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さなかった。その結果、ディスク部の二次デンドライトアーム間隔が大きくなった。また、耐力値が低下した。更に、ディスク部で破損し高温での耐久性に劣った。

0094

比較例27では、石膏温度が高く、すべての二次デンドライトアーム間隔が大きくなった。その結果、耐力値が低下した。また、ボス部で破損し高温での耐久性に劣った。

0095

比較例28では、石膏型の温度が低く、かつ、冷やし金温度(℃)<(石膏型温度−50)(℃)の関係を満さなかった。その結果、羽根部の二次デンドライトアーム間隔が小さくなり、かつ、Amax>Bmax>Cmaxの関係が満たされなかった。また、羽根部で亀裂が発生して高温での耐久性に劣り、羽根部における湯回りの外観不良が多発し鋳造歩留が低下した。

実施例

0096

比較例29では溶体化処理工程が実施されず、比較例30では時効処理工程が実施されなかった。その結果、耐力値が低下した。また、ディスク部で破損し高温での耐久性に劣った。

0097

本発明により、回転数の増大に伴う温度の増加に長期間にわたって安定して耐え得る、耐熱強度に優れたAl合金製コンプレッサーインペラーを低コストで供給することが可能である。また、本発明は、ターボチャージャーの加給能力を増加して内燃機関の出力向上に寄与することができるという工業上顕著な効果を奏する。

0098

1・・・コンプレッサーインペラー
2・・・ボス部
3・・・ディスク部
4・・・羽根部
5・・・ボス部DAS測定断面
6・・・ディスク部DAS測定断面
7・・・羽根部DAS測定断面
8・・・コンプレッサーインペラーの中心軸

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ