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技術 シームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材およびその製造方法

出願人 新報国製鉄株式会社新日鐵住金株式会社
発明者 小奈浩太郎横溝勇太日高康善中西哲也
出願日 2013年9月26日 (7年1ヶ月経過) 出願番号 2014-538590
公開日 2016年8月22日 (4年3ヶ月経過) 公開番号 WO2014-050975
状態 特許登録済
技術分野 管の製造;マンドレル 磁性鉄合金の熱処理 拡散による非金属の除去、鋳鉄の熱処理
主要キーワード 鋼製基体 鋼製素材 高温変形抵抗 熱処理パラメータ 長期保管後 プラグ表面 適性範囲 シームレス鋼管
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課題・解決手段

本発明は、マンネスマン法により製造するシームレス鋼管ピアサープラグであって、特に耐置き割れ性および被削性に優れたシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材およびその製造方法を提供する。前記ピアサープラグ用素材は、成分が質量%で、C:0.08〜0.3%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.2〜1.5%、Ni:0.2〜2.0%、さらにW、Moのうち1種または2種を合計で1.5%〜8%、を含有し、残部Feおよび不純物であり、不純物として含有される拡散性水素を2ppm以下に制限したピアサープラグ用素材であって、HRC6以上40以下の硬度を有する。

概要

背景

近年、石油掘削環境が厳しくなるのに伴い、油井管としてステンレス製高合金鋼製などの高級シームレス鋼管が求められるようになってきた。しかし、ステンレス鋼等の変形抵抗の高い材料でシームレス鋼管を製造する際、その穿孔に用いるピアサープラグの先端部には高い面圧がかかり、その先端部が溶損し、短時間での交換を余儀なくされた。

そのため、特許文献1に開示されるように、従来の高級シームレス鋼管の製造用ピアサープラグは、W、Moを添加することにより高温変形抵抗が高められ、さらに前記ピアサープラグ表面潤滑性を確保するため難剥離性低融点スケール層を生成させる表面被覆処理が施されていた。特許文献1に開示されたピアサープラグの製造方法は、図3に示されるように、W、Moを添加した高強度の鋼材からなり所定形状を有する母材高温酸化による熱処理をすることによって、ピアサープラグの表面に所定の前記スケール層を被覆することを特徴としている。

一方、高級シームレス鋼管のサイズ及び形状の多様化から、ピアサープラグもそれに合わせ多様化し、多種類のものを在庫として保持し、生産計画に応じて使用されるようになってきた。

シームレス鋼管の形状の多様化に適応するため、ピアサープラグは種々の寸法への切削が容易にできることが望まれるようになってきた。

また、シームレス鋼管の製造工場分散化遠隔地化が進み、輸送時間の増大などのため在庫量の確保の観点から、ピアサープラグを長期間にわたり保管する場合が多くなってきた。

以上の事情から、ピアサープラグ又はピアサープラグ用素材は、被削性に優れ、また長期間保管できることが望まれる。しかし、ピアサープラグの硬度を適正に調整しないと、保管中にピアサープラグ表面に「置き割れ」と称するクラックが生じる。とくに冬季には置き割れが発生し易いことが知られている。この「置き割れ」が発生したピアサープラグは、シームレス鋼管の製造には使用できない。

概要

本発明は、マンネスマン法により製造するシームレス鋼管のピアサープラグであって、特に耐置き割れ性および被削性に優れたシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材およびその製造方法を提供する。前記ピアサープラグ用素材は、成分が質量%で、C:0.08〜0.3%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.2〜1.5%、Ni:0.2〜2.0%、さらにW、Moのうち1種または2種を合計で1.5%〜8%、を含有し、残部Feおよび不純物であり、不純物として含有される拡散性水素を2ppm以下に制限したピアサープラグ用素材であって、HRC6以上40以下の硬度を有する。

目的

しかし、先行技術文献においては、ピアサープラグ用素材の置き割れや被削性を課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

成分が質量%で、C:0.08〜0.3%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.2〜1.5%、Ni:0.2〜2.0%、さらにW、Moのうち1種または2種を合計で1.5%〜8%、を含有し、残部Feおよび不純物であり、不純物として含有される拡散性水素が2ppm以下であり、HRC6以上40以下の硬度を有することを特徴とするシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材

請求項2

さらに質量%で、Cu:0.5%以下、Cr:1.0%以下、Nb:1.0%以下、V::1.0%以下、Ti:1.0%以下、およびB:0.1%以下のうち1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材。

請求項3

さらに質量%で、Ca:0.5%以下、Mg:0.5%以下、REM:0.5%以下のうち1種または2種以上を合計で0.5%以下含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材。

請求項4

前記硬度が、HRC20以上40以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材。

請求項5

前記ピアサープラグ用素材が鋳鋼であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材。

請求項6

成分が質量%で、C:0.08〜0.3%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.2〜1.5%、Ni:0.2〜2.0%、W、Moのうち1種または2種を合計で1.5%〜8%を含有し、残部Feおよび不純物であるピアサープラグ用素材を鋳造する工程と、前記鋳造した前記ピアサープラグ用素材を下記式1で定義される熱処理パラメータPHが式2および式3を満たす条件で熱処理する工程と、前記熱処理を施した前記ピアサープラグ用素材を成形する工程とを有することを特徴とするシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法。PH=T×(22+log10Hr)・・・式1PH≦7500×Ceq+20900且つPH≦27500・・・式2PH≧5000×Ceq+14500・・・式3但し、T:熱処理温度を示し、単位は°Kである。Hr:熱処理温度での保持時間を示し、単位は時間である。Ceq:炭素当量を示し、以下の式4で定義される。Ceq=C+Si/4+Mn/6+(Cu+Ni)/15+Cr/5+Mo/5・・・式4尚、各元素記号は、その元素含有量を質量%で表す。

請求項7

前記ピアサープラグ用素材は、さらに質量%で、Cu:0.5%以下、Cr:1.0%以下、Nb:1.0%以下、V::1.0%以下、Ti:1.0%以下、およびB:0.1%以下のうち1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項6に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法。

請求項8

前記ピアサープラグ用素材は、さらに質量%で、Ca:0.5%以下、Mg:0.5%以下、REM:0.5%以下のうち1種または2種以上を合計で0.5%以下含むことを特徴とする請求項6または7に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法。

請求項9

前記熱処理パラメータPHが下記式5を満たすことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法。PH≦5000×Ceq+17500且つPH≦25000・・・式5

請求項10

前記熱処理温度が550℃以上900℃以下であって、前記熱処理温度での保持時間が0.5時間以上10時間以下であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法。

請求項11

前記熱処理温度が700℃以上900℃以下であって、前記保持時間が0.5時間以上4時間以下であることを特徴とする請求項10に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法。

請求項12

前記熱処理後、冷却速度5℃/分以下で480℃以下の温度まで前記ピアサープラグ用素材を冷却する工程を有することを特徴とする請求項11に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法。

請求項13

前記ピアサープラグ用素材が鋳鋼であることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、マンネスマン法によりシームレス鋼管を製造する際に用いられるピアサープラグ(単に「プラグ」という場合もある。)であって、特に耐置き割れ性および被削性に優れたシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材およびその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

近年、石油掘削環境が厳しくなるのに伴い、油井管としてステンレス製高合金鋼製などの高級シームレス鋼管が求められるようになってきた。しかし、ステンレス鋼等の変形抵抗の高い材料でシームレス鋼管を製造する際、その穿孔に用いるピアサープラグの先端部には高い面圧がかかり、その先端部が溶損し、短時間での交換を余儀なくされた。

0003

そのため、特許文献1に開示されるように、従来の高級シームレス鋼管の製造用ピアサープラグは、W、Moを添加することにより高温変形抵抗が高められ、さらに前記ピアサープラグ表面潤滑性を確保するため難剥離性低融点スケール層を生成させる表面被覆処理が施されていた。特許文献1に開示されたピアサープラグの製造方法は、図3に示されるように、W、Moを添加した高強度の鋼材からなり所定形状を有する母材高温酸化による熱処理をすることによって、ピアサープラグの表面に所定の前記スケール層を被覆することを特徴としている。

0004

一方、高級シームレス鋼管のサイズ及び形状の多様化から、ピアサープラグもそれに合わせ多様化し、多種類のものを在庫として保持し、生産計画に応じて使用されるようになってきた。

0005

シームレス鋼管の形状の多様化に適応するため、ピアサープラグは種々の寸法への切削が容易にできることが望まれるようになってきた。

0006

また、シームレス鋼管の製造工場分散化遠隔地化が進み、輸送時間の増大などのため在庫量の確保の観点から、ピアサープラグを長期間にわたり保管する場合が多くなってきた。

0007

以上の事情から、ピアサープラグ又はピアサープラグ用素材は、被削性に優れ、また長期間保管できることが望まれる。しかし、ピアサープラグの硬度を適正に調整しないと、保管中にピアサープラグ表面に「置き割れ」と称するクラックが生じる。とくに冬季には置き割れが発生し易いことが知られている。この「置き割れ」が発生したピアサープラグは、シームレス鋼管の製造には使用できない。

先行技術

0008

特許第2683861号公報
特許第2952382号公報
特開2003−129184号公報
PCT国際出願WO2008−096708号公開公報
特開昭63−69948号公報
特許第4279350号公報

発明が解決しようとする課題

0009

特許文献1は、高温変形抵抗を高めるための所定の成分にMo及びWの1種以上を多量添加して表面脱炭を抑制し、表面に内部酸化型スケール層が形成されたピアサープラグを開示している。
特許文献2は、3Ni−1Cr鋼などの鋼製基体の表面にスケールを形成して使用するピアサープラグの製造方法において、従来の砂型鋳造から金型鋳造によって前記鋼製基体を作製することを開示する。そして、前記製造方法は前記鋼製基体の強度向上とスケールの改質効果がある旨、記載されている。
特許文献3は、特許文献2と同様、表面にスケールを形成して使用するピアサープラグにおいて、基体の強度向上とスケールの改質効果がある基体について開示する。
特許文献4は、特許文献2と同様、基材の表面上にスケールを形成して使用するピアサープラグにおいて、スケール層を構成する層として前記基材と絡み合うネット状スケール層を形成することを開示している。特許文献4は、スケール層の前記構成により、スケール層の剥離や磨耗が抑制され、ピアサープラグの寿命延長ができる旨を開示している。
特許文献5は、特許文献4と同様の手法で、スケール層を粒界酸化型スケール層として生成することにより、基材との密着性がよく、スケール層の剥離や磨耗を抑制し、ピアサープラグの寿命延長ができる旨を開示している。

0010

最近は、特許文献6に開示されるように溶射を利用した被膜形成技術を用いて、ピアサープラグの表面に保護被膜を形成することによって、ピアサープラグの長寿命化が図られるようになった。

0011

しかし、先行技術文献においては、ピアサープラグ用素材の置き割れや被削性を課題とする提案はなされていない。

0012

そこで本発明の目的は、シームレス鋼管をマンネスマン法により製造するときに用いられるピアサープラグの素材であって、長期保管による置き割れの発生を抑制し、被削性にも優れ、さらに所望の硬度を有することでプラグ本体の長寿命化が達成できるという、従来技術では成しえない課題を解決することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究開発を行った結果、以下の知見を得た。

0014

(a)ピアサープラグの長寿命化には、ある程度の靭性を確保しつつ、熱衝撃に強くするためのある程度の硬さが必要である。そのため、焼き戻しマルテンサイト及び/またはベイナイト主体とした組織とし、プラグ素材の硬さがロックウェル硬さCスケール(以下、「HRC」と略す。)6以上(好適には20以上)であれば、適正な靭性、強度を有するプラグが得られることが分かった。

0015

(b)置き割れは、ピアサープラグ用素材の水素脆化が原因であることを知見した。置き割れするときは、ピアサープラグの素材中に拡散性水素が約7ppm以上含まれており、素材の硬度はHRCで40超になっていることが分かった。

0016

(c)また、素材の置き割れを抑制するには、拡散性水素の濃度を2ppm以下にし、素材の硬度をHRCで40以下にすると良いことを見出した。また、硬度も下がるため被削性が改善されることも確認した。さらに、HRC40以下であればプラグ素材としての靭性も十分有することも確認した。

0017

(d)本発明者らは、上記の拡散性水素の濃度及びHRC硬度の条件を満足する熱処理条件について鋭意検討を重ねた。その結果、最適な熱処理は、ピアサープラグ用素材を鋳込んだ後に550〜900℃で、さらに望ましくは700〜900℃の温度範囲内で0.5時間以上で10時間を越えない時間、望ましくは0.5時間以上で4時間を越えない時間保持した後、冷却速度5℃/分以下で冷却すると良いことを見出した。
さらに、発明者らは、熱処理条件(特に熱処理温度と保持時間)と硬さとの関係について調査し、熱処理パラメータ(PH)と炭素当量(C当量)との関係でプラグ素材の硬さ(HRC硬度)を調整できることを見出した。

0018

(e)上記熱処理の条件を適正化することにより、ピアサープラグ用素材の硬度を調整でき、また素材中の拡散性水素を除去できることを確認した。

0019

(f)従来は、プラグ成形後に酸化熱処理を行っていたため、成形前のプラグ素材は硬すぎ被削性が悪かった。しかし、本発明に基づくプラグ素材は成形前に所定の条件で熱処理を施すことで硬さを適正化することができ、被削性を格段に向上させることができた。

0020

ピアサープラグ用素材を鋳込んだ後に、素材に適正な熱処理を実施することで、プラグ素材をHRC硬度6〜40に調整するとともに、置き割れの原因となる拡散性水素を規定値以下に減少させることができる。

0021

本発明は、これらの知見を基に成されたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)本発明の一態様に係るシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材は、
成分が質量%で、
C:0.08〜0.3%、
Si:0.1〜1.0%、
Mn:0.2〜1.5%、
Ni:0.2〜2.0%、
さらにW、Moのうち1種または2種を合計で1.5%〜8%を含有し、
残部Feおよび不純物であり、
不純物として含有される拡散性水素が2ppm以下であり、
HRC6以上40以下の硬度を有するシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材である。
(2)上記(1)に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材は、
さらに質量%で、
Cu:0.5%以下、
Cr:1.0%以下、
Nb:1.0%以下、
V::1.0%以下、
Ti:1.0%以下、および
B:0.1%以下
のうち1種または2種以上を含有しても良い。
(3)上記(1)または(2)に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材は、
さらに質量%で、
Ca:0.5%以下、
Mg:0.5%以下、
REM:0.5%以下
のうち1種または2種以上を合計で0.5%以下を含有しても良い。
(4)上記(1)〜(3)の何れかに記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材において、硬度が、HRC20以上40以下であっても良い。
(5)上記(1)〜(4)の何れかに記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材が、鋳鋼製素材であっても良い。
(6)本発明の一態様に係るシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法は、
成分が質量%で、
C:0.08〜0.3%、
Si:0.1〜1.0%、
Mn:0.2〜1.5%、
Ni:0.2〜2.0%、
さらにW、Moのうち1種または2種を合計で1.5%〜8%を含有し、
残部Feおよび不純物からなるピアサープラグ用素材を鋳造する工程と、
鋳造したピアサープラグ用素材を下記式1で定義される熱処理パラメータPHが式2および式3を満たす条件で熱処理する工程と、
熱処理を施したピアサープラグ用素材を成形する工程とを有する。
PH=T×(22+log10Hr) ・・・ 式1
PH≦7500×Ceq+20900且つPH≦27500・・・式2
PH≧5000×Ceq+14500・・・式3
但し、
T:熱処理温度を示し、単位は°Kである。
Hr:熱処理温度での保持時間を示し、単位は時間である。
Ceq:炭素当量を示し、以下の式4で定義される。
Ceq=C+Si/4+Mn/6+(Cu+Ni)/15+Cr/5+Mo/5 ・・・ 式4
尚、各元素記号は、その元素含有量を質量%で表す。
(7)上記(6)のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法において、ピアサープラグ用素材は、さらに質量%で、
Cu:0.5%以下、
Cr:1.0%以下、
Nb:1.0%以下、
V::1.0%以下、
Ti:1.0%以下、および
B:0.1%以下
のうち1種または2種以上を含有しても良い。
(8)上記(6)または(7)のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法において、ピアサープラグ用素材は、さらに質量%で、
Ca:0.5%以下、
Mg:0.5%以下、
REM:0.5%以下
のうち1種または2種以上を合計で0.5%以下含有しても良い。
(9)上記(6)〜(8)の何れかに記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法において、熱処理パラメータPHは、下記式5を満たしても良い。
PH≦5000×Ceq+17500且つPH≦25000 ・・・ 式5
(10)上記(6)〜(9)に記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法において、熱処理温度が550℃以上900℃以下であって、熱処理温度での保持時間が0.5時間以上10時間以下であっても良い。
(11)上記(10)の何れかに記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法において、熱処理温度が700℃以上900℃以下であって、保持時間が0.5時間以上4時間以下であっても良い。
(12)上記(11)の何れかに記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法は、熱処理後、冷却速度5℃/分以下で480℃以下の温度までピアサープラグ用素材を冷却する工程を有しても良い。
(13)上記(6)〜(12)の何れかに記載のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法において、ピアサープラグ用素材が鋳鋼であっても良い。

発明の効果

0022

本発明によれば、マンネスマン法によりシームレス鋼管を製造するときに用いられ、特に耐置き割れ性および被削性に優れたシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材を提供することができる。

図面の簡単な説明

0023

本発明のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材の製造方法のフローチャートである。
本発明のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材を製造するための熱処理パラメータPH及び炭素当量Ceqの範囲を示すグラフである。
特許文献1に開示されたピアサープラグの製造方法を示すフローチャートである。

0024

以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明の実施態様は以下に示す実施態様に限定されることはない。

0025

[成分]
成分値(%)は、特に断りのない限り質量%で示す。
C:0.08〜0.3%
Cは高温強度向上に対する有効成分であるが、その含有量が0.08%より少ないと効果が無い。また、0.3%を超えると、硬度が高くなりすぎ、置き割れを生じ易くもなる。また、炭化物析出状態の制御もし難くなる。従って、Cは0.08〜0.3%とした。その効果を得るためばらつきを考慮すると、その下限は、好ましくは0.10%、より好ましくは0.12%とすると良い。また、同様に上限は、好ましくは0.25%、より好ましくは0.20%とすると良い。

0026

Si:0.1〜1.0%
Siは脱酸素に有効な成分であるが、0.1%より少ないと効果が小さい。1.0%を超えると母材の靭性が悪化し始める。従ってSiは0.1〜1.0%とした。その効果を得るためばらつきを考慮すると、その下限は、好ましくは0.20%、より好ましくは0.30%とすると良い。また、同様に上限は、好ましくは0.90%、より好ましくは0.80%とすると良い。

0027

Mn:0.2〜1.5%
Mnは高温でのオーステナイトを安定化させる。すなわち、δフェライトの生成を抑制して靭性低下を抑制し、その効果は0.2%以上で得られる。しかし、1.5%より多く添加すると硬度が高くなりすぎ、穿孔後に置き割れが生じやすくなる。従ってMnは0.2〜1.5%とした。その効果を得るためばらつきを考慮すると、その下限は、好ましくは0.30%、より好ましくは0.40%とすると良い。また、同様に上限は、好ましくは1.30%、より好ましくは1.00%とすると良い。

0028

Ni:0.2〜2.0%
Niはプラグ表層部に形成される焼き入れ相の靭性を改善する作用がある。その効果を得るには0.2%以上必要であるが、その効果は2.0%でほぼ飽和する。それ以上の添加はコスト増加要因となる。従ってNiは0.2〜2.0%とした。その効果を得るためばらつきを考慮すると、その下限は、好ましくは0.30%、より好ましくは0.40%とすると良い。また、同様に上限は、好ましくは1.90%、より好ましくは1.80%とすると良い。

0029

Mo、Wのうち1種または2種:1.5〜8.0%
MoとWは、どちらも高温強度の改善に有効であり、且つAc1点を上昇させて穿孔後に表面に焼きが入る部分を低減する効果がある。これらの効果は、MoとWとで等価であり、MoとWのどちらか1種もしくは両方が合計で1.5%未満の場合は小さくなるため、それ以上となるよう添加する。また、MoとWのどちらか1種もしくは両方が合計が、8.0%を超えると高温でもフェライト残留し、強度は低下しはじめ靭性をも低下させる。よって、Mo+Wの合計は1.5〜8.0%とした。その効果を得るためばらつきを考慮すると、その下限は、好ましくは1.7%、より好ましくは2.0%とすると良い。また、同様に上限は、好ましくは7.5%、より好ましくは7.0%とすると良い。

0030

拡散性水素:2ppm以下
ピアサープラグ用素材に拡散性水素として含有されるH(水素)は、ピアサープラグの置き割れを助長する元素であるため、その含有量は本発明において重要な意味を持つ。拡散性水素は、素材中を拡散する水素であり、素材中のボイド等にトラップされた水素は含まない。尚、拡散性水素の測定方法は、後述する実施例において説明される。拡散性水素の含有量は、可能な限り少ないほうが良い。発明者らは、拡散性水素が2ppm以下であれば置き割れが発生しないことを知見した(表5参照)。そのため、本発明に係るピアサープラグ用素材における拡散性水素の含有量は、その上限を2ppmに制限する。置き割れを抑制する効果を確実に得るため、その上限は、好ましくは1.5ppmに、より好ましくは1.0ppm以下に制限すると良い。
通常、鋳造による鋼製素材は拡散性水素を7ppm以上含有する。素材中の拡散性水素は、700〜900℃の温度範囲で0.5時間以上4時間以下の時間保持する熱処理時に減少させることができる。脱水素処理の詳細は、後述の製造方法において説明する。

0031

Nb、V、Cr、Tiの1種または2種以上:それぞれ1.0%以下
Nb、V、Tiは結晶粒微細化する効果がある。しかし、それぞれ1.0%を超えて添加すると脆化相が析出し、靭性の劣化を招く。従って、Nb、V、Tiの1種または2種以上を、それぞれ1.0%以下の添加とすると良い。その効果を得るためばらつきを考慮すると、その上限は、好ましくは0.5%、より好ましくは0.1%とすると良い。
Crは、鋼材の靭性、高温での変形抵抗を向上する作用を有する。しかし、経済的観点から、その含有量の上限を1.0%とする。

0032

Cu:0.5%以下
Cuはオーステナイト安定化元素であり、穿孔時に高温に保持されてオ−ステナイトとなったプラグ表層部の靭性を改善する作用がある。その効果を得るには0.01%以上必要であるが、その効果は0.5%でほぼ飽和する。従ってCuは0.5%以下とした。その効果を得るためばらつきを考慮すると、その下限は、好ましくは0.01%、より好ましくは0.1%とすると良い。また、同様に上限は、好ましくは0.5w%、より好ましくは0.3%とすると良い。

0033

B:0.1%以下
Bには、穿孔時に高温に保持されてオ−ステナイトとなった鋼材表面層の粒界強化し、高温での変形抵抗・変形能を改善する作用があるが、 0.1%を超えて含有させると脆化相の析出等で靭性が低下する。その効果を得るためばらつきを考慮すると、その上限は、好ましくは0.05%、より好ましくは0.01%とすると良い。

0034

Ca,Mg,REM:合計で0.5%以下
Ca,Mg,REM は何れも、脱硫などの目的で添加することができる。特に材料の細粒化に有効であり、鋼材の靭性改善に有している。しかし、その含有量が合計で0.5%を超えて含有させると脆化相が析出し靭性の低下を招く。従って、これらの成分の含有量は合計で0.5%以下とした。その効果を得るためばらつきを考慮すると、その上限は、好ましくは0.2%、より好ましくは0.1%とすると良い。

0035

[硬度]
硬度:HRC6以上40以下
本発明のピアサープラグ用素材の硬度は、HRC6〜40が望ましい。HRC40を超える高硬度になると置き割れが発生しやすくなる。一方HRC6を下回るとピアサープラグとしての穿孔寿命が低下する。すなわち、強度不足により、穿孔圧延の際に、ピアサープラグが大きく変形する虞がある。より好ましい下限はHRC20である。

0036

[組織]
ピアサープラグ用素材の組織は、焼き戻しマルテンサイト及び/またはベイナイトとなることが適切である。しかし、ピアサープラグ用素材を鋳造後鋳放しままでは、組織は焼入れされたマルテンサイトが主体となる。鋳造後の熱処理により焼き戻しマルテンサイト及び/またはベイナイト主体の組織とし、靭性を確保することができる。

0037

[製造方法]
次に、本発明に係るピアサープラグ用素材の製造方法について説明する。
本発明に係るピアサープラグの素材は、硬度がHRC6以上40以下であり、拡散性水素の含有量が2ppm以下に制限され、焼き戻しマルテンサイト及び/またはベイナイト主体の組織となることが特徴である。それらの特徴は、ピアサープラグになる構成素材の鋳造後の熱処理条件により造り込まれる。
本発明に係るピアサープラグ用素材の製造方法は、図1に示されるように、まず、前記した所定成分組成の鋼を溶製後、鋳造工程S1にて鋳造し、ピアサープラグ用素材を得る。その後、熱処理工程S2にて、ピアサープラグ用素材の硬度調整脱水素を兼ねた熱処理を行う。

0038

[熱処理]
熱処理工程S2は、熱処理の対象となるピアサープラグ用素材を所定の熱処理温度まで加熱し、前記ピアサープラグ用素材を前記熱処理温度で所定時間保持し、前記所定時間経過後、前記ピアサープラグ用素材を冷却することを含む。この熱処理条件について、ピアサープラグ用素材の硬度の観点、拡散性水素の濃度の観点から説明する。なお、本発明において、熱処理温度は前記ピアサープラグ用素材の表面温度を指すものとする。

0039

表1に記載の組成になる鋼No.1〜18を高周波溶解し、ピアサープラグ用金型(サイズ:160φ×400L)にて鋳造した。鋳造した各鋼に対して表2に記載の熱処理条件1−1〜8−3にて熱処理を行い、表3に示すテストピースNo.1〜37を得た。各テストピースの表面硬度(HRC)の測定結果と、炭素当量、熱処理パラメータを表3に示す。尚、各テストピースの組成は、表1の組成No.に対応する。表3に記載の炭素当量と熱処理パラメータとの関係を図2に示すようにプロットして、硬度(HRC)と炭素当量(C当量)との関係を検討した。

0040

0041

0042

0043

ここで、熱処理パラメータ(PH)は下記式1で定義される。また、炭素当量(C当量)は、鋼組成の硬さへの影響が大きいことから、指標として用いた。炭素当量は、下記式4で定義される。

0044

図2に、炭素当量(C当量)と熱処理パラメータPHとの関係を示す。図2白丸印の近傍に付された数値は、当該テストピースのHRC値を示す。図2から、ピアサープラグ用素材の硬さを適性範囲であるHRC6〜40の範囲に調整するためには、熱処理パラメータPHが下記式2および式3を満たすように熱処理条件を設定すればよいことを見出した。
PH=T×(22+log10Hr) ・・・ 式1
PH≦7500×Ceq+20900且つPH≦27500・・・式2
PH≧5000×Ceq+14500・・・式3
但し、
Tは、熱処理温度を示し、単位は°Kである。なお、熱処理温度Tは、ピアサープラグ用素材の表面温度である。
Hrは、保持時間、すなわち、熱処理温度Tにてピアサープラグ用素材を保持する時間を示し、単位は時間である。
Ceqは、ピアサープラグ用素材の炭素当量を示し、以下の式4で定義される。
Ceq=C+Si/4+Mn/6+(Cu+Ni)/15+Cr/5+Mo/5 ・・・ 式4
なお、式4におけるC、Si、P、Al、Mnは、各元素の含有量[質量%]である。

0045

図2に示されるように、C当量=0.5〜1.8を有するテストピースは、熱処理パラメータPHの上限を示す式2及び下限を示す式3の範囲内の熱処理条件によって、HRC6以上40以下の硬度を有することが分かる。また、同等のC当量を有する複数のテストピースを比較すると、熱処理パラメータPHが低くなるに従ってHRC値が高くなることが分かる。

0046

また、図2に示されるように、C当量=0.5〜1.8の炭素当量を有するテストピースに、式2で定義される上限を超える熱処理条件による熱処理を施した場合、熱処理後のテストピースの硬度はHRC6未満に留まる。また、C当量が前記範囲内のテストピースに対して式3で定義される下限を下回る熱処理条件による熱処理を施した場合、熱処理後のテストピースの硬度はHRC40超になる。なお、図2中の黒丸印は、置き割れが発生したことを示す。

0047

また、前記したように、熱処理後のピアサープラグ用素材の硬度はHRC20〜40であることが好ましい。このような好ましい範囲の硬度を有するピアサープラグ用素材は、熱処理パラメータPHが更に下記の式5を満たす熱処理条件で、前記C当量の範囲内の組成を有するピアサープラグ用素材を熱処理することによって製造することができる。
PH≦5000×Ceq+17500且つPH≦25000 ・・・ 式5

0048

前記熱処理工程は、生産性の観点から、昇温と冷却を含めて24時間以内に完了することが望ましい。熱処理工程における保持時間Hrの上限は10時間以下であることが好ましく、4時間以下の時間であることがより好ましい。
以上のテストピースの結果から、550℃以上900℃以下の熱処理温度にて0.5時間以上10時間以下、より好ましくは0.5時間以上4時間以下の保持時間で、前記熱処理パラメータPHが前記式2、式3を満たすように熱処理することによって、C当量=0.5〜1.8の炭素当量のピアサープラグ用素材は、HRC6〜40の硬度を有することが確認された。

0049

本発明に係る熱処理の温度域では、ピアサープラグ用素材の表面に形成される酸化スケールの厚さは通常100μm程度であった。この程度の酸化スケールは切削処理研削処理などにより容易に除去することができることも確認した。

0050

次に、ピアサープラグ用素材の脱水素の観点から考察する。
550℃〜900℃の温度範囲で0.5時間以上10時間以下保持する熱処理によって、ピアサープラグ用素材中の拡散性水素の含有量を減少させることができる。通常、鋳造後のピアサープラグ用素材の拡散性水素の含有量は7ppm以上あるが、当該温度範囲で少なくとも0.5時間保持すれば、ピアサープラグ用素材中の拡散性水素の含有量は2ppm以下となることを確認した。熱処理雰囲気は、大気雰囲気でも良い。

0051

上記熱処理後の冷却は、ピアサープラグ用素材の組織を決める工程となる。ピアサープラグ用のピアサープラグ用素材の組織は、焼き戻しマルテンサイト及び/又はベイナイトが適切である。しかし、炭素当量が0.5〜1.8の範囲にあるピアサープラグ用素材は、鋳造後鋳放しままにされると、前述したように、焼入れされたマルテンサイトが主体となる。
そこで、靭性を確保するために、550℃以上900℃以下の熱処理温度にて熱処理を施す。
また、熱処理後の冷却は、析出した炭化物をある程度成長させ、球状化する効果もある。さらに、MoやWの析出物の状態は、硬度に表れる。即ち、適度に析出することにより、硬度を抑制することができる。発明者らの知見から、適度にMoやWの析出物を生成した場合、ピアサープラグ用素材の硬度が低下する。700℃〜900℃の範囲の温度にて0.5時間以上の熱処理を行うことによって、ピアサープラグ用素材に固溶しているMoやWが析出して硬度が低下する。この場合、ピアサープラグ用素材の所望の硬度を得るために、5℃/分以下の冷却速度で480℃以下の温度までピアサープラグ用素材を冷却することが好ましい。前記冷却速度は、望ましくは、1℃/分以下の冷却速度とするとよい。

0052

冷却速度が遅く徐冷であり、熱処理温度が高いほど、また保持時間が長いほど、硬度は低下する。このように、ピアサープラグ用素材を熱処理することにより、MoやWの析出物の析出状態を制御し、その結果としての硬度を制御できる。但し、900℃を超えていくと次第にオーステナイト化が進むため、5℃/分以下の冷却速度でも硬度上昇が起きる場合もある。
一方、冷却速度の下限は特に制限しないが、あまり冷却速度が遅すぎると、高温域に曝される時間が長く、硬度の低下や炭化物の粗大化が生じる。また、操業上では、熱処理の操業時間が長くなり、経済的な観点から問題が生じる。そのため、冷却速度は0.1℃/分以上とすることが望ましい。

0053

なお、この冷却条件具現化するには、ピアサープラグ用素材を熱処理炉内で冷却すれば良い。炉内冷却により、徐冷できる。例えば、480℃以下まで炉内冷却した後は、ピアサープラグ用素材を炉外に出し、大気中で放冷すれば良い。或いは、室温に至るまで炉内冷却した後、ピアサープラグ用素材を炉外に出しても良い。

0054

前記表2の冷却条件3の自然冷却は、ピアサープラグ用素材が480℃よりも低い温度から行われるので、ピアサープラグ用素材の組織、析出物、水素含有量に影響を与えるものではない。

0055

熱処理工程S2によってHRC6以上40以下の硬度に調整されたピアサープラグ用素材は、成形工程S3によって所定形状を有するシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材に成形される。成形工程S3は、切削等によって行うことができる。また、成形工程S3は、熱処理工程S2の直後に行っても、前記ピアサープラグ用素材の長期保管後に行っても、置き割れが発生しないので、良い。

0056

また、本発明のシームレス鋼管製造用ピアサープラグ用素材は、成形工程S3によって所定の工具形状に成形された後、種々の方法で、表面に保護被膜を形成する保護被膜形成工程S4を施すことができる。保護被膜形成工程S4として、例えば、スケール層を生成する熱処理、溶射によりセラミックス等の保護被膜をコーティングする処理等の少なくとも1種類の処理を行うことができ、特に限定されない。

0057

次に本発明に係るピアサープラグ用素材の実施例について説明する。表1に記載の組成の鋼を用いて所定の熱処理条件にて熱処理を行うことによって、本発明の実施例を準備し、本発明の各実施例に対して水素量測定、置き割れ試験、被削性試験、靱性評価試験、及びプラグ変形試験をそれぞれ行った。

0058

[拡散性水素の含有量測定]
(1)測定用試料の調製
表3に記載のテストピースNo.6〜No.11を表4に示す本発明の実施例1〜6として準備した。また、本発明との比較のため、表1に記載の鋼No.1及び鋼No.2を用いて、以下の熱処理条件Aにて熱処理を行う以外、表1の実施例と同一の製造条件で、比較例1及び2のピアサープラグ用素材を製造した。
熱処理条件A(比較例):鋳込みまま大気中で自然冷却
実施例1〜6及び比較例1、2のピアサープラグ用素材からφ20×10mmの試験片切り出して、実施例1〜6及び比較例1、2のそれぞれに相当する拡散性水素の含有量測定用分析試料(以下、「H2分析試料」という。)を調製した。前記H2分析試料は、ピアサープラグ用素材から切り出した直後に液体窒素中に浸漬して保管された。

0059

(2)拡散性水素の測定条件
拡散性水素の測定直前に前記H2分析試料を液体窒素から取り出し、超音波洗浄を行った。その後、前記H2分析試料を冷風乾燥し、量してそれぞれ測定に供した。前記H2分析試料に含有される拡散性水素の測定は、前記H2分析試料を質量分析装置に挿入して10分排気後、測定開始初期圧力が約1.4×10−5Paの真空中にて100℃/時間 (1.67℃/分)の定速昇温で室温から600℃まで加熱し、加熱の際に発生した水素の質量スペクトル強度を分析することによって行った。尚、水素の質量スペクトル強度の分析は、質量分析計キャノンネルバ社製四重極質量分析計M201QATDM型)を用いて行った。

0060

(3)拡散性水素の含有量の測定結果
実施例1〜6及び比較例1、2のそれぞれに相当するH2分析試料について測定された拡散性水素の含有量の測定結果を表4に示す。
表4に示された実施例1〜6と比較例とを水素含有量に関して比較すると、本発明によって規定される範囲の組成の鋳造鋼は、本発明によって規定される熱処理を行うことによって熱処理による脱水素効果が現れることを確認することができる。

0061

0062

[置き割れ試験結果]
実施例1〜6及び比較例1、2と同一の熱処理条件にて、ピアサープラグ用素材を鋼1、鋼2ごとに、それぞれ20個準備し、30日間大気中にて放置したときの置き割れ発生までに要した日数を調べ、発生頻度を記載した。表5に、その結果を示す。
実施例1〜6、すなわち、本発明に係る熱処理条件3−1、3−2及び6−3によるピアサープラグ用素材は、鋼1、鋼2の組成の相違に関わらず、30日間大気中で保持しても置き割れは1個も発生しなかった。一方、比較例1及び2、すなわち、熱処理条件Aのものは14日から置き割れが発生し、30日経過時点では16個(80%)に置き割れが確認された。熱処理条件3−1、3−2、6−3のものには、置き割れが確認されなかった。以上のことから、本発明に係る脱水素効果による置き割れの抑制が確認された。

0063

0064

[被削性]
熱処理条件3−1、3−2、6−3及びAにて熱処理が施された鋼2のピアサープラグ用素材を各1個準備し、ピアサープラグの芯金部分ドリル加工での切削工具の損傷有無で、被削性を評価した。その結果を表6に示す。表6に示されるように、熱処理条件3−1、3−2及び6−3のものでは損傷がなかった。しかし、熱処理条件Aのものでは、ドリル先端の損傷が確認され、実際穴開け加工ができなかった。

0065

0066

[靭性評価]
靭性の評価を、20℃におけるシャルピー衝撃試験にて行った。実施例1〜6及び比較例1〜4のピアサープラグ用素材から切り出した試験片を各2個準備し、室温(20℃)にてシャルピー衝撃試験を行った。尚、靱性評価試験のため、表3のテストピース24を実施例7のピアサープラグ用素材として用いて、実施例1〜6及び比較例1、2と同様の手法にて実施例7についてシャルピー衝撃試験を行った。
シャルピー衝撃試験による靱性評価の結果を表7に示す。熱処理条件3−1、3−2、6−1及び6−3のものでは17〜70J/cm2レベルであった。一方、条件Aのものでは5〜7J/cm2レベルであり、本発明の実施例に係る条件3−1、3−2、6−1及び6−3のものとは顕著な差があった。

0067

0068

[プラグ変形量試験]
(1)溶射皮膜の形成
表8に記載の組成の各鋼を高周波溶解し、ピアサープラグ用金型(サイズ:160φ×400L)にて鋳造を行った。鋳造した各鋼に対して、表8に示すように表2に記載の熱処理条件にてそれぞれ熱処理を行い、実施例A1〜A4及び比較例B1、B2を得た。
実施例A1〜A4及び比較例B1、B2のピアサープラグ用素材を各1個準備し、母材表面全域に亘り、鉄基素材の溶射により、保護皮膜を形成した。
(2)穿孔圧延
モデルピアサー(試験用ピアサー)として前記の各ピアサープラグを使用して、1200℃に加熱した下記の丸ビレットを穿孔圧延した。1つプラグにつき穿孔圧延を5回ずつ行った後、各プラグの先端が当初の形状から変形した大きさを変形量として測定した。この結果を表8に示す。
ビレットの寸法:外径75mm、長さ700mm
・ビレットの材質:SUS304
・プラグの寸法 :外径60mm

0069

0070

実施例A1〜A4は、硬度が本発明の範囲内であるため、穿孔圧延を5回繰り返した後のプラグの変形量が小さい。それに対し、比較例B1、B2は、硬度がHRC6を下回っているため、穿孔圧延を5回繰り返した後のプラグの変形量が2倍程度大きい。なお、変形量が1.5mm以下であれば、プラグのリサイクル利用が可能である。

実施例

0071

以上のことから、本発明に係るピアサープラグ用素材であれば、置き割れの発生を抑制できることが確認できた。また、被削性も良好であることが確認された。これにより、シームレス鋼管の多様化に対応し、現地にて保管し、適正な形状のピアサープラグに加工することが可能となった。

0072

本発明は、シームレス鋼管製造用のピアサープラグ用の素材として利用することができる。そして、本発明に係るピアサープラグ用素材は、長期保管が可能であり、適正な形状に加工し易いものである。

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