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図面 (9)

課題・解決手段

本発明は変形性関節症の予防又は治療の手段を提供することを課題とする。 本発明により分子量180万以上のプロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む、変形性関節症予防又は治療用組成物が提供される。

概要

背景

変形性関節症(Osteoarthritis:OA)は、慢性関節炎を伴う関節疾患で、関節の構成要素の退行変性により、軟骨破壊と、骨や軟骨の増殖性変化を来たす疾患である。特に変形性膝関節症については、X線診断上の罹患者数は約2500万人、その中で痛みを感じている人は800万人以上にものぼると推定されている。

このような現状にも関わらず、現在のところ変形性関節症に関しては、痛み止めや関節内への直接ヒアルロン酸注射などの対症療法しかなく、進行を止めることが事実上不可能であり、症状が重症化すると、手術せざるを得ないという状態になってしまう。このような状況下において、有効な治療薬又は治療法が強く要望されている。

概要

本発明は変形性関節症の予防又は治療の手段を提供することを課題とする。 本発明により分子量180万以上のプロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む、変形性関節症予防又は治療用組成物が提供される。

目的

本発明は、変形性関節症の予防又は治療の手段を提供する

効果

実績

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請求項1

分子量180万以上のプロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む、変形性関節症予防又は治療用組成物

請求項2

分子量500万以上のプロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む、請求項1に記載の変形性関節症予防又は治療用組成物。

請求項3

前記魚類軟骨水抽出物が、含有するウロン酸のうち、10質量%以上が分子量180万以上のプロテオグリカンに由来するウロン酸である魚類軟骨水抽出物である、請求項1又は2に記載の組成物

請求項4

前記魚類軟骨水抽出物が、含有するウロン酸のうち、7質量%以上が分子量500万以上のプロテオグリカンに由来するウロン酸である魚類軟骨水抽出物である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。

請求項5

魚類軟骨水抽出物が、魚類軟骨熱水抽出物である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。

請求項6

魚類軟骨がサケ軟骨又はマス軟骨である、請求項1〜5のいずれかに記載の変形性関節症予防又は治療用組成物。

技術分野

0001

本発明は、変形性関節症予防又は治療用組成物に関する。

背景技術

0002

変形性関節症(Osteoarthritis:OA)は、慢性関節炎を伴う関節疾患で、関節の構成要素の退行変性により、軟骨破壊と、骨や軟骨の増殖性変化を来たす疾患である。特に変形性膝関節症については、X線診断上の罹患者数は約2500万人、その中で痛みを感じている人は800万人以上にものぼると推定されている。

0003

このような現状にも関わらず、現在のところ変形性関節症に関しては、痛み止めや関節内への直接ヒアルロン酸注射などの対症療法しかなく、進行を止めることが事実上不可能であり、症状が重症化すると、手術せざるを得ないという状態になってしまう。このような状況下において、有効な治療薬又は治療法が強く要望されている。

先行技術

0004

特開2007−262103号公報
特開2009−274955号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、変形性関節症の予防又は治療の手段を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、驚くべき事に、高分子量プロテオグリカンが、変形性関節症の予防又は治療に有用であることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。

0007

すなわち、本発明は例えば以下の項に記載の主題包含する。
項1.
分子量180万以上のプロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む、変形性関節症予防又は治療用組成物。
項2.
分子量500万以上のプロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む、項1に記載の変形性関節症予防又は治療用組成物。
項3.
前記魚類軟骨水抽出物が、含有するウロン酸のうち、10質量%以上が分子量180万以上のプロテオグリカンに由来するウロン酸である魚類軟骨水抽出物である、項1又は2に記載の組成物
項4.
前記魚類軟骨水抽出物が、含有するウロン酸のうち、7質量%以上が分子量500万以上のプロテオグリカンに由来するウロン酸である魚類軟骨水抽出物である、項1〜3のいずれかに記載の組成物。
項5.
魚類軟骨水抽出物が、魚類軟骨熱水抽出物である、項1〜4のいずれかに記載の組成物。項6.
魚類軟骨がサケ軟骨又はマス軟骨である、項1〜5のいずれかに記載の変形性関節症予防又は治療用組成物。

発明の効果

0008

本発明に係る変形性関節症予防又は治療用組成物によれば、経口摂取することで、変形性関節症を予防又は治療することができる。

図面の簡単な説明

0009

凍結サケ鼻軟骨ブロックの写真である。プラスチック容器の中央に配置された塊が凍結サケ鼻軟骨ブロックである。
高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物(凍結乾燥物サンプル1)の、ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを示す。
市販プロテオグリカンの、ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを示す。
変形性関節症モデルマウスに対する被験サンプル投与スケジュール概要を示す。
各被験サンプルが投与された変形性関節症モデルマウスの、膝関節部分をSafranin O染色した画像を示す。
各被験サンプルを経口摂取した変形性関節症モデルマウスについて、modified Mankin scoreによる「Safranin O」の評価の解析結果を示すグラフである。
各被験サンプルを経口摂取した変形性関節症モデルマウスについて、modified Mankin scoreによる「chondrocyte(軟骨細胞数)」の評価の解析結果を示すグラフである。
各被験サンプルを経口摂取した変形性関節症モデルマウスについて、modified Mankin scoreによる「Structure(軟骨表面の構造)」の評価の解析結果を示すグラフである。
各被験サンプルを経口摂取した変形性関節症モデルマウスについて、modified Mankin scoreによる「Safranin O」、「chondrocyte(軟骨細胞数)」及び「Structure(軟骨表面の構造)」の合計スコアの解析結果を示すグラフである。

0010

以下、本発明について、さらに詳細に説明する。

0011

プロテオグリカンは、グリコサミノグリカンムコ多糖)及びタンパク質が結合した構造を有する化合物である。グリコサミノグリカンは、2糖の繰り返し構造を有する酸性糖であり、具体的にはコンドロイチン硫酸デルマタン硫酸ヘパラン硫酸等が例示できる。これら酸性糖成分が有する2糖の繰り返し構造において、当該2糖のうち通常1つはアミノ糖、もう1つはウロン酸である。従って、プロテオグリカンの検出には、ウロン酸検出法の常法の1つであるカルバゾール硫酸法を用いることができる。

0012

また、タンパク質に、の歯状にグリコサミノグリカンが結合した化合物はプロテオグリカンモノマーとも呼ばれる(プロテオグリカンモノマーにおける当該タンパク質はコアタンパク質と呼ばれる。)。特に生体内では、このプロテオグリカンモノマーがリンクタンパク質を介してヒアルロン酸と結合した会合体を形成していると考えられており、当該会合体はプロテオグリカン集合体(proteoglycanaggregate)とも呼ばれる。本明細書における用語「プロテオグリカン」は、プロテオグリカンモノマー及びプロテオグリカン集合体を包含する意味で用いられる。なお、ヒアルロン酸もグリコサミノグリカンの一種である。

0013

本発明の変形性関節症予防又は治療用組成物は、高分子量のプロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む。

0014

本発明の変形性関節症予防又は治療用組成物に含まれる魚類軟骨水抽出物は、高分子量プロテオグリカンを含有する。本明細書でいう高分子量プロテオグリカンとは、具体的には分子量180万以上のプロテオグリカンであり、好ましくは分子量250万以上、300万以上、400万以上、500万以上、600万以上、700万以上、800万以上、900万以上、1000万以上、1100万以上、1200万以上、1300万以上、1400万以上、1500万以上、1600万以上、1700万以上、1800万以上、1900万以上、又は2000万以上のプロテオグリカンである。分子量が大きいものほど好ましく、特に分子量500万以上が好ましい。魚類軟骨水抽出物を、下記条件のゲル濾過クロマトグラフィーにより処理し、得られる各フラクションに含まれるウロン酸量(プロテオグリカン量を反映する)をカルバゾール硫酸法で定量し、当該ウロン酸量に基づくクロマトグラムを作成することにより、上記の分子量以上のプロテオグリカンの存在を確認することができる。このようなウロン酸量に基づくクロマトグラムを以下「ウロン酸量クロマトグラム」ということがある。また、各フラクションの280nmでの吸光度を測定することで、含まれるタンパク質量を相対値化し(すなわち、含まれるタンパク質量を反映する値とし)、当該吸光度に基づくクロマトグラムを描くこともできる。このようなクロマトグラムを以下「280nmタンパク質量クロマトグラム」ということがある。
〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕
カラム: SepharoseCL-2B充填カラム(Sepharose CL-2Bを担体としてφ1cm×50cmのカラムに充填したもの。Sepharose CL-2Bのデキストラン分画範囲は100〜20,000kDaであり、GE Healthcare社等から入手できる。Sepharose CL-2Bは、2%架橋アガロース粒子径60〜200μm(レーザー回折散乱法による)、CAS登録番号65099-79-8である。)
バッファー: 0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.1, 0.2M NaCl含有)
アプライサンプル量:魚類軟骨水抽出物4mg(乾燥質量換算)(1mLバッファーに溶解させて使用)
流速: 0.15mL/min
分画フラクション量: 1mL/tube
分子量検量線:次の各種デキストラン分子量マーカーについて上記と同様の条件でゲル濾過クロマトグラフィーを行い、糖検出のための周知の方法であるフェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度(デキストラン量を反映する)を測定し、各マーカー溶出されたフラクションを求め、当該条件のゲル濾過クロマトグラフィーの各フラクションに含まれる成分の分子量を反映する検量線を作成する。“各マーカーが溶出されたフラクション”とは、各マーカーが最も多く溶出されたフラクションをいう。換言すれば、各デキストラン分子量マーカーをゲル濾過した際の、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおけるピークトップに相当するフラクションである。

0015

<デキストラン分子量マーカー>
Dextran from Leuconostoc mesenteroides(mol wt 5,000,000−40,000,000)(SIGMA)・・・カラムのvoid volume測定用、20000kDa
Dextran Standard 1,400,000(SIGMA)・・・1400kDa
Dextran Standard 670,000(SIGMA) ・・・670kDa
Dextran Standard 410,000(SIGMA) ・・・410kDa
Dextran Standard 270,000(SIGMA) ・・・270kDa
但し、Dextran from Leuconostoc mesenteroidesについては、これに含まれる低分子のデキストランを除去する前処理を行った後、マーカーとして用いる。当該前処理は、上述の〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕によりDextran from Leuconostoc mesenteroidesそのものを溶出させ、分子量20,000kDa以上の分子を回収し、凍結乾燥させることで行う
。具体的には、フェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度を測定して作成した、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおいて、最初に出現したピークに相当するフラクションを回収し、これを凍結乾燥する(これにより、分子量20,000kDa以上の分子を
回収、凍結乾燥できると考えられる)。この凍結乾燥物を実際にマーカー(カラムのvoidvolume測定用)として用いる。

0016

デキストラン量を反映するクロマトグラムを得るための吸光度測定は、Hodge, J. E. and Hofreiter, B. T., Method in Carbohydrate Chemistry, 1, 338 (1962)に記載の方法(フェノール・硫酸法)に従う。具体的には、次のようにして行う。
〔1〕105×15mmの試験管試料水溶液を500μL加える。
〔2〕フェノール試薬(5 v/v%フェノール水溶液)を500μL加え、撹拌する。
〔3〕濃硫酸を2.5mL加え、すぐに10秒間激しく撹拌する。
〔4〕室温に20分以上放置する。
〔5〕分光光度計で490nmの吸収を測定する。

0017

なお、カルバゾール硫酸法とは、ウロン酸(グルクロン酸(GlcA)、イズロン酸等)の発色色素であるカルバゾール溶液測定検体に添加し、分光光度計を用いて吸光度を測定し、当該吸光度を基にウロン酸量を算出する周知の方法である。濃度を規定したグルクロン酸標準溶液を用いて検量線を作成し、検体中のグルクロン酸含量を求める。より具体的には、次のようにして行う。ホウ酸ナトリウム・10水和物0.95gを濃硫酸100mLに溶解した試薬2.5mLを試験管にとり、氷冷する。これに被検体0.5mL(2〜20μgのウロン酸を含むようにするのが好ましい)を静かに重層する。室温以上にならないように水冷しながらよく攪拌する。ガラス球で蓋をした後に、沸騰湯浴中で10分間加熱し、室温まで水冷する。これに、カルバゾール125mgを無水メチルアルコール100mLに溶解した試薬を0.1mL加えて混合し、更に15分間沸騰湯浴中で加熱する。その後、室温まで水冷し530nmにおける吸光度を測定する。ブランク蒸留水0.5mLを用いる。同時に、グルクロン酸を用いて検量線を作成する。(下述する実施例のカルバゾール硫酸法も、ここに記載した方法で行った。)

0018

乾燥質量換算で、本発明の魚類軟骨水抽出物に含まれるウロン酸量(カルバゾール硫酸法により定量)全量のうち、10質量%以上は、分子量180万以上のプロテオグリカンに由来するのが好ましい。換言すれば、本発明の魚類軟骨水抽出物は、乾燥質量換算で、分子量180万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量の10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、又は55質量%以上である。当該割合は大きい程好ましい。

0019

また、本発明の魚類軟骨水抽出物は、乾燥質量換算で、分子量250万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量の10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、又は60質量%以上である。当該割合は大きい程好ましい。

0020

また、本発明の魚類軟骨水抽出物は、乾燥質量換算で、分子量500万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量の7質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上、13質量%以上、16質量%以上、20質量%以上、24質量%以上、27質量%以上、30質量%以上、34質量%以上、又は37質量%以上である。当該割合は大きいほど好ましい。

0021

なお、特定の分子量(仮にXとする)以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量のどの程度の割合を占めるのかは、上述したウロン酸量クロマトグラムのピーク面積から求めることができる。具体的には、当該ウロン酸量クロマトグラムのピーク面積全体に対して、分子量X以上のウロン酸が占める面積割合を求めればよい。より具体的には、縦軸がウロン酸量、横軸がフラクションNo.であるウロン酸量クロマトグラムにおいて、分子量Xのプロテオグリカンを含むフラクションを通るように垂線を引き、その垂線で分断されたピーク部分のうち、分子量のより大きいプロテオグリカンを含むピーク部分の面積が、ピーク全体の面積のどの程度の割合を占めるかを求めればよい。

0022

なお、本発明の魚類軟骨水抽出物に含まれるウロン酸は、プロテオグリカンに含まれるものの他、プロテオグリカンから分断された糖鎖に含まれるもの等も想定される。

0023

また、本発明の魚類軟骨水抽出物に含まれるウロン酸量(カルバゾール硫酸法により測定)は、乾燥質量換算で、当該抽出物の好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、よりさらに好ましくは12.5質量%以上、なお好ましくは15質量%以上、特に好ましくは17.5質量%以上である。なお、本明細書(特に図表)において、ウロン酸量を示す際にグルクロン酸の略記であるGlcAを用いて「GlcA(μg)」などと表す場合がある。なお、魚類軟骨水抽出物に含まれるプロテオグリカン中のグリコサミノグリカンは、ほぼコンドロイチン硫酸と考えられる。そして、おおよそのコンドロイチン硫酸量は、ウロン酸量に係数2.593を乗ずることで求められることが知られている。よって、本発明の魚類軟骨水抽出物に含まれるおおよそのプロテオグリカン量は、ウロン酸量に係数2.593を乗ずることで算出できる。

0024

本発明の魚類軟骨水抽出物は、魚類軟骨(魚類の軟骨)から抽出される。魚類としては、サケ科サケ属が好ましく、具体的にはマス(カラフトマス、サクラマス、サツキマス等)、サケ(シロザケ、ベニザケ、ギンザケ、マスノスケスチールヘッド等)、等が例示される。また、サメタラ等も用いることができる。特にサケ又はマスが好ましい。また、軟骨としては、特に制限されないが、頭部軟骨、中でも鼻軟骨が好ましい。また、通常、魚類(特にサケやマス)が食品製品等へ加工される際に頭部は廃棄されることから、頭部軟骨の入手コストは安く、大量に安定供給され得るという利点もある。

0025

抽出は、水を用いて行われる。魚類軟骨は、生体から採取した軟骨をそのまま抽出に供してもよく、微細化(より具体的には、小片化又は粉末化)してから抽出に供してもよい。また、下述するように、抽出前に例えばエタノールなどの有機溶媒を用いて魚類軟骨に脱脂処理を施しても良い。このようにして、水によりプロテオグリカン(高分子量プロテオグリカンを含む)を抽出することができる。また、あるいは、水抽出を行う際、水を加熱しつつ行なうことにより、もしくは熱水沸騰水を用いることにより、効率的により効果が高い魚類軟骨水抽出物を得ることができる。

0026

上記の通り、魚類軟骨は、生体から採取した軟骨をそのまま抽出に供することができる。抽出に供するまで、凍結して保存しておくことが好ましい。凍結方法は特に制限されず、公知の凍結方法を用いることができる。例えば、フリーザーを用いて、魚類軟骨を−20〜−80℃程度で24〜72時間程度保存する方法が例示できる。また、魚類軟骨は、脱脂(すなわち脂肪除去)処理されているものを用いることもできる。脱脂処理されたものを用いることで、脂質の混入が少ない精製度の高い魚類軟骨水抽出物を得ることができる点で好ましい。脱脂処理方法としては、下述する「脱脂処理された魚類軟骨」を得る方法が例示できる。

0027

小片化魚類軟骨は、魚類軟骨を小片化したものである。小片化は、公知の方法により行うことができる。例えば、公知のブレンダーミル等の機器を用いて、魚類軟骨(好ましくは凍結魚類軟骨)を小片化することができる。小片化操作は、できるだけ低温で行うことが好ましい。例えば、小片化された魚類軟骨が凍結状態保持可能な温度であることが好ましい。具体的には0℃以下が例示できる。

0028

また、小片化魚類軟骨は、抽出効率の観点からは、凍結された小片化魚類軟骨(凍結小片化魚類軟骨)であることが好ましい。凍結小片化魚類軟骨は、(i)魚類軟骨を凍結した後小片化することで、又は(ii)魚類軟骨を小片化した後凍結することで、得ることができるが、(i)により得られるものが特に好ましい。凍結方法は特に制限されず、公知の凍結方法を用いることができる。例えば、フリーザーを用いて、魚類軟骨を−20〜−80℃程度で24〜72時間程度保存する方法が例示できる。

0029

小片化魚類軟骨又は凍結小片化魚類軟骨は、1小片あたり0.001〜0.5g程度が好ましく、0.005〜0.3g程度がより好ましく、0.01〜0.1g程度がさらに好ましい。小片化操作は、このような小片が得られるように行われるのが好ましい(使用機器条件を検討することにより、このような小片が得られる機器使用条件は簡単に決定できる)。

0030

粉末化魚類軟骨は、魚類軟骨を粉末化したもの(魚類軟骨粉末)である。粉末化は、公知の方法により行うことができる。例えば、公知のブレンダーやミル等の機器を用いて、魚類軟骨(好ましくは凍結魚類軟骨)を粉末化することができる。粉末化操作は、できるだけ低温(例えば0℃以下)で行うことが好ましい。

0031

また、粉末化魚類軟骨は、抽出効率の観点からは、凍結された粉末化魚類軟骨(凍結粉末化魚類軟骨)であることが好ましい。凍結粉末化魚類軟骨は、(i’)魚類軟骨を凍結した後粉末化することで、又は(ii’)魚類軟骨を粉末化した後凍結することで、得ることができるが、(i’)により得られるものが特に好ましい。凍結方法は特に制限されず、公知の凍結方法を用いることができる。例えば、フリーザーを用いて、魚類軟骨を−20〜−80℃程度で24〜72時間程度保存する方法が例示できる。

0032

なお、「粉末」は「小片」に比べて、小さいものを指すが、明確に区別することを意図する訳ではない。魚類軟骨を微細化したもののうち、比較的大きめ欠片のものを「小片」、比較的小さめの欠片のものを「粉末」と称している。従って、特に制限される訳ではないが、粉末としては、粒径約10〜1000μm程度、好ましくは50〜500μm程度、より好ましくは100〜200μm程度(レーザー回折散乱法により測定)の粒径を有する粒子を含む粉末が望ましい。これらの粒径を有する粒子は、粉末中多く(例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上)含まれることが好ましい。

0033

用いられる小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨は、脱脂(すなわち脂肪除去)されているものも使用できる。つまり、小片化脱脂魚類軟骨又は粉末化脱脂魚類軟骨も使用できる。脱脂処理されたものを用いることで、脂質の混入が少ない精製度の高い魚類軟骨水抽出物を得ることができるからである。小片化脱脂魚類軟骨又は粉末化脱脂魚類軟骨は、(α)脱脂処理された魚類軟骨を小片化又は粉末化することにより、あるいは(β)魚類軟骨を小片化又は粉末化した後に脱脂処理することにより、得ることができる。

0034

脱脂方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、上記(α)において魚類軟骨を脱脂処理する方法としては、例えば、魚類軟骨を1〜24時間程度流水(例えば水道蛇口からの流水)にさらす方法が例示される。また、魚類軟骨の入手は公知の方法で行うことができ、例えば魚類組織(好ましくは魚類頭部)を水に1〜24時間程度漬け膨潤させ、軟骨(好ましくは鼻軟骨)以外の組織を除去する方法や、あるいは、凍結サケ頭部を解凍後、直ちに鼻軟骨を取り出し、さらに流水に1〜24時間程度さらして洗浄及び脱脂する方法が例示される。肉片等が残存する場合は、ピンセット等により残存する肉片等を取り除くことが好ましい。なお、この段階では魚類軟骨は小片化又は粉末化されていないため、流水にさらす等しても、ほとんどプロテオグリカンは抽出されないと考えられる。また、下記の(β)の場合と同様に、有機溶媒により脂質を抽出除去する方法も用いることができる。

0035

また、例えば、(β)において、小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨を脱脂処理する方法としては、例えば、有機溶媒により脂質を抽出除去する方法が例示される。有機溶媒としては、エタノール、ヘキサンアセトン等が例示される。より具体的には、上記(β)の方法として、特開2009−173702号公報に記載される方法を好ましく用いることができる。つまり、例えば、以下の工程A〜Eを含む方法により、粉末化脱脂魚類軟骨を得、これを本発明に用いることができる(より詳細な条件も特開2009−173702号公報に記載されている)。
A.凍結した水棲動物組織(魚類組織)を破砕し、これに水を加え、温度0〜20℃、pH4.8〜7で処理する工程
B.Aの固液混合物遠心分離し、最上部の脂質層と中間層の水層を取り除き、沈殿物を回収する工程
C.沈殿物を乾燥し、微粉末化する工程
D.得られた乾燥微粉末に、溶媒としてヘキサン、アセトン又はエタノールを加え、残存脂質を抽出除去する工程
E.溶媒を除去する工程

0036

なお、凍結処理及び脱脂処理が両方なされた小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨(凍結小片化脱脂魚類軟骨又は凍結粉末化脱脂魚類軟骨)を用いるのが、さらに好ましい。これらは、例えば、脱脂処理された魚類軟骨を凍結し、これを小片化又は粉末化することにより得ることができる。

0037

これらの脱脂方法は、小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨だけでなく、生体から採取した軟骨そのものにも適用できる。

0038

魚類軟骨(小片化魚類軟骨及び粉末化魚類軟骨を含む。なお、以下小片化魚類軟骨及び粉末化魚類軟骨まとめて「微細化魚類軟骨」ということがある。)は水抽出に供される。水抽出に用いる水(以下「抽出水」という場合がある)としては、例えば、ミリQ水、蒸留水、脱イオン水精製水水道水等が例示される。また、抽出水のpHは、通常5.5〜8.0程度、好ましくはpH6.0〜7.5程度、より好ましくはpH6.5〜7.5程度である。酸やアルカリ塩基類などpHを大きく変動される物質を溶解させるのは好ましくない。なお、有機酸無機酸等の酸化合物水酸化ナトリウム等のアルカリ化合物を抽出水に添加すると、高分子量プロテオグリカン(特に分子量が1000万を超える高分子量プロテオグリカン)が減少若しくは消失するため、酸化合物やアルカリ化合物は添加しないことが好ましい。なお、限定的な解釈望むものではないが、これは、酸化合物やアルカリ化合物の影響により、抽出処理中にプロテオグリカン集合体が崩壊することが原因ではないかと推測される。

0039

水抽出は、例えば、魚類軟骨を水に適当時間(例えば30分以上、好ましくは30分〜24時間程度、より好ましくは1〜12時間程度、さらに好ましくは2〜6時間程度、よりさらに好ましくは3〜4時間程度)浸漬させることで行うことができる。水の量は、特に制限されないが、例えば抽出に供される小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨が全て水に浸かる程度の量が例示される。水抽出の際、静置してもよいし、撹拌してもよい。撹拌することが好ましい。また、抽出時の水の温度は、特に制限はされないが、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上である。そのため、抽出時に加温してもよいし、抽出前に予め温めておいてもよい。加熱温度(すなわち用いる水の温度)は、具体的には、好ましくは50〜100℃程度、より好ましくは70〜100℃程度、さらに好ましくは80〜100℃程度、よりさらに好ましくは90〜100℃程度が例示される。また、加圧下で加熱してもよい。また、加熱を行う場合は、高分子量プロテオグリカンが熱により分解されるおそれがあるため、加熱された抽出水を抽出処理中に置換してもよい。抽出水を置換する場合の各抽出水における抽出時間間隔は、例えば15分〜4時間毎、好ましくは30分〜2時間又は1時間程度が例示される。好ましい一態様としては、魚類軟骨に、これらを全量浸漬できる量の水(好ましくは加熱された水)を加え、3〜4時間加熱しつつ静置若しくは撹拌する、という方法が挙げられる。また、他の好ましい一態様としては、“魚類軟骨に、これらを全量浸漬できる量の水(好ましくは加熱された水)を加え、1時間加熱しつつ静置し、この水を回収する”という工程を4回繰り返す方法が挙げられる(この場合、合計4時間の水抽出を行うことになる)。

0040

水抽出後は、液体部分を回収することで、魚類軟骨水抽出物を得ることができる。液体部分の回収は、例えば遠心分離(例えば5000rpm、20分、4℃での遠心分離が例示できる)処理や連続遠心分離処理などを行い、上清を回収することで行い得る。当該液体(上清)をそのまま本発明の魚類軟骨水抽出物として用いてもよいし、公知の方法により更に精製(例えば脱脂)してもよい。あるいは、減圧蒸留法等により、濃縮してもよい。またあるいは、凍結乾燥法スプレードライ法等により、乾燥や粉末化してもよい。

0041

例えば上記のようにして得られる、高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物は、変形性関節症予防又は治療用組成物に好ましく用いられる。

0042

本発明の変形性関節症予防又は治療用組成物は、高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む。本発明の変形性関節症予防又は治療用組成物は、医薬分野及び食品分野で好ましく用いられる。

0043

本発明の変形性関節症予防又は治療用組成物を医薬分野にて用いる場合、当該組成物(以下「本発明に係る医薬組成物」と記載することがある)は、高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物のみからなるものでもよいし、さらに他の成分を配合したものでもよい。例えば、本発明に係る医薬組成物においては、必要に応じて薬学的に許容される基剤、担体、添加剤(例えば賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤溶剤甘味剤着色剤矯味剤矯臭剤界面活性剤保湿剤保存剤pH調整剤粘稠化剤等)等を配合することができる。このような基剤、担体、添加剤等は、例えば医薬品添加物辞典2007(株式会社薬事日報社)に具体的に記載されており、例えばこれに記載されるものを用いることができる。また、常法により、例えば錠剤被覆錠剤散剤顆粒剤細粒剤カプセル剤丸剤液剤懸濁剤乳剤ゼリー剤チュアブル剤、ソフト錠剤等の製剤に調製することができる。

0044

本発明に係る医薬組成物における高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物の配合量は、変形性関節症予防又は治療効果が発揮される限り特に制限されず、一日当たりの好ましい当該魚類軟骨水抽出物の摂取量に応じて適宜設定できる。好ましくは0.0005〜100質量%、より好ましくは0.005〜90質量%、さらに好ましくは0.05〜80質量%である。

0045

本発明に係る医薬組成物を投与する対象は、変形性関節症患者であり、特に変形性膝関節症患者が好ましい。患者の重症度は特に制限されず、初期患者、中期患者、後期患者いずれの患者にも好ましく用いることができる。さらに、高齢者等、変形性関節症を患う可能性の高い人に対して、予防的に(すなわち予防薬として)用いることもできる。

0046

本発明に係る医薬組成物の投与時期は特に限定されず、例えば製剤形態、患者の年齢、患者の症状の程度等を考慮して適宜投与時期を選択することが可能である。また、投与形態経口投与が好適である。なお、嚥下困難者等、口を経て投与することが困難な患者の場合、胃瘻等を通じて直接送達してもよい。

0047

本発明に係る医薬組成物の投与量は、患者の年齢、患者の症状の程度、その他の条件等に応じて適宜選択され得る。通常当該医薬組成物中の高分子量プロテオグリカン量が、成人一日あたり好ましくは1〜1000mg、より好ましくは10〜300mgの範囲となる量を目安とするのが好ましい。なお、1日1回又は複数回(好ましくは2〜3回)に分けて投与することができる。

0048

本発明の変形性関節症予防用組成物食品添加剤として用いる場合、当該組成物(以下「本発明に係る食品添加剤」と記載することがある)は、高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物そのものであってもよいし、これと食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品添加剤として利用され得る成分・材料が適宜配合されたものでもよい。また、このような食品添加剤の形態としては、例えば液状、粉末状、フレーク状、顆粒状、ペースト状のものが挙げられるがこれらに限定されない。具体的には、調味料醤油ソースケチャップドレッシング等)、フレーク(ふりかけ)、焼き肉のたれ、スパイスルーペースト(カレールーペースト等)等が例示できる。このような食品添加剤は、常法に従って適宜調製することができる。本発明に係る食品添加剤における高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物の配合量は、変形性関節症予防又は治療作用が発揮される限り特に制限されないが、好ましくは0.0005〜100質量%、より好ましくは0.005〜90質量%、さらに好ましくは0.05〜80質量%である。

0049

このような本発明に係る食品添加剤は、該食品添加剤が添加された食品を食べることにより摂取される。なお、当該添加は食品調理中又は製造中に行ってもよいし、調理済みの食品を食べる直前又は食べながら行ってもよい。当該食品添加剤はこのようにして経口摂取することにより、変形性関節症予防効果を発揮する。なお、本発明に係る食品添加剤の摂取対象、含有高分子量プロテオグリカンの摂取量等の各条件は、特に制限されないが、例えば上述した本発明に係る医薬組成物と同様であることが好ましい。

0050

本発明の変形性関節症予防用組成物を飲食品として用いる場合、当該組成物(以下「本発明に係る飲食品」と記載することがある)は、高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物、及び食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤、その他食品として利用され得る成分・材料等が適宜配合されたものである。例えば、高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む、加工食品、飲料、健康食品(栄養機能食品特定保健用食品等)、サプリメント、病者用食品(病院食、病人食又は介護食等)等が例示できる。また、高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を例えば凍結乾燥やスプレードライするなどして、粉末状とし、飲料類ジュース等)、菓子類(例えばガムグミチョコレートキャンディービスケットクッキー、おかき、煎餅プリンゼリー杏仁豆腐等)、パン類スープ類粉末スープ等を含む)、加工食品等の各種飲食品に含有させたものであってもよい。

0051

なお、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメントとして、本発明に係る飲食品を調製する場合は、継続的な摂取が行いやすいように、例えば顆粒、カプセル、錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(ドリンク剤)等の形態に調製することが好ましく、なかでもカプセル、タブレット、錠剤の形態が摂取の簡便さの点からは好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。顆粒、カプセル、錠剤等の形態の、本発明に係る飲食品は、薬学的及び/又は食品衛生学的に許容される担体等を用いて、常法に従って適宜調製することができる。また、他の形態に調製する場合であっても、従来の方法に従えばよい。

0052

本発明に係る飲食品における高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物の配合量は、変形性関節症予防作用が発揮され得る限り特に制限されないが、好ましくは0.0005〜100質量%、より好ましくは0.005〜90質量%、さらに好ましくは0.05〜80質量%である。

0053

本発明に係る飲食品は、変形性関節症予防のために好ましく用いることができる。また、摂取対象、含有高分子量プロテオグリカンの摂取量等の各条件は、特に制限はされないが、例えば上述した本発明に係る医薬組成物と同様であることが好ましい。

0054

なお、病院食とは病院に入院した際に供される食事であり、病人食は病人用の食事であり、介護食とは被介護者用の食事である。本発明に係る飲食品は、変形性関節症で入院、自宅療養等されている患者、あるいは介護を受けられている患者用の病院食、病人食又は介護食として特に好ましく用いることができる。また、高齢者など、変形性関節症を患う可能性の高い人が予防的に摂取することもできる。

0055

本発明は、変形性関節症患者及び変形性関節症を患う可能性の高い人に対し、本発明の変形性関節症予防又は治療用組成物を経口投与又は経口摂取することを特徴とする変形性関節症の改善方法及び治療方法をも提供する。当該方法は、具体的には、前述の本発明の変形性関節症予防又は治療用組成物を経口投与又は経口摂取することで実施される。なお、当該方法における、経口投与又は摂取量等の各条件は前述の通りである。

0056

以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
プロテオグリカンの調製
以下の手順により、サケ鼻軟骨からプロテオグリカン含有水抽出物を得た。サケ鼻軟骨としては、凍結サケ頭部を解凍後、直ちに鼻軟骨を取り出し、さらに流水に6時間さらして洗浄及び脱脂した後、さらにピンセットで肉片等を取り除き、手で水洗いして得られたサケ鼻軟骨を用いた。

0057

サケ鼻軟骨をフリーザーに保存して凍結させ、これを「凍結サケ鼻軟骨ブロック」として用いた。当該凍結サケ鼻軟骨ブロックの写真を図1に示す。なお、用いたサケ頭部の大きさにもよるが、凍結サケ鼻軟骨ブロック1個は、およそ、大きさ 2.5×1.5 〜 4.5×2 cm、重さ 1.71 〜 6.91 gの塊(7個あたりの平均の重さは3.701g)であった。

0058

凍結サケ鼻軟骨ブロックを100℃で加熱することによりプロテオグリカンを抽出した。
具体的には、次のようにして抽出を行った。凍結サケ鼻軟骨ブロック合計約1000gに対し2500mLの蒸留水を加え、100℃で3時間加熱し、それらを遠心分離機により8,000rpm、30分、4℃で遠心分離し、不溶物(残渣)を取り除き上清を回収した。回収上清を、濾紙を用いて吸引濾過し、得られた濾液を凍結乾燥し、プロテオグリカン含有凍結乾燥物を得た。当該凍結乾燥物を、カッターミルで破砕し、粉末状にして、以下の分析に供した。当該粉末は、約65g得られた。なお、当該粉末状のプロテオグリカン含有凍結乾燥物を、「サンプル1」とする。

0059

分子量の検討
サンプル1を、下記条件のゲル濾過クロマトグラフィーにより各フラクションに分離した。そして、各フラクションに含まれるウロン酸量をカルバゾール硫酸法により定量した。また、各フラクションの280nmでの吸光度を測定し、当該吸光度を、含まれるタンパク質量を反映する値とした。そして、これらの結果を基にして、ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを描いた。ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを重ねて描いた図を図2に示す。なお、サンプル1全量(約65g)中、ウロン酸量は約12gであった。

0060

また、図2には、ウロン酸量クロマトグラムにおいて各デキストラン分子量マーカーが溶出されたフラクションの位置も、併せて示す。なお、ゲル濾過クロマトグラフィーの分画フラクション量は下記の通り 1mL/tubeとしたため、図2の横軸「Elution Volume(mL)」は、フラクションNo.も反映する。
〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕
カラム: SepharoseCL-2B充填カラム(Sepharose CL-2Bを担体としてφ1cm×50cmのカラムに充填したもの。Sepharose CL-2Bのデキストランの分画範囲は100〜20,000kDaであ
り、GE Healthcare社等から入手できる。Sepharose CL-2Bは、2%架橋アガロース、粒子径60〜200μm(レーザー回折散乱法による)、CAS登録番号65099-79-8である。)
バッファー: 0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.1, 0.2M NaCl含有)
アプライサンプル量:ウロン酸として1mg/ml
流速: 0.15mL/min
分画フラクション量: 1mL/tube
分子量検量線:分子量マーカーとして、次の各種デキストランについて上記と同様の条件(但しサンプルアプライ量は1mg/1mLバッファー)でゲル濾過クロマトグラフィーを行い、フェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度(デキストラン量を反映する)を測定し、検量線を作成した。

0061

<デキストラン分子量マーカー>
Dextran from Leuconostoc mesenteroides(mol wt 5,000,000−40,000,000)(SIGMA)・・・カラムのvoid volume測定用、20000kDa
Dextran Standard 1,400,000(SIGMA)・・・1400kDa
Dextran Standard 670,000(SIGMA) ・・・670kDa
Dextran Standard 410,000(SIGMA) ・・・410kDa
Dextran Standard 270,000(SIGMA) ・・・270kDa
但し、Dextran from Leuconostoc mesenteroidesについては、当該マーカーに含まれる低分子のデキストランを除去する前処理を行った後、用いた。当該前処理は、上述の〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕(アプライ量はマーカー用の量)によりDextran from Leuconostoc mesenteroidesそのものを溶出させ、分子量2000万以上の分子を回収し、凍結乾燥させることで行った。具体的には、フェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度を測定して作成した、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおいて、最初に出現したピークに相当するフラクションを回収し、これを凍結乾燥した(これにより、分子量20,000kDa以上の分子を回収、凍結乾燥できると考えられる)。この凍結乾燥物を実際にマーカー(カラムのvoid volume測定用)として用いた。

0062

デキストラン量を反映するクロマトグラムを得るための吸光度測定は、Hodge, J. E. and Hofreiter, B. T., Method in Carbohydrate Chemistry, 1, 338 (1962)に記載の方法(フェノール・硫酸法)に従った。具体的には、次のようにして行った。
〔1〕105×15mmの試験管に試料水溶液を500μL加える。
〔2〕フェノール試薬(5 v/v%フェノール水溶液)を500μL加え、撹拌する。
〔3〕濃硫酸を2.5mL加え、すぐに10秒間激しく撹拌する。
〔4〕室温に20分以上放置する。
〔5〕分光光度計で490nmの吸収を測定する。

0063

得られた検量線は(y = −4.3446Ln(x)+56.68 ; R2=0.9823)であり、R2値から考えて、分子量とフラクションNo.(即ち溶出液量)はよく相関していることがわかった。

0064

図2に示されるように、サンプル1には、少なくとも分子量180万以上、特に分子量500万以上の高分子量のプロテオグリカンが含まれることがわかった。

0065

また、「プロテオグリカン」として市販されている製品対照として、同様に検討を行った。ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを重ねて描いた図を図3に示す。また、図3には、ウロン酸量クロマトグラムにおいて各デキストラン分子量マーカーが溶出されたフラクションの位置も、併せて示す。当該検討において作成した検量線は(y = −3.943Ln(x)+59.069 ; R2=0.9978)であり、R2値から考えて、分子量とフラクションNo.(即ち溶出液量)はよく相関していた。図3に示されるように、市販のプロテオグリカンには、分子量180万以上のプロテオグリカンはほとんど含まれず、特に分子量500万以上のプロテオグリカンは全く含まれないことがわかった。なお、当該市販のプロテオグリカンを、以下「サンプル2」とする。

0066

さらに、サンプル1及びサンプル2における分子量180万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、サンプル全体のウロン酸量に占める割合について、図2及び図3に示されるウロン酸クロマトグラムを基に算出した。具体的には、図2及び図3に示されるウロン酸クロマトグラムにおいて、ピーク面積全体に対して、分子量180万以上のウロン酸が占める面積割合を算出した。より具体的には、分子量180万に相当する溶出液量点に垂線を引き、該クロマトグラムを分割した際の2部分の面積比を求めた。また、同様にして、サンプル1及びサンプル2における分子量500万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、サンプル全体のウロン酸量に占める割合についても算出した。結果を表1に示す。

0067

0068

変形性関節症に対する効果の検討
<モデルマウスの作製>
変形性関節症モデルマウスを以下の手順にて作製した。6週齢のC57bl6マウス(雄:約20〜22g)を日本エスエルシー株式会社から購入し、当該マウスの大腿部に、ケタラール(50mg/ml) 0.3ml +セラクタール(2%)0.1ml を皮下注射して全身麻酔をかけ、膝関節周辺除毛し、手術準備を行った。マウスの右後足は、前十字靭帯切断および内側半月板切除を行い、一方左後足は、右と同様に関節胞を切開したが靭帯半月板は傷つけず、そのまま縫合し、sham operation(偽手術)とした。これにより、前十字靭帯の切断と半月板部分切除を行った、中程度(moderato)の障害のモデルマウスを作製した。

0069

<モデルマウスに対する被験サンプルの摂取>
表2に示されるようにマウスを4群に分けた(n=10)。また、マウス1匹の1日あたりの摂食量を4gと仮定し、実験動物一般飼料(CE-2:日本クレア株式会社)に各サンプル(サンプル1又はサンプル2)が表2の量となるように配合し、合計量を4gとした。ただし、サンプル2に関しては、賦形剤が含まれていたため、プロテオグリカンとして5mgを含むよう、配合した(表2)。

0070

0071

そして、上記のモデルマウス作製のために行った手術の後、次の通りのスケジュール試験を進めた。すなわち、モデルマウスに各サンプルを混合した飼料を手術後4週間摂取させ、その摂食期間中は、室温23±2℃、湿度50-60%の環境下で5匹/ケージ飼育した。
行動や摂食に関しては制限せず、自由とした。摂食量は1週間毎に交換する際に測定し、1日あたりの摂食量/匹を概算した。当該試験スケジュールの概要を図4に示す。なお、実験動物用一般飼料(CE-2)のみを摂食させたコントロール群も同様に検討を行った。

0072

手術から4週間後、麻酔下(ケタラール(50mg/ml) 0.3ml +セラクタール(2%)0.1ml を皮下注射)においてマウスの心臓からの採血及び、膝関節部分の切り出しを行った。手術時と同様に除毛した後、大腿骨骨をそれぞれ切断し、方向を揃えてサンプルパックに1つずつ入れ、4%パラホルムアルデヒド中で24時間固定した。その後、EDTA(0.5mol)にて3週間脱灰して、パラフィンにて包埋、約5μmの厚さで脱灰標本を作成した。切片作製後、ヘマトキシリンエオジン染色(HE染色)及び、サフラニンO(Safranin O)染色
を行った。Safranin Oは、塩基性色素であり、酸性のグリコサミノグリカンと結合してオレンジ色を呈するため、軟骨組織指標として用いられる。染色後、modified Mankin score(修正マンキンスコア)を用いて「Safranin O(染色範囲:グリコサミノグリカン量を示す)」「chondrocyte(軟骨細胞数)」「Structure(軟骨表面の構造)」の3項目スコア化し(評価者3名による)、その平均値を用いて関節軟骨部位損傷の評価を行った。統計学的解析は、多重比較のBonferroni/Dunn法に従って行った。

0073

なお、Mankin scoreとは、1)ヒトの症例との比較がなされている、2)経時的な変化が調べられているなどといった理由から信頼性が高く、一般的に軟骨変性評価法として汎用されている方法である。本検討で用いたmodified Mankin scoreの各項目の基準を表3に示す。

0074

0075

<検討結果>
グループの摂食量及び体重の測定結果(いずれも平均値)を表4に示す。

0076

0077

また、各群のSafranin O染色後の画像(代表例)を図5に示す。

0078

また、組織画像を基に、上記3つの項目についてMankin scoreを用いてスコア化(評価者は3名)を行い解析した結果を図6a〜dに示す。なお、図6a〜dにおいては、OAはコントロールの結果を、低濃度PGはグループ1の結果を、中濃度PGはグループ2の結果を、高濃度PGはグループ3の結果を、他社PGはグループ4の結果を、それぞれ示す。また、図6aは「Safranin O」の解析結果を、図6bは「chondrocyte(軟骨細胞数)」の解析結果を、図6cは「Structure(軟骨表面の構造)」の解析結果を、図6dはこれら3項目の合計スコアの解析結果を、それぞれ示す。なお、6aに記載のn数の記載は図6b〜dに共通である。

0079

これらの結果から、サンプル1は有意に変形性関節症モデルマウスの軟骨の損傷を抑制していることが確認できた。一方で、サンプル2には、軟骨損傷抑制効果は見られなかった。

実施例

0080

以上のことから、低分子量のプロテオグリカンの経口摂取によっては、変形性関節症に対する効果は得られない一方、分子量が180万以上(なかでも好ましくは500万以上)のプロテオグリカンを経口摂取することにより、変形性関節症の予防又は治療を行い得ることがわかった。

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