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技術 ビスフェノールAの製造方法

出願人 出光興産株式会社
発明者 早川岳志児玉正宏
出願日 2013年7月4日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2014-524772
公開日 2016年6月23日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 WO2014-010510
状態 特許登録済
技術分野 触媒を使用する低分子有機合成反応 有機低分子化合物及びその製造
主要キーワード 初期供給量 機器サイズ スラリー移送 蒸発塔 遊離酸濃度 塩基性無機酸 精製フェノール 押し出し流れ
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課題・解決手段

(1)含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒充填した反応器を用いて、フェノールアセトンとを縮合反応させてビスフェノールAを生成し、ビスフェノールAを含む反応混合液を得る工程、(2)反応混合液から低沸点成分を分離して、濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を調製する工程、(3)晶析原料を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物晶析させてビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物を生成し、該晶析物を反応混合液から分離する工程、及び(4)前記晶析物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収する工程を有するビスフェノールAの製造方法であって、(R1)ビスフェノールAの製造工程において生じるフェノールを含む排水からメチルイソブチルケトンを用いて水とフェノールとを分離し、粗フェノールを抽出する工程、及び(R2)粗フェノールを蒸留精製して、硫黄濃度が0.5質量ppm以下、窒素濃度が0.1質量ppm以下のフェノールを得る工程を含み、工程(R2)で得られたフェノールを、工程(1)〜(4)の少なくとも1つの工程にて再利用する、ビスフェノールAの製造方法。

概要

背景

ビスフェノールAはポリカーボネート樹脂ポリアリレート樹脂等のエンジニアリングプラスチック、あるいはエポキシ樹脂等の原料として重要な化合物であることが知られており、近年その需要はますます増大する傾向にある。高品質樹脂を製造するための原料として、無色かつ高純度のビスフェノールAが要求されている。

ビスフェノールAは、通常、フェノールアセトンとを酸性触媒の存在下に反応させることにより製造される。酸性触媒としては、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂が知られている。ここで、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂から硫黄又は窒素を含む不純物が流出すると、製造されるビスフェノールAの品質が悪化するため、前記強酸性陽イオン交換樹脂をフェノールで洗浄した後に反応を開始することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、前記強酸性陽イオン交換樹脂を洗浄した後のフェノール溶液蒸留することで、窒素濃度の低い再利用可能なフェノールを回収する方法が記載されている。

ところで、フェノールは水と相互に混和性を有するため、通常の蒸留法ではフェノールと水とを分離するのは困難である。そのため、フェノールを含有する排水からフェノールを回収する方法としては、エチルベンゼンに代表される共沸剤を用いて共沸蒸留するいわゆる共沸法や、メチルイソブチルケトンMIBK)に代表される溶剤を用いてフェノールを抽出するいわゆる溶剤抽出法が知られている(例えば、特許文献2〜4を参照)。
共沸法は、フェノールを含有する排水に共沸剤を添加して共沸蒸留することで、水とフェノールとを分離する方法である。共沸法は、水とフェノールとを分離して再利用可能なフェノールを回収できる点では優れた方法であるが、共沸剤と水とを分離して再利用可能な共沸剤を回収するためのエネルギーコストが高いという問題がある。
一方、溶剤抽出法は、フェノールを含有する排水に溶剤を添加してフェノールを溶剤側に抽出し、その抽出液を蒸留等してフェノールを溶剤から分離することで、水とフェノールとを分離する方法である。

概要

(1)含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒充填した反応器を用いて、フェノールとアセトンとを縮合反応させてビスフェノールAを生成し、ビスフェノールAを含む反応混合液を得る工程、(2)反応混合液から低沸点成分を分離して、濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を調製する工程、(3)晶析原料を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物晶析させてビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物を生成し、該晶析物を反応混合液から分離する工程、及び(4)前記晶析物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収する工程を有するビスフェノールAの製造方法であって、(R1)ビスフェノールAの製造工程において生じるフェノールを含む排水からメチルイソブチルケトンを用いて水とフェノールとを分離し、粗フェノールを抽出する工程、及び(R2)粗フェノールを蒸留精製して、硫黄濃度が0.5質量ppm以下、窒素濃度が0.1質量ppm以下のフェノールを得る工程を含み、工程(R2)で得られたフェノールを、工程(1)〜(4)の少なくとも1つの工程にて再利用する、ビスフェノールAの製造方法。

目的

本発明が解決しようとする課題は、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒を用いてビスフェノールAを製造する際に生じたフェノールを含有する排水から高純度のフェノールを効率よく回収して再利用し、高品質のビスフェノールAを効率的に製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

(1)含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒充填した反応器を用いて、フェノールアセトンとを縮合反応させてビスフェノールAを生成し、ビスフェノールAを含む反応混合液を得る工程、(2)前記工程(1)で得られた反応混合液から低沸点成分を分離して、濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を調製する工程、(3)前記工程(2)で調製された晶析原料を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物晶析させてビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物を生成し、該晶析物を反応混合液から分離する工程、及び(4)前記工程(3)で得られたビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収する工程を有するビスフェノールAの製造方法であって、(R1)ビスフェノールAの製造工程において生じるフェノールを含む排水からメチルイソブチルケトンを用いて水とフェノールとを分離し、粗フェノールを抽出する工程、及び(R2)前記工程(R1)で抽出された粗フェノールを蒸留精製して、硫黄濃度が0.5質量ppm以下、窒素濃度が0.1質量ppm以下のフェノールを得る工程を含み、前記工程(R2)で得られたフェノールを、前記工程(1)〜(4)の少なくとも1つの工程にて再利用する、ビスフェノールAの製造方法。

請求項2

前記工程(1)の前に、前記強酸性陽イオン交換樹脂触媒をフェノールで洗浄する工程(F)を更に有し、前記工程(R1)におけるフェノールを含む排水が、工程(F)における洗浄後のフェノール溶液を含有し、かつ、前記工程(R2)で得られたフェノールを、前記工程(F)、(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程にて再利用する、請求項1に記載のビスフェノールAの製造方法。

請求項3

前記工程(2)が、以下の工程(2a)及び(2b)を有し、かつ、工程(2a)で分離された塔底液(ii)を用いて前記晶析原料を調製する工程であり、前記のフェノールを含む排水が、工程(2a)で分離された塔頂成分(i)及び/又は工程(2b)で分離された塔底液(iv)を含む、請求項1又は2に記載のビスフェノールAの製造方法。(2a)蒸留塔を使用して前記工程(1)で得られた反応混合液を蒸留し、低沸点成分を含有する塔頂成分(i)とビスフェノールA及びフェノールを含有する塔底液(ii)とに分離する工程(2b)前記工程(2a)で分離された塔頂成分(i)を、更に蒸留塔を使用して蒸留し、未反応のアセトンを含有する塔頂成分(iii)と反応生成水を含有する塔底液(iv)とに分離する工程

請求項4

前記含硫黄アミン化合物が、2−アミノエタンチオール、2,2−ジメチルチアゾリジン及び4−ピリジンエタンチオールからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。

請求項5

遊離酸除去設備によって、系内のフェノール含有液から遊離酸を除去する工程(C)を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。

請求項6

前記遊離酸除去設備が陰イオン交換樹脂である、請求項5に記載のビスフェノールAの製造方法。

請求項7

下記(a)〜(c)のいずれか少なくとも一つを満足する、請求項5又は6に記載のビスフェノールAの製造方法。(a)前記工程(1)で用いられる反応器が、その出口に、遊離酸除去設備として陰イオン交換樹脂を有する。(b)前記工程(3)にてアダクトが分離された反応混合液を異性化する異性化反応器を有し、該異性化反応器が、その入口に、遊離酸除去設備として陰イオン交換樹脂を有する。(c)前記工程(3)にてアダクトが分離された反応混合液を異性化する異性化反応器を有し、該異性化反応器が、その出口に、遊離酸除去設備として陰イオン交換樹脂を有する。

請求項8

前記遊離酸除去設備をフェノールで洗浄する工程(G)を有し、前記工程(R1)におけるフェノールを含む排水が、工程(G)における洗浄後のフェノール溶液を含有し、かつ、前記工程(R2)で得られたフェノールを、前記工程(F)、(G)、(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程にて再利用する、請求項5〜7のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。

請求項9

前記フェノール含有液が、(i)工程(F)における洗浄後のフェノール溶液、(ii)工程(1)で得られる反応混合液、並びに(iii)工程(F)、(G)、(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程にて再利用されるフェノールの中から選ばれる少なくとも1種のフェノール含有液である、請求項5〜8のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。

請求項10

前記工程(4)の前に、前記工程(R2)で得られたフェノールを用いて、前記工程(3)で分離されたビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物を洗浄する、請求項1〜9のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ビスフェノールAの製造方法に関し、詳しくは、フェノール及びアセトンからビスフェノールAを製造する方法に関する。

背景技術

0002

ビスフェノールAはポリカーボネート樹脂ポリアリレート樹脂等のエンジニアリングプラスチック、あるいはエポキシ樹脂等の原料として重要な化合物であることが知られており、近年その需要はますます増大する傾向にある。高品質樹脂を製造するための原料として、無色かつ高純度のビスフェノールAが要求されている。

0003

ビスフェノールAは、通常、フェノールとアセトンとを酸性触媒の存在下に反応させることにより製造される。酸性触媒としては、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂が知られている。ここで、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂から硫黄又は窒素を含む不純物が流出すると、製造されるビスフェノールAの品質が悪化するため、前記強酸性陽イオン交換樹脂をフェノールで洗浄した後に反応を開始することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、前記強酸性陽イオン交換樹脂を洗浄した後のフェノール溶液蒸留することで、窒素濃度の低い再利用可能なフェノールを回収する方法が記載されている。

0004

ところで、フェノールは水と相互に混和性を有するため、通常の蒸留法ではフェノールと水とを分離するのは困難である。そのため、フェノールを含有する排水からフェノールを回収する方法としては、エチルベンゼンに代表される共沸剤を用いて共沸蒸留するいわゆる共沸法や、メチルイソブチルケトンMIBK)に代表される溶剤を用いてフェノールを抽出するいわゆる溶剤抽出法が知られている(例えば、特許文献2〜4を参照)。
共沸法は、フェノールを含有する排水に共沸剤を添加して共沸蒸留することで、水とフェノールとを分離する方法である。共沸法は、水とフェノールとを分離して再利用可能なフェノールを回収できる点では優れた方法であるが、共沸剤と水とを分離して再利用可能な共沸剤を回収するためのエネルギーコストが高いという問題がある。
一方、溶剤抽出法は、フェノールを含有する排水に溶剤を添加してフェノールを溶剤側に抽出し、その抽出液を蒸留等してフェノールを溶剤から分離することで、水とフェノールとを分離する方法である。

先行技術

0005

特開2004−315387号公報
特開2000−107748号公報
特開昭58−15932号公報
特表2007−534471号公報

発明が解決しようとする課題

0006

含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂を洗浄した後のフェノール溶液中には、遊離酸アミン化合物等の硫黄又は窒素を含む不純物が含まれている。そのような不純物を含有するフェノールをビスフェノールAの製造に再利用すると、製造されるビスフェノールAの品質が悪化するおそれがある。

0007

特許文献1には、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂を洗浄した後のフェノール溶液を蒸留することで水を除去することが記載されている。しかし、通常の蒸留法ではフェノールと水とを分離するのは困難であり、また、十分な分離を行うためには高いエネルギーコストを要するという問題がある。
特許文献2には、共沸剤を用いて水とフェノールとを分離する方法が記載されている。しかし、共沸剤と水とを分離して再利用可能な共沸剤を回収するためのエネルギーコストが高いという問題がある。
特許文献3には、メチルイソブチルケトンを用いてフェノールを抽出して水とフェノールとを分離し、回収されたフェノールをビスフェノールA製造工程へ循環して再利用することが記載されている。また、特許文献4には、メチルイソブチルケトン及びアニソールを含む混合物を用いてフェノールを抽出して水とフェノールとを分離する方法が記載されている。しかし、特許文献3及び4には、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂について開示されておらず、メチルイソブチルケトンから分離したフェノール中に遊離酸やアミン化合物等の硫黄又は窒素を含む不純物が含まれることが想定されていない。

0008

本発明が解決しようとする課題は、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒を用いてビスフェノールAを製造する際に生じたフェノールを含有する排水から高純度のフェノールを効率よく回収して再利用し、高品質のビスフェノールAを効率的に製造する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]のビスフェノールAの製造方法を提供する。
[1](1)含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒を充填した反応器を用いて、フェノールとアセトンとを縮合反応させてビスフェノールAを生成し、ビスフェノールAを含む反応混合液を得る工程、
(2)前記工程(1)で得られた反応混合液から低沸点成分を分離して、濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を調製する工程、
(3)前記工程(2)で調製された晶析原料を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物晶析させてビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物を生成し、該晶析物を反応混合液から分離する工程、及び
(4)前記工程(3)で得られたビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収する工程
を有するビスフェノールAの製造方法であって、
(R1)ビスフェノールAの製造工程において生じるフェノールを含む排水からメチルイソブチルケトンを用いて水とフェノールとを分離し、粗フェノールを抽出する工程、及び
(R2)前記工程(R1)で抽出された粗フェノールを蒸留精製して、硫黄濃度が0.5質量ppm以下、窒素濃度が0.1質量ppm以下のフェノールを得る工程
を含み、前記工程(R2)で得られたフェノールを、前記工程(1)〜(4)の少なくとも1つの工程にて再利用する、ビスフェノールAの製造方法。
[2]前記工程(1)の前に、前記強酸性陽イオン交換樹脂触媒をフェノールで洗浄する工程(F)を更に有し、かつ、前記工程(R1)におけるフェノールを含む排水が、工程(F)における洗浄後のフェノール溶液を含有する、[1]に記載のビスフェノールAの製造方法。
[3]前記工程(2)が、以下の工程(2a)及び(2b)を有し、かつ、工程(2a)で分離された塔底液(ii)を用いて前記晶析原料を調製する工程であり、
前記のフェノールを含む排水が、工程(2a)で分離された塔頂成分(i)及び/又は工程(2b)で分離された塔底液(iv)を含む、[1]又は[2]に記載のビスフェノールAの製造方法。
(2a)蒸留塔を使用して前記工程(1)で得られた反応混合液を蒸留し、低沸点成分を含有する塔頂成分(i)とビスフェノールA及びフェノールを含有する塔底液(ii)とに分離する工程
(2b)前記工程(2a)で分離された塔頂成分(i)を、更に蒸留塔を使用して蒸留し、未反応のアセトンを含有する塔頂成分(iii)と反応生成水を含有する塔底液(iv)とに分離する工程
[4]前記含硫黄アミン化合物が、2−アミノエタンチオール、2,2−ジメチルチアゾリジン及び4−ピリジンエタンチオールからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[1]〜[3]のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。
[5]遊離酸除去設備によって、系内のフェノール含有液から遊離酸を除去する工程(C)を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。
[6]前記遊離酸除去設備が陰イオン交換樹脂である、[5]に記載のビスフェノールAの製造方法。
[7]下記(a)〜(c)のいずれか少なくとも一つを満足する、[5]又は[6]に記載のビスフェノールAの製造方法。
(a)前記工程(1)で用いられる反応器が、その出口に、遊離酸除去設備として陰イオン交換樹脂を有する。
(b)前記工程(3)にてアダクトが分離された反応混合液を異性化する異性化反応器を有し、該異性化反応器が、その入口に、遊離酸除去設備として陰イオン交換樹脂を有する。
(c)前記工程(3)にてアダクトが分離された反応混合液を異性化する異性化反応器を有し、該異性化反応器が、その出口に、遊離酸除去設備として陰イオン交換樹脂を有する。
[8]前記遊離酸除去設備をフェノールで洗浄する工程(G)を有し、前記工程(R1)におけるフェノールを含む排水が、工程(G)における洗浄後のフェノール溶液を含有し、かつ、前記工程(R2)で得られたフェノールを、前記工程(F)、(G)及び(1)〜(4)の少なくとも1つの工程にて再利用する、[5]〜[7]のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。
[9]前記フェノール含有液が、
(i)工程(F)における洗浄後のフェノール溶液、
(ii)工程(1)で得られる反応混合液、並びに
(iii)工程(F)、(G)、(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程にて再利用されるフェノール
の中から選ばれる少なくとも1種のフェノール含有液である、[5]〜[8]のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。
[10]前記工程(4)の前に、前記工程(R2)で得られたフェノールを用いて、前記工程(3)で分離されたビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物を洗浄する、[1]〜[9]のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。

発明の効果

0010

本発明によれば、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒を用いてビスフェノールAを製造する際に生じたフェノールを含有する排水から高純度のフェノールを効率よく回収することができ、回収したフェノールを再利用することで、高品質のビスフェノールAを効率的に製造することができる。

0011

本発明のビスフェノールAの製造方法は、下記工程(1)〜(4)を有し、かつ、下記工程(R1)及び(R2)を含み、前記工程(R2)で得られたフェノールを前記工程(1)〜(4)の少なくとも1つの工程にて再利用する方法である。
(1)含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒を充填した反応器を用いて、フェノールとアセトンとを縮合反応させてビスフェノールAを生成し、ビスフェノールAを含む反応混合液を得る工程。
(2)前記工程(1)で得られた反応混合液から低沸点成分を分離して、濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を調製する工程。
(3)前記工程(2)で調製された晶析原料を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させてビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物を生成し、該晶析物を反応混合液から分離する工程。
(4)前記工程(3)で得られたビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収する工程。
(R1)ビスフェノールAの製造工程において生じるフェノールを含む排水からメチルイソブチルケトンを用いて水とフェノールとを分離し、粗フェノールを抽出する工程。
(R2)前記工程(R1)で抽出された粗フェノールを蒸留精製して、硫黄濃度が0.5質量ppm以下、窒素濃度が0.1質量ppm以下のフェノールを得る工程。

0012

<工程(1):反応工程>
工程(1)は、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒を充填した反応器を用いて、フェノールとアセトンとを縮合反応させてビスフェノールAを生成し、ビスフェノールAを含む反応混合液を得る工程である。
本工程では、供給されるフェノールとアセトンとが縮合して、p−イソプロペニルフェノール(IPP)を生成した後、当該IPPとフェノールとが更に縮合して、ビスフェノールAを生成する。

0013

本発明では、装置の腐食、反応後の触媒の分離及び回収、並びに触媒活性等の観点から、触媒として、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂を用いる。
含硫黄アミン化合物としては、2−アミノエタンチオール等のアミノアルキルチオール類、2,2−ジメチルチアゾリジン等のチアゾリジン類、4−アミノチオフェノール等のアミノチオフェノール類、4−ピリジンエタンチオール等のピリジンアルカンチオール類等が挙げられる。このなかで、2−アミノエタンチオール、2,2−ジメチルチアゾリジン及び4−ピリジンエタンチオールからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
強酸性陽イオン交換樹脂としては、触媒活性の観点から、スルホン酸型陽イオン交換樹脂等が好ましく用いられる。スルホン酸型陽イオン交換樹脂の具体例としては、スルホン化スチレンジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマーフェノールホルムアルデヒドスルホン酸樹脂ベンゼンホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0014

含硫黄アミン化合物を用いて強酸性陽イオン交換樹脂を部分変性する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば適当な溶媒、好ましくは水等の水性溶媒中において、強酸性陽イオン交換樹脂と含硫黄アミン化合物とを所望の変性率になるように反応させることによって変性することができる。反応は常温で行ってもよく、必要であれば加温して行ってもよい。この反応により、イオン交換基(スルホン酸型陽イオン交換樹脂においてはスルホン酸基)と含硫黄アミン化合物におけるアミノ基とが反応し、イオン交換基の一部に硫黄含有基が導入され、変性される。
ここで、強酸性陽イオン交換樹脂の変性率とは、強酸性陽イオン交換樹脂の強酸性イオン交換基の含硫黄アミン化合物によるモル変性率を意味する。本発明において、含硫黄アミン化合物による強酸性陽イオン交換樹脂の変性率は、ビスフェノールAの収率の観点から、5〜50モル%が好ましく、8〜35モル%がより好ましい。

0015

ビスフェノールAの収率を高める観点から、含硫黄アミン化合物による強酸性陽イオン交換樹脂の変性率を適当な範囲に制御し、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂を、反応開始前にフェノールで洗浄することが好ましい(工程(F))。
洗浄は、連続式あるいは回分式で行い、洗浄後のフェノール溶液中の窒素濃度が0.01〜5質量ppmとなるまで行うことが好ましい。洗浄後のフェノール溶液中の窒素濃度が高すぎると、ビスフェノールAの品質が悪化する。また、低すぎる窒素濃度となるような多量のフェノールを用いると、洗浄に要する時間が増加し、また、経済的にも不利になる。
連続式で洗浄を行う場合、LHSV液空間速度)は、通常0.02〜10hr-1、好ましくは0.05〜5hr-1である。LHSVが上記範囲内であれば多量のフェノールを必要とせず短時間で効率的に洗浄を行うことができる。洗浄温度は45〜110℃が好ましく、55〜90℃がより好ましい。洗浄温度が高すぎるとイオン交換樹脂の分解が進んでしまい、洗浄温度が低すぎるとフェノールが固化するおそれがある。

0016

工程(1)におけるフェノールとアセトンとの縮合反応は、前記触媒を充填した反応器を用いて行われる。
縮合反応の方式は特に限定されず、回分式又は連続式のいずれであってもよい。原料を連続的に供給して反応させる固定床連続反応方式が好ましく、押し出し流れ方式である固定床流通方式がより好ましい。固定床連続反応方式における反応塔は、1基でもよく、2基以上を直列に配置した固定床多段連続反応方式としてもよい。
固定床連続反応方式の場合、原料混合物のLHSV(液空間速度)は、通常0.2〜30hr-1、好ましくは0.5〜20hr-1の範囲である。反応温度は通常50〜100℃、好ましくは60〜90℃である。フェノール/アセトン比は通常3〜30(モル比)、好ましくは5〜20(モル比)である。

0017

遊離酸を実質的に含まない高品質のアダクト結晶を得る観点から、本発明の方法は、系内のフェノール含有液から遊離酸を除去する工程(工程(C))を有することが好ましい。工程(C)では、遊離酸除去設備によって遊離酸が除去される。例えば、工程(1)で用いられる反応器は、その出口に遊離酸除去設備を有することが好ましい。また、後述する異性化処理で用いられる異性化反応器の入口及び/又は出口に遊離酸除去設備を有することも好ましい。遊離酸除去設備としては、特開平1−211543号公報、特開2001−316313号公報等に記載されたものを使用することができる。例えば弱塩基性イオン交換樹脂等の陰イオン交換樹脂や、活性炭塩基性無機酸化物等を使用することができ、陰イオン交換樹脂を使用することがより好ましい。遊離酸除去設備(好ましくは陰イオン交換樹脂)はフェノールで洗浄されることが好ましい(工程(G))。
工程(C)は、工程(3)に供給される晶析原料中の遊離酸濃度を好ましくは0.001〜0.5meq/L、より好ましくは0.001〜0.10meq/Lに保持し得るように行われる。本発明では、(i)工程(F)における洗浄後のフェノール溶液(工程(1)への供給原料液)、(ii)工程(1)で得られる反応混合液、並びに(iii)工程(F)、(G)、(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程にて再利用されるフェノールの中から選ばれる少なくとも1種のフェノール含有液に対して適用するのが好ましい。

0018

<工程(2):濃縮工程>
工程(2)は、前記工程(1)で得られた反応混合液から低沸点成分を分離して、濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を調製する工程である。本工程により、反応混合液から、未反応アセトン未反応フェノール、副生水等の低沸点物質等が除去されると共に、生成したビスフェノールの濃度を適度な範囲に調整することができる。
本工程では、蒸留塔を用いた減圧蒸留により、反応混合液を濃縮することが好ましい。

0019

また、工程(2)は、以下の工程(2a)及び(2b)を有し、かつ、工程(2a)で分離された塔底液(ii)を用いて、濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を調製する工程であることが好ましい。
(2a)蒸留塔を使用して前記工程(1)で得られた反応混合液を蒸留し、低沸点成分を含有する塔頂成分(i)とビスフェノールA及びフェノールを含有する塔底液(ii)とに分離する工程。
(2b)前記工程(2a)で分離された塔頂成分(i)を、更に蒸留塔を使用して蒸留し、未反応のアセトンを含有する塔頂成分(iii)と反応生成水を含有する塔底液(iv)とに分離する工程。

0020

工程(2a)は、蒸留塔を使用して前記工程(1)で得られた反応混合液を蒸留し、低沸点成分を含有する塔頂成分(i)とビスフェノールA及びフェノールを含有する塔底液(ii)とに分離する工程である。
工程(2a)における蒸留条件としては、圧力が、好ましくは13〜70kPa、より好ましくは20〜50kPaであり、温度が、好ましくは30〜180℃、より好ましくは50〜170℃、更に好ましくは60〜160℃である。
工程(2a)において、蒸留塔の塔頂から、未反応アセトン、副生水等の低沸点物質及び一部のフェノールを含有する塔頂成分(i)が得られ、蒸留塔の塔底から、ビスフェノールA及びフェノールを含有する塔底液(ii)が得られる。

0021

工程(2a)で分離された塔頂成分(i)は、工程(2b)で更に蒸留分離が行われる。
工程(2b)は、前記工程(2a)で分離された塔頂成分(i)を、更に蒸留塔を使用して蒸留し、未反応のアセトンを含有する塔頂成分(iii)と反応生成水を含有する塔底液(iv)とに分離する工程である。
工程(2b)における蒸留条件としては、圧力が、好ましくは80〜300kPa、より好ましくは110〜200kPaであり、温度が、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜130℃である。
工程(2b)において、蒸留塔の塔頂から、アセトンを含有する塔頂成分(iii)が得られ、蒸留塔の塔底から、反応生成水及び一部のフェノールを含有する塔底液(iv)が得られる。塔頂成分(iii)として回収されたアセトンは、前記工程(1)の反応工程において再利用される。一方、塔底液(iv)は、フェノールを含有するため、後述する工程(R1)において水とフェノールとが分離され、フェノールが回収される。

0022

前記工程(2a)で分離された塔底液(ii)は、減圧蒸留によって過剰のフェノールを留去することで、ビスフェノールAの濃度を高くした濃縮液に調製される。この濃縮液は、晶析原料として後述する工程(3)において使用される。
減圧蒸留の条件としては、圧力が、好ましくは4〜70kPa、より好ましくは10〜50kPaであり、温度が、好ましくは70〜170℃、より好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜130℃である。
これによって得られる濃縮液(晶析原料)のビスフェノールAの濃度は、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは20〜40質量%である。当該濃度が20質量%以上であれば、ビスフェノールAの回収率が十分である。一方、60質量%以下であれば、固化温度が高くなって晶析後のスラリー移送が困難となるといった弊害を防止することができる。

0023

<工程(3):晶析−固液分離工程>
工程(3)は、前記工程(2)で調製された晶析原料を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)を晶析させてビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物(アダクト結晶)を生成し、該晶析物を反応混合液から分離する工程である。

0024

晶析は、好ましくは70〜170℃の晶析原料を、好ましくは35〜70℃、より好ましくは40〜60℃まで冷却することにより行うことができる。外部熱交換器を用いて冷却してもよく、また、濃縮液に水を加えて、減圧下での水の蒸発潜熱を利用する真空冷却晶析法により冷却してもよい。

0025

晶析によって、結晶化したアダクトを含有する反応混合液(スラリー)が得られる。得られた反応混合液をろ過又は遠心分離等によって固液分離することで、アダクトが反応混合液から分離される。当該分離に使用される機器としては、特に制限はないが、例えば、ベルトフィルタードラムフィルタートレイフィルター遠心分離器等が挙げられる。

0026

なお、晶析及び固液分離の後の固形分(アダクト)は、再溶解し、再度晶析及び固液分離を繰り返してもよい。晶析及び固液分離を多段で繰り返すことで、結晶内に取り込まれた不純物を減らすことができる。再溶解の溶解液としては、例えば、フェノール、水、水−フェノール混合液等が挙げられる。なお、フェノールは、回収したフェノールを用いてもよく、別途供給したフェノールを用いてもよい。

0027

工程(3)にてアダクトが分離された反応混合液(母液)には、フェノール、p−イソプロペニルフェノール、ビスフェノールA及びビスフェノールAの2,4’−異性体等が含まれている。そのため、反応混合液は適宜処理され、循環又は再利用される。例えば、ビスフェノールAの2,4’−異性体等をビスフェノールAに異性化する異性化処理を行ってもよい。異性化処理は、異性化反応器によって行われる。また、反応混合液及び/又は異性化処理後の溶液を晶析及び固液分離してもよい。また、アルカリ分解処理を行ってビスフェノールA及びその異性体をフェノール及びp−イソプロペニルフェノールに分解してもよい。これらの処理については、例えば、特開2004−315387号公報、特開2004−359594号公報、特開2009−242316号公報等を参照することができる。

0028

<工程(4):アダクト分解工程>
工程(4)は、前記工程(3)で得られたビスフェノールAとフェノールとの付加物の晶析物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収する工程である。
工程(4)の前に、アダクト結晶をフェノールで洗浄することが好ましい。なお、フェノールは、回収したフェノールを用いてもよく、別途供給したフェノールを用いてもよい。
工程(4)では、アダクトを含む固形分を、100〜160℃で加熱溶融して、アダクトをビスフェノールAとフェノールとに分解させた溶融液を得る。次いで、この溶融液を蒸発塔送り、減圧蒸留等により、この溶融液からフェノールを除去し、溶融状態のビスフェノールAを回収する。当該減圧蒸留は、温度が通常150〜190℃であり、圧力が通常1.3〜13.3kPa、好ましくは1〜11kPaである条件下で行うことが好ましい。また、回収した溶融状態のビスフェノールAは、更にスチームストリッピングにより残存するフェノールを除去することが好ましい。このような工程を経て、高純度のビスフェノールAを得ることができる。
フェノールが除去された溶融状態のビスフェノールAは、一般的な造粒装置により液滴にされ、冷却固化されて製品となる。

0029

<工程(R1):抽出工程
工程(R1)は、ビスフェノールAの製造工程において生じるフェノールを含む排水からメチルイソブチルケトンを用いて水とフェノールとを分離し、粗フェノールを抽出する工程である。
ビスフェノールAの製造方法では、一般に、フェノールが原料及び洗浄液として使用されており、フェノールを含む排水が生じる。フェノールを含む排水は、環境安全性の観点からフェノールを分離した後に系外に排出されることが望まれ、高純度の製品ビスフェノールAを得るという観点からは高純度のフェノールを回収することが望まれる。ここで、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒を使用する場合、フェノール溶液中には、遊離酸やアミン化合物等の硫黄又は窒素を含む不純物が含まれており、そのような不純物を含有するフェノールをビスフェノールAの製造に再利用すると、製造されるビスフェノールAの品質が悪化するおそれがある。これに対し、本発明では、フェノールを含む排水からメチルイソブチルケトンを用いて水とフェノールとを分離し、粗フェノールを抽出し、次いで、粗フェノールを蒸留精製することで高純度のフェノールを回収する。

0030

フェノールを含む排水としては、工程(F)における洗浄後のフェノール溶液、工程(G)における洗浄後のフェノール溶液、工程(2a)で分離された塔頂成分(i)、工程(2b)で分離された塔底液(iv)が挙げられ、真空発生装置から排出されるフェノールを含む排水なども含まれる。

0031

フェノールを含む排水は、まず、好ましくは20〜50℃まで冷却され、メチルイソブチルケトンと混合後、静置することで、水相及び油相に分離される。排水中のフェノールの大半はメチルイソブチルケトンにより油相に抽出される。
フェノールは水とメチルイソブチルケトンの相互に混和性を有するため、水相中にも一部のフェノールが含まれる。そのため、分離された水相は更に抽出塔に送られ、抽出塔においてメチルイソブチルケトンと向流接触され、水相中のフェノールはメチルイソブチルケトンに抽出される。これにより、水相中のフェノール濃度は3〜10質量%から0.001〜0.1質量%にまで低減され、排水として既存の方法で処理することができる。
抽出処理については、特開昭58−15932号公報の記載を参照することができる。抽出塔は通常の多孔板抽出塔でもよく、また回転円板抽出塔や振動板式を用いることもできる。

0032

<工程(R2):フェノール回収工程>
工程(R2)は、前記工程(R1)で抽出された粗フェノールを蒸留精製して、硫黄濃度が0.5質量ppm以下、窒素濃度が0.1質量ppm以下のフェノールを得る工程である。
工程(R1)で抽出された粗フェノールには、遊離酸やアミン化合物等の硫黄又は窒素を含む不純物が含まれているので、更に蒸留精製することで高純度のフェノールを回収する。

0033

得られるフェノール中の硫黄濃度は、0.5質量ppm以下であり、好ましくは0.3質量ppm以下、より好ましくは0.2質量ppm以下である。また、得られるフェノール中の窒素濃度は、0.1質量ppm以下である。フェノール中の硫黄濃度及び窒素濃度が上記範囲であれば、回収されたフェノールを反応原料や洗浄液として再利用しても、製造されるビスフェノールAの品質が悪化するおそれがない。

0034

また、得られるフェノールの含水率は、好ましくは300質量ppm以下、より好ましくは200質量ppm以下、更に好ましくは100質量ppm以下である。フェノールの含水率が上記範囲であると、フェノールに対するビスフェノールAの溶解度が低いため、アダクト結晶の洗浄液に利用した際にアダクト結晶の溶解ロスが低減する。これにより、上流へ循環するビスフェノールA/フェノールの量が低下するので用役使用量の低減や機器サイズ縮小が可能となる。

0035

工程(R2)で得られたフェノールを、さらにイオン交換樹脂により精製してもよい。この場合、イオン交換樹脂としては、酸型イオン交換樹脂を用いることができる。

0036

工程(R2)で得られたフェノールは、工程(F)、(G)、(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程にて、反応原料、強酸性陽イオン交換樹脂触媒又は陰イオン交換樹脂の洗浄液、アダクト結晶の洗浄液等として再利用される。

0037

以下の本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、製造工程中に生成されたフェノール及びビスフェノールA等は、HPLC分析によって定量した。
また、製造したビスフェノールAの色相APHA)は、ビスフェノールA20gを、エタノール20mlに溶解し、分光光度計((株)日立製作所製、製品名:「U−3410型自記分光光度計」)を用いて、空気雰囲気下に260℃で10分間放置した後の色相をJIS K 4101に基づく比色法にて測定した。

0038

実施例1
触媒として、スルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、製品名:「ダイヤイオンSK104H」)に対して2−アミノエタンチオールにてスルホン酸基の20モル%を部分的に変性したものを触媒として充填した固定床反応器に、初期供給量フェノール510kg/hとアセトン45kg/hとの混合物を、触媒層の温度を80℃に保ちながら、液空間速度1.0hr-1にて連続的に供給した。そして、ビスフェノールAを生成して、該ビスフェノールAを含む反応混合液を得た(工程(1))。
得られた反応混合液を陰イオン交換樹脂(ロームアンドハース社製、製品名:「アンバーリストA21」)に通した後(工程(C))、反応混合液から、温度150℃、圧力40kPaの条件下で、主として未反応アセトン、反応生成水、低沸点物質を留去し、次いで温度90℃、圧力10kPaの条件下で、主としてフェノールを留去することで、反応混合液を濃縮して、濃縮されたビスフェノールAを含む晶析原料を得た(工程(2))。
この濃縮液を、90℃から45℃まで冷却して、ビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)を含む固形分を晶析させた後、遠心分離機により分離して、当該固形物と、110kg/hの母液とに分離した(工程(3))。
固形物(アダクト結晶)を洗浄し、溶融して、アダクト分解した後、温度170℃、圧力2kPaの条件下に操作された蒸留塔に送り、フェノールを留去回収した。そして、蒸留塔の塔底からビスフェノールAを含む溶液を抜き出し、更にスチームストリッピングにより当該溶液から残存フェノールを完全に除去して、63kg/hのビスフェノールAを得た(工程(4))。

0039

フェノール排水23kg/hr(フェノール30質量%)を先ずメチルイソブチルケトンと混合後、静置して水相及びMIBK相に分離した。分離された水相を多孔板抽出塔にてメチルイソブチルケトン(MIBK)と向流接触させ得られたMIBK相を蒸留塔にて蒸留処理し、塔頂よりMIBK、塔底より粗フェノールを得た(工程(R1))。得られた粗フェノール中の硫黄濃度は0.9ppm、窒素濃度は0.2ppmであった。
この粗フェノールを更に蒸留塔にて蒸留処理し、塔頂より精製フェノールを得た(工程(R2))。得られた精製フェノール中の硫黄濃度は0.1ppm以下、窒素濃度も0.1ppm以下であった。また、得られた精製フェノールの含水率は、100質量ppmであった。
得られた精製フェノールをアダクト結晶の洗浄液として再利用しながら引き続き上記のとおりビスフェノールAの製造を行った。製造されたビスフェノールAの色相(APHA)は10であった。

0040

実施例2
実施例1で使用した前記の変性された陽イオン交換樹脂触媒を、4倍量の純水で洗浄後、4倍量のフェノールで洗浄した(工程(F))。その結果、洗浄廃液としてフェノール溶液500kgが生じた。
触媒洗浄後は、実施例1と同様に工程(1)〜(4)を経てビスフェノールAを製造した。
前記フェノール溶液を4kg/hr(フェノール75質量%)で実施例1におけるフェノール排水に混合し、実施例1と同様にして粗フェノールを得、更に精製フェノールを得た。得られた粗フェノール中の硫黄濃度は1.7ppm、窒素濃度は0.4ppmであった。また、得られた精製フェノール中の硫黄濃度は0.1ppm以下、窒素濃度も0.1ppm以下であり、得られた精製フェノールの含水率は、300質量ppmであった。
次いで、実施例1と同様に、得られた精製フェノールをアダクト結晶の洗浄液として再利用しながら引き続き上記のとおりビスフェノールAの製造を行った。製造されたビスフェノールAの色相(APHA)は10であった。

0041

比較例1
実施例1において、フェノール排水から得られた粗フェノールを蒸留処理せず、そのままアダクト結晶の洗浄液として再利用しながら、実施例1と同様にしてビスフェノールAの製造を行った。製造されたビスフェノールAの色相(APHA)は15であった。

実施例

0042

比較例2
実施例2において、フェノール排水から得られた粗フェノールを蒸留処理せず、そのままアダクト結晶の洗浄液として再利用しながら、実施例2と同様にしてビスフェノールAの製造を行った。製造されたビスフェノールAの色相(APHA)は25であった。

0043

本発明によれば、含硫黄アミン化合物で部分的に変性された強酸性陽イオン交換樹脂触媒を用いてビスフェノールAを製造する際に生じたフェノールを含有する排水から高純度のフェノールを効率よく回収することができ、回収したフェノールを再利用することで、高品質のビスフェノールAを効率的に製造することができる。得られたビスフェノールAは、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂等のエンジニアリングプラスチックの原料として使用し得る。

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