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技術 眼細胞の分化マーカーおよび分化制御

出願人 京都府公立大学法人学校法人同志社千寿製薬株式会社
発明者 中村隆宏小泉範子奥村直毅木下茂富永香菜川崎諭
出願日 2013年7月3日 (6年2ヶ月経過) 出願番号 2014-523821
公開日 2016年6月2日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 WO2014-007402
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物、その培養処理 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 動物,微生物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード X線解析 パーツ移 中央領 調節孔 金属イオン基 局所パターン フリーソフト 指標マーカー
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、眼細胞分化マーカーおよび分化制御技術に関する。より特定すると、本発明は、GPR49/LGR5を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能識別するためのマーカー、ならびにGPR49/LGR5に結合する物質を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するための検出剤、あるいは検出方法を提供することによって、上記課題のうち眼細胞の分化マーカーを提供するという課題を解決した。また、本発明は、R−spondin類を含む、眼細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供することによって、眼細胞の分化制御技術を提供するという課題を解決した。

概要

背景

視覚情報は、眼球最前面の透明な組織である角膜から取り入れられた光が、網膜に達して網膜の神経細胞興奮させ、発生した電気信号視神経を経由して大脳視覚野に伝達することで認識される。良好な視力を得るためには、角膜が透明であることが必要である。角膜の透明性は、角膜内皮細胞ポンプ機能バリア機能により、含水率が一定に保たれることにより保持される。

角膜は眼球の前方に位置し、主に角膜上皮細胞層、角膜実質層角膜内皮細胞層の3層構造を持った透明な組織である。角膜内皮細胞層は角膜深層部に存在する単層細胞層であり、バリア機能とポンプ機能を持ち、角膜の水分量を一定に保つことで角膜の透明性を維持する役割を果たしている。また、障害を受けても生体内で増殖しないことが知られており、角膜内皮細胞が外傷や疾患等によって障害されて細胞数が減少することで、重篤視覚障害が生じることが知られている。

ヒトの角膜内皮細胞は、出生時には1平方ミリメートル当たり約3000個の密度で存在しているが、一度障害を受けると再生する能力を持たない。角膜内皮変性症や種々の原因による角膜内皮の機能不全によって生じる水疱性角膜症では、角膜が浮腫混濁を生じ、著しい視力低下をきたす。現在、水疱性角膜症に対しては、角膜の上皮、実質および内皮の3層構造のすべてを移植する全層角膜移植術が行われている。しかし、日本での角膜提供は不足しており、角膜移植待機患者約2600人に対し、年間に国内ドナー角膜を用いて行われている角膜移植件数は1700件程度である。

近年、拒絶反応術後合併症リスクを軽減し、よりよい視機能を得る目的から、障害を受けた組織のみを移植する「パーツ移植」の考えが注目されている。角膜移植の中でも、実質組織の移植である深層表層角膜移植術、角膜内皮組織の移植であるデスメ膜角膜内皮移植術(Descemet’s StrippingAutomated Endothelial Keratoplasty)などが行われるようになっている。また、生体外で培養した角膜上皮口腔粘膜を角膜上皮の代わりに移植する培養粘膜上皮移植術は既に臨床応用されており、同様に生体外で培養した角膜内皮を移植する方法も検討されている。

角膜内皮細胞は培養すると分化し、形態が線維芽細胞様に変化することが知られている。また、GPR49/LGR5は小腸上皮幹細胞に限定的に発現し、重要な働きをしていることが知られている。GPR49/LGR5のリガンドとしてR−spondinsが報告されている(非特許文献1〜4)。

非特許文献5には、角膜輪上皮細胞幹細胞様の細胞が存在すること、およびGPR49/LGR5が、残存するヒト角膜輪部上皮幹細胞の表現型マーカーになり得ることが記載されている。

非特許文献6には、GPR49/LGR5は幹細胞マーカーとして挙げられている。マウス角膜上皮細胞の2つの細胞集団において、GPR49/LGR5およびABCG2が高発現していることが記載されている。

非特許文献7には、GPR49/LGR5が幹細胞マーカーとして記載されている。

非特許文献8には、腸管上皮幹細胞培養確立したことが開示されている。

非特許文献9には、腸および大腸を安定的かつ長期的に培養する方法が開示されている。培養の増殖は、R−spondin 1と免疫グロブリンFcの融合タンパク質(RSpo1−Fc)によって顕著に促進されたことが記載されている。

従来角膜内皮細胞は生体内で増殖しないと考えられてきたが、近年の分子生物学的、細胞生物学的研究により、角膜内皮細胞層にも非常に増殖能富む細胞群が存在していることが報告された。Schimmelpfenningらはヒト角膜の周辺部の方が中心部と比較して内皮細胞密度が増加していることを明らかにし、角膜周辺部の細胞が増殖することにより、角膜中心部へと細胞を供給している可能性を提唱した(非特許文献10)。

また、Whikehartらは、ウサギ角膜を用いて、幹細胞や前駆細胞において高発現が見られるテロメラーゼが、角膜周辺部の内皮細胞において高発現していることを確認した。さらに細胞増殖マーカーであるBrdUを使用した評価法により、角膜周辺部の内皮細胞の方が障害を受けたときの応答が速いことを示した(非特許文献11)。また、Yokooらは間葉系幹細胞採取法であるスフェア法を用いて、成体ヒト角膜から角膜内皮細胞の前駆細胞の採取成功した(非特許文献12)。この細胞は未分化細胞マーカーを発現し、中心部と周辺部の角膜内皮細胞でスフェアの形成能を比較したところ、周辺部内皮細胞の方が高いことを確認した。(非特許文献13)。さらに、McGowanらは、角膜周辺部に未分化細胞マーカーを発現している細胞が多く存在し、障害を受けることでそれらの細胞が活性化されることを報告した(非特許文献14)。

タンパク質共役レセプター49(G protein−coupled receptor 49;本明細書では「GPR49/LGR5」ともいう。)は、甲状腺刺激ホルモン(thyroid−stimulating hormone)や濾胞刺激ホルモン(follicle−timulating hormone;FSH)、黄体形成ホルモン(leuteinizing hormone;LH)と類似した7回膜貫通型受容体一種であり、ロイシンリッチリピートを含む細胞外N末端ドメイン付随するユニークな構造をもつ(図1、非特許文献15)、GPR49/LGR5は発癌と関わりをもつWntシグナルならびにヘッジホッグ(Hedgehog)シグナルのターゲット遺伝子であることから、それらのシグナルの異常によりGPR49/LGR5の発現亢進が起こることが報告されている(非特許文献16、非特許文献17および非特許文献18)、さらにGPR49/LGR5が腸管上皮幹細胞に特異的に発現が見られることが確認されたことにより(非特許文献8)、新規幹細胞特異的に発現するタンパク質として注目されるようになった。その後、毛包(非特許文献19)や上皮(非特許文献20)などの組織においても幹細胞特異的に発現の亢進が見られることが確認され、幹細胞ニッチ構築組織形成関与している可能性も報告されている。

概要

本発明は、眼細胞の分化マーカーおよび分化制御技術に関する。より特定すると、本発明は、GPR49/LGR5を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能識別するためのマーカー、ならびにGPR49/LGR5に結合する物質を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するための検出剤、あるいは検出方法を提供することによって、上記課題のうち眼細胞の分化マーカーを提供するという課題を解決した。また、本発明は、R−spondin類を含む、眼細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供することによって、眼細胞の分化制御技術を提供するという課題を解決した。

目的

本発明は、GPR49/LGR5を増殖・分化のマーカーとして使用する技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

R−spondin類およびその機能的等価物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、眼細胞分化抑制および/または増殖促進剤

請求項2

前記R−spondin類はR−spondin1、R−spondin2、R−spondin3およびR−spondin4から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤。

請求項3

前記R−spondin類はR−spondin1を含む、請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤。

請求項4

前記眼細胞は、定常状態で増殖していない細胞である、請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤。

請求項5

前記眼細胞は網膜細胞硝子体細胞角膜上皮細胞角膜実質細胞および角膜内皮細胞から選択される少なくとも1種の細胞を含む、請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤。

請求項6

前記眼細胞は角膜内皮細胞を含む、請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤。

請求項7

前記眼細胞は霊長類の角膜内皮細胞を含む、請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤。

請求項8

前記眼細胞はヒト角膜内皮細胞を含む、請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤。

請求項9

前記眼細胞はコンフルエントの状態にある、請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤。

請求項10

前記眼細胞は、角膜組織の形態で提供される、請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤。

請求項11

請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤を含む、角膜保存または角膜内皮細胞培養のための組成物

請求項12

請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤を含む、角膜内皮細胞障害治療または角膜内皮細胞障害の進行予防のための医薬組成物

請求項13

請求項1に記載の分化抑制および/または増殖促進剤を用いて培養された角膜内皮細胞を含む角膜内皮細胞障害の治療剤または進行予防剤

請求項14

前記細胞は、通常の角膜内皮細胞よりも細胞密度が高いかおよび/または未分化な細胞をより多く含む集団として存在する、請求項12に記載の角膜内皮細胞障害の治療剤または進行予防剤。

請求項15

角膜内皮細胞を含む角膜組織であって、該組織中のKi67陽性細胞が、生体内中の割合よりも高い割合で存在するか、および/または該角膜内皮細胞の密度が生体内中の密度よりも高い、角膜組織。

請求項16

GPR49/LGR5を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能識別するためのマーカー

請求項17

前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である、請求項16に記載のマーカー。

請求項18

前記増殖能の高い細胞は幹細胞である、請求項16に記載のマーカー。

請求項19

前記角膜内皮細胞はヒト細胞である、請求項16に記載のマーカー。

請求項20

前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される少なくとも一つの特徴により識別される、請求項16に記載のマーカー。

請求項21

GPR49/LGR5を、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞/または分化能を識別する指標とするための方法。

請求項22

前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記増殖能の高い細胞は幹細胞である、請求項21に記載の方法。

請求項24

前記角膜内皮細胞はヒト細胞である、請求項21に記載の方法。

請求項25

前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される少なくとも一つの特徴により識別される、請求項21に記載の方法。

請求項26

GPR49/LGR5に結合する物質を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するための検出剤

請求項27

前記検出剤は、抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物、あるいは核酸プライマーもしくはプローブである、請求項26に記載の検出剤。

請求項28

前記検出剤は、標識されたものである、請求項26に記載の検出剤。

請求項29

前記増殖能の高い細胞は幹細胞である、請求項26に記載の検出剤。

請求項30

前記角膜内皮細胞はヒト細胞である、請求項26に記載の検出剤。

請求項31

前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される少なくとも一つの特徴により識別される、請求項26に記載の検出剤。

請求項32

ヘッジホッグ(Hedgehog)経路因子を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するためのマーカー。

請求項33

ヘッジホッグ(Hedgehog)経路の因子を、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞/または分化能を識別する指標とするための方法。

請求項34

ヘッジホッグ(Hedgehog)経路の因子に結合する物質を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するための検出剤。

請求項35

Wnt経路の因子を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するためのマーカー。

請求項36

Wnt経路の因子を、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞/または分化能を識別する指標とするための方法。

請求項37

Wnt経路の因子に結合する物質を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するための検出剤。

技術分野

0001

本発明は、細胞、特に眼科領域分化状態マーカー、ならびに眼細胞(特に、分化制御の難しい角膜内皮細胞)の分化を抑制および/または増殖を刺激するための技術、方法、ならびにそのための薬剤および培地に関する。

背景技術

0002

視覚情報は、眼球最前面の透明な組織である角膜から取り入れられた光が、網膜に達して網膜の神経細胞興奮させ、発生した電気信号視神経を経由して大脳視覚野に伝達することで認識される。良好な視力を得るためには、角膜が透明であることが必要である。角膜の透明性は、角膜内皮細胞のポンプ機能バリア機能により、含水率が一定に保たれることにより保持される。

0003

角膜は眼球の前方に位置し、主に角膜上皮細胞層、角膜実質層角膜内皮細胞層の3層構造を持った透明な組織である。角膜内皮細胞層は角膜深層部に存在する単層細胞層であり、バリア機能とポンプ機能を持ち、角膜の水分量を一定に保つことで角膜の透明性を維持する役割を果たしている。また、障害を受けても生体内で増殖しないことが知られており、角膜内皮細胞が外傷や疾患等によって障害されて細胞数が減少することで、重篤視覚障害が生じることが知られている。

0004

ヒトの角膜内皮細胞は、出生時には1平方ミリメートル当たり約3000個の密度で存在しているが、一度障害を受けると再生する能力を持たない。角膜内皮変性症や種々の原因による角膜内皮の機能不全によって生じる水疱性角膜症では、角膜が浮腫混濁を生じ、著しい視力低下をきたす。現在、水疱性角膜症に対しては、角膜の上皮、実質および内皮の3層構造のすべてを移植する全層角膜移植術が行われている。しかし、日本での角膜提供は不足しており、角膜移植待機患者約2600人に対し、年間に国内ドナー角膜を用いて行われている角膜移植件数は1700件程度である。

0005

近年、拒絶反応術後合併症リスクを軽減し、よりよい視機能を得る目的から、障害を受けた組織のみを移植する「パーツ移植」の考えが注目されている。角膜移植の中でも、実質組織の移植である深層表層角膜移植術、角膜内皮組織の移植であるデスメ膜角膜内皮移植術(Descemet’s StrippingAutomated Endothelial Keratoplasty)などが行われるようになっている。また、生体外で培養した角膜上皮口腔粘膜を角膜上皮の代わりに移植する培養粘膜上皮移植術は既に臨床応用されており、同様に生体外で培養した角膜内皮を移植する方法も検討されている。

0006

角膜内皮細胞は培養すると分化し、形態が線維芽細胞様に変化することが知られている。また、GPR49/LGR5は小腸上皮幹細胞に限定的に発現し、重要な働きをしていることが知られている。GPR49/LGR5のリガンドとしてR−spondinsが報告されている(非特許文献1〜4)。

0007

非特許文献5には、角膜輪上皮細胞幹細胞様の細胞が存在すること、およびGPR49/LGR5が、残存するヒト角膜輪部上皮幹細胞の表現型マーカーになり得ることが記載されている。

0008

非特許文献6には、GPR49/LGR5は幹細胞マーカーとして挙げられている。マウス角膜上皮細胞の2つの細胞集団において、GPR49/LGR5およびABCG2が高発現していることが記載されている。

0009

非特許文献7には、GPR49/LGR5が幹細胞マーカーとして記載されている。

0010

非特許文献8には、腸管上皮幹細胞培養確立したことが開示されている。

0011

非特許文献9には、腸および大腸を安定的かつ長期的に培養する方法が開示されている。培養の増殖は、R−spondin 1と免疫グロブリンFcの融合タンパク質(RSpo1−Fc)によって顕著に促進されたことが記載されている。

0012

従来角膜内皮細胞は生体内で増殖しないと考えられてきたが、近年の分子生物学的、細胞生物学的研究により、角膜内皮細胞層にも非常に増殖能富む細胞群が存在していることが報告された。Schimmelpfenningらはヒト角膜の周辺部の方が中心部と比較して内皮細胞密度が増加していることを明らかにし、角膜周辺部の細胞が増殖することにより、角膜中心部へと細胞を供給している可能性を提唱した(非特許文献10)。

0013

また、Whikehartらは、ウサギ角膜を用いて、幹細胞や前駆細胞において高発現が見られるテロメラーゼが、角膜周辺部の内皮細胞において高発現していることを確認した。さらに細胞増殖マーカーであるBrdUを使用した評価法により、角膜周辺部の内皮細胞の方が障害を受けたときの応答が速いことを示した(非特許文献11)。また、Yokooらは間葉系幹細胞採取法であるスフェア法を用いて、成体ヒト角膜から角膜内皮細胞の前駆細胞の採取成功した(非特許文献12)。この細胞は未分化細胞マーカーを発現し、中心部と周辺部の角膜内皮細胞でスフェアの形成能を比較したところ、周辺部内皮細胞の方が高いことを確認した。(非特許文献13)。さらに、McGowanらは、角膜周辺部に未分化細胞マーカーを発現している細胞が多く存在し、障害を受けることでそれらの細胞が活性化されることを報告した(非特許文献14)。

0014

タンパク質共役レセプター49(G protein−coupled receptor 49;本明細書では「GPR49/LGR5」ともいう。)は、甲状腺刺激ホルモン(thyroid−stimulating hormone)や濾胞刺激ホルモン(follicle−timulating hormone;FSH)、黄体形成ホルモン(leuteinizing hormone;LH)と類似した7回膜貫通型受容体一種であり、ロイシンリッチリピートを含む細胞外N末端ドメイン付随するユニークな構造をもつ(図1、非特許文献15)、GPR49/LGR5は発癌と関わりをもつWntシグナルならびにヘッジホッグ(Hedgehog)シグナルのターゲット遺伝子であることから、それらのシグナルの異常によりGPR49/LGR5の発現亢進が起こることが報告されている(非特許文献16、非特許文献17および非特許文献18)、さらにGPR49/LGR5が腸管上皮幹細胞に特異的に発現が見られることが確認されたことにより(非特許文献8)、新規幹細胞特異的に発現するタンパク質として注目されるようになった。その後、毛包(非特許文献19)や上皮(非特許文献20)などの組織においても幹細胞特異的に発現の亢進が見られることが確認され、幹細胞ニッチ構築組織形成関与している可能性も報告されている。

先行技術

0015

Carmon KS.et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2011 July 12;108(28):11452−11457
de Lau W.et al.,Nature.2011 Jul 4;476(7360):293−297
Glinka A.et al.,EMBO Rep.2011 Sep 30;12(10):1055−1061.
J.Yoon,J.Lee,Cellular Signalling 24(2012)369−377
Brzeszczynska J,et al.,Int J Mol Med.2012 May;29(5):871−876
Krulova M,et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.2008 Sep;49(9):3903−3908.
HOLAN V.,Ophthalmologica Volume 88,Issue Supplements 246,page 0,September 2010
Barker N.,et al.,Nature 449:1003−1007,2007
Ootani A.,Li X.et al.,Nat Med.2009 Jun;15(6):701−706
Schimmelpfennig B.,et al.,IOVS,Vol.25,,pp.223−229.1984
Whikehart DR.,et al.,Mol.Vis.,11,pp.816−824,2005
Yokoo S.et al,IOVS.46,1626−1631,2005
Yamagami S.,et al.,Ophthalmology,114,433−439,2007
McGowan SL.,et al.,Mol.Vis.,13:1984−2000.2007
Hsu SY.,et al.,J.Mol.Endocrinol.12,1830−1845,1998
Yamamoto Y.,et al.,Hepatology.37,528−533,2003
McClanahan T.,et al.,Cancer Biol Ther.5,419−426,2006
Tanese K.,et al.,Am J Pathol.173,835−843,2008
Jaks V.,et al.,Nature Genetics.40,1291−1299,2008
Barker N.,et al.,Cell Stem Cell.7,656−670,2010

課題を解決するための手段

0016

本発明は、GPR49/LGR5を増殖・分化のマーカーとして使用する技術を提供する。本発明者らは、ヒト角膜組織においてGPR49/LGR5は、角膜内皮細胞(特に周辺部)に強く発現していたことを見出し、ヒト角膜内皮細胞培養細胞では、GPR49/LGR5の発現量は有意に低下したことを見出し、GPR49/LGR5陽性細胞群は、細胞サイズが小さく、高い増殖能を有することも見出した。これらに基づきGPR49/LGR5を増殖・分化のマーカーとして使用する技術へ応用した。

0017

また、本発明は、R−spondin類を分化抑制増殖促進剤として使用することを提供する。

0018

本発明者らは、R−spondin類、特にR−spondin 1において、ヒト培養角膜内皮細胞の分化を抑制し、増殖を促進する傾向を見出だした。これによって、R−spondin類を、角膜保存液、角膜内皮細胞培養液、角膜内皮細胞障害の治療剤点眼液、細胞注入)および角膜内皮細胞障害の進行予防剤などの用途として用いる技術へと応用した。

0019

これまでの研究では、未だ明確に角膜内皮幹細胞の存在を提示している報告はない。また、生体内における角膜内皮細胞の増殖能や未分化性を制御するメカニズムについても解明されていない。本発明者らは角膜内皮細胞の前駆細胞に特異的に発現するタンパク質としてGPR49/LGR5が存在することを見出し、in vivoおよびin vitroの機能的役割について検証し、マーカーとして応用するに至った。

0020

1つの局面において、本発明は、R−spondin類およびその機能的等価物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。

0021

1つの実施形態において、本発明は、R−spondin類およびその機能的等価物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、眼細胞、神経堤細胞由来の細胞(角膜内皮細胞を含む)を含む神経細胞、結膜上皮細胞羊膜上皮細胞口腔粘膜上皮細胞鼻粘膜上皮細胞、角膜上皮細胞等の上皮細胞等から選択される細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。

0022

別の実施形態において、本発明は、R−spondin類およびその機能的等価物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、眼細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。

0023

別の実施形態において、本発明におけるR−spondin類はR−spondin 1、R−spondin 2、R−spondin 3およびR−spondin 4から選択される少なくとも1つを含む。

0024

特定の実施形態において、前記R−spondin類はR−spondin 1を含む。

0025

別の実施形態において、前記眼細胞は、定常状態で増殖していない細胞である。

0026

特定の実施形態において、前記眼細胞は網膜細胞硝子体細胞、角膜上皮細胞、角膜実質細胞および角膜内皮細胞から選択される少なくとも1種の細胞を含む。

0027

特定の実施形態において、前記眼細胞は角膜内皮細胞を含む。

0028

特定の実施形態において、前記眼細胞は霊長類の角膜内皮細胞を含む。

0029

特定の実施形態において、前記眼細胞はヒト角膜内皮細胞を含む。

0030

特定の実施形態において、前記眼細胞はコンフルエントの状態にある。

0031

1つの局面において、本発明は、SHH、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)およびそれらの機能的等価物からなる群より選択される少なくとも1種含む、細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。

0032

1つの実施形態において、本発明は、SHH、プルモルファミンおよびそれらの機能的等価物からなる群より選択される少なくとも1種含む、眼細胞、神経堤細胞由来の細胞(角膜内皮細胞を含む)を含む神経細胞、結膜上皮細胞、羊膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞、鼻粘膜上皮細胞、角膜上皮細胞等の上皮細胞等から選択される細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。

0033

別の実施形態において、本発明は、SHH、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)およびそれらの機能的等価物からなる群より選択される少なくとも1種含む、眼細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。

0034

別の実施形態において、前記眼細胞は、定常状態で増殖していない細胞である。

0035

特定の実施形態において、前記眼細胞は網膜細胞、硝子体細胞、角膜上皮細胞、角膜実質細胞および角膜内皮細胞から選択される少なくとも1種の細胞を含む。

0036

特定の実施形態において、前記眼細胞は角膜内皮細胞を含む。

0037

特定の実施形態において、前記眼細胞は霊長類の角膜内皮細胞を含む。

0038

特定の実施形態において、前記眼細胞はヒト角膜内皮細胞を含む。

0039

特定の実施形態において、前記眼細胞はコンフルエントの状態にある。

0040

1つの局面において、本発明は、GPR49/LGR5を抑制する因子を含む、細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。

0041

1つの実施形態において、本発明は、GPR49/LGR5を抑制する因子を、眼細胞、神経堤細胞由来の細胞(角膜内皮細胞を含む)を含む神経細胞、結膜上皮細胞、羊膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞、鼻粘膜上皮細胞、角膜上皮細胞等の上皮細胞等から選択される細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。

0042

別の実施形態において、本発明は、GPR49/LGR5を抑制する因子を含む、眼細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。

0043

別の実施形態において、前記GPR49/LGR5を抑制する因子は、核酸、抗体または抗体断片、あるいはそれらの機能的等価物である。

0044

別の実施形態において、前記眼細胞は、定常状態で増殖していない細胞である。

0045

特定の実施形態において、前記眼細胞は網膜細胞、硝子体細胞、角膜上皮細胞、角膜実質細胞および角膜内皮細胞から選択される少なくとも1種の細胞を含む。

0046

特定の実施形態において、前記眼細胞は角膜内皮細胞を含む。

0047

特定の実施形態において、前記眼細胞は霊長類の角膜内皮細胞を含む。

0048

特定の実施形態において、前記眼細胞はヒト角膜内皮細胞を含む。

0049

特定の実施形態において、前記眼細胞はコンフルエントの状態にある。

0050

特定の実施形態において、前記眼細胞は、角膜組織の形態で提供される。

0051

さらなる局面において、本発明は、本発明の分化抑制および/または増殖促進剤を含む、角膜保存または角膜内皮細胞培養のための組成物を提供する。

0052

さらなる局面において、本発明は、本発明に記載の分化抑制および/または増殖促進剤を含む、角膜内皮細胞障害の治療または角膜内皮細胞障害の進行予防のための医薬組成物を提供する。

0053

さらなる局面において、本発明は、本発明に記載の分化抑制および/または増殖促進剤を用いて培養された角膜内皮細胞を含む角膜内皮細胞障害の治療剤または進行予防剤を提供する。

0054

1つの実施形態において、前記細胞は、通常の角膜内皮細胞よりも細胞密度が高いかおよび/または未分化な細胞をより多く含む集団として存在する。

0055

さらに別の局面において、本発明は、GPR49/LGR5を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能識別するためのマーカーを提供する。

0056

本発明のマーカーの1つの実施形態において、前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である。

0057

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0058

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0059

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される特徴により識別される。

0060

別の局面において、本発明は、角膜内皮培養物であって、該角膜内皮は、コンフルエント状態の細胞密度よりも高い密度で存在する培養物を提供する。この場合の角膜内皮培養物は、通常、生体内に存在するものとは異なる状態で存在するものをさす。

0061

1つの実施形態において、前記細胞密度は、約570個/mm2以上である。

0062

別の実施形態において、前記細胞密度は、約700個/mm2以上である。

0063

別の実施形態において、前記細胞密度は、約800個/mm2以上である。

0064

別の実施形態において、前記細胞密度は、約1000個/mm2以上である。

0065

別の局面において、本発明は、角膜内皮細胞を含む角膜組織であって、該組織中のKi67陽性細胞が、生体内中の割合よりも高い割合で存在するか、および/または該角膜内皮細胞の密度が生体内中の密度よりも高い角膜組織を提供する。

0066

1つの実施形態において、前記Ki67陽性細胞は、約4%以上の割合で存在する。

0067

別の実施形態において、前記Ki67陽性細胞は、約7%以上の割合で存在する。

0068

別の実施形態において、前記Ki67陽性細胞は、約10%以上の割合で存在する。

0069

別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の密度は、約4000個/mm2以上である。

0070

別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の密度は、約4500個/mm2以上である。

0071

別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の密度は、約5000個/mm2以上である。

0072

別の局面において、本発明は、GPR49/LGR5を、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞/または分化能を識別する指標とするための方法を提供する。

0073

本発明の指標とするための方法における1つの実施形態において、前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である。

0074

本発明の指標とするための方法における1つの別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0075

本発明の指標とするための方法における1つの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0076

本発明の指標とするための方法における1つの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される特徴により識別される。

0077

さらに別の局面において、本発明は、GPR49/LGR5に結合する物質を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するための検出剤を提供する。

0078

本発明の検出剤の1つの実施形態において、前記検出剤は、抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物、あるいは核酸プライマーもしくはプローブである。

0079

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記検出剤は、標識されたものである。

0080

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0081

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0082

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される特徴により識別される。

0083

さらに別の局面において、本発明は、SHHを含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するためのマーカーを提供する。

0084

本発明のマーカーの1つの実施形態において、前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である。

0085

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0086

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0087

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される特徴により識別される。

0088

別の局面において、本発明は、SHHを、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞/または分化能を識別する指標とするための方法を提供する。

0089

本発明の指標とするための方法における1つの実施形態において、前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である。

0090

本発明の指標とするための方法における1つの別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0091

本発明の指標とするための方法における1つの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0092

本発明の指標とするための方法における1つの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される特徴により識別される。

0093

さらに別の局面において、本発明は、SHHに結合する物質を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するための検出剤を提供する。

0094

本発明の検出剤の1つの実施形態において、前記検出剤は、抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物、あるいは核酸プライマーもしくはプローブである。

0095

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記検出剤は、標識されたものである。

0096

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0097

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0098

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される特徴により識別される。

0099

さらに別の局面において、本発明は、ヘッジホッグ(Hedgehog)経路の因子を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するためのマーカーを提供する。

0100

本発明のマーカーの1つの実施形態において、前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である。

0101

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0102

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0103

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される少なくとも一つの特徴により識別される。

0104

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記ヘッジホッグ(Hedgehog)経路の因子は、SHH,PTCH1、GLI1およびGLI2からなる群より選択される。

0105

さらに別の局面において、本発明は、ヘッジホッグ(Hedgehog)経路の因子を、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞/または分化能を識別する指標とするための方法を提供する。

0106

本発明の方法の1つの実施形態において、前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である。

0107

本発明の方法の別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0108

本発明の方法の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0109

本発明の方法の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される少なくとも一つの特徴により識別される。

0110

本発明の方法の別の実施形態において、前記ヘッジホッグ(Hedgehog)経路の因子は、SHH,PTCH1、GLI1およびGLI2からなる群より選択される。

0111

別の局面において、本発明は、ヘッジホッグ(Hedgehog)経路の因子に結合する物質を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するための検出剤を提供する。

0112

本発明の検出剤の1つの実施形態において、前記検出剤は、抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物、あるいは核酸プライマーもしくはプローブである。

0113

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記検出剤は、標識されたものである。

0114

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0115

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0116

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される少なくとも一つの特徴により識別される。

0117

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記ヘッジホッグ(Hedgehog)経路の因子は、SHH,PTCH1、GLI1およびGLI2からなる群より選択される。

0118

別の局面において本発明は、Wnt経路の因子を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するためのマーカーを提供する。

0119

本発明のマーカーの1つの実施形態において、前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である。

0120

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0121

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0122

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される少なくとも一つの特徴により識別される。

0123

本発明のマーカーの別の実施形態において、前記Wnt経路の因子は、LRP6およびβ−カテニンからなる群より選択される。

0124

別の局面において、本発明は、Wnt経路の因子を、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞/または分化能を識別する指標とするための方法を提供する。

0125

本発明の方法の1つの実施形態において、前記増殖能の高い細胞は未分化細胞である。

0126

本発明の方法の別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0127

本発明の方法の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0128

本発明の方法の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される特徴により識別される。

0129

本発明の方法の別の実施形態において、前記Wnt経路の因子は、LRP6およびβ−カテニンからなる群より選択される。

0130

他の局面において、本発明は、Wnt経路の因子に結合する物質を含む、角膜内皮細胞のうち増殖能の高い細胞および/または分化能を識別するための検出剤を提供する。

0131

本発明の検出剤の1つの実施形態において、前記検出剤は、抗体またはそのフラグメントもしくは機能的等価物、あるいは核酸プライマーもしくはプローブである。

0132

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記検出剤は、標識されたものである。

0133

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記増殖能の高い細胞は幹細胞である。

0134

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞はヒト細胞である。

0135

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記角膜内皮細胞の増殖能はコロニー形成能、Ki−67陽性およびBrdU陽性からなる群より選択される特徴により識別される。

0136

本発明の検出剤の別の実施形態において、前記Wnt経路の因子は、LRP6およびβ−カテニンからなる群より選択される。

0137

さらに別の局面において、本発明は、本発明の検出剤、マーカー等を用いた診断剤検出キット診断キット、検出システム診断システム等を提供する。

0138

さらに別の局面において、本発明は、本発明の医薬組成物、治療剤または進行予防剤を用いた治療方法予防方法、使用等を提供する。

0139

上述の特徴は、1または複数をさらに組み合わせて用いることができることが理解される。

0140

本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。

発明の効果

0141

本発明によれば、角膜内皮細胞に存在する細胞の分化能を識別することができ、増殖能が高い細胞を識別することができ、その結果、角膜内皮に少量存在する未分化細胞を効果的に識別し収集することができるようになった。また、R−spondin類を使用することによって、角膜内皮の増殖を行うことができ、従来不可能または困難であった、角膜内皮の疾患や障害を治療または予防することができる。

図面の簡単な説明

0142

図1は、GRP49/LGR5の構造を示す(Barker N.et al.,Gastroenterology,2010 May;138(5):1681−96)を参照)。
図2は、ヒト角膜におけるGPR49/LGR5の発現を示す。a.左からGPR49/LGR5、ネスチンおよびABCG2のヒト角膜切片における免疫染色を示す。スケールバーは100μmである各写真において、上から、上皮(Epi)、実質(Str)、内皮(End)に該当する部分を示す。b.左からGPR49/LGR5、ネスチンおよびABCG2のリアルタイムPCRを示す、縦軸は角膜内皮を1としたmRNA相対レベルを示す。N=4.Epi:角膜上皮;Str:角膜実質;End:角膜内皮。エラーバーは、S.E.を示す。*ステューデントt検定でのp<0.05。
図2は、ヒト角膜におけるGPR49/LGR5の発現を示す。c.GPR49/LGR5の免疫染色のホールマウントである。Centerは中心、Peripheryは周辺部を示す。d.ヒト角膜の中央領域対周辺部領域の拡大図である。Centerは中心、Peripheryは周辺部を示す。e.ヒト角膜の中央(Center)および周辺部(Periphery)におけるGPR49/LGR5のリアルタイムPCRを示す。縦軸は角膜内皮を1としたmRNAの相対レベルを示す。N=3.エラーバーはS.E.を示す。*ステューデントのt検定でのp<0.05。
図3は培養角膜内皮細胞のGPR49/LGR5の発現を示す。a.培養ヒト角膜内皮細胞(cHCEC)でのGPR49/LGR5およびネスチンの免疫染色を示す。左から位相差像、GPR49 PI像およびネスチンPI像を示す。上から生体内(in vivo)、初代培養(P0)、継代第1世代(P1)を示す。スケールバーは100μmを示す。
図3は培養角膜内皮細胞のGPR49/LGR5の発現を示す。b.左からGPR49/LGR5およびネスチンmRNAのcHCECでの発現を示す。縦軸は初代培養(P0)を1としたmRNAの相対レベルを示す。生体内(in vivo)、初代培養(P0)を示す。N=4。エラーバーは、S.E.を示す。*ステューデントのt検定でのp<0.05。ND=検出せず
図3は培養角膜内皮細胞のGPR49/LGR5の発現を示す。c.培養サル角膜内皮細胞(cMCEC)におけるGPR49/LGR5の免疫染色を示す。左から位相差像、およびGPR49 PI像を示す。上から生体内(in vivo)、初代培養(P0)、継代第1世代(P1)を示す。スケールバーは100μmを示す。
図3は培養角膜内皮細胞のGPR49/LGR5の発現を示す。d.GPR49/LGR5 mRNAのcMCECでの発現を示す。縦軸は初代培養(P0)を1としたmRNAの相対レベルを示す。生体内(in vivo)、初代培養(P0)、継代第1世代(P1)および継代第2世代(P2)を示す。N=3。エラーバーは、S.E.を示す。*ステューデントのt検定でのp<0.05。
図4は、GPR49/LGR5陽性細胞の特徴づけを示す。a.セルソーティング後のGPR49/LGR5陽性細胞(GPR49+)の位相差を左に示し、陰性細胞(GPR49−)の位相差を右に示す。スケールバーは100μmを示す。
図4は、GPR49/LGR5陽性細胞の特徴づけを示す。b.各細胞の表面積を示す。GPR49+の平均細胞サイズは184.6±45.8μm2であり、GPR49−の平均細胞サイズは326.78±78.8μm2である。N=35。エラーバーは、S.E.を示す。*ステューデントのt検定でのp<0.01。c.GPR49+のおよびGPR49−のKi−67陽性比率を示す。N=4。エラーバーは、S.E.を示す。*ステューデントのt検定でのp<0.05。
図4は、GPR49/LGR5陽性細胞の特徴づけを示す。d.二重染色でのGPR49+の細胞増殖のセルソーティングを示す(縦軸:Cy3−Ki67および横軸FITC−GPR49):GPR49+/Ki−67+;3.4%,GPR49+/Ki−67−;3.8%,GPR49−/Ki−67−;0%,GPR49−/Ki−67−;92.8%。
図5は、cHCECにおけるヘッジホッグシグナル伝達経路を示す。a.ヘッジホッグシグナル関連遺伝子(上段において左からShh、SmoおよびPtch1、下段において左からGli1およびGli2)の発現を示す。中心を1としたmRNA相対レベルを示す。
図5は、cHCECにおけるヘッジホッグシグナル伝達経路を示す。b.左から、コントロール、GPR49/LGR5およびKi−67の、100ng/ml rhShh(左から2番目)、10μMプルモルファミン(Pur)(左から3番目)および10μMシクロパミン(Cyc)(一番右)で処理したHCECにおける免疫染色を示す。上段はGPR49染色、下段はKi67染色を示す。コントロールは、0.1%DMSO。スケールバーは100μmを示す。
図5は、cHCECにおけるヘッジホッグシグナル伝達経路を示す。c.上段左からGPR49/LGR5およびPtch1、および下段左からGli1およびGli2のリアルタイムPCRである。controlはコントロールで、この結果を1とした相対mRNAレベルを示す。rhShhはrhShhで処理したものを示し、Purはプルモルファミン処理、Cycはシクロパミドで処理したものを示す。N=4。エラーバーは、S.E.を示す。*ステューデントのt検定でのp<0.05。**ステューデントのt検定でのp<0.01。
図5は、cHCECにおけるヘッジホッグシグナル伝達経路を示す。d.rhSHHで処理したcHCECにおけるGPR49/LGR5の発現(相対mRNAレベル)を示す。e.rhSHHで処理したcHCECにおけるGPR49/LGR5の免疫染色。スケールバーは100μmを示す。
図5は、cHCECにおけるヘッジホッグシグナル伝達経路を示す。f.左から、コントロール、100ng/ml rhSHH、2μM Purおよび2μM Cycで処理したcHCECにおけるKi−67の免疫染色を示す。上段はGRP49染色を示し。下はKi67染色を示す。コントロールは、0.01%DMSOである。スケールバーは100μmを示す。
図5は、cHCECにおけるヘッジホッグシグナル伝達経路を示す。g.右からコントロール、100ng/ml rhShh,2μM プルモルファミン(Pur)および2μM シクロスファミド(Cyc)で処理したcHCECのKi−67陽性比率を示す。N=5。エラーバーは、S.E.を示す。*ステューデントのt検定での*p<0.01。
図6は、角膜内皮細胞におけるGPR49/LGR5の機能を示す。a.GPR49/LGR5shRNAのノックダウン効果を示す。コントロール(NT)を1とした相対mRNAレベルを示す。左からNT(コントロール)、shGPR49−587、shGPR49−588、およびshGPR49−589でのGPR49に対する効果を示す。
図6は、角膜内皮細胞におけるGPR49/LGR5の機能を示す。b.shRNA(589)で処理した(左から)Ptch1、Gli1およびGli2の発現を示す。NT:非標的。N=5。エラーバーは、S.E.を示す。ND=検出せず。
図6は、角膜内皮細胞におけるGPR49/LGR5の機能を示す。c.cHCECに対するGPR49/LGR5の過剰発現の効果を示す。左は位相差、右はNa+/K+ATPase PI染色を示す。上段はGPR49発現を示し、下段はNT(コントロール)を示す。
図6は、角膜内皮細胞におけるGPR49/LGR5の機能を示す。d.上段左からGPR49/LGR5およびPtch1、下段左からGli1およびGli2mRNAの発現を示す。NTはコントロール、ExpGPR49はGPR49/LGR5発現物を示す。N=3。エラーバーは、S.E.を示す。*ステューデントのt検定での*p<0.01。
図6Aは、ヒト角膜内皮細胞(CEC)におけるshLGR5の作用を示す。(A)左から、NTおよびshLGRトランスフェクト細胞におけるGPR49/LGR5、Ptch1、Gli1およびGli2についてのリアルタイムPCRを示す。平均±SEM。**P<0.05。N=3。(A)は図6−2のものを、GPR49/LGR5とさらに並行して表示するものであり、一部重複する。(B)NT(上段)およびshLGRトランスフェクトヒトCEC(下段)におけるKi67の位相差顕微鏡像(左欄)およびKi67の免疫染色(右欄)を示す。矢印はKi67(+)細胞を示す。スケールバー=100μm。(B)右のグラフは、CEC増殖に対するGPR49/LGR5遺伝子ノックダウンの影響を実証するために、Ki67細胞のパーセントについての免疫細胞化学研究を実施した結果を示す。左はコントロール(NT)を示し、右は、shLGR5処理細胞(shLGR5)を示す。。
図6Bは、角膜内皮細胞(CEC)におけるGPR49/LGR5およびRSPO1の機能を示す。(A)NT(上段)およびshLGRトランスフェクトヒトCEC(下段)における、位相差顕微鏡像(一番左)、ならびにGPR49/LGR5(左から2番目)、Na+/K+ATPase(右から2番目)およびZO1(一番右)の免疫染色を示す。スケールバー=100μm。図6B(A)は、図6−3と一部重複(位相差画像、NaKATP)するが、比較のためにいずれも並列して表示する。(B)このグラフは、RSPO1有または無でのCECの細胞密度を示す。平均±SEM。**P<0.01。N=5。(C)NTおよびLGR5トランスフェクト細胞の細胞密度を示す。平均±SEM。**P<0.01。N=5。(D)NTおよびLGR5トランスフェクト細胞におけるEMT関連遺伝子(Snail(1番左)、Slug(左から2番目)、Twist(右から2番目)およびコラーゲン1(一番右))についてのリアルタイムPCR。平均±SEM。**P<0.01。N=3。(E)RSPO1(50ng/ml)有(RSPO1(+)、右)または無(RSPO1(−)、左)でのヒトCECの位相差顕微鏡像を示す。スケールバー=100μm。(F)RSPO1(50ng/ml)有または無でのNTおよびLGR5トランスフェクト細胞における活性化されたβ−カテニン(1番上の段)、pLRP6(上から2番目)、tLRP6(下から2番目)およびβ−アクチン(1番下の段)のウェスタンブロッティングを示す。
図6Cは、ヒト角膜内皮細胞(CEC)におけるRSPOの発現および機能を示す。(A)上パネルには、ヒト角膜上皮細胞(Epi)、実質細胞(Stroma)および内皮細胞(Endo)におけるRSPO1(1番上の段)、RSPO2(上から2番目の段)、RSPO3(上から3番目の段)およびRSPO4(上から4番目の段)についてのPCRの結果を示す。下パネルには、内皮細胞(Endo)のうち、中心(Center)および周辺(Periphery)におけるRSPO1(1番上の段)、RSPO2(上から2番目の段)、RSPO3(上から3番目の段)およびRSPO4(上から4番目の段)についてのPCRの結果を示す。(B)RSPO1(1番上の段)、RSPO2(上から2番目の段)、RSPO3(上から3番目の段)およびRSPO4(上から4番目の段)(いずれも50ng/ml)有または無での培養ヒトCECの位相差顕微鏡像を示す。スケールバー=100μm。(C)RSPO1(1番上の段)、RSPO2(上から2番目の段)、RSPO3(上から3番目の段)およびRSPO4(上から4番目の段)(いずれも50ng/ml)有または無でのヒトCECにおけるKi67の免疫染色を示す。スケールバー=100μmを示す。
図6Dは、CEC維持の分子機構の模式図を示す。ヒトCECは、GRP49/LGR5発現に関して領域的な多様性を示す。GRP49/LGR5は、CECの周辺部領域において特有に発現され、ここでは、HHシグナル伝達が明らかに活性化されている。GRP49/LGR5は、HH経路の標的分子であり、インビトロ条件において、HH経路は、CEC増殖を誘導することができた。しかしながら、インビボの状況では、HH経路のみの刺激では、CEC増殖の誘導には不十分であった。永続的なGRP49/LGR5の発現は、Wnt経路の阻害によって正常なCEC表現型を維持した。GRP49/LGR5リガンドであるRSPO1は、インビボでCEC増殖を加速させ、Wnt経路を介してMTを阻害した。
図7は、R−spondin 1〜4の概説を示す。
図8は実施例9でのClick−iT EdU Imaging kitを用いた増殖細胞の検出(倍率x200)を示す。サル培養角膜内皮細胞を播種し、細胞がほぼコンフルエントな状態でR−spondin 1(左から0、10、50ng/ml)入りの培地に交換し、R−spondin 1添加から24時間後、Click−iT EdUにてEdUを染色し、EdU陽性細胞率をカウントした。
図9は、図8におけるEdU陽性細胞率を示す。EdU陽性細胞/DAPIをカウントした結果、コントロールに比べてR−spondin 1を10ng/mlもしくは50ng/mlで添加したウェルでEdU陽性細胞が2倍増加していることが判明した。
図10は、図8で示した方法で培養した角膜内皮細胞の内皮細胞密度を示す。位相差顕微鏡で写真撮影を行い、角膜内皮細胞密度計算ソフトKonan Storage System KSS−400EBを用いて細胞密度の計測を行った。左から培地添加なし、10ng/ml R−spondin 1、50ng/ml R−spondin 1を示す。
図11は、ヒト培養角膜内皮細胞におけるR−spondin1の作用を示す。RSPO1を添加した角膜内皮細胞(50ng/ml(右上),500ng/ml(左下))は、コントロールと比較してKi67陽性細胞率が上昇した。左上はコントロールを示し、右上は、50ng/ml R−spondin 1で培養した例、左下は500ng/ml R−spondin 1で培養した例、右下は1000ng/ml R−spondin 1で培養した例を示す。Ki67は緑色で染色され、コントロールではみえず、50ng/mlおよび500ng/mlでは顕著に染色され、1000ng/mlでも染色が観察される。PIは赤く染色され、いずれの細胞でも染色される。
図12は、ヒト培養角膜内皮細胞におけるR−spondin 2の作用を示す。RSPO2を添加した角膜内皮細胞は、コントロールと比較してKi67陽性細胞率がわずかに上昇した。左は、50ng/ml R−spondin 2で培養した例、右は100ng/ml R−spondin 2で培養した例、上は角膜輪部を示し、下は中心部を示す。
図13は、ヒト培養角膜内皮細胞におけるR−spondin 3の作用を示す。RSPO3を添加した角膜内皮細胞は、コントロールと比較してKi67陽性細胞率はわずかに上昇した。左は、50ng/ml R−spondin 3で培養した例、右は200ng/ml R−spondin 3で培養した例、上は角膜輪部を示し、下は中心部を示す。
図14は、ヒト培養角膜内皮細胞におけるR−spondin 4の作用を示す。RSPO4を添加した角膜内皮細胞は、コントロールと比較してKi67陽性細胞率はわずかに上昇した。左は、50ng/ml R−spondin 4で培養した例、右は500ng/ml R−spondin 4で培養した例、上は角膜輪部を示し、下は中心部を示す。
図15は、ヒト角膜内皮細胞の継代培養を行った後に、コンフルエントに到達して2週間以上培養し角膜内皮密度に明らかな変化を認めなくなった時点で、R−spondin1を培地中に10ng/mlの濃度にて添加して培養を継続し、細胞形態の観察は位相差顕微鏡にて行い、細胞密度を計算した結果を示す。写真は、添加後の日数(左から0日目、7日目、14日目および21日目)を示す。下のグラフは、非添加群との比較での添加群R−spondin 1の細胞密度の0日目、7日目、14日目および21日目の推移を示すものである。
図16は、ウサギ強角膜片を用いた器官培養について、DMEM(INVITROGEN、カタログ番号:12320)+10%ウシ胎仔血清(FBS)(BIOWEST、カタログ番号:S1820−500)にて1週間37℃のインキュベーターにて、R−spondin 1の存在(右から100ng/ml、10ng/ml、1ng/ml)または不存在下(最も左、コントロール)で、培養し、細胞増殖のマーカーとしてKi67(Sigma−Aldrich Co.、カタログ番号:P6834)を用いて角膜内皮細胞の免疫染色を行い蛍光顕微鏡にて観察を行った結果を示す。DAPIにて核染色を行い、Ki67陽性細胞率を計算した結果を左下パネルに示す。また、ZO−1にて免疫染色を行い細胞密度の計算を行った結果を右下パネルに示す。

0143

以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。従って、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。

0144

本明細書において、「GPR49/LGR5」とは、7回膜貫通型のLGRファミリーメンバーであるタンパク質である。GPR49/LGR5は、ある場合には糖タンパク質リガンドとの相互作用に重要であることが示されたロイシン・リッチ・リピートを含有する、巨大N末端細胞外ドメインによって特徴付けられる、異常なGタンパク質共役型受容体(GPCR)であるロイシン・リッチ・リピート含有Gタンパク質共役型受容体5に基づく命名であり、近時このような名称頻度が高まっており本明細書ではこれらを併記する。FEX HG38、GPR67としても知られる。ヒトGPR49/LGR5のアミノ酸配列およびこれをコードする遺伝子配列は、それぞれNCBI登録番号NP_003658.1(配列番号2)およびNM_003667.2(配列番号1)に開示されている。当該分野では、GPR49またはLGR5と単独の名称でも呼称されている。本明細書では「GPR49/LGR5」と表示するが、いずれの表示であっても同一の意味を示すことが理解される。GPR49/LGR5としては、OMIM:606667とのアクセッション番号で同定されうる。本明細書の目的で使用される場合は、「GPR49/LGR5」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0145

なお、本発明で挙げる他のタンパク質すべてにも同じことがあてはまる。従って、既定のタンパク質または核酸の名称は、配列表に示すようなタンパク質または核酸を指すだけでなく、機能的に活性な誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシーまたは低ストリンジェンシー条件下で、好ましくは上述のような条件下で、前記タンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、指す。本明細書で使用される「誘導体」または「構成要素タンパク質の類似体」または「変異体」は、好ましくは、限定を意図するものではないが、構成要素タンパク質に実質的に相同な領域を含む分子を含み、このような分子は、種々の実施形態において、同一サイズのアミノ酸配列にわたり、または当該分野で公知のコンピュータ相同性プログラムによってアラインメントを行ってアラインされる配列と比較した際、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%同一であるか、あるいはこのような分子をコードする核酸は、ストリンジェントな条件、中程度にストリンジェントな条件、またはストリンジェントでない条件下で、構成要素タンパク質をコードする配列にハイブリダイズ可能である。これは、それぞれ、アミノ酸置換欠失および付加によって、天然存在タンパク質を修飾した所産であり、その誘導体がなお天然存在タンパク質の生物学的機能を、必ずしも同じ度合いでなくてもよいが示すタンパク質を意味する。例えば、本明細書において記載されあるいは当該分野で公知の適切で利用可能なin vitroアッセイによって、このようなタンパク質の生物学的機能を調べることも可能である。本発明では、GPR49/LGR5はヒトが主に論じられるが、チンパンジー(Pan troglodytes)(ENSPTRG00000005223(XR_021586.1))、アカゲザル(Macaca mulatta)(ENSMMUG00000020942)、マウス(Mus musculus)(ENSMUSG00000020140)、ラット(Rattus norvegicus)(ENSRNOG00000004221(LOC687868))、モルモット(Cavia porcellus)(ENSCPOG00000009492)、イヌ(Canis familiaris)(ENSCAFG00000000451)、ネコ(Felis catus)(ENSFCAG00000008064)、ニワトリ(Gallus gallus)(ENSGALG00000010163)等、ヒト以外の多くの哺乳動物がGPR49/LGR5タンパク質を発現していることが知られているため、これらの哺乳動物についても、本発明の範囲内に入ることが理解される。

0146

GPR49/LGR5は、アルツハイマー病において、ガンマーセクレターゼによるAPPの異常なプロセシングに関与する、異なるタンパク質複合体の一部を形成することが発見されている。GPR49/LGR5がAph1a複合体、Fe65L2複合体、APP−C99複合体およびBACE1複合体の一部であることが発見されているため、これらの複合体を検出することによっても、GPR49/LGR5を検出することができる。これらの複合体は、TAP技術エントリーポイントとして用いられている、それぞれの重要なタンパク質化合物にちなんで命名されている。

0147

本明細書で使用される「機能的に活性な」は、本明細書において、本発明のポリペプチド、すなわちフラグメントまたは誘導体が関連する態様に従って、生物学的活性などの、タンパク質の構造的機能、制御機能、または生化学的機能を有する、ポリペプチド、すなわちフラグメントまたは誘導体を指す。

0148

本発明において、GPR49/LGR5のフラグメントとは、GPR49/LGR5の任意の領域を含むポリペプチドであり、天然のGPR49/LGR5の生物学的機能を有していなくてもよい。フラグメントの例として、GPR49/LGR5の細胞外領域を含むフラグメントが挙げられる。GPR49/LGR5の細胞外領域は配列番号2のアミノ酸配列において1−556番目、615−637番目、704−722番目、および792−800番目が相当する。又、膜貫通領域は配列番号2のアミノ酸配列において557−579番目、592−614番目、638−660番目、681−703番目、723−745番目、769−791番目、および801−823番目が相当する。

0149

GPR49/LGR5の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号1に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、GPR49/LGR5の有する活性をいう。

0150

GPR49/LGR5のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、GPR49/LGR5の有する活性をいう。

0151

本発明の関連において、「GPR49/LGR5に結合する物質」または「GPR49/LGR5相互作用分子」は、少なくとも一時的にGPR49/LGR5に結合し、そして好ましくは、結合したことを表示しうる(例えば標識されるか標識可能な状態である)、分子または物質である。GPR49/LGR5に結合する物質はGPR49/LGR5の阻害剤であってもよく、その例としては、抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、低分子量分子(LMW)、結合性ペプチドアプタマーリボザイムおよびペプチド模倣体(peptidomimetic)等を挙げることができ、例えばGPR49/LGR5に対して向けられる、特にGPR49/LGR5の活性部位に対して向けられる、結合性タンパク質または結合性ペプチド、並びにGPR49/LGR5遺伝子に対して向けられる核酸も含まれる。GPR49/LGR5に対する核酸は、例えばGPR49/LGR5遺伝子の発現またはGPR49/LGR5の活性を阻害する、二本鎖または一本鎖DNAまたはRNA、あるいはその修飾物または誘導体を指し、そして限定なしに、アンチセンス核酸、アプタマー、siRNA(低分子干渉RNA)およびリボザイムを含む。本明細書において、GPR49/LGR5について「結合性タンパク質」または「結合性ペプチド」とは、GPR49/LGR5に結合する種類のタンパク質またはペプチドを指し、そしてGPR49/LGR5に対して指向されるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体抗体フラグメントおよびタンパク質骨格を含むがこれらに限定されない。

0152

本明細書において「R−spondin(類)」とはR−spondin 1等と同様の構造および機能を有する遺伝子群をいい、非特許文献4(J.Yoon,J.Lee,Cellular Signalling 24(2012)369−377)で説明されている。例えば、構造としては、N末端からSP、CR,TSR、BRというドメインを有することが知られている。また、機能としては、GPR49に対するリガンドであることが知られている。従って、このような構造および機能を指標にR−spondin類を確定することができる。例えば、ヒトでは、R−spondin 1(RSPO1 OMIM:609595;核酸配列(遺伝子配列):配列番号3、35、37または39;アミノ酸配列:配列番号4、36、38または40)、R−spondin 2(RSPO2 OMIM:610575、配列番号5および6)、R−spondin 3(RSPO3 OMIM:610574、配列番号7および8)、R−spondin 4(RSPO4 OMIM:610573:核酸配列(遺伝子配列):配列番号9または41;アミノ酸配列:配列番号10または42)が知られている。非特許文献4の情報から、図7のように各R−spondinがまとめられる。

0153

R−spondin 1の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号3、35、37または39に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号4、36、38または40に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号4、36、38または40に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号3、35、37または39に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号4、36、38または40に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、R−spondin 1の有する活性をいう。

0154

R−spondin 1のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号4、36、38または40に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号4、36、38または40に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号3、35、37または39に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号4、36、38または40に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、R−spondin 1の有する活性をいう。

0155

R−spondin 2の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号5に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号5に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、R−spondin 2の有する活性をいう。

0156

R−spondin 2のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号6に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号5に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号6に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、R−spondin 2の有する活性をいう。

0157

R−spondin 3の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号7に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号8に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号7に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、R−spondin 3の有する活性をいう。

0158

R−spondin 3のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号8に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号7に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号8に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、R−spondin 3の有する活性をいう。

0159

R−spondin 4の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号9または41に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号10または42に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号10または42に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号9または41に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号10または42に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、R−spondin 4の有する活性をいう。

0160

R−spondin 4のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号10または42に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号10または42に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号9または41に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号10または42に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、R−spondin 4の有する活性をいう。

0161

本明細書において「SONICHEDGEHOG(SHH)」とはヘッジホッグ(HH)ファミリーに属する5種類のタンパク質の内の1つであり、これをコードする遺伝子は、shhで表記する。SHHは発生において最も重要なモルフォゲンとして、四肢や、脳脊髄正中線構造などの、多くの器官系デザインを形成する役割がある。ヒト・ソニック・ヘッジホッグ遺伝子の変異では、腹側正中線の欠失が生じて全前脳胞症(HPE)を引きおこすほか、シス調節エレメントの変化が原因で多指症になることなどが知られている。このファミリーの他のタンパク質には、哺乳類ではDesert Hedgehog(DHH)、Indian Hedgehog,(IHH)がある。例えば、ヒトのものは、SHH(SHH OMIM 600725;ヒト:NM_000193(配列番号11および12);マウス:NM_009170)が知られている。

0162

shhの代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号11に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号12に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号11に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、SHHの有する活性をいう。

0163

SHHのアミノ酸配列としては、
(a)配列番号12に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号12に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号11に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号12に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、SHHの有する活性をいう。

0164

ヘッジホッグ(Hedgehog)経路の因子としては、SHH、PTCH1、GLI1およびGLI2が挙げられる。

0165

本明細書において「PTCH1」とはヘッジホッグ経路の因子の一つであり、Patched−1と呼ばれる受容体であり、SHHが結合する受容体である。この因子をコードする遺伝子は、ptch1で表記する。SHHとPTCH1の結合によって、やはりSHH受容体複合体コンポーネントであるSmoothened(SMO)の抑制がはずれ、細胞内にシグナルが伝わり、最終的にGli転写因子を介して様々な標的遺伝子転写が活性化され生理機能を発揮するとされている。PTCH1の配偶子変異は、母斑基底細胞癌症候群(NBCCS)(Gorlin症候群とも呼ばれる)という小奇形と高発がんを特徴とする遺伝病を引き起こすとされている。PTCH1は癌抑制遺伝子でもある。この遺伝子は、PTC;BCNS;HPE7;PTC1;PTCH;NBCCS;PTCH11としても知られている。この因子には、例えば、ヒトのものは、NC_000009.11(NCBI Reference Sequence)であり、NC_000009(Accession No.)、NM_001083602.1(Accession No.)(配列番号43および44)が知られている。

0166

ptch1の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号43<NM_001083602.1>に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号44に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号44に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号43に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号44に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、PTCH1の有する活性をいう。

0167

PTCH1のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号44に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号44に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号43に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号44に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、PTCH1の有する活性をいう。

0168

本明細書において「GLI1」とはヘッジホッグ(HH)経路の因子であり、転写因子Gliファミリー(GLI1、GLI2、GLI3等)の一つである。GLI1をコードする遺伝子はgli1と示す。GLI1はPTCH1の下流にあり、ここから、GPR49/LGR5にシグナルが伝わるとされる。SHHとPTCH1の結合によって、やはりSHH受容体複合体のコンポーネントであるSmoothened(SMO)の抑制がはずれ、細胞内にシグナルが伝わり、最終的にGLI転写因子を介して様々な標的遺伝子の転写が活性化され生理機能を発揮するとされている。この因子には、例えば、ヒトのものは、バリアント1としてNM_005269.2(NCBIReference Sequence)NM_005269(Genbank Accession);バリアント2としてNM_001160045.1(NCBIReference Sequence)NM_001160045(GenbankAccession);バリアント3としてNM_001167609.1(NCBI Reference Sequence)、NM_001167609(Genbank Accession)(配列番号45および46)が知られている。

0169

gli1の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号45<NM_001167609.1>に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号46に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号46に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号45に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号46に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、GLI1の有する活性をいう。

0170

GLI1のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号46に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号46に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号45に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号46に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、GLI1の有する活性をいう。

0171

本明細書において「GLI2」とはヘッジホッグ(HH)経路の因子であり、転写因子GLIファミリー(GLI1、GLI2、GLI3等)の一つである。このGLI2をコードする遺伝子はgli1で表す。PTCH1の下流にあり、ここから、GPR49/LGR5にシグナルが伝わるとされる。ShhとPTCH1の結合によって、やはりShh受容体複合体のコンポーネントであるSmoothened(Smo)の抑制がはずれ、細胞内にシグナルが伝わり、最終的にGli転写因子を介して様々な標的遺伝子の転写が活性化され生理機能を発揮するとされている。この因子には、例えば、ヒトのものは、NM_005270.4(NCBI Reference Sequence)NM_005270(Genbank Accession)(配列番号47および48)が知られている。

0172

gli2の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号47<NM_005270.4>に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号48に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号48に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号47に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号48に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、GLI2の有する活性をいう。

0173

GLI2のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号48に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号48に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号47に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号48に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、GLI2の有する活性をいう。

0174

Wnt経路の因子としては、LRP6およびβ−カテニンが挙げられる。

0175

本明細書において「LRP6」とはWnt経路の因子の1つであり、Low−density lipoprotein receptor—related protein 6の略称であり、これをコードする遺伝子は、lrp6で表記する。Gタンパク質であるGβγはGSK3を活性化し、LRP6を介するβ−カテニンの転写活性を促進する。この因子は、例えば、ヒトのものは、NM_002336.2(NCBIReference Sequence)NM_002336(Genbank Accession)LRP6、NM_002336.2(配列番号49および50)が知られている。

0176

lrp6の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号49<NM_002336.2>に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号50に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号50に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号49に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号50に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、LRP6の有する活性をいう。

0177

LRP6のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号50に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号50に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号49に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号50に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、LRP6の有する活性をいう。

0178

本明細書において「β−カテニン」とはWnt経路の因子の1つであり、これをコードする遺伝子は、beta−catenin/CTNNB1で表記する。Wnt/β−カテニン経路は、脊椎動物無脊椎動物の発生における細胞の運命の決定を調節する。Wnt−リガンドは分泌された糖タンパク質であり、Frizzled受容体に結合する。この結合によって多機能キナーゼであるGSK−3βをAPC/Axin/GSK−3β複合体から離脱させるようなカスケードが開始する。Wnt−シグナルが無い場合には、転写の共役因子であると同時に細胞膜に埋め込まれ、細胞と細胞の接着におけるアダプタータンパク質として存在するβ−カテニンが、APC/Axin/GSK−3β複合体による分解に向かうとされている。CK1とGSK−3βの協調的な作用によってβ−カテニンが適切なリン酸化を受けると、ユビキチン化と、β−TrCP/SKP複合体を介したプロテアソームによる分解に至るとされている。Wntが結合する場合には、Dishevelled(Dvl)がリン酸化とポリユビキチン化を受けて活性化され、今度はこれが分解複合体からGSK−3βを遠ざける。これが、β−カテニンの安定化のために、Rac−1依存的な核移行をさせてLEF/TCFDNA結合因子へと誘引するが、そこでは、Groucho−HDAC補助抑制因子と置換することによって転写活性化因子として作用するとされている。Wnt/β−カテニン経路は、多くの異なる型の細胞や組織において、レチノイン酸、FGF、TGF−β、及びBMPなどの他の多くの経路からのシグナルを集約するとされている。この因子には、例えば、ヒトのものは、バリアント1としてNM_001904.3(NCBIReference Sequence)NM_001904 XM_942045 XM_945648XM_945650XM_945651 XM_945652 XM_945653 XM_945654 XM_945655 XM_945657(GenbankAccession);バリアント2としてNM_001098209.1(NCBI Reference Sequence)NM_001098209、XM_001133660、XM_001133664、XM_001133673 XM_001133675(Genbank Accession);バリアント3としてNM_001098210.1(NCBI Reference Sequence)NM_001098210(Genbank Accession)、_NM_131059.2(CTNNB,Accession No.)(配列番号51および52)が知られている。

0179

β−カテニンの代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号51<NM_131059.2>に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号52に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号52に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号51に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号52に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、β−カテニンの有する活性をいう。

0180

β−カテニンのアミノ酸配列としては、
(a)配列番号52に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号52に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号51に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号52に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、β−カテニンの有する活性をいう。

0181

本明細書において「プルモルファミン(purmorphamine)」とは、N−(4−モルホリノフェニル)−2−(1−ナフチルオキシ)−9−シクロヘキシル−9H−プリン−6−アミン別称であり、CAS番号は483367−10−8として知られる化合物である。スムーズンド(Smoothened)という7回膜貫通タンパク質のFrizzledファミリー(ヘッジホッグシグナル伝達経路を担う膜タンパク質)のアゴニストとして知られている。したがって、本発明では、SHHのアゴニストとして、例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニストとして使用され得る。

0182

本明細書において「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)が包含される。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。

0183

本明細書において、「アミノ酸」は、本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。

0184

本明細書において「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」を含む。「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチルリボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合ホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。本明細書において「核酸」はまた、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。

0185

本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する遺伝子を構造遺伝子といい、その発現を左右する遺伝子を調節遺伝子という。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」をさすことがある。

0186

本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいい、一般に「相同性」を有するとは、同一性または類似性の程度が高いことをいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。従って本明細書において「相同体」または「相同遺伝子産物」は、本明細書にさらに記載する複合体のタンパク質構成要素と同じ生物学的機能を発揮する、別の種、好ましくは哺乳動物におけるタンパク質を意味する。こうような相同体はまた、「オルソログ遺伝子産物」とも称されることもある。ヒトおよび哺乳動物または他の種からオルソログ遺伝子対を検出するためのアルゴリズムは、これらの生物の全ゲノムを用いる。まず、予測されるタンパク質の完全Smith−Waterman並列を用いて、対合ベストヒット回収する。信頼性をさらに改善するため、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)および線虫(C.elegans)タンパク質を含む対合ベストヒットを用いて、これらの対のクラスターを形成してもよい。このような分析は、例えば、Nature,2001,409:860−921に提供される。他の種の遺伝子に対する、本明細書に提供するタンパク質をコードする遺伝子の配列相同性に基づいて、慣用的技術を適用してそれぞれの遺伝子をクローニングし、そしてこのような遺伝子からタンパク質を発現させることによって、あるいは本明細書に提供する方法に従って、または当該分野で周知の他の適切な方法に従って、類似の複合体を単離することにより、他の種のタンパク質を単離することによって、本明細書に記載のタンパク質の相同体を単離することも可能である。

0187

アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST 2.2.9(2004.5.12発行)を用いて行うことができる。本明細書における同一性の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメーターの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。類似性は、同一性に加え、類似のアミノ酸についても計算に入れた数値である。

0188

本明細書において「ストリンジェント(な)条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1−38,DNA Cloning 1:Core Techniques,A Prac1tical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)などの実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。従って、本発明において使用されるポリペプチド(例えば、トランスサイレチンなど)には、本発明で特に記載されたポリペプチドをコードする核酸分子に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドも包含される。これらの低ストリンジェンシー条件は、35%ホルムアミド、5xSSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mMEDTA、0.02%PVP、0.02%BSA、100μg/ml変性サケ精子DNA、および10%(重量/体積デキストラン硫酸を含む緩衝液中、40℃で18〜20時間ハイブリダイゼーションし、2xSSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mMEDTA、および0.1%SDSからなる緩衝液中、55℃で1〜5時間洗浄し、そして2xSSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mMEDTA、および0.1%SDSからなる緩衝液中、60℃で15時間洗浄することを含む。

0189

本明細書において「精製された」物質または生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その生物学的因子に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたものをいう。従って、通常、精製された生物学的因子におけるその生物学的因子の純度は、その生物学的因子が通常存在する状態よりも高い(すなわち濃縮されている)。本明細書中で使用される用語「精製された」は、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の生物学的因子が存在することを意味する。本発明で用いられる物質は、好ましくは「精製された」物質である。

0190

本明細書において「対応する」アミノ酸または核酸とは、あるポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子において、比較の基準となるポリペプチドまたはポリヌクレオチドにおける所定のアミノ酸またはヌクレオチドと同様の作用を有するか、または有することが予測されるアミノ酸またはヌクレオチドをいい、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸をいう。例えば、アンチセンス分子であれば、そのアンチセンス分子の特定の部分に対応するオルソログにおける同様の部分であり得る。対応するアミノ酸は、例えば、システイン化グルタチオン化、S−S結合形成酸化(例えば、メチオニン側鎖の酸化)、ホルミル化、アセチル化、リン酸化、糖鎖付加ミリスチル化などがされる特定のアミノ酸であり得る。あるいは、対応するアミノ酸は、二量体化を担うアミノ酸であり得る。このような「対応する」アミノ酸または核酸は、一定範囲にわたる領域またはドメインであってもよい。従って、そのような場合、本明細書において「対応する」領域またはドメインと称される。

0191

本明細書において「対応する」遺伝子(例えば、ポリヌクレオチド配列または分子)とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子(例えば、ポリヌクレオチド配列または分子)をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子に対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログであり得る。従って、マウス、ラットのRPG49、R−spondin類は、それぞれ、ヒトにおいて、対応するRPG49、R−spondin類を見出すことができる。そのような対応する遺伝子は、当該分野において周知の技術を用いて同定することができる。従って、例えば、ある動物(例えば、マウス)における対応する遺伝子は、対応する遺伝子の基準となる遺伝子(例えば、RPG49、R−spondin類、shh等)は、配列番号1、3、5、7、9、11等の配列をクエリ配列として用いてその動物(例えばヒト、ラット)の配列データベースを検索することによって見出すことができる。

0192

本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、このようなフラグメントは、例えば、全長のものがマーカーとして機能する場合、そのフラグメント自体もまたマーカーとしての機能を有する限り、本発明の範囲内に入ることが理解される。

0193

本発明に従って、用語「活性」は、本明細書において、最も広い意味での分子の機能を指す。活性は、限定を意図するものではないが、概して、分子の生物学的機能、生化学的機能、物理的機能または化学的機能を含む。活性は、例えば、酵素活性、他の分子と相互作用する能力、および他の分子の機能を活性化するか、促進するか、安定化するか、阻害するか、抑制するか、または不安定化する能力、安定性、特定の細胞内位置に局在する能力を含む。適用可能な場合、この用語はまた、最も広い意味でのタンパク質複合体の機能にも関する。

0194

本明細書において「生物学的機能」とは、ある遺伝子またはそれに関する核酸分子もしくはポリペプチドについて言及するとき、その遺伝子、核酸分子またはポリペプチドが生体内において有し得る特定の機能をいい、これには、例えば、特異的な抗体の生成、酵素活性、抵抗性の付与等を挙げることができるがそれらに限定されない。本発明においては、例えば、GPR49/LGR5等がR−spondinを認識する機能などを挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書において、生物学的機能は、「生物学的活性」によって発揮され得る。本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリヌクレオチド、タンパク質など)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性)を発揮する活性が包含され、例えば、ある分子との相互作用によって別の分子が活性化または不活化される活性も包含される。2つの因子が相互作用する場合、その生物学的活性は、その二分子との間の結合およびそれによって生じる生物学的変化、例えば、一つの分子を抗体を用いて沈降させたときに他の分子も共沈するとき、2分子は結合していると考えられる。従って、そのような共沈を見ることが一つの判断手法として挙げられる。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。従って、「活性」は、結合(直接的または間接的のいずれか)を示すかまたは明らかにするか;応答に影響する(すなわち、いくらか曝露または刺激に応答する測定可能な影響を有する)、種々の測定可能な指標をいい、例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに直接結合する化合物の親和性、または例えば、いくつかの刺激後または事象後上流または下流のタンパク質の量あるいは他の類似の機能の尺度が挙げられる。

0195

本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたもの(本明細書にいう誘導体)であり得る。例えば、GPR49/LGR5の発現レベルは、任意の方法によって決定することができる。具体的には、GPR49/LGR5のmRNAの量、GPR49/LGR5タンパク質の量、そしてGPR49/LGR5タンパク質の生物学的な活性を評価することによって、GPR49/LGR5の発現レベルを知ることができる。GPR49/LGR5のmRNAやタンパク質の量は、本明細書に記載したような方法によって決定することができる。

0196

本明細書において「機能的等価物」とは、対象となるもとの実体に対して、目的となる機能が同じであるが構造が異なる任意のものをいう。従って、「R−spondin類またはその機能的等価物」または「R−spondin類およびその機能的等価物からなる群」という場合は、R−spondin類自体のほか、R−spondin類の変異体または改変体(例えば、アミノ酸配列改変体等)であって、眼細胞等の分化制御および/または増殖促進作用を有するもの、ならびに、作用する時点において、R−spondin類自体またはこのR−spondin類の変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、R−spondin類自体またはR−spondin類の変異体もしくは改変体をコードする核酸、およびその核酸を含むベクター、細胞等を含む)が包含されることが理解される。本発明において、R−spondinの機能的等価物は、格別に言及していなくても、R−spondinと同様に用いられうることが理解される。

0197

また、「GPR49/LGR5またはその機能的等価物」または「GPR49/LGR5およびその機能的等価物からなる群」という場合は、GPR49/LGR5自体のほか、GPR49/LGR5の変異体または改変体(例えば、アミノ酸配列改変体等)であって、眼細胞等の分化制御および/または増殖促進作用を有するもの、または本明細書に記載されるマーカーとしての機能を有するもの、ならびに、作用する時点において、GPR49/LGR5自体またはこのGPR49/LGR5の変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、GPR49/LGR5自体またはGPR49/LGR5の変異体もしくは改変体をコードする核酸、およびその核酸を含むベクター、細胞等を含む)が包含されることが理解される。本発明において、GPR49/LGR5の機能的等価物は、格別に言及していなくても、GPR49/LGR5と同様に用いられうることが理解される。

0198

また、「SONICHEDGEHOG(SHH)またはその機能的等価物」または「SONIC HEDGEHOG(SHH)およびその機能的等価物からなる群」という場合は、SHH自体のほか、SHHの変異体または改変体(例えば、アミノ酸配列改変体等)であって、眼細胞等の分化制御および/または増殖促進作用を有するもの、または本明細書に記載されるマーカーとしての機能を有するもの、ならびに、作用する時点において、SHH自体またはこのSHHの変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、SHH自体またはSHHの変異体もしくは改変体をコードする核酸、およびその核酸を含むベクター、細胞等を含む)が包含されることが理解される。本発明において、SHHの機能的等価物は、格別に言及していなくても、SHHと同様に用いられうることが理解される。

0199

「GPR49/LGR5を抑制する因子またはその機能的等価物」または「GPR49/LGR5を抑制する因子およびその機能的等価物からなる群」という場合は、GPR49/LGR5を抑制する因子自体のほか、GPR49/LGR5を抑制する因子の変異体または改変体(例えば、合成改変体等)であって、作用する時点において、眼細胞等の分化制御および/または増殖促進作用を有するように変化するもの(変化してGPR49/LGR5を抑制する因子に変化することができるもの(例えば、エステル等の前駆体またはプロドラッグ))が包含されることが理解される。本発明において、GPR49/LGR5を抑制する因子の機能的等価物は、格別に言及していなくても、GPR49/LGR5を抑制する因子と同様に用いられうることが理解される。

0200

また、「SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)またはその機能的等価物」または「SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)およびその機能的等価物からなる群」という場合は、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)自体のほか、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)の変異体または改変体(例えば、合成改変体等)であって、作用する時点において、眼細胞等の分化制御および/または増殖促進作用を有するように変化するもの(変化してSHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)自体またはこのSHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)の変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、エステル等の前駆体またはプロドラッグ))が包含されることが理解される。本発明において、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)の機能的等価物は、格別に言及していなくても、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)と同様に用いられうることが理解される。

0201

本明細書において「アゴニスト」とは、対象となる実体(例えば、レセプター)に対してそのレセプターの生物学的作用を発現させる物質をいう。天然のアゴニスト(リガンドとも称される)のほか、合成されたものや改変されたもの等を挙げることができる。

0202

本明細書において「アンタゴニスト」とは、対象となる実体(例えば、レセプター)に対してそのレセプターの生物学的作用を阻害する物質をいう。アゴニスト(またはリガンド)と競合的に阻害するもののほか、非競合的に阻害するもの等がある。アゴニストを改変することによっても得られうる。生理現象を阻害することから、アンタゴニストは阻害剤または抑制(する)因子の概念に包含されうる。

0203

本明細書において「(GPR49/LGR5等を)抑制する因子」は、対象となるGPR49/LGR5等の機能を一時的または永久に低下または消失させることができる因子をいう。このような因子には、抗体、その抗原結合フラグメント、それらの誘導体、アンチセンス、siRNA等のRNAi因子等の核酸の形態のもの等を挙げることができるがこれらに限定されない。

0204

本発明で用いられるGPR49/LGR5や、R−spondin類の機能的等価物は、データベース等を検索することによって、見出すことができる。本明細書において「検索」とは、電子的にまたは生物学的あるいは他の方法により、ある核酸塩基配列を利用して、特定の機能および/または性質を有する他の核酸塩基配列を見出すことをいう。電子的な検索としては、BLAST(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990))、FASTA(Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 85:2444−2448(1988))、Smith and Waterman法(Smith and Waterman,J.Mol.Biol.147:195−197(1981))、およびNeedleman and Wunsch法(Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443−453(1970))などが挙げられるがそれらに限定されない。生物学的な検索としては、ストリンジェントハイブリダイゼーション、ゲノムDNAをナイロンメンブレン等に貼り付けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイマイクロアレイアッセイ)、PCRおよびin situハイブリダイゼーションなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書において、本発明において使用される遺伝子には、このような電子的検索、生物学的検索によって同定された対応遺伝子も含まれるべきであることが意図される。

0205

本発明の機能的等価物としては、アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加されたものを用いることができる。本明細書において、「アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加」とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の技術的方法により、あるいは天然の変異により、天然に生じ得る程度の複数個の数のアミノ酸の置換等により改変がなされていることを意味する。

0206

GPR49/LGR5、R−spondin類、SHH、PTCH1、GLI1、GLI2等のヘッジホッグ経路の因子、LRP6、β−カテニン等Wnt経路の因子等の改変アミノ酸配列は、例えば1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜9個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜2個のアミノ酸の挿入、置換、もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加がなされたものであることができる。改変アミノ酸配列は、好ましくは、そのアミノ酸配列が、GPR49/LGR5、R−spondin類、SHH、PTCH1、GLI1、GLI2等のヘッジホッグ経路の因子、LRP6、β−カテニン等のWnt経路の因子等のアミノ酸配列において1または複数個(好ましくは1もしくは数個または1、2、3、もしくは4個)の保存的置換を有するアミノ酸配列であってもよい。ここで「保存的置換」とは、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1または複数個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことができる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に当該分野において公知である。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニンバリンイソロイシン、ロイシン、プロリントリプトファンフェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性中性)アミノ酸としては、グリシンセリンスレオニンチロシングルタミンアスパラギンシステインなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニンヒスチジンリジンなどが挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸グルタミン酸などが挙げられる。

0207

本明細書において「マーカー(物質または遺伝子)」とは、ある状態(例えば、疾患状態障害状態、あるいは増殖能、分化状態のレベル、有無等)にあるかまたはその危険性があるかどうかを追跡する示標となる物質をいう。このようなマーカーとしては、遺伝子、遺伝子産物、代謝物質、酵素などを挙げることができる。本発明において、ある状態(例えば、分化障害などの疾患)についての検出、診断、予備的検出、予測または事前診断は、その状態に関連するマーカーに特異的な薬剤、剤、因子または手段、あるいはそれらを含む組成物、キットまたはシステム等を用いて実現することができる。本明細書において、「遺伝子産物」とは、遺伝子によってコードされるタンパク質またはmRNAをいう。本明細書では、眼細胞への関連が示されていない遺伝子産物(すなわち、GPR49/LGR5など)が眼細胞の分化の指標として使用可能であることが見出された。

0208

本明細書において「神経細胞」とは、広義に用いられ、神経系の器官に含まれる任意の細胞を意味し、特に、神経堤細胞由来の細胞(例えば、角膜内皮細胞等)も包含されることが理解される。

0209

本明細書において「眼細胞」とは、広義に用いられ、眼に存在する任意の細胞を意味し、眼瞼強膜、角膜、ぶどう膜、水晶体硝子体、網膜、視神経に存在する任意の細胞が包含される。

0210

本明細書において「角膜内皮細胞」は、当該分野で用いられる通常の意味で用いられる。角膜とは、眼を構成する層状の組織の一つであり透明であり、最も外界に近い部分に位置する。角膜は、ヒトでは外側(体表面)から順に5層でできているとされ、外側から角膜上皮、ボーマン膜外境界線)、固有層、デスメ膜(内境界線)、および角膜内皮で構成される。特に、特定しない限り、上皮および内皮以外の部分は「角膜実質」とまとめて称することがあり、本明細書でもそのように称する。

0211

本明細書において「角膜組織」とは、通常の意味で使用され、角膜を構成する組織自体をいう。角膜組織というときは、角膜を構成する角膜上皮、ボーマン膜(外境界線)、固有層、デスメ膜(内境界線)、および角膜内皮の全部(ヒトの場合。それ以外の動物の場合は、それに対応する区分に応じてその全部)を含んでいてもよく一部欠損していてもよく、あるいは、角膜のほか他の組織(強膜)を含んでいてもよく、その場合は特に強角膜ということがある。したがって、強角膜または強角膜片は角膜組織の一実施形態であるといえる。

0212

本明細書において「増殖能」とは、細胞の増殖する能力をいう。本明細書では格別に言及しない場合、増殖の状態は、定常状態での増殖の可能性を指す。ここで、「定常状態」とは、生体での通常の条件であって、生体の恒常性が維持されている状態をいう。そのような状態は、当業者であれば、容易に決定することができる。たとえば、細胞密度解析により、細胞密度がほぼ一定で変化しないこと、または細胞増殖マーカーの発現が認められないことなどによって確認することができる。

0213

本明細書において「増殖能の(が)高い」とは、定常状態で増殖能を有することをいう。

0214

本明細書において「増殖促進」とは、ある細胞の増殖状態が促進されることをいう。対象となる細胞が増殖していなかった場合は、少しでも増殖を始めれば増殖促進に該当し、すでに増殖をしている細胞の場合は、その増殖レベルが維持またはより高まれば、好ましくは高まれば増殖促進に該当する。

0215

本明細書において「分化能」とは、細胞が分化する能力をいう。分化能がある細胞は、その意味で「未分化」であるといえる。幹細胞(胚性幹細胞生殖細胞iPS細胞組織幹細胞等)は、さらに分化することができるため、分化能を有すると称することができる。

0216

本明細書において「未分化細胞」とは、分化能がある任意の細胞をいう。従って、未分化細胞には、幹細胞のほか、一定程度分化しているが、さらになお分化しうる細胞を包含する。

0217

本明細書において「分化抑制」とは、分化を抑制することをいう。分化がされなければ、分化レベルが変わらないものおよび分化レベルが未分化の方向に進んでいるものの両方が「分化抑制」に包含されることが理解される。

0218

本明細書において「分化抑制および/または増殖促進剤」とは、ある物質または因子についていうとき、対象となる細胞について、その細胞の分化を抑制するかおよび/または増殖を促進することができるものをいう。本明細書では、特に、「分化抑制および/または増殖促進剤」は、R−spondin類、SHH、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)、GPR49/LGR5を抑制する因子(アンタゴニスト)およびそれらの機能的等価物からなる群より選択される少なくとも1種を含む。

0219

本明細書において「幹細胞」とは、複数系統の細胞に分化できる能力(多分化能)と、細胞分裂を経ても多分化能を維持できる能力(自己複製能)を併せ持つ細胞をいう。幹細胞には、胚性幹細胞、生殖細胞、iPS細胞、組織幹細胞などが包含される。

0220

本明細書において「被験体」とは、本発明の診断または検出等の対象となる対象(例えば、ヒト等の生物または生物から取り出した器官(眼)あるいは細胞等)をいう。

0221

本明細書において「試料」とは、被験体等から得られた任意の物質をいい、例えば、眼の細胞等が含まれる。当業者は本明細書の記載をもとに適宜好ましい試料を選択することができる。

0222

本明細書において「コロニー形成能」とは、細胞についていうとき、コロニーを形成することができる能力をいう。コロニー形成能は、本明細書では、標準試験法として当該分野において公知の培養条件下での細胞のコロニー形成試験等を用いて判断することができる。

0223

本明細書において「Ki−67」とは、細胞増殖マーカーであって、代表的にアクセッション番号P46013で示されるの細胞周期関連核タンパク質である。増殖中の細胞では,G1期、S期、G2期M期において発現するが、増殖を休止しているG0期においては存在しないため、細胞増殖と細胞周期のマーカーとして用いられる。また、Ki−67発現量と腫瘍悪性度には正の相関が見られるため、腫瘍組織における増殖細胞を検出するマーカーとしても有用である。

0224

本明細書において「Ki−67陽性」とは、細胞マーカーであるKi−67が標的細胞において発現していることをいう。

0225

本明細書において「BrdU」とは、臭素化デオキシウリジン省略形であり、DNA合成のときdTTPのアナログとして取り込まれることから、BrdUを取り込んだDNA(細胞核)は、DNAに取り込まれたBrdUに特異的な抗体で検出することができる。

0226

本明細書において「BrdU陽性」とは、細胞マーカーであるBrdUが標的細胞において発現していることをいう。

0227

本明細書において「薬剤」、「剤」または「因子」(いずれも英語ではagentに相当する)は、広義には、交換可能に使用され、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、光、放射能、熱、電気などのエネルギー)でもあってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリドオリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子が挙げられるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を(例えば、70%以上の配列同一性)もって相補性を有するポリヌクレオチド、プロモーター領域に結合する転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。ポリペプチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリペプチドに対して特異的に指向された抗体またはその誘導体あるいはその類似物(例えば、単鎖抗体)、そのポリペプチドがレセプターまたはリガンドである場合の特異的なリガンドまたはレセプター、そのポリペプチドが酵素である場合、その基質などが挙げられるがそれらに限定されない。

0228

本明細書において「検出剤」とは、広義には、目的の対象を検出することができるあらゆる薬剤をいう。

0229

本明細書において「診断剤」とは、広義には、目的の状態(例えば、疾患など)を診断できるあらゆる薬剤をいう。

0230

本明細書において「治療剤」とは、広義には、目的の状態(例えば、疾患など)を治療できるあらゆる薬剤をいう。

0231

本明細書において「予防剤」とは、広義には、目的の状態(例えば、疾患など)を予防できるあらゆる薬剤をいう。本明細書において「進行予防剤」とは、ある疾患等について、その状態の進行を予防することができるあらゆる薬剤を指す。

0232

本明細書において「インビボ」(in vivo)とは、生体の内部をいう。特定の文脈において、「生体内」は、目的とする物質が配置されるべき位置をいう。

0233

本明細書において「インビトロ」(in vitro)とは、種々の研究目的のために生体の一部分が「生体外に」(例えば、試験管内に)摘出または遊離されている状態をいう。インビボと対照をなす用語である。

0234

本明細書において「エキソビボ」とは、ある処置について、体外で行われるがその後体内に戻されることが意図される場合、一連の動作をエキソビボという。本発明においても、生体内にある細胞を本発明の薬剤で処置して再度患者に戻すような実施形態を想定することができる。

0235

(好ましい実施形態)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。

0236

(分化抑制および/または増殖促進)
1つの局面において、本発明は、R−spondin類、SHH、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)、GPR49/LGR5を抑制する因子およびそれらの機能的等価物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、細胞の分化抑制および/または増殖促進剤を提供する。本発明が対象とする細胞は、特に限定されるものではないが、眼細胞、神経堤細胞由来の細胞(角膜内皮細胞を含む)を含む神経細胞、結膜上皮、羊膜上皮、口腔粘膜上皮、鼻粘膜上皮、角膜上皮細胞等の上皮細胞等を挙げることができる。好ましい実施形態では、本発明が対象とする細胞は眼細胞である。本発明が対象とする眼細胞には、網膜細胞、硝子体細胞、角膜上皮細胞、角膜実質細胞および角膜内皮細胞等が含まれうるが、これらに限定されない。R−spondin類の機能的等価物は、例えば、R−spondin類の変異体または改変体(例えば、アミノ酸配列改変体等)であって、眼細胞等の分化制御および/または増殖促進作用を有するもの、作用する時点において、R−spondin類自体またはこのR−spondin類の変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、R−spondin類自体またはR−spondin類の変異体もしくは改変体をコードする核酸、およびその核酸を含むベクター、細胞等を含む)が包含される。SHHの機能的等価物には、SHHの変異体または改変体(例えば、アミノ酸配列改変体等)であって、眼細胞等の分化制御および/または増殖促進作用を有するもの、または本明細書に記載されるマーカーとしての機能を有するもの、ならびに、作用する時点において、SHH自体またはこのSHHの変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、SHH自体またはSHHの変異体もしくは改変体をコードする核酸、およびその核酸を含むベクター、細胞等を含む)が包含される。SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)の機能的等価物には、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)の変異体または改変体(例えば、合成改変体等)であって、眼細胞等の分化制御および/または増殖促進作用を有するもの、または本明細書に記載されるマーカーとしての機能を有するもの、ならびに、作用する時点において、SHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)自体またはこのSHHのアゴニスト(例えば、プルモルファミン等のFrizzledファミリーのアゴニスト)の変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、エステル等の前駆体またはプロドラッグ)が包含される。GPR49/LGR5を抑制する因子の機能的等価物には、GPR49/LGR5を抑制する因子の変異体または改変体(例えば、合成改変体等)であって、作用する時点において、眼細胞等の分化制御および/または増殖促進作用を有するように変化するもの(変化してGPR49/LGR5を抑制する因子に変化することができるもの(例えば、エステル等の前駆体またはプロドラッグ))が包含される。

0237

1つの実施形態において、本発明で使用されるR−spondin類はR−spondin 1、R−spondin 2、R−spondin 3およびR−spondin 4から選択される少なくとも1つを含む。

0238

好ましい実施形態では、本発明で使用されるR−spondin類はR−spondin 1を含む。

0239

1つの実施形態では、本発明が対象とする眼細胞は、定常状態で増殖していない細胞である。理論に束縛されることを望まないが、定常状態で増殖していない細胞であっても、本発明によって、増殖させることができるという点で、本発明は従来にない効果を発揮するものである。

0240

別の実施形態では、本発明が対象とする眼細胞は、網膜細胞、硝子体細胞、角膜上皮細胞、角膜実質細胞および角膜内皮細胞から選択される少なくとも1種の細胞を含む。特に、角膜内皮細胞は、ほとんど定常状態では増殖しない細胞であって、これを、増殖させることができるという点は、眼科疾患の治療または予防の観点上きわめて重要な意味を持つものである。従って、1つの好ましい実施形態では、本発明の対象とする眼細胞は角膜内皮細胞を含む。また、他の細胞、例えば、角膜上皮細胞でも、増殖しているのは基底細胞のごく一部であって、増殖していない細胞がほとんどであるため、角膜内皮細胞以外の網膜細胞、硝子体細胞、角膜上皮細胞、角膜実質細胞であっても、眼科疾患の治療または予防の観点上きわめて重要な意味を持つものであるといえる。

0241

さらに好ましい実施形態では、本発明が対象とする眼細胞は霊長類の角膜内皮細胞を含む。さらにより好ましい実施形態では、本発明が対象とする眼細胞はヒト角膜内皮細胞を含む。

0242

別の実施形態では、本発明が対象とする細胞(例えば、眼細胞)はコンフルエントの状態にある。このようなコンフルエント状態にある細胞を増殖させることができる技術は、発明者らの知る限りこれまで報告されていない。従って、このような技術は、まさに、従来にないカテゴリーの細胞を増殖させることができるという点で、疾患または障害の治療または予防の観点から、きわめて有用性が高いものである。

0243

好ましい実施形態では、本発明は、コンフルエントの状態の角膜内皮細胞を利用することができる。コンフルエントの状態になると、通常の培養では、細胞の形態が、線維芽細胞様となることが観察されている。コンフルエント状態の角膜内皮細胞でもさらに増殖、分化抑制を行うことができることは、本発明の重要な特徴のひとつであり、培養角膜内皮移植の臨床応用化に向けて、移植後の重要な予後決定因子である角膜内皮密度の高い細胞を移植できることを意味する。その場合の好ましい濃度は、これに限定されるものではないが、R−spondin 1を用いる場合、約1ng/ml〜約100ng/mlであり得、好ましくは、約10ng/ml〜約100ng/mlであり得、さらに好ましくは、約10ng/mlであり得る。このようなコンフルエント状態にある細胞を増殖させることができる技術は、発明者らの知る限りこれまで報告されていない。従って、このような技術は、まさに、従来にないカテゴリーの細胞を増殖させることができるという点で、疾患または障害の治療または予防の観点から、きわめて有用性が高いものである。例えば、細胞密度は、好ましくは、約570個/mm2以上であり、約700個/mm2以上であり、約800個/mm2以上であり、約1000個/mm2以上でありうる。

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