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技術 食用油脂及びそれを含有する食品並びにその製造方法

出願人 不二製油グループ本社株式会社
発明者 狩野弘志横溝太森田暁
出願日 2013年5月14日 (7年7ヶ月経過) 出願番号 2013-546522
公開日 2016年1月12日 (4年11ヶ月経過) 公開番号 WO2013-172348
状態 特許登録済
技術分野 食用油脂
主要キーワード 揮発性分解物 重量ppm添加 折曲点 空気吹 商品設計 水溶性ポリフェノール類 料理用油 重量ppm含有
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

油脂本来の風味を損なわずに、優れた酸化安定性を有する食用油脂を提供すること。本来、油脂に難溶性である水溶性抗酸化物質を、5重量ppm〜1000重量ppm含有し、かつ乳化剤含有量水溶性抗酸化物質含有量の2倍以下である食用油脂。

概要

背景

食品酸化安定性は、直接又は間接的に、賞味期限の設定に影響する食品も存在するため、重要な機能のひとつであり、いろいろな方法で酸化安定性の向上が試みられている。また食品において油脂は重要な組成物のひとつであるが、油脂は酸化被り易いため、油脂の酸化安定性の向上は油脂を含有する食品において特に重要である。

油脂や油脂を含有する食品の酸化安定性の向上には、抗酸化剤の添加が一般的に行われている。油脂への分散が容易な油溶性の抗酸化剤が用いられているが、水溶性抗酸化物質との対比で比較的抗酸化能が低く、水溶性の抗酸化物質を油脂に分散させて用いる用途は多い。水溶性の抗酸化物質を油脂へ分散させ、油脂または油脂を多く含有する食品の酸化安定性を向上させる方法が幾つか開示されている。

乳化剤を用いて水溶性の抗酸化物質を含む水相を、油溶性物質中水型乳化物として油脂に添加する方法が例示される。たとえば特許文献1では、水溶性の抗酸化物質として、水溶性抗酸化活性物質一種又は、二種以上を含む水溶液100重量部を必要に応じて相乗剤と共に、一種又は二種以上の親油性乳化剤1〜500重量部を用いて乳化した、油中水型親油性抗酸化剤が開示されている。

特許文献2では、水溶性抗酸化物質として、カテキン類を除く水溶性化合物1〜40重量部、およびHLBが6〜14の乳化剤1〜35重量部を水またはアルコール1〜40重量部に溶解し、得られた溶液ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル5〜70重量部を添加して、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル中水型乳化液を調製し、この乳化液に酵素分解レシチン0.5〜30重量部を添加し、十分に混和して得られる、油脂に可溶な水溶性化合物油溶化製剤が開示されている。

特許文献3では、水溶性抗酸化物質として、アスコルビン酸エリソルビン酸コウジ酸没食子酸リンゴ酸等の油脂に難溶性の抗酸化物質をエタノールのような低級アルキルアルコールに溶解し、ついでクエン酸モノグリセライド等の有機酸モノグリセライドに溶解し、さらに混合溶液をポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルに溶解することにより、油脂への溶解性が良好な抗酸化剤組成物が開示されている。

特許文献4では、乾燥状態平均粒径約1 5ミクロンまで粉砕した茶葉食用油に加え、その混合物湿式微粒摩砕機により、さらに茶葉が粒径1 〜 1 0 ミクロンになるまで微細粉化処理を行って、茶葉成分の食用油への移行を促進し、その後茶葉微粉末を除去して油性溶液を得る製法が開示されている。

特許文献5では、グラム陽性菌グラム陰性菌の双方に対して有効に殺菌作用を発揮可能な製剤及び製造方法として、水溶性ポリフェノールを油性溶液中に長時間安定的に分散させる方法が開示されている。詳しくは中鎖脂肪酸トリグリセライドを含む油性溶液中にポリフェノール抽出物を混合させた後、前記ポリフェノール抽出物を湿式粉砕によりナノ粒子化させ、前記ポリフェノール抽出物を前記油性溶液中に安定的に溶かしこむ製法である。

特許文献6は、油脂の加熱臭劣化臭の抑制を課題として、油脂難溶性の有機酸を水溶液の状態で油脂に添加し、50〜180℃、0.5〜100torrの減圧条件下で、脱水処理することを特徴とする油脂の製造法が開示されている。

特許文献7では、熱い料理用油に、少なくとも1種の酸化防止剤を含む水性組成物を定期的に導入するステップを含む、熱い料理用油を安定化する方法が開示されている。

概要

油脂本来の風味を損なわずに、優れた酸化安定性を有する食用油脂を提供すること。本来、油脂に難溶性である水溶性の抗酸化物質を、5重量ppm〜1000重量ppm含有し、かつ乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の2倍以下である食用油脂。

目的

本発明の目的は、食用油脂に平易な方法で水溶性の抗酸化物質を分散させて、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な食用油脂を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

油脂全量に水溶性抗酸化物質を5重量ppm〜1000重量ppm含有し、かつ該油脂中乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の2倍以下である食用油脂

請求項2

水溶性抗酸化物質が、茶ポリフェノールである請求項1に記載の食用油脂。

請求項3

パーム油を主要原料とする食用油脂であって、水溶性抗酸化物質の含有量が5重量ppm〜50重量ppm、及び乳化剤を含有しない請求項1又は請求項2に記載の食用油脂。

請求項4

パーム油を主要原料とする食用油脂であって、水溶性抗酸化物質の含有量が30重量ppm〜1000重量ppm、及び下記方法で得られるA/Nの値が1.6以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の食用油脂。A:水溶性抗酸化物質を30重量ppm〜1000重量ppm含有する食用油脂のCDM定性時間N:抗酸化物質を含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

請求項5

パーム油を主要原料とする食用油脂であって、水溶性抗酸化物質の含有量が30重量ppm〜600重量ppm、乳化剤含有量が800重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるA/Nの値が1.6以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の食用油脂。A:水溶性抗酸化物質を30重量ppm〜600重量ppm含有する食用油脂のCDM安定性時間N:抗酸化物質を含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

請求項6

パーム油を主要原料とする食用油脂であって、水溶性抗酸化物質の含有量が150重量ppm〜400重量ppm、乳化剤含有量が500重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるA/Nの値が1.9以上である請求項1又は請求項2に記載の食用油脂。A:水溶性抗酸化物質を150重量ppm〜400重量ppm含有する食用油脂のCDM安定性時間N:抗酸化物質を含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

請求項7

請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の食用油脂を使用した食品

請求項8

請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の食用油脂を使用した食品の酸化安定性を向上させる方法。

請求項9

請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の食用油脂を、加熱調理用油脂又は、スプレー用油脂として用いる事によって得られる食品。

請求項10

水溶性抗酸化物質を水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の食用油脂の製造方法。

請求項11

水溶性抗酸化物質を水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加後、減圧下で水分除去することを特徴とする請求項10に記載の食用油脂の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、食用油脂及びそれを含有する食品並びにその製造方法に関する。より詳しくは、油脂を含有する食品に求められる、酸化安定性の向上を実現した食用油脂及びそれを含有する食品並びにその製造方法に関する。

背景技術

0002

食品の酸化安定性は、直接又は間接的に、賞味期限の設定に影響する食品も存在するため、重要な機能のひとつであり、いろいろな方法で酸化安定性の向上が試みられている。また食品において油脂は重要な組成物のひとつであるが、油脂は酸化被り易いため、油脂の酸化安定性の向上は油脂を含有する食品において特に重要である。

0003

油脂や油脂を含有する食品の酸化安定性の向上には、抗酸化剤の添加が一般的に行われている。油脂への分散が容易な油溶性の抗酸化剤が用いられているが、水溶性抗酸化物質との対比で比較的抗酸化能が低く、水溶性の抗酸化物質を油脂に分散させて用いる用途は多い。水溶性の抗酸化物質を油脂へ分散させ、油脂または油脂を多く含有する食品の酸化安定性を向上させる方法が幾つか開示されている。

0004

乳化剤を用いて水溶性の抗酸化物質を含む水相を、油溶性物質中水型乳化物として油脂に添加する方法が例示される。たとえば特許文献1では、水溶性の抗酸化物質として、水溶性抗酸化活性物質一種又は、二種以上を含む水溶液100重量部を必要に応じて相乗剤と共に、一種又は二種以上の親油性乳化剤1〜500重量部を用いて乳化した、油中水型親油性抗酸化剤が開示されている。

0005

特許文献2では、水溶性抗酸化物質として、カテキン類を除く水溶性化合物1〜40重量部、およびHLBが6〜14の乳化剤1〜35重量部を水またはアルコール1〜40重量部に溶解し、得られた溶液ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル5〜70重量部を添加して、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル中水型乳化液を調製し、この乳化液に酵素分解レシチン0.5〜30重量部を添加し、十分に混和して得られる、油脂に可溶な水溶性化合物油溶化製剤が開示されている。

0006

特許文献3では、水溶性抗酸化物質として、アスコルビン酸エリソルビン酸コウジ酸没食子酸リンゴ酸等の油脂に難溶性の抗酸化物質をエタノールのような低級アルキルアルコールに溶解し、ついでクエン酸モノグリセライド等の有機酸モノグリセライドに溶解し、さらに混合溶液をポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルに溶解することにより、油脂への溶解性が良好な抗酸化剤組成物が開示されている。

0007

特許文献4では、乾燥状態平均粒径約1 5ミクロンまで粉砕した茶葉食用油に加え、その混合物湿式微粒摩砕機により、さらに茶葉が粒径1 〜 1 0 ミクロンになるまで微細粉化処理を行って、茶葉成分の食用油への移行を促進し、その後茶葉微粉末を除去して油性溶液を得る製法が開示されている。

0008

特許文献5では、グラム陽性菌グラム陰性菌の双方に対して有効に殺菌作用を発揮可能な製剤及び製造方法として、水溶性ポリフェノールを油性溶液中に長時間安定的に分散させる方法が開示されている。詳しくは中鎖脂肪酸トリグリセライドを含む油性溶液中にポリフェノール抽出物を混合させた後、前記ポリフェノール抽出物を湿式粉砕によりナノ粒子化させ、前記ポリフェノール抽出物を前記油性溶液中に安定的に溶かしこむ製法である。

0009

特許文献6は、油脂の加熱臭劣化臭の抑制を課題として、油脂難溶性の有機酸を水溶液の状態で油脂に添加し、50〜180℃、0.5〜100torrの減圧条件下で、脱水処理することを特徴とする油脂の製造法が開示されている。

0010

特許文献7では、熱い料理用油に、少なくとも1種の酸化防止剤を含む水性組成物を定期的に導入するステップを含む、熱い料理用油を安定化する方法が開示されている。

先行技術

0011

特開昭63-135483号公報
特開平6-254378号公報
特開2001-131572号公報
特開2003-92988号公報
特開2007-240123号公報
再表01/096506号公報
特表2005-520565号公報

発明が解決しようとする課題

0012

油脂と油脂を含む食品において、酸化安定性の向上と共に、食品本来おいしさを損なわない風味良好な油脂が求められており、酸化安定性を向上させると共に、良好な風味を得ることも重要である。前記のとおり、特許文献1〜特許文献3では、水溶性抗酸化物質を可溶化するために比較的多量の乳化剤の添加を必須とする。本発明者らは、好ましくない風味の原因は乳化剤に由来するとの想定のもと研究を重ねた。

0013

特許文献4では、茶葉を微粉砕後ろ過、遠心分離にて取り除く工程が必要であるため、工程がかなり複雑という問題がある。特許文献5では、水溶性ポリフェノールを分散させる油脂としては中鎖脂肪酸トリグセラライドに限定されており、ナノ粒子化させる極めて特殊な湿式粉砕装置を必須とするという問題がある。また特許文献6は、油脂の加熱臭や劣化臭の抑制を目的とした発明であって、抗酸化物質や、水溶性ポリフェノール類については記載されていない。特許文献7では、本来油脂に溶けない酸化防止剤を含む水性組成物を、熱い調理用油直接投入しており、酸化防止剤の均質分散性が期待できない。

0014

上述の通り、従来技術では、優れた酸化安定性を有し、かつ良好な風味の食用油脂及び食用油脂を含む食品を、平易な方法で得ることは困難な課題であった。そのため、優れた酸化安定性を有し、かつ良好な風味の食用油脂は、効果、商品設計等の点から満足できるものは得られていない。本発明の目的は、食用油脂に平易な方法で水溶性の抗酸化物質を分散させて、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な食用油脂を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本来油脂に難溶性である水溶性の抗酸化物質を、水性媒体を用いて溶液状態で油脂に添加することで、乳化剤を極力含まずに、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な食用油脂が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1) 油脂全量に水溶性抗酸化物質を5重量ppm〜1000重量ppm含有し、かつ該油脂中乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の2倍以下である食用油脂、
(2) 水溶性抗酸化物質が、茶ポリフェノールである(1)の食用油脂、
(3)パーム油を主要原料とする食用油脂であって、水溶性抗酸化物質の含有量が5重量ppm〜50重量ppm、および乳化剤を含有しない(1)または(2)の食用油脂、
(4) パーム油を主要原料とする食用油脂であって、水溶性抗酸化物質の含有量が30重量ppm〜1000重量ppm、および下記方法で得られるA/Nの値が1.6以上である(1)〜(3)のいずれかの食用油脂、
A:水溶性抗酸化物質を30重量ppm〜1000重量ppm含有する食用油脂のCDM定性時間
N:抗酸化物質を含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間
(5) パーム油を主要原料とする食用油脂であって、水溶性抗酸化物質の含有量が30重量ppm〜600重量ppm、乳化剤含有量が800重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の1.5倍以下、および下記方法で得られるA/Nの値が1.6以上である(1)〜(3)のいずれかの食用油脂、
A:水溶性抗酸化物質を30重量ppm〜600重量ppm含有する食用油脂のCDM安定性時間
N:抗酸化物質を含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間
(6) パーム油を主要原料とする食用油脂であって、水溶性抗酸化物質の含有量が150重量ppm〜400重量ppm、乳化剤含有量が500重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の1.5倍以下、および下記方法で得られるA/Nの値が1.9以上である(1)または(2)の食用油脂、
A:水溶性抗酸化物質を150重量ppm〜400重量ppm含有する食用油脂のCDM安定性時間
N:抗酸化物質を含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間
(7) (1)〜(6)のいずれかの食用油脂を使用した食品、
(8) (1)〜(6)のいずれかの食用油脂を使用した食品の酸化安定性を向上させる方法、
(9) (1)〜(6)のいずれかの食用油脂を、加熱調理用油脂または、スプレー用油脂として用いる事によって得られる食品、
(10) 水溶性抗酸化物質を水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかの食用油脂の製造方法、
(11) 水溶性抗酸化物質を水性媒体に加えて、溶液状態で油脂に添加後、減圧下で水分除去することを特徴とする(10)の食用油脂の製造方法、である。

発明の効果

0016

本発明によって、乳化剤を多量に使用することなく、平易な方法で酸化安定性を向上し、かつ風味良好な食用油脂が得られ、本発明の食用油脂を用いることで、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な食品を提供することができる。

0017

使用することができる油脂類としては、大豆油菜種油コーン油綿実油落花生油ひまわり油、こめ油、ベニバナ油サフラワー油オリーブ油ゴマ油、パーム油、ヤシ油パーム核油等の植物油脂及び牛脂豚脂等の動物脂、並びにこれらを分別水素添加エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。油脂種を問わず本発明の効果が得られる。

0018

水溶性抗酸化物質は、水溶性の酸化防止剤として使用される化合物をいう。好ましくは水溶性ポリフェノール類が使用できる。水溶性ポリフェノール類としては、茶抽出物ローズマリー抽出物ヤマモモ抽出物等が例示できる。かかる水溶性抗酸化物質単独、もしくは組み合わせて使用しても良い。好ましい水溶性ポリフェノール類として、茶抽出物に含まれる茶ポリフェノールが例示できる。またトコフェロール等の油溶性の抗酸化剤と組み合わせても、水溶性抗酸化物質の機能が損なわれることはなく使用することができる。

0019

茶ポリフェノールは、熱水、アルコール等の水性媒体を用いて、茶葉より抽出して得られる水溶性ポリフェノール類が例示できる。茶ポリフェノールはカテキン類を主成分とし、代表的なカテキン類として8種存在することが知られており、ガレート型カテキンとして、エピガロカテキンガレートエピカテキンガレートカテキンガレートガロカテキンガレートが例示できる。遊離型カテキンとして、エピガロカテキンエピカテキンカテキン、ガロカテキンが例示できる。茶ポリフェノールは、かかるカテキン類以外に、茶葉の発酵状態により発生する酸化されたポリフェノール類も含まれる。本発明において、かかるカテキン類やポリフェノール類を1種以上含有する茶ポリフェノールを用いることが好ましい。さらに好ましくは、ポリフェノール濃度が一定の濃度範囲に調整された、市販されている茶ポリフェノール含有組成物を使用することが好ましく、最も好ましくは、乳化剤等で調整されていない水溶性の物が好ましい。好ましい茶ポリフェノール含有組成物として、太陽化学株式会社製、商品名:サンフェノン、三菱化学フーズ株式会社製、商品名:サンフード等が例示できる。効率的に高濃度で油脂中に分散させることが可能な為、茶ポリフェノール含有組成物中ポリフェノール含有量としては高いほど良く、茶ポリフェノール含有組成物中に茶ポリフェノールを50%以上含有することが好ましい。

0020

本発明の食用油脂は、油脂全量に水溶性抗酸化物質を5重量ppm〜1000重量ppm含有する。好ましくは水溶性抗酸化物質を15重量ppm〜1000重量ppm、例えば15重量ppm〜600重量ppmなどであり、より好ましくは水溶性抗酸化物質を30重量ppm〜1000重量ppm、例えば30重量ppm〜600重量ppmなどであり、さらに好ましくは水溶性抗酸化物質を150重量ppm〜1000重量ppm、例えば150重量ppm〜600重量ppmなどであり、最も好ましくは水溶性抗酸化物質を300重量ppm〜1000重量ppm、例えば300重量ppm〜600重量ppmなどである。食用油脂中の水溶性抗酸化物質含有量が5重量ppm未満では、充分な酸化安定性向上効果が得られない、1000重量ppmを超えると均質な分散状態が得られなくなる。乳化剤含有量は水溶性抗酸化物質含有量の2倍以下、好ましくは1.5倍以下、より好ましくは1.2倍以下、さらに好ましくは1.0倍以下である。乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の2倍を超えると、乳化剤由来の好ましくない風味が感じられるようになり、食品本来の良好な風味が得られなくなる。

0021

本発明の食用油脂は、好ましくはパーム油を主要原料とする食用油脂であって、水溶性抗酸化物質の含有量が5重量ppm〜50重量ppm、及び乳化剤を含有しない食用油脂である。より好ましくは、水溶性抗酸化物質の含有量が5重量ppm〜40重量ppm、及び乳化剤を含有しない食用油脂であって、さらに好ましくは、水溶性抗酸化物質の含有量が5重量ppm〜30重量ppm、及び乳化剤を含有しない食用油脂である、

0022

CDM(Conductmetric Determination Method)安定性とは、油脂の酸化安定性を示す値である。CDM安定性試験により得られた値を、本明細書では「CDM安定性時間」として、酸化安定性の評価の指標とする。CDM安定性時間が長いほど酸化安定性が優れている。本明細書において、CDM安定性試験の方法は、基準油脂分析試験法2.5.1.2-1996に従う。詳しくは、油脂を反応容器中で120℃に加熱しながら清浄空気送り込み、酸化により生成した揮発性分解物を水中に捕集し、水の導電率を継続して測定する。その値が急激に変化する折曲点までの時間が前記「CDM安定性時間」を示す。

0023

本発明の食用油脂は、好ましくはパーム油を主要原料とし、水溶性抗酸化物質の含有量が150重量ppm〜400重量ppm、例えば150重量ppm〜300重量ppm、乳化剤含有量が500重量ppm以下、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるA/Nの値が1.9以上である。
A:水溶性抗酸化物質を150重量ppm〜400重量ppm含有する食用油脂のCDM安定性時間
N:抗酸化物質を含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

0024

本発明の食用油脂は、より好ましくはパーム油を主要原料とし、水溶性抗酸化物質の含有量が300重量ppm〜1000重量ppm、例えば300重量ppm〜600重量ppm、該油脂中の乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の1.5倍以下、及び下記方法で得られるA/Nの値が2.9以上である。
A:水溶性抗酸化物質を300重量ppm〜1000重量ppm含有する食用油脂のCDM安定性時間
N:抗酸化物質を含まない前記Aのベース油脂のCDM安定性時間

0025

本発明で使用される乳化剤は、W/O型乳化作用を有する乳化剤であれば特に制限はなく、ポリグリセリン脂肪酸エステルショ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル等を使用することができる。好ましい乳化剤として、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが使用できる。例えば、市販されている理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100、ポエム PR-300、阪本薬品工業株式会社製 SYグリスターCRS-75、SYグリスターCR-ED、太陽化学株式会社製サンソフト818H等が例示できる。

0026

本発明の食用油脂を得る方法は、油脂に水溶性の抗酸化物質を分散させることができれば特に限定はされないが、例えば、茶ポリフェノールを含有してなる食用油脂を得ようとすれば、茶ポリフェノール含有組成物を1重量%溶解した水溶液を作製し、油脂中に規定量加えた後、50〜180℃、0.5〜100torrの減圧条件下で攪拌しながら15分〜1時間処理して十分に脱水を行うことにより茶ポリフェノールを含有し、水分含量0.1重量%以下の食用油脂を得ることができる。茶ポリフェノール含有組成物を溶解する水溶液の濃度は0.1〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜50重量%である。1重量%未満では、かかる水溶液を油脂に添加した際、油脂に対する水の量が多くなり水分除去に長時間を要するため好ましくない。また、50重量%を超えると茶ポリフェノール含有組成物に含まれる茶ポリフェノールが析出して油脂への含有量が低下するため好ましくない。温度は50〜180℃が好ましく、50℃未満では水分除去に長時間を要するため好ましくない。減圧条件は、0.5〜100torrが好ましく、可及的に低い方が好ましい。

0027

本発明の食用油脂は他の食用油脂と配合して使用することができる。本発明の食用油脂を20重量%以上配合することが好ましく、より好ましくは50重量%以上配合することが好ましく、さらに好ましくは本発明の食用油脂単独で使用することが優れた酸化安定性が得られる点で好ましい。

0028

本発明の食用油脂は、食用油脂を含有する食品一般に使用することができる。好ましい用途は、食品の表面に油脂が露出しているような食品類フライ用、スプレー用、コーティング用、粉末油脂用等が例示できる。かかる食品において食用油脂に求められる共通の機能としては、食感改良効果、風味付与、食品の保存期間に影響を与える酸化安定性の向上効果と、食品本来のおいしさを損なわないよう、風味良好な食用油脂が求められている。さらに好ましい用途として、フライ等に代表される加熱調理用油脂が例示できる。食用油脂が高温で空気中の酸素にさらされる為、優れた酸化安定性を有する食用油脂が求められるためである。かかる食品に本発明の食用油脂を用いることで、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な食品が得られ、著しい効果を得ることができる。かかる用途で使用する場合、好ましくはパーム油を主要原料とする食用油脂を使用することが、油脂の風味と酸化安定性の点で好ましい。分別等の加工されていないパーム油の他、分別して得られるパームステアリンパームオレインパーム中融点油脂、並びにこれらをさらに分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。

0029

また、本発明の食用油脂には、必要に応じて、酸化防止剤の他、香料色素シリコーン等食用油脂に使用可能な添加物を使用することができる。

0030

以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%および部はいずれも重量基準を意味する。

0031

<食用油脂の作製>
茶ポリフェノールを含有する食用油脂の作製において、太陽化学株式会社製サンフェノン90Sを、茶ポリフェノール含有組成物として使用する。かかる茶ポリフェノール含有組成物中のポリフェノール含有量が80重量%以上であることより、茶ポリフェノール含有組成物中の茶ポリフェノール含有量は80重量%として、食用油脂中の茶ポリフェノール含有量を算出した。

0032

<食用油脂Aの作製方法
茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、10重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した低融点パーム油(パーム油低融点画分、不二製油株式会社製、商品名:パームエースヨウ素価67)1kgに、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)を0.8g加えて溶解し、さらに10重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を7.5g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、茶ポリフェノール600重量ppm、乳化剤800重量ppmを含有する低融点パーム油(食用油脂A)を得た。

0033

<食用油脂Bの作製方法>
茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、1重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した低融点パーム油(パーム油低融点画分、不二製油株式会社製、商品名:パームエースヨウ素価67)1kgに、1重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を3.75g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、茶ポリフェノール30重量ppm含有する低融点パーム油(食用油脂B)を得た。

0034

<食用油脂Cの作製方法>
茶ポリフェノール含有組成物(太陽化学株式会社製:商品名:サンフェノン90S)を水に加え、1重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を作製する。次いで50℃に加温した低融点パーム油(パーム油低融点画分、不二製油株式会社製、商品名:パームエースヨウ素価67)1kgに、1重量%茶ポリフェノール含有組成物が溶解した水溶液を1.9g加えた後、ホモミキサー(TK ROBOMIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmx10分の撹拌を行った。その後、50℃、10torrの減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行い、茶ポリフェノール15重量ppm含有する低融点パーム油(食用油脂C)を得た。

0035

評価方法
(1)食用油脂の風味評価方法
20℃に温度調整後の食用油脂の風味評価を行う。パネラー10名により、嗅覚味覚により風味が優れている順に「5 」、「4 」、「3 」、「2 」、「1 」の五段階にて評価を行い、平均化した評価点数を評価結果とした。4点以上を合格とした。
(2)コーンパフの風味評価方法
直径約10mmの球状コーンパフ(株式会社きのした製)100重量部に対し、食用油脂を各50重量部スプレーし、喫食し風味評価を行う。パネラー10名により、嗅覚と味覚により風味が優れている順に「5 」、「4 」、「3 」、「2 」、「1 」の五段階にて評価を行い、平均化した評価点数を評価結果とした。4点以上を合格とした。
(3)CDM安定性時間
メトローム社製CDM試験機ランシマットを使用して食用油脂の酸化安定性を評価する。各食用油脂の酸化安定性の判定は、食用油脂の酸化安定性の増加に相関してCDM安定性時間が延びることによる時間差の比較により行った。測定条件:測定温度120℃、空気吹き込み量20L/h、油脂検体3g仕込み

0036

[実施例1]
食用油脂Aをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。結果を表1 に纏めた。

0037

[実施例2]
食用油脂A 50重量部に対して低融点パーム油(パーム油低融点画分、不二製油株式会社製、商品名:パームエースヨウ素価67)を50重量部加え茶ポリフェノール300重量ppm、乳化剤を400重量ppm含有する食用油脂を得た。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。結果を表1 に纏めた。

0038

[実施例3]
食用油脂A 25重量部に対して低融点パーム油(パーム油低融点画分、不二製油株式会社製、商品名:パームエースヨウ素価67)を75重量部加え茶ポリフェノール150重量ppm、乳化剤を200重量ppm含有する食用油脂を得た。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。結果を表1 に纏めた。

0039

[実施例4]
食用油脂Bをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。結果を表1 に纏めた。

0040

[実施例5]
食用油脂Cをそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。結果を表1 に纏めた。

0041

[比較例1]
低融点パーム油(パーム油低融点画分、不二製油株式会社製、商品名:パームエースヨウ素価67)に、油溶性の茶ポリフェノール含有製剤(太陽化学株式会社製、商品名:サントールM97、茶ポリフェノール10%含有、ミックストコフェロール9%含有、グリセリン脂肪酸エステル64%、食品素材17%)を1500重量ppm添加し食用油脂を得た。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。結果を表1 に纏めた。茶ポリフェノール含有製剤に含まれるグリセリン脂肪酸エステル64%を乳化剤含有量として算出し、表1に記載した。

0042

[比較例2]
低融点パーム油(パーム油低融点画分、不二製油株式会社製、商品名:パームエースヨウ素価67)にミックストコフェロール135重量ppm加え、食用油脂を得た。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。結果を表1 に纏めた。

0043

[比較例3]
低融点パーム油(パーム油低融点画分、不二製油株式会社製、商品名:パームエースヨウ素価67)をそのまま食用油脂として用いた。この食用油脂を上記の方法に従って評価した。結果を表1 に纏めた。

0044

0045

(表1の考察)
表1 において、実施例1〜5の風味評価結果は、(1)食用油脂(2)コーンパフ何れの風味評価も良好な結果が得られた。比較例1では、(1)食用油脂(2)コーンパフ 何れも異風味が強く、コーンパフの風味を著しく害する結果であった。
表1 において、実施例5の (3)CDM安定性時間は、比較例2、3 と対比して、優位延長された結果が得られた。実施例1〜4では茶ポリフェノール含有量の増加に伴いさらに(3)CDM安定性時間が延長された。
上記結果から明らかなように本発明により得られる実施例1〜5では、(1)食用油脂の風味評価(2)コーンパフの風味評価(3)CDM安定性時間、何れも良好な結果が得られた。

0046

(酸化安定性の評価)
下記方法でA/Nの値を算出して、CDM安定性時間を指標として酸化安定性を対比し評価した。評価結果を表2に示す。
A:実施例1〜実施例5で得られたCDM安定性時間
N:抗酸化物質を含まない前記Aのベース油脂、比較例3のCDM安定性時間

実施例

0047

0048

本発明により、油脂を含有する食品に求められる酸化安定性の向上を実現した食用油脂及びそれを含有する食品並びにその製造方法を提供することができる。

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