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技術 ラマン散乱分光法による神経検出法

出願人 京都府公立大学法人
発明者 高松哲郎南川丈夫原田義規
出願日 2013年3月26日 (7年9ヶ月経過) 出願番号 2014-507914
公開日 2015年12月14日 (5年0ヶ月経過) 公開番号 WO2013-146779
状態 特許登録済
技術分野 蛍光または発光による材料の調査,分析 その他の診断装置
主要キーワード 切断指 合成変数 相互相関度 観測変数 局所最小 励起位置 スコアマップ ラマン散乱光スペクトル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題・解決手段

本発明は、神経の検出方法であって、以下の工程(1)〜(4):工程1:試料励起光照射する工程工程2:試料からのラマン散乱光を検出する工程;工程3:工程2により検出されたラマン散乱光の特定範囲内波数強度比を算出する、あるいは前記強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する工程、工程4:前記強度比又は多変量解析及び/又は統計解析結果を指標として、無髄神経を含む神経を特異的に表示する工程を含むことを特徴とする、神経の検出方法を提供する。

概要

背景

手術において神経を温存することは,器官機能の温存だけでなく,患者のQOLにおいて重要な役割を担う。従来,細い神経の位置を判断するために,色素を用いた染色技術が改良されてきたが,染色自体がヒトに対して有害であることが多く,術中観察に使用することは困難である。そのため,神経温存の主たる対象は術者の眼やイメージセンサーによる白色光イメージング観察可能な太い神経のみであり,細い神経の位置を判断する技術は存在せず,神経の位置は解剖学的知識,つまり術者の経験に頼らざるを得ない状況がある。

有髄神経においては,脂質が豊富に存在するミエリン鞘があるため,現在でもラマン散乱分光法で検出することが可能である。有髄神経の計測対象は脂質(ミエリン)に由来するラマンバンドであり,ミエリン鞘が存在しない無髄神経に適用することは困難であり,神経の包括的な検出は実現されて来なかった。

一方、ラマン分光法振動分光法の一形態であり、分子中の化学結合に特異的な分子振動の直接の情報を提供する。ラマン分光法では、入射光と分子振動が相互作用し,分子振動に依存した特異的なエネルギー変化スペクトルとしてプロットすることができ、これによって無染色で物質を特定することができる。このようなラマン分光法の特性を利用した物質検出方法イメージング方法、装置が開発されている(特許文献1及び2)。医療分野におけるラマン分光法を使った最近の研究では、がん非特許文献1)、アテローム性動脈硬化症(非特許文献2)、ヘモグロビン酸素飽和(非特許文献3)の診断などの組織診断焦点があてられてきた。 特許文献3は、心筋組織と血管、コラーゲンリッチ領域を区別してイメージングする方法を開示している。しかし、これらの非特許文献および特許文献において神経の包括的な検出を試みたものはない。

概要

本発明は、神経の検出方法であって、以下の工程(1)〜(4):工程1:試料励起光照射する工程工程2:試料からのラマン散乱光を検出する工程;工程3:工程2により検出されたラマン散乱光の特定範囲内波数強度比を算出する、あるいは前記強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する工程、工程4:前記強度比又は多変量解析及び/又は統計解析結果を指標として、無髄神経を含む神経を特異的に表示する工程を含むことを特徴とする、神経の検出方法を提供する。

目的

一方、ラマン分光法は振動分光法の一形態であり、分子中の化学結合に特異的な分子振動の直接の情報を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

神経の検出方法であって、以下の工程1〜工程4:工程1:試料励起光照射する工程工程2:試料からのラマン散乱光を検出する工程;工程3:工程2により検出されたラマン散乱光の特定範囲内波数強度比を算出する、あるいは前記強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する工程、工程4:前記強度比又は多変量解析及び/又は統計解析結果を指標として、無髄神経を含む神経を特異的に表示する工程を含むことを特徴とする、神経の検出方法。

請求項2

前記強度比が、2855cm−1又はその前後のピーク波数範囲と2933cm−1又はその前後のピーク波数範囲の強度比、あるいは、2887cm−1又はその前後のピーク波数範囲と2933cm−1又はその前後のピーク波数範囲の強度比である、請求項1に記載の検出方法。

請求項3

前記強度比の分子分母の組み合わせが以下の(i)〜(iii)のいずれかである、請求項2に記載の検出方法:(i) 分子が2855 cm-1のとき、分母は2859〜3024cm-1、3068〜3100cm-1の波数範囲のいずれかの波数(ii) 分子が2887 cm-1のとき、分母は2899〜3024cm-1の波数範囲のいずれかの波数、(iii) 分子が2933 cm-1のとき、分母は2813〜2912cm-1、2940〜3021cm-1、3073〜3089cm-1の波数範囲のいずれかの波数。

請求項4

前記強度比が、2855cm−1と2933cm−1の強度比、あるいは2887cm−1と2933cm−1の強度比である、請求項1〜3のいずれかに記載の検出方法。

請求項5

試料が手術を受けている患者あるいは患者から採取した組織である、請求項1〜4のいずれかに記載の検出方法。

請求項6

神経が無髄神経を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の検出方法。

請求項7

試料に励起光を照射する励起光照射手段、試料からのラマン散乱光を検出する手段、受光したラマン散乱光を各波長/波数のスペクトル成分に分光する分光部と、ラマン散乱光の特定波長特定波数の強度比を算出する強度比算出手段または前記強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する解析手段と、前記強度比を指標として無髄神経を含む神経を特異的に表示する手段を含むことを特徴とする、無髄神経を含む神経の検出装置

請求項8

前記光源レーザ光源である、請求項7に記載の検出装置。

請求項9

ラマンスペクトルを検出する検出器を備えている、請求項7又は8に記載の検出装置。

技術分野

0001

本発明は、生体組織からのラマン散乱スペクトルを利用して神経を検出する方法に関する。また本発明は、ラマン散乱スペクトルを利用した神経を検出するための装置に関する。

背景技術

0002

手術において神経を温存することは,器官機能の温存だけでなく,患者のQOLにおいて重要な役割を担う。従来,細い神経の位置を判断するために,色素を用いた染色技術が改良されてきたが,染色自体がヒトに対して有害であることが多く,術中観察に使用することは困難である。そのため,神経温存の主たる対象は術者の眼やイメージセンサーによる白色光イメージング観察可能な太い神経のみであり,細い神経の位置を判断する技術は存在せず,神経の位置は解剖学的知識,つまり術者の経験に頼らざるを得ない状況がある。

0003

有髄神経においては,脂質が豊富に存在するミエリン鞘があるため,現在でもラマン散乱分光法で検出することが可能である。有髄神経の計測対象は脂質(ミエリン)に由来するラマンバンドであり,ミエリン鞘が存在しない無髄神経に適用することは困難であり,神経の包括的な検出は実現されて来なかった。

0004

一方、ラマン分光法振動分光法の一形態であり、分子中の化学結合に特異的な分子振動の直接の情報を提供する。ラマン分光法では、入射光と分子振動が相互作用し,分子振動に依存した特異的なエネルギー変化スペクトルとしてプロットすることができ、これによって無染色で物質を特定することができる。このようなラマン分光法の特性を利用した物質検出方法イメージング方法、装置が開発されている(特許文献1及び2)。医療分野におけるラマン分光法を使った最近の研究では、がん非特許文献1)、アテローム性動脈硬化症(非特許文献2)、ヘモグロビン酸素飽和(非特許文献3)の診断などの組織診断焦点があてられてきた。 特許文献3は、心筋組織と血管、コラーゲンリッチ領域を区別してイメージングする方法を開示している。しかし、これらの非特許文献および特許文献において神経の包括的な検出を試みたものはない。

0005

特開2000−55809号公報
特開2007−147350号公報
WO/2010/103661

先行技術

0006

Haka, A.S. et al. (2006)., Cancer Res. Vol. 66, 3317-22.
Motz, J.T. et al. (2006)., J. Biomed. Opt. vol. 11, 021003.
Torres Filho, I.P., et al., (2008)., J. Appl. Physiol. 104, 1809-17.

発明が解決しようとする課題

0007

かかる現状の下、本発明は、神経を検出あるいは検出する方法及び装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、以下の神経の検出方法及び装置を提供するものである。
項1. 神経の検出方法であって、以下の工程1〜工程4:
工程1:試料励起光照射する工程
工程2:試料からのラマン散乱光を検出する工程;
工程3:工程2により検出されたラマン散乱光の特定範囲内波数強度比を算出する、あるいは前記強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する工程、
工程4:前記強度比又は多変量解析及び/又は統計解析結果を指標として、無髄神経を含む神経を特異的に表示する工程
を含むことを特徴とする、神経の検出方法。
項2. 前記強度比が、2855cm−1又はその前後のピーク波数範囲と2933cm−1又はその前後のピーク波数範囲の強度比、あるいは、2887cm−1又はその前後のピーク波数範囲と2933cm−1又はその前後のピーク波数範囲の強度比である、項1に記載の検出方法。
項3. 前記強度比の分子と分母の組み合わせが以下の(i)〜(iii)のいずれかである、項2に記載の検出方法:
(i) 分子が2855 cm-1のとき、分母は2859〜3024cm-1、3068〜3100cm-1の波数範囲のいずれかの波数
(ii) 分子が2887 cm-1のとき、分母は2899〜3024cm-1の波数範囲のいずれかの波数、
(iii) 分子が2933 cm-1のとき、分母は2813〜2912cm-1、2940〜3021cm-1、3073〜3089cm-1の波数範囲のいずれかの波数。
項4. 前記強度比が、2855cm−1と2933cm−1の強度比、あるいは2887cm−1と2933cm−1の強度比である、項1〜3のいずれかに記載の検出方法。
項5. 試料が手術を受けている患者あるいは患者から採取した組織である、項1〜4のいずれかに記載の検出方法。
項6. 神経が無髄神経を含む、項1〜5のいずれかに記載の検出方法。
項7. 試料に励起光を照射する励起光照射手段、
試料からのラマン散乱光を検出する手段、
受光したラマン散乱光を各波長/波数のスペクトル成分に分光する分光部と、
ラマン散乱光の特定波長特定波数の強度比を算出する強度比算出手段または前記強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する解析手段と、
前記強度比又は多変量解析及び/又は統計解析結果を指標として、無髄神経を含む神経を特異的に表示する手段
を含むことを特徴とする、無髄神経を含む神経の検出装置
項8. 前記光源レーザ光源である、項7に記載の検出装置。
項9.ラマンスペクトルを検出する検出器を備えている、項7又は8に記載の検出装置。

発明の効果

0009

本発明は,分子振動による光散乱現象であるラマン散乱分光法を用い,無染色光学的神経検出法及び装置を提供するものである。特に,本発明は、従来不可能であった無髄神経を含む神経の無染色検出法を提供する。

0010

本発明によれば、無髄神経を含む神経を特異的に表示することが可能である。よって、本発明の検出方法及び装置を用いることにより、手術時に神経の存在ないし位置を正確に把握することができ、神経障害による術後のQOLの低下を抑えることができる。

図面の簡単な説明

0011

スリット走査型ラマン散乱顕微鏡
様々な神経のラマンスペクトル。神経には肋間(有髄)、迷走(無髄)、腹腔(有髄)、腹腔(無髄)、大腿(有髄)、小脳髄質(有髄)、小脳皮質(無髄)が含まれる。
様々な組織のラマンスペクトル。組織のラマンスペクトルは,各組織を構成する分子に由来した特徴的なスペクトルを呈する。これらの違いにより,神経組織鑑別する。組織には、肋間神経迷走神経線維性結合組織、血管(中膜)、筋組織脂肪が含まれる。
迷走神経胃枝HE染色
強度比による無髄神経、脂肪組織、線維性結合組織の検出(ヒト迷走神経胃枝を含む組織)
相互相関解析による無髄神経、脂肪組織、線維性結合組織の検出(ヒト迷走神経胃枝を含む組織)
主成分分析による無髄神経、脂肪組織、線維性結合組織の検出(ヒト迷走神経胃枝を含む組織)
最小二乗法による有髄神経のラマン検出ラット肋間神経)
最小二乗法による無髄神経のラマン検出(ラット迷走神経)
最小二乗法による無髄神経と有髄神経を含む神経のラマンイメージ(ラット腹腔神経叢
最小二乗法による無髄神経と有髄神経を含む神経のラマンイメージ(ヒト前立腺周囲組織
有髄神経、無髄神経、その他組織の強度比による神経検出。(A)結合組織と有髄神経、(B)脂肪組織と有髄神経、(C)筋組織と有髄神経、(D)血管と有髄神経、(E)有髄神経と無髄神経、(F)結合組織と無髄神経、(B)脂肪組織と無髄神経、(C)筋組織と無髄神経、(D)血管と無髄神経の強度比を算出した場合の、P値左軸は強度比の分母、下軸は強度比の分子。
神経(有髄神経と無髄神経を含む)とその他組織の強度比による神経検出。(A)結合組織と神経(有髄神経と無髄神経を含む)、(B)脂肪組織と神経(有髄神経と無髄神経を含む)、(C)筋組織と神経(有髄神経と無髄神経を含む)、(D)血管と神経(有髄神経と無髄神経を含む)、(E)無髄神経と組織(結合組織、脂肪組織、筋組織、血管を含む)、(F)有髄神経と組織(結合組織、脂肪組織、筋組織、血管を含む)、(G)神経(有髄神経と無髄神経を含む)と組織(結合組織、脂肪組織、筋組織、血管を含む)の強度比を算出した場合の、P値。左軸は強度比の分母、下軸は強度比の分子。
671nm励起による各組織のラマンスペクトルIntercostal nerve:肋間神経(有髄神経)Vagus nerve:迷走神経(無髄神経)Fibrous connective tissue:線維性結合組織Blood vessel:血管(中膜)Skeletal muscle:骨格筋Fat tissue:脂肪組織
532nm励起による各組織のラマンスペクトルIntercostal nerve:肋間神経(有髄神経)Vagus nerve:迷走神経(無髄神経)Fibrous connective tissue:線維性結合組織Blood vessel:血管(中膜)Skeletal muscle:骨格筋Fat tissue:脂肪組織

0012

以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下に説明される特定の実施形態に限定されるものではない。また当業者であれば、以下に説明する実施形態の各要素を本発明の範囲内において容易に変更することが可能である。

0013

一実施形態において、本発明は、以下の工程(1)〜(4):
工程1:試料に励起光を照射する工程
工程2:試料からのラマン散乱光を検出する工程;
工程3:工程2により検出されたラマン散乱光の特定範囲内の波数の強度比を算出する、あるいは前記強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する工程、
工程4:前記強度比又は多変量解析及び/又は統計解析結果を指標として、無髄神経を含む神経を特異的に表示する工程
を含むことを特徴とする、神経の検出方法を提供するものである。

0014

「無髄神経を含む神経を特異的に表示する」とは、神経の存在を音(警告音音声など)、光、振動、熱などにより表示すること、神経と神経周囲組織を音(警告音、音声など)、画像などにより区別して表示することの両方を包含する。神経周囲組織は、脂肪組織、線維性結合組織、筋組織、血管などを含む。

0015

本発明では、先ず試料に励起光を照射する。試料としては、神経を有する動物、例えば脊椎動物、特に哺乳動物自体あるいはその一部、例えば生体から摘出した臓器、組織などが挙げられる。哺乳動物としては、ヒト、サルウマブタウシヒツジイヌネコ、ラット、マウスなどが挙げられ、好ましくはヒトである。神経を有する動物における照射部位としては、神経を有する可能性のある部位であれば特に限定されないが、手術時に神経を障害することが患者のQOLに影響するような部位が好ましく例示され、例えば前立腺、膀胱などの泌尿器系臓器、直腸食道小腸結腸膵臓肝臓などの消化器系臓器脊髄、脳などの神経系臓器、後腹膜、頭頸部四肢、あるいはそれらの周囲組織などが挙げられる。前立腺、膀胱、直腸などは、無髄神経(副交感神経)の障害により尿、便などの失禁が生じ得るので、特に手術時の神経障害を防止することが必要とされている。

0016

本発明の応用範囲としては、癌摘除術のための神経温存術、たとえば神経温存前立腺全摘術、直腸癌神経温存手術、悪性腫瘍切除後の組織欠損などを再建する各種組移植手術など、あるいは形成外科におけるマイクロサージェリー、たとえば切断指(四肢)再接着術、救急外傷手術などが挙げられ、従来見逃されることの多かった神経の同定に役立ち、かつ、神経形成術神経縫合術,神経移植術,神経剥離術)の治療技術の向上につながることが期待される。また、有髄/無髄神経の有無や量比を定量判定可能であることから、脱髄性疾患などの神経診断にも応用が可能である。

0017

本明細書において、神経とは、有髄神経、無髄神経の両方を含み、本発明は有髄神経と無髄神経の両方を検出することができる。また、神経は、神経細胞であってもよく、神経束であってもよい。1つの実施形態において、本発明の検出の主な対象は神経束であり、この神経束は有髄神経であっても無髄神経であってもよく、有髄神経と無髄神経が様々な割合で混在していてもよい。本発明により、特に末梢神経が表示できるが中枢神経を表示できることは言うまでもない。

0018

励起光の波長は、理論的にはあらゆる波長を持った電磁波を用いることができるが、好ましくは350〜1064nm、より好ましくは400〜800nm、さらにより好ましくは500〜700nmである。励起照射手段に含まれる光源は、ラマン散乱分光法において通常用いられる光を発する手段であれば特に制限なく使用することができる。好ましい光源は、532nmのNd:YAGレーザ、671nmのDSPPレーザ、780nmのTi:Sレーザなどが挙げられる。励起光は、光源の光を直接試料に照射してもよいが、光ファイバーなどで試料の特定の位置(例えば手術で切断しようとする位置)に照射するのが好ましい。

0019

試料からのラマン散乱光は、ラマン散乱光を検出する手段、たとえば受光素子などにより検出することができる。ラマン散乱光を検出する手段は、ラマン散乱光を検出し、それを解析可能な信号に変換することが可能なものであれば特に制限されず、当該分野において公知の検出手段を適宜選択して使用することができる。ラマン散乱光の検出手段は、例えば、受光素子、もしくは受光素子がマトリクス上に配列されたエリアセンサを検出手段として使用することができる。より具体的には、アバランシェフォトダイオード光電子増倍管などの受光素子、もしくは画素アレイ状に配置された二次元CCDカメラCMOSカメラをラマン散乱光の検出手段として好適に使用することができる。好ましい実施形態においては、試料からのラマン散乱光は、その検出に先立って、ダイクロイックフィルタ等により励起光と散乱光とに分離される(図1)。さらに、分離されたラマン散乱光は、回折格子プリズムから成る分光器によって光の波長/波数に応じて空間的に分光される。分光されたラマン散乱光は上述のような検出手段においてラマンスペクトルを表す信号に変換され、パーソナルコンピュータ等の解析手段に出力される。

0020

ラマン散乱光を検出する手段では、ラマン散乱光のスペクトルにおける各波長もしくは波数の光の強度を検出する。ラマン散乱光を検出する手段で検出された各波長/波数の光の強度を検出し、そのデータをコンピュータなどの解析手段に送り、解析する。この解析には、特定波長/特定波数または波長範囲/波数範囲の強度比を算出する工程あるいは特定波長/特定波数または波長範囲/波数範囲の強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する工程、当該強度比あるいは強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析した結果を指標として無髄神経を含む神経を特異的に表示する工程を含む。解析された信号は、表示手段(例えば画像により示す場合にはディスプレイ、音声または警告音などの音により表示する場合にはスピーカー音源チップ(例えばCPUなどの音源) に送られて無髄神経を含む神経が特異的に検出され、無髄神経を含む神経の存在或いは位置を把握することができる。必要に応じて、空間情報を取得し画像化することもできる。神経の位置は、手術中にメスなどの器具の位置とともに表示手段に表示することができ、神経を障害することなく手術を行うことができる。或いは神経がある場合に音声または警告音などにより術者に示すことができる。神経がある場合のみ術者に認識させればよいので、画像、音声/音、光、振動などにより神経が存在することを「表示」してもよい。

0021

本発明は、試料からのラマン散乱光において、0〜4000cm−1の波数範囲の光の強度を検出することが特徴である。光強度を測定する好ましい波数は、2855cm−1、2887cm−1、2933cm−1である。これら3つの波数/波数範囲の波数の強度を相互に比較することで、無髄神経を含む神経を特異的に表示することができる。無髄神経の場合、神経と周辺組織において有髄神経のミエリンのような特徴的なラマンスペクトルを有する成分の差はないため、これらを特異的に表示することは困難であると考えられていたが、本発明者は特定波数/特定波長の強度比を算出することにより、神経と周辺組織を画像、音声/音などにより特異的に表示することに初めて成功した。

0022

なお、本明細書では主にラマン散乱光の波数又は波数範囲で強度を比較することが記載されているが、ラマン散乱光の対応する波長を用いることもできる。

0023

神経を検出するための強度比は、図12、13に示すような、強度比について有意差(例えば、P<0.05)が得られる特定波長/特定波数または波長範囲/波数範囲を指定すればよい。例えば、有髄神経と結合組織の識別において、有意水準をP<0.05とし、強度比の分子(図中下軸)を例えば2855 cm-1とした場合、図12(A)のように強度比の分母(図中左軸)は、2859〜3024cm-1、3068〜3100cm-1の特定波数あるいは波数範囲を指定することで神経を検出することができる。2887 cm-1とした場合は2899〜3024cm-1、2933 cm-1とした場合は2813〜2912cm-1、2940〜3021cm-1、3073〜3089cm-1の特定波数あるいは波数範囲を指定することで神経を検出することができる。また、強度比の分子をその他の特定波数あるいは波数範囲を指定した場合も同様である。

0024

また、組織中(線維性結合組織、脂肪組織、筋組織、血管を含む)の神経(有髄神経と無髄神経を含む)の検出には、強度比の分子(図中下軸)を例えば2850 cm-1とした場合、図13(G)のように、2948〜2999 cm-1、または3005〜3022 cm-1の特定波数または波数範囲を指定することができる。強度比の分子をその他の特定波数あるいは波数範囲を指定した場合も同様である。

0025

さらに,強度比の算出において,必要あればバックグラウンド除去法ノイズフィルタリング法等を適用することが好ましい。例えば,ラマン散乱光は組織からの自家蛍光重畳するため,事前に自家蛍光を取得し,試料から取得したラマン散乱スペクトルから自家蛍光を差分することが好ましい。あるいは,自家蛍光成分を非特許文献(Lieber, C. A.; Mahadevan-Jansen, A., Automated Method for Subtraction of Fluorescence from Biological Raman Spectra. Appl. Spectrosc. 2003, 57 (11), 1363-1367.)のように,多項式などによって推定し差分しても良い。ノイズフィルタリング法では,例えばメディアンフィルター特異値分解移動平均法カルマンフィルター,Savitzky-Golay法などを用いることが好ましい。

0026

また、ラマンスペクトルの形状から神経を検出することもできる。例えば、主成分分析、最小二乗法、局所最小二乗法などの多変量解析や、ラマンスペクトルの相互相関解析などの統計解析を用いることができる。

0027

主成分分析、局所最小二乗法は多変量解析の一つであり、複数の観測変数から、それを要約する合成変数(主成分と呼ぶ)を作り出す分析法である。従って、ラマンスペクトルの解析においては、測定対象から得られる複数のラマンスペクトルから、その試料のいくつかの成分を特徴づけるスペクトル形体を抽出する目的で使用することができる。主成分の計算原理としては、(1)全ての変数標準化する、(2)情報のロスを最小限にするために、主成分の分散値が最大になるように、主成分の軸を設定し、さらに主成分同士の相関を0にする、(3)決定された主成分の分散が大きい順に第1主成分、第2主成分、第3主成分とする、(4)主成分の軸に対応する重み係数を最小二乗法を用いて計算する。このようにして得られた主成分スペクトルに対する、個々のラマンスペクトルの得点主成分スコア)を計算し、この値により神経を検出する。この時、主成分スペクトルは、測定対象から取得した複数のラマンスペクトルにより計算してもよいし、あるいは事前に計測した神経組織、その他組織より取得したラマンスペクトルを用いて計算した主成分スペクトル用いてもよい。また、神経の検出には、主成分スコア1つから判断してもよいし、複数のスコアの比などから判断してもよい。また、主成分スペクトルは、あらかじめユーザー定義関数により指定して、多変量解析の一種である最小二乗法を用いて主成分スコアを計算してもよい。

0028

相互相関解析は、ユーザー定義関数をあらかじめ指定し、ユーザー定義関数と測定ラマンスペクトルの相互相関度を計算することで、試料の成分を推定する。この時、ユーザー定義関数は、主成分分析、局所最小二乗法等の多変量解析により求めたラマンスペクトルを用いてもよいし、試料から得られたラマンスペクトルを用いてもよい。あるいは、任意のラマンスペクトルを指定してもよい。

0029

上記の強度比または多変量解析及び/又は統計解析結果は、1つのみで神経の有無を判断してもよく、2以上の強度比または多変量解析及び/又は統計解析結果を組み合わせて神経の有無を判断してもよい。表示手段は、試料からのラマン散乱光スペクトルの強度比または多変量解析及び/又は統計解析結果が、1つでも所定範囲に入った場合に神経と判断してもよく、2以上の強度比または多変量解析及び/又は統計解析結果が所定範囲に入った場合に神経と判断してもよい。

0030

強度比算出手段又は解析手段が神経と判断した部位の信号、非神経と判断した信号は、ディスプレイ、音源、光源、振動源などの表示装置に送られ、神経の存在の有無が表示される。また、神経は表示装置において画像として表示することができる。神経およびそれ以外の組織として表示および画像化は、当該技術分野に公知のソフトウェアを用いてパーソナルコンピュータ等によって実行できる。例えば、MATLAB(Mathworks社)を用いて表示できる。

0031

神経細胞に特徴的なラマンスペクトルの一例は、図2、3に示される。

0032

以上に説明した、試料への励起光の照射、試料からのラマン散乱光の検出、検出されたラマン散乱光のラマンスペクトル信号への変換、及びラマンスペクトルの表示/画像化の一連の工程は、例えば、特開2007−147357に記載される方法や市販されているラマン分光検出装置(例えば、ナノフォトン社製のラマン顕微鏡)を用いて行うことができる。

0033

本発明の装置の励起光照射手段及びラマン散乱光検出手段は、外科手術時に切除/摘出部位付近(試料)に対して励起光(好ましくはレーザ光)を照射し、試料の照射部位からのラマン散乱光を検出するという観点から、いずれも光ファイバーなどの細長アームの先端でレーザ光の照射及びラマン散乱光の受光(検出)ができる形状を有するのが好ましい。

0034

他の好ましい実施形態において、本発明は、試料に励起光を照射する励起光照射手段(光源を含む)、試料から受光したラマン散乱光を各波長/波数のスペクトル成分に分光する分光器、試料からのラマン散乱光(特に分光器により各波長/波数に分光されたラマン散乱光)を検出するラマン散乱光検出手段、ラマン散乱光の特定波長/特定波数または波長範囲/波数範囲の強度比を算出する強度比算出手段あるいは特定波長/特定波数または波長範囲/波数範囲の強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する手段、前記強度比を指標とする無髄神経を含む神経を特異的に表示する手段、必要であれば画像化する手段を含むことを特徴とする、無髄神経を含む神経の検出装置に関する。

0035

本明細書において、ラマン散乱分光法とは、ラマンスペクトルを取得可能な分光法であれば良く、例えば自発ラマン散乱分光法、時間分解ラマン散乱分光法、非線形ラマン散乱分光法などがある。非線形ラマン散乱分光法には、例えばコヒーレント反ストークスラマン散乱分光法、誘導ラマン散乱分光法などがある。

0036

ラマン散乱光検出手段は、試料から反射されるラマン散乱光の各位置と各波数(波長)の強度の情報を受けて、その信号を解析手段に送る。試料からのラマン散乱光は、そのままラマン散乱光検出手段に送ってもよいが、分光部を介してラマンスペクトルの各波数(波長)とその強度をラマン散乱光検出手段で検出しやすくするのが好ましい。ラマン散乱光検出手段あるいはラマンスペクトルを検出する検出器としては、光電子増倍管などの受光素子、冷却CCDカメラなどのCCDカメラ、CMOSカメラ,フォトダイオードアレイフォトダイオード,PMTなどが挙げられ、好ましくはCCDカメラが挙げられる。

0037

ラマン散乱光検出手段で検出した試料からのラマン散乱光の情報はコンピュータなどの強度比算出手段あるいは強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析する手段に送られて、試料の各位置の強度比の計算あるいは多変量解析及び/又は統計解析される。次に、試料の各位置の強度比が計算されるか強度比の特徴を抽出し多変量解析及び/又は統計解析される。強度比又は多変量解析及び/又は統計解析の信号は次に表示手段に送られ、特定の強度比の値又は多変量解析及び/又は統計解析結果の部分は神経として表示あるいは神経の存在を表示され、必要に応じて特定範囲の強度比以外の部分は非神経として表示され、神経の存在を術者が認識できるようにする。表示はディスプレイなどの画像による表示、スピーカー、音源(CPUなどの電子音源を含む)などによる音声ないし音による表示、光、熱、振動などによる表示が挙げられる。画像による場合には、神経とその他の組織を区別して表示することができ、音声/音、光、熱、振動などの場合には、神経が表面近くにあるほど、神経が太いほど大きな音、強い光、振動、熱などを発生させて表示してもよい。必要であればラマン散乱光計測位置と合わせることで画像化、音声/音などにより表示する。非特許文献(P. Matousek, Deep non-invasive Raman spectroscopy of living tissue and powders, Chem Soc Rev, 36 (8), 1292-304 (2007).)に記載のように空間オフセット検出法によって、励起位置と検出位置を空間的にずらすことにより深部(たとえば20mm程度)を検出することもできる。あるいは、ノイズ除去フィルターや信号変調/回復理論等の適用によって検出感度を高めることによる、深部の検出をすることもできる。

0038

本発明の方法及び装置により、神経(有髄神経+無髄神経)を特異的に検出することができ、好ましくは神経とそれ以外の組織の2つに区別して表示することができ、有髄神経、無髄神経、それ以外の組織の3つに区別して表示することもできる。

0039

本発明は、神経の可視化を可能にする。神経は、末梢神経と中枢神経に分けられる。中枢神経は、末梢からの刺激による反射中枢として働いたり、統合する機能を持ち、あるいは記憶、情動意志決定などの機能を持っている。末梢神経は,中枢神経と各器官,組織をつなぎ運動感覚自律機能等を制御している。中枢神経、末梢神経は,大きく有髄神経,無髄神経に大別される。体の知覚・運動を制御する体性神経は有髄神経である。内臓・血管などの自律制御に関わる自律神経は,神経節前自律神経は有髄神経であり,神経節後自律神経は無髄神経である。有髄神経は,神経細胞の軸索をミエリン鞘と呼ばれる主として脂質で構成された膜で覆われている。一方,無髄神経は,ミエリン鞘が存在していないという点で有髄神経と異なる。有髄神経は特徴的な成分であるミエリンを検出することにより従来より検出できたが、無髄神経は検出できていなかった。

0040

末梢神経は,幾らかの軸索が集まり一つの神経束を形成する。神経束には,有髄神経,無髄神経,微小血管,線維性結合組織(コラーゲン等)等が介在し,それを神経周膜が覆っている。神経束の周囲は,脂肪組織,線維性結合組織(コラーゲン等)、血管、筋組織等の神経周囲組織が存在している。本発明は神経束を特異的に表示できるため、神経を傷つけることなく神経周囲組織を除くことができる。

0041

神経束中の有髄神経と無髄神経の存在割合は部位により大きく異なる。例えば肋間神経,坐骨神経大腿神経などではほぼ有髄神経が占め,迷走神経などはほぼ無髄神経が占める。器官や組織近くの神経束では,ほぼ有髄神経が占めるもの,ほぼ無髄神経が占めるもの,有髄神経と無髄神経が混在しているものが存在している。本発明は有髄神経と無髄神経をともに検出できるので、神経束中の有髄神経と無髄神経の存在割合にかかわらず検出することができる。

0042

これらの神経束は,胸髄腰椎仙髄などの中枢神経系を起点とし,分岐合流を行いながら各器官,組織に走行する。

0043

外科的手術を行う際,神経束として存在する神経を温存しながら手術を遂行することは術後の回復,後遺症の回避などの点で重要である。しかし,現実では,組織に存在する神経を温存できず,後遺症を残す症例が数多く報告されている。

0044

例えば,前立腺全摘術では,術者の眼で鑑別可能な神経血管束目印として神経温存手術が行われているが,周囲の細い末梢神経は温存できないことが多く,術後の尿禁制勃起能の障害が報告されている。これは,術者の眼やカメラ観察では捉えられない末梢神経が温存されていないためである。前立腺周囲に走行する勃起能,尿禁制に関わる神経には,下腹神経骨盤神経,海綿体神経などの自律神経(無髄神経),および陰部神経陰茎背神経などの体性神経(有髄神経)がある。そのため,有髄神経のみの計測では不十分であり,有髄・無髄神経の両方の計測が必要である。これらのことは,直腸癌神経温存手術や,その他部位の神経温存手術でも同様に問題となっている。

0045

また,形成外科では,直径1mm以下の神経縫合を行うため,顕微鏡下で手術を行うマイクロサージェリーが行われている。例えば,切断指の再接着,乳房切除術後の乳房再建術顔面神経麻痺などに対する組織移植による再建,前腕皮弁による陰茎再建,虫垂移植による尿道再建などがある。しかし,顕微鏡下であっても,神経の同定が難しいことがあり,神経を特異的に表示する手法が求められる。

0046

以上のことから,術者自身の目では観察困難な細い神経を可視化する技術が求められている。神経には,前述のとおり有髄神経と無髄神経の両方が混在しており,その両者を計測することが必要である。

0047

以下、実施例を参照して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の特定の実施例に限定されるものではない。

0048

実施例1:実験装置概要図と実験方法
実験装置の概要図を図1に示す。
スリット走査型ラマン散乱顕微鏡:RAMAN-11, Nanophoton社
冷却CCDカメラ:Pixis 400BR, Princeton Instruments社, -70度, 1340x400 pixels
対物レンズ:UPLSAPO,Olympus社,x60, NA = 1.2

0049

実験方法
(1)組織試料
ラット組織
健常Wistarラットを麻酔薬過剰投与による安楽死後,各組織を取得した。
肋間神経を含む胸部組織,迷走神経を含む食道付近の組織,大腿神経およびその周囲組織,腹腔神経叢,小脳
種類:Wistarラット
年齢:Young-adult(8〜10週齢
ヒト組織
前立腺全摘除術を受けた患者の前立腺周囲組織を取得した。胃癌摘除術を受けた患者の迷走神経胃枝を含む組織を取得した。

0050

(2)試料切片作成
取得した組織は,Frozen Section Compound(FSC22, Leica)に包埋し,ドライアイス-アセトンにより急速凍結した。測定時まで,-80度のディープフリーザーで保存した。
凍結組織を5μmの厚さで切片にし,スライドガラスカバーガラスで挟み,計測を行った。

0051

(3)スペクトル解析
生体組織のラマンスペクトルには,自家蛍光が重畳する。そこで,自家蛍光の影響を除外するため,Nanophoton社製ラマン顕微鏡用ソフトウェアにより自家蛍光スペクトルを推定し,自家蛍光の影響を除算した。具体的には,modified least-squares fifth-order polynomial curve fitting (Lieber CA, Mahadevan-Jansen A (2003) Automated Method for Subtraction of Fluorescence from Biological Raman Spectra. Appl Spectrosc 57 (11):1363-1367)を適用し,これを10回繰り返すことで自家蛍光を推定した。
また,ラマンシフト既知エタノールのラマンスペクトルを用いて,分光器の波長較正を行った。

0052

実験結果
様々な神経のラマンスペクトルを図2に、神経、その他組織のラマンスペクトルを図3に示す。

0053

次に無髄神経(ヒト迷走神経胃枝)を含む組織を用いた神経検出を示す。取得したヒト迷走神経胃枝のHE染色像を図4に示す。

0054

図5に強度比による無髄神経および周囲組織(線維性結合組織)のラマンイメージを示す。2855cm-1と2872cm-1の強度比用いることで脂肪組織が、2887cm-1と2855cm-1の強度比を用いることで無髄神経が、2937-1と2855cm-1の強度比を用いることで線維性結合組織をそれぞれイメージングすることができている。

0055

図6に相互相関解析による無髄神経および周囲組織(線維性結合組織)のラマンイメージを示す。相互相関解析に用いた参照ラマンスペクトルは、事前に無髄神経、脂肪組織、線維性結合組織から取得したラマンスペクトルを用いた。それぞれ、脂肪組織の参照ラマンスペクトルとの相互相関では脂肪組織を、無髄神経の参照ラマンスペクトルとの相互相関では無髄神経を、線維性結合組織の参照ラマンスペクトルとの相互相関では線維性結合組織をイメージングすることができている。

0056

図7に主成分分析による神経および神経検出を示す。主成分分析においては、初めに2次元空間における各点でのラマンスペクトルを取得し、解析データとした。その後主成分分析により第1主成分から第4主成分まで取得し、それぞれの主成分スコアの空間マップを表示した。その結果、第2主成分の負値スコアマップが脂肪組織を、第3主成分の負値のスコアマップが線維性結合組織を、第4主成分の負値のスコアマップが無髄神経の空間分布と一致した。

0057

次に、最小二乗法を用いて神経の検出を行った結果を示す。図8に有髄神経(ラット肋間神経)、図9に無髄神経(ラット迷走神経)、図10に有髄+無髄神経(ラット腹腔神経叢)、図11に有髄+無髄神経(ヒト前立腺周囲神経)を各々示す。最小二乗法では、以下の式に従って各成分のスコアの算出を行った。

0058

0059

ただし、Si、Sfat、Sconnect、Smyel、Sunmyelは、それぞれ任意の点(x、y)のラマンスペクトル、脂肪組織のラマンスペクトル、線維性結合組織のラマンスペクトル、有髄神経のラマンスペクトル、無髄神経のラマンスペクトルを示す。

0060

実施例2:神経,およびその周囲組織の強度比による識別
有髄神経,無髄神経,結合組織,脂肪組織,筋組織(横紋筋),血管(中膜)のラマンスペクトルを取得し,各ラマンシフトにおける強度比に有意差があるかどうかを調査した。

0061

・強度比の計算方法

0062

0063

・有意差の計算方法
上式によって計算した強度比を2種の組織(図の上に記述した“結合組織vs有髄神経”など))において複数点計測し,その2種の計測群に対してt検定による統計解析を行い,P値を算出した。
例)解析対象:有髄神経と脂肪組織
ω1:2850 cm-1, ω2:2933 cm-1に対して
強度比計算

0064

0065

これら2つの強度比計測群に対してt検定を実行し,P値を算出。
図12図13中,左軸2850 cm-1 (ω1),下軸2933 cm-1 (ω2)に対応する点にP値をプロット。
ω1やω2をずらして同様のこと(強度比計算,t検定)を繰り返す。

0066

・結果の解釈
各ラマンシフトの強度比に対するP値をプロットしたものを図12図13に示す。通常,P<0.05であれば有意差があると言える。故に,図12,13中において白い部分の範囲であれば有意差があると言える。この白い部分の領域であれば,強度比による組織鑑別が可能である。この白い部分の領域であれば、工程3,工程4で神経を特異的に表示することができる。本発明の好ましい実施形態では、2855cm−1又はその前後のピーク波数範囲と2933cm−1又はその前後のピーク波数範囲の強度比、あるいは、2887cm−1又はその前後のピーク波数範囲と2933cm−1又はその前後のピーク波数範囲の強度比を用いることができる。ここで、2855cm−1又はその前後のピーク波数範囲、2933cm−1又はその前後のピーク波数範囲、2887cm−1又はその前後のピーク波数範囲の「前後のピーク波数範囲」は、白い部分の領域の範囲で2933cm−1、2855cm−1、2933cm−1の波数を変更できることを意味する。

0067

実施例3:671nm励起によるラマンスペクトル
様々な波長においても神経検出が可能であることを示すために,励起光波長671nmにおけるラマンスペクトルを計測した(図14).参考として,励起光波長532nmでの計測結果を図15に示す。

実施例

0068

各スペクトルにおいても,532nmとほぼ同じラマンスペクトルを取得することができた。このことから,様々な波長においても同様に神経検出が可能であると考えられる。

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