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技術 固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末及びその製造方法

出願人 AGCセイミケミカル株式会社
発明者 名田大志末原道教伊藤孝憲平井岳根
出願日 2013年2月20日 (7年0ヶ月経過) 出願番号 2014-503751
公開日 2015年7月30日 (4年6ヶ月経過) 公開番号 WO2013-133023
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード バラツキ度合い スプレーバ EPMA測定 アンモニウム源 乾燥用熱風 使用コスト シャトルキルン ガス式
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図面 (9)

課題・解決手段

固体酸化物型燃料電池用の空気極材料として好適な高度に均一な組成を有する新規LSCF粉末からなる固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末、及びその製造方法を提供する。EPMA測定したときのランタンのLα1特性X線ピーク強度[La]とストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]とから決まる分散点が式(1)の範囲に存在し、かつコバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]と鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]とから決まる分散点が式(2)の範囲に存在するペロブスカイト構造を有し、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、及び酸素を含有する複合酸化物を与える。 a[La]−150≦[Sr]≦a[La]+150 (1) b[Co]−300≦[Fe]≦b[Co]+300 (2)(式(1)、(2)中、0.2≦a≦1.0であり、0.1≦b≦4.0である。)

概要

背景

固体酸化物型燃料電池は、電解質として、酸素イオン導電性を示す固体電解質を用いた燃料電池であり、起電力を生じる電気化学反応水素酸化反応であって、炭酸ガスを発生させないため、クリーンエネルギーとして注目されている。固体酸化物型燃料電池は、一般に、酸化物である空気極と固体電解質と燃料極とからなる単セルインターコネクターによって接続したスタック構造を採っている。その動作温度は、通常1000℃程度であるが、種々の検討により、近年低温化が図られ実用化されているものの、最低でも600℃程度であり、依然として高温である。

固体酸化物型燃料電池は、セル構造と高い動作温度のため、空気極を構成する空気極材料には、(1)酸素イオン導電性が高いこと、(2)電子伝導性が高いこと、(3)電解質と熱膨張が同等あるいは近似していること、(4)化学的な安定性が高く、他の構成材料との両立性が高いこと、(5)焼結体多孔質である必要があり、一定の強度を有すること等、の特性が基本的に要求される。

これらの特性を満足する空気極の材料として、ペロブスカイト構造を有する(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3(以下、LSCFともいう。)で表される複合酸化物が、電極活性に優れた空気極材料として精力的に研究開発されている。
例えば、特許文献1には、ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物を主成分とするセラミックス粉体が開示されている。詳しくは、組成式(L1−xAEx)1−y(FezM1−z)O3+δで表され、Lは、La等の希土類元素、Sc及びYからなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、AEは、Sr及びCaからなる群より選ばれる一種又は二種の元素であり、Mは、Co、Mg、Sc、Ti、V、Cr及びNiからなる群より選ばれる一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0<y≦0.04、0≦z<1であるセラミックス粉体が開示されている(特許請求の範囲を参照。)。

そして、上記セラミックス粉体の調製法として具体的に開示されているものは、酸化ランタン炭酸ストロンチウム酸化コバルト及び酸化鉄を、乳鉢等を用いて固相で混合、粉砕し(以下、固相法ともいう。)、仮焼するものである(段落〔0032〕、〔0092〕〜〔0094〕(実施例1))。
しかし、このような固相法では、4種類の原料元素含有粒子を、固相にて粉砕・混合する限り、ミクロのレベルで完全に均一組成のものを得るのは原理的に困難であるという問題がある。

また、特許文献1の実施例2〜3、6〜11には、固相法の他に、クエン酸塩法により合成した比表面積が4m2/gを有する、(La0.6Sr0.4)1−z(Co0.2Fe0.8)O3+δ(y=0、0.02、0.04)を、エタノールを添加して湿式混合した後に加圧成形する例が開示されている。この方法は、後記する比較例1として記載の方法であり、原料粉末クエン酸のみの溶液中で混合、調合したもので、原料粉末の一部であるLa2O3や反応後のクエン酸塩は十分には溶解せずに、系はスラリー状態である(以下、スラリー法ともいう。)。

また、特許文献2には、一般式ABO3で表され、Aサイトが、La及び希土類元素の群から選ばれる1つ以上の元素と、Sr,Ca及びBaの群から選ばれる1つ以上の元素とからなり、Bサイトが、Mn、Co、Fe、Ni及びCuの群から選ばれる1つ以上の元素からなるペロブスカイト複合酸化物粉体であって、平均粒子径が1μm以下と微細で、且つ粒度分布の幅が狭い固体電解質型燃料電池の空気極原料粉体が開示されている(特許請求の範囲を参照。)。

特許文献2は、微細粒子径で粒径分布バラツキが小さいLSCF粉末に関するものであるが、このための調製手段としては、原料元素であるLa、Sr、Co、及びFeの水溶性硝酸塩を所定の割合で水に溶解し、これにNH4OHを添加してそれぞれの不溶性塩共沈させ、沈殿を乾燥、焼成させるものである(以下、共沈法ともいう。)(段落〔0032〕)。
この共沈法は、均一溶液から沈殿されるので、一見、容易に均一組成のものが形成されるように考えられるが、本出願人の検討によると、実際には、当該4種類の元素の硝酸塩において、各元素の不溶性塩が沈殿するpH及びその結晶成長速度がそれぞれ異なるので、均一組成の沈殿にはならない。例えば、一つの元素の塩が先に沈殿し大粒子に成長した後に次の元素の微小結晶が該大粒子上に沈殿することになるので、充分に均一組成の沈殿を得ることは原理的にも困難と考えられる。

概要

固体酸化物型燃料電池用の空気極材料として好適な高度に均一な組成を有する新規なLSCF粉末からなる固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末、及びその製造方法を提供する。EPMA測定したときのランタンのLα1特性X線ピーク強度[La]とストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]とから決まる分散点が式(1)の範囲に存在し、かつコバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]と鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]とから決まる分散点が式(2)の範囲に存在するペロブスカイト構造を有し、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、及び酸素を含有する複合酸化物を与える。 a[La]−150≦[Sr]≦a[La]+150 (1) b[Co]−300≦[Fe]≦b[Co]+300 (2)(式(1)、(2)中、0.2≦a≦1.0であり、0.1≦b≦4.0である。)

目的

本発明の目的は、固体酸化物型燃料電池用の空気極材料として好適であり、高度に均一な組成を有する新規なLSCF粉末、及びかかる均一な組成を有するLSCF粉末を得るための製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

ペロブスカイト構造を有し、ランタンストロンチウムコバルト、鉄、及び酸素を含有する複合酸化物粉末からなり、前記粉末中の元素分布をEPMA(ElectronProbeMicroAnalyzer)により測定したときのランタンのLα1特性X線ピーク強度[La]とストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]とから決まる分散点が式(1)の範囲に存在し、かつコバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]と鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]とから決まる分散点が式(2)の範囲に存在することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末。a[La]−150≦[Sr]≦a[La]+150(1)b[Co]−300≦[Fe]≦b[Co]+300(2)但し、式(1)、及び(2)において、0.2≦a≦1.0であり、0.1≦b≦4.0である。

請求項2

前記複合酸化物の組成が、一般式(I)で表される、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末。(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3(I)(式(I)において、0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.9、0.95≦a≦1.0である。)

請求項3

請求項1又は請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末を焼結して得られる固体酸化物型燃料電池用の空気極。

請求項4

請求項1又は2に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法であって、前記複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物有機酸水溶液を用いて溶液化し、得られた溶液を噴霧乾燥し、得られた乾燥粉焼成することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

請求項5

前記使用される有機酸のモル数が、金属元素を含有する化合物の金属元素の合計モル数に対して2.3〜10倍量であることを特徴とする、請求項4に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

請求項6

前記有機酸が、マレイン酸乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される少なくとも1種類である、請求項4又は請求項5に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

請求項7

前記有機酸が、クエン酸と、マレイン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される少なくとも1種類と、の混合物である、請求項4又は請求項5に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

請求項8

前記有機酸が、クエン酸とリンゴ酸との混合物である、請求項4又は請求項5に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

請求項9

前記有機酸がクエン酸であり、前記複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物を有機酸の水溶液を用いて溶液化するに際して、更に、アンモニウム化合物を添加する、請求項4〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

請求項10

前記アンモニウム化合物が、アンモニア重炭酸アンモニウム炭酸アンモニウム、及びクエン酸アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種類である、請求項9に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

請求項11

前記複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物が、当該金属元素の炭酸塩酸化物水酸化物及び有機酸塩からなる群から選択される少なくとも1種類である、請求項4〜10のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

請求項12

焼成温度が、700℃〜1300℃である、請求項4〜11のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ランタンストロンチウムコバルト、鉄、及び酸素を含有し、ペロブスカイト構造を有する複合酸化物粉末からなり、特に、粉末の粒子内における構成元素均一性の高い粉末からなる固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末及びその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

固体酸化物型燃料電池は、電解質として、酸素イオン導電性を示す固体電解質を用いた燃料電池であり、起電力を生じる電気化学反応水素酸化反応であって、炭酸ガスを発生させないため、クリーンエネルギーとして注目されている。固体酸化物型燃料電池は、一般に、酸化物である空気極と固体電解質と燃料極とからなる単セルインターコネクターによって接続したスタック構造を採っている。その動作温度は、通常1000℃程度であるが、種々の検討により、近年低温化が図られ実用化されているものの、最低でも600℃程度であり、依然として高温である。

0003

固体酸化物型燃料電池は、セル構造と高い動作温度のため、空気極を構成する空気極材料には、(1)酸素イオン導電性が高いこと、(2)電子伝導性が高いこと、(3)電解質と熱膨張が同等あるいは近似していること、(4)化学的な安定性が高く、他の構成材料との両立性が高いこと、(5)焼結体多孔質である必要があり、一定の強度を有すること等、の特性が基本的に要求される。

0004

これらの特性を満足する空気極の材料として、ペロブスカイト構造を有する(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3(以下、LSCFともいう。)で表される複合酸化物が、電極活性に優れた空気極材料として精力的に研究開発されている。
例えば、特許文献1には、ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物を主成分とするセラミックス粉体が開示されている。詳しくは、組成式(L1−xAEx)1−y(FezM1−z)O3+δで表され、Lは、La等の希土類元素、Sc及びYからなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、AEは、Sr及びCaからなる群より選ばれる一種又は二種の元素であり、Mは、Co、Mg、Sc、Ti、V、Cr及びNiからなる群より選ばれる一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0<y≦0.04、0≦z<1であるセラミックス粉体が開示されている(特許請求の範囲を参照。)。

0005

そして、上記セラミックス粉体の調製法として具体的に開示されているものは、酸化ランタン炭酸ストロンチウム酸化コバルト及び酸化鉄を、乳鉢等を用いて固相で混合、粉砕し(以下、固相法ともいう。)、仮焼するものである(段落〔0032〕、〔0092〕〜〔0094〕(実施例1))。
しかし、このような固相法では、4種類の原料元素含有粒子を、固相にて粉砕・混合する限り、ミクロのレベルで完全に均一組成のものを得るのは原理的に困難であるという問題がある。

0006

また、特許文献1の実施例2〜3、6〜11には、固相法の他に、クエン酸塩法により合成した比表面積が4m2/gを有する、(La0.6Sr0.4)1−z(Co0.2Fe0.8)O3+δ(y=0、0.02、0.04)を、エタノールを添加して湿式混合した後に加圧成形する例が開示されている。この方法は、後記する比較例1として記載の方法であり、原料粉末クエン酸のみの溶液中で混合、調合したもので、原料粉末の一部であるLa2O3や反応後のクエン酸塩は十分には溶解せずに、系はスラリー状態である(以下、スラリー法ともいう。)。

0007

また、特許文献2には、一般式ABO3で表され、Aサイトが、La及び希土類元素の群から選ばれる1つ以上の元素と、Sr,Ca及びBaの群から選ばれる1つ以上の元素とからなり、Bサイトが、Mn、Co、Fe、Ni及びCuの群から選ばれる1つ以上の元素からなるペロブスカイト複合酸化物粉体であって、平均粒子径が1μm以下と微細で、且つ粒度分布の幅が狭い固体電解質型燃料電池の空気極原料粉体が開示されている(特許請求の範囲を参照。)。

0008

特許文献2は、微細粒子径で粒径分布バラツキが小さいLSCF粉末に関するものであるが、このための調製手段としては、原料元素であるLa、Sr、Co、及びFeの水溶性硝酸塩を所定の割合で水に溶解し、これにNH4OHを添加してそれぞれの不溶性塩共沈させ、沈殿を乾燥、焼成させるものである(以下、共沈法ともいう。)(段落〔0032〕)。
この共沈法は、均一溶液から沈殿されるので、一見、容易に均一組成のものが形成されるように考えられるが、本出願人の検討によると、実際には、当該4種類の元素の硝酸塩において、各元素の不溶性塩が沈殿するpH及びその結晶成長速度がそれぞれ異なるので、均一組成の沈殿にはならない。例えば、一つの元素の塩が先に沈殿し大粒子に成長した後に次の元素の微小結晶が該大粒子上に沈殿することになるので、充分に均一組成の沈殿を得ることは原理的にも困難と考えられる。

先行技術

0009

日本特開2009−35447号公報
日本特開2006−32132号公報

発明が解決しようとする課題

0010

上記のように、固相法や共沈法等、さらにはスラリー法により調製される従来のLSCF微粒子においては、上記のLa、Sr、Co及びFeの4成分の元素は原理的に完全に均一にはなりにくいという問題を有する。
かくして、本発明の目的は、固体酸化物型燃料電池用の空気極材料として好適であり、高度に均一な組成を有する新規なLSCF粉末、及びかかる均一な組成を有するLSCF粉末を得るための製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討したところ、特定の有機酸水溶液を使用し、上記のLa、Sr、Co及びFeの4成分の元素を含む原料粉末を、液中で有機酸と反応させて錯化合物としてほぼ完全溶解せしめ、これを微小液滴状態として噴霧乾燥することにより、従来存在しなかったミクロのレベルにおいても均一な組成を有する新規な微粒子粉末が得られることを見い出し、本発明を完成した。

0012

本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]ペロブスカイト構造を有し、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、及び酸素を含有する複合酸化物の粉末からなり、前記粉末中の元素分布をEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)により測定したときのランタンのLα1特性X線ピーク強度[La]とストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]とから決まる分散点が式(1)の範囲に存在し、かつコバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]と鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]とから決まる分散点が式(2)の範囲に存在することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末。
a[La]−150≦[Sr]≦a[La]+150 (1)
b[Co]−300≦[Fe]≦b[Co]+300 (2)
但し、式(1)、及び(2)において0.2≦a≦1.0であり、0.1≦b≦4.0である。
[2] 前記複合酸化物の組成が一般式(I)で表される、前記[1]項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末。
(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3 (I)
(式(I)において、0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.9、0.95≦a≦1.0である。)
[3] 前記[1]項又は[2]項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末を焼結して得られる固体酸化物型燃料電池用の空気極。

0013

[4] 前記[1]項又は[2]項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法であって、前記複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物を有機酸の水溶液を用いて溶液化し、得られた溶液を噴霧乾燥し、得られた乾燥粉を焼成することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。
[5] 前記使用される有機酸のモル数が、金属元素を含有する化合物の金属元素の合計モル数に対して2.3〜10倍量であることを特徴とする、前記[4]項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。
[6] 前記有機酸が、マレイン酸乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される少なくとも1種類である、前記[4]項又は[5]項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。
[7] 前記有機酸が、クエン酸と、マレイン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される少なくとも1種類との混合物である、前記[4]項又は[5]項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

0014

[8] 前記有機酸が、クエン酸とリンゴ酸との混合物である、前記[4]項又は[5]項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。
[9] 前記有機酸がクエン酸であり、前記複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物を有機酸の水溶液を用いて溶液化するに際して、更に、アンモニウム化合物を添加する、前記[4]項〜[8]項いずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。
[10] 前記アンモニウム化合物が、アンモニア重炭酸アンモニウム炭酸アンモニウム及びクエン酸アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種類である、前記[9]項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

0015

[11] 前記複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物が、当該金属元素の炭酸塩、酸化物、水酸化物及び有機酸塩からなる群から選択される少なくとも1種類である、前記[4]項〜[10]項のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。
[12]焼成温度が700℃から1300℃である、前記[4]項〜[11]項のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末の製造方法。

発明の効果

0016

本発明によれば、ペロブスカイト構造を有し、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、及び酸素を含有する複合酸化物であるが、従来の固相法、共沈法、スラリー法によるものと比較して、より高度に均一な組成を有する複合酸化物である固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末、及びその製造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0017

実施例1におけるLSCF微粒子のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とを軸とする組成分布を表す分散図である。
実施例1におけるLSCF微粒子の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co] とを軸とする組成分布を表す分散図である。
比較例1におけるLSCF微粒子のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La] とを軸とする組成分布を表す分散図である。
比較例1におけるLSCF微粒子の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co] とを軸とする組成分布を表す分散図である。

0018

比較例3におけるLSCF微粒子のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とを軸とする組成分布を表す分散図である。
比較例3におけるLSCF微粒子の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co] とを軸とする組成分布を表す分散図である。
実施例5におけるLSCF微粒子のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とを軸とする組成分布を表す分散図である。
実施例5におけるLSCF微粒子の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co] とを軸とする組成分布を表す分散図である。

0019

本発明の、ペロブスカイト構造を有し、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、及び酸素を含有する複合酸化物である固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末は、一般式(I)で表される組成を有するのが好ましい。
(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3 (I)
(但し、0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.9、0.95≦a≦1.0である。)
なお、酸素の組成は化学量論的には3であるが、場合によっては一部欠損していても、過剰に存在していてもよく、本発明の複合酸化物は主成分としてペロブスカイト構造の(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3を含んでいればよく、他に不純物相が存在していてもよい。

0020

上記式(I)式中、0.1≦x≦0.5、0.1≦y≦0.9、0.95≦a≦1.0である場合、上記複合酸化物がペロブスカイト構造を保持するので好ましい。

0021

式(I)式で表される複合酸化物LSCFの例としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれに限定されるものではない。
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3
(LSCF:6428、x=0.4、y=0.2、a=1.0)、
なお、LSCF:6428とは、複合酸化物LSCFにおける、La、Sr、Co、及びFeのモル比が、それぞれ6:4:2:8であることを意味し、以下においても、これに準じる。
La0.8Sr0.2Co0.2Fe0.8O3
(LSCF:8228、x=0.2、y=0.2、a=1.0)
La0.6Sr0.4Co0.4Fe0.6O3
(LSCF:6446、x=0.4、y=0.4、a=1.0)
La0.64Sr0.36Co0.18Fe0.82O3
(LSCF:6428、x=0.36、y=0.18、a=1.0)
La0.588Sr0.392Co0.2Fe0.8O3
(LSCF:6428、x=0.4、y=0.2、a=0.98)

0022

本発明においては、これらの複合酸化物であるLSCF粉末(微粒子ともいう。)は、本発明で記載する方法(完全溶解法という。)によって好ましくは得られるが、既知の粒子に対して、微粒子内における各成分(La、Sr、Co、Fe)の組成の均一性が非常に高いことを特徴とする。
本発明においては、複合酸化物微粒子において、成分の均一性(バラツキ)を次のようにEPMA測定におけるランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄の特性X線のピーク強度で評価し、規定する。

0023

すなわち、複合酸化物微粒子をEPMAにより複合酸化物の構成元素であるランタン、ストロンチウム、コバルト及び鉄の特性X線のピーク強度を測定する。このとき、本発明の複合酸化物の粉末は、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]とから決まる分散点が式(1)の範囲に存在し、かつコバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]と鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]とから決まる分散点が式(2)の範囲に存在する。
a[La]−150≦[Sr]≦a[La]+150 (1)
b[Co]−300≦[Fe]≦b[Co]+300 (2)

0024

式(1)におけるランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]の係数aは、複合酸化物微粒子中のランタンの濃度とストロンチウムの濃度との比により決まる数値であり、ランタンの濃度が低く、ストロンチウムの濃度が高いほど大きくなる数値である。
また、式(2)におけるコバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]の係数bは、複合酸化物微粒子中のコバルトの濃度と鉄の濃度との比により決まる数値であり、コバルトの濃度が低く、鉄の濃度が高いほど大きくなる数値である。

0025

本発明において、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]とから決まる分散点が式(1−2)の範囲に存在し、かつコバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]と鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]とから決まる分散点が下式(2−2)の範囲に存在することがさらに好ましい。
a[La]−125≦[Sr]≦a[La]+125 (1−2)
b[Co]−250≦[Fe]≦b[Co]+250 (2−2)
但し、式(1−2)及び(2−2)におけるa及びbは、式(1)及び(2)におけるのと同義である。
複合酸化物の構成元素であるランタン、ストロンチウム、コバルト及び鉄がより均一に粒子内で分布しているためである。

0026

EPMA測定の測定結果について、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSCF:6428、x=0.4、y=0.2、a=1.0)を例にとってさらに説明する。
なお、上記LSCF(6428)は、ABO3すなわち(La0.6Sr0.4)(Co0.2Fe0.8)O3と表示することができる。
本来、Aサイトを構成するランタンとストロンチウムの構成比率であるランタン/ストロンチウムは、組成が完全に均一である場合には、0.6/0.4、すなわち1.5で一定であるはずである。したがって、EPMA測定において、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]との比は一定となるはずである。
同様に、Bサイトを構成するコバルトと鉄の構成比率であるコバルト/鉄は、組成が完全に均一である場合には、0.2/0.8、すなわち0.25で一定であるはずである。したがって、EPMA測定において、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]と鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]との比は一定となるはずである。

0027

しかし、実際には複合酸化物粒子の構成元素は完全に均一に分布しているわけではなく、ある程度の不均一性、すなわち構成元素の濃度のバラツキを有している。
Aサイトについて言えば、ランタンの濃度が目的組成より高く、ストロンチウムの濃度が目的組成より低い部分もあれば、ランタンの濃度が目的組成より低く、ストロンチウムの濃度が目的組成より高い部分も存在する。
Bサイトについて言えば、コバルトの濃度が目的組成より高く、鉄の濃度が目的組成より低い部分もあれば、コバルトの濃度が目的組成より低く、鉄の濃度が目的組成より高い部分も存在する。

0028

このような組成のバラツキを有する複合酸化物微粒子をEPMAで測定し、ストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]を縦軸とし、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]を横軸とする図においてそのバラツキ度合いを図示すると、本発明に係る組成均一性の高い複合酸化物粒子の[La]及び[Sr]は、式(1)の表す領域に存在することになる。
a[La]−150≦[Sr]≦a[La]+150 (1)
ここで、[La]の係数aは複合酸化物の組成に大きく依存し、0.2≦a≦1.0を満たす数値である。

0029

また、鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]を縦軸とし、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]を横軸とする図においてそのバラツキ度合いを図示すると、本発明に係る組成均一性の高い複合酸化物の[Fe]及び[Co]は、式(2)の表す領域に存在することになる。
b[Co]−300≦[Fe]≦b[Co]+300 (2)
ここで、[Co]の係数bは複合酸化物の組成に大きく依存し、0.1≦b≦4.0を満たす数値である。
なお、後記する比較例において示されているように、従来法により調製されたLSCF粉末は、組成的に大きくばらついており、そのバラツキの度合いをEPMA測定により特性X線のピーク強度で評価すると、本発明で規定する範囲の外に特性X線のピーク強度で決まる分散点が存在することが示される。

0030

以下、本発明の好ましい態様である一般式(I)で表される組成を有する固体酸化物型燃料電池用空気極材料の製造方法について説明する。
(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3 (I)

0031

(原料粉末の調製)
本発明の好ましい態様である一般式(I)(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3で表される組成を有する固体酸化物型燃料電池用空気極材料の原料となる粉末は、通常使用されるものを好適に使用することができ、例えば、La、Sr、Co、Feを含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩等である。
特に環境的な側面、入手し易さの理由から、炭酸塩、水酸化物又は酸化物が好ましく、原料の反応性が高いことから、クエン酸塩等の有機酸塩も好ましい。
また、原料は1つの元素につき酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、及び有機酸塩からなる群から選ばれた任意の2種類以上の化合物を元素源として選択することもできる。

0032

上記の原料粉末をLa、Sr、Co、Fe各元素が一般式(I)で表わされる目的の組成になるように量する。
なお、秤量した各原料粉末は、予め粉砕・微細化しておくことが、溶解反応を迅速に進行させるため好ましい。またその一部又は全部を予め、均一に混合しておいてもよい。混合は、乾式混合によってもよいが、比較的短時間で均質な原料粉末を得られることから、湿式混合法により混合を実施することが好ましく、特に混合と同時に粉砕処理を行ってもよい。

0033

湿式混合法を実施するための装置としては特に限定するものではないが、同時に粉砕を実施するものが好ましい。例えば、ボールミルビーズミルアトリションミルコロイドミル等が好ましい。なかでも、ジルコニアボールのような、粉砕媒体を使用する形式のもの、例えばボールミル、ビーズミル等が、より好ましく使用される。例えば原料粉末に上記の粉砕媒体を加え、ボールミルを用いて12〜24時間粉砕混合してもよい。ボールミル等の粉砕媒体による粉砕混合を行うと、より強い剪断力を付与でき、より均質な原料混合粉末が得られるので好ましい。

0034

有機酸水溶液
一方、有機酸の水溶液を予め調製する。有機酸としては、上記した金属元素を含む化合物と反応してその錯体を形成し、溶解せしめうるものであれば特に限定するものではないが、マレイン酸、ギ酸酢酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群より選択される一種以上のものが好ましい。特にマレイン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される一種以上が好ましいものとして選択される。
有機酸の水溶液の濃度は、特に限定するものではないが、操作の容易性及び反応速度を十分高くする要請から10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%、さらに好ましくは30〜50重量%である。

0035

ここで、有機酸として、クエン酸を用いて、原料を有機酸の水溶液で溶液化する場合は、クエン酸と、マレイン酸、ギ酸、酢酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群より選択される一種類以上のクエン酸以外の有機酸とを併用することが好ましく、クエン酸以外の有機酸としては、マレイン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される一種類以上がさらに好ましい。その中でもクエン酸とリンゴ酸との併用が特に好ましい。
クエン酸と、マレイン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される一種類以上のクエン酸以外の有機酸とを併用する場合、クエン酸と、マレイン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される一種類以上のクエン酸以外の有機酸とのモル比(クエン酸のモル数)/(マレイン酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される一種類以上の有機酸のモル数)は、1/10から10/1が好ましく、1/3から3/1がさらに好ましい。
クエン酸としては、無水クエン酸クエン酸一水和物、無水クエン酸とクエン酸一水和物との混合物のいずれもが使用可能である。
クエン酸と上記クエン酸以外の有機酸とを併用することにより、溶解反応(錯体生成)をより容易に進行させることができるためであり、特に、クエン酸以外の有機酸として、マレイン酸、乳酸又はリンゴ酸からなる群から選択される一種以上を併用した場合にその効果は顕著である。クエン酸とリンゴ酸とを併用した場合には、上記のような溶解反応を容易に進行させる効果に加えて、複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物が溶解した溶液を安定させる効果もある。すなわち、リンゴ酸のような有機酸を単独で使用した場合には、原料が溶解した溶液は、室温で数日放置すると複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物が再析出してしまうが、クエン酸とリンゴ酸を併用した場合には溶液状態のまま安定である。

0036

本発明において、複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物をクエン酸の水溶液で溶液化する場合には、更に、アンモニウム化合物を同時に使用することもできる。クエン酸とアンモニウム化合物との併用により、溶解反応(錯体生成)をより容易に進行させることができるため好ましい。アンモニウム化合物としては、アンモニア、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及びクエン酸アンモニウム塩よりなる群より選択される少なくとも1種類であることが好ましい。クエン酸アンモニウム塩とは、例えばクエン酸水素二アンモニウムクエン酸三アンモニウム等である。アンモニウム化合物は、原料粉末を溶解することのできる量であれば特に限定されず、原料粉末が容易に溶解するので、ランタンイオンのモル数に対して1〜10倍量を使用することが好ましい。

0037

本発明で有機酸の使用量は、複合酸化物を構成する金属元素と錯体を形成し、これを十分に溶解することができる量以上であることが好ましい。具体的には、有機酸の使用量は、複合酸化物を構成する金属元素を含有する化合物である、La、Sr、Co、及びFe源に含まれるLa、Sr、Co、及びFeのモル数の合計に対して、2.3〜10倍量が好ましく、2.3〜5倍量が特に好ましい。2.3倍量以上であれば、金属元素をほぼ完全に溶解できるので好ましく、10倍量以下であれば、有機酸の使用コストが低減でき、焼成時の炭酸ガスの発生量が少なく、焼成中の有機酸の焼成に伴う酸素濃度過度な減少を抑止できるので好ましい。

0038

(溶解反応)
複合酸化物を構成する原料金属元素を含有する化合物を、上記した有機酸の水溶液を用いて溶解して溶液化する。この溶解反応を行うための装置としては、特に限定するものではないが、例えば撹拌手段、加熱手段、原料粉末の供給手段、有機酸水溶液の供給手段を備え、供給した原料粉末を沈殿させることなく浮遊させ、浮遊状態で有機酸と反応させることができる槽型反応容器が好ましい。撹拌手段としては通常の撹拌機、例えば型撹拌機、プロペラ型撹拌機タービン型撹拌機等のいずれもが好適に使用される。なお、小規模の反応の場合はフラスコ型容器に撹拌機を設置して実施してもよい。

0039

金属元素含有化合物の粉末と有機酸水溶液の接触方式は、特に限定するものではないが、溶解反応が化学工学的に固−液異相系反応として把握されるので、反応が効率的に実施され、最終的に均一溶液が得られるものであれば特に限定するものではない。通常は、まず、反応容器に有機酸水溶液を仕込んでおき、これに撹拌下に原料粉末を添加して反応、溶解させる方式が好ましい。
添加する原料粉末は、各粉末ごとに順次添加してもよいし、また、予め原料粉末を混合しておき、同時に当該混合粉末を供給して反応させてもよい。さらにこれらの供給方法を組み合わせてもよい。
なお、原料粉末を逐次添加する場合は、まず、一つの金属元素を含む原料粉末、例えば酸化ランタン粉末を有機酸水溶液に供給して加熱下に反応溶解させ、引き続き残りの元素化合物(例えば炭酸ストロンチウム、炭酸コバルトクエン酸鉄等)を同時に添加反応させるようにしてもよい。

0040

反応温度は、ある程度の加熱下において実施することにより、溶解反応が促進されるので好ましい。通常、30〜100℃、好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは50〜80℃である。また、反応時間、すなわち均一溶液が形成されるまでの時間は、温度、有機酸濃度、有機酸や原料金属元素含有化合物の種類、その粒径等によって変わりうるが、通常10分〜10時間、好ましくは30分〜5時間、さらに好ましくは1〜3時間程度である。

0041

(噴霧乾燥等)
本発明においては、溶液化した溶液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。噴霧乾燥では、有機酸水溶液で各原料金属元素がほぼ完全に溶解された溶液を、気流乾燥機もしくは噴霧乾燥機のごとき乾燥装置に供給し乾燥を行う。乾燥装置に供給された溶液は、装置内で、微小液滴となり、これが乾燥用熱風により流動層を形成し、熱風により搬送されながら極めて短時間で乾燥され、短時間で乾燥粉末が得られる。その結果、La、Sr、Co、Fe間の溶解度の差による析出が抑制されるので乾燥粉中のLa、Sr、Co、Feの各金属元素均質性が高くなるので好ましい。

0042

噴霧乾燥機を使用する場合の噴霧機としては、回転円板二流体ノズル加圧ノズル等を有するものが適宜採用でき、また乾燥用熱風温度は、入口で150〜300℃、出口で100〜150℃程度にすることが好ましい。
かかる噴霧乾燥によれば、均一相を形成して原料金属元素がすべて溶解した溶液は、微小液滴状態を形成し、各液滴が瞬間的、又はごく短時間に、水分が蒸発除去することにより、原理的にミクロなレベルまで均一な組成の固相が析出した乾燥粉末(混合粉末)が得られる。
噴霧乾燥により得られる乾燥粉末の平均粒径は5〜100μmが好ましく、20〜70μmがさらに好ましい。

0043

(焼成)
次に、噴霧乾燥させた混合粉末を好ましくは焼成容器に移し、焼成炉にて焼成する。焼成は基本的には粗焼成、仮焼成、及び本焼成の焼成温度の異なる3工程からなるのが好ましいが、粗焼成と本焼成の2工程でもよく、仮焼成と本焼成の2工程でもよく、また順次温度を上げてゆく本焼成のみからなる工程でもよい。焼成容器の材質は、特に限定されず、例えばムライトコージェライト等が挙げられる。
焼成炉は、熱源として、電気式又はガス式シャトルキルンでも、場合によってはローラーハースキルンでもロータリーキルンでもよく、特に限定されない。

0044

(粗焼成)
粗焼成工程においては、焼成炉の温度を好ましくは20〜200℃/時の昇温速度で目的の焼成温度である好ましくは300〜600℃まで上げる操作を行う。昇温速度を20℃/時以上にすることにより、目的の焼成温度まで達する時間が短くなり、生産性が向上するので好ましい。また、昇温速度を200℃/時以下にすることにより、各温度での反応物質化学変化が十分に進行するので好ましい。
粗焼成時の焼成温度は、300〜600℃が好ましく、350〜550℃がより好ましい。300℃以上にすることにより炭素成分残留しにくくなるので好ましい。また、600℃以下にすることにより本焼成後の生成物中に不純物相が生じにくくなるので好ましい。

0045

粗焼成の焼成時間は、4〜24時間が好ましく、8〜20時間がより好ましい。4時間以上にすることにより、炭素成分が残留しにくくなるので好ましい。また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性が低下するので24時間以下にすることが好ましい。この粗焼成は一定温度、例えば400℃で8時間保持してもよいし、例えば300℃から400℃にかけて20℃/時で昇温してもよい。

0046

粗焼成を行う際の焼成炉の雰囲気は、酸素含有雰囲気であり、空気中(大気中)又は酸素濃度が21体積%以下の雰囲気中であることが好ましい。酸素濃度が21体積%を超えると原料混合粉中の炭素成分が燃焼し、部分的に酸化反応が進む結果、生成物の構成元素が局在化する場合があるので、好ましくは21体積%以下の雰囲気にすることが好ましい。

0047

粗焼成を行った後、室温まで降温する。降温速度は、40〜200℃/時が好ましい。降温速度を40℃/時以上にすることにより生産性が向上するので好ましい。また、これを200℃/時以下にすることにより用いる焼成容器が熱衝撃のために割れてしまう可能性が低下するので好ましい。なお、焼成容器を変更せず、かつ解砕しない場合には粗焼成工程から降温せずに次の仮焼成工程に移行してもよい。
次いで、粗焼成工程で得られた酸化物を必要に応じて解砕する。解砕にはカッターミルジェットミルアトマイザー等の粉砕機を用い、一般に乾式で行う。解砕後の体積平均粒径としては1〜50μmが好ましい。より好ましくは1〜20μmである。

0048

(仮焼成)
引き続き、粗焼成粉は仮焼成される。仮焼成工程においては、焼成炉の温度を50〜800℃/時、好ましくは50〜400℃/時の昇温速度で目的の仮焼成温度まで上げる。昇温速度を50℃/時以上にすることにより、目的の焼成温度まで達する時間が短くなり、生産性が向上するので好ましい。また、昇温速度が800℃/時以下であると、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行するので好ましい。

0049

仮焼成の温度は、500〜800℃が好ましく、500〜700℃がより好ましい。500℃以上にすると炭素成分が残留することがないので好ましい。また、800℃以下であると焼成粉が過度に焼結しにくくなるので好ましい。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、8〜20時間がより好ましい。4時間以上であると、炭素成分が残留しにくくなるので好ましい。また、24時間以下であると、生成物に変化はなく、生産性が向上するので好ましい。

0050

仮焼成を行う際の焼成炉の雰囲気は、粗焼成時と同様の酸素含有雰囲気が好ましい。仮焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、40〜200℃/時が好ましい。40℃/時以上であると生産性が落ちることがないので好ましい。また、200℃/時以下により用いる焼成容器が熱衝撃のために割れてしまう可能性が低下するので好ましい。
次いで、仮焼成で得られた酸化物を粗焼成の後に行ったのと同様に必要に応じて解砕する。解砕にはカッターミル、ジェットミル、アトマイザー等の粉砕機を用い、一般に乾式で行なう。解砕後の体積平均粒径としては1〜50μmが好ましい。より好ましくは1〜20μmである。

0051

(本焼成)
さらに、仮焼成粉は本焼成される。本焼成工程においては、焼成炉の温度を50〜800℃/時、好ましくは50〜400℃/時の昇温速度で目的の焼成温度まで上げる。昇温速度が50℃/時以上であると、目的の焼成温度まで達する時間が短くなり、生産性が向上するので好ましい。また、昇温速度が800℃/時以下であると、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行せずに、反応物質が不均一な状態で目的の焼成温度に到達することがないため、焼成物中に副生成物を生じないので好ましい。

0052

本焼成の温度は、700〜1300℃が好ましく、750〜1250℃がより好ましい。700℃以上であり1300℃以下であると、目的とする結晶相が効果的に生成するので好ましい。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、5〜20時間がより好ましい。4時間以上であると、未反応物質が目的とする酸化物中に混在することなく、また、単一の結晶相の生成物が得られるので好ましい。また、24時間以下であると、生成物に変化はなく、生産性が低下することもないので好ましい。

0053

本焼成を行う際の焼成炉の雰囲気は、粗焼成又は仮焼成時と同様の酸素含有雰囲気中であることが好ましい。本焼成を行った後、室温まで降温する。降温速度は、40〜200℃/時が好ましい。40℃/時以上であると生産性が落ちることがないので好ましい。また、200℃/時以下にすることにより用いる焼成容器が熱衝撃のために割れてしまう可能性が低下するので好ましい。

0054

次いで、本焼成で得られた酸化物を粗焼成の後に行ったのと同様に解砕する。解砕はカッターミル、ジェットミル、アトマイザー等の粉砕機を用い、一般に乾式で行う。解砕後の粉体の体積平均粒径は1〜50μmが好ましい。より好ましくは1〜20μmである。その後、必要に応じて粒度調整のために湿式で粉砕してもよい。なお、上記の粗焼成、仮焼成、本焼成は、各工程の終了後に室温まで降温せずに、また焼成後の解砕を行なわずに、続けて行なってもよい。すなわち、粗焼成後に連続して仮焼成を行ってもよく、仮焼成後に連続して本焼成を行ってもよく、粗焼成、仮焼成、本焼成の3工程を連続して行ってもよい。

0055

成型体、焼結体)
本焼成して得られた粉末(微粒子)は、それぞれの微粒子がミクロのレベルにおいても、完全に均一な組成の(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3(LSCF)であり、これを成型体として焼結することにより、その成型焼結体は、固体酸化物型燃料電池用の空気極として好適に使用することができる。すなわち、成型焼結体は、高度に均一組成の微粒子組成をそのまま受け継ぐので、原理的に極めて均一組成のLSCF焼結体を形成する。

0056

成型体、焼結体を形成する手段としては、いずれも、既知の手段が適用される。例えば、まず、(La1−xSrx)aCoyFe1−yO3の粉末をバインダーと混合し、一定の体積を有する金型充填し、上から圧力をかけることにより、成型体が作製される。圧力をかける方法は、機械一軸プレス、冷間等方圧(CIP)プレス等特に限定されない。

0057

次に、この成型体を熱処理し焼結体を得る。熱処理温度は、1000〜1450℃が好ましく、1000〜1300℃がより好ましい。熱処理温度が1000℃以上では成型体の機械的強度が十分に保たれ、また1450℃以下であると生成したLSCFの一部が分解して、不純物を生成する可能性が低くなるし、本発明に係るランタンストロンチウムコバルト鉄複合酸化物の構成元素の均質性が損なわれる可能性が低くなるので好ましい。熱処理時間は、2〜24時間が好ましい。

0058

以下に、本発明の実施例(実施例1〜6)を、比較例(比較例1〜3)と対比して説明する。しかしながら、これら実施例は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明がこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。なお、以下、「%」は、特に断りなき限り、「質量(又は重量)%」である。

0059

〔実施例1〕
(1)(原料粉末及び有機酸の準備)
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3を形成するように各原料粉末の秤量を行った。
すなわち、表1に示すようにLa源として酸化ランタン(La2O3)356.8g、Sr源として炭酸ストロンチウム(SrCO3)215.7g、Co源としてCo含有量が46.58%の日本化学産業製炭酸コバルト(CoCO3)92.16g、及びFe源としてFe含有量が18.56%のクエン酸鉄(FeC6H5O7・nH2O)876.7g(原子比で、La:Sr:Co:Feが0.6:0.4:0.2:0.8とする。)を秤量した。

0060

一方で、20L(リットルセパラブルフラスコにLaイオンのモル数に対して3倍量、Srイオン、Coイオンのモル数に対してそれぞれ2倍量、Feイオンのモル数に対しては、既にクエン酸鉄中に1モルのクエン酸が存在するので等量のクエン酸一水和物2908gを55℃の純水4.0Lに加えてクエン酸水溶液を調製した。これに重炭酸アンモニウム1037g(Laイオンのモル数に対して6倍量)を加えて撹拌槽型反応容器中で、28℃で溶解させた。

0061

(2)(中間生成物及び乾燥)
上記の重炭酸アンモニウムを加えたクエン酸水溶液に酸化ランタンを投入し、70℃まで加熱し、その温度で2時間反応させた。酸化ランタンは完全に溶解し、無色透明溶液が得られた。
これに、炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、及びクエン酸鉄を添加して55℃でさらに2時間反応させた。各金属塩は完全に溶解し、黒褐色透明溶液が得られた。

0062

反応終了後、得られた溶液を噴霧乾燥機で乾燥させ、中間生成物である複合クエン酸塩の乾燥粉末を得た。なお、噴霧乾燥機としては、BDP−10型スプレーバッグドライヤー(大川原化工機社製)を使用し、入口温度:200℃、出口温度:125℃、アトマイザー回転数:15000rpmの条件で乾燥を行った。

0063

(3)(粗焼成、仮焼成、本焼成)
得られた乾燥粉末をムライト質の30cmの角サヤ4枚に充填し、大気中において、電気炉で、400℃で10時間焼成し、有機物を分解させた(粗焼成)。室温から400℃までの昇温速度は400℃/3時間とし、400℃から室温までの降温速度は400℃/4時間とした。
得られた粗焼成粉をムライト質の30cmの角サヤ1枚に充填し、大気中において、電気炉で、600℃で10時間焼成し、残存炭素を分解させた(仮焼成)。室温から500℃までの昇温速度は500℃/3時間、さらに600℃までの昇温時間は100℃/2時間とし、600℃から室温までの降温速度は600℃/6時間とし、仮焼成粉を得た。

0064

仮焼成粉をムライト質の30cmの角サヤ1枚に充填し、大気中において、電気炉で、1000℃で6時間焼成し、目的のLSCF最終粉末(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3)を得た(本焼成)。室温から700℃までの昇温速度は700℃/4時間、さらに1000℃までの昇温時間は100℃/1時間とし、1000℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。本焼成後、焼成粉を解砕し、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉を得た。

0065

(4)(成分分析
(i)XRD分析
少量のLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の最終粉末を分取し、その結晶相を同定するためCuKαをX線源とする粉末X線回折測定を行った。X線回折測定にはリガク社製のRINT2200Vを用いた。その結果、菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造であることが確認された。

0066

(ii)EPMA分析
また、上記粉末をEPMA分析し、ランタンのLα1特性X線、ストロンチウムのLα1特性X線、鉄のKα1特性X線、及びコバルトのKα1特性X線のピーク強度をカウント単位で測定した。測定試料は、粉末をエポキシ樹脂包埋し、機械研磨により作製した断面に厚さ30nmのカーボンをコートすることによって作製した。
測定にはJEOL社製のFE-EPMA JXA−8500Fを使用し、測定試料に照射する電子線は15kVで加速し、照射電流30nA、プローブ径1μmの条件下で測定した。特性X線は0.5μm角を1ポイントとした500×500ポイントの範囲(250×250μm)で計測し、それぞれのポイントでの各元素の特定X線の計測時間は50ミリ秒とした。また、積算回数は1回とした。
また、ランタンのLα1特性X線とストロンチウムのLα1特性X線の分光には、分光結晶としてそれぞれPETJ、TAPを、鉄のKα1特性X線とコバルトのKα1特性X線の分光にはいずれもLIFHを使用した。

0067

図1は、上記粉末のEPMA測定によるストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]を縦軸とし、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]を横軸とする図である。ストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Sr]=0.8200[La]+4.3384近傍の式(3)で表される領域に分布していることがわかる。
0.82[La]−88≦[Sr]≦0.82[La]+88 (3)

0068

また、図2は、上記粉末のEPMA測定による鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]を縦軸とし、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]を横軸とする図である。鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Fe]=3.4104[Co]+1.7013近傍の式(4)で表される領域に分布していることがわかる。
3.4[Co]−133≦[Fe]≦3.4[Co]+133 (4)

0069

(iii)粒度分布測定
少量のLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3を以下のようにイオン交換水に分散させて試料を調製した。分散剤として、和光純薬社製の二リン酸ナトリウム十水和物を使用した濃度0.24重量%の水溶液を用い、約0.001gのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3と分散液とから全体が10mlとなるように分散液を調製し、3分間超音波を照射したものを試料とした。その試料からLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の粒度分布をHORIBA社製のレーザー回折/散乱式粒度分布装置LA−920を用いて測定した。測定の直前に180秒間出力30Wの超音波処理を施した。その結果、体積平均粒径D50は15.1μmであった。

0070

〔実施例2〕
(1)(原料粉末及び有機酸の準備)
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3を形成するように実施例1と同様にして各原料粉末の秤量を行った。(表1参照)
一方で、20Lのセパラブルフラスコ中にクエン酸一水和物1837gとリンゴ酸1954gと純水4.0Lとを加えてクエン酸とリンゴ酸との混合物からなる水溶液を調製し、これに重炭酸アンモニウム等のアンモニウム源を添加することなく撹拌槽型反応容器中で、28℃で溶解させた。

0071

(2)(中間生成物及び乾燥)
上記のクエン酸とリンゴ酸との混合物の水溶液に酸化ランタンを投入し、55℃まで加熱し、その温度で2時間反応させた。酸化ランタンは完全に溶解し、無色透明溶液が得られた。
これに、炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、クエン酸鉄を添加して55℃でさらに2時間反応させた。各金属塩は完全に溶解し、黒褐色透明溶液が得られた。

0072

反応終了後、得られた溶液を噴霧乾燥機により乾燥させ、中間生成物である複合有機酸塩の乾燥粉末を得た。なお、噴霧乾燥機としては、実施例1と同じBDP−10型スプレーバッグドライヤー(大川原化工機社製)を使用し、実施例1と同様の条件で乾燥を行った。

0073

(3)(粗焼成、仮焼成、本焼成)
得られた乾燥粉末をムライト質の30cmの角サヤ4枚に充填し、大気中において、電気炉で、実施例1と同様にして粗焼成した後、仮焼成し、さらに本焼成を行なった。
本焼成後、焼成粉を解砕しLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉を得た。

0074

(4)(成分分析)
(i)XRD分析
少量のLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の最終粉末を分取し、実施例1と同様にして粉末X線回折測定を行った。その結果、当該粉末は、菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造であることが確認された。

0075

(ii)EPMA分析
また、当該粉末を実施例1と同様にしてEPMAにより分析し、ランタンのLα1特性X線、ストロンチウムのLα1特性X線、鉄のKα1特性X線、及びコバルトのKα1特性X線のピーク強度をカウント単位で測定した。
当該粉末のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Sr]=0.8581[La]+3.8959近傍の式(5)で表される領域に分布していた。
0.86[La]−108≦[Sr]≦0.86[La]+108 (5)
一方、当該粉末の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Fe]=3.2425[Co]+3.3556近傍の式(6)で表される領域に分布していた。
3.2[Co]−186≦[Fe]≦3.2[Co]+186 (6)

0076

(iii)粒度分布測定
実施例1と同様にして粒度分布測定を行なった。その結果、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の体積平均粒径D50は15.7μmであった。

0077

〔比較例1〕
(1)(原料粉末及び有機酸を添加してなる中間生成物)
実施例1と同様にLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3を形成するように各原料粉末の秤量を行った。(表1参照)
一方で、20Lセパラブルフラスコに純水2L(リットル)を加え、酸化ランタンを添加して液温50℃に保持し、2時間水和反応(La2O3+3H2O→2La(OH)3)させた。これに炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、クエン酸鉄を加えて1時間分散させた。さらにクエン酸一水和物816gを加えて2時間反応させ、褐色のスラリーを得た。
なお、必要なクエン酸一水和物の量は、Laイオン及びCoイオンのモル数に対してそれぞれ等量、Srイオンのモル数に対して2/3倍量である。

0078

(2)(中間生成物の乾燥)
クエン酸一水和物を添加して得られた調合スラリーステンレスバットに移し、110℃に設定した棚段乾燥機で1日乾燥させた。

0079

(3)(粗焼成、仮焼成、本焼成)
得られた乾燥粉末をムライト質の30cmの角サヤ4枚に充填し、大気中において、電気炉で、実施例1と同様にして粗焼成した後、仮焼成し、さらに600℃で6時間本焼成を行なった。
なお、本焼成の温度プログラムは、室温から600℃までの昇温速度は600℃/4時間とした。また600℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。本焼成後、焼成粉を解砕しLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉を得た。

0080

(4)(成分分析)
(i)XRD分析
少量のLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の最終粉末を分取し、実施例1と同様にして粉末X線回折測定を行った。その結果、当該粉末は、菱面体晶(113相):77.9wt%、SrCO3:19.3wt%、La2O2CO3:2.8wt%と、不純物相が多数含まれていた。

0081

(ii)EPMA分析
また、当該粉末を実施例1と同様にしてEPMAにより分析し、ランタンのLα1特性X線、ストロンチウムのLα1特性X線、鉄のKα1特性X線、及びコバルトのKα1特性X線のピーク強度をカウント単位で測定した。
図3は、当該粉末のEPMA測定によるストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]を縦軸とし、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]を横軸とする図である。ストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Sr]=0.7483[La]+16.8516近傍の式(7)で表される領域に分布していることがわかる。
0.75[La]−332≦[Sr]≦0.75[La]+332 (7)
また、図4は、当該粉末のEPMA測定による鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]を縦軸とし、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]を横軸とする図である。鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Fe]=3.1284[Co]+12.3446近傍の式(8)で表される領域に分布していることがわかる。
3.1[Co]−250≦[Fe]≦3.1[Co]+250 (8)

0082

(iii)粒度分布測定
実施例1と同様にして粒度分布測定を行なった。その結果、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の体積平均粒径D50は15.3μmであった。

0083

〔比較例2〕
(1)比較例1において、1200℃で6時間本焼成を行なったほかは、同様の実験を行い、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3で表される最終粉末を得た。(表1参照)
なお、本焼成の温度プログラムは、室温から700℃までの昇温速度は700℃/4時間、さらに1000℃までの昇温速度は100℃/1時間、1200℃までの昇温速度は200℃/3時間とした。また1200℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。

0084

(2)(成分分析)
(i)XRD分析
少量のLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の最終粉末を分取し、実施例1と同様にして粉末X線回折測定を行った。その結果、当該粉末は、菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造であることが確認された。

0085

(ii)EPMA分析
また、当該粉末を実施例1と同様にしてEPMAにより分析し、ランタンのLα1特性X線、ストロンチウムのLα1特性X線、鉄のKα1特性X線、及びコバルトのKα1特性X線のピーク強度をカウント単位で測定した。
当該粉末のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Sr]=0.7546[La]+5.8214近傍の式(9)で表される領域に分布していた。
0.75[La]−157≦[Sr]≦0.75[La]+157 (9)
一方、当該粉末の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Fe]=3.1912[Co]+9.8977近傍の式(10)で表される領域に分布していた。
3.2[Co]−1309≦[Fe]≦3.2[Co]+1309 (10)

0086

(iii)粒度分布測定
実施例1と同様にして粒度分布測定を行なった。その結果、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の体積平均粒径D50は15.5μmであった。

0087

〔比較例3〕
(1)原料粉末の秤量及び混合
実施例1においてFe源としてのクエン酸鉄の代わりに酸化鉄(Fe2O3)234.0gを使用したほかは、同様の実験を行い、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3を形成するように各原料粉末の秤量を行った。(表1参照)秤量した原料粉末を内容量5Lのナイロンポットに移し、5mmφのジルコニアボール10kg、イオン交換水2.2Lと共にボールミルで24時間混合し、110℃に設定した乾燥機で24時間乾燥させることで原料混合粉を得た。

0088

(2)(粗焼成、仮焼成、本焼成)
得られた原料混合粉末をムライト質の30cmの角サヤ4枚に充填し、大気中において、電気炉で、実施例1と同様にして粗焼成した後、仮焼成し、さらに1100℃で6時間本焼成を行なった。
なお、本焼成の温度プログラムは、室温から1100℃までの昇温速度は1100℃/6時間とした。また1100℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。本焼成後、焼成粉を解砕しLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉を得た。

0089

(3)(成分分析)
(i)XRD分析
少量のLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の最終粉末を分取し、実施例1と同様にして粉末X線回折測定を行った。その結果、当該粉末は、菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造であることが確認された。

0090

(ii)EPMA分析
また、当該粉末を実施例1と同様にしてEPMAにより分析し、ランタンのLα1特性X線、ストロンチウムのLα1特性X線、鉄のKα1特性X線、及びコバルトのKα1特性X線のピーク強度をカウント単位で測定した。
図5は、当該粉末のEPMA測定によるストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]を縦軸とし、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]を横軸とする図である。
図5中のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Sr]=0.7883[La]+4.6565近傍の式(11)で表される領域に分布していた。
0.79[La]−146≦[Sr]≦0.79[La]+146 (11)

0091

また、図6は、当該粉末のEPMA測定による鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]を縦軸とし、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]を横軸とする図である。
図6中の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Fe]=3.0452[Co]+13.1548近傍の式(12)で表される領域に分布していた。
3.1[Co]−1283≦[Fe]≦3.1[Co]+1283 (12)

0092

(iii)粒度分布測定
実施例1と同様にして粒度分布測定を行なった。その結果、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の体積平均粒径D50は14.8μmであった。

0093

〔実施例3〕
(1)(原料粉末及び有機酸の準備)
La0.8Sr0.2Co0.2Fe0.8O3を形成するように各原料粉末の秤量を行った。すなわち、表1に示すようにLa源としての炭酸ランタン(La2(CO3)3・8H2O)847.1g、Sr源としての炭酸ストロンチウム(SrCO3)102.3g、Co源としての水酸化コバルト(Co(OH)2)65.17g、及びFe源としてFe含有量が45.58%の含水水酸化鉄(Fe(OH)3)338.7g(原子比で、La:Sr:Co:Feが0.8:0.2:0.2:0.8とする。)を秤量した。一方で、20Lセパラブルフラスコ中にマレイン酸1910gと純水8.0L(リットル)とを加えてマレイン酸水溶液を調製し、これに重炭酸アンモニウム等のアンモニウム源を添加することなく撹拌して55℃で溶解させた。

0094

(2)(中間生成物及び乾燥)
上記のマレイン酸水溶液に炭酸ランタン、炭酸ストロンチウム、水酸化コバルト、水酸化鉄を添加して70℃まで加熱し、その温度で2時間反応させた。各金属塩は完全に溶解し、黒褐色透明溶液が得られた。
反応終了後、得られた溶液を噴霧乾燥機で乾燥させ、中間生成物である複合マレイン酸塩の乾燥粉末を得た。なお、噴霧乾燥機としては、実施例1と同じBDP−10型スプレーバッグドライヤー(大川原化工機社製)を使用し、実施例1と同様の条件で乾燥を行った。

0095

(3)(粗焼成、仮焼成、本焼成)
得られた乾燥粉末を実施例1と同じ条件で粗焼成及び仮焼成した。
当該仮焼成粉をムライト質の30cmの角サヤ1枚に充填し、大気中において、電気炉で、1200℃で6時間焼成し、解砕後LSCF最終粉末(La0.8Sr0.2Co0.2Fe0.8O3)を得た(本焼成)。室温から700℃までの昇温速度は700℃/4時間、さらに1200℃までの昇温時間は100℃/1時間とし、1200℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。

0096

(4)(成分分析)
(i)XRD分析
少量のLa0.8Sr0.2Co0.2Fe0.8O3の最終粉末を分取し、その結晶相を同定するためCuKαをX線源とする粉末X線回折測定を行った。X線回折測定には実施例1と同様のリガク社製のRINT2200Vを用いた。その結果、菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造であることが確認された。

0097

(ii)EPMA分析
また、当該粉末を実施例1と同様にしてEPMAにより分析し、ランタンのLα1特性X線、ストロンチウムのLα1特性X線、鉄のKα1特性X線、及びコバルトのKα1特性X線のピーク強度をカウント単位で測定した。
当該粉末のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Sr]=0.3135[La]+4.6452近傍の式(13)で表される領域に分布していた。
0.31[La]−115≦[Sr]≦0.31[La]+115 (13)
一方、当該粉末の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Fe]=2.4330[Co]+17.7364近傍の式(14)で表される領域に分布していた。
2.4[Co]−267≦[Fe]≦2.4[Co]+267 (14)

0098

(iii)粒度分布測定
実施例1と同様にして粒度分布測定を行なった。その結果、La0.8Sr0.2Co0.2Fe0.8O3の体積平均粒径D50は15.9μmであった。

0099

〔実施例4〕
(1)(原料粉末及び有機酸の準備)
La0.8Sr0.2Co0.8Fe0.2O3を形成するように各原料粉末の秤量を行った。
すなわち、表1に示すようにLa源としての水酸化ランタン(La(OH)3)521.5g、Sr源としての炭酸ストロンチウム(SrCO3)101.5g、Co源としてのCo含有量が46.58%の日本化学産業社製炭酸コバルト(CoCO3)347.0g、及びFe源としてFe含有量が45.58%の含水水酸化鉄(Fe(OH)3)84.00g(原子比で、La:Sr:Co:Feが0.8:0.2:0.8:0.2とする。)を秤量した。一方で、20Lセパラブルフラスコ中に純度90%の乳酸2985gと純水4.0L(リットル)とを加えて乳酸水溶液を調製し、これに重炭酸アンモニウム等のアンモニウム源を添加することなく撹拌して50℃で溶解させた。

0100

(2)(中間生成物及び乾燥)
上記の乳酸水溶液に水酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、含水水酸化鉄を添加して50℃で2時間反応させた。各金属塩は完全に溶解し、黒褐色透明溶液が得られた。
反応終了後、得られた溶液を噴霧乾燥機で乾燥させ、中間生成物である複合乳酸塩の乾燥粉末を得た。なお、噴霧乾燥機としては、実施例1と同じBDP−10型スプレーバッグドライヤー(大川原化工機社製)を使用し、実施例1と同様の条件で乾燥を行った。

0101

(3)(粗焼成、仮焼成、本焼成)
得られた乾燥粉末を実施例1と同じ条件で粗焼成及び仮焼成した。
当該仮焼成粉をムライト質の30cmの角サヤ1枚に充填し、大気中において、電気炉で、750℃で6時間焼成し、目的のLSCF最終粉末(La0.8Sr0.2Co0.8Fe0.2O3)を得た(本焼成)。
なお、室温から750℃までの昇温速度は750℃/4時間とした。また750℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。

0102

(4)(成分分析)
(i)XRD分析
少量のLa0.8Sr0.2Co0.8Fe0.2O3の最終粉末を分取し、その結晶相を同定するためCuKαをX線源とする粉末X線回折測定を行った。X線回折測定には実施例1と同様のリガク社製のRINT2200Vを用いた。その結果、菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造であることが確認された。

0103

(ii)EPMA分析
また、当該粉末を実施例1と同様にしてEPMAにより分析し、ランタンのLα1特性X線、ストロンチウムのLα1特性X線、鉄のKα1特性X線、及びコバルトのKα1特性X線のピーク強度をカウント単位で測定した。
当該粉末のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Sr]=0.3146[La]+3.8285近傍の式(15)で表される領域に分布していた。
0.31[La]−92≦[Sr]≦0.31[La]+92 (15)
一方、当該粉末の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Fe]=0.2271[Co]+2.7800近傍の式(16)で表される領域に分布していた。
0.23[Co]−68≦[Fe]≦0.23[Co]+68 (16)

0104

(iii)粒度分布測定
実施例1と同様にして粒度分布測定を行なった。その結果、La0.8Sr0.2Co0.8Fe0.2O3の体積平均粒径D50は16.1μmであった。

0105

〔実施例5〕
(1)(原料粉末及び有機酸の準備)
La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2O3を形成するように各原料粉末の秤量を行った。
すなわち、表1に示すようにLa源としての水酸化ランタン(La(OH)3)412.1g、Sr源としての炭酸ストロンチウム(SrCO3)213.9g、Co源としてのCo含有量が46.58%の日本化学産業社製炭酸コバルト(CoCO3)365.6g、及びFe源としてFe含有量が45.58%の含水水酸化鉄(Fe(OH)3)88.50g(原子比で、La:Sr:Co:Feが0.6:0.4:0.8:0.2とする。)を秤量した。一方で、20Lセパラブルフラスコ中にクエン酸一水和物1973gと55℃の純水4.0L(リットル)とを加えてクエン酸水溶液を調製し、これにクエン酸水素二アンモニウム1470gを加えて撹拌槽型反応容器中で、28℃で溶解させた。

0106

(2)(中間生成物及び乾燥)
上記のクエン酸水素二アンモニウムを加えたクエン酸水溶液に水酸化ランタンを投入し、70℃まで加熱し、その温度で2時間反応させた。水酸化ランタンは完全に溶解し、無色透明溶液が得られた。これに、炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、含水水酸化鉄を添加して55℃でさらに2時間反応させた。各金属塩は完全に溶解し、黒褐色透明溶液が得られた。
反応終了後、得られた溶液を噴霧乾燥機で乾燥させ、中間生成物である複合クエン酸塩の乾燥粉末を得た。なお、噴霧乾燥機としては、実施例1と同じBDP−10型スプレーバッグドライヤー(大川原化工機社製)を使用し、実施例1と同様の条件で乾燥を行った。

0107

(3)(粗焼成、仮焼成、本焼成)
得られた乾燥粉末を実施例1と同じ条件で粗焼成及び仮焼成した。
当該仮焼成粉をムライト質の30cmの角サヤ1枚に充填し、大気中において、電気炉で、800℃で6時間焼成し、解砕後LSCF最終粉末(La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2O3)を得た(本焼成)。室温から800℃までの昇温速度は800℃/4時間とし、800℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。

0108

(4)(成分分析)
(i)XRD分析
少量のLa0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2O3の最終粉末を分取し、その結晶相を同定するためCuKαをX線源とする粉末X線回折測定を行った。X線回折測定には実施例1と同様のリガク社製のRINT2200Vを用いた。その結果、菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造であることが確認された。

0109

(ii)EPMA分析
また、当該粉末を実施例1と同様にしてEPMAにより分析し、ランタンのLα1特性X線、ストロンチウムのLα1特性X線、鉄のKα1特性X線、及びコバルトのKα1特性X線のピーク強度をカウント単位で測定した。
図7は、当該粉末のEPMA測定によるストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]を縦軸とし、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]を横軸とする図である。
図7中のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Sr]=0.9095[La]+3.9086近傍の式(17)で表される領域に分布していた。
0.91[La]−110≦[Sr]≦0.91[La]+110 (17)

0110

また、図8は、当該粉末のEPMA測定による鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]を縦軸とし、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]を横軸とする図である。
図8中の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Fe]=0.1722[Co]+5.2756近傍の式(18)で表される領域に分布していた。
0.17[Co]−128≦[Fe]≦0.17[Co]+128 (18)

0111

(iii)粒度分布測定
実施例1と同様にして粒度分布測定を行なった。その結果、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2O3の体積平均粒径D50は15.8μmであった。

0112

〔実施例6〕
(1)(最終粉末調製)
(La0.6Sr0.4)0.99Co0.2Fe0.8O3を形成するように各原料粉末の秤量を行った。すなわち、表1に示すようにLa源としての酸化ランタン(La2O3)355.5g、Sr源としての炭酸ストロンチウム(SrCO3)214.9g、Co源としてCo含有量が46.58%の日本化学産業社製炭酸コバルト(CoCO3)92.75g、及びFe源としてのFe含有量が18.56%のクエン酸鉄(FeC6H5O7・nH2O)882.3g(原子比で、La:Sr:Co:Feが0.594:0.396:0.2:0.8とする。)を秤量した。一方で、20LセパラブルフラスコにLaイオンのモル数に対して3倍量、Srイオン、Coイオンのモル数に対してそれぞれ2倍量、Feイオンのモル数に対して等量のクエン酸一水和物2907gを55℃の純水4.0L(リットル)に加えてクエン酸水溶液を調製した。これに重炭酸アンモニウム1033g(La金属に対して6倍量)を加えて28℃で溶解させた。
以下、本焼成における焼成温度を800℃とした以外は実施例1と同様に処理して(La0.6Sr0.4)0.99Co0.2Fe0.8O3粉を得た。
室温から800℃までの昇温速度は800℃/4時間とし、800℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。

0113

(2)(成分分析)
(i)XRD分析
少量の(La0.6Sr0.4)0.99Co0.2Fe0.8O3の最終粉末を分取し、その結晶相を同定するためCuKαをX線源とする粉末X線回折測定を行った。X線回折測定には実施例1と同様のリガク社製のRINT2200Vを用いた。その結果、菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造であることが確認された。

0114

(ii)EPMA分析
また、当該粉末を実施例1と同様にしてEPMAにより分析し、ランタンのLα1特性X線、ストロンチウムのLα1特性X線、鉄のKα1特性X線、及びコバルトのKα1特性X線のピーク強度をカウント単位で測定した。
当該粉末のストロンチウムのLα1特性X線のピーク強度[Sr]と、ランタンのLα1特性X線のピーク強度[La]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Sr]=0.7627[La]+3.8587近傍の式(19)で表される領域に分布していた。
0.76[La]−118≦[Sr]≦0.76[La]+118 (19)
一方、当該粉末の鉄のKα1特性X線のピーク強度[Fe]と、コバルトのKα1特性X線のピーク強度[Co]とから決まる組成分布を表す分散点は、[Fe]=3.2986[Co]+8.2651近傍の式(20)で表される領域に分布していた。
3.3[Co]−228≦[Fe]≦3.3[Co]+228 (20)

0115

(iii)粒度分布測定
実施例1と同様にして粒度分布測定を行なった。その結果、(La0.6Sr0.4)0.99Co0.2Fe0.8O3の体積平均粒径D50は15.1μmであった。
以上の結果を表1にまとめて示す。

実施例

0116

0117

本発明によれば、ペロブスカイト構造を有し、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄、及び酸素を含有する複合酸化物である固体酸化物型燃料電池用の空気極材料粉末において、従来の固相法、共沈法、スラリー法によるものと比較してより高度に均一な組成を有する新規のLSCF粉末が提供される。この高度に均一な組成を有するLSCF粉末を成形体として焼結した場合、焼結体はこの均一な組成を受け継ぐので原理的に極めて均一な組成のLSCF焼結体が得られる。
また、本発明の製造方法によれば、このように高度に均一な組成を有するLSCF粉末を得ることが可能になるのでその産業上の利用可能性は大きい。

0118

なお、2012年3月9日に出願された日本特許出願2012−053479号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

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