図面 (/)

技術 ベンゾチオフェン化合物、該化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤及び抗癌剤、並びに抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法

出願人 国立大学法人東京医科歯科大学
発明者 清水重臣細谷孝充室橋道子吉田優
出願日 2013年2月7日 (7年0ヶ月経過) 出願番号 2013-557579
公開日 2015年5月11日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 WO2013-118842
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 宣伝物 浄化機構 隔離膜 アジドメチル基 吸引剤 SBS サプライヤー 蛍光輝点
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年5月11日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (19)

蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質発現している細胞において、前記リソソームタンパク質の凝集による蛍光輝点の発生を指標として、オルタナティブオートファジー誘導する活性を有する化合物を選択することにより、効率的に抗癌活性を有する化合物をスクリーニングすることが可能であることを見出した。そして、下記一般式(1):

化1

で表されるベンゾチオフェン化合物がオルタナティブオートファジー誘導活性及び抗癌活性を有していることを見出した。

概要

背景

オートファジーマクロオートファジー)は、オルガネラ等の細胞内成分を分解する細胞浄化機構である。オートファジーにおいては、二重膜隔離膜)によってオルガネラ等が取り囲まれ、次いで該隔離膜を閉鎖し、さらにリソソームと融合することにより、その内容物であるオルガネラ等が分解されることが知られている。これまでの解析から、30余りのオートファジーに関する分子が同定されており、これらの分子の中で、特にAtg5、Atg7、LC3等がオ—トファジーの実行に必須の分子として考えられていた。

しかし、昨今、本発明者らによって、これらの分子を必要とせず、ゴルジ装置エンドソーム起源とし、Rab9等の分子によって調節されている新規のオートファジー(オルタナティブオートファジー)の存在が見出された(非特許文献1)。オルタナティブオートファジーは細胞ストレスによって強く誘導されることから、この機構破綻が、癌等の誘発に関与していることが想定されている。このため、オルタナティブオートファジーを利用する、抗癌剤の開発が期待されているが、いまだ成功に至っていない。さらには、このような抗癌剤の候補となる化合物スクリーニングする手法は未だ開発されていないのが現状である。

一方、ベンゾチオフェン化合物については、2位の置換基アセトアミド基等であり、且つ6位の置換基が水素又はハロゲン原子であるベンゾチオフェン化合物がDNAメチルトランスフェラーゼ阻害活性を有すること、並びに癌増殖抑制作用を有していることが開示されている(特許文献1)。しかしながら、オルタナティブオートファジー誘導活性を有するベンゾチオフェン化合物は未だ同定されていない。

概要

蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質発現している細胞において、前記リソソームタンパク質の凝集による蛍光輝点の発生を指標として、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物を選択することにより、効率的に抗癌活性を有する化合物をスクリーニングすることが可能であることを見出した。そして、下記一般式(1):で表されるベンゾチオフェン化合物がオルタナティブオートファジー誘導活性及び抗癌活性を有していることを見出した。

目的

本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を指標として、効率的に、抗癌活性を有する化合物をスクリーニングする方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

下記一般式(1):[式(1)中、R1は、ハロゲン原子置換基を有していてもよい5〜10員環芳香族炭素環、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環、又は−R6−R7で表わされる基を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基を示す。R3は、水素原子又は−C(=O)R9で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基置換されていてもよいアミノ基を示す。R8は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R9は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。]で表されるベンゾチオフェン化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤

請求項2

下記一般式(1):[式(1)中、R1は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環、又は−R6−R7で表わされる基を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基を示す。R3は、水素原子又は−C(=O)R9で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。R8は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R9は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。]で表されるベンゾチオフェン化合物を細胞に導入する工程を含む、オルタナティブオートファジーを誘導するための方法。

請求項3

下記(a)及び(b)からなる群から選択される少なくとも一つのベンゾチオフェン化合物(a)下記一般式(1):[式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基を示す。R3は、水素原子又は−C(=O)R9で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。R8は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R9は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。]で表されるベンゾチオフェン化合物(b)前記一般式(1):[式(1)中、R1は、ハロゲン原子を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、又は−O−R6−R7で表わされる基を示す。R3は、水素原子で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。]で表されるベンゾチオフェン化合物。

請求項4

請求項3に記載のベンゾチオフェン化合物を有効成分とする抗癌剤

請求項5

請求項3に記載のベンゾチオフェン化合物を患者投与する工程を含む、癌を治療するための方法。

請求項6

下記(a)の工程を含む、抗癌活性を有する化合物スクリーニングするための方法(a)蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質発現している細胞と、被験化合物とを接触させ、前記リソソームタンパク質の凝集による蛍光輝点の発生を指標として、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物を選択する工程。

請求項7

下記(b)の工程をさらに含む、請求項6に記載の方法(b)細胞と被験化合物とを接触させ、接触後の前記細胞の生存率を指標として、細胞死を誘導する活性を有する化合物を選択する工程。

請求項8

工程(b)において、前記細胞が初代培養細胞及び不死化細胞であり、前記初代培養細胞の生存率が80%以上であり、且つ前記不死化細胞の生存率が30%以下であることを前記指標とする、請求項7に記載の方法。

請求項9

工程(b)において、前記細胞がアポトーシス抵抗性細胞であり、前記生存率が20%以下であることを前記指標とする、請求項7に記載の方法。

請求項10

下記(c)の工程をさらに含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法(c)工程(a)においてオルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物として選択され、且つ工程(b)において細胞死を誘導する活性を有する化合物として選択された化合物を、担癌非ヒト動物に導入し、当該担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさを測定し、得られた測定値が、当該被験化合物を導入していない担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさの測定値より小さい場合、当該被験化合物を抗癌活性を有する化合物として選択する工程。

技術分野

0001

本発明は、ベンゾチオフェン化合物、並びに該化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤及び抗癌剤に関する。また、本発明は、ベンゾチオフェン化合物を用いるオルタナティブオートファジーを誘導するための方法及び癌を治療するための方法に関する。さらに、本発明は、抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法に関する。

背景技術

0002

オートファジー(マクロオートファジー)は、オルガネラ等の細胞内成分を分解する細胞浄化機構である。オートファジーにおいては、二重膜隔離膜)によってオルガネラ等が取り囲まれ、次いで該隔離膜を閉鎖し、さらにリソソームと融合することにより、その内容物であるオルガネラ等が分解されることが知られている。これまでの解析から、30余りのオートファジーに関する分子が同定されており、これらの分子の中で、特にAtg5、Atg7、LC3等がオ—トファジーの実行に必須の分子として考えられていた。

0003

しかし、昨今、本発明者らによって、これらの分子を必要とせず、ゴルジ装置エンドソーム起源とし、Rab9等の分子によって調節されている新規のオートファジー(オルタナティブオートファジー)の存在が見出された(非特許文献1)。オルタナティブオートファジーは細胞ストレスによって強く誘導されることから、この機構破綻が、癌等の誘発に関与していることが想定されている。このため、オルタナティブオートファジーを利用する、抗癌剤の開発が期待されているが、いまだ成功に至っていない。さらには、このような抗癌剤の候補となる化合物をスクリーニングする手法は未だ開発されていないのが現状である。

0004

一方、ベンゾチオフェン化合物については、2位の置換基アセトアミド基等であり、且つ6位の置換基が水素又はハロゲン原子であるベンゾチオフェン化合物がDNAメチルトランスフェラーゼ阻害活性を有すること、並びに癌増殖抑制作用を有していることが開示されている(特許文献1)。しかしながら、オルタナティブオートファジー誘導活性を有するベンゾチオフェン化合物は未だ同定されていない。

0005

特開2007−153792号公報

先行技術

0006

西田友哉、荒川聡子、清水重臣ら、Nature、2009年10月1日、461巻、7264号、654〜658ページ

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、オルタナティブオートファジーを誘導する活性指標として、効率的に、抗癌活性を有する化合物をスクリーニングする方法を提供することにある。さらには、オルタナティブオートファジー誘導剤及び抗癌剤として有用なベンゾチオフェン化合物、並びに癌を治療するための方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、前記目的を達成すべく、先ず、被験化合物と、蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質Lamp1を発現しているAtg5欠損細胞とを接触させ、前記リソソームタンパク質の凝集による蛍光輝点の発生を指標として、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物を選択する系を構想した。そして、実際にこの系を利用して11588種もの被験化合物からオルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物を選択し、さらに、これら化合物の中から、初代培養細胞には細胞死を誘導せず、不死化細胞癌細胞)には細胞死を誘導できる化合物を選択した。また、選択した化合物を担癌非ヒト動物に導入し、当該担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさを指標として抗癌活性を評価し、抗癌活性を有する化合物を複数同定した。

0009

次いで、本発明者らは、前記蛍光輝点の発生を指標にオルタナティブオートファジーを誘導する活性があると認められた化合物及び認められなかった化合物について、担癌非ヒト動物を用いて抗癌活性を評価した。その結果、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有さない化合物については抗癌活性が全く認められず、一方、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物の殆どにおいて抗癌活性が認められた。

0010

これら事実から、本発明者らは、蛍光輝点の発生を指標にオルタナティブオートファジーを誘導する活性を評価する系を利用して、効率的に、抗癌活性を有する化合物をスクリーニングすることが可能であることを見出し、本発明のスクリーニング方法を完成するに至った。

0011

さらに、このスクリーニングを行った結果、2−アセトアミド−6−ブロモ−7−(2−(N,N−ジエチルアミノエトキシベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸エチルエステル(Ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate)が、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有していることを見出した。さらにまた、当該化合物には細胞死を誘導する活性並びに抗癌活性を有していることも見出した。また、当該化合物及びその類似化合物に関して、オルタナティブオートファジーを誘導する活性及び抗癌活性について調べた結果、オルタナティブオートファジー誘導活性を有していないベンゾチオフェン化合物については抗癌活性が認められず、一方、オルタナティブオートファジー誘導活性を有するベンゾチオフェン化合物においては、その殆どにて抗癌活性が認められることも見出した。

0012

さらに、本発明者らは、かかる知見に基づき、2位の置換基がアミノ基であり、且つ6位の置換基がハロゲン原子である新規ベンゾチオフェン化合物と、2位の置換基がアセトアミド基等であり、且つ6位の置換基が芳香族炭素環等である新規ベンゾチオフェン化合物とを合成し、これら化合物のオルタナティブオートファジー誘導活性を評価した結果、これら化合物が当該活性を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。

0013

従って、本発明は、ベンゾチオフェン化合物、並びに該化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤及び抗癌剤に関する。また、本発明は、ベンゾチオフェン化合物を用いるオルタナティブオートファジーを誘導するための方法及び癌を治療するための方法に関する。さらに、本発明は、抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法に関する。より詳しくは、以下の発明を提供するものである。
<1> 下記一般式(1):

0014

0015

[式(1)中、R1は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環、又は−R6−R7で表わされる基を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基を示す。R3は、水素原子又は−C(=O)R9で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基置換されていてもよいアミノ基を示す。R8は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R9は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。]
で表されるベンゾチオフェン化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤。
<2> 下記一般式(1):

0016

0017

[式(1)中、R1は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環、又は−R6−R7で表わされる基を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基を示す。R3は、水素原子又は−C(=O)R9で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。R8は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R9は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。]
で表されるベンゾチオフェン化合物を細胞に導入する工程を含む、オルタナティブオートファジーを誘導するための方法。
<3> 下記(a)及び(b)からなる群から選択される少なくとも一つのベンゾチオフェン化合物
(a) 下記一般式(1):

0018

0019

[式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基を示す。R3は、水素原子又は−C(=O)R9で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。R8は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R9は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。]
で表されるベンゾチオフェン化合物
(b) 前記一般式(1):
[式(1)中、R1は、ハロゲン原子を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、又は−O−R6−R7で表わされる基を示す。R3は、水素原子で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。]
で表されるベンゾチオフェン化合物。
<4> <3>に記載のベンゾチオフェン化合物を有効成分とする抗癌剤。
<5> <3>に記載のベンゾチオフェン化合物を患者投与する工程を含む、癌を治療するための方法。
<6> 下記(a)の工程を含む、抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法
(a)蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質を発現している細胞と、被験化合物とを接触させ、前記リソソームタンパク質の凝集による蛍光輝点の発生を指標として、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物を選択する工程。
<7> 下記(b)の工程をさらに含む、<6>に記載の方法
(b)細胞と被験化合物とを接触させ、接触後の前記細胞の生存率を指標として、細胞死を誘導する活性を有する化合物を選択する工程。
<8> 工程(b)において、前記細胞が初代培養細胞及び不死化細胞であり、前記初代培養細胞の生存率が80%以上であり、且つ前記不死化細胞の生存率が30%以下であることを前記指標とする、<7>に記載の方法。
<9> 工程(b)において、前記細胞がアポトーシス抵抗性細胞であり、前記生存率が20%以下であることを前記指標とする、<7>に記載の方法。
<10> 下記(c)の工程をさらに含む、<7>〜<9>のいずれか一に記載の方法
(c)工程(a)においてオルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物として選択され、且つ工程(b)において細胞死を誘導する活性を有する化合物として選択された化合物を、担癌非ヒト動物に導入し、当該担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさを測定し、得られた測定値が、当該被験化合物を導入していない担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさの測定値より小さい場合、当該被験化合物を抗癌活性を有する化合物として選択する工程。

発明の効果

0020

本発明によれば、オルタナティブオートファジー誘導剤及び抗癌剤として有用なベンゾチオフェン化合物、並びに癌の治療方法を提供することが可能となる。また、本発明の抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法によれば、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を指標として、抗癌活性を有する化合物、特にアポトーシス抵抗性を獲得した癌細胞に対して有効に作用する抗癌活性を有する化合物を、効率的にスクリーニングすることが可能となる。

図面の簡単な説明

0021

Lamp1−GFP発現細胞における、電子顕微鏡を用いて計測して得られた一細胞当りのオートファジーの面積と、Lamp1−GFPの凝集による蛍光輝点の蛍光強度との相関関係を示すプロット図である。
本発明の方法により、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有し、且つ細胞死を誘導する活性を有する化合物として選択された24化合物を、担癌マウスに投与し、各化合物を投与してから20日後の腫瘍体積(mm3)を示すグラフである。
本発明の方法により選択された化合物#09(本発明にかかるベンゾチオフェン化合物)を接触させたp53欠損癌細胞(53T)における、リソソームタンパク質Lamp2の凝集を観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。
本発明の方法により選択された化合物#09を接触させたp53欠損癌細胞(53T)における、オートファジーの発生を観察した結果を示す、電子顕微鏡写真である。
本発明の方法により選択された化合物#13を接触させたp53欠損癌細胞(53T)における、リソソームタンパク質 Lamp2の凝集を観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。
本発明の方法により選択された化合物#13を接触させたp53欠損癌細胞(53T)における、オートファジーの発生を観察した結果を示す、電子顕微鏡写真である。
本発明の方法により選択された化合物#09を接触させた際の、正常細胞及び癌細胞の生存率を示すグラフである。なお、図中、四角は正常細胞の生存率を示し、丸は癌細胞の生存率を示す。
本発明の方法により選択された化合物#13を接触させた際の、正常細胞及び癌細胞の生存率を示すグラフである。なお、図中、四角は正常細胞の生存率を示し、丸は癌細胞の生存率を示す。
本発明の方法により選択された化合物#09を導入した担癌マウスにおける腫瘍体積を示すプロット図である。
本発明の方法により選択された化合物#09を導入した担癌マウスにおける腫瘍体積を示すプロット図である。
本発明の方法により選択された化合物#13を導入した担癌マウスにおける腫瘍体積を示すプロット図である。
本発明の方法により選択された化合物#13を導入した担癌マウスにおける腫瘍体積を示すプロット図である。
本発明の方法により選択された化合物#09を導入した担癌マウスの生存率の推移を示すグラフである。なお図中、「vehicle」は、DMSOを投与した担癌マウス(陰性対照)の生存率の推移を示す(図14及び15においても同様)。
本発明の方法により選択された化合物#13を導入した担癌マウスの生存率の推移を示すグラフである。
抗癌剤エトポシド(etoposide)を導入した担癌マウスの生存率の推移を示すグラフである。
化合物#09及びその類似化合物(化合物#34、#35、#37、#38、#39、#40、#41、#42、#43、#44、#45及び#46)のオルタナティブオートファジー誘導能を示すグラフである。なお図中の縦軸は、各化合物を添加した際の一細胞当りの各々のオートファジー面積(Lamp1−GFPの凝集による蛍光輝点が細胞において占める面積)を、化合物#09を添加した際のそれを1として評価し、得られた比活性値である。
化合物#09及びその類似化合物(化合物#34、#35、#37、#38、#39、#40、#41、#42、#43、#44、#45又は#46)を導入した担癌マウスにおける腫瘍体積を示すプロット図である。
化合物#09及びその類似化合物(TMD−473、TMD−511〜520、TMD−593及びTMD−594)のオルタナティブオートファジー誘導能を示すグラフである。なお図中の縦軸は、各化合物を添加した際の一細胞当りの各々のオートファジー面積を、化合物#09を添加した際のそれを1として評価し、得られた比活性値である。

0022

本発明のオートファジー誘導剤は、下記一般式(1):

0023

0024

[式(1)中、R1は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環、又は−R6−R7で表わされる基を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基を示す。R3は、水素原子又は−C(=O)R9で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。R8は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R9は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。]
で表されるベンゾチオフェン化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤である。

0025

前記一般式(1)における「ハロゲン原子」とは、フッ素原子塩素原子臭素原子ヨウ素原子を意味する。R1における「ハロゲン原子」としては、臭素原子が好ましい。

0026

「5〜10員環の芳香族炭素環」としては、単環であっても多環であってもよく、例えば、ベンゼンナフタレンインデンが挙げられる。

0027

「5〜10員環の芳香族複素環」としては、硫黄原子窒素原子及び酸素原子から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含み、単環であっても多環であってもよい。ヘテロ原子の置換数としては1〜3が好ましく、より好ましくは1である。このような5〜10員環の芳香族複素環としては、チオフェン、ベンゾチオフェンベンゾフランベンゾイミダゾールベンゾオキサゾールベンゾチアゾールベンゾイソチアゾールフランピロールイミダゾールピラゾールピリジンピラジンピリミジンピリダジンインドールイソインドールインダゾールキノリジンイソキノリンキノリンフタラジンナフチリジンキノキサリンキナゾリンシンノリンチアゾールイソチアゾールイソオキサゾールフラザンが挙げられる。

0028

また、前記一般式(1)において、「5〜10員環の芳香族炭素環」及び「5〜10員環の芳香族複素環」は、置換可能な部位に、任意に組み合わせて1又は複数個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、イミノ基、アルキル基、シクロアルキル基ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基アルキルチオ基アルキルアミノ基アリール基アリールアミノ基ヒドロキシ基シロキシ基ニトロ基シアノ基アジ基、アジドアルキル基が挙げられる。

0029

前記一般式(1)におけるR6は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基エチレン基トリメチレン基テトラメチレン基ペンタメチレン基ヘキサメチレン基、エチルエチレン基、ジメチルエレン基、ブチルエチレン基、シクロヘキシレン基シクロペンチレン基が挙げられる。

0030

前記一般式(1)におけるR7は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基で置換されていてもよいアミノ基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。「置換されていてもよいアミノ基」は、置換可能な部位に、任意に組み合わせて1又は複数個の置換基を有していても良いアミノ基のことを意味する。

0031

「炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基」としては、例えば、メチル基エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。

0032

「炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基が挙げられる。

0033

「炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基」としては、例えば、ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、2−(ヒドロキシメチル)プロピル基、2−ヒドロキシペンチル基、3−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。

0034

本発明のオートファジー誘導剤にかかるR1は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環、又は−R6−R7で表わされる基を示す。「ハロゲン原子」としては前述の通りだが、好ましくは臭素原子である。また、「置換基」としては前述の通りだが、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシル基、アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキル基、アジ基、アジドアルキル基であり、より好ましくは、フッ素原子、ニトロ基、メチル基、メチルチオ基、ヒドロキシル基、ジメチルアミノ基トリフルオロメチル基、アジ基、アジドメチル基であり、オルタナティブオートファジー誘導能がより高いという観点から、さらに好ましくは、アルキルチオ基(特に、メチルチオ基)、アルコキシ基(特に、メトキシ基)、ヒドロキシル基である。さらに、「5〜10員環の芳香族炭素環」としては前述の通りだが、ベンゼンが好ましい。また、「5〜10員環の芳香族複素環」としては、チオフェン、ピリジンが好ましく、オルタナティブオートファジー誘導能がより高いという観点から、チオフェン(特に、3−チオフェン、2−チオフェン)がより好ましい。

0035

さらに、本発明のオートファジー誘導剤にかかるR1における「置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環」及び「置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環」として、さらに好ましくは、下記式にて表わされる置換基である。下記式にて「Me」はメチル基(CH3基)を示す(以下、同様)。

0036

0037

これらのうち、特に好ましくは、下記式にて表わされる置換基である。

0038

0039

本発明のオートファジー誘導剤にかかるR1におけるR6としては前述の通りだが、好ましくは、メチレン基である。またR1におけるR7としては前述の通りだが、好ましくはジエチル基で置換されているアミド基、2−プロペニル基で置換されているアミド基、ヒドロキシエチル基で置換されているアミド基、4−ヒドロキシブチル基で置換されているアミド基である。

0040

さらに、本発明のオートファジー誘導剤にかかるR1における「−R6−R7で表わされる基」として、より好ましくは、下記式にて表わされる置換基である。

0041

0042

本発明のオートファジー誘導剤にかかるR2は、ハロゲン原子、水酸基、−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基を示す。かかる「ハロゲン原子」としては前述の通りだが、好ましくは塩素原子である。また、かかるR6としては前述の通りだが、好ましくは、メチレン基、エチレン基である。さらに、かかるR7としては前述の通りだが、好ましくはジエチル基で置換されているアミド基である。本発明のオートファジー誘導剤にかかるR1及びR2において、R6又はR7は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に前述の基を示すものである。

0043

R8は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。かかる「置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環」及び「置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環」は前述の通りであるが、好ましくはベンゼンである。

0044

また、本発明のオートファジー誘導剤にかかるR2における「−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基」としては、より好ましくは、下記式にて表わされる置換基である。

0045

0046

本発明のオートファジー誘導剤にかかるR3は、水素原子又は−C(=O)R9で表わされる基を示す。R9は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R9における「炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環」、「置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環」としては前述の通りだが、「炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基」としてはメチル基が好ましく、また、「置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環」としてはベンゼンが好ましい。

0047

前記一般式(1)におけるR4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R4における「炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基」としては前述の通りだが、「炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基」としては、メチル基、エチル基が好ましい。

0048

前記一般式(1)におけるR5は、酸素原子又はイミノ基(NH基)を示す。

0049

また、本発明のオートファジー誘導剤の有効成分であるベンゾチオフェン化合物としては、より好ましくは、下記式(1−1)〜(1−33)にて表わされるベンゾチオフェン化合物である。

0050

0051

0052

0053

0054

また、後述の実施例に示す通り、オルタナティブオートファジー誘導能がより高いという観点から、本発明のオートファジー誘導剤の有効成分であるベンゾチオフェン化合物としては、さらに好ましくは、前記式(1−10)、(1−14)、(1−15)、(1−17)又は(1−18)にて表わされるベンゾチオフェン化合物であり、特に好ましくは、前記式(1−15)にて表わされるベンゾチオフェン化合物である。

0055

また、本発明のベンゾチオフェン化合物には、薬理学上許容される塩又は溶媒和物も含まれる。このような薬理学上許容される塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸塩硫酸塩、臭化水素塩、硝酸塩硫酸水素酸塩リン酸塩酢酸塩乳酸塩コハク酸塩クエン酸塩マレイン酸塩ヒドロキシマレイン酸塩、酒石酸塩フマル酸塩メタンスルホン酸塩p−トルエンスルホン酸塩、樟脳スルホン酸塩スルファミン酸塩マンデル酸塩プロピオン酸塩グリコール酸塩ステアリン酸塩リンゴ酸塩アスコルビン酸塩、パモン酸塩、フェニル酢酸塩グルタミン酸塩安息香酸塩サリチル酸塩スルファニル酸塩、2−アセトキシ安息香酸塩、エタンジスルホン酸塩シュウ酸塩イセチオン酸塩ギ酸塩トリフルオロ酢酸塩、エチルコハク酸塩、ラクトビオン酸塩、グルコン酸塩グルコヘプトン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩ラウリル硫酸塩アスパラギン酸塩アジピン酸塩ヨウ化水素酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、ピクリン酸塩チオシアン酸塩ウンデカン酸塩が挙げられる。また、溶媒和物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水和物も含まれるものとする。

0056

さらに、本発明のベンゾチオフェン化合物には、幾何異性体不斉炭素に基づく光学異性体立体異性体互変異性体等の総ての異性体及び異性体混合物が含まれる。また、本発明のベンゾチオフェン化合物が生体内酸化還元加水分解抱合等の代謝を受けてなお所望の活性を示す化合物をも包含し、さらに本発明は生体内で酸化、還元、加水分解等の代謝を受けて本発明のベンゾチオフェン化合物を生成する化合物をも包含する。また、本発明のオ—トファジー誘導剤は、後述の通り、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。

0057

本発明のベンゾチオフェン化合物の入手方法としては特に制限はなく、例えば、前記式(1−1)〜(1−8)にて表わされるベンゾチオフェン化合物は、ファーメックス社(Pharmeks社、ロシア)より購入することもできる。

0058

また、本発明のベンゾチオフェン化合物の合成方法としては特に制限はなく、例えば、以下の方法で製造することができる。下記式(2)、(3)及び(1a)〜(1d)にて表わされるベンゾチオフェン化合物において、R4〜R9は前述の通りである。

0059

「Grinev.A.N.ら、「2−(アシルアミノ)−7−ヒドロオキシベンゾ[b]チオフェン誘導体の合成臭素化及びニトロ化」、Khimiya Geterosiklicheskikh Soedinenii、1987年、4巻、460〜462ページ」の記載に沿って、先ず下記式(2)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を溶媒(例えば、クロロホルム)中にて臭素と反応させて、下記式(3)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を合成する。

0060

0061

次いで、下記式(3)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を溶媒(例えば、ジオキサンと水との混合溶媒)中にて塩基(例えば、炭酸カリウム)と反応させることにより、下記式(1a)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を合成することができる。

0062

0063

また、前記式(1a)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)中にて、ハロゲン化化合物(X−R6−R7で表わされる化合物又はX−R6−R8で表わされる化合物)と反応させることにより、下記式(1b)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を合成することもできる。

0064

0065

前記ハロゲン化化合物において、Xとは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を意味する。また、前記式(1b)及び後述の式(1c)〜(1e)にて表わされるベンゾチオフェン化合物において、R2は「−O−R6−R7又は−O−R6−R8で表わされる基」を示す。

0066

さらに、溶媒中(例えば、アセトニトリルと水との混合溶媒)、塩基(例えば、リン酸カリウム)及びパラジウム触媒(例えば、ジクロロビス[ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニルホスフィノパラジウム(II))下にて、前記式(1b)にて表わされるベンゾチオフェン化合物とボロン酸試薬(R1−B(OH)2で表わされる化合物)とを反応させることにより、下記式(1c)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を合成することもできる。

0067

0068

前記ボロン酸試薬、前記式(1c)にて表わされるベンゾチオフェン化合物及び後述の式(1e)にて表わされるベンゾチオフェン化合物において、R1は「置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環、又は−R6−R7で表わされる基」を示す。

0069

また、前記式(1b)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を、溶媒中(例えば、テトラヒドロフラン(THF)とメタノールとの混合溶媒、メタノールと水との混合溶媒、)にて、強塩基等(例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウム)により加水分解することにより下記式(1d)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を合成することもできる。さらにまた、前記と同様にして、前記式(1c)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を加水分解することにより下記式(1e)にて表わされるベンゾチオフェン化合物を合成することもできる。

0070

0071

0072

各合成方法においては、各化合物における置換基を保護するために、適宜保護基を導入してもよい。このような保護基としては特に制限はなく、例えば、メチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基、tert−ブチルエステル基アセタール基フタロイル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が挙げられる。さらに、保護基を導入した化合物を用いた場合においては、必要に応じて、各保護基に応じた脱保護反応に供してもよい。

0073

また、各合成方法において得られた反応混合物から目的の生成物の単離、精製は、特に制限はなく、適宜公知の手法(濃縮結晶化、蒸留、懸濁精製、クロマトグラフィーによる精製等)を選択して行うことができる。

0074

以上、本発明のベンゾチオフェン化合物(前記式(1a)〜(1d)にて表わされるベンゾチオフェン化合物)の好適な合成方法について説明したが、本発明の化合物の合成方法は上記方法に限定されるものではない。また、本発明の化合物の具体的な製造方法は後述の実施例に示されているので、当業者であれば、上記及び実施例の記載を参照しつつ、反応原料反応試薬反応条件(例えば、溶媒、反応温度触媒、反応時間)等を適宜選択しつつ、必要に応じてこれらの方法に適宜、修飾ないし改変を加えることにより、本発明のベンゾチオフェン化合物を製造することは可能である。

0075

本発明において、「オルタナティブオートファジー」とは、オートファジー関連分子Atg5やAtg7を用いることなく、オートファゴソームが形成され、さらにリソソームが融合することにより、該オートファゴソームに取り込まれた細胞内成分が分解される、細胞内浄化機構を意味する。前記一般式(1)で表わされる前述のベンゾチオフェン化合物は、後述の実施例において示す通り、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有している。従って、本発明は、当該化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤のみならず、当該ベンゾチオフェン化合物を細胞に導入する工程を含む、オルタナティブオートファジーを誘導するための方法をも提供することができる。

0076

当該ベンゾチオフェン化合物の細胞への「導入」は、通常、細胞の培養液に当該ベンゾチオフェン化合物を添加することによって行うが、この方法に限定されず、適宜公知の手法を選択して行うことができる。導入する当該ベンゾチオフェン化合物の濃度は化合物の性質(溶解度、毒性等)により異なる。例えば、当該ベンゾチオフェン化合物を前記細胞の培養液に添加する濃度としては、0.1nM〜100μMの範囲にて適宜選択することが好ましい。また、例えば、当該ベンゾチオフェン化合物を細胞の培養液に添加している時間としては、10分〜48時間が好ましい。

0077

前記一般式(1)で表わされる前述のベンゾチオフェン化合物のうち、前記式(1−8)〜(1−33)にて表わされるベンゾチオフェン化合物については、本発明において新たに設計されたものである。

0078

従って、本発明は、下記(a)及び(b)からなる群から選択される少なくとも一つのベンゾチオフェン化合物を提供することができる。

0079

(a) 前記一般式(1):
[式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、−O−R6−R7、又は−O−R6−R8で表わされる基を示す。R3は、水素原子又は−C(=O)R9で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。R8は、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。R9は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環を示す。]
で表されるベンゾチオフェン化合物
(b) 前記一般式(1):
[式(1)中、R1は、ハロゲン原子を示す。R2は、ハロゲン原子、水酸基、又は−O−R6−R7で表わされる基を示す。R3は、水素原子で表わされる基を示す。R4は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R5は、酸素原子又はイミノ基を示す。また式(1)中、R6は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R7は、炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が2〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のアルケニル基、又は炭素数が1〜6である直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアミノ基を示す。]
で表されるベンゾチオフェン化合物。

0080

前記(a)のベンゾチオフェン化合物において、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族炭素環、置換基を有していてもよい5〜10員環の芳香族複素環、R2〜R5は前述の通りである。前記(b)のベンゾチオフェン化合物において、ハロゲン原子、−O−R6−R7で表わされる基、R4及びR5は前述の通りである。

0081

前記(a)のベンゾチオフェン化合物としては、好ましくは、前記(1−9)〜(1−33)にて表わされるベンゾチオフェン化合物であり、前記(b)のベンゾチオフェン化合物としては、前記(1−8)にて表わされるベンゾチオフェン化合物である。

0082

前記(a)及び(b)のベンゾチオフェン化合物には、前述の通り、薬理学上許容される塩又は溶媒和物も含まれ、幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体等の総ての異性体及び異性体混合物も含まれる。さらに、前述の通り、前記(a)及び(b)のベンゾチオフェン化合物が生体内で酸化、還元、加水分解、抱合等の代謝を受けてなお所望の活性を示す化合物をも包含し、さらに本発明は生体内で酸化、還元、加水分解等の代謝を受けて前記(a)及び(b)のベンゾチオフェン化合物を生成する化合物をも包含する。また、前記(a)及び(b)のベンゾチオフェン化合物の合成方法としても特に制限はなく、例えば、前述の合成方法にて製造することができる。

0083

後述の実施例において示す通り、前記一般式(1)で表わされる前述のベンゾチオフェン化合物はオルタナティブオートファジーを誘導する活性のみならず、癌細胞特異的に細胞死を誘導できることも明らかになった。従って、本発明は、前記(a)及び(b)からなる群から選択される少なくとも一つのベンゾチオフェン化合物を有効成分とする抗癌剤を提供することができる。

0084

本発明において「抗癌」活性とは、癌細胞の増殖を抑制する活性、及び/又は癌細胞の死を誘導する活性のことを意味する。本発明の抗癌剤並びに癌を治療するための方法が対象とする癌としては特に制限はなく、例えば、上咽頭腫、甲状腺腫瘍中枢神経系腫瘍神経芽細胞腫星状細胞腫多形性膠芽腫等)、黒色腫血管腫瘍、上皮性腫瘍、非上皮性腫瘍、血腫白血病リンパ腫子宮頸癌乳癌肺癌前立腺癌大腸癌肝癌泌尿生殖器癌、骨肉腫軟骨肉腫胃癌膵臓癌が挙げられる。

0085

本発明の抗癌剤及びオルタナティブオートファジー誘導剤は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤錠剤丸剤液剤散剤顆粒剤細粒剤フィルムコーティング剤ペレット剤トローチ剤下剤咀嚼剤バッカル剤ペースト剤シロップ剤懸濁剤エリキシル剤乳剤塗布剤軟膏剤硬膏剤パップ剤経皮吸収型製剤ローション剤吸引剤エアゾール剤注射剤坐剤等として、経口的又は非経口的に使用することができる。

0086

これら製剤化においては、薬理学上許容される担体又は媒体、具体的には、滅菌水生理食塩水植物油溶剤基剤乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤芳香剤賦形剤ベヒクル防腐剤結合剤希釈剤等張化剤無痛化剤増量剤崩壊剤緩衝剤コーティング剤滑沢剤着色剤甘味剤粘稠剤、矯味矯臭剤溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。また、本発明の抗癌剤及びオルタナティブオートファジー誘導剤は、公知の他の抗癌剤と併用してもよい。

0087

本発明の抗癌剤及びオルタナティブオートファジー誘導剤の好ましい投与形態としては特に制限はなく、経口投与又は非経口投与、より具体的には、静脈内投与動脈内投与、腹腔内投与皮下投与、皮内投与、気道内投与、直腸投与及び筋肉内投与輸液による投与が挙げられる。

0088

本発明の抗癌剤及びオルタナティブオートファジー誘導剤は、ヒトを含む動物を対象として使用することができるが、ヒト以外の動物としては特に制限はなく、種々の家畜家禽ペット実験用動物等を対象とすることができる。

0089

本発明の抗癌剤又はオルタナティブオートファジー誘導剤を投与する場合、その投与量は、対象の年齢、体重、症状、健康状態等に応じて、適宜選択される。例えば、1回当たりの本発明の抗癌剤又はオルタナティブオートファジー誘導剤の投与量は、有効成分である前記(a)及び(b)からなる群から選択される少なくとも一つのベンゾチオフェン化合物の量として、0.01mg/kg体重〜0.2g/kg体重が好ましい。

0090

このように本発明は、本発明の抗癌剤等を対象に投与することによって、癌を治療することができる。従って、本発明は、前記(a)及び(b)からなる群から選択される少なくとも一つのベンゾチオフェン化合物を投与することを特徴とする、癌を治療するための方法をも提供するものである。

0091

本発明の抗癌剤等の製品又はその説明書は、癌を治療するために用いられる旨の表示を付したものであり得る。ここで「製品又は説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器包装等に表示を付したこと、又は製品の情報を開示する説明書、添付文書宣伝物、その他の印刷物等に表示を付したことを意味する。また、癌を治療するために用いられる旨の表示においては、本発明のベンゾチオフェン化合物を投与することにより、オルタナティブオートファジーを誘導し、癌細胞特異的に細胞死を誘導できることも本発明の抗癌剤の作用機序に関する情報として含むことができる。

0092

以上が、本発明の、ベンゾチオフェン化合物、オルタナティブオートファジー誘導剤、抗癌剤、オルタナティブオートファジーを誘導するための方法及び癌を治療するための方法についての説明となる。次に、本発明の抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法について、工程ごとに説明する。

0093

<オルタナティブオートファジーを誘導する活性を指標として、抗癌活性を有する化合物を選択する工程>
本発明の抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法は、
(a)蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質を発現している細胞と、被験化合物とを接触させ、前記リソソームタンパク質の凝集による蛍光輝点の発生を指標として、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物を選択する工程
を含む方法である。

0094

本発明において「オルタナティブオートファジー」とは、オートファジー関連分子Atg5やAtg7を用いることなく、オートファゴソームが形成され、さらにリソソームが融合することにより、該オートファゴソームに取り込まれた細胞内成分が分解される細胞内浄化機構を意味する。

0095

本発明において「抗癌活性」とは、癌細胞の増殖を抑制する活性、及び/又は癌細胞の死を誘導する活性を意味する。標的となる癌細胞としては、例えば、上咽頭腫、甲状腺腫瘍、中枢神経系腫瘍(神経芽細胞腫、星状細胞腫、多形性膠芽腫等)、黒色腫、血管腫瘍、上皮性腫瘍、非上皮性腫瘍、血腫、白血病、リンパ腫、子宮頸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、大腸癌、肝癌、泌尿生殖器癌、骨肉腫、軟骨肉腫、胃癌、膵臓癌の癌細胞が挙げられる。

0096

本発明にかかる「リソソームタンパク質」としては、リソソームに特異的に発現しているタンパク質であればよく、例えば、Lamp1、Lamp2、Limp1、Limp2、AEPが挙げられる。

0097

本発明において、前記リソソームタンパク質に付加する「蛍光タンパク質」としては、励起光を受けて蛍光を発することのできるタンパク質であればよく、例えば、GFP、mCherryが挙げられる。

0098

蛍光タンパク質は、リソソームタンパク質の機能を抑制しない限り、リソソームタンパク質のN末側、C末側のいずれに付加させてもよい。また、直接的にリソソームタンパク質に付加させてもよく、スペーサーを介して間接的に付加させてもよい。

0099

また、リソソームタンパク質には、前記蛍光タンパク質に加えて、さらに、他の機能性タンパク質が付加していてもよい。他の機能性タンパク質としては特に制限はなく、例えば、Myc−タグ(tag)、His−タグ、ヘマグルチンHA)−タグ、FLAG−タグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)が挙げられる。

0100

本発明において、リソソームタンパク質を発現させる「細胞」としては特に制限はないが、オルタナティブオートファジーの誘導に依存するリソソームタンパク質の凝集を検出し易いという観点から、Atg5、Atg7、Atg9、Atg12及びAtg16からなる群から選択される少なくとも一のタンパク質の機能が抑制されている細胞が好ましい。

0101

Atg5等の機能が抑制されている細胞は、当業者であれば、適宜公知の手法を選択することにより調製することができる。公知の手法としては、例えば、ES細胞等の多能性幹細胞において、相同組換えにより、前記Atg5等の遺伝子を欠損させる、または、当該遺伝子に変異を導入する方法が挙げられる。このような多能性幹細胞を胚盤胞移植することにより作製した非ヒト動物から、Atg5等の機能が抑制されている所望の細胞を単離することができる。また、このような多能性幹細胞をサイトカイン等の存在下で培養することにより、Atg5等の機能が抑制されている所望の分化細胞を調製することができる。

0102

本発明においては、細胞におけるAtg5等の機能を抑制するための相同組換え以外の方法として、例えば、前記Atg5等の遺伝子に相補的な配列からなるsiRNA、shRNA、またはアンチセンス核酸を細胞に導入する方法を用いても良い。

0103

蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質を発現している細胞は、当業者であれば、適宜公知の手法を選択することにより調製することができる。公知の手法としては、例えば、蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質をコードするDNAを発現可能に保持するベクターを細胞に導入する方法が挙げられる。用いられる「ベクター」としては、例えば、蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質をコードするDNAを挿入した、プラスミドDNA、アデノウイルスベクターアデノ随伴ウイルスベクターレトロウイルスベクターレンチウイルスベクターヘルペスウイルスベクター、センダイウイルスベクターが挙げられる。当該DNAを効率的に発現させるために、ベクターは、プロモーターエンハンサーターミネーターポリシグナル薬剤耐性遺伝子等の選択マーカー等を保持していることが好ましい。

0104

ベクターの細胞への導入は、ベクターとしてプラスミドDNAを用いる場合には、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法マイクロインジェクション法等の公知の方法を利用することができる。また、ベクターとしてウィルスベクターを用いる場合には、例えば、リン酸カルシウム法等によりウィルスベクターをパッケージング細胞に導入して、当該細胞にウィルス粒子生産させ、回収したウイルス粒子を前記細胞に接触させる方法を利用することができる。

0105

細胞における、蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質の「発現」は、一過的なものであってもよく、恒常的なものであってもよい。

0106

こうして調製した細胞に接触させる「被験化合物」としては特に制限はなく、例えば、合成低分子化合物ライブラリー遺伝子ライブラリー発現産物ペプチドライブラリー、抗体、細菌放出物質、細胞(微生物植物細胞動物細胞)の抽出液及び培養上清、精製又は部分精製ポリペプチド海洋生物、植物又は動物由来抽出物土壌ランダムファージペプチドディスプレイライブラリーが挙げられる。

0107

細胞への被験化合物の「接触」は、通常、細胞の培養液に被験化合物を添加することによって行うが、この方法に限定されない。接触させる被験化合物の濃度は、その種類や性質(溶解度、毒性等)により異なる。例えば、低分子化合物の場合、前記細胞の培養液に添加する濃度としては、0.1nM〜100μMの範囲にて適宜選択することが好ましい。また、被験化合物を前記細胞に接触させる時間としては、10分〜48時間が好ましい。

0108

被験化合物を接触させた細胞において発生する「前記リソソームタンパク質の凝集による蛍光輝点」は、Atg5やAtg7を利用せずに隔離膜とトランスゴルジ/エンドソームとの融合によって形成されたオートファゴソームに、蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質が融合し、それらが凝集(集積)することにより生じる輝点である。

0109

本発明における蛍光輝点の発生の検出は、例えば、前記蛍光タンパク質に対応した励起フィルター及び吸収フィルターを備えた蛍光顕微鏡による観察、フローサイトメーターによる解析、IN Cell Analyzer(GEヘルスケア社製)等のイメージングサイトメーターによる解析により行うことができる。ハイスループットに解析できるという観点から、イメージングサイトメーターによる解析により検出を行うことが好ましい。

0110

蛍光輝点の発生の程度は、例えば、蛍光輝点の数、1細胞あたりの蛍光輝点の面積、蛍光輝点の面積が前記リソソームタンパク質を発現している細胞において占める割合等により評価することができる。

0111

蛍光輝点の発生の程度を、1細胞あたりの蛍光輝点の面積により評価する場合、オートファジーが観察されない細胞においては、蛍光輝点の面積は4μm2未満であるという観点から、1細胞当りの蛍光輝点の面積が4μm2以上(例えば、4〜100μm2)であることを、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有す化合物の選択の指標とすることが好ましい。

0112

また、図1において示す通り、1細胞あたり蛍光輝点が占める面積(蛍光輝点の細胞内において占める割合)は、1細胞あたりの蛍光強度と比例関係にあることが、本実施例において初めて明らかになった。従って、当該面積(割合)に代わり、蛍光強度をオルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物の選択の指標として用いることもできる。

0113

オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物の選択においては、このような絶対的な評価に代えて、対照との比較による相対的な評価を利用することもできる。すなわち、被験化合物を接触させた細胞における蛍光輝点の発生の程度が、被験化合物と接触していない細胞のそれらと比較して高ければ、当該被験化合物をオルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物として選択することができる。

0114

インビトロにおける細胞死を誘導する活性を指標として、抗癌活性を有する化合物を選択する工程>
本発明の抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法において、前記工程(a)に加え、さらに、細胞と被験化合物とを接触させ、接触後の前記細胞の生存率を指標として、細胞死を誘導する活性を有する化合物を選択する工程(工程(b))を含むことが好ましい。これにより、より効率的に抗癌活性の高い化合物をスクリーニングすることができる。

0115

一般的に、細胞のプログラム細胞死は、形態学的にアポトーシス(タイプ1細胞死)、オートファジーを伴う細胞死(タイプ2細胞死)、細胞小器官膨潤小胞出現を伴うがリソソームの関与がない細胞死(タイプ3細胞死)に分類される。

0116

工程(b)における「細胞死を誘導する活性」としては前記いずれの細胞死を誘導する活性であってもよいが、アポトーシス抵抗性を示す癌細胞に対して抗癌活性を示す化合物を選択できるという観点から、オートファジーを伴う細胞死(タイプ2細胞死)を誘導する活性であることが好ましい。

0117

細胞死を誘導する活性の指標となる「細胞の生存率」の検出方法としては、特に制限はないが、アネキシン−V(Annexin−V)染色法ヨウ化プロピジウム(propidium iodide、PI)染色法等のアポトーシスを特異的に検出する方法ではなく、例えば、トリパンブルー色素排除試験法、MTアッセイ、XTTアッセイ、アラマーブルー染色法、トリチウムチミジン取込み試験、臭素化デオキシウリジン(BrdU)取り込み試験、酸化還元色素であるレサズリン生細胞により蛍光産物レゾルフィンに変換されることを利用したCell Titer Blue(登録商標、CTB)測定法等のアポトーシス非特異的な検出方法であることが好ましく、より簡便に感度よく細胞死を検出できるという観点から、CTB測定法がより好ましい。

0118

工程(b)における「細胞」としては特に制限はないが、例えば、初代培養細胞及び不死化細胞を用いることができる。

0119

「初代培養細胞」は、生体から採取した細胞を最初に播種して培養することによって得られる細胞であり、当業者であれば適宜公知の手法を選択し、調製することができる。「不死化細胞」としては、例えば、SV40抗原を導入することにより不死化した細胞、mycやras等を導入又は活性化することにより不死化した細胞等が挙げられる。なお、これら不死化細胞の性質は癌細胞に近いことが知られている。また、これら細胞は、当業者であれば適宜公知の手法を適宜選択して調製することができる。

0120

初代培養細胞及び不死化細胞を用いる場合、細胞死を誘導する活性を有する化合物の選択は、被験化合物と接触させた際の初代培養細胞の生存率が80%以上であり、且つ被験化合物と接触させた際の不死化細胞の生存率が30%以下であることを指標とすることができる。

0121

また、工程(b)における「細胞」としては、例えば、アポトーシス抵抗性細胞を用いることもできる。これにより、アポトーシスとは異なるプログラム細胞死を効率良く検出することができ、ひいてはアポトーシス抵抗性を示す癌細胞に対して抗癌活性を示す化合物を選択することができる。

0122

「アポトーシス抵抗性細胞」としては、例えば、アポトーシス阻害タンパク質(Bcl−xL、Bcl−2等)の機能が亢進されている細胞や、アポトーシス誘導タンパク質(Bax、Bak、Apaf−1、caspase−9、caspase−3等)の機能が抑制されている細胞が挙げられる。これら細胞は、当業者であれば公知の手法を適宜選択し、調製することができる。例えば、アポトーシス阻害タンパク質の発現が亢進されている細胞を調製する際には、蛍光タンパク質が付加しているリソソームタンパク質を発現している細胞を調製するための前記方法と同様の方法を利用することができ、またアポトーシス誘導タンパク質の機能が抑制されている細胞を調製する際には、Atg5等の機能が抑制されている細胞を調製するための前記方法と同様の方法を利用することができる。

0123

アポトーシス抵抗性細胞を用いる場合、細胞死を誘導する活性を有する化合物の選択は、被験化合物と接触させた際の当該細胞の生存率が20%以下であることを指標とすることができる。

0124

さらに、工程(b)における「細胞」としては、半数以上の癌においてp53の異常が確認されており、またp53タンパク質の機能が抑制されていると、DNA傷害等によって誘導されるアポトーシスに対する抵抗性が獲得されるという観点から、p53タンパク質の機能が抑制されている細胞を用いることができる。

0125

「p53タンパク質の機能が抑制されている細胞」は、当業者であれば公知の手法(例えば、Atg5等の機能が抑制されている細胞を調製するための前記方法と同様の方法)を適宜選択し、調製することができる。

0126

p53タンパク質の機能が抑制されている細胞を用いる場合、細胞死を誘導する活性を有する化合物の選択は、被験化合物と接触させた際の当該細胞の生存率が20%以下であることを指標とすることができる。

0127

工程(b)における細胞死を誘導する活性を有する化合物の選択においては、上記のような絶対的な評価に代えて、対照との比較による相対的な評価を利用することもできる。すなわち、被験化合物を接触させた細胞における生存率が、被験化合物と接触していない細胞のそれらと比較して低ければ、当該被験化合物を細胞死を誘導する活性を有する化合物として選択することができる。

0128

なお、工程(b)における「被験化合物」及び「接触」については、前述の工程(a)と同様である。

0129

インビボにおける細胞死を誘導する活性を指標として、抗癌活性を有する化合物を選択する工程>
本発明の抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法において、前記工程(a)及び工程(b)に加え、さらに、工程(a)においてオルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物として選択され、且つ工程(b)において細胞死を誘導する活性を有する化合物として選択された化合物を、担癌非ヒト動物に導入し、当該担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさを測定し、得られた測定値が、当該被験化合物を導入していない担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさの測定値より小さい場合、当該被験化合物を抗癌活性を有する化合物として選択する工程(工程(c))を含むことが好ましい。これにより、より効率良く、抗癌活性の高い化合物をスクリーニングでき、さらには生存率の改善、転移の有無等を併せて調べることにより、実際の癌治療予防効果予測できる。

0130

工程(c)における「担癌非ヒト動物」は、体内に癌を担持する非ヒト動物である。癌としては特に制限はなく、前述のような上咽頭腫等が挙げられる。癌を担持する「非ヒト動物」としてはヒト以外の動物であればよく、マウス、ラットサルチンパンジーブタヒツジヤギトリゼブラフィッシュカエル等が挙げられる。さらに、「担癌非ヒト動物」において担持される癌は、自然発生的に生じたものであってもよく、放射線照射発癌性物質化学物質がんウィルスがん遺伝子)の導入によって調製されたものであってもよい。また、前記担持される癌は、後述の実施例3において示すように、体外にて調製された癌細胞が導入されたものであってもよい。導入される癌細胞と非ヒト動物との関係は同種の関係であってもよく、異種の関係であってもよい。

0131

工程(c)において、化合物を担癌非ヒト動物に導入する投与形態としては特に制限はないが、癌への注射等による直接投与、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与、経口投与、気道内投与、直腸投与、筋肉内投与等が挙げられる。また、当業者であれば、各投与形態に適した公知の手法(剤型等)を選択することにより、担癌非ヒト動物に導入を達成することはできる。

0132

工程(c)における「化合物の導入」は癌治療に適した化合物をスクリーニングするという観点からは、後述の実施例に示す通り、非ヒト動物が癌を担持した後に導入することが好ましく、癌予防に適した化合物をスクリーニングするという観点からは、例えば、体外にて調製された癌細胞を非ヒト動物に導入するのと同時に、またはその前に、化合物を導入することが好ましい。

0133

担癌非ヒト動物に導入する化合物の量としては特に制限はなく、例えば、1回量として0.1nmol〜100μmol/個体を、1日1〜5回、1〜3週間かけて、毎日又は数日(2〜5日)ごとに導入することができる。複数回導入する場合には、1回量が同量であってもよいが、段階的に導入する量を上げていっても、又は下げていってもよい。

0134

工程(c)において検出する「担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさ」は、当該癌の体積のみならず、当該癌の長径短径であってもよく、また当該癌の体積を反映している重量であってもよい。担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさを測定することによって得られた「測定値」には、実際の測定値のみならず、例えば、当該癌の長径等の測定値に基づき算出された体積の値も含まれる。

0135

得られた測定値が、当該被験化合物を導入していない担癌非ヒト動物が担持する癌の大きさの測定値より小さい場合、当該被験化合物を抗癌活性を有する化合物として選択することができる。

0136

以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0137

(実施例1)
東京医科歯科大ケミカルバイオロジースクリーニングセンター(http://www.tmd.ac.jp/mri/SBS/cbsc/CopyPlateList/CopyPlate.html)から提供を受けた11588種の化合物を被験化合物とし、以下に示す方法にて、リソソームタンパク質の凝集による蛍光輝点の発生を指標として、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物を選択した。

0138

<Lamp1−GFP発現細胞の調製>
先ず、ATG5欠損マウス胎児線維芽細胞(「ATG5−KO MEF」とも称する)にレトロウィルスを用いて、Lamp1とGFPとの融合タンパク質(「Lamp1−GFP」とも称する)を発現する遺伝子を導入した。そして、Lamp1−GFPの発現の高い細胞をクローニングし、Lamp1−GFP/ATG5−KO MEFとして調製した。

0139

ATG5−KO MEFは、胎生14.5日のATG5欠損C57/B6J系マウスより樹立したMEFに、SV40T抗原を発現する遺伝子をNucleofectorシステム(amaxa社製)を用いた電気穿孔法にて導入し、不死化することにより、調製した。また、レトロウィルスは、レトロウィルスパッケージング細胞であるplat E細胞にMSCV−Lamp1−GFP(zeocin耐性)ベクターを導入することにより、作製した。

0140

<リソソームタンパク質の凝集が占める細胞内の割合と、該凝集による蛍光輝点の蛍光強度との相関についての検証>
Lamp1−GFP発現細胞において生じるオーファジーの程度、すなわち1細胞あたりのLamp1−GFPの凝集が占める面積と、Lamp1−GFPの凝集による蛍光輝点の蛍光強度とが相関しているかどうかを調べた。

0141

すなわち、先ずエトポシドを10μM投与することによって、Lamp1−GFP発現細胞にオルタナティブオートファジーを誘導した。そして、オルタナティブオートファジーを誘導する処理を施してから、16時間後に、当該細胞をグルタルアルハイドにより固定した後、1細胞あたりのGFPの蛍光量をIn Cell Analyzerを用いて定量した。その後、同一サンプルを電子顕微鏡にて観察し、1細胞あたりのLamp1−GFPの凝集が占める面積(オートファジー領域が占める面積)を算出した。得られた結果を図1に示す。

0142

図1に示した結果から明らかなように、電子顕微鏡にて計測したオートファジー領域が占める面積と、1細胞あたりのLamp1−GFPの凝集による蛍光輝点の蛍光強度とは比例関係にあることが示された。従って、オーファジーの程度は、Lamp1−GFPの凝集による蛍光輝点の蛍光強度を指標としても評価できることが明らかになった。

0143

<オルタナティブオートファジー誘導活性の評価>
前日に1×104/96wellになるよう播種したLamp1−GFP/ATG5−KO MEFに、被験化合物を最終濃度50μMとなるよう添加し、37℃、10%CO2にて5時間培養した。

0144

そして、観察に際し、Hoechst33342(invitrogen社製)を最終濃度1ng/mlとなるように培養液に添加し、5分間インキュベーションした後、培養液をHBSS100μlに置換した。次いで、INCLLNALYZER1000(GE Healthcare社製)にて、1wellあたりランダムに5視野撮影した。そして、得られた観察視野内において、Lamp1−GFPの凝集による蛍光輝点が細胞において占める面積が4μm2以上であった被験化合物をオルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物として選択した。

0145

その結果、実施例1においては、供した11588種の化合物のうち、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を有する化合物として54化合物が選択された。

0146

(実施例2)
東京医科歯科大学ケミカルバイオロジースクリーニングセンターから提供を受けた11588種の化合物を被験化合物とし、以下に示す方法にて、細胞の生存率を指標として、細胞死を誘導する活性を有する化合物を選択した。

0147

<がん細胞特異的に細胞死を誘導する化合物の選択>
本実施例においては、増殖速度の遅い初代培養野生型MEF(primary MEF)と、SV40T抗原を導入することにより不死化した、増殖速度の速いtransformed MEFとを用いて、がん細胞特異的に細胞死を誘導する化合物の選択を行った。すなわち、先ず、transformed MEFを2x104/well、primary MEFを4x104/wellになるように、96wellプレートに播種した。そして、その翌日に、化合物を最終濃度50μMとなるよう添加し、37℃、10%CO2にて24時間培養した。次いで、Cell titer blue(CTB)(Promega社製)を添付のプロトコールの通りに使用し、各被験化合物と接触させた細胞の生存率を測定した。そして、transformed MEFで細胞死を大きく誘導し(生存率30%以下)、primary MEFで細胞死を誘導しない(生存率80%以上)被験化合物を、がん細胞特異的に細胞死を誘導する化合物として選択した。その結果、実施例2においては、供した11588種の化合物のうち、411化合物が選択された。

0148

(実施例3)
前記11588種の化合物のうち、実施例1において選択され、かつ実施例2においても選択された24化合物を被験化合物とし、以下に示す担癌非ヒト動物を用いた方法にて、抗癌活性を有する化合物を選択した。

0149

<in vivoにおける、抗癌活性を有する化合物の選択>
p53欠損C57/B6Jマウスに自然発生した腫瘍より樹立した腫瘍細胞株(「53T」とも称する)を、野生型C57/B6Jマウスの腹側皮内4箇所に3x105細胞ずつ移植し、翌日より隔日で5回、各化合物をマウスに投与した。各化合物の濃度は0.4μmol/(50μlDMSO+100μlPBS)/匹/回とした。また陰性対照群として、同量のDMSOのみを投与したものも用意した。そして、移植後21日(3週間)のマウスの腫瘍径を計測し、腫瘍体積を算出して対照群との比較を行った。得られた結果を図2に示す。なお図2中、縦軸は腫瘍体積の平均値(mm3)を示し、1000mm2付近横軸に平行な線は、陰性対照群における腫瘍体積の平均値を示す。

0150

図2に示した結果から明らかなように、実施例1において選択され、かつ実施例2においても選択された24化合物のうち、5化合物(chem04、chem09、chem13、chem16及びchem24)がin vivoにおいて抗癌活性を有する化合物として選択された。

0151

(実施例4)
実施例3において選択された chem09及びchem13について、以下に示す腫瘍細胞株を用いた方法にて、これらのオルタナティブオートファジー誘導活性を確認した。

0152

chem09及びchem13を各々「化合物#09」及び「化合物#13」とも称する。また、各化合物の構造は下記の通りである。なお、化合物#09(STOCK3S−94453)及び#13(STOCK4S−32811)はサプライヤーIBS社より購入したものを本実施例及び以下の実施例に供した。

0153

0154

前記式にて「Et」はエチル基(C2H5基)を示し、「Ac」はアセチル基(C(=O)CH3基)を示す(以下、同様)。

0155

<オルタナティブオートファジー誘導活性の評価>
前述のLamp1−GFP/ATG5−KO MEFを用いた<オルタナティブオートファジー誘導活性の評価>と同様にして、p53欠損C57/B6Jマウスに自然発生した腫瘍より樹立した腫瘍細胞株(「53T」とも称する)に化合物#09又は#13を最終濃度20μMとなるように培養液に添加し、その6時間後に蛍光顕微鏡及び電子顕微鏡にて観察した。なお、本評価においては、Lamp1の代わりにLamp2を用いた。得られた結果を図3〜6に示す。

0156

図3〜6に示した結果から明らかなように、化合物#09又は♯13を投与したp53欠損癌細胞において、リソソームタンパク質Lamp2の凝集並びにオ—トファジーの発生が観察された。従って、本発明のスクリーニング方法により選択された化合物(化合物#09及び♯13)は、癌細胞において、オルタナティブオートファジーを誘導できることが確認された。

0157

(実施例5)
以下に示す腫瘍細胞株を用いた方法にて、化合物#09及び#13の抗癌活性を確認した。

0158

<in vitroにおける抗癌活性の評価>
先ず、マウス腫瘍細胞株53Tを2x104/wellになるように、96wellプレートに播種した。そして、その翌日に、DMSOに溶解させた化合物#09又は♯13を最終濃度1、5、10、20又は50μMとなるように添加した。また、陰性対照としてDMSOのみを添加したものも用意した。次いで、37℃、10%CO2にて24時間培養した後、Cell titer blue(CTB)(Promega社製)を添付のプロトコールの通りに使用し、CTB試薬を添加してから10分後の各細胞の蛍光発色量を、化合物#09又は♯13と接触させた細胞におけるCTB計測値として、かかる計測値に基づき、下記式にて化合物#09及び♯13の細胞死誘導率を算出した。

0159

細胞死誘導率=(陰性対照におけるCTB計測値−化合物添加細胞におけるCTB計測値)/陰性対照におけるCTB計測値
得られた結果を表1に示す。

0160

0161

表1に示した結果から明らかなように、化合物#09及び#13ともに、最終濃度50μMにて24時間刺激することにより、90%以上の腫瘍細胞株に細胞死を誘導できることが明らかになった。従って、本発明のスクリーニング方法によって、抗癌活性を有する化合物を選択できることが確認された。

0162

(実施例6)
化合物#09及び#13について、以下に示す正常細胞及び癌細胞を用いた方法にて、これらの細胞死を誘導する活性が、癌細胞に対して特異的なものであるかどうかを調べた。

0163

<癌細胞特異的に細胞死を誘導する活性についての評価>
前述の<in vitroにおける抗癌活性の評価>と同様にして、初代線維芽細胞(正常細胞)又はSV40で不死化した線維芽細胞(癌細胞)に、化合物#09又は#13を最終濃度20μMとなるように培養液に添加して得られたCTB計測値に基づき、細胞生存率を経時的に算出した。なお、細胞生存率は、1−細胞死誘導率とした。得られた結果を図7及び8に示す。

0164

図7及び8に示した結果から明らかなように、化合物#09及び#13共に、正常細胞に対して細胞死を殆ど誘導しなかったが、癌細胞に対しては顕著な細胞死誘導活性を示した。従って、本発明のスクリーニング方法により選択された化合物(化合物#09及び#13)は、癌細胞に対して特異的に細胞死を誘導できることが確認された。

0165

(実施例7)
以下に示す担癌マウスを用いた方法にて、化合物#09及び#13のin vivoにおける抗癌活性を確認した。

0166

<in vivoにおける、抗癌活性を有する化合物の選択>
53Tを、野生型C57/B6Jマウスの腹側皮内4箇所に3x105細胞ずつ移植し、翌日より隔日で5回、化合物#09又は#13を、0(DMSOのみ)、5、10又は20μMにて、マウス6匹ずつに投与した。そして、移植後21日(3週間)のマウスの腫瘍径を計測し、腫瘍体積を算出した。得られた結果を図9及び11に示す。なお、図9及び11において、各点は、マウス1匹における4カ所の腫瘍の平均体積を表わす。

0167

また、前記と同様にして、53Tをマウスに移植し、その翌日より隔日にて5回、化合物#09を10μMの濃度にて、化合物#13は5μMの濃度にて、担癌マウス4匹ずつに投与した。そして、移植後21日(3週間)のマウスの腫瘍径を計測し、腫瘍体積を算出した。また、陰性対照としてDMSOを投与した群も調製し、同様に腫瘍体積を算出した。そして、これらの実験を独立して3度行った。得られた結果を図10及び12に示す。なお、図10及び12において、各点は、マウス1匹における4カ所の腫瘍の平均体積を表わす。

0168

図9〜12に示した結果から明らかなように、化合物#09及び#13共に、in vivoにおける抗癌活性を示した。特に、図9に示す通り、化合物#09の抗癌活性は用量依存的な活性であることが確認された。また図11に示す通り、化合物#13については5μMという低濃度にて投与しても、顕著な抗癌活性が示されることが確認された。

0169

(実施例8)
以下に示す方法にて、化合物♯09及び#13について、各化合物を投与した担癌マウスの生存率を調べた。また対照として既に臨床にて抗癌剤として使用されているエトポシド(etoposide)も担癌マウスに投与し、その生存率を調べた。すなわち、前述の<in vivoにおける、抗癌活性を有する化合物の選択>と同様にして、野生型C57/B6Jマウスの腹側皮内4箇所に3x105細胞ずつ53Tをマウスに移植し、その翌日より隔日にて5回、化合物#09又は#13を10μMにて担癌マウス12匹ずつに投与した。また、対照としてエトポシドも10μMにて担癌マウスに投与した。さらに、陰性対照としてDMSOを投与した群も調製した。そして、これら担癌マウスの生存率を調べ、各化合物投与後の生存曲線を得た。得られた結果を図13〜15に示す。

0170

図13〜15に示した結果から明らかなように、担癌マウスの生存率において、化合物♯09及び#13はエトポシドよりも高い改善効果を示した。従って、本発明のスクリーニング方法によって、既存の抗癌剤よりも強い癌治療効果を有する化合物を選抜できることが明らかになった。また、化合物♯09は、既存の抗癌剤よりも強い癌治療効果を有する化合物であることが明らかになった。

0171

(実施例9)
化合物#09及びその類似化合物について、実施例1に記載の方法と同様の方法にて、各化合物のオルタナティブオートファジー誘導能を評価した。また、これら化合物について、実施例5に記載の方法と同様の方法にて、各化合物の抗癌活性を評価した。得られた結果を図16及び17に示す。化合物#09及びその類似化合物の構造は以下の通りである。なお、これら類似化合物は、Pharmeks社(ロシア)から購入した。

0172

0173

図16及び17に示した結果から明らかなように、オルタナティブオートファジー誘導活性を有していない化合物#09の類似化合物(化合物#37、#38、#40、#42、#44及び#46)については、抗癌活性が認められなかった。一方、オルタナティブオートファジー誘導活性を有する化合物#09及びその類似化合物においては、その殆どにて抗癌活性が認められた。なお、化合物♯36及び♯47については、低濃度にて添加しても強い殺細胞効果ネクローシス)を示し、毒性が強いため、生体への投与は困難であると判定した。

0174

従って、本発明のスクリーニング方法における、リソソームタンパク質の凝集による蛍光輝点の発生を指標として、オートファジーを誘導する活性を有する化合物を選択する工程の有用性が実証された。

0175

(実施例10)
化合物#09の類似化合物として、下記構造式からなる新規ベンゾチオフェン化合物(TMD−459及びTMD−460)を設計し、合成した。

0176

0177

0178

すなわち、下記に示す材料及び方法にて、先ず、「Grinev.A.N.ら、「2−(アシルアミノ)−7−ヒドロオキシベンゾ[b]チオフェン誘導体の合成臭素化及びニトロ化」、Khimiya Geterosiklicheskikh Soedinenii、1987年、4巻、460〜462ページ」の記載に沿って、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−hydroxybenzo[b]thiophene−3−carboxylateを合成し、化合物#9へと誘導した。次に、化合物#9からTMD−459及びTMD−460を合成した。

0179

<材料及び方法>
(1)クロマトグラフィー
分析用薄層クロマトグラフィーTLC)は、あらかじめシリカゲルが塗布されたガラスプレート(MERCK5715、silica gel 60 F254)を用いて行った。スポット検出は、紫外線ランプ(254nm)、ヨウ吸着、過マンガン酸カリウム水溶液による呈色によって行った。

0180

分取フラッシュカラムクロマトグラフィーには、シリカゲル(和光純薬 295−34061,Presep(R)(Luer Lock) Silica Gel(HC−N) Type L)を用い、中圧分取液体クロマトグラフ(山善、EPCLC−W−Prep 2XY A−Type)にて行った。

0181

分取用薄層クロマトグラフィーは、シリカゲル(MERCK1.07747.2500,silica gel 60 F254)を塗布したガラスプレートを作製し、これを用いて行った。

0182

(2)核磁気共鳴(NMRスペクトル
1H核磁気共鳴(NMR)スペクトル(500MHz)は、Bruker社製、AVANCE500核磁気共鳴装置を用いて測定した。化学シフト(δ)は、tetramethylsilane((CH3)4Si)(CDCl3中での測定;0ppm)又は測定溶媒の非重水素化由来ピーク(CD3ODでの測定:3.31ppm;DMSO−d6での測定:2.49ppm)を内部標準として相対的値として表した。シグナル分裂線様式の略語s、d、t、q、m、brはそれぞれ単重線二重線三重線四重線多重線幅広線を表す。

0183

13C核磁気共鳴スペクトル(126MHz)は、Bruker社製、AVANCE500核磁気共鳴装置を用いて測定した。化学シフト(δ)は、測定溶媒の炭素由来のピーク(CDCl3中での測定:77.0ppm;CD3ODでの測定:49.0ppm)を内部標準として相対的値として表した。

0184

(3)化学薬品
すべての試薬は特に記さない限り、市販のものをそのまま使用した。反応、抽出、クロマトグラフィー用の溶媒には、酢酸エチルn−ヘキサン脱水ジクロロメタン脱水テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、1,4−ジオキサン、酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の市販品をそのまま用いた。

0185

反応試薬は、以下に挙げる物を使用した。和光純薬工業株式会社からはethyl 2−amino−4,5,6,7−tetrahydrobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(Cat.No.325−89562)、無水酢酸(Cat.No.011−00276)、酢酸(Cat.No.017−00256)、二クロム酸カリウム(Cat.No.163−03665)、臭素(Cat.No.020−02403)、チオ硫酸ナトリウム(Cat.No.197−03585)、炭酸カリウム(Cat.No.162−03495)、水酸化ナトリウム(Cat.No.198−13765)を、東京化成工業株式会社からはN−(2−クロロエチルジエチルアミン塩酸塩(Cat.No.C0302)を購入し、そのまま反応に用いた。

0186

(4) Ethyl 2−acetylamino−4,5,6,7−tetrahydrobenzo[b]thiophene−3−carboxylateの合成

0187

0188

Ethyl 2−amino−4,5,6,7−tetrahydrobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(25g,111mmol)、酢酸(150mL)、無水酢酸(19mL,200mmol)の混合物を85℃で24時間撹拌した。この反応溶液に対して水100mLを加え、沈殿をろ取することで、ethyl 2−acetylamino−4,5,6,7−tetrahydrobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(30g,quant.)を白色固体として得た;TLCRf=0.38(n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1);1H NMR(500MHz,CDCl3)δ1.38(t,J=7.0Hz,3H),1.76−1.81(m,4H),2.25(s,3H),2.63(t,J=4.5Hz,2H),2.76(t,J=4.5Hz,2H),4.32(q,J=7.0Hz,2H),11.26(br s,1H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ 14.5,23.1,23.2,23.9,24.6,26.6,60.7,111.5,126.9,130.9,147.8,166.9,167.1。

0189

(5) Ethyl 2−acetylamino−4,5,6,7−tetrahydro−7−oxobenzo[b]thiophene−3−carboxylateの合成

0190

0191

Ethyl 2−acetylamino−4,5,6,7−tetrahydrobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(6.6g,25mmol)に酢酸(35mL)を加え、60℃に加熱した後、二クロム酸カリウム(10g,52mmol)と蒸留水(10mL)の懸濁液を、反応混合物が80℃以上にならないようにゆっくり加えた後、60℃で24時間撹拌した。この反応混合物に対して重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した(×3)。有機層飽和食塩水(×1)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1の後、酢酸エチルのみ)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−4,5,6,7−tetrahydro−7−oxobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(2.73g,9.7mmol,39%)を白色固体として得た;TLCRf=0.48(n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1);1H NMR(500MHz,CDCl3)δ1.43(t,J=7.0Hz,3H),2.16(quin,J=6.5Hz,2H),2.32(s,3H),2.57(t,J=6.5Hz,2H),3.07(t,J=6.5Hz,2H),4.39(q,J=7.0Hz,2H),11.55(br s,1H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ 14.5,24.0,26.8,37.9,61.5,112.1,127.7,150.1,156.2,166.3,167.9,192.7。

0192

(6) Ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−hydroloxybenzo[b]thiophene−3−carboxylateの合成

0193

0194

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−4,5,6,7−tetrahydro−7−oxobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(2.5g,8.9mmol)のクロロホルム(25mL)溶液に対して、臭素(1.0mL,19mmol)のクロロホルム(5.0mL)溶液をゆっくり加えた後、3時間加熱還流油浴温度75℃)した。室温まで冷却し、室温で16時間撹拌した後、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、生成物を塩化メチレンで抽出した(×3)。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1、1/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−6,6−dibromo−4,5,6,7−tetrahydro−7−oxobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(2.9g,6.6mmol,74%)を白色固体として得た。次に、アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6,6−dibromo−4,5,6,7−tetrahydro−7−oxobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(2.9g,6.6mmol)の1,4−ジオキサン(15mL)溶液に対して、炭酸カリウム(1.4g,10mmol)の水(3.0mL)溶液を加え、30分間加熱還流(油浴温度120℃)した。生じた灰色沈殿をろ取し、メタノールで洗浄することでethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−hydroxybenzo[b]thiophene−3−carboxylate(2.2g,6.1mmol,93%)を灰色固体として得た;TLCRf=0.20(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1);1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 1.50(t,J=7.0Hz,3H),2.36(s,3H),4.48(q,J=7.0Hz,2H),5.89(s,1H),7.45(d,J=8.5Hz,1H),7.74(d,J=8.5Hz,1H),11.71(br s,1H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ 14.6,24.1,61.4,103.3,106.4,117.1,121.5,129.4,135.6,146.7,153.5,166.7,168.3。

0195

(7) Ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)の合成

0196

0197

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−hydroxybenzo[b]thiophene−3−carboxylate(331mg,0.93mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)溶液に対して、炭酸カリウム(403mg,2.9mmol)とN−(2−クロロエチル)ジエチルアミン塩酸塩(341mg,2.0mmol)を加え、100℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=50/1,10/1)にて精製し、Ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(190mg,45%)をうす茶色固体として得た;TLCRf=0.56(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 1.13(br
t,J=7.0Hz,6H),1.50(t,J=7.0Hz,3H),2.36(s,3H),2.70−2.79(br,4H),3.04−3.09(br,2H),4.27(t,J=6.5Hz,2H),4.48(q,J=7.0Hz,2H),7.53(d,J=8.5Hz,1H),7.88(d,J=8.5Hz,1H),11.70(br s,1H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ 11.9,14.6,24.1,47.8,52.6,61.5,71.6(br),106.6,110.3,120.4,129.1,131.1,135.3,150.5,153.1,166.6,168.3。

0198

(8) Ethyl 2−amino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−bromobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−460)の合成

0199

0200

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(46mg,0.10mmol)のTHF(2.0mL)とメタノール(2.0mL)との混合溶液に対して、0℃で水酸化ナトリウム水溶液(1.0M,0.20mL,0.20mmol)を加えた。1時間撹拌後、濃縮し、分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−amino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−bromobenzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−460)(32.5mg,78%)を油状液体として得た;TLCRf=0.37(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 1.09(t,J=7.0Hz,6H),1.44(t,J=7.0Hz,3H),2.69(q,J=7.0Hz,4H),2.98(t,J=6.5Hz,2H),4.18(t,J=6.5Hz,2H),4.40(q,J=7.0Hz,2H),6.63(br s,2H),7.42(d,J=8.5Hz,1H),7.69(d,J=8.5Hz,1H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ 12.0,14.8,47.8,52.7,60.3,71.5,100.3 108.4,119.5,123.8,130.9,138.9,149.8,164.8,166.2。

0201

(9) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−phenylbenzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−459)の合成

0202

0203

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(22mg,50μmol)、フェニルボロン酸(10mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.8mg,2.5μmol)のアセトニトリル(1.0mL)と水(0.10mL)の溶液を100℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−phenylbenzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−459)(18mg,82%)を黄色固体として得た。これをアセトニトリルで再結晶し、無色の結晶を得た;TLCRf=0.56(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.85−0.99(br,6H),1.55(t,J=7.0Hz,3H),2.39(s,3H),2.41−2.56(br,4H),2.66−2.75(br,2H),3.70−3.79(br,2H),4.53(q,J=7.0Hz,2H),7.32−7.48(m,4H),7.65(d,J=7.5Hz,2H),8.07(d,J=8.5Hz,1H),11.78(br s,1H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ 11.8(br),14.6,24.2,47.6,52.5(br),61.3,71.2(br),106.7,119.3,127.4,128.58,128.63,129.0,129.40,129.43,135.2,138.3,150.9,153.3,166.9,168.2。

0204

そして、このようにして得られたこれら新規ベンゾチオフェン化合物(TMD−459及びTMD−460)について、実施例1に記載の方法と同様の方法にて、各化合物のオルタナティブオートファジー誘導能を評価した。なお、実施例10においては、各化合物が最終濃度が10、20、30、40又は50μMになるように培養液に添加した。また、化合物♯9も対照例として前記濃度にて培養液に添加した。そして、これら化合物を添加してから5時間後に、INCELLANALYZER1000にて、1wellあたりランダムに5視野を撮影し、Lamp1−GFPの凝集による蛍光輝点の有無を目視にて判定した。

0205

その結果、図には示さないが、10μM以上の濃度の、化合物♯9、TMD−459又はTMD−460にて刺激することにより、観察した視野における全ての細胞においてLamp1−GFPの凝集が観察された。従って、これらベンゾチオフェン化合物のいずれにおいても、オルタナティブオートファジー誘導能を有していることが明らかになった。

0206

(実施例11)
TMD−460及び化合物#09の細胞死を誘導する活性を、以下に示す方法にて評価した。

0207

先ず、SV40T抗原を導入して不死化した野生型マウス胎児繊維芽細胞(MEF)を2x104/well、primary MEFを2x104/wellになるように、96wellプレートに播種した。そして、その翌日に、化合物を最終濃度10、20、30、40又は50μMとなるよう各々添加した。また、陰性対照としてDMSOのみを添加したものも用意した。次いで、37℃、10%CO2にて24時間培養した後、CTBを添付のプロトコールの通りに使用し、CTB試薬を添加してから10分後の各細胞の蛍光発色量を、TMD−460又は化合物#09と接触させた細胞におけるCTB計測値として得、かかる計測値に基づき、下記式にて各化合物の細胞死誘導率を算出した。

0208

細胞死誘導率=(陰性対照におけるCTB計測値−化合物添加細胞におけるCTB計測値)/陰性対照におけるCTB計測値
得られた結果を表2に示す。

0209

0210

表2に示した結果から明らかなように、TMD−460及び化合物#09ともに、最終濃度20μMにて24時間刺激することにより、80%以上のSV40T抗原によって不死化したMEFに細胞死を誘導できることが明らかになった。

0211

(実施例12)
化合物#09の類似化合物として、下記構造式からなる新規ベンゾチオフェン化合物(TMD−473、TMD−511〜TMD−520、TMD−593及びTMD−594)を設計し、合成した。

0212

0213

(10) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(3−azido−5−azidomethylphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−473)の合成

0214

0215

前記式にて「Me」はメチル基(CH3基)を示す(以下、同様)。

0216

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(23mg,50μmol)、3−アジド−5−アジドメチルフェニルボロン酸(22mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.8mg,3.0μmol)のアセトニトリル(1.0mL)と水(0.10mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(3−azido−5−azidomethylphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−473)(23mg,84%)を黄色固体として得た。これをアセトニトリルで再結晶し、無色の結晶を得た;TLCRf=0.61(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.92−0.97(br,6H),1.52(t,J=7.2Hz,3H),2.37(s,3H),2.45−2.50(br,4H),2.68−2.74(br,2H),3.72−3.79(br,2H),4.40(s,2H),4.50(q,J=7.2Hz,2H),7.00(s,1H),7.31(s,1H),7.38(s,1H),7.39(d,J=8.4Hz,1H),8.06(d,J=8.4Hz,1H),11.75(br s,1H)。

0217

(11) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−methoxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−511)の合成

0218

0219

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(23mg,51μmol)、4−メトキシフェニルボロン酸(15mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.7mg,2.5μmol)のアセトニトリル(1.0mL)と水(0.10mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−methoxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−511)(23mg,96%)を黄色固体として得た。これをアセトニトリルで再結晶し、無色の結晶を得た;TLCRf=0.47(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.95(t,J=7.2Hz,6H),1.52(t,J=7.2Hz,3H),2.36(s,3H),2.48(q,J=7.2Hz,4H),2.71(t,J=6.8Hz,2H),3.75(t,J=6.8Hz,2H),3.86(s,3H),4.50(q,J=7.2Hz,2H),6.96−7.00(AA’BB’,2H),7.39(d,J=8.4Hz,1H),7.55−7.59(AA’BB’,2H),8.02(d,J=8.4Hz,1H),11.74(br s,1H)。

0220

(12) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−hydroxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−512)の合成

0221

0222

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(23mg,51μmol)、4−ヒドロキシフェニルボロン酸(14mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.4mg,2.0μmol)のアセトニトリル(2.0mL)と水(0.20mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−hydroxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−512)(16mg,68%)を黄色固体として得た。これをアセトニトリルで再結晶し、無色の結晶を得た;TLCRf=0.22(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 1.05(t,J=7.2Hz,6H),1.52(t,J=7.2Hz,3H),2.36(s,3H),2.65(q,J=7.2Hz,4H),2.87(t,J=6.4Hz,2H),3.86(t,J=6.4Hz,2H),4.50(q,J=7.2Hz,2H),6.86−6.89(AA’BB’,2H),7.38(d,J=8.4Hz,1H),7.46−7.49(AA’BB’,2H),8.03(d,J=8.4Hz,1H),11.74(br s,1H)。

0223

(13) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−dimethylaminophenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−513)の合成

0224

0225

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(22mg,50μmol)、4−ジメチルアミノフェニルボロン酸(17mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.7mg,3.0μmol)のアセトニトリル(1.0mL)と水(0.10mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−dimethylaminophenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−513)(14mg,57%)を茶色固体として得た;TLCRf=0.39(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.95(t,J=7.2Hz,6H),1.50(t,J=7.2Hz,3H),2.35(s,3H),2.49(q,J=7.2Hz,4H),2.73(t,J=6.8Hz,2H),3.00(s,6H),3.77(t,J=6.8Hz,2H),4.49(q,J=7.2Hz,2H),6.79−6.82(AA’BB’,2H),7.40(d,J=8.4Hz,1H),7.52−7.55(AA’BB’,2H),8.00(d,J=8.4Hz,1H),11.72(br s,1H)。

0226

(14) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−fluorophenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−514)の合成

0227

0228

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(24mg,51μmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(15mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.6mg,2.5μmol)のアセトニトリル(2.0mL)と水(0.20mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−fluorophenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−514)(22mg,92%)を黄色固体として得た。これをアセトニトリルで再結晶し、無色の結晶を得た;TLCRf=0.50(塩化メチレン/メタノール=10/1)1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.94(t,J=7.2Hz,6H),1.52(t,J=7.2Hz,3H),2.36(s,3H),2.45(q,J=7.2Hz,4H),2.69(t,J=6.8Hz,2H),3.73(t,J=6.8Hz,2H),4.50(q,J=7.2Hz,2H),7.10−7.16(m,2H),7.37(d,J=8.4Hz,1H),7.58−7.63(m,2H),8.04(d,J=8.4Hz,1H),11.74(br s,1H)。

0229

(15) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−trifluoromethylphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−515)の合成

0230

0231

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(23mg,50μmol)、4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸(19mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(20mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.6mg,2.3μmol)のアセトニトリル(2.0mL)と水(0.20mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−trifluoromethylphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−515)(6.2mg,24%)を茶色固体として得た;TLCRf=0.56(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.88−0.96(br,6H),1.52(t,J=7.2Hz,3H),2.37(s,3H),2.38−2.48(br,4H),2.66−2.72(br,2H),3.70−3.75(br,2H),4.51(q,J=7.2Hz,2H),7.40(d,J=8.4Hz,1H),7.68−7.71(AA’BB’,2H),7.75−7.78(AA’BB’,2H),8.08(d,J=8.4Hz,1H),11.76(br s,1H)。

0232

(16) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(3−methylphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−516)の合成

0233

0234

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(24mg,52μmol)、3−メチルフェニルボロン酸(14mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.6mg,2.5μmol)のアセトニトリル(1.0mL)と水(0.10mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(3−methylphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−516)(22mg,90%)を黄色固体として得た。これをアセトニトリルで再結晶し、無色の結晶を得た;TLCRf=0.42(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.93(t,J=7.2Hz,6H),1.52(t,J=7.2Hz,3H),2.17(s,3H),2.36(s,3H),2.46(q,J=7.2Hz,4H),2.70(t,J=6.8Hz,2H),3.74(t,J=6.8Hz,2H),4.50(q,J=7.2Hz,2H),7.16(d,J=7.6Hz,1H),7.32(dd,J=7.6,7.6Hz,1H),7.39−7.52(m,3H),8.03(d,J=8.4Hz,1H),11.74(br s,1H)。

0235

(17) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(2−methylthiophenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−517)の合成

0236

0237

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(23mg,50μmol)、2−メチルチオフェニルボロン酸(17mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.6mg,2.5μmol)のアセトニトリル(2.0mL)と水(0.20mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(2−methylthiophenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−517)(18mg,73%)を茶色固体として得た;TLCRf=0.36(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.90(t,J=7.2Hz,6H),1.50(t,J=7.2Hz,3H),2.17(s,3H),2.35−2.42(m,5H),2.61(t,J=6.8Hz,2H),3.74−2.83(br,2H),4.49(q,J=7.2Hz,2H),7.20(ddd,J=1.2,7.2,7,2Hz,1H),7.27−7.39(m,4H),8.03(d,J=8.0Hz,1H),11.76(br s,1H)。

0238

(18) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−pyridyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−518)の合成

0239

0240

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(24mg,53μmol)、4−ピリジルボロン酸(12mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.6mg,2.5μmol)のアセトニトリル(2.0mL)と水(0.20mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−pyridyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−518)(6.0mg,26%)を茶色固体として得た;TLCRf=0.22(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.96(t,J=7.2Hz,6H),1.53(t,J=7.2Hz,3H),2.37(s,3H),2.50(q,J=7.2Hz,4H),2.75(t,J=6.8Hz,2H),3.80(t,J=6.8Hz,2H),4.51(q,J=7.2Hz,2H),7.42(d,J=8.4Hz,1H),7.59−7.62(AA’BB’,2H),8.09(d,J=8.4Hz,1H),8.66−8.68(AA’BB’,2H),11.76(br s,1H)。

0241

(19) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(2−thienyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−519)の合成

0242

0243

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(23mg,51μmol)、2−チエニルボロン酸(13mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.8mg,3.0μmol)のアセトニトリル(1.0mL)と水(0.10mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(2−thienyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−519)(20mg,87%)を黄色固体として得た。これをアセトニトリルで再結晶し、無色の結晶を得た;TLCRf=0.42(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 1.04(t,J=7.2Hz,6H),1.52(t,J=7.2Hz,3H),2.36(s,3H),2.60(q,J=7.2Hz,4H),2.94(t,J=6.8Hz,2H),4.01(t,J=6.8Hz,2H),4.49(q,J=7.2Hz,2H),7.11(dd,J=3.6,5.2Hz,1H),7.35(dd,J=1.2,5.2Hz,1H),7.51(dd,J=1.2,3.6Hz,1H),7.64(d,J=8.4Hz,1H),8.01(d,J=8.4Hz,1H),11.73(br s,1H)。

0244

(20) Ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(3−thienyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−520)の合成

0245

0246

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−6−bromo−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]benzo[b]thiophene−3−carboxylate(化合物#09)(23mg,50μmol)、3−チエニルボロン酸(13mg,0.10mmol)、リン酸カリウムn水和物(23mg,ca.1mmol)、bis[di−t−butyl(4−dimethylaminophenyl)phosphine]dichloropalladium(1.8mg,3.0μmol)のアセトニトリル(1.0mL)と水(0.10mL)の溶液を80℃で12時間撹拌した。ろ過後、減圧濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(3−thienyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−520)(20mg,86%)を黄色固体として得た。これをアセトニトリルで再結晶し、無色の結晶を得た;TLCRf=0.42(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 1.00(t,J=7.2Hz,6H),1.52(t,J=7.2Hz,3H),2.36(s,3H),2.54(q,J=7.2Hz,4H),2.81(t,J=6.8Hz,2H),3.85(t,J=6.8Hz,2H),4.50(q,J=7.2Hz,2H),7.38(dd,J=2.8,5.2Hz,1H),7.49−7.54(m,2H),7.67(dd,J=1.2,2.8Hz,1H),8.02(d,J=8.4Hz,1H),11.73(br s,1H)。

0247

(21) Ethyl 2−amino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−methoxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−593)の合成

0248

0249

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−methoxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−511)(9.7mg,20μmol)のTHF(1.0mL)とメタノール(1.0mL)との混合溶液に対して、室温で水酸化ナトリウム水溶液(1.0M,0.10mL,0.10mmol)を加えた。1時間撹拌後、濃縮し、分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−amino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−methoxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−593)(8.2mg,93%)を黄色固体として得た;TLCRf=0.22(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.98−1.02(br,6H),1.44(t,J=7.2Hz,3H),2.48−2.60(br,4H),2.66−2.73(br,2H),3.70−3.75(br,2H),3.86(s,3H),4.42(q,J=7.2Hz,2H),6.55(br s,2H),6.95−6.98(AA’BB’,2H),7.26(d,J=8.0Hz,1H),7.51−7.54(AA’BB’,2H),7.85(d,J=8.0Hz,1H)。

0250

(22) Ethyl 2−amino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−hydroxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−594)の合成

0251

0252

アルゴン雰囲気下、ethyl 2−acetylamino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−hydroxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−512)(9.4mg,20μmol)のTHF(1.0mL)とメタノール(1.0mL)との混合溶液に対して、室温で水酸化ナトリウム水溶液(1.0M,0.10mL,0.10mmol)を加えた。1時間撹拌後、濃縮し、分取用薄層クロマトグラフィー(展開溶媒塩化メチレン/メタノール=10/1)にて精製し、ethyl 2−amino−7−[2−(N,N−diethylamino)ethyloxy]−6−(4−hydroxyphenyl)benzo[b]thiophene−3−carboxylate(TMD−594)(8.1mg,95%)を無色固体として得た;TLCRf=0.17(塩化メチレン/メタノール=10/1);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 1.03(t,J=7.2Hz,3H),1.46(t,J=7.2Hz,3H),2.55−2.62(br,4H),2.71−2.75(br,2H),3.74−3.78(br,2H),4.43(q,J=7.2Hz,2H),6.57(br s,2H),6.86−6.89(AA’BB’,2H),7.26(d,J=8.4Hz,1H),7.44−7.47(AA’BB’,2H),7.85(d,J=8.4Hz,1H)。

0253

(実施例13)
化合物#09及びその類似化合物(TMD−473、TMD−511〜TMD−520、TMD−593及びTMD−594)について、実施例1に記載の方法と同様の方法にて、各化合物のオルタナティブオートファジー誘導能を評価した。得られた結果を図18に示す。

実施例

0254

図18に示した結果から明らかなように、これらベンゾチオフェン化合物(TMD−473、TMD−511〜TMD−520、TMD−593及びTMD−594)のいずれにおいても、オルタナティブオートファジー誘導能を有していることが明らかになった。

0255

以上説明したように、本発明によれば、ベンゾチオフェン化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤及び抗癌剤を提供することが可能となる。従って、本発明のベンゾチオフェン化合物を有効成分とする抗癌剤は、各種癌に対する治療及び予防(再発予防)において有用であり、特にアポトーシスに対する抵抗性を獲得している癌の治療等において有用である。

0256

また、本発明においては、オルタナティブオートファジーを誘導する活性を指標とすることにより、抗癌活性を有する化合物を効率良くスクリーニングすることが可能となる。従って、本発明のスクリーニング方法は、各種癌に対する治療剤予防剤(再発予防剤)の開発、特にアポトーシスに対する抵抗性を獲得している癌の治療剤等の開発に有用である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

この 技術と関連性が強い技術

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い法人

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い人物

該当するデータがありません

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ