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技術 半導体素子の接合方法および接合構造

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 水野英範牧田紀久夫
出願日 2012年10月17日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2013-539671
公開日 2015年4月2日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 WO2013-058291
状態 特許登録済
技術分野 半導体または固体装置の組立体 粉末冶金 光起電力装置
主要キーワード 配列手法 ブロック共重合体薄膜 スタンプ面 予測特性 電気化学的還元法 円柱構造 粒子状金属 微小加工
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この項目の情報は公開日時点(2015年4月2日)のものです。
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図面 (11)

課題

界面において優れた導電性ならびに透明性を確保しながら半導体素子接合する方法、およびその接合方法による接合構造を提供する。界面において優れた導電性を確保し、かつ素子特性に有利に働く光学特性の設計が可能な半導体素子の接合方法、およびその接合方法による接合構造を提供する。

解決手段

有機分子で覆われていない導電性ナノ粒子を半導体素子の表面に光学的損失なく配置し、その上に他方の半導体素子を圧着させる。

概要

背景

個々の半導体素子接合させることにより、半導体装置高性能化を図ることができる。代表的には、光電変換半導体素子である太陽電池において、異なるバンドギャップを有する太陽電池を積層させ多接合化することにより、幅広太陽光スペクトルを吸収させ光電変換効率を向上させることができる。

このような多接合太陽電池は、一般にGaAs基板あるいはGe基板上にIII-V族半導体セルGaAs系)を一括成長で形成するモノリシックスタック構造であり、この場合ボトムセルとしては長波長帯感度を有するGeあるいはInGaAs系を適用して発電効率40%を超える性能が得られている。しかしながら、これらの材料組み合わせは格子不整合系であるために、成長技術が煩雑でありかつコスト増大の要因となる。

一方、最近注目されているスマートスタック構造は、複数セルメカニカルに自在接合する構造で、各種セルを容易に組み合わせることができ、高性能・低コスト化の観点より次世代太陽電池のキーテクノロジーである。スマートスタック構造においては、各太陽電池の接合界面において、導電性のみならず透明性も確保した接合構造を実現することが重要となる。また、透明性の確保と同等又はそれ以上に、太陽電池特性に有利に働く光学特性を実現することも重要となる。

従来、太陽電池を含めた半導体素子の接合方法としては、例えば特許文献1、2に記載されているように、導電性接着剤、つまりミクロンサイズの粒子状金属化合物金属ナノワイヤを含んだ有機高分子樹脂により接合させる手法が知られている。

また、例えば特許文献3に記載されているように、直径サイズが100ナノメートル以下の有機分子で覆われた導電性ナノ粒子を用い、ナノサイズ化に基づく融点低下を利用した導電性ナノ粒子間の低温焼結に基づく半導体素子の接合方法が報告されている。

しかしながら、上記の手法では以下の理由で半導体素子界面において導電性と透明性を確保した接合構造を実現することが困難である。また、太陽電池特性に有利に働く光学特性を実現することも困難である。
まず、特許文献1、2においては、接合後の装置動作時素子自体から発生する熱や外気温変化などで誘起される有機高分子樹脂の熱膨張により、粒子状金属化合物や金属ナノワイヤの非接触が起こり導電性の低下または失活を招く可能性がある。また、光の透過性を維持するためには、粒子状金属化合物や金属ナノワイヤの濃度を低くする必要があり、これは導電性に対しては不利に働く。

次に、特許文献3においては、用いられている直径100ナノメートル以下の導電性ナノ粒子は、通常は取り扱い性を向上させる目的で有機分子からなる保護膜で覆われている。しかし、接合後良好な導電性を得るためには、焼結後にこれらの有機分子を残存させない工夫が必要である。
また、上述のように、界面において透明性乃至光の透過性を維持するためには、導電性ナノ粒子濃度を低くし、界面に均一に存在させ、大きな導電性ナノ粒子焼結体の生成を防ぐ必要もある。しかしながら、粒子濃度の低下は、焼結頻度の低下につながるため、接合自体が困難となりうる。

一方、上述のような太陽電池等の半導体素子同士を接合する技術ではないが、両親媒性ブロック共重合体テンプレートとして用い、基板表面に金属ナノ粒子を二次元的に配列し、量子サイズ効果を期待する素子等への応用が検討されてきている(特許文献4、5参照)。しかしながら、表面に配列された金属(導電性)ナノ粒子を介して、有機分子等の接着剤接着用材料を用いることなく半導体素子同士を導電的に接合することについては全く検討されてこなかった。

また、上述のような太陽電池等の半導体素子同士を接合する技術ではないが、任意の3次元形状パターンを有するスタンプを用い、蒸着法等で堆積させた金属等の薄膜を他基板表面に転写することによりナノ構造を作成し(非特許文献1)、センサー素子等への応用が検討されてきている(非特許文献2)。しかしながら、このスタンプを用いる技術に関しても、表面に配列された金属(導電性)ナノ粒子を介して、有機分子等の接着剤や接着用材料を用いることなく半導体素子同士を導電的に接合することについては全く検討されてこなかった。

概要

界面において優れた導電性ならびに透明性を確保しながら半導体素子を接合する方法、およびその接合方法による接合構造を提供する。界面において優れた導電性を確保し、かつ素子特性に有利に働く光学特性の設計が可能な半導体素子の接合方法、およびその接合方法による接合構造を提供する。有機分子で覆われていない導電性ナノ粒子を半導体素子の表面に光学的損失なく配置し、その上に他方の半導体素子を圧着させる。

目的

本発明は、上述のような半導体同士を接合する既存手法の弱点を補うために開発された手法であり、その目的は、界面において優れた導電性ならびに透明性を確保しながら半導体素子を接合する方法、およびその接合方法による接合構造を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

有機分子で覆われていない導電性ナノ粒子を一方の半導体素子表面に配列し、その上に他方の半導体素子圧着させることを特徴とする半導体素子の接合方法

請求項2

前記半導体素子表面への導電性ナノ粒子の配列が、ブロック共重合体薄膜テンプレートとして形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の接合方法。

請求項3

前記半導体素子表面への導電性ナノ粒子の配列が、形状パターンが施されたスタンプを用いる転写手法で形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の接合方法。

請求項4

前記導電性ナノ粒子のサイズが、100ナノメートル以上500ナノメートル以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体素子の接合方法。

請求項5

前記導電性ナノ粒子のサイズが、10ナノメートル以上200ナノメートル以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子の接合方法。

請求項6

前記導電性ナノ粒子の配列間隔が、導電性ナノ粒子サイズの2倍以上10倍以下の距離であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体素子の接合方法。

請求項7

前記導電性ナノ粒子が、Pd、Au、Ag、Pt、Ni、Al、In、In2O3、Zn、ZnO、もしくはこれらの複合体からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体素子の接合方法。

請求項8

前記半導体素子が、結晶Si系、アモルファスSi系、微結晶Si系、有機系、もしくは、カルコパイライト系材料を用いた単接合太陽電池、またはGaAsInP、GaSb、もしくは、Ge基板上等に積層された2接合以上からなる太陽電池であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体素子の接合方法。

請求項9

一対の半導体素子の接合構造であって、両方の半導体素子の接合面に有機分子で覆われていない導電性ナノ粒子が介在している半導体素子の接合構造。

請求項10

両方の半導体素子の接合面に介在する導電性ナノ粒子は、モノレイヤー単一層)であることを特徴とする請求項9に記載の半導体素子の接合構造。

請求項11

一対の半導体素子は、接合面に半導体層又は導電層を有するものである請求項9又は10に記載の半導体素子の接合構造。

請求項12

請求項9〜11のいずれか1項に記載の接合構造を隣接する半導体素子間に備える半導体素子積層体であって、半導体素子積層体の積層方向の一方の端面から、接合面のうち少なくとも最も遠くに位置する接合面までは透光性具備する半導体素子積層体。

請求項13

半導体素子が光電変換機能を有するものである請求項12に記載の半導体素子積層体。

請求項14

光電変換機能を有する半導体素子が太陽電池である請求項13に記載の半導体素子積層体。

技術分野

0001

本発明は、半導体素子接合方法および接合構造に関する。

背景技術

0002

個々の半導体素子を接合させることにより、半導体装置高性能化を図ることができる。代表的には、光電変換半導体素子である太陽電池において、異なるバンドギャップを有する太陽電池を積層させ多接合化することにより、幅広太陽光スペクトルを吸収させ光電変換効率を向上させることができる。

0003

このような多接合太陽電池は、一般にGaAs基板あるいはGe基板上にIII-V族半導体セルGaAs系)を一括成長で形成するモノリシックスタック構造であり、この場合ボトムセルとしては長波長帯感度を有するGeあるいはInGaAs系を適用して発電効率40%を超える性能が得られている。しかしながら、これらの材料組み合わせは格子不整合系であるために、成長技術が煩雑でありかつコスト増大の要因となる。

0004

一方、最近注目されているスマートスタック構造は、複数セルメカニカルに自在接合する構造で、各種セルを容易に組み合わせることができ、高性能・低コスト化の観点より次世代太陽電池のキーテクノロジーである。スマートスタック構造においては、各太陽電池の接合界面において、導電性のみならず透明性も確保した接合構造を実現することが重要となる。また、透明性の確保と同等又はそれ以上に、太陽電池特性に有利に働く光学特性を実現することも重要となる。

0005

従来、太陽電池を含めた半導体素子の接合方法としては、例えば特許文献1、2に記載されているように、導電性接着剤、つまりミクロンサイズの粒子状金属化合物金属ナノワイヤを含んだ有機高分子樹脂により接合させる手法が知られている。

0006

また、例えば特許文献3に記載されているように、直径サイズが100ナノメートル以下の有機分子で覆われた導電性ナノ粒子を用い、ナノサイズ化に基づく融点低下を利用した導電性ナノ粒子間の低温焼結に基づく半導体素子の接合方法が報告されている。

0007

しかしながら、上記の手法では以下の理由で半導体素子界面において導電性と透明性を確保した接合構造を実現することが困難である。また、太陽電池特性に有利に働く光学特性を実現することも困難である。
まず、特許文献1、2においては、接合後の装置動作時素子自体から発生する熱や外気温変化などで誘起される有機高分子樹脂の熱膨張により、粒子状金属化合物や金属ナノワイヤの非接触が起こり導電性の低下または失活を招く可能性がある。また、光の透過性を維持するためには、粒子状金属化合物や金属ナノワイヤの濃度を低くする必要があり、これは導電性に対しては不利に働く。

0008

次に、特許文献3においては、用いられている直径100ナノメートル以下の導電性ナノ粒子は、通常は取り扱い性を向上させる目的で有機分子からなる保護膜で覆われている。しかし、接合後良好な導電性を得るためには、焼結後にこれらの有機分子を残存させない工夫が必要である。
また、上述のように、界面において透明性乃至光の透過性を維持するためには、導電性ナノ粒子濃度を低くし、界面に均一に存在させ、大きな導電性ナノ粒子焼結体の生成を防ぐ必要もある。しかしながら、粒子濃度の低下は、焼結頻度の低下につながるため、接合自体が困難となりうる。

0009

一方、上述のような太陽電池等の半導体素子同士を接合する技術ではないが、両親媒性ブロック共重合体テンプレートとして用い、基板表面に金属ナノ粒子を二次元的に配列し、量子サイズ効果を期待する素子等への応用が検討されてきている(特許文献4、5参照)。しかしながら、表面に配列された金属(導電性)ナノ粒子を介して、有機分子等の接着剤接着用材料を用いることなく半導体素子同士を導電的に接合することについては全く検討されてこなかった。

0010

また、上述のような太陽電池等の半導体素子同士を接合する技術ではないが、任意の3次元形状パターンを有するスタンプを用い、蒸着法等で堆積させた金属等の薄膜を他基板表面に転写することによりナノ構造を作成し(非特許文献1)、センサー素子等への応用が検討されてきている(非特許文献2)。しかしながら、このスタンプを用いる技術に関しても、表面に配列された金属(導電性)ナノ粒子を介して、有機分子等の接着剤や接着用材料を用いることなく半導体素子同士を導電的に接合することについては全く検討されてこなかった。

0011

特開2003-309352号公報
特開2011-138711号公報
特開2004-107728号公報
特開2006-88310号公報
WO2007/122998号

先行技術

0012

Loo et al., Journal of the American Chemical Society, 124 (2002), 7654.
Hatab et al., ACS Nano, 2 (2008), 377.

発明が解決しようとする課題

0013

本発明は、上述のような半導体同士を接合する既存手法の弱点を補うために開発された手法であり、その目的は、界面において優れた導電性ならびに透明性を確保しながら半導体素子を接合する方法、およびその接合方法による接合構造を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、界面において優れた導電性を確保し、かつ素子特性に有利に働く光学特性の設計が可能な半導体素子の接合方法、およびその接合方法による接合構造を提供することにある。

課題を解決するための手段

0014

前記目的を達成するための各種試験研究の過程において、本発明者は、有機分子で覆われていない導電性ナノ粒子を接合される半導体素子界面に配列した場合でも、通常使用される有機分子等の接着剤乃至接着用材料を用いることなく両半導体素子を接合でき、しかも、半導体素子間を導電的に接続できることを知見した。本発明の接合方法は、上記目的を前提とした前記知見に基づくものであり、有機分子で覆われていない導電性ナノ粒子のモノレイヤー単一層)を半導体素子の表面に配列し、その上に他方の半導体素子を圧着させることを特徴とする。

0015

すなわち、本発明は、次のような特徴を有するものである。
(1)有機分子で覆われていない導電性ナノ粒子を一方の半導体素子表面に配列し、その上に他方の半導体素子を圧着させることを特徴とする半導体素子の接合方法。
(2)前記半導体素子表面への導電性ナノ粒子の配列が、ブロック共重合体薄膜をテンプレートとして形成されることを特徴とする上記(1)に記載の半導体素子の接合方法。
(3)前記半導体素子表面への導電性ナノ粒子の配列が、形状パターンが施されたスタンプを用いる転写手法で形成されることを特徴とする上記(1)に記載の半導体素子の接合方法。
(4)前記導電性ナノ粒子のサイズが、100ナノメートル以上500ナノメートル以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の半導体素子の接合方法。
(5)前記導電性ナノ粒子のサイズが、10ナノメートル以上200ナノメートル以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の半導体素子の接合方法。
(6)前記導電性ナノ粒子の配列間隔が、導電性ナノ粒子サイズの2倍以上10倍以下の距離であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の半導体素子の接合方法。
(7)前記導電性ナノ粒子が、Pd、Au、Ag、Pt、Ni、Al、In、In2O3、Zn、ZnO、もしくはこれらの複合体からなることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の半導体素子の接合方法。
(8)前記半導体素子が、結晶Si系、アモルファスSi系、微結晶Si系、有機系、もしくは、カルコパイライト系材料を用いた単接合太陽電池、またはGaAs、InP、GaSb、もしくは、Ge基板上等に積層された2接合以上からなる太陽電池であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の半導体素子の接合方法。
(9)一対の半導体素子の接合構造であって、両方の半導体素子の接合面に有機分子で覆われていない導電性ナノ粒子が介在している半導体素子の接合構造。
(10)両方の半導体素子の接合面に介在する導電性ナノ粒子は、モノレイヤー(単一層)であることを特徴とする上記(9)に記載の半導体素子の接合構造。
(11)一対の半導体素子は、接合面に半導体層又は導電層を有するものである上記(9)又は(10)に記載の半導体素子の接合構造。
(12)上記(9)〜(11)のいずれか1項に記載の接合構造を隣接する半導体素子間に備える半導体素子積層体であって、半導体素子積層体の積層方向の一方の端面から、接合面のうち少なくとも最も遠くに位置する接合面までは透光性具備する半導体素子積層体。
(13)半導体素子が光電変換機能を有するものである上記(12)に記載の半導体素子積層体。
(14)光電変換機能を有する半導体素子が太陽電池である上記(13)に記載の半導体素子積層体。

発明の効果

0016

本発明の接合方法によれば、導電性ならびに透明性に優れた半導体素子接合構造を得ることができる。特に、異なるバンドギャップを有する複数の太陽電池の積層、多接合化に適用した場合、幅広い太陽光スペクトルを吸収でき、光電変換効率を向上させることができる。さらに、ナノ構造に由来する光学特性を利用し、その光閉じ込め効果によっても光電変換効率を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の接合方法を利用した実施態様における半導体素子の接合構造の断面を示す模式図
本発明の実施例で用いられたブロック共重合体薄膜の原子間力顕微鏡像が示す6角形状配列の例示図
本発明の実施例で用いられた形状パターンスタンプにより作成された金属ナノ構造の6角形状配列の例示図
本発明の実施例に従い製作されたGaAs/CIGSe系2接合太陽電池の接合構造の断面を示す模式図
(a)は本発明の実施例に従い製作されたGaAs/CIGSe系2接合太陽電池のIV特性、(b)はパラジウムナノ粒子が介在していないGaAs/CIGSe系2接合太陽電池のIV特性
本発明の実施例に従い製作されたGaAs/InP系2接合太陽電池の接合構造の断面を示す模式図
(a)は本発明の実施例に従い製作されたGaAs/InP系2接合太陽電池のIV特性、(b)は金ナノ粒子が介在していないGaAs/InP系2接合太陽電池のIV特性
本発明の実施例に従い製作されたアモルファスシリコン/結晶シリコン系2接合太陽電池の接合構造の断面を示す模式図
本発明の実施例に従い製作されたGaAs/InP系2接合太陽電池の接合構造の断面を示す模式図
本発明の実施例に従い製作されたGaAs/InP系2接合太陽電池のIV特性

0018

以下、本発明の詳細について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の接合方法を利用した半導体素子の接合構造の断面を示す模式図である。図1において、接合構造101はボトム半導体素子102とトップ半導体素子103からなり、これらの間は導電性ナノ粒子104が存在した状態で接合している。
ボトム半導体素子102とトップ半導体素子103は、それぞれの接合面に半導体層又は導電層を有するものが好ましく、その場合、一方の接合面の半導体層及び/又は導電層と他方の接合面の半導体層及び/又は導電層が導電性ナノ粒子104を介して導電接続される。

0019

相互に接合される半導体素子の数は1対に限られないが、半導体素子積層体において、必要な透光性が確保される範囲の数に設定することが望ましい。接合される半導体素子としては、好ましくは透光性を有する素子や光電変換素子が挙げられる。光電変換素子としては、太陽電池のように光を電気エネルギーに変換するものであることが好ましいが、逆に、電気エネルギーを光に変換するものであっても良い。

0020

太陽電池としては、GaAs系太陽電池、CIS系(カルコパイライト系)太陽電池、GaAs、InP、GaSb、もしくは、Ge基板上等に積層された1接合や2接合以上からなる太陽電池等の化合物系太陽電池Si結晶太陽電池、アモルファスSi太陽電池、微結晶Si太陽電池等のシリコン系太陽電池有機系太陽電池色素増感型太陽電池などが挙げられる。

0021

導電性ナノ粒子としては、Pd、Au、Ag、Pt、Ni、Al、Zn、In等の金属ナノ粒子、ZnO、In2O3等の金属酸化物ナノ粒子などが挙げられる。導電性ナノ粒子のサイズは、良好な導電性を得るために10ナノメートル以上であることが好ましく、より好ましくは20ナノメートル以上、さらに好ましくは30ナノメートル以上である。一方、ナノ粒子による光の吸収・散乱を抑制するために100ナノメートル以下であることが好ましく、より好ましくは80ナノメートル以下、さらに好ましくは60ナノメートル以下であるが、200ナノメートル以下(より好ましくは150ナノメートル以下、さらに好ましくは120ナノメートル以下)であれば、200ナノメートル超のものよりも光の吸収・散乱を抑制し得る。他方、ナノ粒子導入による光閉じ込め効果を促進するためには、120ナノメートル以上500ナノメートル以下であることが好ましく、より好ましくは150ナノメートル以上300ナノメートル以下、さらに好ましくは180ナノメートル以上250ナノメートル以下である。なお、本発明における「導電性ナノ粒子のサイズD」(以下では、このサイズDを「平均サイズ」という場合がある。)は、次のように定義される。

D=(ΣDi)/n

[ここで、Dは導電性ナノ粒子のサイズ、Diは所定の観察領域に存在する任意の粒子粒子径〔=(長径短径)/2〕、nは該観察領域に存在する粒子の個数(nは統計処理上十分に大きな数、通常20以上)]

0022

導電性ナノ粒子は、有機分子等の保護膜や接着剤乃至接着用材料で覆われておらず、かつ個々の独立した粒子が均一に配列したモノレイヤーを形成している。例えば、図2、3に示されるように、任意の1つの粒子の周囲に6個の粒子が6角形をなすような(擬正)6角形状配列などに配列させることができる。導電性ナノ粒子の配列間隔は、光をよく透過させるためにナノ粒子のサイズの少なくとも2倍以上の距離を有していることが好ましい(より好ましくは3倍以上)。一方、必要な導電性を確保するためには、10倍以下であることが好ましい(より好ましくは7倍以下)。例えば、導電性ナノ粒子のサイズが40ナノメートルであれば、配列間隔は80ナノメートル以上400ナノメートル以下となる。このとき、導電性ナノ粒子は上下の半導体素子とオーミック接合をなしており、かつ界面に均一に配列されているため、優れた導電性が得られる。また粒子間の凝集は抑制されているため、優れた光透過性も得られる。他方、例えば、導電性ナノ粒子のサイズが200ナノメートルであれば、配列間隔は400ナノメートル以上2000ナノメートル以下となる。このとき、導電性ナノ粒子は上下の半導体素子とオーミック接合をなしており、かつ界面に均一に配列されているため、優れた導電性が得られる。またナノ粒子とナノ粒子配列の光学特性により、素子特性に有利に働く光閉じ込め効果も得られる。なお、本発明における「導電性ナノ粒子の配列間隔L」は、次のように定義される。

0023

本発明の接合構造は、次のようにして形成することができる。まず、接合されるボトム半導体素子102の表面にブロック共重合体の薄膜を形成する。つまり、トルエンオルトキシレンなどの有機溶媒に溶解させた疎水性部分であるポリスチレン親水性部分であるポリ-2-ビニルピリジンからなるブロック共重合体をスピンコート法ディップコーティング法などの薄膜形成手法により塗布する。こうして得られたボトム半導体素子102表面は、ブロック共重合体の相分離によりポリ-2-ビニルピリジンブロックが図2に示した白色部分のようにパターンされている。次に、この半導体素子をNa2PdCl4などの金属イオン塩を溶解させた水溶液浸す。こうして金属イオン(ここではPd2+)を先述のポリ-2-ビニルピリジンブロックからなるパターン中にピリジンとの化学的相互作用を介して取り込ませることができる。充分な水洗後、得られた半導体素子について、ブロック共重合体の除去処理と金属イオンの還元処理を行うことにより、パターンを保持したまま有機分子で覆われていない導電性ナノ粒子の配列が生成する。この後、トップ半導体素子101を導電性ナノ粒子が配置されたボトム半導体素子102上に重ね、適度な加圧・加温下で両者の接合を行う。この接合は、有機系や無機系の接着剤乃至接着用材料を用いないものであり、ファンデルワールス力のみによるものであっても良いし、表面活性化を経た直接接合法や熱固相拡散法によるものであっても良い。表面活性化には、プラズマ処理オゾン処理イオンビーム等による処理など、公知の表面活性化処理法を用いることができる。

0024

なお、上記で用いた両親媒性ブロック共重合体に関しては、ポリスチレンとポリ-2-ビニルピリジンからなるものに特に制限されることなく、公知のものを使用することができる。例えばポリ-4-ビニルピリジン、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドポリメタクリル酸ポリメタクリル酸メチル、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドポリシロキサン、ポリフェロセニルジメチルシランポリビニルピロリドンポリエチレンポリブタジエンポリイソブチレンポリビニルナフタレンポリラクトンポリラクチド、等の2種類以上の組み合わせからなるブロック共重合体が挙げられる。

0025

また、前記の金属イオン塩に関しては、Na2PdCl4に特に制限されることなく、例えばH2PdCl4、H2PdCl6、Na2PdCl6、K2PdCl4、K2PdCl6、Na2PdBr4、K2PdBr4、K2Pd(CN)4、K2Pd(NO3)4、(NH4)2PdCl4、(NH4)2PdCl6、Pd(OH)2、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(NO3)2、Pd(CN)2、PdSO4、Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、Pd(C5H7O2)2、等のパラジウムイオン塩、HAuCl4、NaAuCl4、KAuCl4、NH4AuCl4、AuCN、KAuCN2、AuCl、AuCl3、AuBr、AuI3、AuCl、AuI3、Au(OCOCH3)3、等の金イオン塩、AgNO3、AgClO4、AgCN、AgSCN、KAg(CN)2、Ag2CO3、Ag2SO4、AgOCOCH3、等の銀イオン塩、H2PtCl6、Na2PtCl4、Na2PtCl6、K2PtCl4、K2PtCl6、Na2PtBr4、K2PtBr4、K2Pt(CN)4、K2Pt(NO3)4、(NH4)2PtCl4、(NH4)2PtCl6、Pt(OH)2、PtCl2、PtBr2、PtI2、Pt(NO3)2、Pt(CN)2、PtSO4、Pt(OCOCH3)2、Pt(OCOCF3)2、Pt(C5H7O2)2、等の白金イオン塩、NiCl2、NiBr2、NiI2、NiF2、Ni(NO3)2、Ni(CN)2、NiCO3、NiSO4、Ni(ClO4)2、Ni(OCOCH3)2、Ni(OCOCF3)2、Ni(C5H7O2)2、等のニッケルイオン塩、InCl、InCl3、InBr、InBr3、InI、InI3、InF3、In(NO3)3、In2(SO4)3、In(OC3H7)3、In(OCOCH3)3、In(C5H7O2)3、等のインジウムイオン塩、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2、ZnF2、Zn(NO3)2、Zn(CN)2、ZnCO3、ZnSO4、Zn(ClO4)2、Zn(OCOCH3)2、Zn(OCOCF3)2、Zn(C5H7O2)2、等の亜鉛イオン塩等も利用できる。さらに、複合金属からなる導電性ナノ粒子を作成するために、上記の金属イオン塩を複数同時に用いることも可能である。

0026

上述のブロック共重合体の除去処理と金属イオンの還元処理は、一段階処理により行なうことが好ましいが、複数段階の処理を組みあわせて行なっても良い。このような処理としては、紫外線又は電子線照射、プラズマ処理、化学的還元法、又は電気化学的還元法が挙げられる。これらの中では、プラズマ処理や紫外線処理(特に真空紫外線処理)が好ましい。例えば、アルゴンガスを用いたプラズマ処理を行なうと、テンプレートであるブロック共重合体薄膜はアルゴンプラズマにより選択的にエッチングされ素子表面から除去される一方、金属イオンはアルゴンプラズマによりエッチングされず、プラズマ中に存在する電子により還元される。プラズマ処理用ガスは、アルゴンガスに特に制限されることなく、例えばアルゴン水素が任意の割合で混ざった混合ガスを用いることもできる。さらに、酸素ガスを用いることにより、酸化物からなる導電性ナノ粒子(ZnO、In2O3など)を得ることも可能である。

0027

本発明の接合構造は、公知のマイクロコンタクトプリント法を導電性ナノ粒子の配列手法として利用し、次のようにして形成することもできる。
まず、スタンプ面微小凸部が所定の分布パターンに形成されたポリジメチルシロキサン(PDMS)等のポリマーからなるスタンプを準備する。該スタンプ面は、スタンプ成形後の電子ビームリソグラフィーフォトリソグラフィーとエッチング等、公知の手法によって形成できるし、また、成形時に型面の凹凸パターンによっても形成することができる。微小凸部は、その上面が上述の導電性ナノ粒子の平面サイズに対応する大きさに形成され、導電性粒子と同様の配列間隔、分布パターンに形成される。このような3次元のナノスケール構造を有するスタンプ面に、熱蒸着、電子ビーム蒸着、またはスパッタリング等によりAg等の導電性薄膜を堆積させる。
こうして得られた導電性薄膜付き3次元形状スタンプを、導電性ナノ粒子が選択的に結合する官能基末端を有する化合物で表面処理した半導体素子表面にスタンプの凸部分のみが接触するように押し付ける。このとき、導電性薄膜物質表面と官能基末端の相互作用により、接触部のみの導電性薄膜を半導体素子上において転写することができる。転写後、官能基末端を有する化合物を除去し、導電性薄膜が半導体素子に直接的に接合するように、紫外線又は電子線照射、プラズマ処理等を行う。この後、トップ半導体素子101を導電性ナノ粒子が配置されたボトム半導体素子102上に重ね、適度な加圧・加温下で両者の接合を行う。この接合は、有機系や無機系の接着剤乃至接着用材料を用いないものであり、ファンデルワールス力のみによるものであっても良いし、表面活性化を経た直接接合法や熱固相拡散法によるものであっても良い。表面活性化には、プラズマ処理、オゾン処理、イオンビーム等による処理など、公知の表面活性化処理法を用いることができる。

0028

なお、前記の導電性薄膜に関しては、Agに特に制限されることなく、例えばAu、Cu、Pt、 Pd、Al等の金属、またはIn2O3、ZnO等の導電性酸化物等も利用できる。さらに、複合金属からなる導電性ナノ粒子を作成するために、上記の物質を複数同時に用いることも可能である。

0029

また、上記化合物の導電性ナノ粒子が結合する官能基としては、アミノ基、チオール基が挙げられる。該官能基末端を有する化合物としては、好ましくは、自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer;SAM)を形成することができる化合物(SAM形成性化合物)であり、限定するものではないが、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン-4-メルカプトフェニルトリメトキシシラン等の末端チオール基を有するトリアルコキシシラン類、3-アミノプロピルトリメトキシシラン-4-アミノフェニルトリメトキシシラン等の末端アミノ基を有するトリアルコキシシランが挙げられる。
なお、本発明において、導電性ナノ粒子を配列するのに利用するマイクロコンタクトプリント法は、上述のものに限定されず、本発明の半導体素子の接合方法に利用することができるものであれば、どのようなものでも良い。例えば、所定の分布パターンに形成されたスタンプ面のSAM形成性化合物を半導体素子表面に転写し、転写されたSAM上に導電性ナノ粒子を析出するものでも良い。

0030

上述のようなマイクロコンタクトプリント法を利用して半導体素子表面に導電性ナノ粒子の配列パターンを形成する場合、導電性ナノ粒子の平面形状、配列パターンは、スタンプ面の凹凸パターンに依存する。そのため、スタンプ面を形成する際の微小加工性能の範囲内において、導電性ナノ粒子の平面形状、配列パターンを任意に設定することができ、ブロック共重合体薄膜をテンプレートとして形成する場合に比べ、導電性ナノ粒子の平面形状、配列パターンに関する設計自由度が格段に向上する。それ故、光学特性設計ならびにそれによる光閉じ込め効果の点で望ましい導電性ナノ粒子平面形状、配列パターンとすることができる。そのような望ましい導電性ナノ粒子平面形状としては球状・半球状・円柱状・楕円体状、配列パターンとしては、6角形状、正6角形状(または擬正6角形状)、4角形状、正方形状(または擬正方形状)が挙げられる〔なお、各形状における「擬正・・・形状」とは、各形状における辺長標準偏差が平均辺長の30%以内(好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内)であるものをいう。〕。

0031

以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種の材料変更、設計変更設定調整等が可能である。

0032

(実施例1)
図4に、本実施形態の一つとして光電変換半導体素子(太陽電池)の例を示す。本実施例においては、トップ太陽電池としてAl0.3Ga0.7As光吸収層を有するセル301、ボトム太陽電池としてCIGSe半導体層を有するセル302からなる2つの太陽電池を接合した場合を示す。GaAs系太陽電池301は、p型GaAsバッファ層303、p型Al0.3Ga0.7As光吸収層304、n型GaAsエミッタ層305、n型GaAsコンタクト層306、およびn型電極AuGeNi 307からなる。n型電極は、太陽光受光するために、櫛型状の形態を有している。CIGSe系太陽電池302は、ガラス基板308上に、Mo電極309、CIGSe半導体層310、CdSエミッタ層311、ZnO透明伝導層312からなっている。ここで、CIGSe系太陽電池302表面には、ナノ粒子313の配列がなされている。本実施例では、Pdのナノ粒子を用いた。

0033

Pdナノ粒子313は、ブロック共重合体としてポリスチレン−ポリ-2-ビニルピリジンを薄膜化し、それをテンプレートとして用いることによりCIGSe系太陽電池302上に配列させた。すなわち、総分子量265000g/molのポリスチレン−ポリ-2-ビニルピリジン(ポリスチレン分子量:133000g/mol、ポリ-2-ビニルピリジン分子量:132000g/mol)の0.5重量%オルトキシレン溶液をCIGSeセル302の表面にスピンコーティングし、薄膜形成した。次に、この太陽電池302を1mMのNa2PdCl4水溶液に300秒浸した。水洗後、このセルをアルゴンプラズマ処理することにより、有機分子で覆われていない平均サイズ50ナノメートルのパラジウムナノ粒子313を整列配置させた。本配置におけるパラジウムナノ粒子間の平均配列間隔は100ナノメートルであった。この後、本実施例では圧着により接合させた。すなわち、水をCIGSe系セル302上に滴下しGaAs系セル301をセットして、表面張力を用いて両素子を仮接合させた。この後に、150 ℃加温状態で30分以上加圧し、素子間にPdナノ粒子313を存在させた状態で接合させた。

0034

前記太陽電池に関しては、GaAs系およびCIGSe系太陽電池に特に制限されることなく、たとえばInP、もしくは、GaSb基板上等に積層された1接合、または、2接合以上からなる太陽電池、Si結晶太陽電池、アモルファスSi太陽電池、微結晶Si太陽電池、有機太陽電池増感型太陽電池、カルコパイライト系材料を用いた太陽電池、その他太陽電池の組み合わせが挙げられる。
また、前記接着手法に関しては、圧着に特に制限されることなく、例えばプラズマやイオンビームを用いた表面活性化による素子の直接接合全般に適用できる。
また、導電性ナノ粒子に関しては、Pdに特に制限されることなく、Au、Ag、Pt、Ni、Al、Zn、In等の金属ナノ粒子、またはZnO、In2O3等の導電性を有する金属酸化物ナノ粒子などが可能である。
また、導電性ナノ粒子のサイズに関しては、50ナノメートルに制限されることなく、10-200ナノメートルの範囲において適用できる。
また、導電性ナノ粒子の配置間隔に関しては、100ナノメートルに制限されることなく、ナノ粒子サイズの2倍以上10倍以下の距離が離れていれば差し支えない。

0035

つぎに、本実施例による、太陽電池動作について説明する。図5には、太陽電池のIV特性を示す。図5中(a)は、本発明実施例に従い製作された太陽電池の特性、(b)にはPdナノ粒子を介在させない接合構造での特性を示す。これより、(a)では、開放電圧1.62V、曲線因子0.53が得られており、2接合セルでの予測特性(開放電圧1.92V)に合致する特性が得られている。一方、(b)ではIV特性が大きく劣化している様子が伺える。つまり、開放電圧は1.65Vであるが、曲線因子が0.23にまで低下している。各特性より接合抵抗見積もると、従来構造では200Ωcm2以上であり、本発明構造では10Ωcm2である。すなわち、接合抵抗の違いが、IV特性の改善につながっている。

0036

(実施例2)
図6に、本実施形態の一つとして光電変換半導体素子(太陽電池)の例を示す。本実施例においては、トップ太陽電池としてGaAs系光吸収層を有するセル501、ボトム太陽電池としてInP系半導体層を有するセル502からなる2つの太陽電池を接合した場合を示す。GaAs系太陽電池501は、p型GaAsバッファ層503、p型GaAs光吸収層504、n型GaAsエミッタ層505、n型Ga0.51In0.49P/p型Ga0.51In0.49P (506/507)トンネル層、p型Ga0.51In0.49P光吸収層508、n型Ga0.51In0.49Pエミッタ層509、n型GaAsコンタクト層510、およびn型電極AuGeNi 511からなる。n型電極は、太陽光を受光するために、櫛型状の形態を有している。InP系太陽電池502は、InP基板512上に、p型InPバッファ層513、p型In0.91Ga0.09As0.2P0.8光吸収層514(バンドギャップエネルギー1.2eV)、n型In0.91Ga0.09As0.2P0.8エミッタ層515、n型InP層516からなっている。ここで、InP系太陽電池502表面には、ナノ粒子配列517がなされている。本実施例では、Auのナノ粒子を用いた。なお、InGaAsP組成は設計的要素であり、目標特性に応じて自在に組成を調整できるものである。

0037

Auナノ粒子517は、ブロック共重合体としてポリスチレン−ポリ-2-ビニルピリジンを薄膜化し、それをテンプレートとして用いることによりInP系太陽電池502上に配列させた。すなわち、総分子量183500g/molのポリスチレン−ポリ-2-ビニルピリジン(ポリスチレン分子量:125000g/mol、ポリ-2-ビニルピリジン分子量:58500g/mol)の0.3重量%トルエン溶液をInP系太陽電池502表面にスピンコーティングし、薄膜形成した。次に、この太陽電池502を1mMのKAuCl4水溶液に600秒浸した。水洗後、このセルをアルゴンプラズマ処理することにより、有機分子で覆われていない平均サイズ10ナノメートルのAuナノ粒子517を整列配置させた。本配置におけるAuナノ粒子間の平均間隔は30ナノメートルであった。この後に、本実施例では、圧着により接合させた。すなわち、水をInP系セル502に滴下しGaAs系セル501をセットして、表面張力を用いて両素子を仮接合させた。この後に、150℃加温状態で30分以上加圧し、素子間にAuナノ粒子517を存在させた状態で接合させた。

0038

つぎに、本実施例による、太陽電池動作について説明する。図7には、太陽電池のIV特性を示す。図7中(a)は、本実施例に従い製作された太陽電池の特性、(b)にはAuナノ粒子を介在させない接合構造での特性を示す。これより、(a)では、開放電圧2.90V、曲線因子0.69が得られており、3接合セルでの予測特性(開放電圧2.97V)に合致する特性が得られている。一方、(b)ではIV特性が大きく劣化している様子が伺える。つまり、開放電圧は2.56Vであるが、曲線因子が0.45にまで低下している。各特性より接合抵抗を見積もると、従来構造では200Ωcm2以上であり、本発明構造では20Ωcm2以下である。すなわち、接合抵抗の違いが、IV特性の改善につながっている。
なお、本実施例ではInP基板512上にInGaAsP光吸収層514を有する構造をボトムセルとして用いたが、Ge基板上に同様にInGaAsP光吸収層あるいはInGaAs歪み光吸収層を形成した構造においても適用できる。

0039

(実施例3)
図8に、本実施形態の一つとして光電変換半導体素子(太陽電池)の例を示す。本実施例においては、トップ太陽電池としてアモルファスSi光吸収層を有する太陽電池701、ボトム太陽電池として結晶Si系半導体層を有する太陽電池702からなる2つの太陽電池を接合した場合を示す。アモルファスSi太陽電池701は、ZnO透明導電層703、n型アモルファスSi層704、i型アモルファスSi光吸収層705、p型アモルファスSi層706、フッ素ドープSnO2透明導電層707、およびガラス基板708からなる。結晶シリコン太陽電池702は、Al電極709上に、n型結晶Si層710、p型結晶Si層711、ITO透明導電層712からなる。ここで、結晶Si太陽電池702表面には、ナノ粒子配列713がなされている。本実施例では、Ptのナノ粒子を用いた。

0040

Ptナノ粒子713は、ブロック共重合体としてポリスチレン−ポリ-4-ビニルピリジンを薄膜化し、それを鋳型として用いることにより結晶シリコン系セル上に配列させた。すなわち、総分子量39000g/molのポリスチレン−ポリ-4-ビニルピリジン(ポリスチレン分子量:20000g/mol、ポリ-4-ビニルピリジン分子量:19000g/mol)の0.6重量%トルエン溶液を結晶Si太陽電池702表面にスピンコーティングし、薄膜形成した。次に、この太陽電池702を1mMのNa2PtCl4水溶液に1800秒浸した。水洗後、このセルをアルゴンプラズマ処理することにより、有機分子で覆われていない平均サイズ20ナノメートルのPtナノ粒子712を整列配置させた。本配置におけるPtナノ粒子間の平均間隔は40ナノメートルであった。この後に、本実施例では、圧着により接合させた。すなわち、水を結晶シリコン系セル702に滴下しアモルファスシリコン系セル701をセットして、表面張力を用いて両素子を仮接合させた。この後に、150℃加温状態で30分以上加圧し、素子間にPtナノ粒子712を存在させた状態で接合させた。

0041

つぎに、本実施例による、太陽電池動作について説明する。本実施例に従い製作された太陽電池の特性とPtナノ粒子を介在させない接合構造での特性を比較したところ、前者では、開放電圧1.45V、曲線因子0.63が得られており、2接合セルでの予測特性(開放電圧1.5V)に合致する特性が得られた。一方、後者ではIV特性が大きく劣化している様子が伺えた。つまり、開放電圧は1.40Vであるが、曲線因子が0.25にまで低下した。各特性より接合抵抗を見積もると、従来構造では100Ωcm2以上であり、本発明の実施例構造では10Ωcm2以下である。すなわち、接合抵抗の違いが、IV特性の改善につながっている。

0042

以上の実施例1−3で示したとおり、本発明構造では、導電性ナノ粒子のモノレイヤーを各種太陽電池接合界面に配列し、かつその状態で接合させることにより、界面での光透過性を損なうことなく接合抵抗を大幅に改善したことにより、良好な太陽電池特性が得ることができる。ただし、本発明の用途は太陽電池に限定されず、導電性および光透過性を必要とする半導体素子の接合に関して幅広く適用可能である。

0043

(実施例4)
図9に、本実施形態の一つとして光電変換半導体素子(太陽電池)の例を示す。本実施例においては、トップ太陽電池としてGaAs系光吸収層を有するセル901、ボトム太陽電池としてInP系半導体層を有するセル902からなる2つの太陽電池を接合した場合を示す。GaAs系太陽電池901は、p型GaAsバッファ層903、p型GaAs光吸収層904、n型GaAsエミッタ層905、n型InGaPエミッタ層906、n型GaAsコンタクト層907、およびn型電極AuGeNi 908からなる。n型電極は、太陽光を受光するために、櫛型状の形態を有している。InP系太陽電池902は、InP基板909上に、p型InPバッファ層910、p型In0.83Ga0.17As0.37P0.63光吸収層911(バンドギャップエネルギー1.15eV)、n型In0.83Ga0.17As0.37P0.63エミッタ層912、n型InP層913からなっている。ここで、InP系太陽電池902表面には、ナノ粒子配列914がなされている。本実施例では、Agのナノ粒子を用いた。なお、InGaAsP組成は設計的要素であり、目標特性に応じて自在に組成を調整できるものである。

0044

Agナノ粒子914は、微小凸部が形成されたポリジメチルシロキサン(PDMS)からなるスタンプを用いる転写手法によりInP系セル上に配列させた。すなわち、直径230ナノメートル、高さ200ナノメートルの円柱構造中心間距離460ナノメートルで6角形状配列したPDMSスタンプ上に、電子ビーム蒸着により厚さ50ナノメートルのAg薄膜を形成した。次に、このAg薄膜付スタンプを3-メルカプトプロピルトリメトキシシランSAM膜を表面に有するInP系太陽電池902に室温にて5分間、凸部分のみを接触させAgナノ粒子構造を転写し、その後セルをアルゴンプラズマ処理することにより、図3に示したように有機分子で覆われていない直径230ナノメートル、高さ50ナノメートルのAgナノ粒子(円柱状)914を整列配置させた。本配置におけるAgナノ粒子の中心間距離は460ナノメートルであった。この後に、本実施例では、GaAs系セル901とInP系セル902を圧着により接合させた。すなわち、水をInP系セル902に滴下しGaAs系セル901をセットして、表面張力を用いて両素子を仮接合させた。この後に、150℃加温状態で30分以上加圧し、素子間にAgナノ粒子914を存在させた状態で接合させた。

0045

つぎに、本実施例による、太陽電池動作について説明する。本実施例に従い製作された太陽電池の特性を計測したところ(図10参照)、開放電圧1.3V、短絡電流14.8mA、発電効率11.8%が得られ、2接合セルでの予測特性(開放電圧1.5V、短絡電流11.7mA、発電効率11%)を上回る特性が得られた。つまり、先述の実施例1−3でみられたようにAgナノ粒子が2つのセルを導電接続させているのみならず、本例ではボトムInP系セルに対して有効な光閉じ込め効果をもたらしているため、予測特性を大きく上回る短絡電流値が得られ、結果としてセル全体の発電効率が向上している。

実施例

0046

以上の実施例4で示したとおり、本発明構造では、導電性ナノ粒子のモノレイヤーを太陽電池接合界面に配列し、かつその状態で接合させることにより、異なる太陽電池間の導電接続を実現し、かつ接合界面で素子特性に有利に働く光学特性の設計が可能となり、良好な太陽電池特性が得ることができる。ただし、本発明の用途は太陽電池に限定されず、導電性および界面での光学特性設計を必要とする半導体素子の接合に関して幅広く適用可能である。

0047

この発明は、半導体素子の接合方法および接合構造に関するものであり、これらは導電性ならびに透明性、または接合界面における光学特性設計を必要とする半導体素子の多接合化に利用することができる。

0048

101:半導体素子接合構造
102:ボトム半導体素子
103:トップ半導体素子
104:導電性ナノ粒子
301:GaAs系太陽電池(GaAs系セル)
302:CIGSe系太陽電池(CIGSe系セル)
303:p-GaAsバッファ層
304:p-Al0.3Ga0.7As光吸収層
305:-N-GaAsエミッタ層
306:-N-GaAsコンタクト層
307:-N-AuGeNi櫛型電極
308:ガラス基板
309:Mo電極
310:CIGSe半導体層
311:CdSエミッタ層
312:ZnO透明電極
313:Pdナノ粒子
501:GaAs系太陽電池(GaAs系セル)
502:InP系太陽電池(InP系セル)
503:p-GaAsバッファ層
504:p-GaAs光吸収層
505:-N-GaAsエミッタ層
506:-N-Ga0.51In0.49Pトンネル層
507:p-Ga0.51In0.49Pトンネル層
508:p-Ga0.51In0.49P光吸収層
509:-N-Ga0.51In0.49Pエミッタ層
510:-N-GaAsコンタクト層
511:-N-AuGeNi櫛型電極
512:InP基板
513:p-InPバッファ層
514:p-In0.91Ga0.09As0.2P0.8光吸収層
515:-N-In0.91Ga0.09As0.2P0.8エミッタ層
516:-N-InP層
517:Auナノ粒子
701:アモルファスSi太陽電池(アモルファスシリコン系セル)
702:結晶Si太陽電池(結晶シリコン系セル)
703:ZnO透明導電層
704:-N-アモルファスSi層
705:i-アモルファスSi光吸収層
706:p-アモルファスSi層
707:フッ素ドープSnO2透明導電層
708:ガラス基板
709:Al電極
710:-N-結晶Si層
711:p-結晶Si層
712:ITO透明導電層
713:Ptナノ粒子
901:GaAs系太陽電池(GaAs系セル)
902:InP系太陽電池(InP系セル)
903:p-GaAsバッファ層
904:p-GaAs光吸収層
905:-N-GaAsエミッタ層
906:-N-InGaPエミッタ層
907:-N-GaAsコンタクト層
908:-N-AuGeNi櫛型電極
909:InP基板
910:p-InPバッファ層
911:p-In0.83Ga0.17As0.37P0.63光吸収層
912:-N-In0.83Ga0.17As0.37P0.63エミッタ層
913:-N-InP層
914:Agナノ粒子

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