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技術 イヌリンの製造方法

出願人 日本甜菜製糖株式会社
発明者 堀内賢一菊地裕人内野浩克有塚勉
出願日 2011年7月19日 (8年4ヶ月経過) 出願番号 2013-525446
公開日 2015年2月23日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 WO2013-011566
状態 特許登録済
技術分野 多糖類及びその誘導体
主要キーワード 脱色処理後 軟化樹脂 精製液中 製造フロー図 製品レベル 代替素材 工程液 水酸基型
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年2月23日)のものです。
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図面 (2)

課題・解決手段

要約 課題チコリーから簡便且つ効率的にイヌリンを抽出・分離し、且つ、精製(脱塩・脱色)するための方法を提供する。 解決手段 チコリー粗汁清浄液強酸性イオン交換樹脂軟化処理し、これを強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理してから乾燥させる。さらに、軟化処理後又は最後の脱塩処理後標準イヌリンと高重合度イヌリンを分離することで、簡便且つ効率的に標準イヌリン及び高重合度イヌリンを分離・精製できる。 選択図なし

概要

背景

チコリーキク科の植物であり、その根部水溶性食物繊維多糖類)であるイヌリンを多く含んでいる。欧州などでは、チコリーを原料にイヌリン及びイヌロオリゴ糖が製造され、使用されている。日本国内では、一部、砂糖を原料として酵素合成により製造されたイヌリンも使用されている。

イヌリンは、チコリー根のほかにも多種の植物中に存在する多糖類である。その構造は、フルクトースがβ(2−1)結合で2〜60個直鎖状につながったもので、末端グルコースを1個もつ。イヌリンは、水やミルクと混ぜた際に微細結晶を生成し、クリーム状の質感を形成することで脂肪様の口中感覚を呈する。そのため、バターマーガリンチーズアイスクリーム等の乳製品ドレッシングなどにおいて脂肪代替素材として用いられている。なお、イヌリンは高重合度になるほど脂肪類似性が強くなり、甘みは弱くなる。

また、イヌリンは、他のオリゴ糖と同様にビフィズス菌増殖活性を持っている(プレバイオティクス)ことから、ヨーグルトに代表されるような人に有用な腸内細菌を含む食品プロバイオティクス)に加えて腸内細菌改善効果を高める目的(シンバイオティクス)でも使用されている(非特許文献1)。

チコリーからのイヌリン製造は、熱水又は温水による抽出、他の糖類との分離、不純物除去などの工程を経て行われる。例えば、温水抽出後に結晶化する方法や、更に石灰清浄処理工程や脱塩・脱色工程を行う方法なども知られている。なお、イヌリンなどの糖類の脱塩・脱色方法としては、イオン交換樹脂を用いて脱塩する方法(特許文献1)や粉末活性炭を用いて脱色する方法(特許文献2)などが知られているが、このような方法を組み合わせることは、簡便性収率という点において現状では十分に満足できるものではない。

このような背景の中、当業界において、特にチコリーからのイヌリン製造により適した簡便且つ効率的な分離・精製方法の更なる開発が求められていた。また、平均重合度8〜12程度のイヌリン(標準イヌリン)や、平均重合度20〜30程度の高重合度タイプのイヌリン(高重合度イヌリン)についても簡便且つ効率的に分離・精製する方法の開発が求められていた。

概要

要約 課題チコリーから簡便且つ効率的にイヌリンを抽出・分離し、且つ、精製(脱塩・脱色)するための方法を提供する。 解決手段 チコリー粗汁清浄液強酸性イオン交換樹脂軟化処理し、これを強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理してから乾燥させる。さらに、軟化処理後又は最後の脱塩処理後に標準イヌリンと高重合度イヌリンを分離することで、簡便且つ効率的に標準イヌリン及び高重合度イヌリンを分離・精製できる。 選択 なし

目的

本発明は、チコリーから簡便且つ効率的にイヌリンを抽出・分離し、且つ、精製(脱塩・脱色)するための方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

チコリー粗汁清浄液強酸性イオン交換樹脂軟化処理し、これを強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理してから乾燥させること、を特徴とするイヌリンの製造方法。

請求項2

チコリー粗汁の清浄液を強酸性イオン交換樹脂で軟化処理し、これを強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂で脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に高重合度イヌリン(平均重合度20〜30)を分離し、得られる標準イヌリン(平均重合度8〜12)含有液を乾燥させること、を特徴とする標準イヌリンの製造方法。

請求項3

請求項2に記載の方法で分離した高重合度イヌリンを含有する液を乾燥させること、を特徴とする高重合度イヌリンの製造方法。

請求項4

チコリー粗汁の清浄液を強酸性イオン交換樹脂で軟化処理し、これから高重合度イヌリン(平均重合度20〜30)を分離し、得られる標準イヌリン(平均重合度8〜12)含有液を強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂で脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理してから乾燥させること、を特徴とする標準イヌリンの製造方法。

請求項5

請求項4に記載の方法で分離した高重合度イヌリンを含有する液を強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂で脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理してから乾燥させること、を特徴とする高重合度イヌリンの製造方法。

請求項6

高重合度イヌリンの分離が、結晶化、膜分離法クロマトグラフィーから選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

軟化処理の強酸性イオン交換樹脂がNa型であること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

脱塩処理の強酸性イオン交換樹脂がH型であり、脱塩処理の弱塩基性イオン交換樹脂がOH型であり、脱色処理の強塩基性イオン交換樹脂がCl型であること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

チコリー粗汁の清浄液が、チコリー根を洗浄裁断したものから温水抽出して得た抽出液(チコリー粗汁)を石灰清浄処理して濾過した濾液及び/又はその濃縮液であること、を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

石灰清浄処理前のチコリー粗汁の固形分濃度を5〜25%とすること、を特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

請求項11

乾燥がスプレードライ及び/又は凍結乾燥処理であること、を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、チコリーからのイヌリン製造方法に関するものである。詳細には、チコリーからのイヌリン(特に、標準イヌリン及び高重合度イヌリン)の抽出、分離、精製方法に関するものである。

背景技術

0002

チコリーはキク科の植物であり、その根部水溶性食物繊維多糖類)であるイヌリンを多く含んでいる。欧州などでは、チコリーを原料にイヌリン及びイヌロオリゴ糖が製造され、使用されている。日本国内では、一部、砂糖を原料として酵素合成により製造されたイヌリンも使用されている。

0003

イヌリンは、チコリー根のほかにも多種の植物中に存在する多糖類である。その構造は、フルクトースがβ(2−1)結合で2〜60個直鎖状につながったもので、末端グルコースを1個もつ。イヌリンは、水やミルクと混ぜた際に微細結晶を生成し、クリーム状の質感を形成することで脂肪様の口中感覚を呈する。そのため、バターマーガリンチーズアイスクリーム等の乳製品ドレッシングなどにおいて脂肪代替素材として用いられている。なお、イヌリンは高重合度になるほど脂肪類似性が強くなり、甘みは弱くなる。

0004

また、イヌリンは、他のオリゴ糖と同様にビフィズス菌増殖活性を持っている(プレバイオティクス)ことから、ヨーグルトに代表されるような人に有用な腸内細菌を含む食品プロバイオティクス)に加えて腸内細菌改善効果を高める目的(シンバイオティクス)でも使用されている(非特許文献1)。

0005

チコリーからのイヌリン製造は、熱水又は温水による抽出、他の糖類との分離、不純物除去などの工程を経て行われる。例えば、温水抽出後に結晶化する方法や、更に石灰清浄処理工程や脱塩・脱色工程を行う方法なども知られている。なお、イヌリンなどの糖類の脱塩・脱色方法としては、イオン交換樹脂を用いて脱塩する方法(特許文献1)や粉末活性炭を用いて脱色する方法(特許文献2)などが知られているが、このような方法を組み合わせることは、簡便性収率という点において現状では十分に満足できるものではない。

0006

このような背景の中、当業界において、特にチコリーからのイヌリン製造により適した簡便且つ効率的な分離・精製方法の更なる開発が求められていた。また、平均重合度8〜12程度のイヌリン(標準イヌリン)や、平均重合度20〜30程度の高重合度タイプのイヌリン(高重合度イヌリン)についても簡便且つ効率的に分離・精製する方法の開発が求められていた。

0007

特開2005−198569号公報
国際公開第2004/078989号

先行技術

0008

J.Med.Microbiol.,47,391−399(1997)

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、チコリーから簡便且つ効率的にイヌリンを抽出・分離し、且つ、精製(脱塩・脱色)するための方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、チコリー粗汁清浄液強酸性イオン交換樹脂軟化処理し、これを所定の性質を有するイオン交換樹脂に特定の順序で連続的に通液して脱塩、脱色処理し、得られたイヌリン含有液を乾燥するだけで、簡便且つ効率的にチコリーからのイヌリンの抽出・分離、精製ができることを見出し、本発明を完成した。

0011

すなわち、本発明の実施形態を例示すると次のとおりである。
(1)チコリー粗汁の清浄液を強酸性イオン交換樹脂で軟化処理し、これを強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂で脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理してから乾燥させること、を特徴とするイヌリンの製造方法。
(2)チコリー粗汁の清浄液を強酸性イオン交換樹脂で軟化処理し、これを強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂で脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に高重合度イヌリン(平均重合度20〜30)を分離し、得られる標準イヌリン(平均重合度8〜12)含有液を乾燥させること、を特徴とする標準イヌリンの製造方法。
(3)(2)に記載の方法で分離した高重合度イヌリンを含有する液を乾燥させること、を特徴とする高重合度イヌリンの製造方法。
(4)チコリー粗汁の清浄液を強酸性イオン交換樹脂で軟化処理し、これから高重合度イヌリン(平均重合度20〜30)を分離し、得られる標準イヌリン(平均重合度8〜12)含有液を強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂で脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理してから乾燥させること、を特徴とする標準イヌリンの製造方法。
(5)(4)に記載の方法で分離した高重合度イヌリンを含有する液を強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂で脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理してから乾燥させること、を特徴とする高重合度イヌリンの製造方法。
(6)高重合度イヌリンの分離が、結晶化、膜分離法クロマトグラフィーから選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする(2)〜(5)のいずれか1つに記載の方法。
(7)軟化処理の強酸性イオン交換樹脂がNa型であること、を特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載の方法。
(8)脱塩処理の強酸性イオン交換樹脂がH型であり、脱塩処理の弱塩基性イオン交換樹脂がOH型であり、脱色処理の強塩基性イオン交換樹脂がCl型であること、を特徴とする(1)〜(7)のいずれか1つに記載の方法。
(9)チコリー粗汁の清浄液が、チコリー根を洗浄裁断したものから温水抽出して得た抽出液(チコリー粗汁)を石灰清浄処理して濾過した濾液及び/又はその濃縮液であること、を特徴とする(1)〜(8)のいずれか1つに記載の方法。
(10)石灰清浄処理前のチコリー粗汁の固形分濃度を5〜25%とすること、を特徴とする(1)〜(9)のいずれか1つに記載の方法。
(11)乾燥がスプレードライ及び/又は凍結乾燥処理であること、を特徴とする(1)〜(10)のいずれか1つに記載の方法。

発明の効果

0012

本発明によれば、チコリーから簡便にイヌリン(特に、標準イヌリン及び高重合度イヌリン)を抽出・分離することができ、且つ、チコリー粗汁の清浄液について粉末活性炭による脱色工程を経ることなく、イオン交換樹脂への連続通液のみで効率的にこれらの精製(脱塩・脱色)ができる。そして、本発明は、簡便性、収率低下抑制、平均重合度低下抑制という点においても従来の方法と比較して非常に優れたものである。

図面の簡単な説明

0013

本発明における、チコリーからのイヌリンの製造フロー図(高重合度イヌリン分離を行わない場合、及び、脱塩・脱色後に高重合度イヌリン分離を行う場合)を示す。
本発明における、チコリーからのイヌリンの製造フロー図(脱塩・脱色前に高重合度イヌリン分離を行う場合)を示す。

0014

本発明は、チコリーからイヌリン(特に、標準イヌリン及び高重合度イヌリン)を抽出・分離、精製する方法に係るものであるが、本発明において、イヌリンとは平均重合度が限定されないものを示し、標準イヌリンとは平均重合度8〜12(平均重合度10前後)のものと、高重合度イヌリンとは平均重合度20〜30(平均重合度25前後)のものと定義する。

0015

まず、本発明においては、チコリー根部を抽出原料とする。チコリー根部は、土を十分に除去する(洗浄する)とともに、イヌリンを抽出しやすいように裁断(つま切り粉砕等)を行って細かくしておくのが好ましい。また、抽出溶媒は40〜80℃の温水を用い、溶媒量は原料に対して1〜10倍量(より好適には5〜9倍量)が好ましい。

0016

そして、上記のようにして得た抽出液(チコリー粗汁)は、タンパクなどの不純物を除去するため清浄処理を行う。清浄処理は、これに限定されるものではないが、石灰清浄処理によるのが好ましい。なお、石灰清浄処理に際しては、チコリー粗汁の固形分濃度を小さくする(例えば5〜25%、更に好適には5〜15%)のが好適である。

0017

上記のようにして清浄化したチコリー粗汁(チコリー粗汁の清浄液)は、イオン交換樹脂への連続通液により脱塩及び脱色する。本発明においては、強酸性イオン交換樹脂による軟化処理、強酸性イオン交換樹脂と弱塩基性イオン交換樹脂による脱塩処理、強塩基性イオン交換樹脂による脱色処理、弱塩基生イオン交換樹脂による脱塩処理の順で処理する。特に、本発明は、酸性イオン交換樹脂によるイヌリンのフルクトース鎖の加水分解と、塩基性イオン交換樹脂によるイヌリンの吸着を防ぎ、チコリー中に含まれるイヌリンの収率と平均重合度を低下させることなく、効率よく脱塩・脱色を行えることが特徴である。なお、チコリー清浄液の各樹脂への通液量は、これに限定されるものではないが、樹脂量に対して1〜5倍量(例えば2.5倍量)通液するのが望ましい。

0018

そして、軟化樹脂の強酸性イオン交換樹脂はNa型であることがより好ましく、脱塩処理の強酸性型イオン交換樹脂はH型、脱塩処理の弱塩基性イオン交換樹脂はOH型、脱色樹脂の強塩基性イオン交換樹脂はCl型であることがより好ましい。強酸性イオン交換樹脂として、具体的にはロームアンドハース社製アンバーライト登録商標、以下同じ)200CT、IR120B、IR124、IR118、三菱化学社製ダイヤイオン(登録商標、以下同じ)SK1B、SK102、PK208、PK212等を用いることができる。弱塩基性イオン交換樹脂として、具体的にはアンバーライトXE583、IRA67、IRA96SB、ダイヤイオンWA10、WA20、WA30等を用いることができ、強塩基性イオン交換樹脂として、具体的にはアンバーライトIRA402BL、IRA400、IRA440B、IRA404、IRA900、IRA904、IRA411、IRA410、IRA910、ダイヤイオンSA10A、SA11A、PA306、PA308、SA20、PA418等を用いることができる。

0019

なお、上述の軟化処理後且つ脱塩・脱色処理前、または軟化処理後且つ脱塩・脱色処理前後において、高重合度イヌリンを分離することが好ましい。分離方法としては、結晶化、膜分離法、クロマトグラフィーなどが例示され、これらの方法を組み合わせることもできる。脱塩・脱色処理前に結晶化等により分離された高重合度イヌリンは、水などの溶媒に再溶解した後、標準イヌリン含有液と同様の脱塩・脱色を行って精製し、精製液とする。脱塩・脱色処理後に結晶化等により分離された高重合度イヌリンは、水などの溶媒に再溶解し、精製液とする。

0020

脱塩・脱色した各精製液(イヌリン含有精製液、標準イヌリン含有精製液、高重合度イヌリン含有精製液)は、乾燥処理を行って製品化する。乾燥処理は、スプレードライ、凍結乾燥などが例示される。乾燥処理の前に、濃縮などの所定の前処理を行っても良い。

0021

このようにして、チコリーからイヌリンが製造できるが、本発明は、粉末活性炭による脱色工程を別に設ける必要がないため、簡便性、収率の向上、イヌリンの平均重合度の維持という点においても非常に有効である。

0022

以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。

0023

(チコリーからのイヌリン製造I)
チコリー根部からイヌリンを製造する工程を、チコリー粗汁の抽出方法、イオン交換樹脂を用いた軟化精製処理区分して以下の通り検討した。

0024

まず、チコリーからイヌリンを抽出するために必要な水(温水)の量を検討した。方法としては、チコリー根部をつま切りにした後、60℃に加温した3倍量又は8倍量の温水に加え、300rpmで撹拌しながら90min抽出を行った。得られた抽出液(チコリー粗汁)は、Industrial Crops and Products,6,195−199(1997)に記載の方法でイヌリン含量及びイヌリン平均重合度を測定・算出した。その結果、チコリーに対して8倍量の水を使用するのが好適であることが明らかとなった(表1)。

0025

0026

(チコリーからのイヌリン製造II)
実施例1で得られたチコリー粗汁(8倍量区)について、石灰清浄処理を行って得られたチコリー清浄液を用いて、イオン交換樹脂によるチコリー清浄液の脱塩条件等を検討した。

0027

最初に、イヌリンは水素型(H型)の強酸性イオン交換樹脂によって酸加水分解を受ける可能性があるため、チコリー精製液中のイヌリンの加水分解を防ぎながら、陽イオンを除去できる条件を調査した。

0028

まず、軟化カラムとしてNa型強酸性イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B)200mL、脱塩カラムとしてH型強酸性イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B)200mL、脱塩カラムとしてOH型弱塩基性イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20)200mL、をそれぞれガラスカラム充填した。10%(w/w)となるように調整したチコリー清浄液500mLを次の条件で通液した。通液は通液速度0.2L/hr、通液温度を35℃で行った。

0029

条件1:Na型強酸性イオン交換樹脂、H型強酸性イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂の順に連続通液。
条件2:Na型強酸性イオン交換樹脂、H型強酸性イオン交換樹脂の順に連続通液し、得られた液をOH型弱塩基性イオン交換樹脂の順に通液。

0030

この結果、H型強酸性イオン交換樹脂とOH型弱塩基性イオン交換樹脂への連続通液を行うことでイヌリンの加水分解を防ぎながら、陽イオンを除去できることが明らかとなった(表2)。

0031

0032

(チコリーからのイヌリン製造III)
次に、イヌリンは水酸基型(OH型)の塩基性イオン交換樹脂にきわめて吸着しやすいため、チコリー精製液中のイヌリンがイオン交換樹脂に吸着することを防ぎながら、陰イオンを除去できるような塩基性イオン交換樹脂の選定試験を実施した。

0033

まず、軟化カラムとしてNa型強酸性イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B)200mL、脱塩カラムとしてH型強酸性樹脂(ダイヤイオンSK1B)200mL、脱塩カラムとしてOH型塩基性イオン交換樹脂200mLをそれぞれガラスカラムに充填した。10%(w/w)となるように調整したチコリー清浄液500mLを連続通液した。通液は通液速度0.2L/hr、通液温度を35℃で行った。

0034

この結果、試験に用いた塩基性樹脂のうち、OH型強塩基性イオン交換樹脂はイヌリン吸着能が高く、製造にはOH型弱塩基性イオン交換樹脂が適していることが明らかとなった(表3)。そして、OH型強塩基性イオン交換樹脂を使用すると、イヌリンがイオン交換樹脂に吸着するが、弱塩基性イオン交換樹脂を使用することで、イヌリンがイオン交換樹脂に吸着することを防ぎながら、陰イオンを除去できることが明らかとなった(表3)。

0035

0036

以上の結果より、チコリー清浄液の脱塩には、H型強酸性イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂を用いることが好ましいこと、さらにH型強酸性イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂の順に連続通液することが望ましいことが明らかになった。

0037

(チコリーからのイヌリン製造IV)
次に、イオン交換樹脂によるチコリー清浄液の脱色条件を検討した。脱色カラムとしてCl型強塩基性イオン交換樹脂(ダイヤイオンPA308)200mLをガラスカラムに充填した。10%(w/w)となるように調整したチコリー清浄液500mLを次の条件で通液した。通液は通液速度0.2L/hr、通液温度を35℃で行った。

0038

この結果、Cl型強塩基性イオン交換樹脂を使用した場合、チコリー清浄液中のイヌリン回収率やイヌリン平均重合度を低下させることなく脱色が可能であることが明らかとなった(表4)。

0039

0040

(チコリーからのイヌリン製造V)
次に、チコリー清浄液を効率よく脱塩・脱色できるイオン交換樹脂配列を検討した。使用樹脂は、軟化カラムとしてNa型強酸性イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B)200mL、脱塩カラムとしてH型強酸性イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B)200mL、脱塩カラムとしてOH型弱塩基性イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20)200mL、脱色カラムとしてCl型強塩基性イオン交換樹脂(ダイヤイオンPA308)200mLをそれぞれガラスカラムに充填した。10%(w/w)となるように調整したチコリー清浄液500mLを次の条件で通液した。通液は通液速度0.2L/hr、通液温度を35℃で行った。

0041

条件1(配列1):Na型強酸性イオン交換樹脂、H型強酸性イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂の順に連続通液。
条件2(配列2):Na型強酸性イオン交換樹脂、H型強酸性イオン交換樹脂、Cl型強塩基性イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂の順に連続通液。
条件3(配列3):Na型強酸性イオン交換樹脂、H型強酸性イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂、Cl型強塩基性イオン交換樹脂の順に連続通液。
条件4(配列4):Na型強酸性イオン交換樹脂、H型強酸性イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂、Cl型強塩基性イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂の順に連続通液。

0042

結果としては、配列1を用いた場合、脱色が十分でなかった。配列2を用いた場合、イヌリンの加水分解が生じた。配列3を用いた場合、脱色カラムからの塩化物イオン漏洩が原因で、陰イオン除去率が低下した。しかし、配列4を用いた場合、チコリー清浄液を効率よく脱塩・脱色できることが分かった。(表5)。

0043

0044

以上の結果から、イオン交換樹脂の条件を、Na型強酸性イオン交換樹脂、H型強酸性イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂、Cl型強塩基性イオン交換イオン交換樹脂、OH型弱塩基性イオン交換樹脂の順で連続通液とすることで、チコリー清浄液を効率よく脱塩・脱色できることが明らかになった。

0045

特に、イヌリン製造工程では、イオン交換樹脂に通液した工程液粉末化することで最終製品になるため、結晶化によって糖蜜に不純物を移行させることができない。そのためイオン交換樹脂による精製で不純物や色を製品レベルまで除去することが必要になるが、本発明では、脱塩・脱色イオン交換樹脂の銘柄、および精製工程における樹脂配列を検討し、イヌリンの収率や重合度に影響を与えることなく十分な不純物及び色の除去が可能な最適条件を見出した。これらから設計される本発明のイヌリン製造工程フロー図1及び図2に示した。

0046

(チコリーからのイヌリン製造VI)
これらの結果を踏まえ、チコリーからのイヌリン製造を図1及び図2フローをもとに実施した。

0047

まず、チコリー根部10.0kgを冷水で洗浄し、皮を除去した後、フードプロセッサーにて裁断した。そして、チコリーに対して8倍量の水を加え、60℃で90分間攪拌しながら温水抽出を行った。

0048

得られた抽出液(チコリー粗汁)を濾紙にてろ過し、濾液を石灰清浄処理し、Bxが10になるまで減圧濃縮した。

0049

このようにして得られたチコリー清浄液を、実施例5の条件4と同様の条件でイオン交換樹脂に通液した。この後凍結乾燥により乾燥し、1kgのイヌリン白色粉末を得た。

0050

さらに、得られたイヌリン白色粉末を水に溶解して結晶化し、遠心分離によって結晶化画分と濾液画分に分離した。結晶化画分を高重合度イヌリンとして400g得た。(また、濾液画分を凍結乾燥により乾燥し標準イヌリン画分を600g得た。)

0051

本発明を要約すれば、以下の通りである。

0052

本発明は、チコリーから簡便且つ効率的にイヌリンを抽出・分離し、且つ、精製(脱塩・脱色)するための方法の提供を目的とする。

実施例

0053

そして、チコリー粗汁の清浄液を強酸性イオン交換樹脂で軟化処理し、これを強酸性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理し、次に強塩基性イオン交換樹脂で脱色処理し、次に弱塩基性イオン交換樹脂で脱塩処理してから乾燥させる。さらに、軟化処理後又は最後の脱塩処理後に標準イヌリンと高重合度イヌリンを分離することで、簡便且つ効率的に標準イヌリン及び高重合度イヌリンを分離・精製できる。

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