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技術 エレクトロクロミック素子

出願人 キヤノン株式会社
発明者 山田憲司岡田伸二郎宮崎和也
出願日 2011年12月27日 (9年1ヶ月経過) 出願番号 2013-519346
公開日 2015年2月23日 (5年11ヶ月経過) 公開番号 WO2012-169093
状態 特許登録済
技術分野 エレクロ、電気泳動、可変反射吸収素子 O,S系縮合複素環
主要キーワード C特性 耐久回数 最高被占有分子軌道 電子状態計算 還元着色 量子化学 呈色状態 EC材料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年2月23日)のものです。
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図面 (5)

課題・解決手段

酸化還元反応の繰り返しに対して高い安定性を有するとともに、消色時に可視光領域に光吸収を示さず高透明で、かつ応答速度に優れたEC素子を提供する。 一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されている電解質およびエレクトロクロミック性有機化合物を含んだ組成物を有するエレクトロクロミック素子であって、 前記エレクトロクロミック性有機化合物は、エレクトロクロミック特性を示すエレクトロクロミック部位と、前記エレクトロクロミック部位と直接結合している芳香環とから構成され、 前記エレクトロクロミック部位は一つの共役面を形成し、 前記芳香環が有し、かつ前記エレクトロクロミック部位と結合している原子と隣り合う原子は、メチル基以上の体積を有する置換基を有しており、 前記エレクトロクロミック性有機化合物の他に、さらにカソード性エレクトロクロミック性有機化合物を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。

概要

背景

電気化学的な酸化還元反応により、物質呈色状態光透過度といった光学吸収性質が変化するエレクトロクロミック(以下ECと省略する場合がある。)材料を用いたEC素子活発に開発されている。

特許文献1は、導電性高分子透明電極上に成膜対向電極との間に電解液封入したEC素子を開示している。特許文献2は、ビオロゲン等の低分子を溶解させた電解液を一対の電極の間に封入した溶液相EC素子などを開示している。

特許文献1の導電性高分子は、モノマー電解重合によりEC層を電極上に直接形成できる。EC層を形成するこれら導電性高分子としてはポリチオフェンポリアニリンポリピロール等が知られている。

これら導電性高分子を電気化学的に酸化または電気化学的に還元した場合、主鎖のπ共役鎖長が変わるので、最高被占有分子軌道(HOMO)の電子状態が変化する。その結果、導電性高分子に吸収される波長が変化する。

これら導電性高分子は、電気的に中性状態において、可視光領域の光を吸収するため着色している。酸化されることで、導電性高分子に吸収される波長が長波長側へシフトする。

赤外領域側へシフトした場合、可視光領域に吸収を有さなくなるので、EC素子は消色する。

一方、特許文献2のビオロゲン系化合物によるEC材料は、消色状態ではジカチオン溶液に溶解しており、還元反応によりビオロゲンがラジカルカチオンとなり、電極上に析出し着色する。

概要

酸化還元反応の繰り返しに対して高い安定性を有するとともに、消色時に可視光領域に光吸収を示さず高透明で、かつ応答速度に優れたEC素子を提供する。 一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されている電解質およびエレクトロクロミック性有機化合物を含んだ組成物を有するエレクトロクロミック素子であって、 前記エレクトロクロミック性有機化合物は、エレクトロクロミック特性を示すエレクトロクロミック部位と、前記エレクトロクロミック部位と直接結合している芳香環とから構成され、 前記エレクトロクロミック部位は一つの共役面を形成し、 前記芳香環が有し、かつ前記エレクトロクロミック部位と結合している原子と隣り合う原子は、メチル基以上の体積を有する置換基を有しており、 前記エレクトロクロミック性有機化合物の他に、さらにカソード性エレクトロクロミック性有機化合物を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。

目的

本発明は、消色しようとした場合には高い透明性を有し、素子耐久性が高くかつ応答速度が高いEC素子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
2件

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請求項1

一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されている電解質およびエレクトロクロミック性有機化合物を含んだ組成物を有するエレクトロクロミック素子であって、前記エレクトロクロミック性有機化合物は、エレクトロクロミック特性を示すエレクトロクロミック部位と、前記エレクトロクロミック部位と直接結合している芳香環とから構成され、前記エレクトロクロミック部位は一つの共役面を形成し、前記芳香環が有し、かつ前記エレクトロクロミック部位と結合している原子と隣り合う原子は、メチル基以上の体積を有する置換基を有しており、前記一対の電極の電極間距離が150μm以下であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。

請求項2

前記エレクトロクロミック性有機化合物はアノード性エレクトロクロミック性有機化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。

請求項3

前記エレクトロクロミック性有機化合物の他に、さらにカソード性エレクトロクロミック性有機化合物を有することを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトロクロミック素子。

請求項4

前記エレクトロクロミック部位の最長吸収波長が、前記芳香環の最長吸収波長より長波長であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

請求項5

前記エレクトロクロミック部位のHOMOが前記周辺部位のHOMOより高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

請求項6

前記エレクトロクロミック部位がチオフェン環を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

請求項7

前記芳香環はベンゼン環であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

請求項8

前記芳香環が有する置換基は電子供与基であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

請求項9

前記芳香環の電子供与基がアルコキシ基であることを特徴する請求項1乃至8のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

請求項10

前記エレクトロクロミック性有機化合物が酸化により可視域に吸収を有するアノード性エレクトロクロミック性有機化合物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

請求項11

請求項1乃至10のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子に接続されたスイッチング素子とを有することを特徴とする光学フィルタ

請求項12

請求項11に記載の光学フィルタと、撮像光学系とを有することを特徴とするレンズユニット

請求項13

撮像光学系と、請求項11に記載の光学フィルタと、前記光学フィルタを通して撮像する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置

技術分野

0001

本発明は新規エレクトロクロミック素子に関する。

背景技術

0002

電気化学的な酸化還元反応により、物質呈色状態光透過度といった光学吸収性質が変化するエレクトロクロミック(以下ECと省略する場合がある。)材料を用いたEC素子活発に開発されている。

0003

特許文献1は、導電性高分子透明電極上に成膜対向電極との間に電解液封入したEC素子を開示している。特許文献2は、ビオロゲン等の低分子を溶解させた電解液を一対の電極の間に封入した溶液相EC素子などを開示している。

0004

特許文献1の導電性高分子は、モノマー電解重合によりEC層を電極上に直接形成できる。EC層を形成するこれら導電性高分子としてはポリチオフェンポリアニリンポリピロール等が知られている。

0005

これら導電性高分子を電気化学的に酸化または電気化学的に還元した場合、主鎖のπ共役鎖長が変わるので、最高被占有分子軌道(HOMO)の電子状態が変化する。その結果、導電性高分子に吸収される波長が変化する。

0006

これら導電性高分子は、電気的に中性状態において、可視光領域の光を吸収するため着色している。酸化されることで、導電性高分子に吸収される波長が長波長側へシフトする。

0007

赤外領域側へシフトした場合、可視光領域に吸収を有さなくなるので、EC素子は消色する。

0008

一方、特許文献2のビオロゲン系化合物によるEC材料は、消色状態ではジカチオン溶液に溶解しており、還元反応によりビオロゲンがラジカルカチオンとなり、電極上に析出し着色する。

先行技術

0009

特開昭56−67881号公報
特開昭51−146253号公報
Advanced Functional Materials,16,426(2006)

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1では不安定なラジカルカチオンを分子内で非局在化することで安定性を高めている。しかし、その安定性は十分ではない。酸化還元反応を繰り返した場合、材料が劣化するのでEC素子の性能が低下するという課題がある。

0011

またこの導電性高分子は、電気的中性の状態において可視光を吸収する。すなわち、電気的中性の状態において着色している。そのため消色するための電気化学反応が不十分な部分がある場合は、消え残りが生じ、高い透明性を得ることが困難である。

0012

また、特許文献2のビオロゲン系EC性有機化合物は、析出と溶解とを繰り返すため劣化現象が起こる。

0013

これら劣化現象は不可逆結晶化や重合による不溶化に起因すると考えられる。この劣化により消色しているべき状態においても透明にならない“消え残り”が生ずる。

0014

さらにビオロゲン系EC性有機化合物は、還元時に不安定なラジカルカチオンが生成する。しかし、そのラジカルカチオンを安定化させるメカニズムを分子内に有していないため、ラジカルカチオンの安定性が低い。そのため、素子耐久性が低かった。

0015

そこで、本発明は、消色しようとした場合には高い透明性を有し、素子の耐久性が高くかつ応答速度が高いEC素子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0016

よって、本発明は、一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されている電解質およびエレクトロクロミック性有機化合物を含んだ組成物を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記エレクトロクロミック性有機化合物は、エレクトロクロミック特性を示すエレクトロクロミック部位と、前記エレクトロクロミック部位と直接結合している芳香環とから構成され、
前記エレクトロクロミック部位は一つの共役面を形成し、
前記芳香環が有し、かつ前記エレクトロクロミック部位と結合している原子と隣り合う原子は、メチル基以上の体積を有する置換基を有しており、
前記一対の電極の電極間距離が150μm以下であることを特徴とするエレクトロクロミック素子を提供する。

発明の効果

0017

本発明によれば、消色しようとした場合には高い透明性を有し、素子の耐久性が高く、かつ応答速度が高いEC素子を提供できる。

図面の簡単な説明

0018

本発明に係るEC素子の実施形態の一例を示す断面概略図である。
実施例2の酸化還元サイクル耐久安定性を示すグラフである。
実施例3の酸化還元サイクルの耐久安定性を示すグラフである。
実施例10のEC素子の応答時間を示すグラフである。

0019

本発明に係るEC素子は、一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されている電解質およびエレクトロクロミック性有機化合物を含んだ組成物を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記エレクトロクロミック性有機化合物は、エレクトロクロミック特性を示すエレクトロクロミック部位と、前記エレクトロクロミック部位と直接結合している芳香環とから構成され、
前記エレクトロクロミック部位は一つの共役面を形成し、
前記芳香環が有し、かつ前記エレクトロクロミック部位と結合している原子と隣り合う原子は、メチル基以上の体積を有する置換基を有しており、
前記一対の電極の電極間距離が150μm以下であることを特徴とするエレクトロクロミック素子である。

0020

以下、図面を参照しながら本発明に係るEC素子について説明する。図1は、本発明に係るEC素子の実施形態の一例を示す断面模式図である。

0021

図1のEC素子は、一対の透明電極11と、この一対の電極の間に配置されている電解質とEC性有機化合物とを有する組成物12とを有するEC素子である。一対の電極は、スペーサー13によって、電極間距離が一定となっている。

0022

このEC素子は、一対の電極が一対の透明基板10の間に配置されている。

0023

ここで、透明とは可視光領域において10%以上100%以下の光透過率であることを意味する。ただし、上記EC素子は本発明に係るEC素子構成の一例であり、本発明に係るEC素子はこれらに限定されるものではない。

0024

例えば、反射防止膜の層を透明基板10と透明電極11の間や、透明電極11と有機EC媒体12の間に設けられていてもよい。EC組成物は、EC性有機化合物を有する組成物である。EC組成物は、ただ単に液体や組成物と表現することもある。

0025

まず、本発明に係るEC素子が有する組成物12について述べる。組成物12は、EC性有機化合物、および支持電解質溶媒に溶解したものである。

0026

本実施形態に係るEC性有機化合物は、エレクトロクロミック部位と芳香環を有する周辺部位とを有している。エレクトロクロミック部位は、エレクトロクロミック特性を示す部位であり、周辺部位はエレクトロクロミック部位を保護するための置換基を有している。

0027

本実施形態においては、EC性有機化合物が有する芳香環とその芳香環が有する置換基とを総称して周辺部位と呼ぶ。

0028

周辺部位は、酸化還元反応が起こるエレクトロクロミック部位に結合しているので、エレクトロクロミック部位の酸化還元反応を阻害しないことが好ましい。そのため、周辺部位の酸化還元電位は高いことが好ましい。

0029

周辺部位がエレクトロクロミック部位を保護するので、化合物の酸化に対する安定性が高い。

0030

本発明に係るEC素子は、酸化に対する安定性が高い化合物を有しているので、素子の耐久性が高い。

0031

周辺部位が有する置換基は、立体障害の効果により、エレクトロクロミック部位に他分子が接近することを抑制しているので、その機能から立体障害基とも表現される。

0032

エレクトロクロミック特性を示し、一つの共役面を形成したエレクトロクロミック部位とは、π電子共役系を有するチオフェンピロールフランピリジンチアゾールイミダゾールなどの複素芳香環、またはベンゼン環などの炭化水素芳香環を一つ以上有する構造が挙げられる。

0033

ここで、一つの複素芳香環や芳香環上のπ電子は非局在化し環上にわたって分布しているため、一つの環でも一つの共役面を形成しているとみなすことができる。

0034

また二つ以上の複素芳香環または芳香環が連結した構造においても環同士でπ電子を非局在化するため一つの共役面とみなすことができる。

0035

二つ以上の複素芳香環が連結した場合は、環同士が互いに平面性が高いほど好ましい。それは、平面性が高い方が、分子共役が接続され、分子共役が長い方が分子の安定性が高いためである。

0036

ただし、本発明に係るEC素子において、EC性有機化合物を消色しようとする場合は、可視域光吸収を示さないことが好ましいため、エレクトロクロミック部位を形成する芳香環の共役構造は長くなりすぎないことが好ましい。

0037

これは、共役構造が長い場合は、HOMO(最高被占分子軌道)とLUMO(最低空軌道)のギャップが狭くなるので、エネルギーが小さい可視光領域の光が吸収されるためである。

0038

尚、これら複素芳香環や炭化水素芳香環は置換基を有していても良い。

0039

置換基とは、アルキル基アリール基複素環基アルキルエーテル基アルコキシ基アラルキル基等が挙げられる。特に炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、フェニル基等が置換基として挙げられる。

0040

本発明に係るEC素子は、カソードエレクトロクロミック化合物を有している。カソード性エレクトロクロミック性有機化合物は、還元された場合に着色するエレクトロクロミック化合物である。

0041

カソード性エレクトロクロミック性有機化合物とアノード性エレクトロクロミック性有機化合物との双方を有するエレクトロクロミック素子は、一対の電極の双方でエレクトロクロミック反応が起こるので、透過率の変化が速い。すなわち、EC素子の応答速度が速い素子である。

0042

また、本発明に係るEC素子は、その他の化合物を有していてよい。

0043

エレクトロクロミック部位の具体的な構造式を例示する。但し、本実施形態に係るエレクトロクロミック部位はこれらに限定されるものではない。

0044

0045

0046

エレクトロクロミック部位は、共役構造を有するので、分子内に生成するラジカルカチオンの安定性を高める効果がある。分子内の共役構造が長いほど、その効果は大きい。しかし、電気的中性状態において消色状態であるためには、共役構造は長すぎないことが好ましい。

0047

ラジカルカチオンの安定性を高めるには、ラジカルカチオンが、他分子と接触する可能性を低くすればよい。例えば、本実施形態に係るEC性有機化合物が有する周辺部位を有することで、他分子とラジカルカチオンとが接触する可能性を低くできる。

0048

つまり、本実施形態に係るEC性有機化合物は周辺部位を有するので、共役構造が短い分子でもラジカルカチオンの安定性が高い。

0049

ラジカルカチオンの不安定性は、ラジカルの高い反応性によるラジカル同士の再結合や、ラジカルによる他分子の水素引き抜き等に起因すると考えらえる。

0050

つまり、ラジカルと他分子との接触により反応が起こるので、他の分子との接触の可能性を抑制することは効果が高いと考えられる。

0051

そのため、芳香環が有し、かつエレクトロクロミック部位と直接結合した原子と隣り合う原子が有する置換基による立体障害はラジカルカチオンを安定化させる。なぜならば、置換基による立体障害が他分子との接触を抑制するためである。

0052

周辺部位を構成する芳香環としては、ベンゼン環、ナフチル環の他に、ピリジン環ピラジン環など窒素原子を含んだ複素芳香環が考えられる。中でも炭素原子のみから構成される芳香環が好ましい。

0053

これら芳香環が有する置換基は、エレクトロクロミック部位の共役面と周辺部位が有する面とを直交させるとともに、立体障害の効果によりラジカルカチオンが生成するエレクトロクロミック部位を保護する役割を持つ。この観点では、メチル基以上の体積を有する置換基が好ましい。

0054

メチル基以上の体積の置換基を有する周辺部位は、排除体積が大きいからである。

0055

本実施形態において排除体積とは、周辺部位が回転した軌跡で示される回転体の体積を指す。周辺部位が回転した軌跡で示される回転体は、周辺部位とエレクトロクロミック部位とが結合している単結合回転軸としている。

0056

本実施形態におけるメチル基以上の体積の置換基は、メチル基、エチル基イソプロピル基、tert−ブチル基、ドデシル基シクロヘキシル基などのアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ビフェニル基などのアリール基、メトキシ基イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基、メチルエステル基イソプロピルエステル基、tert−ブチルエステル基などのアルキルエステル基などが挙げられる。

0057

本実施形態に係る周辺部位が有する置換基は、炭素酸素、水素からなる置換基のほかに、アミノ基、ジフェニルアミノ基などの強い電子供与性をもつ電子供与基を用いることもできる。

0058

また、電子吸引性トリフルオロメチル基などハロゲンが含まれる基やニトリル基などの電子吸引基を用いることもできる。特にエレクトロクロミック部位が電子リッチな場合には電子吸引性の周辺部位が有効である。

0059

この中でも特に、アルキル基、アルコキシ基などの電子供与基が好ましい。アルキル基、アルコキシ基は炭素原子数が1以上10以下のものを好ましく用いることができる。

0060

電子供与基を有する場合、エレクトロクロミック部位の電子密度が高いので、エレクトロクロミック部位の酸化電位が低い。その結果、駆動電圧が低い素子になる。

0061

本実施形態に係る周辺部位は、エレクトロクロミック部位との分子共役を有さない部位である。分子共役を有するか否かがエレクトロクロミック部位と周辺部位との境界である。

0062

ただし、実際の分子においては熱運動による揺らぎ量子化学的な揺らぎがあるので分子軌道は完全には断絶しないが、本実施形態においては共鳴が小さい場合は、分子共役を有さないとみなすこととする。

0063

エレクトロクロミック部位と周辺部位との共鳴は小さいほど好ましいので、エレクトロクロミック部位と周辺部位とのπ電子軌道は、90°に近い角度で交わることが好ましい。周辺部位とエレクトロクロミック部位のπ電子の軌道が直交している場合には共鳴が極めて小さい。

0064

エレクトロクロミック部位と周辺部位とが90°に近い角度を有するためには、エレクトロクロミック部位と周辺部位との結合を有する原子と隣り合う2つの原子が双方ともメチル基以上の体積を有する置換基を有することが好ましい。

0065

さらに、周辺部位の酸化電位は、エレクトロクロミック部位の酸化電位よりも相対的に高いことが好ましい。つまり、酸化されにくい周辺部位が設けられたEC性有機化合物がより好ましい。酸化還元電位が高いことは、HOMOが深いことである。

0066

本実施形態に係るエレクトロクロミック部位と周辺部位とが形成する2面角は90°に近いことが好ましい。なぜならば、共役構造を有する分子は平面性が高いので、他分子との反応は共役面の垂直方向で起こるからである。

0067

以下の表に、一例としてジチエノチオフェン環とフェニル環との2面角を分子軌道計算により求めた値を示す。ジチエノチオフェン環は、上記例示構造のW−17である。尚、ジチエノチオフェンがエレクトロクロミック部位、水素またはメチル基が置換されたフェニル基が周辺部位に相当する。

0068

尚、2面角の計算には、Gaussian03*Revision D.01を用いて基底状態構造最適化計算を行なった。量子化学計算法は、密度汎関数法(Density Functional Theory)を採用し、汎関数にはB3LYPを用いた。

0069

基底関数はGaussian 03, Revision D.01では6−31G*を用いた。
* Gaussian 03, Revision D.01,M. J. Frisch, G. W. Trucks, H. B. Schlegel, G. E. Scuseria,M. A. Robb, J. R. Cheeseman, J. A. Montgomery, Jr., T. Vreven,K. N. Kudin, J. C. Burant, J. M. Millam, S. S. Iyengar, J. Tomasi,V. Barone, B. Mennucci, M. Cossi, G. Scalmani, N. Rega,G. A. Petersson, H. Nakatsuji, M. Hada, M. Ehara, K. Toyota,R. Fukuda, J. Hasegawa, M. Ishida, T. Nakajima, Y. Honda, O. Kitao,H. Nakai, M. Klene, X. Li, J. E. Knox, H. P. Hratchian, J. B. Cross,V. Bakken, C. Adamo, J. Jaramillo, R. Gomperts, R. E. Stratmann,O. Yazyev, A. J. Austin, R. Cammi, C. Pomelli, J. W. Ochterski,P. Y. Ayala, K. Morokuma, G. A. Voth, P. Salvador, J. J. Dannenberg,V. G. Zakrzewski, S. Dapprich, A. D. Daniels, M. C. Strain,O. Farkas, D. K. Malick, A. D. Rabuck, K. Raghavachari,J. B. Foresman, J. V. Ortiz, Q. Cui, A. G. Baboul, S. Clifford,J.Cioslowski, B. B. Stefanov, G. Liu, A. Liashenko, P. Piskorz,I. Komaromi, R. L. Martin, D. J. Fox, T. Keith, M. A. Al−Laham,C. Y. Peng, A. Nanayakkara, M. Challacombe, P. M. W. Gill,
B. Johnson, W. Chen, M. W. Wong, C. Gonzalez, and J. A. Pople,Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2004.

0070

0071

このように、周辺部位が有し、かつエレクトロクロミック部位と結合している原子と隣り合う原子が置換基を有する場合は、エレクトロクロミック部位が有する共役面と周辺部位が有する面とが90°に近い角度で交わるので好ましい。

0072

分子種の酸化電位はHOMOと相関していることが良く知られている。HOMOが高いほど酸化電位は低い。すなわち、本実施形態に係るEC性有機化合物においては、エレクトロクロミック部位のHOMOは周辺部位のHOMOより高いことが好ましい。

0073

エレクトロクロミック部位のHOMOが周辺部位のHOMOよりも高いことは、エレクトロクロミック部位は、周辺部位よりも酸化されやすいことを意味する。

0074

ここで、HOMOが高いとは、真空準位により近いことを示す。そのため、HOMOが浅いとも表現することもできる。

0075

エレクトロクロミック部位が周辺部位よりも酸化されやすい組み合わせの一例を表2にエレクトロクロミック部位としてジチエノチオフェン、周辺部位として種々の置換基を有した芳香環の単独の分子構造の分子軌道計算結果を示す。

0076

尚、分子軌道計算には、前述の電子状態計算ソフトウェアであるGaussian03*Revision D.01を用いて行った。

0077

エレクトロクロミック部位の分子軌道計算は、その化合物単独で存在した場合の計算値とした。また、周辺部位の分子軌道計算も置換基としてではなく、化合物単独で存在した場合の計算値とした。

0078

本実施形態に係るEC性有機化合物は、エレクトロクロミック部位と周辺部位とで分子共役が切れているため、上記の計算方法により分子全体の特性を考察できると考えられる。

0079

エレクトロクロミック部位はジチエノチオフェンを用い、周辺部位は表中の構造を用いた場合、HOMO軌道エネルギーはいずれもエレクトロクロミック部位の方が周辺部位より高くなっており、エレクトロクロミック部位がより酸化されやすい構造である。

0080

0081

以下に本実施形態に係る、エレクトロクロミック部位と周辺部位とから構成されるEC性有機化合物の具体的な構造式を例示する。但し、本発明に係るEC性有機化合物はこれらに限定されるものではない。

0082

0083

0084

0085

0086

0087

0088

0089

0090

例示化合物のうち、A群に示す化合物は、ジチエノチオフェンをエレクトロクロミック部位とする化合物の例である。一方、B群に示す化合物は、周辺部位が有する置換基がメトキシ基またはイソプロポキシ基である化合物の例である。

0091

これらA群およびB群に示す化合物は、エレクトロクロミック特性を示すエレクトロクロミック部位を周辺部位が、保護する構造となっている。

0092

よって、これらの化合物をEC材料として用いたEC素子は、酸化還元反応の繰り返しに対する耐久性が高い。

0093

本実施形態に係るEC性有機化合物は、エレクトロクロミック部位を形成する化合物のハロゲン体と周辺部位を形成する化合物のボロン酸もしくはボロン酸エステル化合物の組み合わせ、またはエレクトロクロミック部位を形成する化合物のボロン酸もしくはボロン酸エステル化合物と周辺部位を形成する化合物のハロゲン体との組み合わせで、Pd触媒によるカップリング反応により合成することができる。

0094

合成方法の一例として、エレクトロクロミック部位がジチエノチオフェンの場合を下記式[3]に示す。式中、Xはハロゲン原子であり、AおよびA’は周辺部位の置換基である。式中のジチエノチオフェン部位を他のEC性有機化合物とすることで、本実施形態に係るEC性有機化合物を合成することができる。

0095

[3]

0096

本実施形態に係るEC素子においては、本実施形態に係るEC性有機化合物を単独で用いても、本実施形態に係る他のEC性有機化合物とともに用いても、公知の他のEC性有機化合物とともに用いても良い。

0097

本実施形態に係るEC素子の第一の態様は、酸化により着色するアノード性EC性有機化合物を単独で溶媒に溶解させた液体を用いたEC素子であり、第二の態様は、アノード性EC性有機化合物と、ビオロゲンなどの還元により着色するカソード性EC性有機化合物の両方を溶媒に溶解させた液体を用いたEC素子である。

0098

第一の態様の素子構成単極型素子と呼び、第二の態様の素子構成を両極型素子と呼ぶ。

0099

両極型素子を駆動させた場合、一方の電極では酸化反応によりラジカルカチオンが生成し、他方の電極では還元によりラジカルカチオンが生成する。

0100

これらラジカルカチオンとラジカルカチオンとが、溶液中を拡散し互いに衝突することにより、互いに酸化還元反応を起こす。つまり、電極以外での酸化還元反応が起こる、そのためラジカルカチオンおよびラジカルカチオンは、消滅する、すなわち酸化還元反応前の物質になるため、消色する。

0101

この消色反応よりも着色反応の速度を大きくする必要があるので、電極上ではこの液体中での反応よりも大きな速度で酸化還元反応を行う必要がある。

0102

そのため、大きな電流が必要となるので、単極型素子に比べて消費電力が大きくなる。この観点では、第一の態様の単極型のEC素子が好ましい。

0103

次に、本実施形態に係るEC素子を構成する部材について説明する。まず、EC性有機化合物とともにEC素子内の液体に含まれる電解質および溶媒について説明する。

0104

電解質としては、イオン解離性の塩であり、かつ溶媒に対して良好な溶解性固体電解質においては高い相溶性を示すものであれば限定されない。中でも電子供与性を有する者が好ましい。

0105

支持電解質としては、例えば、各種のアルカリ金属塩アルカリ土類金属塩などの無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩などがあげられる。

0106

具体的にはLiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n−C4H9)4NBF4、(C2H5)4NBr、(C2H5)4NClO4、(n−C4H9)4NClO4等の4級アンモニウム塩および環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。

0107

EC性有機化合物および支持電解質を溶かす溶媒としては、EC性有機化合物や支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、特に極性を有するものが好ましい。

0109

さらに、上記EC媒体に、さらにポリマーゲル化剤を含有させて粘稠性が高いもの若しくはゲル状としたもの等を用いることもできる。

0111

次に、透明基板および透明電極について説明する。透明基板10としては、例えば、無色あるいは有色ガラス強化ガラス等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性樹脂が用いられる。

0114

また、ドーピング処理などで導電率を向上させた導電性ポリマー(例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンポリパラフェニレンポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸錯体など)も好適に用いられる。

0115

本実施形態に係る光学フィルタにおいては、光学フィルタとしての透明性も必要とされるため、可視光領域に光吸収を示さないITO、FTO、IZO、NESA、導電率を向上させた導電性ポリマーが特に好ましく用いられる。導電率を向上させる方法は公知のものを利用することができる。

0116

これらはバルク状微粒子状など様々な形態で使用できる。尚、これらの電極材料は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。

0117

スペーサー13は、一対の電極11の間に配置されており、EC性有機化合物を有する組成物12を入れるための空間を与えるものである。具体的には、ポリイミド、テフロンフッ素ゴムエポキシ樹脂等を用いることができる。このスペーサーにより、EC素子の電極間距離を保持することが可能である。

0118

本実施形態に係るEC素子は、一対の電極とスペーサーとによって、形成される液体注入口を有していてもよい。注入口からEC性有機化合物を有する組成物を封入したのちに、封止部材により注入口を覆い、さらに接着剤等で密閉することで素子とすることができる。

0119

封止部材は、接着剤とEC性有機化合物が接触しないように隔離する役割も担っている。封止部材の形状は、特に限定されないが、楔形等の先細り形状が好ましい。

0120

本実施形態に係るEC素子の電極間距離は150μm以下が好ましい。なぜなら、本実施形態に係るEC性有機化合物が有する周辺部位は排除体積が大きいので、溶液中における拡散速度が遅いためである。

0121

EC性有機化合物の拡散速度が遅い素子は、素子に電圧印加した時点から、素子の透過率が目的の透過率に至る時間が長い。すなわち素子の応答速度が遅い素子である。拡散速度が遅い化合物のために、拡散距離を小さくすることで、応答速度を増すことができる。EC素子においては、電極間距離を小さくすることが、拡散距離を小さくすることである。

0122

本実施形態に係るEC素子は、実施例10に示されるように電極間距離が150μm近傍で消色の応答速度が急激に変化する特性を有する。

0123

EC素子の応答速度は、10秒以下となることが好ましい。そして、本実施形態に係るEC素子は、電極間距離を150μm以下とすることで応答速度が10秒以下になる。

0124

本実施形態に係るEC素子は、電極間距離を150μm以下にすることにより、応答速度が速いEC素子とすることができる。

0125

また、電極間距離の下限値は電極同士での通電を抑制する目的で100nmである。すなわち、本実施形態に係るEC素子の電極間距離は、100nm以上150μm以下であることが好ましい。

0126

本実施形態における応答時間とは、初期透過率の状態から透過率95%の状態に変化するのに要する時間を意味する。

0127

本実施形態に係るEC素子の形成方法は特に限定されず、一対の電極基板の間に設けた間隙に、真空注入法大気注入法メニスカス法等によって予め調製したEC性有機化合物を有する液体を注入する方法を用いることができる。

0128

本実施形態に係るEC素子は、光学フィルタ、レンズユニット撮像装置に用いることができる。

0129

本実施形態に係るEC素子は耐久性が高く、消色時の透明性が高く、および着消色の応答速度が速いため、カメラ等の撮像素子への入射光量の制御および入射波長分布特性の制御に好適に用いることができる。入射波長分布の制御は撮像時の色温度変換に有効である。

0130

すなわち、EC素子を撮像素子につながる撮像光学系の光路内に設けることにより、撮像素子が受光する光量もしくは入射波長分布特性を制御することができる。撮像光学系とはレンズ系ともいうことができる。撮像光学系は、複数のレンズを有するレンズユニット等が挙がれられる。

0131

本実施形態に係るEC素子は、トランジスタと接続された場合、光学フィルタとして機能する。トランジスタとしては、例えば、TFTやMIM素子等が挙げられる。

0132

本実施形態に係る撮像装置は、撮像素子と光学フィルタを有する撮像光学系とを有する。撮像装置が有するEC素子は、撮像光学系の前であっても、撮像素子の直前であっても、配置される位置は問わない。

0133

EC素子が消色状態では高透明性を発揮できるので入射光に対して充分な透過光量が得られ、また着色状態では入射光を確実に遮光及び変調した光学的特性が得られる。また酸化還元繰り返し特性に優れるので、素子寿命が長い素子とすることができる。

0134

以下に本実施形態に係るEC性有機化合物の合成方法の一例を示す。合成例中のエレクトロクロミック部位、周辺部位を適宜変更することで、所望のEC性有機化合物を合成することができる。

0135

<合成例1:例示化合物A−1の合成>

0136

0137

50mLの反応容器中で、XX−1(2,6−ジブロモチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン):732mg(2.06mmol)、2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸:994mg(6.06mmol)をトルエン(6ml)に溶解し、窒素溶存酸素を除去した。

0138

次にPd(OAc)2:7.1mg(0.0316mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):32.4mg(0.0792mmol)およびり酸三カリウム:1.68g(7.92mmol)を窒素雰囲気下添加し、130℃にて加熱還流し12時間反応を行った。

0139

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー移動相ヘキサン)により分離精製し、白色固体粉末のA−1を得た(510mg、収率57%)。マトリックス支援レーザー脱離イオン化法マススペクトル(MALDI−MS)測定により、この化合物のM+である433を確認した。

0140

<合成例2:例示化合物A−7の合成>

0141

0142

50mlの反応容器中で、XX−2:526.2mg(1.17mmol)、XX−3:1071.2mg(3.0mmol)を、トルエン/エチルアルコール/テトラヒドロフラン(6ml/3ml/8ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0143

尚、XX−3はThe Journal of Organic Chemistry,51,3162(1986)に従って合成した化合物である。

0144

次にPd(PPh3)4:14.0mg(0.01215mmol)および2M炭酸セシウム水溶液:1.5mlを窒素雰囲気下添加した後、85℃に加熱し12時間反応を行った。

0145

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/クロロホルム=3/2)により分離精製し、白色固体粉末のA−7を得た(72mg、収率9.4%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である652を確認した。

0146

周辺部位の構造となるXX−3、およびエレクトロクロミック部位の構造となるジチエノチオフェンの最長吸収波長は、それぞれ307nm、335nmであった。すなわち、エレクトロクロミック部位の最長吸収波長は、周辺部位の最長吸収波長より長波長であることが示された。

0147

<合成例3:例示化合物A−10の合成>

0148

0149

50mlの反応容器中で、XX−1:177.05mg(0.50mmol)、XX−4:588.6mg(1.50mmol)を、トルエン/エチルアルコール(6ml/2ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0150

尚、XX−4はWO2005/054212に従って合成した化合物である。次にPd(PPh3)4:57.8mg(0.05mmol)および2M炭酸セシウム水溶液:1.0mlを窒素雰囲気下添加した後、85℃に加熱し17時間反応を行った。

0151

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/トルエン=5/1)により分離精製し、白色固体粉末のA−10を得た(125mg、収率29%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である724を確認した。

0152

<合成例4:例示化合物A−12の合成>

0153

0154

50mlの反応容器中で、XX−1:177.05mg(0.50mmol)、2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:420mg(2.0mmol)を、トルエン/テトラヒドロフラン(6ml/3ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0155

次にPd(OAc)2:2.3mg(0.01mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):10.3mg(0.025mmol)およびりん酸三カリウム:575.7mg(2.5mmol)を窒素雰囲気下添加し、110℃にて加熱還流し8時間反応を行った。

0156

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/クロロホルム=1/2)により分離精製し、白色固体粉末のA−12を得た(187mg、収率71%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である524を確認した。

0157

<合成例5:例示化合物B−1の合成>

0158

0159

50mlの反応容器中で、XX−5(2,5−ジブロモチオフェン):241.9mg(1.0mmol)、2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:753.1mg(3.5mmol)を、トルエン/テトラヒドロフラン(4ml/4ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0160

次にPd(OAc)2:4.5mg(0.02mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):20.53mg(0.05mmol)およびりん酸三カリウム:1162.4mg(5.05mmol)を窒素雰囲気下添加し、110℃にて加熱還流し8時間反応を行った。

0161

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/クロロホルム=1/4)により分離精製し、白色固体粉末のB−1を得た(362.8mg、収率86.3%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である412.2を確認した。

0162

<合成例6:例示化合物B−6の合成>

0163

0164

50mlの反応容器中で、XX−6(2,5−ジブロモエチレンジオキシチオフェン):500mg(1.67mmol)、2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:1.05g(5.0mmol)を、トルエン/テトラヒドロフラン(10ml/5ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0165

次にPd(OAc)2:19mg(0.083mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):89mg(0.22mmol)およびりん酸三カリウム:1.92g(8.35mmol)を窒素雰囲気下添加し、110℃にて加熱還流し7時間反応を行った。

0166

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/酢酸エチル=4/3)により分離精製し、白色固体粉末のB−6を得た(420mg、収率54%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である470を確認した。

0167

<合成例7:例示化合物B−7の合成>

0168

0169

50mlの反応容器中で、XX−7(2,5−ジブロモビチオフェン):326.3mg(1.01mmol)、2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:749.8mg(3.57mmol)を、トルエン/テトラヒドロフラン(4ml/4ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0170

次にPd(OAc)2:5.9mg(0.026mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):21.4mg(0.052mmol)およびりん酸三カリウム:1123.7mg(4.88mmol)を窒素雰囲気下添加し、110℃にて加熱還流し8時間反応を行った。

0171

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/クロロホルム=1/3)により分離精製し、白色固体粉末のB−7を得た(418.8mg、収率84.1%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である494.2を確認した。

0172

<合成例8:例示化合物B−10の合成>

0173

0174

50mlの反応容器中で、XX−8:440.1mg(1mmol)、2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:751.1mg(3.58mmol)を、トルエン/テトラヒドロフラン(4ml/4ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0175

次にPd(OAc)2:5.1mg(0.023mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):22.8mg(0.056mmol)およびりん酸三カリウム:1193.1mg(5.18mmol)を窒素雰囲気下添加し、110℃にて加熱還流し8時間反応を行った。

0176

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/酢酸エチル=4/3)により分離精製し、白色固体粉末のB−10を得た(177.3mg、収率29.03%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である610.2を確認した。

0177

<合成例9:例示化合物B−11の合成>

0178

0179

50mlの反応容器中で、XX−9:200mg(0.671mmol)、2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:563mg(2.684mmol)を、トルエン/テトラヒドロフラン(6ml/3ml)混合溶媒中に溶解し、窒素で溶存酸素を除去した。

0180

次にPd(OAc)2:3.0mg(0.013mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):13.8mg(0.034mmol)およびりん酸三カリウム:772mg(3.36mmol)を窒素雰囲気下添加し、110℃にて加熱還流し8時間反応を行った。

0181

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/クロロホルム=1/2)により分離精製し、白色固体粉末のB−11を得た(235mg、収率75%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である468を確認した。

0182

<合成例10:例示化合物B−16の合成>

0183

0184

(1)300mLの反応容器中で、XX−10:1.25g(3.53mmol)、フェニルボロン酸:1.29g(10.59mmol)をトルエン(70ml)に溶解し、窒素で溶存酸素を除去した。

0185

次にPd(OAc)2:15.9mg(0.0706mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):72.5mg(0.1765mmol)およびりん酸三カリウム:3.75g(17.65mmol)を窒素雰囲気下添加し、140℃にて加熱還流し13時間反応を行った。

0186

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/酢酸エチル)により分離精製し、白色固体粉末のXX−11を得た(1.23g、収率100%)。

0187

(2)300mLの反応容器中で、(1)で得られたXX−11:1.13g(3.242mmol)をDMF(N,N−ジメチルフォルムアミド)65mlに溶解した。次いで、N−ブロモスクシンイミド:1.44g(8.106mmol)を加え、70℃で24時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却後、クロロホルムで抽出・水洗し、減圧濃縮し、淡黄色粉末のXX−12を得た(1.55g、収率94%)。

0188

(3)50mlの反応容器中で、XX−12:200mg(0.395mmol)、2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:332mg(1.580mmol)をトルエン/テトラヒドロフラン(3ml/3ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。次にPd(OAc)2:1.8mg(0.0079mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):8.13mg(0.0198mmol)およびりん酸三カリウム:455mg(1.98mmol)を窒素雰囲気下添加し、加熱還流し8時間反応を行った。

0189

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/クロロホルム=1/2)により分離精製し、白色固体粉末のB−16を得た(225mg、収率84%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である676を確認した。

0190

<合成例11:例示化合物B−18の合成>

0191

0192

(1)50mLの反応容器中で、XX−5:300mg(1.24mmol)、XX−13:1.10g(3.72mmol)をトルエン/テトラヒドロフラン(8ml/4ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0193

次にPd(OAc)2:8.4mg(0.037mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):40.7mg(0.0992mmol)およびりん酸三カリウム:1.43g(6.2mmol)を窒素雰囲気下添加し、110℃にて加熱還流し7時間反応を行った。

0194

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン)により分離精製し、無色粘調液体のXX−14を得た(360mg、収率70%)。

0195

(2)100mLの反応容器で、(1)で得られたXX−14:355mg(0.852mmol)をDMF(N,N−ジメチルフォルムアミド)25mlに溶解した。

0196

次いで、N−ブロモスクシンイミド:333mg(1.87mmol)を加え、室温で8時間撹拌した。反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出・水洗後、減圧濃縮し、XX−15を得た(470mg、収率96%)。

0197

(3)50mlの反応容器で、XX−15:470mg(0.818mmol)、2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:515mg(2.45mmol)をトルエン/テトラヒドロフラン(5ml/2.5ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0198

次にPd(OAc)2:5.5mg(0.0245mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):27mg(0.065mmol)およびりん酸三カリウム:942mg(4.09mmol)を窒素雰囲気下添加し、加熱還流し7時間反応を行った。

0199

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/クロロホルム=1/2)により分離精製し、淡黄色固体のB−18を得た(520mg、収率85%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である744を確認した。

0200

<合成例12:例示化合物B−24の合成>

0201

0202

50mlの反応容器中で、XX−16:559.5mg(1.13mmol)、2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:771.0mg(3.67mmol)を、トルエン/テトラヒドロフラン(6ml/4ml)混合溶媒中で混合し、窒素で溶存酸素を除去した。

0203

次にPd(OAc)2:6.7mg(0.03mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):21.3mg(0.052mmol)およびりん酸三カリウム:1166.2mg(5.06mmol)を窒素雰囲気下添加し、110℃にて加熱還流し8時間反応を行った。

0204

反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により分離精製し、白色固体粉末のB−24を得た(545.8mg、収率72.5%)。MALDI−MS測定により、この化合物のM+である664を確認した。

0205

[実施例1]
<エレクトロクロミック特性>
合成例に示した化合物をクロロホルムに溶解し、この溶液について紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−560)を用いて中性状態(消色状態)における吸収スペクトルを測定した。

0206

また、酸化(着色)時の吸収スペクトルの測定は、作用電極に白金、対向電極に白金、参照電極に銀を用い、支持電解質としてのテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩ジクロロメタン溶液(0.1mol/L)中に合成例の化合物を溶解(5.0×10−4mol/L)した溶液について、化合物の酸化電位以上で定電位酸化を行うことにより、その吸収スペクトル・透過率スペクトル変化を測定した。

0207

結果を表3に示す。

0208

0209

いずれの化合物においても、中性においては吸収ピーク最大強度となるλmaxが紫外領域であり、可視光領域全体にわたって吸収を持たないので、透明な材料である。

0210

また、酸化により生成する着色種は、いずれも可視光領域にλmaxを示し、目視で着色していることが確認された。この酸化着色状態は、還元により無色透明戻り、酸化還元に伴うエレクトロクロミック特性が確認された。

0211

[実施例2および比較例1]
<EC性有機化合物の酸化還元サイクルの耐久安定性−1>
本発明に係る有機EC性有機化合物A−1、A−7、A−10、および比較例1として公知の化合物Ref−1の酸化還元サイクルに対する耐久安定性を評価した。このRef−1の構造式を下記に示す。

0212

0213

尚、比較例1の化合物Ref−1は、非特許文献1に従って合成した化合物であり、周辺部位が有し、かつエレクトロクロミック部位と単結合している原子と隣り合う原子上は水素原子であるため、エレクトロクロミック部位に対する周辺部位の立体障害形成機能が殆ど無い化合物である。

0214

この化合物のエレクトロクロミック部位はジチエノチオフェンであり、芳香環はフェニル基である。

0215

酸化還元サイクルに対する耐久安定性の測定は、作用電極にグラッシーカーボン、対向電極に白金、参照電極に銀を用い、支持電解質としてのテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩のジクロロメタン溶液(0.1mol/L)中、各化合物を溶解(1.0×10−4mol/L)した溶液で行った。

0216

この溶液について、化合物の酸化電位以上で10秒間の定電位酸化と、0V(vs.Ag/Ag+)/10秒間の定電位還元からなる矩形波電位プログラムを繰り返した。100回の酸化還元サイクルごとにサイクリックボルタンメトリーCV)測定を行い、酸化還元サイクル数に伴う酸化電位の変化を図2に示した。

0217

比較例1の化合物Ref−1においては、約1400回の酸化還元サイクル後より酸化電位が高電位側にシフトし始め、3000回後には酸化電位が約1.25倍の値を示し、化合物の劣化が見られた。

0218

一方、本発明に係る化合物A−7およびA−10においては、3000回の酸化還元サイクル後も酸化電位に殆ど変化は見られなかった。

0219

したがって、Ref−1に比べてA−7やA−10は、耐久性が高い。これは、本実施形態に係る化合物は、芳香環が有する置換基によって、エレクトロクロミック部位を保護しているためであると考えられる。すなわち、本実施形態に係る他のEC性有機化合物も同様の耐久性を有する。

0220

尚、化合物A−1の耐久安定性は、Ref−1とA−7やA−10の中程度の酸化電位変化量であったが、芳香環の立体障害形成機能が比較的小さいメチル基であり、Ref−1に比べある程度の排除体積効果が発現していると考えられる。

0221

[実施例3および比較例2]
<EC性有機化合物の酸化還元サイクルの耐久安定性−2>
本実施形態に係るEC性有機化合物A−7、A−10、A−12、B−1、B−6、B−10、B−16、B−18および比較例2として公知の化合物Ref−1、Ref−2、Ref−3の酸化還元サイクルに対する耐久安定性を評価した。Ref−2およびRef−3の構造式を下記に示す。

0222

0223

比較例の化合物Ref−2は周辺部位が無い化合物であり、化合物Ref−3は公知の還元着色性EC性有機化合物(ジエチルビオロゲンジパークレート)である。

0224

本実施例における酸化還元サイクルに対する耐久安定性の測定は、実施例2と同様の溶液および測定系に対して、化合物の酸化電位以上である10秒間の定電位酸化と、0V(vs.Ag/Ag+)/10秒間の定電位還元からなる矩形波電位プログラムを20000回繰り返した。

0225

100回の酸化還元サイクルごとにサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行い、酸化ピーク電流量が20%以上変化した酸化還元サイクル数を酸化還元耐久回数とした。尚、20000回後の電流変化量が20%以内の化合物の酸化還元耐久回数は20000回とした。

0226

図3には、この酸化還元耐久回数を、周辺部位の射影分子長に対してプロットしたグラフを示す。

0227

ここで周辺部位の射影分子長とは、前述の電子状態計算ソフトウェアであるGaussian03*Revision D.01を用いた基底状態の構造最適化計算結果の分子構造を投影した際の周辺部位の分子長であり、エレクトロクロミック部位の共役面に対して法線方向の立体障害形成機能の指標となるものである。

0228

比較例の化合物Ref−2は、電圧印加直後より電解重合し、化合物としての酸化還元安定性は無かった。

0229

また、周辺部位が有する置換基によるエレクトロクロミック部位の保護機能が無い化合物Ref−1およびRef−3は、それぞれ1500回、1600回の耐久回数と低い酸化還元耐久安定性であった。

0230

一方、本実施形態に係るEC性有機化合物においては、エレクトロクロミック部位が様々な化学構造を有していてもいずれも10000回以上の酸化還元耐久安定性を示した。

0231

本実施形態に係るEC性有機化合物は周辺部位が有する置換基の射影分子長が7Å以上である。周辺部位が有する置換基の大きな排除体積効果により、エレクトロクロミック部位を立体的に保護しているためであると考えられる。

0232

[実施例4]
<EC素子の作製>
支持電解質として過塩素酸リチウムを0.1Mの濃度で炭酸プロピレンに溶解させ、次いで本発明に係るEC性有機化合物B−7を20.0mMの濃度で溶解させ、EC媒体を得た。

0233

次いで透明導電膜(ITO)付きのガラス基板(下部電極)の周辺部に、着消色領域を規定する開口部を残して絶縁層(SiO2)を形成し、基板間隔を規定するPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製メリネックス(R)S)を透明電極膜付きガラス基板(上部電極)で狭持した後、EC媒体注入用の開口部を残してエポキシ系接着剤により素子周辺部を封止し、注入口付き空セルを作製した。

0234

尚、前記フィルムの厚みを本発明における素子の一対の電極間距離とし、フィルム厚みを変えることにより電極間距離を変えた空セルを作製した。

0235

次に前述の素子開口部より、上で得られたEC媒体を真空注入法により注入後、開口部を周辺部と同様にエポキシ系接着剤により封止し、EC素子とした。

0236

本実施例における素子は、片側の電極においてアノード性EC性有機化合物が酸化により着色する素子構成(単極型素子)からなる。

0237

<単極型素子のEC特性
電極間距離が60μmの素子を用いて、そのエレクトロクロミック特性を評価した。作製直後の本EC素子は可視光領域全域にわたり、80%以上の透過率を示し、高い透明性を有していた。

0238

この素子に電圧を2.2V印加すると、化合物B−7の酸化種由来する吸収(506nm)を示し、着色した。この吸収波長(506nm)における着色効率は、473cm2/Cであった。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着消色を示した。

0239

[実施例5]
<単極型素子のEC特性>
EC媒体に含まれるEC性有機化合物を、5.0mMのアノード性EC性有機化合物B−24とし、電極基板としてFTOを用いた以外は実施例4と同様に素子を作製し、電極間距離70μmの単極型素子とした。

0240

この素子に電圧を3.4V印加すると、化合物B−24の酸化種に由来する吸収(388nm)を示した。この吸収波長(388nm)における着色効率は、1041cm2/Cであった。

0241

[実施例6]
<両極型素子のEC特性>
EC媒体に含まれるEC性有機化合物を、30.0mMのアノード性EC性有機化合物B−7と30.0mMのカソード性EC性有機化合物Ref−3とし、支持電解質を過塩素酸テトラブチルアンモニウム(0.1M)とし、電極基板としてFTOを用いた以外は実施例4と同様に素子を作製した。

0242

本実施例における素子は、片側の電極においてアノード性EC性有機化合物が酸化により着色すると同時に、対向電極においてカソード性EC性有機化合物が還元により着色する素子構成(両極型素子)である。

0243

電極間距離が60μmの素子を用いて、そのエレクトロクロミック特性を評価した。作製直後の本EC素子は可視光領域全域にわたり、80%以上の透過率を示し、高い透明性を有していた。

0244

この素子に電圧を1.4V印加すると、化合物B−7の酸化種に由来する吸収(506nm)と化合物Ref−3の還元種に由来する吸収(604nm)を示し、着色した。アノード性EC性有機化合物の酸化種由来の吸収波長(506nm)における着色効率は、470cm2/Cであった。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着消色を示した。

0245

[実施例7]
<EC素子の酸化還元サイクルに対する耐久安定性>
EC媒体に含まれるEC性有機化合物を、6.0mMのアノード性EC性有機化合物A−12とした以外は実施例4と同様に素子を作製し、電極間距離150μmの単極型素子とした。この素子に電圧を2.3V印加すると、化合物A−12の酸化種に由来する吸収(498nm)を示し、着色した。

0246

この吸収波長(498nm)における着色効率は、1058cm2/Cであった。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着消色を示した。次いで、EC素子における酸化還元サイクルに対する耐久安定性の測定を行った。

0247

本実施例におけるEC素子に対して、波高値2.3Vと−0.5V間の三角波電位勾配200mV/sec)を繰り返した結果、800回の酸化還元サイクル後も良好な着消色動作を示した。

0248

[実施例8]
<EC素子の酸化還元サイクルに対する耐久安定性>
EC媒体に含まれるEC性有機化合物を、6.0mMのアノード性EC性有機化合物B−16を溶解させEC媒体とした以外は実施例4と同様に素子を作製し、電極間距離150μmの単極型素子とした。

0249

この素子に電圧を2.6V印加すると、化合物B−16の酸化種に由来する吸収(528nm)を示し、着色した。

0250

この吸収波長(528nm)における着色効率は、240cm2/Cであった。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着消色を示した。

0251

次いで、本実施例におけるEC素子に対して、波高値2.6Vと−0.5V間の三角波(電位勾配200mV/sec)を繰り返した結果、1000回の酸化還元サイクル後も良好な着消色動作を示した。

0252

[実施例9]
<EC素子の酸化還元サイクルに対する耐久安定性>
EC媒体に含まれるEC性有機化合物を、6.0mMのアノード性EC性有機化合物A−12と、6.0mMのカソード性EC性有機化合物Ref−3とした以外は実施例4と同様に素子を作製し、電極間距離150μmの両極型素子とした。

0253

この素子に電圧を1.7V印加すると、化合物A−12の酸化種に由来する吸収(498nm)と化合物Ref−3の還元種に由来する吸収(604nm)を示し、着色した。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着消色を示した。

0254

次いで、本実施例におけるEC素子に対して、波高値1.7Vと−0.5V間の三角波(電位勾配200mV/sec)を繰り返した結果、1600回の酸化還元サイクル後も良好な着消色動作を示した。

0255

[実施例10]
<EC素子の消色応答速度>
実施例9で調製したEC媒体(アノード性EC性有機化合物:6.0mMのA−12/カソード性EC性有機化合物:6.0mMのRef−3)を用いて、3種の電極間距離(60μm、150μm、350μm)の両極型素子を作製し、消色時の応答時間を測定した。

0256

尚、本実施例における消色応答時間とは、光学濃度0.9(初期透過率の12.5%の状態)から光学濃度0.02(初期透過率の95%の状態)に変化するのに要する時間を意味する。

0257

図4に電極間距離と消色応答速度との関係を表したグラフを示した。電極間距離が350μmの場合は31.4秒の応答時間であったのに対して、電極間距離が150μmの素子では6.8秒、電極間距離60μmの素子においては2.0秒の応答時間であり、電極間距離が狭いほど極めて良好な消色応答速度を示した。

0258

図4実線は、3点のデータから予測されるデータをグラフとして描いたものである。

0259

以上のように本発明に係るEC素子は、酸化還元繰り返しに対して高い耐久安定性を有するとともに、消色時に可視光領域に光吸収を示さず高透明で、かつ応答速度に優れたEC素子を提供することができる。

0260

本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。

実施例

0261

本願は、2011年6月7日提出の日本国特許出願特願2011-127678及び2011年9月22日提出の日本国特許出願特願2011-206999を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てをここに援用する。

0262

10 透明基板
11透明電極
12 ECを含んだ組成物
13 スペーサー

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