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技術 止具の形成方法及び気密防水用スライドファスナー

出願人 YKK株式会社
発明者 田中亮
出願日 2011年5月24日 (9年7ヶ月経過) 出願番号 2013-516101
公開日 2014年7月31日 (6年4ヶ月経過) 公開番号 WO2012-160643
状態 特許登録済
技術分野 スライドファスナー
主要キーワード 対峙間隔 対峙方向 密接部分 案内柱 固着面積 略立方体状 テープ領域 帯状テープ
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図面 (16)

課題・解決手段

本発明に係る止具(30,40,60)の形成方法は、エレメント列(12)の少なくとも一端部側に、エレメント列(12)の端部を埋設する成形体胴体部(31a,41a,61a) と、前記成形体胴体部(31a,41a,61a) の周縁部から外側に延出する薄片状のヒレ部(32a,42a,62a) とを有する止具成形体(30a,40a,60a) を射出成形すること、及び、前記止具成形体(30a,40a,60a) の前記ヒレ部(32a,42a,62a) を高周波により溶着させて高周波溶着部(32,42,62)を形成することを含む。これにより、止具(30,40,60)の固着強度を増大できるとともに、高周波溶着部(32,42,62)の厚さを薄くして高周波溶着部(32,42,62)を折れ曲げ易く構成できるため、長期に渡って剥離し難い止具(30,40,60)を安定して形成できる。

概要

背景

従来から、液体輸送等に用いられる可撓性容器開閉部や、特殊作業服の開口部などには、高圧高温高湿などの厳しい環境下でも気密防水性が確保されるように、気密防水用スライドファスナーが用いられている。このような気密防水用スライドファスナーの一例が、例えば実公平4−36657号公報(特許文献1)や特開2003−309号公報(特許文献2)などに開示されている。

例えば特許文献1に記載されている気密防水用スライドファスナー70は、図14に示したように、一対の気密防水性テープ72の対向するテープ側縁部72aに複数のファスナーエレメント73が取着された第1及び第2ファスナーストリンガー71a,71bと、第1及び第2ファスナーストリンガー71a,71bの一端部に、一対の気密防水性テープ72に跨って固着された裏当テープ片74と、複数のファスナーエレメント73からなるエレメント列に沿って摺動可能に配されたスライダー75と、エレメント列の少なくとも一端部に配された止具(下止具)76とを有している。

気密防水性テープ72は、ファスナーテープゴム引きなどを施して、ファスナーテープのテープ表面(第1テープ面)に気密防水層を形成することによって、防水性を保持している。この気密防水性テープ72のテープ側縁部72aには複数のファスナーエレメント73が取着されており、各ファスナーエレメント73は、先端に噛合頭部を有する形状の噛合素子と、断面がU字状を呈するクランプ素子とを有している。

この場合、気密防水性テープ72のテープ側縁部72aは、噛合素子の噛合頭部を外方に突出させた状態で同噛合素子の基端部を抱え込むようにしてΩ状に折り曲げられる。更に、そのΩ状のテープ部分の外側にファスナーエレメント73のクランプ素子を装着し、同クランプ素子を内側に向けて加締めて、クランプ素子内に噛合素子の基端部とΩ状のテープ部分とが強固に挟着固定される。これにより、ファスナーエレメント73が、気密防水性テープ72のテープ側縁部72aに所要の間隔をもって取着される。

裏当テープ片74は、第1及び第2ファスナーストリンガー71a,71bにおける気密防水性テープ72のテープ裏面(第2テープ面)側に付着されている。
特許文献1のスライダー75は、スライダー胴体75aと、スライダー胴体75aの側面からテープ幅方向突設された引手75c保持突起75bと、引手75c保持突起75bに回動可能に保持された引手75cとを有している。スライダー胴体75aの内部には、ファスナーエレメント73とテープ側縁部72aとを案内する略Y字状の導孔が設けられている。

止具76は、スライダー75がエレメント列から脱落することを防ぐために、エレメント列の一端部に配されている。この止具76は、数個のファスナーエレメント73及び折り曲げられたテープ側縁部72aを包むように配されたブロック状の胴体部76aと、胴体部76aにおけるファスナーテープ側の基端部周縁下端部周縁)に配された薄肉ヒレ部76bとを有しており、同止具76は、射出成形により、気密防水性テープ72及び裏当テープ片74に跨って胴体部76a及びヒレ部76bの下面で固着されている。

特に、特許文献1の止具76では、胴体部76aのスライダー75が当接する当接側面の下端部に、切欠き状の空間部76cが形成されており、胴体部76aのスライダー75当接側面側に配されるヒレ部76bは、その空間部76c内に収まる大きさで設けられている。すなわち、スライダー75当接側面側に配されるヒレ部76bの先端は、胴体部76aのスライダー75当接側面の位置よりも内側に位置している。

上述のような構成を有する特許文献1の気密防水用スライドファスナー70は、止具76におけるスライダー75当接側面側のヒレ部76bが胴体部76aの空間部76c内に収められているため、スライダー75を止具76に強く衝突させても、同スライダー75は止具76のヒレ部76bには当接することはない。このため、気密防水用スライドファスナー70が長期に亘って使用される間にスライダー75を繰り返し止具76に強く衝突させても、スライダー75当接側面側のヒレ部76bが、そのスライダー75の衝突に起因して剥離することを防止できる。

一方、このような特許文献1の気密防水用スライドファスナー70は、例えば止具76の周辺部にて折り曲げられたり、折り畳まれたりしたときに、止具76の胴体部76aとヒレ部76bとの境界部分を中心に湾曲するように変形して折れ曲がり易くなる。この場合、止具76のヒレ部76bは、気密防水性テープ72及び裏当テープ片74の湾曲に伴って鋭角に折り曲げられる一方で、同ヒレ部76bには、胴体部76aとの間にて元の状態に戻ろうとする応力復元力)が直接作用する。

このため、気密防水用スライドファスナー70が繰り返し折り曲げられたり、折り畳まれたりすると、ヒレ部76bが、復元力の作用によって、折り曲げられる気密防水性テープ72又は裏当テープ片74から剥離して、スライドファスナー気密性や防水性を低下させることや喪失させることがあった。

このようなヒレ部の剥離の問題に対し、例えば特許文献2には、止具に配されるヒレ部の周辺部の一部が、気密防水用スライドファスナーが装着されるファスナー装着製品開閉端部に密着固定する拡がりを有する気密防水用スライドファスナーが開示されている。

図15を参照しながら具体的に説明すると、特許文献2の気密防水用スライドファスナー80に配される止具86は、射出成形により、気密防水性テープ82及び裏当テープ片84に跨って固着されており、この止具86は、略立方体状の胴体部86aと、胴体部86aの下端部周縁に配されたヒレ部86bとを有している。この場合、ヒレ部86bの厚み(テープ表裏方向の寸法)は、1.2mm以上に設定されている(特許文献2の実施例では、ヒレ部86bの厚みが1.5mmに設定されている)。

また、ヒレ部86bは、気密防水性テープ82に取り付けられる二点鎖線で示したファスナー被装着製品88の開閉端部88aの位置よりも外側に拡がる大きさをもって構成されており、これにより、ヒレ部86bは、気密防水性テープ82又は裏当テープ片84に対する実質的な固着面積を確保して、止具86(特に、ヒレ部86b)の固着強度を高めている。

更に、特許文献2では、止具86のヒレ部86bの上面及び気密防水性テープ82の上面側に、ファスナー被装着製品88の開閉端部88aを重ねて溶着一体化することにより、ヒレ部86bと気密防水性テープ82との固着を一層強固にしている。

このような特許文献2の気密防水用スライドファスナー80であれば、例えば止具86の周辺部にて折り曲げられたり、折り畳まれたりしても、止具86のヒレ部86bに重ねられているファスナー被装着製品88の開閉端部88aによってヒレ部86bが上面側から押さえられているため、ヒレ部86bが気密防水性テープ82又は裏当テープ片84から容易に剥離することを防止できる。

概要

本発明に係る止具(30,40,60)の形成方法は、エレメント列(12)の少なくとも一端部側に、エレメント列(12)の端部を埋設する成形体胴体部(31a,41a,61a) と、前記成形体胴体部(31a,41a,61a) の周縁部から外側に延出する薄片状のヒレ部(32a,42a,62a) とを有する止具成形体(30a,40a,60a) を射出成形すること、及び、前記止具成形体(30a,40a,60a) の前記ヒレ部(32a,42a,62a) を高周波により溶着させて高周波溶着部(32,42,62)を形成することを含む。これにより、止具(30,40,60)の固着強度を増大できるとともに、高周波溶着部(32,42,62)の厚さを薄くして高周波溶着部(32,42,62)を折れ曲げ易く構成できるため、長期に渡って剥離し難い止具(30,40,60)を安定して形成できる。

目的

本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、止具の固着強度を高めて、止具の剥離を長期に渡って防止可能な止具を効率的に形成する止具の形成方法、及び、そのような止具を有する気密防水用スライドファスナーを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

少なくとも一方のテープ面に気密防水層を備えた一対の気密防水性テープ(11)の対向するテープ側縁部(11a) に複数のファスナーエレメント(13)が取着され、各ファスナーエレメント(13)は、U状断面のクランプ素子(15)内に前記テープ側縁部(11a) 及び噛合素子(14)が包持されて構成され、エレメント列(12)の少なくとも一端部側に、一対の前記気密防水性テープ(11)に跨って裏当テープ片(20)が固着された一対の第1及び第2ファスナーストリンガー(10a,10b) に対し、前記エレメント列(12)の少なくとも一端部側に配される熱可塑性エラストマー製止具(30,40,60)を前記気密防水性テープ(11)及び前記裏当テープ片(20)に跨るように形成する止具(30,40,60)の形成方法であって、前記エレメント列(12)の少なくとも一端部側に、前記エレメント列(12)の端部を埋設する成形体胴体部(31a,41a,61a) と、前記成形体胴体部(31a,41a,61a) の少なくとも一部の周縁部から外側に延出する薄片状のヒレ部(32a,42a,62a) とを有する止具成形体(30a,40a,60a) を射出成形すること、及び、前記止具成形体(30a,40a,60a) の前記ヒレ部(32a,42a,62a) を前記気密防水性テープ(11)及び前記裏当テープ片(20)に押圧しながら高周波により溶着させて、前記ヒレ部(32a,42a,62a) よりも薄い高周波溶着部(32,42,62)を形成し、前記止具(30,40,60)を前記気密防水性テープ(11)及び前記裏当テープ片(20)に溶着一体化させること、を含んでなることを特徴とする止具の形成方法。

請求項2

前記ヒレ部(32a,42a,62a) を、前記成形体胴体部(31a,41a,61a) における前記エレメント列(12)側の側面部の一部領域を除く周縁部に連続して設けることを含んでなる請求項1記載の止具の形成方法。

請求項3

前記高周波溶着部(32,42,62)の表面を、前記気密防水性テープ(11)のテープ面に対して平坦状にすることを含んでなる請求項1又は2記載の止具の形成方法。

請求項4

前記気密防水性テープ(11)のテープ面に対する前記高周波溶着部(32,42,62)のテープ表裏方向における寸法を、0.1mm以下にすることを含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載の止具の形成方法。

請求項5

少なくとも一方のテープ面に気密防水層を備えた一対の気密防水性テープ(11)の対向するテープ側縁部(11a) に複数のファスナーエレメント(13)が取着され、各ファスナーエレメント(13)は、U状断面のクランプ素子(15)内に前記テープ側縁部(11a) 及び噛合素子(14)が包持されて構成され、エレメント列(12)の少なくとも一端部側に、裏当テープ片(20)が一対の前記気密防水性テープ(11)に跨って固着された一対の第1及び第2ファスナーストリンガー(10a,10b) と、前記エレメント列(12)に沿って摺動可能に配されたスライダー(50)と、前記エレメント列(12)の少なくとも一端部側に前記気密防水性テープ(11)及び前記裏当テープ片(20)に跨って固着された熱可塑性エラストマー製の止具(30,40,60)とを有する気密防水用スライドファスナーであって、前記止具(30,40,60)は、前記エレメント列(12)の端部を埋設する胴体部(31,41,61)と、前記胴体部(31,41,61)の少なくとも一部の周縁部から外側に延出し、高周波により溶着された高周波溶着部(32,42,62)とを有してなる、ことを特徴とする気密防水用スライドファスナー。

請求項6

前記高周波溶着部(32,42,62)の表面は、前記気密防水性テープ(11)のテープ面に対して平坦に配されてなる請求項5記載の気密防水用スライドファスナー。

請求項7

前記気密防水性テープ(11)のテープ面に対する前記高周波溶着部(32,42,62)のテープ表裏方向における厚さが0.1mm以下である請求項5又は6記載の気密防水用スライドファスナー。

請求項8

前記エレメント列(12)の端部が互いに分離した状態で前記止具(30,40,60)に埋設され、前記裏当テープ片(20)における前記気密防水テープ側のテープ面には、三角形状の断面を有する凸部(45)が、左右の前記気密防水性テープ(11)に挟まれるように、前記第1及び第2ファスナーストリンガー(10a,10b) の長さ方向に沿って配され、前記凸部(45)と前記裏当テープ片(20)とは高周波により溶着されてなる、請求項5〜7のいずれかに記載の気密防水用スライドファスナー。

技術分野

0001

本発明は、液体輸送等に用いられる可撓性容器や、防護服及び潜水服のような特殊作業服などに適用される気密防水用スライドファスナー止具を形成する方法、及び、その止具を有する気密防水用スライドファスナーに関する。

背景技術

0002

従来から、液体輸送等に用いられる可撓性容器の開閉部や、特殊作業服の開口部などには、高圧高温高湿などの厳しい環境下でも気密防水性が確保されるように、気密防水用スライドファスナーが用いられている。このような気密防水用スライドファスナーの一例が、例えば実公平4−36657号公報(特許文献1)や特開2003−309号公報(特許文献2)などに開示されている。

0003

例えば特許文献1に記載されている気密防水用スライドファスナー70は、図14に示したように、一対の気密防水性テープ72の対向するテープ側縁部72aに複数のファスナーエレメント73が取着された第1及び第2ファスナーストリンガー71a,71bと、第1及び第2ファスナーストリンガー71a,71bの一端部に、一対の気密防水性テープ72に跨って固着された裏当テープ片74と、複数のファスナーエレメント73からなるエレメント列に沿って摺動可能に配されたスライダー75と、エレメント列の少なくとも一端部に配された止具(下止具)76とを有している。

0004

気密防水性テープ72は、ファスナーテープゴム引きなどを施して、ファスナーテープのテープ表面(第1テープ面)に気密防水層を形成することによって、防水性を保持している。この気密防水性テープ72のテープ側縁部72aには複数のファスナーエレメント73が取着されており、各ファスナーエレメント73は、先端に噛合頭部を有する形状の噛合素子と、断面がU字状を呈するクランプ素子とを有している。

0005

この場合、気密防水性テープ72のテープ側縁部72aは、噛合素子の噛合頭部を外方に突出させた状態で同噛合素子の基端部を抱え込むようにしてΩ状に折り曲げられる。更に、そのΩ状のテープ部分の外側にファスナーエレメント73のクランプ素子を装着し、同クランプ素子を内側に向けて加締めて、クランプ素子内に噛合素子の基端部とΩ状のテープ部分とが強固に挟着固定される。これにより、ファスナーエレメント73が、気密防水性テープ72のテープ側縁部72aに所要の間隔をもって取着される。

0006

裏当テープ片74は、第1及び第2ファスナーストリンガー71a,71bにおける気密防水性テープ72のテープ裏面(第2テープ面)側に付着されている。
特許文献1のスライダー75は、スライダー胴体75aと、スライダー胴体75aの側面からテープ幅方向突設された引手75c保持突起75bと、引手75c保持突起75bに回動可能に保持された引手75cとを有している。スライダー胴体75aの内部には、ファスナーエレメント73とテープ側縁部72aとを案内する略Y字状の導孔が設けられている。

0007

止具76は、スライダー75がエレメント列から脱落することを防ぐために、エレメント列の一端部に配されている。この止具76は、数個のファスナーエレメント73及び折り曲げられたテープ側縁部72aを包むように配されたブロック状の胴体部76aと、胴体部76aにおけるファスナーテープ側の基端部周縁下端部周縁)に配された薄肉ヒレ部76bとを有しており、同止具76は、射出成形により、気密防水性テープ72及び裏当テープ片74に跨って胴体部76a及びヒレ部76bの下面で固着されている。

0008

特に、特許文献1の止具76では、胴体部76aのスライダー75が当接する当接側面の下端部に、切欠き状の空間部76cが形成されており、胴体部76aのスライダー75当接側面側に配されるヒレ部76bは、その空間部76c内に収まる大きさで設けられている。すなわち、スライダー75当接側面側に配されるヒレ部76bの先端は、胴体部76aのスライダー75当接側面の位置よりも内側に位置している。

0009

上述のような構成を有する特許文献1の気密防水用スライドファスナー70は、止具76におけるスライダー75当接側面側のヒレ部76bが胴体部76aの空間部76c内に収められているため、スライダー75を止具76に強く衝突させても、同スライダー75は止具76のヒレ部76bには当接することはない。このため、気密防水用スライドファスナー70が長期に亘って使用される間にスライダー75を繰り返し止具76に強く衝突させても、スライダー75当接側面側のヒレ部76bが、そのスライダー75の衝突に起因して剥離することを防止できる。

0010

一方、このような特許文献1の気密防水用スライドファスナー70は、例えば止具76の周辺部にて折り曲げられたり、折り畳まれたりしたときに、止具76の胴体部76aとヒレ部76bとの境界部分を中心に湾曲するように変形して折れ曲がり易くなる。この場合、止具76のヒレ部76bは、気密防水性テープ72及び裏当テープ片74の湾曲に伴って鋭角に折り曲げられる一方で、同ヒレ部76bには、胴体部76aとの間にて元の状態に戻ろうとする応力復元力)が直接作用する。

0011

このため、気密防水用スライドファスナー70が繰り返し折り曲げられたり、折り畳まれたりすると、ヒレ部76bが、復元力の作用によって、折り曲げられる気密防水性テープ72又は裏当テープ片74から剥離して、スライドファスナー気密性や防水性を低下させることや喪失させることがあった。

0012

このようなヒレ部の剥離の問題に対し、例えば特許文献2には、止具に配されるヒレ部の周辺部の一部が、気密防水用スライドファスナーが装着されるファスナー装着製品開閉端部に密着固定する拡がりを有する気密防水用スライドファスナーが開示されている。

0013

図15を参照しながら具体的に説明すると、特許文献2の気密防水用スライドファスナー80に配される止具86は、射出成形により、気密防水性テープ82及び裏当テープ片84に跨って固着されており、この止具86は、略立方体状の胴体部86aと、胴体部86aの下端部周縁に配されたヒレ部86bとを有している。この場合、ヒレ部86bの厚み(テープ表裏方向の寸法)は、1.2mm以上に設定されている(特許文献2の実施例では、ヒレ部86bの厚みが1.5mmに設定されている)。

0014

また、ヒレ部86bは、気密防水性テープ82に取り付けられる二点鎖線で示したファスナー被装着製品88の開閉端部88aの位置よりも外側に拡がる大きさをもって構成されており、これにより、ヒレ部86bは、気密防水性テープ82又は裏当テープ片84に対する実質的な固着面積を確保して、止具86(特に、ヒレ部86b)の固着強度を高めている。

0015

更に、特許文献2では、止具86のヒレ部86bの上面及び気密防水性テープ82の上面側に、ファスナー被装着製品88の開閉端部88aを重ねて溶着一体化することにより、ヒレ部86bと気密防水性テープ82との固着を一層強固にしている。

0016

このような特許文献2の気密防水用スライドファスナー80であれば、例えば止具86の周辺部にて折り曲げられたり、折り畳まれたりしても、止具86のヒレ部86bに重ねられているファスナー被装着製品88の開閉端部88aによってヒレ部86bが上面側から押さえられているため、ヒレ部86bが気密防水性テープ82又は裏当テープ片84から容易に剥離することを防止できる。

先行技術

0017

実公平4−36657号公報
特開2003−309号公報

発明が解決しようとする課題

0018

前記特許文献1及び特許文献2に記載されている気密防水用スライドファスナー70,80では、熱可塑性合成樹脂からなる止具76,86を射出成形する際の熱を利用して、止具76,86が気密防水性テープ72,82及び裏当テープ片74,84に固着されていた。更に、特許文献2の気密防水用スライドファスナー80では、止具86の固着強度を高めるために、止具86のヒレ部86bが、上述のように装着製品の開閉端部88aに密着固定するのに十分な拡がりを有して構成されている。

0019

しかし、射出成形時の熱を利用して止具76,86を固着する場合、同止具76,86のヒレ部76b,86bは薄肉に形成されており、且つ、ヒレ部76b,86bはゲートから離れて配されることが多いため、ヒレ部76b,86b(特に、ヒレ部76b,86bの先端部)では、射出成形時の熱が止具76,86の胴体部76a,86aに比べて低くなり、胴体部76a,86aと同等の固着強度は得られなかった。このため、特許文献2のようにヒレ部86bの大きさを大きくしても、ヒレ部86bの先端部にて剥離を確実に防止することは難しかった。更に近年では、気密防水用スライドファスナーに対する要求性能が益々厳しくなってきており、止具の固着強度をより一層高めることが求められてきている。

0020

このような止具の固着強度に関して、従来の気密防水用スライドファスナーでは、例えば気密防水性テープ及び裏当テープ片の表面に接着剤を塗布し、その接着剤による接着層の上面に止具を射出成形することによって、前記特許文献1及び特許文献2の場合よりも止具の固着強度を高めて、止具の剥離を防ぐことも考えられた。

0021

しかし、このように接着層を介して止具を射出成形した場合、気密防水用スライドファスナーを高圧や高温高湿などの過酷な環境下にて使用すると、接着層が経時的に劣化するため、止具の高い固着強度を長期に渡って安定して維持できず、ある程度の期間が経過すると止具が剥離する虞があった。

0022

また、接着層を介して止具を射出成形する場合、射出成形工程の前に気密防水性テープ及び裏当テープ片に接着剤を塗布して乾燥させる必要があるため、止具の形成に要する作業工程が複雑になるとともに、接着剤を乾燥させる時間も確保しなければならない。その結果、気密防水用スライドファスナーの生産性が低下し、コストアップに繋がるという問題もあった。

0023

本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、止具の固着強度を高めて、止具の剥離を長期に渡って防止可能な止具を効率的に形成する止具の形成方法、及び、そのような止具を有する気密防水用スライドファスナーを提供することにある。

課題を解決するための手段

0024

上記目的を達成するために、本発明により提供される止具の形成方法は、基本的な構成として、少なくとも一方のテープ面に気密防水層を備えた一対の気密防水性テープの対向するテープ側縁部に複数のファスナーエレメントが取着され、各ファスナーエレメントは、U状断面のクランプ素子内に前記テープ側縁部及び噛合素子が包持されて構成され、エレメント列の少なくとも一端部側に、一対の前記気密防水性テープに跨って裏当テープ片が固着された一対の第1及び第2ファスナーストリンガーに対し、前記エレメント列の少なくとも一端部側に配される熱可塑性エラストマー製の止具を前記気密防水性テープ及び前記裏当テープ片に跨るように形成する止具の形成方法であって、前記エレメント列の少なくとも一端部側に、前記エレメント列の端部を埋設する成形体胴体部と、前記成形体胴体部の少なくとも一部の周縁部から外側に延出する薄片状のヒレ部とを有する止具成形体を射出成形すること、及び、前記止具成形体の前記ヒレ部を前記気密防水性テープ及び前記裏当テープ片に押圧しながら高周波により溶着させて、前記ヒレ部よりも薄い高周波溶着部を形成し、前記止具を前記気密防水性テープ及び前記裏当テープ片に溶着一体化させること、を含んでなることを最も主要な特徴とするものである。

0025

本発明に係る止具の形成方法は、前記ヒレ部を、前記成形体胴体部における前記エレメント列側の側面部の一部領域を除く周縁部に連続して設けることを含んでいることが好ましい。
また、本発明に係る止具の形成方法は、前記高周波溶着部の表面を、前記気密防水性テープのテープ面に対して平坦状にすることを含んでいることが好ましい。更に、前記気密防水性テープのテープ面に対する前記高周波溶着部のテープ表裏方向における寸法を、0.1mm以下にすることを含んでいることが好ましい。

0026

次に、本発明により提供される気密防水用スライドファスナーは、基本的な構成として、少なくとも一方のテープ面に気密防水層を備えた一対の気密防水性テープの対向するテープ側縁部に複数のファスナーエレメントが取着され、各ファスナーエレメントは、U状断面のクランプ素子内に前記テープ側縁部及び噛合素子が包持されて構成され、エレメント列の少なくとも一端部側に、裏当テープ片が一対の前記気密防水性テープに跨って固着された一対の第1及び第2ファスナーストリンガーと、前記エレメント列に沿って摺動可能に配されたスライダーと、前記エレメント列の少なくとも一端部側に前記気密防水性テープ及び前記裏当テープ片に跨って固着された熱可塑性エラストマー製の止具とを有する気密防水用スライドファスナーであって、前記止具は、前記エレメント列の端部を埋設する胴体部と、前記胴体部の少なくとも一部の周縁部から外側に延出し、高周波により溶着された高周波溶着部とを有してなることを最も主要な特徴とするものである。

0027

本発明に係る気密防水用スライドファスナーでは、前記高周波溶着部の表面は、前記気密防水性テープのテープ面に対して平坦に配されていることが好ましく、また、前記気密防水性テープのテープ面に対する前記高周波溶着部のテープ表裏方向における厚さが0.1mm以下であることが好ましい。

0028

更に、本発明の気密防水用スライドファスナーでは、前記エレメント列の端部が互いに分離した状態で前記止具に埋設され、前記裏当テープ片における前記気密防水テープ側のテープ面には、三角形状の断面を有する凸部が、左右の前記気密防水性テープに挟まれるように、前記第1及び第2ファスナーストリンガーの長さ方向に沿って配され、前記凸部と前記裏当テープ片とは高周波により溶着されていることが好ましい。

発明の効果

0029

本発明に係る止具の形成方法では、裏当テープ片が固着された第1及び第2ファスナーストリンガーに止具を形成する際に、先ず、成形体胴体部と薄片状のヒレ部とを備えた熱可塑性エラストマー製の止具成形体を射出成形する。次に、射出成形した止具成形体のヒレ部を、気密防水性テープ及び裏当テープ片に押圧しながら高周波により溶着させて、ヒレ部よりも薄い薄膜状の高周波溶着部を形成することにより、止具を気密防水性テープ及び裏当テープ片に溶着一体化させる。

0030

このように、本発明に係る止具の形成方法では、止具成形体のヒレ部を押圧により潰しながら高周波溶着することにより、止具を気密防水性テープに溶着一体化させている。このような高周波溶着では、高周波(電磁波)エネルギー分子振動させ、その分子運動による発熱を利用することにより、止具と気密防水性テープ及び裏当テープ片とを短時間で強固に溶着できる。

0031

このため、本発明では、例えば前記特許文献1や特許文献2のように射出成形時の熱を利用して止具を固着する従来の場合に比べて、止具の固着強度(溶着強度)を、接着剤を用いることなく大幅に増大させることができる。また、本発明は、例えば接着剤を塗布して止具の固着強度を増大させる場合に比べて、止具の形成に要する時間を大幅に短縮でき、生産性の向上を図ることもできる。

0032

更に本発明では、高周波溶着を行うことにより、従来では射出成形の熱が伝わり難かったヒレ部の先端部分も確実に溶着させることができる。その上、止具成形体のヒレ部は、気密防水性テープ及び裏当テープ片に押圧されながら溶着するため、溶着後の高周波溶着部の厚さ(テープ表裏方向の寸法)をヒレ部よりも薄くして、高周波溶着部を薄膜状に形成することができる。

0033

このように止具の高周波溶着部を薄く形成することにより、高周波溶着部の領域と、高周波溶着部の周辺部の領域(即ち、高周波溶着部が配されていない気密防水性テープ及び裏当テープ片の領域)との間の硬さ(曲げ易さ)の違いを小さくできる。それにより、気密防水用スライドファスナーを止具の周辺部にて折り曲げたり、折り畳んだりしたときに、止具の高周波溶着部を気密防水性テープに従って(気密防水性テープに追随させて)容易に折り曲げることができるため、高周波溶着部を折り曲げたときに止具に生じる復元力をより小さく抑える(緩和する)ことができる。

0034

従って、本発明における止具の形成方法では、止具の固着強度を、高周波溶着部の先端部分まで大幅に増大できるとともに、高周波溶着部の厚さを薄くして高周波溶着部を折れ曲げ易く構成できるため、剥離の発生を長期に渡って防止可能な止具を安定して形成することができる。なお、本発明における止具は、例えばスライドファスナーの後端部に配される第1止具(下止具とも言う)、及び、スライドファスナーの前端部に配される第2止具(上止具とも言う)を含むものとする。

0035

このような本発明の止具の形成方法において、止具成形体のヒレ部を、成形体胴体部におけるエレメント列側の側面部の一部領域を除く周縁部に連続して設けることにより、止具の固着強度を確実に増大できる。また、ヒレ部を金型で押圧しながら高周波溶着させる際に、第1及び第2ファスナーストリンガーのエレメント列と金型とが互いに干渉することを回避し、高周波溶着を安定して行うことができる。

0036

また本発明では、ヒレ部を高周波溶着させて高周波溶着部を形成する際に、高周波溶着部の表面を、気密防水性テープのテープ面に対して平坦状にすることにより、止具の高周波溶着部を気密防水性テープに従ってより容易に折れ曲がるように構成できる。このため、高周波溶着部を折り曲げたときに止具に生じる復元力をより小さく抑えて、止具の剥離を効果的に防ぐことができる。高周波溶着部の表面を、気密防水性テープのテープ面に対して平坦状に形成することにより、止具を有する気密防水用スライドファスナーの外観品質手触り感を向上させることができる。

0037

更に本発明では、止具の高周波溶着部のテープ表裏方向における寸法を0.1mm以下にする。このような厚さで高周波溶着部を形成することにより、高周波溶着部の表面を、気密防水性テープのテープ面に対して確実に平坦にすることができる。このため、高周波溶着部を気密防水性テープに従ってより容易に折れ曲がるように構成できるとともに、気密防水用スライドファスナーの外観品質や手触り感を向上させることができる。

0038

次に、本発明に係る気密防水用スライドファスナーは、エレメント列の少なくとも一端部側に固着された熱可塑性エラストマー製の止具を有しており、その止具は、エレメント列の端部を埋設する胴体部と、胴体部の少なくとも一部の周縁部から外側に延出して拡がる薄膜状の高周波溶着部とを有している。

0039

このような本発明の気密防水用スライドファスナーにおける止具には、高周波により気密防水性テープ及び裏当テープ片に溶着された高周波溶着部が配されているため、止具と気密防水性テープ及び裏当テープ片との間の固着が、接着剤による接着層を介さなくても強固なものとなり、更に、高周波溶着部の先端部分においても高い固着強度を安定して確保できる。

0040

従って、本発明の気密防水用スライドファスナーが、例えば止具の周辺部にて折り曲げられても、止具(特に、止具の高周波溶着部)が剥離することを効果的に防止し、気密防水用スライドファスナーが有する気密性や防水性を長期に渡って安定して維持することができる。

0041

また、同止具における高周波溶着部は極めて薄く形成されているため、高周波溶着部の領域と、高周波溶着部の周辺部の領域との間の硬さ(曲げ易さ)の違いを小さくできる。このため、気密防水用スライドファスナーを止具の周辺部にて折り曲げたり、折り畳んだりしたときに、止具の高周波溶着部を気密防水性テープに追随させて容易に折り曲げることができ、それによって、高周波溶着部を折り曲げたときに止具に生じる復元力をより小さく抑えることができる。

0042

このように本発明の気密防水用スライドファスナーでは、止具の固着強度が大幅に高められているとともに、高周波溶着部の厚さを薄くして高周波溶着部が折れ曲げ易く構成されているため、止具が気密防水性テープや裏当テープ片から剥がれることを長期に渡って防止できる。

0043

このような本発明の気密防水用スライドファスナーにおいて、高周波溶着部の表面は、気密防水性テープのテープ面に対して平坦に配されている。これにより、高周波溶着部の領域と、高周波溶着部の周辺部の領域との間の硬さの違いを極めて小さくできるため、気密防水用スライドファスナーを止具の周辺部にて折り曲げたときに、止具の高周波溶着部を気密防水性テープに追随してより容易に折り曲げることができ、それによって、止具が剥離することをより効果的に防止できる。また、高周波溶着部の表面が、気密防水性テープのテープ面と平坦であることにより、気密防水用スライドファスナーの外観品質や手触り感を向上させることができる。

0044

また、本発明において、気密防水性テープのテープ面に対する高周波溶着部のテープ表裏方向における厚さが0.1mm以下であることにより、高周波溶着部の表面が、気密防水性テープのテープ面に対して確実に平坦なものとなるため、止具の高周波溶着部を気密防水性テープに従って更に容易に折れ曲がるように構成できるとともに、気密防水用スライドファスナーの外観品質や手触り感を向上させることができる。

0045

更に、本発明の気密防水用スライドファスナーでは、エレメント列の端部が互いに分離した状態で止具に埋設されており、裏当テープ片における気密防水テープに固着される側のテープ面には、三角形状の断面を有する凸部が、左右の気密防水性テープに挟まれるように配されている。また、この凸部は、第1及び第2ファスナーストリンガーの長さ方向に沿って配されており、凸部と裏当テープ片とは高周波を用いて強固に溶着されている。

0046

このような凸部が配されていることにより、例えばスライダーを止具に当接する位置に摺動させて左右のエレメント列を噛合させたときに、スライダーと凸部及び気密防水性テープとしっかりと密接させることができるため、防水性ファスナー閉鎖したときの気密性及び防水性をより高めることができる。

図面の簡単な説明

0047

図1は、本発明の実施例に係る気密防水用スライドファスナーがファスナー被着製品に取着された状態を示す平面図である。
図2は、同気密防水用スライドファスナーの第1止具(下止具)を拡大して示す平面図である。
図3は、第1止具の斜視図である。
図4は、第1止具の射出成形体を示す斜視図である。
図5は、第1止具の射出成形体に高周波溶着を施すときに用いる金型(下型)を示す斜視図である。
図6は、第1止具の射出成形体が金型に収容された状態を示す模式図である。
図7は、図6に示したVII−VII線における断面図である。
図8は、第1止具の射出成形体のヒレ部を押圧して高周波溶着を行う様子を示す断面図である。
図9は、同気密防水用スライドファスナーの第2止具(上止具)を拡大して示す斜視図である。
図10は、第2止具の近傍に配される突条部を示す断面図である。
図11は、第2止具の射出成形体を示す斜視図である。
図12は、変形例に係る第1止具を拡大して示す斜視図である。
図13は、変形例に係る第1止具の射出成形体を示す斜視図である。
図14は、従来の気密防水用スライドファスナーを示す斜視図である。
図15は、従来の別の気密防水用スライドファスナーを示す斜視図である。

0048

以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。

0049

図1は、本実施例1に係る気密防水用スライドファスナー(以下、単に「防水性ファスナー」という)がファスナー被着製品に取着された状態を示す平面図である。また、図2は、防水性ファスナーに配された第1止具の平面図であり、図3は、第1止具の斜視図である。更に、図9は、防水性ファスナーに配された第2止具の斜視図であり、図10は、第2止具の近傍に配された突条部を示す断面図である。

0050

なお、以下の説明において、気密防水性テープのテープ長さ方向を前後方向と規定し、特に本実施例1において、左右のファスナーエレメントを噛合させるようにスライダーを摺動させる方向を前方とし、左右のファスナーエレメントを分離させるようにスライダーを摺動させる方向を後方とする。

0051

また、気密防水性テープのテープ幅方向を左右方向と規定し、特に、図1のような防水性ファスナーの平面視における左側を左方とし、右側を右方とする。更に、気密防水性テープのテープ表裏方向を上下方向と規定し、気密防水性テープのテープ面に対してスライダーの引手が配される側を上方とし、その反対側を下方とする。

0052

本実施例1に係る防水性ファスナー1は、図1に示すように、ファスナー被着製品5の開口部5aに取り付けられており、防水性ファスナー1を閉鎖したときに、気体液体が防水性ファスナー1を介してファスナー被着製品(例えば、可撓性容器など)5の外側から内側に(又は、内側から外側に)漏れないような気密性及び防水性を備えている。この場合、防水性ファスナー1は、後述する左右の気密防水性テープ11の上面(表面)が、ファスナー被着製品5における開口部5aの周縁の裏面側に高周波により溶着されることによって、ファスナー被着製品5に取着されている。

0053

このような本実施例1の防水性ファスナー1は、左右一対の気密防水性テープ11の対向するテープ側縁部11aにエレメント列12が配された左右の第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bと、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの前端部及び後端部に固着された裏当テープ片20と、エレメント列12の後端側に配された第1止具30(下止具と呼ばれることもある)と、エレメント列12の前端側に配された第2止具40(上止具と呼ばれることもある)と、エレメント列12に沿って摺動可能に配されたスライダー50とを有している。

0054

本実施例1における第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bは、それぞれ、気密防水性テープ11と、同気密防水性テープ11のテープ側縁部11aに取着された複数のファスナーエレメント13とを備えている。

0055

左右の各気密防水性テープ11は、織成又は編成されたファスナーテープのテープ上面及びテープ下面に、ポリウレタン系又は塩化ビニル系の熱可塑性エラストマーからなる気密防水層が積層されて構成されている。このように気密防水層が熱可塑性エラストマーからなることにより、気密防水性テープをテープ表裏方向やテープ幅方向に折り曲げることが可能であるため、気密防水用スライドファスナーを容易に取り扱うことができる。

0056

この場合、気密防水性テープ11は、ファスナーテープのテープ上下面に熱可塑性エラストマー製のフィルムを重ね合わせた状態で、そのファスナーテープ及びフィルムを加熱された一対のローラ間に供給し、上下のフィルムをファスナーテープに被着させることによって形成されている。

0057

なお、本発明では、ファスナーテープの一方のテープ面(例えばテープ上面)のみに気密防水層を設けて気密防水性テープを構成することも可能であり、また、熱可塑性エラストマーをシート状に押出成形することによって、エラストマーのみからなる気密防水性テープを構成することも可能である。

0058

ファスナーエレメント13は、図9などに示されているように、気密防水性テープ11の略Ω字状に屈曲させたテープ側縁部11aに取着されている。また、複数のファスナーエレメント13がテープ側縁部11aに長手方向に沿って一定間隔ごとに取着されることによって、エレメント列12が構成されている。このファスナーエレメント13は、前記特許文献1及び特許文献2に記載されている防水性ファスナーのファスナーエレメントと実質的に同様に構成されている。

0059

具体的に説明すると、各ファスナーエレメント13は、図7図10に示したように、金属製の噛合素子14と、金属製のクランプ素子15とにより構成されている。この場合、噛合素子14は、矩形柱部14aと、矩形柱部14aの先端に配された鏃状の噛合頭部14bと、矩形柱部14aの基端に配されたフランジ部14cとを有している。

0060

一方、クランプ素子15は、U字状に屈曲した屈曲板片から構成されており、一端の対峙間隔を他端の対峙間隔よりも広くなるように傾斜させた上下一対板状挟持片15aと、板状挟持片15aの他端側を連結する連結部15bと、板状挟持片15aの一端部から対峙方向に突出するリップ部(突起部)15cとを有している。更に、リップ部15cを含めたクランプ素子15の屈曲内面には、その屈曲方向に直線的に延びる図示しない複数の凹溝が形成されている。

0061

このような噛合素子14とクランプ素子15とを有するファスナーエレメント13は、気密防水性テープ11のテープ側縁部11aが、噛合素子14のフランジ部14c及び矩形柱部14aを抱え込むと同時に同噛合素子14の噛合頭部14bを外側に露出させるようにΩ状に折り曲げられた状態で、噛合素子14を抱え込んでいるテープ部分にクランプ素子15を被せ、更に、そのクランプ素子15をテープ部分に向けて加締めて強制的に屈曲変形させることにより、気密防水性テープ11のテープ側縁部11aに取り付けられている。なお、本発明におけるファスナーエレメントは、噛合素子及びクランプ素子が一体に形成される場合を含む。

0062

裏当テープ片20は、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの前端縁及び後端縁から前方及び後方に延出するように、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの前端部と後端部のそれぞれに固着されている。各裏当テープ片20は、気密防水性テープ11と同様に、織成又は編成された帯状テープの上面及び下面に、ポリウレタン系又は塩化ビニル系の熱可塑性エラストマーからなる気密防水層が配されて構成されている。

0063

この場合、防水性ファスナー1の後端部側に配される第1裏当テープ片20aの前端部は、左右の気密防水性テープ11に跨って、各気密防水性テープ11のテープ下面(テープ裏面)に固着されており、同第1裏当テープ片20aの前端縁は、図3に示すように、第1止具30よりも前方に位置している。

0064

また、防水性ファスナー1の前端部側に配される第2裏当テープ片20bの後端部は、左右の気密防水性テープ11に跨って、各気密防水性テープ11のテープ下面に固着されている。この第2裏当テープ片20bの後端縁は、第2止具40よりも後方に位置しており、第2裏当テープ片20bにおける第2止具40よりも後方側のテープ上面には、断面が三角形状の後述する凸部45が、左右の気密防水性テープ11に挟まれるようにして配されている。

0065

この場合、第1及び第2裏当テープ片20a,20bと気密防水性テープ11との固着手段は特に限定されるものではないが、本実施例1において、第1及び第2裏当テープ片20a,20bと気密防水性テープ11とは、高周波を用いて溶着されている。

0066

本実施例1の第1止具30は、図2及び図3に示すように、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの気密防水性テープ11の後端部と、後端側に配された第1裏当テープ片20aとに跨って固着されている。

0067

また、第1止具30は、熱可塑性エラストマーを用いて構成されている。特に、この第1止具30は、例えば気密防水性テープ11及び裏当テープ片20の気密防水層がポリウレタン系の熱可塑性エラストマーにより構成されている場合には、気密防水層と同様のポリウレタン系の熱可塑性エラストマーを用いて構成されていることが好ましい。

0068

また、第1止具30は、エレメント列12の噛合状態にある後端部を埋設している略直方体状の胴体部31と、胴体部31の下端から同胴体部31を囲むように前後方向及び左右方向に延出した高周波溶着部32とを有している。

0069

高周波溶着部32は、第1止具30を上面側から見たときに、直方体状の胴体部31から外側に延出する部分により構成されている。この高周波溶着部32は、後述するように、第1止具30の射出成形体(第1止具成形体)30aが有するヒレ部32aを押圧しながら高周波を印加し、当該ヒレ部32aを潰して気密防水性テープ11及び裏当テープ片20に溶着させることによって、薄膜状に薄く形成されている(図4及び図6図8を参照)。

0070

すなわち、この高周波溶着部32は、高周波が印加されて第1止具30を構成する分子が振動することにより生じる発熱を利用して、気密防水性テープ11及び裏当テープ片20に強固に溶着されている。このため、本実施例1における第1止具30の気密防水性テープ11及び裏当テープ片20に対する固着強度は、例えば前記特許文献1や特許文献2のように射出成形時の熱のみを利用して固着された従来の止具に比べて大幅に増大している。

0071

また、第1止具30の高周波溶着部32は、胴体部31から延びるエレメント列12を避けるようにして、胴体部31における左右側面部及び後方側面部と、胴体部31における前方側面部の左右両端部とから外側に向けて延出している。高周波溶着部32がこのような形状を有する理由は、図4に示した第1止具成形体30aのヒレ部32aを溶着して高周波溶着部32を形成する際に、金型によってヒレ部32aを押圧すると同時に、同金型がエレメント列12と干渉することを回避する必要があるためである。

0072

更に、この高周波溶着部32は、気密防水性テープ11及び裏当テープ片20のテープ上面から高周波溶着部32の上面までのテープ表裏方向の寸法(即ち、高周波溶着部32の厚さ)が0.1mm以下となるように、好ましくは0.05mm以下となるように構成されている。

0073

例えば、前記特許文献1や特許文献2に記載されている従来の防水性ファスナーにおける第1止具(下止具)は、射出成形のみによって形成されている。この場合、射出成形時における溶融樹脂流動抵抗や冷却などの問題から、射出成形体にて0.5mm以下、特に0.1mm以下の厚さの成形部分を設けることは極めて難しい。このため、従来の止具におけるヒレ部は、前述の背景技術の欄にて説明したように、1.2mm以上の厚さを有するように厚く形成されていた。

0074

これに対して、本実施例1の第1止具30における高周波溶着部32は、上述のように、従来の止具では実現できなかった0.1mm以下の厚さを有しており、高周波溶着部32の上面が、気密防水性テープ11及び裏当テープ片20のテープ上面に対して平坦に配されている。

0075

これにより、高周波溶着部32の領域と、高周波溶着部32の周辺のテープ領域との間において、折り曲げに対する強さ(硬さ)の差を極めて小さくでき、例えば本実施例1の防水性ファスナー1を第1止具30の周辺部にて折り曲げたときに、第1止具30の高周波溶着部32を、気密防水性テープ11及び裏当テープ片20に追随させるように容易に折り曲げることができる。

0076

ここで、高周波溶着部32の厚さは、例えば以下のような方法により測定される。
先ず、高周波溶着部32における胴体部31側の基端部と外側の先端部との略中間位置にて、高周波溶着部32の上面(表面)から気密防水性テープ11又は裏当テープ片20の下面(裏面)までの全体の厚さ(以下、この厚さを全体厚さAとする)を測定する。この場合、全体厚さAは、高周波溶着部32の略中間位置における厚さではなく、例えば高周波溶着部32における外側先端部から胴体部31に向けて所定の距離(例えば1mm)だけ内側に入った位置における厚さとすることも可能である。

0077

次に、高周波溶着部32の外側領域にて気密防水性テープ11又は裏当テープ片20の上面から下面までの全体の厚さ(以下、この厚さを全体厚さBとする)を測定する。その後、前述の全体厚さAと全体厚さBとの差を計算することにより、高周波溶着部32の厚さが求められる。

0078

本実施例1における第2止具40は、図9及び図11に示すように、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの気密防水性テープ11の前端部と、前端側に配された第2裏当テープ片20bとに跨って固着されている。また、第2止具40は、第1止具30と同様に、熱可塑性エラストマーを用いて構成されており、特に、ポリウレタン系の熱可塑性エラストマーを用いて構成されていることが好ましい。

0079

この第2止具40は、エレメント列12の分離状態にある前端部を埋設している略直方体状の胴体部41と、胴体部41の下端から同胴体部41を囲むように前後方向及び左右方向に延出した高周波溶着部42とを有している。高周波溶着部42は、後述するように、第2止具40の射出成形体(第2止具成形体)40aが有するヒレ部42aを押圧しながら高周波を印加して気密防水性テープ11及び裏当テープ片20に溶着させることによって形成されており、第2止具40を上面側から見たときに、直方体状の胴体部41から外側に延出する部分により構成されている。

0080

このような高周波溶着部42を有する第2止具40の固着強度は、第1止具30の場合と同様に、射出成形時の熱のみを利用して固着された従来の止具に比べて大幅に増大している。また、第2止具40の高周波溶着部42は、後述するように第2止具40の射出成形体が有するヒレ部42aを高周波溶着する際に金型とエレメント列12とが干渉することを回避するために、胴体部41における左右側面部及び前方側面部と、胴体部41における後方側面部の左右両端部とから外側に向けて延出している。

0081

更に、第2止具40における高周波溶着部42の厚さは、第1止具30の高周波溶着部32と同様に、0.1mm以下となるように、好ましくは0.05mm以下となるように設定されており、高周波溶着部42の上面が、気密防水性テープ11及び裏当テープ片20のテープ上面に対して平坦に構成されている。これにより、気密防水用スライドファスナーを第2止具40の周辺部にて折り曲げたときに、第2止具40の高周波溶着部42を、気密防水性テープ11及び裏当テープ片20に追随させるように容易に折り曲げることができる。

0082

本実施例1において、防水性ファスナー1の前端部に配された第2裏当テープ片20bの上面には、図10に示すような三角形状の断面を有する凸部45が、左右の気密防水性テープ11に挟まれるようにして設けられている。この凸部45は、スライダー50を第2止具40に当接させたときに、同スライダー50の後述する底面部(下面部)から垂設された逆V字状の突片部間に嵌入するように構成されている。

0083

例えばスライダー50を第2止具40に当接する位置まで摺動させて防水性ファスナー1を閉鎖したときに、上述のような凸部45が配されていることにより、スライダー50に配された逆V字状の突片部と、三角形状の凸部45及び左右の気密防水性テープ11とが互いに密接させることができるため、防水性ファスナー1の閉鎖時における気密性及び防水性をより高めることができる。

0084

より詳しく説明すると、例えばスライダー50を第2止具40に当接する位置に摺動させて左右のエレメント列12を噛合させた場合、左右のエレメント列12間は噛合により強固に密接しているものの、スライダー50は第2止具40に当接しているだけであるため、スライダー50と第2止具40との間にて強固な密接状態を得ることは難しい。このため、本実施例1のような凸部45が配されていない防水性ファスナーを過酷な状況下で使用した場合に、スライダーと第2止具との間を介して気体や液体が進入する虞があり、高い気密性や防水性を実現できない可能性がある。

0085

このような気密性や防水性の問題に関して、本実施例1における防水性ファスナー1では、前述のような三角形状の凸部45が配されていることにより、スライダー50が第2止具40に当接したときに、三角形状の凸部45がスライダー50に配された逆V字状の突片部間に嵌入し、スライダー50に配された逆V字状の突片部と、三角形状の凸部45及び左右の気密防水性テープ11(特に、気密防水性テープ11の略90°に起立するように折り曲げたテープ側縁部11a)とを容易に密接させることができる。

0086

これにより、スライダー50と第2止具40との間から気体又は液体が進入した場合であっても、スライダー50の底面部と、三角形状の凸部45及び気密防水性テープ11との間の密接部分にて、その進入した気体又は液体を塞き止めて、気体又は液体の漏れを防止できる。このため、防水性ファスナー1の高い気密性や防水性を安定して得ることができる。

0087

本実施例1において、三角形状の凸部45は、第2止具40と同じ材質で構成されており、防水性ファスナー1の前後方向(長さ方向)に沿って所定の長さで配されている。この三角形状の凸部45は、第2止具40のスライダー50が当接する後方側面に連結して配されていても良いし、又は、第2止具40の後方側面から所定の距離だけ離間して配されていても良い。

0088

このような三角形状の凸部45は、第2裏当テープ片20b上に所定の大きさを有する凸部45の成形体を射出成形した後に、その凸部成形体を第2裏当テープ片20bに向けて押圧しながら同凸部成形体の下端部に高周波を印加することによって、第2裏当テープ片20bに溶着されている。このため、三角形状の凸部45は、第2裏当テープ片20bに高い固着強度で固着されている。

0089

本実施例1の防水性ファスナー1に使用されるスライダー50は、スライダー胴体51と、スライダー胴体51に回動可能に保持される引手52とを備えている。スライダー胴体51は、六角形状の上面部と、上面部の左右側縁部から垂設されたL字状の断面を有する左右のフランジ部と、上面部の前端側における左右方向の中央部から下方に垂設された案内柱と、案内柱の下端にて外側に向けて張り出した底面部(下面部)と、底面部から逆V字状に斜め下方に突出した2つの突片部と、左右のフランジ部の外側面から左右方向(テープ幅方向)に突設された引手保持部51aとを備えている。

0090

この場合、逆V字状の突片部は、前後方向(テープ長さ方向)に沿って配されており、2つの突片部間には、三角形状の凸部45を嵌入して密接させることが可能な三角形状の間隙が設けられている。

0091

また、スライダー胴体51の前端には、案内柱を間に挟んで左右の肩口が形成されているとともに、スライダー胴体51の後端には後口が形成されている。スライダー胴体51の内部には、左右の肩口と後口とを連通する略Y字形状エレメント案内路が形成されており、スライダー50を摺動させてエレメント案内路内に左右のエレメント列12を通過させることにより、左右のエレメント列12を噛合・分離させることができる。

0092

本発明において、スライダー50の材質は特に限定されるものではなく、例えばスライダー胴体51を、ポリアミドポリプロピレンポリアセタール等の合成樹脂、又は、アルミニウム合金及び亜鉛合金などの金属を用いて構成することが可能である。

0093

次に、本実施例1の防水性ファスナー1を製造する方法について説明する。
先ず、気密防水性テープ11と裏当テープ片20とを別々に形成する。例えば、ファスナーテープを織成又は編成し、その得られたファスナーテープの上下両面に、ポリウレタン系又は塩化ビニル系の熱可塑性エラストマーからなるフィルムを重ね合わせた状態で、同ファスナーテープを一対の加熱ローラ間に供給し、上下のフィルムをファスナーテープに溶着させる。これにより、テープ上面及びテープ下面に気密防水層を備えた気密防水性テープ11と裏当テープ片20とがそれぞれ得られる。

0094

次に、左右一対の気密防水性テープ11のテープ側縁部11aに複数のファスナーエレメント13を取り付けて第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bを構成する。気密防水性テープ11にファスナーエレメント13を取り付けるためには、先ず、気密防水性テープ11のテープ側縁部11aをテープ主体部に対して立ち上げるようにしてテープ長さ方向に沿って折り曲げる。

0095

続いて、気密防水性テープ11のテープ側縁部11aをΩ状に折り曲げ、更に、そのΩ状に折り曲げられたテープ側縁部11aにファスナーエレメント13の噛合素子14を供給し、テープ側縁部11aで噛合素子14のフランジ部14c及び矩形柱部14aを抱持する。このとき、噛合素子14は、同噛合素子14の噛合頭部14bを、Ω状に折り曲げられたテープ側縁部11aから外側に露出させた状態でテープ側縁部11aに抱持される。

0096

その後、噛合素子14のフランジ部14c及び矩形柱部14aを抱え込んでいるテープ部分にクランプ素子15を被せ、更に、同クランプ素子15をテープ部分に向けて加締めることにより強制的に屈曲変形させる。これにより、ファスナーエレメント13が、噛合素子14の噛合頭部14bを外側に突出させた状態で、気密防水性テープ11のテープ側縁部11aに植え付けられる。このようにして複数のファスナーエレメント13を気密防水性テープ11のテープ側縁部11aに順次取り付けてエレメント列12を形成することにより、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bが構成される。

0097

次に、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bの後端部と前端部とに、裏当テープ片20を左右の気密防水性テープ11に跨るようにして固着する。このとき、裏当テープ片20と気密防水性テープ11との固着には、高周波溶着が利用される。

0098

具体的には、左右の気密防水性テープ11の下面(裏面)と裏当テープ片20の上面(表面)とを重ね合わせた後、両者を密接する方向に押圧しながら裏当テープ片20と気密防水性テープ11の境界部に高周波を印加する。これにより、裏当テープ片20と気密防水性テープ11とが強固に溶着される。

0099

第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bに裏当テープ片20を溶着した後、第1止具30をエレメント列12の後端部を埋設するようにして形成する。
この第1止具30を形成する場合、先ず、熱可塑性エラストマーを用いて、図4に示すような第1止具成形体30aを、気密防水性テープ11の後端部上面と第1裏当テープ片20aの上面とに跨るようにして射出成形する。この第1止具成形体30aは、エレメント列12の後端部を埋設する略直方体状の成形体胴体部31aと、成形体胴体部31aの下端部から外側に延出したヒレ部32aとを有している。

0100

この場合、エレメント列12の後端部は、左右のエレメント列12が噛合されている状態で第1止具成形体30aの成形体胴体部31a内に埋設される。また、第1止具成形体30aのヒレ部32aは、0.7mmの厚さをもって、成形体胴体部31aの周縁部を囲むように、胴体部31における左右側面部及び後方側面部と、エレメント列12を避けて成形体胴体部31aにおける前方側面部の左右両端部とから外側に延出されており、そのヒレ部32aは連続して形成されている。

0101

第1止具成形体30aの成形後、図5に示すような第1金型35と、平板状の第2金型36とを用意する。この場合、第1金型35の上面には、第1止具成形体30aの成形体胴体部31aを収容する第1収容孔部35aと、噛合状態にあるエレメント列12を収容する第2収容孔部35bとが設けられている。

0102

この用意した第1金型35の第1及び第2収容孔部35a,35bに、図6及び図7に示したように、第1止具成形体30aの胴体部31及びエレメント列12をそれぞれ収容するように、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bを上下方向に反転させた向きで第1金型35に載置し、更に、第1金型35に載置した第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10b上に、平板状の第2金型36を重ね合わせる。

0103

そして、図8に示すように、第2金型36を第1金型35に向けて加圧して第1止具成形体30aのヒレ部32aを気密防水性テープ11及び第1裏当テープ片20aに向けて押圧しながら、第1止具成形体30aのヒレ部32aと気密防水性テープ11及び第1裏当テープ片20aとの境界部分に高周波を印加することによって高周波溶着を行う。

0104

このとき、第1止具成形体30aのヒレ部32aは、テープ表裏方向に潰されながら、気密防水性テープ11の気密防水層と第1裏当テープ片20aの気密防水層とに溶着する。これによって、厚さが上述のように0.1mm以下と極めて薄い高周波溶着部32を有する本実施例1の第1止具30が形成される。またこの場合、第1止具30における胴体部31の高周波溶着部32に近接する領域も、高周波が印加されるため、気密防水性テープ11及び第1裏当テープ片20aに溶着されることがある。

0105

このように高周波溶着を利用することによって、例えば第1止具30と気密防水性テープ11及び第1裏当テープ片20aとの間に接着剤による接着層を形成しなくても、第1止具30を気密防水性テープ11及び第1裏当テープ片20aに短時間で強固に溶着できる。特にこの場合、高周波溶着部32の先端部分を含む全体領域を、気密防水性テープ11及び第1裏当テープ片20aに確実に溶着できる。

0106

このため、本実施例1における第1止具30の気密防水性テープ11及び第1裏当テープ片20aに対する固着強度は、例えば前記特許文献1や特許文献2に記載されている止具に比べて著しく高められている。また、第1止具30の形成に要する時間は、接着剤を塗布した上に止具を形成する場合に比べて大幅に短縮される。

0107

更に、第1止具30の高周波溶着部32は、例えば接着層のように経時的に劣化することもないため、高い固着強度を長期に渡って安定して維持することができる。その上、第1止具30では、高周波溶着部32の上面と気密防水性テープ11の上面とが互いに平坦に形成されるとともに、高周波溶着部32の上面と第1裏当テープ片20aの上面とも互いに平坦に形成されるため、防水性ファスナー1の外観品質や手触り感も向上する。

0108

なお、第1止具30の溶着、及び後述する第2止具40の溶着を行う場合、高周波溶着の代わりに、超音波溶着を利用することも考えられる。しかし、超音波溶着は、超音波振動被加熱物に伝えて摩擦熱を発生させて溶着を行うものである。このため、上述のように、気密防水性テープ11及び第1裏当テープ片20aの各気密防水層や、第1及び第2止具30,40が熱可塑性エラストマーにより構成されている場合には、熱可塑性エラストマー内で超音波振動の振動エネルギー減衰され、溶着に必要な摩擦熱を十分に発生させられないことがある。従って、本発明では、高周波(電磁波)エネルギーで分子を振動させる高周波溶着を利用して、第1及び第2止具30,40が溶着されている。

0109

上述のようにして第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bに第1止具30を形成した後、左右のエレメント列12にスライダー50を摺動可能に取り付ける。その後、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bに、第2止具40をエレメント列12の前端部を埋設するようにして形成するとともに、第2裏当テープ片20bに三角形状の凸部45を形成する。

0110

この場合、第2止具40の形成は、上述した第1止具30の形成と同様に行うことができる。また、三角形状の凸部45は、第2止具40の形成と同時に形成される。
すなわち、先ず、図11に示すような第2止具成形体40aを、熱可塑性エラストマーを用いて、気密防水性テープ11の前端部上面と第2裏当テープ片20bの上面とに跨るように射出成形する。この第2止具成形体40aは、エレメント列12の前端部を埋設する略直方体状の成形体胴体部41aと、成形体胴体部41aの下端部から同成形体胴体部41aを囲むように外側に延出したヒレ部42aとを有している。

0111

この場合、エレメント列12の前端部は分離している状態にて第2止具成形体40aの成形体胴体部41a内に埋設される。また、第2止具成形体40aのヒレ部42aは、成形体胴体部41aにおける左右側面部及び後方側面部と、前方側面部の左右両端部とから外側に延出されている。

0112

また、この第2止具成形体40aを射出成形すると同時に、凸部45の図示しない凸部成形体を、第2止具成形体40aと同じ材料を用いて第2裏当テープ片20b上に射出成形する。この場合、凸部成形体は、断面が三角形状の凸部本体部と、凸部本体部と第2裏当テープ片20bとの間に配される基端部とを有している。

0113

これらの第2止具成形体40a及び凸部成形体を成形した後、所定の形状の収容孔部を有する金型に、第1及び第2ファスナーストリンガー10a,10bを上下方向に反転させた向きで載置する。このとき、第2止具成形体40aの成形体胴体部41aと凸部成形体の凸部本体部とを、金型の収容孔部にそれぞれ収容する。

0114

そして、第2止具成形体40aのヒレ部32a及び凸部成形体の基端部を押圧しながら高周波を印加して高周波溶着を行う。これによって、上述のように0.1mm以下の厚さを有する高周波溶着部42が胴体部41の周縁部に配された本実施例1の第2止具40と、三角形状の断面を有する凸部45とが形成される。

0115

このように高周波溶着を利用して第2止具40を形成することによって、第1止具30の場合と同様に、第2止具40を気密防水性テープ11及び第2裏当テープ片20bに短時間で強固に溶着できる上に、高周波溶着部42の先端部分を含む全体領域を確実に溶着できる。また、三角形状の凸部45も、第2裏当テープ片20b上に短時間で強固に溶着できる。

0116

なお、本発明において、第1止具30、第2止具40、及び三角形状の凸部45を形成する順番は特に限定されず、例えば第2止具40及び凸部45を形成した後に、第1止具30を形成しても良く、また、第1止具30、第2止具40、及び凸部45を同時に形成しても良い。また、左右のエレメント列12にスライダー50を取り付ける時期及び手段も特に限定されない。

0117

以上のような方法を用いることにより、図1に示したような本実施例1の防水性ファスナー1が製造される。このようにして得られた防水性ファスナー1では、第1及び第2止具30,40が、高周波溶着を利用して、気密防水性テープ11及び第2裏当テープ片20bに極めて強固に溶着一体化されている。

0118

しかも、第1及び第2止具30,40の高周波溶着部32,42は、その先端部分まで高い固着強度で確実に溶着されているとともに、0.1mm以下の極めて薄い厚さで構成されている。このため、防水性ファスナー1を第1及び第2止具30,40の周辺部にて折り曲げたときに、第1及び第2止具30,40の高周波溶着部32,42を気密防水性テープ11に従って容易に折り曲げることができる。

0119

従って、本実施例1の防水性ファスナー1では、第1及び第2止具30,40(特に、第1及び第2止具30,40の高周波溶着部32,42)が剥離することを効果的に防止でき、防水性ファスナー1が有する気密性や防水性を長期に渡って安定して維持することができる。

0120

なお、本発明において、第1及び第2止具30,40の高周波溶着部32,42の大きさ(延出長さ)は特に限定されず、任意に設定することができる。例えば図12に変形例を示したように、第1止具60を、直方体状の胴体部61と、幅の広い(延出長さの長い)高周波溶着部62とを有するように形成することも可能である。

実施例

0121

このような変形例に係る第1止具60を形成する場合、前述の実施例1と同様に、先ず、熱可塑性エラストマーを用いて、図13に示すような成形体胴体部61aと延出長さの大きなヒレ部62aとを有する第1止具成形体60aを、気密防水性テープ11と第1裏当テープ片20aとに跨るように射出成形する。その後、第1止具成形体60aのヒレ部62aを押圧しながら高周波を印加して高周波溶着を行う。これにより、延出長さが長い高周波溶着部62を有する第1止具60を気密防水性テープ11及び第2裏当テープ片20bに強固に溶着一体化させることができる。

0122

1気密防水用スライドファスナー(防水性ファスナー)
5ファスナー被着製品
5a 開口部
10a 第1ファスナーストリンガー
10b 第2ファスナーストリンガー
11気密防水性テープ
11aテープ側縁部
12エレメント列
13ファスナーエレメント
14噛合素子
14a矩形柱部
14b 噛合頭部
14cフランジ部
15クランプ素子
15a挟持片
15b 連結部
15cリップ部(突起部)
20裏当テープ片
20a 第1裏当テープ片
20b 第2裏当テープ片
30 第1止具
30a 第1止具成形体(射出成形体)
31胴体部
31a 成形体胴体部
32高周波溶着部
32aヒレ部
35 第1金型
35a 第1収容孔部
35b 第2収容孔部
36 第2金型
40 第2止具
40a 第2止具成形体(射出成形体)
41 胴体部
41a 成形体胴体部
42 高周波溶着部
42a ヒレ部
45 凸部
50スライダー
51スライダー胴体
51a引手保持部
52 引手
60 第1止具
60a 第1止具成形体
61 胴体部
61a 成形体胴体部
62 高周波溶着部
62a ヒレ部

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