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技術 固体高分子形燃料電池用補強材及びそれに用いる粘接着組成物

出願人 大日本印刷株式会社
発明者 坂元宏年谷口貴久宇高公淳浅井秀紀小谷和史芳片邦聡
出願日 2012年4月10日 (8年8ヶ月経過) 出願番号 2013-509924
公開日 2014年7月28日 (6年5ヶ月経過) 公開番号 WO2012-141167
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 接着剤、接着方法 接着テープ 燃料電池(本体)
主要キーワード 酸化物積層 乾式塗布 各補強材 フッ素系アニオン 補強膜 導電性板 ニューマイド 金属積層
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図面 (12)

課題・解決手段

本発明の目的は、電解質膜触媒層ガス拡散層等の被着体に対する初期接着力が適度であって、仮止め容易な粘接着層付き補強材を提供することである。基材上に粘接着層を形成した補強材において、前記粘接着層に脂肪族ポリアミドと、エポキシ樹脂と、ポリチオールを含有する補強材を使用することで、被着体に対し、補強材を接着させた後も被着材位置修正が可能であり、貼り合せ時に発生した被着体等のしわを除去できるため、高度な技術を使用しなくとも容易に補強材付き触媒層−電解質膜積層体等を製造することができる。

概要

背景

燃料電池は、電解質膜の両面に電極が配置され、水素酸素電気化学反応により発電し、発電時に水のみが副生する。このように、一般的な内燃機関と異なり、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないために次世代のクリーンエネルギーシステムとして普及が見込まれている。とりわけ、固体高分子形燃料電池は、電解質膜に高分子材料を用いた燃料電池であり、作動温度が低く、家庭用コージェネレーションシステム等として早期の実用化が見込まれている。固体高分子形燃料電池の基本構造は、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に、触媒層接合した触媒層−電解質膜積層体(CCM)や、更にこの触媒層−電解質膜の各触媒層上にガス拡散層を積層した膜−電極接合体MEA)を備え、このMEAにガスケット及びセパレータが設置されている。

また、近年、固体高分子形燃料電池は高出力化するために電解質膜を薄膜化する傾向がある。この結果、電解質膜が破れ易くなり、燃料電池の耐久性が低下する一因となっている。この問題を抑制する手法として、触媒層−電解質膜又は膜‐電極接合体に枠状の補強材接着させることによって、電解質膜を補強する技術が提案されている(特許文献1)。

このような補強材付き触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体において、補強材と触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体中の電解質膜や触媒層、ガス拡散層との接着は、各被着体と補強材との間に接着剤(接着層)を介在させることにより行われている。しかしながら、従来の接着剤では、例えば、電解質膜に補強材を貼り合わせる際の作業性が悪く、生産性の低下を招いていた。具体的には、接着剤の接着力が強すぎるために、一度補強材を電解質膜に接触させた後は補強材の位置修正が困難であり、貼り合わせ時に発生した電解質膜のしわ等を取り除くことができなかった。また、逆に接着剤の初期接着力が弱過ぎるために、補強材を電解質膜に圧着する際に補強膜位置ずれする等の問題があった。

そのため、補強材付き触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体を製造するにあたり、電解質膜や触媒層、ガス拡散層等の被着体に対し、仮止めできるような補強材(適度な初期接着力で補強材を接着させることのできる補強材)及びそれに用いる接着剤の開発が求められていた。

概要

本発明の目的は、電解質膜、触媒層、ガス拡散層等の被着体に対する初期接着力が適度であって、仮止め容易な粘接着層付き補強材を提供することである。基材上に粘接着層を形成した補強材において、前記粘接着層に脂肪族ポリアミドと、エポキシ樹脂と、ポリチオールを含有する補強材を使用することで、被着体に対し、補強材を接着させた後も被着材の位置修正が可能であり、貼り合せ時に発生した被着体等のしわを除去できるため、高度な技術を使用しなくとも容易に補強材付き触媒層−電解質膜積層体等を製造することができる。

目的

本発明の目的は、電解質膜、触媒層、ガス拡散層等の被着体に対する初期接着力が適度であって、仮止め容易な粘接着層付き補強材、及び当該補強材を利用した触媒層−電解質膜積層体、膜−電極接合体、及び固体高分子形燃料電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

基材上に粘接着層が積層された補強材であって、粘接着層が、脂肪族ポリアミドと、エポキシ樹脂と、ポリチオールとを含有していることを特徴とする、補強材。

請求項2

前記ポリチオールが常温固体状である、請求項1に記載の補強材。

請求項3

前記粘接着層が、更にイオン性液体を含有する、請求項1に記載の補強材。

請求項4

前記粘接着層におけるイオン性液体の含有量が、0.01〜10質量%である、請求項3に記載の補強材。

請求項5

電解質膜外周縁部を除いた両面に触媒層が形成された触媒層−電解質膜積層体と、請求項1〜4のいずれかに記載の補強材とを備え、前記補強材が開口部を有する枠状であり、前記触媒層−電解質膜積層体の少なくとも一方面の外周縁部上に、前記補強材がその粘接着層を介して接着されている、ことを特徴とする、補強材付き触媒層−電解質膜積層体。

請求項6

下記工程を含む、補強材付き触媒層−電解質膜積層体の製造方法:(i)開口部を有する枠状の請求項1〜4のいずれかに記載の補強材を、電解質膜の外周縁部に当該補強材の粘接着層を介して接着させて、補強材付き電解質膜を得る工程、及び(ii)補強材付き電解質膜において前記開口部から露出している電解質膜に触媒層を積層させて、補強材付き触媒層−電解質膜積層体を得る工程。

請求項7

電解質膜の両面に触媒層及びガス拡散層が順次積層された膜−電極接合体と、請求項1〜4のいずれかに記載の補強材とを備え、前記補強材が開口部を有する枠状であり、前記膜−電極接合体の少なくとも一方面の外周縁部上に、前記補強材がその粘接着層を介して接着されている、ことを特徴とする、補強材付き膜−電極接合体。

請求項8

下記工程を含む、補強材付き膜−電極接合体の製造方法:(i)開口部を有する枠状の請求項1〜4のいずれかに記載の補強材を、電解質膜の外周縁部に当該補強材の粘接着層を介して接着させて、補強材付き電解質膜を得る工程、及び(ii)補強材付き電解質膜において前記開口部から露出している電解質膜に、触媒層及びガス拡散層を順次積層、又は触媒層及びガス拡散層からなる2層構造体を積層させて、補強材付き膜−電極接合体を得る工程。

請求項9

請求項7に記載の補強材付き膜−電極接合体を含む、固体高分子形燃料電池

請求項10

エポキシ樹脂と、脂肪族ポリアミドと、ポリチオールとを含有することを特徴とする、粘接着組成物

請求項11

前記ポリチオールが常温で固体状である、請求項10に記載の粘接着組成物。

請求項12

更に、イオン性液体を含有する、請求項10に記載の粘接着組成物。

請求項13

イオン性液体の含有量が、0.01〜10質量%である、請求項12に記載の粘接着組成物。

請求項14

固体高分子形燃料電池に用いられる電解質膜の接着に使用される、請求項10に記載の粘接着組成物。

請求項15

請求項10〜14のいずれかに記載の粘接着組成物からなる粘接着層が、剥離可能な保護フィルムに形成されている粘接着シート

技術分野

0001

本発明は、固体高分子形燃料電池における触媒層電解質膜積層体や膜−電極接合体等に使用される補強材に関する。また、本発明は、補強材を利用した触媒層−電解質膜積層体、膜−電極接合体、及び固体高分子形燃料電池に関する。更に、本発明は、電解質膜基材接着に好適に使用される粘接着組成物、及び当該粘接着組成物を含む粘接着シートに関する。

背景技術

0002

燃料電池は、電解質膜の両面に電極が配置され、水素酸素電気化学反応により発電し、発電時に水のみが副生する。このように、一般的な内燃機関と異なり、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないために次世代のクリーンエネルギーシステムとして普及が見込まれている。とりわけ、固体高分子形燃料電池は、電解質膜に高分子材料を用いた燃料電池であり、作動温度が低く、家庭用コージェネレーションシステム等として早期の実用化が見込まれている。固体高分子形燃料電池の基本構造は、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に、触媒層を接合した触媒層−電解質膜積層体(CCM)や、更にこの触媒層−電解質膜の各触媒層上にガス拡散層を積層した膜−電極接合体(MEA)を備え、このMEAにガスケット及びセパレータが設置されている。

0003

また、近年、固体高分子形燃料電池は高出力化するために電解質膜を薄膜化する傾向がある。この結果、電解質膜が破れ易くなり、燃料電池の耐久性が低下する一因となっている。この問題を抑制する手法として、触媒層−電解質膜又は膜‐電極接合体に枠状の補強材を接着させることによって、電解質膜を補強する技術が提案されている(特許文献1)。

0004

このような補強材付き触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体において、補強材と触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体中の電解質膜や触媒層、ガス拡散層との接着は、各被着体と補強材との間に接着剤(接着層)を介在させることにより行われている。しかしながら、従来の接着剤では、例えば、電解質膜に補強材を貼り合わせる際の作業性が悪く、生産性の低下を招いていた。具体的には、接着剤の接着力が強すぎるために、一度補強材を電解質膜に接触させた後は補強材の位置修正が困難であり、貼り合わせ時に発生した電解質膜のしわ等を取り除くことができなかった。また、逆に接着剤の初期接着力が弱過ぎるために、補強材を電解質膜に圧着する際に補強膜位置ずれする等の問題があった。

0005

そのため、補強材付き触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体を製造するにあたり、電解質膜や触媒層、ガス拡散層等の被着体に対し、仮止めできるような補強材(適度な初期接着力で補強材を接着させることのできる補強材)及びそれに用いる接着剤の開発が求められていた。

先行技術

0006

特開平5−242897号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明の目的は、電解質膜、触媒層、ガス拡散層等の被着体に対する初期接着力が適度であって、仮止め容易な粘接着層付き補強材、及び当該補強材を利用した触媒層−電解質膜積層体、膜−電極接合体、及び固体高分子形燃料電池を提供することである。更に、本発明の他の目的は、当該補強材に用いられる粘接着組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、基材上に粘接着層を形成した補強材において、前記粘接着層に脂肪族ポリアミドと、エポキシ樹脂と、ポリチオールを含有する補強材を使用することで、被着体に対し、補強材を接着させた後も被着材の位置修正が可能であり、貼り合せ時に発生した被着体等のしわを除去できるため、高度な技術を使用しなくとも容易に補強材付き触媒層−電解質膜積層体等を製造することができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。

0009

即ち、本発明は、下記態様の補強材、補強材付き触媒層−電解質膜積層体、補強材付き膜−電極接合体、及び固体高分子形燃料電池に関する。
項1.基材上に粘接着層が積層された補強材であって、粘接着層が、脂肪族ポリアミドと、エポキシ樹脂と、ポリチオールとを含有していることを特徴とする、補強材。
項2. 前記ポリチオールが常温固体状である、項1に記載の補強材。
項3. 前記粘接着層が、更にイオン性液体を含有する、項1に記載の補強材。
項4. 前記粘接着層におけるイオン性液体の含有量が、0.01〜10質量%である、項3に記載の補強材。
項5.電解質膜の外周縁部を除いた両面に触媒層が形成された触媒層−電解質膜積層体と、
項1〜4のいずれかに記載の補強材とを備え、
前記補強材が開口部を有する枠状であり、
前記触媒層−電解質膜積層体の少なくとも一方面の外周縁部上に、前記補強材がその粘接着層を介して接着されている、
ことを特徴とする、補強材付き触媒層−電解質膜積層体。
項6. 下記工程を含む、補強材付き触媒層−電解質膜積層体の製造方法:
(i)開口部を有する枠状の項1〜4のいずれかに記載の補強材を、電解質膜の外周縁部に当該補強材の粘接着層を介して接着させて、補強材付き電解質膜を得る工程、及び
(ii)補強材付き電解質膜において前記開口部から露出している電解質膜に触媒層を積層させて、補強材付き触媒層−電解質膜積層体を得る工程。
項7. 電解質膜の両面に触媒層及びガス拡散層が順次積層された膜−電極接合体と、
項1〜4のいずれかに記載の補強材とを備え、
前記補強材が開口部を有する枠状であり、
前記膜−電極接合体の少なくとも一方面の外周縁部上に、前記補強材がその粘接着層を介して接着されている、
ことを特徴とする、補強材付き膜−電極接合体。
項8. 下記工程を含む、補強材付き膜−電極接合体の製造方法:
(i)開口部を有する枠状の項1〜4のいずれかに記載の補強材を、電解質膜の外周縁部に当該補強材の粘接着層を介して接着させて、補強材付き電解質膜を得る工程、及び
(ii)補強材付き電解質膜において前記開口部から露出している電解質膜に、触媒層及びガス拡散層を順次積層、又は触媒層及びガス拡散層からなる2層構造体を積層させて、補強材付き膜−電極接合体を得る工程。
項9. 項7に記載の補強材付き膜−電極接合体を含む、固体高分子形燃料電池。

0010

また、本発明は、下記態様の粘接着組成物及びその使用、並びに粘接着シートに関する。
項10.エポキシ樹脂と、脂肪族ポリアミドと、ポリチオールとを含有することを特徴とする、粘接着組成物。
項11. 前記ポリチオールが常温で固体状である、項10に記載の粘接着組成物。
項12. 更に、イオン性液体を含有する、項10に記載の粘接着組成物。
項13. イオン性液体の含有量が、0.01〜10質量%である、項12に記載の粘接着組成物。
項14.固体高分子形燃料電池に用いられる電解質膜の接着に使用される、項10に記載の粘接着組成物。
項15. エポキシ樹脂と、脂肪族ポリアミドと、ポリチオールとを含有する粘接着組成物の、固体高分子形燃料電池に用いられる電解質膜用の接着剤の製造のための使用。
項16. 項10〜14のいずれかに記載の粘接着組成物からなる粘接着層が、剥離可能な保護フィルムに形成されている粘接着シート。

発明の効果

0011

本発明の補強材によれば、電解質膜等の被着体に対する初期接着力が適度であるため、本接着(熱処理または熱圧処理)する前に、補強材の位置を修正したり、被着体のしわを除去することができ、仮止めに適している。また、本発明の補強材は、本接着(熱処理または熱圧処理)後に被着体に対して高い接着力を示し、更に高温条件酸性条件等の燃料電池の反応雰囲気下でも接着力を安定に保持できるので、燃料電池に優れた耐久性を備えさせることもできる。

0012

更に、本発明の粘接着組成物は、被着体に対する初期接着力が適度であり、補強材の位置修正や被着体のしわの除去を容易に行うことができるので、補強材の被着体への貼り合せ作業性が格段に向上する。

0013

また、従来、補強材付き触媒層−電解質膜積層体の製造方法として、開口部を有する枠状の補強材を電解質膜に接着させた後に、触媒転写フィルムを積層し、電解質膜の開口部に触媒層を形成する場合には、転写時の熱圧により、接着剤が補強材の枠から漏出し、生産性の低下や電池の性能低下を招くといった欠点があった。しかしながら、本発明の一態様(特に、常温で固形状のポリチオールを含有する態様)では、かかる欠点が解消され、より厳しい条件(例えば、100℃以上×0.5MPa以上)であっても補強材付き触媒層−電解質膜積層体を製造することができるため、量産に適している。また、かかる態様の本発明の粘接着組成物によれば、厳しい熱圧条件に晒される場合であっても、粘接着組成物の漏出なしに被着体と補強材を接着させることができる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の補強材の断面図の一例を示す。
本発明の補強材に使用される基材の本発明の正面図の一例を示す。
触媒層が電解質膜より一回り小さい触媒層−電解質膜積層体を用い、当該触媒層−電解質膜積層体の電解質膜の外周縁部のみに、枠状の補強材を接着した本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体の断面図の一例を示す。
触媒層が電解質膜より一回り小さい触媒層−電解質膜積層体を用い、当該触媒層−電解質膜積層体の電解質膜の外周縁部と触媒層の外周縁部に、枠状の補強材を接着した本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体の断面図の一例を示す。
触媒層と電解質膜が同じ大きさの触媒層−電解質膜積層体を用い、当該触媒層−電解質膜積層体の触媒層の外周縁部に、枠状の補強材を接着した本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体の断面図の一例を示す。
ガス拡散層が触媒層より一回り小さく、触媒層が電解質膜よりも一回り小さい膜−電極接合体を用い、当該膜−電極接合体の電解質膜の外周縁部のみに、枠状の補強材を接着した本発明の補強材付き膜−電極接合体の断面図の一例を示す。
ガス拡散層が触媒層より一回り小さく、触媒層が電解質膜よりも一回り小さい膜−電極接合体を用い、当該膜−電極接合体の電解質膜の外周縁部と触媒層の外周縁部に、枠状の補強材を接着した本発明の補強材付き膜−電極接合体の断面図の一例を示す。
ガス拡散層が触媒層より一回り小さく、触媒層と電解質膜が同じ大きさの膜−電極接合体を用い、当該膜−電極接合体の触媒層の外周縁部に、枠状の補強材を接着した本発明の補強材付き膜−電極接合体の断面図の一例を示す。
触媒層と電解質膜とガス拡散層が同じ大きさの膜−電極接合体を用い、当該膜−電極接合体のガス拡散層の外周縁部に、枠状の補強材を接着した本発明の補強材付き膜−電極接合体の断面図の一例を示す。
触媒層と電解質膜が同じ大きさで、ガス拡散層が触媒層より一回り小さい膜−電極接合体を用い、当該膜−電極接合体のガス拡散層の外周縁部と触媒層の外周縁部に、枠状の補強材を接着した本発明の補強材付き膜−電極接合体の断面図の一例を示す。
触媒層が電解質膜より一回り小さく、ガス拡散層が触媒層より更に一回り小さい膜−電極接合体を用い、当該膜−電極接合体の電解質膜の外周縁部とガス拡散層の外周縁部と触媒層の外周縁部に、枠状の補強材を接着した本発明の補強材付き膜−電極接合体の断面図の一例を示す。

実施例

0015

1.補強材
本発明の補強材は、図1に示すように、基材1上に粘接着層2が積層された構造を有している。本発明の補強材において、粘接着層が、脂肪族ポリアミドと、エポキシ樹脂と、ポリチオールとを含有していることを特徴とする。以下、本発明の補強材を構成する各要素について説明する。

0016

[基材]
本発明の補強材に使用される基材は、被着体を補強する目的で、硬化した粘接着層を介して被着体に接着される基材である。本発明の補強材に使用される基材としては、プラスチック基材金属基材、これらの複合基材等の別を問わず、当該補強材の用途に応じて適宜設定されるが、当該補強材を触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体の補強材として使用する場合には、ガスバリア性を備えているものが好ましい。水蒸気、水、燃料ガス及び酸化剤ガスに対するバリア性を有する基材として、具体的には、ポリエステルポリアミドポリイミドポリメチルテンペン、ポリフェニレンオキサイドポリサルホンポリエーテルエーテルケトンポリフェニレンサルファイドフッ素樹脂等が挙げられる。また、ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートポリエチレンナフタレートポリブチレンテレフタレートポリブチレンナフタレート等のプラスチック基材が挙げられる。また、アルミ、銅、亜鉛等の金属基材;アルミ、銅、亜鉛等の金属をプラスチック基材上に積層した金属積層プラスチック基材;アルミナシリカチタニア等の酸化物プレスチック基材上に積層した酸化物積層プラスチック基材等も使用できる。これらの基材の中で、ポリエステル、とりわけポリエチレンナフタレートは、ガスバリア性、耐熱性、熱寸法安定性製造コストの低減の観点から好ましい。

0017

また、本発明の補強材にガスケットとしての機能も備えさせる場合は、絶縁性の観点から、プラスチック基材、酸化物積層プレスチック基材等を使用することが好ましい。

0018

基材の厚さについては特に制限されないが、本発明の補強材を触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体の補強材として使用する場合、基材の厚さについては、例えば、6〜500μm、好ましくは12〜100μmであればよい。

0019

本発明の補強材の形状については、特に制限されず、被接着体の用途に応じて適宜設定されるが、当該補強材を膜−電極接合体又は膜−電極接合体の補強材として使用する場合には、図2に示すように開口部2を有する枠状であることが望ましい。

0020

[粘接着層]
本発明の補強材において、基材上に、エポキシ樹脂と、脂肪族ポリアミドと、ポリチオールとを含有する粘接着層が積層されている。これらの粘接着層の構成成分が一体不可分となって、初期接着力が適度になり、仮止めが容易となる。また、かかる構成の粘接着層を使用することによって、本接着(熱処理又は熱圧処理)後に被着体に対して高い接着力を示し、高温条件や酸性条件等の燃料電池の反応雰囲気下でも接着力を安定に保持することが可能になる。

0021

エポキシ樹脂は、モノエポキシ又は多価エポキシの別を問わず、使用することができる。モノエポキシ樹脂としては、例えば、ブチルグリシジルエーテルヘキシルグリシジルエーテルフェニルグリシジルエーテルアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。

0022

価エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類グリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂ビフェノールジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニルフルオレン等の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;その他の多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;グリセリンポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸テレフタル酸等のポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂トリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2:8,9ジエポキシリモネン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニルシクロヘキサン等の脂環族エポキサイド等が挙げられる。

0023

これらのエポキシ樹脂の中でも、造膜性及び相溶性の観点から、好ましくは多価エポキシ樹脂、更に好ましくはビスフェノール型エポキシ樹脂、特に好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。

0024

これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0025

上記エポキシ樹脂のエポキシ当量としては、初期接着力を適度に維持しつつ、熱圧着後の接着力や耐久性等を向上させるために、例えば、100〜1000であることが望ましい。ここで、エポキシ当量は、JISK7236に規定される方法で測定した1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。

0026

上記エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、jER828(ジャパンエポキシレジン社製)、jER1001(ジャパンエポキシレジン社製)、jER1004(ジャパンエポキシレジン社製)、jER1007(ジャパンエポキシレジン社製)、jER871(ジャパンエポキシレジン社製)jER872(ジャパンエポキシレジン社製)、EPR−4030(ADEKA社製)等を使用できる。

0027

本発明の補強材の粘接着層において、上記エポキシ樹脂の含有量については、特に制限されないが、例えば粘接着層の総質量当たり、10〜90質量%、好ましくは25〜75質量%が挙げられる。かかる含有量を充足することにより、所望の接着力をより有効に備えさせることができる。

0028

脂肪族ポリアミドとしては、例えば、ポリカプロアミドナイロン−6)、ポリアミノウンデカンサン(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸(ナイロン−66)、ポリヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−610)、ポリヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−612)、カプロラクタムとラウリルラクタムの共重合体(ナイロン−6,12)、カプロラクタムとアミノウンデカン酸の共重合体(ナイロン6−,11)、カプロラクタムとヘキサメチレンジアミノアジピン酸とアミノドデカン二酸の共重合体(ナイロン−6,66,612)、カプロラクタムとポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸とラウリルラクタムの共重合体(ナイロン−6,66,12)、カプロラクタムとポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸とポリヘキサメチレンジアミノセバシン酸の共重合体(ナイロン−6,66,610)、及びカプロラクタムとポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸とポリヘキサメチレンジアミノドデカン二酸の共重合体(ナイロン−6,66,612)等;前記ポリアミドとポリエーテルエステルとのブロック共重合体;前記ポリアミドとポリエステルとのブロック共重合体等が挙げられる。特に、脂肪族ポリアミド樹脂として、強靭かつ柔軟性に優れてポリマーが得られるダイマー酸を有するポリアミドとポリエーテルエステルとのブロック共重合体;及び当該ポリアミドとポリエステルとのブロック共重合体が好ましい。

0029

これらの脂肪族ポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0030

上記脂肪族ポリアミドの分子量としては、初期接着力を適度にして、本接着(熱処理又は熱圧処理着)後の接着力や耐久性等を向上させるためには、例えば、質量平均分子量が1,000〜200,000の範囲内のものが好適である。ここで、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の値である。

0031

上記脂肪族ポリアミドの市販品としては、例えば、TAPE−826−4S(富士化成工業社製)、TAPE−826−5A(富士化成工業社製)、ニューマイド515−ME(ハリマ化成社製)、ニューマイド945(ハリマ化成社製)、ニューマイド947(ハリマ化成社製)等を使用できる。

0032

本発明の補強材の粘接着層において、上記脂肪族ポリアミドの含有量については、特に制限されないが、例えば粘接着層の総質量当たり、5〜80質量%、好ましくは10〜50質量%が挙げられる。

0033

ポリチオールは、粘接着層において上記エポキシ樹脂の硬化剤として機能する。本発明に使用されるポリチオールとしては、2個以上のチオール基を有し、上記エポキシ樹脂を硬化可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリスチプロピオン酸エステル等のポリオールメルカプト有機酸エステル化反応によって得られるチオール化合物;1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール等のアルキルポリチオール化合物末端チオール基含有ポリエーテル;末端チオール基含有ポリチオエーテルエポキシ化合物硫化水素の反応によって得られるチオール化合物;ポリチオールとエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物;2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンチオシアヌル酸)、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン(融点137℃以上)、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジエチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−シクロヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2−アニリド−4,6−メルカプトトリアジン、1−フェニルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン等のトリアジン骨格を有するポリチオールが挙げられる。

0034

これらの中でも、常温(30℃)で固体状、好ましくは融点が120℃以上のポリチオールを使用すると、粘接着層に対して加熱されても被接着領域から漏出し難い性質を付与できるので、好適に使用される。常温で固体状のポリチオールの好適な具体例としては、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン(融点300℃以上)、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン(融点137〜140℃)が挙げられる。また、例えば、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンのように融点が低い固体状のポリチオールを使用すると、粘接着層を硬化させる際の反応性が向上するという利点も得られる。

0035

上記ポリチオールの市販品としては、例えば、TSH(川口化学工業社製)、ジスネットDB(三協化成社製)、ジスネットAF(三協化成社製)等を使用できる。

0036

本発明の補強材の粘接着層において、上記ポリチオールの含有量については、特に制限されないが、例えば粘接着層の総質量当たり、0.01〜85質量%、好ましくは0.1〜65質量%が挙げられる。

0037

本発明の補強材の粘接着層において、上記エポキシ樹脂、脂肪族ポリアミド、及びポリチオールの比率としては、前述する各成分の含有量を充足する範囲で適宜設定すればよいが、初期接着力を適度に維持しつつ、本接着(熱処理又は熱圧処理着)後の接着力や耐久性等を向上させるためという観点から、上記エポキシ樹脂100重量部当たり、肪族ポリアミドを10〜100重量部、好ましくは25〜50重量部;上記エポキシ樹脂のエポキシ基1当量当たり、ポリチオール0.4〜1.2当量、好ましくは0.5〜1.0当量を充足範囲に設定することが望ましい。

0038

また、本発明の補強材の粘接着層には、上記エポキシ樹脂、脂肪族ポリアミド、及びポリチオールの他に、接着力を調整するために、必要に応じてイオン性液体が含まれていてもよい。イオン性液体は、ポリチオールの硬化促進剤として作用し、本発明の補強材の粘接着層の硬化時間を短縮させたり、比較的低温でも本接着(熱処理または熱圧処理)前の仮止めにおいて良好な接着性を付与でき、更に硬化後の接着強度を一層向上させることができる。また、電解質膜の中でも、炭化水素系高分子電解質膜は、本接着(熱処理または熱圧処理)前の仮止めにおいて適度な接着力を付与し難く、仮止め時に補強材の位置を固定し難く、位置ずれし易い素材であるが、本発明の補強材の粘接着層においてイオン性液体を含有させると、このような炭化水素系高分子電解質膜を被着体として使用する際の欠点を解消でき、炭化水素系高分子電解質膜に対する初期接着力を適度に維持しつつ本接着(熱処理又は熱圧処理着)後の接着力や耐久性等を向上させることができる。

0039

イオン性液体とは、融点が150℃以下であり、室温(25℃程度)で液状を呈する溶融塩を指し、低融点溶融塩とも称されるイオン性化合物である。イオン性液体は、一般に、−30℃以上〜300℃以下の温度範囲でも液体状を維持し、蒸気圧は極めて低く、不揮発性、低粘度といった特性を備えている。

0040

本発明において、イオン性液体を構成するカチオンアニオンの種類、及びそれら組み合わせについては特に制限されず、イオン性液体を構成できるカチオンと、その対イオンになるアニオンを適宜設定すればよい。

0041

具体的には、イオン性液体を構成するカチオンとしては、イミダゾリウム系カチオンイミダゾリウム骨格を有するカチオン)、ピリジニウム系カチオン(ピリジニウム骨格を有するカチオン)、脂肪族アミン系カチオン脂環式アミン系カチオン、脂肪族ホスホニウム系カチオン等が挙げられる。イミダゾリウム系カチオンとしては、例えば、カチオンが、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクタデシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム等が挙げられる。ピリジニウム系カチオンとしては、例えば、1−メチルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−ヘキシルピリジニウム、1−オクチル−ピリジニウム、1−ブチル−3−メチル−ピリジニウム、1−ブチル−4−メチル−ピリジニウム、1−ヘキシル−4−メチル−ピリジニウム、1−オクチル−4−メチルピリジニウム等が挙げられる。脂肪族アミンのカチオンとしては、例えば、テトラブチルアンモニウムテトラペンチルアンモニウムトリオクチルメチルアンモニウムトリメチルヘキシルアンモニウムトリメチルプロピルアンモニウム、N,N−ジメチル−N,N−ジデシルアンモニウム、N,N−ジアリル−N−ヘキシル−N−メチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム等が挙げられる。脂環式アミンのカチオンとしては、例えば、1−メチル−1−ブチルピペリジニウム、1−メチル−1−エチルピロリジニウム、1−メチル−1−ブチルピロリジニウム、4−メチル−4−ヘキシルモルホリニウム、1−メチル−1−エチルピペリジニウム、4−メチル−4−エチルモルホリニウムが挙げられる。脂肪族ホスホニウム系カチオンとしては、例えば、テトラブチルホスホニウム、トリイソブチルメチルホスホニウム、テトラペンチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム等が挙げられる。

0042

また、イオン性液体を構成するアニオンとしては、前記カチオンと塩を形成した際にイオン性液体の性質を呈するものであることを限度として特に制限されないが、例えば、フッ素塩素臭素ヨウ素等のハロゲンイオンテトラフルオロボレートヘキサフルオロボレートトリフルオロアセテートヘキサフルオロホスフェートトリフラート等のフッ素系アニオンシアネートチオシアネートナイトレートトルエンスルホネート、(CF3SO2)2N−等が挙げられる。

0043

本発明で使用されるイオン性液体として、好ましくは、イミダゾリウム系カチオン又はピリジニウム系カチオンとフッ素系アニオンの塩、更に好ましくは、イミダゾリウム系カチオンとフッ素系アニオンの塩、特に好ましくは、1−ブチル−3−メチル−ピリジニウム(1−ブチル−3−メチル−ピリジニウム)が挙げられる。

0044

本発明の補強材の粘接着層において、上記イオン性液体を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば粘接着層の総質量当たり、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜7.5質量%が挙げられる。このような含有量を充足することにより、粘接着層の硬化時間の短縮、比較的低温条件での仮止め時に良好な接着性の付与、硬化後の接着強度の向上等が可能になる。

0045

本発明の補強材の粘接着層において、上記イオン性液体を含有させる場合、上記エポキシ樹脂に対するイオン性液体の比率については、前述する各成分の含有量を充足する範囲で適宜設定すればよいが、初期接着力を適度に維持しつつ、本接着(熱処理又は熱圧処理着)後の接着力や耐久性等を向上させるためという観点から、上記エポキシ樹脂100重量部当たり、イオン性液体が0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部が挙げられる。

0046

本発明の補強材の粘接着層において、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて他の配合成分を含んでいてもよい。具体的には、接着性の調整、可撓性の付与、硬化条件の調整等のために、ポリイミド樹脂アクリル樹脂αオレフィン樹脂、ウレタン樹脂エチレン酢酸ビニル樹脂塩化ビニル樹脂シリコーン樹脂スチレンブタジエン樹脂ポリビニルピロリドン樹脂ポリメタクリレート樹脂等の樹脂;ポリチオール以外の硬化剤;架橋剤;硬化促進剤;硬化遅延剤酸化防止剤顔料染料帯電防止剤等を含んでいてもよい。例えば、硬化促進剤を含むことにより、熱処理又は熱圧処理着による本接着時に、粘接着層の硬化を促進することができ、また、硬化遅延剤を含むことにより、熱処理又は熱圧処理着による本接着前に、粘接着層が硬化するのを抑制することができる。

0047

本発明の補強材において、積層される粘接着層の厚さについては、特に制限されないが、適度な初期接着力を備えさせつつ、本接着(熱処理又は熱圧処理着)後に十分な接着力を付与するために、通常1〜300μm、好ましくは5〜50μmが挙げられる。

0048

本発明の補強材において、粘接着層は、基材と被着体を接着させた場合においてT型剥離強度が、硬化前では0.01〜0.3N/mmであり、且つ100℃で6時間加熱処理して硬化させた後では0.35N/mm超;好ましくは硬化前では0.01〜0.2N/mmであり、且つ100℃で6時間加熱処理して硬化せた後では0.5N/mm以上を充足することが望ましい。ここで、T型剥離強度とは、幅15mmの短冊状の補強材を被着体を接着させ、被着体と補強材の基材をT字状に50mm/分の速度で引っ張ることにより測定される接着力である。本発明の補強材が触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体の補強材として好適に使用されることを鑑みれば、上記T型剥離強度は、被着体が電解質膜の場合において充足していることが望ましい。

0049

本発明の補強材上に粘接着層を積層させる方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上記粘接着層の配合成分を有機溶剤に溶解、分散させることにより、粘接着組成物の塗工液を得る。斯して得られた塗工液を基材に直接塗工し乾燥させることにより粘接着層を基材上に積層させることができ、又は当該塗工液を剥離可能な保護フィルムに所望の膜厚になるように塗工、乾燥させた後、保護フィルム上に形成された粘接着層を基材に転写することにより、粘接着層を基材上に積層させることもできる。ここで、上記塗工液に使用される有機溶剤としては、特に制限されないが、例えば、メチルエチルケトンメチルアミルケトンメチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、3−ヘプタノン等のケトン類トルエンキシレン等の芳香族炭化水素類エチレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のグリコールエーテル類酢酸エチル酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル酢酸アミルプロピオンエチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル酪酸メチル酪酸エチル酪酸プロピル、酪酸ブチル等のエステル類エタノールプロパノールイソプロピルアルコール、ブタノール、3−メトキシブタノールシクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、及びこれらの混合液等が挙げられる。また、上記塗工液を基材又は保護フィルム上に塗工する方法についても、特に制限されるものではなく、例えば、ロールコート法グラビアコート法リバースコート法、スプレーコート法ブレードコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法コンマコート法、スクリーンコート法等が挙げられる。また、上記保護フィルムとしては、粘接着層と接する面が剥離性を備える限り、特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムポリエチレンフィルムポリプロピレンフィルム、ポリアレーフィルムフッ素樹脂フィルムジアセチルセルロースフィルムトリアセチルセルロースフィルムアセチルセルロースブチレートフィルム等の、単独で剥離性を有する又はこれらに剥離処理を施したプラスチックフィルムポリエチレンラミネート紙ポリプロピレンラミネート紙、グラシン紙、樹脂コート紙クレーコート紙等の剥離処理された紙等が挙げられる。また、上記剥離処理とは、フッ素系樹脂シリコーン系樹脂アルキット系樹脂等の剥離性を有する剥離層を形成させる処理である。また、保護フィルム上に形成された粘接着層を基材に転写するには、保護フィルム上の粘接着層を基材の所定箇所に貼り合せて圧着した後に保護フィルムを剥離除去すればよい。

0050

[補強材の用途・接着法]
本発明の補強材は、素材を問わず、電解質膜、触媒層、ガス拡散層、ガスケット、シール材等の様々な被着体の強度を補強する目的で使用される。とりわけ、本発明の補強材は、触媒層−電解質膜積層体又は膜−電極接合体の補強材として使用することが好適である。

0051

本発明の補強材は、本接着(熱処理又は熱圧処理)により被着体に接着させることができる。具体的には、本発明の補強材の粘接着層を被着体に貼り合せて仮止めした後に、80〜120℃程度で1〜10時間程度の条件で熱処理することで硬化させることにより、本発明の補強材と被着体を強固に接着させることができる。また、補強材と被着材との間に空気を含むと接着性が劣るため、上記熱処理を行う前に、50〜100℃程度で1〜10分間、圧力を加えエア抜きを行ってもよい。また、上記熱処理とともに圧力を加えてもよい。加圧の条件は、0.01mPa〜10mPa程度でよく、0.05mPa〜1mPaが好ましい。加圧は、真空プレス機等を使用して行うことができる。

0052

また、本発明の補強材は、粘接着層の硬化前は、被着体に弱い圧力で圧着させることができ、その後の低温且つ短時間での硬化により、良好な接着性と密着性とを実現させることができるので、特に、真空成形による一体成形法に好適である。

0053

2.補強材付き触媒層−電解質膜積層体
本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体は、電解質膜の両面に触媒層が形成された触媒層−電解質膜積層体と、上記補強材とを備え、当該触媒層−電解質膜積層体の少なくとも一方面の外周縁部上に、当該補強材がその粘接着層を介して接着していることを特徴とする。

0054

本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体は、補強材の粘接着層を介して触媒層−電解質膜積層体の外周縁部が接着されていればよく、その接着領域については特に制限されない。例えば、電解質膜上に、当該電解質膜よりも一回り小さい触媒層が形成されている場合には、図3に示す補強材付き触媒層−電解質膜積層のように、補強材との接着領域が電解質膜の外周縁部のみから形成されていてもよく、また図4に示す補強材付き触媒層−電解質膜積層のように、補強材との接着領域が電解質膜の外周縁部と触媒層の外周縁部から形成されていてもよい。また、例えば、電解質膜上に、当該電解質膜と同じ大きさの触媒層が形成されている場合には、図5に示す補強材付き触媒層−電解質膜積層のように、補強材との接着領域は触媒層の外周縁部から形成されていればよい。

0055

本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体は、触媒層−電解質膜積層体の少なくとも一方面、好ましくは双方の面の外周縁部上に、上記補強材がその粘接着層を介して接着されている。本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体において、触媒層−電解質膜積層体の双方の面の外周縁部上に上記補強材が接着されている場合、図3〜4に示すように、触媒層−電解質膜積層体の電解質膜の外周側面が2つの補強材によって封止されていることが好ましいが、当該外周側面は封止されていなくてもよい。

0056

また、本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体において、補強材の表面(触媒層−電解質膜積層体の外周縁部と接着させない面)には、セパレータ又はガスケットを接着させるための接着層が設けられていてもよい。当該接着層は、補強材と触媒層−電解質膜積層体の外周縁部との接着に使用される粘接着層と同一組成のものであっても、また異なる組成のものであってもよい。

0057

以下、本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体を構成する各要素について説明する。

0058

[電解質膜]
電解質膜は、プロトン伝導性を備えている限り、その組成については制限されず、固体高分子形燃料電池で使用可能なものであればよい。

0059

電解質膜は、アノード触媒層で生成したプロトン膜厚方向に沿ってカソード触媒層へと選択的に透過させる機能を有する。また、電解質膜は、アノード側に供給される燃料ガスとカソード側に供給される酸化剤ガスとを混合させないための隔壁としての機能をも有する。電解質膜の具体的な構成は特に制限されず、燃料電池の技術分野において従来公知の高分子電解質からなる膜が適宜採用できる。高分子電解質膜として、例えば、ナフィオン(Nafion)(登録商標デュポン社製)、アシプレクス(Aciplex)(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(Flemion)(登録商標、旭硝子株式会社製)、ゴアセレクト(Gore Select)(登録商標)、ゴア社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーから構成されるフッ素系高分子電解質膜;炭化水素系高分子電解質膜等を用いることができる。電解質膜の膜厚としては、通常5〜250μm程度、好ましくは10〜80μm程度が挙げられる。

0060

[触媒層]
触媒層は、実際に電池反応が進行する層である。具体的には、アノード触媒層では水素の酸化反応が進行し、カソード触媒層では酸素の還元反応が進行する。触媒層は、触媒成分を含み、必要に応じて、更に触媒成分を担持する導電性触媒担体、及び高分子電解質バインダーを含むことが望ましい。

0061

アノード触媒層に用いられる触媒成分は、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限されず、公知の触媒成分を使用できる。また、カソード触媒層に用いられる触媒成分も、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく、公知の触媒成分が使用できる。触媒成分として、具体的には、白金ルテニウムイリジウムロジウムパラジウムオスミウムタングステン、鉛、鉄、クロムコバルトニッケルマンガンバナジウムモリブデンガリウムアルミニウム等の金属、及びこれらの合金等;含窒素カーボン等のカーボン触媒酸化モリブデン酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。これらの中でも、触媒活性一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性等を向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましい。

0062

触媒担体は、上述した触媒成分を担持するための担体、及び触媒成分と他の部材との間での電子の授受に関与する電子伝導パスとして機能する。触媒担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、充分な電子伝導性を有しているものであればよく、主成分がカーボンで構成されていることが好ましい。触媒担体として、具体的には、カーボンブラック活性炭コークス天然黒鉛人造黒鉛等のカーボン粒子が挙げられる。

0063

高分子電解質バインダーは、触媒層と電解質膜の接着性を向上させると共に、触媒成分と他の部材との間でのプロトンの授受に関与するプロトン伝導パスとして機能する。また、高分子電解質バインダーは、水酸基等の極性基を有しており、当該極性基が本発明の補強材の粘接着層との接着力の向上にも寄与する。高分子電解質バインダーとしては、上述した電解質膜に使用されるものと同じ材料を使用することができる。

0064

触媒層の膜厚については、通常1〜100μm、好ましくは5〜30μmが挙げられる。

0065

[触媒層−電解質膜積層体の形成法]
上記電解質膜の外周縁部を除いた両面に触媒層が所望の形状で積層され、触媒層−電解質膜積層体が形成される。電解質膜上に触媒層を積層させる方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、静電スクリーン法等の乾式塗布法やスプレーコート法により電解質膜上に触媒層を塗工し、触媒層−電解質膜積層体を形成する方法;所望形状の触媒転写フィルムを電解質膜上に配置して転写法によって触媒層−電解質膜積層体を形成する方法等が挙げられる。

0066

上記転写法に使用される触媒転写フィルムは、転写フィルム上に触媒層が形成された二層構造のフィルムである。触媒転写フィルムに用いられる転写フィルムとしては、触媒層を積層でき且つ触媒層と接する面が剥離性を備える限り、特に制限されず、具体的には、前記「1.補強材」の欄に記載する保護フィルムと同様のものが使用される。また、転写フィルム上に形成された触媒層を電解質膜に転写するには、触媒転写フィルムを電解質膜の所定箇所に貼り合せて熱圧処理した後に転写フィルムを剥離除去すればよい。

0067

上記触媒層−電解質膜積層体の外周縁部に、上記補強材がその粘接着層を介して接着させる方法については、前記「1.補強材」の欄に記載する通りである。

0068

[補強材付き触媒層−電解質膜積層体の製造法]
本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体の製造方法については、特に制限されず、例えば、触媒層−電解質膜積層体を形成した後に、触媒層−電解質膜積層体の外周縁部上に上記補強材を接着させてもよく、電解質膜上に上記補強材を接着させた後に、補強材付き電解質膜に、触媒層を積層させてもよい。

0069

本発明の補強材付き触媒層−電解質膜積層体の製造方法の好適な一例として下記工程を含むものが例示される:
(i)開口部を有する枠状の上記補強材を、電解質膜の外周縁部に当該補強材の粘接着層を介して接着させて、補強材付き電解質膜を得る工程、及び
(ii)補強材付き電解質膜において開口部から露出している電解質膜に触媒層を積層させて、補強材付き触媒層−電解質膜積層体を得る工程。

0070

特に、上記補強材の粘接着層において、ポリチオールとして常温(30℃)で固形状のものを使用する場合、厳しい熱圧条件に晒されても、被接着領域(触媒層−電解質膜積層体の外周縁部)から粘接着層が漏出するという従来技術の問題点が解消されているため、電解質と上記補強材を接着させた後に、触媒層を積層させる製造方法であっても、補強材付き触媒層−電解質膜積層体を効率的に製造できるという利点が得られる。かかる利点を鑑みれば、上記(i)及び(ii)の工程を含む製造方法において、使用される補強材の粘接着層は、常温で固形状のポリチオールを含有していることが好ましい。

0071

上記工程を含む製造方法によれば、図3に示す構造の補強材付き触媒層−電解質膜積層が製造される。

0072

3.補強材付き膜−電極接合体
本発明の補強材付き膜−電極接合体は、電解質膜の両面に触媒層及びガス拡散層が順次積層された膜−電極接合体と、上記補強材とを備え、当該膜−電極接合体の少なくとも一方面の外周縁部上に、当該補強材がその粘接着層を介して接着していることを特徴とする。

0073

本発明の補強材付き膜−電極接合体は、補強材の接着層を介して膜−電極接合体の外周縁部が接着していればよく、その接着領域については特に制限されない。

0074

例えば、本発明の補強材付き膜−電極接合体は、図6〜8に示すように、膜−電極接合体のガス拡散層の外周縁部が接着領域に取り込まれていない状態(即ち、上記補強材付き触媒層−電解質膜積層の各触媒層上にガス拡散層が形成された状態)であってもよい。図6に示す膜−電極接合体では、ガス拡散層が触媒層より一回り小さく、触媒層が電解質膜よりも一回り小さい膜−電極接合体が用いられており、当該膜−電極接合体の電解質膜の外周縁部のみに、枠状に形成した補強シートが接着されている。図7に示す膜−電極接合体では、ガス拡散層が触媒層より一回り小さく、触媒層が電解質膜よりも一回り小さい膜−電極接合体が用いられており、当該膜−電極接合体の電解質膜の外周縁部と触媒層の外周縁部に、枠状の補強材が接着されている。図8に示す膜−電極接合体では、ガス拡散層が触媒層より一回り小さく、触媒層と電解質膜が同じ大きさの膜−電極接合体が用いられており、当該膜−電極接合体の触媒層の外周縁部に、枠状の補強材が接着されている。

0075

また、例えば、本発明の補強材付き膜−電極接合体は、また図9〜11に示すように、膜−電極接合体のガス拡散層の外周縁部が接着領域に取り込まれ、ガス拡散層の外周縁部のみから接着領域が形成された状態(図9)、ガス拡散層の外周縁部と触媒層の外周縁部から接着領域が形成された状態(図10)、又はガス拡散層の外周縁部と触媒層の外周縁部と電解質膜の外周縁部から接着領域が形成された状態(図11)であってもよい。図9に示す膜−電極接合体では、触媒層と電解質膜とガス拡散層が同じ大きさの膜−電極接合体が用いられており、当該膜−電極接合体のガス拡散層の外周縁部に、枠状の補強材が接着されている。図10に示す膜−電極接合体では、触媒層と電解質膜が同じ大きさで、ガス拡散層が触媒層より一回り小さい膜−電極接合体が用いられており、当該膜−電極接合体のガス拡散層の外周縁部と触媒層の外周縁部に、枠状の補強材が接着されている。図11に示す膜−電極接合体では、触媒層が電解質膜より一回り小さく、ガス拡散層が触媒層より更に一回り小さい膜−電極接合体が用いられており、当該膜−電極接合体の電解質膜の外周縁部とガス拡散層の外周縁部と触媒層の外周縁部に、枠状の補強材が接着されている。

0076

本発明の補強材付き膜−電極接合体は、膜−電極接合体の少なくとも一方面、好ましくは双方の面の外周縁部上に、上記補強材がその粘接着層を介して接着されている。本発明の補強材付き膜−電極接合体において、膜−電極接合体の双方の面の外周縁部上に上記補強材が接着されている場合、図6〜11に示すように、膜−電極接合体の電解質膜の外周側面が2つの補強材によって封止されていることが好ましいが、当該外周側面は封止されていなくてもよい。

0077

また、本発明の補強材付き膜−電極接合体において、補強材の表面(膜−電極接合体の外周縁部と接着させない面)には、セパレータ又はガスケットを接着させるための接着層が設けられていてもよい。当該接着層は、補強材と膜−電極接合体の外周縁部との接着に使用される粘接着層と同一組成のものであっても、また異なる組成のものであってもよい。

0078

以下、本発明の補強材付き膜−電極接合体を構成する各要素について説明する。

0079

[ガス拡散層]
ガス拡散層は、アノード(燃料極)、カソード(空気極)を構成する各種の導電性多孔質基材を使用でき、燃料である燃料ガス及び酸化剤ガスを効率よく触媒層に供給するため、多孔質導電性基材を使用することが望ましい。多孔質の導電性基材としては、例えば、カーボンペーパーカーボンクロス等が挙げられる。

0080

また、ガス拡散層は、必要に応じて、高分子電解質バインダーを含んでもよい。高分子電解質バインダーは、水酸基等の極性基を有しており、当該極性基が上記補強材の粘接着層との接着力を向上させることができる。高分子電解質バインダーとしては、上述した電解質膜に使用されるものと同じ材料を使用することができる。

0081

ガス拡散層の膜厚については、通常20〜1000μm、好ましくは30〜400μmが挙げられる。

0082

[膜−電極接合体の形成法]
膜−電極接合体を形成する方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、触媒層−電解質膜積層体の触媒層上にガス拡散層を配置して熱圧着による接合させることにより膜−電極接合体を形成する方法;触媒層及びガス拡散層の2層構造体転写フィルムを電解質膜上に配置して転写法によって膜−電極接合体を形成する方法等が挙げられる。

0083

上記転写法に使用される2層構造体転写フィルムは、転写フィルム上に、ガス拡散層及び触媒層からなる2層構造体が積層されている。触媒転写フィルムに用いられる転写フィルムとしては、ガス拡散層を積層でき且つガス拡散層と接する面が剥離性を備える限り、特に制限されず、具体的には、前記「1.補強材」の欄に記載する保護フィルムと同様のものが使用される。また、転写フィルム上に、ガス拡散層及び触媒層を順次形成するには、静電スクリーン法等の乾式塗布法やスプレーコート法又は転写法にて、各層を順次積層させればよい。また、転写フィルム上に形成された触媒層及びガス拡散層を電解質膜に転写するには、触媒層/ガス拡散層転写フィルムを電解質膜の所定箇所に貼り合せて熱圧着した後に転写フィルムを剥離除去すればよい。

0084

[補強材付き膜−電極接合体の製造法]
本発明の補強材付き膜−電極接合体の製造方法については、特に制限されず、例えば、膜−電極接合体を形成した後に、膜−電極接合体の外周縁部上(電解質膜上)に上記補強材を接着させてもよく、電解質膜上に上記補強材を接着させた後に、補強材付き電解質膜に対して触媒層とガス拡散層を順次積層してもよい。

0085

本発明の補強材付き膜−電極接合体の製造方法の好適な一例として下記工程を含むものが例示される:
(i)開口部を有する枠状の上記補強材(粘接着層に常温で固形状のポリチオールを含有)を、電解質膜の外周縁部に当該補強材の粘接着層を介して接着させて、補強材付き電解質膜を得る工程、及び
(ii)補強材付き電解質膜において開口部から露出している電解質膜に、触媒層及びガス拡散層を順次積層、又は触媒層及びガス拡散層からなる2層構造体を積層させて、補強材付き膜−電極接合体を得る工程。

0086

特に、上記補強材の粘接着層において、ポリチオールとして常温(30℃)で固形状のものを使用する場合、厳しい熱圧条件に晒されても、被接着領域(触媒層−電解質膜積層体の外周縁部)から粘接着層が漏出するという従来技術の問題点が解消されているため、電解質と上記補強材を接着させた後に、触媒層及びガス拡散層を順次積層させる製造方法であっても、補強材付き膜−電極接合体を効率的に製造できるという利点が得られる。かかる利点を鑑みれば、上記(i)及び(ii)の工程を含む製造方法において、使用される補強材の粘接着層は、常温で固形状のポリチオールを含有していることが好ましい。

0087

上記工程を含む製造方法によれば、図6に示す構造の補強材付き触媒層−電解質膜積層が製造される。

0088

4.固体高分子形燃料電池
本発明の固体高分子形燃料電池は、上記補強材付き膜−電極接合体を含むことを特徴とする。

0089

本発明の固体高分子形燃料電池は、上記補強材付き膜−電極接合体に対して、必要に応じてガスケットを介在させてセパレータで挟持させることにより製造される。上記補強材において、ガスケットの機能を有する基材を使用している場合であれば、当該補強材がガスケットとしての役割も果たすので、ガスケットを介在さることなく、上記補強材付き膜−電極接合体をセパレータで挟持させることができる。また、上記補強材において、ガスケットの役割を果たす基材を使用していない場合であれば、上記補強材付き膜−電極接合体の補強材とセパレータの間にガスケットを介在させた状態で、上記補強材付き膜−電極接合体をセパレータで挟持させることが望ましい。

0090

セパレータとしては燃料電池内の環境においても安定な導電性板であればよく、一般的には、カーボン板ガス流路を形成したものが用いられる。また、セパレータをステンレス等の金属により構成し、金属の表面にクロム、白金族金属又はその酸化物、導電性ポリマー等の導電性材料からなる被膜を形成したものや、同様にセパレータを金属によって構成し、該金属の表面に銀、白金族複合酸化物窒化クロム等の材料によるメッキ処理を施したもの等を使用することも可能である。

0091

ガスケットとしては、熱プレスに耐え得る強度を備え、且つ外部に燃料及び酸化剤を漏出しない程度のガスバリア性を有しているものであることを限度として特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートシートテフロン(登録商標)シートシリコンゴムシート等が挙げられる。

0092

5.粘接着組成物
本発明の粘接着組成物は、エポキシ樹脂と、脂肪族ポリアミドと、ポリチオールとを含有することを特徴とする。

0093

本発明の粘接着組成物において、使用されるエポキシ樹脂、脂肪族ポリアミド、及びポリチオールの種類については、上記「1.補強材」における[粘接着層]の欄に記載の通りである。また、本発明の粘接着組成物において、これらの成分の含有量及び比率についても、上記「1.補強材」における[粘接着層]の欄に記載する粘接着層中の各成分の含有量及び比率と同様である。

0094

また、本発明の粘接着組成物には、上記成分以外にイオン性液体を含んでいてもよい。本発明の粘接着組成物において、更にイオン性液体を含有することにより、硬化時間の短縮、比較的低温条件での仮止め時の適度な接着性の付与、硬化後の接着強度の向上等が可能になる。特に、炭化水素系電解質膜を被着体とする場合には、本発明の粘接着組成物は、イオン性液体を含んでいることが好ましい。本発明の粘接着組成物において、使用されるイオン性液体の種類については、上記「1.補強材」の欄に記載の通りである。また、本発明の粘接着組成物におけるイオン性液体の含有量及び比率についても、上記「1.補強材」における[粘接着層]の欄に記載する粘接着層中の各成分の含有量及び比率と同様である。

0095

また、本発明の粘接着組成物に配合可能な他の配合成分についても、上記「1.補強材」の欄に記載の通りである。

0096

本発明の粘接着組成物は、エポキシ樹脂と、脂肪族ポリアミドと、ポリチオールと、必要に応じて他の配合成分とを所定量混合して溶剤未配合の粘接着組成物として、又は必要に応じて有機溶剤を配合した粘接着組成物として調製することができる。

0097

有機溶剤としては、上記「1.補強材」の[粘接着層]の欄に記載した粘接着組成物の塗工液に使用される有機溶剤と同様である。

0098

本発明の粘接着組成物は、被着体に直接塗工し乾燥させることにより使用してもよい。また、本発明の粘接着組成物からなる粘接着層を剥離可能な保護フィルム上に形成させた粘接着シートを調製し、当該粘接着シートを用いて、本発明の粘接着組成物を被着体に転写して使用することもできる。上記粘接着シートは、例えば、本発明の粘接着組成物の塗工液を剥離可能な保護フィルムに所望の膜厚になるように塗工、乾燥させることにより調製できる。ここで、剥離可能な保護フィルム、液状の粘接着組成物に配合される有機溶剤、及び塗工方法等については、上記「1.補強材」の[粘接着層]の欄の記載と同様である。

0099

本発明の粘接着組成物は、膜厚を1〜300μm、好ましくは5〜50μmの層状にして、被着体を接着させることが望ましい。

0100

本発明の粘接着組成物は、固体高分子形燃料電池を構成する部材の接着剤として好適に使用されるが、本発明の粘接着組成物は、被着体に対して良好な接着性及び密着性を示し、耐久性にも優れるので、例えば、自動車鉄道等の車両、航空機船舶等の内装材外装材窓枠扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ空調機等の家電製品筐体容器装飾シートパソコン等のOA機器の筐体等の装飾シートの接着剤としても使用することができる。また、本発明の粘接着組成物は、固体高分子形燃料電池以外の各種電池の構成部材の接着剤として使用することができる。例えば、電極反応気体ガス)を使用する金属空気電池は、負極電解質正極触媒層、ガス拡散層、セパレータ、支持体撥水膜、ガスケット、シール材等の構成部材を有しており、本発明の粘接着組成物は、これらの構成部材同士の接着剤として使用することもできる。
また、金属空気電池の種類としては、例えばリチウム空気電池ナトリウム空気電池カリウム空気電池、マグネシウム空気電池カルシウム空気電池、亜鉛空気電池アルミニウム空気電池及び鉄空気電池等を挙げることができる。また、金属空気電池は一次電池であってもよく、二次電池であってもよい。

0101

本発明の粘接着組成物を、固体高分子形燃料電池を構成する部材の接着に使用する場合、固体高分子形燃料電池に使用される電解質膜、触媒層、及びガス拡散層のいずれか少なくとも1種とそれらを補強する基材との接着、とりわけ電解質膜と基材との接着に好適に適用される。

0102

本発明の粘接着組成物において、ポリチオールとして、常温(30℃)で固体状、好ましくは融点が120℃以上のポリチオールを使用すると、粘接着組成物が100〜150℃程度の高温条件に晒されても接着領域から漏出し難い性質を備えることができる。このような特性を鑑みれば、ポリチオールとして常温で固形状のものを使用する場合には、本発明の粘接着組成物は、上記高温条件に晒される被着体の接着に好適に使用される。

0103

本発明の粘接着組成物は、上記補強材の基材と電解質膜の間に厚さ20μmの粘接着層を形成した場合において、T型剥離強度が、硬化前では0.01〜0.3N/mmであり、且つ100℃で6時間加熱処理して効果させた後では0.35N/mm超;好ましくは硬化前では0.01〜0.2N/mmであり、且つ100℃で6時間加熱処理して硬化せた後では0.5N/mm以上を充足することが望ましい。ここで、T型剥離強度とは、幅15mmの短冊状基材と短冊状電解質膜を接着させ、基材と電解質膜をT字状に50mm/分の速度で引っ張ることにより測定される接着力である。
本発明の粘接着組成物は、熱処理又は熱圧処理により被着体を接着させることができる。本発明の粘接着組成物を用いて被着体を接着させる条件等についても、上記「1.補強材」の[粘接着層]の欄の記載と同様である。

0104

以下に、実施例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。

0105

試験例1:フッ素系高分子電解質膜に対する仮止め容易性、及び粘接着組成物の漏出の有無の評価
1.補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)の作成及び評価
<補強材の作製>
表1及び2に示す実施例1〜10及び比較例1〜2の粘接着組成物の塗工液を調製し、プラスチック基材(テオネックスQ51(登録商標、帝人デュポンフィルム社製)(厚さ25μm、100mm×100mmの正方形の中心部に51mm×51mmの正方形の開口部を有する)上にブレードコート法で塗工、乾燥することにより、厚さ20μmの粘着層が積層された補強材を作製した。

0106

<触媒層−電解質膜積層体の作製>
電解質膜(Nafion(登録商標、デュポン社製)、厚さ25μm、100mm×100mm)の両面に、50mm×50mm、層厚20μmの触媒層3を転写法により形成した。具体的には、白金触媒担持カーボン白金担持量:45.7wt%、田中貴金属社製、TEC10E50E)2gに、1−ブタノール10g、2−ブタノール10g、フッ素樹脂(5wt%ナフィオンバインダー、デュポン社製)20g及び水6gを加え、これらを分散機にて攪拌混合することにより調製した触媒形成用ペーストを、触媒層乾燥後の白金重量が0.4mg/cm2となるようにポリエステルフィルム(東洋紡製、E5100、25μm)上に塗工して触媒層転写フィルムを作製した。そして、この触媒層転写フィルムを、触媒層が電解質膜側を向くように中心を合わせて電解質膜の両面に配置し、150℃、5.0MPa、5分の条件で熱プレスして電解質膜の両面に触媒層を形成した。

0107

<補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)の作製>
上記で得られた触媒層−電解質膜積層体の電解質膜の外周部に上記補強材の粘接着層を積層し、指で圧着させて仮止めを行い、100℃、0.5MPa、1分の圧力を加えた後、100℃、6時間加熱熱処理(本接着)させ、補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)を作製した。

0108

評価項目1:粘接着組成物の漏出の程度の評価>
本接着後の補強材の外観を観察し、粘接着組成物が、補強材と電解質膜の界面から漏出(横伸び)している程度を測定した。漏出の程度については、補強材と電解質膜から粘接着組成物がはみ出した長さ(漏出長さ)を任意に10箇所測定し、その値を平均することにより評価した。

0109

2.補強材付き触媒層−電解質膜積層体(2)の作成及び評価
<補強材付き電解質膜の作製>
上記補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)で使用したものと同じ各補強材を、電解質膜(Nafion(登録商標、デュポン社製)、厚さ25μm、100mm×100mm)の両面に積層し、指で圧着させて仮止めを行った後、100℃、6時間加熱熱処理(本接着)させ、補強材付き電解質膜を作製した。

0110

<評価項目2:仮止めした際の作業性の評価>
上記補強材付き電解質膜の作製時に、補強材と電解質膜を仮止めした際の作業性について、下記判定基準に従って評価した。
<仮止めをした際の作業性>
BB:仮止めの際の初期接着力が強すぎる。貼り合せ後に位置修正ができず、無理に剥がすと電解質膜が破れる。
B :仮止めの際の初期接着力が強い。貼り合せ後に若干の位置修正は可能であるが、電解質膜を伸ばしてしわを除去することができない。
A :仮止めの際の初期接着力が適度である。貼り合せ後に位置修正が可能であり、しかも電解質膜を伸ばして電解質膜のしわを除去するもできる。
C :仮止めの際の初期接着力が弱く、圧着のみでは仮止めが不十分になる。また、熱圧着時に補強材と触媒層の位置調整が困難である。
CC:仮止めの際の初期接着力が非常に弱く、指での圧着で仮止めできない。

0111

<補強材付き触媒層−電解質膜積層体(2)の作成>
補強材付き電解質膜における電解質膜の両面に、上記補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)の作製の際に使用したものと同じ触媒転写フィルムを積層し、150℃、5MPa、5分の条件で熱圧処理を施し、補強材付き触媒層−電解質膜積層体(2)を作製した。

0112

<評価項目3:粘接着組成物の漏出の程度>
上記で得られた補強材付き触媒層−電解質膜積層体(2)の外観を観察し、粘接着組成物が、補強材と電解質膜の界面から漏出(横伸び)している程度を測定した。漏出の程度については、補強材と電解質膜から粘接着組成物がはみ出した長さ(漏出長さ)を10箇所測定し、その値を平均することにより評価した。

0113

3.結果
得られた結果を表1及び2に併せて示す。表2に示すように、エポキシ樹脂、脂肪族ポリアミド、及びポリチオール以外の硬化剤を含む粘接着組成物を使用した場合(比較例1)では、仮止めの際の初期接着力が強すぎ、貼り合せ後の位置修正ができない等の作業性が悪く、しかも触媒層を積層させる熱圧着によって粘接着組成物が補強材と電解質膜の界面から漏出していた。また、エポキシ樹脂及びポリチオールを含み、且つ脂肪族ポリアミドを含まない粘接着組成物を使用した場合(比較例2)では、初期接着力が弱く、補強材の位置調整が困難であった。これに対して、表1に示すように、エポキシ樹脂、脂肪族ポリアミド、及びポリチオールを含む粘接着組成物を使用した場合(実施例1−10)では、いずれも、仮止めの際の初期接着力が適度であり、貼り合せ後に位置修正が可能で、電解質膜を伸ばして電解質膜のしわを除去するもできた。更に、ポリチオールとして常温で固形状のものを使用した場合(実施例1−5及び7−10)には、触媒層を積層させる熱圧着処理に晒されても、粘接着組成物が補強材と電解質膜の界面から漏出することなく、接着層を安定に維持できていた。

0114

0115

0116

試験例2:フッ素系高分子電解質膜に対するT型剥離強度の評価
プラスチック基材(テオネックスQ51(登録商標、帝人デュポンフィルム社製)(厚さ25μm、15mm×50mmの短冊状)を使用すること以外は、上記試験例1と同様の方法で、表1の実施例1〜5及び表2の比較例1〜2に示す粘接着組成物からなる粘接着層(厚さ20μm)が積層された補強材を作製した。

0117

上記で得られた補強材の粘接着層側と電解質膜(ナフィオン(Nafion)(登録商標、デュポン社製)(厚さ25mm、15mm×50mmの短冊状)を接触させて指で圧着させて仮止めを行い、T型剥離強度(硬化前)の測定を行った。次いで、仮止めした補強材と電解質膜に対して、100℃で0.5MPaの圧力を加えて熱圧着させ、その後100℃で6時間加熱処理し、熱圧着後のT型剥離強度(硬化後)の測定を行った。

0118

なお、T型剥離強度(硬化前)は、オートグラフAG−IS(島津製作所社製)を用い、50mm/分の剥離速度で測定した。

0119

得られた結果を表3に示す。この結果と上記試験例1の結果を総合すると、T字剥離強度が0.2N/mm以下であれば、仮止めの際の初期接着力が適度になり、貼り合せ後に位置修正が容易で、電解質膜を伸ばしてしわを除去するも可能になることが明らかとなった。

0120

0121

試験例3:炭化水素系高分子電解質膜に対する仮止め容易性、及び粘接着組成物の漏出の有無の評価
1.補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)の作成及び評価
<補強材の作製>
表4に示す実施例11〜14及び比較3〜4の粘接着組成物の塗工液を調製し、プラスチック基材(テオネックスQ51(登録商標、帝人デュポンフィルム社製)(厚さ25μm、100mm×100mmの正方形の中心部に51mm×51mmの正方形の開口部を有する)上にブレードコート法で塗工、乾燥することにより、厚さ20μmの粘着層が積層された補強材を作製した。

0122

<触媒層−電解質膜積層体の作製>
炭化水素系高分子電解質膜(厚さ25μm、100mm×100mm)の両面に、50mm×50mm、層厚20μmの触媒層3を転写法により形成した。具体的には、白金触媒担持カーボン(白金担持量:45.7wt%、田中貴金属社製、TEC10E50E)2gに、1−ブタノール10g、2−ブタノール10g、フッ素樹脂(5wt%ナフィオンバインダー、デュポン社製)20g及び水6gを加え、これらを分散機にて攪拌混合することにより調製した触媒形成用ペーストを、触媒層乾燥後の白金重量が0.4mg/cm2となるようにポリエステルフィルム(東洋紡製、E5100、25μm)上に塗工して触媒層転写フィルムを作製した。そして、この触媒層転写フィルムを、触媒層が電解質膜側を向くように中心を合わせて電解質膜の両面に配置し、150℃、50MPa、10分の条件で熱プレスして電解質膜の両面に触媒層を形成した。

0123

<補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)の作製>
上記で得られた補強材と触媒層−電解質膜積層体を用いて、上記試験例1と同条件で補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)を作製した。

0124

<評価項目1:粘接着組成物の漏出の程度の評価>
本接着後の粘接着組成物の漏出の程度を、上記試験例1と同様の方法で評価した。

0125

2.補強材付き触媒層−電解質膜積層体(2)の作成及び評価
<補強材付き電解質膜の作製>
上記補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)で使用したものと同じ各補強材を、炭化水素系高分子電解質膜(厚さ25μm、100mm×100mm)の両面に積層し、指で圧着させて仮止めを行った後、100℃、6時間加熱熱処理(本接着)させ、補強材付き電解質膜を作製した。

0126

<評価項目2:仮止めした際の作業性の評価>
上記補強材付き電解質膜の作製時に、補強材と電解質膜を仮止めした際の作業性について、上記試験例1と同様の方法で評価した。

0127

<補強材付き触媒層−電解質膜積層体(2)の作成>
上記で得られた補強材付き電解質膜における電解質膜の両面に、上記補強材付き触媒層−電解質膜積層体(1)の作製の際に使用したものと同じ触媒転写フィルムを積層し、150℃、50MPa、10分の条件で熱圧処理を施し、補強材付き触媒層−電解質膜積層体(2)を作製した。

0128

<評価項目3:粘接着組成物の漏出の程度>
上記で得られた補強材付き触媒層−電解質膜積層体(2)において、粘接着組成物が、補強材と電解質膜の界面から漏出(横伸び)している程度を、上記試験例1と同様の方法で評価した。

0129

3.結果
得られた結果を表4に示す。表4から分かるように、フッ素系高分子電解質膜を使用した場合と同様に、炭化水素系高分子電解質膜を使用した場合において、エポキシ樹脂、脂肪族ポリアミド、及びポリチオール以外の硬化剤を含む粘接着組成物(比較例3)を使用すると、仮止めの際の初期接着力が弱く、圧着のみでは仮止めが不十分であった。また、エポキシ樹脂及びポリチオールを含み、且つ脂肪族ポリアミドを含まない粘接着組成物を使用した場合(比較例4)でも、十分な仮止めができなかった。これに対して、エポキシ樹脂、脂肪族ポリアミド、ポリチオール、及びイオン性液体を含む粘接着組成物を使用した場合(実施例11〜14)では、いずれも、仮止めの際の初期接着力が適度であり、貼り合せ後に位置修正が可能で、電解質膜を伸ばして電解質膜のしわを除去するもできた。また、実施例11〜14では、触媒層を積層させる熱圧着処理に晒されても、粘接着組成物が補強材と電解質膜の界面から漏出することなく、接着層を安定に維持できていた。

0130

0131

試験例4:炭化水素系高分子電解質膜に対するT型剥離強度の評価
プラスチック基材(テオネックスQ51(登録商標、帝人デュポンフィルム社製)(厚さ25μm、15mm×50mmの短冊状)を使用すること以外は、上記試験例1と同様の方法で、表4の実施例11〜14及び比較例3〜4に示す粘接着組成物からなる粘接着層(厚さ20μm)が積層された補強材を作製した。

0132

上記で得られた補強材と炭化水素系高分子電解質膜(厚さ25μm、100mm×100mm)を用いて、上記試験例2と同様の方法で、仮止め時(硬化前)のT型剥離強度と、熱圧着後(硬化後)のT型剥離強度の測定を行った。

0133

得られた結果を表5に示す。この結果からも、実施例11〜14に示す粘接着組成物は、炭化水素系高分子電解質膜に対して仮止めの際の初期接着力が適度であり、本接着後(熱圧着後)には高い接着力を示すことが確認された。

0134

0135

1基材
2 粘接着層
3補強材
4 開口部
5電解質膜
6触媒層
7 補強材付き触媒層−電解質膜積層体
8ガス拡散層
9 補強材付き膜−電極接合体

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