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技術 ポリオルガノシロキサンラテックス、それを用いたグラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物、及び成形体

出願人 三菱ケミカル株式会社ユーエムジー・エービーエス株式会社
発明者 脇田綾花笠井俊宏河野秀通武田茂也
出願日 2012年2月9日 (8年9ヶ月経過) 出願番号 2012-508689
公開日 2014年7月3日 (6年4ヶ月経過) 公開番号 WO2012-108485
状態 特許登録済
技術分野 高分子組成物 けい素重合体 マクロモノマー系付加重合体 非携帯用の照明装置またはそのシステム
主要キーワード pHメータ 電気機器筐体 トップコート処理 インテリア部材 自動車材 専用キャリア グラフト用単量体 一次加工
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課題・解決手段

耐候性耐衝撃性意匠性等に優れた各種成形体、その原料となるポリオルガノシロキサンラテックス及びグラフト共重合体を提供する。ポリオルガノシロキサン粒子質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7である、ポリオルガノシロキサンラテックス。このラテックスの存在下に、1種以上のビニル系単量体重合してなるポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体(g)。この共重合体の存在下に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(G)。このグラフト共重合体(Ga)と、それ以外の熱可塑性樹脂(Ha)を含む熱可塑性樹脂組成物。この樹脂組成物成形して得られる成形体。この脂組成物を成形して得られる成形体を含む車両灯具用ランプハウジング

概要

背景

ポリオルガノシロキサンラテックスは、樹脂添加剤繊維処理剤離型剤化粧品消泡剤塗料用添加剤等の原料として広く使用されており、その製造方法について種々の方法が提案されている。例えば、水系媒体中でオルガノシロキサン乳化重合して得られるポリオルガノシロキサンラテックスが、特許文献1及び特許文献2等に記載されている。

ラテックス中ポリオルガノシロキサンはその粒子径により特性が異なる。ポリオルガノシロキサンラテックスは、樹脂添加剤、繊維処理剤、離型剤、化粧品、消泡剤、塗料用添加剤等の原料として用いられる場合、これらの各目的物が要求する性能を発現させるために、最適な粒子径を有するものが求められる。従って粒子径、及び粒子径分布が制御されたポリオルガノシロキサンは、有用である。

これらの特許文献に記載された方法で製造されるラテックス中に含まれるポリオルガノシロキサンは、質量平均粒子径(Dw)が150〜800nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比で示される粒子径分布(Dw/Dn)が1.2以下(特許文献1)、数平均粒子径が100nm以下、粒子径の標準偏差が70nm以下(特許文献2)と記載されている。しかしながら、これらの特許文献においては、質量平均粒子径100nm〜200nmでDw/Dnが1.7以下のポリオルガノシロキサンを得ることは実際には困難であった。

ところで、自動車用テールランプストップランプヘッドランプ等の自動車用ランプは、ポリメチルメタクリレートPMMA樹脂ポリカーボネート(PC)樹脂等の透明樹脂からなるレンズと、それを支持するハウジングとから概略構成されている。このうち、ハウジングは、部分的に屋外日光に曝されるため、近年、耐候性に優れた材料からなることが望まれている。

この自動車用ランプの製造においては、従来、レンズとハウジングとがホットメルト接着剤接合され、一体化されていたが、より生産性を高めるため、最近では振動溶着法によって接合されることがある。ここで、振動溶着法とは摩擦熱を利用した溶着法であり、レンズの周縁端部をハウジングの周縁端部に押し当てた状態で、振れ幅0.5mm〜2.0mm、振動数200Hz〜300Hzの振動を与えてレンズとハウジングの間に摩擦熱を発生させ、レンズとハウジングとを溶融し、接合、一体化する方法である。このような振動溶着法においては、レンズとハウジングとの接合部分の仕上がり外観が良好であることが求められる。

振動溶着用の材料としては、ビニル重合性官能基含有シロキサンを含むポリオルガノシロキサンおよびアルキルメタアクリレートゴムからなる複合ゴム質重合体を含有するグラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物が開示されている。

自動車部品や各種電気機器筐体用の熱可塑性樹脂製成形体は、意匠性やその他の機能性を高めるために、該成形体の表面上に銅やクロムニッケル等の材料からなる金属膜を形成するメッキ表面処理を施すことがある。また、熱可塑性樹脂製の成形体の表面に、真空蒸着法スパッタリング法等によりアルミニウムやクロム等の金属膜(厚み数十nm〜数百nm)を形成する金属化処理を施すことがある。

後者の金属化処理では、成形体の光輝性を高くすることを目的として、金属化処理を施す前にあらかじめ塗装プラズマ重合によりアンダーコート層を形成するのが一般的であった。さらに、金属化処理により得られた金属膜を保護するために、シリコン系等の材料で構成されたトップコート層を形成することが一般的であった。

このように、従来の金属化処理は多数の工程と専用の装置、高コスト処理剤を必要とするものであったが、最近では、アンダーコート層の形成工程を省いた、いわゆる「ダイレクト(直接)蒸着法」が採用されている。このダイレクト蒸着法により得られる成形体の意匠性は、樹脂材料の種類や成形体の表面状態によって変動しやすいため、表面曇りのない美麗な光輝外観を安定して維持することが重要な課題の一つであった。

ダイレクト蒸着に適した樹脂材料としては、特許文献3に、特定の粒子径分布を有するゴム質重合体ビニル系単量体グラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂が開示されている。また、特許文献3には、ゴム質重合体の質量平均粒子径とその成分割合(質量%)が特定の関係を満たす熱可塑性樹脂組成物が開示されている。

一方、近年、自動車用部材は軽量化される傾向がある。そのため、自動車用部材にはこれまで以上に高い物性、例えば耐衝撃性が求められている。また、高い耐熱性はもちろんのこと、美麗な光輝外観の要求レベルも年々高くなっている。しかしながら、特許文献3に開示されている熱可塑性樹脂組成物では、近年の高い光輝性、耐衝撃性に対する要求レベルを十分に満足させることができなかった。

さらに近年、車輌部材建築部材において用いられる熱可塑性樹脂組成物において、低温下におけるより高い機械的強度が必要とされてきている。これ迄、ポリオルガノシロキサンゴムアクリルゴムを併用した複合ゴム系グラフト共重合体を用いた成形品表面外観衝撃性の性能を高める為に種々の努力が重ねられてきた。例えば、特許文献4においては、平均粒子径が10〜70nmで、100nmより大きい粒子全粒子体積の20%以下であるポリオルガノシロキサン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体を用いた熱可塑性樹脂組成物が開示されているが、このような樹脂組成物では近年の要求を充分満足出来る性能を得ることはできなかった。

概要

耐候性、耐衝撃性、意匠性等に優れた各種成形体、その原料となるポリオルガノシロキサンラテックス及びグラフト共重合体を提供する。ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7である、ポリオルガノシロキサンラテックス。このラテックスの存在下に、1種以上のビニル系単量体を重合してなるポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体(g)。この共重合体の存在下に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(G)。このグラフト共重合体(Ga)と、それ以外の熱可塑性樹脂(Ha)を含む熱可塑性樹脂組成物。この樹脂組成物を成形して得られる成形体。この脂組成物を成形して得られる成形体を含む車両灯具用ランプハウジング

目的

このうち、ハウジングは、部分的に屋外で日光に曝されるため、近年、耐候性に優れた材料からなることが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

ポリオルガノシロキサン粒子質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7である、ポリオルガノシロキサンラテックス

請求項2

前記ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径(Dw)における標準偏差が0〜80である請求項1に記載のポリオルガノシロキサンラテックス。

請求項3

前記ポリオルガノシロキサン粒子の粒子径50nm未満の粒子の割合が全粒子の5質量%以下、粒子径300nm以上の粒子の割合が全粒子の20質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオルガノシロキサンラテックス。

請求項4

請求項1〜3のいずれかの一項に記載のポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、1種以上のビニル系単量体重合して得られるポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体

請求項5

前記ポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体の粒子の質量平均粒子径(Dw)が110nm〜800nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜2.0である、請求項4に記載のポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体。

請求項6

前記ビニル系単量体がアクリル酸エステルである請求項4又は5に記載のポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体。

請求項7

請求項4に記載のポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体の存在下に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(G)。

請求項8

請求項7に記載のグラフト共重合体(G)であって、下記組成物を下記条件で成形した成形体が、下記測定条件による評価において以下の(1)及び(2)で示される性能を有するグラフト共重合体(Ga):(1)23℃におけるシャルピー衝撃強度が6kJ/m2以上、(2)拡散反射率が5%以下。<試験片作製条件>;(a)グラフト共重合体(Ga)33質量部、(b)アクリロニトリル単位25質量%、スチレン単位75質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度(ηsp/c)が0.40dL/gであるアクリロニトリルスチレン共重合体9質量部、(c)アクリロニトリル単位28質量%、スチレン単位72質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度が0.62dL/gであるアクリロニトリル・スチレン共重合体9質量部、(d)アクリロニトリル単位22質量%、スチレン単位55質量%、N−フェニルマレイミド単位23質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度が0.66dL/gであるアクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体50質量部、(e)エチレンビスステアリルアミド0.5質量部、(f)シリコーンオイル0.03質量部、及び(g)カーボンブラック0.05質量部。上記の7種類の材料(a)〜(g)を配合し、バレル温度260℃に加熱した脱揮式押出機(日本製鋼所(株)製TEX−30α)にて混練してペレットを得る。このペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)にて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で成形して試験片1(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm)を得る。また、同様して、シリンダー温度260℃、金型温度60℃、射出率が5g/秒の条件で、長さ100mm、幅100mm、厚み2mmの板状の成形体2を得る。<シャルピー衝撃強度測定条件>;ISO179に準拠する方法により、23℃の雰囲気下で12時間以上放置したVノッチあり試験片1について測定する。<拡散反射率測定条件>;成形体2の表面に、真空蒸着法(ULVAC製VPC−1100)により、真空度6.0×10−3Pa、成膜速度10Å/秒の条件で50nmのアルミニウム膜を成膜(ダイレクト蒸着)する。得られた成形体について、反射率計((有)東京電色製TR−1100AD)にて拡散反射率(%)を測定する。

請求項9

請求項8に記載のグラフト共重合体(Ga)であって、ポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体100質量%基準でポリオルガノシロキサン5〜25質量%を含み、質量平均粒子径(Dw)が120〜200nmであり、粒子径100nm以下の粒子の割合が全粒子の15質量%以下、粒子径400nm以上の粒子の割合が全粒子の1質量%以下であるポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体の混合物がグラフト重合されたグラフト共重合体(Ga)。

請求項10

前記ポリオルガノシロキサンがシロキサン系架橋剤由来する成分を、オルガノシロキサン100質量部に対し0.5〜5質量部を含むことを特徴とする請求項9に記載のグラフト共重合体(Ga)。

請求項11

請求項8〜10のいずれかの一項に記載のグラフト共重合体(Ga)と、それ以外の熱可塑性樹脂(Ha)とを含む熱可塑性樹脂組成物(Ia)。

請求項12

前記熱可塑性樹脂(Ha)が、シアン化ビニル系単量体単位0〜40質量%、芳香族ビニル系単量体単位40〜80質量%、他の共重合可能単量体単位0〜60質量%からなる共重合体であることを特徴とする請求項11に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ia)。

請求項13

請求項11又は12に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ia)を成形して得られる成形体。

請求項14

請求項11又は12に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ia)を成形して得られる成形体を含む車両灯具用ランプハウジング

請求項15

請求項7に記載のグラフト共重合体(G)であって、下記組成物を下記条件で成形した成形体が、下記測定条件による評価において以下の(1)及び(2)で示される性能を有するグラフト共重合体(Gb):(1)L*が24以下、(2)−30℃におけるシャルピー衝撃強度が6kJ/m2以上。<試験片作製条件>;(a)グラフト共重合体(Gb)42質量部、(b)アクリロニトリル単位34質量%、スチレン単位66質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度(ηsp/c)が0.62dL/gであるアクリロニトリル・スチレン共重合体58質量部、(c)エチレンビスステアリルアミド0.3質量部、及び、(d)カーボンブラック0.5質量部。上記の4種類の材料(a)〜(d)を配合し、バレル温度230℃に加熱した脱揮式押出機((株)池製、PCM−30)にて混練してペレットを得る。このペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)にて、シリンダー温度230℃、金型温度60℃の条件で成形して試験片3(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm)及び引張試験片4(長さ170mm、幅20mm、厚み4mm)を得る。<シャルピー衝撃強度測定条件>;ISO179に準拠する方法により、−30℃の雰囲気下で12時間以上放置したVノッチあり試験片3について測定する。<L*測定条件>;引張試験片4について、コニカミノルセンシング(株)製の測色計CM−508Dを用いて反ゲート側でL*を測定する。

請求項16

請求項15に記載のグラフト共重合体(Gb)であって、ポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体100質量%基準でポリオルガノシロキサン15〜80質量%を含み、質量平均粒子径(Dw)が110〜250nm、粒子径100nm未満の粒子の割合が全粒子の20質量%以下、粒子径300nm以上の粒子の割合が全粒子の20質量%以下であるポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体の混合物がグラフト重合されたグラフト共重合体(Gb)。

請求項17

前記ポリオルガノシロキサンがシロキサン系架橋剤に由来する成分を、オルガノシロキサン100質量部に対し0.5〜3質量部を含むことを特徴とする請求項16に記載のグラフト共重合体(Gb)。

請求項18

請求項15〜17のいずれかの一項に記載のグラフト共重合体(Gb)とそれ以外の熱可塑性樹脂(Hb)を含む熱可塑性樹脂組成物(Ib)。

請求項19

前記熱可塑性樹脂(Hb)が、シアン化ビニル系単量体単位0〜40質量%、芳香族ビニル系単量体単位40〜80質量%、これらと共重合可能な他のビニル系単量体単位0〜60質量%からなる共重合体であることを特徴とする請求項18に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ib)。

請求項20

請求項18又は19に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ib)を成形して得られる成形体。

請求項21

水、有機酸触媒、及び無機酸触媒を含む水性媒体(A)に、オルガノシロキサン、乳化剤及び水を含むエマルション(B)を滴下させて重合する、ポリオルガノシロキサンのラテックスの製造方法であって、有機酸触媒と乳化剤の総量が、オルガノシロキサン100質量部に対し0.5〜6質量部であり、且つ、25℃で測定した水性媒体(A)のpHが0〜1.2の範囲内であり、オルガノシロキサンの総使用量を100質量部と表示した場合、エマルション(B)の滴下速度が、オルガノシロキサンの供給量が0.5[質量部/分]以下となる速度である、ポリオルガノシロキサンのラテックスの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ポリオルガノシロキサンラテックス、それを用いたグラフト共重合体熱可塑性樹脂組成物、及び成形体等に関する。

背景技術

0002

ポリオルガノシロキサンラテックスは、樹脂添加剤繊維処理剤離型剤化粧品消泡剤塗料用添加剤等の原料として広く使用されており、その製造方法について種々の方法が提案されている。例えば、水系媒体中でオルガノシロキサン乳化重合して得られるポリオルガノシロキサンラテックスが、特許文献1及び特許文献2等に記載されている。

0003

ラテックス中ポリオルガノシロキサンはその粒子径により特性が異なる。ポリオルガノシロキサンラテックスは、樹脂添加剤、繊維処理剤、離型剤、化粧品、消泡剤、塗料用添加剤等の原料として用いられる場合、これらの各目的物が要求する性能を発現させるために、最適な粒子径を有するものが求められる。従って粒子径、及び粒子径分布が制御されたポリオルガノシロキサンは、有用である。

0004

これらの特許文献に記載された方法で製造されるラテックス中に含まれるポリオルガノシロキサンは、質量平均粒子径(Dw)が150〜800nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比で示される粒子径分布(Dw/Dn)が1.2以下(特許文献1)、数平均粒子径が100nm以下、粒子径の標準偏差が70nm以下(特許文献2)と記載されている。しかしながら、これらの特許文献においては、質量平均粒子径100nm〜200nmでDw/Dnが1.7以下のポリオルガノシロキサンを得ることは実際には困難であった。

0005

ところで、自動車用テールランプストップランプヘッドランプ等の自動車用ランプは、ポリメチルメタクリレートPMMA樹脂ポリカーボネート(PC)樹脂等の透明樹脂からなるレンズと、それを支持するハウジングとから概略構成されている。このうち、ハウジングは、部分的に屋外日光に曝されるため、近年、耐候性に優れた材料からなることが望まれている。

0006

この自動車用ランプの製造においては、従来、レンズとハウジングとがホットメルト接着剤接合され、一体化されていたが、より生産性を高めるため、最近では振動溶着法によって接合されることがある。ここで、振動溶着法とは摩擦熱を利用した溶着法であり、レンズの周縁端部をハウジングの周縁端部に押し当てた状態で、振れ幅0.5mm〜2.0mm、振動数200Hz〜300Hzの振動を与えてレンズとハウジングの間に摩擦熱を発生させ、レンズとハウジングとを溶融し、接合、一体化する方法である。このような振動溶着法においては、レンズとハウジングとの接合部分の仕上がり外観が良好であることが求められる。

0007

振動溶着用の材料としては、ビニル重合性官能基含有シロキサンを含むポリオルガノシロキサンおよびアルキルメタアクリレートゴムからなる複合ゴム質重合体を含有するグラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物が開示されている。

0008

自動車部品や各種電気機器筐体用の熱可塑性樹脂製の成形体は、意匠性やその他の機能性を高めるために、該成形体の表面上に銅やクロムニッケル等の材料からなる金属膜を形成するメッキ表面処理を施すことがある。また、熱可塑性樹脂製の成形体の表面に、真空蒸着法スパッタリング法等によりアルミニウムやクロム等の金属膜(厚み数十nm〜数百nm)を形成する金属化処理を施すことがある。

0009

後者の金属化処理では、成形体の光輝性を高くすることを目的として、金属化処理を施す前にあらかじめ塗装プラズマ重合によりアンダーコート層を形成するのが一般的であった。さらに、金属化処理により得られた金属膜を保護するために、シリコン系等の材料で構成されたトップコート層を形成することが一般的であった。

0010

このように、従来の金属化処理は多数の工程と専用の装置、高コスト処理剤を必要とするものであったが、最近では、アンダーコート層の形成工程を省いた、いわゆる「ダイレクト(直接)蒸着法」が採用されている。このダイレクト蒸着法により得られる成形体の意匠性は、樹脂材料の種類や成形体の表面状態によって変動しやすいため、表面曇りのない美麗な光輝外観を安定して維持することが重要な課題の一つであった。

0011

ダイレクト蒸着に適した樹脂材料としては、特許文献3に、特定の粒子径分布を有するゴム質重合体ビニル系単量体グラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂が開示されている。また、特許文献3には、ゴム質重合体の質量平均粒子径とその成分割合(質量%)が特定の関係を満たす熱可塑性樹脂組成物が開示されている。

0012

一方、近年、自動車用部材は軽量化される傾向がある。そのため、自動車用部材にはこれまで以上に高い物性、例えば耐衝撃性が求められている。また、高い耐熱性はもちろんのこと、美麗な光輝外観の要求レベルも年々高くなっている。しかしながら、特許文献3に開示されている熱可塑性樹脂組成物では、近年の高い光輝性、耐衝撃性に対する要求レベルを十分に満足させることができなかった。

0013

さらに近年、車輌部材建築部材において用いられる熱可塑性樹脂組成物において、低温下におけるより高い機械的強度が必要とされてきている。これ迄、ポリオルガノシロキサンゴムアクリルゴムを併用した複合ゴム系グラフト共重合体を用いた成形品表面外観衝撃性の性能を高める為に種々の努力が重ねられてきた。例えば、特許文献4においては、平均粒子径が10〜70nmで、100nmより大きい粒子全粒子体積の20%以下であるポリオルガノシロキサン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体を用いた熱可塑性樹脂組成物が開示されているが、このような樹脂組成物では近年の要求を充分満足出来る性能を得ることはできなかった。

先行技術

0014

特開2007−321066公報
特開平05−194740公報
特開2003−128868公報
特開平06−25492公報

発明が解決しようとする課題

0015

本発明は、耐候性、耐衝撃性、意匠性等に優れた各種成形体(特に自動車部品、各種電気機器筐体、建築部材等)、その原料となるポリオルガノシロキサンラテックス及びグラフト共重合体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0016

前記課題は、以下の本発明[1]〜[24]によって解決される。

0017

[1]ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7である、ポリオルガノシロキサンラテックス。

0018

[2]前記ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径(Dw)における標準偏差が0〜80である前記[1]に記載のポリオルガノシロキサンラテックス。

0019

[3]前記ポリオルガノシロキサン粒子の粒子径50nm未満の粒子の割合が全粒子の5質量%以下、粒子径300nm以上の粒子の割合が全粒子の20質量%以下であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のポリオルガノシロキサンラテックス。

0020

[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、1種以上のビニル系単量体を重合して得られるポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体

0021

[5]前記ポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体の粒子の質量平均粒子径(Dw)が110nm〜800nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜2.0である、前記[4]に記載のポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体。

0022

[6]前記ビニル系単量体がアクリル酸エステルである前記[4]又は[5]に記載のポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体。

0023

[7]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体の存在下に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(G)。

0024

[8]前記[7]に記載のグラフト共重合体(G)であって、下記組成物を下記条件で成形した成形体が、下記測定条件による評価において以下の(1)及び(2)で示される性能を有するグラフト共重合体(Ga):
(1)23℃におけるシャルピー衝撃強度が6kJ/m2以上、
(2)拡散反射率が5%以下。

0025

試験片作製条件>;
(a)グラフト共重合体(Ga)33質量部、
(b)アクリロニトリル単位25質量%、スチレン単位75質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度(ηsp/c)が0.40dL/gであるアクリロニトリルスチレン共重合体9質量部、
(c)アクリロニトリル単位28質量%、スチレン単位72質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度が0.62dL/gであるアクリロニトリル・スチレン共重合体9質量部、
(d)アクリロニトリル単位22質量%、スチレン単位55質量%、N−フェニルマレイミド単位23質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度が0.66dL/gであるアクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体50質量部、
(e)エチレンビスステアリルアミド0.5質量部、
(f)シリコーンオイル0.03質量部、及び
(g)カーボンブラック0.05質量部。

0026

上記の7種類の材料(a)〜(g)を配合し、バレル温度260℃に加熱した脱揮式押出機(日本製鋼所(株)製TEX−30α)にて混練してペレットを得る。このペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)にて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で成形して試験片1(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm)を得る。また、同様して、シリンダー温度260℃、金型温度60℃、射出率が5g/秒の条件で、長さ100mm、幅100mm、厚み2mmの板状の成形体2を得る。

0027

<シャルピー衝撃強度測定条件>;
ISO 179に準拠する方法により、23℃の雰囲気下で12時間以上放置したVノッチあり試験片1について測定する。

0028

<拡散反射率測定条件>;
成形体2の表面に、真空蒸着法(ULVAC製 VPC−1100)により、真空度6.0×10−3Pa、成膜速度10Å/秒の条件で50nmのアルミニウム膜を成膜(ダイレクト蒸着)する。得られた成形体について、反射率計((有)東京電色製 TR−1100AD)にて拡散反射率(%)を測定する。

0029

[9]前記[8]に記載のグラフト共重合体(Ga)であって、ポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体100質量%基準でポリオルガノシロキサン5〜25質量%を含み、質量平均粒子径(Dw)が120〜200nmであり、粒子径100nm以下の粒子の割合が全粒子の15質量%以下、粒子径400nm以上の粒子の割合が全粒子の1質量%以下であるポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体の混合物がグラフト重合されたグラフト共重合体(Ga)。

0030

[10]前記ポリオルガノシロキサンがシロキサン系架橋剤由来する成分を、オルガノシロキサン100質量部に対し0.5〜5質量部を含むことを特徴とする前記[8]または[9]に記載のグラフト共重合体(Ga)。

0031

[11]前記[8]〜[10]のいずれかに記載のグラフト共重合体(Ga)と、それ以外の熱可塑性樹脂(Ha)とを含む熱可塑性樹脂組成物(Ia)。

0032

[12]前記熱可塑性樹脂(Ha)が、シアン化ビニル系単量体単位0〜40質量%、芳香族ビニル系単量体単位40〜80質量%、他の共重合可能単量体単位0〜60質量%からなる共重合体であることを特徴とする前記[11]に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ia)。

0033

[13]前記[11]又は[12]に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ia)を成形して得られる成形体。

0034

[14]前記[11]又は[12]に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ia)を成形して得られる成形体を含む車両灯具用ランプハウジング

0035

[15]前記[7]に記載のグラフト共重合体(G)であって、下記組成物を下記条件で成形した成形体が、下記測定条件による評価において以下の(1)及び(2)で示される性能を有するグラフト共重合体(Gb):
(1)L*が24以下、
(2)−30℃におけるシャルピー衝撃強度が6kJ/m2以上。

0036

<試験片作製条件>;
(a)グラフト共重合体(Gb)42質量部、
(b)アクリロニトリル単位34質量%、スチレン単位66質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度(ηsp/c)が0.62dL/gであるアクリロニトリル・スチレン共重合体58質量部、
(c)エチレンビスステアリルアミド0.3質量部、及び、
(d)カーボンブラック0.5質量部。

0037

上記の4種類の材料(a)〜(d)を配合し、バレル温度230℃に加熱した脱揮式押出機((株)池製、PCM−30)にて混練してペレットを得る。このペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)にて、シリンダー温度230℃、金型温度60℃の条件で成形して試験片3(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm)及び引張試験片4(長さ170mm、幅20mm、厚み4mm)を得る。

0038

<シャルピー衝撃強度測定条件>;
ISO 179に準拠する方法により、−30℃の雰囲気下で12時間以上放置したVノッチあり試験片3について測定する。

0039

<L*測定条件>;
引張試験片4について、コニカミノルセンシング(株)製の測色計CM−508Dを用いて反ゲート側でL*を測定する。

0040

[16]前記[15]に記載のグラフト共重合体(Gb)であって、ポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体100質量%基準でポリオルガノシロキサン15〜80質量%を含み、質量平均粒子径(Dw)が110〜250nm、粒子径100nm未満の粒子の割合が全粒子の20質量%以下、粒子径300nm以上の粒子の割合が全粒子の20質量%以下であるポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体の混合物がグラフト重合されたグラフト共重合体(Gb)。

0041

[17]前記ポリオルガノシロキサンがシロキサン系架橋剤に由来する成分を、オルガノシロキサン100質量部に対し0.5〜3質量部を含むことを特徴とする前記[15]または[16]に記載のグラフト共重合体(Gb)。

0042

[18]前記[15]〜[17]のいずれかに記載のグラフト共重合体(Gb)とそれ以外の熱可塑性樹脂(Hb)を含む熱可塑性樹脂組成物(Ib)。

0043

[19]前記熱可塑性樹脂(Hb)が、シアン化ビニル系単量体単位0〜40質量%、芳香族ビニル系単量体単位40〜80質量%、これらと共重合可能な他のビニル系単量体単位0〜60質量%からなる共重合体であることを特徴とする前記[18]に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ib)。

0044

[20]前記[18]又は[19]に記載の熱可塑性樹脂組成物(Ib)を成形して得られる成形体。

0045

[21]水、有機酸触媒、及び無機酸触媒を含む水性媒体(A)に、オルガノシロキサン、乳化剤及び水を含むエマルション(B)を滴下させて重合する、ポリオルガノシロキサンのラテックスの製造方法であって、有機酸触媒と乳化剤の総量が、オルガノシロキサン100質量部に対し0.5〜6質量部であり、且つ、25℃で測定した水性媒体(A)のpHが0〜1.2の範囲内であり、オルガノシロキサンの総使用量を100質量部と表示した場合、エマルション(B)の滴下速度が、オルガノシロキサンの供給量が0.5[質量部/分]以下となる速度である、ポリオルガノシロキサンのラテックスの製造方法。

0046

[22]前記有機酸触媒と乳化剤の総量が、オルガノシロキサン100質量部に対し0.5〜6質量部であり、且つ、25℃で測定した水性媒体(A)のpHが0〜1.0の範囲内である、前記[21]記載の方法。

0047

[23]前記エマルション(B)の滴下速度が、オルガノシロキサンの供給速度が0.5質量部/分以下となる速度である、前記[21]または[22]に記載の方法。

0048

[24]前記有機酸触媒が、脂肪族スルホン酸類、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸類、及び脂肪族置換ナフタレンスルホン酸類のうちから選ばれる少なくとも1種以上を含む前記[22]又は[23]記載の方法。

発明の効果

0049

本発明によれば、耐候性、耐衝撃性、意匠性等に優れた各種成形体(特に自動車部品、各種電気機器筐体、建築部材等)、その原料となるポリオルガノシロキサンラテックス及びグラフト共重合体が提供される。

0050

[ポリオルガノシロキサンラテックス]
本発明のポリオルガノシロキサンラテックスは、ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7である。Dw及びDw/Dnこの範囲にあることで、ポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体及びグラフト共重合体を配合した成形体の光輝性、発色性、耐衝撃性が優れる。Dwは100〜190nmが好ましい。Dw/Dnは1.0〜1.3が好ましい。

0051

このポリオルガノシロキサンラテックスは、ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径(Dw)における標準偏差が0〜80であることが好ましい。

0052

このポリオルガノシロキサンラテックス中のポリオルガノシロキサン粒子は、粒子径50nm未満の粒子の割合が全粒子の5質量%以下であり、粒子径300nm以上の粒子の割合が全粒子の20質量%以下であることが好ましい。

0053

本発明のポリオルガノシロキサンラテックスは、例えば、水、有機酸触媒、及び無機酸触媒を含む水性媒体(A)に、オルガノシロキサン、乳化剤及び水を含むエマルション(B)を滴下させて重合することによって製造される。具体的な製造条件は、例えば、有機酸触媒と乳化剤の総量が、オルガノシロキサン100質量部に対し0.5〜6質量部であり、且つ、25℃で測定した水性媒体(A)のpHが0〜1.2の範囲内であり、オルガノシロキサンの総使用量を100質量部と表示した場合、エマルション(B)の滴下速度が、オルガノシロキサンの供給量が0.5[質量部/分]以下となる速度である。

0054

有機酸触媒と乳化剤の総量は、オルガノシロキサン100質量部に対し0.8〜6質量部であることが好ましい。また、25℃で測定した前記水性媒体(A)のpHは、0.1〜1.2の範囲内であることが好ましく、0.5〜1.2の範囲内であることが好ましい。

0055

上記ポリオルガノシロキサンラテックスの製造方法に用いる水性媒体(A)は、水、有機酸触媒及び無機酸触媒を含む。かかる水としては、脱イオン水を用いることができる。水性媒体(A)に含まれる水の量は、後述するエマルション(B)に含まれるオルガノシロキサン100質量部に対し60〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは60〜100質量部である。水性媒体(A)に含まれる水の量が60質量部以上であれば、得られるラテックスが高粘度になるのを抑制することができ、取り扱いが容易である。また水性媒体(A)に含まれる水の量が300質量部以下であれば、生産性のよい製造が可能であり、得られるラテックス中の固形分濃度の低下を抑制することができる。

0056

有機酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類が好ましく、オルガノシロキサンラテックスの安定化作用にも優れている点で、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸がより好ましい。脂肪族置換ベンゼンスルホン酸における脂肪族置換基としては、炭素数9〜20のアルキル基が好ましく、炭素数12のn−ドデシル基がより好ましい。

0057

無機酸触媒としては、硫酸塩酸硝酸等の鉱酸類を挙げることができる。これらの中では硫酸が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0058

これらの触媒は、水性媒体(A)のpHが、得られるポリオルガノシロキサンの粒子径を決定する重要な因子となることから、水性媒体(A)の25℃におけるpHが0〜1.2の範囲になるように、その使用量が調整される。水性媒体(A)のpHを上記範囲に調整することにより、粒子径分布の狭いポリオルガノシロキサンを得ることができる。水性媒体(A)の25℃におけるpHは、pHの調整が容易であることから、0.5〜1.2の範囲であることが好ましい。

0059

水性媒体(A)のpHがポリオルガノシロキサンの粒子径を決定する重要な因子となるのは、以下の理由からである。エマルション(B)の油滴中に存在するオルガノシロキサンが酸触媒と接触してシラノールを形成して水相中に溶解し、このシラノールが、有機酸触媒と乳化剤のミセルに到達して縮合する反応と、油滴中での縮合反応とが同時に進行する。水性媒体(A)のpHが充分低い場合、シラノールの生成速度が速くなり、シラノールによる縮合反応が促進され、油滴中での縮合反応速度が相対的に遅くなるため、狭い粒子径分布を有するポリオルガノシロキサンが形成される。一方、水性媒体(A)のpHが1.2を超えると、シラノールの生成速度が遅くなり、油滴中での縮合反応の進行が無視できなくなるため、得られるポリオルガノシロキサンの粒子径が大きくなり、粒子径分布も広くなる。水性媒体(A)のpHを上記範囲とすることにより、粒子径分布の狭いポリオルガノシロキサンを得ることができる。

0060

このような水性媒体(A)のpHは、有機酸触媒と無機酸触媒の含有率を調整することにより、調整することができる。ここで、pHの値は、25℃でpHメータモデルPH82:横河電機(株)製)により測定し、pH4.01と6.86の2点で修正した値を採用することができる。

0061

水性媒体(A)中の有機酸触媒の含有率は0.1〜5.5質量%が好ましく、0.1〜2.5質量%がより好ましい。水性媒体(A)中の無機酸触媒の含有率は、得られるラテックスを原料として樹脂用添加剤等を合成する場合に、ラテックス中に残存する無機酸触媒が樹脂の分解や着色等を生じさせないという観点から、0.5〜2.0質量%が好ましく、1.3〜2.0質量%がより好ましい。但し、これらの値は、水性媒体(A)100質量%を基準とする。水性媒体(A)は、これらの成分を適宜、混合攪拌して得ることができる。

0062

上記エマルション(B)はオルガノシロキサン、乳化剤及び水を含む。オルガノシロキサンとしては、鎖状オルガノシロキサン、環状オルガノシロキサンのいずれも用いることができるが、環状オルガノシロキサンは、重合安定性が高く、重合速度が大きいので好ましい。環状オルガノシロキサンとしては、3〜7員環のものが好ましく、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサンオクタメチルシクロテトラシロキサンデカメチルシクロペンタシロキサンドデカメチルシクロヘキサシロキサントリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンテトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサンオクタフェニルシクロテトラシロキサンを挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0063

上記オルガノシロキサンとして、例えば、信越化学工業(株)製DMC等の市販品を使用することができる。

0064

上記エマルション(B)に用いる乳化剤としては、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が好ましい。アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムアルキル硫酸ナトリウムポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウムポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等を挙げることができる。

0066

エマルション(B)中における乳化剤の含有量は、オルガノシロキサンを微小な油滴状に分散させ、この油滴と水性媒体(A)に含まれる有機酸触媒とを適切に接触させシラノールの生成を促進させることが可能な量とすることが必要である。乳化剤の含有量は、水性媒体(A)に含まれる有機酸触媒との総量がオルガノシロキサン100質量部に対して0.5〜6質量部の範囲である。有機酸触媒の含有量を少なくする場合は、乳化剤の含有量を拮抗させて増加させ、これらの総量が0.5〜6質量部の範囲内になるよう調整される。これらの総量が、オルガノシロキサン100質量部に対して、0.5質量部以上であれば、得られるポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径を200nm以下にすることができ、粒子径分布を狭くすることができる。また、これらの総量が、オルガノシロキサン100質量部に対して、6質量部以下であれば、得られるポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径が100nm以上となり、粒子径分布が狭くなる。これらの総量は、オルガノシロキサン100質量部に対し、て0.8〜6質量部であることが好ましく、0.8〜3質量部であることがより好ましい。

0067

更に、オルガノシロキサン100質量部に対して、有機酸触媒を0.3〜5.5質量部とし、かつ、乳化剤を0.5〜5.7質量部とすることが好ましい。

0068

上記エマルション(B)に用いる水としては、脱イオン水を用いることができる。エマルション(B)中における水の含有量は、オルガノシロキサンの質量に対し10倍以下であることが好ましい。水の含有量がオルガノシロキサンの質量の10倍以下であれば、得られるラテックス中におけるポリオルガノシロキサンの濃度が低下するのを抑制することができる。ポリオルガノシロキサンの濃度が適度な値のポリオルガノシロキサンのラテックスにビニル単量体を添加してグラフト重合した場合、一回の重合によって効率よくグラフト共重合体を合成することができる。また、得られるポリオルガノシロキサンのラテックスを塗料として用いた場合、塗布膜の乾燥時間が長くなるのを抑制することができる。

0069

上記エマルション(B)中には、シロキサン系架橋剤及び/又はシロキサン系グラフト交叉剤を含有させることができる。これらの架橋剤及グラフト交叉剤としては、シロキシ基を有するものが好ましい。シロキサン系架橋剤を用いることによって、架橋構造を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。シロキサン系架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラントリエトキシフェニルシランテトラメトキシシランテトラエトキシシランテトラ−n−プロポキシシランテトラブトキシシラン等の3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤を挙げることができる。中でも、4官能性の架橋剤が好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。架橋剤の含有率は、オルガノシロキサン100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましく、0.5〜3質量部であることが特に好ましい。

0070

シロキサン系グラフト交叉剤は、シロキシ基を有すると共にビニル単量体と重合可能な官能基を有するものである。シロキサン系グラフト交叉剤を用いることによって、ビニル単量体と重合可能な官能基を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。従って、このようにして得られたポリオルガノシロキサンには、ビニル単量体をラジカル重合によってグラフトさせることができる。シロキサン系グラフト交叉剤としては、式(1)で表されるシロキサンを挙げることができる。

0071

RSiR1n(OR2)(3−n) (I)

0072

式(I)中、R1は、メチル基エチル基プロピル基、又はフェニル基を示す。R2は、アルコキシ基における有機基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を挙げることができる。nは、0、1又は2を示す。Rは、式(I−1)〜(I−4)で表されるいずれかの基を示す。

0073

CH2=C(R3)−COO−(CH2)p− (I−1)
CH2=C(R4)−C6H4− (I−2)
CH2=CH− (I−3)
HS−(CH2)p− (I−4)

0074

これらの式中、R3及びR4は、それぞれ、水素又はメチル基を示し、pは1〜6の整数を示す。

0075

式(I−1)で表される官能基としては、メタクリロイルオキシアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシランを挙げることができる。

0076

式(I−2)で表される官能基としては、ビニルフェニル基等を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルフェニルエチルジメトキシシランを挙げることができる。

0077

式(I−3)で表される官能基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシランを挙げることができる。

0078

式(I−4)で表される官能基としては、メルカプトアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとして、γ−メルカプトプロピルメトキメルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシロキサン系グラフト交叉剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。

0079

シロキサン系グラフト交叉剤の含有率は、オルガノシロキサン100質量部に対して、0.05〜20質量部であることが好ましい。シロキサン系架橋剤とシロキサン系グラフト交叉剤は、併用することが好ましく、オルガノシロキサン100質量部に対して、シロキサン系架橋剤0.5〜5質量部及びシロキサン系グラフト交叉剤0.05〜5質量部を併用することが好ましい。

0080

更に、エマルション(B)は、必要に応じて末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーを含有していてもよい。末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとは、オルガノシロキサンオリゴマー末端にアルキル基等を有し、ポリオルガノシロキサンの重合を停止させるシロキサンオリゴマーをいう。

0081

末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとしては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピルテトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシトリメチルシランを挙げることができる。

0082

エマルション(B)の調製は、上記オルガノシロキサン、乳化剤及び水を混合して、その混合物を、剪断力を与えるように攪拌して、乳化させる方法によって行うことができる。攪拌装置としては、撹拌翼と槽を有する一般的な撹拌装置を使用できるが、高圧乳化装置を使用することが好ましい。高圧乳化装置は、原料混合物高圧状態撹拌し、剪断力を与えて乳化する装置であり、例えば、ホモジナイザーを挙げることができる。このような高圧乳化装置を使用すると、安定なエマルションを効率的に生成できる。

0083

このようにして得られたエマルション(B)を水性媒体(A)中に滴下してポリオルガノシロキサンラテックスを得ることができる。水性媒体(A)の温度は、60〜100℃であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。水性媒体(A)の温度が60℃以上であれば、酸触媒が充分に解離して、オルガノシロキサンと接触して有効にシラノールを生成することができる。100℃以下であれば、高圧重合設備を要しない。

0084

オルガノシロキサンの総使用量を100質量部と表示した場合、エマルション(B)の滴下速度は、オルガノシロキサンの供給量が、0.5[質量部/分]以下となる速度で滴下することが好ましく、より好ましくは0.3[質量部/分]以下である。オルガノシロキサンの供給量が0.5[質量部/分]以下であれば、シラノールの生成を促進させ、酸触媒を含まないミセル中でのオルガノシロキサンの縮合反応の進行を抑制することができ、粒子径分布の狭いポリオルガノシロキサンが得られる。

0085

また、オルガノシロキサンの総使用量を100質量部と表示した場合、エマルション(B)の滴下速度は、オルガノシロキサンの供給量が、0.05[質量部/分]以上となる速度で滴下することが好ましく、より好ましくは0.08[質量部/分]以上である。オルガノシロキサンの供給量が0.05[質量部/分]以上であれば、生産性の低下を抑制することができる。

0086

エマルション(B)の滴下は、上記のように、60〜100℃の温度で、3〜34時間で行なうことが、反応を効率よく進行させることができ、好ましい。

0087

エマルション(B)の滴下終了後、更に加熱することが好ましく、例えば、2〜50時間行なうことができる。滴下後の加熱により、オルガノシロキサンから発生したシラノ−ルをほぼ完全に反応させることができる。

0088

更に、30℃以下の温度においては、シラノール間の架橋反応が進行することから、ポリオルガノシロキサンの架橋密度を上げるために、30℃以下の温度で5時間から100時間程度保持することもできる。

0089

ポリオルガノシロキサンの縮合反応は、ラテックスを水酸化ナトリウム水酸化カリウムアンモニア水溶液等のアルカリ性物質でpH6〜8に中和して、終了させることができる。

0090

このようにして得られるポリオルガノシロキサンは、質量平均粒子径(Dw)100〜200nmの範囲で、Dw/Dnが1.7以下の粒子径分布の狭いものである。また、有機酸触媒と乳化剤の総量をオルガノシロキサン100質量部に対し0.8〜6質量部の範囲で調整することにより、ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径を100〜200nmの範囲で所望のものに調整することができる。

0091

ポリオルガノシロキサンの粒子径は、以下の方法で測定した値を採用することができる。ポリオルガノシロキサンのラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて粒子径を測定する。

0092

測定はMATEC社が推奨する下記の標準条件で行なうことができる。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名;C−202)、
キャリア液専用キャリア液(商品名;2XGR500)、
キャリア液の液性:ほぼ中性
キャリア液の流速:1.4ml/分、
キャリア液の圧力:約4,000psi(2,600kPa)、
測定温度:35℃、
試料使用量:0.1ml。
また、標準粒子物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲で合計12点の粒子径のものを用いる。

0093

上記方法により得られるポリオルガノシロキサンのラテックスには、機械的安定性を向上させる目的で、必要に応じて、乳化剤を添加してもよい。乳化剤としては、上記で例示したものと同様のアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好ましい。

0094

乳化剤の添加量は、オルガノシロキサン100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましい。0.05質量部以上であれば、ラテックスの機械的安定性が向上する。また、10質量部以下であれば、ポリオルガノシロキサンラテックスを原料にして得られる樹脂用の添加剤において、着色の発生を抑制することができる。

0095

本発明のポリオルガノシロキサンのラテックスは、樹脂用の衝撃強度改良剤の原料として好適に用いられる。また、毛髪化粧料皮膚化粧料メーキャップ化粧料をはじめとする各種の化粧料自動車家具皮革製品等のつや出し剤表面保護剤ウェザーストリップ等の滑性を向上させる表面処理剤衣類カーテン寝具等の繊維処理剤;排水処理食品製造に使用される消泡剤等、各種の用途に好適である。

0096

本発明のポリオルガノシロキサンのラテックスを用いた樹脂用の衝撃強度改良剤は、粒子径分布が狭く、衝撃強度と表面外観のバランスの優れた材料を提供することが可能となるため、特に有用である。

0097

[ポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体]
本発明のポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体は、質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7であるポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、1種以上のビニル系単量体を重合して得られる共重合体である。

0098

このポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体(以下「複合重合体(g)」という場合がある。)は、質量平均粒子径(Dw)が110nm〜800nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜2.0であることが好ましい。

0099

複合重合体(g)を得るために用いることのできるビニル系単量体としては、特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル系単量体芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体等が挙げられる。

0100

(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレートエチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンビニルトルエンクロルスチレンが挙げられる。シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。これらのビニル系単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。これらビニル系単量体の中は、アクリル酸エステル系単量体を用いることが好ましい。

0101

また、重合性成分としては、必要に応じて、グラフト交叉剤、架橋剤を用いることも可能である。グラフト交叉剤または架橋剤としては、例えば、メタクリル酸アリルシアヌル酸トリアリルイソシアヌル酸トリアリルジビニルベンゼンジメタクリル酸エチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸プロピレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコールジエステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステルトリメリット酸トリアリル等の多官能性単量体が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を併用することができる。

0102

複合重合体(g)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、乳化重合法懸濁重合法、微細懸濁重合法により製造することができるが、乳化重合法を用いることが好ましい。中でも、ポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、1種以上のビニル系単量体を乳化重合して、複合重合体(g)のラテックスを得る方法が特に好ましい。

0103

ポリオルガノシロキサンラテックスにビニル系単量体を添加する方法としては、例えば、ポリオルガノシロキサンラテックス中にビニル系単量体を一括で添加する方法、ポリオルガノシロキサンラテックス中にビニル系単量体を滴下する方法が挙げられる。

0104

複合重合体(g)のラテックスを製造する際には、ラテックスを安定化させ、複合重合体の平均粒子径を制御するために、乳化剤を添加することができる。乳化剤は、特に制限されず、アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。

0105

アニオン系乳化剤としては、例えば、サルコシン酸ナトリウム脂肪酸カリウム脂肪酸ナトリウムアルケニルコハク酸ジカリウムロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸塩;ポリオキシエチレンアルキル燐酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸カルシウム等の燐酸塩等が挙げられる。

0106

ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテルが挙げられる。これらの乳化剤は1種を単独で又は2種以上を併用することができる。

0107

乳化剤及びビニル系単量体の量を調整することによって、Dwが110〜800nm、Dw/Dnが1.0〜2.0の複合重合体(g)を製造することができる。乳化剤の量は、ポリオルガノシロキサンラテックス100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。

0108

ビニル系単量体の重合に用いる重合開始剤としては、例えば、過酸化物アゾ系開始剤、又は酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。これらの中では、レドックス系開始剤、特に硫酸第一鉄エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、還元剤、及び過酸化物を組み合わせた系を用いることが好ましい。

0109

過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。還元剤としては、例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸フルクトースデキストロースソルボースイノシトールが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。

0110

複合重合体(g)(100質量%)中における、ポリオルガノシロキサン及びビニル系重合体質量比率は、ポリオルガノシロキサン1.0〜99.0質量%及びビニル系重合体99.0〜1.0質量%が好ましい。質量比率は、複合重合体(g)の製造に用いるポリオルガノシロキサンと、ビニル系単量体及びグラフト交叉剤、架橋剤との質量比率から算出することができる。

0111

複合重合体(g)のラテックスから、複合重合体(g)を粉体として回収することができる。また複合重合体(g)のラテックスは、後述するグラフト共重合体(G)の原料として使用することができる。

0112

複合重合体(g)のラテックスからの複合重合体(g)の粉体を回収する場合には、噴霧乾燥法または凝固法のいずれかの方法を用いることができる。

0113

噴霧乾燥法は、複合重合体(g)のラテックスを乾燥機中に微小液滴状に噴霧し、これに乾燥用加熱ガスを当てて乾燥する方法である。微小液滴を発生する方法としては、例えば、回転円盤型式、圧力ノズル式二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式が挙げられる。乾燥機の容量は、実験室で使用するような小規模な容量から、工業的に使用するような大規模な容量のいずれであってもよい。乾燥用の加熱ガスの温度は200℃以下が好ましく、120〜180℃がより好ましい。別々に製造された2種以上の複合重合体(g)のラテックスを、一緒噴霧乾燥することもできる。更には、噴霧乾燥時ブロッキング嵩比重等の粉末特性を向上させるために、重合体のラテックスに、シリカ等の任意成分を添加して噴霧乾燥することもできる。

0114

凝固法は、塩化カルシウム酢酸カルシウム硫酸アルミニウム等を溶解した熱水中に複合重合体(g)のラテックスを投入し、塩析し、凝固することにより複合重合体(g)を分離し、次いで、分離した湿潤状の複合重合体(g)を脱水等によって水分量が低下した複合重合体(g)を回収し、さらに、これを圧搾脱水機熱風乾燥機を用いて乾燥させる方法である。

0115

ラテックスから複合重合体(g)を凝析する際に用いる凝固剤としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム硝酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの無機塩や、硫酸等の酸などが挙げられる。これらの凝固剤は1種を単独で又は2種以上を併用してもよいが、併用する場合は水に不溶性の塩を形成しない組み合わせを選択することが必要である。例えば、酢酸カルシウムと、硫酸、もしくはそのナトリウム塩とを併用すると、水に不溶性のカルシウム塩を形成するので好ましくない。

0116

上記の凝固剤は、通常、水溶液として用いられる。凝固剤水溶液の濃度は、複合重合体(g)を安定的に凝固し、回収する観点から、0.1質量%以上、特に1質量%以上であることが好ましい。また、回収された複合重合体(g)中に残存する凝固剤の量を少なくして成形品の着色を抑制する観点から、凝固剤水溶液の濃度は、20質量%以下、特に15質量%以下であることが好ましい。凝固剤水溶液の量は特に限定されないが、ラテックス100質量部に対して10質量部以上、500質量部以下であることが好ましい。

0117

ラテックスを凝固剤水溶液に接触させる方法は特に限定されないが、通常、凝固剤水溶液を攪拌しながら、そこにラテックスを連続的に添加して一定時間保持する方法や、凝固剤水溶液とラテックスとを、一定の比率攪拌機付きの容器中に連続的に注入しながら接触させ、凝析された重合体と水とを含む混合物を容器から連続的に抜き出す方法等が挙げられる。ラテックスを凝固剤水溶液に接触させるときの温度は特に限定されないが、30℃以上、100℃以下であることが好ましい。接触時間は特に限定されない。

0118

凝析した複合重合体(g)は、1〜100質量倍程度の水で洗浄され、ろ別した湿潤状の複合重合体(g)は流動乾燥機や圧搾脱水機等を用いて乾燥される。乾燥温度、乾燥時間は得られる複合重合体(g)によって適宜決めればよい。なお、圧搾脱水機や押出機から排出された複合重合体(g)を回収せず、直接、樹脂組成物を製造する押出機や成形機送り、その他の熱可塑性樹脂と混合して成形体を得ることも可能である。

0119

[グラフト共重合体(G)]
本発明のグラフト共重合体(G)は、ポリオルガノシロキサン含有ビニル系共重合体の存在下に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体である。本発明の複合重合体(g)は、このグラフト共重合体(G)の原料として使用することができる。グラフト重合の方法としては、複合重合体(g)のラテックスの存在下に、ビニル系単量体(以下、「グラフト用単量体」という場合がある。)を重合する方法が挙げられる。前述の複合重合体(g)のラテックスを製造する際と同様の方法を用いて重合することによって、グラフト共重合体(G)のラテックスを得ることができる。

0120

グラフト用単量体としては、前述の複合重合体(g)を製造する際と同様の、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体が好ましい。

0121

グラフト重合の方法としては、例えば、複合重合体(g)のラテックス中にグラフト用単量体を供給し、1段又は多段で重合する方法が挙げられる。具体的には、グラフト用単量体の全量を一度に供給する回分(バッチ)重合法及びグラフト用単量体を連続的に滴下して供給していく逐次重合法(以下「セミバッチ重合法」という。)が挙げられる。またその中間的な操作として、使用するグラフト用単量体を少量に分割し、「少量供給と重合」という操作を多段階にわたり繰り返す方法も可能である。重合安定性が良好であり、且つ所望の粒子径及び粒子径分布を有するラテックスを安定に得ることができる点で、セミバッチ重合法が好ましい。

0122

グラフト重合に用いられる乳化剤は、複合重合体(g)を製造する際に用いた前述の乳化剤と同様のものが挙げられ、アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。

0123

グラフト重合に用いられる重合開始剤としては、複合重合体(g)を製造する際に用いた前述の重合開始剤と同様のものが挙げられ、特に硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、還元剤、及び過酸化物を組み合わせた系を用いることが好ましい。

0124

グラフト共重合体(G)のラテックスから、グラフト共重合体(G)の粉体を回収する場合には、複合重合体(g)の粉体の場合と同様に、噴霧乾燥法、凝固法のいずれかの方法を用いることができる。

0125

本発明のグラフト共重合体(G)の好ましい態様として、後述のグラフト共重合体(Ga)及び(Gb)が挙げられる。また、本発明の複合重合体(g)の好ましい態様として、後述の複合重合体(ga)及び(gb)が挙げられる。

0126

[グラフト共重合体(Ga)]
本発明のグラフト共重合体(G)は、下記組成物を下記条件で成形した成形体が、下記測定条件による評価において以下の(1)及び(2)で示される性能を有するグラフト共重合体(Ga)であることが好ましい。
(1)23℃におけるシャルピー衝撃強度が6kJ/m2以上、
(2)拡散反射率が5%以下。

0127

<試験片作製条件>
(a)グラフト共重合体(G)33質量部、
(b)アクリロニトリル単位25質量%、スチレン単位75質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度(ηsp/c)が0.40dL/gであるアクリロニトリル・スチレン共重合体9質量部、
(c)アクリロニトリル単位28質量%、スチレン単位72質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度が0.62dL/gであるアクリロニトリル・スチレン共重合体9質量部、
(d)アクリロニトリル単位22質量%、スチレン単位55質量%、N−フェニルマレイミド単位23質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度が0.66dL/gであるアクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体50質量部、
(e)エチレンビスステアリルアミド0.5質量部、
(f)シリコーンオイル0.03質量部、及び
(g)カーボンブラック0.05質量部。

0128

上記の7種類の材料(a)〜(g)を配合し、バレル温度260℃に加熱した脱揮式押出機(日本製鋼所(株)製TEX−30α)にて混練してペレットを得る。このペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)にて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で成形して試験片1(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm)を得る。また、同様して、シリンダー温度260℃、金型温度60℃、射出率が5g/秒の条件で、長さ100mm、幅100mm、厚み2mmの板状の成形体2を得る。

0129

<シャルピー衝撃強度測定条件>
ISO 179に準拠する方法により、23℃の雰囲気下で12時間以上放置したVノッチあり試験片1について測定する。

0130

<拡散反射率測定条件>
成形体2の表面に、真空蒸着法(ULVAC製 VPC−1100)により、真空度6.0×10−3Pa、成膜速度10Å/秒の条件で50nmのアルミニウム膜を成膜(ダイレクト蒸着)する。得られた成形体について、反射率計((有)東京電色製 TR−1100AD)にて拡散反射率(%)を測定する。

0131

本発明の複合重合体(g)は、ポリオルガノシロキサンを5〜25質量%を含み、質量平均粒子径(Dw)が120〜200nm、粒子径100nm以下の粒子の割合が全粒子の15質量%以下、粒子径400nm以上の粒子の割合が全粒子の1質量%以下である複合重合体(ga)であることが好ましい。また、本発明のグラフト共重合体(Ga)は、複合重合体(ga)に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体の混合物がグラフト重合された共重合体であることが好ましい。

0132

このグラフト共重合体(Ga)から得られる前記成形体は、さらに下記性能を有することが好ましい。
(1’)23℃におけるシャルピー衝撃強度が6kJ/m2以上、50kJ/m2以下、
(2’)拡散反射率が0.1%以上、5%以下。

0133

複合重合体(ga)を構成するポリオルガノシロキサンは、オルガノシロキサン100質量部に対して、シロキサン系架橋剤に由来する成分を0.5〜5質量部含むものであることが好ましい。

0134

複合重合体(ga)を構成するビニル系重合体は、アクリル酸エステル単量体、あるいは、アクリル酸エステル単量体を1種以上含む単量体混合物を重合して得られたアクリル酸エステル系重合体である。

0135

アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチルアクリル酸エチルアクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチルアクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、樹脂組成物から得られる成形体が耐衝撃性に優れることから、アクリル酸n−ブチルが好ましい。

0136

また、重合性成分としては、必要に応じてグラフト交叉剤、架橋剤を用いることも可能である。グラフト交叉剤、架橋剤としては、前記の複合重合体(g)を製造する際と同様の多官能性単量体を使用できる。これらは単独で用いても、二種以上を併用してもよい。その添加量は適宜決めればよいが、成形体の耐衝撃性とダイレクト蒸着後の光輝性の良好なバランスの観点から、アクリル酸エステル系単量体(混合物も含む)100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部であることがより好ましく、0.4〜1.0質量部であることが特に好ましい。この使用量は、耐衝撃性の観点から少ない方が好ましく、光輝性の観点から多い方が好ましい。

0137

複合重合体(ga)の製造方法としては、特に限定されないが、ポリオルガノシロキサンのラテックスとアクリル酸エステル系重合体のラテックスとを混合してヘテロ凝集もしくは共肥大化する方法を用いてもよいし、前述の複合重合体(g)の製造と同様の方法を用いてもよい。この時、単量体は混合物でもよい。中でも、成形体の耐衝撃性とダイレクト蒸着後の光輝性、溶着外観の観点から、ポリオルガノシロキサンラテックスの存在下でアクリル酸エステル系単量体を重合させる方法が好ましい。

0138

複合重合体(ga)におけるポリオルガノシロキサンとアクリル酸エステル系単量体に由来するアクリル酸エステル系重合体の含有量は、成形体の耐衝撃性とダイレクト蒸着後の光輝性を優れたものとする観点から、ポリオルガノシロキサン5〜25質量%、アクリル酸エステル系重合体95〜75質量%であることが好ましい。また、ポリオルガノシロキサンの含有量は7〜20質量%であることがより好ましく、9〜16質量%であることが特に好ましい。ポリオルガノシロキサンの含有量が低下すると耐衝撃性が低下する傾向であり、増加するとダイレクト蒸着後の光輝性が低下する傾向である。

0139

複合重合体(ga)粒子の質量平均粒子径(Dw)は、成形体の耐衝撃性とダイレクト蒸着後の光輝性を優れたものにする観点から、120nm〜200nmである。質量平均粒子径が減少すると耐衝撃性が低下し、増加するとダイレクト蒸着後の光輝性が低下する傾向である。

0140

また、ダイレクト蒸着後の光輝性が高レベルの成形体を得るため、複合重合体(ga)100質量%中において、粒子径100nm以下の複合重合体粒子の割合は15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下が好ましい。また成形体のダイレクト蒸着後の光輝性を優れたものにする観点から、粒子径400nm以上の複合重合体粒子の割合は1質量%以下である。

0141

複合重合体(ga)及びグラフト共重合体(G)の質量平均粒子径(Dw)は、以下の方法で測定した値を採用することができる。日機装(株)製Nanotrac UPA−EX150を用いて動的光散乱法により、複合重合体(ga)及びグラフト共重合体(G)のラテックスについて粒度分布を測定する。得られた粒度分布から、質量平均粒子径、粒子径100nm以下の粒子の割合、及び粒子径400nm以上の粒子の割合を算出する。

0142

質量平均粒子径120〜200nmの複合重合体(ga)及びグラフト共重合体(G)を得るには、ポリオルガノシロキサンの粒子径を調整すればよく、ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径(Dw)は100nm〜150nm、Dw/Dnは1.00〜1.70であることが好ましい。

0143

グラフト用単量体としては特に限定されないが、前述の複合重合体(g)の場合と同様の芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体等が挙げられる。

0144

芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、メチルメタクリレートエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートメチルアクリレートエチルアクリレートブチルアクリレート等が挙げられる。シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのビニル系単量体は単独で用いることもでき、2種以上を併用することもできる。これらの中では、成形体の耐衝撃性を良好にする観点から、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を併用することが好ましく、スチレンとアクリロニトリルとを併用することが特に好ましい。

0145

芳香族ビニル化合物シアン化ビニル化合物とを併用する場合は、グラフト用単量体混合物100質量%中において、シアン化ビニル系単量体20〜40質量%、芳香族ビニル系単量体80〜60質量%を含むことが好ましく、シアン化ビニル系単量体25〜35質量%、芳香族ビニル系単量体75〜65質量%を含むことがより好ましい。シアン化ビニル系単量体の含有量が減少すると、耐衝撃性が低下する傾向であり、含有量が増加すると流動性が低下する傾向である。

0146

原料としての複合重合体(ga)とグラフト用単量体混合物の質量比は特に限定されないが、成形体の耐衝撃性、流動性、とダイレクト蒸着後の光輝性を優れたものとする観点から、複合重合体(ga)20〜80質量%、グラフト用単量体80〜20質量%とすることが好ましく、複合重合体(ga)40〜70質量%、グラフト用単量体60〜30質量%とすることが特に好ましい。複合重合体(ga)の含有量が減少すると耐衝撃性の低下する傾向であり、含有量が増加するとダイレクト蒸着後の光輝性が低下する傾向である。

0147

グラフト重合法としては、前述の複合重合体(ga)を製造する際と同様の方法が挙げられ、中でも乳化重合が好適である。乳化剤としても、前述の複合重合体(ga)を製造する際と同様のものが挙げられる。乳化重合時のラテックス安定性に優れ、重合率を高める観点から以下のものが好ましい。サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤。これらは目的に応じて使い分けられる。なお、グラフト重合時には乳化剤を使用せず、ポリオルガノシロキサンや複合重合体(ga)の製造に用いた乳化剤をそのまま利用することも可能である。

0148

なお、ここで挙げた乳化剤は、前述の複合重合体(ga)を構成するアクリル酸エステル系重合体の重合においても好適なものである。

0149

グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、前述の複合重合体(ga)を製造する際に用いた重合開始剤と同様のものが挙げられ、特に硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、還元剤、及び過酸化物を組み合わせた系を用いることが好ましい。なお、ここで挙げたラジカル重合開始剤は、前述の複合重合体(ga)を構成するアクリル酸エステル系重合体の重合においても好適なものである。

0150

また、グラフト率グラフト成分分子量を制御するために、例えばメルカプタン系化合物テルペン系化合物、α−メチルスチレン二量体等の各種連鎖移動剤を使用することもできる。重合条件は特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。

0151

グラフト共重合体(Ga)のラテックスからグラフト共重合体(Ga)の粉体を回収する場合には、前述の複合重合体(ga)の粉体を回収する場合と同様に、噴霧乾燥法、凝固法のいずれかの方法を用いることができ、凝固法を用いることが好ましい。

0152

本発明のグラフト共重合体(Ga)は、それ以外の熱可塑性樹脂(Ha)と混合して熱可塑性樹脂組成物(Ia)として使用することができる。

0153

[熱可塑性樹脂組成物(Ha)]
熱可塑性樹脂(Ha)としては特に限定されないが、以下のものが挙げられる。PMMA樹脂等のアクリル(Ac)系樹脂ポリスチレン(PSt)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・αメチルスチレン共重合体(αSAN樹脂)、スチレン・無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル・スチレン・N−置換マレイミド三元共重合体、アクリロニトリル・スチレン・αメチルスチレン・N−置換マレイミド四元共重合体、スチレン・無水マレイン酸・N−置換マレイミド三元共重合体、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂PC樹脂ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレートPET樹脂)、ポリエチレンナフタレートPEN樹脂)等のポリエステル系樹脂ポリ塩化ビニル変性ポリフェニレンエーテル変性PPE樹脂);ポリアミド等。

0155

これらの熱可塑性樹脂(Ha)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でも、熱可塑性樹脂組成物(Ia)から製造される成形体のダイレクト蒸着後の光輝性、耐衝撃性、熱板溶着性。及び振動溶着性を優れたものとする観点から、スチレン系樹脂が好ましく、AS樹脂、αSAN樹脂、シアン化ビニル系単量体・芳香族ビニル系単量体・N−置換マレイミドの共重合体を使用することがより好ましく、シアン化ビニル系単量体単位0〜40質量%、芳香族ビニル系単量体単位40〜80質量%、これらと共重合可能なN−置換マレイミド等の他の単量体単位0〜60質量%の共重合体からなるスチレン系樹脂であることがさらに好ましい。シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリルが好ましく、芳香族ビニル系単量体としてはスチレンおよびまたはαメチルスチレンが好ましい。

0156

AS樹脂またはαSAN樹脂を用いる場合、その組成はシアン化ビニル系単量体単位20〜35質量%、芳香族ビニル系単量体単位65〜80質量%が特に好ましい。シアン化ビニル系単量体・芳香族ビニル系単量体・N−置換マレイミドの共重合体としては、アクリロニトリル・スチレン・N−置換マレイミド三元共重合体、または、アクリロニトリル・スチレン・αメチルスチレン・N−置換マレイミド四元共重合体が挙げられる。これらのシアン化ビニル系単量体・芳香族ビニル系単量体・N−置換マレイミドの共重合体を用いる場合、その組成はシアン化ビニル系単量体単位0〜35質量%、芳香族ビニル系単量体単位40〜70質量%、N−置換マレイミド単位5〜60質量%であることが特に好ましい。シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリルが好ましく、芳香族ビニル系単量体としてはスチレンおよびまたはαメチルスチレンが好ましい。

0157

[熱可塑性樹脂組成物(Ia)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物(Ia)は、グラフト共重合体(Ga)および熱可塑性樹脂(Ha)を配合した組成物である。熱可塑性樹脂組成物(Ia)中における含有量は、グラフト共重合体(Ga)10〜50質量%と熱可塑性樹脂(Ha)90〜50質量%であることが好ましい。また、グラフト共重合体(Ga)20〜45質量%と熱可塑性樹脂(Ha)80〜55質量%であることがより好ましい。かかる質量比で配合することによって、成形体のダイレクト蒸着後の光輝性、耐衝撃性、熱板溶着性、及び振動溶着性が優れたものとなる。グラフト共重合体(Ga)の含有量が減少すると耐衝撃性、熱板溶着性が低下する傾向であり、含有量が増加するとダイレクト蒸着後の光輝性、振動溶着性が低下する傾向である。

0158

熱可塑性樹脂組成物(Ia)中には、グラフト共重合体(Ga)と熱可塑性樹脂(Ha)の他に、必要に応じて、染料顔料、安定剤、補強剤充填材難燃剤発泡剤滑剤可塑剤帯電防止剤、耐候剤、UV吸収剤等の添加剤を配合することができる。

0159

熱可塑性樹脂組成物(Ia)の調製方法は特に限定されないが、グラフト共重合体(Ga)と、熱可塑性樹脂(Ha)と、必要に応じて使用される各種添加剤とを、V型ブレンダーヘンシェルミキサー等により混合分散させ、この混合物を押出機またはバンバリーミキサー加圧ニーダーロール等の混練機等を用いて溶融混練することにより調製できる。

0160

[成形体]
上記の熱可塑性樹脂組成物(Ia)を成形することによって、種々の成形体が得られる。成形体としては以下のものが挙げられる。車輌部品、特に無塗装で使用されるフロントグリルをはじめとする各種外装部品及び内装部品壁材窓枠等の建材部品食器玩具掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電部品インテリア部材船舶部材および通信機器ハウジング、ノートパソコンハウジング、携帯端末ハウジング、液晶プロジェクターハウジング等の電機機器ハウジングなど。これらの中でも成形体の表面にダイレクト蒸着法による金属化処理を行う車輌部品、特にランプハウジングにおいて、上記の熱可塑性樹脂組成物(Ia)は好適な成形体を与える。

0161

成形方法としては特に限定されず、射出成形法押出成形法ブロー成形法圧縮成形法カレンダー成形法インフレーション成形法等の公知の各種成形方法を採用することができる。これらの中でも、特に射出成形法が好ましい。

0162

上記の各種成形方法により一次加工を施された本発明の成形体は、その表面にダイレクト蒸着法による金属化処理を施すことが可能である。すなわち、アンダーコート処理層の形成等の特殊な前処理を行うことなく、真空蒸着法やスパッタリング法によってアルミニウムやクロム等の金属層を、成形体の表面に直接形成することができる。この金属化処理された光輝性表面はそのままでもよいが、さらに埃等によるキズの発生から保護するために、塗装などによりシリコン系等の被膜を形成させるトップコート処理を施すことも可能である。

0163

本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、上記構成を採用することにより、耐衝撃性等の機械的強度と耐候性に優れると共に、ダイレクト蒸着後に美麗な光輝外観を呈し、さらには透明樹脂との熱板溶着性、および振動溶着性にも優れる成形体が得られる。

0164

[車両灯具用ランプハウジング]
車両灯具用ランプハウジングは、本発明の成形体と、PMMA樹脂やPC樹脂等の透明樹脂からなる樹脂レンズとを熱板溶着法、振動溶着法、レーザー溶着法等の方法を用いて、接合一体化させたものである。成形体の表面には、ダイレクト蒸着法による金属化処理を施すことができる。また成形体には適宜、必要な部材を取り付けられる。このランプハウジングは、耐衝撃性等の機械的強度と耐候性に優れると共に、外観が良好である。本発明のランプハウジングは自動車用等として好適に利用できる。

0165

次に、本発明のグラフト共重合体(G)の好ましい態様例であるグラフト共重合体(Gb)、及び、本発明の複合重合体(g)の好ましい態様例である複合重合体(gb)について説明する。

0166

[グラフト共重合体(Gb)]
本発明のグラフト共重合体(G)は、下記組成物を下記条件で成形した成形体が、下記測定条件による評価において以下の(1)及び(2)で示される性能を有するグラフト共重合体(Gb)であることが好ましい。
(1)L*が24以下、
(2)−30℃におけるシャルピー衝撃強度が6kJ/m2以上。

0167

<試験片作製条件>
(a)グラフト共重合体(Gb)42質量部、
(b)アクリロニトリル単位34質量%、スチレン単位66質量%からなる25℃、0.2g/dLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液での還元粘度(ηsp/c)が0.62dL/gであるアクリロニトリル・スチレン共重合体58質量部、
(c)エチレンビスステアリルアミド0.3質量部、及び、
(d)カーボンブラック0.5質量部。

0168

上記の4種類の材料(a)〜(d)を配合し、バレル温度230℃に加熱した脱揮式押出機((株)池貝製、PCM−30)にて混練してペレットを得る。このペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)にて、シリンダー温度230℃、金型温度60℃の条件で成形して試験片3(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm)及び引張試験片4(長さ170mm、幅20mm、厚み4mm、引張試験部幅10mm)を得る。

0169

<シャルピー衝撃強度測定条件>
ISO 179に準拠する方法により、−30℃の雰囲気下で12時間以上放置したVノッチあり試験片3について測定する。

0170

<L*測定条件>
引張試験片4について、コニカミノルタセンシング(株)製の測色計CM−508Dを用いて反ゲート側でL*を測定する。

0171

本発明の複合重合体(g)は、ポリオルガノシロキサン15〜80質量%を含み、質量平均粒子径が110〜250nm、粒子径100nm未満の粒子の割合が全粒子の20質量%以下、粒子径300nm以上の複合重合体粒子の割合が全粒子の20質量%以下である複合重合体(gb)であることが好ましい。また、本発明のグラフト共重合体(Gb)は、この複合重合体(gb)に、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体の混合物がグラフト重合された共重合体であることが好ましい。

0172

このグラフト共重合体(Gb)から得られる前記成形体は、さらに下記性能を有することが好ましい。
(1’)L*が1以上、24以下、
(2’)−30℃におけるシャルピー衝撃強度が6kJ/m2以上、30kJ/m2以下。

0173

複合重合体(gb)を構成するポリオルガノシロキサンは、オルガノシロキサン100質量部に対して、シロキサン系架橋剤に由来する成分を0.5〜3質量部含むものであることが好ましい。

0174

複合重合体(gb)を構成するビニル系重合体は、アクリル酸エステル単量体、あるいは、アクリル酸エステル単量体を1種以上含む単量体混合物を重合して得られたアクリル酸エステル系重合体である。

0175

アクリル酸エステル系単量体としては、複合重合体(ga)を製造する際と同様のものが挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、得られる樹脂組成物の耐衝撃性に優れることから、アクリル酸n−ブチルが好ましい。

0176

また、複合重合体(gb)を構成するビニル系単量体には、必要に応じてグラフト交叉剤、架橋剤を用いることも可能である。グラフト交叉剤、架橋剤としては、複合重合体(ga)を製造する際と同様の多官能性単量体を使用できる。これらは単独で用いても、二種以上を併用してもよい。多官能性単量体の使用量は、アクリル酸エステル系単量体100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部であることがより好ましく、0.4〜1.0質量部であることが特に好ましい。この使用量は、成形体の耐衝撃性の観点から少ない方が好ましく、成形体の表面外観の観点から多い方が好ましい。

0177

複合重合体(gb)の製造方法としては、前述の複合重合体(ga)を製造する際と同様の方法を用いることができる。

0178

複合重合体(gb)におけるポリオルガノシロキサンとアクリル酸エステル系単量体に由来するアクリル酸エステル系重合体の含有比は、得られる樹脂組成物の耐衝撃性と成形体の表面外観や顔料着色性を優れたものとする観点から、ポリオルガノシロキサン15〜80質量%、アクリル酸エステル系重合体85〜20質量%であることが好ましく、ポリオルガノシロキサンが20〜70質量%、アクリル酸エステル系重合体が80〜30質量%であることがより好ましい。ポリオルガノシロキサンの含有量が低下すると耐衝撃性が低下し、増加すると成形体の表面外観や顔料着色性が低下する傾向である。

0179

複合重合体(gb)の質量平均粒子径は、成形体の耐衝撃性、表面外観、顔料着色性を優れたものにする観点から、110〜250nmであることが好ましく、110〜200nmであることがより好ましい。質量平均粒子径が小さくなると耐衝撃性が低下し、大きくなると成形体の表面外観、顔料着色性が低下する傾向である。

0180

また、複合重合体(gb)100nm未満の粒子の割合が全粒子の20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。また、300nm以上の粒子の割合が全粒子の20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。100nm未満の粒子の割合が多すぎる場合は、成形体の耐衝撃性が低下する傾向であり、300nm以上の粒子の割合が20質量%以下であれば、成形体の耐衝撃性と表面外観のバランスが良好となる。

0181

複合重合体(gb)の質量平均粒子径は、複合重合体(ga)と同様の方法で測定した値を採用することができる。

0182

質量平均粒子径110〜250nmの複合重合体(gb)を得るには、ポリオルガノシロキサンの粒子径及びビニル系単量体の量を調整すればよく、ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径を100nm〜200nm、Dw/Dnを1.00〜1.70とすることが好ましい。

0183

グラフト用単量体としては、前述のグラフト共重合体(Ga)を製造する際に用いるものと同様のものが挙げられる。得られる成形体の耐衝撃性が優れる点から、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体との単量体混合物が好ましく、特にスチレンとアクリロニトリルの混合物が好ましい。また、グラフト用ビニル系単量体には、必要に応じて「他の単量体」を用いることもできる。

0184

「他の単量体」は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合可能な単量体であり、かつ芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を除く単量体である。他の単量体としては、アクリルアミドメタクリルアミド、無水マレイン酸、N−置換マレイミド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。グラフト用単量体混合物100質量%中における「他の単量体」の割合は50質量%以下が好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。他の単量体の割合が上記上限以下であれば、耐衝撃性と表面外観のバランスが良好となる。

0185

原料としての複合重合体(gb)とグラフト用単量体の質量比は特に限定されないが、複合重合体(gb)5〜95質量%、グラフト用単量体95〜5質量%であることが好ましく、複合重合体(gb)10〜90質量%、グラフト用単量体90〜10質量%であることがより好ましく、複合重合体(gb)30〜70質量%、グラフト用単量体70〜30質量%であることが特に好ましい。グラフト用単量体の含有量が減少すると成形体の表面外観や顔料着色性が低下する傾向であり、含有量が増加すると耐衝撃強度が低下する傾向である。

0186

グラフト共重合体(Gb)は、複合重合体(gb)ラテックスの存在下、上記のような単量体混合物を乳化重合することにより製造されることが好ましい。グラフト共重合体(Gb)の重合法としては、前述のグラフト共重合体(Ga)を製造する際と同様の方法が挙げられ、中でも乳化重合が好適である。乳化剤としては、前述のグラフト共重合体(Ga)を製造する際と同様のものを用いることができる。

0187

グラフト重合に用いられる重合開始剤としては、前述のグラフト共重合体(Ga)を製造する際に用いられる重合開始剤と同様のものが挙げられ、特に硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、還元剤、及び過酸化物を組み合わせた系を用いることが好ましい。

0188

グラフト共重合体(Gb)ラテックスからグラフト共重合体(Gb)の粉体を回収する場合には、前述のグラフト共重合体(Ga)の粉体を製造する際に用いる方法と同様の方法が挙げられ、噴霧乾燥法、凝固法のいずれかの方法を用いることができ、凝固法を用いることが好ましい。

0189

本発明のグラフト共重合体(Gb)は、それ以外の熱可塑性樹脂(Hb)と混合して熱可塑性樹脂組成物(Ib)として使用することができる。

0190

[熱可塑性樹脂(Hb)]
熱可塑性樹脂(Hb)としては特に限定されないが、熱可塑性樹脂(Ha)と同様のものを用いることができる。これらの中でも、成形体の耐候性向上の点からは、MS樹脂、PMMA樹脂が好ましく、成形体の耐衝撃性向上の点からは、PC樹脂が好ましく、成形体の耐薬品性向上の点から、PBT樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂組成物の成形加工性向上の点からは、PET樹脂、スチレン系樹脂が好ましい。成形体の耐熱性向上の点からは、変性PPE樹脂、ポリアミドが好ましい。また、成形体の耐衝撃性と成形性のバランスの面からは、スチレン系樹脂が特に好ましい。これらの熱可塑性樹脂(Hb)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。

0191

スチレン系樹脂は芳香族ビニル系単量体を必須成分とし、必要に応じてシアン化ビニル等のシアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸無水物、N−置換マレイミド系単量体等の他の単量体を共重合することにより得られる樹脂である。これらの単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0192

スチレン系樹脂は、シアン化ビニル系単量体単位0〜40質量%、芳香族ビニル系単量体単位40〜80質量%、これらと共重合可能な他の単量体単位0〜60質量%からなる樹脂であることが好ましい。具体的には、AS樹脂、αSAN樹脂、シアン化ビニル系単量体・芳香族ビニル系単量体・N−置換フェニルマレイミドの共重合体が特に好ましい。シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリルが好ましく、芳香族ビニル系単量体としてはスチレンおよびまたはαメチルスチレンが好ましい。

0193

AS樹脂またはαSAN樹脂を用いる場合、その組成はシアン化ビニル系単量体単位20〜40質量%、芳香族ビニル系単量体単位60〜80質量%が好ましく、シアン化ビニル系単量体単位25〜35質量%、芳香族ビニル系単量体単位65〜75質量%が特に好ましい。シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリルが好ましく、芳香族ビニル系単量体としてはスチレンおよびまたはαメチルスチレンが好ましい。シアン化ビニル系単量体・芳香族ビニル系単量体・N−置換フェニルマレイミドの共重合体としては、アクリロニトリル・スチレン・N−置換フェニルマレイミド三元共重合体、または、アクリロニトリル・スチレン・αメチルスチレン・N−置換フェニルマレイミド四元共重合体が挙げられる。シアン化ビニル系単量体・芳香族ビニル系単量体・N−置換フェニルマレイミドの共重合体を用いる場合、その組成はシアン化ビニル系単量体単位0〜35質量%、芳香族ビニル系単量体単位40〜70質量%、Nフェニルマレイミド単量体単位5〜60質量%であることが好ましい。

0194

スチレン系樹脂に含まれる芳香族ビニル系単量体単位の割合が上記下限以上であれば、熱可塑性樹脂組成物の成形性が良好となり、芳香族ビニル系単量体単位の割合が上記上限以下であれば、成形品の耐衝撃性が良好となる。また、スチレン系樹脂に含まれるシアン化ビニル系単量体単位の割合が上記上限未満であれば、成形体の熱による変色が抑えられ、シアン化ビニル系単量体単位の割合が上記下限以上であれば、成形体の耐衝撃性が良好となる。

0195

[熱可塑性樹脂組成物(Ib)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物(Ib)は、グラフト共重合体(Gb)およびそれ以外の熱可塑性樹脂(Hb)を配合した組成物である。熱可塑性樹脂組成物(Ib)中における複合重合体(gb)の存在量は5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましい。複合重合体(gb)の含有量が10質量%以上であれば、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性が良好となり、複合重合体成分の含有量が40質量%以下であれば、該成形体は良好な外観と流動性を保つことができる。

0196

本発明の熱可塑性樹脂組成物(Ib)には、必要に応じて、顔料や染料等の着色剤熱安定剤光安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、加工助剤等が含まれてもよい。

0197

[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物(Ib)は、前述の熱可塑性樹脂組成物(Ia)を製造する際と同様の方法によって製造することができる。

0198

[成形体]
本発明の熱可塑性樹脂組成物(Ib)を成形してなる成形体は、優れた衝撃性、特に低温下での耐衝撃性、剛性、表面外観のバランスを有し、耐候性にも優れるため、近年用いられる自動車材用途や建材用途家電品用途に好適に用いられる。この熱可塑性樹脂組成物(Ib)からなる成形品は様々な用途で使用することができる。成形体としては、前述の熱可塑性樹脂組成物(Ia)を成形してなる成形体と同様のものが挙げられる。

0199

成形体への成形方法としては、前述の熱可塑性樹脂組成物(Ia)の場合と同様の射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。また、金属化処理等による成形体の後処理も適用可能である。

0200

以下に、本発明を具体的に説明する。以下、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。実施例に示した各種物性の評価は、以下に示す方法により実施した。

0201

[1.固形分]
ポリオルガノシロキサンのラテックスを180℃の熱風乾燥機で30分間乾燥し、下記式により固形分を算出した。
固形分[%]=(180℃で30分間乾燥した後の残渣の質量)/(乾燥前のラテックスの質量)×100

0202

[2.還元粘度]
濃度0.2[g/dL]の熱可塑性樹脂HaまたはHbのN,N−ジメチルホルムアミド溶液について、ウベローデ粘度計を用いて、25℃で、熱可塑性樹脂の還元粘度を測定した。

0203

[3.メルトボリュームレート(MVR)]
熱可塑性樹脂組成物IaまたはIbのメルトボリュームレートは、ISO 1133に準拠する方法により、バレル温度220℃、荷重98Nの条件で測定した。メルトボリュームレートは、熱可塑性樹脂組成物の流動性の指標となる。

0204

[4.シャルピー衝撃強度]
グラフト共重合体(Ga)及びグラフト共重合体(Gb)に関する箇所に記載した条件で測定した。

0205

[5.曲げ弾性率曲げ強度
熱可塑性樹脂組成物IaまたはIbの曲げ強度及び曲げ弾性率は、ISO試験法178に準拠する方法により、測定温度23℃、試験片厚さ4mmで測定した。

0206

[6.荷重たわみ温度
熱可塑性樹脂組成物IaまたはIbの荷重たわみ温度は、ISO試験法75に準拠し、1.80MPa、試験片厚さ4mm、フラットワイズ法で測定した。

0207

[7.拡散反射率(光輝性)]
グラフト共重合体(Ga)に関する箇所に記載した条件で、拡散反射率(%)を測定して、光輝性を評価した。拡散反射率は、その値が低いほど成形品の表面が光輝性に優れることを示す。

0208

[8.振動溶着性]
射出成形によって得られた厚み2mmの平板成形品台形状、幅70mm、短辺110mm、長辺160mm)を用いた。評価レンズとしてはPMMA樹脂(三菱レイヨン(株)製アクペットVH4)を射出成形にて3mmのリブ付きシート(台形状、幅70mm、短辺110mm、長辺160mm、リブ:高さ10mm、短辺100mm、長辺150mm)に成形したものを使用した。

0209

振動溶着は、日本エマソン(株)製 BRANSON VIBRATION WELDER2407を用い、振幅1mm、圧力0.3MPa、沈み込み量1.5mmの条件で行った。次いで、振動溶着時に溶融、接合して生じる溶けしろの外観を目視観察にて、以下の4段階評価した。
ランク1:溶着倒れ性と毛羽立ち性が溶着部全周において非常に良好である。
ランク2:溶着倒れ性と毛羽立ち性が劣っている箇所が溶着部全周の0〜10%未満である。
ランク3:溶着倒れ性と毛羽立ち性が劣っている箇所が溶着部全周の10〜40%未満である。
ランク4:溶着倒れ性と毛羽立ち性が劣っている箇所が溶着部全周の40%以上である。
尚、評価基準は接合部の外観において、「溶着倒れ性」は溶けしろがシートとリブとで滑らかに連続していること、また「毛羽立ち性」は溶けしろ部分の毛羽発生状態を示し、これらが良好なものが振動用着性に優れる。

0210

[9.発色性]
グラフト共重合体(Gb)に関する箇所に記載した条件で「L*」を測定した。L*の数値が小さいほど、発色性が良好であることを示す。

0211

[実施例1]ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)の製造
環状オルガノシロキサン混合物(3量体:5質量%、4量体:85質量%、5量体:3%、6量体:6質量%、7量体:1質量%の混合物。信越化学工業(株)製、製品名:DMC)97.5部、テトラエトキシシラン(TEOS)2部及びγ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン(DSMA)0.5部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)0.68部を脱イオン水300部で溶解した溶液を添加し、ホモミキサ−にて10,000rpmで2分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルション(B−1)を得た。

0212

一方、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコドデシルベンゼンスルホン酸(DBSH)1部、硫酸1.38部と脱イオン水90部とを注入し、25℃でpH0.84の水性媒体(A−1)を調製した。

0213

この水性媒体(A−1)を90℃に加熱した状態で、エマルション(B−1)をオルガノシロキサンの供給量が0.42部/分となる速度(実質4時間)で滴下し、滴下終了後2時間その温度を維持し、冷却した。次いでこの反応物を室温で12時間保持した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックス(L−1)を得た。

0214

得られたポリオルガノシロキサンのラテックス(L−1)の固形分、粒子径を上記の方法により測定した。結果を表3に示す。

0215

[実施例2〜23、比較例1、2、参考例3〜5、比較例6〜8]ポリオルガノシロキサンラテックス(L−2〜L−30)の製造
実施例1において、水性媒体(A)、及びエマルション(B)の組成、エマルション(B)の滴下速度を表1または表2に示す条件に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ポリオルガノシロキサンのラテックス(L−2〜L−30)を得た。得られたラテックス中のポリオルガノシロキサンの粒子径、固形分含有率を実施例1と同様にして測定した。結果を表3に示す。

0216

[比較例9]ポリオルガノシロキサンラテックス(L−31)の製造
DMC97.5部、TEOS2部及びDSMA0.5部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。これにDBSNa0.68部、DBSH0.68部を脱イオン水200部に溶解した溶液を添加し、ホモミキサ−にて10,000rpmで2分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルション(B)を得た。

0217

冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコにエマルション(B)を仕込み、85℃にて6時間保持してポリオルガノシロキサンのラテックスを重合した。次いで、得られた反応物を室温で12時間保持した後、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に中和した。得られたラテックス中のポリオルガノシロキサンの粒子径、固形分含有率を測定した。結果を表3に示す。

0218

0219

0220

0221

実施例1のポリオルガノシロキサンのラテックスは、水性媒体(A)のpHが0.1〜1.2の範囲内であるため、Dw/Dnが1.58と小さい、すなわち粒子径分布が狭かった。更に、実施例2のように、エマルション(B)の供給速度を更に遅くすることで、Dw/Dnが1.06とより小さく、粒子径分布が更に狭いポリオルガノシロキサンのラテックスを得ることも可能であった。有機酸触媒と乳化剤の総量を変えた実施例3では、狭い粒子径分布を維持したまま、質量平均粒子径を小さくすることが可能であった。

0222

実施例3〜10及び12〜23のように、有機酸触媒と乳化剤の総量を変えることで、任意の質量平均粒子径を有する粒子径分布の狭いポリオルガノシロキサンのラテックスを得ることが可能であった。

0223

エマルション(B)の乳化剤としてDBSNaの代わりにノニオン性乳化剤であるポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(花王(株)製、商品名:エマルゲンA−500)を用いた実施例11においては、粒子径分布の狭いポリオルガノシロキサンのラテックスを安定に製造できることが分かる。

0224

有機酸触媒と乳化剤の総量が多い比較例1においては、ポリオルガノシロキサンのラテックスの質量平均粒子径が100nm未満であった。

0225

水性媒体(A)のpHが1.2を超える比較例6〜8においては、ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径が大きく、且つDw/Dnが大きく粒子径分布が広くなった。

0226

エマルション(B)の滴下を行なわない比較例9においては、得られるポリオルガノシロキサンのDw/Dnが大きく粒子径分布が広くなった。

0227

[実施例24]グラフト共重合体(Ga−1)の製造
冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコ中に、実施例12で得られたポリオルガノシロキサンラテックス(L−12)7部(固形分換算)、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王(株)製、商品名:ラテムルASK、以下「ASK」と略す)0.7部、脱イオン水197部(ポリオルガノシロキサンラテックス中の水を含む)を仕込み混合した。次いで、このフラスコ中にアクリル酸n−ブチル(n−BA)43部、メタクリル酸アリル(AMA)0.3部、1,3−ブチレンジメタクリレート(1,3−BD)0.01部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(t−BH)0.11部からなる混合物を添加した。

0228

このフラスコ内に窒素気流を通じて内部雰囲気窒素置換を行い、内温を60℃まで昇温した。その時点で、硫酸第一鉄七水塩(Fe)0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)0.000225部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.2部、脱イオン水8部からなる水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。単量体成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。その後、75℃まで冷却して30分間保持し、単量体成分の重合を完結させてポリオルガノシロキサン(L−12)とn−BAの重合体からなる複合重合体(ga−1)のラテックスを得た。

0229

複合重合体(ga−1)の質量平均粒子径は182nmであり、また、この複合重合体100質量%(固形分換算)中、粒子径400nm以上の複合重合体粒子の割合は0%、粒子径100nm以下の複合重合体粒子の割合は0%であった。

0230

さらに、この複合重合体(ga−1)のラテックスに、ASK0.2部、Fe0.001部、EDTA0.003部、SFS0.3部、脱イオン水24部からなる水溶液を添加し、次いで、一段目重合として、アクリロニトリル(AN)10部、スチレン(ST)30部、t−BH0.2部の混合溶液を1時間にわたって滴下し、重合した。この時、液温は滴下終了時で80℃になるように調節した。滴下終了後、75℃まで冷却し、20分保持した後、次いで二段目重合として、AN2.5部、ST7.5部、t−BH0.05部、n−オクチルメルカプタン(nOM)0.02部からなる混合物を20分にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を20分保持した後、クメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.05部を添加し、さらに温度75℃の状態を30分間保持した後、冷却し、複合重合体(ga−1)に、ANとSTとがグラフトされたグラフト共重合体(Ga−1)のラテックスを得た。

0231

次いで、1%酢酸カルシウム水溶液150部を70℃に加熱し、この中へグラフト共重合体(Ga−1)のラテックス100部を徐々に滴下して凝固させた。析出物を脱水、洗浄、乾燥して白色粉末のグラフト共重合体(Ga−1)を得た。

0232

[実施例25〜32、比較例10〜11]グラフト共重合体(Ga−2)〜(Ga−11)の製造
ポリオルガノシロキサンの種類及び量、並びにn−BAの量を表4に記載に示す条件に変更したこと以外は実施例24と同様にして複合重合体(ga−2)〜(ga−11)を得た。更にそれらを用いて、表4に示す量のAN及びSTを用いてグラフト重合を行い、グラフト共重合体(Ga−2)〜(Ga−11)を得た。

0233

[製造例1]熱可塑性樹脂(Ha−1)の製造
AN25部及びST75部を用いて公知の懸濁重合法により、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中、25℃で測定した還元粘度が0.40dL/gであるアクリロニトリル−スチレン共重合体(Ha−1)を製造した。

0234

[製造例2〜6]熱可塑性樹脂(Ha−2〜Ha−6)の製造
ビニル系単量体の種類及び量を表5に示す条件に変更したこと以外は製造例1と同様にして、熱可塑性樹脂(Ha−2)〜(Ha−6)を製造した。還元粘度の測定結果を表5に示す。

0235

0236

0237

[実施例33〜47、比較例12〜13]熱可塑性樹脂組成物(Ia−1〜Ia−17)の製造
上記のグラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物を表6に示す組成で配合し、さらに添加剤として、エチレンビスステアリルアミド(EBS)0.5部、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製、製品名:SH−200)0.03部、および着色剤として、カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)0.05部を加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。次いで、これらの各混合物をバレル温度260℃に加熱した脱揮式押出機(日本製鋼所(株)製TEX−30α)に供給して混練し、樹脂組成物のペレットを得た。これらのペレットについて、メルトボリュームを測定した。さらに各ペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)にて、220〜260℃にて評価用テストピースを作成し、シャルピー衝撃強度(23℃)、MVR,曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ温度、拡散反射率(光輝性)、及び振動溶着性を測定した。結果を表6及び表7に示す。

0238

なお、実施例46及び47においては熱可塑性樹脂組成物としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユーピロンS−2000F、以下「Ha−7」と略す)を用いた。

0239

表6及び表7の実施例33〜47に示すように、本発明のグラフト共重合体(Ga−1)〜(Ga−9)を用いることで、衝撃強度、流動性等の物性に優れ、拡散反射率が低く、光輝性に優れ、さらに、振動溶着性にも優れた熱可塑性樹脂を得ることができる。これに対して、比較例12においては、複合重合体の粒子径が請求範囲を満たすにも関わらず、ポリオルガノシロキサン(L−24)質量平均粒子径(Dw)が小さいため、光輝性が低下した。比較例13においては、ポリオルガノシロキサン(L−24)の質量平均粒子径(Dw)が小さく、複合重合体の粒子径100nm以下の粒子の割合が多いため、衝撃強度、光輝性が低下した。

0240

0241

0242

[実施例48]グラフト共重合体(Gb−1)の製造
冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、実施例12で得られたポリオルガノシロキサンラテックス(L−12)25部(固形分換算)、n−BA25部、AMA0.2部、1,3−BD0.05部、t−BH0.063部、脱イオン水208部(ポリオルガノシロキサンラテックス中の水を含む)の混合物を仕込んだ。次いでこのフラスコ内に窒素気流を通じて雰囲気の窒素置換を行い、内温を60℃まで昇温した。その時点で、Fe0.00005部、EDTA0.00015部、SFS0.12部、脱イオン水4部からなる水溶液を添加し、重合を開始させた。単量体成分の重合による重合発熱で内温の最大点が確認された後、65℃まで冷却した後に30分間保持し、単量体成分の重合を完結させてポリオルガノシロキサン(L−12)とn−BAの重合体からなる複合重合体(gb−1)ラテックスを得た。得られた複合重合体(gb−1)の質量平均粒子径は140nm、100nm未満の複合重合体粒子の割合は7%、300nm以上の複合重合体粒子の割合は1.3%であった。

0243

次いで、この複合重合体(gb−1)のラテックスに、Fe0.001部、EDTA0.003部、SFS0.3部、DBSNa0.55部、脱イオン水11部からなる水溶液を添加し、更に、AN12.5部、ST37.5部、t−BH0.23部からなる混合液を100分間にわたって滴下しながら、80℃まで昇温した。滴下終了後、温度80℃の状態を20分間保持した後、CHP0.05部を添加し、さらに30分間保持した後に冷却することで、グラフト共重合体(Gb−1)のラテックスを得た。

0244

一方、6%の酢酸カルシウムを溶解した水溶液140部を調製し85℃に加熱した。次いで、該水溶液を撹拌しながら、該水溶液中にグラフト共重合体(Gb−1)のラテックス(固形分100部)を徐々に滴下し、グラフト共重合体(Gb−1)を固化させ、さらに95℃に昇温して5分間保持した後、固化物を脱水、洗浄、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(Gb−1)を得た。

0245

[実施例49〜60、比較例14〜17]グラフト共重合体(Gb−2)〜(Gb−17)の製造
ポリオルガノシロキサンの種類及び量、並びにn−BAの量を表8に示す条件に変更したこと以外は実施例48と同様にして複合重合体(gb−2)〜(gb−17)を得た。更にそれらを用いて、表8に示す量のAN及びSTを用いてグラフト重合を行い、グラフト共重合体(Gb−2)〜(Gb−17)を得た。なお、比較例16において、ポリオルガノシロキサンラテックス(L−32)として、固形分換算で(L−24)83部と(L−31)17部を混合したものを用いた。ポリオルガノシロキサン(L−32)の質量平均粒子径(Dw)は101nm、数平均粒子径(Dn)は58nm、これらの比で表される粒子径分布(Dw/Dn)は1.74であった。

0246

[製造例7〜9]熱可塑性樹脂(Hb−1)〜(Hb−3)の製造
表9に示す種類及び量のビニル系単量体を用いて公知の懸濁重合法により、共重合体(Hb−1)〜(Hb−3)を製造した。各共重合体のN,N−ジメチルホルムアミド溶液中、25℃で測定した還元粘度を表9に示す。

0247

0248

0249

[実施例61〜78、比較例18〜22]熱可塑性樹脂組成物(Ib−1〜Ib−23)の製造
上記のグラフト共重合体(Gb−1)〜(Gb−17)及び熱可塑性樹脂(Hb−1)〜(Hb−3)を表10〜12に示す組成で配合し、さらに滑剤としてEBS0.3部、および着色剤としてカーボンブラック#960を0.5部、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。次いで、該混合物をバレル温度230℃に加熱した脱揮式二軸押出機((株)池貝製、PCM−30)に供給して混練し、熱可塑性樹脂組成物(Ib−1)〜(Ib−23)のペレットを作製した。各ペレットについて、メルトボリュームレートを測定した。

0250

このペレットを4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)にて230℃にて評価用のテストピースを作成した。メルトボリュームレート、曲げ弾性率、荷重たわみ温度、23℃と−30℃でのシャルピー衝撃強度、及び発色性の測定結果をまとめて表10〜12に示す。なお、表12において、Hb−4としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユーピロンS−3000)を用いた。

0251

本発明のグラフト共重合体(Gb−1)〜(Gb−13)を用いた実施例61〜78の熱可塑性樹脂組成物は、衝撃強度や曲げ弾性率等の機械的強度、特に−30℃のシャルピー衝撃強度と発色性のバランスに優れた特性を得ることができる。一方、比較例18、21、及び22は、ポリオルガノシロキサン(L−24)、複合重合体(gb−14)及び(gb−17)の質量平均粒子径(Dw)が小さく、さらに複合重合体の粒子径100nm以下の粒子の割合が多いため、−30℃のシャルピー衝撃強度が低かった。さらに、比較例19は、ポリオルガノシロキサン(L−31)の質量平均粒子径(Dw)が大きく、複合重合体の粒子径300nm以上の粒子の割合が多いため、−30℃のシャルピー衝撃強度が低く、発色性も悪化した。比較例20は、ポリオルガノシロキサン(L−32)の粒子径分布(Dw/Dn)が大きいため、複合重合体(gb−16)の質量平均粒子径(Dw)が小さくなり、−30℃のシャルピー衝撃強度が低かった。

0252

0253

実施例

0254

0255

本発明のポリオルガノシロキサンラテックスは、樹脂添加剤、繊維処理剤、離型剤、化粧品、消泡剤、塗料用添加剤等の原料として広く使用することができる。本発明のポリオルガノシロキサンラテックスを用いて得られるグラフト共重合体は、粒子分布が狭く、目的の用途の性能に最適な特性を有する熱可塑性樹脂組成物を製造することができる点で、樹脂添加剤の原料として特に有用である。

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