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技術 海産物エキスの処理方法および海産物エキス並びに飲食品

出願人 理研ビタミン株式会社株式会社サンアクティス
発明者 田中稔海野はるか金山裕亮
出願日 2011年12月6日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2012-555700
公開日 2014年7月3日 (6年6ヶ月経過) 公開番号 WO2012-105123
状態 特許登録済
技術分野 半透膜を用いた分離 調味料
主要キーワード 通電膜 稼動初期 水溶性電解質溶液 最大設定値 組成バランス ヨウ素回収 イオン交換膜電気透析 各陰イオン
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年7月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題・解決手段

海産物エキスに含まれるヨウ素を除去若しくはその含有量を低減でき、しかも未処理物が備える海産物エキス本来の風味呈味外観などを維持できるようにする。陽極(3)側から順に第1陰イオン交換膜(5)と第2陰イオン交換膜(6)とを配置し、両陰イオン交換膜(5・6)間にエキス収容室(9)を形成して海産物エキス(21)を収容する。第1陰イオン交換膜(5)の陽極側にヨウ素回収室(8)を形成する。第2陰イオン交換膜(6)の陰極側補充液収容室(10)を形成して、塩素イオンを含有する補充液(24)を収容する。電気透析により、海産物エキス(21)に含まれるヨウ素イオンをヨウ素回収室(8)へ第1陰イオン交換膜(5)を通過させて移動させ、補充液(24)に含まれる塩素イオンをエキス収容室(9)内へ第2陰イオン交換膜(6)を通過させて補充する。

概要

背景

一般に、海に生息する海藻類魚介類などの海産物は、海水中から直接的にあるいは摂食により間接的にヨウ素を体内へ取り込んで蓄積している。これらの海産物の中でも、海藻類はヨウ素を多く含むことが知られており、例えば褐藻類である昆布は、海水中のヨウ素含量の約500倍〜60000倍という高濃度のヨウ素を含有することが知られている。そのため、昆布などの海産物を原料として用いて抽出して得られる海産物エキスには、ヨウ素が高濃度で含有されている。

これら海産物やこの海産物を原料として得られる海産物エキスは、日本においてはごく普通に食されており、例えば昆布や、昆布を原料として得られる昆布エキスなどは、出し汁を取る際に繁用されるほか、各種調味料や各種加工食品にも多用されている。

上記のヨウ素は人体において必須元素ではあるものの、ヨウ素を過剰摂取した場合においては、甲状腺機能低下甲状腺腫などの症状を発症する虞がある。このため、日本の厚生労働省からは「日本人食事摂取基準」として、推定必要量と耐容上限量が定められている。そこで最近では、海産物エキスに含まれるヨウ素含量を低減する方法や、ヨウ素含量を低減した海産物エキスが求められている。

従来、水溶液などからヨウ素イオンを分離する処理方法としては、複置換電気透析法にて水溶液からヨウ素イオンを分離する処理方法であって、ヨウ素イオンの対アニオンとして塩素イオンを用い、陰イオン交換膜として一価陰イオン選択透過膜を用いる、ヨウ素イオンの分離方法がある(例えば、特許文献1参照。)。またNa、Cl、Iを含有する塩水からのヨウ素除去方法であって、この塩水の酸化還元電位が400mV(SHE)以下であるようにして、この塩水中のヨウ素をイオン交換樹脂により除去する、ヨウ素除去方法もある(例えば、特許文献2参照。)。さらに、海藻類を還元性物質の存在下で抽出してフコイダンを得る処理方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。

しかし上記の複置換電気透析法では、海産物エキスに含まれるヨウ素以外の成分(食塩分など)も同時に除去されるため、未処理の海産物エキスと比べて、成分に偏りのある海産物エキスとなる問題があった。また、上記のイオン交換樹脂を用いる方法では、海産物エキスに含まれている特有風味成分までもが樹脂吸着されてしまい、大きく風味を損ねてしまう問題があった。さらに、上記の還元性物質存在下で海藻類からヨウ素を軽減したエキスを得る処理方法では、還元性物質の添加により海産物エキスの風味が大きく変化してしまうなどの問題があった。
このため、ヨウ素を除去し、且つ、海産物エキスに含有されている呈味成分および旨味成分である、食塩分やアミノ酸組成バランスを崩さずに、風味の良い海産物エキスを得ることができる、海産物エキスの処理方法が求められている。

概要

海産物エキスに含まれるヨウ素を除去若しくはその含有量を低減でき、しかも未処理物が備える海産物エキス本来の風味や呈味外観などを維持できるようにする。陽極(3)側から順に第1陰イオン交換膜(5)と第2陰イオン交換膜(6)とを配置し、両陰イオン交換膜(5・6)間にエキス収容室(9)を形成して海産物エキス(21)を収容する。第1陰イオン交換膜(5)の陽極側にヨウ素回収室(8)を形成する。第2陰イオン交換膜(6)の陰極側補充液収容室(10)を形成して、塩素イオンを含有する補充液(24)を収容する。電気透析により、海産物エキス(21)に含まれるヨウ素イオンをヨウ素回収室(8)へ第1陰イオン交換膜(5)を通過させて移動させ、補充液(24)に含まれる塩素イオンをエキス収容室(9)内へ第2陰イオン交換膜(6)を通過させて補充する。

目的

本発明の技術的課題は上記の問題点を解消し、海産物エキスに含まれるヨウ素を除去若しくはその含有量を低減でき、しかも未処理物が備える海産物エキス本来の風味や呈味、外観などを維持できる、海産物エキスの処理方法および海産物エキス並びに飲食品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

陽・陰両電極間陰イオン交換膜を配置し、この陰イオン交換膜の陰極側海産物エキスを収容して、この海産物エキスに含まれるヨウ素イオンの少なくとも一部を、電気透析により上記の陰イオン交換膜を通過させることで海産物エキス内から除去する海産物エキスの処理方法であって、陽極側から順に第1陰イオン交換膜と第2陰イオン交換膜とを配置し、上記の両陰イオン交換膜間にエキス収容室を形成して、このエキス収容室内に上記の海産物エキスを収容し、上記の第1陰イオン交換膜の陽極側にヨウ素回収室を形成し、上記の第2陰イオン交換膜の陰極側に補充液収容室を形成して、この補充液収容室に塩素イオンを含有する補充液を収容し、上記の電気透析により、上記の海産物エキスに含まれるヨウ素イオンを上記のヨウ素回収室へ、上記の第1陰イオン交換膜を通過させて移動させるとともに、上記の補充液に含まれる塩素イオンを上記のエキス収容室内へ、上記の第2陰イオン交換膜を通過させて補充することを特徴とする、海産物エキスの処理方法。

請求項2

前記の第1陰イオン交換膜と第2陰イオン交換膜を1組とし、この複数組をそれぞれ中間陽イオン交換膜を介し前記の陽・陰両電極間に配置し、前記のヨウ素回収室に水または水溶性電解質溶液を収容し、上記の陽極とこれに最も近接した上記の第1陰イオン交換膜との間に第1陽イオン交換膜を配置して、この第1陽イオン交換膜の陽極側を陽極室とし、上記の陰極とこれに最も近接した上記の第2陰イオン交換膜との間に第2陽イオン交換膜を配置して、この第2陽イオン交換膜の陰極側を陰極室とする、請求項1に記載の海産物エキスの処理方法。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の処理方法で処理して得られることを特徴とする、海産物エキス。

請求項4

前記の海産物エキスが、固形分100質量%中の食塩含有量が5〜50質量%であり、且つその海産物エキス固形分中の食塩含有量/ヨウ素含有量が200以上であることを特徴とする、請求項3に記載の海産物エキス。

請求項5

請求項3または請求項4に記載の海産物エキスが配合されていることを特徴とする、飲食品

技術分野

0001

本発明は、電気透析法を用いて処理する海産物エキス処理方法に関し、さらに詳しくは、海産物エキスに含まれるヨウ素を除去若しくはその含有量を低減でき、しかも未処理物が備える海産物エキス本来の風味呈味外観などを維持できる、海産物エキスの処理方法および海産物エキス並びに飲食品に関する。

背景技術

0002

一般に、海に生息する海藻類魚介類などの海産物は、海水中から直接的にあるいは摂食により間接的にヨウ素を体内へ取り込んで蓄積している。これらの海産物の中でも、海藻類はヨウ素を多く含むことが知られており、例えば褐藻類である昆布は、海水中のヨウ素含量の約500倍〜60000倍という高濃度のヨウ素を含有することが知られている。そのため、昆布などの海産物を原料として用いて抽出して得られる海産物エキスには、ヨウ素が高濃度で含有されている。

0003

これら海産物やこの海産物を原料として得られる海産物エキスは、日本においてはごく普通に食されており、例えば昆布や、昆布を原料として得られる昆布エキスなどは、出し汁を取る際に繁用されるほか、各種調味料や各種加工食品にも多用されている。

0004

上記のヨウ素は人体において必須元素ではあるものの、ヨウ素を過剰摂取した場合においては、甲状腺機能低下甲状腺腫などの症状を発症する虞がある。このため、日本の厚生労働省からは「日本人食事摂取基準」として、推定必要量と耐容上限量が定められている。そこで最近では、海産物エキスに含まれるヨウ素含量を低減する方法や、ヨウ素含量を低減した海産物エキスが求められている。

0005

従来、水溶液などからヨウ素イオンを分離する処理方法としては、複置換電気透析法にて水溶液からヨウ素イオンを分離する処理方法であって、ヨウ素イオンの対アニオンとして塩素イオンを用い、陰イオン交換膜として一価陰イオン選択透過膜を用いる、ヨウ素イオンの分離方法がある(例えば、特許文献1参照。)。またNa、Cl、Iを含有する塩水からのヨウ素除去方法であって、この塩水の酸化還元電位が400mV(SHE)以下であるようにして、この塩水中のヨウ素をイオン交換樹脂により除去する、ヨウ素除去方法もある(例えば、特許文献2参照。)。さらに、海藻類を還元性物質の存在下で抽出してフコイダンを得る処理方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。

0006

しかし上記の複置換電気透析法では、海産物エキスに含まれるヨウ素以外の成分(食塩分など)も同時に除去されるため、未処理の海産物エキスと比べて、成分に偏りのある海産物エキスとなる問題があった。また、上記のイオン交換樹脂を用いる方法では、海産物エキスに含まれている特有風味成分までもが樹脂吸着されてしまい、大きく風味を損ねてしまう問題があった。さらに、上記の還元性物質存在下で海藻類からヨウ素を軽減したエキスを得る処理方法では、還元性物質の添加により海産物エキスの風味が大きく変化してしまうなどの問題があった。
このため、ヨウ素を除去し、且つ、海産物エキスに含有されている呈味成分および旨味成分である、食塩分やアミノ酸組成バランスを崩さずに、風味の良い海産物エキスを得ることができる、海産物エキスの処理方法が求められている。

先行技術

0007

特開2008−272602号公報
特開2005−305265号公報
国際公開第2002/022140号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の技術的課題は上記の問題点を解消し、海産物エキスに含まれるヨウ素を除去若しくはその含有量を低減でき、しかも未処理物が備える海産物エキス本来の風味や呈味、外観などを維持できる、海産物エキスの処理方法および海産物エキス並びに飲食品を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、電気透析装置を用いることにより上記課題を解決することを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)陽・陰両電極間に陰イオン交換膜を配置し、この陰イオン交換膜の陰極側に海産物エキスを収容して、この海産物エキスに含まれるヨウ素イオンの少なくとも一部を、電気透析により上記の陰イオン交換膜を通過させることで海産物エキス内から除去する海産物エキスの処理方法であって、陽極側から順に第1陰イオン交換膜と第2陰イオン交換膜とを配置し、上記の両陰イオン交換膜間にエキス収容室を形成して、このエキス収容室内に上記の海産物エキスを収容し、上記の1陰イオン交換膜の陽極側にヨウ素回収室を形成し、上記の第2陰イオン交換膜の陰極側に補充液収容室を形成して、この補充液収容室に塩素イオンを含有する補充液を収容し、上記の電気透析により、上記の海産物エキスに含まれるヨウ素イオンを上記のヨウ素回収室へ、上記の第1陰イオン交換膜を通過させて移動させるとともに、上記の補充液に含まれる塩素イオンを上記のエキス収容室内へ、上記の第2陰イオン交換膜を通過させて補充することを特徴とする、海産物エキスの処理方法、
(2)前記の第1陰イオン交換膜と第2陰イオン交換膜を1組とし、この複数組をそれぞれ中間陽イオン交換膜を介し前記の陽・陰両電極間に配置し、前記のヨウ素回収室に水または水溶性電解質溶液を収容し、上記の陽極とこれに最も近接した上記の第1陰イオン交換膜との間に第1陽イオン交換膜を配置して、この第1陽イオン交換膜の陽極側を陽極室とし、上記の陰極とこれに最も近接した上記の第2陰イオン交換膜との間に第2陽イオン交換膜を配置して、この第2陽イオン交換膜の陰極側を陰極室とする、前記(1)に記載の海産物エキスの処理方法、
(3)前記(1)または(2)に記載の処理方法で処理して得られることを特徴とする、海産物エキス、
(4)前記の海産物エキスが、固形分100質量%中の食塩含有量が5〜50質量%であり、且つその海産物エキス固形分中の食塩含有量/ヨウ素含有量が200以上であることを特徴とする、前記(3)に記載の海産物エキス、
(5)前記(3)または(4)に記載の海産物エキスが配合されていることを特徴とする、飲食品、
からなっている。

発明の効果

0010

本発明の海産物エキスの処理方法は、次の効果を奏する。

0011

(1)エキス収容室内の海産物エキスに含まれるヨウ素などの陰イオンは、第1陰イオン交換膜を通過してヨウ素回収室へ移動するが、この海産物エキスに含まれるナトリウムなどの陽イオンは、第2陰イオン交換膜により移動が阻止され、海産物エキス中に留まる。この結果、海産物エキスに含まれるヨウ素イオンを除去若しくはその含有量を低減できるものでありながら、しかも陽イオンの流出を防止できて、未処理物が備える海産物エキス本来の風味や呈味、外観などを良好に維持することができる。

0012

(2)エキス収容室内の海産物エキスには、補充液収容室内の補充液から塩素イオンなどが補充されるので、海産物エキスのpHの上昇を抑制できるとともに、未処理物が備える海産物エキス本来の風味や呈味、外観などを一層良好に維持することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施形態に用いられる、電気透析装置の構造を示す模式図である。

0014

以下、本発明の実施の形態を図1に基づき説明する。

0015

本発明の処理方法に用いられる海産物エキスとしては、海または汽水域で生息する魚介類または海藻類などの海産物を原料として抽出した海産物エキスである。
上記の魚介類としては特定の種類のものに限定されず、例えばホタテシジミカキなどの貝類イカタコなどの頭足類、タイ、カツオマグロサケフグなどの魚類エビカニオキアミシャコなどの甲殻類ウニナマコなどの棘皮動物クジラなどの海洋哺乳類などが挙げられるが、好ましくは貝類、頭足類、魚類などである。

0016

また上記の海藻類も特定の種類のものに限定されず、例えば昆布、ワカメヒジキヒバマタカジメノリマツモなどの褐藻類、ヒトエグサアオサなどの緑藻類スサビノリツノマタなどの紅藻類スピルリナヘマトコッカスなどの微細藻類などが挙げられるが、好ましくは褐藻類である昆布、ワカメ、ノリなどである。

0017

上記の海産物を原料としてそのエキスを抽出する方法としては、特に制限はなく、例えば水で抽出する方法、熱水で抽出する方法、含水アルコールで抽出する方法、超臨界流体で抽出する方法などが挙げられる。

0018

たとえば、以下に一般的な昆布エキスの製造方法を説明する。
マコンブ(素干し)に水を加え、室温で約30分〜1時間静置して吸水させたのち、約40〜100℃まで、好ましくは約50〜70℃まで昇温し、約30〜50分間加温して昆布エキスを抽出する。そして抽出残渣を取り出したのち、抽出液フィルター濾過して夾雑物を分離し、所望によりさらに減圧濃縮機などで適当な濃度まで濃縮して昆布エキスを得る。

0019

本発明の処理方法に用いられる海産物エキスの形状は、流動性を有する液状であると好ましい。海産物エキスが固形状または粘稠性を有するペースト状などの場合は、加水して溶解または希釈したものを用いることができる。

0020

これら海産物エキスには、海産物の種類、抽出条件および濃縮条件などによって異なるが、通常約1〜1000mg/100gのヨウ素が含まれている。

0021

本発明で処理に用いられる海産物エキスの固形分濃度については特に限定されるものではないが、エキス成分である固形分濃度が希薄すぎると電気透析装置に供給する液量全体が増加し、電流密度が低い状態での運転となることから、製造効率を落としてしまう。一方、固形分濃度が濃厚であると粘性が高くなり、また、結晶性不溶性沈殿物を生じて電気透析装置内での目詰まりイオン交換膜表面でのファウリングを起こす場合がある。このため上記の海産物エキスは、抽出原料の種類にもよるが、一般的には固形分が1〜50質量%の溶液状であることが好ましい。
なお、海産物エキスの液状の粘度としては、0.01Pa・s以下が好ましい。また、夾雑物の多いエキスについては電気透析装置内での目詰まりを起こす危険性が高いことから、濾過などの工程により上記の夾雑物を事前に除去しておくことが好ましい。

0022

上記の海産物エキスに含まれるヨウ素は、本発明の効果を高めるためイオン化している状態が適しており、所望により酸もしくはアルカリでpHを調整することができる。海産物エキスのpHとしては、通常、約1〜13であり、好ましくは約2〜8である。

0023

本発明では、上記海産物エキスに含まれるヨウ素イオンを、電気透析法で取り除くが、この本発明に用いられる電気透析法では、例えば図1に示すように、陽・陰両電極(3・4)間に、陽極(3)側から順に第1陰イオン交換膜(5)と第2陰イオン交換膜(6)とが配置される。そしてこの両陰イオン交換膜(5・6)間にエキス収容室(9)が形成される。また上記の第1陰イオン交換膜(5)の陽極側にヨウ素回収室(8)が形成され、上記の第2陰イオン交換膜(6)の陰極側に補充液収容室(10)が形成される。また、好ましくは上記の陽極(3)とこれに最も近接した上記の第1陰イオン交換膜(5)との間に第1陽イオン交換膜(11)が配置され、陰極(4)とこれに最も近接した上記の第2陰イオン交換膜(6)との間に第2陽イオン交換膜(13)が配置される。これにより、上記の陽極(3)を配置した陽極室(12)が第1陽イオン交換膜(11)でヨウ素回収室(8)と分画され、陰極(4)を配置した陰極室(14)が第2陽イオン交換膜(13)で補充液収容室(10)と分画される。そして上記のエキス収容室(9)内に海産物エキス(21)が収容され、上記の補充液収容室(10)に塩素イオンを含有する補充液(24)が収容されて、電気透析が行われる。上記の両陰イオン交換膜(5・6)は一組のみ設けたものであってもよいが、これを1組として、この複数組がそれぞれ中間陽イオン交換膜(7)を介して上記の陽・陰両電極(3・4)間に配置されると、各組の陰イオン交換膜(5・6)間に形成されるエキス収容室(9)にそれぞれ海産物エキス(21)を収容して処理できるので、大量の海産物エキス(21)を同時に処理できて好ましい。その繰り返し組数は目的に応じて設定されるが、好ましくは約10〜150組程度である。

0024

図1は、本発明の処理方法に用いられる電気透析装置の一例の、構造を示す模式図である。すなわちこの電気透析装置(1)は、透析槽(2)内に陽極(3)と陰極(4)とが配置してあり、この陽・陰両電極(3・4)間に、陽極(3)側の第1陰イオン交換膜(5)と陰極(4)側の第2陰イオン交換膜(6)とからなる一対の陰イオン交換膜が、それぞれ中間陽イオン交換膜(7)を介し複数組配置してある。

0025

上記の各第1陰イオン交換膜(5)の陽極側にはヨウ素回収室(8)が形成してあり、両陰イオン交換膜(5・6)間にはエキス収容室(9)が形成してあり、上記の各第2陰イオン交換膜(6)の陰極側には補充液収容室(10)が形成してある。そして互いに隣接するヨウ素回収室(8)と補充液収容室(10)とは、上記の中間陽イオン交換膜(7)で分画されている。

0026

上記の陽極(3)と上記のヨウ素回収室(8)とは、必ずしもイオン交換膜で分画する必要はないが、このヨウ素回収室(8)内に、電気透析によりエキス収容室(9)からヨウ素イオンとともに塩素イオンが流入すると、この塩素イオンが陽極に接して、電気的に酸化されて塩素ガスとなり、陽極を腐食したり、イオン交換膜を劣化させたりする虞がある。このため、上記の陽極(3)とこれに最も近接した上記の第1陰イオン交換膜(5)との間に第1陽イオン交換膜(11)が配置してあり、この第1陽イオン交換膜(11)の陽極(3)側に陽極室(12)が形成してある。

0027

また、上記の陰極(4)と上記の補充液収容室(10)とは、必ずしもイオン交換膜で分画する必要はないが、この陰極(4)の周囲と上記の陽極室(12)との間で電極液循環などにより共用すると、上記の補充液収容室(10)内の溶液に含まれる塩素イオンが陰極(4)の周囲を経て上記の陽極室(12)に流入し、陽極(3)に悪影響を及ぼす虞がある。また、第2陽イオン交換膜(13)を配置せず、電極液(15)として硫酸ナトリウムを用いる場合、硫酸イオンが第2陰イオン交換膜(6)を通過しエキス収容室(9)内に移動する虞がある。このため、上記の陰極(4)とこれに最も近接した上記の第2陰イオン交換膜(6)との間に第2陽イオン交換膜(13)が配置してあり、この第2陽イオン交換膜(13)の陰極(4)側に陰極室(14)が形成してある。

0028

上記の陽極(3)としては、黒鉛白金白金メッキチタンなどが用いられ、陰極(4)としては、鉄、ニッケルステンレススチールなどが用いられる。これらの電極(3・4)が配置された上記の陽極室(12)と陰極室(14)には、電極液(15)として約0.1〜10%(W/V)の水溶性電解質水溶液が収容されている。この水溶性電解質の成分は特に制限されず、例えば硫酸ナトリウム溶液などが使用される。この電極液(15)は、透析槽(2)の外部に配置された電極液貯留容器(16)との間で循環ポンプ(17)などにより循環される。

0029

上記の各陽イオン交換膜(7・11・13)としては、公知の陽イオン交換膜を用いることができ、例えばイオン交換基としてスルホン酸基カルボン酸基ホスホン酸基硫酸エステル基、リン酸エステル基を有するもの、さらにこれらのイオン交換基の複数種類が混在した陽イオン交換膜を用いることができる。またこの陽イオン交換膜は、重合型、結合型、均一型、不均一型の別なく、また補強芯材の有無や、炭化水素系のもの、フッ素系のものなど、材料や、製造方法に由来する陽イオン交換膜の種類、型式などの別なく、いかなるものであっても良い。さらに、2N−食塩溶液を5A/dm2の電流密度で電気透析し、電流効率が70%以上の、実質的に陽イオン交換膜として機能するものであれば、一般に両性イオン交換膜と称するものであっても、上記の陽イオン交換膜として使用することができる。市販される陽イオン交換膜としては、例えばネオセプタCMX(製品名、アストム社製)、ネオセプタCIMS(製品名、アストム社製)などが挙げられる。

0030

また上記の各陰イオン交換膜(5・6)としては、公知の陰イオン交換膜を用いることができ、例えば、4級アンモニウム基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、さらにこれらのイオン交換基の複数種類が混在した陰イオン交換膜を用いることができる。またこの陰イオン交換膜は、重合型、結合型、均一型、不均一型の別なく、また補強芯材の有無や、炭化水素系のもの、フッ素系のものなど、材料、製造方法に由来する陰イオン交換膜の種類、型式などの別なく、いかなるものであっても良い。また、2N−食塩溶液を5A/dm2の電流密度で電気透析し、電流効率が70%以上の、実質的に陰イオン交換膜として機能するものであれば、一般に両性イオン交換膜と称するものであっても、上記の陰イオン交換膜として使用することができる。市販される陰イオン交換膜としては、例えばネオセプタAMX(製品名、アストム社製)、ネオセプタACS(製品名、アストム社製)などが挙げられる。

0031

上記のヨウ素回収室(8)には、水または希薄な水溶性電解質溶液(18)が仕込まれる。この希薄な水溶性電解質溶液は、装置稼動初期電極間導電効率を高める目的で使用されるが、本発明においては水であってもよい。この水溶性電解質溶液としては、例えば、塩化ナトリウム水溶液塩化カリウム水溶液塩酸溶液などが挙げられる。この水または希薄な水溶性電解質溶液(18)は、透析槽(2)の外部に配置された電解質溶液貯留容器(19)との間で循環ポンプ(20)などにより循環される。

0032

上記のエキス収容室(9)には、海産物エキス(21)が仕込まれる。この海産物エキス(21)は、透析槽(2)の外部に配置されたエキス貯留容器(22)との間で循環ポンプ(23)などにより循環される。

0033

上記の補充液収容室(10)には、塩素イオンを含む補充液(24)が仕込まれる。この補充液(24)としては、特定の成分のものに限定されないが、好ましくは装置内にスケールとして付着しにくく安価に入手できる塩酸、塩化ナトリウム水溶液および塩化カリウム水溶液などが挙げられ、さらに好ましくは塩化ナトリウム水溶液が用いられる。この補充液(24)に含まれる塩素イオンのモル濃度は、特定の濃度に限定されないが、好ましくは約0.1〜6mol/Lであり、より好ましくは約1〜4.5mol/Lである。この補充液(24)は、透析槽(2)の外部に配置された補充液貯留容器(25)との間で循環ポンプ(26)などにより循環される。

0034

なおこの実施形態では、上記のエキス収容室(9)や、補充液収容室(10)、ヨウ素回収室(8)、陽極室(12)および陰極室(14)への、各溶液および海産物エキスの供給を、ポンプなどを用いて循環供給したので連続的に処理できて好ましい。しかし本発明ではこれらの溶液や海産物エキスの供給は、連続的であっても断続的であっても良い。なお、各溶液および海産物エキスの温度は、通常5〜70℃、好ましくは20〜50℃の範囲に設定されて上記の電気透析が行われる。

0035

本発明の海産物エキスの処理方法は、上記の陽極(3)と陰極(4)との間に直流電流通電することにより、イオン交換膜電気透析によるイオン置換処理が行われる。このとき、上記の陽極(3)と陰極(4)との間の電圧は、1組の両陰イオン交換膜(5・6)と中間陽イオン交換膜(7)当たり、0.2〜2.0Vに調節され、電流はイオン交換膜1dm2当たり0.1〜10Aに調節される。

0036

上記の電気透析により、上記のエキス収容室(9)内の海産物エキス(21)に含まれる陰イオンは、第1陰イオン交換膜(5)を通過して、陽極側にあるヨウ素回収室(8)内へ移動し、この海産物エキス(21)に含まれる陽イオンは、第2陰イオン交換膜(6)により移動が阻止されて、陰極側の補充液収容室(10)内へ移動することなく、その海産物エキス(21)中に留まる。
また上記の補充液収容室(10)内の補充液(24)に含まれる陰イオンは、第2陰イオン交換膜(6)を通過して、陽極側にあるエキス収容室(9)内へ移動し、この補充液(24)に含まれる陽イオンは、中間陽イオン交換膜(7)または第2陽イオン交換膜(13)を通過して、陰極側のヨウ素回収室(8)または陰極室(14)内へ移動する。
上記のヨウ素回収室(8)内の水または希薄な水溶性電解質溶液(18)に含まれる陰イオンは、第1陽イオン交換膜(11)または中間陽イオン交換膜(7)により移動が阻止されて、陽極側にある陽極室(12)または補充液収容室(10)内へ移動することなく、このヨウ素回収室(8)内に留まり、この水または希薄な水溶性電解質溶液(18)に含まれる陽イオンは、第1陰イオン交換膜(5)により移動が阻止されて、陰極側にあるエキス収容室(9)内へ移動することなく、このヨウ素回収室(8)内に留まる。

0037

上記の様に、エキス収容室(9)内の海産物エキス(21)に含まれる陰イオンであるヨウ素イオンは、陽極側にあるヨウ素回収室(8)内へ移動し、これにより海産物エキスに含まれるヨウ素が除去され若しくはその含有量が低減される。また、上記のエキス収容室(9)の陰極側にある補充液収容室(10)からは、例えば塩素イオンなどの陰イオンがエキス収容室(9)内へ移動し、結果として上記の電気透析を用いた処理方法により、陽イオンやエキス成分、アミノ酸類などが電気透析処理する前と大きく変化することなく保たれた、海産物エキスが得られる。

0038

本発明の処理方法により得られた海産物エキスは、海産物エキスに含まれるヨウ素を除去若しくはその含有量を低減しながらも、食塩含有量(塩分相当量)に大きな変化は見られない。この海産物エキスは、固形分100質量%中の食塩含有量が、好ましくは約5〜50質量%、より好ましくは約15〜40質量%である。またこの海産物エキス固形分中の食塩含有量とヨウ素含有量との比(食塩含有量/ヨウ素含有量)は、好ましくは約200以上、より好ましくは約500以上である。

0039

以下に本発明の実施例について説明するが、この実施例は本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。

0040

(1)昆布エキス(未処理品)の調製
マコンブ(素干し)100gに水1500mLを加え、室温で30分間静置した後、50℃まで昇温して50分間保持した。次にコンブの残渣を取り出したのち、濾紙を用いて抽出液を分離し、減圧濃縮機(型式:ロータリーエバポレーターN—1000;東京理化器械社製)を用いてBrix濃度40%まで濃縮して、昆布エキス(未処理品)を80g得た。得られた昆布エキス(未処理品)のpHを測定したところ5.37であった。
ここで、上記のBrix濃度は、ポケット糖度計(型式:APAL−1;アズワン社製)を用いて測定し、pHは、ガラス電極水素イオン濃度指示計(型式:HM−20P;東亜ディーケーケー社製)を用いて測定した。

0041

(2)昆布エキス(未処理品)の電気透析法による処理
[実施例1]
上記の昆布エキス(未処理品)を、電気透析装置(型式:EX−3B;アストム社製)を使用して電気透析処理を行った。この電気透析装置に用いたイオン交換膜は、陽イオン交換膜(型式:ネオセプタCMX−SB;アストム社製)と、陰イオン交換膜(型式:ネオセプタAMX−SB;アストム社製)である。
各イオン交換膜の配置は、陽極側に第1陽イオン交換膜(11)を配置し、次いで、第1陰イオン交換膜(5)と第2陰イオン交換膜(6)を1組として、それぞれ中間陽イオン交換膜(7)を介して10組配置し、さらに陰極側に第2陽イオン交換膜(13)を配置した、フィルタープレス型とした。昆布エキスに接する陰イオン交換膜(5・6)のそれぞれの通電膜面積は、55cm2としてある。なお、各イオン交換膜の配置間隔は、一定とした。

0042

上記の第1陽イオン交換膜(11)又は中間陽イオン交換膜(7)と、上記の第1陰イオン交換膜(5)とによって分画されたヨウ素回収室(8)には純水(18)を、上記の両陰イオン交換膜(5・6)によって分画されたエキス収容室(9)には昆布エキス(21)を、上記の第2陰イオン交換膜(6)と中間陽イオン交換膜(7)または第2陽イオン交換膜(13)とによって分画された補充液収容室(10)には17.45%(W/V)の塩化ナトリウム溶液(塩素イオンのモル濃度は2.99mol/L)からなる補充液(24)を、それぞれ4mL/secの流速で循環供給した。各溶液や昆布エキスの総量はそれぞれ500mLである。尚、電極液(15)は5%(W/V)硫酸ナトリウム水溶液を用いた。各溶液および昆布エキスの温度を20〜35℃の範囲に調整しながら、陽・陰極(3・4)間に10Vの電圧(電流密度は最大設定値5A/dm2)をかけて150分間電気透析処理を行い、実施例1の昆布エキスを得た。得られた実施例1の昆布エキスについてpHを測定したところ5.47であった。

0043

[実施例2]
上記の昆布エキス(未処理品)を、電気透析装置(型式:EX−3B;アストム社製)を使用して電気透析処理を行った。この電気透析装置に用いたイオン交換膜は、陽イオン交換膜(型式:ネオセプタCIMS;アストム社製、一価陽イオン選択透過膜)と、陰イオン交換膜(型式:ネオセプタACS;アストム社製、一価陰イオン選択透過膜)である。
各イオン交換膜の配置は、陽極側に第1陽イオン交換膜(11)を配置し、次いで、第1陰イオン交換膜(5)と第2陰イオン交換膜(6)を1組として、それぞれ中間陽イオン交換膜(7)を介して10組配置し、さらに陰極側に第2陽イオン交換膜(13)を配置した、フィルタープレス型とした。昆布エキスに接する陰イオン交換膜(5・6)のそれぞれの通電膜面積は、55cm2としてある。なお、各イオン交換膜の配置間隔は、一定とした。

0044

上記の第1陽イオン交換膜(11)又は中間陽イオン交換膜(7)と、上記の第1陰イオン交換膜(5)とによって分画されたヨウ素回収室(8)には純水(18)を、上記の両陰イオン交換膜(5・6)によって分画されたエキス収容室(9)には昆布エキス(21)を、上記の第2陰イオン交換膜(6)と中間陽イオン交換膜(7)または第2陽イオン交換膜(13)とによって分画された補充液収容室(10)には17.45%(W/V)の塩化ナトリウム溶液(塩素イオンのモル濃度は2.99mol/L)からなる補充液(24)を、それぞれ4mL/secの流速で循環供給した。各溶液や昆布エキスの総量はそれぞれ500mLである。尚、電極液(15)は5%(W/V)硫酸ナトリウム水溶液を用いた。各溶液および昆布エキスの温度を20〜35℃の範囲に調整しながら、陽・陰極(3・4)間に15Vの電圧(電流密度は最大設定値5A/dm2)をかけて210分間電気透析処理を行い、実施例2の昆布エキスを得た。得られた実施例2の昆布エキスについてpHを測定したところ5.48であった。

0045

[比較例1]
上記の昆布エキスの調製で得た未処理品の昆布エキスを、通常脱塩処理する電気透析装置(型式:S−3;アストム社製)を使用して電気透析処理を行った。この電気透析装置に用いたイオン交換膜は、上記の実施例1と同様、陽イオン交換膜(型式:ネオセプタCMX−SB;アストム社製)と、陰イオン交換膜(型式:ネオセプタAMX−SB;アストム社製)である。
各イオン交換膜の配置は、陽極側に陽イオン交換膜を配置し、次いで陰イオン交換膜・陽イオン交換膜の配列組を1組とし、10組配置したフィルタープレス型とした。昆布エキスに接する1方の陰イオン交換樹脂の通電膜面積は55cm2としてある。各イオン交換膜の配置間隔は、実施例1と同様、一定とした。

0046

上記の陰イオン交換膜とその陽極側に位置する陽イオン交換膜とによって分画された溶液室には純水を、陰イオン交換膜とその陰極側に位置する陽イオン交換膜とによって分画された溶液室には昆布エキスを、それぞれ4mL/secの流速で循環供給した。上記の純水と昆布エキスの総量はそれぞれ500mLである。尚、電極液(15)は5%(W/V)硫酸ナトリウム水溶液を用いた。そして上記の純水と昆布エキス温度を20〜35℃の範囲に調整しながら、陽・陰極間に10Vの電圧(電流密度は最大設定値5A/dm2)をかけて135分間電気透析処理を行い、比較例1の昆布エキスを得た。得られた比較例1の昆布エキスについてpHを測定したところ5.60であった。

0047

[比較例2]
上記の比較例1の処理方法において、電気透析時間を135分間行なうのに替えて、60分間行なう以外は同様の操作を行い、比較例2の昆布エキスを得た。得られた比較例2の昆布エキスについてpHを測定したところ、5.47であった。

0048

(3)電気透析処理された昆布エキスの官能評価
上記の未処理品と、実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の各昆布エキスについて、それぞれ200mLビーカーに各1gとり、Brix濃度が1%となるように熱湯で溶解したのち、外観、香り、および味について官能評価を行った。

0049

上記の官能評価項目評価基準評点は次の通りである。
・外観(色調)
評点3:清澄であり、昆布エキス特有の黄色〜薄い黄色を呈する。
評点2:濁りがあり、昆布エキス特有の黄色〜薄い黄色を呈する。
評点1:濁りがあり、昆布エキス特有の黄色〜薄い黄色を呈さず、薄い褐色を呈する。
・香り
評点3:昆布エキス特有の芳醇な香りがあり、香りのバランスが良い。
評点2:昆布エキス特有の香りはあるが、やや香りのバランスが悪い。
評点1:昆布エキス特有の香りが薄く、香りのバランスが悪い。
・味
評点3:昆布エキス特有の旨味塩味を有し、味のバランスが良い。
評点2:昆布エキス特有の旨味、塩味はあるが、味のバランスが悪い。
評点1:昆布エキス特有の旨味、若しくは塩味が弱く、味のバランスが悪い。

0050

上記の官能評価は、上記の評価基準に従って5名のパネラーで評価を行ない、評点の平均点を求め、以下の基準に従って記号化した。その結果を表1に示す。
○ :平均値2.5以上
△ :平均値1.5以上、2.5未満
× :平均値1.5未満

0051

0052

上記の結果から明らかなように、本発明の実施例1、実施例2の昆布エキスは、未処理品の昆布エキスと同等の色調、風味を有していたが、比較例1と比較例2の各昆布エキスは、いずれも未処理品の昆布エキスとは色調、風味が異なるものであった。

0053

(4)電気透析処理された各昆布エキスの含有成分の分析
次に、上記の電気透析処理された実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の各昆布エキスについて、ヨウ素、食塩(塩分相当量)、全窒素マンニトールおよび遊離アミノ酸の含有量と、固形分量を、未処理の昆布エキスと対比して測定した。

0054

上記の各成分の含有量は、次の方法により測定した。
(a)ヨウ素含有量
ヨウ素含有量の測定方法としては、ガスクロマトグラフを用いて測定した。
各昆布エキスをビーカーに取り、蒸留水で適当な濃度に希釈したのち、No.5B濾紙で濾過し、メスフラスコで定容する。定容したサンプルに18N硫酸0.7mL、メチルエチルケトン1.0mL、200ppm亜硝酸ナトリウム溶液1.0mLを加え、20分間放置する。更にヘキサンを加えて良く攪拌した後ヘキサン層分取し、試料とした。この試料1μLをガスクロマトグラフ(型式:6890N;Agilent Technologies社製)に供して測定した。

0055

(b)食塩含有量(塩分相当量)
食塩含有量(塩分相当量)の測定方法としては、フォハル湿式定量法を用いた。
各昆布エキス0.5gを200mL三角フラスコ採取し、0.1N−硝酸銀水溶液を20mL、13N−濃硝酸を20mL加え、沸騰湯浴中で30分間加温する。放冷したのち、鉄ミョウバン指示薬を5mL加え、0.1N−チオシアン酸カリウム滴定し、NaCl当量として測定した。

0056

(c)全窒素含有量
全窒素含有量の測定方法としては、ケルダール法を用いた。
各昆布エキス1.5gをケルダール瓶に採取し、分解促進剤商品名:KJELTBSC;Thompson & Copper社製)と36N−濃硝酸を加えて450℃で100分間の強熱分解したのち、放冷してから脱イオン水10mLを加えて自動ケルダール蒸留装置(型式:K378;ビュッヒ社製)にて全窒素量を測定した。

0057

(d)マンニトール含有量
マンニトール含有量の測定方法としては、ガスクロマトグラフを用いて測定した。
各昆布エキス2gを採取し、エタノール50mLを加えて脱イオン水で100mLに定容する。1mLを分取して溶媒揮発させたのち、トリメチルシリル化剤を加えてトリメチルシリル化し、無水ピリジンを10mL加えて試料とした。この試料5μLをガスクロマトグラフ(型式:GC−14A;島津製作所社製)に供して測定した。

0058

(e)遊離アミノ酸含有量
遊離アミノ酸含有量の測定方法としては、アミノ酸自動分析機を用いた。
得られた各昆布エキス1gを採取して、クエン酸リチウムバッファー(pH2.4)で50mL定容したのち、No.131濾紙で濾過して試料とした。この試料をアミノ酸分析機(型式:JLC−500/V;日本電子社製)に供して測定した。

0059

(f)固形分量
固形分量の測定方法としては、常圧加熱乾燥法を用いた。
得られた各昆布エキス0.5gを採取し、105℃で3時間の乾燥を行って、固形分量を測定した。

0060

上記の測定結果を、いずれも未処理品に含まれる各成分の質量を100とした際の、電気透析処理された昆布エキスに含まれる各成分の質量比、すなわち残存率を表2に示す。

0061

0062

上記の分析結果から明らかなように、本発明の実施例1および実施例2は、未処理品に対し、食塩含有量(塩分相当量)、全窒素含有量、遊離アミノ酸組成および固形分を大きく変動することなく、しかもヨウ素含有量を大幅に低下することができた。これに対し比較例1は、ヨウ素含有量を大幅に低下できたものの、食塩含有量(塩分相当量)、窒素含有量、遊離アミノ酸組成、および固形分が大きく変動した。また、比較例2では、実施例1および実施例2と同程度にヨウ素含有量を低下しながら、比較例1に比べて食塩含有量の残存率を高くできたものの、その食塩含有量は未処理品や本発明の実施例1および実施例2と比べて大幅に低く、固形分の残存率も低いものであった。

0063

未処理品、実施例1、実施例2、比較例品1および比較例2の、昆布エキスの固形分100質量%中の食塩含有量、ヨウ素含有量および食塩含有量/ヨウ素含有量の比率を表3に示す。

0064

実施例

0065

上記の実施形態や実施例で説明した海産物エキスの処理方法や海産物エキス等は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、海産物エキスの種類や処理に用いる電気透析装置、イオン交換膜の種類、各室の配置数容積、水溶性電解質溶液や補充液の種類等は、上記の実施形態や実施例のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
例えば、上記の実施例では、海産物エキスとして昆布エキスを用いたので、ヨウ素を除去若しくはその含有量を低減し、且つエキス本来の風味や呈味、外観などを良好に維持するという効果を、きわめて良好に発揮することができた。しかし本発明では他の種類の海産物エキスを用いたものであってもよいことは、言うまでもない。

0066

本発明の処理方法により得られる海産物エキスは、海産物エキスに含まれるヨウ素を除去若しくはその含有量を低減したものでありながら、しかも未処理物が備える海産物エキス本来の風味や呈味、外観などを良好に維持しているので、各種調味料や各種加工食品などに特に好適である。

0067

3…陽極
4…陰極
5…第1陰イオン交換膜
6…第2陰イオン交換膜
7…中間陽イオン交換膜
8…ヨウ素回収室
9…エキス収容室
10…補充液収容室
11…第1陽イオン交換膜
12…陽極室
13…第2陽イオン交換膜
14…陰極室
18…水または希薄な水溶性電解質溶液
21…海産物エキス(昆布エキス)
24…補充液

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