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技術 浸炭または浸炭窒化用の鋼

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 大藤善弘
出願日 2012年1月23日 (9年0ヶ月経過) 出願番号 2012-554781
公開日 2014年6月30日 (6年7ヶ月経過) 公開番号 WO2012-102233
状態 特許登録済
技術分野
  • -
主要キーワード サイクル回転 腐食面 汎用鋼種 冷間鍛造部品 つかみ部 鍛造加熱温度 ガス浸炭炉 任意元素
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題・解決手段

質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.01〜0.15%、Mn:0.6〜1.5%、S:0.012〜0.05%、Cr:0.5〜2.0%、Al:0.030〜0.0.050%、Ti:0.0006〜0.0025%、N:0.010〜0.025%およびO:0.0006〜0.0012%%を含み、必要に応じてMo≦0.5%、Ni≦1.5%およびCu≦0.4%のうちの1種以上を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のP≦0.025%、Nb≦0.003%であり、〔−5.0≦log(Ti×N)≦−4.4〕および〔−12.5≦log(Al2×O3)≦−11.7〕を満たし、熱間鍛造を施し更に浸炭あるいは浸炭窒化を施した後に優れた曲げ疲労強度を示す、熱間鍛造によって粗成形される歯車プーリーシャフト等の部品素材用鋼として好適な浸炭または浸炭窒化用の鋼。

概要

背景

自動車および産業機械歯車プーリーシャフトなどの部品は、熱間鍛造あるいは冷間鍛造により粗成形した後、切削加工を施し、その後、浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れによって表面硬化して製造する場合が多い。しかし、その際、焼入れ前オーステナイト粒が粗大化すると、部品としての疲労強度が低下したり、焼入れ時の変形が大きくなるなどの問題が生じやすい。

一般に、冷間鍛造部品に較べて熱間鍛造部品は、浸炭あるいは浸炭窒化時にオーステナイト粒が粗大化しにくいと考えられてきた。

しかしながら、近年、熱間鍛造技術の進歩により、様々な温度域で熱間鍛造されることが多くなり、浸炭あるいは浸炭窒化時にオーステナイト粒が粗大化する熱間鍛造部品が増加している。

そのため、様々な温度域で熱間鍛造しても、浸炭あるいは浸炭窒化の工程での加熱の際にオーステナイト粒の粗大化を安定して防止できる熱間圧延棒鋼または線材が求められ、例えば、特許文献1〜3に鋼とその製造方法に関する技術が提案されている。

特許文献1に、sol.Al量、N量および「sol.Al/N」の比率を限定した鋼を1200℃以上に加熱後、熱間加工することを特徴とする「結晶粒安定化浸炭用鋼」が開示されている。

特許文献2には、Al、Nb、Nなどの元素を特定の量含有し、熱間圧延後のNb(C、N)とAlNの析出量を制限し、さらに熱間圧延後の組織を制限したことを特徴とする「高温浸炭特性に優れた高温浸炭用鋼ならびに高温浸炭用熱間鍛造部材」が開示されている。

特許文献3には、Si:0.1%以下、P:0.01%以下などを規定した、強度が高く、強靱で信頼性の高い歯車を与える「歯車用鋼」が開示されている。

概要

質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.01〜0.15%、Mn:0.6〜1.5%、S:0.012〜0.05%、Cr:0.5〜2.0%、Al:0.030〜0.0.050%、Ti:0.0006〜0.0025%、N:0.010〜0.025%およびO:0.0006〜0.0012%%を含み、必要に応じてMo≦0.5%、Ni≦1.5%およびCu≦0.4%のうちの1種以上を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のP≦0.025%、Nb≦0.003%であり、〔−5.0≦log(Ti×N)≦−4.4〕および〔−12.5≦log(Al2×O3)≦−11.7〕を満たし、熱間鍛造を施し更に浸炭あるいは浸炭窒化を施した後に優れた曲げ疲労強度を示す、熱間鍛造によって粗成形される歯車、プーリー、シャフト等の部品の素材用鋼として好適な浸炭または浸炭窒化用の鋼。

目的

本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、様々な温度域、特に、1050〜1300℃に加熱後に熱間鍛造しても、浸炭あるいは浸炭窒化の工程で加熱した際に、特に、980℃以下の温度で3時間以内加熱した際に、オーステナイト粒の粗大化を安定して防止でき、さらに浸炭あるいは浸炭窒化後の優れた曲げ疲労強度を得ることができる、浸炭または浸炭窒化用の鋼を提供する

効果

実績

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請求項1

質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.01〜0.15%、Mn:0.6〜1.5%、S:0.012〜0.05%、Cr:0.5〜2.0%、Al:0.030〜0.050%、Ti:0.0006〜0.0025%、N:0.010〜0.025%およびO:0.0006〜0.0012%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物のPおよびNbがそれぞれ、P:0.025%以下およびNb:0.003%以下であり、さらに、下記の式(1)および式(2)を満たす、ことを特徴とする、浸炭または浸炭窒化用の鋼。−5.0≦log(Ti×N)≦−4.4・・・(1)−12.5≦log(Al2×O3)≦−11.7・・・(2)ただし、式(1)および式(2)中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。

請求項2

Feの一部に代えて、質量%で、Mo:0.5%以下、Ni:1.5%以下およびCu:0.4%以下のうちから選ばれる1種以上を含有する、ことを特徴とする請求項1に記載の浸炭または浸炭窒化用の鋼。

技術分野

0001

本発明は、浸炭または浸炭窒化用の鋼に関し、詳しくは、歯車プーリーシャフトなどの部品素材用鋼として好適な、浸炭または浸炭窒化時の結晶粒粗大化防止特性、および浸炭または浸炭窒化後曲げ疲労強度に優れた鋼に関する。

背景技術

0002

自動車および産業機械の歯車、プーリー、シャフトなどの部品は、熱間鍛造あるいは冷間鍛造により粗成形した後、切削加工を施し、その後、浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れによって表面硬化して製造する場合が多い。しかし、その際、焼入れ前オーステナイト粒が粗大化すると、部品としての疲労強度が低下したり、焼入れ時の変形が大きくなるなどの問題が生じやすい。

0003

一般に、冷間鍛造部品に較べて熱間鍛造部品は、浸炭あるいは浸炭窒化時にオーステナイト粒が粗大化しにくいと考えられてきた。

0004

しかしながら、近年、熱間鍛造技術の進歩により、様々な温度域で熱間鍛造されることが多くなり、浸炭あるいは浸炭窒化時にオーステナイト粒が粗大化する熱間鍛造部品が増加している。

0005

そのため、様々な温度域で熱間鍛造しても、浸炭あるいは浸炭窒化の工程での加熱の際にオーステナイト粒の粗大化を安定して防止できる熱間圧延棒鋼または線材が求められ、例えば、特許文献1〜3に鋼とその製造方法に関する技術が提案されている。

0006

特許文献1に、sol.Al量、N量および「sol.Al/N」の比率を限定した鋼を1200℃以上に加熱後、熱間加工することを特徴とする「結晶粒安定化浸炭用鋼」が開示されている。

0007

特許文献2には、Al、Nb、Nなどの元素を特定の量含有し、熱間圧延後のNb(C、N)とAlNの析出量を制限し、さらに熱間圧延後の組織を制限したことを特徴とする「高温浸炭特性に優れた高温浸炭用鋼ならびに高温浸炭用熱間鍛造部材」が開示されている。

0008

特許文献3には、Si:0.1%以下、P:0.01%以下などを規定した、強度が高く、強靱で信頼性の高い歯車を与える「歯車用鋼」が開示されている。

先行技術

0009

特開昭56−75551号公報
特開2001−279383号公報
特開昭60−21359号公報

発明が解決しようとする課題

0010

前述の特許文献1〜3に開示された技術では、様々な温度域で熱間鍛造した場合、浸炭あるいは浸炭窒化の工程での加熱の際にオーステナイト粒の粗大化を必ずしも安定して防止できるとはいえなかった。

0011

特許文献1で提案された技術は、鋼を1200℃以上に加熱後、熱間加工するものであるが、量産での熱間鍛造では、加熱温度が1200℃以上でない部品が多く存在する。このため、様々な温度域で熱間鍛造された場合にも、浸炭あるいは浸炭窒化時のオーステナイト粒粗大化を安定して防止できるという技術ではない。

0012

特許文献2で提案された技術では、Nb(C、N)とAlN以外の析出物についての配慮がなされていない。そのため、様々な温度域で熱間鍛造された場合に、浸炭あるいは浸炭窒化加熱時のオーステナイト粒粗大化を必ずしも安定して防止できるというものではない。

0013

特許文献3で提案された技術では、浸炭あるいは浸炭窒化加熱時のオーステナイト粒粗大化について、配慮されていない。このため、必ずしも安定して高い曲げ疲労強度を得ることができるものではない。

0014

本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、様々な温度域、特に、1050〜1300℃に加熱後に熱間鍛造しても、浸炭あるいは浸炭窒化の工程で加熱した際に、特に、980℃以下の温度で3時間以内加熱した際に、オーステナイト粒の粗大化を安定して防止でき、さらに浸炭あるいは浸炭窒化後の優れた曲げ疲労強度を得ることができる、浸炭または浸炭窒化用の鋼を提供することである。本発明の鋼は、熱間鍛造によって粗成形される部品の素材用鋼として好適である。

0015

本発明では、10mm2中に粒度番号が4番以下のオーステナイト結晶粒が2個以上あった場合に、オーステナイト粒が粗大化したものとする。

課題を解決するための手段

0016

これまでに、特許文献1や特許文献2に開示されているように、sol.Al量、N量および「sol.Al/N」の比率を限定したり、Nb(C、N)とAlNの析出量を限定することによって、浸炭あるいは浸炭窒化加熱時のオーステナイト粒粗大化防止が可能なことは知られていた。

0017

しかしながら、上記の技術では、様々な温度域で熱間鍛造された場合には、980℃以下の温度で浸炭あるいは浸炭窒化加熱する時のオーステナイト粒粗大化を必ずしも安定して防止できるというものではない。

0018

本発明者らは、様々な温度域で熱間鍛造された場合に、浸炭あるいは浸炭窒化の工程において980℃以下の温度に加熱してもオーステナイト粒の粗大化を安定して防止できる鋼について、化学組成、特に比較的粗大な析出物を形成しやすい成分元素であるAl、TiおよびOの含有量が与える影響などについて調査・研究を重ねた。

0019

その結果、下記(a)〜(e)の知見を得た。

0020

なお、以下の説明において、「浸炭あるいは浸炭窒化」を単に「浸炭」ということがある。特に断らない限り「浸炭加熱」といえば、「浸炭のための980℃以下の温度での加熱」を指すものとする。

0021

(a)浸炭に用いられる鋼は、鋳片の段階から、浸炭される前までの工程で、一旦粗大なオーステナイト粒になると、浸炭時にオーステナイト粒が粗大化しやすくなってしまう。したがって、様々な温度域で熱間鍛造された場合でも、浸炭時に安定してオーステナイト粒の粗大化を抑制するためには、鋳片の段階から、浸炭される前までのあらゆる工程で、粗大なオーステナイト粒が生じることを抑制する必要がある。

0022

(b)Al2O3およびTiNは、鋳片の段階から、浸炭された部品になるまで製造工程のうちで、加熱温度が1200℃以上になる場合のオーステナイト粒粗大化を抑制する効果がある。ただし、Al2O3およびTiNは、粗大な析出物になりやすく、粗大な析出物が多くなると、曲げ疲労強度が低下する。

0023

(c)Al2O3およびTiNの析出物の量とサイズを適切な範囲に制御するためには、それぞれの溶解度積に基づいた式から、鋼中のAl、O、TiおよびNの含有量を見積もればよい。

0024

(d)様々な温度域で熱間鍛造された場合でも、浸炭時に安定してオーステナイト粒の粗大化を抑制するためには、上記(c)の内容に加えて、Alの含有量を多くする必要がある。

0025

(e)曲げ疲労強度を高めるためには、浸炭時のオーステナイト粒粗大化を抑制することに加えて、Siの含有量を低減することが有効である。

0026

本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)および(2)に示す浸炭または浸炭窒化用の鋼にある。

0027

(1)質量%で、
C:0.1〜0.3%、
Si:0.01〜0.15%、
Mn:0.6〜1.5%、
S:0.012〜0.05%、
Cr:0.5〜2.0%、
Al:0.030〜0.050%、
Ti:0.0006〜0.0025%、
N:0.010〜0.025%および
O:0.0006〜0.0012%
を含有し、
残部はFeおよび不純物からなり、不純物のPおよびNbがそれぞれ、
P:0.025%以下および
Nb:0.003%以下
であり、
さらに、下記の式(1)および式(2)を満たす、
ことを特徴とする、浸炭または浸炭窒化用の鋼。
−5.0≦log(Ti×N)≦−4.4・・・(1)
−12.5≦log(Al2×O3)≦−11.7・・・(2)
ただし、式(1)および式(2)中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。

0028

(2)Feの一部に代えて、質量%で、
Mo:0.5%以下、
Ni:1.5%以下および
Cu:0.4%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の浸炭または浸炭窒化用の鋼。

0029

残部としての「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石スクラップ、または製造環境などから混入するものを指す。

発明の効果

0030

本発明の浸炭または浸炭窒化用の鋼は、様々な温度域、特に、1050〜1300℃に加熱後に熱間鍛造しても、浸炭あるいは浸炭窒化の工程で加熱した際に、特に、980℃以下の温度で3時間以内加熱した際に、オーステナイト粒の粗大化を安定して防止することが可能で、さらに浸炭あるいは浸炭窒化後の優れた曲げ疲労強度を得ることができる。したがって、本発明の鋼は、熱間鍛造によって粗成形される歯車、プーリー、シャフトなどの部品の素材用鋼として好適に用いることができる。

図面の簡単な説明

0031

実施例で用いた切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片の形状を示す図である。図中の寸法の単位は「mm」である。
実施例において、図1に示す試験片に施した「浸炭焼入れ」のヒートパターンを示す図である。図中の「CP」は、カーボンポテンシャルを意味する。

0032

以下、本発明の要件について詳しく説明する。各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。

0033

C:0.1〜0.3%
Cは、浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れしたときの部品の芯部強度を確保し、目標とする曲げ疲労強度を得るために必須の元素である。Cの含有量が0.1%未満では前記の効果が不十分である。一方、Cの含有量が0.3%を超えると、浸炭焼入れ、あるいは浸炭窒化焼入れしたときの部品の変形量の増加が顕著になる。したがって、Cの含有量を0.1〜0.3%とした。Cの含有量は0.18%以上であることが好ましく、また0.23%以下であることが好ましい。

0034

Si:0.01〜0.15%
Siは、焼入れ性を高める作用を有する元素である。Siの含有量が0.01%未満では、前記の効果が不十分である。一方、Siは、浸炭処理あるいは浸炭窒化処理の際、粒界酸化層を増加させる。特に、Siの含有量が0.15%を超えると、粒界酸化層が大幅に増加して曲げ疲労強度が低下し、後述する本発明の目標値を満たさない。したがって、Siの含有量を0.01〜0.15%とした。Siの含有量は0.05%以上であることが好ましく、また0.10%以下であることが好ましい。

0035

Mn:0.6〜1.5%
Mnは、焼入れ性を高める効果が大きく、浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れしたときの部品の芯部強度を確保し、目標とする曲げ疲労強度を得るために必須の元素である。Mnの含有量が0.6%未満では前記の効果が不十分である。Mnの含有量が1.5%を超えると、その効果が飽和し、コストがかさむだけである。したがって、Mnの含有量を0.6〜1.5%とした。Mnの含有量は1.1%以下であることが好ましい。より好ましいMnの含有量は0.9%以下である。

0036

S:0.012〜0.05%
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、切削加工性を向上させる元素である。MnSは高温加熱時のオーステナイト粒粗大化を抑制する効果がある。Sの含有量が0.012%未満では、前記の効果が不十分である。一方、Sの含有量が多くなると、粗大なMnSを生成しやすくなり、曲げ疲労強度を低下させる傾向がある。特に、Sの含有量が0.05%を超えると、曲げ疲労強度の低下が顕著になる。したがって、Sの含有量を0.012〜0.05%とした。Sの含有量は0.02%以下であることが好ましい。

0037

Cr:0.5〜2.0%
Crは、焼入れ性を高める効果が大きく、曲げ疲労強度の向上に有効な元素である。Crの含有量が0.5%未満では、目標とする曲げ疲労強度が得られない。Crの含有量が2.0%を超えると、その効果が飽和し、コストがかさむだけである。したがって、Crの含有量を0.5〜2.0%とした。Crの含有量は0.9%以上であることが好ましく、また1.3%以下であることが好ましい。

0038

Al:0.030〜0.050%
Alは、脱酸作用を有すると同時に、Nと結合してAlNを形成しやすく、浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止に有効な元素である。Alの含有量が0.030%未満では、安定してオーステナイト粒の粗大化を防止できない。オーステナイト粒が粗大化した場合は、曲げ疲労強度が低下する。一方、Alの含有量が0.050%を超えると、粗大な酸化物を形成しやすくなり、曲げ疲労強度が低下する。したがって、Alの含有量を0.030〜0.050%とした。Alの含有量は0.045%以下であることが好ましい。より好ましいAlの含有量は0.040%以下である。

0039

Ti:0.0006〜0.0025%
Tiは、Nと結合して硬質で粗大なTiNを形成しやすいが、高温加熱時のオーステナイト粒の粗大化の防止に有効な元素である。Tiの含有量が0.0006%未満では、安定してオーステナイト粒の粗大化を防止できない。オーステナイト粒が粗大化した場合は、曲げ疲労強度が低下する。一方、Tiの含有量が0.0025%を超えると、曲げ疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Tiの含有量を0.0006〜0.0025%とした。Tiの含有量は0.0008%以上であることが好ましい。より好ましいTiの含有量は0.0010%以上である。またTiの含有量は0.0020%以下であることが好ましい。

0040

N:0.010〜0.025%
Nは、Ti、Alと結合してTiN、AlNを形成しやすく、浸炭加熱時のオーステナイト粒の粗大化防止に有効な元素である。Nの含有量が0.010%未満では、安定してオーステナイト粒の粗大化を防止できない。一方、Nの含有量が0.025%を超えると、製鋼工程において安定して大量生産することが難しい。したがって、Nの含有量を0.010〜0.025%とした。Nの含有量は0.014%以上であることが好ましく、また0.020%以下であることが好ましい。

0041

O:0.0006〜0.0012%
O(酸素)は、Alと結合して硬質で粗大なAl2O3を形成しやすいが、高温加熱時のオーステナイト粒の粗大化の防止に有効な元素である。Oの含有量が0.0006%未満では、安定してオーステナイト粒の粗大化を防止できない。オーステナイト粒が粗大化した場合は、曲げ疲労強度が低下する。一方、Oの含有量が0.0012%を超えると、曲げ疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Oの含有量を0.0006〜0.0012%とした。Oの含有量は0.0009%以下であることが好ましい。

0042

log(Ti×N):−5.0〜−4.4
TiNは、高温加熱時のオーステナイト粒の粗大化の防止に有効である。TiおよびNの含有量が、上述した範囲にあっても、log(Ti×N)が−5.0未満では、安定してオーステナイト粒の粗大化を防止できない。オーステナイト粒が粗大化した場合は、曲げ疲労強度が低下する。一方、log(Ti×N)が−4.4を超えると、曲げ疲労強度の低下が著しくなる。

0043

したがって、式(1)、つまり、
〔−5.0≦log(Ti×N)≦−4.4〕の式
を満たすこととした。

0044

log(Ti×N)は−4.9以上であることが好ましく、また−4.6以下であることが好ましい。

0045

log(Al2×O3):−12.5〜−11.7
Al2O3は、高温加熱時のオーステナイト粒の粗大化の防止に有効である。AlおよびOの含有量が、上述した範囲にあっても、log(Al2×O3)が−12.5未満では、安定してオーステナイト粒の粗大化を防止できない。オーステナイト粒が粗大化した場合は、曲げ疲労強度が低下する。一方、log(Al2×O3)が−11.7を超えると、曲げ疲労強度の低下が著しくなる。

0046

したがって、式(2)、つまり、
〔−12.5≦log(Al2×O3)≦−11.7〕の式
を満たすこととした。

0047

log(Al2×O3)は−12.4以上であることが好ましく、また−12.0以下であることが好ましい。

0048

本発明の浸炭または浸炭窒化用の鋼の一つは、上記元素のほか、残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のPおよびNbがそれぞれ、P:0.025%以下およびNb:0.003%以下のものである。

0049

以下、不純物中のPおよびNbについて説明する。

0050

P:0.025%以下
Pは、粒界偏析して粒界脆化させやすい元素である。Pの含有量が0.025%を超えると、曲げ疲労強度を低下させる。したがって、不純物中のPの含有量を0.025%以下とした。不純物中のPの含有量は0.020%以下とすることが好ましい。

0051

Nb:0.003%以下
Nbは、C、Nと結合してNb(C、N)を形成しやすい元素である。Nb(C、N)は、浸炭時のオーステナイト粒の粗大化防止に有効な場合があるが、様々な鍛造加熱温度においては、むしろ浸炭時のオーステナイト粒の粗大化を促進する場合がある。この粗大化は、0.003%を超えるNb含有量で現れやすい。したがって、不純物中のNbの含有量は0.003%以下とした。不純物中のNbの含有量は0.001%以下とすることが好ましい。

0052

本発明の浸炭または浸炭窒化用の鋼の他の一つは、Feの一部に代えて、Mo、NiおよびCuのうちから選ばれる1種以上の元素を含有するものである。

0053

以下、任意元素である上記Mo、NiおよびCuの作用効果と、含有量の限定理由について説明する。

0054

Mo:0.5%以下
Moは、焼入れ性を高める効果が大きく、より曲げ疲労強度を高めるために有効な元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moの含有量が0.5%を超えると、その効果が飽和し、コストがかさむだけである。したがって、含有させる場合のMoの量を0.5%以下とした。含有させる場合のMoの量は0.4%以下であることが好ましい。

0055

前記したMoの焼入れ性の向上による曲げ疲労強度を高める効果を安定して得るためには、含有させる場合のMoの量は0.02%以上であることが好ましく、0.05%以上であれば一層好ましい。

0056

Ni:1.5%以下
Niは、焼入れ性を高める効果があり、より曲げ疲労強度を高めるために有効な元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Niの含有量が1.5%を超えると、その効果が飽和し、コストがかさむだけである。したがって、含有させる場合のNiの量を1.5%以下とした。含有させる場合のNiの量は0.8%以下であることが好ましい。

0057

前記したNiの焼入れ性の向上による曲げ疲労強度を高める効果を安定して得るためには、含有させる場合のNiの量は、0.1%以上であることが好ましく、0.2%以上であれば一層好ましい。

0058

Cu:0.4%以下
Cuは、焼入れ性を高める効果があり、より曲げ疲労強度を高めるために有効な元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cuの含有量が0.4%を超えると、熱間延性を低下させて、熱間加工性の低下が顕著となる。したがって、含有させる場合のCuの量を0.4%以下とした。含有させる場合のCuの量は0.3%以下であることが好ましい。

0059

前記したCuの焼入れ性の向上による曲げ疲労強度を高める効果を安定して得るためには、含有させる場合のCuの量は、0.1%以上であることが好ましく、0.2%以上であれば一層好ましい。

0060

上記のMo、NiおよびCuは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種以上を含有させることができる。これらの元素の合計含有量は2.4%以下であってもよいが、1.0%以下とすることが好ましい。

0061

工業的規模の大量生産においてO含有量を低減し、かつ所望の範囲内にするためには、例えば、製鋼工程での二次精錬において、LF(Ladle Furnace)設備とRH(Ruhrstahl−Heraeus)設備を用い、それぞれの処理時間を調整すればよい。

0062

以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。

0063

表1および表2に示す化学組成を有する鋼a〜zおよび鋼A〜Iをそれぞれ真空溶解した後、150kgのインゴット鋳造した。

0064

表1および表2中の鋼b、鋼c、鋼f、鋼i、鋼j、鋼m、鋼o〜s、鋼v、鋼y、鋼A〜F、鋼Hおよび鋼Iは、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼である。

0065

鋼a、鋼d、鋼e、鋼g、鋼h、鋼k、鋼l、鋼n、鋼t、鋼u、鋼w、鋼x、鋼zおよび鋼Gは、化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。

0066

鋼aは、JIS G 4052(2008)に規定されたSCr420Hに相当する鋼である。

0067

0068

0069

上記の各インゴットを1250℃で4時間加熱した後、鍛造仕上げ温度950℃以上で、直径50mmの棒鋼に鍛造した。

0070

この直径50mmの各棒鋼から、長さ90mmの試験片を4個切り出し、熱間鍛造を模擬するためにそれぞれ、1300℃、1200℃、1100℃および1050℃の各温度で1時間加熱した。次いで、炉から取り出し、15秒経ってから、円柱形状の高さ方向で70%の圧縮加工を行い、その後、大気中での放冷によって室温まで冷却した。

0071

このようにして得た試験片を、さらに930℃で1時間加熱し、その後、大気中で室温まで放冷した。

0072

次いで、浸炭での加熱を模擬するために、上記のようにして得た各試験片を縦断面方向で4等分になるように切断し、それぞれ950℃、980℃、1010℃および1040℃の各温度で3時間保持した後、水冷によって室温まで冷却した。

0073

このようにして得た各試験片の切断面を厚さで1mm除去した後、その面を鏡面研磨し、界面活性剤を添加したピクリン酸飽和水溶液腐食した。次いで、上記の腐食面光学顕微鏡を用いて倍率100倍でランダムに各10視野観察して、オーステナイト粒の粗大化発生状況を調査した。

0074

上記調査における各視野の大きさは1.0mm×1.0mmとした。この観察によって、10mm2中に、JIS G 0551(2005)に規定される粒度番号が4番以下のオーステナイト結晶粒が2個以上あった場合に、オーステナイト粒が粗大化したと判定した。

0075

オーステナイト粒粗大化防止効果の目標は、上記の浸炭での加熱の模擬において980℃以下の温度で3時間加熱した場合に、オーステナイト粒が粗大化しないこととした。

0076

表3および表4に、上記のオーステナイト粒の粗大化発生状況を調査した結果を、熱間鍛造を模擬した際の加熱温度とともに示す。

0077

0078

0079

さらに、各鋼について、直径50mmの棒鋼を、オーステナイト粒の粗大化発生調査の結果に基づいて、次の<1>〜<3>に示す温度(具体的には、表5に「加熱温度」として記載した温度)で0.75時間加熱し、さらに仕上げ温度を950℃以上として熱間鍛造することによって直径30mmの棒鋼にした後、室温まで大気中で放冷した。

0080

<1>表3および表4において、前記オーステナイト粒粗大化防止効果の目標を達成できた鋼(つまり、「オーステナイト粒の粗大化発生温度」欄に、980℃以下の温度である980℃および950℃のいずれの記載もない鋼)の場合:1200℃。

0081

<2>表3および表4において、「オーステナイト粒の粗大化発生温度」欄に、980℃および950℃のうちいずれか一方のみの記載のある鋼の場合:「オーステナイト粒の粗大化発生温度」が980℃および950℃のいずれかの場合の「鍛造時に加熱した温度」。ただし、これに相当する「鍛造時に加熱した温度」が2つある場合は、それら2つのうち低い方の温度。

0082

<3>表3および表4において、「オーステナイト粒の粗大化発生温度」欄に、950℃および980℃の双方の記載のある鋼の場合:「オーステナイト粒の粗大化発生温度」が950℃である場合の「鍛造時に加熱した温度」。

0083

上記のようにして得た直径30mmの棒鋼を、さらに930℃で1時間加熱し、その後、大気中で室温まで放冷した。

0084

次いで、上記の直径30mmの棒鋼の中心部から機械加工により、図1に示す形状の切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片を作製した。図1における寸法の単位は「mm」である。

0085

上記の試験片は、ガス浸炭炉を用いて、図2に示す条件で浸炭焼入れを行い、次いで、170℃で1.5時間の焼戻しを行った。図2における「CP」は、カーボンポテンシャルを意味する。

0086

その後、熱処理ひずみを除く目的で、試験片のつかみ部の直径を15mmに仕上げ加工し、室温での小野式回転曲げ疲労試験に供した。

0087

室温での小野式回転曲げ疲労試験は、試験数は各8で、回転数を3000rpmとし、その他は通常の方法により行った。繰り返し数が1.0×104回および1.0×107回まで破断しなかったうちの最も高い応力をそれぞれ、「中サイクル回転曲げ疲労強度」および「高サイクル回転曲げ疲労強度」とした。

0088

上記の回転曲げ疲労強度の目標値は、汎用鋼種として一般的な、前記SCr420Hに相当する鋼aを浸炭焼入れ−焼戻し処理した場合の「中サイクル回転曲げ疲労強度」および「高サイクル回転曲げ疲労強度」をそれぞれ、「100」として基準化した場合に、いずれも10%以上上回る、すなわち110以上となることとした。

0089

表5に、上記室温での小野式回転曲げ疲労試験の調査結果を、直径50mmの棒鋼を前記した<1>〜<3>の場合分けに基づいて0.75時間加熱した温度とともに示す。

0090

0091

表3〜5から明らかなように、本発明で規定する条件を満たす鋼の場合には、目標とするオーステナイト粒粗大化防止効果および曲げ疲労強度(中サイクル回転曲げ疲労強度および高サイクル回転曲げ疲労強度)が得られている。

実施例

0092

これに対して、本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼の場合には、目標とするオーステナイト粒粗大化防止効果および曲げ疲労強度(中サイクル回転曲げ疲労強度および高サイクル回転曲げ疲労強度)のいずれか、または双方が得られていない。

0093

本発明の浸炭または浸炭窒化用の鋼は、様々な温度域、特に、1050〜1300℃に加熱後に熱間鍛造しても、浸炭あるいは浸炭窒化の工程で加熱した際に、特に、980℃以下の温度で3時間以内加熱した際に、オーステナイト粒の粗大化を安定して防止することが可能で、さらに浸炭あるいは浸炭窒化後の優れた曲げ疲労強度を得ることができるので、熱間鍛造によって粗成形される歯車、プーリー、シャフトなどの部品の素材用鋼として好適に用いることができる。

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