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技術 アルカリ金属硫化物と導電剤の複合材料

出願人 出光興産株式会社
発明者 柳和明千賀実油谷亮太田剛
出願日 2012年1月25日 (8年9ヶ月経過) 出願番号 2012-554689
公開日 2014年6月30日 (6年4ヶ月経過) 公開番号 WO2012-102037
状態 特許登録済
技術分野 電池の電極及び活物質
主要キーワード 網目状体 密閉作業 付け室 情報電子機器 カーボン複合体 アルキルアルカリ金属化合物 メソポーラス炭素 アルキルフラン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題・解決手段

導電剤と、前記導電剤の表面に一体化したアルカリ金属硫化物とを含む複合材料

概要

背景

近年の移動通信情報電子機器発達に伴い、高容量かつ軽量なリチウム二次電池需要が増加する傾向にある。室温で高いリチウムイオン伝導性を示す電解質のほとんどが液体であり、市販されているリチウムイオン二次電池の多くが有機系電解液を用いている。この有機系電解液を用いたリチウム二次電池では、漏洩発火爆発の危険性があり、より安全性の高い電池が望まれている。固体電解質を用いた全固体電池では、電解質の漏洩や発火が起こりにくいという特徴を有するが、固体電解質のイオン伝導度は一般的に低く実用化が難しいのが現状である。

固体電解質を用いた全固体リチウム電池では、従来、室温で10−3Scm−1の高いイオン伝導性を示す固体電解質としてLi3Nをベースとするリチウムイオン伝導性セラミックが知られている。しかし、分解電圧が低いため3V以上で作動する電池を構成することができなかった。

硫化物系固体電解質としては、特許文献1で10−4Scm−1台の固体電解質が開示されており、また特許文献2ではLi2SとP2S5から合成された電解質で同様に10−4Scm−1台のイオン伝導性が開示されている。さらに、特許文献3ではLi2SとP2S5を68〜74モル%:26〜32モル%の比率で合成した硫化物系結晶化ガラスで10−3Scm−1台のイオン伝導性を実現している。

上記硫化物系固体電解質を用いて全固体リチウム電池を製造することも可能であるが、従来の全固体リチウム電池の正極はLCO等の酸化物系正極活物質と硫化物系固体電解質を用いて製造されていた(特許文献4)。

LCO等は理論容量が低く、高容量の全固体リチウム電池を得ることができない。これに対し、特許文献5には正極に理論容量が高い硫黄カーボン無機固体電解質を用いる全固体リチウム電池が開示されている。

ここで、特許文献2に記載の全固体リチウム電池では、正極活物質リチウムイオンが含まれないため、負極にはリチウムイオンを正極に供給する負極活物質が必要になり、このような負極活物質は少ないことから、選択の余地が少ないという欠点があった。
尚、リチウムイオンを正極に供給する負極活物質として、金属リチウムがあるが、充放電を行うと金属リチウムと硫化物系固体電解質が反応してしまうという欠点がある。
ここで、リチウムイオンを正極に供給する負極活物質とは、製造後初めに充電ではなく、放電を行うリチウムイオン電池に用いる負極活物質を意味する。

また、理論容量が高い非晶質の硫化リチウム導電剤を混合して正極とする技術が開示されているが(特許文献6)、このような正極を用いたリチウムイオン電池は電池性能が低いという欠点があった。
ここで、硫化リチウムは、負極にリチウムイオンを供給する正極活物質になる。
リチウムイオンを負極に供給する正極活物質とは、リチウムイオン電池を製造後初めに放電ではなく、充電を行うリチウムイオン電池に用いる正極活物質を意味する。

概要

導電剤と、前記導電剤の表面に一体化したアルカリ金属硫化物とを含む複合材料

目的

この有機系電解液を用いたリチウム二次電池では、漏洩、発火・爆発の危険性があり、より安全性の高い電池が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
8件

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請求項1

導電剤と、前記導電剤の表面に一体化したアルカリ金属硫化物とを含む複合材料

請求項2

導電剤とアルカリ金属硫化物とを含み、X線回折で測定したアルカリ金属硫化物のピーク半値幅が0.370°以上である複合材料。

請求項3

導電剤とアルカリ金属硫化物とを含み、X線回折で測定したアルカリ金属硫化物のピークの半値幅が0.370°以上2.00°以下である複合材料。

請求項4

前記導電剤が炭素材料であり、前記アルカリ金属硫化物が硫化リチウムである請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料。

請求項5

導電剤、及びアルカリ金属硫化物の原料を含む溶液を調製する工程、及び前記アルカリ金属硫化物の原料を反応させ、前記導電剤の表面にアルカリ金属硫化物を一体化させる工程を有する、導電剤及びアルカリ金属硫化物の複合材料の製造方法。

請求項6

請求項5に記載の製造方法により製造された複合材料。

請求項7

請求項1〜4及び6のいずれかに記載の複合材料を含む電極材料

請求項8

請求項1〜4及び6のいずれかに記載の複合材料を含む電極

請求項9

請求項1〜4及び6のいずれかに記載の複合材料又は請求項7に記載の電極材料を用いて製造された電極。

請求項10

請求項8又は9に記載の電極を備えるリチウムイオン電池

技術分野

0001

本発明は、複合材料及びその製造方法、その複合材料を含む電極、及びその電極を備えるリチウムイオン電池に関する。

背景技術

0002

近年の移動通信情報電子機器発達に伴い、高容量かつ軽量なリチウム二次電池需要が増加する傾向にある。室温で高いリチウムイオン伝導性を示す電解質のほとんどが液体であり、市販されているリチウムイオン二次電池の多くが有機系電解液を用いている。この有機系電解液を用いたリチウム二次電池では、漏洩発火爆発の危険性があり、より安全性の高い電池が望まれている。固体電解質を用いた全固体電池では、電解質の漏洩や発火が起こりにくいという特徴を有するが、固体電解質のイオン伝導度は一般的に低く実用化が難しいのが現状である。

0003

固体電解質を用いた全固体リチウム電池では、従来、室温で10−3Scm−1の高いイオン伝導性を示す固体電解質としてLi3Nをベースとするリチウムイオン伝導性セラミックが知られている。しかし、分解電圧が低いため3V以上で作動する電池を構成することができなかった。

0004

硫化物系固体電解質としては、特許文献1で10−4Scm−1台の固体電解質が開示されており、また特許文献2ではLi2SとP2S5から合成された電解質で同様に10−4Scm−1台のイオン伝導性が開示されている。さらに、特許文献3ではLi2SとP2S5を68〜74モル%:26〜32モル%の比率で合成した硫化物系結晶化ガラスで10−3Scm−1台のイオン伝導性を実現している。

0005

上記硫化物系固体電解質を用いて全固体リチウム電池を製造することも可能であるが、従来の全固体リチウム電池の正極はLCO等の酸化物系正極活物質と硫化物系固体電解質を用いて製造されていた(特許文献4)。

0006

LCO等は理論容量が低く、高容量の全固体リチウム電池を得ることができない。これに対し、特許文献5には正極に理論容量が高い硫黄カーボン無機固体電解質を用いる全固体リチウム電池が開示されている。

0007

ここで、特許文献2に記載の全固体リチウム電池では、正極活物質リチウムイオンが含まれないため、負極にはリチウムイオンを正極に供給する負極活物質が必要になり、このような負極活物質は少ないことから、選択の余地が少ないという欠点があった。
尚、リチウムイオンを正極に供給する負極活物質として、金属リチウムがあるが、充放電を行うと金属リチウムと硫化物系固体電解質が反応してしまうという欠点がある。
ここで、リチウムイオンを正極に供給する負極活物質とは、製造後初めに充電ではなく、放電を行うリチウムイオン電池に用いる負極活物質を意味する。

0008

また、理論容量が高い非晶質の硫化リチウム導電剤を混合して正極とする技術が開示されているが(特許文献6)、このような正極を用いたリチウムイオン電池は電池性能が低いという欠点があった。
ここで、硫化リチウムは、負極にリチウムイオンを供給する正極活物質になる。
リチウムイオンを負極に供給する正極活物質とは、リチウムイオン電池を製造後初めに放電ではなく、充電を行うリチウムイオン電池に用いる正極活物質を意味する。

先行技術

0009

特開平4−202024号公報
特開2002−109955号公報
特開2005−228570号公報
特開2008−226639号公報
特開2010−95390号公報
特開2006−32143号公報

0010

本発明の目的は、理論容量が高く、かつリチウムイオンを正極に供給しない負極活物質を用いることもできる正極材料及びリチウムイオン電池を提供することである。

0011

本発明によれば、以下の複合材料等が提供される。
1.導電剤と、前記導電剤の表面に一体化したアルカリ金属硫化物とを含む複合材料。
2.導電剤とアルカリ金属硫化物とを含み、X線回折で測定したアルカリ金属硫化物のピーク半値幅が0.370°以上である複合材料。
3.導電剤とアルカリ金属硫化物とを含み、X線回折で測定したアルカリ金属硫化物のピークの半値幅が0.370°以上2.00°以下である複合材料。
4.前記導電剤が炭素材料であり、前記アルカリ金属硫化物が硫化リチウムである1〜3のいずれかに記載の複合材料。
5.導電剤、及びアルカリ金属硫化物の原料を含む溶液を調製する工程、及び
前記アルカリ金属硫化物の原料を反応させ、前記導電剤の表面にアルカリ金属硫化物を一体化させる工程を有する、導電剤及びアルカリ金属硫化物の複合材料の製造方法。
6.5に記載の製造方法により製造された複合材料。
7.1〜4及び6のいずれかに記載の複合材料を含む電極材料
8.1〜4及び6のいずれかに記載の複合材料を含む電極。
9.1〜4及び6のいずれかに記載の複合材料又は7に記載の電極材料を用いて製造された電極。
10.8又は9に記載の電極を備えるリチウムイオン電池。

0012

本発明によれば、理論容量が高く、かつリチウムイオンを正極に供給しない負極活物質を用いることができる正極材料及びリチウムイオン電池が提供できる。

図面の簡単な説明

0013

実施例1で製造した複合材料のTEM写真である。
実施例1で製造した複合材料のTEM写真である。
実施例1で製造した複合材料のTEMEDS分析結果である。
実施例3で製造した複合材料を使用した電池の充放電サイクル評価結果である。
比較例1で製造した複合材料のTEM写真である。
比較例1で製造した複合材料のTEM−EDS分析結果である。
実施例4で製造した複合材料のX線回折測定の分析結果、及びその拡大図である。

0014

1.複合材料
本発明の複合材料は、導電剤とアルカリ金属硫化物を含む。本発明の第1の複合材料は、上記アルカリ金属硫化物は上記導電剤の表面に一体化している。
ここで、導電剤の表面とは、比表面積分析により測定される面であり、具体的にはBET比表面積となる面を意味する。

0015

本発明の第1の複合材料は、導電剤の表面の0.01%以上にアルカリ金属硫化物が一体化していることが好ましく、より好ましくは、導電剤の表面の1%以上にアルカリ金属硫化物が一体化している。
ここで、導電剤の表面にアルカリ金属硫化物が一体化していない部分は、表面全体の1%以下(導電剤の表面にアルカリ金属硫化物が一体化している部分が表面全体の99%以上)であることが好ましく、より好ましくは導電剤の表面にアルカリ金属硫化物が一体化していない部分は、表面全体の0.01%以下(導電剤の表面にアルカリ金属硫化物が一体化している部分が表面全体の99.99%以上)である。

0016

尚、導電剤の表面にアルカリ金属硫化物が一体化している部分が該導電剤の表面全体(該導電剤の表面の100%)であってもよい。

0017

導電剤は、電子伝導性のある材料であればよいが、炭素材料が好ましい。
導電剤は複数の細孔を有することが好ましい。特に好ましくは、細孔を有する炭素材料である。炭素材料は導電性が高く、かつ他の導電性のある材料よりも軽いため、電池の重量当り出力密度電気容量を高くすることができる。導電剤のBET比表面積は、0.1m2/g以上5000m2/g以下がより好ましく、さらに好ましくは1m2/g以上4000m2/g以下であり、さらに好ましくは1m2/g以上3000m2/g以下であり、最も好ましくは、10m2/g以上3000m2/g以下である。
0.1m2/g未満であるとアルカリ金属硫化物と複合化しにくくなる恐れがあり、5000m2/gを超えると嵩高くて取り扱いが難しくなる恐れがある。

0018

導電剤の細孔容積は、0.1cc/g以上5.0cc/g以下であるものが好ましい。0.1cc/g未満であるとアルカリ金属硫化物と複合化しにくくなる恐れがあり、5.0cc/gを超えると嵩高くて取り扱いが難しくなる恐れがある。

0019

導電剤の細孔は、好ましくは平均直径が0.1nm以上40nm以下、より好ましくは0.5nm以上40nm以下、さらに好ましくは0.5nm以上20nm以下、最も好ましくは1nm以上20nm以下である。このようにすることで、得られた複合材料を電極に用いた場合に充放電容量を高めることができる。

0020

導電剤のBET比表面積、細孔の平均直径、細孔容積は、複合材料を液体窒素下において、複合材料に窒素ガス吸着させて得られる窒素吸着等温線を用いて測定することができる。具体的には、BET法によりBET比表面積、BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法により細孔の平均直径を求めることができる。また、導電剤のBET比表面積、細孔の平均直径、細孔容積は、窒素吸着等温線を用いて、Brenauer−Emmet−Telle(BET)法により比表面積を求めることができる。さらに、導電剤のBET比表面積、細孔の平均直径、細孔直径、細孔容積は、平均細孔直径は、細孔構造円筒型であると仮定して、全細孔容積とBET比表面積から計算される。
測定装置としては、例えば、Quantacrome社製の比表面積・細孔分布測定装置(Autosorb−3)を用いて測定できる。

0021

上記のようなBET比表面積と細孔と細孔容積とを満足する炭素材料としては、特に限定しないが、ケッチェンブラックアセチレンブラックデンカブラックサーマルブラックチャンネルブラック等のカーボンブラックメソポーラス炭素活性炭無定形炭素カーボンナノチューブカーボンナノホーン等が挙げられ、導電性の炭素材料としては、フラーレン炭素繊維天然黒鉛人造黒鉛等が挙げられる。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの複合材を用いることもできる。

0022

メソポーラス炭素は、以下の文献に記載の製法で得られる、二次元又は三次元的に細孔を有する炭素材料である:例えば、S.J.Sang,S.H.Joo,R.Ryoo,et.,J.Am.Chem.Soc.,122(2000)10712−10713、及びT.Yokoi,Y.Sakamoto,O.Terasaki,et.,J.Am.Chem.Soc.,128(2006)13664−13665

0023

アルカリ金属硫化物は、特に制限しない。
例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム硫化カリウム硫化ルビジウム、硫化セシウム、硫化フランシウム等を挙げることができ、好ましくは、硫化リチウム、硫化ナトリウムであり、より好ましくは硫化リチウムである。

0024

また、本発明の第2の複合材料は、X線回折(XRD)で測定したアルカリ金属硫化物のスペクトルピークの半値幅が0.370°以上である。これは、アルカリ金属硫化物の結晶が、従来の単純な混合で得られたものよりも微細であることを示す。
好ましくは、アルカリ金属硫化物のスペクトルピークの半値幅が0.400°以上、さらに好ましくは、0.500°以上である。

0025

アルカリ金属硫化物が硫化リチウムである場合について、以下に詳細に示す。
好ましくは硫化リチウムのXRD(CuKα:λ=1.5418Å)は、2θ=26.8、31.0、44.6、52.8°にピークがあり、2θ=44.6°近傍のピークの半値幅が0.370°以上である。0.370°未満では充放電容量が小さいものとなる恐れがある。
より好ましくは、2θ=44.6°近傍のピークの半値幅が0.400°以上、さらに好ましくは、0.500°以上である。

0026

本発明の第3の複合材料は、X線回折(XRD)で測定したアルカリ金属硫化物のスペクトルピークの半値幅が0.370°以上2.00°以下である。これは、アルカリ金属硫化物の結晶が、従来の単純な混合で得られたものよりも微細であることを示す。
また、アルカリ金属硫化物のスペクトルピークの半値幅が2.00°以下であれば、製造が容易にできる可能性がある。
好ましくは、X線回折(XRD)で測定したアルカリ金属硫化物のスペクトルピークの半値幅が0.370°以上1.80°以下であり、より好ましくは、0.370°以上1.50°以下である。

0027

アルカリ金属硫化物が硫化リチウムである場合について、以下に詳細に示す。
好ましくは硫化リチウムのXRD(CuKα:λ=1.5418Å)は、2θ=26.8、31.0、44.6、52.8°にピークがあり、2θ=44.6°近傍のピークの半値幅が0.370°以上2.00°以下である。0.370°未満では充放電容量が小さいものとなる恐れがある。
より好ましくは、2θ=44.6°近傍のピークの半値幅が0.370°以上1.80°以下であり、より好ましくは、0.370°以上1.50°以下である。

0028

本発明の複合材料は、導電剤の共存下でアルカリ金属硫化物を製造することで得ることができ、具体的には以下の工程を有する製造方法により製造することができる。
(I)導電剤、及びアルカリ金属硫化物の原料を含む溶液を調製する工程
(II)上記アルカリ金属硫化物の原料を反応させ、上記導電剤の表面にアルカリ金属硫化物を一体化させる工程
導電剤及びアルカリ金属は上記と同様である。

0029

アルカリ金属硫化物の原料は、アルカリ金属元素を含む化合物と、硫黄又は硫黄元素を含む化合物である。アルカリ金属硫化物の原料としては、例えば次の(i)〜(iv)が挙げられる。

0030

(i)硫黄と還元性アルカリ金属化合物を原料とすることができる。還元性アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属ハイドライド(例えば、アルカリ金属ボロハイドライド(XBHEt3、XBH4、Xはアルカリ金属を示す)、アルカリ金属アルミニウムハイドライド(XAlH4、Xはアルカリ金属を示す)等を挙げることができる。

0031

(ii)硫化水素アルキルアルカリ金属化合物を原料とすることができる。アルキルアルカリ金属としては、アルキルリチウムアルキルナトリウム、アルキルカリウム、アルキルルビジウム、アルキルセシウム、アルキルフランシウムが挙げられ、アルキルリチウムとしては、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルリチウム、メチルリチウム等が挙げることができる。

0032

(iii)硫化水素とアルカリ金属水酸化物を原料とすることができる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化フランシウム等が挙げることができる。

0033

(iv)硫化水素とアルカリ金属水硫化物を原料とすることができる。アルカリ金属水硫化物としては、水硫化リチウム水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム、水硫化フランシウム等を挙げることができる。

0034

アルカリ金属硫化物が硫化リチウムの場合、以下の製造方法(1)又は(2)を採用すると好ましい。

0035

(1)導電剤の共存下で、硫黄と還元剤を反応させる複合材料の製造方法
製造方法(1)としては以下のものが挙げられる。
・硫黄を導電剤に包接した後、非水性溶媒中で還元剤溶液を加えて加熱して硫化リチウムを製造する方法
・非水性溶媒中に導電剤と硫黄を加え、硫黄を溶解させた後、還元剤溶液を加えて、加熱して硫化リチウムを製造する方法
・還元剤溶液に導電剤と硫黄を加えて加熱して硫化リチウムを製造する方法
・非水性溶媒に導電剤、硫黄、還元剤をほぼ同時に加えて加熱して硫化リチウムを製造する方法

0037

硫黄は高純度のものが好ましく、純度98%以上のものがより好ましい。
還元剤としては、還元性リチウム化合物であればよく、スーパーハイドライド(LiBHEt3、LiBH4)、水素化リチウム、リチウムアルミニウムハイドライド等が挙げられ、スーパーハイドライド、アルキルリチウムが好ましい。好ましいアルキルリチウムは後述する。
還元剤は適当な非水性溶媒に溶解、又は分散させたものを使用してもよい。この溶媒は、反応を行う溶媒と同じでもよく、異なっていてもよい。

0038

硫黄1当量モルに対して、還元剤は2当量モル以上反応させるのが好ましい。
導電剤は生成する硫化リチウムに対して、質量比で、導電剤:硫化リチウム=1:1〜1:5が好ましい。この範囲を逸脱して、導電剤量が多いと電極の質量当たりの充放電容量が小さくなる恐れがあり、反対に少ないと電子伝導性が悪くなる恐れがある。

0039

非水性溶媒に対する導電剤、硫黄、還元剤の量は特に問わない。撹拌が円滑にできればよい。加熱温度は、溶媒種にもよるが、20℃以上200℃以下が工業化的に好ましい。好ましくは45℃以上145℃以下が工業化的に好ましい。反応時間は、1分以上が好ましく、より好ましくは5分以上24時間以下が工業化的に好ましい。

0040

反応後は、数分〜数十時間放置し、未反応の還元剤を上澄み液として除去する工程を行ってもよい。未反応分の還元剤の除去は、溶媒での洗浄固形分のろ別、遠心分離による上澄み液の除去等で行うことができる。

0041

未反応物除去後、室温で真空乾燥して溶媒を除去して、必要に応じてさらに真空加熱して溶媒を除去し、複合材料を得る。

0042

(2)導電剤の共存下で、アルキルリチウムと硫化水素を反応させる複合材料の製造方法
製造方法(2)としては以下のものが挙げられる。
・非水性溶媒中に導電剤とアルキルリチウムを加え、撹拌しながら、硫化水素を流通して反応させることで硫化リチウムを製造する方法
・非水性溶媒に硫化水素を流通させ充分に溶解させた後、導電剤とアルキルリチウムを加え、撹拌しながら硫化水素を流通させて反応させることで硫化リチウムを製造する方法

0043

導電剤及び非水性溶媒は上記と同じである。
アルキルリチウムとしては、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルリチウム、メチルリチウム等が挙げられる。工業的には、n−ブチルリチウムが好ましい。

0044

硫化水素は、高純度のものであればよく、99%以上のものがより好ましい。硫化水素は、アルキルリチウム1モルに対して、好ましくは0.5モル以上供給する。
導電剤と生成する硫化リチウムの質量比は上記と同じである。

0045

硫化水素ガスを通じることで、系内は硫化水素ガス雰囲気となる。反応は定量的に進行するため、硫化水素ガスを理論量使用することで完結させることが可能である。
しかし、アルキルリチウムが残存すると後処理に注意する必要が生じるため、硫化水素は、アルキルリチウム理論量よりも2〜50当量%多く使用することが好ましい。従って、過剰量の硫化水素を使用することになるため、排ガスは、アルカリ溶液にてトラップすることが安全面において好ましい。
ただし、硫化水素の循環ラインを設置することで、アルカリ溶液トラップは不要又は小スケールとすることが可能である。

0046

非水性溶媒に対する導電剤、アルキルリチウムの量は特に問わない。撹拌が円滑にできればよい。反応時間は数分〜数時間が工業化的に好ましい。反応後は数時間〜数十時間放置し、未反応のアルキルリチウムを上澄み液として除去し、溶媒で2回以上程度洗浄するのが好ましい。
洗浄後、室温で真空乾燥して溶媒を除去し、さらに真空加熱し溶媒を除去して複合材料を得る。

0047

上記の操作は、溶媒の飽和蒸気圧の下、又は不活性ガス雰囲気下で行い、実質的に水蒸気に曝されない状態を行うのがよい。
本発明の複合材料の粒径は0.1μm以上200μm以下が好ましい。

0048

2.正極合材
正極合材は、上記の複合材料に固体電解質を加えたものである。
ここで、正極合材は、上記の複合材料と固体電解質を混合して製造する。正極合材の混合方法として、上記の複合材料と固体電解質とをメカニカルミリング処理する方法を例示することができる。なお、正極合材の混合方法によっては、複合材料と固体電解質が凝集等して二次粒子を構成する場合がある。

0049

固体電解質としては、無機系固体電解質がよく、具体的にはLi2S−P2S5,LiI−Li2S−P2S5,Li3PO4−Li2S−Si2S等の硫化物系、Li2O−B2O3−P2O5、Li2O−SiO2、Li2O−P2O5、Li2O−B2O3−ZnO等の酸化物系の固体電解質が挙げられる。

0050

中でも、イオン伝導性の高い硫化物系固体電解質が好ましい。Li2Sとその他硫化物とのモル比が、50:50〜95:5であるものがより好ましい。
また、Li2SとP2S5が原料であり、モル比がLi2S:P2S5=60:40〜80:20が好ましく、より好ましくは、Li2S:P2S5=65:35〜75:25である。
その他硫化物がP2S5で、Li7P3S11構造をとるものが特に好ましい。

0051

固体電解質にはさらに、ハロゲン化物を添加してもよく、ハロゲン化物としてはLiI、LiBr、LiCl等が挙げられる。
ここで、固体電解質に添加されたハロゲン化物は、固体電解質の原料と反応して別の物質になったり、固体電解質自体と反応して別の物質になったりしてなく、固体電解質中にハロゲン化物として存在する。

0052

固体電解質は、MM(メカニカルミリング)法、溶融法他による製造方法で得られたガラス状態ものでも、加熱処理により得られたガラスセラミック状態のものでもあってもよい。

0053

固体電解質の形状、サイズ等は特に限定されないが、一次粒子径が0.1μm以上100μm以下であるものが好ましく、0.1μm以上20μm以下のものがより好ましい。

0054

正極合材は、固体電解質と上記の複合材料との質量比=9:1〜1:99が好ましい。この範囲を逸脱して、固体電解質の量が多いと電極の質量当たりの充放電容量が小さくなる恐れがあり、反対に少ないとイオン伝導性が悪くなる恐れがある。

0055

正極合材は、固体電解質と上記の複合材料をMM法で複合化する方法等により製造することができる。

0056

3.電極
本発明の電極は上記の複合材料又は正極合材を含む。
本発明の電極は、本発明の複合材料又は正極合材を通常の方法でプレス成形して、シート状の電極とする方法等により製造することができる。

0057

正極合材の場合、ガラス状態の固体電解質をガラス転移温度以上の温度で加熱しながらプレスし、一部又は全部を融着させるか、又は一部又は全部をガラスセラミック化すると好ましい。

0058

また、複合材料又は正極合材を集電体上に膜状に形成して電極とする方法が挙げられる。製膜方法としては、エアロゾルデポジション法スクリーン印刷法コールドスプレー法等が挙げられる。さらに、溶媒に分散又は一部を溶解させてスラリー状にして塗布する方法が挙げられる。必要に応じてバインダーを混合してもよい。

0059

上記の集電体としては、ステンレス鋼、金、白金、銅、亜鉛ニッケル、スズ、アルミニウム又はこれらの合金等からなる板状体箔状体網目状体等が使用できる。
電極層として用いる場合は、電池設計に応じて、適宜に層厚みを選定すればよい。

0060

4.リチウム電池
本発明の電極は、リチウムイオン電池の正極層として用いることができる。この場合、リチウムイオン電池の他の構成は本技術分野にて公知のものが使用でき、負極活物質にリチウムイオンを含まない負極層を選択できる。
なお、本発明のリチウム電池の負極層に含まれる負極活物質を「リチウムイオンを含む負極活物質」とすることが可能である。また、本発明のリチウム電池の負極層に含まれる負極活物質は「リチウムイオンを正極に供給する負極活物質」であってもよい。

0061

負極は、通常の電池に使用できるものであれば、特に制限されない。負極活物質と固体電解質を混合した負極合剤からなるものでもよい。

0062

負極活物質としては、市販されているものを使用できる。例えば、炭素材料、Sn金属、In金属、Si金属、これらの金属に合金等を使用できる。具体的には、天然黒鉛や各種グラファイト、Si,Sn,Al,Sb,Zn,Bi等の金属粉、SiAl,Sn5Cu6,Sn2Co,Sn2Fe等の金属合金、その他アモルファス合金メッキ合金が挙げられる。粒径に関しても特に制限はないが、平均粒径が数μm〜80μmのものを好適に使用できる。

0063

電解質層は、特に制限はなく、公知のものが使用できる。例えば、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、ポリマー系電解質が好ましく、イオン伝導度の観点から硫化物系固体電解質がより好ましい。この硫化物系固体電解質は上記の正極合材に使用するものが好ましい。

0064

リチウム電池の製造方法は、特に制限されない。例えば、正極集電体上に本発明の電極からなる正極層を形成したシートに固体電解質層を形成し、予め形成した負極集電体上に負極層を形成したシートを積層し、プレスする方法等が挙げられる。

0065

製造例1
[硫化リチウムの製造]
(1)硫化リチウムの製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpmで、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した水硫化リチウムを脱硫化水素化し硫化リチウムを得た。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応が終了後(約80分)に反応を終了し、硫化リチウムを得た。

0066

(2)硫化リチウムの精製
上記で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。

0067

亜硫酸リチウム(Li2SO3)、硫酸リチウム(Li2SO4)、チオ硫酸リチウム(Li2S2O3)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。このようにして精製したLi2Sを、以下の製造例及び実施例で使用した。

0068

製造例2
硫化物系固体電解質ガラスセラミック(Li2S/P2S5(モル比)=70/30)の製造−メカニカルミリング法−]
製造例1で製造した硫化リチウム32.54g(0.708mol)と五硫化二燐アルドリッチ社製)67.46g(0.304mol)を10mm直径アルミナボール175個が入った500mlアルミナ容器に入れ密閉した。上記計量、密閉作業はすべてグローブボックス内で実施し、使用する器具類はすべて乾燥機事前水分除去したものを用いた。

0069

この密閉したアルミナ容器を、遊星ボールミル(レッチェ社製PM400)にて室温下、36時間メカニカルミリング処理することで白黄色の固体電解質ガラス粒子を得た。このときの回収率は78%であった。
得られた固体電解質ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料Li2Sのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。

0070

上記固体電解質ガラス粒子をグローブボックス内Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、300℃、2時間の加熱処理を施し電解質ガラスセラミック粒子(平均粒径14.52μm)を得た。この固体電解質ガラスセラミック粒子のX線回折測定では、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。
このことから、上記固体電解質ガラスセラミック粒子は、Li7P3S11結晶ができていることが分かる。
この固体電解質ガラスセラミック粒子の伝導度は、1.3×10−3S/cmであった。

0071

製造例3
[硫化物系固体電解質ガラス(Li2S/P2S5(モル比)=75/25)の製造−メカニカルミリング法−]
製造例1で製造した硫化リチウムを用いて、国際公開第07/066539号パンフレットの実施例1に準拠した方法で硫化物系ガラスの製造を行った。

0072

具体的には、下記のように行った。
製造例1で製造した硫化リチウム0.383g(0.00833mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.618g(0.00278mol)をよく混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのジルコニア製ボール10個とを遊星型ボールミルフリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポット投入し完全密閉するとともにこのアルミナ製ポット内に窒素充填し、窒素雰囲気にした。

0073

始めの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(85rpm)にして硫化リチウムと五硫化二リンを十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行った。このメカニカルミリング処理をした白黄色の粉体X線測定により評価した結果、ガラス化硫化物ガラス)していることが確認できた。31P−NMR測定を行ったところ、83.0ppmにメインピークを示した。この固体電解質ガラスのイオン伝導度は、1.3×10−4S/cmであった。

0074

製造例2及び製造例3で製造した固体電解質の特性の測定方法は以下の通りである。
(1)31P−NMRスペクトルの測定
日本電子(株)製JNM−CMXP302NMR装置に、5mmCP/MASプローブを取り付け室温で行った。31P−NMRスペクトルは、シングルパルス法を用い、90°パルス4μs、マジック角回転の回転数8.6kHzで測定した。
化学シフトは、リン酸水素アンモニウム外部標準(1.3ppm)として用いることにより測定した。測定範囲は、0ppm〜150ppmである。

0075

(2)イオン伝導度(σ)
試料を断面10mmφ(断面積S=0.785cm2)、高さ(L)0.1〜0.3cmの円柱状に成形し、その試料の上下から電極端子を取り、交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz、振幅:10mV)、Cole−Coleプロットを得た。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算した。
R=ρ(L/S)
σ=1/ρ
リードの距離は約60cmであった。

0076

実施例1
硫黄(アルドリッチ製、純度99.998%:実施例2以降で用いている硫黄も同じである。)0.5gとケッチェンブラック(ライオン株式会社製EC600JD、平均細孔直径は12.7nm、BET比表面積は1365m2/gである。実施例2以降で用いているケッチェンブラックもこのケッチェンブラックを使用した。)0.5gを遊星ボールミルで5時間混合した。THF(テトラヒドロフラン(和光純薬株式会社製、203−13965):実施例2以降で用いているTHFも同じである。)47mlに上記混合物0.5gを加え、これに溶媒がTHFであり体モル濃度が1.0である1.0MTEBHLi(水素化トリエチルホウ素リチウム)溶液(シグマアルドリッチ株式会社製、商品番号179728)15.6mlを加えて65℃に加熱し、2時間撹拌した。

0077

上記2時間攪拌後に、24時間放置し、その後、上澄みを取り、THFを添加して、未反応TEBHLiをこのTHFに溶解させて、未反応TEBHLiを除去した。このTHFによる除去作業を2回行い、次いでヘキサンによる除去操作を2回繰り返した後、室温で真空引きして溶媒を除去し、150℃2時間の真空加熱により乾燥して、硫化リチウムカーボン複合体回収した。

0078

この硫化リチウムカーボン複合体を、XRD(X線回折)測定で硫化リチウムのhkl=220面のピーク半値幅を測定したところ、1.295°であった。
XRDの測定条件は、以下の通りである。
装置:リガクSmartlab
管電圧:45kV
管電流:200mA
スリット:soller slit 5.0°
スキャンスピード(2θ/θ):2°/min
ステップ幅(2θ/θ):0.02°
X線源:CuKα:λ=1.5418Å

0079

また、この硫化リチウムカーボン複合体についてTEM(透過型電子顕微鏡)観察を行った。ここで、図1図2は、硫化リチウムカーボン複合体の異なる部分のTEM写真である。図1図2に示すように、この硫化リチウムカーボン複合体は、硫化リチウムがケッチェンブラックの表面に密着し、良好に一体化していることが確認された。
ここで、図1図2に示すように、硫化リチウムは比較的色の濃い部分であり、ケッチェンブラックの表面に硫化リチウムが一体化していない部分は、色の薄い部分である。

0080

また、この硫化リチウムカーボン複合体をTEM−EDS(透過型電子顕微鏡−エネルギー分散X線分析)により分析した。任意の6ポイントにおけるTEM−EDS分析の結果(加速電圧200kV,倍率600000)を図3に示す。
図3において、0.3keV付近のピークはカーボンを示し、2.3keV付近のピークは硫化リチウムの硫黄を示す。6ヶ所ともカーボン、硫黄が検出されていることからも、この硫化リチウムカーボン複合体では、ケッチェンブラック表面に硫化リチウムが密着し、良好に複合化されていることが分かる。

0081

上記で製造した硫化リチウムカーボン複合体0.24gと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子0.20gを遊星ボールミルで5時間混合し、硫化リチウムカーボンと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子の混合正極を作製した。
正極層にこの混合正極、電解質層に製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子、負極にIn/Li合金を用いてリチウム電池を作製した。電池の初期充電容量は1193mAh/g(S)、0.2C放電容量は1000mAh/g(S)であった。

0082

実施例2
トルエン(和光純薬株式会社製、209−13445)200mlにケッチェンブラック0.25gを加え、1.6Mのn−BuLi/ヘキサン溶液(関東化学株式会社製、04937−25)9.8mlを加えて、撹拌しながら硫化水素を流通した。24時間放置後、上澄みをとり、トルエン(和光純薬株式会社製、209−13445)を添加し、未反応n−BuLiを除去した。除去作業を4回繰り返した後、室温で真空引きして溶媒を除去して、150℃2時間の真空加熱により乾燥し、硫化リチウムカーボン複合体を回収した。

0083

反応後の上澄み中のリチウム量をICP(誘導結合プラズマ)により定量した結果、溶液側のリチウム残存は、ICPの定量下限以下(20重量ppm以下、仕込みアルキルリチウムの1.7%以下に相当)となり、仕込みのアルキルリチウムが、ほぼ定量的にケッチェンブラックに取込まれていることが確認できた。
この硫化リチウムカーボン複合体を、XRDで硫化リチウムのhkl=220面のピーク半値幅を測定したところ、0.533°であった。XRDの測定条件は実施例1と同様である。
また、TEM観察により、硫化リチウムとケッチェンブラックの複合化が良好であり、ケッチェンブラックの表面に硫化リチウムが密着して存在していることが確認できた。

0084

この硫化リチウムカーボン複合体0.24gと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子0.20gを遊星ボールミルで5時間混合し、硫化リチウムカーボンと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子の混合正極を作製した。
正極層にこの混合正極、電解質層に製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子、負極にIn/Li合金を用いてリチウム電池を作製した。電池の初期充電容量は1377mAh/g(S)、0.2C放電容量は1200mAh/g(S)となった。

0085

実施例3
硫黄1.4gとケッチェンブラック0.6gを遊星ボールミルで5時間混合した。これを密封ステンレス容器に入れ、150℃で6時間、さらに300℃で15分加熱処理を行った。THF150mlに上記混合物1.2gを加え、これに、溶媒がTHFであり体積モル濃度が1.7である1.7MTEBHLi溶液(和光純薬株式会社製、120−05631、実施例4以降で用いている1.7MTEBHLi溶液も同じである。)30.8mlを加えて65℃に加熱し、2時間撹拌した。

0086

上記2時間攪拌後に24時間放置し、その後上澄みを取り、THFを添加して未反応TEBHLiをこのTHFに溶解させて、未反応TEBHLiを除去した。このTHFによる除去作業を2回行い、次いでヘキサンによる除去操作を2回繰り返した後、室温で真空引きして溶媒を除去し、150℃2時間の真空加熱、さらに300℃2時間の真空加熱により乾燥して、硫化リチウムカーボン複合体を回収した。

0087

この硫化リチウムカーボン複合体を、XRD(X線回折)測定で硫化リチウムのhkl=220面のピーク半値幅を測定したところ、0.736°であった。XRDの測定条件は実施例1と同様である。
また、TEM観察により、硫化リチウムとケッチェンブラックの複合化が良好であり、ケッチェンブラックの表面に硫化リチウムが密着して存在していることが確認できた。

0088

上記で製造した硫化リチウムカーボン複合体0.39gと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子0.30gを遊星ボールミルで5時間混合し、硫化リチウムカーボンと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子の混合正極を作製した。

0089

正極層にこの混合正極、電解質層に製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子、負極にIn/Li合金を用いてリチウム電池を作製した。電池の初期充電容量は1486mAh/g(S)、0.2C放電容量は1330mAh/g(S)であった。

0090

この充放電評価後に、220サイクルまでサイクル評価を行った。
評価は、初期10サイクルまで0.1C充放電を行い、次に110サイクルまで0.2C充放電を行い、この操作を2回繰り返して行った。
サイクル目0.1C放電容量1474mAh/g(S)
11サイクル目 0.2C放電容量1357mAh/g(S)
110サイクル目 0.2C放電容量1310mAh/g(S)・・・96.5%
111サイクル目 0.1C放電容量1472mAh/g(S)・・・99.8%
121サイクル目 0.2C放電容量1376mAh/g(S)・・・101.4%
220サイクル目 0.2C放電容量1286mAh/g(S)・・・94.8%
このサイクル評価により、正極の容量劣化は少ないことが確認され、サイクル特性に優れた硫化リチウム正極であることが分かった。サイクル特性結果を図4に示す。

0091

比較例1
キシレン(和光純薬株式会社製、242−00685)20mlに硫化リチウム0.86gとケッチェンブラック0.60gを加え、遊星ボールミルで5時間混合した。室温で真空引きして溶媒を除去して、200℃2時間の真空加熱により乾燥し、硫化リチウムが付着したケッチェンブラックを回収した。
この硫化リチウムが付着したケッチェンブラックを、XRDで硫化リチウムのhkl=220面のピーク半値幅を測定したところ、0.366°であった。XRDの測定条件は実施例1と同様である。
TEM観察によると、硫化リチウムがケッチェンブラックの一部に付着しているだけであり、硫化リチウムとケッチェンブラックの複合化がなされていないことが分かった。TEM写真を図5に示す。
また、TEM−EDSの結果(加速電圧200kV,倍率100000)を図6に示す。任意の5ポイントにおいて、カーボンに比べて硫黄がほとんど検出されないポイントがあった。

0092

上記「硫化リチウムが付着したケッチェンブラック」0.24gと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子0.20gを遊星ボールミルで5時間混合し、硫化リチウムカーボンと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子の混合正極を作製した。
正極層にこの混合正極、電解質層に製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子、負極にIn/Li合金を用いてリチウム電池を作製した。電池の初期充電容量は423mAh/g(S)、0.2C放電容量は744mAh/g(S)となった。
また、1C放電容量は290mAh/g(S)、2C放電容量は120mAh/g(S)となった。

0093

0.2C放電容量と1C放電容量と2C放電容量の測定方法は以下の通りである。
0.2C放電容量は0.785mAの定電流放電で、終止電圧0.5Vまでの放電容量を測定した。同様に1C放電容量は3.927mAの定電流放電で、終止電圧0.5Vまでの放電容量を測定した。2C放電容量は7.854mAの定電流放電で、終止電圧0.5Vまでの放電容量を測定した。放電容量は、電工(株)製:HJ1005SM8を用いて測定した。

0094

0095

TEM−EDS(図3,6)によっても、実施例1は硫黄がケッチェンブラック全面に存在しているのに対し、比較例1ではケッチェンブラックの一部に硫黄が存在しているに過ぎないことが分かる。
ここで、硫化リチウムのリチウム成分はTEM−EDSにより観察できないが、硫化リチウムの硫黄成分はTEM−EDSにより測定することができる。従って、図3から、実施例1ではケッチェンブラック全面に硫黄成分が検出され硫化リチウムが広範囲に存在していることが分かる。一方、図6から、比較例1では硫黄成分が多い部分では硫黄のピークが強く現れ、少ない部分では、強いピーク部分と比べて、極端に弱いピークとなっており、硫化リチウムとケッチェンブラックがメカニカルミリングだけで混合されているため、ケッチェンブラック表面の一部に硫化リチウムが大きな粒子のまま付着していることが分かる。

0096

実施例4
硫黄7.0gとケッチェンブラック3.0gを遊星ボールミルで5時間混合した。これを密封ステンレス容器に入れ、150℃で6時間、さらに300℃で15分加熱処理を行った。THF18mlに上記混合物2.12gを加え、これに1.7MTEBHLi溶液60.0mlを加えて65℃に加熱し、2時間撹拌した。

0097

上記2時間攪拌後に室温まで冷却し、THFを130ml添加した後、24時間放置し、その後上澄みを取り、THFを添加して未反応TEBHLiをこのTHFに溶解させて、未反応TEBHLiを除去した。このTHFによる除去作業を2回行い、次いでヘキサンによる除去操作を2回繰り返した後、室温で真空引きして溶媒を除去し、150℃2時間の真空加熱、さらに300℃2時間の真空加熱により乾燥して、硫化リチウムカーボン複合体を回収した。

0098

この硫化リチウムカーボン複合体を、XRD(X線回折)測定で硫化リチウムのhkl=220面のピーク半値幅を測定したところ、1.019°であった。XRDの測定条件は実施例1と同様である。また、XRD測定結果及びその拡大図を図7に示す。
また、TEM観察により、硫化リチウムとケッチェンブラックの複合化が良好であり、ケッチェンブラックの表面に硫化リチウムが密着して存在していることが確認できた。

0099

上記で製造した硫化リチウムカーボン複合体0.326gと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子0.250gを遊星ボールミルで5時間混合し、硫化リチウムカーボンと製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子の混合正極を作製した。

0100

正極層にこの混合正極、電解質層に固体電解質ガラスセラミック粒子、負極にSi/固体電解質ガラスセラミック合材を用いてリチウム電池を作製した。固体電解質ガラスセラミックは製造例2で製造したものを用いた。電池の1C放電容量は757mAh/g(S)、2C放電容量は415mAh/g(S)であった。

0101

実施例5
硫黄7.0gとケッチェンブラック3.0gを加え遊星ボールミルで5時間混合した。これを密封ステンレス容器に入れ、150℃で6時間、さらに300℃で15分加熱処理を行った。THF150mlに上記混合物1.06gを加え、これに1.7MTEBHLi30.0mlを加えて65℃に加熱し、2時間撹拌した。
上記2時間攪拌後に、24時間放置し、その後、上澄みを取り、THFを添加して、未反応TEBHLiをこのTHFに溶解させて、未反応TEBHLiを除去した。このTHFによる除去作業を2回行い、次いでヘキサンによる除去操作を2回繰り返した後、室温で真空引きして溶媒を除去し、150℃2時間の真空加熱、さらに300℃2時間の真空加熱により乾燥して、硫化リチウムカーボン複合体を回収した。

0102

この硫化リチウムカーボン複合体を、XRD(X線回折)測定で硫化リチウムのhkl=220面のピーク半値幅を測定したところ、0.907°であった。XRDの測定条件は実施例1と同様である。結果を表2に示す。
また、TEM観察により、硫化リチウムとケッチェンブラックの複合化が良好であり、ケッチェンブラックの表面に硫化リチウムが密着して存在していることが確認できた。

0103

実施例4と同様にして混合正極及びリチウム電池を作製した。電池の1C放電容量は729mAh/g(S)、2C放電容量は367mAh/g(S)であった。

0104

実施例6
硫黄7.0gとケッチェンブラック3.0gを遊星ボールミルで5時間混合した。これを密封ステンレス容器に入れ、150℃で6時間、さらに300℃で15分加熱処理を行った。この上記混合物1.42gに1.7MTEBHLi溶液40.0mlを加えて65℃に加熱し、2時間撹拌した。

0105

上記2時間攪拌後に室温まで冷却し、THFを110ml添加した後、24時間放置し、その後上澄みを取り、THFを添加して未反応TEBHLiをこのTHFに溶解させて、未反応TEBHLiを除去した。このTHFによる除去作業を2回行い、次いでヘキサンによる除去操作を2回繰り返した後、室温で真空引きして溶媒を除去し、150℃2時間の真空加熱、さらに300℃2時間の真空加熱により乾燥して、硫化リチウムカーボン複合体を回収した。

0106

この硫化リチウムカーボン複合体を、XRD(X線回折)測定で硫化リチウムのhkl=220面のピーク半値幅を測定したところ、1.136°であった。XRDの測定条件は実施例1と同様である。
また、TEM観察により、硫化リチウムとケッチェンブラックの複合化が良好であり、ケッチェンブラックの表面に硫化リチウムが密着して存在していることが確認できた。

0107

上記で製造した硫化リチウムカーボン複合体0.326gと製造例3で製造した固体電解質ガラス0.250gを遊星ボールミルで5時間混合し、硫化リチウムカーボンと製造例3で製造した固体電解質ガラスの混合正極を作製した。

0108

正極層にこの混合正極、電解質層に製造例2で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子、負極にSi/固体電解質ガラスセラミック合材を用いてリチウム電池を作製した。電池の1C放電容量は820mAh/g(S)、2C放電容量は425mAh/g(S)であった。

実施例

0109

0110

本発明の複合材料は、リチウムイオン電池の部材に用いることができる。

0111

上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
この明細書に記載の文献の内容を全てここに援用する。

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