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技術 酵素糖化用原料の製造方法、並びに糖の製造方法、及びエタノールの製造方法

出願人 JXTGエネルギー株式会社東レ株式会社
発明者 柴田悠一磯村佳功井口靖敏丹羽雅裕
出願日 2012年1月6日 (7年6ヶ月経過) 出願番号 2012-552714
公開日 2014年6月9日 (5年1ヶ月経過) 公開番号 WO2012-096236
状態 未査定
技術分野 糖工業 微生物による化合物の製造
主要キーワード 飽和含水量 加圧窒素ガス エネルギー投入量 廃建材 リードカナリーグラス 工業用エタノ III型結晶 添加薬剤
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課題・解決手段

本発明の酵素糖化用原料の製造方法は、リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料を、アンモニアを含む処理剤で処理して改質バイオマスを得る改質バイオマス製造工程と、改質バイオマスを40〜100℃の水に浸漬して、改質バイオマス中の多糖を水中に溶出せしめ、酵素糖化工程に供するための酵素糖化用原料を得る水処理工程と、を備える。本発明によれば、酵素糖化を効率的に行うことができ、そのため、糖の生産効率を向上させることが可能な、糖の製造方法に用いられる有用な酵素糖化用原料の製造方法を提供することが可能となる。

概要

背景

近年、地球温暖化対策一環として、木質バイオマス草本バイオマス等のリグノセルロースリグニンセルロースヘミセルロースからなる複合体)を含む植物バイオマス原料からエタノールを製造し、各種燃料化学原料として利用しようとする試みが広く行われている。バイオマス原料からのエタノールの製造は、例えば、収集した前記バイオマス原料を、糖化工程において糖に分解した後、発酵工程において酵母等の微生物を用いてエタノールに変換することにより行うことができる。

一方、環境負荷低減の観点から、生分解性ポリマーの利用が増加しており、その原料のひとつとして乳酸が使用されている。この乳酸も、前記バイオマス原料を糖化して得られる糖を発酵させることにより得ることができる。更に、前記糖を発酵させることにより、乳酸以外の有機酸類等を得ることもできる。

前記糖化は、従来より、濃硫酸を用いて行われることが多かったが、環境負荷低減の観点から、硫酸の使用量を少なくすることが望まれている。そこで、近年は、濃硫酸による糖化に代わる手段として、酵素を用いた前記バイオマス原料の糖化が広く研究されている。酵素による糖化は、環境に対する影響の観点から望ましい手段であるが、この酵素糖化のためには、酵素を作用させ易くする目的から、予め前記バイオマス原料に対して前処理を施して、バイオマス原料を構成するリグノセルロース中のセルロースとリグニンとを分離することが必要となる。このバイオマス原料の前処理方法として様々な方法が知られているが、中でも、希硫酸加圧熱水等による蒸煮処理などが一般的である(例えば、下記特許文献1〜4参照。)。しかしながら、前記したように硫酸の使用が好ましくないこと、及び前記バイオマス原料にこれらの前処理を行い、得られた処理物を酵素糖化に供する場合では、所望の程度の酵素糖化率を得るためには該前処理を多段で行う必要があったり、200℃以上の高温にしなければならない等の問題がある。また、前記蒸煮処理において生成する一部の分解生成物は、酵素糖化後の発酵工程において、酵母等の微生物による発酵に対する阻害作用を及ぼすという問題もある。更に、前記蒸煮処理では、前記バイオマス原料の粒子流動化させるために水分量を多くする必要があり、そのために、酵素糖化後の糖液中における糖濃度が低くなり、その後の発酵工程における効率が低下するという問題もある。

また、前記バイオマス原料を物理的手段により微細粉砕することにより、化学的生物化学的反応性が向上することが知られているが、粉砕のみにより充分な酵素糖化率を得ようとすると、粉砕工程に多大なエネルギーを要し、経済合理性を失うおそれがある。

また、前記バイオマス原料を加圧熱水により蒸煮処理した後、水等の存在下に湿式機械的粉砕を行うことにより、バイオマスの酵素糖化率が向上することが開示されている(例えば、下記特許文献5参照。)。この場合も、酵素糖化率の向上はあるものの、前記蒸煮処理における問題点、すなわち発酵に対する阻害物質の生成、酵素糖化工程により得られる糖液中の糖濃度が低いとの問題は依然として解消しない。

一方、アンモニアを用いて前記バイオマス原料を前処理することにより、その化学的、生物化学的反応性が向上することが知られている(例えば、下記特許文献6、非特許文献1参照。)。前記バイオマス原料をアンモニア処理することによる酵素糖化効率の向上は、前記バイオマス原料中のセルロースI型結晶が、セルロースI型結晶の結晶密度よりも低い結晶密度を有するセルロースIII型結晶転移することに起因することが知られている(例えば、特許文献7参照)。

また、アンモニアによる前記バイオマス原料の前処理による酵素糖化効率の向上に対しては、前記バイオマス原料中のヘミセルロースとリグニンとの間のエステル結合アミド化開裂し、これによりセルロースとリグニンが分離し、酵素のセルロースへのアクセスが容易になるとの作用機構も知られている(例えば、非特許文献2参照)。

しかし、前記アンモニアによる前処理を、前記バイオマス原料が保持できる以上の水が存在しない系で行った場合には、リグニンとのエステル結合が開裂したヘミセルロースであっても、その一部はセルロースとの水素結合を維持していると考えられる。そして、このセルロースと水素結合したヘミセルロースは、酵素糖化工程においてもその水素結合が維持され、酵素のセルロースへのアクセスに対して立体的な到達障害物として作用している可能性がある。

一方、アンモニア水による前記バイオマスの前処理を行うためのリグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置が知られている(例えば、特許文献8参照。)。該装置を用いて、アンモニア水により前記バイオマス原料の前処理を行う場合には、前記エステル結合が開裂したヘミセルロースはセルロースとの水素結合が開裂し、アンモニア水中溶出すると考えられるが、前処理後のバイオマス/アンモニア水混合物からアンモニアを加熱により除去するためには、大きなエネルギーを必要とし、商業的実施には適さない。

以上から、アンモニアによる前処理により酵素糖化工程に供するための酵素糖化用原料を製造する方法であって、十分に酵素糖化効率が向上した酵素糖化用原料を、合理的なエネルギー消費によって得ることができる技術は開発されていないのが現状である。

概要

本発明の酵素糖化用原料の製造方法は、リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料を、アンモニアを含む処理剤で処理して改質バイオマスを得る改質バイオマス製造工程と、改質バイオマスを40〜100℃の水に浸漬して、改質バイオマス中の多糖を水中に溶出せしめ、酵素糖化工程に供するための酵素糖化用原料を得る水処理工程と、を備える。本発明によれば、酵素糖化を効率的に行うことができ、そのため、糖の生産効率を向上させることが可能な、糖の製造方法に用いられる有用な酵素糖化用原料の製造方法を提供することが可能となる。

目的

前記糖化は、従来より、濃硫酸を用いて行われることが多かったが、環境負荷低減の観点から、硫酸の使用量を少なくすることが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料を、アンモニアを含む処理剤で処理して改質バイオマスを得る改質バイオマス製造工程と、前記改質バイオマスを40〜100℃の水に浸漬して、前記改質バイオマス中の多糖を前記水中に溶出せしめ、酵素糖化工程に供するための酵素糖化用原料を得る水処理工程と、を備えることを特徴とする酵素糖化用原料の製造方法。

請求項2

前記水処理工程における前記水の温度が、前記酵素糖化工程における処理温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の酵素糖化用原料の製造方法。

請求項3

前記水処理工程における前記水の温度が50〜100℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酵素糖化用原料の製造方法。

請求項4

前記水処理工程において、前記水の質量Aと、前記改質バイオマスの乾燥質量Bとが、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵素糖化用原料の製造方法。{A/(A+B)}×100≧70(1)

請求項5

前記改質バイオマス製造工程と前記水処理工程との間に、前記改質バイオマスを粉砕する粉砕工程を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の酵素糖化用原料の製造方法。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載の酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を、酵素糖化工程に供して糖を得ることを特徴とする糖の製造方法。

請求項7

請求項6に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵工程に供してエタノールを得ることを特徴とするエタノールの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料を利用した、糖の製造に用いられる、酵素糖化用原料の製造方法、該酵素糖化用原料の製造方法により製造された酵素糖化用原料を用いた糖の製造方法、及び該糖の製造方法により製造された糖を用いたエタノールの製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、地球温暖化対策一環として、木質バイオマス草本バイオマス等のリグノセルロース(リグニンセルロースヘミセルロースからなる複合体)を含む植物バイオマス原料からエタノールを製造し、各種燃料化学原料として利用しようとする試みが広く行われている。バイオマス原料からのエタノールの製造は、例えば、収集した前記バイオマス原料を、糖化工程において糖に分解した後、発酵工程において酵母等の微生物を用いてエタノールに変換することにより行うことができる。

0003

一方、環境負荷低減の観点から、生分解性ポリマーの利用が増加しており、その原料のひとつとして乳酸が使用されている。この乳酸も、前記バイオマス原料を糖化して得られる糖を発酵させることにより得ることができる。更に、前記糖を発酵させることにより、乳酸以外の有機酸類等を得ることもできる。

0004

前記糖化は、従来より、濃硫酸を用いて行われることが多かったが、環境負荷低減の観点から、硫酸の使用量を少なくすることが望まれている。そこで、近年は、濃硫酸による糖化に代わる手段として、酵素を用いた前記バイオマス原料の糖化が広く研究されている。酵素による糖化は、環境に対する影響の観点から望ましい手段であるが、この酵素糖化のためには、酵素を作用させ易くする目的から、予め前記バイオマス原料に対して前処理を施して、バイオマス原料を構成するリグノセルロース中のセルロースとリグニンとを分離することが必要となる。このバイオマス原料の前処理方法として様々な方法が知られているが、中でも、希硫酸加圧熱水等による蒸煮処理などが一般的である(例えば、下記特許文献1〜4参照。)。しかしながら、前記したように硫酸の使用が好ましくないこと、及び前記バイオマス原料にこれらの前処理を行い、得られた処理物を酵素糖化に供する場合では、所望の程度の酵素糖化率を得るためには該前処理を多段で行う必要があったり、200℃以上の高温にしなければならない等の問題がある。また、前記蒸煮処理において生成する一部の分解生成物は、酵素糖化後の発酵工程において、酵母等の微生物による発酵に対する阻害作用を及ぼすという問題もある。更に、前記蒸煮処理では、前記バイオマス原料の粒子流動化させるために水分量を多くする必要があり、そのために、酵素糖化後の糖液中における糖濃度が低くなり、その後の発酵工程における効率が低下するという問題もある。

0005

また、前記バイオマス原料を物理的手段により微細粉砕することにより、化学的生物化学的反応性が向上することが知られているが、粉砕のみにより充分な酵素糖化率を得ようとすると、粉砕工程に多大なエネルギーを要し、経済合理性を失うおそれがある。

0006

また、前記バイオマス原料を加圧熱水により蒸煮処理した後、水等の存在下に湿式機械的粉砕を行うことにより、バイオマスの酵素糖化率が向上することが開示されている(例えば、下記特許文献5参照。)。この場合も、酵素糖化率の向上はあるものの、前記蒸煮処理における問題点、すなわち発酵に対する阻害物質の生成、酵素糖化工程により得られる糖液中の糖濃度が低いとの問題は依然として解消しない。

0007

一方、アンモニアを用いて前記バイオマス原料を前処理することにより、その化学的、生物化学的反応性が向上することが知られている(例えば、下記特許文献6、非特許文献1参照。)。前記バイオマス原料をアンモニア処理することによる酵素糖化効率の向上は、前記バイオマス原料中のセルロースI型結晶が、セルロースI型結晶の結晶密度よりも低い結晶密度を有するセルロースIII型結晶転移することに起因することが知られている(例えば、特許文献7参照)。

0008

また、アンモニアによる前記バイオマス原料の前処理による酵素糖化効率の向上に対しては、前記バイオマス原料中のヘミセルロースとリグニンとの間のエステル結合アミド化開裂し、これによりセルロースとリグニンが分離し、酵素のセルロースへのアクセスが容易になるとの作用機構も知られている(例えば、非特許文献2参照)。

0009

しかし、前記アンモニアによる前処理を、前記バイオマス原料が保持できる以上の水が存在しない系で行った場合には、リグニンとのエステル結合が開裂したヘミセルロースであっても、その一部はセルロースとの水素結合を維持していると考えられる。そして、このセルロースと水素結合したヘミセルロースは、酵素糖化工程においてもその水素結合が維持され、酵素のセルロースへのアクセスに対して立体的な到達障害物として作用している可能性がある。

0010

一方、アンモニア水による前記バイオマスの前処理を行うためのリグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置が知られている(例えば、特許文献8参照。)。該装置を用いて、アンモニア水により前記バイオマス原料の前処理を行う場合には、前記エステル結合が開裂したヘミセルロースはセルロースとの水素結合が開裂し、アンモニア水中溶出すると考えられるが、前処理後のバイオマス/アンモニア水混合物からアンモニアを加熱により除去するためには、大きなエネルギーを必要とし、商業的実施には適さない。

0011

以上から、アンモニアによる前処理により酵素糖化工程に供するための酵素糖化用原料を製造する方法であって、十分に酵素糖化効率が向上した酵素糖化用原料を、合理的なエネルギー消費によって得ることができる技術は開発されていないのが現状である。

0012

特開2006−075007号公報
特開2004−121055号公報
特表2002−541355号公報
特開2002−159954号公報
特開2006−136263号公報
欧州特許公開第77287号公報
特開2008−161125号公報
特開2010−115162号公報

先行技術

0013

Sendich E., Laser M., Kim S., Alizadeh H., Laureano−Perez L., Dale B. and Lynd L. Recent process improvements for the ammonia fiber expansion (AFEX) process and resulting reduction in minimum ethanol selling price Bioresource Technology 99,8429−8435(2008)
P.J.Weimer,Y.C.Chou,W.M.Weston,and D.B.Chase,Effect of Supercritical Ammonia on the Physical and Chemical Structure of Ground Wood,Biotech. Bioeng.Symp., 17, 5(1986)

発明が解決しようとする課題

0014

本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、酵素糖化を効率的に行うことができ、そのため、糖の生産効率を向上させることが可能な、糖の製造方法に用いられる有用な酵素糖化用原料の製造方法、並びに、糖の製造方法、及びエタノールの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

前記課題を解決するため本発明者らは鋭意検討を重ね、リグノセルロースを含有するバイオマス原料を、アンモニアを含む処理剤で処理して改質バイオマスを得、この改質バイオマスを温水に浸漬し、リグニンとの結合が開裂したヘミセルロースの一部を温水へ溶出せしめることで酵素糖化用原料を得た。前記酵素糖化用原料を酵素糖化せしめ、格段に向上した酵素糖化率が得られることを見出した。

0016

すなわち、本発明は、下記<1>〜<5>に記載の酵素糖化用原料の製造方法、下記<6>に記載の糖の製造方法、及び下記<7>に記載のエタノールの製造方法を提供する。
<1>リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料を、アンモニアを含む処理剤で処理して改質バイオマスを得る改質バイオマス製造工程と、前記改質バイオマスを40〜100℃の水に浸漬して、前記改質バイオマス中の多糖を前記水中に溶出せしめ、酵素糖化工程に供するための酵素糖化用原料を得る水処理工程と、を備えることを特徴とする酵素糖化用原料の製造方法。
<2>前記水処理工程における前記水の温度が、前記酵素糖化工程における処理温度よりも高いことを特徴とする<1>に記載の酵素糖化用原料の製造方法。
<3>前記水処理工程における前記水の温度が50〜100℃であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の酵素糖化用原料の製造方法。
<4>前記水処理工程において、前記水の質量Aと、前記改質バイオマスの乾燥質量Bとが、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする<1>〜<3>のいずれか一項に記載の酵素糖化用原料の製造方法。
{A/(A+B)}×100≧70 (1)
<5>前記改質バイオマス製造工程と前記水処理工程との間に、前記改質バイオマスを粉砕する粉砕工程を更に備えることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか一項に記載の酵素糖化用原料の製造方法。
<6>上記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を、酵素糖化工程に供して糖を得ることを特徴とする糖の製造方法。
<7>上記<6>に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵工程に供してエタノールを得ることを特徴とするエタノールの製造方法。

発明の効果

0017

本発明によれば、従来における諸問題を解決することができ、酵素糖化を効率的に行うことができ、そのため、糖の生産効率を向上させることが可能な、糖の製造方法に用いられる有用な酵素糖化用原料の製造方法、糖の製造方法及びエタノールの製造方法を提供することができる。

0018

以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。

0019

<第1実施形態:酵素糖化用原料の製造方法>
本発明の第1実施形態に係る酵素糖化用原料の製造方法は、リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料を、アンモニアを含む処理剤で処理して改質バイオマスを得る改質バイオマス製造工程と、改質バイオマスを40〜100℃の水に浸漬して、改質バイオマス中の多糖を前記水中に溶出せしめ、酵素糖化工程に供するための酵素糖化用原料を得る水処理工程と、を備える。

0020

改質バイオマス製造工程においては、リグノセルロース(リグニン、セルロース、ヘミセルロースからなる複合体)を含有する植物バイオマス原料がアンモニアを含む処理剤で処理される(以下、前記処理を単に「アンモニア処理」ということもある。)。かかるアンモニア処理によって、植物バイオマス原料中のエステル結合の少なくとも一部が切断される。切断されるエステル結合にはリグノセルロースを構成するヘミセルロースとリグニンとの間のエステル結合が含まれ、当該エステル結合の開裂(即ち、当該エステル結合のアミド化開裂)によって、後述する酵素糖化工程において、酵素によるセルロースの加水分解を効率的に行うことができる。

0021

植物バイオマス原料としては、リグノセルロースを含有する限りにおいて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、農業林業等の生産活動に伴う残渣として得られる「廃棄物バイオマス」や、エネルギー等を得る目的で意図的に栽培して得られる「資源作物バイオマス」などを使用することができる。前記「廃棄物バイオマス」としては、例えば、廃建材間伐材稲わら麦わらもみ殻バガスなどが挙げられ、また、前記「資源作物バイオマス」としては、例えば、セルロース類の利用を目的として栽培されるシラカバユーカリポプラアカシアヤナギスギスイッチグラスネピアグラスエリアンサスミスカンサスススキリードカナリーグラスなどが挙げられる。また、前記バイオマスは、木に由来する「木質バイオマス」、草に由来する「草本バイオマス」などにも分類される。本発明においては、木質バイオマス及び草本バイオマス共に使用することができる。植物バイオマス原料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記バイオマス原料に含まれるセルロースは、基本的にセルロースI型結晶から構成される。

0022

改質バイオマス製造工程に供する植物バイオマス原料は、収集されたものをそのまま使用してもよいが、裁断、粉砕等によりある程度以下の大きさの粒子としてから使用することが、取り扱いの容易さ並びにアンモニアを含む処理剤による処理の効率の観点から望ましい。

0023

植物バイオマス原料の粒子の大きさとしては特に制限はなく、粒子としての取り扱いやすさなどに応じて適宜選択することができるが、例えば、通過するメッシュの目開きとして、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。前記メッシュの目開きの大きさが5mmを超えると、後述するアンモニアを含む処理剤による処理効率が低下することがある。一方、単位操作としての粉砕はエネルギー効率が極めて低いため、例えば、粉砕に供するエネルギー投入量乾燥バイオマス1kg当たり1MJ以下が好ましい。なお、以下、前記の収集したバイオマス原料を裁断、粉砕する工程を「粗粉砕」ということがある。

0024

前記粗粉砕を予め行うことにより、後述するアンモニアを含む処理剤による処理を効率的に進行させることができる。前記粗粉砕に用いる粉砕機としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウィレーミルカッターミルハンマーミルピンミル等を用いることができる。

0025

リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料を、アンモニアを含む処理剤で処理する場合、その方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料と、アンモニアを含む処理剤とを、圧力容器内に導入し、前記圧力容器内を所望の圧力及び温度に設定して、所望の時間処理することにより行うことができる。前記圧力としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0MPa〜12.5MPa(ゲージ圧)とすることができる。前記温度としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、−35℃〜180℃、好ましくは40℃〜150℃とすることができる。

0026

アンモニアを含む処理剤は液相であっても、気相であっても、気液混相であっても、また超臨界状態であってもよい。

0027

前記アンモニアを含む処理剤による処理の時間は特に制限されず、用いる植物バイオマス原料の量や、前記した処理圧力、処理温度等に応じ、所望の程度のエステル結合の切断が進行する範囲内で適宜選択することができるが、10分〜10時間が好ましく、30分〜8時間が更に好ましく、30分〜5時間が特に好ましい。前記処理時間が、10分未満であると、所望の程度のエステル結合の切断が進行しないことがあり、10時間を超えると、それ以上エステル結合の切断が進行せず、全体として非効率となることがある。一方、前記処理時間が、前記更に好ましい範囲内であると、効率よく、エステル結合の切断を進行させることができ、得られる酵素糖化用原料の酵素糖化率が向上する点で有利である。

0028

前記アンモニアを含む処理剤による処理を実施する装置としては特に限定されず、回分式装置、半連続式装置、連続式装置などが適宜選択され、処理を行う効率を高めるとの観点から、半連続式装置又は連続式装置を採用することが好ましい。

0029

アンモニアを含む処理剤の使用量としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料の乾燥質量1gに対して、アンモニアとして10mg〜300gが好ましく、100mg〜150gがより好ましく、1g〜50gが特に好ましい。アンモニアを含む処理剤の使用量が、リグノセルロースを含有する植物バイオマス原料の乾燥質量1gに対して、アンモニアとして10mg未満であると、処理が不十分となることがあり、300gを超えると、処理の効率が悪くなることがある。一方、その使用量が、前記特に好ましい範囲内であると、処理時間が短縮できる、使用する処理剤の量を少なくできる等の点で、有利である。

0030

なお、アンモニアを含む処理剤は、植物バイオマス原料中のエステル結合の少なくとも一部を切断することができる範囲であれば、アンモニア以外の化合物を更に含有していてもよい。アンモニア以外の化合物としては、例えば、二酸化炭素窒素エチレンメタンエタンプロパンブタンペンタンヘキサントルエンベンゼンフェノールジオキサンキシレンアセトンクロロホルム四塩化炭素、エタノール、メタノールプロパノールブタノールなどが挙げられる。また、エチレンジアンモノメチルアミンモノエチルアミンジメチルアミンジエチルアミントリエチルアミン等の有機アミン類が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0031

改質バイオマス製造工程においては、アンモニア処理を行う系内に存在する水分の質量と、植物バイオマス原料の乾燥質量とについて、[処理を行なう系内に存在する水分の質量/(処理を行なう系内に存在する水分の質量+植物バイオマス原料の乾燥質量)]で表される比率が0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることが特に好ましい。アンモニア処理を行う系内に、植物バイオマス原料の量を基準として、多量の水が存在すると、アンモニア処理後に、得られる改質バイオマスとアンモニアとを分離し、アンモニアを再使用するために回収する工程において、水中に溶解したアンモニアを水と分離するために、多量の熱エネルギーを必要とし、改質バイオマス製造のコストが増大する。アンモニア処理を行う系内に存在する水分の量が、植物バイオマス原料の量に対して少ないほど、前記エネルギーの消費量の観点から好ましいが、前記比率が0.3以下であれば、前記エネルギーの消費量は過大なものとはならない。

0032

改質バイオマス製造工程で得られる改質バイオマスは、そのまま後述する水処理工程に供してもよいが、水処理工程に供する前に予め粉砕してもよい。すなわち、本実施形態に係る酵素糖化用原料の製造方法は、改質バイオマス製造工程と水処理工程との間に、改質バイオマスを粉砕する粉砕工程を更に備えてもよい。粉砕工程において、改質バイオマス製造工程で得られる改質バイオマスを粉砕することにより、その後水処理工程を経て得られる酵素糖化用原料の酵素糖化効率が一層向上する。

0033

水処理工程においては、改質バイオマスを40〜100℃の水に浸漬して、改質バイオマス中のヘミセルロース等の多糖を前記水中に溶出せしめることによって、酵素糖化工程に供するための酵素糖化用原料が得られる。

0034

なお、植物バイオマス原料を、改質バイオマス製造工程を経ずにそのまま熱水に浸漬しても、ヘミセルロースは実質的に水中に溶出しない。一方、改質バイオマス製造工程後に得られる改質バイオマスを熱水に浸漬するとヘミセルロースなどの多糖類が溶出することを本発明者らは確認している。これらの結果から、リグニンとの結合が開裂したヘミセルロースなどの多糖類が水に溶出すると考えられる。

0035

また、リグニンとの結合が開裂したヘミセルロースが水に溶出する現象低温でも起こり得るが、当該ヘミセルロースの溶出量及び溶出の速度は温度の影響を受け、高温ほど効率的に溶出するので、水の温度は高温ほど有利である。そして、効率的にヘミセルロースなどの多糖を水中に溶出せしめるためには、水の温度は40℃以上であることが好ましい。一方、水の温度を100℃を超える温度とするためには、水処理工程を実施するための装置として圧力容器を必要とするため、設備コストが増大する。よって、水の温度は100℃以下であることが好ましい。以上の理由により、本実施形態に係る水処理工程における水の温度は、好ましくは40〜100℃であり、より好ましくは50〜100℃である。

0036

また、水処理工程における水の温度は、後述する酵素糖化工程における処理温度よりも高いことが好ましい。酵素糖化工程は一般的に水媒体中で実施され、所要時間は数十時間程度である。酵素糖化工程の前に水処理工程を設けない場合には、酵素糖化工程において、水処理工程と同様に多糖類の水中への溶出が起こると考えられる。水処理工程における水の温度を、酵素糖化工程における処理温度よりも高くすることにより、水処理工程を設けない場合に酵素糖化工程において多糖類が水中に溶出する効率に比較して、水処理工程における多糖類の水中への溶出の効率を高めることができ、水処理工程の効果をより確実に発現させることができる。

0037

また、水処理工程において、水の質量Aと、改質バイオマスの乾燥質量Bとは、下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。なお、A、Bが下記式(1)の関係を満たす場合には、水処理工程において使用される水の量は、処理される改質バイオマスの飽和含水量を超える量となる。かかる条件下で水処理工程を行うことによって、リグニンとの結合が開裂したヘミセルロースなどの多糖類を効率的に水に溶出させ、バイオマス固体外に除去することができる。更に、後述の酵素糖化工程における反応条件と同じ量比の水を用いてもよい。
{A/(A+B)}×100≧70・・・ (1)

0038

なお、本発明に係る酵素糖化用原料とは、上述の水処理工程によって得られる、改質バイオマス由来の、水に対する不溶物固形物)のみならず、水中に溶出したヘミセルロースなどの多糖類及び水を含み得る。すなわち、本発明においては、水処理工程により得られる懸濁液全体をそのまま後段の酵素糖化に供し得る。また、前記懸濁液から、水の少なくとも一部を留去することによってこれを濃縮し、あるいは水及び/又は有機溶媒を添加して希釈してもよく、これらの濃縮物及び希釈物も酵素糖化用原料に包含される。更にこれらに、酵素糖化工程に適したpHとするための緩衝液等の添加薬剤を加えたものも、酵素糖化用原料に包含される。

0039

<第2実施形態:糖の製造方法>
本発明の第2実施形態に係る糖の製造方法は、上記第1実施形態に係る酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を酵素糖化する酵素糖化工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
以下、本実施形態に係る糖の製造方法について詳述する。

0040

本実施形態に係る酵素糖化工程に供される酵素糖化用原料には、改質バイオマス製造工程及び水処理工程において生じたセルロース及びヘミセルロースが含まれる。酵素糖化工程においては、酵素糖化用原料と酵素とを接触させることにより、上記のセルロース及びヘミセルロースが加水分解し、単糖類が得られる。

0041

前記酵素糖化工程に用いられる酵素糖化の方法としては、酵素を用いる限りにおいて特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。硫酸等を用いる化学的な糖化方法を用いた場合には、過分解により単糖収率が低下する傾向にあること、糖化に続く工程である発酵工程において阻害作用をもつ物質が生成し易い傾向にあること、及び硫酸等の環境負荷物質の排出が生じるなどの問題があるのに対して、酵素を用いる糖化方法においては、温和な条件を選択することが可能であり、前記の問題を生じ難い傾向にある。

0042

酵素糖化工程において使用する酵素としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルラーゼセロビアーゼβ−グルコシダーゼ)などが挙げられる。また、これら酵素を適当な担体又はマトリックス固定化した固定化酵素を使用することもできる。

0043

酵素糖化工程における酵素の使用量としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記酵素糖化用原料中の固形分乾燥質量1gに対して、0.001mg〜100mgが好ましく、0.01mg〜10mgがより好ましく、0.1mg〜1mgが更に好ましい。前記酵素の使用量が、前記酵素糖化用原料中の固形分乾燥質量1gに対して、0.001mg未満であると、酵素糖化が不十分となることがあり、100mgを超えると、糖化阻害が起こることがある。一方、前記酵素の使用量が前記更に好ましい範囲内であると、酵素の使用量に対して得られる糖の量が多い点で有利である。

0044

酵素糖化工程における処理温度としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10℃〜70℃が好ましく、20℃〜60℃がより好ましく、30℃〜50℃が更に好ましい。処理温度が、10℃より低い温度であると、酵素糖化が十分に進行しないことがあり、70℃を超えると、酵素が失活することがある。一方、処理温度が、前記更に好ましい範囲内であると、酵素の使用量に対して得られる糖の量が多い点で有利である。

0045

酵素糖化工程におけるpHとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、3.0〜8.0が好ましく、3.5〜7.0がより好ましく、4.0〜6.0が更に好ましい。前記pHが、3.0未満、又は8.0を超えると、酵素が失活することがある。一方、前記pHが、前記更に好ましい範囲内であると、酵素の使用量に対して得られる糖の量が多い点で有利である。

0046

酵素糖化工程により、酵素糖化用原料に含まれるセルロースからはグルコースが生成する。また、ヘミセルロースからはグルコース、ガラクトースマンノースといった六炭糖及びキシロースアラビノースといった五炭糖が生成する。

0047

上記の酵素糖化工程により得られる単糖を含む糖液は、そのまま後述する発酵工程に供してもよいが、例えば、糖液のpHを調整する工程、糖の濃度を調整する工程などを施すことにより、発酵により適した糖液としてもよい。

0048

本実施形態に係る糖の製造方法により得られる糖は、後述するエタノールの製造方法、乳酸の製造方法に用いるだけでなく、その他の物質の製造の原料として用いることもできる。

0049

<第3実施形態:エタノールの製造方法>
本発明の第3実施形態に係るエタノールの製造方法は、上記第2実施形態に係る糖の製造方法により得られた糖(糖液)を発酵する発酵工程(エタノール発酵工程)を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
以下、本実施形態に係るエタノールの製造方法について詳述する。

0050

本実施形態に係る発酵工程は、前記糖液にエタノール発酵微生物を添加し、エタノール発酵を行う工程である。

0051

エタノール発酵微生物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、酵母、ザイモモナスモビリス等のザイモモナス属の細菌等が好ましく、酵母がより好ましい。

0052

酵母としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、サッカロマイセスセルビシエ等のサッカロマイセス属の酵母が好ましい。ただし前述のように、前記バイオマス原料を構成するヘミセルロースからは、酵素糖化によりキシロース、アラビノースといった五炭糖が生成するが、サッカロマイセス属の天然酵母は五炭糖を資化してエタノールを生成する能力をもたない。このため、六炭糖だけでなくヘミセルロース由来の五炭糖も有効に利用してエタノールに変換するためには、五炭糖を資化してエタノールを生成する能力を有する酵母(ペントース資化酵母)を使用することも好ましく行われる。前記ペントース資化酵母としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ピキアスティピティスカンジダ・シハタエ等が好ましい。六炭糖及び五炭糖を効率的にエタノールに変換するためには、サッカロマイセス属の酵母と、前述のペントース資化酵母とを組み合わせて使用する方法も好ましく採用される。この場合、サッカロマイセス属の酵母と前述のペントース資化酵母を共存させて発酵を行なってもよいし、まずサッカロマイセス属の酵母により糖液中のグルコースを資化させ、その後前述のペントース資化酵母により五炭糖を資化させてもよい。

0053

発酵工程に用いる酵母は、天然の酵母であってもよいし、遺伝子組換え酵母であってもよい。特に、六炭糖と五炭糖の両方の資化能を有する遺伝子組換え酵母を用いることにより、効率的にセルロース及びヘミセルロース由来の六炭糖及び五炭糖の両方をエタノールに変換することができる。

0054

発酵工程における前記酵母の使用量、糖以外の添加物発酵温度、pH、発酵時間等の条件としては特に制限はなく、公知の条件を適宜選択して用いることができるが、pHは4〜7、発酵温度は20℃〜37℃程度が好ましい。

0055

また、耐熱性の酵母を用いて、通常よりも高い温度で発酵を行なうことで、冷却のための設備を必要とせず、また雑菌繁殖を抑制して効率的に発酵を行なうこともできる。前記耐熱性の酵母としては例えば、クロベロマイセス・マルキシアナス等のクロイベロマイセス属に属する耐熱性酵母が挙げられる。これらの耐熱性酵母を使用する場合は、発酵温度は37℃以上50℃以下程度とすることができる。

0056

酵素糖化工程と発酵工程とを同時に行う、所謂並行複発酵法を採用してもよい。この並行複発酵法を採用することにより、前記酵素糖化工程と発酵工程とを単一の工程として実施することができ、簡略化された工程によってエタノールを製造することが可能となる。

0057

前記並行複発酵としては、前記本実施形態の酵素糖化用原料の製造方法によって得られた酵素糖化用原料に、酵素糖化のための酵素、及び、酵素糖化により生成する糖をそのまま反応系内でエタノール発酵させるための微生物を添加し、酵素糖化及びエタノール発酵を行う。

0058

本実施形態に係るエタノールの製造方法は、上記の発酵工程以外の工程を更に備えていてもよい。その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、精製工程を含むことが好ましい。

0059

精製工程は、発酵工程において得られたエタノールを含む培地からエタノールを分離・精製する工程である。精製工程により、エタノールは発酵培地中に含まれる種々の物質から分離・精製され、また濃縮される。

0060

前記エタノールの分離・精製の方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、まず発酵培地を、菌体等の固形分を遠心分離及び/又はろ過などにより固液分離し、エタノールを含む水溶液を回収し、その後、該水溶液を蒸留膜分離などの方法によりエタノールを濃縮、精製する方法が好ましい。

0061

本実施形態に係るエタノールの製造方法によれば、前記酵素糖化用原料を用いて得られた糖を用いることで、効率的にエタノールを製造することができる。前記エタノールの製造方法により得られたエタノールは、例えば、燃料用エタノール、工業用エタノールなどとして好適に利用可能である。

0062

<乳酸の製造方法>
前記本発明の糖の製造方法により得られた糖を用いて、乳酸を製造することができる。この場合の乳酸の製造方法においては、前記糖を乳酸発酵する発酵工程(乳酸発酵工程)を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。

0063

前記乳酸発酵工程は、前記糖液に乳酸菌等を添加し、乳酸発酵を行う工程である。前記乳酸菌としては特に制限はなく、公知の乳酸菌を適宜選択して用いることができ、例えば、ラクトバチルスマニホティヴォランス(Lactobacillus manihotivorans)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ストレプトコッカスサーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)などが挙げられる。なお、前記乳酸菌は、天然の乳酸菌であってもよいし、遺伝子組換え乳酸菌であってもよい。前記発酵工程における前記乳酸菌の使用量、糖以外の添加物、発酵温度、pH、発酵時間等の条件としては特に制限はなく、公知の条件を適宜選択して用いることができる。

0064

乳酸の製造方法においては、発酵工程以外のその他の工程としては、例えば乳酸の精製工程を含むことが好ましい。

0065

本発明の糖の製造方法により得られた糖を用いる乳酸の製造方法によれば、前記酵素糖化用原料を用いて得られた糖を用いることで、効率的に乳酸を製造することができる。このようにして得られた乳酸は、例えばポリ乳酸等の生分解性高分子の原料として利用することができる。

0066

また、本発明の糖の製造方法により得られる糖を、前記乳酸菌に代えて、それぞれ目的とする有機酸を産生する微生物を使用して発酵せしめることにより、乳酸以外の有機酸、例えば、クエン酸コハク酸リンゴ酸シュウ酸等を製造することもできる。

0067

以上、本発明の酵素糖化用原料の製造方法、並びに前記酵素糖化用原料の製造方法により製造された酵素糖化用原料を用いた糖の製造方法、及び、前記糖の製造方法により製造された糖を用いたエタノールの製造方法、乳酸等の製造方法について、好ましい実施形態に沿って説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態に限定されるものではない。

0068

以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。

0069

[実施例1]
(植物バイオマス原料)
リグノセルロースを含むバイオマスとしてエリアンサスを用いた。
(粉砕)
記エリアサスを4mmの目開きを有するスクリーン粒度を制御しながらカッターミルを用いて粉砕した。レーザー回折法で測定した平均粒子径(d50)は975μmであった。
(乾燥)
粉砕後のエリアンサスを、改質バイオマス製造工程に供する前に、温度40℃、5kPaAの減圧下に一昼夜乾燥した。乾燥後のエリアンサスの含水率は乾燥後のエリアンサスの質量を基準として0.5質量%であった。
(改質バイオマス製造工程)
内容積が約5Lの撹拌装置を備えたステンレススチール製オートクレーブに、粉砕及び乾燥後のエリアンサスを200g充てんした。次に、オートクレーブ内への加圧窒素ガスの導入/脱圧を繰り返して、オートクレーブ内の空気を除去し、窒素ガスへと置換した。その後このオートクレーブを120℃まで昇温した。昇温後、オートクレーブ内を脱圧し、更に減圧にして窒素ガスを排気した。一方、別途の圧力容器に加圧アンモニアを導入し、120℃よりやや高い温度までこのアンモニアを昇温した。その後、前記オートクレーブと前記圧力容器とを連結する配管に設置したバルブを開くことにより、前記オートクレーブに、温度120℃において圧力1.2MPaAとなるようにアンモニアを導入した。この温度、圧力条件にて2.5時間、撹拌下にエリアンサスをアンモニアにより処理した。その後、脱圧してアンモニアを排出し、更に窒素ガスをオートクレーブに流通させてエリアンサス粒子中に残留したアンモニアを除去し、改質バイオマスを得た。
なお、使用したアンモニアは水分を実質的に含まないものであるので、アンモニア処理の際にオートクレーブ中に存在する水分は、乾燥されたエリアンサスが包含していた水分のみであり、水分の乾燥後のエリアンサスの質量に対する量比は0.5質量%であった。
(水処理工程)
得られた改質バイオマスについて、以下の操作により、水処理を行った。内容積50mlのポリプロピレン製チューブに精した改質バイオマス0.3gを取り、改質バイオマス濃度3%(mass/vol)、pH4.5(酢酸緩衝液)となるように懸濁試料液を調製した。この試料液を、大気圧下で50℃の温水浴により10分間加温した。このときの、[{A/(A+B)}×100](Aは水の質量、Bは改質バイオマスの乾燥質量をそれぞれ表す。)は97%であった。
(酵素糖化工程)
水処理後の試料液に、以下の操作により酵素を添加して、酵素糖化反応液を調製した。すなわち、酵素としてCelluclast(登録商標) 1.5L及びNovozyme(登録商標)188(共に商品名、Novozyme社製)を各酵素濃度0.01%(mass/vol)、計0.02%(mass/vol)の酵素濃度となるように添加して酵素糖化反応液を調製した。この反応液振とう機(TAITEC社製)を用いて、37℃、200rpmにて72時間回転振とうして酵素糖化反応を行った。反応後の反応液を遠心分離して得られた上澄み液中グルコース濃度を、バイオセンサー(王子計測機器社製)を用いて測定し、グルコース収率を算出した。
なお、グルコース収率は次式で定義される。
グルコース収率(%)=[酵素糖化反応液中のグルコースの質量/(水処理試料液中の改質バイオマスの質量×全グルコース化率/100)]×100
全グルコース化率(%):(バイオマス原料を別途化学的に完全に加水分解したときに得られるグルコースの質量/バイオマス原料の質量)×100(バイオマス原料基準の理論収率に相当)
結果を水処理工程の条件と共に表1に示す。
また、水処理によるグルコース収率向上の効果を示すために、前記グルコース収率から後述する比較例1(水処理を施していない改質バイオマスの酵素糖化)におけるグルコース収率を減じた差分を「Δグルコース収率」として算出し、表1に併せて示す。

0070

[比較例1]
まず、実施例1と同様にして、改質バイオマス製造工程を実施した。次に、得られた改質バイオマスを用い、実施例1と同様にして、改質バイオマス濃度3%(mass/vol)、pH4.5(酢酸緩衝液)となるように懸濁試料液を調製した。そして、水処理工程を行わずに、この試料液に、実施例1の酵素糖化工程と同様の操作により酵素を添加して酵素糖化反応液を調製し、実施例1の酵素糖化工程と同様の操作にて酵素糖化工程に供した。なお、前記試料液を調製後は、その温度を室温(約25℃)に保ち、且つ、速やかに酵素を添加して酵素糖化工程に供した。酵素糖化反応終了後、実施例1と同様にしてグルコース収率を求めた。結果を表1に示す。

0071

[実施例2〜7、比較例2]
[実施例2〜7、11、比較例2]
実施例2〜7、11及び比較例2においては、それぞれ水処理工程における水の温度、処理時間、及び[{A/(A+B)}×100](A、Bは実施例1の記載と同一。)を表1に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様にして、改質バイオマス製造工程、水処理工程及び酵素糖化工程を実施し、それぞれグルコース収率、及びグルコース収率と比較例1におけるグルコース収率との差分であるΔグルコース収率を算出した。得られた結果を表1に示す。

0072

0073

[実施例8]
改質バイオマス製造工程における温度を80℃、アンモニアの圧力を3.8MPaAとしたこと以外は実施例1と同様にして、改質バイオマス製造工程、水処理工程及び酵素糖化工程を実施し、グルコース収率を算出した。得られた結果を表2に示す。また、水処理によるグルコース収率向上の効果を示すために、前記グルコース収率から後述する比較例3(水処理を施していない改質バイオマスの酵素糖化)におけるグルコース収率を減じた差分を「Δグルコース収率」として算出し、表1に併せて示す。

0074

[実施例9]
水処理工程における水の温度及び[{A/(A+B)}×100](A、Bは実施例1の記載と同一。)を表2に示す通りとしたこと以外は、実施例8と同様にして、改質バイオマス製造工程、水処理工程及び酵素糖化工程を実施した。そして、実施例8と同様にして、グルコース収率、及びこのグルコース収率と後述する比較例3におけるグルコース収率との差分であるΔグルコース収率を算出した。結果を表2に示す。

0075

[比較例3]
改質バイオマス製造工程における温度を80℃、アンモニアの圧力を3.8MPaA、としたこと以外は比較例1と同様にして、改質バイオマス製造工程及び(水処理工程を行なうことなく)酵素糖化工程を実施し、グルコース収率及びΔグルコース収率を算出した。結果を表2に示す。

0076

[実施例10]
原料バイオマスとして、実施例1〜9及び比較例1〜3に用いたものとは異なるロットのエリアンサスを用い、以後実施例9と同様の操作により、改質バイオマス製造工程を実施した。そして、得られた改質バイオマスを水処理工程に供する前に、ディスクミルを用いた改質バイオマスの粉砕工程を設け、その後、実施例9と同様にして水処理工程及び酵素糖化工程を実施し、グルコース収率を算出した。
また、水処理によるグルコース収率向上の効果を示すために、前記グルコース収率から後述する比較例5(粉砕処理し、水処理を施していない改質バイオマスの酵素糖化)におけるグルコース収率を減じた差分を「Δグルコース収率」として算出し、表1に併せて示す。

0077

[比較例4]
実施例10と同様に実施した改質バイオマス製造工程により得た改質バイオマスを、比較例1と同様の操作により、水処理工程を経ることなく、酵素糖化工程に供し、グルコース収率を算出した。結果を表2に示す。

0078

[比較例5]
実施例10と同様に改質バイオマス製造工程にて得た改質バイオマスをディスクミルによる粉砕工程に供した。その後、水処理工程を経ることなく、比較例1と同様の操作により酵素糖化工程に供し、グルコース収率を算出した。結果を表2に示す。

0079

なお、表1及び表2に記載の各実施例におけるΔグルコース収率は、それぞれ、相当する水処理工程の前(改質バイオマス製造工程後、粉砕工程を経るものについては粉砕工程後)の改質バイオマスの酵素糖化を行なう比較例対比での、グルコース収率の増加分を表す。すなわち、各実施例における水処理工程を施すことによるグルコース収率の増加分に相当する。

0080

実施例

0081

表1に示す結果から、アンモニア処理により得られる改質バイオマスを、40〜100℃の水により処理することにより、酵素糖化によるグルコース収率が向上することが判る。また、表2に示す結果から、異なるアンモニア処理条件により得られる、より高い酵素糖化効率(グルコース収率)を有する改質バイオマスであっても、40〜100℃の水により処理を行うことにより、更にグルコース収率が向上することが判る(実施例8及び9)。また、改質バイオマスを粉砕工程に供することにより、酵素糖化効率(グルコース収率は向上するが(比較例5/比較例4)、粉砕工程に供された改質バイオマスを水処理することにより、更にグルコース収率が向上することが判る。

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