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技術 高熱伝導性樹脂成形体およびその製造方法

出願人 株式会社カネカ
発明者 内田壮一松本一昭坂口雅史野田泰司宇夫方昌二
出願日 2011年10月11日 (9年1ヶ月経過) 出願番号 2012-538678
公開日 2014年2月24日 (6年9ヶ月経過) 公開番号 WO2012-050083
状態 拒絶査定
技術分野 強化プラスチック材料 プラスチック等の射出成形 高分子組成物
主要キーワード 周辺用 タルク量 ポリアルキレンオキシド系樹脂 マイカ製 構造体材料 携帯型コンピューター 板状タルク 結晶性熱可塑性ポリエステル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題・解決手段

高熱伝導性絶縁性低密度機械的強度薄肉成形体における高流動性、製造時に用いる金型低摩耗性、および高白色性といった要求を同時に満たす高熱伝導性樹脂成形体を提供する。(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂、(B)板状タルクおよび(C)繊維状強化材を少なくとも含有する高熱伝導性樹脂成形体であって、(B)板状タルクを、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、10体積%以上、60体積%以下の範囲内にて含み、板状タルクの数平均粒径が、20μm以上、80μm以下の範囲内であり、(B)板状タルクが、高熱伝導性樹脂成形体の面方向に並んでいる。

概要

背景

従来、熱可塑性樹脂組成物を含む成形体は、パソコンディスプレー等の筐体電子デバイス材料自動車内外装、照明器具部材携帯電話等の携帯型電子機器等、種々の用途に適用されている。その場合、プラスチック等の熱可塑性樹脂は、金属材料等の無機物と比較して熱伝導性が低いため、発生する熱を逃がし難いという問題が生じることがある。このような問題を解決するため、熱可塑性樹脂中に大量の高熱伝導性無機物を配合することで、高熱伝導性樹脂組成物を得ようとする試みが一般的になされている。この高熱伝導性無機化合物としては、グラファイト炭素繊維低融点金属アルミナ窒化アルミニウム等の高熱伝導性無機物が用いられる。この高熱伝導性無機物は、通常30体積%以上、好ましくは50体積%以上もの高含有量樹脂中に配合する必要がある。

上記高熱伝導性樹脂組成物の中で、グラファイト、炭素繊維、低融点金属等を用いたものは、比較的高熱伝導性樹脂成形体を得ることができるものの、得られる樹脂成形体が導電性を有してしまうため、金属との差別化が困難であり用途は限られる。また、上記高熱伝導性樹脂組成物の中で、アルミナを用いたものは、電気絶縁性と高熱伝導性とを両立することができるが、アルミナが樹脂と比べて高密度であるため、得られる樹脂成形体の密度も高くなり、携帯型電子機器や照明器具部材等の軽量化の要請応えるのは困難である上、熱伝導率もあまり向上しないという問題がある。また、窒化アルミニウムを用いると、比較的高熱伝導率樹脂組成物を得ることができるが、窒化アルミニウムの加水分解性等が懸念される。

また、高熱伝導性無機物のフィラーを高充填した高熱伝導性樹脂組成物は、フィラー含有量が高いが故に射出成形性が大幅に低下してしまい、実用的な形状の金型ピンゲートを有する金型では、射出成形が非常に困難であるという問題がある。フィラーを高充填した高熱伝導性樹脂組成物の射出成形性を向上させるための方法として、例えば特許文献1には、室温で液体有機化合物を添加する方法が開示されている。

しかしながら、特許文献1に開示された方法では、射出成形時に液体の有機化合物がブリードアウトし、金型を汚染する等の問題がある。その他種々の射出成形性の改良法が検討されているが、未だ有効な手法が見出されていないのが現状である。

また、電球ソケット発光管ホルダー等といった照明器具部材には、以前は熱硬化性樹脂が主に用いられていたが、加工性コスト等の問題から熱可塑性樹脂への転換が進められている。この場合、樹脂として高い耐光性(白色性)を有する必要がある。それを満たすための方法として、例えば特許文献2には、酸化チタンを含む白色顔料を大量に添加した白色熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が開示されている。

しかしながら、特許文献2に開示された方法では、大量の白色顔料を添加するので、照明器具部材に近年求められるようになってきた、コンパクト化、長寿命化、高熱伝導性等の高機能化等といった要求に応え切れないという問題がある。

そこで近年、グラファイト、炭素繊維、低融点金属、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化チタン以外のフィラーを用いて、高熱伝導性樹脂組成物を得る技術が検討されている。

例えば、特許文献3には、ポリアリーレンサルファイドポリフェニレンサルファイド)樹脂、タルク、および扁平形状の断面を有するガラス繊維を含む高熱伝導性樹脂組成物が開示されている。さらに、特許文献4〜6には、特許文献3の基材樹脂ポリアリーレンサルファイド樹脂からポリスチレン(特許文献4)、ポリアミド(特許文献5)、ポリオレフィン(特許文献6)等に代替した高熱伝導性樹脂組成物が開示されている。

また、特許文献7には、高流動性ポリカーボネート共重合体アルカリ中和処理したタルクと白色顔料とを混ぜた高熱伝導性樹脂組成物が開示されている。

さらに、特許文献8には、液晶ポリエステルにタルク、ガラス、および粒度分布極値を2つ有するアルミナを使用した高熱伝導性樹脂組成物が開示されている。

また、特許文献9には、熱可塑性ポリエステル系樹脂および熱可塑性ポリアミド系樹脂数平均粒子径15μm以上の燐片形状六方晶窒化ホウ素からなる樹脂組成物を射出成形した成形体の熱拡散率が異方性を有するという技術が開示されている。

概要

高熱伝導性、絶縁性低密度機械的強度薄肉成形体における高流動性、製造時に用いる金型の低摩耗性、および高白色性といった要求を同時に満たす高熱伝導性樹脂成形体を提供する。(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂、(B)板状タルクおよび(C)繊維状強化材を少なくとも含有する高熱伝導性樹脂成形体であって、(B)板状タルクを、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、10体積%以上、60体積%以下の範囲内にて含み、板状タルクの数平均粒径が、20μm以上、80μm以下の範囲内であり、(B)板状タルクが、高熱伝導性樹脂成形体の面方向に並んでいる。

目的

本発明は、上記従来の問題点に鑑みたものであって、その目的は、上記課題を解決し、熱伝導性に優れる高熱伝導性樹脂成形体およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
4件

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請求項1

(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂、(B)板状タルクおよび(C)繊維状強化材を少なくとも含有する高熱伝導性樹脂成形体であって、前記(B)板状タルクを、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、10体積%以上、60体積%以下の範囲内にて含み、前記(B)板状タルクの数平均粒径が、20μm以上、80μm以下の範囲内であり、前記(B)板状タルクが、高熱伝導性樹脂成形体の面方向に並んでいることを特徴とする、高熱伝導性樹脂成形体。

請求項2

射出成形法によって成形されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項3

前記(B)板状タルクの体積比率が、前記(C)繊維状強化材の体積比率よりも大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項4

メルトフローレートが、280℃、100kgf荷重の条件下にて、5〜200g/10minであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項5

前記(B)板状タルクのタップ密度が、0.60g/ml以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項6

前記(B)板状タルクの断面におけるアスペクト比が、5以上、30以下の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項7

(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末を、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、1体積%以上、40体積%以下の範囲内にてさらに含み、前記(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末の数平均粒径が、15μm以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項8

(E)酸化チタンを、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、0.1体積%以上、5体積%以下の範囲内にてさらに含み、前記(E)酸化チタンの数平均粒径が、5μm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項9

白色度が80以上であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項10

前記(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂を、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、35体積%以上、55体積%以下の範囲内にて含んでいることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項11

前記(C)繊維状強化材を、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、5体積%以上、35体積%以下の範囲内にて含んでいることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項12

高熱伝導性樹脂成形体の面方向の熱拡散率が、該面方向に垂直な厚さ方向の熱拡散率の1.6倍以上であり、かつ該面方向の熱拡散率が、0.5mm2/sec以上であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項13

高熱伝導性樹脂成形体の面方向の熱拡散率が、該面方向に垂直な厚さ方向の熱拡散率の1.7倍以上であり、かつ該面方向の熱拡散率が、0.5mm2/sec以上であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項14

体積固有抵抗値が、1010Ω・cm以上であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体。

請求項15

射出成形工程を含む高熱伝導性樹脂成形体の製造方法であって、前記射出成形工程では、前記(B)板状タルクを、前記高熱伝導性樹脂成形体の面方向に並べることを特徴とする、請求項2〜14のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂成形体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、高熱伝導性樹脂成形体およびその製造方法に関するものである。更に詳しくは、熱可塑性樹脂を含む高熱伝導性樹脂成形体およびその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、熱可塑性樹脂組成物を含む成形体は、パソコンディスプレー等の筐体電子デバイス材料自動車内外装、照明器具部材携帯電話等の携帯型電子機器等、種々の用途に適用されている。その場合、プラスチック等の熱可塑性樹脂は、金属材料等の無機物と比較して熱伝導性が低いため、発生する熱を逃がし難いという問題が生じることがある。このような問題を解決するため、熱可塑性樹脂中に大量の高熱伝導性無機物を配合することで、高熱伝導性樹脂組成物を得ようとする試みが一般的になされている。この高熱伝導性無機化合物としては、グラファイト炭素繊維低融点金属アルミナ窒化アルミニウム等の高熱伝導性無機物が用いられる。この高熱伝導性無機物は、通常30体積%以上、好ましくは50体積%以上もの高含有量樹脂中に配合する必要がある。

0003

上記高熱伝導性樹脂組成物の中で、グラファイト、炭素繊維、低融点金属等を用いたものは、比較的高熱伝導性樹脂成形体を得ることができるものの、得られる樹脂成形体が導電性を有してしまうため、金属との差別化が困難であり用途は限られる。また、上記高熱伝導性樹脂組成物の中で、アルミナを用いたものは、電気絶縁性と高熱伝導性とを両立することができるが、アルミナが樹脂と比べて高密度であるため、得られる樹脂成形体の密度も高くなり、携帯型電子機器や照明器具部材等の軽量化の要請応えるのは困難である上、熱伝導率もあまり向上しないという問題がある。また、窒化アルミニウムを用いると、比較的高熱伝導率樹脂組成物を得ることができるが、窒化アルミニウムの加水分解性等が懸念される。

0004

また、高熱伝導性無機物のフィラーを高充填した高熱伝導性樹脂組成物は、フィラー含有量が高いが故に射出成形性が大幅に低下してしまい、実用的な形状の金型ピンゲートを有する金型では、射出成形が非常に困難であるという問題がある。フィラーを高充填した高熱伝導性樹脂組成物の射出成形性を向上させるための方法として、例えば特許文献1には、室温で液体有機化合物を添加する方法が開示されている。

0005

しかしながら、特許文献1に開示された方法では、射出成形時に液体の有機化合物がブリードアウトし、金型を汚染する等の問題がある。その他種々の射出成形性の改良法が検討されているが、未だ有効な手法が見出されていないのが現状である。

0006

また、電球ソケット発光管ホルダー等といった照明器具部材には、以前は熱硬化性樹脂が主に用いられていたが、加工性コスト等の問題から熱可塑性樹脂への転換が進められている。この場合、樹脂として高い耐光性(白色性)を有する必要がある。それを満たすための方法として、例えば特許文献2には、酸化チタンを含む白色顔料を大量に添加した白色熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が開示されている。

0007

しかしながら、特許文献2に開示された方法では、大量の白色顔料を添加するので、照明器具部材に近年求められるようになってきた、コンパクト化、長寿命化、高熱伝導性等の高機能化等といった要求に応え切れないという問題がある。

0008

そこで近年、グラファイト、炭素繊維、低融点金属、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化チタン以外のフィラーを用いて、高熱伝導性樹脂組成物を得る技術が検討されている。

0009

例えば、特許文献3には、ポリアリーレンサルファイドポリフェニレンサルファイド)樹脂、タルク、および扁平形状の断面を有するガラス繊維を含む高熱伝導性樹脂組成物が開示されている。さらに、特許文献4〜6には、特許文献3の基材樹脂ポリアリーレンサルファイド樹脂からポリスチレン(特許文献4)、ポリアミド(特許文献5)、ポリオレフィン(特許文献6)等に代替した高熱伝導性樹脂組成物が開示されている。

0010

また、特許文献7には、高流動性ポリカーボネート共重合体アルカリ中和処理したタルクと白色顔料とを混ぜた高熱伝導性樹脂組成物が開示されている。

0011

さらに、特許文献8には、液晶ポリエステルにタルク、ガラス、および粒度分布極値を2つ有するアルミナを使用した高熱伝導性樹脂組成物が開示されている。

0012

また、特許文献9には、熱可塑性ポリエステル系樹脂および熱可塑性ポリアミド系樹脂数平均粒子径15μm以上の燐片形状六方晶窒化ホウ素からなる樹脂組成物を射出成形した成形体の熱拡散率が異方性を有するという技術が開示されている。

先行技術

0013

日本国特許公報「特許第3948240号公報」(特開2003−41129号公報、2003年2月13日公開
日本国公開特許公報「特開平2−160863号公報」(1990年6月20日公開)
日本国公開特許公報「特開2008−260830号公報」(2008年10月30日公開)
日本国公開特許公報「特開2009−185150号公報」(2009年8月20日公開)
日本国公開特許公報「特開2009−185151号公報」(2009年8月20日公開)
日本国公開特許公報「特開2009−185152号公報」(2009年8月20日公開)
日本国公開特許公報「特開2009−280725号公報」(2009年12月3日公開)
日本国公開特許公報「特開2009−263640号公報」(2009年11月12日公開)
国際公開特許公報「WO2009/116357号公報」(2009年9月24日公開)

発明が解決しようとする課題

0014

しかしながら、特許文献3に開示された高熱伝導性樹脂組成物では、扁平形状の断面を有するガラス繊維を含んでいるので、当該ガラス繊維のアスペクト比が高くなり、特に薄肉成形体における射出成形時の流動性が低下する。その結果、成形体表面および内面における樹脂分の結晶配向が粗雑になり、機械的強度が低下してしまうという問題がある。また、当該形状を有するガラス繊維によって、押出し成形時、射出成形時等にシリンダ内スクリュー金型キャビティの磨耗が激しくなり、設備整備する頻度が上がる。その結果、コストが増加してしまうという問題がある。さらに、特許文献4〜6に開示された高熱伝導性樹脂組成物でも、扁平形状の断面を有するガラス繊維を使用することによって、射出成形時の樹脂流動性が低下してしまい、成形体の機械特性の低下およびコストの増加という問題がある。

0015

また、特許文献7に開示された高熱伝導性樹脂組成物では、白色顔料を5部以上添加するため、フィラー含有量が増加してしまう。その結果、樹脂組成物の曲げ弾性率が低下してしまい、射出成形された成形体の形状保持が困難になると考えられる。

0016

さらに、特許文献8に開示された高熱伝導性樹脂組成物では、アルミナが含有されているため、押出し成形時および射出成形時にシリンダ内のスクリューや金型キャビティの磨耗が激しくなる。その結果、コストの増加という問題がある。

0017

また、特許文献9では、熱伝導性無機材料にタルクを用いた例は開示されていない。

0018

本発明は、上記従来の問題点に鑑みたものであって、その目的は、上記課題を解決し、熱伝導性に優れる高熱伝導性樹脂成形体およびその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0019

本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステル系樹脂に対して、数平均粒径が20μm以上の板状タルクを含有させることによって、高熱伝導性を付与することができ、特に板状タルクが高熱伝導性樹脂成形体において面方向に並んでいる場合には、高熱伝導性樹脂成形体の熱拡散率が高くなり、熱伝導性がより一層向上することを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。

0020

すなわち、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、上記の課題を解決するために、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂、(B)板状タルクおよび(C)繊維状強化材を少なくとも含有する高熱伝導性樹脂成形体であって、上記(B)板状タルクを、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、10体積%以上、60体積%以下の範囲内にて含み、上記板状タルクの数平均粒径が、20μm以上、80μm以下の範囲内であり、上記(B)板状タルクが、高熱伝導性樹脂成形体の面方向に並んでいることを特徴とする。

0021

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、射出成形法によって成形されたものであることが好ましい。

0022

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、上記(B)板状タルクの体積比率が、上記(C)繊維状強化材の体積比率よりも大きいことが望まれる。

0023

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、例えば、射出成形時における高熱伝導性樹脂組成物のメルトフローレートが、280℃、100kgf荷重の条件下にて、5〜200g/10minであることが好ましい。

0024

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体に含まれる上記(B)板状タルクのタップ密度が、0.60g/ml以上であることが好ましい。

0025

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体に含まれる上記(B)板状タルクの断面におけるアスペクト比が、5以上、30以下の範囲内であることが好ましい。

0026

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末を、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、1体積%以上、40体積%以下の範囲内にてさらに含み、上記(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末の数平均粒径が、15μm以上であることが好ましい。

0027

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、(E)酸化チタンを、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、0.1体積%以上、5体積%以下の範囲内にてさらに含み、上記(E)酸化チタンの数平均粒径が、5μm以下であることが好ましい。

0028

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、白色度が80以上であることが好ましい。

0029

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、上記(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂を、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、35体積%以上、55体積%以下の範囲内にて含んでいることが好ましい。

0030

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、上記(C)繊維状強化材を、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、5体積%以上、35体積%以下の範囲内にて含んでいることが好ましい。

0031

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、高熱伝導性樹脂成形体の面方向の熱拡散率が、上記面方向に垂直な厚さ方向の熱拡散率の1.6倍以上であり、かつ上記面方向の熱拡散率が、0.5mm2/sec以上であることが好ましい。

0032

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、高熱伝導性樹脂成形体の面方向の熱拡散率が、上記面方向に垂直な厚さ方向の熱拡散率の1.7倍以上であり、かつ上記面方向の熱拡散率が、0.5mm2/sec以上であることが好ましい。

0033

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、体積固有抵抗値が、1010Ω・cm以上であることが好ましい。

0034

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体の製造方法は、射出成形工程を含む高熱伝導性樹脂成形体の製造方法であって、上記射出成形工程では、上記(B)板状タルクを、上記高熱伝導性樹脂成形体の面方向に並べることが好ましい。

発明の効果

0035

本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、熱伝導性に優れているという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0036

本発明の実施形態における板状タルクのアスペクト比の測定方法を説明する模式図である。

0037

本発明の実施形態について、以下に詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更しても実施し得るものである。

0038

(I)本実施形態における高熱伝導性樹脂成形体の構成
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂、(B)板状タルクおよび(C)繊維状強化材を少なくとも含むものである。また、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末をさらに含むことが好ましい。また、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(E)酸化チタンをさらに含むことが好ましい。以下に、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂、(B)板状タルク、(C)繊維状強化材、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末および(E)酸化チタン等について、詳細に説明する。

0039

<(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂を少なくとも含むものである。本実施形態に用いられる(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、非晶性脂肪族ポリエステル、非晶性半芳香族ポリエステル、非晶性全芳香族ポリエステル等の非晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂結晶性脂肪族ポリエステル結晶性半芳香族ポリエステル、結晶性全芳香族ポリエステル等の結晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂液晶性脂肪族ポリエステル、液晶性半芳香族ポリエステル、液晶性全芳香族ポリエステル等の液晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂;等を用いることができる。

0040

なお、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂を含むことによって、白色度を高くすることができる。ポリエステル樹脂を用いると、ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂等を用いた場合に比べて、白色度が高くなる傾向がある。

0041

《液晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂》
熱可塑性ポリエステル系樹脂のうち、液晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂として好ましい構造の具体例は、
−O−Ph−CO−構造単位(I)、
−O−R3−O− 構造単位(II)、
−O−CH2CH2−O− 構造単位(III)および、
−CO−R4−CO− 構造単位(IV)
のうちの少なくとも1種の構造単位からなる液晶性ポリエステルが挙げられる。
(式中のR3は、

0042

0043

から選ばれる少なくとも1種の基を示し、R4は、

0044

0045

から選ばれる少なくとも1種の基を示す(式中、Xは水素原子または塩素原子を示す)。)
具体的には、上記構造単位(I)は、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位である。また、上記構造単位(II)は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノンフェニルハイドロキノンメチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれる1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位である。また、上記構造単位(III)は、エチレングリコールから生成した構造単位である。また、上記構造単位(IV)は、テレフタル酸イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれる1種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位である。

0046

これらの中でも、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位およびテレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位およびテレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルを特に好ましく用いることができる。

0047

《結晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂》
熱可塑性ポリエステル系樹脂のうち、結晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレートポリプロピレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリエチレン−2,6−ナフタレートポリブチレンナフタレートポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等のほか、ポリエチレンイソフタレートテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート等の結晶性共重合ポリエステル等が挙げられる。

0048

これら結晶性ポリエステルの中でも、入手が容易であるという理由から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等を用いることが好ましい。さらにこれらの中でも、結晶化速度が最適であるという理由等から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。

0049

本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体において、熱可塑性ポリエステル系樹脂は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。2種類以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されず、化学構造分子量、結晶形態等が異なる2種類以上の成分を任意に組み合わせることができる。

0050

これら種々の熱可塑性ポリエステル系樹脂の中でも、樹脂単体での熱伝導率が高いことから、高結晶性あるいは液晶性の樹脂を用いることが好ましい。樹脂によっては、成形条件によって結晶化度が変化する場合もあるが、そのような場合には高結晶性となるような成形条件を選択することで、得られる樹脂成形体の熱伝導性を高めることができる。

0051

(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂の体積比率は、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、35体積%以上、55体積%以下の範囲内にあることが好ましい。これらの(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂の体積比率が、35体積%よりも小さいと、全組成中におけるフィラーが占有する体積%が大きくなりすぎてしまい、曲げ弾性率、引張り強度衝撃強度等が低下してしまうおそれがある。一方、55体積%よりも大きいと、成形体中におけるフィラー同士の密着が悪くなり、その結果、熱を伝える経路が形成されにくくなり、熱伝導性が低下してしまうと想定される。

0052

本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物には、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の各種熱可塑性樹脂をさらに用いることができる。(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂は、合成樹脂であっても自然界に存在する樹脂であってもよい。(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を用いる場合の使用量は、成形性と機械的特性とのバランスを考慮すると、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0〜100重量部、より好ましくは0〜50重量部である。

0053

(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン等の芳香族ビニル系樹脂ポリアクリロニトリル等のシアン化ビニル系樹脂ポリ塩化ビニル等の塩素系樹脂ポリメチルメタクリレート等のポリメタアクリル酸エステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン環状ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル系樹脂ポリビニルアルコール系樹脂およびこれらの誘導体樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂やポリアクリル酸系樹脂およびこれらの金属塩系樹脂、ポリ共役ジエン系樹脂、マレイン酸フマル酸およびこれらの誘導体を重合して得られるポリマーマレイミド系化合物を重合して得られるポリマー、ポリカーボネート系樹脂ポリウレタン系樹脂ポリスルホン系樹脂ポリアルキレンオキシド系樹脂セルロース系樹脂ポリフェニレンエーテル系樹脂ポリフェニレンスルフィド系樹脂ポリケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂ポリアミドイミド系樹脂ポリエーテルイミド系樹脂ポリエーテルケトン系樹脂ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂フェノキシ系樹脂フッ素系樹脂シリコーン系樹脂液晶ポリマー、並びにこれら例示されたポリマーのランダムブロック・グラフト共重合体、等が挙げられる。(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上の複数を組み合わせて用いることができる。2種類以上の樹脂を組み合わせて用いる場合には、必要に応じて相溶化剤等を添加して用いることもできる。(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂は、目的に応じて適宜使い分ければよい。

0054

(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂の中でも、樹脂の一部または全部が結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂は、得られた樹脂組成物の熱伝導率が高くなる傾向がある点や、後述する(B)板状タルク、(C)繊維状強化材、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末等を樹脂中に含有させることが容易である点から好ましい。これらの結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂は、樹脂全体が結晶性であってもよく、ブロックあるいはグラフト共重合体樹脂の分子中における特定ブロックのみが結晶性あるいは液晶性である等、樹脂の一部のみが結晶性あるいは液晶性であってもよい。樹脂の結晶化度には特に制限はない。また、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂として、非晶性樹脂と結晶性あるいは液晶性樹脂とのポリマーアロイを用いることもできる。樹脂の結晶化度には特に制限はない。

0055

樹脂の一部または全部が結晶性あるいは液晶性を有する(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂の中には、結晶化させることが可能であっても、単独で用いたり特定の成形加工条件で成形したりすることによって非晶性を示す樹脂もある。このような樹脂を用いる場合には、後述する(B)板状タルク、(C)繊維状強化材、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末等の添加量添加方法を調整したり、延伸処理後結晶化処理をする等、成形加工方法を工夫したりすることによって、樹脂の一部または全体を結晶化させることができる場合もある。

0056

また、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂に弾性を有する樹脂を用いることで、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂の樹脂の衝撃強度を改善することもできる。これらの弾性樹脂は、得られる樹脂組成物の衝撃強度改良効果に優れていることから、その少なくとも1つのガラス転移点が0℃以下であることが好ましく、−20℃以下であることがより好ましい。

0057

この弾性樹脂は特に限定されず、例えば、ポリブタジエンスチレンブタジエンゴムアクリロニトリル−ブタジエンゴム、(メタアクリル酸アルキルエステル−ブタジエンゴム等のジエン系ゴムアクリルゴムエチレン−プロピレンゴムシロキサンゴム等のゴム状重合体;ジエン系ゴムおよび/またはゴム状重合体10〜90重量部に対して、芳香族ビニル化合物シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー10〜90重量部、並びにこれらと共重合可能な他のビニル系化合物10重量部以下を重合してなるゴム状共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種ポリオレフィン系樹脂;エチレン−プロピレン共重合体エチレンブテン共重合体等のエチレン−αオレフィン共重合体プロピレン−ブテン共重合体等のオレフィン共重合体;エチレン−エチルアクリレート共重合体等の各種共重合成分により変性された共重合ポリオレフィン系樹脂;エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−グリシジルメタクリレート共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体等の各種官能成分により変性された変性ポリオレフィン系樹脂;スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブテン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。

0058

弾性樹脂を添加する場合、その添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂の合計100重量部に対して、通常、150重量部以下であり、好ましくは0.1〜100重量部であり、より好ましくは0.2〜50重量部である。150重量部を超えると、剛性耐熱性、熱伝導性等が低下する傾向がある。

0059

<(B)板状タルク>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(B)板状タルクを少なくとも含むものである。本実施形態に用いられる(B)板状タルクは、産地不純物の種類等に関しては、特に制限はない。(B)板状タルクは、電気絶縁性もさることながら、特に熱伝導性の観点から、数平均粒径が20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることがさらに好ましい。

0060

本実施形態における高熱伝導性樹脂成形体は、1.0mmでの面方向熱拡散率が0.70mm2/sec以上であり、かつ、2.0mmでの面方向熱拡散率が0.50mm2/sec以上である場合に、熱伝導性に優れるという効果を奏する。ここで、1.0mmでの面方向熱拡散率が0.70mm2/secとなるときの(B)板状タルクの数平均粒径をグラフ横軸を板状タルクの数平均粒径、縦軸を面方向熱拡散率としたもの(図示しない))から読み取ると、20μmとなる。また、2.0mmでの面方向熱拡散率が0.50mm2/secとなるときの(B)板状タルクの数平均粒径を上記グラフから読み取っても、20μmとなる。よって、本発明の効果を奏するためには、(B)板状タルクの数平均粒径が20μm以上でなければならないといえる。

0061

上述したように、(B)板状タルクの数平均粒径が大きいほど、成形体としたときの熱伝導異方性が大きくなる。(B)板状タルクの数平均粒径の上限は、一般的には、1.0mm以下である。1.0mmを超えると、射出成形時に、金型のゲート部等に粉末詰まる等、成形性が低下する傾向がみられる。また、(B)板状タルクの数平均粒径は、好ましくは0.2mm以下、より好ましくは0.1mm以下である。

0062

本実施形態に用いられる(B)板状タルクは、熱伝導性の観点から、アスペクト比が5以上、30以下の範囲内であることが好ましい。ここで、本明細書におけるアスペクト比とは、図1に示す板状タルクにおいて短径d1、長径d2としたときに、「d2/d1」で表される値である。本実施形態における(B)板状タルクのアスペクト比は、8以上、20以下の範囲内であることが、熱拡散率の異方性付与の観点からより好ましい。上記アスペクト比を有する板状タルクを使用することで、成形体中の薄肉部での板状タルクが面方向(面に沿う方向)に配列され(並べられ)、板状タルクが配列した箇所における熱拡散率の異方性が発現しやすい。アスペクト比が5よりも小さい場合には、熱伝導性樹脂成形体における薄肉部での板状タルクの面方向への配向がされにくく、異方性が発現しにくいと推測される。一方、アスペクト比が30よりも大きい場合には、板状タルクが長手方向に長い形状を有してしまうため、樹脂流動性を阻害してしまい、成形性が悪化してしまうと考えられる。

0063

本実施形態に用いられる(B)板状タルクのタップ密度は、一般的な粉末タップ密度測定装置を用い、板状タルク粉末密度測定用100cc容器に入れてタッピングさせ、タッピング後の板状タルク粉末を衝撃で固めた後、容器上部の余分な粉末をブレードで擦りきる方法により算出される。このようにして測定されたタップ密度が大きい値であるほど、樹脂への充填が容易となる。タップ密度の値は、好ましくは0.6g/cm3以上、より好ましくは0.7g/cm3以上、さらに好ましくは0.8g/cm3以上である。

0064

このような性質を有する(B)板状タルクを含む本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体を、高熱伝導性樹脂成形体の体積の50%以上が厚さ2.0mm以下となるように射出成形すること等によって、(B)板状タルクの大部分を高熱伝導性樹脂成形体の面方向に配向させる(並べる)ことができる。このような配向状態を得ることにより、厚さ2.0mm以下の面における面方向で測定される熱拡散率を、厚さ方向で測定される熱拡散率の2倍以上とすることが可能である。数平均粒径が20μm以上の(B)板状タルクは、数平均粒径が小さい粉末と比べて、面方向に熱を伝えやすい性質を有すると同時に、薄肉成形金型にて射出成形したときに、板状面が成形体の面方向に、より配向しやすいという性質を有している。また、面方向に配向することで、優れた電気絶縁性を発揮することができる。

0065

ここで、「(B)板状タルクが高熱伝導性樹脂成形体の面方向に並んでいる」とは、全(B)板状タルクのうちの75体積%以上、より好ましくは85体積%以上、特に好ましくは95体積%以上の(B)板状タルクが高熱伝導性樹脂成形体の面方向に対して、±30°以内、より好ましくは±20°以内、さらに好ましくは±10°以内の範囲で、平行に並んでいることをいう。ここで、「高熱伝導性樹脂成形体の面方向」とは、高熱伝導性樹脂成形体における最も表面積が広い表面に沿う方向を意味する。

0066

また、「(B)板状タルクが高熱伝導性樹脂成形体の面方向に並んでいる」ことは、高熱伝導性樹脂成形体を当該面に平行な断面にて切断して、その切断面をSEM(Scanning Electron Microscope)等によって観察し、各(B)板状タルクの角度を画像処理装置等によって調べることで確認することができる。

0067

ここで、本明細書における(B)板状タルクの数平均粒径の測定法としては、レーザー光回折散乱式回折、空気透過法ガス吸着法等、種々の測定法があるが、いずれの測定法によっても測定することが可能である。また、本明細書における数平均粒径とは、上述した種々の測定法から得られる数平均メディアン径(Dp50)のことをいう。

0068

(B)板状タルクの体積比率は、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、10体積%以上、60体積%以下の範囲内である。10体積%よりも小さくなると、総タルク量が少なく、薄肉部での、(B)板状タルクの配向性が悪くなり、熱拡散率の異方性が発生しなくなる。その結果、熱伝導性が劣ることになる。一方、60体積%よりも大きくなってしまうと、成形体中の総フィラー量が多すぎるために、成形性が低下し、機械特性が大幅に低下してしまう。(B)板状タルクの体積比率は、好ましくは10〜60体積%の範囲内であり、より好ましくは10〜50体積%の範囲内であり、さらに好ましくは10〜45体積%の範囲内である。

0069

なお、一般的に、(B)板状タルクは、後述する(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末よりも安価である。

0070

<(C)繊維状強化材>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(C)繊維状強化材を少なくとも含むものである。本実施形態に用いられる(C)繊維状強化材としては、ガラス繊維が好適に用いられる。ガラス繊維を使用すると、高熱伝導性樹脂成形体の機械特性が向上するので好ましい。(C)繊維状強化材の平均長さは、0.1〜20mmの範囲内にあることが好ましい。0.1mmよりも短いと機械特性が向上しない場合がある。一方、20mmよりも長いと成形性が悪くなることがある。

0071

(C)繊維状強化材の体積比率は、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、5体積%以上、35体積%以下の範囲内にあることが好ましい。これらの(C)繊維状強化材は、クロス状等に二次加工されていてもよい。(C)繊維状強化材の体積比率が、5体積%よりも小さいと、繊維の絶対量が少なすぎるために、強度向上が発揮できないことがある。一方、35体積%よりも大きいと、全組成中での総フィラー量が過剰になり、得られる成形体が脆くなってしまうおそれがある。

0072

また、(C)繊維状強化材は、単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。これらの(C)繊維状強化材は、各種シランカップラーチタンカップラー等で処理されていてもよい。また、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体には、(C)繊維状強化材の他に本実施形態の目的を損なわない範囲で、板状、クロス状等の各種形態を有する他の充填剤が含まれていてもよい。

0073

<(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末を含むものであることが好ましい。本実施形態に用いられる数平均粒径が15μm以上の(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末は、公知の種々の方法により製造することができる。一般的な製造方法としては、ホウ素源となる酸化ホウ素ホウ酸等と、窒素源となるメラミン尿素アンモニア等とを、必要により事前に反応させた後、窒素等の不活性ガス存在下あるいは真空下で1000℃程度に加熱し、乱層構造窒化ホウ素を合成し、その後さらに窒素、アルゴン等の不活性ガス存在下あるいは真空下で2000℃程度まで加熱して結晶化を進行させ、六方晶窒化ホウ素結晶粉末とする方法が挙げられる。このような製造方法により、一般的には5〜15μm程度の数平均粒径を有する燐片形状六方晶窒化ホウ素が得られる。しかしながら、本実施形態で用いられる(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素は、特殊な製造方法を用いることにより一次結晶サイズを大きく発達させることで、数平均粒径を15μm以上にしたものである。

0074

具体的には、数平均粒径15μm以上の(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末を得る方法としては、例えば窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中、硝酸リチウム炭酸カルシウム炭酸ナトリウム金属ケイ素等の、高温で液体となるフラックス化合物共存下に、メラミン、尿素等の窒素源となる化合物、あるいは窒素ガスアンモニアガス等の窒素源となる気体と、ホウ酸、酸化ホウ素等のホウ素源となる化合物とを、1700〜2200℃程度の高温で焼成することにより、フラックス化合物中で結晶成長を促進し、大粒径結晶粒子を得る方法等を挙げることができるが、製造方法はこのような方法に限定されず、種々の方法を用いることができる。

0075

さらに、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体中に含有される(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末のうち、燐片形状粒子複数個凝集してなる凝集粒子の割合が15%以下であることで、成形体中における(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末の配向性が向上し、成形体の面方向における熱伝導率を、成形体の厚さ方向における熱伝導率に比べてより高くすることが可能となる。凝集粒子の割合は、好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下である。

0076

これらの(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末の数平均粒径および凝集粒子の割合は、粉末を操作型電子顕微鏡にて少なくとも100個以上、好ましくは1000個以上観察し、撮影した写真から粒径および凝集粒子の有無を測定することにより、算出することができる。

0077

また、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体中に含有される凝集粒子の割合は、成形体を550℃以上、2000℃以下、好ましくは600℃以上、1000℃以下の電気炉等に30分間以上、5時間以下の範囲内で放置し、樹脂成分を燃焼除去した後、残存した燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末を操作型電子顕微鏡にて観察することで算出することができる。樹脂に配合される段階で窒化ホウ素粉末が少し凝集していたとしても、溶融混練時あるいは成形時に樹脂組成物に強い剪断力が付与される段階で粉末の凝集が解砕され、成形体中では凝集粒子の割合が減っていることもあるので、凝集粒子の割合は成形体中から取り出された粉体にて測定する。ただし、樹脂および燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末以外の無機成分が添加されている場合には、窒化ホウ素以外の無機成分が高温で溶融し、燐片形状六方晶窒化ホウ素を凝集させる原因となる場合がある。その場合には、窒化ホウ素以外の無機成分が溶融しないような温度か、あるいは窒化ホウ素以外の無機成分が分解揮発してしまうような温度の、いずれかを選択することによって、窒化ホウ素粉末の凝集状態を変化させることなく測定することが可能である。

0078

凝集粒子数の算出は、一次粒子の全数に対して未凝集の一次粒子の数をカウントすることによって算出する。すなわち、一次粒子が100個存在し、そのうち50個の粒子が一塊となっており、残りの50個が凝集せずに存在している場合では、凝集粒子の割合は50%となる。

0079

ここでいう数平均粒径とは、燐片形状の粒子のうち投影面積が最も広くなるように観察したときに、見かけの形状が円形の場合には円の直径により算出される。また、形状が円形でない場合には、面内で最も長い寸法を粒径と呼ぶこととする。すなわち、楕円形状であれば楕円の長径を、長方形であれば長方形の対角線の長さを、粒径とする。

0080

粉末が燐片形状であるとは、粉末の投影面積が最も広くなるように観察したときの長径が、粉末の投影面積が最も狭くなるように観察したときの最も短い辺の寸法の5倍以上であり、かつ、粉末の投影面積が最も広くなるように観察したときの長径が、粉末の投影面積が最も広くなるように観察したときの短径の5倍未満であることにより定義されるものとする。投影面積が最も広くなるように観察したときの長径と投影面積が最も狭くなるように観察したときの短辺寸法との比は、より好ましくは長径が短辺寸法の6倍以上であり、さらに好ましくは7倍以上である。粉末の投影面積が最も広くなるように観察したときの長径と短径との比は、より好ましくは長径が短径の4.5倍未満であり、さらに好ましくは4倍未満である。

0081

(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末のタップ密度は、一般的な粉末タップ密度測定装置を用い、燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末を密度測定用100cc容器に入れタッピングさせ衝撃で固めた後、容器上部の余分な粉末をブレードで擦りきる方法により算出される。このようにして測定されたタップ密度が大きい値であるほど、樹脂への充填が容易となる。タップ密度の値は、好ましくは0.6g/cm3以上、より好ましくは0.65g/cm3以上、さらに好ましくは0.7g/cm3以上、最も好ましくは0.75g/cm3以上である。

0082

(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素の体積比率は、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、1体積%以上、40体積%以下の範囲内にあることが好ましい。1体積%よりも小さくなってしまうと、熱伝導性の向上に寄与しないことがある。一方、40体積%よりも大きくなってしまうと、総フィラー量が過剰になってしまい、得られる成形体が脆くなってしまうことがある。

0083

<(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂と(B)板状タルクと(C)繊維状強化材と(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末との比率
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂組成物において、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂と(B)板状タルクと(C)繊維状強化材と(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末との比率は、(A)/{(B)+(C)+(D)}の体積比が90/10〜30/70となるように含有することが好ましい。(A)の使用量が多いほど、得られる高熱伝導性樹脂成形体の耐衝撃性表面性および成形加工性が向上し、溶融混練時の樹脂との混練が容易になる傾向がある。また、{(B)+(C)+(D)}の使用量が多いほど、熱伝導率が向上する傾向がある。このような観点から、上記体積比は、より好ましくは85/15〜33/67、さらに好ましくは80/20〜30/70、特に好ましくは75/25〜35/65、最も好ましくは70/30〜35/65である。

0084

ここで、本実施形態において、(B)板状タルクの体積比は、(C)繊維状強化材の体積比よりも大きいことが好ましい。一般的に、板状タルクの体積比は、繊維状強化材の体積比よりも小さい。なぜなら、板状タルクを入れると強度低下を招いてしまうからである。これに対して、本実施形態では、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂を含んでいるので、(B)板状タルクとの密着がよく、強強度を保持しつつ、(B)板状タルクの体積比を大きくすることができる。なお、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末を含む場合には、(B)板状タルクおよび(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末の体積比が、(C)繊維状強化材の体積比よりも大きいことが好ましい。

0085

ただし、高熱伝導性樹脂成形体において、(C)繊維状強化材が含まれていない場合には熱伝導率が上昇しない。(C)繊維状強化材が含まれていることによって、(C)繊維状強化材が(B)板状タルクの間を埋めて熱が伝わりやすくなるという相乗効果を奏する。

0086

<高熱伝導性無機化合物>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体をさらに高性能とするために、単体での熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導性無機化合物を併用することができる。本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体の熱伝導率をより高めるためには、高熱伝導性無機化合物単体での熱伝導率は、好ましくは12W/m・K以上、さらに好ましくは15W/m・K以上、特に好ましくは20W/m・K以上、最も好ましくは30W/m・K以上のものが用いられる。高熱伝導性無機化合物単体での熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には3000W/m・K以下、さらには2500W/m・K以下のものが好ましく用いられる。

0087

その中でも成形体として高度な電気絶縁性が要求される用途に用いる場合には、高熱伝導性無機化合物としては電気絶縁性を示す化合物が好ましく用いられる。電気絶縁性とは、具体的には、電気抵抗率1Ω・cm以上のものを示すこととするが、好ましくは10Ω・cm以上、より好ましくは105Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上、最も好ましくは1013Ω・cm以上のものを用いる。電気抵抗率の上限には特に制限はないが、一般的には1018Ω・cm以下である。本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体の電気絶縁性も上記範囲内にあることが好ましい。

0088

本実施形態に用いられる高熱伝導性無機化合物のうち、電気絶縁性を示す化合物としては、具体的には、窒化ホウ素、酸化アルミニウム酸化マグネシウム酸化ケイ素酸化ベリリウム酸化銅亜酸化銅等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の金属窒化物炭化ケイ素等の金属炭化物炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩ダイヤモンド等の絶縁性炭素材料水酸化アルミニウム水酸化マグネシウム等の金属水酸化物立方晶窒化ホウ素、乱層状窒化ホウ素等の(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末以外の形態を有する各種窒化ホウ素、等を例示することができる。また、酸化アルミニウムは、ムライト等他の元素との複合化された化合物であってもよい。

0089

その中でも電気絶縁性に優れることから、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末以外の窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の金属窒化物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム等の金属酸化物、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、ダイヤモンド等の絶縁性炭素材料をより好ましく用いることができる。酸化アルミニウムの中でも、α−アルミナが熱伝導率に優れるためより好ましい。これらは、単独あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。

0090

これらの高熱伝導性無機化合物の形状については、種々の形状のものを適応可能である。例えば、粒子状微粒子状、ナノ粒子状、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状ロッド状、針状、板状、不定形状、ラグビーボール状六面体状大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、液体状、等種々の形状を例示することができる。また、これらの高熱伝導性無機化合物は、天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。これらの高熱伝導性無機化合物は、1種類のみを単独で用いてもよいし、形状、平均粒径、種類、表面処理剤等が異なる2種類以上を併用してもよい。

0091

これらの高熱伝導性無機化合物は、樹脂と無機化合物との界面の接着性を高めたり、作業性を容易にしたりするため、シラン処理剤等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤としては特に限定されず、例えば、シランカップリング剤チタネートカップリング剤等の従来公知のものを使用することができる。その中でも、エポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、および、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤ポリオキシエチレンシラン、等が樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。無機化合物の表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用することができる。

0092

<(E)酸化チタン>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(E)酸化チタンを含むものであることがより好ましい。本実施形態で使用される(E)酸化チタンの数平均粒径は、0.01μm以上、5μm以下であることが好ましい。また、(E)酸化チタンの数平均粒径は、より好ましくは0.05μm以上、3μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上、2μm以下である。平均粒径が5μmを超えると、大粒径のものが組成物中に存在することで、樹脂の流動性が低下してしまうと予想される。一方、0.01μmよりも小さい微粒子は、製造コストがかかってしまう。

0093

ここで、本明細書における(E)酸化チタンの数平均粒径の測定法としては、レーザー光回折・散乱式回折、空気透過法、ガス吸着法等、種々の測定法があるが、いずれの測定法によっても測定することが可能である。また、本明細書における数平均粒径とは、上述した種々の測定法から得られる数平均メディアン径(Dp50)のことをいう。

0094

(E)酸化チタンの体積比率は、全組成の合計の体積比率100体積%に対して、0.1体積%以上、5.0体積%以上であることが好ましい。上記範囲内にあることによって、高熱伝導性樹脂成形体の白色度Wが80以上を保持することが可能であり、組成物の樹脂流動性も確保することができる。ここでいう白色度Wとは、後述する式(1)により算出できるものである。

0095

(E)酸化チタンの体積比率が0.1体積%よりも小さいと、チタンの白色化効果が弱まり、白色度Wが80以上とならないことがある。一方、5.0体積%よりも大きいと、強度が低下してしまうことがある。

0096

<その他の無機化合物>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物には、樹脂組成物の耐熱性、機械的強度等をより高めるために、本実施形態の特徴を損なわない範囲で上記以外の無機化合物をさらに添加することができる。このような無機化合物は特に限定されない。ただし、これら無機化合物を添加すると、熱伝導率に影響を及ばす場合があるため、添加量等には注意が必要である。これらの無機化合物にも表面処理がなされていてもよい。これらの無機化合物を使用する場合、その添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましい。添加量が100重量部を超えると、耐衝撃性や成形加工性が低下する場合がある。また、添加量は、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。また、これらの無機化合物の添加量が増加するとともに、成形体の表面性や寸法安定性が悪化する傾向が見られるため、これらの特性が重視される場合には、無機化合物の添加量をできるだけ少なくすることが好ましい。

0097

<射出成形>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、一般的な射出成形法によって成形されるものであることが好ましい。ここで、射出成形法とは、射出成形機に金型を取り付け、当該射出成形機にて溶融可塑化された樹脂組成物を金型キャビティ内注入し、当該樹脂組成物を冷却固化させることで、成形品(成形体)を得る方法である。

0098

本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(B)板状タルクが成形体の面方向に並んでいるという構成を有する。本実施形態における高熱伝導性樹脂成形体の樹脂材料は、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂と(B)板状タルクとを用いているため、溶融時の樹脂流動性に優れる。このために、中速程度の射出速度でも成形体を得ることができる。具体的には、50mm/s以上の射出速度であれば成形体を得ることが可能である。好ましくは80mm/s以上、より好ましくは100mm/s以上の、中速以上の射出速度が望ましい。本実施形態における高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物は、充填中の樹脂流動性が良好なために、中速程度の射出速度においても、(B)板状タルクが高熱伝導性樹脂成形体の面方向に配向しやすい。また、射出速度を高速にすることで、(B)板状タルクが高熱伝導性樹脂成形体の面方向にさらに配向しやすい。上述したような中速程度の射出速度では、従来の高熱伝導性樹脂成形体の樹脂材料は射出成形を行うことができないが、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は上述したような組成および材料を用いているため、射出成形を行うことが可能である。

0099

よって、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、従来の樹脂成形体とは異なる特有の構成、すなわち、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂、(B)板状タルクおよび(C)繊維状強化材を少なくとも含んでおり、当該(B)板状タルクの体積比率が10体積%以上、60体積%以下の範囲内であり、かつ当該(B)板状タルクの数平均粒径が20μm以上であるという構成を備えていることによって、射出成形を行うことができる。

0100

(II)本実施形態における高熱伝導性樹脂成形体の製造方法
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、上述した成分((A)熱可塑性ポリエステル系樹脂、(B)板状タルク、(C)繊維状強化材、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末および(E)酸化チタン等)、添加剤等を乾燥させた後、単軸、2軸等の押出機のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造することができる。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に混練途中で添加して製造することもできる。

0101

また、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体の製造方法は、射出成形工程を含む高熱伝導性樹脂成形体の製造方法であって、前記射出成形工程では、前記高熱伝導性樹脂成形体の少なくとも一部の厚さを2.0mm以下とすることが好ましい。

0102

本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物においては、必要に応じ造核剤等の結晶化促進剤を添加することにより、成形性をさらに改善することができる。

0103

本実施形態において用いられる結晶化促進剤としては、例えば、高級脂肪酸アミド尿素誘導体ソルビトール系化合物、高級脂肪酸塩、芳香族脂肪酸塩等が挙げられ、これらは1種類または2種類以上用いることができる。その中でも、結晶化促進剤としての効果が高いことから、高級脂肪酸アミド、尿素誘導体、ソルビトール系化合物がより好ましい。

0104

上記高級脂肪酸アミドとしては、例えば、ベヘン酸アミドオレイン酸アミドエルカ酸アミドステアリン酸アミドパルミチン酸アミド、N−ステアリルベヘン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドエチレンビスオレイン酸アミドエチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、エチレンジアミンステアリン酸セバシン酸重縮合物等が挙げられ、特にベヘン酸アミドが好ましい。

0105

上記尿素誘導体としては、ビス(ステアリルウレイド)ヘキサン、4,4’−ビス(3−メチルウレイド)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(3−シクロヘキシルウレイド)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(3−シクロヘキシルウレイド)ジシクロヘキシルメタン、4,4’−ビス(3−フェニルウレイド)ジシクロヘキシルメタン、ビス(3−メチルシクロヘキシルウレイド)ヘキサン、4,4’−ビス(3−デシルウレイド)ジフェニルメタン、N−オクチル−N’−フェニルウレア、N,N’−ジフェニルウレア、N−トリル−N’−シクロヘキシルウレア、N,N’−ジシクロヘキシルウレア、N−フェニル−N’−トリブロモフェニルウレア、N−フェニル−N’−トリルウレア、N−シクロヘキシル−N’−フェニルウレア等が例示され、特にビス(ステアリルウレイド)ヘキサンが好ましい。

0106

上記ソルビトール系化合物としては、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール等が挙げられる。これらの中で、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトールがより好ましい。

0107

本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物における結晶化促進剤の使用量は、成形性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましく、0.03〜4重量部がより好ましく、0.05〜3重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満では、結晶化促進剤としての効果が不足する可能性がある。一方、5重量部を超えると、効果が飽和する可能性があることから経済的に好ましくなく、外観や物性が損なわれる可能性がある。

0108

また、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体をより高性能なものにするため、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等の熱安定剤等を、単独または2種類以上を組み合わせて添加することが好ましい。さらに必要に応じて、一般的によく知られている、安定剤、滑剤離型剤可塑剤、リン系以外の難燃剤難燃助剤紫外線吸収剤光安定剤染料帯電防止剤導電性付与剤分散剤、相溶化剤、抗菌剤等を、単独または2種類以上を組み合わせて添加してもよい。

0109

(III)本実施形態における高熱伝導性樹脂成形体の物性
<白色度>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体の白色度は、80以上であることが好ましく、83以上であることがより好ましい。高熱伝導性樹脂成形体の白色度が80以上である場合には、当該高熱伝導性樹脂成形体を電球ソケット、発光管ホルダー等といった照明器具部材に適用することが可能となる。

0110

本明細書において、白色度Wとは、測色色差計を用いて測定した粉末の色の明度(L)、色相彩度(a,b)から、下記式(1)により算出することができる数値である。

0111

W=100−{(100−L)2+a2+b2}1/2 …(1)
<成形体の厚さ>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、成形体の体積の50%以上が厚さ2.0mm以下となるように成形された成形体であることが必要である。高熱伝導性樹脂成形体の広い範囲が厚さ2.0mm以下となるような形状の成形体とすることによって、成形体の面方向と厚さ方向とにおける熱拡散率の差が大きくなり、成形体に熱拡散率の異方性を容易に付与することができるうえ、携帯型電子機器の薄肉軽量化にも貢献させることができる。成形体の厚さ2.0mm以下の箇所とそれ以外の箇所との割合は、成形体の強度や意匠性等を考慮して適宜設定すればよいが、好ましくは成形体の体積の55%以上、より好ましくは成形体の体積の60%以上、最も好ましくは成形体の体積の70%以上が厚さ2.0mm以下となるように成形された成形体である。また、好ましくは成形体の体積の50%以上が厚さ1.8mm以下、より好ましくは1.3mm以下、さらに好ましくは1.1mm以下、最も好ましくは1.0mm以下である。一方、成形体の厚さが薄すぎると成形加工が困難となる場合や、成形体が衝撃に対して弱くなる場合がある。成形体の厚さの下限は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.55mm以上、最も好ましくは0.6mm以上である。なお、成形体の厚さは全体が均一な厚さであってもよく、部分的に厚い部分と薄い部分とを有していてもよい。

0112

このような厚さを有する成形体は、射出成形、押出成形プレス成形ブロー成形等、種々の熱可塑性樹脂成形法により成形することが可能であるが、成形時に樹脂組成物が受ける剪断速度が速く成形体に容易に熱拡散率の異方性を付与することができること、成形サイクルが短く生産性に優れること等の理由から、射出成形法により成形された成形体であることが好ましい。このときに用いられる射出成形機、金型等には特に制限はないが、得られる成形体の体積の50%以上が厚さ2.0mm以下となるように設計された金型を用いることが好ましい。

0113

<熱拡散率>
高熱伝導性樹脂成形体の厚さ2.0mm以下の箇所における面方向と厚さ方向との熱拡散率の異方性の測定は、例えば、平面状サンプルにてフラッシュ熱拡散率測定装置を用いて、表面からレーザーや光で加熱し、加熱部分の裏面および加熱部分と面方向に少し離れた箇所における裏面での昇温変化を測定する方法によって、それぞれ算出することが可能である。測定時のサンプル表面温度上昇を低く抑える目的から、測定にはキセノンフラッシュ式熱拡散率測定装置を用いるのが好ましい。このような手法で測定された面方向および厚さ方向の熱拡散率を比較したとき、成形体の面方向で測定された熱拡散率が、成形体の厚さ方向で測定された熱拡散率の2倍以上とすることにより、携帯型電子機器等の内部ヒートスポットで発生する熱を面方向に効率良く分散させることができる。成形体の面方向で測定された熱拡散率は、成形体の厚さ方向で測定された熱拡散率に対して、好ましくは1.6倍以上、より好ましくは1.7倍以上、特に好ましくは1.8倍以上である。成形体の面方向で測定された熱拡散率が、成形体の厚さ方向で測定された熱拡散率に対して1.6倍以上である場合には、発熱体の内部で発生する熱を外部に効率良く放熱することができる。

0114

さらに、携帯型電子機器等の内部で発生する熱を外部に効率良く伝えるためには、成形体の熱拡散率の絶対値自体も高くする必要があり、成形体の面方向で測定された熱拡散率の値で0.5mm2/sec以上であることが必要である。成形体の面方向で測定された熱拡散率は、好ましくは0.70mm2/sec以上、より好ましくは0.80mm2/secである。

0115

<体積固有抵抗値>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、電気絶縁性と高熱伝導性とを両立させることが可能であるため、従来、高熱伝導性が要望されながら、絶縁性が必要なために金属を用いることができなかった用途に、特に有効に用いることができる。ASTMD−257に従い測定された成形体の体積固有抵抗値は、1010Ω・cm以上であることが必要であり、好ましくは1011Ω・cm以上、より好ましくは1012Ω・cm以上、さらに好ましくは1013Ω・cm以上、最も好ましくは1014Ω・cm以上である。

0116

<メルトフローレート>
本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、成形時の樹脂組成物のメルトフローレートが好ましくは5g/10min以上、200g/10min以下、より好ましくは5g/10min以上、150g/10min以下となるようなものが選ばれる。メルトフローレートが5g/10min未満であると、薄肉部の成形が困難になることがある。一方、メルトフローレートが200g/10minよりも大きいと、金型キャビティ内での流動性が良すぎるために、バリが生じやすく、金型パーティング面を傷つけてしまうことがある。本明細書において、メルトフローレートとは、高化式フローテスター(SHIMADZU製型番:CFT−500C)を使用し、測定温度:280℃、荷重:100kgfの条件下で測定されたものをいう。

0117

本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(B)板状タルクが大きくなると上記メルトフローレートが下がる傾向にある。また、本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末に代えて(B)板状タルクの含有率を多くすることによって、上記メルトフローレートを高くすることができる。その結果、成形性が良くなり、板状タルクが並びやすくなる。

0118

本実施形態の高熱伝導性樹脂成形体は、熱伝導性、絶縁性、機械的強度、流動性および白色性に優れ、低密度であり、かつ製造時に用いる金型の摩耗量を少なくすることができる。

0119

なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。

0120

以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。

0121

〔実施例1〕
ポリエチレンテレフタレート樹脂(熱可塑性ポリエステル系樹脂(A−1):三菱化学(株)製 ノバペックスPBK II)100重量部に、フェノール系安定剤であるAO−60((株)ADEKA製)0.2重量部、を混合したものを準備した(原料1)。別途、板状タルク(板状タルク(B−1):日本タルク(株)製 MS−KY)41重量部、ガラスチョップドストランド(繊維状強化材(C−1):日本電気硝子(株)製 ECS03T−187HPL)26重量部、エポキシシラン(信越化学(株)製KBM−303)1重量部、エタノール5重量部、をスーパーフローターにて混合し、5分間撹拌した後、80℃にて4時間乾燥したものを準備した(原料2)。

0122

原料1および原料2を別々の重量式フィーダーにセットし、(A)/{(B)+(C)}の体積比が50/50となるように混合した後、同方向噛み合い型二軸押出機((株)日本製鋼所製 TEX44XCT)のスクリュー根元付近に設けられた供給口(ホッパー)より投入した。設定温度は、供給口近傍が250℃で、スクリュー先端部に向かって設定温度を順次上昇させ、押出機のスクリュー先端部の温度を280℃に設定した。本条件にて射出用サンプルペレットを得た。

0123

得られたペレットを140℃で4時間乾燥後、75t射出成形機にて、平板の面の中心部分にゲートサイズ0.8mmφで設置されたピンゲートを通じて、150mm×80mm×厚さ1.0mmの平板形状試験片、および50mm×80mm×厚さ2.0mmの平板形状試験片を成形し、熱伝導異方性を有する高熱伝導性樹脂成形体を得た。

0124

〔実施例2〜8および比較例1〜8〕
配合原料の種類および量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、高熱伝導性樹脂成形体を得た。

0125

〔実施例1〜8および比較例1〜8にて用いた原料〕
実施例1〜8および比較例1〜8にて用いた原料は、下記の通りである。

0126

(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂:
(A−1):ポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱化学(株)製 ノバペックスPBK II)
(A−2):ポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ化学工業/DIC(株)製 C−201)
(B)板状タルク:
(B−1):板状タルク(日本タルク(株)製数平均粒径23μm、アスペクト比10、タップ密度0.70g/ml MS−KY)
(B−2):板状タルク(日本タルク(株)製 数平均粒径7.3μm、アスペクト比4、タップ密度0.50g/ml MSK−1B)
(B−3):板状タルク(浅田製粉(株)製 数平均粒径15μm、アスペクト比4、タップ密度0.55g/ml SW−AC)
(B−4):板状タルク(日本タルク(株)製 数平均粒径40μm、アスペクト比10、タップ密度0.75g/ml NKタルク)
(C)繊維状強化材:
(C−1):ガラス繊維(日本電気硝子(株)製単体での熱伝導率1.0W/m・K、繊維直径13μm、数平均繊維長3.0mm、電気絶縁性、体積固有抵抗1015Ω・cm ECS03T−187H/PL)
(D)燐片形状六方晶窒化ホウ素:
(D−1):燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末(数平均粒径:48μm、凝集粒子の割合:6.1%、タップ密度:0.77g/cm3、単独で固化させ熱伝導率を測定した結果の熱伝導率:300W/mK、電気絶縁性)
(E)酸化チタン:
(E−1):酸化チタン(石原産業(株)製 数平均粒径0.21μm CR−60)
その他添加剤:
(F−1):リン系難燃剤クラリアントジャパン(株)製 OP−935)
(F−2):臭素系難燃剤アルマール日本(株)BT−93W)
(F−3):難燃助剤(日本精鉱(株)製三酸化アンチモンATOX−p)
(G)板状マイカ
(G−1):板状マイカ((株)ヤマグマイカ製数平均粒径23μm、アスペクト比70、タップ密度0.13g/ml A−21S)
[燐片形状六方晶窒化ホウ素の製造例]
オルトホウ酸53重量部、メラミン43重量部、硝酸リチウム4重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、純水200重量部を添加して80℃で8時間攪拌した後、ろ過し、150℃で1時間乾燥した。得られた化合物を窒素雰囲気下、900℃で1時間加熱し、さらに窒素雰囲気下、1800℃で焼成・結晶化させた。得られた焼成物粉砕して燐片形状六方晶窒化ホウ素粉末(D−1)を得た。得られた粉末の数平均粒径は48μm、凝集粒子の割合は6.1%、タップ密度は0.77g/cm3であった。また、この粉末を単独で固化させ熱伝導率を測定した結果、熱伝導率は300W/mKであり、かつ電気絶縁性であった。

0127

[熱拡散率]
上述のようにして得られた、厚さ1.0mmおよび厚さ2.0mmの高熱伝導性樹脂成形体を切り出し、12.7mmφの円板状サンプルを作成した。サンプル表面にレーザー光吸収用スプレーファインケミカルジャパン(株)製ブラックガードスプレー FC−153)を塗布して乾燥させた後、Xeフラッシュアナライザー(NETZSCH製LFA447Nanoflash)を用い、厚さ方向および面方向の熱拡散率を測定した。

0128

[電気絶縁性]
上述のようにして得られた、厚さ1.0mmまたは厚さ2.0mmの高熱伝導性樹脂成形体を用いて、ASTMD−257に従い体積固有抵抗値を測定した。

0129

[白色度]
直径30mm、高さ13mmの石英ガラスサンプルセルに入る形状に加工した、厚さ1.0mmまたは厚さ2.0mmの高熱伝導性樹脂成形体のサンプルを上記サンプルセルに充填し、測色色差計(日本電色工業(株)製 SE−2000)を用いて、色の明度(L)、色相、彩度(a,b)を測定し、上記式(1)により白色度Wを算出した。

0130

[メルトフローレート(MFR)]
高化式フローテスター(SHIMADZU製型番:CFT−500C)を使用し、測定温度:280℃、荷重:100kgfの条件下で測定した。

0131

Izod衝撃強度
ASTMD256mに準拠して、ノッチ付きIzod衝撃強度を測定した。

0132

[実施例1〜8および比較例1〜8の結果]
実施例1〜8および比較例1〜8の結果を表1に示した。

0133

実施例

0134

表1によれば、実施例1〜8の高熱伝導性樹脂成形体は、比較例1〜8の高熱伝導性樹脂成形体と比べて、成形流動性・白色性・衝撃強度に優れた高熱伝導率の樹脂成形体であることが分かる。また、(B)板状タルクの代わりに(G)板状マイカを用いた比較例8の高熱伝導性樹脂成形体は、1.0mmおよび2.0mmでの面方向熱拡散率が劣るとともに、白色度が非常に劣っていることが分かる。なお、表1中で、成形加工が困難であったために測定ができなかったものについては、「不可」と表示した。

0135

本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、樹脂フィルム樹脂シート、樹脂成形体等のさまざまな形態で、電子材料磁性材料触媒材料構造体材料光学材料医療材料自動車材料建築材料等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、現在広く用いられている一般的なプラスチック用射出成形機使用可能であるため、複雑な形状を有する成形体の取得も容易である。さらに、成形加工性および高熱伝導性という優れた特性を併せ持つことから、発熱源を内部に有する携帯電話、ディスプレー、コンピューター等の筐体用樹脂として非常に有用である。

0136

また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、家電OA機器部品AV機器部品自動車内外装部品等の射出成形体等に好適に使用することができる。特に多くの熱を発する家電製品OA機器等において、外装材料として好適に用いることができる。

0137

さらに、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、発熱源を内部に有しているもののファン等による強制冷却が困難な電子機器において、内部で発生する熱を外部へ放熱するために、これらの機器外装材として好適に用いられる。これらの中でも好ましい装置として、ノートパソコン等の携帯型コンピューター携帯情報端末機器(PDA)、携帯電話、携帯ゲーム機携帯型音楽プレーヤー携帯型TV/ビデオ機器携帯型ビデオカメラ等の小型あるいは携帯型の電子機器類の筐体、ハウジング、外装材用樹脂として非常に有用である。また、自動車、電車等におけるバッテリー周辺用樹脂、家電機器の携帯バッテリー用樹脂、ブレーカー等の配電部品用樹脂、モーター等の封止用材料等としても非常に有用に用いることができる。

0138

なお、本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、従来よく知られている樹脂成形体に比べて、耐衝撃性および表面平滑性が良好であり、上記の用途における部品あるいは筐体として有用である。

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