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技術 シースルーディスプレイ装置及びシースルーディスプレイ装置を搭載した車両

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 式井愼一笠澄研一杉山圭司山本格也黒塚章
出願日 2011年9月21日 (9年5ヶ月経過) 出願番号 2012-536182
公開日 2014年2月3日 (7年0ヶ月経過) 公開番号 WO2012-042793
状態 特許登録済
技術分野 回折格子、ホログラム光学素子 その他の光学系・装置、色の干渉・色の制御 光学要素の表面処理 ホログラフィ 計器板
主要キーワード 光路線 無反射板 中央領 OMR 最適入射角 内ガラス 中間ガラス シースルーディスプレイ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

光を出射する光源と、前記光に基づき生成された映像光投射する投射光学系と、該投射光学系からの前記映像光が入射する第1面を含む透過型ホログラムと、該ホログラムによって偏向された前記映像光をフレネル反射させる界面と、備え、前記ホログラムは、二光束干渉により、前記第1面に入射した物体光及び参照光によって記録された第1干渉縞を含み、前記第1面に入射した前記映像光は、前記第1干渉縞によって前記界面に向けて偏向され、前記界面は、前記第1面に向けて前記映像光を反射することを特徴とするシースルーディスプレイ装置。

概要

背景

ヘッドアップディスプレイ(HUD)と称される映像表示装置は、主に、自動車航空機コックピットでの操縦操作に必要とされる情報(例えば、速度情報や高度情報)を表示する。自動車の運転手や航空機のパイロットは、あたかも表示情報フロントガラスの前方に存在するかのように、HUDが表示する情報を知覚することができる。

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と称される映像表示装置は、視力矯正用の一般的な眼鏡と同様の方法で装着される。HMDを装着した使用者は、あたかも映像レンズ部分の前方の空間に存在するかのように、HMDが表示する画像を知覚することができる。

HUD及びHMDはともに、フロントガラスやレンズ部材といった略透明な部材を通じて、使用者に画像を視認させるので、これらの映像表示装置は、「シースルーディスプレイ装置」と称される。近年、これらの映像表示装置に対する開発は、活発化している。

例えば、HUDを搭載した自動車の運転手は、運転中に前方を向いたまま、少ない視線の移動量で、運転に必要な情報を視認することができる。したがって、HUDは、高い安全性及び利便性を提供することができる。

HMDは、非常に小さな電力消費量で、使用者に大サイズの画像を使用者に提供することができる。また、使用者は、場所を問わずに、画像を視聴することができ、いつでも及びどこでも必要な情報を入手することができる。

シースルーディスプレイ装置は、景色といった外界から入射する外光自然光)と表示すべき画像とを混合する必要がある。例えば、自動車に用いられたHUDは、表示すべき画像と外界から入射する外光とを、フロントガラスの近傍で、コンバイナを用いて混合する。表示すべき画像と外界から入射する外光との混合の間、外界から入射する外光と表示したい画像それぞれの光のロスが低減されることが好ましい。

従来のシースルーディスプレイ装置は、コンバイナとして、体積ホログラムを利用する(例えば、特許文献1参照)。コンバイナとしてホログラムが用いられるならば、ホログラムのレンズ作用の結果、HUDが表示する画像は拡大される。この結果、シースルーディスプレイ装置が小型であっても、使用者は、大サイズの画像を視認することができる。

体積ホログラムは、所定の波長のみに対して特異的に高い回折効率を有する。例えば、光源として、レーザ光源が用いられ、且つ、体積ホログラムがレーザ光源からのレーザ光の波長に対応する波長範囲に対して、高い回折効率を有するように設計されるならば、HUDは、自然光のロスを抑えつつ、高い光利用効率を達成することができる。

HUDに用いられる体積ホログラムに干渉縞を形成するために、体積ホログラムは露光される。体積ホログラムの露光処理の間、体積ホログラムの界面で反射した光によっても干渉縞は形成される。体積ホログラムの界面で反射した光が形成した干渉縞が、迷光を生じさせることが知られている。

図32乃至図35を用いて、従来のHUD中の迷光の発生原理が説明される。図32は、従来の反射型の体積ホログラムが組み込まれたHUDの概略図である。図33Aは、図32に示されるHUDの露光光学系の概略図である。図33Bは、図33Aに示される露光光学系中の主光線と、体積ホログラムと観察者との間の位置関係を表す概略図である。図34A及び図35は、図32に示されるHUD中の迷光の光路の概略図である。

図32を用いて、従来のHUDが説明される。

従来のHUD900は、レーザ光LBを出射するレーザ光源910と、レーザ光LBに基づき、映像光ILを生成する投射光学系920と、を備える。投射光学系920は、レーザ光源910からのレーザ光LBを受けるレンズ921と、レンズ921からのレーザ光LBの伝搬方向を変える折返ミラー922と、折返ミラー922からのレーザ光LBを受け、映像光ILを生成する液晶パネル923と、液晶パネル923からの映像光ILを受ける投射レンズ924と、投射レンズ924によって投射された映像光ILを受けるスクリーン925と、を含む。

HUD900は、制御部930を更に備える。制御部930は、レーザ光源910と液晶パネル923とを制御する。この結果、所望の映像を表示するための映像光ILが生成される。

HUD900は、例えば、車両に搭載される。図32には、車両のフロントガラス940が示されている。フロントガラス940は、HUD900の一部として用いられる。フロントガラス940は、運転者Dが存在する空間(室内空間)を規定する内ガラス941と、車両の外の空間(室外空間)との間で境界を形成する外ガラス942と、を含む。尚、運転者Dは、HUD900によって表示される映像を観察する観察者である。

HUD900は、内ガラス941と外ガラス942との間に配設された体積ホログラム950を更に備える。体積ホログラム950は、投射光学系920から投射された映像光ILを運転者Dに向けて偏向する。

HUD900のレーザ光源910は、レーザ光LBを出射する。投射光学系920のレンズ921は、レーザ光LBを拡大する。拡大されたレーザ光LBは、折返ミラー922によって、液晶パネル923に向けて折り返される。この結果、レーザ光LBは、液晶パネル923に入射する。

液晶パネル923は、制御部930の制御下で、所望のパターンを2次元的に形成する。液晶パネル923を通過するレーザ光LBは、空間変調され、映像光ILになる。映像光ILは、投射レンズ924を通じて、スクリーン925に投射される。

スクリーン925から出射された映像光ILは、内ガラス941と外ガラス942との間に挟まれた体積ホログラム950に入射する。体積ホログラム950は、入射された映像光ILを運転者Dに向けて回折する。この結果、運転者Dは、フロントガラス940越しに、スクリーン925に映し出された映像の虚像VIを視認することができる。

図32に示されるHUD900の設計において、スクリーン925から出射される映像光ILや車外からの外光(太陽光、前走車のテールランプ対向車ヘッドライトからの光)の経路は、十分に考慮されている。しかしながら、体積ホログラム950の回折の結果、設計上において意図されない経路で運転者D(観察者)の視野に入る光が発生することがある。このような意図されない光は、以下の説明において、「迷光」と称される。

図33Aは、体積ホログラム950の露光光学系の概略図である。図32及び図33Aを用いて、HUD900の体積ホログラム950に干渉縞を記録するための光学系が説明される。尚、体積ホログラム950は、反射型ホログラムとして機能する。

露光光学系960は、図32に関連して説明されたレーザ光源910が出射するレーザ光LBと同じ波長を有するレーザ光RLBを受けるハーフミラー961を備える。ハーフミラー961は、レーザ光RLBを物体光OLと参照光RLとに分割する。

露光光学系960は、物体光OLを受けるレンズ962と、レンズ962と体積ホログラム950との間に配設されたピンホール板963と、を更に備える。ピンホール板963には小孔が形成されている。

物体光OLは、ハーフミラー961からレンズ962へ向かう。レンズ962は、ピンホール板963の小孔に向けて集光する。この結果、ピンホール板963を通過した物体光OLは球面波となる。その後、物体光OLは、体積ホログラム950に入射する。

露光光学系960は、参照光RLを体積ホログラム950に向けて折り返す折返ミラー964と、折返ミラー964からの参照光RLを受けるレンズ965と、レンズ965と体積ホログラム950との間に配設されたピンホール板966と、を更に備える。物体光OL用のピンホール板963と同様に、ピンホール板966には小孔が形成されている。

参照光RLは、ハーフミラー961から折返ミラー964に向かう。折返ミラー964は、レンズ965に向けて、参照光RLを折り返す。レンズ965は、ピンホール板966の小孔に向けて集光する。この結果、ピンホール板966を通過した参照光RLは、球面波となる。

体積ホログラム950は、物体光OLが入射する表面951と、表面951とは反対側の表面952と、を含む。参照光RLは、表面952に入射する。

物体光OLが通過するピンホール板963の小孔の位置が、図32に関連して説明されたHUD900のスクリーン925の中央領域に相当するように、ピンホール板963は、体積ホログラム950に対して位置決め並びに角度設定される。図32には、体積ホログラム950からスクリーン925の中央領域までの距離が、「L2」の符号を用いて示されている。図33Aに示されるように、ピンホール板963の小孔から体積ホログラム950までの距離も、同様に、「L2」である。

参照光RLが通過するピンホール板966の小孔の位置が、図32に関連して説明されたHUD900が作り出す虚像VIの中央領域に相当するように、ピンホール板966は、体積ホログラム950に対して位置決め並びに角度設定される。図32には、体積ホログラム950から虚像VIの中央領域までの距離が、「L1」の符号を用いて示されている。図33Aに示されるように、ピンホール板966の小孔から体積ホログラム950までの距離も、同様に、「L1」である。

上述の露光光学系960の光学的設定の下、物体光OL及び参照光RLが、所定時間、体積ホログラム950に照射されるならば、体積ホログラム950に干渉縞が記録される。この結果、体積ホログラム950は、反射型ホログラムとして機能する。

図33Bは、露光光学系960の主光線の経路を概略的に示す。図33Bには、ピンホール板963,966の後の光学系が示されている。また、迷光の発生原理の理解を容易にするために、図33Bには、物体光OLの主光線OMB及び参照光RLの主光線RMBのみが描かれている。

迷光の発生原理は、主光線OMB,RMBを用いて、以下に説明される。しかしながら、迷光の発生原理は、主光線OMB,RMBの干渉だけでなく、二光束によって干渉が発生するならば、同様に適用される。

光が、周囲空間(空気)と屈折率が異なる透明な物体に入射するならば、周囲空間と透明な物体との境界において、光の一部はフレネル反射する。

図33Bにおいて、体積ホログラム950の表面951と境界をなす空間は、「室内空間」と称される。体積ホログラム950の表面952と境界をなす空間は、「室外空間」と称される。

物体光OLの主光線OMBは、体積ホログラム950の表面951に入射し、その後、表面952に到達する。主光線OMBの一部は、上述の原理に従って、フレネル反射する。この結果、主光線OMBの反射光OMRが発生する。

参照光RLの主光線RMBは、体積ホログラム950の表面952に入射し、その後、表面951に到達する。主光線RMBの一部は、上述の原理に従って、フレネル反射する。この結果、主光線RMBの反射光RMRが発生する。

上述のフレネル反射の結果、4種類の光線が体積ホログラム950を通過する。この結果、体積ホログラム950内には、4種類の光線間の干渉の結果生ずる干渉縞が記録される。

以下の説明において、物体光OLの主光線OMBと参照光RLの主光線RMBとの間での干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞1」と称される。物体光OLの主光線OMBと主光線OMBの反射光OMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞2」と称される。参照光RLの主光線RMBと主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞3」と称される。物体光OLの主光線OMBの反射光OMRと参照光RLの主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞4」と称される。物体光OLの主光線OMBと、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞5」と称される。参照光RLの主光線RMBと物体光OLの主光線OMBの反射光OMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞6」と称される。

上述の如く、体積ホログラム950内には、6種類の干渉縞が形成される。尚、干渉縞2乃至6は、干渉縞1と比べて、屈折率の変調量は小さい。

体積ホログラム950内に形成された6種類の干渉縞のうち3種類の干渉縞が運転者Dに向かう迷光を引き起こす。迷光の原因となる干渉縞は、「干渉縞1」、「干渉縞3」及び「干渉縞6」である。

図34Aは、干渉縞1に起因する迷光を概略的に示す。図34Bは、干渉縞3に起因する迷光を概略的に示す。図35は、干渉縞6に起因する迷光を概略的に示す。尚、図34A乃至図35に示される体積ホログラム950は、HUD900内に組み込まれている。したがって、図34A乃至図35は、内ガラス941と外ガラス942との間に挟まれた体積ホログラム950を示す。体積ホログラム950がHUD900に組み込まれるならば、物体光OLや参照光RLは存在しないが、迷光の発生原理を明瞭に説明するために、図34A乃至図35は、ピンホール板963,964の後の光学系も概略的に示している。

図34Aは、干渉縞1に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。図34Aを用いて、干渉縞1に起因して生ずる迷光が説明される。

外光は、外ガラス942に入射する。図34Aには、内ガラス941に対する物体光OLの主光線OMBの入射角と等しい入射角で外ガラス942に入射する外光成分EC1が示されている。外光成分EC1は、外ガラス942、体積ホログラム950及び内ガラス941を順次通過し、内ガラス941と室内空間との境界に到達する。外光成分EC1の一部は、内ガラス941と室内空間との境界でフレネル反射し、再度、体積ホログラム950に向かう。その後、外光成分EC1の一部は、体積ホログラム950に記録された干渉縞1によって回折される。この結果、外光成分EC1の一部は、参照光RLの主光線RMBと同じ方向に出射される。この結果、外光成分EC1の一部は、運転者Dに迷光として知覚される。

図34Bは、干渉縞3に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。図34Bを用いて、干渉縞3に起因して生ずる迷光が説明される。

室内空間から内ガラス941に入射する外光も存在する。図34Bには、外ガラス942から出射される参照光RLの主光線RMBの反射光RMRの出射角度と同じ角度で出射される外光成分EC2が示されている。外光成分EC2は、室内空間から内ガラス941に入射する。その後、外光成分EC2は、内ガラス941を通過し、体積ホログラム950に到達する。外光成分EC2は、体積ホログラム950に記録された干渉縞3によって、回折され、参照光RLの主光線RMBと同じ方向に出射される。この結果、外光成分EC2は、運転者Dに迷光として知覚される。

図35は、干渉縞6に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。図35を用いて、干渉縞6に起因して生ずる迷光が説明される。

干渉縞6は、体積ホログラム950内の光の透過を許容するように形成される。図35には、物体光OLの主光線OMBの反射光OMRと同じ角度で入射する外光成分EC3が示されている。外光成分EC3は、干渉縞6によって回折され、参照光RLの主光線RMBと同じ方向に進行し、内ガラス941から出射される。この結果、外光成分EC3は、運転者Dに迷光として知覚される。

上述の如く、体積ホログラム950に対して、二光束干渉によって干渉縞が記録されるならば、体積ホログラム950と空気との界面で生ずるフレネル反射光による干渉が発生する。フレネル反射光による干渉露光の結果、意図しない干渉縞が体積ホログラム950に記録される。この結果、運転者D(観察者)に向かう迷光が発生する。

特許文献2は、体積ホログラムと無反射板との間に滴下された光学密着液を用いて、体積ホログラムの界面におけるフレネル反射光の発生を抑制することを提案する。フレネル反射光が発生しにくくなるので、迷光の発生が抑制される。

迷光の発生を防止するために、特許文献2の開示技術の如く、無反射板や光学密着液が用いられるならば、体積ホログラムを露光する露光工程前の工程数が増大する。また、無反射板及び光学密着液だけでなく、これらを利用するための特別な設備が新たに必要とされる。

概要

光を出射する光源と、前記光に基づき生成された映像光を投射する投射光学系と、該投射光学系からの前記映像光が入射する第1面を含む透過型のホログラムと、該ホログラムによって偏向された前記映像光をフレネル反射させる界面と、備え、前記ホログラムは、二光束干渉により、前記第1面に入射した物体光及び参照光によって記録された第1干渉縞を含み、前記第1面に入射した前記映像光は、前記第1干渉縞によって前記界面に向けて偏向され、前記界面は、前記第1面に向けて前記映像光を反射することを特徴とするシースルーディスプレイ装置。

目的

HMDは、非常に小さな電力消費量で、使用者に大サイズの画像を使用者に提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

光を出射する光源と、前記光に基づき生成された映像光投射する投射光学系と、該投射光学系からの前記映像光が入射する第1面を含む透過型ホログラムと、該ホログラムによって偏向された前記映像光をフレネル反射させる界面と、備え、前記ホログラムは、二光束干渉により、前記第1面に入射した物体光及び参照光によって記録された第1干渉縞を含み、前記第1面に入射した前記映像光は、前記第1干渉縞によって前記界面に向けて偏向され、前記界面は、前記第1面に向けて前記映像光を反射することを特徴とするシースルーディスプレイ装置。

請求項2

前記第1面は、前記映像光によって表現される映像を観察する観察者に対向し、前記第1面に対する垂面に対して、前記観察者側の角度は、正の角度として定義され、前記正の角度とは反対側の角度は、負の角度として定義されるならば、前記第1面に対する前記物体光の入射角は、正の角度であることを特徴とする請求項1に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項3

前記ホログラムは、前記第1面とは反対側の第2面を含み、前記第1面又は前記第2面に向かう光路を横切るように配設された1/2波長板を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項4

前記第1面に向けて反射する光を抑制する反射防止コート又は反射防止構造体を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項5

前記投射光学系は、前記第1干渉縞の記録に用いられた前記参照光の主光線の光路上に存在しないことを特徴とする請求項1に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項6

前記第1干渉縞の記録に用いられた前記参照光の前記主光線の前記光路上に配設された光拡散体を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項7

前記参照光及び前記物体光は、前記第2面に1/4波長板が設置された前記体積ホログラムの前記第1面にS偏光又はP偏光で入射し、前記第1干渉縞を記録することを特徴とする請求項1に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項8

請求項6に記載のシースルーディスプレイ装置を搭載した車両であって、前記光拡散体は、ダッシュボードであることを特徴とする車両。

請求項9

光を出射する光源と、前記光に基づき生成された映像光を投射する投射光学系と、該投射光学系からの前記映像光が入射する第1面と、該第1面とは反対側の第2面と、前記第1面から前記第2面への前記映像光の伝播許容するように形成された第1干渉縞と、を含む透過型のホログラムと、前記第1干渉縞によって偏向された前記映像光をフレネル反射させる界面と、を備え、該界面に入射する前記映像光は、S偏光であり、前記界面から出射される前記映像光の出射角は、前記第1面に入射する前記映像光の入射角よりも大きいことを特徴とするシースルーディスプレイ装置。

請求項10

前記第1面又は前記第2面に向かう光路を横切るように配置された1/2波長板を更に備え、該1/2波長板に入射する前記映像光は、P偏光であることを特徴とする請求項9に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項11

前記第1面に向かう光の反射を抑制する反射防止コート又は反射防止構造体を更に備えることを特徴とする請求項9に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項12

前記ホログラムは、50%以上の回折効率を有することを特徴とする請求項9に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項13

前記映像光によって表現される映像を観察する観察者に対向する内面と、該内面とは反対側の外面と、を含む透明基板を更に備え、前記界面は、前記外面であり、前記内面上又は前記内面と前記外面との間で保持された前記ホログラムは、前記外面に入射する外光を除去する第2干渉縞を含む体積ホログラムであることを特徴とする請求項1又は9に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項14

前記第1干渉縞による回折効率が最も高くなる第1光の前記体積ホログラムへの第1入射角は、前記第2干渉縞による回折効率が最も高くなる第2光の前記体積ホログラムへの第2入射角に等しいことを特徴とする請求項13に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項15

前記体積ホログラムの温度変化に伴い前記第1入射角が増大するならば、前記第2入射角も増大し、前記体積ホログラムの温度変化に伴い前記第1入射角が減少するならば、前記第2入射角も減少することを特徴とする請求項13又は14に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項16

前記体積ホログラムの温度変化に対する前記第1入射角の変化率は、前記体積ホログラムの温度変化に対する前記第2入射角の変化率に等しいことを特徴とする請求項15に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項17

前記第2干渉縞によって反射された前記外光は、前記第2面から出射されることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項18

前記第1面又は前記第2面に対する垂面に対して、前記観察者側の角度は、正の角度として定義され、前記正の角度とは反対側の角度は、負の角度として定義され、前記第1入射角が正の角度であるならば、前記体積ホログラムからの前記第1光の第1出射角は、負の角度であり、前記第1入射角が負の角度であるならば、前記体積ホログラムからの前記第1光の第1出射角は、正の角度であり、前記第2入射角が正の角度であるならば、前記体積ホログラムからの前記第2光の第2出射角も、正の角度であり、前記第2入射角が負の角度であるならば、前記体積ホログラムからの前記第2光の第2出射角も、負の角度であることを特徴とする請求項17に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項19

前記第1入射角は、50度以下であり、前記第1出射角は、50度以上70度以下であり、前記第2出射角は、70度以上であることを特徴とする請求項18に記載のシースルーディスプレイ装置。

請求項20

前記第1干渉縞は、赤色、緑色、青色の光それぞれを特異的に回折する干渉縞を含み、前記第2干渉縞は、赤色、緑色、青色の光それぞれを特異的に回折する干渉縞を含むことを特徴とする請求項13乃至19に記載のシースルーディスプレイ装置。

技術分野

0001

本発明は、主に、ヘッドアップディスプレイ(HUD)やヘッドマウントディスプレイ(HMD)といった映像表示装置に用いられるシースルーディスプレイ装置に関する。

背景技術

0002

ヘッドアップディスプレイ(HUD)と称される映像表示装置は、主に、自動車航空機コックピットでの操縦操作に必要とされる情報(例えば、速度情報や高度情報)を表示する。自動車の運転手や航空機のパイロットは、あたかも表示情報フロントガラスの前方に存在するかのように、HUDが表示する情報を知覚することができる。

0003

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と称される映像表示装置は、視力矯正用の一般的な眼鏡と同様の方法で装着される。HMDを装着した使用者は、あたかも映像レンズ部分の前方の空間に存在するかのように、HMDが表示する画像を知覚することができる。

0004

HUD及びHMDはともに、フロントガラスやレンズ部材といった略透明な部材を通じて、使用者に画像を視認させるので、これらの映像表示装置は、「シースルーディスプレイ装置」と称される。近年、これらの映像表示装置に対する開発は、活発化している。

0005

例えば、HUDを搭載した自動車の運転手は、運転中に前方を向いたまま、少ない視線の移動量で、運転に必要な情報を視認することができる。したがって、HUDは、高い安全性及び利便性を提供することができる。

0006

HMDは、非常に小さな電力消費量で、使用者に大サイズの画像を使用者に提供することができる。また、使用者は、場所を問わずに、画像を視聴することができ、いつでも及びどこでも必要な情報を入手することができる。

0007

シースルーディスプレイ装置は、景色といった外界から入射する外光自然光)と表示すべき画像とを混合する必要がある。例えば、自動車に用いられたHUDは、表示すべき画像と外界から入射する外光とを、フロントガラスの近傍で、コンバイナを用いて混合する。表示すべき画像と外界から入射する外光との混合の間、外界から入射する外光と表示したい画像それぞれの光のロスが低減されることが好ましい。

0008

従来のシースルーディスプレイ装置は、コンバイナとして、体積ホログラムを利用する(例えば、特許文献1参照)。コンバイナとしてホログラムが用いられるならば、ホログラムのレンズ作用の結果、HUDが表示する画像は拡大される。この結果、シースルーディスプレイ装置が小型であっても、使用者は、大サイズの画像を視認することができる。

0009

体積ホログラムは、所定の波長のみに対して特異的に高い回折効率を有する。例えば、光源として、レーザ光源が用いられ、且つ、体積ホログラムがレーザ光源からのレーザ光の波長に対応する波長範囲に対して、高い回折効率を有するように設計されるならば、HUDは、自然光のロスを抑えつつ、高い光利用効率を達成することができる。

0010

HUDに用いられる体積ホログラムに干渉縞を形成するために、体積ホログラムは露光される。体積ホログラムの露光処理の間、体積ホログラムの界面で反射した光によっても干渉縞は形成される。体積ホログラムの界面で反射した光が形成した干渉縞が、迷光を生じさせることが知られている。

0011

図32乃至図35を用いて、従来のHUD中の迷光の発生原理が説明される。図32は、従来の反射型の体積ホログラムが組み込まれたHUDの概略図である。図33Aは、図32に示されるHUDの露光光学系の概略図である。図33Bは、図33Aに示される露光光学系中の主光線と、体積ホログラムと観察者との間の位置関係を表す概略図である。図34A及び図35は、図32に示されるHUD中の迷光の光路の概略図である。

0012

図32を用いて、従来のHUDが説明される。

0013

従来のHUD900は、レーザ光LBを出射するレーザ光源910と、レーザ光LBに基づき、映像光ILを生成する投射光学系920と、を備える。投射光学系920は、レーザ光源910からのレーザ光LBを受けるレンズ921と、レンズ921からのレーザ光LBの伝搬方向を変える折返ミラー922と、折返ミラー922からのレーザ光LBを受け、映像光ILを生成する液晶パネル923と、液晶パネル923からの映像光ILを受ける投射レンズ924と、投射レンズ924によって投射された映像光ILを受けるスクリーン925と、を含む。

0014

HUD900は、制御部930を更に備える。制御部930は、レーザ光源910と液晶パネル923とを制御する。この結果、所望の映像を表示するための映像光ILが生成される。

0015

HUD900は、例えば、車両に搭載される。図32には、車両のフロントガラス940が示されている。フロントガラス940は、HUD900の一部として用いられる。フロントガラス940は、運転者Dが存在する空間(室内空間)を規定する内ガラス941と、車両の外の空間(室外空間)との間で境界を形成する外ガラス942と、を含む。尚、運転者Dは、HUD900によって表示される映像を観察する観察者である。

0016

HUD900は、内ガラス941と外ガラス942との間に配設された体積ホログラム950を更に備える。体積ホログラム950は、投射光学系920から投射された映像光ILを運転者Dに向けて偏向する。

0017

HUD900のレーザ光源910は、レーザ光LBを出射する。投射光学系920のレンズ921は、レーザ光LBを拡大する。拡大されたレーザ光LBは、折返ミラー922によって、液晶パネル923に向けて折り返される。この結果、レーザ光LBは、液晶パネル923に入射する。

0018

液晶パネル923は、制御部930の制御下で、所望のパターンを2次元的に形成する。液晶パネル923を通過するレーザ光LBは、空間変調され、映像光ILになる。映像光ILは、投射レンズ924を通じて、スクリーン925に投射される。

0019

スクリーン925から出射された映像光ILは、内ガラス941と外ガラス942との間に挟まれた体積ホログラム950に入射する。体積ホログラム950は、入射された映像光ILを運転者Dに向けて回折する。この結果、運転者Dは、フロントガラス940越しに、スクリーン925に映し出された映像の虚像VIを視認することができる。

0020

図32に示されるHUD900の設計において、スクリーン925から出射される映像光ILや車外からの外光(太陽光、前走車のテールランプ対向車ヘッドライトからの光)の経路は、十分に考慮されている。しかしながら、体積ホログラム950の回折の結果、設計上において意図されない経路で運転者D(観察者)の視野に入る光が発生することがある。このような意図されない光は、以下の説明において、「迷光」と称される。

0021

図33Aは、体積ホログラム950の露光光学系の概略図である。図32及び図33Aを用いて、HUD900の体積ホログラム950に干渉縞を記録するための光学系が説明される。尚、体積ホログラム950は、反射型ホログラムとして機能する。

0022

露光光学系960は、図32に関連して説明されたレーザ光源910が出射するレーザ光LBと同じ波長を有するレーザ光RLBを受けるハーフミラー961を備える。ハーフミラー961は、レーザ光RLBを物体光OLと参照光RLとに分割する。

0023

露光光学系960は、物体光OLを受けるレンズ962と、レンズ962と体積ホログラム950との間に配設されたピンホール板963と、を更に備える。ピンホール板963には小孔が形成されている。

0024

物体光OLは、ハーフミラー961からレンズ962へ向かう。レンズ962は、ピンホール板963の小孔に向けて集光する。この結果、ピンホール板963を通過した物体光OLは球面波となる。その後、物体光OLは、体積ホログラム950に入射する。

0025

露光光学系960は、参照光RLを体積ホログラム950に向けて折り返す折返ミラー964と、折返ミラー964からの参照光RLを受けるレンズ965と、レンズ965と体積ホログラム950との間に配設されたピンホール板966と、を更に備える。物体光OL用のピンホール板963と同様に、ピンホール板966には小孔が形成されている。

0026

参照光RLは、ハーフミラー961から折返ミラー964に向かう。折返ミラー964は、レンズ965に向けて、参照光RLを折り返す。レンズ965は、ピンホール板966の小孔に向けて集光する。この結果、ピンホール板966を通過した参照光RLは、球面波となる。

0027

体積ホログラム950は、物体光OLが入射する表面951と、表面951とは反対側の表面952と、を含む。参照光RLは、表面952に入射する。

0028

物体光OLが通過するピンホール板963の小孔の位置が、図32に関連して説明されたHUD900のスクリーン925の中央領域に相当するように、ピンホール板963は、体積ホログラム950に対して位置決め並びに角度設定される。図32には、体積ホログラム950からスクリーン925の中央領域までの距離が、「L2」の符号を用いて示されている。図33Aに示されるように、ピンホール板963の小孔から体積ホログラム950までの距離も、同様に、「L2」である。

0029

参照光RLが通過するピンホール板966の小孔の位置が、図32に関連して説明されたHUD900が作り出す虚像VIの中央領域に相当するように、ピンホール板966は、体積ホログラム950に対して位置決め並びに角度設定される。図32には、体積ホログラム950から虚像VIの中央領域までの距離が、「L1」の符号を用いて示されている。図33Aに示されるように、ピンホール板966の小孔から体積ホログラム950までの距離も、同様に、「L1」である。

0030

上述の露光光学系960の光学的設定の下、物体光OL及び参照光RLが、所定時間、体積ホログラム950に照射されるならば、体積ホログラム950に干渉縞が記録される。この結果、体積ホログラム950は、反射型ホログラムとして機能する。

0031

図33Bは、露光光学系960の主光線の経路を概略的に示す。図33Bには、ピンホール板963,966の後の光学系が示されている。また、迷光の発生原理の理解を容易にするために、図33Bには、物体光OLの主光線OMB及び参照光RLの主光線RMBのみが描かれている。

0032

迷光の発生原理は、主光線OMB,RMBを用いて、以下に説明される。しかしながら、迷光の発生原理は、主光線OMB,RMBの干渉だけでなく、二光束によって干渉が発生するならば、同様に適用される。

0033

光が、周囲空間(空気)と屈折率が異なる透明な物体に入射するならば、周囲空間と透明な物体との境界において、光の一部はフレネル反射する。

0034

図33Bにおいて、体積ホログラム950の表面951と境界をなす空間は、「室内空間」と称される。体積ホログラム950の表面952と境界をなす空間は、「室外空間」と称される。

0035

物体光OLの主光線OMBは、体積ホログラム950の表面951に入射し、その後、表面952に到達する。主光線OMBの一部は、上述の原理に従って、フレネル反射する。この結果、主光線OMBの反射光OMRが発生する。

0036

参照光RLの主光線RMBは、体積ホログラム950の表面952に入射し、その後、表面951に到達する。主光線RMBの一部は、上述の原理に従って、フレネル反射する。この結果、主光線RMBの反射光RMRが発生する。

0037

上述のフレネル反射の結果、4種類の光線が体積ホログラム950を通過する。この結果、体積ホログラム950内には、4種類の光線間の干渉の結果生ずる干渉縞が記録される。

0038

以下の説明において、物体光OLの主光線OMBと参照光RLの主光線RMBとの間での干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞1」と称される。物体光OLの主光線OMBと主光線OMBの反射光OMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞2」と称される。参照光RLの主光線RMBと主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞3」と称される。物体光OLの主光線OMBの反射光OMRと参照光RLの主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞4」と称される。物体光OLの主光線OMBと、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞5」と称される。参照光RLの主光線RMBと物体光OLの主光線OMBの反射光OMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞6」と称される。

0039

上述の如く、体積ホログラム950内には、6種類の干渉縞が形成される。尚、干渉縞2乃至6は、干渉縞1と比べて、屈折率の変調量は小さい。

0040

体積ホログラム950内に形成された6種類の干渉縞のうち3種類の干渉縞が運転者Dに向かう迷光を引き起こす。迷光の原因となる干渉縞は、「干渉縞1」、「干渉縞3」及び「干渉縞6」である。

0041

図34Aは、干渉縞1に起因する迷光を概略的に示す。図34Bは、干渉縞3に起因する迷光を概略的に示す。図35は、干渉縞6に起因する迷光を概略的に示す。尚、図34A乃至図35に示される体積ホログラム950は、HUD900内に組み込まれている。したがって、図34A乃至図35は、内ガラス941と外ガラス942との間に挟まれた体積ホログラム950を示す。体積ホログラム950がHUD900に組み込まれるならば、物体光OLや参照光RLは存在しないが、迷光の発生原理を明瞭に説明するために、図34A乃至図35は、ピンホール板963,964の後の光学系も概略的に示している。

0042

図34Aは、干渉縞1に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。図34Aを用いて、干渉縞1に起因して生ずる迷光が説明される。

0043

外光は、外ガラス942に入射する。図34Aには、内ガラス941に対する物体光OLの主光線OMBの入射角と等しい入射角で外ガラス942に入射する外光成分EC1が示されている。外光成分EC1は、外ガラス942、体積ホログラム950及び内ガラス941を順次通過し、内ガラス941と室内空間との境界に到達する。外光成分EC1の一部は、内ガラス941と室内空間との境界でフレネル反射し、再度、体積ホログラム950に向かう。その後、外光成分EC1の一部は、体積ホログラム950に記録された干渉縞1によって回折される。この結果、外光成分EC1の一部は、参照光RLの主光線RMBと同じ方向に出射される。この結果、外光成分EC1の一部は、運転者Dに迷光として知覚される。

0044

図34Bは、干渉縞3に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。図34Bを用いて、干渉縞3に起因して生ずる迷光が説明される。

0045

室内空間から内ガラス941に入射する外光も存在する。図34Bには、外ガラス942から出射される参照光RLの主光線RMBの反射光RMRの出射角度と同じ角度で出射される外光成分EC2が示されている。外光成分EC2は、室内空間から内ガラス941に入射する。その後、外光成分EC2は、内ガラス941を通過し、体積ホログラム950に到達する。外光成分EC2は、体積ホログラム950に記録された干渉縞3によって、回折され、参照光RLの主光線RMBと同じ方向に出射される。この結果、外光成分EC2は、運転者Dに迷光として知覚される。

0046

図35は、干渉縞6に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。図35を用いて、干渉縞6に起因して生ずる迷光が説明される。

0047

干渉縞6は、体積ホログラム950内の光の透過を許容するように形成される。図35には、物体光OLの主光線OMBの反射光OMRと同じ角度で入射する外光成分EC3が示されている。外光成分EC3は、干渉縞6によって回折され、参照光RLの主光線RMBと同じ方向に進行し、内ガラス941から出射される。この結果、外光成分EC3は、運転者Dに迷光として知覚される。

0048

上述の如く、体積ホログラム950に対して、二光束干渉によって干渉縞が記録されるならば、体積ホログラム950と空気との界面で生ずるフレネル反射光による干渉が発生する。フレネル反射光による干渉露光の結果、意図しない干渉縞が体積ホログラム950に記録される。この結果、運転者D(観察者)に向かう迷光が発生する。

0049

特許文献2は、体積ホログラムと無反射板との間に滴下された光学密着液を用いて、体積ホログラムの界面におけるフレネル反射光の発生を抑制することを提案する。フレネル反射光が発生しにくくなるので、迷光の発生が抑制される。

0050

迷光の発生を防止するために、特許文献2の開示技術の如く、無反射板や光学密着液が用いられるならば、体積ホログラムを露光する露光工程前の工程数が増大する。また、無反射板及び光学密着液だけでなく、これらを利用するための特別な設備が新たに必要とされる。

先行技術

0051

特表2007−526498号公報
特開2001−331084号公報

0052

本発明は、シースルーディスプレイ装置中に発生する迷光を抑制するための簡便な技術を提供することを目的とする。また、本発明は、視認性に優れた映像を表示することができるシースルーディスプレイ装置及びシースルーディスプレイ装置を搭載した車両を提供することを目的とする。

0053

本発明の一の局面に係るシースルーディスプレイ装置は、光を出射する光源と、前記光に基づき生成された映像光を投射する投射光学系と、該投射光学系からの前記映像光が入射する第1面を含む透過型のホログラムと、該ホログラムによって偏向された前記映像光をフレネル反射させる界面と、備え、前記ホログラムは、二光束干渉により、前記第1面に入射した物体光及び参照光によって記録された第1干渉縞を含み、前記第1面に入射した前記映像光は、前記第1干渉縞によって前記界面に向けて偏向され、前記界面は、前記第1面に向けて前記映像光を反射することを特徴とする。

0054

本発明の他の局面に係る車両は、上述のシースルーディスプレイ装置を搭載した車両であって、シースルーディスプレイ装置は、前記第1干渉縞の記録に用いられた前記参照光の前記主光線の前記光路上に配設された光拡散体を更に備え、前記光拡散体は、ダッシュボードであることを特徴とする。

0055

本発明の他の局面に係るシースルーディスプレイ装置は、光を出射する光源と、前記光に基づき生成された映像光を投射する投射光学系と、該投射光学系からの前記映像光が入射する第1面と、該第1面とは反対側の第2面と、第1面から第2面への前記映像光の伝播を許容するように形成された第1干渉縞と、を含む透過型のホログラムと、前記第1干渉縞によって偏向された前記映像光をフレネル反射させる界面と、を備え、該界面に入射する前記映像光は、S偏光であり、前記界面から出射される前記映像光の出射角は、前記第1面に入射する前記映像光の入射角よりも大きいことを特徴とする。

0056

上述のシースルーディスプレイ装置及びシースルーディスプレイ装置を搭載した車両は、簡便な技術を用いて、シースルーディスプレイ装置中で発生する迷光を抑制することができる。したがって、シースルーディスプレイ装置及びシースルーディスプレイ装置を搭載した車両は、迷光が少ない高画質の映像を表示することができる。

0057

本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。

図面の簡単な説明

0058

第1実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUDの概略図である。
図1Aに示されるHUDの体積ホログラムを露光するための露光光学系の概略図である。
図1Aに示されるHUDの体積ホログラム中の映像光の光路の概略図である。
従来のHUDに用いられる反射型の体積ホログラム中の映像光の光路の概略図である。
図1Bに示される露光光学系の主光線の経路の概略図である。
図1Aに示されるHUDの体積ホログラムに記録された干渉縞に起因する迷光の発生原理の概略図である。
図1Aに示されるHUDの体積ホログラムに記録された干渉縞に起因する迷光の発生原理の概略図である。
図1Aに示されるHUDの体積ホログラムに記録された干渉縞に起因する迷光の発生原理の概略図である。
第2実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUDの概略図である。
図6に示されるHUDのフロントガラスの周囲の概略的な拡大図である。
入射角と反射率との間の関係を概略的に示すグラフである。
第3実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUDの概略図である。
図9に示されるHUDのフロントガラスの周囲の概略的な拡大図である。
第4実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUDの概略図である。
図11に示されるHUDのフロントガラスの周囲の概略的な拡大図である。
第5実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUDの概略図である。
図13に示されるHUDのフロントガラス及びフロントガラスへ映像光を投射する投射光学系の概略図である。
シースルーディスプレイに用いられる体積ホログラムに干渉縞を形成するための他の方法を概略的に説明する図である(第6実施形態)。
第7実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUDの概略図である。
図16Aに示されるHUDの体積ホログラムに適用される露光光学系の概略図である。
図16Bに示されるHUDのフロントガラスの周囲における光路の概略図である。
第8実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUDの概略図である。
図18Aに示されるHUDの体積ホログラムを露光するための露光光学系の概略図である。
図18Aに示されるHUDのフロントガラスの周囲の映像光の光路の概略図である。
S偏光の反射率の角度依存性を概略的に示すグラフである。
透過率の角度依存性を示すグラフである。
第8実施形態の原理にしたがって改良されたHUDの概略図である。
第8実施形態の原理にしたがって改良されたHUDの概略図である。
第9実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHMDの概略図である。
迷光の発生原理の概略図である。
既知のHUDの概略図である。
体積ホログラムを備えるHUDの概略図である。
第10実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUDの概略図である。
図27に示されるHUDの体積ホログラムに記録された第1干渉縞の回折効率の計算結果を表すグラフである。
図27に示されるHUDの体積ホログラムに記録された第2干渉縞の回折効率の計算結果を表すグラフである。
図27に示されるHUDの体積ホログラムに記録された第1干渉縞の回折効率の角度依存特性の計算結果を表すグラフである。
図27に示されるHUDの体積ホログラムに記録された第2干渉縞の回折効率の角度依存特性の計算結果を表すグラフである。
図32は、従来の反射型の体積ホログラムが組み込まれたHUDの概略図である。
図32に示されるHUDの露光光学系の概略図である。
図33Aに示される露光光学系中の主光線と、体積ホログラムと観察者との間の位置関係を表す概略図である。
図32に示されるHUD中の迷光の光路の概略図である。
干渉縞に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。
図32に示されるHUD中の迷光の光路の概略図である。

実施例

0059

以下、シースルーディスプレイ装置及びシースルーディスプレイ装置を搭載した車両が図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に、シースルーディスプレイ装置及び車両の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、シースルーディスプレイ装置及び車両の原理は、これらに何ら限定されるものではない。

0060

<第1実施形態>
(シースルーディスプレイ装置の構造)
図1Aは、第1実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUD100の概略図である。図1Aを用いて、HUD100が説明される。

0061

HUD100は、レーザ光LBを出射するレーザ光源110と、レーザ光LBに基づき、映像光ILを生成する投射光学系120と、を備える。本実施形態において、レーザ光源110は、光を出射する光源として例示される。

0062

投射光学系120は、レーザ光源110からのレーザ光LBを受けるレンズ121と、レンズ121からのレーザ光LBの伝搬方向を変える折返ミラー122と、折返ミラー122からのレーザ光LBを受け、映像光ILを生成する液晶パネル123と、液晶パネル123からの映像光ILを受ける投射レンズ124と、投射レンズ124によって投射された映像光ILを受けるスクリーン125と、を含む。

0063

HUD100は、制御部130を更に備える。制御部130は、レーザ光源110と液晶パネル123とを制御する。この結果、所望の映像を表示するための映像光ILが生成される。

0064

HUD100は、例えば、車両に搭載される。図1Aには、車両のフロントガラス140が示されている。透明なフロントガラス140は、HUD100の一部として用いられる。フロントガラス140は、運転者Dが存在する空間(室内空間)を規定する透明な内ガラス141と、車両の外の空間(室外空間)との間で境界を形成する透明な外ガラス142と、を含む。尚、運転者Dは、HUD100によって表示される映像を観察する観察者である。室内空間との境界を形成する内ガラス141の面は、以下の説明において、内面143と称される。内面143は、運転者Dに対向する。また、内面143とは反対側のフロントガラス140の面(即ち、外ガラス142の面)は、以下の説明において、外面144と称される。本実施形態において、フロントガラス140、内ガラス141及び外ガラス142は、透明基板として例示される。

0065

HUD100は、内ガラス141と外ガラス142との間に配設された体積ホログラム150を更に備える。体積ホログラム150は、投射光学系120から投射された映像光ILを運転者Dに向けて偏向する。図32に関連して説明された体積ホログラム950と異なり、本実施形態の体積ホログラム150は、透過型のホログラムとして機能する。

0066

HUD100のレーザ光源110は、レーザ光LBを出射する。投射光学系120のレンズ121は、レーザ光LBを拡大する。拡大されたレーザ光LBは、折返ミラー122によって、液晶パネル123に向けて折り返される。この結果、レーザ光LBは、液晶パネル123に入射する。

0067

液晶パネル123は、制御部130の制御下で、所望のパターンを2次元的に形成する。液晶パネル123を通過するレーザ光LBは、空間変調され、映像光ILになる。映像光ILは、投射レンズ124を通じて、スクリーン125に投射される。

0068

スクリーン125から出射された映像光ILは、内ガラス141と外ガラス142との間に挟まれた体積ホログラム150に入射する。以下の説明において、投射光学系120からの映像光ILが入射する体積ホログラム150の面は、第1面と称される。また、第1面とは反対側の体積ホログラム150の面は、第2面と称される。

0069

スクリーン125から出射された映像光ILは、内ガラス141と外ガラス142との間に挟まれた体積ホログラム150に入射する。体積ホログラム150は、入射された映像光ILを運転者Dに向けて回折する。この結果、運転者Dは、フロントガラス140越しに、スクリーン125に映し出された映像の虚像VIを視認することができる。

0070

上述の如く、本実施形態において、体積ホログラム150として、透過型のホログラムが用いられる。したがって、フロントガラス140の周囲における映像光ILの光路は、図32乃至図35に関連して説明された従来のHUD900の映像光ILの光路と異なる。体積ホログラム150及びフロントガラス140中で形成された映像光ILの光路に沿って、映像光ILは、運転者Dに向けて伝搬する。この結果、運転者Dは、フロントガラス140越しに、スクリーン125に映し出された映像の虚像VIを視認することができる。尚、フロントガラス140の周囲の映像光ILの光路は後述される。

0071

図1Bは、透過型のホログラムとして機能する体積ホログラム150の露光光学系160の概略図である。図1A及び図1Bを用いて、体積ホログラム150に干渉縞を記録するための光学系(露光光学系160)が説明される。

0072

露光光学系160は、図1Aに関連して説明されたレーザ光源110が出射するレーザ光LBと同じ波長を有するレーザ光RLBを受けるハーフミラー161を備える。ハーフミラー161は、レーザ光RLBを物体光OLと参照光RLとに分割する。

0073

露光光学系160は、物体光OLを受けるレンズ162と、レンズ162と体積ホログラム150との間に配設されたピンホール板163と、を更に備える。ピンホール板163には小孔が形成されている。

0074

物体光OLは、ハーフミラー161からレンズ162へ向かう。レンズ162は、ピンホール板163の小孔に向けて集光する。この結果、ピンホール板163を通過した物体光OLは球面波となる。その後、物体光OLは、体積ホログラム150の第1面151に入射する。

0075

露光光学系160は、参照光RLを体積ホログラム150に向けて偏向する折返ミラー164と、折返ミラー164からの参照光RLを受けるレンズ165と、レンズ165と体積ホログラム150との間に配設されたピンホール板166と、を更に備える。物体光OL用のピンホール板163と同様に、ピンホール板166には小孔が形成されている。

0076

参照光RLは、ハーフミラー161から折返ミラー164に向かう。折返ミラー164は、レンズ165に向けて、参照光RLを偏向する。レンズ165は、ピンホール板166の小孔に向けて集光する。この結果、ピンホール板166を通過した参照光RLは、球面波となる。

0077

体積ホログラム150は、上述の如く、物体光OLが入射する第1面151と、第1面151とは反対側の第2面152と、を含む。図33Aに関連して説明された露光光学系960とは異なり、本実施形態の露光光学系160の参照光RLが、体積ホログラム150の第1面151に入射するように、折返ミラー164、レンズ165及びピンホール板166は設置される。

0078

体積ホログラム150の第1面151に入射した物体光OL及び参照光RLによる二光束干渉により体積ホログラム150内に干渉縞が記録される。物体光OL及び参照光RLによる二光束干渉により記録された干渉縞は、第1干渉縞として例示される。

0079

図32に関連して説明された反射型のホログラムとして機能する体積ホログラム950と異なり、本実施形態の体積ホログラム150に形成された干渉縞は、第1面151から第2面152への光の伝搬を許容する。したがって、本実施形態の体積ホログラム150は、透過型のホログラムとして機能する。

0080

物体光OLが通過するピンホール板163の小孔の位置が、図1Aに関連して説明されたHUD100のスクリーン125の中央領域に相当するように、ピンホール板163は、体積ホログラム150に対して位置決め並びに角度設定される。図1Aには、体積ホログラム150からスクリーン125の中央領域までの距離が、「L2」の符号を用いて示されている。図1Bに示されるように、ピンホール板163の小孔から体積ホログラム150までの距離も、同様に、「L2」である。

0081

参照光RLが通過するピンホール板166の小孔の位置が、図1Aに関連して説明されたHUD100が作り出す虚像VIの中央領域に相当するように、ピンホール板166は、体積ホログラム150に対して位置決め並びに角度設定される。図1Aには、体積ホログラム150から虚像VIの中央領域までの距離が、「L1」の符号を用いて示されている。図1Bに示されるように、ピンホール板166の小孔から体積ホログラム150までの距離も、同様に、「L1」である。

0082

上述の露光光学系160の光学的設定の下、物体光OL及び参照光RLが、所定時間、体積ホログラム150に照射されるならば、体積ホログラム150に干渉縞が記録される。この結果、体積ホログラム150は、上述の如く、透過型のホログラムとして機能する。

0083

体積ホログラムとしてフォトポリマが用いられるならば、一般的に、体積ホログラム内に位相ホログラム干渉パターン一種)が形成される。体積ホログラムとしてフォトポリマが用いられるならば、典型的には、露光処理の後、紫外線の照射や熱処理が実行され、干渉縞の定着がなされる。本実施形態において、フォトポリマ以外の材料が体積ホログラムとして用いられてもよい。例えば、体積ホログラムに用いられる材料として、写真用感材(例えば、ハロゲン化銀)、サーモプラスチックフォトレジストが用いられてもよい。代替的に、体積ホログラムとして利用可能な他の材料が用いられてもよい。本実施形態の原理は、体積ホログラムとして用いられる特定の材料に限定されるものではない。

0084

図2は、映像光ILの透過を許容する干渉縞が形成された体積ホログラム150中の映像光ILの光路を概略的に示す。図2を用いて、フロントガラス140の周囲の映像光ILの光路が説明される。

0085

図2には、HUD100のスクリーン125及びスクリーン125から出射された映像光ILが示されている。映像光ILは、フロントガラス140の内ガラス141に入射する。映像光ILは、その後、内ガラス141を透過し、体積ホログラム150の第1面151に入射する。尚、フロントガラス140中に配設された体積ホログラム150の第1面151(物体光OL及び参照光RLが入射した面)は、運転者Dに対向している。

0086

体積ホログラム150内に形成された干渉縞は、所定の回折角度で映像光ILを回折する一方で、第1面151から第2面152への透過を許容する。したがって、体積ホログラム150に入射した映像光ILは、直接的に運転者Dに向かうことなく、外ガラス142に向けて伝搬する。以下の説明において、体積ホログラム150によって回折された映像光は、回折光DLと称される。

0087

図3は、図32乃至図35に関連して説明された反射型の体積ホログラム950中の映像光ILの光路を概略的に示す。図2及び図3を用いて、透過型の体積ホログラム150と反射型の体積ホログラム950との間での映像光ILの光路の差異が説明される。

0088

図3には、HUD900のスクリーン925及びスクリーン925から出射した映像光ILが示されている。スクリーン925から出射された映像光ILは、フロントガラス940の内ガラス941に入射する。映像光ILは、その後、内ガラス941を透過し、体積ホログラム950に入射する。

0089

上述の如く、体積ホログラム950は、反射型のホログラムとして機能するので、体積ホログラム950中に形成された干渉縞は、運転者Dに向けて映像光ILを直接的に回折する。

0090

図1A乃至図2を再度用いて、体積ホログラム150を透過した後の映像光ILの光路が説明される。

0091

上述の如く、体積ホログラム150によって回折された回折光DLは、外ガラス142の外面144に向かう。回折光DLの一部は、外ガラス142の外面144において、フレネル反射する。外面144で反射された回折光DLは、再度、外ガラス142及び体積ホログラム150を透過し、最終的に、内ガラス141の内面143から運転者Dに向けて出射される。尚、外ガラス142から内ガラス141に向かう回折光DLの進行方向は、図1Bに関連して説明された露光工程における物体光OL及び参照光RLの進行方向とは大きく異なる。したがって、体積ホログラム150は、外ガラス142から内ガラス141に向かう回折光DLをほとんど回折しない。外ガラス142の外面144においてフレネル反射されない残りの回折光DLは、図2点線に沿って車外に放出される。かくして、透過型のホログラムとして機能する体積ホログラム150の使用下においても、運転者Dは、従来のHUD900と同様に、スクリーン125上に投射された映像の虚像VIを観察することができる。本実施形態において、外ガラス142の外面144は、映像光をフレネル反射させる界面として例示される。

0092

図4Aは、露光光学系160の主光線の経路を概略的に示す。図4Aを用いて、透過型のホログラムとして機能する体積ホログラム150が組み込まれたHUD100中で発生する迷光が説明される。

0093

HUD900と同様に、HUD100においても迷光が発生する。図4Aには、ピンホール板163,166の後の光学系が示されている。また、迷光の発生原理の理解を容易にするために、図4Aには、物体光OLの主光線OMB及び参照光RLの主光線RMBのみが描かれている。

0094

迷光の発生原理は、主光線OMB,RMBを用いて、以下に説明される。しかしながら、迷光の発生原理は、主光線OMB,RMBの干渉だけでなく、二光束によって干渉が発生するならば(例えば、干渉が生ずる角度の許容範囲内である場合や波長が異なる場合)、同様に適用される。

0095

光が、周囲空間(空気)と屈折率が異なる透明な物体に入射するならば、周囲空間と透明な物体との境界において、光の一部はフレネル反射する。

0096

図4Aにおいて、体積ホログラム150の第1面151と境界をなす空間は、「室内空間」と称される。体積ホログラム150の第2面152と境界をなす空間は、「室外空間」と称される。

0097

物体光OLの主光線OMBは、体積ホログラム150の第1面151に入射し、その後、第2面152に到達する。主光線OMBの一部は、上述の原理に従って、フレネル反射する。この結果、主光線OMBの反射光OMRが発生する。

0098

参照光RLの主光線RMBも同様に、体積ホログラム150の第1面151に入射し、その後、第2面152に到達する。主光線RMBの一部は、上述の原理に従って、フレネル反射する。この結果、主光線RMBの反射光RMRが発生する。

0099

上述のフレネル反射の結果、4種類の光線が体積ホログラム950を通過する。この結果、体積ホログラム950内には、4種類の光線間の干渉の結果生ずる干渉縞が記録される。

0100

以下の説明において、物体光OLの主光線OMBと参照光RLの主光線RMBとの間での干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞1」と称される。物体光OLの主光線OMBと主光線OMBの反射光OMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞2」と称される。参照光RLの主光線RMBと主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞3」と称される。物体光OLの主光線OMBの反射光OMRと参照光RLの主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞4」と称される。物体光OLの主光線OMBと、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞5」と称される。参照光RLの主光線RMBと物体光OLの主光線OMBの反射光OMRとの干渉によって形成される干渉縞は、「干渉縞6」と称される。

0101

上述の如く、体積ホログラム150内には、6種類の干渉縞が形成される。尚、干渉縞2乃至6は、干渉縞1と比べて、屈折率の変調量は小さい。

0102

体積ホログラム150内に形成された6種類の干渉縞のうち3種類の干渉縞が運転者Dに向かう迷光を引き起こす。迷光の原因となる干渉縞は、「干渉縞1」、「干渉縞3」及び「干渉縞4」である。

0103

図4Bは、干渉縞1に起因する迷光を概略的に示す。図5Aは、干渉縞3に起因する迷光を概略的に示す。図5Bは、干渉縞4に起因する迷光を概略的に示す。尚、図4B乃至図5Bに示される体積ホログラム150は、HUD100内に組み込まれている。したがって、図4B乃至図5Bは、内ガラス141と外ガラス142との間に挟まれた体積ホログラム150を示す。体積ホログラム150がHUD100に組み込まれるならば、物体光OLや参照光RLは存在しないが、迷光の発生原理を明瞭に説明するために、図4B乃至図5Bは、ピンホール板163,164の後の光学系も概略的に示している。

0104

図4Bは、干渉縞1に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。図4Bを用いて、干渉縞1に起因して生ずる迷光が説明される。

0105

外光は、外ガラス142に入射する。図4Bには、内ガラス141に対する物体光OLの主光線OMBの入射角と等しい入射角で外ガラス142に入射する外光成分SL1が示されている。外光成分SL1は、外ガラス142、体積ホログラム150及び内ガラス141を順次通過し、内ガラス141と室内空間との境界に到達する。外光成分SL1の一部は、内ガラス141の内面143と室内空間との境界でフレネル反射し、再度、体積ホログラム150に向かう。その後、外光成分SL1の一部は、体積ホログラム150に記録された干渉縞1によって回折される。この結果、外光成分SL1の一部は、参照光RLの主光線RMBと同じ経路に沿って伝搬し、外ガラス142の外面144にてフレネル反射される。最終的に、外光成分SL1の一部は、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRと同じ方向に出射される。この結果、外光成分SL1の一部は、運転者Dに迷光として知覚される。

0106

図5Aは、干渉縞3に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。図5Aを用いて、干渉縞3に起因して生ずる迷光が説明される。

0107

室内空間から内ガラス141に入射する外光も存在する。図5Aには、参照光RLの主光線RMBの入射角度と同じ角度で、内ガラス141に入射する外光成分SL3が示されている。外光成分SL3は、室内空間から内ガラス141に入射する。その後、外光成分SL3は、内ガラス141を通過し、体積ホログラム150に到達する。体積ホログラム150に記録された干渉縞3は、外光成分SL3の一部を、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRと同じ方向に回折する。最終的に、外光成分SL3の一部は、内ガラス141から参照光RLの主光線RMBの反射光RMRと同じ方向に出射される。この結果、外光成分SL3は、運転者Dに迷光として知覚される。

0108

図5Bは、干渉縞4に起因する迷光の発生原理を概略的に示す。図5Bを用いて、干渉縞4に起因して生ずる迷光が説明される。

0109

図5Bには、外ガラス142の外面144における物体光OLの主光線OMBの反射光OMRの反射角と同じ角度で外面144に入射する外光成分SL4が示されている。外光成分SL4は、干渉縞4によって回折され、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRと同じ方向に進行し、内ガラス141から出射される。この結果、外光成分SL4は、運転者Dに迷光として知覚される。

0110

(シースルーディスプレイ装置の効果)
第1実施形態のシースルーディスプレイ装置として例示されるHUD100の効果が、以下に説明される。

0111

本実施形態のHUD100は、透過型のホログラムとして機能する体積ホログラム150を備える。図1Bに関連して説明された如く、体積ホログラム150に干渉縞を記録するための露光工程において、参照光RL及び物体光OLは、体積ホログラム150の第1面151に入射する。この結果得られた体積ホログラム150中の干渉縞によって発生する迷光の経路は、図32乃至図35に関連して説明された反射型のホログラムとして機能する体積ホログラム950の迷光の発生経路に類似している。

0112

例えば、図5B図35とが比較されるならば、体積ホログラム150中の干渉縞4に起因する迷光の発生経路は、体積ホログラム950中の干渉縞6に起因する迷光の発生経路に類似していることが分かる。本実施形態において用いられる体積ホログラム150は、干渉縞4に起因する迷光(外光成分SL4)の明るさを、体積ホログラム950中の干渉縞6に起因する迷光(外光成分EC3)の明るさと比べて、大幅に低減することができる。

0113

迷光の輝度は、形成された干渉縞の回折効率に依存する。干渉縞の回折効率は、干渉縞が記録されるときの二光束の光量に依存する。干渉縞が記録されるときの二光束の光量が高いならば、記録された干渉縞の回折効率は高くなる。

0114

体積ホログラム950の干渉縞6は、参照光RLの主光線RMBと物体光OLの主光線OMBの反射光OMRの二光束間の干渉によって発生する。一方、体積ホログラム150の干渉縞4は、物体光OLの主光線OMBの反射光OMRと参照光RLの主光線RMBの反射光RMRとの干渉によって発生する。即ち、体積ホログラム150の干渉縞4は、フレネル反射に起因する反射光OMR,RMRの二光束によって発生するので、体積ホログラム950の干渉縞6の記録に寄与する光線の光量より低い光量で干渉縞4が形成される。したがって、本実施形態のHUD100に用いられる体積ホログラム150の干渉縞4は、HUD900の体積ホログラム950の干渉縞6よりも回折効率が低くなる。かくして、類似の経路で発生する迷光(外光成分SL4,外光成分EC3)を比較すると、HUD900の迷光(外光成分EC3)と比べて、HUD100の迷光(外光成分SL4)の輝度は小さくなる。したがって、HUD100は、HUD900と比べて、視認しやすい高画質の映像を表示することができる。

0115

例えば、フレネル反射率が5%であるならば、体積ホログラム150の干渉縞4の回折効率は、体積ホログラム950の干渉縞6の回折効率の1/20になる。したがって、HUD100の迷光(外光成分SL4)の輝度は、HUD900の迷光(外光成分EC3)の輝度の1/20にまで低減される。

0116

<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUD100Aの概略図である。図6を用いて、HUD100Aが説明される。尚、第1実施形態に関連して説明されたHUD100と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。HUD100と同様の要素に対して、第1実施形態の説明が援用される。

0117

HUD100Aは、第1実施形態のHUD100と同様に、レーザ光源110、投射光学系120、制御部130、フロントガラス140及び体積ホログラム150を備える。本実施形態のHUD100Aは、フロントガラス140の内面143に取り付けられた1/2波長板を更に備える。

0118

図7は、HUD100Aのフロントガラス140の周囲の概略的な拡大図である。図6及び図7を用いて、HUD100Aが更に説明される。

0119

フロントガラス140の内面143に取り付けられた1/2波長板145は、体積ホログラム150に形成された干渉縞1によって迷光として知覚される外光成分SL1の輝度を低減させる。本実施形態において、1/2波長板145は、体積ホログラム150の第1面151へ向かう映像光ILの光路を横切るように配設される。代替的に、1/2波長板145は、体積ホログラム150の第2面152へ向かう光路を横切るように配設されてもよい。外光成分SL1の輝度の低減原理(後述される)は、第1面151又は第2面152に沿って配設された1/2波長板145に適用されてもよい。

0120

P偏光の反射率は、S偏光の反射率よりも小さい。1/2波長板145が存在しないならば、室外空間から入射した外光のS偏光成分は、S偏光成分のまま迷光となる。また、P偏光成分は、P偏光成分のまま迷光となる。

0121

1/2波長板145の存在下において、外光のS偏光成分は、1/2波長板145と空気との間の界面において、P偏光になる。1/2波長板145と空気との間の界面においてフレネル反射したP偏光成分は、再度、1/2波長板を通過し、S偏光成分に戻る。最終的に、S偏光成分は、1/2波長板145から運転者Dに向けて出射されるときにP偏光成分に変換される。

0122

図8は、入射角と反射率との間の関係を概略的に示すグラフである。図8のグラフは、S偏光成分とP偏光成分との光学的特性の差異を表す。図7及び図8を用いて、体積ホログラム150に形成された干渉縞1によって迷光として知覚される外光成分SL1の透過率が説明される。

0123

外光成分SLの透過率の計算において、内ガラス141、外ガラス142及び体積ホログラム150の屈折率として、例えば、「1.5」の値が用いられてもよい。また、物体光OLの主光線OMBの内ガラス141への入射角度として、「45°」の値が用いられてもよい。体積ホログラム150に記録された干渉縞1の回折効率として、「50%」の値が用いられてもよい。偏向角(体積ホログラム150内において、物体光OLの主光線OMBと参照光RLの主光線RMBとがなす角度)として、「5°」の値が用いられてもよい。

0124

上述の計算条件の下、1/2波長板145が存在しないならば、入射光に対して、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRと同じ向きで内ガラス141から出射されるS偏光の割合は、「0.5%」となる。また、P偏光の割合は、同条件の下、「0%」となる。

0125

上述のS偏光とP偏光との間での出射光の割合の差異は、S偏光とP偏光との間での透過率及び反射率に関する特性の差異に起因する。即ち、外ガラス142と空気との界面におけるS偏光の透過率が91%であるのに対して、外ガラス142と空気との界面におけるP偏光の透過率が99%である。内ガラス141と空気との界面におけるS偏光の反射率が9.2%であるのに対し、内ガラス141と空気との界面におけるP偏光の反射率が0.85%である。外ガラス142と空気との界面におけるS偏光の反射率が14%であるのに対し、外ガラス142と空気との界面におけるP偏光の反射率は、0.016%である。内ガラス141と空気との界面におけるS偏光の透過率が86%であるのに対し、内ガラス141と空気との界面におけるP偏光の透過率が100%である。

0126

上述の計算条件の下、1/2波長板145が存在するならば(図7参照)、入射光に対して、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRと同じ向きで内ガラス141から出射されるS偏光の割合は、「0.046%」となる。また、P偏光の割合は、同条件の下、「0.001%」となる。即ち、1/2波長板145によって、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRと同じ向きで内ガラス141から出射される総光量は、一桁以上低減される。このことは、フロントガラス140と空気との界面におけるP偏光成分の反射率が、S偏光成分の反射率より小さいことに起因する。

0127

1/2波長板145の存在下において、外ガラス142に入射したS偏光成分及びP偏光成分はともに、P偏光成分として1回フレネル反射する結果、全体として、これらの透過率が低減される。したがって、1/2波長板145は、体積ホログラム150に形成された干渉縞1によって迷光として知覚される外光成分SL1の輝度を低減させる。かくして、HUD100Bは、高画質の映像を表示することができる。

0128

図7に示される1/2波長板145は、フロントガラス140の内面143に取り付けられている。代替的に、1/2波長板145は、体積ホログラム150の第1面151と内ガラス141との間に取り付けられてもよい。更に代替的に、1/2波長板145は、体積ホログラム150の第2面152と外ガラス142との間に取り付けられてもよい。更に代替的に、1/2波長板145は、フロントガラス140の外面144に取り付けられてもよい。これらの1/2波長板145の様々な配置の下においても、外光成分SL1の輝度は好適に低減される。

0129

<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUD100Bの概略図である。図9を用いて、HUD100Bが説明される。尚、第1実施形態に関連して説明されたHUD100と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。HUD100と同様の要素に対して、第1実施形態の説明が援用される。

0130

HUD100Bは、第1実施形態のHUD100と同様に、レーザ光源110、投射光学系120、制御部130、フロントガラス140及び体積ホログラム150を備える。本実施形態のHUD100Bは、フロントガラス140の内面143に形成された反射防止コートを更に備える。

0131

図10は、HUD100Bのフロントガラス140の周囲の概略的な拡大図である。図10を用いて、HUD100Bが更に説明される。

0132

フロントガラス140の内面143上に形成された反射防止コート146は、体積ホログラム150に形成された干渉縞1によって迷光として知覚される外光成分SL1の輝度を低減させる。本実施形態において、反射防止コート146は、フロントガラス140の内面143におけるフレネル反射を抑制する。この結果、反射防止コート146は、体積ホログラム150の第1面151に向かう反射光を低減させる。かくして、HUD100Bは、高画質の映像を表示することができる。

0133

反射防止コート146は、TiO2といった高屈折材料と、SiO2といった低屈折材料とを真空蒸着法によって多層又は単層コートして形成されてもよい。本実施形態において、反射防止コート146は、フロントガラス140に形成される。したがって、反射防止コート146は、大きな面積で形成される。したがって、反射防止コート146は、樹脂フィルム基材と、樹脂フィルム基材に塗布されたフッ素モノマ材料を主成分とする塗液とを含んでもよい。このようなウェットコートされた反射防止コート146がフロントガラス140の内面143に貼り付けられてもよい。尚、本実施形態の原理は、反射防止コート146の種類や構成に何ら限定されない。反射防止コート146が、所定波長の光の反射を抑制するならば、外光成分SL1の輝度は好適に低減される。

0134

<第4実施形態>
図11は、第4実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUD100Cの概略図である。図11を用いて、HUD100Cが説明される。尚、第3実施形態に関連して説明されたHUD100Bと同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。HUD100Bと同様の要素に対して、第4実施形態の説明が援用される。

0135

HUD100Cは、第3実施形態のHUD100Bと同様に、レーザ光源110、投射光学系120、制御部130、フロントガラス140及び体積ホログラム150を備える。本実施形態のHUD100Cは、フロントガラス140の内面143に形成された反射防止構造体を備える。

0136

図12は、HUD100Cのフロントガラス140の周囲の概略的な拡大図である。図12を用いて、HUD100Cが更に説明される。

0137

フロントガラス140の内面143上に形成された反射防止構造体147は、体積ホログラム150に形成された干渉縞1によって迷光として知覚される外光成分SL1の輝度を低減させる。本実施形態において、反射防止構造体147は、フロントガラス140の内面143におけるフレネル反射を抑制する。この結果、反射防止構造体147は、体積ホログラム150の第1面151に向かう反射光を低減させる。かくして、HUD100Cは、高画質の映像を表示することができる。反射防止構造体147として、波長程度の大きさのモスアイ構造が例示される。

0138

<第5実施形態>
図13は、第5実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUD100Dの概略図である。図13を用いて、HUD100Dが説明される。尚、第1実施形態に関連して説明されたHUD100と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。HUD100と同様の要素に対して、第1実施形態の説明が援用される。

0139

HUD100Dは、第1実施形態のHUD100と同様に、レーザ光源110、投射光学系120、制御部130、フロントガラス140及び体積ホログラム150を備える。

0140

図14は、フロントガラス140及びフロントガラス140へ映像光ILを投射する投射光学系120の概略図である。図8図13及び図14を用いて、体積ホログラム150に記録された干渉縞3によって迷光として知覚される外光成分SL3の輝度を低減させるための手法が説明される。

0141

図14には、投射光学系120の投射レンズ124及びスクリーン125が示されている。HUD100Dの投射光学系120、レーザ光源110及び制御部130は、車両のダッシュボード170内に収容される。したがって、ダッシュボード170は、内ガラス141とスクリーン125との間に配設される。本実施形態において、ダッシュボード170は、HUD100Dの一部として用いられる。

0142

HUD100Dは、内ガラス141とスクリーン125との間に配設されたダッシュボード170に取り付けられたカバーガラス171を更に備える。図14には、体積ホログラム150に干渉縞を記録するために用いられた物体光OLの主光線OMB及び参照光RLの主光線RMBの光路を室内に延長した光路線K1(物体光)及び光路線K2(参照光)が点線で表されている。

0143

ダッシュボード170には、投射光学系120からの映像光ILの通過を許容するための開口部が形成される。ダッシュボード170の開口部を覆うカバーガラス171は、開口部を通じて、ダッシュボード170内に埃が流入することを防止する。

0144

体積ホログラム150の干渉縞は、図4Aに関連して説明されたように、参照光RLと物体光OLの二光束の下方から照射によって形成される。このとき、参照光RLが物体光OLに過度に近づけられるならば、迷光(外光成分SL3)が発生する。以下に、外光成分SL3による迷光の発生原理が説明される。

0145

例えば、室外からの太陽光といった外光(外光成分SL3)は、カバーガラス171の表面で正反射する。カバーガラス171及び投射光学系120に用いられる光学部品が、参照光RLの主光線RMBの光路線K2上に存在し、且つ、カバーガラス171の表面で反射した光の反射角度が参照光RLの主光線RMBの角度に一致するならば、図14の点線で示される光路に沿って伝搬し、最終的に、運転者Dに視認される。

0146

波長以下の面精度で全面に亘って仕上げられた表面を有するカバーガラス171は、高画質の映像を表示するのに好適である。しかしながら、このようなカバーガラス171は、表面での光学的ロス(例えば、拡散)をほとんど生じさせることなく、外光(外光成分SL3)を正反射する。この結果、カバーガラス171及び投射光学系120に用いられる光学部品が、参照光RLの主光線RMBの光路線K2上に存在するならば、外光成分SL3は、運転者Dに迷光として知覚されやすくなる。

0147

図14に示される如く、本実施形態において、カバーガラス171及び投射光学系120は、参照光RLの主光線RMBの光路線K2上には存在しない。したがって、参照光RLの主光線RMBの角度に一致する外光(外光成分SL3)は、発生しにくくなる。かくして、運転者Dは、体積ホログラム150の干渉縞3に起因する迷光(外光成分SL3)を知覚しにくくなる。

0148

ダッシュボード170は、典型的には、濃色の材料を用いて形成される。また、ダッシュボード170の表面には、艶消し処理が施される。更に、ダッシュボード170の表面は、粗い表面粗さを有する。本実施形態の光学的設計において、図14に示される如く、参照光RLの主光線RMBの光路線K2は、ダッシュボード170と交差する。ダッシュボード170の上述の特性(光拡散機能)は、参照光RLの主光線RMBの光軸方向へ反射する光量を大幅に低減することに寄与するので、運転者Dは、体積ホログラム150の干渉縞3に起因する迷光(外光成分SL3)を知覚しにくくなる。本実施形態において、ダッシュボード170は、光拡散体として例示される。

0149

尚、ダッシュボード170に代えて、HUD100Dは、参照光RLの主光線RMBの光路線K2上に配設された他の光拡散体を備えてもよい。参照光RLの主光線RMBの光路線K2上で光が拡散されるならば、干渉縞3に起因する迷光(外光成分SL3)は知覚されにくくなる。

0150

<第6実施形態>
図15は、体積ホログラムに干渉縞を形成するための他の方法を概略的に説明する図である。図15を用いて、体積ホログラムに干渉縞を形成するための他の方法が説明される。尚、第6実施形態に関連して説明される体積ホログラムは、第1実施形態乃至第5実施形態のHUD100乃至100Dの体積ホログラム150に代えて、好適に利用可能である。

0151

図15には、体積ホログラム150Aが示されている。体積ホログラム150Aが参照光RL及び物体光OLによって露光されるとき、体積ホログラム150Aの第2面152には、1/4波長板180が取り付けられる。

0152

体積ホログラム150Aの第1面151に入射する物体光OL及び参照光RLは、図15紙面垂直方向に偏光される。即ち、物体光OL及び参照光RLはともに、第1面151に対して、S偏光で入射する。この結果得られた体積ホログラム150Aは、上述の干渉縞3に起因する迷光(外光成分SL3)を低減することができる。

0153

迷光の発生原理の理解を容易にするために、図15には、物体光OLの主光線OMB及び参照光RLの主光線RMBのみが描かれている。

0154

迷光の発生原理は、主光線OMB,RMBを用いて、以下に説明される。尚、主光線OMB,RMBは、第1実施形態と同様に、ピンホール板を通じて、拡散しながら体積ホログラム150Aに入射している(図1B参照)。しかしながら、迷光の発生原理は、主光線OMB,RMBの干渉だけでなく、二光束によって干渉が発生するならば(例えば、干渉が生ずる角度の許容範囲内である場合や波長が異なる場合)、同様に適用される。

0155

体積ホログラム150Aの入射面に対してS偏光に入射した物体光OLの主光線OMBは、体積ホログラム150Aの第1面151に入射する。その後、物体光OLの主光線OMBは、体積ホログラム150Aを透過し、1/4波長板180に入射する。

0156

物体光OLの主光線OMBは、1/4波長板180を透過し、1/4波長板180と空気との界面に到達する。1/4波長板180と空気との界面において、物体光OLの主光線OMBの一部は、フレネル反射し、物体光OLの主光線OMBの反射光OMRとなる。反射光OMRは、主光線OMBとは逆に第1面151に向けて進行する。1/4波長板180と空気との界面において、残りの物体光OLの主光線OMBは、1/4波長板180を透過し、空気中に放出される。

0157

物体光OLの主光線OMBが1/4波長板180を往復する結果、物体光OLの主光線OMBの反射光OMRは、P偏光になる。したがって、物体光OLの主光線OMBの反射光OMRは、P偏光のまま、体積ホログラム150Aから空気中に出射される。

0158

参照光RLの主光線RMBも、上述の如く、S偏光で、体積ホログラム150Aに入射する。その後、参照光RLの主光線RMBは、体積ホログラム150Aを透過し、1/4波長板180に入射する。参照光RLの主光線RMBは、1/4波長板180を透過し、1/4波長板180と空気との界面に到達する。1/4波長板180と空気との界面において、参照光RLの主光線RMBの一部は、フレネル反射し、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRとなる。反射光RMRは、主光線RMBとは逆に第1面151に向けて進行する。1/4波長板180と空気との界面において、残りの参照光RLの主光線RMBは、1/4波長板180を透過し、空気中に放出される。

0159

参照光RLの主光線RMBが、1/4波長板180を往復する結果、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRは、P偏光になる。したがって、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRは、P偏光のまま、体積ホログラム150Aから空気中に出射される。

0160

一般的に、P偏光とS偏光は干渉しない。したがって、体積ホログラム150A内において、上述の干渉縞2、干渉縞3、干渉縞5及び干渉縞6は生じない。したがって、干渉縞3に起因する迷光(外光成分SL3)は生じにくくなる。

0161

1/4波長板180に代えて、体積ホログラム150Aの第2面152に反射防止コートが配置されてもよい。この結果、物体光OLの主光線OMBの反射光OMRと参照光RLの主光線RMBの反射光RMRとの間での干渉が生じにくくなる。したがって、干渉縞4に起因する迷光(外光成分SL4)(図5B参照)が生じにくくなる。

0162

本実施形態において、体積ホログラム150Aに干渉縞を記録するための参照光RLの主光線RMB及び物体光OLの主光線OMBはともに入射面に対してS偏光である。代替的に、参照光RLの主光線RMB及び物体光OLの主光線OMBはともに入射面に対してP偏光であってもよい。このとき、参照光RLの主光線RMBの反射光RMR及び物体光OLの主光線OMBの反射光RMRはともにS偏光となる。

0163

<第7実施形態>
図16Aは、第7実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUD200の概略図である。図16Aを用いて、HUD200が説明される。尚、第1実施形態に関連して説明されたHUD100と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。HUD100と同様の要素に対して、第1実施形態の説明が援用される。

0164

HUD200は、第1実施形態のHUD100と同様に、レーザ光LBを出射するレーザ光源110を備える。HUD200は、レーザ光LBに基づき、映像光ILを生成する投射光学系220を更に備える。

0165

投射光学系220は、レーザ光源110からのレーザ光LBを受けるMEMSミラー223と、MEMSミラー223からのレーザ光LBを受けるスクリーン225と、を含む。MEMSミラー223は、レーザ光LBを走査し、スクリーン225上に映像を形成する。この結果、スクリーン225から映像光ILが出射される。

0166

HUD200は、制御部230を更に備える。制御部230は、レーザ光源110とMEMSミラー223とを制御する。この結果、所望の映像を表示するための映像光ILが生成される。

0167

第1実施形態のHUD100と同様に本実施形態のHUD200も車両に搭載される。車両の運転者Dは、HUD200からの映像を観察する。しかしながら、第1実施形態のHUD100とは異なり、本実施形態のHUD200は、運転者Dよりも上方から映像光ILを投射する。

0168

上述の如く、レーザ光源110から出射されたレーザ光LBは、MEMSミラー223によって走査され、スクリーン225を照明する。MEMSミラー223及びレーザ光源110は、制御部230に電気的に接続される。制御部230は、表示される映像に対応する画像情報に従って、MEMSミラー223の走査タイミング及びレーザ光LBの強度を制御する。制御部230の制御下で、MEMSミラー223の走査タイミングに応じて、レーザ光LBの強度が変調される結果、スクリーン225に投射される映像が形成される。

0169

第1実施形態のHUD100と同様に、車両のフロントガラス140は、HUD200の一部として利用される。HUD200は、フロントガラス140の内ガラス141及び外ガラス142の間に配設された体積ホログラム250を更に備える。体積ホログラム250は、第1実施形態に関連して説明された体積ホログラム150と同様に、透過型のホログラムとして機能する。尚、体積ホログラム250の回折角は、第1実施形態に関連して説明された体積ホログラム150の回折角とは相違する。したがって、体積ホログラム250中に記録される干渉縞を記録するための露光光学系の配置は、第1実施形態に関連して説明された体積ホログラム150に適用された露光光学系とは相違する。

0170

図16Bは、体積ホログラム250に適用される露光光学系260の概略図である。図16A及び図16Bを用いて、体積ホログラム250に適用される露光光学系260が説明される。

0171

露光光学系260は、物体光OLを球面波に整形するピンホール板263を備える。ピンホール板263には小孔が形成されている。物体光OLは、ピンホール板263の小孔を通じて、体積ホログラム250の第1面151を照射する。尚、図16Bには、体積ホログラム250を照射する物体光OLの主光線OMBが示されている。

0172

スクリーン225の中央領域は、体積ホログラム250から「距離L2」だけ離間して配設される。ピンホール板263の小孔が同様に、体積ホログラム250から「距離L2」だけ離間するように、ピンホール板263は配設される。また、物体光OLが、HUD200の映像光ILと同じ角度で体積ホログラム250に入射するように、ピンホール板263が設置される。

0173

露光光学系260は、参照光RLを球面波に整形するピンホール板266を備える。ピンホール板266には小孔が形成されている。参照光RLは、ピンホール板266の小孔を通じて、体積ホログラム250の第1面151を照射する。尚、図16Bには、体積ホログラム250を照射する参照光RLの主光線RMBが示されている。

0174

図16Aに示される如く、運転者Dに観察される虚像VIの中央領域は、体積ホログラム250から「距離L1」だけ離間して配設される。ピンホール板266の小孔が同様に、体積ホログラム250から「距離L1」だけ離間するように、ピンホール板266は配設される。

0175

図16Bには、体積ホログラム250の第1面151に対して垂直な垂面PP(主光線OMB,RMBとの交点における垂面PP)が示されている。以下の説明において、垂面PPより上方(運転者D)に傾斜した角度は、プラス(+)側(正の角度)と称される。垂面PPより下方に傾斜した反対側角度は、マイナス(−)側(負の角度)と称される。

0176

第1実施形態に関連して説明された体積ホログラム150に適用された露光光学系160(図2参照)において、物体光OLの主光線OMB及び参照光RLの主光線RMBはともにマイナスの角度で入射する。また、物体光OLの主光線OMBの反射光OMR及び参照光RLの主光線RMBの反射光RMRはともにプラスの角度で出射する。

0177

第1実施形態とは異なり、体積ホログラム250に適用される露光光学系260において、物体光OLの主光線OMBは、プラスの角度で体積ホログラム250に入射する。一方、参照光RLの主光線RMBは、マイナスの角度で体積ホログラム250に入射する。物体光OLの主光線OMBの反射光OMRは、マイナスの角度で体積ホログラム250から出射される。一方、参照光RLの主光線RMBの反射光RMRは、プラスの角度で体積ホログラム250から出射される。

0178

図17は、フロントガラス140の周囲における光路を概略的に示す。図16A及び図16Bに関連して説明された光学的設計は、多重像の低減に寄与する。図17を用いて、多重像の低減効果が説明される。

0179

映像光ILは、スクリーン225から出射された後、フロントガラス140の内ガラス141に入射する。フロントガラス140の内面143は、映像光ILの一部をフレネル反射する。図17には、フロントガラス140の内面143における映像光ILのフレネル反射光(表面反射光ILR1)が示されている。表面反射光ILR1は、図16Bの定義の下、マイナス方向に進行する。したがって、運転者Dは、表面反射光ILR1をほとんど知覚しない。

0180

映像光ILは、内ガラス141中を進み、体積ホログラム250に入射する。体積ホログラム250内に形成された干渉縞によって、映像光ILの一部は回折され、回折光DLとなる。残りの映像光ILは、回折されることなく直進する。この結果、残りの映像光ILは、フロントガラス140の外面144に到達する。

0181

フロントガラス140の外面144は、映像光ILの一部をフレネル反射する。図17には、フロントガラス140の外面144によって反射された裏面反射光ILR2が示されている。裏面反射光ILR2は、最終的に、内ガラス141を透過し、フロントガラス140の内面143から出射される。裏面反射光ILR2は、表面反射光ILR1と同様に、マイナス方向に進行する。運転者Dは、裏面反射光ILR2をほとんど知覚しない。したがって、HUD200は、多重像をほとんど生じさせることなく、高画質の映像を表示することができる。

0182

図16Bに関連して説明されたように、マイナスの角度で入射した参照光RLとプラスの角度で入射した物体光OLとによって、体積ホログラム250の干渉縞が記録される。したがって、図17に示されるように、体積ホログラム250中の干渉縞は、第1面151及び/又は第2面152に対して略垂直となる。

0183

体積ホログラム250は、体積ホログラム250の温度変動に伴って、厚さ方向に膨張又は収縮しやすく、他の方向への寸法変化はほとんど生じない。上述の如く、体積ホログラム250中の干渉縞は、第1面151及び/又は第2面152に対して略垂直となるので、干渉縞の間隔は、体積ホログラム250の温度変化に影響を受けにくい。したがって、体積ホログラム250の回折特性は、周囲の温度の変動に対して影響をうけにくくなる。この結果、HUD200は、温度変化に起因する輝度変動や画像位置の変動を引き起こしにくくなる。したがって、HUD200の高い信頼性を有することとなる。

0184

図16Bを参照すると明らかであるが、第5実施形態に関連して説明されたHUD100Dと同様に、映像光ILを投射する投射光学系220は、参照光RLの主光線RMBの光路上に存在しない。したがって、第5実施形態に関連して説明された原理にしたがって、迷光(外光成分SL3:図14参照)は好適に抑制される。また、参照光RLの主光線RMBの光軸上にダッシュボードといった光拡散体が配置されるならば、迷光は更に低減される。したがって、HUD200は、高画質の映像を表示することができる。

0185

本実施形態において、物体光OLの主光線OMB及び参照光RLの主光線OMBは、第1実施形態と同様に、体積ホログラム250の第1面151に入射する。したがって、第1実施形態と同様に、物体光OLの主光線OMBの反射光OMRと参照光RLの主光線OMBの反射光RMRとによって記録された干渉縞4に起因する迷光は低減される。

0186

本実施形態のHUD200に、第2実施形態に関連して説明された原理が適用されてもよい。フロントガラス140の内面143、内ガラス141と体積ホログラム250の第1面151との境界、体積ホログラム250の第2面152と外ガラス142との境界又はフロントガラス140の外面144に1/2波長板が配設されるならば、第2実施形態の原理に従って、迷光(外光成分SL1)は好適に低減される。

0187

本実施形態のHUD200に、第3実施形態に関連して説明された原理が適用されてもよい。1/2波長板に代えて、反射防止コートがフロントガラス140の内面143に取り付けられるならば、第3実施形態に関連して説明された原理に従って、迷光(外光成分SL1)が好適に低減される。

0188

本実施形態のHUD200に、第6実施形態に関連して説明された原理が適用されてもよい。図16Bに関連して説明された体積ホログラム250に対する露光処理の間、体積ホログラム250の第2面152に1/4波長板(図示せず)が取り付けられてもよい。体積ホログラム250に入射する参照光RL及び物体光OLがともにS偏光又はP偏光に偏光されるならば、第6実施形態の原理に従って、干渉縞4に起因する迷光(外光成分SL4)(図5B参照)が生じにくくなる。

0189

<第8実施形態>
図18Aは、第8実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHUD300の概略図である。図18Aを用いて、HUD300が説明される。尚、第1実施形態に関連して説明されたHUD100と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。HUD100と同様の要素に対して、第1実施形態の説明が援用される。

0190

HUD300は、第1実施形態のHUD100と同様に、レーザ光源110、投射光学系120、制御部130及びフロントガラス140を備える。HUD300は、フロントガラス140の内ガラス141及び外ガラス142との間に配設された体積ホログラム350を更に備える。体積ホログラム350は、フロントガラス140から室内空間に向けて出射される映像光ILの出射角θoutを、フロントガラス140に入射する映像光ILの入射角θinよりも大きくする。

0191

図18Bは、透過型のホログラムとして機能する体積ホログラム350の露光光学系360の概略図である。図18A及び図18Bを用いて、体積ホログラム350に干渉縞を記録するための光学系が説明される。

0192

露光光学系360は、レーザ光源110が出射するレーザ光LBと同じ波長を有するレーザ光RLBを受けるハーフミラー361を備える。ハーフミラー361は、レーザ光RLBを物体光OLと参照光RLとに分割する。

0193

露光光学系360は、物体光OLを受けるレンズ362と、レンズ362と体積ホログラム350との間に配設されたピンホール板363と、を更に備える。ピンホール板363には小孔が形成されている。

0194

物体光OLは、ハーフミラー361からレンズ362へ向かう。レンズ362は、ピンホール板363の小孔に向けて集光する。この結果、ピンホール板363を通過した物体光OLは球面波となる。その後、物体光OLは、体積ホログラム350の第1面151に入射する。

0195

露光光学系360は、参照光RLを体積ホログラム350に向けて偏向する折返ミラー364と、折返ミラー364からの参照光RLを受けるレンズ365と、レンズ365と体積ホログラム350との間に配設されたピンホール板366と、を更に備える。物体光OL用のピンホール板363と同様に、ピンホール板366には小孔が形成されている。

0196

参照光RLは、ハーフミラー361から折返ミラー364に向かう。折返ミラー364は、レンズ365に向けて、参照光RLを偏向する。レンズ365は、ピンホール板366の小孔に向けて集光する。この結果、ピンホール板366を通過した参照光RLは、球面波となる。

0197

物体光OLが通過するピンホール板363の小孔の位置が、HUD300のスクリーン125の中央領域に相当するように、ピンホール板363は、体積ホログラム350に対して位置決め並びに角度設定される。図18Aには、体積ホログラム350からスクリーン125の中央領域までの距離が、「L2」の符号を用いて示されている。図18Bに示されるように、ピンホール板363の小孔から体積ホログラム350までの距離も、同様に、「L2」である。

0198

参照光RLが通過するピンホール板366の小孔の位置が、図18Aに関連して説明されたHUD300が作り出す虚像VIの中央領域に相当するように、ピンホール板366は、体積ホログラム350に対して位置決め並びに角度設定される。図18Aには、体積ホログラム350から虚像VIの中央領域までの距離が、「L1」の符号を用いて示されている。図18Bに示されるように、ピンホール板366の小孔から体積ホログラム350までの距離も、同様に、「L1」である。

0199

上述の露光光学系360の設定は、図1Bに関連して説明された露光光学系160と同様である。しかしながら、映像光ILの出射角θoutを、映像光ILの入射角θinよりも大きくするために、体積ホログラム350の露光処理において、体積ホログラム350に対する参照光RLの入射角は、体積ホログラム350に対する物体光OLの入射角よりも大きく設定される。尚、体積ホログラム350に対する入射角は、体積ホログラム350の第1面151又は第2面152の垂線PLに対する傾斜角を意味する。

0200

図19は、フロントガラス140の周囲の映像光ILの光路を概略的に示す。図18A及び図19を用いて、フロントガラス140の周囲の映像光ILの光路が説明される。

0201

図19には、HUD300のスクリーン125及びスクリーン125から出射された映像光ILが示されている。映像光ILは、フロントガラス140の内ガラス141に入射する。映像光ILは、その後、内ガラス141を透過し、体積ホログラム350の第1面151に入射する。

0202

体積ホログラム350内に形成された干渉縞は、所定の回折角度で映像光ILを回折する一方で、第1面151から第2面152への透過を許容する。したがって、体積ホログラム150に入射した映像光ILは、直接的に運転者Dに向かうことなく、外ガラス142に向けて伝搬する。図19には、体積ホログラム350の回折によって得られた回折光DLが示されている。図19に示される回折光DLは、図2に示される回折光DLと同様に、フロントガラス140の外面144によってフレネル反射し、運転者Dに向かって伝搬する。この結果、運転者Dは、回折光DLによって、スクリーン125に形成された像に対応する虚像VIを観察することができる。本実施形態において、フロントガラス140の外面144は、界面として例示される。

0203

体積ホログラム350によって回折されることなく体積ホログラム350及び外ガラス142を通過した映像光ILは、図19に示される如く、フロントガラス140の外面144に到達する。フロントガラス140の外面144に到達した映像光ILの一部は、フレネル反射され、裏面反射光ILR2となる。本実施形態において、フロントガラス140の外面144に到達した映像光ILは、外面144に対してS偏光(即ち、図19の紙面に対して垂直方向の単一偏光)である。このとき、フロントガラス140の外面144における回折光DLの反射率は、裏面反射光ILR2よりも大きくなる。

0204

図20は、S偏光の反射率の角度依存性を概略的に示すグラフである。図19及び図20を用いて、フロントガラス140の周囲の映像光ILの特性が説明される。

0205

図20に示される如く、S偏光の反射率は、入射角が大きくなるほど高くなる。したがって、上述の如く、フロントガラス140の外面144における回折光DLの反射率は、裏面反射光ILR2よりも大きくなる。

0206

図20は、屈折率1.5の透明物質から屈折率1の真空中に出射される光の反射率を示す。図20のグラフの横軸は、入射角を表す。尚、透明物質と真空との間の界面に対する垂線は、「0°」の入射角を表す。例えば、「20°」の入射角に対して、「約5.9%」の反射率が得られる。「30°」の入射角に対して、「約10.6%」の反射率が得られる。「約41%」以上の入射角に対して、全反射(反射率100%)が得られる。

0207

透過型ホログラムとして機能する体積ホログラム350を備えるHUD300がS偏光の映像光ILをフロントガラス140に入射し、且つ、フロントガラス140の外面144からの映像光ILの出射角θoutがフロントガラス140の外面144への映像光ILの入射角θinより大きく設定されるならば、回折光DLのフレネル反射率は、裏面反射光ILR2の反射率よりも大きくなる。この結果、運転者Dによって観察されるべき回折光DLの光量は、裏面反射光ILR2よりも大きくなる。かくして、HUD300は、多重像の少ない高画質の映像を表示することができる。

0208

本実施形態において、フロントガラス140に入射する映像光ILの偏向方向は、S偏光である。代替的に、フロントガラス140の外面144に到達する映像光ILがS偏光であるならば、映像光ILはフロントガラス140の内面143以前においてS偏光でなくともよい。

0209

図21は、透過率の角度依存性を示すグラフである。図21を用いて、フロントガラス140の周囲の映像光ILの特性が更に説明される。

0210

図21に示される如く、一般的に、空気と透明物質との間の界面において、空気から透明物質へ入射するP偏光の透過率は、S偏光の透過率よりも大きい。尚、図21は、屈折率1の真空空間から屈折率1.5の透明物質に入射する光の透過率を表す。図21のグラフの横軸は入射角を表し、縦軸は透過率を表す。図21のグラフは、S偏光及びP偏光の光学的特性を表す。

0211

図21に示されるグラフから、S偏光の映像光ILをフロントガラス140へ入射させるよりも、P偏光の映像光ILをフロントガラス140へ入射させる方が、光量のロスが小さくなることが分かる。また、P偏光でのフロントガラス140への入射は、S偏光でのフロントガラス140への入射と比べて、フロントガラス140の表面での反射に起因する多重光を好適に低減させる。

0212

図22Aは、上述の原理にしたがって改良されたHUD300Aの概略図である。図22Aを用いて、改良されたHUD300Aが説明される。尚、HUD300Aは、上述のHUD300と同様に、レーザ光源110、投射光学系120及び制御部130を備える。図22Aには、スクリーン125、フロントガラス140及びフロントガラス140中に配設された体積ホログラム350が示されている。

0213

HUD300Aは、レーザ光源110、投射光学系120、制御部130、フロントガラス140及び体積ホログラム350に加えて、内ガラス141の内面143に取り付けられた1/2波長板145を更に備える。スクリーン125から出射された映像光ILは、1/2波長板145と室内空間との界面に対して、P偏光で入射する。この結果、1/2波長板145と室内空間との界面にS偏光で入射した映像光ILと比べて、表面反射光ILR1は大幅に抑制される。したがって、HUD300Aは、多重像の少ない高画質の映像を表示することができる。

0214

1/2波長板145を通過し、内ガラス141に入射する映像光ILは、S偏光となっている。したがって、HUD300に関連して説明されたように、裏面反射光ILR2に起因する多重像も低減される。

0215

フロントガラス140の外面144によってフレネル反射された回折光DLは、1/2波長板145を透過し、運転者Dに向かって出射される。1/2波長板145から出射される回折光DLは、P偏光であるので、1/2波長板145と室内空間との間の界面における反射ロスは小さい。したがって、回折光DLの輝度は、高くなる。したがって、HUD300Aは、高い輝度の映像を表示することができる。

0216

1/2波長板145に対する映像光ILの入射角がブリュースター角図22Aにおいて、約54°)又はその近傍に設定されるならば、P偏光の反射率は、略0%となる。この結果、HUD300Aは、表面反射に起因する多重像が非常に少ない高画質の映像を表示することができる。

0217

図22Bは、改良されたHUD300Bの概略図である。図22Bを用いて、改良されたHUD300Bが説明される。尚、HUD300Bは、上述のHUD300Aと同様に、レーザ光源110、投射光学系120及び制御部130を備える。図22Bには、スクリーン125、フロントガラス140及びフロントガラス140中に配設された体積ホログラム350が示されている。

0218

HUD300Bは、レーザ光源110、投射光学系120、制御部130、フロントガラス140及び体積ホログラム350に加えて、内ガラス141の内面143に取り付けられた反射防止コート146を更に備える。即ち、HUD300Bは、HUD300Aの1/2波長板145に代えて、体積ホログラム350の第1面151に向かって出射された映像光ILの反射を抑制する反射防止コート146を備えている。反射防止コート146は、反射防止コート146に対する映像光ILの入射角によらず、空気と反射防止コート146との間での反射を抑制する。したがって、HUD300Bは、表面反射光ILR1に起因する多重像の少ない高画質の映像を表示することができる。尚、第4実施形態に関連して説明された原理に従って、反射防止コートに代えて、反射防止構造体がフロントガラス140の内面143に形成されてもよい。

0219

尚、HUD300A,300Bの体積ホログラム350の回折効率(映像光ILが回折光DLとして回折される割合)は、好ましくは、50%以上である。この結果、回折光DLの光量は、裏面反射光ILR2よりも高くなるので、HUD300A,300Bは、裏面反射光ILR2に起因する多重像が少ない高画質の映像を表示することができる。

0220

<第9実施形態>
(シースルーディスプレイ装置の構造)
図23は、第9実施形態に係るシースルーディスプレイ装置として例示されるHMD400の概略図である。図23を用いて、HMD400が説明される。尚、HMD400には、第1実施形態乃至第8実施形態に関連して説明された原理が適用される。第1実施形態乃至第8実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられる。第1実施形態乃至第8実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対して、第1実施形態乃至第8実施形態の説明が援用される。

0221

HMD400は、レーザ光LBを出射するレーザ光源410と、レーザ光LBに基づき、映像光ILを生成する投射光学系420と、を備える。投射光学系420は、レーザ光源410からのレーザ光LBを受ける折返ミラー421と、折返ミラー421からのレーザ光LBを受けるMEMSミラー423と、を含む。

0222

HMD400は、透明な樹脂基板440と、樹脂基板440に取り付けられた体積ホログラム450と、体積ホログラム450を保護する保護層490と、を更に備える。体積ホログラム450の第1面151に保護層490が取り付けられる。体積ホログラム450の第2面152に樹脂基板440が取り付けられる。

0223

HMD400は、制御部430を更に備える。制御部430は、レーザ光源410とMEMSミラー423とを制御する。

0224

レーザ光源410から出射されたレーザ光LBは、折返ミラー421に向けて出射される。折返ミラー421は、レーザ光LBをMEMSミラー423に向けて反射する。レーザ光LBは、MEMSミラー423によって2次元的に走査され、映像光ILとして出射される。

0225

制御部430は、表示対象の画像データに従って、MEMSミラー423を駆動する。また、制御部430は、MEMSミラー423の走査動作に同期して、レーザ光源410を駆動し、レーザ光LBの光量を調整する。この結果、MEMSミラー423から出射される映像光ILによって2次元画像が形成される。

0226

体積ホログラム450には、例えば、図1Bに関連して説明された原理にしたがって、二光束干渉によって、干渉縞が記録されている。したがって、体積ホログラム450は透過型のホログラムとして機能する。上述の如く、体積ホログラム450は、樹脂基板440上に設置される。また、体積ホログラム450の第1面151は、保護層490によって覆われている。

0227

透過型の干渉縞を記録するために、例えば、図18A及び図18Bに関連して説明された原理に従って、参照光RL及び物体光OLは体積ホログラム450の第1面151に入射する。このとき、体積ホログラム450へのレーザ光LBの出射角θoutが入射角θinよりも大きくなるように、体積ホログラムへの物体光の入射角よりも大きな参照光の入射角が設定される。

0228

MEMSミラー423によって走査された映像光ILの一部は、典型的には、保護層490の表面において表面反射光ILR1としてフレネル反射される。残りの映像光ILは、保護層490を透過し、体積ホログラム450に入射する。

0229

体積ホログラム450に入射した映像光ILは、体積ホログラム450に記録された干渉縞によって回折される。この結果、回折光DLが発生する。尚、体積ホログラム450に形成された干渉縞は、透過型であるので、体積ホログラム450に入射した映像光ILは、第1面151から第2面152に向けて透過する。

0230

樹脂基板440は、体積ホログラム450との境界とは反対側の外面444(樹脂基板440と空気との界面)を含む。回折光DLは、樹脂基板440を透過し、外面444に到達する。樹脂基板440の外面444は、回折光DLをフレネル反射する。この結果、回折光DLは、観察者Oに向けて折り返される。外面444でのフレネル反射の後、回折光DLは、体積ホログラム450及び保護層490を透過し、観察者Oの眼に到達する。本実施形態において、樹脂基板440は、透明基板として例示される。また、樹脂基板440の外面444は、界面として例示される。

0231

体積ホログラム450によって回折されなかった映像光ILは、樹脂基板440の外面444でフレネル反射し、裏面反射光ILR2として観察者Oに向けて折り返される。裏面反射光ILR2は、体積ホログラム450を透過し、最終的に、保護層490から出射する。

0232

樹脂基板440の外面444(樹脂基板440と空気との間の界面)に入射する映像光ILの偏向方向がS偏光となるように、映像光ILの偏向方向が調整される。この結果、第8実施形態に関連して説明された原理に従って、入射角θinよりも大きなレーザ光LBの出射角θoutの設定条件の下、樹脂基板440の外面444における回折光DLのフレネル反射率は、裏面反射光ILR2の反射率よりも大きくなる。したがって、HMD400は、裏面反射光ILR2に起因する多重像の少ない高画質な映像を表示することができる。

0233

尚、第2実施形態に関連して説明された原理に従って、保護層490に代えて、1/2波長板が配置されてもよい。また、1/2波長板に入射する映像光の偏向方向がP偏光となるように、映像光ILが調整されてもよい。この結果、HMD400は、表面反射光ILR1の光量が低減された高画質の映像を表示することができる。

0234

第3実施形態又は第4実施形態に関連して説明された原理にしたがって、保護層490に代えて、反射防止コート又は反射防止構造体が用いられてもよい。この結果、反射防止コート又は反射防止構造体への映像光ILの入射角によらず、空気との界面における反射率が低減される。したがって、HMDは、表面反射光ILR1に起因する多重像の少ない高画質な映像を表示することができる。

0235

第8実施形態に関連して説明された原理にしたがって、体積ホログラム450の回折効率(映像光ILが回折光DLに回折される割合)が50%以上であってもよい。この結果、回折光DLの光量は、裏面反射光ILR2の光量よりも高くなる。かくして、HMD400は、裏面反射光ILR2に起因する多重像の影響の少ない高画質な映像を表示することができる。

0236

第1乃至第9実施形態において、シースルーディスプレイ装置(HUD,HMD)は単一のレーザ光源を有する。代替的に、シースルーディスプレイ装置は、異なる波長の複数のレーザ光源を備えてもよい。この場合、シースルーディスプレイ装置の体積ホログラムは、レーザ光源からのレーザ光に対応する波長の光で多重露光される。

0237

例えば、シースルーディスプレイ装置は、赤色のレーザ光を出射する赤色レーザ光源と、緑色のレーザ光を出射する緑色レーザ光源と、青色のレーザ光を出射する青色レーザ光を出射する青色レーザ光源と、を光源として備えてもよい。シースルーディスプレイ装置の体積ホログラムは、赤色、緑色及び青色のレーザ光に対応する波長の光で多重露光される。この結果、シースルーディスプレイ装置には、赤色、緑色及び青色のレーザ光を特異的に回折する干渉縞が形成される。この結果、シースルーディスプレイ装置(HUD,HMD)は、フルカラーの映像を表示することができる。

0238

第1乃至第9実施形態において、シースルーディスプレイ装置(HUD,HMD)は、体積ホログラムを備える。代替的に、シースルーディスプレイ装置は、体積ホログラム以外のホログラムを備えてもよい。例えば、シースルーディスプレイ装置は、体積ホログラムに代えて、レリーフホログラムを備えてもよい。レリーフホログラムを利用するシースルーディスプレイ装置にも、第1乃至第9実施形態に関連して説明された原理は好適に適用される。更に代替的に、シースルーディスプレイ装置は、体積ホログラムに代えて、計算機ホログラムを備えてもよい。計算機ホログラムを利用するシースルーディスプレイ装置にも、第1乃至第9実施形態に関連して説明された原理は好適に適用される。

0239

<第10実施形態>
上述の第1乃至第9実施形態に関連して説明された原理は、従来のシースルーディスプレイ装置と比べて、迷光を大幅に低減する。しかしながら、第1乃至第9実施形態に関連して説明された原理は、特定の角度から入射する外光成分に起因する迷光を低減するのには不向きである。

0240

図24は、第1乃至第9実施形態に関連して説明された原理では、除去することができない迷光の発生原理を概略的に示す。図24を用いて、第1乃至第9実施形態の原理の課題が説明される。

0241

図24には、映像光ILを出射する出射ユニットIUと、映像光ILを受ける体積ホログラムHGが示されている。映像光ILは、体積ホログラムHGの第1面FSに対して、マイナス方向に角度θだけ傾斜している。

0242

図24には、体積ホログラムHGの第2面SS(第1面FSとは反対側の面)に入射する外光成分SLが示されている。外光成分SLは、第2面SSに対して、映像光ILと同様にマイナス方向に角度θだけ傾斜している。このような外光成分SLに起因する迷光は、上述の第1乃至第9実施形態に関連して説明された原理では十分に除去されない。

0243

特開平7−96772号公報は、上述の課題を解消することができるHUDを提案する。図25は、特開平7−96772号公報に開示されるHUDの概略図である。図25を用いて、従来のHUDの光学的設計が説明される。

0244

従来のHUDは、映像光ILを出射する出射ユニットIUを備える。出射ユニットIUは、液晶パネルといった空間変調素子(図示せず)と、空間変調素子を照明するバックライトといった照明光学系(図示せず)と、を備える。空間変調素子及び照明光学系によって作り出された映像光ILが出射ユニットIUから車両のフロントガラスFGに向けて出射される。

0245

フロントガラスFGは、運転者Dに対向する内ガラスIGと、内ガラスIGとは反対側に配設された外ガラスOGと、内ガラスIGと外ガラスOGとの間に配設された中間ガラスMGと、を含む。

0246

従来のHUDは、内ガラスIGと中間ガラスMGとの間に配設された第1ホログラムHG1と、中間ガラスMGと外ガラスOGとの間に配設された第2ホログラムHG2と、を更に備える。

0247

出射ユニットIUからの映像光ILは内ガラスIGに入射し、その後、第1ホログラムHG1に到達する。第1ホログラムHG1は、映像光ILを運転者Dに向けて回折する。第1ホログラムHG1の回折格子の方向は適切に設計される。第1ホログラムHG1は、集光作用を発揮してもよい。この結果、出射ユニットIU内の空間変調素子によって表示された像が拡大される。かくして、運転者Dは、空間変調素子によって表示された像の拡大像を、フロントガラスFGの前方の虚像VIとして観察することができる。

0248

出射ユニットIUの光学系は、好ましくは、ランプ光源発光ダイオードに比べて波長幅の小さい半導体レーザ光源を備える。この結果、第1ホログラムHG1の回折効率は高くなる。したがって、HUDは、高い光利用効率及び低い消費電力を達成することができる。

0249

第1ホログラムHG1は、専ら、映像光ILを運転者Dに向けて回折するために用いられる。一方、第2ホログラムHG2は、室外空間から入射する外光を室外空間へ反射するために用いられる。第2ホログラムHG2は、外光を反射するので、上述の第1乃至第9実施形態に関連して説明された体積ホログラムによっては除去しにくい外光成分SLも好適に除去することができる。しかしながら、第2ホログラムHG2は、第1ホログラムHG1とは別体に形成される。第2ホログラムHG2は、その後、フロントガラスFG内で、第1ホログラムHG1に重ね合わせられる。したがって、図25に示される光学設計は、第1ホログラムHG1と第2ホログラムHG2との光学的な位置合わせを要求することとなる。したがって、従来のHUDの作成工程は煩雑となる。

0250

簡便にHUDを作成するためには、第1ホログラムHG1の機能(映像表示機能)と第2ホログラムHG2の機能(外光除去機能)を兼ね備えたホログラムが用いられることが好ましい。1枚のホログラムが多重露光処理されるならば、映像表示機能と外光除去機能とを兼ね備えたホログラムが作成される。しかしながら、1枚のホログラムに多重露光する工程は、いくつかの課題を有する。以下に、多重露光に係る課題が説明される。

0251

体積ホログラムは、波長選択性角度選択性を有する点に特徴付けられる。体積ホログラムのこれらの特性によって、体積ホログラムは映像光を高い効率で回折し、且つ、外光の透過率を確保することができる。

0252

体積ホログラムがHUDに組み込まれるならば、HUDの光学的設計において、観察者の視点の移動量、スクリーン位置の変動に伴う入射角の変動、光源波長の変動を吸収するための角度範囲波長変動を許容するための他の要素が考慮される必要がある。薄い体積ホログラムは、波長変動に対する高い許容度を有する一方で、低い回折効率を有することとなる。体積ホログラムの回折効率は、屈折率変調度が高いほど高くなる。波長変動に対する許容度は、体積ホログラムの回折角が小さいほど広くなる。これらの条件に基づき、体積ホログラムの厚さ、屈折率変調度、回折角が適切に決定される。この結果、HUDは、十分な輝度で映像を表示することができ、且つ、波長変動に影響されにくくなる。

0253

図26は、体積ホログラムを備えるHUDの概略図である。図26を用いて、体積ホログラムの設計が説明される。

0254

図26に示されるHUDは、映像光ILを出射する出射ユニットIUと、フロントガラスFG内に配設された体積ホログラムVHGと、を備える。体積ホログラムVHGは、波長選択性や角度選択性に応じて、映像光ILを運転者Dに向けて回折する。一方で、体積ホログラムVHGは、映像光ILと異なる波長の光や映像光ILと異なる角度の光を回折しない。したがって、フロントガラスFGの前方の室外空間から運転者Dに向かう外光は、ほとんど回折されない。この結果、フロントガラスFGの高い透過率が維持される。

0255

上述の如く、体積ホログラムVHGの波長選択性や角度選択性は、所定の許容幅を有する必要がある。例えば、図26に示される如く、運転者Dの着座位置の変動や運転者Dの姿勢の変動に対応したアイボックス(運転者の眼の位置の変動範囲)において、体積ホログラムVHGは、映像光ILを運転者Dに向けて適切に回折する必要がある。

0256

所定の大きさ以上の虚像VIを作り出すために、体積ホログラムVHGに対する映像光ILの入射角及び出射角は所定の幅を有することとなる。例えば、体積ホログラムVHGから虚像VIまでの距離が「1m」であり、体積ホログラムVHGから運転者Dまでの距離が「1m」であり、アイボックスの大きさが「10cm」であり、虚像VIの大きさが「15cm」であるならば、体積ホログラムVHGから運転者Dに向かう映像光ILの出射角の範囲は、「約±3°」になる。

0257

半導体レーザ発振波長は、半導体レーザの素子の温度に依存する。半導体レーザの周囲の環境温度が変化する条件の下、運転者Dに虚像VIを適切に観察させるためには、体積ホログラムVHGは、光源波長の変動範囲以上の波長に対する許容幅を有する必要がある。例えば、光源として、AlGaInP系半導体を用いた赤色レーザが用いられるならば、発振波長の温度係数は、「約0.2nm/℃」となる。季節日照条件といった環境変動が考慮されるならば、赤色レーザが使用される温度は、0℃から60℃の範囲となると想定される。この場合、体積ホログラムVHGは、全幅で「約30nm」の波長に対する許容度を有する必要がある。

0258

体積ホログラムVHGの厚さ、体積ホログラムVHGに対する入射角及び出射角、体積ホログラムVHGの屈折率変調度を用いて、光波結合理論に基づき、体積ホログラムVHGの回折効率の近似値見積もられる(例えば、「カップロド・ウェーブセオリフォー・シック・ホログラム・グレーティングス」(Coupled Wave Theory for Thick Hologram Grating):H.コゲルニック(H. Kogelnik)、ベルシストテク・J.(Bell Syst. Tech. J.)第48巻、第2909−2947頁(1969))。

0259

図26に示される出射ユニットIUは、例えば、波長532nmの映像光ILを出射する。また、必要とされる出射角の範囲は、例えば、±3度である。尚、映像光ILの波長の変動幅は、例えば、30nm(全幅)である。このような条件下において、体積ホログラムVHGの回折効率の低下量を1/2以下にするためには、体積ホログラムVHGは、3ミクロン以下の厚さである必要がある。また、100%に近い回折効率を達成するためには、0.1以上の屈折率変調度が必要とされる。

0260

近年のフォトポリマの開発の結果、体積ホログラムは大きな屈折率変調を行うことができる。しかしながら、現状において、体積ホログラムが達成しうる屈折率変調度は、「0.03」程度である。したがって、現状において体積ホログラムが達成しうる回折効率は、「10%」程度である。かくして、現状において、十分な輝度で映像を表示するためには、出射ユニットは、高い出力の光源を備える必要がある。出射ユニットが高い出力の光源を備えるならば、体積ホログラムの回折効率に応じて、十分な明るさの映像が表示される。

0261

上述の如く、不必要な外光を除去するための干渉縞を形成するために体積ホログラムが多重露光処理を受けるならば、図25に関連して説明された課題は解消される。しかしながら、この場合、体積ホログラムに対して、高い屈折率変調度が要求される。不必要な外光の除去のためには、迷光の原因となる外光は、略100%に近い回折効率で回折される必要がある。しかしながら、上述のような厚さの体積ホログラムに対して、不必要な外光を効果的に除去するための干渉縞を形成することは困難である。

0262

加えて、不必要な外光を除去するための干渉縞が、他の不必要な光成分を生じさせるという課題も存在する。また、体積ホログラムの温度が変化に伴う体積ホログラムの収縮によって、体積ホログラムの角度選択性が変化するという課題も存在する。角度選択性の変化は、不必要な外光の効果的な除去を困難にする。

0263

本実施形態において、上述の課題を解消するための手法が説明される。本実施形態の原理は、第1乃至第9実施形態の原理では除去することが困難な迷光の発生を抑制する。

0264

図27は、第10実施形態のシースルーディスプレイ装置として例示されるHUD500を示す。図27を用いて、改良されたHUD500が説明される。

0265

図27に示されるHUD500は、映像光ILを出射する出射ユニット510を備える。出射ユニット510は、例えば、図1Aに関連して説明されたレーザ光源110、投射光学系120やこれらを制御する制御部130を内蔵してもよい。

0266

第1実施形態乃至第9実施形態に関連して説明された様々なシースルーディスプレイ装置と同様に、本実施形態のHUD500は、車両に搭載される。第1実施形態乃至第9実施形態に関連して説明された様々なシースルーディスプレイ装置と同様に、車両の透明なフロントガラス540は、HUD500の一部として用いられる。以下の説明において、車両の運転者Dに対向するフロントガラス540の面は、内面543と称される。内面543とは反対側のフロントガラス540の面は、外面544と称される。内面543は、車両の内部空間を規定する面である。また、外面544は、車両と外部空間との間の境界を規定する。第1実施形態乃至第9実施形態と同様に、運転者Dは、フロントガラス540越しに映像光ILによって描かれる像に対応する虚像を観察する観察者である。本実施形態において、フロントガラス540は、透明基板として例示される。

0267

フロントガラス540は、内面543を含む内ガラス541と、外面544を含む外ガラス542と、を備える。出射ユニット510は、内ガラス541に向けて映像光ILを出射する。

0268

HUD500は、内ガラス541と外ガラス542とに挟まれた体積ホログラム550を更に備える。体積ホログラム550は、第1実施形態乃至第9実施形態に関連して説明された透過型の干渉縞を含む。以下の説明において、体積ホログラム550に形成された透過型の干渉縞は、第1干渉縞591と称される。第1干渉縞591は、例えば、図1Bに関連して説明された手法にしたがって記録されてもよい。本実施形態において、第1干渉縞591の記録に用いられた物体光及び参照光が入射した体積ホログラム550の面は、第1面551と称される。第1実施形態乃至第9実施形態と同様に、第1面551は、運転者Dに対向する。また、以下の説明において、第1面551とは反対側の体積ホログラム550の面は、第2面552と称される。第1干渉縞591によって、第1実施形態乃至第9実施形態に関連して説明された様々なシースルーディスプレイ装置と同様に、多くの種類の迷光が適切に除去される。

0269

体積ホログラム550は、多重露光処理を施与される。この結果、体積ホログラム550には、第1干渉縞591に加えて、反射型の干渉縞も記録される。以下の説明において、反射型の干渉縞は、第2干渉縞592と称される。後述されるように、第2干渉縞592は、フロントガラス540の外面544に入射する外光成分を除去するように形成される。

0270

出射ユニット510から出射された映像光ILは、内ガラス541に入射する。映像光ILは、その後、体積ホログラム550に入射する。体積ホログラム550の第1干渉縞591は、映像光ILを回折する。上述の如く、第1干渉縞591は、透過型であるので、映像光ILは、第1面551から第2面552へ通り抜けることができる。以下の説明において、第1干渉縞591によって回折された映像光ILは、回折光DLと称される。

0271

上述の如く、回折光DLは第2面552から体積ホログラム550外へ出る。その後、回折光DLは、フロントガラス540の外面544に到達する。第1実施形態乃至第9実施形態に関連して説明されたように、外面544において、回折光DLの一部はフレネル反射され、運転者Dに向かう。本実施形態において、外面544は、界面として例示される。

0272

外面544において反射された回折光DLは、再度、体積ホログラム550に入射する。体積ホログラム550に入射した回折光DLは、第1干渉縞591のBragg条件から大きくずれている。したがって、回折光DLは、第1干渉縞591によって回折されることなく、フロントガラス540の内面543に向かう。その後、回折光DLは、内面543から出射され、運転者Dに向かって伝搬する。

0273

図28は、第1干渉縞591の回折効率の計算結果を表すグラフである。図27及び図28を用いて、第1干渉縞591の回折効率が説明される。尚、図28に示される回折効率の計算は、光波結合理論に基づく。

0274

第1干渉縞591の回折効率の計算において、光源の波長(即ち、映像光ILの波長)は、532nmに設定されている。また、最適入射角は、30度に設定されている。尚、最適入射角とは、回折効率が最大化される入射角を意味する。体積ホログラム550からの回折光DLの出射角は、50度に設定されている。体積ホログラム550の厚さは、20ミクロンに設定されている。体積ホログラム550の屈折率変調度は、0.015に設定されている。図28のグラフは、最適入射角からのずれに応じた回折効率の変動を表す。本実施形態において、最適入射角で入射する映像光ILは、第1光として例示される。また、体積ホログラム550に対する映像光ILの最適入射角は、第1入射角として例示される。最適入射角で入射した映像光IL(回折光DL)の出射角は、第1出射角として例示される。

0275

図28から、透過型の第1干渉縞591は、低い屈折率変調度であっても、100%に近い回折効率を達成することが分かる。また、第1干渉縞591は、HUD500への適用に十分な入射角の変動並びに波長変動に対する許容度を有することが分かる。

0276

上述の如く、HUD500は、フロントガラス540の外面544における映像光ILのフレネル反射を利用し、映像を表示する。したがって、第1干渉縞591によって回折された回折光DLのうち、約4%が運転者に到達することとなる。また、残りの回折光DLは、車外に放出される。しかしながら、透過型の第1干渉縞591は、100%に近い回折効率を達成するので、図25に関連して説明されたHUDと同程度の輝度の映像を表示することができる。

0277

本実施形態の体積ホログラム550は、比較的大きな厚さ寸法を有することができる。このことは、迷光の除去の観点から有利である。図24に関連して説明されたように、第1実施形態乃至第9実施形態の原理によれば、映像光ILと同じ入射角で入射する外光成分SLに起因する迷光の除去には不向きである。外光成分SLがフロントガラス540の内面543で反射し、回折光DLの経路に沿って運転者Dに到達するならば、運転者Dは、外光成分SLを迷光として知覚することとなる。

0278

上述の如く、体積ホログラム550は、多重露光処理を施与される。この結果、第2干渉縞592が記録される。第2干渉縞592は、フロントガラス540の内面543の前で、迷光を引き起こす外光成分SLを回折する。即ち、反射型の第2干渉縞592は、体積ホログラム550の第2面552に入射した外光成分SLが第2面552から出射されるように回折する。この結果、外光成分SLの経路は、回折光DLの経路と重なりにくくなる。

0279

図29は、第2干渉縞592の回折効率の計算結果を表すグラフである。尚、体積ホログラム550に対する最適入射角は、30度に設定されている。また、体積ホログラム550からの出射角は、85度に設定されている。図27乃至図29を用いて、第2干渉縞592の回折効率が説明される。

0280

図27には、外光成分SLが示されている。外光成分SLは、外部空間からフロントガラス540の外面544に入射する。外光成分SLは、フロントガラス540の外面544でフレネル反射する。この結果、外光成分SLの一部は、フロントガラス540内で保持された体積ホログラム550に向けて伝搬し、映像光ILの最適入射角と等しい入射角度で体積ホログラム550の第2面552に入射する。本実施形態において、体積ホログラム550の第2面552に入射した外光成分SLは、第2光として例示される。また、外光成分SLの体積ホログラム550への入射角は、第2入射角として例示される。最適入射角で入射した外光成分SLの出射角は、第2出射角として例示される。

0281

体積ホログラム550に第2干渉縞592が記録されていないならば、体積ホログラム550に入射した外光成分SLは、回折光DLの経路に沿って、運転者Dに到達する。この結果、運転者Dは、外光成分SLを迷光として知覚することとなる。

0282

本実施形態において、第2干渉縞592は、第1干渉縞591の最適入射角と等しい入射角30度で入射した外光成分SLに対して最大の回折効率を達成する。したがって、体積ホログラム550は、外光成分SLを効果的に回折する。かくして、外光成分SLに起因する迷光は生じにくくなる。

0283

また、第2干渉縞592の屈折率変調度及び出射角は最適化されているので、第2干渉縞592は、第1干渉縞591以上の範囲の角度変動を許容する。したがって、外光成分SLに起因する迷光は、効果的に除去される。

0284

図30は、第1干渉縞591の回折効率の角度依存特性の計算結果を表すグラフである。図27図28及び図30を用いて、第1干渉縞591の回折効率が更に説明される。

0285

上述の如く、HUD500は、車両に搭載される。また、車両のフロントガラス540は、HUD500の一部として用いられる。体積ホログラム550は、フロントガラス540に取り付けられる。このような使用環境において、日光や環境温度の変動は、体積ホログラム550を膨張又は収縮させる。この結果、体積ホログラム550に記録された第1干渉縞591の回折特性が変動する。

0286

図30のグラフは、図28に関連して説明された体積ホログラム550の温度を変動させ、体積ホログラム550に3%の収縮が生じたときの回折特性を示す。尚、体積ホログラムの材料としてフォトポリマに対する開発が盛んに行われているが、フォトポリマの線膨張係数は、典型的には、1度の温度変化に対して、「10−4」である。フロントガラス540の使用温度条件として、数十度の温度変化が考慮される。これらの条件の下、数%程度の体積ホログラムの膨張又は収縮が想定される。

0287

図28図30とを比較すると、体積ホログラム550の収縮の結果、最適入射角が増大していることが分かる。

0288

図31は、体積ホログラム550に3%の収縮が生じたときの第2干渉縞592の回折特性を表すグラフである。図27乃至図29を用いて、第2干渉縞592の回折特性が説明される。

0289

図29図31とを比較すると、第1干渉縞591と同様に、体積ホログラム550の収縮の結果、第2干渉縞592に対する最適入射角が増大していることが分かる。本実施形態において、体積ホログラム550の温度変化に伴い、第1干渉縞591に対する最適入射角が増大するならば、第2干渉縞592に対する最適入射角も増大する。体積ホログラム550の温度変化に伴い、第1干渉縞591に対する最適入射角が減少するならば、第2干渉縞592に対する最適入射角も減少する。したがって、体積ホログラム550は、温度が変動する環境下においても、迷光を適切に除去することができる。好ましくは、体積ホログラムの温度変化に対する第1干渉縞591の最適入射角の変化率は、第2干渉縞592に対する最適入射角の変化率に一致する。この結果、体積ホログラム550の迷光除去性能は、体積ホログラム550の温度変化に影響を受けにくくなる。

0290

図27を用いて、上述の温度−回折特性を得るための体積ホログラム550の設計が説明される。

0291

図27には、体積ホログラム550の第1面551に対して垂直な垂面PPが示されている。以下の説明において、垂面PPより上方(運転者D)に傾斜した角度は、プラス(+)側(正の角度)と称される。垂面PPより下方に傾斜した反対側角度は、マイナス(−)側(負の角度)と称される。

0292

本実施形態において、映像光ILの最適入射角は、負の角度である。一方で、体積ホログラム550の第1面551からの映像光IL(回折光DL)の出射角は、正の角度である。外光成分SLの最適入射角及び体積ホログラム550の第2面552からの外光成分SLの出射角はともに負の角度である。

0293

上述の光学的関係が設定されるならば、体積ホログラム550の温度変化に伴う最適入射角の変動は、外光成分SLと映像光ILとの間で略等しくなる。

0294

尚、映像光ILの最適入射角が正の角度であるならば、体積ホログラム550の第1面551からの映像光IL(回折光DL)の出射角は、負の角度に設定される。このとき、外光成分SLの最適入射角及び体積ホログラム550の第2面552からの外光成分SLの出射角はともに正の角度に設定される。

0295

上述の体積ホログラム550の設計において、体積ホログラム550に対する映像光ILの最適入射角は、好ましくは、50度以下に設定される。このとき、体積ホログラム550の第1面551からの映像光IL(回折光DL)の出射角が、50度以上70度以下の範囲となるように体積ホログラム550は形成される。また、体積ホログラム550の第2面552からの出射角が70度以上となるように体積ホログラム550は形成される。この結果、体積ホログラム550の収縮及び/又は膨張に対する最適入射角の変化率は、第1干渉縞591と第2干渉縞592との間で略一致する。

0296

迷光を除去するために用いられる従来のホログラムは、ホログラムの温度変化に伴う回折特性の変化を考慮することなく設計されている。したがって、設計温度において、ホログラムが迷光を効果的に除去したとしても、環境温度が変化するならば、迷光は十分に除去されなくなる。

0297

図25に関連して説明されたHUDのように、迷光を除去するためのホログラムとは別体に設けられたホログラムを用いて映像が表示されるならば、室内空間と室外空間との間での温度差が問題となる。例えば、車両の空調設備稼動されるならば、室内空間の温度は、室外空間の温度と大きく異なることとなる。この結果、内ガラスIGに隣接する第1ホログラムHG1と外ガラスOGに隣接する第2ホログラムHG2との間で温度差が生ずる。このことは、第1ホログラムHG1と第2ホログラムHG2との間での入射角の特性の不一致帰結する。

0298

本実施形態において、映像の表示に用いられる第1干渉縞591及び迷光の除去に用いられる第2干渉縞592は、多重露光処理によって、同一の媒体(体積ホログラム550)に記録される。したがって、第1干渉縞591と第2干渉縞592との間での温度差はほとんど生じない。したがって、体積ホログラム550の温度変化が生じても、第1干渉縞591及び第2干渉縞592の入射特性は、任意の温度で一致する。

0299

第1干渉縞591及び第2干渉縞592の屈折率変調の深さは、比較的小さい。特に、全ての干渉縞の屈折率変調の深さは、体積ホログラム550として用いられた材料の最大ダイナミックレンジ以下である。このような条件下において、第1干渉縞591及び第2干渉縞592は、同一材料(体積ホログラム550)に多重露光処理によって記録される。第1干渉縞591は、映像光ILの透過を許容するので、映像は、第1干渉縞591の回折とフロントガラス540の外面544におけるフレネル反射を介して、運転者D(観察者)に提供される。したがって、小さな屈折率変調度であっても、映像は、適切に表示される。加えて、温度変化が存する環境下においても、迷光の除去性能は安定化される。

0300

本実施形態に関連して説明された原理にしたがうシースルーディスプレイ装置は、赤色のレーザ光を出射する赤色レーザ光源と、緑色のレーザ光を出射する緑色レーザ光源と、青色のレーザ光を出射する青色レーザ光を出射する青色レーザ光源と、を光源として備えてもよい。シースルーディスプレイ装置の体積ホログラムは、赤色、緑色及び青色のレーザ光に対応する波長の光で多重露光される。この結果、シースルーディスプレイ装置には、赤色、緑色及び青色のレーザ光を特異的に回折する干渉縞が形成される。この結果、シースルーディスプレイ装置は、フルカラーの映像を表示することができる。

0301

上述の様々な実施形態は、単に例示的なものである。したがって、上述の実施形態の原理は、上記の詳細な説明や図面に記載の事項に限定されない。上述の実施形態の原理の範囲内で、当業者が様々な変形、組み合わせや省略を行うことができることは容易に理解される。

0302

上述された実施形態は、以下の構成を主に備える。以下の構成を備えるシースルーディスプレイ装置及びシースルーディスプレイ装置を搭載した車両は、迷光の発生を抑制することができる。したがって、映像を観察する観察者は、迷光の影響の少ない映像を享受することができる。

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