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技術 情報処理方法、情報処理装置、出力装置、情報処理システム、情報処理用プログラムおよび同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

出願人 三菱化学株式会社
発明者 米山満
出願日 2011年9月12日 (9年3ヶ月経過) 出願番号 2012-534001
公開日 2014年2月3日 (6年11ヶ月経過) 公開番号 WO2012-036135
状態 拒絶査定
技術分野 生体の呼吸・聴力・形態・血液特性等の測定 医療・福祉事務
主要キーワード 専用ベルト ハイブリッドセンサ 軸加速度信号 歩行領域 上下軸周り 積分操作 リズム運動 運動軌道
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年2月3日)のものです。
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図面 (20)

課題・解決手段

体動リズム同調性を連続的に評価する。 所定の時刻における信号の位相から位相が所定角度変化した時刻、および、所定の時刻における信号の位相から位相が前記所定角度の2倍変化した時刻を算出する第1算出過程と、これらの時刻に基づいて、評価係数を算出する第2算出過程と、をそなえる。

概要

背景

日常生活における体の動きを連続的にモニタすることは、健康管理の観点から極めて重要である。また、外傷または脳神経系の疾患により、患者歩行または走行等の規則的な体動リズムがどのような影響を受けているかを知ることは、病態を正確に把握する上で非常に役立つ。例えば、パーキンソン病の患者には1日のうちで症状が軽減する時(以下、単にオン時という場合がある)と症状が悪化する時(以下、単にオフ時という場合がある)がある。オフ時には突進歩行またはすくみ足が多くみられる。

突進歩行またはすくみ足などの異常歩行時には左右の足運びのバランス崩れることが経験的に知られている。このため、左右の足運び(歩行)の同調性リアルタイムでモニタできれば、異常歩行の兆候をとらえて転倒防止等の適切な処置を講じることができる。また、片脚に障害を持つ患者の歩行では歩行のステップ間隔に大きな左右差がある。このためステップ間隔の左右差を定量化できれば、リハビリまたは治療の効果の適切な理解につながる。ここで、同調性とは、歩行中において、右足着地から左足着地までの時間と、左足着地から右足着地までの時間との比が一定値(例えば1)を保っているかどうかを指す指標である。すなわち、右足着地から左足着地までの時間と、左足着地から右足着地までの時間との比が一定値(1)を保っていれば同調性は高いと判断され、右足着地から左足着地までの時間と、左足着地から右足着地までの時間との比が一定値(1)を保っていなければ同調性は低いと判断される。

パーキンソン病患者の左右の足運び(ステップ)の同調性の評価については、複数のフットスイッチ型センサを用いて、パーキンソン病患者の左右の足運びの同調性の評価することが知られている。
例えば、歩行を表すリズムが1サイクル変化するのに要する時間と、歩行を表すリズムが次の1サイクル変化するのに要する時間との比を求めることで、歩行の同調性を判断する。従来、この比は、離地または爪先離地特徴点の間隔から求められていた。

概要

体動リズムの同調性を連続的に評価する。 所定の時刻における信号の位相から位相が所定角度変化した時刻、および、所定の時刻における信号の位相から位相が前記所定角度の2倍変化した時刻を算出する第1算出過程と、これらの時刻に基づいて、評価係数を算出する第2算出過程と、をそなえる。

目的

本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、体動リズムの同調性を連続的に評価することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出過程と、前記時刻算出過程により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出過程と、をそなえたことを特徴とする、情報処理方法

請求項2

前記評価係数算出過程は、前記所定の時刻から前記第1時刻までの時間(以下、第1時間という)、および、前記第1時刻から前記第2時刻までの時間(以下、第2時間という)に基づいて、前記評価係数を算出する過程であることを特徴とする請求項1記載の情報処理方法。

請求項3

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の−1倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出過程と、前記時刻算出過程により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出過程と、をそなえたことを特徴とする、情報処理方法。

請求項4

前記評価係数算出過程は、前記所定の時刻から前記第1時刻までの時間(以下、第1時間という)、および、前記第2時刻から前記所定の時刻までの時間(以下、第2時間という)に基づいて、前記評価係数を算出する過程であることを特徴とする請求項3記載の情報処理方法。

請求項5

前記時刻算出過程は、ヒルベルト変換法またはパターンマッチング法を用いることで、前記第1時刻および前記第2時刻を算出する過程であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理方法。

請求項6

前記時刻算出過程は、前記所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が360度変化した前記第1時刻、および、前記所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が720度変化した前記第2時刻を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理方法。

請求項7

前記時刻算出過程は、前記所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が180度変化した前記第1時刻、および、前記所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が360度変化した前記第2時刻を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理方法。

請求項8

前記時刻算出過程は、一つの検出部により検出された、生体の繰り返し随意運動を表す信号から、前記第1時刻、および、前記第2時刻を算出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報処理方法。

請求項9

前記評価係数算出過程により算出された前記評価係数が、所定時間にわたって所定範囲内であるかを判定する判定過程をさらにそなえたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に情報処理方法。

請求項10

前記繰り返し随意運動が、歩行ジョギングランニング自転車走行水泳、又は体操のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の情報処理方法。

請求項11

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出部と、前記時刻算出部により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出部と、をそなえたことを特徴とする、情報処理装置

請求項12

前記評価係数算出部は、前記所定の時刻から前記第1時刻までの時間(以下、第1時間という)、および、前記第1時刻から前記第2時刻までの時間(以下、第2時間という)に基づいて、前記評価係数を算出することを特徴とする請求項11記載の情報処理装置。

請求項13

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の−1倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出部と、前記時刻算出部により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出部と、をそなえたことを特徴とする、情報処理装置。

請求項14

前記評価係数算出部は、前記所定の時刻から前記第1時刻までの時間(以下、第1時間という)、および、前記第2時刻から前記所定の時刻までの時間(以下、第2時間という)に基づいて、前記評価係数を算出することを特徴とする請求項13記載の情報処理装置。

請求項15

前記時刻算出部は、ヒルベルト変換法またはパターンマッチング法を用いることで、前記第1時刻および前記第2時刻を算出する過程であることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項16

前記第1角度は、360度であることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項17

前記第1角度は、180度であることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項18

前記繰り返し随意運動を表す信号は、一つの検出部により検出された信号であることを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項19

前記評価係数算出部により算出された前記評価係数が、所定時間にわたって所定範囲内であるかを判定する判定部をさらにそなえたことを特徴とする、請求項11〜18のいずれか1項に情報処理装置。

請求項20

前記繰り返しリズム運動が、歩行、ジョギング、ランニング、自転車走行、水泳、又は体操のいずれかであることを特徴とする、請求項11〜19のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項21

所定の時刻における生体の繰り返し随意運動を表す信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻に基づく、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を、前記評価係数を識別可能な形態にて出力する出力部をそなえたことを特徴とする出力装置

請求項22

所定の時刻における生体の繰り返し随意運動を表す信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の−1倍変化した時刻に基づく、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を、前記評価係数を識別可能な形態にて出力する出力部をそなえたことを特徴とする出力装置。

請求項23

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出部と、前記時刻算出部により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出部と、前記評価係数算出部により算出された評価係数を、前記評価係数を識別可能な形態にて出力する出力部と、をそなえたことを特徴とする、情報処理システム

請求項24

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の−1倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出部と、前記時刻算出部により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出部と、前記評価係数算出部により算出された評価係数を、前記評価係数を識別可能な形態にて出力する出力部と、をそなえたことを特徴とする、情報処理システム。

請求項25

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出過程と、前記時刻算出過程により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出過程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする、情報処理用プログラム

請求項26

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の−1倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出過程と、前記時刻算出過程により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出過程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする、情報処理用プログラム。

請求項27

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記第1角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出過程と、前記時刻算出過程により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する第2算出過程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする、情報処理用プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体

請求項28

生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記第1角度の−1倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出過程と、前記時刻算出過程により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する第2算出過程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする、情報処理用プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

技術分野

背景技術

0002

日常生活における体の動きを連続的にモニタすることは、健康管理の観点から極めて重要である。また、外傷または脳神経系の疾患により、患者歩行または走行等の規則的な体動リズムがどのような影響を受けているかを知ることは、病態を正確に把握する上で非常に役立つ。例えば、パーキンソン病の患者には1日のうちで症状が軽減する時(以下、単にオン時という場合がある)と症状が悪化する時(以下、単にオフ時という場合がある)がある。オフ時には突進歩行またはすくみ足が多くみられる。

0003

突進歩行またはすくみ足などの異常歩行時には左右の足運びのバランス崩れることが経験的に知られている。このため、左右の足運び(歩行)の同調性リアルタイムでモニタできれば、異常歩行の兆候をとらえて転倒防止等の適切な処置を講じることができる。また、片脚に障害を持つ患者の歩行では歩行のステップ間隔に大きな左右差がある。このためステップ間隔の左右差を定量化できれば、リハビリまたは治療の効果の適切な理解につながる。ここで、同調性とは、歩行中において、右足着地から左足着地までの時間と、左足着地から右足着地までの時間との比が一定値(例えば1)を保っているかどうかを指す指標である。すなわち、右足着地から左足着地までの時間と、左足着地から右足着地までの時間との比が一定値(1)を保っていれば同調性は高いと判断され、右足着地から左足着地までの時間と、左足着地から右足着地までの時間との比が一定値(1)を保っていなければ同調性は低いと判断される。

0004

パーキンソン病患者の左右の足運び(ステップ)の同調性の評価については、複数のフットスイッチ型センサを用いて、パーキンソン病患者の左右の足運びの同調性の評価することが知られている。
例えば、歩行を表すリズムが1サイクル変化するのに要する時間と、歩行を表すリズムが次の1サイクル変化するのに要する時間との比を求めることで、歩行の同調性を判断する。従来、この比は、離地または爪先離地特徴点の間隔から求められていた。

先行技術

0005

Ronny Bartsch et al. “Fluctuation and synchronization of gait intervals and gait force profiles distinguish stages of Parkinson's disease” Physica A: Statistical Mechanics and its Applications 383(2):455-465 Sep 2007.

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、従来におけるパーキンソン病患者の左右の足運びの同調性の評価では、蓄積されたデータについて統計的な計算処理を行っているため、連続的な処理またはリアルタイム処理には不適である。
また、従来におけるパーキンソン病患者の左右の足運びの同調性の評価では、特徴点の間隔を用いて同調性の評価を行なっている。このため、特徴点として波形ピークを用いた場合において、ピークが分裂するなど明瞭なピークを持たない波形から上記比を算出すると大きな誤差が生じる。すなわち、特徴点の間隔を用いた同調性の評価は、明瞭なピークを持たない波形には不適である。また、特徴点の間隔を用いた場合、波形のピーク位置に対応する時間毎にしか比を計算できない。すなわち、特徴点の間隔を用いた同調性の評価は、連続的な処理またはリアルタイム処理には不適である。

0007

本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、体動リズムの同調性を連続的に評価することを目的とする。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の1つとして位置付けることができる。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らの鋭意研究により、信号の位相に着目することで、信号の測定時間間隔を下限とする任意の時間間隔で、連続的に運動リズムの同調性を評価できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出過程と、前記時刻算出過程により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出過程と、をそなえた情報処理方法に存する。

0009

また、本発明の要旨は、生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出部と、前記時刻算出部により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出部と、をそなえた情報処理装置に存する。

0010

さらに、本発明の要旨は、所定の時刻における生体の繰り返し随意運動を表す信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻に基づく、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を、前記評価係数を識別可能な形態にて出力する出力部をそなえた出力装置に存する。
また、本発明の要旨は、生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出部と、前記時刻算出部により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出部と、前記評価係数算出部により算出された評価係数を、前記評価係数を識別可能な形態にて出力する出力部と、をそなえた情報処理システムに存する。

0011

さらに、本発明の要旨は、生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出過程と、前記時刻算出過程により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出過程と、をコンピュータに実行させる情報処理用プログラムに存する。

0012

また、本発明の要旨は、生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度変化した時刻(以下、第1時刻という)、および、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が前記所定角度の2倍変化した時刻(以下、第2時刻という)を算出する時刻算出過程と、前記時刻算出過程により算出された、前記第1時刻および前記第2時刻に基づいて、前記繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する評価係数算出過程と、をコンピュータに実行させる情報処理用プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体に存する。

発明の効果

0013

運動リズムの同調性を連続的かつリアルタイムで評価することが可能となる。

図面の簡単な説明

0014

図1は、実施形態の一例としてのシステムの構成を示す図である。
図2は、実施形態の一例としての運動リズムを示す図である。
図3は、実施形態の一例としての判定部の動作を説明するための図である。
図4は、実施形態の一例としてのシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
図5(A)及び図5(B)は、実施形態の一例としての体動信号および運動リズムを示す図であり、図5(A)は、健常な被験者腹部中央体動信号検出装置を装着した状態で、体動信号検出装置が100Hzサンプリングにて測定した15分間のウォーキング中の加速度信号の一部であり、図5(B)は、体動信号から抽出された運動リズムの一例を示す図である。
図6は、実施形態の一例としての時定数決定部の動作を説明するためのフローチャートである。
図7は、実施形態の一例としての時定数の変化に対する分散の変化を示す図である。
図8は、実施形態の一例としてのリズム抽出部の動作を説明するためのフローチャートである。
図9は、実施形態の一例としての評価係数決定部の動作を説明するためのフローチャートである。
図10(A)〜図10(C)は、実施形態の一例としてのパターンマッチング法を説明するための図であり、図10(A)は、図5(B)のデータから一部の波形を抜き出したものであり、図10(B)は、図10(A)中*印で示した時間を中心として、幅0.4秒の基準波を選び自己相関係数を計算した結果であり、図10(C)は、図10(A)中○印で示した時間を中心として、幅0.4秒の基準波を選び自己相関係数を計算した結果である。
図11は、実施形態の一例としての評価係数を示す図である。
図12は、実施形態の一例としての判定部の動作を説明するためのフローチャートである。
図13は、実施形態の一例としての判定部の動作を説明するためのフローチャートである。
図14は、実施形態の一例としての評価係数を示す図である。
図15は、実施形態の一例としての運動リズムを示す図である。
図16(A)〜図16(C)は、実施形態の一例としてのシステムにより得られる評価係数を説明するための図であり、図16(A)は、体動信号検出装置10によって検出された加速度を示す図であり、図16(B)は、2階積分後の加速度信号すなわち運動軌道を示す図であり、図16(C)は、2階積分後の加速度信号から求められた評価係数を示す図である。
図17(A)〜図17(C)は、実施形態の一例としてのシステムにより得られる評価係数を説明するための図であり、図17(A)は、体動信号検出装置10によって検出された加速度を示す図であり、図17(B)は、2階積分後の加速度信号すなわち運動軌道を示す図であり、図17(C)は、2階積分後の加速度信号から求められた評価係数を示す図である。
図18(A)〜図18(C)は、実施形態の一例としてのシステムにより得られる評価係数を説明するための図であり、図18(A)は、体動信号検出装置10によって検出された加速度および角速度を示す図であり、図18(B)は、2階積分後の加速度信号および角速度信号を示す図であり、図18(C)は、2階積分後の加速度信号および角速度からそれぞれ求められた評価係数を示す図である。
図19(A)は、平滑化処理を施した後の歩行指数時間変化を示す図であり、図19(B)は、平滑化処理を施した後の体動指数の時間変化を示す図である。

0015

以下、図面を参照して本情報処理方法に係る実施の形態を説明する。
〔A〕実施形態の説明
図1は、実施形態の一例にかかるシステムの構成を示す図である。システム1は、体動信号検出装置10と情報処理装置20とをそなえる。体動信号検出装置10は、情報処理装置20と、例えば、インターネット等の有線または無線LAN(Local Area Network)またはBluetooth(登録商標)等の無線を介して通信可能に接続されている。

0016

体動信号検出装置10は、例えば、被験者(生体)の繰り返し随意運動(以下、単に随意運動という場合がある)に伴う繰り返しリズム運動非侵襲的かつ連続的に検出(測定)するものである。以下、随意運動に伴う繰り返しリズム運動を、単にリズム運動という場合がある。
ここで、随意運動とは、例えば、歩行、ジョギングランニング自転車水泳体操ウェートトレーニング体力測定踏み台昇降、反復横とび)、ジャグリング(お手玉サッカーボールリフティング)等である。また、随意運動に伴う繰り返しリズム運動には、例えば、随意運動が歩行である場合には、歩行自体のリズム運動が含まれる。

0017

また、随意運動が規則的に繰り返される運動である場合に、より正確に随意運動自体のリズムを抽出することができる。なお、規則的に繰り返される随意運動とは、完全に同じ運動が繰り返されることのみではなく、略同じ運動が繰り返されることを含む。
また、非侵襲的とは、例えば、被験者の体に傷をつけないこと、または、被験者に対して負担を与えないことを意味する。

0018

体動信号検出装置10は、例えば、携帯可能に構成される。なお、体動信号検出装置10の被験者への取り付け位置は、体の動きを検知できる部位であれば、特に制限はない。
体動信号検出装置10は、例えば、体動信号検出部11,記憶部12およびインターフェース部13をそなえる。体動信号検出部11,記憶部12およびインターフェース部13は、相互に通信可能に接続されている。

0019

体動信号検出部11は、例えば、随意運動に伴う繰り返しリズム運動を体動信号(生体の随意運動に伴う繰り返しリズム運動に基づく信号)として検出(測定)する。すなわち、体動信号検出部11は、生体の随意運動に伴う繰り返しリズム運動に基づく信号を体動信号として検出する。異なる観点から見れば、一つの体動信号検出部11は、例えば、生体の随意運動に伴う繰り返しリズム運動を体動信号として検出する。具体的には、被験者のリズム運動による、例えば、力の変化、空間的な身体の位置の変化、身体から発する音、電磁波等の波または微細エネルギーの変化または身体の周りにおける場の変化等を体動信号として検出(測定)する。すなわち、体動信号検出部11は、随意運動に伴う繰り返しリズム運動に基づく信号を測定する。

0020

ここで、体動信号検出部11は、例えば、加速度センサ速度センサジャイロセンサ等の慣性センサにより実現される。上記体動信号を検出する慣性センサについては、例えば、検出する信号の種類に応じて適宜選択される。通常、歩行リズムを検出する場合には、体の動きの加速度を測定する加速度センサが好ましく用いられるが、加速度センサに限定されるものではない。

0021

また、加速度センサとしては、一軸〜三軸のものを任意に用いることができるが、歩行時における鉛直方向、水平前後方向、及び水平左右方向の三方向へ作用する加速度を検出するための三軸加速度センサを用いることが好ましいが、三軸加速度センサに限定されるものではない。
なお、体動信号検出部11は、例えば、所定のサンプリング周波数(例えば、100Hz)で体動信号を測定する。

0022

記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory),HDD(Hard Disk Drive),SSD(Solid State Drive),フラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。記憶部12は、具体的には、例えば、体動信号検出部11によって得られた体動信号を記憶する。また、記憶部12は、例えば、体動信号検出装置10に対して着脱自在に設けられてもよいし、体動信号検出装置10に固定されてもよい。

0023

インターフェース部13は、例えば、情報処理装置20と通信可能に接続されるインターフェースである。体動信号検出装置10が情報処理装置20と無線を介して接続されている場合には、例えば、インターフェース部13はアンテナを含むものである。また、体動信号検出装置10が情報処理装置20と有線を介して接続されている場合には、例えば、インターフェース部13は、有線に接続可能な接続端子である。なお、記憶部12が、例えば、体動信号検出装置10に設けられたスロットに対して着脱自在に設けられており、記憶部12を体動信号検出装置10から取り外して情報処理装置20に接続する場合には、インターフェース部13は、体動信号検出装置10に設けられなくてもよい。
情報処理装置20は、例えば、PC(Personal Computer)であり、体動信号検出装置10により得られた体動信号から後述する評価係数を算出する。

0024

情報処理装置20は、例えば、中央演算部21,記憶部22,出力部23およびインターフェース部24をそなえる。ここで、中央演算部21,記憶部22,出力部23およびインターフェース部24は、相互に通信可能に接続されている。
記憶部22は、例えば、RAM,HDD,SSD等の、アプリケーションプログラム及びデータを格納可能な記憶装置であり、各種情報を記憶する。

0025

中央演算部21は、例えば、記憶部22に記憶された各種アプリケーションプログラムを実行することにより種々の演算または制御を行ない、これにより、各種機能を実現する処理装置である。
例えば、中央演算部21は、記憶部22に記憶された情報処理用プログラムを実行することにより、時定数決定部211,リズム抽出部212,評価係数決定部213,判定部214および出力制御部215として機能する。すなわち、情報処理用プログラムは、中央演算部21を、時定数決定部211,リズム抽出部212,評価係数決定部213,判定部214および出力制御部215として機能させるプログラムである。

0026

時定数決定部211は、例えば、体動信号検出部11により得られた体動信号を記憶部12から取得し、取得した体動信号に基づいて、随意運動自体のリズムを表す信号(以下、単に運動リズムという場合がある)を抽出するために用いる時定数を算出する。すなわち、運動リズムは、生体の繰り返し随意運動を表す信号に相当する。また、運動リズムが含まれる体動信号は一つの体動信号検出部11により検出された信号であるため、生体の繰り返し随意運動を表す信号は一つの体動信号検出部11(検出部)により検出された信号である。

0027

具体的には、時定数決定部211は、以下の処理を行なうことで、時定数を決定する。
(1)時定数決定部211は、体動信号Xを、ある時定数Aで特徴付けられるハイパスフィルタ、あるいはバンドパスフィルタにかける。ここで、例えば、ハイパスフィルタとしては、体動信号Xを時間幅(時定数)Aのゼロ位相移動平均フィルタ平滑化する処理をF(X,A)と記載するとき、出力波形(信号)Y=X-F(X,A)で表現される処理を行なう。また、例えば、バンドパスフィルタとしては、Y=F(X-F(X,A),A/2.5)で表現される処理を行なう。ここで、ゼロ位相移動平均フィルタとは、位相ずれが0である移動平均フィルタを指す。なお、ゼロ位相移動平均フィルタは既知の種々の手法を用いて実現可能であり、詳細な説明は省略する。なお、バンドパスフィルタの時定数の一例として、A/2.5としているが、これに限定されるものではない。

0028

(2)次に、時定数決定部211は、出力波形Yの規則性数値化する。時定数決定部211は、例えば、出力波形Yの極大及び極小のピークにおける値の絶対値のCV(=標準偏差平均値:Coefficient of Variation)を求める。より具体的には、時定数決定部211は、出力波形Yから、極大および極小のピークを抽出し、ピーク位置における波形の振幅の絶対値を求め、求められた波形の振幅から標準偏差および平均値を求める。そして、時定数決定部211は、標準偏差を平均値で除することで、分散すなわちCVを算出する。

0029

(3)さらに、時定数決定部211は、時定数Aを変化させた場合の出力波形Yの規則性を求める。時定数決定部211は、例えば、時定数Tを変化させた場合の出力波形Yの規則性をグラフ化する。具体的には、時定数決定部211は、例えば、時定数Aを変化させた場合の、各時定数AにおけるCVを算出することで、時定数Aに対する出力波形Yの規則性の変化を求める。
なお、時定数決定部211における出力波形Yの規則性の数値化として、出力波形Yのピークにおける絶対値のCVを利用する例を述べたが、この例に限定されるものではない。
(4)時定数決定部211は、上記(3)の処理で求められた時定数Aに対する出力波形Yの規則性の変化(CVの変化)から、極小点を求める。そして、時定数決定部211は、例えば、求められた極小点(例えば2つの極小点)のうち時定数Aの小さい方の極小点に対応する時定数Aを、運動リズムを体動信号から分離して抽出するための時定数(以下、第1時定数という場合がある)として決定する。すなわち、時定数決定部211は、なるべく規則性のあるような波形を分離して抽出することが可能となる時定数を選択する。言い換えれば、時定数決定部211は、複数の極小点(例えば2点)を選択し時定数Aの小さい方の極小点に対応する時定数を第1時定数として決定する。すなわち、時定数決定部211は、体動信号に対してバンドパスフィルタを適用した場合の出力に基づいて第1時定数を決定する。

0030

なお、上記(1)〜(4)の過程で、体動信号をN階積分(N=1,2,3.…)する過程を含めた方がノイズ除去の観点から好ましい。N階積分する場合、上記(1)の処理(フィルタ処理)をN回以上施すことが好ましい。積分操作とフィルタ処理の順番は、例えば、以下の条件の下であればどのような順番でも良い。
・フィルタ処理は2回以上連続して行わない。
・フィルタ処理のうち1回は積分処理がすべて終了してから行う。
・フィルタ処理を2回以上行う場合、最後の1回を除いて、そのフィルタはハイパスフィルタとする。

0031

リズム抽出部212は、例えば、体動信号検出部11により得られた体動信号を記憶部12から取得し、時定数決定部211により決定された第1時定数(A1)を用いて、フィルタリング処理を行なうことで体動信号から運動リズムを抽出する。
具体的には、リズム抽出部212は、例えば、以下の処理(フィルタリング処理)を行なうことで体動信号から運動リズムを抽出する。なお、下記の処理は、例示であり、この例に限定されるものではない。

0032

(5)例えば、リズム抽出部212は、体動信号に対して、第1時定数のゼロ位相移動平均フィルタを施すことで、体動信号の低周波成分を求める。すなわち、リズム抽出部212は、体動信号に対して、F(X,A1)で表される処理を行なう。次に、リズム抽出部212は、体動信号から、F(X,A1)で表される処理を行なうことで求められた低周波成分を引く。すなわち、リズム抽出部212は、Y=X-F(X,A1)を求める。言い換えれば、リズム抽出部212は、第1時定数を用いて、体動信号に対してハイパスフィルタリングを行なう。

0033

なお、このハイパスフィルタリングによって、例えば、後述する積分処理において発散防止が可能となる。
(6)次に、リズム抽出部212は、ハイパスフィルタリング後の信号に対して積分を行なう。積分の階数は任意であり、例えば、リズム抽出部212は、ハイパスフィルタリング後の信号に対して2階積分を行なう。

0034

(7)リズム抽出部212は、処理(11)における積分後の信号X2に対して、(10)と同様の処理を行なう。すなわち、リズム抽出部212は、積分後の体動信号に対して、F(X2,A1)で表される処理を行なう。言い換えれば、リズム抽出部212は、第1時定数を用いて、積分後の信号である積分信号に対してハイパスフィルタリングを行なう。
(8)さらに、リズム抽出部212は、上記(12)の処理で得られた信号の極大値を結ぶ包絡線と、極小値を結ぶ包絡線とを作成し、これらの2本の包絡線の平均からなる信号を、上記(12)の処理で得られた信号から引く処理を行なう。この処理により得られた信号の振幅は、振幅の値0を挟んで変化することとなるため、後述するヒルベルト変換法を用いる場合において、位相を正確に求めることが可能となる。なお、この処理は省略してもよい。

0035

上記(5)〜(8)の過程により、リズム抽出部212は、体動信号から運動リズムを抽出する。すなわち、リズム抽出部212は、体動信号にフィルタリング処理を施すことにより、体動信号から、随意運動のリズム(運動リズム)を抽出するリズム抽出部として機能する。従って、体動信号から、例えば歩行リズムの同調性を評価する場合には、あらかじめ歩行領域を抽出してもよいし、そのような前処理を施さなくてもよい。
なお、上記(6)の過程で、体動信号を2階積分しているが、積分処理の実施に限定されるものではなく、積分処理を行なわなくてもよい。また、2階積分に限定されるものではなく、N階積分を行なってもよい(N=1,2,3,…)。なお、N階積分する場合、上記(5)[または(7)]の処理(フィルタ処理)をN回以上施すことが好ましい。積分操作とフィルタ処理の順番は、例えば、以下の条件の下であればどのような順番でも良い。
・フィルタ処理は2回以上連続して行わない。
・フィルタ処理のうち1回は積分処理がすべて終了してから行う。
・フィルタ処理を2回以上行う場合、最後の1回を除いて、そのフィルタはハイパスフィルタとする。

0036

評価係数決定部213は、例えば、運動リズムの位相に基づいて、運動リズムの同調性を評価するための評価係数を決定する。ここで、位相とは、時間的に繰り返されるリズムを、円周上を回転する運動と見立て、リズム波形上の各点が何度の回転角度に相当するかを表す指標である。例えば、正弦波において隣り合う二つのピーク点の位相には360度の差がある。図2は、運動リズムの一例を示す図であり、図中のピークは、例えば、被験者の右足の着地、または、左足の着地に対応する。ここで、評価係数の一例は、例えば、図2に示す運動リズムの一例において、一方の足(例えば、右足)に対応するピーク間における一方の足に対応するピークと他方の足に対応するピークとの時間間隔をそれぞれ第1時間T1,第2時間T2として、下記(1)式により求められる。なお、運動リズムの同調性を評価するための評価係数は、この評価係数に限定されるものではない。例えば、下記(1)式では、第1時間T1と第2時間T2とが等しいときの評価係数の値は0となるが、0に限定されるものではない。例えば、第1時間T1と第2時間T2とが等しいときの評価係数の値を1等0以外の値となるような評価係数の算出式を用いてもよい。すなわち、評価係数の算出式は下記(1)式に限定されるものではない。なお、下記(1)式は、一方の足の着地から他方の足の着地までの時間と他方の足の着地から一方の足の着地までの時間との差の半分と、一方の足の着地から他方の足の着地までの時間と他方の足の着地から一方の足の着地までの時間との和との比を表している。

0037

0038

なお、図2においては、一方の足(例えば、右足)に対応するピーク間における一方の足に対応するピークと他方の足に対応するピークとの時間間隔をそれぞれ第1時間T1,第2時間T2としたが、ピーク間の時間間隔に限定されるものではない。例えば、第1時間T1は、運動リズムのピークに相当しない所定の位置から位相が360度変化するまでの時間であってもよい。さらに、例えば、第2時間T2は、運動リズムのピークに相当しない所定の位置から位相が360度変化した位置から、さらに位相が360度変化するまでの時間であってもよい。

0039

なお、第1時間T1は、運動リズムのピーク、またはピークに相当しない所定の位置から位相が360度変化するまでの時間であり、第2時間T2は、運動リズムのピーク、またはピークに相当しない所定の位置から位相が360度変化した位置から、さらに位相が360度変化するまでの時間であるとしたが、これに限定されない。例えば、第1時間T1は、運動リズムのピーク、またはピークに相当しない所定の位置から位相が−360度変化するまでの時間(所定の位置から360度遡った時間)であり、第2時間T2は、運動リズムのピーク、またはピークに相当しない所定の位置から位相が−360度変化した位置から、さらに位相が−360度変化するまでの時間(所定の位置から720度遡った時間)であってもよい。また、例えば、第1時間T1は、運動リズムのピーク、またはピークに相当しない所定の位置から位相が360度変化するまでの時間であり、第2時間T2は、運動リズムのピーク、またはピークに相当しない所定の位置から位相が−360度変化するまでの時間(所定の位置から360度遡った時間)であってもよい。

0040

ところで、第1時間T1を所定の位置から360度遡った時間として設定する場合、または、第2時間T2を所定の位置から360度または720度遡った時間として設定する場合、第1時間T1及び第2時間T2の値が負となる場合がある。このような場合には、数1に代入する第1時間T1及び第2時間T2に留意する必要がある。

0041

評価係数決定部213は、時刻算出部223および評価係数算出部233をそなえる。
時刻算出部223は、例えば、運動リズムの位相を算出することで、所定の時刻(任意の時刻)における運動リズムの位相から位相が所定角度(以下、第1角度という場合がある)変化した時刻(第1時刻)および、所定の時刻における運動リズムの位相から位相が第1角度の2倍変化した時刻(第2時刻)を算出する。

0042

また、時刻算出部223は、例えば、所定の時刻から第1時刻までの時間(第1時間: T1)を算出することができる。また、時刻算出部223は、例えば、第1時刻から第2時刻までの時間(第2時間:T2)を算出することができる。
ここで、第1角度とは、例えば、180度または360度の正の値である。なお、本願において、360度とは、厳密に360度である場合および略360度である場合を含み、同様に、180度とは、厳密に180度である場合および略180度である場合を含む。

0043

なお、時刻算出部223は、例えば、運動リズムの位相を算出することで、所定の時刻(任意の時刻)における運動リズムの位相から位相が第1角度遡った時刻(所定角度遡った時刻も、第1時刻に含めることとする。)および、所定の時刻における運動リズムの位相から位相が第1角度の2倍変化した時刻(第1角度の倍遡った時刻も、第2時刻に含めることとする。)を算出するようにしてもよい。つまり第1角度は、例えば、−180度または−360度の負の値であっても構わない。この場合、時刻算出部223は、第1時刻から所定の時刻までの時間(第1時間: T1)を算出することができる。また、時刻算出部223は、第2時刻から所定の時刻までの時間(第2時間:T2)を算出することができる。

0044

さらに、時刻算出部223は、所定の時刻(任意の時刻)における運動リズムの位相から位相が第1角度変化した時刻(第1時刻)および、所定の時刻における運動リズムの位相から位相が第1角度の−1倍変化した時刻を算出するようにしてもよい。この場合、時刻算出部223は、所定の時刻から第1時刻までの時間(第1時間: T1)を算出することができる。また、時刻算出部223は、第2時刻から所定の時刻までの時間(第2時間:T2)を算出することができる。
以下では、評価係数算出部233が第1時刻(第1時刻は所定の時刻よりも大きい)及び第2時刻(第2時刻は第1時刻よりも大きい)を算出する場合について説明することとする。第1時刻(第1時刻は所定の時刻よりも小さい)及び第2時刻(第2時刻は第1時刻よりも小さい)を算出する場合、及び第1時刻(第1時刻は所定の時刻よりも大きい)及び第2時刻(第2時刻は所定の時刻よりも小さい)を算出する場合についても、その演算手法は同様である。

0045

時刻算出部223は、例えば、ヒルベルト変換法またはパターンマッチング法を用いて、運動リズムの位相を算出する。なお、位相を算出する方法は、ヒルベルト変換法またはパターンマッチング法に限定されるものではない。
ここで、ヒルベルト変換法は、波形の所定の位置における位相を具体的に算出する手法であり、パターンマッチング法は直接的に位相を特定しないが、互いに位相が360度ずれた点を見つける手法である。すなわち、パターンマッチング法は、波形の所定の位置から位相が360度の整数倍ずれた点を見つける手法である。言い換えれば、パターンマッチング法は、波形の所定の位置に対する相対的な位相(例えば360度)を算出する。

0046

評価係数算出部233は、例えば、時刻算出部223によって算出された、第1時刻および第2時刻に基づいて、評価係数を算出する。例えば、評価係数算出部233は、時刻算出部223によって算出された第1時刻および第2時刻に基づいて第1時間および第2時間を算出し、第1時間および第2時間を上記(1)式に代入することで、評価係数を算出する。すなわち、評価係数算出部233は、第1時刻および第2時刻に基づいて、繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する。

0047

まず、時刻算出部223が、ヒルベルト変換法を用いて位相変化量の比を算出する場合について説明する。
(A)ヒルベルト変換法を用いる場合
ヒルベルト変換は、任意の実数時系列信号X(t)から対応する虚数部分Y(t)を導く数学的手法である。これにより、時刻算出部223は、下記(2)式からX(t)の位相θ(t)を直接的に求めることができる。すなわち、位相算出部224は、下記(2)式から所定時刻所定位置)における運動リズムの位相を求めることができる。

0048

0049

また、任意の時刻tにおける運動リズムの位相をθG(t)度とすると、時刻算出部223は、上記(2)式から、運動リズムの位相を求めることで、例えば、θG (t1)=θG (t)+360となるような時刻t1を求める。さらに、時刻算出部223は、例えば、θG (t2)=θG (t)+720となるような時刻t2を求める。

0050

そして、評価係数算出部233は、例えば、時刻算出部223によって算出された時刻t1および時刻t2を用いて、例えば、下記(3)式から評価係数を算出する。

0051

0052

なお、(3)式は、(1)式と等価な式である。なお、評価係数算出部233は、時刻t1および時刻t2に基づいて算出された第1時間T1および第2時間T2を用いて、上記(1)式から評価係数を算出してもよい。
次に、時刻算出部223が、パターンマッチング法を用いて位相変化量の比を算出する場合について説明する。
(B)パターンマッチング法を用いる場合
パターンマッチング法は二つの信号の類似性を定量化する手法である。類似度の定義または計算法は多数あるが、具体的には例えば、「画像処理工学(末良一・山田宏尚著、コロナ社)」等に記載の方法が用いられる。最も代表的なのが自己相関係数である。例えば3次元の体動信号については以下のような計算を行う。

0053

まず体動データから適当な基準波を選び出す。基準波の座標を下記(4)式とする。

0054

0055

ここでp個のx、y、zはそれぞれの平均値がゼロになっているとする。下記(5)式で自己相関係数が計算される。

0056

0057

これはいわゆるスカラー量であり、座標系のとり方に依存しない。すなわち、体動測定中に体動信号検出装置10が装着部位で回転のずれを起こしても同じ値となる。なお、1次元の信号についても同様にして計算する。
上記パターンマッチング法を用いると、任意の時刻tにおけるリズム波形の位相か360度だけ位相がずれた時刻t1または720度だけ位相がずれた時刻t2等を容易に求めることができる。言い換えれば、時刻算出部223は、パターンマッチングを用いることで、時刻tにおける運動リズムの位相から、それぞれ360度の整数倍だけ位相がずれた時刻を求めることができる。

0058

そして、評価係数算出部233は、例えば、時刻算出部223によって算出された時刻t1および時刻t2を用いて、例えば、上記(3)式から評価係数を算出する。なお、評価係数算出部233は、時刻t1および時刻t2に基づいて算出された第1時間T1および第2時間T2を用いて上記(1)式から評価係数を算出してもよい。

0059

判定部214は、例えば、評価係数決定部213により求められた評価係数に基づいて、運動リズムの同調性の評価(判定)を行なう。すなわち、判定部214は、評価係数に基づいて、運動リズムの同期またはバランスを評価する。具体的には、例えば、随意運動が歩行等である場合には、判定部214は、左右の足運びの同調性、すなわち左右の足運びの同期またはバランスの評価を行なう。ここで、左右の足運びの同期の良否は、評価係数が時間によらず一定値を保っているか、または、評価係数が周期的に変化しているか否かにより判断する。例えば、判定部214は、評価係数が時間によらず一定値を保っている場合または評価係数が周期的に変化している場合、には、左右の足運びの同期は良いと判定する。また、左右の足運びのバランス良否は、上記(1)式を用いて評価係数を決定する場合、評価係数が0に近いか否かにより判断する。例えば、判定部214は、評価係数が0に近いほど左右の足運びのバランスが良いと判定する。

0060

具体的には、判定部214は、所定時間にわたる評価係数の変化から、例えば、以下のR,SおよびCの3つの指標を算出する。所定時間とは、例えば、随意運動が歩行である場合には、被験者が10歩程度の歩行に要する時間(例えば5秒)であるが、この時間に限定されるものではない。
(i)評価係数の範囲(0から最も離れた値):0±R
(ii)評価係数の標準偏差(ゆらぎの大きさ):S
(iii)平均歩行周期図2または後述する図15におけるT1+T2)だけ時間をずらしたときの評価係数の自己相関係数(評価係数の周期性):C
判定部214は、これらのR,SおよびCの3つの指標に基づいて、同調性の評価を行なう。図3は、判定部214の動作の一例を説明するための図である。

0061

図3に示すように、判定部214は、例えば、Rが0.02以下であれば、左右の足運び(歩行リズム)の同期および左右の足運びのバランスは非常に良い(図3中◎参照)と判断する。すなわち、判定部214は、評価係数が、所定時間(例えば5秒)にわたって、所定範囲(例えば0±0.02)内であるかを判定する判定部として機能する。
また、判定部214は、例えば、Rが0.02以下ではないが、Sが、0.01以下である場合には、左右の足運びの同期および左右の足運びのバランスは良い(図3中○参照)と判断する。

0062

さらに、判定部214は、例えば、Rが0.02以下ではなく、かつ、Sが0.01以下ではない、場合には、Cに基づいて、左右の足運びの同期および左右の足運びのバランスを評価する。
判定部214は、例えば、Cが0.5以上の場合には、左右の足運びの同期は良いが、左右の足運びのバランスは悪い(図3中×参照)と判断し、Cが0.5より小さく0.2以上の場合には、左右の足運びの同期は普通(図3中△参照)だが、左右の足運びのバランスは悪い(図3中×参照)と判断する。さらに、判定部214は、例えば、Cが0.2未満の場合には、左右の足運びの同期は悪く(図3中×参照)、左右の足運びのバランスは判定不能であると判定する。

0063

図3における数値(0.02,0.01,0.5および0.2)は例示であり、これらの数値に限定されるものではない。また、図3では、R,SおよびCの3つの指標を用いて5パターンの判定を行なっているが、この判定手法に限定されるものではなく、より細かい判定を行なってもよいし、より大まかな評価を行なうこととしてもよい。例えば、Rの値のみに基づいて2パターンの判定を行なうこととしてもよい。
以上の他にも、判定部214では、所定時間にわたる評価係数の変化から、左右の足運びの同期および左右の足運びのバランスを、例えば以下のように直接指標化することもできる。所定時間とは、例えば、随意運動が歩行である場合には、被験者が10歩程度の歩行に要する時間(例えば5秒)であるが、この時間に限定されるものではない。

0064

ここで、運動リズムの位相から算出された評価係数を時刻tの関数として、H(t)と記す。任意の時刻t1を起点として運動リズムの位相が720度変化したときの時刻をt2とする。
(i)左右の足運びのバランス:S1
時刻t1≦t≦時刻t2の間におけるH(t)の標準偏差を求める。所定時間にわたり時刻t1を逐次変化させて標準偏差の時間変化を算出する。こうして得られた標準偏差の時系列データについて、所定時間内における平均値を求め、左右の足運びのバランスの指標S1とする。評価係数が(3)式で計算される場合、左右の足運びのバランスが完璧であればこの指標は0となり、バランスが崩れてくると0.5に近づく。歩行に問題のない成人であれば、この値は通常0.02以下となる。
(ii)左右の足運びの同期:S2
H(t2)‐H(t1)の絶対値を求める。所定時間にわたり時刻t1を逐次変化させて絶対値の時間変化を算出する。次にこうして得られた絶対値の時系列データの包絡線を求める。具体的には例えば、ヒルベルト変換の式を用いる。すなわち、(2)式において絶対値をX(t)とした場合のA(t)が包絡線に相当する。所定時間内における包絡線の平均値を求め、左右の足運びの同期の指標S2とする。評価係数が(3)式で計算される場合、左右の足運びの同期が完璧であればこの指標は0となり、同期が崩れてくると1に近づく。歩行に問題のない成人であれば、この値は通常0.02以下となる。

0065

また、前述した時定数決定部211における出力波形Yの規則性の数値化としては、時刻算出部223で得られる位相や、判定部214で得られる指標を利用することもできる。例えば、位相の周期のCVあるいは左右の足運びの同期の指標S2を出力波形Yの規則性を反映しているとみなす。そして、フィルタの時定数Aを変化させて(例えば、歩行リズムの場合は、0から1秒の間で)、位相の周期のCVあるいは指標S2を求め、その値が最小値をとるような時定数Aを最適な時定数として決定する。

0066

出力制御部215は、出力部23を制御する。例えば、出力部23がディスプレイの表示部をそなえる場合には、出力制御部215は、出力部23の表示状態を制御することで、各種の情報を出力部23に表示させる。例えば、出力制御部215は、リズム抽出部212によって抽出された運動リズムまたは評価係数決定部213によって求められ評価係数を出力部23に表示させる。評価係数の表示は、グラフとして出力部23に表示させてもよいし、「評価係数は**です」のようにメッセージとして表示させてもよい。また、出力制御部215は、例えば、判定部214による判定結果を、評価係数の表示に加え、または、評価係数の表示に替えて、出力部23に表示させてもよい。

0067

また、出力部23が、例えば、アラームまたは振動等により警告を行なうものであれば、判定部214により、例えば、評価係数が所定の範囲内の値ではないと判断された場合に、出力制御部215は、出力部23を制御することで出力部23に警告を行なわせる。
また、出力部23が、情報処理装置20外にそなえられている場合には、出力制御部215は、例えば、リズム抽出部212によって抽出された運動リズムまたは評価係数決定部213によって求められ評価係数等の各種情報を、無線または有線を介して出力部23に送信することで、出力部23の表示状態を制御する。

0068

出力部23は、出力制御部215の制御の下、各種の情報を出力する。例えば、出力部23は、ディスプレイであり、評価係数決定部213によって求められた評価係数、または、判定部214により、例えば、評価係数が所定の範囲内の値ではないと判断された場合には、警告を表示する。
また、出力部23は、例えばアラームまたは振動等によって、状態の変化または突然の異常について報知するもの等であってもよく、判定部214により、例えば、評価係数が所定の範囲内の値ではないと判断された場合には、アラームまたは振動等により警告を行なう。

0069

なお、出力部23は、情報処理装置20にそなえられなくともよく、情報処理装置20外にそなえられてもよい。ここで、出力部23が、情報処理装置20外にそなえられている場合とは、例えば、出力部23が体動信号検出装置10に含まれる場合、または、体動信号検出装置10および情報処理装置20にどちらにも含まれない場合である。情報処理装置20外にそなえられている場合において、例えば、情報処理装置20は、無線または有線を介して出力部23と接続されている。すなわち、出力部23は、情報処理装置により求められた結果(例えば、評価係数)を出力する出力部として機能する。また、出力部23は、情報処理装置により求められた結果(例えば、評価係数)を出力する出力部をそなえた出力装置として機能する。

0070

インターフェース部24は、例えば、体動信号検出装置10と通信可能に接続されるインターフェースである。情報処理装置20が体動信号検出装置10と無線を介して接続されている場合には、例えば、インターフェース部24はアンテナを含むものである。また、情報処理装置20が体動信号検出装置10と有線を介して接続されている場合には、例えば、インターフェース部24は、有線の接続端子である。なお、記憶部12が、例えば、体動信号検出装置10に対して着脱自在に設けられており、記憶部12を体動信号検出装置10から取り外して情報処理装置20に接続する場合には、インターフェース部24は、例えば、記憶部12が接続されるスロットとしても機能する。

0071

上述の如く構成された、実施形態の一例としてのシステム1の動作を、図4に示すフローチャート(ステップA1〜A6)を参照しながら説明する。以下、積分信号をもとに運動リズムの同調性の評価を行う具体的な方法の一例を、歩行中の加速度信号を用いた場合について詳細に説明するが、他の慣性センサまたは他の運動中の信号の場合でも同様の処理が適用できる。

0072

まず、体動信号検出部11が、随意運動に伴う繰り返しリズム運動を体動信号として検出する(ステップA1)。図5(A)は、健常な被験者の腹部中央に体動信号検出装置10(3軸の加速度センサ)を装着した状態で、体動信号検出装置10(体動信号検出部11)が100Hzサンプリングにて測定した15分間のウォーキング中の加速度信号の一部である。なお、図5(A)においては、3軸のうち、上下方向の加速度変化のみを示している。次に、体動信号検出部11により検出された体動信号に基づいて、時定数決定部211は、運動リズムを抽出するための時定数を決定する(ステップA2)。そして、ステップA2にて決定された時定数を用いて、リズム抽出部212は、体動信号から運動リズムを抽出する(ステップA3)。図5(B)は、体動信号から抽出された運動リズムの一例を示す図である。

0073

そして、評価係数決定部213は、抽出された運動リズムから評価係数を決定する(ステップA4)。判定部214は、この評価係数に基づいて、例えば、運動リズムの同調性の判定を行なう(ステップA5:判定過程)。次に、判定部214の判定結果に基づいて、出力制御部215は出力部23に判定結果を出力させる(ステップA6)。
次に、時定数決定部211の詳細、すなわち図2におけるステップA2の詳細な動作を、図6示すフローチャート(ステップA21〜A24)を参照しながら説明する。

0074

まず、時定数決定部211は、所定の時定数Aを用いて、体動信号検出部11により検出された体動信号に対してフィルタリングを行なう(ステップA21)。例えば、時定数決定部211は、体動信号に対してY=X-F(X,A)で表現されるハイパスフィルタリングを行なった後に、2階積分を行ない、積分後の信号に再度Y=X-F(X,A)で表現されるハイパスフィルタリングを行なう。さらに、時定数決定部211は、例えば、ハイパスフィルタリング後に、Y=F(X,A/2.5)で表現されるローパスフィルタリングを行なう。すなわち、時定数決定部211は、体動信号に対して、バンドバスフィルタリングを行なう。

0075

次に、時定数決定部211は、例えば、出力波形Yの極大及び極小のピークにおける値の絶対値のCVを求める(ステップA22)。そして、時定数決定部211は、例えば、時定数Aを変化させ、上記ステップA21,A22の処理を行なうことで、時定数Aの変化に対するCVの変化を求める(ステップA23)。図7は、ステップA23により求められた時定数(フィルタ時間)Aの変化に対するCV(分散)の変化の一例を示す図である。なお、この図7は、体動信号に呼吸リズムが含まれている場合の、時定数(フィルタ時間)Aの変化に対するCV(分散)の変化の一例を示す図である。体動信号に呼吸リズムが含まれていない場合には、図7における◆印で示される極小点は現れず、極小点は●印で示される極小点のみになる。次に、時定数決定部211は、ステップA23により求められた時定数Tの変化に対するCVの変化から、極小点を求める。時定数決定部211は、例えば、図7に示すように、CVの値が小さい2つの極小点(図7中、●印および◆印)を求める。そして、時定数決定部211は、例えば、時定数Aの小さい方の極小点(図7中、●印)に対応する時定数A近傍の時定数の値(例えば0.4)を、第1時定数として決定する(ステップA24)。このように、時定数決定部211は、極小点そのものに対応する時定数を第1時定数とするのではなく、極小点の近傍の時定数を第1時定数として決定してもよく、いずれの場合においても得られる結果に大差は生じない。

0076

次に、リズム抽出部212の詳細、すなわち図4におけるステップA3の詳細な動作を、図8示すフローチャート(ステップA37〜39)を参照しながら説明する。
まず、リズム抽出部212は、体動信号検出部11によって検出された体動信号に対して、第1時定数を用いてハイパスフィルタリングを行なう(ステップA37)。リズム抽出部212は、N(例えば2)階積分を行なう(ステップA38)。そして、積分後の信号に対して、再び、第1時定数を用いてハイパスフィルタリングを行なう(ステップA39)。図5(B)は、ステップA39にて得られる信号の一例を示す図である。この波形は、例えば、歩行である被験者の随意運動に相当する。より具体的には、ステップ39にて得られた波形は、歩行による一歩一歩の相対運動軌道に相当する。すなわち、図5(B)に示された波形は、運動リズムを示す波形に相当する。

0077

次に、評価係数決定部213の詳細、すなわち図4におけるステップA4の詳細な動作を、図9に示すフローチャート(ステップA41〜A43)を参照しながら説明する。
まず時刻算出部223は、運動リズムの任意の時刻tにおける任意の点を選択する(ステップA41)。時刻算出部223は、例えば、ヒルベルト変換またはパターンマッチング等を用いて位相を算出することで、任意の点から位相が360度ずれた点の時刻t1および、任意の点から位相が720度ずれた点の時刻t2を算出する(ステップA42:時刻算出過程)。次に、評価係数算出部233は、時刻t1,t2を用いて、例えば上記(1)式から評価係数を算出する(ステップA43:評価係数算出過程)。すなわち、ステップA42は、生体の繰り返し随意運動を表す信号から、所定の時刻における前記信号の位相から前記信号の位相が所定角度(第1角度)変化した時刻(第1時刻)、および、所定の時刻における信号の位相から信号の位相が第1角度の2倍変化した時刻(第2時刻)を算出する時刻算出過程の一例である。また、ステップA43は、第1時刻および第2時刻に基づいて、繰り返し随意運動の同調性を評価するための評価係数を算出する第2算出過程の一例である。

0078

ここで、図10(A)〜図10(C)は、パターンマッチング法を用いた場合に得られる信号の一例を説明するための図である。図10(A)〜図10(C)を用いてパターンマッチングを用いた場合の評価係数決定部213の詳細な動作の一例を説明する。
図10(A)は、図5(B)のデータから一部の波形を抜き出したものである。ここで時刻算出部223が、*印で示した時間を中心として、幅0.4秒の基準波を選び自己相関係数を計算した結果が図10(B)である。同様に、図10(A)の○印を中心として、幅0.4秒の基準波から得られた自己相関係数が図10(C)である。図10(B)および図10(C)において、位相が360度ずつずれた3点の位置を点線で示している。

0079

評価係数算出部233が、例えば、図10(B)または図10(C)に示された波形から、第1時間T1および第2時間T2を算出し、時間T1,T2を上記(1)式に代入することで評価係数を算出する。
次に、図5(B)で例示した積分信号について、ヒルベルト変換法を用いて運動リズムの位相が3.6度増加するごとに評価係数を求めた例の結果を図11実線で示す。これは時間間隔に換算すると平均0.05秒ごとに評価係数を求めていることに相当する。図11から、評価係数が0近傍で周期的にゆらいでいることがわかる。これは、どのような生体でも体が完全に左右対称であることは稀であり、特に疾病または障害を持たなくても左右のステップ間隔に差が生じ、跛行気味歩くからである。すなわち図2においてT1/T2≠1となっているからである。ただし、評価係数のゆらぎ自体は極めて規則的に変化しているので、左右の足運びの同期は高いといえる。

0080

また、図5(B)で例示した積分信号について、パターンマッチング法を用いて時間間隔0.05秒ごとに評価係数を求めた結果を図11破線で示す。図11からヒルベルト変換法で求めた結果とほぼ同じ傾向の結果が得られているのがわかる。
次に、判定部214の詳細、すなわち図4におけるステップA5の詳細な動作を、図12に示すフローチャート(ステップA51〜A53)を参照しながら説明する。

0081

まず、評価係数決定部213が、所定時間にわたって評価係数を算出する(ステップA51)すなわち、所定時間にわたって上記ステップA41〜A44が繰り返される。次に、判定部214は、所定時間にわたって算出された評価係数を用いて、R,SおよびCの3つの指標を算出する(ステップA52)。そして、判定部214は、この3つの指標に基づいて運動リズムの同調性の判定を行なう(ステップA53)。

0082

さらに、判定部214による同調性の判定の詳細な処理、すなわち図12におけるステップA53の詳細な動作を、図13に示すフローチャート(ステップA531〜A539)を参照しながら説明する。
まず、判定部214は、Rが0.02以下か否か判定する(ステップA531)。Rが0.02以下の場合(ステップA531のYesルート参照)、所定時間にわたり、評価係数は略0であるとして、判定部214は、運動リズムの同期およびバランスは非常に良いと判定する(ステップA532)。すなわち、ステップA531は、評価係数が、所定時間にわたって、所定範囲(例えば、0±0.02)内であるかを判定する判定過程の一例である。一方、Rが0.02より大きい場合(ステップA531のNoルート参照)、判定部214は、Sが0.01以下か否か判定する(ステップA533)。Sが0.01以下の場合(ステップA533のYesルート参照)、評価係数は略0ではないが一定値を保っているものとして、判定部214は、運動リズムの同期およびバランスは良いと判定する(ステップA534)。一方、Sが0.01より大きい場合(ステップA533のNoルート参照)、判定部214は、Cが0.5以上か否か判定する(ステップA535)。Cが0.5以上の場合(ステップA535のYesルート参照)、評価係数は周期的にゆらいでいるものとして、判定部214は、運動リズムの同期は良いがバランスは悪いと判定する(ステップA536)。一方、Cが0.5未満の場合(ステップA535のNoルート参照)、判定部214は、Cが0.2以上か否か判定する(ステップA537)。Cが0.2以上の場合(ステップA537のYesルート参照)、判定部214は、運動リズムの同期は普通でありバランスは悪いと判定する(ステップA538)。一方、Cが0.2未満の場合(ステップA537のNoルート参照)、判定部214は、運動リズムの同期は悪くバランスは判定不能であると判定する(ステップA539)。

0083

〔B〕リアルタイム処理の説明
位相ずれの算出には体動リズムがちょうど2サイクル分変化するだけのデータが必要である。図5(A)及び図5(B)で例示した歩行データの場合、これは1秒程度なので、データの計測から結果の出力までには少なくとも1秒の時間遅れが生じるが、実用的なリアルタイム処理には十分な許容範囲である。

0084

また、リアルタイム処理のためには、現在の時刻までに測定および蓄積されたデータを用いて解析を行う必要がある。その際問題となるのは、データの境界の効果である。すなわち、スペクトル解析またはヒルベルト変換等の信号処理を施すと、データの端点測定開始点および終了点)近傍で誤差が大きくなる現象である。つまり、現在の時刻における評価係数は、信号処理に基づく誤差を含んでいる可能性がある。これを見積もるために、図5(A)の加速度データについて時間12.1秒を現在時刻とし、この時間までのデータのみを用いてヒルベルト変換法による位相変化から評価係数を算出した結果を図14の破線で示す。15分間のデータ全体を使用した正確な計算法による結果(図14中の実線)と比較すると、現在時刻から1.3秒程度さかのぼった時間でほとんど誤差の無い値が得られている。これは実用的なリアルタイム処理としては充分な性能といえる。

0085

このように、本実施形態の一例におけるシステム1によれば、位相に着目し、位相の変化に基づいて、運動リズムの同調性を評価するための評価係数を算出しているので、明瞭なピークを持たないデータからも、評価係数を算出し、運動リズムの同調性を評価することができる。すなわち、本実施形態の一例におけるシステム1によれば、位相に着目しているため、運動リズムのピークに着目しなくても、評価係数を求め、運動リズムの同調性を評価することができる。

0086

また、本実施形態の一例におけるシステム1によれば、運動リズムのピークに着目しなくてもよいため、任意の時間においてほぼ連続的に評価係数を求めることができ、さらには、リアルタイムに評価係数を求めることができる。すなわち、本実施形態の一例におけるシステム1によれば、連続的に運動リズムの同調性を評価することができ、さらには、リアルタイムに運動リズムの同調性を評価することができる。

0087

また、本実施形態の一例におけるシステム1によれば、パターンマッチングを用いることで、自己相関をとった後の波形は元の体動信号に比べてノイズが少なくなっているのでピークが明瞭であり、ピーク位置を正確に特定できるため、評価係数が精度よく求まる。
〔C〕その他
なお、開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。

0088

例えば、本実施形態の一例においては、図5(A)において、3軸のうち、上下方向の加速度変化のみを示し、この信号に基づいて、運動リズムを抽出し、評価係数を算出しているが上下方向の加速度変化のみからの信号に限定されるものではない。例えば、前後方向または左右方向の加速度信号から運動リズムを抽出し、評価係数を算出してもよい。
また、本実施形態の一例においては、図2に示したように、所定位置から位相が720度変化する範囲において、所定位置から位相が360度ずつずれた点を探し、評価係数を算出しているが、360度に限定されるものではない。例えば、左右方向の加速度信号から評価係数を算出する場合、左右方向の加速度信号は、図15に示すように隣り合うピークが同一足の着地に相当するので、所定位置(ピークの位置でなくてもよい)から位相が360度変化する範囲において、所定位置から位相が180度ずつずれた点を探して、それらの間の時間間隔をそれぞれ第1時間T1,第2時間T2として評価係数を算出する。同様に、体動信号検出部11としてジャイロセンサにより測定された上下軸周りの角速度信号を用いた場合も、左右方向の加速度信号から評価係数を算出する場合と同様の処理を行なう。

0089

なお、パターンマッチングを用いる場合には、相関値が極小となる点を、所定位置から位相が180度ずれた点とする。
さらに、本実施形態の一例では、体動信号検出装置10は、中央演算部21をそなえていないが、この構成に限定されるものではなく、体動信号検出装置10が中央演算部21をそなえてもよい。この場合、中央演算部21は、体動信号検出装置10内の記憶装置(例えば、記憶部12)または体動信号検出装置10外の図示しない記憶部に格納された情報処理用プログラムを実行することで、上述の機能を発揮する。すなわち、この場合、体動信号検出装置10は、情報処理装置としても機能する。

0090

また、本実施形態の一例では、体動信号検出装置10は、体動信号検出部11と記憶部12とをそなえて構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、体動信号検出装置10は体動信号検出部11をそなえるが、記憶部12をそなえない構成としてもよい。この場合、例えば、体動信号検出装置10と記憶部12とは、有線または無線により接続され、体動信号検出部11により検出された体動信号は、有線または無線を介して記憶部12に格納される。また、この場合、記憶部12と情報処理装置20とは有線または無線により接続され、情報処理装置20は、記憶部12から体動信号を取得する。

0091

さらに、体動信号検出装置10と、情報処理装置20(もしくは、記憶部12)とが無線を介して接続される場合、体動信号検出装置10は、体動信号検出部11が検出した体動信号をアンテナであるインターフェース部13を介して情報処理装置20(もしくは、記憶部12)に送信する機能を有する。この送信機能は、体動信号検出装置10がそなえる図示しないたとえば中央演算部である処理部が、図示しない記憶部に格納されたプログラムを実行することで実現される。

0092

また、本実施形態の一例では、情報処理装置20は、体動信号から第1時定数を決定し、第1時定数に基づいて運動リズムを抽出しているが、この抽出手法に限定されるものではない。例えば、FFT(Fast Fourier Transform)またはウェイブレット解析等のスペクトル解析により体動信号の周波数特性を求め、スペクトル解析の結果から運動リズムの周波数域を特定する。そして、例えば、特定された周波数域に対応するバンドパスフィルタを体動信号にかけて運動リズムを抽出することとしてもよい。

0093

また、体動信号をEMD(Empirical Mode Decomposition)またはEEMD(Ensemble Empirical Mode Decomposition)により各モード波形(Intrinsic Mode Function)に分解し、この結果から、運動リズムに対応するモード波形(例えば、強度の強い波形)を選択することとしてもよい。
さらに、本実施形態の一例では、時定数決定部211が時定数を決定した後に、リズム抽出部212が、体動信号から体動リズムをフィルタリング処理により抽出しているが、これに限定されるものではない。例えば、上記(3)の処理において、時定数Tを変化させた場合の出力波形Yを全て記憶部22に記憶しておく。そして、リズム抽出部212は、全ての出力波形Yの中から、上記(4)の処理において決定された第1時定数に対応する波形を選択することとしてもよい。

0094

また、本実施形態の一例は、人に限らず、ペット家畜等の動物適応可能である。
さらに、本実施形態の一例では、主に随意運動が歩行である場合について述べているが、歩行に限定されるものではなく、本実施形態の一例は他の随意運動にも適用可能である。例えば、随意運動が、ジャグリング(お手玉)であれば、足ではなく、手の運動リズムに着目すればよい。

0095

なお、情報処理装置20にそなえられる中央演算部21の各機能を実現するための種々のアプリケーションプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RW等),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW,HD DVD等),ブルーレイディスク磁気ディスク光ディスク光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置転送し格納して用いる。又、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。

0096

また、体動信号検出装置10にそなえられる図示しない中央演算部の各機能を実現するための種々のアプリケーションプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RW等),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW,HD DVD等),ブルーレイディスク,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。又、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。

0097

以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。

0098

体動信号検出装置10として三菱化学社製加速度レコーダー「見守りゲイト」を専用ベルトに入れてパーキンソン病患者の腹部に巻き、1日の体動信号をサンプリング周波数100Hzでサンプリングした。レコーダーは腹部中央に位置するようにした。データからオン時とオフ時の歩行時の上下方向加速度信号を取り出し、ヒルベルト変換法とパターンマッチング法により評価係数を求めた。図16(A)〜図16(C)はオン時の歩行結果を示す図である。図16(A)は、体動信号検出装置10によって検出された加速度を示す図である。また、図16(B)は、2階積分後の加速度信号すなわち運動軌道を示す図である。図16(C)は、2階積分後の加速度信号から求められた評価係数を示す図である。図16(C)において、評価係数は一貫して規則的なゆらぎを持つので、歩行ステップに左右差はあるが左右の足運びの同期は高いといえる。

0099

一方、図17(A)〜図17(C)は、時間が3〜17秒の間は比較的安定な歩行であるが、その前後で突進歩行が認められたオフ時の歩行結果を示す図である。図17(A)は、体動信号検出装置10によって検出された加速度を示す図である。図17(B)は、2階積分後の加速度信号すなわち運動軌道を示す図である。図17(C)は、2階積分後の加速度信号から求められた評価係数を示す図である。図17(C)において、実線がヒルベルト変換法を用いて算出された評価係数を示し、破線がパターンマッチング法を用いて算出された評価係数を示す。図16(A)〜図16(C)と図17(A)〜図17(C)とを比較すると、図17(C)においては、安定歩行時での評価係数のゆらぎが不規則になっており、左右のステップ間の同期が崩れていることがわかる。また、図17(C)においては、突進歩行時では位相ずれのゆらぎが非常に大きくなっており、左右のステップのバランスが悪化していることがわかる。

0100

体動信号検出装置10としてワイヤレステクノロジー社製小型無線ハイブリッドセンサWAA-006を健常被験者の腹部中央に装着し、重いカバンを肩にかけて街中を歩いた際の3軸加速度信号と3軸角速度信号をサンプリング周波数200Hzで同時計測した。上下方向の加速度信号および上下軸回りの角速度信号についてそれぞれ
・時定数1を用いてハイパスフィルタリング
・ 2階積分
・ 時定数1を用いてハイパスフィルタリング
を施すことで運動リズムを抽出した後、ヒルベルト変換法により位相を求めた。加速度信号については位相差が360度となる2点から、角速度信号については位相差が180度となる2点から、評価係数を算出した。図18(A)は、体動信号検出装置10によって検出された加速度および角速度を示す図である。図18(B)は、2階積分後の加速度信号および角速度信号を示す図である。図18(C)は、2階積分後の加速度信号および角速度からそれぞれ求められた評価係数を示す図である。図18(A)〜図18(C)において、実線が加速度信号を示し、破線が角速度信号を示す。評価係数は両者でほぼ同じ強度のゆらぎを示している。また、重いカバンを肩にかけていることを反映して、左右のバランスが悪くなっていることがわかる。

0101

このように慣性センサの種類を問わずに体動リズムの同調性を評価することができる。

0102

体動信号検出装置10として三菱化学社製加速度レコーダー「見守りゲイト」を専用ベルトに入れてパーキンソン病患者の腹部に巻き、体動信号をサンプリング周波数100Hzで38時間連続サンプリングした。被験者には同時に、体の動きやすさの程度と転倒した場合はその時刻を日誌記入してもらった。

0103

まず、体動信号の時系列データから10秒以上連続して歩いている領域を抽出した。この領域を10秒間隔で時分割し、部分時系列を作成した。それぞれの部分時系列についてフィルタ時定数を最適化し、左右の足運びの同期S2を求めた。時定数の最適化はS2を最小にする方法で行った。得られたS2からexp(-10×S2)を計算し、これを歩行指数とした。歩行指数は左右の足運びの同期が優れているほど大きな値をとり、同期が完璧な場合は1となるような指標である。図19(A)に平滑化処理を施した後の歩行指数の時間変化を示す。図19(A)中には、被験者の自己申告による動きやすさの5段階評価(動きやすい、動きにくい、動けないの3段階に、動きやすい−動きにくいの中間評価、及び動きにくい−動けないの中間評価の2段階を加えた5段階評価。)と、実際に転倒した時刻ta,tb,tc,tdが記されている。図19(A)は、歩行指数の推移を点線で記し、被験者の自己申告の推移を実線で記している。

0104

図19(A)を参照すると、1日目の9時〜10時の間は被験者の自己申告は「動きにくい」または「動きやすい」−「動きにくい」の中間評価であり、時刻ta,tbにて転倒が起こっている。これに符合して歩行指数も低い値となっている。1日目の17時〜18時、2日目の10時〜11時の間は、被験者の自己申告は「動きやすい」であるが、歩行指数は前後の時間帯に比べ低下しており、実際に転倒が時刻tc,tdにて起こっている。しかも転倒時刻よりかなり前から歩行指数が低下傾向にあることがわかる。

0105

このように、歩行リズムの同調性は、転倒危険性を予測する指標となる。

0106

次に、同じ時系列データを10秒間隔で時分割し、部分時系列を作成した。ここでは歩行領域を取り出すことをしない。それぞれの部分時系列についてフィルタ時定数を最適化し、左右の足運びの同期S2および位相の周期のCVを求めた。時定数の最適化はS2を最小にする方法で行った。得られたS2からexp(-10×S2)を計算し、これを体動指数とした。このうち、位相の周期のCVが0.12以上になるものを除去した。これは周期性の悪い部分時系列を除外し、規則的なリズム(特に歩行リズム)の性質に着目することを意味する。図19(B)に平滑化処理を施した後の体動指数の時間変化を示す。図19(B)中には、被験者の自己申告による動きやすさの5段階評価(動きやすい、動きにくい、動けないの3段階に、動きやすい−動きにくいの中間評価、及び動きにくい−動けないの中間評価の2段階を加えた5段階評価。)と、実際に転倒した時刻がta,tb,tc,tdとが記されている。図19(B)は、体動指数の推移を点線で記し、被験者の自己申告の推移を実線で記している。

0107

図19(B)を参照すると、転倒のあった領域近辺では、図19(A)と同じような振る舞いを示している。すなわち、1日目の9時〜10時の間は被験者の自己申告は「動きにくい」または「動きやすい」−「動きにくい」の中間評価であり、時刻ta,tbにて転倒が起こっている。これに符合して体動指数も低い値となっている。1日目の17時〜18時、2日目の10時〜11時の間は、被験者の自己申告は「動きやすい」であるが、体動指数は前後の時間帯に比べ低下しており、実際に転倒が時刻tc,tdにて起こっている。しかも転倒時刻よりかなり前から体動指数が低下傾向にあることがわかる。

0108

このように、体動リズムの同調性は転倒危険性を予測する指標となる。

0109

本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更または修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。

実施例

0110

本出願は、2010年9月17日出願の日本特許出願(特願2010−209112)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

0111

本発明の情報処理方法、情報処理装置、出力装置、情報処理システム、情報処理用プログラムおよび同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、運動リズムの同調性を連続的かつリアルタイムで評価することができる、という効果を奏する。

0112

1 システム
10体動信号検出装置
11体動信号検出部
12 記憶部
13インターフェース部
20情報処理装置
21 中央演算部
22 記憶部
23 出力部
24 インターフェース部
211時定数決定部
212リズム抽出部
213評価係数決定部
214 判定部
215出力制御部
223時刻算出部
233 評価係数算出部

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