図面 (/)

技術 非水電解液及びそれを用いた電気化学素子

出願人 宇部興産株式会社
発明者 安部浩司島本圭
出願日 2011年7月22日 (9年4ヶ月経過) 出願番号 2012-525454
公開日 2013年9月9日 (7年2ヶ月経過) 公開番号 WO2012-011586
状態 特許登録済
技術分野 電気二重層コンデンサ等 一次電池(その1) 二次電池(その他の蓄電池)
主要キーワード 環境対応車 塊状構造 PF5 PF3 スズ元素 アリロキシメチル プレサイクル 環状サルファイト
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年9月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題・解決手段

本発明は、広い温度範囲での電気化学特性を向上できる非水電解液及びそれを用いた電気化学素子に関する。 (1)非水溶媒電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に特定の一般式で表される有機スズ化合物が0.001〜5質量%含有されていることを特徴とする非水電解液、及び(2)正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた電気化学素子において、非水電解液が前記(1)の非水電解液であることを特徴とする電気化学素子である。

概要

背景

近年、電気化学素子、特にリチウム二次電池は、携帯電話ノート型パソコン等の小型電子機器電気自動車電力貯蔵用として広く使用されている。これらの電子機器自動車は、真夏高温下や極寒の低温下等広い温度範囲で使用される可能性があるため、広い温度範囲でバランス良く電気化学特性を向上させることが求められている。
特に地球温暖化防止のため、CO2排出量を削減することが急務となっており、リチウム二次電池やキャパシタ等の電気化学素子からなる蓄電装置を搭載した環境対応車の中でも、ハイブリッド電気自動車HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、バッテリー電気自動車(BEV)の早期普及が求められている。しかしながら自動車は移動距離が長いため、熱帯の非常に暑い地域から極寒の地域まで幅広い温度範囲の地域で使用される可能性がある。従って、これらの車載用の電気化学素子は、高温から低温まで幅広い温度範囲で使用しても電気化学特性が劣化しないことが要求されている。
尚、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。

リチウム二次電池は、主にリチウム吸蔵及び放出可能な材料を含む正極及び負極、リチウム塩非水溶媒からなる非水電解液から構成され、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネートが使用されている。
また、負極としては、金属リチウム、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物金属単体酸化物、リチウムとの合金等)や炭素材料が知られており、特にリチウムを吸蔵及び放出することが可能なコークス人造黒鉛天然黒鉛等の炭素材料を用いたリチウム二次電池が広く実用化されている。

例えば、天然黒鉛や人造黒鉛等の高結晶化した炭素材料を負極材料として用いたリチウム二次電池は、非水電解液中溶媒充電時に負極表面で還元分解することにより発生した分解物ガス電池の望ましい電気化学的反応阻害するため、サイクル特性の低下を生じることが分かっている。また、非水溶媒の分解物が蓄積すると、負極へのリチウムの吸蔵及び放出がスムーズにできなくなり、広い温度範囲での電気化学特性が低下しやすくなる。
更に、リチウム金属やその合金、スズ又はケイ素等の金属単体や酸化物を負極材料として用いたリチウム二次電池は、初期の容量は高いもののサイクル中に微粉化が進むため、炭素材料の負極に比べて非水溶媒の還元分解が加速的に起こり、電池容量やサイクル特性のような電池性能が大きく低下することが知られている。また、これらの負極材料の微粉化や非水溶媒の分解物が蓄積すると、負極へのリチウムの吸蔵及び放出がスムーズにできなくなり、広い温度範囲での電気化学特性が低下しやすくなる。
一方、正極として、例えばLiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiFePO4等を用いたリチウム二次電池は、非水電解液中の非水溶媒が充電状態正極材料と非水電解液との界面において、局部的に一部酸化分解することにより発生した分解物やガスが電池の望ましい電気化学的反応を阻害するため、やはり広い温度範囲での電気化学特性の低下を生じることが分かっている。

以上のように、正極上や負極上で非水電解液が分解するときの分解物やガスにより、リチウムイオンの移動が阻害されたり、電池が膨れたりすることで電池性能が低下していた。そのような状況にも関わらず、リチウム二次電池が搭載されている電子機器の多機能化はますます進み、電力消費量が増大する流れにある。そのため、リチウム二次電池の高容量化はますます進んでおり、電極密度を高めたり、電池内の無駄な空間容積を減らす等、電池内の非水電解液の占める体積が小さくなっている。従って、少しの非水電解液の分解で、広い温度範囲での電気化学特性が低下しやすい状況にある。
特許文献1には、特定の有機スズ化合物を含有する非水電解液が提案されており、例えば、ジブチルスズ(1−アリロキシメチルエチレングリコラートやジブチルスズビスアセチルアセトネート)を添加した電解液を用いて、60℃でのサイクル特性等の向上が示唆されている。
特許文献2には、特定の構造を有するスズ化合物(ビス(アセチルアセトナート)スズ(II)とテトラブチルスズの組み合わせ等)を非水電解液中に含有させた場合、25℃でのサイクル特性、60℃での充電保存特性が良好となることが示されている。

概要

本発明は、広い温度範囲での電気化学特性を向上できる非水電解液及びそれを用いた電気化学素子に関する。 (1)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に特定の一般式で表される有機スズ化合物が0.001〜5質量%含有されていることを特徴とする非水電解液、及び(2)正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた電気化学素子において、非水電解液が前記(1)の非水電解液であることを特徴とする電気化学素子である。

目的

本発明は、広い温度範囲での電気化学特性を向上できる非水電解液及びそれを用いた電気化学素子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

非水溶媒電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に下記一般式(I)〜(IV)のいずれかで表される有機スズ化合物の1種以上が0.001〜5質量%含有されていることを特徴とする非水電解液。(式中、R1は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、又は炭素数2〜8のアルキニル基を示し、R2〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。R1〜R4の水素原子フッ素原子置換されていてもよい。)(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、L1は、炭素数2〜10のアルキレン基、又は炭素数4〜10のアルケニレン基を示す。R11及びR12は互いに結合して環を形成してもよい。R11、R12、L1の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。)(式中、R23〜R25は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、R26及びR27は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、又は炭素数2〜6のアルキニル基を示す。R26及びR27は互いに結合して環を形成してもよい。R28は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、又は炭素数2〜6のアルキニル基を示す。R23〜R28の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。)(式中、X1、X2及びX3は、それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を含む下記の置換基を示し、また、X1及びX2は互いに結合し、下記の置換基であってもよい。R31は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、R32及びR33は、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、Yは、酸素原子又は硫黄原子を示し、Lはエーテル結合又は炭素−炭素不飽和結合を有してもよい炭素数1〜8のアルキレン基を示す。R31、R32、R33及びL3の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。a、b及びcは0又は1を示し、dは1〜3の整数を示し、mは0又は1を示す。m=0場合、a+b+c+d=4であり、m=1の場合、a=b=c=0、d=2である。)

請求項2

非水溶媒が、環状カーボネート鎖状エステルを含む請求項1に記載の非水電解液。

請求項3

鎖状エステルが鎖状カーボネートである請求項2に記載の非水電解液。

請求項4

鎖状カーボネートが少なくとも対称鎖状カーボネート非対称鎖状カーボネートの両方を含み、該対称鎖状カーボネートの含有量が非対称鎖状カーボネートより多い請求項3に記載の非水電解液。

請求項5

非水溶媒中の対称鎖状カーボネートの含有量が40〜60体積%である請求項4に記載の非水電解液。

請求項6

環状カーボネートを少なくとも2種以上含む請求項2に記載の非水電解液。

請求項7

環状カーボネートが少なくともフッ素原子又は炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含む請求項6に記載の非水電解液。

請求項8

フッ素原子を有する環状カーボネートが、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン又は4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンであり、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートが、ビニレンカーボネート及び/又はビニルエチレンカーボネートである請求項7に記載の非水電解液。

請求項9

正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた電気化学素子において、非水電解液が請求項1に記載した非水電解液であることを特徴とする電気化学素子。

技術分野

0001

本発明は、広い温度範囲での電気化学特性を向上できる非水電解液及びそれを用いた電気化学素子に関する。

背景技術

0002

近年、電気化学素子、特にリチウム二次電池は、携帯電話ノート型パソコン等の小型電子機器電気自動車電力貯蔵用として広く使用されている。これらの電子機器自動車は、真夏高温下や極寒の低温下等広い温度範囲で使用される可能性があるため、広い温度範囲でバランス良く電気化学特性を向上させることが求められている。
特に地球温暖化防止のため、CO2排出量を削減することが急務となっており、リチウム二次電池やキャパシタ等の電気化学素子からなる蓄電装置を搭載した環境対応車の中でも、ハイブリッド電気自動車HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、バッテリー電気自動車(BEV)の早期普及が求められている。しかしながら自動車は移動距離が長いため、熱帯の非常に暑い地域から極寒の地域まで幅広い温度範囲の地域で使用される可能性がある。従って、これらの車載用の電気化学素子は、高温から低温まで幅広い温度範囲で使用しても電気化学特性が劣化しないことが要求されている。
尚、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。

0003

リチウム二次電池は、主にリチウム吸蔵及び放出可能な材料を含む正極及び負極、リチウム塩非水溶媒からなる非水電解液から構成され、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネートが使用されている。
また、負極としては、金属リチウム、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物金属単体酸化物、リチウムとの合金等)や炭素材料が知られており、特にリチウムを吸蔵及び放出することが可能なコークス人造黒鉛天然黒鉛等の炭素材料を用いたリチウム二次電池が広く実用化されている。

0004

例えば、天然黒鉛や人造黒鉛等の高結晶化した炭素材料を負極材料として用いたリチウム二次電池は、非水電解液中溶媒充電時に負極表面で還元分解することにより発生した分解物ガス電池の望ましい電気化学的反応阻害するため、サイクル特性の低下を生じることが分かっている。また、非水溶媒の分解物が蓄積すると、負極へのリチウムの吸蔵及び放出がスムーズにできなくなり、広い温度範囲での電気化学特性が低下しやすくなる。
更に、リチウム金属やその合金、スズ又はケイ素等の金属単体や酸化物を負極材料として用いたリチウム二次電池は、初期の容量は高いもののサイクル中に微粉化が進むため、炭素材料の負極に比べて非水溶媒の還元分解が加速的に起こり、電池容量やサイクル特性のような電池性能が大きく低下することが知られている。また、これらの負極材料の微粉化や非水溶媒の分解物が蓄積すると、負極へのリチウムの吸蔵及び放出がスムーズにできなくなり、広い温度範囲での電気化学特性が低下しやすくなる。
一方、正極として、例えばLiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiFePO4等を用いたリチウム二次電池は、非水電解液中の非水溶媒が充電状態正極材料と非水電解液との界面において、局部的に一部酸化分解することにより発生した分解物やガスが電池の望ましい電気化学的反応を阻害するため、やはり広い温度範囲での電気化学特性の低下を生じることが分かっている。

0005

以上のように、正極上や負極上で非水電解液が分解するときの分解物やガスにより、リチウムイオンの移動が阻害されたり、電池が膨れたりすることで電池性能が低下していた。そのような状況にも関わらず、リチウム二次電池が搭載されている電子機器の多機能化はますます進み、電力消費量が増大する流れにある。そのため、リチウム二次電池の高容量化はますます進んでおり、電極密度を高めたり、電池内の無駄な空間容積を減らす等、電池内の非水電解液の占める体積が小さくなっている。従って、少しの非水電解液の分解で、広い温度範囲での電気化学特性が低下しやすい状況にある。
特許文献1には、特定の有機スズ化合物を含有する非水電解液が提案されており、例えば、ジブチルスズ(1−アリロキシメチルエチレングリコラートやジブチルスズビスアセチルアセトネート)を添加した電解液を用いて、60℃でのサイクル特性等の向上が示唆されている。
特許文献2には、特定の構造を有するスズ化合物(ビス(アセチルアセトナート)スズ(II)とテトラブチルスズの組み合わせ等)を非水電解液中に含有させた場合、25℃でのサイクル特性、60℃での充電保存特性が良好となることが示されている。

先行技術

0006

特開2003−173816号公報
WO2007/023700号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、広い温度範囲での電気化学特性を向上できる非水電解液及びそれを用いた電気化学素子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記従来技術の非水電解液の性能について詳細に検討した。その結果、前記特許文献の非水電解液では、低温でのサイクル特性や高温保存後低温放電特性等の広い温度範囲での電気化学特性を向上させるという課題に対しては、十分に満足できるとは言えないのが実情であった。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に特定の有機スズ化合物を0.001〜5質量%含有させることで、広い温度範囲での電気化学特性、特にリチウム電池の電気化学特性を改善できることを見出し、本発明を完成した。

0009

すなわち、本発明は、下記の(1)及び(2)を提供するものである。
(1)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に下記一般式(I)〜(IV)のいずれかで表される有機スズ化合物の1種以上が0.001〜5質量%含有されていることを特徴とする非水電解液。

0010

0011

(式中、R1は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、又は炭素数2〜8のアルキニル基を示し、R2〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。R1〜R4の水素原子フッ素原子置換されていてもよい。)

0012

0013

(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、L1は、炭素数2〜10のアルキレン基、又は炭素数4〜10のアルケニレン基を示す。R11及びR12は互いに結合して環を形成してもよい。R11、R12、L1の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。)

0014

0015

(式中、R23〜R25は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、R26及びR27は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、又は炭素数2〜6のアルキニル基を示す。R26及びR27は互いに結合して環を形成してもよい。R28は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、又は炭素数2〜6のアルキニル基を示す。R23〜R28の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。)

0016

(式中、X1、X2及びX3は、それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を含む下記の置換基を示し、

0017

また、X1及びX2は互いに結合し、下記の置換基であってもよい。

0018

R31は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、R32及びR33は、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、Yは、酸素原子又は硫黄原子を示し、Lはエーテル結合又は炭素−炭素不飽和結合を有してもよい炭素数1〜8のアルキレン基を示す。R31、R32、R33及びL3の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。a、b及びcは0又は1を示し、dは1〜3の整数を示し、mは0又は1を示す。m=0場合、a+b+c+d=4であり、m=1の場合、a=b=c=0、d=2である。)

0019

(2)正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた電気化学素子において、非水電解液が前記(1)の非水電解液であることを特徴とする電気化学素子。

発明の効果

0020

本発明によれば、広い温度範囲での電気化学特性、特に低温でのサイクル特性や高温保存後の低温放電特性を向上できる非水電解液及びそれを用いたリチウム電池等の電気化学素子を提供することができる。

0021

本発明は、非水電解液及びそれを用いた電気化学素子に関する。
本発明の非水電解液は、非水電解液中に前記一般式(I)〜(IV)のいずれかで表される有機スズ化合物の1種以上が0.001〜5質量%含有されていることを特徴とするが、より具体的には、下記(1)〜(3)の態様の非水電解液であることが好ましい。
(1)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、該非水溶媒が、環状カーボネート鎖状カーボネートを含み、該鎖状カーボネートが少なくとも対称鎖状カーボネート非対称鎖状カーボネートの両方を含み、該対称鎖状カーボネートの含有量が非対称鎖状カーボネートより多く、更に、非水電解液中に下記一般式(I)で表される有機スズ化合物が0.001〜5質量%含有されていることを特徴とする非水電解液(以下、「第I発明」という)。

0022

0023

(式中、R1〜R4は前記のとおりである。)
(2)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に下記一般式(II)及び/又は(III)で表される有機スズ化合物が0.001〜5質量%含有されていることを特徴とする非水電解液。(以下、「第II発明」という)。

0024

0025

(式中、R11、R12及びL1は前記のとおりである。)

0026

0027

(式中、R23〜R28は前記のとおりである。)

0028

(3)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、該非水溶媒が、環状カーボネートと鎖状エステルを含み、環状カーボネートが少なくともフッ素原子又は炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含み、更に、非水電解液中に下記一般式(IV)で示される有機スズ化合物が0.001〜5質量%含有されていることを特徴とする非水電解液。(以下、「第III発明」という)。

0029

(式中、X1、X2、X3、Y及びR31は前記のとおりである。)

0030

[第I発明]
第I発明の非水電解液が、広い温度範囲での電気化学特性を大幅に改善できる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
第I発明の非水電解液が含有する前記一般式(I)で表される有機スズ化合物は、スズ元素に4つの置換基を有し、そのうちの少なくとも1つは脂肪族置換基であり、更に、残りの3つの置換基は脂肪族又は芳香族炭化水素置換基である。更に非水電解液中には被膜耐熱性を高める働きをする対称鎖状カーボネートと被膜の過度の緻密化を防ぐ非対称鎖状カーボネートの両方の鎖状カーボネートが含まれ、特に非対称鎖状カーボネートの方が多く含まれると、前記の有機スズ化合物由来の被膜と鎖状カーボネート由来の被膜が相俟って一段と耐熱性が高く、しかも低温での放電性能に優れた被膜となるためと考えられる。そのため低温から高温まで広い温度範囲での電気化学特性が著しく向上する特異的な効果をもたらすことが分かった。

0031

第I発明の非水電解液に含まれる有機スズ化合物は、下記一般式(I)で表される。

0032

0033

前記一般式(I)のR1は、炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基を示し、炭素数4〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基又は炭素数3〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基がより好ましく、炭素数5〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基が特に好ましい。
また、R2〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、炭素数4〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基又は炭素数3〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基がより好ましく、炭素数5〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基が特に好ましい。
ここで、R1〜R4の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。また、R1とR2〜R4の群のいずれかの置換基が異なっているとより好ましい。

0034

R1の具体例としては、(i)メチル基エチル基、n−プロピル基n−ブチル基、n−ペンチル基n−ヘキシル基、n−ヘプチル基n−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分枝鎖のアルキル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等の水素原子の一部がフッ素で置換されたアルキル基、(ii)ビニル基、2−プロペン−1−イル基、2−ブテンー1−イル基、3−ブテンー1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基等の直鎖のアルケニル基、又は2−メチル−1−プロペン−1−イル基、2−メチル−2−プロペン−1−イル基3−ブテン−2−イル基、2−メチル−1−プロペン−1−イル基、2−メチル−2−プロペン−1−イル基、3−ペンチン−2−イル基、2−メチル−3−ブテン−2−イル基、3−メチル−2−ブテン−1−イル基等の分枝鎖のアルケニル基、(iii)2−プロピン−1−イル基、2−ブチン−1−イル基、3−ブチン−1−イル基、4−ペンチン−1−イル基、5−ヘキシン−1−イル基等の直鎖のアルキニル基、又は3−ブチン−2−イル基、3−ペンチン−2−イル基、2−メチル−3−ブチン−2−イル基等の分枝鎖のアルキニル基等が好適に挙げられる。これらの中でも、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−プロペン−1−イル基が更に好ましく、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基が特に好ましい。

0035

R2〜R4の具体例としては、(i)メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分枝鎖のアルキル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等の水素原子の一部がフッ素で置換されたアルキル基、(ii)ビニル基、2−プロペン−1−イル基、2−ブテンー1−イル基、3−ブテンー1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基等の直鎖のアルケニル基、又は3−ブテン−2−イル基、2−メチル−1−プロペン−1−イル基、2−メチル−2−プロペン−1−イル基、3−ペンチン−2−イル基、2−メチル−3−ブテン−2−イル基、3−メチル−2−ブテン−1−イル基等の分枝鎖のアルケニル基、(iii)2−プロピン−1−イル基、2−ブチン−1−イル基、3−ブチン−1−イル基、4−ペンチン−1−イル基、5−ヘキシン−1−イル基等の直鎖のアルキニル基、又は3−ブチン−2−イル基、3−ペンチン−2−イル基、2−メチル−3−ブチン−2−イル基等の分枝鎖のアルキニル基、(iv)フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−tert-ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基等のアリール基等が好適に挙げられる。これらの中でも、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−プロペン−1−イル基が好ましく、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基が更に好ましい。

0036

前記一般式(I)で表される有機スズ化合物の具体例としては、テトラメチルスズ、テトラエチルスズ、テトラプロピルスズ、テトラ(プロパン−2−イル)スズ、テトラブチルスズ、テトラ(2−メチルプロパン−1−イル)スズ、テトラ(ブタン−2−イル)スズ、テトラペンチルスズ、テトラヘキシルスズ、テトラヘプチルスズ、テトラオクチルスズ、テトラシクロヘキシルスズ、テトラビニルスズ、テトラ(2−プロペン−1−イル)スズ、トリメチルビニルスズ、トリメチル(2−プロペン−1−イル)スズ、トリブチルメチルスズ、トリブチル(2−メチルプロパン−2−イル)スズ、トリブチル(2−メチルブタン−2−イル)スズ、トリブチルビニルスズ、トリブチル(2−プロペン−1−イル)スズ、(2−ブテン−1−イル)トリブチルスズ、(3−ブテン−1−イル)トリブチルスズ、トリブチル(4−ペンテン−1−イル)スズ、トリブチル(5−ヘキセン−1−イル)スズ、トリブチル(2−メチル−1−プロペン−1−イル)スズ、トリブチル(2−メチル−2−プロペン−1−イル)スズ、トリブチル(3−ブテン−2−イル)スズ、トリブチル(3−ペンテン−2−イル)スズ、トリブチル(3−メチル−2−ブテン−1−イル)スズ、トリブチル(2−メチル−3−ブテン−2−イル)スズ、トリブチル(2−プロピン−1−イル)スズ、トリブチル(2−ブチン−1−イル)スズ、トリブチル(3−ブチン−1−イル)スズ、トリブチル(4−ペンチン−1−イル)スズ、トリブチル(5−ヘキシン−1−イル)スズ、トリブチル(3−ブチン−2−イル)スズ、トリブチル(3−ペンチン−2−イル)スズ、トリブチル(2−メチル−3−ブチン−2−イル)スズ、トリメチルフェニルスズ、トリブチルフェニルスズ、トリブチル(4−メチルフェニル)スズ、トリブチル(4−メトキシフェニル)スズ、トリブチル(4−フルオロフェニル)スズ、トリブチル(2,6−ジフルオロフェニル)スズ、トリブチル(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)スズ、トリブチル(4−トリフルオロメチルフェニル)スズ、トリブチル(フルオロメチル)スズ、トリフルオロメチルトリメチルスズ、トリブチル(トリフルオロメチル)スズ、トリブチル(2,2,2−トリフルオロエチル)スズ、ジブチルジメチルスズ、ジブチルジシクロヘキシルスズ、ジブチルジビニルスズ、ジブチルジ(2−プロペン−1−イル)スズ、ジブチルジ(2−プロピン−1−イル)スズ、ジメチルジフェニルスズ、ジブチルジフェニルスズが好適に挙げられる。

0037

これらの中でも、テトラブチルスズ、テトラペンチルスズ、テトラヘキシルスズ、テトラヘプチルスズ、テトラオクチルスズ、テトラ(2−プロペン−1−イル)スズ、トリブチル(2−プロペン−1−イル)スズ、ジブチルジ(2−プロペン−1−イル)スズがより好ましく、テトラペンチル)スズ、テトラヘキシル)スズ、テトラヘプチルスズ、テトラオクチル)スズ、トリブチル(2−プロペン−1−イルスズがさらに好ましく、テトラペンチル)スズ、テトラヘキシルスズ、テトラヘプチルスズ、テトラオクチルスズが特に好ましい。
R1〜R4の置換基が上記の範囲の場合に、広い温度範囲での電気化学特性を大幅に改善できるので好ましい。

0038

本発明の非水電解液において、非水電解液に含有される前記一般式(I)で表される有機スズ化合物の含有量は、非水電解液中に0.001〜5質量%が好ましい。該含有量が5質量%以下であれば、電極上に過度に被膜が形成され低温特性が低下するおそれが少なく、また0.001質量%以上であれば被膜の形成が十分であり、高温保存特性改善効果が高まる。該含有量は、非水電解液中に0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、その上限は、1質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
本発明の非水電解液において、前記一般式(I)で表される有機スズ化合物を以下に述べる非水溶媒、電解質塩、更にその他の添加剤を組み合わせることにより、広い温度範囲での電気化学特性が相乗的に向上するという特異な効果を発現する。

0039

[第II発明]
第II発明の非水電解液が、広い温度範囲での電気化学特性を大幅に改善できる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
第II発明の非水電解液が含有する前記一般式(II)及び/又は(III)で表される有機スズ化合物は、スズ元素に4つの置換基を有し、そのうちの少なくとも2つが脂肪族置換基であり、互いに結合して環を形成した構造を有する(一般式(II))か、もしくは、少なくとも1つの置換基がスズ元素と結合する炭素を有し、この炭素に更に2つの脂肪族置換基を有している(一般式(III))。このような特定構造を有する有機スズ化合物を非水電解液中に含有させることにより、スズ元素に由来した耐熱性の高い被膜と環構造もしくは分枝構造を有する嵩高い置換基による立体的な効果により、耐熱性が高く、しかも低温での放電性能に優れた被膜となると考えられる。そのため低温から高温まで広い温度範囲での電気化学特性が著しく向上する特異的な効果をもたらすことが分かった。

0040

第II発明の非水電解液に含まれる有機スズ化合物は、下記一般式(II)及び/又は(III)で表される。

0041

0042

(式中、R11、R12及びL1は前記のとおりである。)

0043

0044

(式中、R23〜R28は前記のとおりである。)

0045

前記一般式(II)のR11及びR12は、それぞれ独立に炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、炭素数4〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、又は炭素数3〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基がより好ましく、炭素数5〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、又は炭素数3〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基が更に好ましい。
また、R11及びR12が、炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であり、互いに環を形成していてもよく、この場合、好ましい環を構成する連結鎖はL1と同様である。
L1は、炭素数2〜10の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン基、又は炭素数4〜10の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニレン基を示し、炭素数4〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン基、又は炭素数4〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン基がより好ましく、炭素数4〜6の直鎖のアルキレン基が更に好ましい。
R11、R12、L1の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。

0046

R11及びR12の具体例としては、(i)メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分枝鎖のアルキル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等の水素原子の一部がフッ素で置換されたアルキル基、(ii)ビニル基、2−プロペン−1−イル基、2−ブテンー1−イル基、3−ブテンー1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基、又は3−ブテン−2−イル基、2−メチル−1−プロペン−1−イル基、2−メチル−2−プロペン−1−イル基、3−ペンテン−2−イル基、2−メチル−3−ブテン−2−イル基、3−メチル−2−ブテン−1−イル基等の分枝鎖のアルケニル基、(iii)エチニル基、2−プロピン−1−イル基、2−ブチン−1−イル基、3−ブチン−1−イル基、4−ペンチン−1−イル基、5−ヘキシン−1−イル基等の直鎖のアルキニル基、又は3−ブチン−2−イル基、3−ペンチン−2−イル基、2−メチル−3−ブチン−2−イル基等の分枝鎖のアルキニル基、(iv)フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−tert-ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基等のアリール基等が好適に挙げられる。これらの中でも、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−プロペン−1−イル基が好ましく、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−プロペン−1−イル基が更に好ましい。
R11及びR12が、炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であり、互いに環を形成している場合の具体例としては、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等が好適に挙げられる。これらの中でも、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基が好ましく、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が更に好ましい。

0047

L1の具体例としては、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等が好適に挙げられる。これらの中でも、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基が好ましく、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が更に好ましい。

0048

前記一般式(II)で表される有機スズ化合物の具体例としては、1,1−ジメチル−1−スタナシクロプロパン、1,1−ジブチル−1−スタンナシクロプロパン、1,1−ジペンチル−1−スタンナシクロプロパン、1,1−ジ(2−プロペン−1−イル)−1−スタンナシクロプロパン、1,1−ジメチル−1−スタンナシクロブタン、1,1−ジブチル−1−スタンナシクロブタン、1,1−ジペンチル−1−スタンナシクロブタン、1,1−ジ(2−プロペン−1−イル)−1−スタンナシクロブタン、1,1−ジメチル−1−スタンナシクロペンタン、1,1−ジエチル−1−スタンナシクロペンタン、1−ブチル−1−メチル−1−スタンナシクロペンタン、1,1−ジブチル−1−スタンナシクロペンタン、1,1−ジペンチル−1−スタンナシクロペンタン、1,1−ジ(2−プロペン−1−イル)−1−スタンナシクロペンタン、1,1−ジメチル−1−スタンナシクロヘキサン、1,1−ジエチル−1−スタンナシクロヘキサン、1−ブチル−1−メチル−1−スタンナシクロヘキサン、1,1−ジブチル−1−スタンナシクロヘキサン、1,1−ジペンチル−1−スタンナシクロヘキサン、1,1−ジ(2−プロペン−1−イル)−1−スタンナシクロヘキサン、1,1,4,4−テトラメチル−1−スタンナシクロヘキサン、1,1−ジブチル−4,4−ジメチル−1−スタンナシクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−スタンナシクロヘプタン、1,1−ジブチル−1−スタンナシクロヘプタン、1,1−ジペンチル−1−スタンナシクロヘプタン、1,1−ジ(2−プロペン−1−イル)−1−スタンナシクロヘプタン、1,1−ジメチル−1−スタンナシクロオクタン、1,1−ジブチル−1−スタンナシクロオクタン、1,1−ジペンチル−1−スタンナシクロオクタン、1,1−ジ(2−プロペン−1−イル)−1−スタンナシクロオクタン、5−スタンナスピロ[4,4]ノナン、5−スタンナスピロ[4,5]デカン、6−スタンナスピロ[5,5]ウンデカン、3,3,9,9−テトラメチル−6−スタンナスピロ[5,5]ウンデカン、7−スタンナスピロ[6,6]トリデカンが好適に挙げられる。

0049

上記化合物の中でも、1,1−ジブチル−1−スタンナシクロペンタン、1,1−ジペンチル−1−スタンナシクロペンタン、1,1−ジ(2−プロペン−1−イル)−1−スタンナシクロペンタン、1,1−ジブチル−1−スタンナシクロヘキサン、1,1−ジペンチル−1−スタンナシクロヘキサン、1,1−ジ(2−プロペン−1−イル)−1−スタンナシクロヘキサン、1,1−ジブチル−1−スタンナシクロヘプタン、1,1−ジペンチル−1−スタンナシクロヘプタン、1,1−ジ(2−プロペン−1−イル)−1−スタンナシクロヘプタン、6−スタンナスピロ[5,5]ウンデカン、7−スタンナスピロ[6,6]トリデカンがより好ましい。

0050

前記一般式(III)のR23〜R25は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、炭素数3〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、又は炭素数3〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基がより好ましく、炭素数3〜8の分枝鎖のアルキル基又は炭素数5〜7のシクロアルキル基が更に好ましい。R23〜R25のうち、1個以上が炭素数3〜8の分枝鎖のアルキル基、又は炭素数5〜7のシクロアルキル基であることが好ましく、2個以上が炭素数3〜8の分枝鎖のアルキル基、又は炭素数5〜7のシクロアルキル基であると更に好ましい。
R26及びR27は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、又は炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基を示し、炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基がより好ましい。R26及びR27は互いに結合して環を形成しているとより好ましく、この場合、環を構成する炭素数は3〜9がより好ましく4〜6が更に好ましい。
R28は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、又は炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基を示し、水素原子、炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、又は炭素数2〜4の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基がより好ましい。
R23〜R28の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。

0051

前記一般式(III)のR23〜R25の具体例としては、(i)メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分枝鎖のアルキル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたアルキル基、(ii)ビニル基、2−プロペン−1−イル基、2−ブテンー1−イル基、3−ブテンー1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基、又は3−ブテン−2−イル基、2−メチル−1−プロペン−1−イル基、2−メチル−2−プロペン−1−イル基、3−ペンテン−2−イル基、2−メチル−3−ブテン−2−イル基、3−メチル−2−ブテン−1−イル基等の分枝鎖のアルケニル基、(iii)エチニル基、2−プロピン−1−イル基、2−ブチン−1−イル基、3−ブチン−1−イル基、4−ペンチン−1−イル基、5−ヘキシン−1−イル基等の直鎖のアルキニル基、又は3−ブチン−2−イル基、3−ペンチン−2−イル基、2−メチル−3−ブチン−2−イル基等の分枝鎖のアルキニル基、(iv)シクロプロピル基シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基等が好適に挙げられる。これらの中でも、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ビニル基、2−プロペン−1−イル基、2−プロピン−1−イル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が好ましく、iso−プロピル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が更に好ましい。

0052

R26及びR27の具体例としては、(i)メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分枝鎖のアルキル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたアルキル基、(ii)ビニル基、2−プロペン−1−イル基、2−ブテンー1−イル基、3−ブテンー1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基、又は3−ブテン−2−イル基、2−メチル−1−プロペン−1−イル基、2−メチル−2−プロペン−1−イル基、3−ペンテン−2−イル基、2−メチル−3−ブテン−2−イル基、3−メチル−2−ブテン−1−イル基等の分枝鎖のアルケニル基、(iii)エチニル基、2−プロピン−1−イル基、2−ブチン−1−イル基、3−ブチン−1−イル基、4−ペンチン−1−イル基、5−ヘキシン−1−イル基等の直鎖のアルキニル基、又は3−ブチン−2−イル基、3−ペンチン−2−イル基、2−メチル−3−ブチン−2−イル基等の分枝鎖のアルキニル基等が好適に挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、ビニル基、2−プロペン−1−イル基、エチニル基、2−プロピン−1−イル基が好ましく、メチル基、エチル基、ビニル基が更に好ましい。
R28の具体例としては、水素原子であってもよいこと以外はR26及びR27と同じであり、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、ビニル基、2−プロペン−1−イル基、エチニル基、2−プロピン−1−イル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基が更に好ましい。
R26及びR27は互いに結合して環を形成しているとより好ましく、Sn原子に結合する置換基(−CR26R27R28)の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が好適に挙げられ、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が更に好ましい。

0053

前記一般式(I)で表される有機スズ化合物の具体例としては、トリメチル(iso-プロピル)スズ、(sec-ブチル)トリメチルスズ、(tert-ブチル)トリメチルスズ、(tert-アミル)トリメチルスズ、トリブチル(iso-プロピル)スズ、トリブチル(sec-ブチル)スズ、トリブチル(tert-ブチル)スズ、(tert-アミル)トリブチルスズ、トリペンチル(iso-プロピル)スズ、(sec-ブチル)トリペンチルスズ、(tert-ブチル)トリペンチルスズ、(tert-アミル)トリペンチルスズ、トリヘキシル(iso-プロピル)スズ、(sec-ブチル)トリヘキシルスズ、(tert-ブチル)トリヘキシルスズ、(tert-アミル)トリヘキシルスズ、トリオクチル(iso-プロピル)スズ、(sec-ブチル)トリオクチルスズ、(tert-ブチル)トリオクチルスズ、(tert-アミル)トリオクチルスズ、ジメチルジ(iso-プロピル)スズ、ジ(sec-ブチル)ジメチルスズ、ジ(tert-ブチル)ジメチルスズ、ジ(tert-アミル)ジメチルスズ、ジブチルジ(iso-プロピル)スズ、ジブチルジ(sec-ブチル)スズ、ジブチルジ(tert-ブチル)スズ、ジ(tert-アミル)ジブチルスズ、ジペンチルジ(iso-プロピル)スズ、ジ(sec-ブチル)ジペンチルスズ、ジ(tert-ブチル)ジペンチルスズ、ジ(tert-アミル)ジペンチルスズ、ジヘキシルジ(iso-プロピル)スズ、ジ(sec-ブチル)ジヘキシルスズ、ジ(tert-ブチル)ジヘキシルスズ、ジ(tert-アミル)ジヘキシルスズ、ジオクチルジ(iso-プロピル)スズ、ジ(sec-ブチル)ジオクチルスズ、ジ(tert-ブチル)ジオクチルスズ、ジ(tert-アミル)ジオクチルスズ、テトラ(iso-プロピル)スズ、テトラ(sec-ブチル)スズ、シクロプロピルトリメチルスズ、トリブチル(シクロプロピル)スズ、シクロプロピルトリペンチルスズ、シクロプロピルトリヘキシルスズ、シクロプロピルトリオクチルスズ、シクロブチルトリメチルスズ、トリブチル(シクロブチル)スズ、シクロブチルトリペンチルスズ、シクロブチルトリヘキシルスズ、シクロブチルトリオクチルスズ、シクロペンチルトリメチルスズ、トリブチル(シクロペンチル)スズ、シクロペンチルトリペンチルスズ、シクロペンチルトリヘキシルスズ、シクロペンチルトリオクチルスズ、シクロヘキシルトリメチルスズ、トリブチル(シクロヘキシル)スズ、シクロヘキシルトリペンチルスズ、シクロヘキシルトリヘキシルスズ、シクロヘキシルトリオクチルスズ、シクロヘプチルトリメチルスズ、トリブチル(シクロヘプチル)スズ、シクロヘプチルトリペンチルスズ、シクロヘプチルトリヘキシルスズ、シクロヘプチルトリオクチルスズ、シクロオクチルトリメチルスズ、トリブチル(シクロオクチル)スズ、シクロオクチルトリペンチルスズ、シクロオクチルトリヘキシルスズ、シクロオクチルトリオクチルスズ、ジ(シクロペンチル)ジメチルスズ、ジブチルジ(シクロペンチル)スズ、ジ(シクロペンチル)ジペンチルスズ、ジ(シクロペンチル)ジヘキシルスズ、ジ(シクロペンチル)ジオクチルスズ、ジ(シクロヘキシル)ジメチルスズ、ジブチルジ(シクロヘキシル)スズ、ジ(シクロヘキシル)ジペンチルスズ、ジ(シクロヘキシル)ジヘキシルスズ、ジ(シクロヘキシル)ジオクチルスズ、トリ(シクロペンチル)メチルスズ、ブチルジトリ(シクロペンチル)スズ、トリ(シクロペンチル)ペンチルスズ、トリ(シクロペンチル)ヘキシルスズ、トリ(シクロペンチル)オクチルスズ、トリ(シクロヘキシル)メチルスズ、ブチルトリ(シクロヘキシル)スズ、トリ(シクロヘキシル)ペンチルスズ、トリ(シクロヘキシル)ヘキシルスズ、トリ(シクロヘキシル)オクチルスズ、テトラシクロペンチルスズ、テトラシクロヘキシルスズが好適に挙げられる。

0054

上記化合物の中でも、ジブチルジ(iso-プロピル)スズ、ジブチルジ(sec-ブチル)スズ、ジブチルジ(tert-ブチル)スズ、ジペンチルジ(iso-プロピル)スズ、ジ(sec-ブチル)ジペンチルスズ、ジ(tert-ブチル)ジペンチルスズ、トリブチル(シクロペンチル)スズ、シクロペンチルトリペンチルスズ、トリブチル(シクロヘキシル)スズ、シクロヘキシルトリペンチルスズ、トリブチル(シクロヘプチル)スズ、シクロヘプチルトリペンチルスズ、ジブチルジ(シクロペンチル)スズ、ジ(シクロペンチル)ジペンチルスズ、ブチルジトリ(シクロペンチル)スズ、トリ(シクロペンチル)ペンチルスズ、テトラシクロペンチルスズがより好ましい。
R11、R12、L1、R23〜R28の置換基が上記の範囲の場合に、広い温度範囲での電気化学特性を大幅に改善できるので好ましい。

0055

本発明の非水電解液において、非水電解液に含有される前記一般式(II)及び/又は(III)で表される有機スズ化合物の含有量は、非水電解液中に0.001〜5質量%が好ましい。該含有量が5質量%以下であれば、電極上に過度に被膜が形成され低温特性が低下するおそれが少なく、また0.001質量%以上であれば被膜の形成が十分であり、高温保存特性の改善効果が高まる。該含有量は、非水電解液中に0.008質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましい。また、その上限は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
本発明の非水電解液において、前記一般式(II)及び/又は(III)で表される有機スズ化合物を以下に述べる非水溶媒、電解質塩、更にその他の添加剤を組み合わせることにより、広い温度範囲での電気化学特性が相乗的に向上するという特異な効果を発現する。

0056

[第III発明]
第III発明の非水電解液が、広い温度範囲での電気化学特性を大幅に改善できる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
第III発明の非水電解液が含有する前記一般式(IV)で示される有機スズ化合物は、スズ元素に置換基を有し、そのうちの少なくとも1つが炭化水素基であり、少なくとも1つの置換基がスズ原子と酸素原子又は硫黄原子を介して結合している。このような特定構造を有する有機スズ化合物とフッ素原子又は炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを非水電解液中に含有させることにより、スズ原子と酸素原子又は硫黄原子に由来する低温での放電性能に優れるという性質とフッ素原子又は炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートによる高い耐熱性を併せ持つ良質な被膜となると考えられる。そのため低温から高温まで広い温度範囲での電気化学特性が著しく向上する特異的な効果をもたらすことが分かった。

0057

第III発明の非水電解液に含まれる有機スズ化合物は、下記一般式(IV)で表される。

0058

(式中、X1、X2、及びX3はそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を含む下記の置換基を示し、

0059

また、X1及びX2は互いに結合し、下記の置換基であってもよい。

0060

0061

一般式(IV)のR31は、炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、炭素数4〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基又は炭素数3〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基が好ましい。
R32及びR33は、炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示し、炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基が好ましい。
Yは酸素原子又は硫黄原子を示し、酸素原子が好ましい。
Lは、エーテル結合又は炭素−炭素不飽和結合を有してもよい炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン基を示し、炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン基が好ましい。
R31、R32、R33及びL3の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
一般式(IV)のa、b及びcは0又は1を示し、dは1〜3の整数を示し、mは0又は1を示す。m=0場合、a+b+c+d=4であり、m=1の場合、a=b=c=0、d=2である。

0062

R31の具体例としては、(i)メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分枝鎖のアルキル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたアルキル基、(ii)ビニル基、2−プロペン−1−イル基、2−ブテンー1−イル基、3−ブテンー1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基等の直鎖のアルケニル基、又は3−ブテン−2−イル基、2−メチル−1−プロペン−1−イル基、2−メチル−2−プロペン−1−イル基、3−ペンテン−2−イル基、2−メチル−3−ブテン−2−イル基、3−メチル−2−ブテン−1−イル基等の分枝鎖のアルケニル基、(iii)エチニル基、2−プロピン−1−イル基、2−ブチン−1−イル基、3−ブチン−1−イル基、4−ペンチン−1−イル基、5−ヘキシン−1−イル基等の直鎖のアルキニル基、又は3−ブチン−2−イル基、3−ペンチン−2−イル基、2−メチル−3−ブチン−2−イル基等の分枝鎖のアルキニル基、(iv)フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−tert-ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基等のアリール基等が好適に挙げられる。これらの中でも、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−プロペン−1−イル基が好ましい。

0063

R32及びR33の具体例としては、(i)メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖のアルキル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等の分枝鎖のアルキル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたアルキル基、(ii)フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−tert-ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基等のアリール基等が好適に挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましい。

0064

L3の具体例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等の直鎖のアルキレン基、1,1−エタンジイル基、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基、1−メチル−1,2−ブタンジイル基、2−メチル−2,4−ペンタンジイル基、1,2−オクタンジイル基等の分枝のアルキレン基、1−(ブチルオキシメチル)エタン−1,2−ジイル基、1−(アリルオキシメチル)エタン−1,2−ジイル基、2−ブテン−1,4—ジイル基等のエーテル結合もしくは炭素—炭素不飽和結合を有するアルキレン基、2,2−ジフルオロプロパン−1,3−ジイル基等の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたアルキレン基等が好適に挙げられ、中でも、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基が好ましい。
X1、X2、X3、Y及びR31の置換基が上記の範囲の場合に、広い温度範囲での電気化学特性を大幅に改善できるので好ましい。

0065

前記一般式(IV)で示される化合物としては、次の(a)〜(f)が挙げられる。
(a)有機スズスルホネート〔m=0、X1、X2及びX3のうち少なくとも1つが、−OSO2R32で示される化合物〕
(b)有機スズカルボキシレート〔m=0、X1、X2及びX3のうち少なくとも1つが、−OC(O)R32で示される化合物〕
(c)有機スズアルコキシド〔m=0、X1、X2及びX3のうち少なくとも1つが、−OR32もしくは、−O−L3−O−で示される化合物〕
(d)有機スズβ−ジカルボニル〔m=0、X1、X2及びX3のうち少なくとも1つが、−OC(R32)=CHC(O)R32、又は−OC(R33)=CHC(O)OR32で示される化合物〕
(e)有機スズオキシドサルファイド〔m=1、Yが酸素原子もしくは硫黄原子で示される化合物〕
(f)有機スズチオレートメルカプトオキシド、メルカプトカルボキシレート〔m=0、X1、X2及びX3のうち少なくとも1つが、−S−L3−S−、−S−L3−O−、又は−S−L3−C(O)O−で示される化合物〕
より具体的には次に示す化合物が例示されるが、下記の例示により何ら制限されるものではない。

0066

(a)有機スズスルホネートとしては、ジメチルスズジメタンスルホネートジイソプロピルスズジメタンスルホネート、ジシクロヘキスルスズジメタンスルホネート、ジブチルスズジメタンスルホネート、トリブチルスズメタンスルホネート、モノブチルスズトリメタンスルホネート、ジブチルスズジエタンスルホネート、ジブチルスズビス(トリフルオロメタンスルホネート)、6,6−ジブチル−1,5,2,4,6−ジオキサジチアスズ 2,2,4,4−テトラオキシド〔(C4H9)2Sn(−OSO2CH2SO2O−)〕、ジフェニルスズジメタンスルホネート、ジフェニルスズビス(トリフルオロメタンスルホネート)等のSn−OSO2結合を有する化合物が挙げられる。
これらの中でも、ジメチルスズジメタンスルホネート、ジブチルスズジメタンスルホネート、トリブチルスズメタンスルホネート、モノブチルスズトリメタンスルホネート、ジブチルスズジエタンスルホネート、ジブチルスズビス(トリフルオロメタンスルホネート)、6,6−ジブチル−1,5,2,4,6−ジオキサジチアスズ 2,2,4,4−テトラオキシドが好ましく、ジブチルスズジメタンスルホネート、ジブチルスズジエタンスルホネート、ジブチルスズビス(トリフルオロメタンスルホネート)、6,6−ジブチル−1,5,2,4,6−ジオキサジチアスズ 2,2,4,4−テトラオキシドが更に好ましい。

0067

(b)有機スズカルボキシレートとしては、ジメチルスズジアセテート、ジイソプロピルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジアセテート、トリブチルスズアセテート、ジブチルスズジアクリレート、ジブチルスズジメタクリレート、ジブチルスズジベンゾエート、ジブチルスズビス(ヘキサフルオロベンゾエート)、ジブチルスズビス(ネオデカノエート)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジドデカノエート等のSn−OC(O)結合を有する化合物が挙げられる。
これらの中でも、ジメチルスズジアセテート、ジイソプロピルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジアクリレート、ジブチルスズジメタクリレート、ジブチルスズジベンゾエート、ジブチルスズビス(ヘキサフルオロベンゾエート)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)が好ましく、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジアクリレート、ジブチルスズジメタクリレート、ジブチルスズジベンゾエートが更に好ましい。

0068

(c)有機スズアルコキシドとしては、ブチルスズトリメトキシド、ジブチルスズジメトキシド、トリブチルスズメトキシド、ジオクチルスズジメトキシド、ジフェニルスズジメトキシド、ジブチルスズジブトキシド、ジブチルスズジイソプロポキシド、の一価アルコールアルコキサイド、ジブチルスズエチレングリコラート、ジビニルスズエチレングリコラート、ジアリルスズエチレングリコラート、ジブチルスズ(1−ヘキシル)エチレングリコラート、ジビニルスズ(1−ヘキシル)エチレングリコラート、ジブチルスズ(1−ビニルオキシメチル)エチレングリコラート、ジブチルスズ(1−アリロキシメチル)エチレングリコラート、ジブチルズ(1−ブトキシメチル)エチレングリコラート、ジブチルスズ−1,3−プロピレングリコラート、ジブチルスズ(2,2−ジメチル)−1,3−プロピレングリコラート、ジブチルスズ(1,1,3−トリメチル)−1,3−プロピレングリコラート、ジブチルスズ(2,2−ジフルオロ)−1,3−プロピレングリコラート、ジブチルスズ(2−ブテニレン)−1,4−グリコラート等の有機スズグリコラートが挙げられる。
これらの中でも、ジブチルスズジメトキシド、ジオクチルスズジメトキシド、ジブチルスズジブトキシド、ジブチルスズエチレングリコラート、ジビニルスズエチレングリコラート、ジアリルスズエチレングリコラート、ジブチルスズ(1−ヘキシル)エチレングリコラート、ジブチルスズ(1−アリロキシメチル)エチレングリコラート、ジブチルスズ(1−ブトキシメチル)エチレングリコラート、ジブチルスズ−1,3−プロピレングリコラート、ジブチルスズ(2,2−ジメチル)−1,3−プロピレングリコラート、ジブチルスズ(2,2−ジフルオロ)−1,3−プロピレングリコラート、ジブチルスズ(2−ブテニレン)−1,4−グリコラートが好ましく、ジブチルスズジメトキシド、ジオクチルスズジメトキシド、ジブチルスズジブトキシド、ジブチルスズエチレングリコラート、ジブチルスズ−1,3−プロピレングリコラートが更に好ましい。

0069

(d)有機スズβ−ジカルボニル化合物としては、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)、ジフェニルスズビス(アセチルアセトネート)、トリブチルスズ(アセチルアセトネート)、ジブチルスズビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)、ジブチルスズビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ジブチルスズビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオネート)、ジブチルスズビス(メチルアセチルアセテート)、ジブチルスズビス(エチルアセチルアセテート)、ジブチルスズビス(ベンゾイルアセトネート)、ジブチルスズビス(ジベンゾイルメタネート)等の有機スズβ−ジケトネート及びβ−ケトエステル化合物が挙げられる。
これらの中でも、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)、ジブチルスズビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)、ジブチルスズビス(メチルアセチルアセテート)、ジブチルスズビス(エチルアセチルアセテート)、ジブチルスズビス(ベンゾイルアセトネート)が好ましく、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)、ジブチルスズビス(メチルアセチルアセテート)、ジブチルスズビス(エチルアセチルアセテート)が更に好ましい。

0070

(e)有機スズオキシド/サルファイドとしては、ジメチルスズオキシド、ジイゾプロピルスズオキシド、ジビニルスズオキシド、ジアリルスズオキシド、ジブチルスズオキシドジオクチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジシクロヘキスルスズオキシド、ジメチルスズサルファイド、ジブチルスズサルファイド等のSn=O、Sn=S結合を有するものが挙げられる。
これらの中でも、ジメチルスズオキシド、ジイソプロピルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、ジシクロヘキスルスズオキシドが好ましく、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシドが更に好ましい。

0071

(f)有機スズチオレート、メルカプトオキシド、メルカプトカルボキシレートとしては、モノブチルスズトリス(メタンチオレート)、ジブチルスズビス(メタンチオレート)〔(C4H9)2Sn(SCH3)2〕、ジフェニルスズビス(メタンチオレート)、トリブチルスズメタンチオレート、モノブチルスズトリス(メタンチオレート)、ジブチルスズ(1,2−エタンジチオラート)、ジブチルスズ−O,S−モノチオエチレングリコラート〔(C4H9)2Sn(−SCH2CH2O−)〕等のSn−S結合もしくは、O−Sn−S結合を含む化合物、モノメチルスズS,S,S−トリス(イソオクチルチオグリコレート)、モノブチルスズ−S,S,S−トリス(イソオクチルチオグリコレート)、モノオクチルスズ−S,S,S−トリス(イソオクチルチオグリコレート)、ジメチルスズ−S,S−ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチルスズ−S,S−ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチルスズ−S,S−ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチルスズ−S,S−ビス(ブチル−3−メルカプトプロピオネート)、ジブチルスズ−O,S−チオグリコレート〔(C4H9)2Sn(−SCH2CO2−)〕、ジビニルスズ−O,S−チオグリコラート、ジブチルスズ−O,S−(3−メルカプトプロピオネート)、ジブチルスズ−S,S−ビス(メチルチオグリコレート)〔(C4H9)2Sn(SCH2CO2CH3)2〕、ジフェニルスズ−S,S−ビス(メチルチオグリコレート)等のSn−S−L−C(O)O−結合を含むものが挙げられる。
これらの中でも、モノブチルスズトリス(メタンチオレート)、ジブチルスズビス(メタンチオレート)、ジブチルスズ−1,2−エタンジチオラート、ジブチルスズ−O,S−モノチオエチレングリコラート、ジブチルスズ−S,S−ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチルスズ−S,S−ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチルスズ−S,S−ビス(ブチル−3−メルカプトプロピオネート)、ジブチルスズ−O,S−チオグリコレート、ジブチルスズ−O,S−(3−メルカプトプロピオネート)、ジブチルスズ−S,S−ビス(メチルチオグリコレート)が好ましく、ジブチルスズビス(メタンチオレート)、ジブチルスズ−1,2−エタンジチオラート、ジブチルスズ−O,S−モノチオエチレングリコラート、ジブチルスズ−O,S−チオグリコレート、ジブチルスズ−O,S−3−メルカプトプロピオネート、ジブチルスズ−S,S−ビス(メチルチオグリコレート)が更に好ましい。
上記有機スズ化合物の中でも(a)有機スズスルホネート、(b)有機スズカルボキシレートがより好ましい。

0072

本発明の非水電解液において、非水電解液に含有される前記一般式(IV)で示される有機スズ化合物の含有量は、非水電解液中に0.001〜5質量%が好ましい。該含有量が5質量%以下であれば、電極上に過度に被膜が形成され低温特性が低下するおそれが少なく、また0.001質量%以上であれば被膜の形成が十分であり、高温保存特性の改善効果が高まる。該含有量は、非水電解液中に0.008質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましい。また、その上限は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
本発明の非水電解液において、前記一般式(IV)で示される有機スズ化合物を以下に述べる非水溶媒、電解質塩、更にその他の添加剤を組み合わせることにより、広い温度範囲での電気化学特性が相乗的に向上するという特異な効果を発現する。

0073

〔非水溶媒〕
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、エーテルアミドリン酸エステルスルホンラクトンニトリル、S=O結合含有化合物等が挙げられ、環状カーボネートと鎖状エステルの両方が含まれることが好ましい。
なお、「鎖状エステル」なる用語は、鎖状カーボネート及び鎖状カルボン酸エステルを含む概念である。

0074

環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、トランス又はシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、両者を総称して「DFEC」という)、ビニレンカーボネートVC)、ビニルエチレンカーボネートVEC)等が好適に挙げられる。
これらの中でも、環状カーボネートが、炭素−炭素二重結合を含まない環状カーボネートの二種類以上で構成される場合に広い温度範囲での電気化学特性が一段と向上するのでより好ましい。特に炭素−炭素二重結合を含まない環状カーボネートとしてプロピレンカーボネートが含まれていると好ましい。
上記の理由は必ずしも明らかではないが、環状カーボネートが炭素−炭素二重結合を含まない環状カーボネートの二種類以上で構成される場合には、有機スズ化合物と相俟って形成される被膜が過度に緻密化することなく耐熱性が向上するためであると考えられる。
環状カーボネート中にプロピレンカーボネートが占める体積の割合は、1体積%以上が好ましく、更に好ましくは5体積%以上、特に好ましくは10体積%以上、また、上限としては、45体積%以下が好ましく、更に好ましくは35体積%以下、特に好ましくは25体積%以下である。
環状カーボネートの含有量は、非水溶媒の総体積に対して、10体積%〜40体積%の範囲で用いるのが好ましい。含有量が10体積%未満であると非水電解液の伝導度が低下し、広い温度範囲での電気化学特性が低下する場合があり、40体積%を超えると非水電解液の粘性が高くなるため広い温度範囲での電気化学特性が低下する場合があるので上記範囲であることが好ましい。
これらの環状カーボネートの好適な組合せとしては、ECとPC、ECとFEC、PCとFEC、FECとDFEC、ECとDFEC、PCとDFEC、ECとPCとFEC等が好ましい。

0075

本発明の非水電解液において、前記一般式(IV)で示される有機スズ化合物に組み合わせて使用する環状カーボネートとして、少なくともフッ素原子又は炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含む場合に、広い温度範囲での電気化学特性が相乗的に向上するという特異な効果を発現する。特にフッ素原子を有する環状カーボネートとして4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)又は4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(VC)及び/又はビニルエチレンカーボネート(VEC)が含まれていると好ましい。
フッ素原子を有する環状カーボネートの場合、環状カーボネート中に占める体積の割合は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは10体積%以上、特に好ましくは30体積%以上、最も好ましくは55体積%以上である。また、その上限は、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは70体積%以下である。
炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートの場合、環状カーボネート中に占める体積の割合は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは0.5体積%以上、更に好ましくは1体積%以上、また、その上限は、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、更に好ましくは3体積%以下である。

0076

鎖状エステルとしては、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、メチルイソプロピルカーボネート(MIPC)、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート等の非対称鎖状カーボネート、ジメチルカーボネートDMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等の対称鎖状カーボネート、プロピオン酸メチルプロピオン酸エチル酢酸メチル酢酸エチル等の鎖状カルボン酸エステルが好適に挙げられる。
鎖状エステルの含有量は、特に制限されないが、非水溶媒の総体積に対して、60〜90体積%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が60体積%以上であれば非水電解液の粘度が高くなりすぎず、90体積%以下であれば非水電解液の電気伝導度が低下して広い温度範囲での電気化学特性が低下するおそれが少ないので上記範囲であることが好ましい。
前記鎖状エステルの中でも、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、プロピオン酸メチル、酢酸メチル及び酢酸エチルから選ばれるメチル基を含む鎖状エステルが好ましく、特にメチル基を有する鎖状カーボネートが好ましい。
また、鎖状カーボネートを用いる場合には、対称鎖状カーボネートと非対称鎖状カーボネートの両方が含まれるとより好ましく、対称鎖状カーボネートの含有量が非対称鎖状カーボネートより多く含まれると更に好ましい。
鎖状カーボネート中に対称鎖状カーボネートが占める体積の割合は、50体積%以上であり、55体積%以上がより好ましい。上限としては、95体積%以下がより好ましく、85体積%以下であると更に好ましく、対称鎖状カーボネートにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートが含まれると特に好ましい。非水溶媒中のジエチルカーボネートの含有量としては、1体積%以上が好ましく、2体積%以上がより好ましく、上限としては、10体積%以下が好ましく、6体積%以下である場合がより好ましい。
非対称鎖状カーボネートはメチル基を有するとより好ましく、MECが特に好ましい。
上記の場合に一段と広い温度範囲での電気化学特性が向上するので好ましい。

0077

環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は、広い温度範囲での電気化学特性向上の観点から、環状カーボネート:鎖状カーボネート(体積比)が10:90〜45:55が好ましく、15:85〜40:60がより好ましく、20:80〜35:65が特に好ましい。

0078

非水電解液中に、更に炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基が第3級炭素原子又は第4級炭素原子を介してベンゼン環に結合しているベンゼン化合物(第2の添加剤)を含むと、一段と広い温度範囲での電気化学特性が向上するので好ましい。理由は必ずしも明らかではないが、ベンゼン環が負極に吸着し、更にベンゼン環に分枝鎖のアルキル基を有しているので、前記一般式(I)〜(IV)のいずれかで表される有機スズ化合物の1種以上に由来する被膜が過度に緻密化することなく耐熱性が向上するためであると考えられる。
非水電解液に含有される炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基が第3級炭素原子又は第4級炭素原子を介してベンゼン環に結合しているベンゼン化合物の含有量は、前記一般式(I)〜(IV)のいずれかで表される有機スズ化合物の質量に対して1〜50倍の質量であることが好ましい。該含有量が前記一般式(I)〜(IV)のいずれかで表される有機スズ化合物の質量に対して50倍以下であれば、負極上に過度に吸着して低温特性が低下するおそれが少なく、また1倍以上であれば負極への吸着の効果が十分得られる。従って、1倍以上が好ましく、4倍以上が更に好ましく、10倍以上が特に好ましい。上限としては、50倍以下が好ましく、40倍以下が更に好ましく、30倍以下が特に好ましい。
炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基が第3級炭素原子又は第4級炭素原子を介してベンゼン環に結合しているベンゼン化合物としては、ビフェニルシクロヘキシルベンゼンフルオロシクロヘキシルベンゼン(1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン)、tert−ブチルベンゼン、1,3−ジ−tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼンが好適に挙げられ、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンがより好ましく、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンが特に好ましい。

0079

その他の非水溶媒としては、ピバリン酸メチル、ピバリン酸ブチル、ピバリン酸ヘキシル、ピバリン酸オクチル等の第3級カルボン酸エステルシュウ酸ジメチルシュウ酸エチルメチル、シュウ酸ジエチル等のシュウ酸エステルテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等の鎖状エーテルジメチルホルムアミド等のアミド、リン酸トリメチルリン酸トリブチルリン酸トリオクチル等のリン酸エステル、スルホラン等のスルホン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α−アンゲリカラクトン等のラクトン、アセトニトリルプロピオニトリルスクシノニトリルグルタロニトリルアジポニトリルピメロニトリル等のニトリル、1,3−プロパンスルトン、1,3−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン等のスルトン、エチレンサルファイトヘキサヒドロベンゾ[1,3,2]ジオキサチオラン−2−オキシド(1,2−シクロヘキサンジオールサイクリックサルファイトともいう)、5−ビニル−ヘキサヒドロ−1,3,2−ベンゾジオキサチオール−2−オキシド、4−(メチルスルホニルメチル)−1,3,2−ジオキサチオラン−2−オキシド等の環状サルファイトメタンスルホン酸2−プロピニル、ブタン−1,4−ジイルジメタンスルホネート、ペンタン−1,5−ジイル ジメタンスルホネート、プロパン−1,2−ジイル ジメタンスルホネート、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネート、メチレンメタンジスルホネート等のスルホン酸エステルジビニルスルホン、1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタン、ビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテル等のビニルスルホン等から選ばれるS=O結合含有化合物、無水酢酸無水プロピオン酸等の鎖状カルボン酸無水物無水コハク酸無水マレイン酸無水グルタル酸無水イタコン酸、3−スルホプロピオン酸無水物等の環状酸無水物メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンフェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン等の環状ホスファゼン、フルオロシクロヘキシルベンゼン(1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン)、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン等の分枝アルキル基を有する芳香族化合物や、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、ジフェニルエーテルフルオロベンゼンジフルオロベンゼン(o−、m−、p−体)、アニソール、2,4−ジフルオロアニソール、ターフェニルの部分水素化物(1,2−ジシクロヘキシルベンゼン、2−フェニルビシクロヘキシル、1,2−ジフェニルシクロヘキサン、o−シクロヘキシルビフェニル)等の芳香族化合物が好適に挙げられる。

0080

上記の中でも、ニトリル、環状構造もしくは不飽和基を有するS=O基含有化合物、及びスルホン酸エステルから選ばれる少なくとも一種(第3の添加剤)を含むと一段と広い温度範囲での電気化学特性が向上するので好ましい。
ニトリルの中では、ジニトリルが好ましく、中でも2つのシアノ基が炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基で連結されたものがより好ましく、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリルが更に好ましく、アジポニトリル、ピメロニトリルが特に好ましい。
環状構造もしくは不飽和基を有するS=O基含有化合物の中でも、1,3−プロパンスルトン等のスルトン、エチレンサルファイト、ヘキサヒドロベンゾ[1,3,2]ジオキサチオラン−2−オキシド、5−ビニル−ヘキサヒドロ−1,3,2−ベンゾジオキサチオール−2−オキシド、4−(メチルスルホニルメチル)−1,3,2−ジオキサチオラン−2−オキシド等の環状サルファイト、ジビニルスルホン、ビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテル等のビニルスルホンが好ましく、ヘキサヒドロベンゾ[1,3,2]ジオキサチオラン−2−オキシド、5−ビニル−ヘキサヒドロ−1,3,2−ベンゾジオキサチオール−2−オキシド、4−(メチルスルホニルメチル)−1,3,2−ジオキサチオラン−2−オキシド、ビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルが更に好ましく、分枝した構造を有する環状サルファイトであるヘキサヒドロベンゾ[1,3,2]ジオキサチオラン−2−オキシド、5−ビニル−ヘキサヒドロ−1,3,2−ベンゾジオキサチオール−2−オキシド、4−(メチルスルホニルメチル)−1,3,2−ジオキサチオラン−2−オキシドが特に好ましい。
また、スルホン酸エステルの中では、ジスルホン酸エステルが好ましく、中でも2つのスルホニルオキシ基が炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基で連結されたものがより好ましく、ブタン−1,4−ジイルジメタンスルホネート、ペンタン−1,5−ジイル ジメタンスルホネート、プロパン−1,2−ジイル ジメタンスルホネート、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネートが更に好ましく、2つのスルホニルオキシ基が分枝アルキレン基で連結されたプロパン−1,2−ジイル ジメタンスルホネート、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネートが特に好ましい。

0081

ニトリル、環状構造もしくは不飽和基を有するS=O基含有化合物、スルホン酸エステルの中では、環状構造もしくは不飽和基を有するS=O基含有化合物及びスルホン酸エステルが特に好ましい。
ニトリル、環状構造もしくは不飽和基を有するS=O基含有化合物、スルホン酸エステルの含有量は、非水電解液中に0.001〜5質量%が好ましい。該含有量が5質量%以下であれば、電極上に過度に被膜が形成され低温特性が低下するおそれが少なく、また0.001質量%以上であれば被膜の形成が十分であり、高温保存後の低温特性の改善効果が高まる。該含有量は、非水電解液中に0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.2質量%以上が特に好ましく、その上限は、4質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.4質量%以下が特に好ましい。

0082

上記の非水溶媒は通常、適切な物性を達成するために、混合して使用される。その組合せは、例えば、環状カーボネートと鎖状カーボネートの組合せ、環状カーボネートと鎖状カーボネートとラクトンとの組合せ、環状カーボネートと鎖状カーボネートとエーテルの組合せ、環状カーボネートと鎖状カーボネートと鎖状エステルとの組合せ、環状カーボネートと鎖状カーボネートとニトリルとの組み合わせ等が好適に挙げられる。
また、非水電解液中には、二酸化炭素を0.01〜0.5質量%含有させると広い温度範囲での電気化学特性が一段と向上するため好ましい。

0083

[電解質塩]
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩、オニウム塩が好適に挙げられる。
(リチウム塩)
リチウム塩としては、LiPF6、LiPO2F2、LiBF4、LiClO4等の無機リチウム塩、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のフッ化アルキル基を有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を含有するリチウム塩、ビス[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウムやジフルオロ[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウム等のオキサレート錯体アニオンとするリチウム塩が好適に挙げられる。これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2及びLiN(SO2C2F5)2から選ばれる少なくとも1種が好ましく、LiPF6、LiBF4及びLiN(SO2CF3)2から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。

0084

(オニウム塩)
また、オニウム塩としては、下記に示すオニウムカチオンとアニオンを組み合わせた各種塩が好適に挙げられる。
オニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムカチオン、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ジエチルジメチルアンモニウムカチオントリエチルメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N,N−ジエチルピロリジニウムカチオン、スピロ−(N,N')−ビピロリジニウムカチオン、N,N'−ジメチルイミダゾリニウムカチオン、N−エチル−N'−メチルイミダゾリニウムカチオン、N,N'−ジエチルイミダゾリニウムカチオン、N,N'−ジメチルイミダゾリウムカチオン、N−エチル−N'−メチルイミダゾリウムカチオン、N,N'−ジエチルイミダゾリウムカチオン等が好適に挙げられる。
アニオンの具体例としては、PF6アニオン、BF4アニオン、ClO4アニオン、AsF6アニオン、CF3SO3アニオン、N(CF3SO2)2アニオン、N(C2F5SO2)2アニオン等が好適に挙げられる。
これらの電解質塩は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。

0085

これら全電解質塩が溶解されて使用される濃度は、前記の非水溶媒に対して、通常0.3M以上が好ましく、0.7M以上がより好ましく、1.1M以上が更に好ましい。またその上限は、2.5M以下が好ましく、2.0M以下がより好ましく、1.5M以下が更に好ましい。

0086

〔非水電解液の製造〕
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩及び該非水電解液に対して前記一般式(I)〜(IV)のいずれかで表される有機スズ化合物の1種以上を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び非水電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。

0087

本発明の非水電解液は、下記の第1〜第4の電気化学素子に使用することができ、非水電解質として、液体状のものだけでなくゲル化されているものも使用し得る。更に本発明の非水電解液は固体高分子電解質用としても使用できる。中でも電解質塩にリチウム塩を使用する第1の電気化学素子用(即ち、リチウム電池用)又は第4の電気化学素子用(即ち、リチウムイオンキャパシタ用)として用いることが好ましく、リチウム電池用として用いることが更に好ましく、リチウム二次電池用として用いることが最も適している。

0088

〔第1の電気化学素子(リチウム電池)〕
本発明のリチウム電池は、リチウム一次電池及びリチウム二次電池を総称する。また、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。本発明のリチウム電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルトマンガン、及びニッケルから1種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiCo1-xNixO2(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi1/2Mn3/2O4、LiCo0.98Mg0.02O2等が挙げられる。また、LiCoO2とLiMn2O4、LiCoO2とLiNiO2、LiMn2O4とLiNiO2のように併用してもよい。

0089

また、過充電時の安全性やサイクル特性を向上したり、4.3V以上の充電電位での使用を可能にするために、リチウム複合金属酸化物の一部は他元素で置換してもよい。例えば、コバルト、マンガン、ニッケルの一部をSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cu、Bi、Mo、La等の少なくとも1種以上の元素で置換したり、Oの一部をSやFで置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物を被覆することもできる。
これらの中では、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2のような満充電状態における正極の充電電位がLi基準で4.3V以上で使用可能なリチウム複合金属酸化物が好ましく、LiCo1-xMxO2(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cuから表される少なくとも1種類以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi1/2Mn3/2O4、Li2MnO3とLiMO2(Mは、Co、Ni、Mn、Fe等の遷移金属)との固溶体のような4.4V以上で使用可能なリチウム複合金属酸化物がより好ましい。高充電電圧のリチウム複合金属酸化物を使用すると、充電時における電解液との反応により特に広い温度範囲での電気化学特性が低下しやすいが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電気化学特性の低下を抑制することができる。
特にMnを含む正極の場合に正極からのMnイオン溶出に伴い電池の抵抗が増加しやすい傾向にあるため、広い温度範囲での電気化学特性が低下しやすい傾向にあるが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電気化学特性の低下を抑制することができるので好ましい。

0090

更に、正極活物質として、リチウム含有オリビン型リン酸塩を用いることもできる。特に鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種以上含むリチウム含有オリビン型リン酸塩が好ましい。その具体例としては、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4等が挙げられる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W及びZr等から選ばれる1種以上の元素で置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePO4又はLiMnPO4が好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。

0091

また、リチウム一次電池用正極としては、CuO、Cu2O、Ag2O、Ag2CrO4、CuS、CuSO4、TiO2、TiS2、SiO2、SnO、V2O5、V6O12、VOx、Nb2O5、Bi2O3、Bi2Pb2O5,Sb2O3、CrO3、Cr2O3、MoO3、WO3、SeO2、MnO2、Mn2O3、Fe2O3、FeO、Fe3O4、Ni2O3、NiO、CoO3、CoO等の、一種もしくは二種以上の金属元素の酸化物あるいはカルコゲン化合物、SO2、SOCl2等の硫黄化合物、一般式(CFx)nで表されるフッ化炭素(フッ化黒鉛)等が挙げられる。中でも、MnO2、V2O5、フッ化黒鉛等が好ましい。

0092

正極の導電剤は、化学変化を起こさない電子伝導材料であれば特に制限はない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイトアセチレンブラックケッチェンブラックチャンネルブラックファーネスブラックランプブラックサーマルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。また、グラファイトとカーボンブラックを適宜混合して用いてもよい。導電剤の正極合剤への添加量は、1〜10質量%が好ましく、特に2〜5質量%が好ましい。

0093

正極は、前記の正極活物質をアセチレンブラック、カーボンブラック等の導電剤、及びポリテトラフルオロエチレンPTFE)、ポリフッ化ビニリデンPVDF)、スチレンブタジエン共重合体SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロースCMC)、エチレンプロピレンジエンターポリマー等の結着剤と混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン等の高沸点溶剤を加えて混練して正極合剤とした後、この正極合剤を集電体アルミニウム箔ステンレス製ラス板等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下で加熱処理することにより作製することができる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm3以上であり、電池の容量を更に高めるため、好ましくは2g/cm3以上であり、より好ましくは、3g/cm3以上であり、更に好ましくは、3.6g/cm3以上である。なお、上限としては、4g/cm3以下が好ましい。

0094

リチウム二次電池用負極活物質としては、リチウム金属やリチウム合金、及びリチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料〔易黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛等〕、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物等を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合或いは結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、例えば鱗片状天然黒鉛粒子圧縮力摩擦力剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、球形化処理を施した黒鉛粒子を用いることにより、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm3以上の密度に加圧成形したときの負極シートX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると一段と広い温度範囲での電気化学特性が向上するので好ましく、0.05以上となることがより好ましく、0.1以上となることが更に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、上限は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、広い温度範囲での電気化学特性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、TEMにより確認することができる。
高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応し、界面抵抗の増加によって低温もしくは高温における電気化学特性を低下させる傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では広い温度範囲での電気化学特性が良好となる。

0095

また、負極活物質としてのリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Ba等の金属元素を少なくとも1種含有する化合物が挙げられる。これらの金属化合物は単体、合金、酸化物、窒化物硫化物硼化物、リチウムとの合金等、何れの形態で用いてもよいが、単体、合金、酸化物、リチウムとの合金の何れかが高容量化できるので好ましい。中でも、Si、Ge及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが好ましく、Si及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含むものが電池を高容量化できるので特に好ましい。

0096

負極は、上記の正極の作製と同様な導電剤、結着剤、高沸点溶剤を用いて混練して負極合剤とした後、この負極合剤を集電体の銅箔等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下で加熱処理することにより作製することができる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm3以上であり、電池の容量を更に高めるため、好ましくは1.5g/cm3以上であり、特に好ましくは1.7g/cm3以上である。なお、上限としては、2g/cm3以下が好ましい。

0097

また、リチウム一次電池用の負極活物質としては、リチウム金属又はリチウム合金が挙げられる。

0098

リチウム電池の構造には特に限定はなく、単層又は複層セパレータを有するコイン型電池円筒型電池角型電池ラミネート電池等を適用できる。
電池用セパレータのとしては、特に制限はされないが、ポリプロピレンポリエチレン等のポリオレフィンの単層又は積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。

0099

本発明におけるリチウム二次電池は、充電終止電圧が4.2V以上、特に4.3V以上の場合にも広い温度範囲での電気化学特性に優れ、更に、4.4V以上においても特性は良好である。放電終止電圧は、通常2.8V以上、更には2.5V以上とすることができるが、本願発明におけるリチウム二次電池は、2.0V以上とすることができる。電流値については特に限定されないが、通常0.1〜30Cの範囲で使用される。また、本発明におけるリチウム電池は、−40〜100℃、好ましくは−10〜80℃で充放電することができる。
本発明においては、リチウム電池の内圧上昇対策として、電池蓋安全弁を設けたり、電池缶ガスケット等の部材に切り込みを入れる方法も採用することができる。また、過充電防止の安全対策として、電池の内圧感知して電流遮断する電流遮断機構を電池蓋に設けることができる。

0100

〔第2の電気化学素子(電気二重層キャパシタ)〕
電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギー貯蔵する電気化学素子である。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この電気化学素子に用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。

0101

〔第3の電気化学素子〕
電極のドープ/脱ドープ反応を利用してエネルギーを貯蔵する電気化学素子である。この電気化学素子に用いられる電極活物質として、酸化ルテニウム酸化イリジウム酸化タングステン酸化モリブデン酸化銅等の金属酸化物や、ポリアセンポリチオフェン誘導体等のπ共役高分子が挙げられる。これらの電極活物質を用いたキャパシタは、電極のドープ/脱ドープ反応にともなうエネルギー貯蔵が可能である。

0102

〔第4の電気化学素子(リチウムイオンキャパシタ)〕
負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する電気化学素子である。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPF6等のリチウム塩が含まれる。

0103

以下、本発明の有機スズ化合物用いた電解液の実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。

0104

実施例I-1〜I-16、比較例I-1〜I-3
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2;94質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。また、コア材よりも低結晶質の炭素で被覆した人造黒鉛(d002=0.335nm、TEMによりコア材よりも低結晶性の炭素が被覆していることが確認されたもの、負極活物質)95質量%を、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.5g/cm3であった。また、この電極シートを用いてX線回折測定した結果、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比〔I(110)/I(004)〕は0.1であった。そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1に記載の組成の非水電解液を加えて、2032型コイン電池を作製した。

0105

低温サイクル特性の評価〕
上記の方法で作製したコイン電池を用いて25℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧終止電圧4.2Vまで3時間充電し、次に1Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電することでプレサイクルを行った。次に、0℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で終止電圧4.2Vまで3時間充電し、次に1Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電した。これを50サイクルに達するまで繰り返した。そして、以下の式により0℃での50サイクル後の放電容量維持率を求めた。
0℃50サイクル後の放電容量維持率(%)=(0℃50サイクル後の放電容量/0℃1サイクル後の放電容量)×100
電池の作製条件及び電池特性を表1に示す。
高温充電保存後の低温特性の評価〕
初期の放電容量
上記の方法で作製したコイン電池を用いて、25℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.2Vまで3時間充電し、0℃に恒温槽の温度を下げ、1Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電して、初期の0℃の放電容量を求めた。
高温充電保存試験
次に、このコイン電池を85℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で終止電圧4.2Vまで3時間充電し、4.2Vに保持した状態で3日間保存を行った。その後、25℃の恒温槽に入れ、一旦1Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電した。
高温充電保存後の放電容量
更にその後、初期の放電容量の測定と同様にして、高温充電保存後の0℃の放電容量を求めた。
高温充電保存後の低温特性
高温充電保存後の低温特性を下記の0℃放電容量の維持率より求めた。
高温充電保存後の0℃放電容量維持率(%)=(高温充電保存後の0℃の放電容量/初期の0℃の放電容量)×100
また、電池の作製条件及び電池特性を表1に示す。

0106

0107

実施例I−17〜I−18、比較例I−4
実施例I-2、比較例I-1で用いた負極活物質に変えて、ケイ素(単体)(負極活物質)を用いて、負極シートを作製した。ケイ素(単体);80質量%、アセチレンブラック(導電剤);15質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、負極シートを作製したことの他は、実施例I−2、比較例I−1と同様にコイン電池を作製し、電池評価を行った。結果を表2に示す。

0108

0109

実施例I-19〜I−20、比較例I−5
実施例I−2、比較例I−1で用いた正極活物質に変えて、非晶質炭素で被覆されたLiFePO4(正極活物質)を用いて、正極シートを作製した。非晶質炭素で被覆されたLiFePO4;90質量%、アセチレンブラック(導電剤);5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、正極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を3.6V、放電終止電圧を2.0Vとしたことの他は、実施例I−2、比較例I−1と同様にコイン電池を作製し、電池評価を行った。結果を表3に示す。

0110

0111

上記実施例I−1〜I−16のリチウム二次電池は何れも、本願発明の非水溶媒の構成を有する非水電解液において有機スズ化合物を添加しない場合の比較例I−1、特許文献1の実施例3に記載されている有機スズ化合物であるジブチルスズ(1−アリロキシメチル)エチレングリコラートを添加した非水電解液である比較例I-2、特許文献2の実施例1等に使用されている非水電解液(ただし有機スズ化合物を除く、溶媒組成;EC/VC/DEC=29/1/70)にテトラブチルスズを添加した比較例I−3のリチウム二次電池に比べ、広い温度範囲での電気化学特性が顕著に向上している。以上より、本発明の効果は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、該非水溶媒が、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含み、該鎖状カーボネートが少なくとも対称鎖状カーボネートと非対称鎖状カーボネートの両方を含み、該対称鎖状カーボネートの含有量が非対称鎖状カーボネートより多く、更に、非水電解液中に本願発明の特定の有機スズ化合物を0.001〜1質量%含有させた場合に特有の効果であることが判明した。
また、実施例I−17〜I−18と比較例I−4の対比、実施例I−19〜I−20と比較例I−5の対比から、負極にSiを用いた場合や、正極にリチウム含有オリビン型リン酸鉄塩を用いた場合にも同様な効果がみられる。従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことは明らかである。
更に、本発明の非水電解液は、リチウム一次電池の広い温度範囲での放電特性を改善する効果も有する。

0112

実施例II−1〜II−12、比較例II−1〜II−2
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiCoO2;94質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。また、人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質)95質量%を、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.5g/cm3であった。また、この電極シートを用いてX線回折測定した結果、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比〔I(110)/I(004)〕は0.1であった。そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表4に記載の組成の非水電解液を加えて、2032型コイン電池を作製した。
低温サイクル特性の評価、高温充電保存後の低温特性の評価(初期の放電容量、高温充電保存試験、高温充電保存後の放電容量、高温充電保存後の低温特性)は、前記と同じ方法で行った。
電池の作製条件及び電池特性を表4に示す。

0113

0114

実施例II−13〜II−14、比較例II−3
実施例II−2、実施例II−9、比較例II−1で用いた負極活物質に変えて、ケイ素(単体)(負極活物質)を用いて、負極シートを作製した。ケイ素(単体);80質量%、アセチレンブラック(導電剤);15質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、負極シートを作製したことの他は、実施例II−2、実施例II−9、比較例II−1と同様にコイン電池を作製し、電池評価を行った。結果を表5に示す。

0115

0116

実施例II−15〜II−16、比較例II−4
実施例II−2、実施例II−9、比較例II−1で用いた正極活物質に変えて、非晶質炭素で被覆されたLiFePO4(正極活物質)を用いて、正極シートを作製した。非晶質炭素で被覆されたLiFePO4;90質量%、アセチレンブラック(導電剤);5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、正極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を3.6V、放電終止電圧を2.0Vとしたことの他は、実施例II−2、実施例II−9、比較例II−1と同様にコイン電池を作製し、電池評価を行った。結果を表6に示す。

0117

0118

上記実施例II−1〜II−12のリチウム二次電池は何れも、本願発明の非水電解液において有機スズ化合物を添加しない場合の比較例II−1、特許文献1の実施例3に記載されている有機スズ化合物であるジブチルスズ(1−アリロキシメチル)エチレングリコラートを添加した非水電解液である比較例II−2のリチウム二次電池に比べ、広い温度範囲での電気化学特性が顕著に向上している。以上より、本発明の効果は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、本願発明の特定の有機スズ化合物を0.001〜5質量%含有させた場合に特有の効果であることが判明した。
また、実施例II−13〜II−14と比較例II−3の対比、実施例II−15〜II−16と比較例II−4の対比から、負極にケイ素(単体)を用いた場合や、正極にリチウム含有オリビン型リン酸鉄塩を用いた場合にも同様な効果がみられる。従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことは明らかである。
更に、本発明の非水電解液は、リチウム一次電池の広い温度範囲での放電特性を改善する効果も有する。

0119

実施例III−1〜III−25、比較例III−1〜III−2
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiCoO2;94質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。また、人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質)95質量%を、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.5g/cm3であった。また、この電極シートを用いてX線回折測定した結果、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比〔I(110)/I(004)〕は0.1であった。そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表7に記載の組成の非水電解液を加えて、2032型コイン電池を作製した。
低温サイクル特性の評価、高温充電保存後の低温特性の評価(初期の放電容量、高温充電保存試験、高温充電保存後の放電容量、高温充電保存後の低温特性)は、前記と同じ方法で行った。
電池の作製条件及び電池特性を表7及び表8に示す。

0120

0121

0122

実施例III−26、比較例III−3
実施例III−2、比較例III−1で用いた負極活物質に変えて、ケイ素(単体)(負極活物質)を用いて、負極シートを作製した。ケイ素(単体);80質量%、アセチレンブラック(導電剤);15質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、負極シートを作製したことの他は、実施例III−2、比較例III−1と同様にコイン電池を作製し、電池評価を行った。結果を表9に示す。

0123

0124

実施例III−27、比較例III−4
実施例III−2、比較例III−1で用いた正極活物質に変えて、非晶質炭素で被覆されたLiFePO4(正極活物質)を用いて、正極シートを作製した。非晶質炭素で被覆されたLiFePO4;90質量%、アセチレンブラック(導電剤);5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、正極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を3.6V、放電終止電圧を2.0Vとしたことの他は、実施例III−2、実施例III−9、比較例III−1と同様にコイン電池を作製し、電池評価を行った。結果を表10に示す。

0125

実施例

0126

上記実施例III−1〜III−14のリチウム二次電池は何れも、本願発明の非水電解液において有機スズ化合物を添加しない場合の比較例III−1のリチウム二次電池に比べ広い温度範囲での電気化学特性が顕著に向上している。
また、上記実施例III−15〜III−25のリチウム二次電池は何れも、特許文献1の実施例1−13に記載されている有機スズ化合物であるジブチルスズビス(アセチルアセテート)のみを添加した非水電解液である比較例III−2のリチウム二次電池に比べ、広い温度範囲での電気化学特性が顕著に向上している。以上より、本発明の効果は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、環状カーボネートと鎖状エステルを含み、環状カーボネートが少なくともフッ素原子又は炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含み、更に、本願発明の特定の有機スズ化合物を0.001〜5質量%含有させた場合に特有の効果であることが判明した。
また、実施例III−26と比較例III−3の対比、実施例III−27と比較例III−4の対比から、負極にケイ素(単体)を用いた場合や、正極にリチウム含有オリビン型リン酸鉄塩を用いた場合にも同様な効果がみられる。従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことは明らかである。
更に、本発明の非水電解液は、リチウム一次電池の広い温度範囲での放電特性を改善する効果も有する。

0127

本発明の非水電解液を使用すれば、広い温度範囲での電気化学特性に優れた電気化学素子を得ることができる。特にハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、バッテリー電気自動車等に搭載される電気化学素子用の非水電解液として使用される場合、広い温度範囲での電気化学特性が低下しにくい電気化学素子を得ることができる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ