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技術 超音波撮像装置

出願人 株式会社日立ヘルスケア・マニュファクチャリング
発明者 東隆
出願日 2011年7月15日 (9年7ヶ月経過) 出願番号 2012-524607
公開日 2013年9月9日 (7年5ヶ月経過) 公開番号 WO2012-008573
状態 特許登録済
技術分野 超音波診断装置 音波、超音波を用いた位置、速度等の測定
主要キーワード 計算対象データ フィルタ空間 低域濾過 符号化パルス 受信データ毎 生体損傷 変分法 復号波形
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重要な関連分野

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図面 (14)

課題・解決手段

超音波撮像装置信号対雑音比を改善する。A/D変換後に、ch間でのフィルタリング、もしくは、ch間と時間軸の二次元のフィルタリングを行うことにより、空間分解能の低下を極力抑えた信号対雑音比の改善を図る。

概要

背景

超音波診断装置は、リアルタイム性や、ポータブルであることなどの特徴から医療用断層像撮像装置として広く用いられている。特に乳腺甲状腺などの体表組織や、肝臓腎臓などの消化器心臓脈管などの循環器など、軟部組織腫瘍などの病変を検出する手法として医療画像診断装置として必要不可欠なものとなっている。超音波診断装置における基本的な性能指標である、空間分解能撮像範囲トレードオフの関係にある。すなわち、周波数を上げることで、波長が短くなるので、もし比帯域幅(=中心周波数/帯域幅)が一定であるならば、空間分解能が向上する。一方、生体中の超音波伝搬に伴う減衰率は、周波数が大きくなるに伴い増大する。つまり、周波数が高いほど、超音波探触子から遠いところの信号強度減衰が著しくなる。生体中で減衰した超音波エネルギーは熱に変わるので、過度超音波音圧を入れることは生体に損傷を与えるリスクをもたらす可能性がある。また、瞬時音圧が大きくなると、キャビテーションのリスクを増大する可能性がある。このような生体損傷のリスクを極力抑えるために、生体に送波出来る超音波の音圧エネルギーに制限があるため、深部からのエコーは生体減衰の結果低下してしまった場合に、これを回復する方法はない。通常の診断装置においては、エコー信号を受信後にプリアンプ増幅したあとA/D変換を行うので、A/D変換の有限のbit幅のため必ず、有限のダイナミックレンジを持っている。さらに、通常はA/D変換後のランダム電気ノイズの影響で、A/D変換のダイナミックレンジをフルには使えないのが実情である。このため、生体深部からのエコーが生体減衰によって低下してしまった場合は、信号対雑音比が低下し、画像の感度解像度が低下してしまう。これを補うために、周波数を低くすると空間分解能が低下してしまうという課題があった。このような信号対雑音比の低下を補う方法として、特許文献1に示すような、A/D変換、遅延の後に周波数空間上のバンドパスフィルタを挿入して、信号対雑音比を改善する方法がある。

概要

超音波撮像装置の信号対雑音比を改善する。A/D変換後に、ch間でのフィルタリング、もしくは、ch間と時間軸の二次元のフィルタリングを行うことにより、空間分解能の低下を極力抑えた信号対雑音比の改善をる。

目的

本発明では、別の手段によって、超音波診断装置の空間分解能と撮像視野両立を図ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

超音波振動子と、前記超音波振動子を介して被検体に超音波を送信する送信部と、前記超音波振動子が前記被検体から受信した受波信号整相する受信部と、前記受信部から出力されたる受波信号から前記被検体の断層像を表示する表示部と、前記送信部と前記受信部とを制御する制御部とを有する超音波撮像装置であって、前記受信部は電気ノイズを選択的に抑圧するチャネルフィルタと、ビームを選択的に受信する受信ビームフォーマと、包絡線検波部を有し、前記チャネル間フィルタは被検体からのエコー信号に含まれる信号とノイズを、チャネル間の連続性により分離し、上記ノイズを除去するフィルタリング処理を行うことを特徴とする超音波撮像装置。

請求項2

請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記チャネル間フィルタはA/D変換後であり、チャネル間の加算処理前であることを特徴とする超音波撮像装置。

請求項3

請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記チャネル間フィルタはメディアンフィルタであることを特徴とする超音波撮像装置。

請求項4

請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記チャネル間フィルタはチャネル間と時間軸の二次元メディアンフィルタであることを特徴とする超音波撮像装置。

請求項5

請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記チャネル間フィルタは、前記エコーデータの各点の周辺データ点範囲を定める手段と、前記各データの信号強度と前記データ点範囲の各データ点の強度差から重み関数を決定するための関数を求める手段とを有し、前記関数は0の時に極大点をもち、負の無限大から正の無限大の範囲での前記関数の絶対値の積分値有限であり、前記関数の微分から、前記データ点範囲の各データに対する前記重み関数を決定して、前記重み関数と前記データ点範囲の各データの強度との積和を前記データの強度に加算した値を、前記フィルタリング処理の結果の信号強度とすることを特徴とする超音波撮像装置。

請求項6

請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記チャネル間フィルタのフィルタサイズが、前記エコーデータの受信時間に応じて変化するように構成されたことを特徴とする超音波撮像装置。

請求項7

請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記チャネル間フィルタで分離して除去するノイズは電気ノイズとともに焦点およびその近傍にある音源以外からの音響ノイズであることを特徴とする超音波撮像装置。

請求項8

請求項1に記載の超音波撮像装置において、前記チャネル間フィルタはA/D変換と整相の後であり、チャネル間の加算処理前であることを特徴とする超音波撮像装置。

請求項9

請求項1に記載の超音波撮像装置において、特にドップラ血流測定を対象とする装置であって、前記チャネル間フィルタは超音波送受信繰り返しの時間軸と、chの並んだ軸と、エコーデータの時間軸の3つの次元のうち少なくとも二次元以上のフィルタであることを特徴とする超音波撮像装置。

請求項10

請求項2に記載の超音波撮像装置において、加算処理に用いる遅延データCapon法に基づいて計算されることを特徴とする超音波撮像装置

請求項11

請求項2に記載の超音波撮像装置において、送波パルスを時間軸上で伸長する波形符号化回路を備え、送波波形の符号化送信を行い、前記送波波形を受波後、前記受波波形パルス圧縮を行う複合回路を備え、前記チャネル間フィルタは、前記A/D変換の後、前記チャネル間の加算の前に行うことを特徴とする超音波撮像装置。

技術分野

0001

本発明は、医療用超音波撮像装置、特に信号対雑音比の改善による高画質化技術化に関する。

背景技術

0002

超音波診断装置は、リアルタイム性や、ポータブルであることなどの特徴から医療用断層像撮像装置として広く用いられている。特に乳腺甲状腺などの体表組織や、肝臓腎臓などの消化器心臓脈管などの循環器など、軟部組織腫瘍などの病変を検出する手法として医療画像診断装置として必要不可欠なものとなっている。超音波診断装置における基本的な性能指標である、空間分解能撮像範囲トレードオフの関係にある。すなわち、周波数を上げることで、波長が短くなるので、もし比帯域幅(=中心周波数/帯域幅)が一定であるならば、空間分解能が向上する。一方、生体中の超音波伝搬に伴う減衰率は、周波数が大きくなるに伴い増大する。つまり、周波数が高いほど、超音波探触子から遠いところの信号強度減衰が著しくなる。生体中で減衰した超音波エネルギーは熱に変わるので、過度超音波音圧を入れることは生体に損傷を与えるリスクをもたらす可能性がある。また、瞬時音圧が大きくなると、キャビテーションのリスクを増大する可能性がある。このような生体損傷のリスクを極力抑えるために、生体に送波出来る超音波の音圧エネルギーに制限があるため、深部からのエコーは生体減衰の結果低下してしまった場合に、これを回復する方法はない。通常の診断装置においては、エコー信号を受信後にプリアンプ増幅したあとA/D変換を行うので、A/D変換の有限のbit幅のため必ず、有限のダイナミックレンジを持っている。さらに、通常はA/D変換後のランダム電気ノイズの影響で、A/D変換のダイナミックレンジをフルには使えないのが実情である。このため、生体深部からのエコーが生体減衰によって低下してしまった場合は、信号対雑音比が低下し、画像の感度解像度が低下してしまう。これを補うために、周波数を低くすると空間分解能が低下してしまうという課題があった。このような信号対雑音比の低下を補う方法として、特許文献1に示すような、A/D変換、遅延の後に周波数空間上のバンドパスフィルタを挿入して、信号対雑音比を改善する方法がある。

先行技術

0003

特開平11-244286号公報

発明が解決しようとする課題

0004

周波数軸上のバンドパスフィルタは、空間分解能と撮像視野ペネトレーション)の両立に寄与する一つの方法である。しかし、この手法によって、信号対雑音比を大きく改善するには、バンドパスフィルタの帯域幅を狭くする必要があり、空間分解能の低下につながる可能性がある。これは、結局、空間分解能と撮像視野のトレードオフから逃れられていないことになる。本発明では、別の手段によって、超音波診断装置の空間分解能と撮像視野の両立を図ることを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0005

上記の目的を達成するため、本発明においては、超音波振動子と、超音波振動子を介して被検体に超音波を送信する送信部と、超音波振動子が被検体から受信した受波信号整相する受信部と、受信部から出力されたる受波信号から被検体の断層像を表示する表示部と、送信部と受信部とを制御する制御部とを有する超音波診断装置であって、受信部は、電気ノイズを選択的に抑圧するチャネルフィルタと、ビームを選択的に受信する受信ビームフォーマと、包絡線検波部を有し、チャネル間フィルタは被検体からのエコー信号に含まれる信号とノイズを、チャネル間の連続性により分離し、ノイズを除去するフィルタリング処理を行う構成の超音波診断装置を提供する。
すなわち、本発明では、A/D変換後に、チャネル間でのフィルタリング、もしくは、チャネル間と時間軸の二次元のフィルタリングを行うことにより、空間分解能の低下を極力抑えた信号対雑音比の改善を図る。

発明の効果

0006

本発明によると、超音波診断装置の基本性能の二つである、空間分解能と信号対雑音比の両立をはかり、この結果として、断層像の画質の改善を実現する。

図面の簡単な説明

0007

本発明の実施の形態の超音波撮像装置の装置構成を示すブロック図。
従来の実施の形態の超音波撮像装置の装置構成を示すブロック図。
本発明の概念の説明図。
電気ノイズの有無による信号と雑音強度比、及び従来手法を適用した場合の信号と雑音の強度比を計算した結果。
本発明の手法により、信号と雑音の強度比を計算した結果。
本発明を検討するためのシミュレーションモデルの説明図。
電気ノイズと音響信号の特性に関する説明図。
本発明の実施の形態の超音波撮像装置の装置構成の一部分を示すブロック図
本発明のフィルタリングアルゴリズムの説明図
本発明の信号処理アルゴリズムの説明図
本発明をドップラ血流画像に適用した場合の装置構成図
ドップラ信号処理の概念説明図
ドップラ信号処理において、本発明が対象とするノイズの説明図

0008

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。

0009

実施例1は、超音波診断装置に係り、超音波振動子1と、超音波振動子を介して被検体に超音波を送信する送信部と、超音波振動子が被検体から受信した受波信号を整相する受信部と、受信部から出力されたる受波信号から被検体の断層像を表示する表示部14と、送信部と受信部とを制御する制御部6とを有する超音波診断装置であって、受信部は、電気ノイズを選択的に抑圧するチャネル間フィルタ9と、ビームを選択的に受信する受信ビームフォーマ10と、包絡線検波部11を含み、チャネル間フィルタ9は被検体からのエコー信号に含まれる信号とノイズを、チャネル間の連続性により分離し、ノイズを除去するフィルタリング処理を行う超音波診断装置の実施例である。

0010

まず図1を用いて、本実施例の超音波診断装置における、画像化のための信号処理の流れを説明する。ここには図示しない被検体の表面に設置された超音波振動子1に対して、送受切替スイッチ(SW)2を介して、制御部6の制御のもと送信ビームフォーマ(BF)4から送波アンプ3を介して、送波メモリ5に記憶された波形送波が電気パルスとして送られる。この送波アンプ3、送波ビームフォーマ4、波形メモリ5で送信部が構成される。このとき送信ビームフォーマ4は、所望の走査線上に超音波ビームが進むように、振動子1の各チャネル(以下、chと略す場合がある)間の遅延時間が適した状態になるように制御している。この送信ビームフォーマ4から電気信号を受けて、超音波振動子1において電気信号は超音波信号に変換され、被検体内超音波パルスが送波される。

0011

被検体内において、散乱された超音波パルスは一部がエコー信号として再び超音波振動子1によって、受信され、超音波信号から電気信号に変換される。この受信された信号は送受切替スイッチ2を介して、受信部に取り込まれる。送受切替スイッチ2からの受信電気信号が入力されるTGCアンプ7から、バンドパスフィルタ12に至る回路ブロックで構成される受信部では、まずtime gain control(TGC)アンプ7によって、エコーの伝搬距離に応じた増幅をおこない、アナログデジタル(A/D)変換素子8によって、アナログ信号からデジタル信号に変換され、本発明の特徴であるチャネル間フィルタ9によって信号対雑音比の改善を行い、受波ビームフォーマ(BF)10によって、所望の走査線上の所望の深さからのエコー信号が選択的に増強された、ある走査線上のデータとして、整相加算される。この整相加算されたデータが包絡線検波部11によって、包絡線信号に変換、バンドパスフィルタ12を介してスキャンコンバータ13に送られ、スキャンコンバージョンが行われる。このスキャンコンバージョン後のデータが表示部14に送られ、超音波断層像として、表示される。本実施例の超音波診断装置の受信部は、電気ノイズを選択的に抑圧するチャネル間フィルタ9と、ビームを選択的に受信する受信ビームフォーマ10と、包絡線検波部11を少なくとも含む。参考のために、従来の装置構成の例を図2に示す。A/D変換素子8の後にチャネル間フィルタ9が無いこと以外は、本発明の装置構成と同じである。

0012

次に本発明の概念を説明する。本発明で分離して除去しようとする対象は、振動子1で電気信号に変換したあと、受波ビームフォーマ10によって整相加算されるまでの間に混入する電気ノイズである。図7に、電気ノイズと周波数毎の音響的な信号特性の概略図を示す。両方の図とも縦軸は信号のノイズの強さ(信号に関しては各成分毎)を表し、(a)の横軸は深さ(信号の伝搬距離)、(b)の横軸は周波数を表す。ノイズに関しては、深さ(エコーの受信時間に対応)にも、周波数にも依存せずにおおよそ平坦となっている。一方、信号強度は深さに応じて減少し、周波数が高いほどその傾きは大きくなる。周波数が低いほど減衰が小さいが、空間分解能も悪くなるので、撮像視野の最も深いところで、必要な信号対雑音比をとれる周波数がその撮像条件における下限周波数となり、これは測定部位や疾患によって異なる。またユーザの好みによっても調整されることがある。高い周波数を用いると高い空間分解能を実現できるので、上限周波数は撮像視野の最も浅い部分で必要な信号対雑音比をとれる周波数において最も高い周波数が用いられる。上限周波数も測定部位や疾患によって異なり、ユーザの好みによっても調整されることがある。信号は上記のような周波数依存減衰の影響を受けるので、(b)に示すように、横軸を周波数として、伝搬距離ごとに、深い、中くらい、浅い部位と並べてグラフを書くと、深くなるに従って、中心周波数が低周波側にシフトする。一方で電気ノイズは通常は白色雑音であるので、周波数に対する依存性は小さい。

0013

図3に示すように、体内散乱体から戻ってきたエコー信号は、隣接する振動子に対しては、距離に応じた時間差で電気信号に変換される。すなわち、エコー信号に起因する信号はch間で一定の連続性がある。一方、振動子で電気信号に変換されたあとに混入する電気ノイズは、ホワイトノイズの場合、ch間でランダムに入るので、ch間に連続性が無い。本発明では、この信号とノイズのch方向の連続性の違いに着目し、エコー信号に含まれる信号とノイズを、ch間の連続性により分離し、ノイズを除去するものである。図3の一番右に、ある時間でのch方向の信号強度分布を模式的に示す。ここで、音響的な信号は連続性があり、電気ノイズは連続性の無い信号として現れる。そこで、整相加算前にch間でフィルタリングを行い、信号から電気ノイズの分離、除去を行う。通常の診断装置で行っているような、ビームフォーマの出力に対する処理では、整相加算処理によって、本発明で着目する連続性の違いを調べることが原理的に不可能である。

0014

次に、実際に計算機シミュレーションによって、定量的に発明の効果は見積もった。計算に用いたパラメータは、素子数(ch数):64、中心周波数:7.5MHz、素子ピッチ: 0.2mm。送波波形サイクル数:2、焦点距離:50mm、シミュレーションサンプリング時間:周期の32分の1、音速:1540m/s、散乱体の間隔:波長の16分の1、散乱体を置く空間:1x1mm。この条件で、ランダム散乱体からのエコー信号を各素子で受け、振動子の伝達関数コンボリューションを行い、時間軸上の波形に変換。ここでは、散乱体空間は、送波ビームの焦域内にあるものとして扱った。時間軸上の波形にした後に、ランダムに電気ノイズを加え、素子間での整相処理を行い、本発明のチャネル間フィルタリングを行う。フィルタリング後に、ch間の加算処理を行った。散乱体空間は半分に散乱体が存在し、半分が存在しない領域を作った。これによって、信号対雑音比を評価する。なお信号が無い領域に関しては、A/D変換のbit幅を16bitとして、有限のダイナミックレンジであることを模擬した。図6に実際のシミュレーションでの散乱体分布(a)、伝搬距離に応じた散乱体位置補正(b)、受波エコー(c)、ノイズ混入後(d)の信号分布を表示した。この(d)に示す信号分布に対して、フィルタを加え、整相加算を行い、信号対雑音比を評価した。

0015

図4の(a)はノイズを混入しなかった場合の整相加算後の時間軸上エコーデータである。サンプリングポイントが60以下の領域は信号が無い部分、70以上の領域は信号がある部分である。信号強度の平均値から雑音強度の平均値を引くことで、信号対雑音比を評価した。(b)はノイズがある場合で、この場合の信号対雑音比は28dBであった。(c)は従来手法である、時間軸上の低域濾過フィルタをchごとに適用した結果であり、信号対雑音比は27dB、つまりほとんど改善しなかった。次に図5に本発明を適用した結果を示す。(a)は図4の(b)と同じで、フィルタを用いなかった場合である。(b)と(d)が本発明の結果であり、(c)は対象として時間軸方向にノイズの分離除去を行った結果である。いずれもノイズ除去は[3x1]のメディアンフィルタを用いた。メディアンフィルタとは、入力値の中で中央値を出力するフィルタである。周囲のデータに対して特異的な値をとるノイズを除去するのに有効なフィルタである。(b)のch間でメディアンフィルタを行った結果、信号対雑音比は56dB、(c)の時間軸上のメディアンフィルタを行った結果、信号対雑音比は44dB、(d)の2Dのメディアンフィルタを行った結果、信号対雑音比は82dBとなった。信号対雑音比の改善率で比べると、本発明の(b)が28dB(d)が54dB、一方、時間軸上でのメディアンフィルタは16dBであった。このように、本発明による信号対雑音比の改善率は最大で54dBであり、従来手法から類推できる方法(c)と比べても38dB、つまりほぼ100倍の雑音抑圧効果をもつ。仮に中心周波数10MHz、生体の周波数依存減衰が0.6dB/MHz/cmの場合で考えると、38dBはペネトレーションが6cm改善する効果を持つ。

0016

ここまで、ch間のフィルタとして、メディアンフィルタの例を説明してきた。本発明の概念は、ch間の連続性のある信号を通して、連続性のない信号を分離して除去する方法である。その観点では、メディアンフィルタ以外にも、空間周波数に関するバンドパスフィルタなども活用することが可能である。空間方法のローパスフィルタに関しては、元々整相加算処理がローパスフィルタとしても機能するので、差異が生じない。

0017

一方、信号の特性に適応的に機能するフィルタも使うことが出来る。例えば、以下図9と図10に説明する重み可変適応フィルタを用いることも出来る。適応フィルタに入力されるデータの中で強度を計算する点の強度をI0と表わし、この強度の出力を計算するための、着目領域(重みを計算する領域)のサイズをimax掛けるjmaxとする。このサイズが大きいほどフィルタの効果は大きいが、その分演算速度は遅くなる。以下、着目領域内の座標i,jにおける信号強度をIijとする。計算を行なうデータの位置と、前記iとjによって定まる範囲のデータが設定され、後述の重み関数に基づいて重みwijの計算が行なわれる。これの重み計算設定範囲内全点に対して行われると、式1によってフィルタ出力I0’が求まり、計算対象データをシフトして、このデータ内の全点に関して計算が行なわれたら、フィルタ処理が終了する。

0018

I0’=Σwij×Iij/ΣIij 式1
ここで、Σはiとjをそれぞれ1からimax、jmaxの範囲で加算する。

0019

次に重み関数を説明する。I0−Iijの差が大きくなるほど重みが単調に小さくなる関数として、ガウシアン関数もしくは偶数次の多項式などを用いることができる。この重み関数を使って式1に示す演算処理を行うことで、空間分解能を損ねることなく、ノイズ成分のみを抑圧することが出来る。前記の例では重み可変の適応フィルタの例で説明したが、他にモルフォロジカルフィルタ(形状重みをつけた最大値もしくは最小値を計算するフィルタ)や、スパイク除去フィルタリップル除去フィルタであれば、同じような効果を期待出来る。

0020

また、本発明を超音波診断装置に適用する場合、エコー信号源の深さに応じてチャネル間フィルタの形状(方位方向のメディアンフィルタのサイズや、方位方向の空間周波数のカットオフ周波数)をダイナミックに変えることは有効である。なぜなら、通常超音波診断装置において、ごく近距離を除けば、口径幅は一定であるので、深くなればなるほど、焦点距離と口径幅の比が大きくなり、方位方向のビーム幅が広がる。また、生体依存減衰によって、周波数の高い成分から、けずれていくため、深部からのエコーほど、低周波成分の割合が大きくなることも、ビーム幅が広がることに寄与する。受波ビームを検討しているので、ダイナミックフォーカスにより各サンプリング点においてフォーカスがあっていると考えると、例えば口径幅がW、焦点距離L、周波数f、生体の音速vとすると、連続波の場合、回折角θは式2で近似出来る。

0021

θ=sin-1(v/2fw) 式2
受波焦点でのビーム幅はL×tanθでとなるので、θが小さい条件では(波長に対して十分口径が広いとき)ビーム幅はLに比例してfに反比例する。この結果、深部になるに応じて、ch間のコヒーレンス距離が、長くなるので、最適なフィルタサイズが、大きくなっていく。この変化を取り入れた方が、深さごとに最適な雑音除去を行うことが出来る。

0022

ここまでの検討は、音響的な信号と電気ノイズの選別に関して説明を行ってきた。本発明の手法を用いれば、音響信号の中でも、受波焦点からの信号と、それ以外の位置からの信号(以下、音響ノイズ)を区別することが可能となる。受波ビームフォーミングにおいて、受波焦点以外からの音響信号としては、主に以下の3通りの信号がある。(1)送信及び受波グレーティングビーム上の反射源からのエコー信号、(2)受波焦点以外からのエコー信号が、伝搬中の屈折や散乱の結果、焦点からのエコー信号の到達時間と同じタイミングで受信してしまうことによって生じる音響的なノイズ。(3)受波焦点以外からのエコー信号が、超音波探触子と生体中の反射物の間の多重反射の結果、焦点からのエコー信号の到達時間と同じタイミングで受信してしまうことによって生じる音響的なノイズ。このうち(1)に関しては、受波焦点からの信号とコヒーレンスがあるので、区別することは難しい。一方、(2)と(3)に関してはch毎の受信時間の分布が、受波焦点からの信号のch毎の受信時間の分布と異なる。この特性の違いに着目すると、本発明を適用することで(2)と(3)に起因する音響ノイズを低減することが出来る。図1の例では、A/D変換8、チャネル間フィルタ9、受波ビームフォーマ10の処理の順であったが、図8に示した様に、受波ビームフォーマ10の処理を整相部15と加算部16に分割し、A/D変換8、整相部15、チャネル間フィルタ9、加算部16の処理の順とする。遅延凹面、すなわち音響ノイズと信号ではch毎の受信時間の分布が異なるため、信号に対応した整相処理を行うと、音響ノイズのch間の連続性は小さくなり、チャネル間フィルタ9によって音響ノイズ成分を抑圧することが出来る。

0023

実施例1においては超音波断層像に、電気ノイズ除去法を適用する例に関して説明を行ってきた。本実施例ではドップラ血流測定(連続波ドップラおよびパルスドップラ測定法)に適用した場合に関して説明を行う。

0024

まず連続波ドップラに適用した場合に関して説明を行う。連続波ドップラは受波ビーム取得の方位方向は固定して、受信したデータをFFTなどの方法によって周波数変換を行い、血流に起因するエコー信号は血流速度に応じたドップラシフトしている効果を使って、エコー源の速度推定を行う方法である。図11に示すように、受波ビームフォーマ処理のあと、バンドパスフィルタとドップラ速度推定を行い、血流速度の時間変化画像を形成する。A/D変換と受波ビームフォーマの間で行う処理は同じである。

0025

次にパルスドップラに適用した場合に関して説明を行う。パルスドップラは連続波ドップラと異なり、エコーの時間軸方向に周波数変換を行うのではなく、繰り返しデータ取得方法に周波数変換を行う。方位方向のみにチャネル間フィルタを行う場合は、A/D変換と受波ビームフォーマの間で行う処理に関しては、すでに記述したものと同じである。

0026

一方、実施例1に記載した二次元メディアンフィルタをch方向と時間方向に適用したアナロジーをパルスドップラに適用した場合、時間方向の座標軸が異なる。図12に、エコー信号の時間軸と、超音波送受信繰り返し時間軸と、それぞれの繰り返し送受信によって取得したエコー信号の例を示す。繰り返し送受信間隔は、対象物動きに応じて調整される。つまり、ナイキスト周波数制約下で速度推定が行えるように最適化される。生体中の血流速度として、10m/sから数cm/sに対応するには、繰り返し周波数は、100Hz〜10kHz程度が選択される。対象物に動きが無い場合は、図12(a)の波形は上下に全く変化しないので、特定のサンプリング時間T0に対応するデータ図12(b)での信号の変動は無い。しかし、繰り返し信号取得間に対象物が深さ方向に動く場合、図12(a)に示すように、エコー波形に変化が生じ、特定のサンプリング時間T0に対応するデータ図12(b)において信号に位相回転が生じる。この位相回転速度が対象物の深さ方向への速度に比例する。

0027

本発明では図12に示す超音波送受信繰り返し方向とch方向の二次元のメディアンフィルタもしくは、超音波送受信繰り返し方向とch方向とエコーの時間軸の三次元のメディアンフィルタを適用することで、フィルタ空間上のコヒーレンスが存在しない電気ノイズを選択的に除去することが出来る。インコヒーレントノイズ除去後の処理は通常のパルスドップラ処理と同じである。

0028

近年プロセッサの性能向上に伴い、超音波診断装置の信号処理として利用可能なアルゴリズムも、より高度化されてきている。特に、従来より超音波撮像の欠点であった方位方向の分解能を改善する手法として、レーダ移動体通信の分野で発展したCapon法がある。これは従来の整相回路における遅延時間が受信信号によらず、予め定まった値を用いて居たのに対して、対象となる受信データ毎に、遅延時間を最適化し、方位方向の分解能が最良となるように設計された手法である。

0029

具体的にはch毎の時系列データをベクトルVとして[v1,v2,…vN](Nはch数、各vは時系列データ)、相関行列R=VtV、各chへの複素重みベクトルwを用いて計算した任意の二つのチャンネルの積の総和、P=1/2wRwtが最少となるように、wを最適化したビームフォーミングがCapon法である。ここで右肩にtがついている記号は、転置ベクトルの記号である。拘束条件なしに、P最少とすると、w=0となってしまうので、中心軸上のビーム出力は0とならないようにするために、wat=1という拘束条件をかける。ここでaはモードベクトルであり、ビーム走査方向に対する、各chの距離差位相差に直した値からなるベクトルである。このwは変分法によって求めることが可能であり、その時のw=R-1at/(aR-1at)と、モードベクトルと相関行列の逆数から計算される。このCaponビームフォーミングの前処理として、本発明のインコヒーレントノイズ除去は有用である。caponビームフォーミングのロバスト性を向上するからである。

0030

信号対雑音比を向上する方法として、符号化送受信がある。超音波強度の最大値は、生体に与える影響を考慮して制限する必要があり、その制約下で送信するエネルギーを増やすためには、レーダーの分野などで普及している時間軸方向に伸長した符号化信号を送波し、被検体内で反射した信号を、受波し、電気信号に変換した後に、フィルタリング処理により時間軸方向に圧縮し、パルス波形に戻す符号化送受信法が用いられている。

0031

符号化送受信法の場合には、時間軸方向に長くなったドライブ符号化パルスを用いる。このドライブ符号化パルスで超音波探触子を駆動すると、超音波探触子から生体内に符号化波形の超音波信号が送波され、生体内の反射体で反射して戻ってくる。それを再び超音波探触子で電気信号に変換すると、符号化受波波形が得られる。ドライブ符号化パルスに対応した復号フィルタを用いて、ドライブ信号を長くした分だけ符号化波形を時間軸上で縮める処理を行う。その結果、パルス送受波の場合と距離分解能が同程度で、信号強度が大きい復号波形が得られる。こうして、生体内での振幅を大きくすることなく送波エネルギーを増やすことが出来る。この方法と、本発明のチャネル間フィルタ処理を組合せることも有用である。符号化送受信においては、符号化波形をなるべく長くした方が、信号対雑音比の完全効果が大きい。しかし、過度に長くなると、受波ダイナミックフォーカスの焦域より波形の長さが上回ってしまし、符号の複合に失敗する。そのために、受波ダイナミックフォーカスの影響を受けないために、受波の整相加算前に、符号の複合をすることが望ましい。本発明を符号化送受信に適用する場合、チャネル間フィルタを入れる場所が重要である。符号化波形の状態でこそ、ch間のコヒーレンスの違いが生じるからである。よって、本発明としては、受信のA/D変換、チャネル間フィルタ、符号の複合、整相加算という順番唯一の解となる。

実施例

0032

以上、本発明に関して、典型的な例を使って説明を行ったが、本発明の技術思想を変えない範囲で、要素技術に変更を行っても、本発明を実現できることは、言うまでもない。

0033

1…振動子、2…送受切り替えスイッチ、3…送波アンプ、4…送波ビームフォーマ、5…波形メモリ、6…制御部、7…タイムゲインコントロールアンプ、8…A/D変換素子、9…チャネル間フィルタ、10…受波ビームフォーマ、11…包絡線検波、12…バンドパスフィルタ、13…スキャンコンバータ、14…表示部、15…整相部、16…加算部

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