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技術 ベルジャー清浄化方法、多結晶シリコンの製造方法、およびベルジャー用乾燥装置

出願人 信越化学工業株式会社
発明者 黒澤靖志小黒暁二黒谷伸一祢津茂義
出願日 2011年3月7日 (9年9ヶ月経過) 出願番号 2012-520242
公開日 2013年8月15日 (7年4ヶ月経過) 公開番号 WO2011-158404
状態 特許登録済
技術分野 珪素及び珪素化合物
主要キーワード 清浄化作業 操作基準 減圧保持 減圧解除 微粉状物質 二酸化炭素ペレット 内表面温度 均一核形成
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

ベルジャーは、金属性のベルジャー(1)と、このベルジャー(1)を設置するための金属性のベースプレート(2)を備えており、パッキン(3)により容器内部が密閉される。ベースプレート(2)には、ベルジャー(1)の内部圧力モニタおよびガスの導入及び排気が可能となるように、圧力計(4)、ガス導入ライン(5)、ガス排気ライン(6)、が接続されている。ガス排気ライン(6)の経路には真空ポンプ(7)が設けられており、この真空ポンプ(7)によってベルジャーの内部圧力が水の蒸気圧よりも低くなるように減圧される。真空ポンプ(7)によってベルジャーの内部圧力が水の蒸気圧よりも低くなるように減圧され、これによって効率的に水分の除去が行われ、短時間でベルジャーの乾燥が終了する。本発明により、ベルジャー内表面の清浄度を高めて高純度多結晶シリコンの製造に寄与する技術が提供される。

概要

背景

高純度多結晶シリコンは、半導体デバイス製造用の単結晶シリコン基板太陽電池製造用の原料である。高純度多結晶シリコンは、一般に、原料ガスであるケイ素含有反応ガス熱分解又は水素還元により高純度珪素とし、これを細い珪素フィラメントロッド上に析出させる手法(ジーメンス法)によりバッチ式に製造される。ここで、珪素含有反応ガスとしては、モノシランジクロロシラントリクロロシランテトラクロロシランなどのガスや、一般的にSiHnX4−n(n=0,1,2,3;X=Br、I)で標記されるハロゲンガスが用いられる。

高純度多結晶シリコンの製造に用いられる一般的な析出反応容器は、金属性台板ベースプレート)と当該ベースプレート上に設置される金属性のベルジャーとで構成され、ベルジャーの内部が反応空間となる。析出反応容器は冷却可能であるとともに、ベルジャー内部のガスを密閉可能なものでなければならない。これは、上述の反応ガスは腐食性を有し、また、空気との混合により発火爆発を起こす傾向があるからである。

ところで、析出反応容器にて多結晶シリコンの析出反応を行うと、CVDプロセス中に、均一核形成プロセスによって無定形シリコンダストが形成され、析出反応容器の内面にシリコンが付着等する。このシリコン・ダストは高水準汚染物質を含有しており、製品となる多結晶シリコン上に沈降して表面欠陥汚染をもたらす(特開平6−216036号公報:特許文献1を参照)。

また、上述の多結晶シリコンの析出反応はバッチ式にて行われるため、多結晶シリコンをベルジャーから取り出す際には、ベルジャーの内表面が大気と接触することは避けられない。多結晶シリコン析出反応後のベルジャー内表面には、原料ガスである珪素含有反応ガスおよび析出反応によって副生されたクロロシラン類やハロゲンガス類が残存しているが、これらが大気中の水分と反応すると強い腐食性を示すガスとなることが知られている。

上述した腐食性ガスは、上記ベルジャーの内表面の構造部材から、多結晶シリコンの品質を低下させる有害物質(例えば、ホウ素、アルミニウムリンヒ素アンチモンなど)を表出活性化する。

そして、このような有害物質は、次バッチの析出反応プロセス中に多結晶シリコン中に取り込まれ、多結晶シリコンの品質を低下させてしまう(例えば、特開2008−37748号公報:特許文献2を参照)。

このような事情から、バッチ毎もしくは数バッチ毎に、高純度な水や二酸化炭素ペレットを用いて析出ベルジャーの洗浄が行われ、内表面の清浄化が図られる。

一方、ベルジャーについては、内表面積が広いことや構造上拭き取り作業が困難であるなどの理由から、一般に、自動化された洗浄装置が使用される。上掲の特許文献1および2や特開2009−196882号公報(特許文献3)には、かかる洗浄装置およびこれを用いた洗浄方法の発明が開示されている。

概要

ベルジャーは、金属性のベルジャー(1)と、このベルジャー(1)を設置するための金属性のベースプレート(2)を備えており、パッキン(3)により容器内部が密閉される。ベースプレート(2)には、ベルジャー(1)の内部圧力モニタおよびガスの導入及び排気が可能となるように、圧力計(4)、ガス導入ライン(5)、ガス排気ライン(6)、が接続されている。ガス排気ライン(6)の経路には真空ポンプ(7)が設けられており、この真空ポンプ(7)によってベルジャーの内部圧力が水の蒸気圧よりも低くなるように減圧される。真空ポンプ(7)によってベルジャーの内部圧力が水の蒸気圧よりも低くなるように減圧され、これによって効率的に水分の除去が行われ、短時間でベルジャーの乾燥が終了する。本発明により、ベルジャー内表面の清浄度を高めて高純度多結晶シリコンの製造に寄与する技術が提供される。

目的

本発明は、上述した従来のベルジャー清浄化技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

ジーメンス法による多結晶シリコン製造に用いられるベルジャー清浄化方法であって、前記ベルジャーの水を用いる洗浄工程後に、該ベルジャー内部が内表面温度における水の蒸気圧よりも低い圧力となるように減圧して水分を除去する乾燥工程を備えているベルジャー清浄化方法

請求項2

前記乾燥工程は、200Pa以下の真空到達能力を有する真空ポンプを用い、前記ベルジャー内部の気圧が1000Pa以下となる減圧操作を行う乾燥工程である請求項1記載のベルジャー清浄化方法。

請求項3

前記乾燥工程に続き、前記ベルジャーの内部に水分を低下させた高純度不活性ガスを導入して内圧大気圧に戻す工程を備えている請求項1又は2に記載のベルジャー清浄化方法。

請求項4

ジーメンス法による多結晶シリコンの析出工程を複数回繰り返して行う多結晶シリコンの製造方法であって、前記析出工程の終了後であって、次のバッチの析出工程の前に、前記多結晶シリコンの析出に用いられるベルジャーを清浄化する工程を有し、該ベルジャーの清浄化工程は、前記ベルジャーを水を用いて洗浄する水洗浄工程と該水洗浄工程に続く乾燥工程とを備え、前記乾燥工程は、前記水洗浄工程後に、200Pa以下の真空到達能力を有する真空ポンプを用いて前記ベルジャー内部の気圧が1000Pa以下となる減圧操作を行うことにより、前記ベルジャー内部が内表面温度における水の蒸気圧よりも低い圧力となるように減圧して水分を除去する工程であり、且つ、前記水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間を1.2時間以下とする、ことを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。

請求項5

前記ベルジャーの清浄化工程は、さらに、前記乾燥工程に続き、前記ベルジャーの内部に水分を低下させた高純度不活性ガスを導入して内圧を大気圧に戻す工程を備えている請求項4に記載の多結晶シリコンの製造方法。

請求項6

前記水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間を0.8時間以下とする請求項4又は5に記載の多結晶シリコンの製造方法。

請求項7

前記水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間を0.4時間以下とする請求項6に記載の多結晶シリコンの製造方法。

請求項8

前記乾燥工程を、前記ベルジャー内部の気圧が1000Pa以下となった後5分経過した時点で終了させる請求項4又は5に記載の多結晶シリコンの製造方法。

請求項9

ジーメンス法による多結晶シリコン製造に用いられるベルジャーを乾燥させるための装置であり、該装置は、前記ベルジャーを載置することによって気密空間を形成することができると共に、前記気密空間内の気圧を減圧するための真空ラインと、前記気密空間内の気圧を常圧に戻すための乾燥気体ラインを有することを特徴とするベルジャー用乾燥装置

技術分野

0001

本発明は、多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャー清浄化技術に関し、より詳細には、多結晶シリコン中への不純物混入の原因となるベルジャーの内壁面の水分を効率的に除去することを可能とする方法および装置に関する。

背景技術

0002

高純度多結晶シリコンは、半導体デバイス製造用の単結晶シリコン基板太陽電池製造用の原料である。高純度多結晶シリコンは、一般に、原料ガスであるケイ素含有反応ガス熱分解又は水素還元により高純度珪素とし、これを細い珪素フィラメントロッド上に析出させる手法(ジーメンス法)によりバッチ式に製造される。ここで、珪素含有反応ガスとしては、モノシランジクロロシラントリクロロシランテトラクロロシランなどのガスや、一般的にSiHnX4−n(n=0,1,2,3;X=Br、I)で標記されるハロゲンガスが用いられる。

0003

高純度多結晶シリコンの製造に用いられる一般的な析出反応容器は、金属性台板ベースプレート)と当該ベースプレート上に設置される金属性のベルジャーとで構成され、ベルジャーの内部が反応空間となる。析出反応容器は冷却可能であるとともに、ベルジャー内部のガスを密閉可能なものでなければならない。これは、上述の反応ガスは腐食性を有し、また、空気との混合により発火爆発を起こす傾向があるからである。

0004

ところで、析出反応容器にて多結晶シリコンの析出反応を行うと、CVDプロセス中に、均一核形成プロセスによって無定形シリコンダストが形成され、析出反応容器の内面にシリコンが付着等する。このシリコン・ダストは高水準汚染物質を含有しており、製品となる多結晶シリコン上に沈降して表面欠陥汚染をもたらす(特開平6−216036号公報:特許文献1を参照)。

0005

また、上述の多結晶シリコンの析出反応はバッチ式にて行われるため、多結晶シリコンをベルジャーから取り出す際には、ベルジャーの内表面が大気と接触することは避けられない。多結晶シリコン析出反応後のベルジャー内表面には、原料ガスである珪素含有反応ガスおよび析出反応によって副生されたクロロシラン類やハロゲンガス類が残存しているが、これらが大気中の水分と反応すると強い腐食性を示すガスとなることが知られている。

0006

上述した腐食性ガスは、上記ベルジャーの内表面の構造部材から、多結晶シリコンの品質を低下させる有害物質(例えば、ホウ素、アルミニウムリンヒ素アンチモンなど)を表出活性化する。

0007

そして、このような有害物質は、次バッチの析出反応プロセス中に多結晶シリコン中に取り込まれ、多結晶シリコンの品質を低下させてしまう(例えば、特開2008−37748号公報:特許文献2を参照)。

0008

このような事情から、バッチ毎もしくは数バッチ毎に、高純度な水や二酸化炭素ペレットを用いて析出ベルジャーの洗浄が行われ、内表面の清浄化が図られる。

0009

一方、ベルジャーについては、内表面積が広いことや構造上拭き取り作業が困難であるなどの理由から、一般に、自動化された洗浄装置が使用される。上掲の特許文献1および2や特開2009−196882号公報(特許文献3)には、かかる洗浄装置およびこれを用いた洗浄方法の発明が開示されている。

先行技術

0010

特開平6−216036号公報
特開2008−37748号公報
特開2009−196882号公報

発明が解決しようとする課題

0011

多結晶シリコン製造のための析出反応炉(ベルジャー)は、内部から製品を取り出すために1バッチ毎に開放される。そして、1バッチ毎又は数バッチ毎に洗浄が行われて内表面の清浄化が図られる。

0012

洗浄により取り除かれるべきものはベルジャーの内表面に付着したアモルファスシリコン塩化シランポリマーなどであるが、これらは水分と反応して最終的には微粉状物質となることが知られており、当該微粉状物質に取り込まれた水分を完全に除去することは非常に困難である。

0013

また、本発明者らの検討したところによれば、スチームなどを用いてベルジャーを加熱すると同時に高純度窒素ガスなどでベルジャー内部を置換する従来の洗浄方法では、短時間に水分を完全に除去することは困難である一方で、乾燥時間を長くなると次バッチで製造される多結晶シリコンの品質が低下し易いことが明らかとなった。

0014

本発明は、上述した従来のベルジャー清浄化技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ベルジャー内表面から水分を効率的に除去し、ベルジャーの清浄化を短時間で終了させ、その結果、ベルジャー内表面の清浄度を高めて高純度多結晶シリコンの製造に寄与することとなる技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

このような課題を解決するために、本発明に係るベルジャーの清浄化方法は、ジーメンス法による多結晶シリコン製造に用いられるベルジャーの清浄化方法であって、前記ベルジャーの水を用いる洗浄工程後に、該ベルジャー内部が内表面温度における水の蒸気圧よりも低い圧力となるように減圧して水分を除去する乾燥工程を備えている。

0016

好ましくは、前記乾燥工程は、200Pa以下の真空到達能力を有する真空ポンプを用い、前記ベルジャー内部の気圧が1000Pa以下となる減圧操作を行う乾燥工程である。

0017

本発明に係るベルジャーの清浄化方法は、好ましくは、前記乾燥工程に続き、前記ベルジャーの内部に水分を低下させた高純度不活性ガスを導入して内圧大気圧に戻す工程を備えている。

0018

本発明に係る多結晶シリコンの製造方法は、ジーメンス法による多結晶シリコンの析出工程を複数回繰り返して行う多結晶シリコンの製造方法であって、前記析出工程の終了後であって、次のバッチの析出工程の前に、前記多結晶シリコンの析出に用いられるベルジャーを清浄化する工程を有し、該ベルジャーの清浄化工程は、前記ベルジャーを水を用いて洗浄する水洗浄工程と該水洗浄工程に続く乾燥工程とを備え、前記乾燥工程は、前記水洗浄工程後に、200Pa以下の真空到達能力を有する真空ポンプを用いて前記ベルジャー内部の気圧が1000Pa以下となる減圧操作を行うことにより、前記ベルジャー内部が内表面温度における水の蒸気圧よりも低い圧力となるように減圧して水分を除去する工程であり、且つ、前記水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間を1.2時間以下とする、ことを特徴とする。

0019

好ましくは、前記ベルジャーの清浄化工程は、さらに、前記乾燥工程に続き、前記ベルジャーの内部に水分を低下させた高純度不活性ガスを導入して内圧を大気圧に戻す工程を備えている。

0020

また、好ましくは、前記水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間を0.8時間以下とする。さらに好ましくは、前記水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間を0.4時間以下とする。

0021

本発明では、例えば、前記乾燥工程を、前記ベルジャー内部の気圧が1000Pa以下となった後5分経過した時点で終了させる。

0022

本発明に係るベルジャー用乾燥装置は、ジーメンス法による多結晶シリコン製造に用いられるベルジャーを乾燥させるための装置であり、該装置は、前記ベルジャーを載置することによって気密空間を形成することができると共に、前記気密空間内の気圧を減圧するための真空ラインと、前記気密空間内の気圧を常圧に戻すための乾燥気体ラインを有することを特徴とする。

発明の効果

0023

本発明では、ベルジャー表面の温度を高めることで水分を取り除くという従来の手法に代えて、ベルジャー内部の圧力を水の沸点以下に下げることにより効率的に水分を除去するという手法を採用することとしたので、ベルジャー内表面から水分が効率的に除去され、しかも、ベルジャーの清浄化を短時間で終了させることが可能となる。その結果、ベルジャー内表面の清浄度が高められ、製造される高純度多結晶シリコンの品質向上に大きく寄与することとなる。

図面の簡単な説明

0024

本発明のベルジャー乾燥装置の構成例について説明するための図である。
ベルジャーの開放時間と多結晶シリコンの電気抵抗率の関係を調べた結果を説明するための図である。
ベルジャーの水洗浄工程終了後から次バッチの多結晶シリコン製造用反応炉として組み立てて内部を真空状態にするまでの時間と多結晶シリコンの電気抵抗率の関係を調べた結果を説明するための図である。
スチーム乾燥に用いたベルジャー乾燥装置の構成例について説明するための図である。

0025

以下に、図面を参照して、本発明のベルジャー清浄化方法およびベルジャー乾燥装置について説明する。

0026

図1は、本発明のベルジャー乾燥装置の構成例について説明するための図である。このベルジャー乾燥装置は、多結晶シリコン製造に用いられるベルジャーの乾燥装置であって、ベルジャーは、金属性のベルジャー1とこのベルジャー1を設置するための金属性の台板(ベースプレート)2を備えており、符号3で示したパッキンにより容器内部が密閉される。ベースプレート2上に設置された状態のベルジャー1の内部が多結晶シリコンの析出反応のための空間となる。

0027

ベースプレート2には、ベルジャー1の内部圧力モニタおよびガスの導入及び排気が可能となるように、圧力計4、ガス導入ライン5、ガス排気ライン6、が接続されている。ガス排気ライン6の経路には真空ポンプ7が設けられており、この真空ポンプ7によってベルジャーの内部圧力が水の蒸気圧よりも低くなるように減圧される。

0028

通常、真空ポンプ7の吸込み側には、自動弁などを設置して真空ポンプ7の停止時において真空ポンプ7内の油分などがベルジャー1側に逆流しないように配慮される。しかし、真空ポンプの運転と停止を何度も繰り返しているうちに、配管内表面を伝わって油分などが逆流する現象なども知られている。従って、真空ポンプ7は、ドライ真空ポンプなどの低汚染タイプのものであることが望ましい。また、真空ポンプの能力は、用いるベルジャーの大きさにあわせて排気能力を選択すればよく、概ね200Pa以下の真空到達能力をもつものであれば良い。

0029

なお、図1に示した態様では、多結晶シリコン製造に用いられるベルジャーそのものも乾燥装置の一部を構成していることとなるが、本発明は当該態様に限定されるものではない。

0030

上述したように、本発明においては、真空ポンプ7によってベルジャーの内部圧力が水の蒸気圧よりも低くなるように減圧され、これによって効率的に水分の除去が行われ、短時間でベルジャーの乾燥が終了することとなる。

0031

上述したように、多結晶シリコンの析出反応に用いたベルジャーの内表面には微量のアモルファスシリコンや塩化シランポリマーなどが付着しているが、これらは水分の存在下にベルジャー表面から上述のポリシリコンの品質に対する有害物質を表出活性化し、ベルジャーの清浄化の妨げとなってしまう。このため、高純度の多結晶シリコンを製造するためには、洗浄終了後、ベルジャーの内表面に付着した水分を効率的に除去して上記汚染物質の発生を抑制することが必要となる。

0032

本発明者らは検討を重ね、ベルジャー表面の温度を高めることで水分を取り除くという従来の手法に代えて、ベルジャー内部の圧力を水の沸点以下に下げることにより効率的に水分を除去するという手法を採用することとした。

0033

この手法を採用することの利点は、第1に、水分除去の効率化による乾燥時間の短縮化である。

0034

ベルジャーの清浄化作業時間が長くなると、必然的に、ベルジャー内部が開放状態にある時間が長くなり、ベルジャー内壁の清浄度を下げる要因となることが考えられる。乾燥時間の短縮化は清浄化作業時間の短縮化を意味するから、ベルジャー内壁の清浄度の向上に有効である。

0035

また、本発明者らの検討によれば、多結晶シリコン製造工程の終了後にベルジャーを清浄化した後に、次の多結晶シリコン製造工程の準備に入る段階でのベルジャー内壁の清浄度は、この間におけるベルジャー内部の総開放時間よりも、寧ろ、ベルジャー洗浄後から乾燥終了までの時間に依存する。従って、従来の乾燥方法のように乾燥工程に長時間を要する場合には、ベルジャー内壁を清浄に維持することができず、次製造工程において多結晶シリコンの品質を低下させてしまう危険性が高まる。この意味においても、ベルジャー内表面の水分除去を効率化して乾燥時間を短縮化することは、高純度な多結晶シリコンを製造するために極めて有効である。

0036

なお、ベルジャーの乾燥状態は、最も簡便な手法として、減圧ゲージによりモニタすることができる。より正確な乾燥状態の判定は、減圧度により行うことができる。具体的には、水分の蒸発終了により、減圧度が真空ポンプとベルジャーを含む乾燥装置固有の値となることで判定できる。

0037

また、ベルジャーの減圧乾燥を途中で打ち切り乾燥ガスで常圧に戻し、その後、常圧になった乾燥装置内のガスの露点を測定することで、装置の乾燥状態を確認することもできる。このようなデータを基に、例えば、露点を−40℃以下あるいは−60℃以下とするための乾燥工程の操作基準を作成することもできる。

0038

大型のベルジャー、特に1m3以上の容量のベルジャーの乾燥を行う場合には、上述したような減圧解除による乾燥状態の確認は実用上難しい。そこで、減圧状態のまま乾燥状態をモニタすることが好ましい。そのような場合には、減圧度により乾燥状態の確認を行い、例えば、減圧度が1000Pa以下となり5分経過した時点を、露点が−40℃以下となっているものとして、乾燥終了とするなどする。

0039

上記乾燥時間の短縮化という利点に加え、加熱のためのスチームが不要となるという利点もある。ベルジャーは年々大型化してきているが、この大型化はベルジャー自身の熱容量を大きくする。加えて、一般に、ベルジャーには冷却水熱媒を内部に含むジャケットが設けられているため、ベルジャーを加熱するための全熱容量はさらに大きくなる。

0040

このような大きな熱容量のものをスチーム加熱により乾燥させようとすると、スチーム温度を高める必要性が生じるばかりではなく、設備も大掛かりなものとなってしまう。また、ジャケットにスチームを直接導入する場合には、その後の抜き取り作業等も必要となる。

0041

これに対して、本発明のようにベルジャー内部の圧力を水の沸点以下に下げることにより効率的に水分を除去するという手法を採用する場合には、ベルジャー全体の熱容量は大きい方が好ましい。これは、水分の蒸発により熱が奪われても、ベルジャー内表面の温度は変化し難いためである。

0042

ベルジャー内圧力を水の沸点以下に下げることで水分を除去するという手法を採用することの利点は、乾燥作業消費する高純度ガスの量を大幅に節約できる点にもある。従来のスチーム加熱方式では、蒸発した水分をベルジャー外部へと排出するためのキャリアガスや水分除去後のベルジャー内部に水分が再吸着等することを防止するための置換ガスとして高純度の不活性ガスを大量に必要とする。

0043

これに対し、ベルジャー内部を減圧状態にすることで水分を除去する上記手法によれば、水分をベルジャー外部へと排出するためにわざわざキャリアガスを用いることは不要となり、更に、ベルジャー内部の不活性ガスへの置換も、乾燥作業の終了後にベルジャー内部を大気圧に戻す際に高純度不活性ガスを用いるのみで十分に目的が達成される。

0044

以下に、本発明による清浄化工程に要する時間短縮化による多結晶シリコンの高品質化について説明する。

0045

表1は、12の多結晶シリコン製造バッチにつき、ベルジャーの開放時間及びベルジャーの水洗浄工程終了後から次バッチの多結晶シリコン製造用反応炉として組み立てるまでの時間と、多結晶シリコンの電気抵抗率を調べた結果を纏めたものである。

0046

0047

表1に示すように、水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間を1.2時間以下とすると、電気抵抗率が1500Ω・cm以上の多結晶シリコンが得られた。また、水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間を0.8時間以下とすると、得られる多結晶シリコンの電気抵抗率は2000Ω・cm以上となっている。さらに、水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間が0.4時間以下の場合は、得られる多結晶シリコンの電気抵抗率は2500Ω・cm以上である。

0048

図2は、ベルジャーの開放時間と多結晶シリコンの電気抵抗率の関係を調べた結果を説明するための図である。ここで、ベルジャーの開放時間とは、多結晶シリコン製造工程の終了後から次の多結晶シリコン製造工程を開始するまでにベルジャーが開放状態にあった時間を意味する。具体的には、先のバッチの多結晶シリコン製造工程が終了した後にベルジャーを開放して多結晶シリコンを取り出し、ベルジャーの清浄化(搬送、水洗浄、搬送、内表面の水分除去、ベルジャー内部の高純度不活性ガス置換)を行い、次バッチの多結晶シリコン製造工程用反応炉として組み立てを完了するまでの時間が、ベルジャーの開放時間である。

0049

図2によれば、開放時間が長くなるにつれて多結晶シリコンの電気抵抗率が低くなる傾向が読み取れる。電気抵抗率の低下は、多結晶シリコン内部に取り込まれる電気的に活性な不純物のレベルが高くなることを意味しており、開放時間が長くなるにつれて多結晶シリコンの高純度化阻害される傾向にあることが分かる。つまり、上述したベルジャー開放時間の短縮化は、高純度多結晶シリコンの製造にとって有効であることが読み取れる。

0050

図3は、ベルジャーの水洗浄終了後から乾燥終了までの時間と多結晶シリコンの電気抵抗率の関係を調べた結果を説明するための図である。ここでの乾燥工程終了は、上述の真空ポンプによる減圧下に、圧力ゲージ一定値になった後、10分間真空を維持した時点を乾燥工程終了としている。

0051

図3においては、ベルジャーの水洗浄終了後から乾燥終了までの時間と多結晶シリコンの電気抵抗率は、最小二乗法により得られる直線で近似可能で、時間が長くなるにつれて多結晶シリコンの電気抵抗率が低くなることが読み取れる。つまり、多結晶シリコンの品質を管理するためには、ベルジャーの開放時間そのものよりも水洗浄工程終了後から乾燥工程終了までの時間を短縮することが有効であり、真空ポンプを用いて乾燥工程の時間を短縮することが、ベルジャー高純度多結晶シリコンの製造にとって極めて有効な手法であることが分かる。

0052

以下に、本発明に係る清浄化技術を、実施例により説明する。

0053

先ず、多結晶シリコンの析出工程が終了した後にベルジャー1を開放し、ベルジャー1を洗浄装置に移動して、通常の手順により洗浄作業を行う。この洗浄作業の終了後、クレーンなどによりベルジャー1をベースプレート2上に載せ、乾燥装置を組み上げる。この状態で、真空ポンプ7を運転してベルジャー1内の圧力を水の蒸気圧以下にする。この減圧により、洗浄工程でベルジャー1の内表面に付着した水分はベルジャー1の外へと排出される。

0054

上記減圧時の設定圧力は、ベルジャー1の内部が内表面温度における水の蒸気圧よりも低くなるように設定する必要があるが、概ね200Pa以下の真空到達能力を有する真空ポンプを用いた場合には、特に温度を気にすることなく、短時間で目的の乾燥状態に到達させることができる。

0055

なお、ベルジャー1の内表面の水分や付着物が蒸発する際、ベルジャー1およびベースプレート2からは蒸発熱が奪われるが、これらの熱容量は十分に大きいため温度低下は事実上無視することができる。

0056

ベルジャー1の内表面の水分や付着物は圧力の低下に伴って速やかに蒸発するが、圧力ゲージで乾燥状態となったことを確認する場合、ベルジャー1の内部圧力が1000Pa以下に到達後、好ましくは5分経過した時点を乾燥終了とすることができるが、装置の安定性等を考慮した場合、好ましくは更に5分以上減圧を持続する。この持続時間の圧力ゲージの挙動を観察することで、モニタ系に異常が生じていないことの確認もできる。

0057

ベルジャー1内部を所定の圧力で一定時間保持する乾燥工程の終了後、真空ポンプ7の運転を停止し、水分を含まない高純度不活性ガスをベルジャー1内に導入して内部圧力を大気圧とする。この高純度不活性ガスの導入は、ベルジャー1内部への水分の再浸入を抑制するためのもので、露点が−40℃以下のガスが望ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスが望ましい。

0058

そして、清浄化されたベルジャー1とベースプレート2をなるべく早めに多結晶シリコン製造用反応炉として組み立て、次のバッチの製造を行うための待機状態、即ち水素窒素等の不活性ガスで清浄性が保たれた状態とすることが好ましい。

0059

表2は、本発明の手法により内容積3.5m3のベルジャーの乾燥を行った際の、乾燥状態の減圧維持時間との関係を調べた結果である。なお、このとき用いた真空ポンプの装置自体が持つ仕様上の真空到達度は20Paであるが、7分を過ぎた段階で内部の真空度は1000Pa以下となり、以後1000Pa以下が維持された。また、乾燥状態は、減圧終了後に高純度窒素ガスをチャンバー内に導入して大気圧に戻し、さらに、流量200ノルマルリットル/分の窒素ガス(キャリアガス)を流して露点を測定した。これにより、バッチ毎もしくは数バッチ毎に、高純度な水や二酸化炭素ペレットを用いて析出ベルジャーの洗浄が行われ、内表面の清浄化が図られる。

0060

0061

表2に示したように、減圧保持時間7分で、減圧をキャリアガスで解除した際のキャリアガスの露点が−40℃を下回り、10分以上で−61℃に達しており、十分な乾燥状態にあることが確認された。

0062

これに対し、スチーム加熱による乾燥では、上記と同等の乾燥状態を得るためには長時間を要する。

0063

表3は、上記と同じ内容積のベルジャーのジャケットにスチーム加熱による熱媒を導入して、ベルジャーを約110℃に加熱保持し、当該ベルジャー内に200ノルマルリットル/分(露点−72℃)の高純度窒素ガスを供給し、当該当該窒素ガス(キャリアガス)の露点を露点計で評価した結果である。

0064

図4は、この測定で用いたベルジャー乾燥系の構成を説明するための図で、図中、符号8はジャケット、符号9は熱媒循環経路、符号10および11はそれぞれ、熱交換器および熱媒循環ポンプである。

0065

実施例

0066

キャリアガスの露点が、乾燥の目安である−60℃以下になるまでの時間は8時間以上であり、本願発明に比較して50倍程度の長時間を要する。

0067

本発明によれば、ベルジャー内表面から水分が効率的に除去され、ベルジャーの清浄化の短時間化が図られる。その結果、ベルジャー内表面の清浄度を高めて高純度多結晶シリコンの製造に寄与することとなる技術が提供される。

0068

1ベルジャー
2ベースプレート
3パッキン
真空計
5ガス導入ライン
6ガス排気ライン
7真空ポンプ
8ジャケット
9熱媒循環経路
10熱交換器
11 熱媒循環ポンプ

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