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技術 硬質物品用殺菌剤組成物及び硬質物品の表面の殺菌方法

出願人 ライオン株式会社
発明者 末國智成久保園隆康堀江弘道関小田弘宮腰強黒木由美
出願日 2011年4月18日 (9年7ヶ月経過) 出願番号 2012-515796
公開日 2013年7月22日 (7年4ヶ月経過) 公開番号 WO2011-145420
状態 特許登録済
技術分野 洗浄性組成物 農薬・動植物の保存
主要キーワード 洗浄水供給ポンプ 酸素系酸化剤 硬質物品 キレスト社製 バインダー化合物 カチオン性アンモニウム アクリル酸系高分子化合物 混合ドラム
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課題・解決手段

本発明は、水溶液塩基性を示すアルカリ金属塩(A−1)と水溶性銅塩(A−2)と下記一般式(1)で表される化合物(A−3)と下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤(A−4)とを含有し、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である粉体混合物(A)からなる第一剤と、過酸化水素水溶液(B−1)からなる第二剤と、を備える2剤型硬質物品殺菌剤組成物、及び前記(A−1)〜(A−4)及び水中で過酸化水素を放出する無機過酸化物(B−2)を含有し、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である粉体混合物からなる1剤型の硬質物品用殺菌剤組成物に関する。本発明によれば、硬質物品の表面に対する殺菌力が高く、水中での過酸化水素の安定性が良好で、泡立ち性も低い硬質物品用殺菌剤組成物及び前記硬質物品用殺菌剤組成物を用いた硬質物品の表面の殺菌方法を提供することができる。 [化1]

概要

背景

従来、微生物による種々の不具合感染症の防止のため、硬質物品食品包装容器飲料用容器食器等)の表面を殺菌処理することが行われている。
殺菌処理方法としては多数の方法があり、その一つとして、酸化剤を含む殺菌剤組成物を用いて前記表面を洗浄する殺菌方法が知られている。一般的に、酸化剤は、還元されるとその殺菌力消失することから、使用後の取り扱いや安全面の点から好適とされている。
酸化剤としては、たとえば次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系酸化剤、オゾン、酸素系酸化剤等が使用され、酸素系酸化剤としては、過酸化水素、又は過炭酸ナトリウム等の、水中で過酸化水素を発生する無機過酸化物が使用されている。酸素系酸化剤は、通常、その酸化作用殺菌作用)を高めるため、炭酸ナトリウム等のアルカリ剤と併用されている。
これらのうち、塩素系酸化剤を用いた方法は、殺菌処理後異味異臭(たとえば樹脂製の硬質表面を処理した際に生じる樹脂の塩素化物由来する異味異臭)を生じることがあり、オゾンを用いた方法は、オゾン発生器導入による投資費用の増大、洗浄環境中でのオゾン濃度の上昇による作業者への健康被害のおそれ等の問題がある。そのため、食器包装容器等の硬質物品の表面の殺菌には、酸素系酸化剤が好ましく用いられている。

近年、衛生嗜好が高まるなか、上記殺菌剤組成物にもその殺菌力の向上が強く求められる。しかし、酸素系酸化剤は、アルカリ剤を併用しても、殺菌力が不充分であり、殺菌力不足による微生物の増殖、それに伴う異味異臭の発生等の問題がある。また、併用するアルカリ剤の量が増えると、前記アルカリ剤が、処理対象の食品包装容器等の硬質物品の表面や、その殺菌処理に用いる洗浄機内に付着しやすくなる等の問題もある。このような問題に対し、酸素系酸化剤の殺菌力の向上を目的として、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等の有機過酸前駆体や、銅塩マンガン塩等の金属化合物を併用することが提案されている。
これらのうち、金属化合物は、酸化触媒として過酸化水素の酸化作用を高め、殺菌力を向上させる機能を有する。しかし、金属化合物を配合した場合、殺菌力は高まるものの、過酸化水素が水中で過分解しやすく、残存時間が短い問題がある。このような問題に対し、金属化合物を特定のキレート剤と組み合わせる方法が提案されている。たとえば特許文献1には、殺菌・除菌用の酸化触媒として、特定のキレート剤と銅塩とを組み合わせたものが提案されている。また、特許文献2には、銅塩をバインダー化合物とともに造粒し、これを過酸化物、特定のキレート剤、活性化剤界面活性剤等と配合した殺菌・除菌用組成物が提案されている。

概要

本発明は、水溶液塩基性を示すアルカリ金属塩(A−1)と水溶性銅塩(A−2)と下記一般式(1)で表される化合物(A−3)と下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤(A−4)とを含有し、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である粉体混合物(A)からなる第一剤と、過酸化水素水溶液(B−1)からなる第二剤と、を備える2剤型の硬質物品用殺菌剤組成物、及び前記(A−1)〜(A−4)及び水中で過酸化水素を放出する無機過酸化物(B−2)を含有し、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である粉体混合物からなる1剤型の硬質物品用殺菌剤組成物に関する。本発明によれば、硬質物品の表面に対する殺菌力が高く、水中での過酸化水素の安定性が良好で、泡立ち性も低い硬質物品用殺菌剤組成物及び前記硬質物品用殺菌剤組成物を用いた硬質物品の表面の殺菌方法を提供することができる。 [化1]

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、硬質物品の表面に対する殺菌力が高く、水中での過酸化水素の安定性が良好で、泡立ち性も低い硬質物品用殺菌剤組成物及び前記硬質物品用殺菌剤組成物を用いた硬質物品の表面の殺菌方法を提供する

効果

実績

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請求項1

硬質物品の表面の殺菌に用いられる硬質物品用殺菌剤組成物であって、粉体混合物(A)からなる第一剤と、過酸化水素水溶液(B−1)からなる第二剤とを備え、前記粉体混合物(A)が、水溶液塩基性を示すアルカリ金属塩(A−1)と、水溶性銅塩(A−2)と、下記一般式(1)で表される化合物(A−3)と、下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤(A−4)とを含有し、前記水溶性銅塩(A−2)及び前記化合物(A−3)の(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である、2剤型の硬質物品用殺菌剤組成物。[式中、Y1及びY2はそれぞれ独立に水素原子炭素数1〜3のアルキル基、−CH2−COOX3、−CH(OH)−COOX4、−CH2CH2−COOX5、−CH2CH2−OH又はCH2−OHを表し;Zは水素原子、炭素数8〜16のアルキル基、−CH2−COOX6又はCH2CH2−OHを表し;X1〜X6はそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金属原子アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。][式中、R1は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を表し;EOはオキシエチレン基を表し;POはオキシプロピレン基を表し;pはEOの平均付加モル数を表しかつ2〜10の数であり;qはPOの平均付加モル数を表しかつ1〜2の数であり;かつp>qである。]

請求項2

硬質物品の表面の殺菌に用いられる硬質物品用殺菌剤組成物であって、水溶液が塩基性を示すアルカリ金属塩(A−1)と、水溶性銅塩(A−2)と、下記一般式(1)で表される化合物(A−3)と、下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤(A−4)と、水中で過酸化水素を放出する無機過酸化物(B−2)とを含有し、前記水溶性銅塩(A−2)及び前記化合物(A−3)の(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である粉体混合物からなる1剤型の硬質物品用殺菌剤組成物。[式中、Y1及びY2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、−CH2−COOX3、−CH(OH)−COOX4、−CH2CH2−COOX5、−CH2CH2−OH又はCH2−OHを表し;Zは水素原子、炭素数8〜16のアルキル基、−CH2−COOX6又はCH2CH2−OHを表し;X1〜X6はそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。][式中、R1は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を表し;EOはオキシエチレン基を表し;POはオキシプロピレン基を表し;pはEOの平均付加モル数を表しかつ2〜10の数であり;qはPOの平均付加モル数を表しかつ1〜2の数であり;かつp>qである。]

請求項3

請求項1に記載の硬質物品用殺菌剤組成物を用いて硬質物品の表面を殺菌する方法であって、前記粉体混合物(A)からなる第一剤を水で希釈して希釈液を得ること、前記希釈液と前記過酸化水素水溶液(B−1)からなる第二剤とを混合して混合液を得ること、前記混合液と前記硬質物品の表面とを接触させること、を特徴とする殺菌方法

請求項4

請求項2に記載の硬質物品用殺菌剤組成物を用いて硬質物品の表面を殺菌する方法であって、前記硬質物品用殺菌剤組成物を水で希釈して希釈液を得ること、前記希釈液と前記硬質物品の表面とを接触させること、を特徴とする殺菌方法。

請求項5

前記硬質物品が食品包装容器である、請求項3又は4に記載の殺菌方法。

請求項6

前記硬質物品の表面を構成する材質ガラスポリカーボネート又はポリエチレンテレフタレートである、請求項3〜5のいずれか一項に記載の殺菌方法。

技術分野

0001

本発明は、硬質物品殺菌剤組成物及び硬質物品の表面の殺菌方法に関する。
本願は、2010年5月21日に、日本に出願された特願2010−117393号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

0002

従来、微生物による種々の不具合感染症の防止のため、硬質物品(食品包装容器飲料用容器食器等)の表面を殺菌処理することが行われている。
殺菌処理方法としては多数の方法があり、その一つとして、酸化剤を含む殺菌剤組成物を用いて前記表面を洗浄する殺菌方法が知られている。一般的に、酸化剤は、還元されるとその殺菌力消失することから、使用後の取り扱いや安全面の点から好適とされている。
酸化剤としては、たとえば次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系酸化剤、オゾン、酸素系酸化剤等が使用され、酸素系酸化剤としては、過酸化水素、又は過炭酸ナトリウム等の、水中で過酸化水素を発生する無機過酸化物が使用されている。酸素系酸化剤は、通常、その酸化作用殺菌作用)を高めるため、炭酸ナトリウム等のアルカリ剤と併用されている。
これらのうち、塩素系酸化剤を用いた方法は、殺菌処理後異味異臭(たとえば樹脂製の硬質表面を処理した際に生じる樹脂の塩素化物由来する異味異臭)を生じることがあり、オゾンを用いた方法は、オゾン発生器導入による投資費用の増大、洗浄環境中でのオゾン濃度の上昇による作業者への健康被害のおそれ等の問題がある。そのため、食器包装容器等の硬質物品の表面の殺菌には、酸素系酸化剤が好ましく用いられている。

0003

近年、衛生嗜好が高まるなか、上記殺菌剤組成物にもその殺菌力の向上が強く求められる。しかし、酸素系酸化剤は、アルカリ剤を併用しても、殺菌力が不充分であり、殺菌力不足による微生物の増殖、それに伴う異味異臭の発生等の問題がある。また、併用するアルカリ剤の量が増えると、前記アルカリ剤が、処理対象の食品包装容器等の硬質物品の表面や、その殺菌処理に用いる洗浄機内に付着しやすくなる等の問題もある。このような問題に対し、酸素系酸化剤の殺菌力の向上を目的として、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等の有機過酸前駆体や、銅塩マンガン塩等の金属化合物を併用することが提案されている。
これらのうち、金属化合物は、酸化触媒として過酸化水素の酸化作用を高め、殺菌力を向上させる機能を有する。しかし、金属化合物を配合した場合、殺菌力は高まるものの、過酸化水素が水中で過分解しやすく、残存時間が短い問題がある。このような問題に対し、金属化合物を特定のキレート剤と組み合わせる方法が提案されている。たとえば特許文献1には、殺菌・除菌用の酸化触媒として、特定のキレート剤と銅塩とを組み合わせたものが提案されている。また、特許文献2には、銅塩をバインダー化合物とともに造粒し、これを過酸化物、特定のキレート剤、活性化剤界面活性剤等と配合した殺菌・除菌用組成物が提案されている。

先行技術

0004

特開2009−148682号公報
特開2009−155292号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、特許文献1〜2等に記載の方法を用いても、酸素系酸化剤による硬質物品の表面に対する殺菌力や水中での過酸化水素の安定性は不充分であり、さらなる改善が求められる。特に、殺菌処理を50℃程度の比較的高い温度で行う場合、過酸化水素の過分解が生じやすく、また、硬質物品の表面や洗浄機内へのアルカリ剤の付着も生じやすいため、殺菌力の向上及び水中での過酸化水素の安定性の改善は特に重要となる。
さらに、特許文献2に記載の殺菌・除菌用組成物のように界面活性剤を含む殺菌剤組成物を洗浄機に適用する場合、泡立ちやすさも問題となる。泡立ちやすい場合、処理時に泡が洗浄機からあふれたり、すすぎに時間がかかる等の問題が生じてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、硬質物品の表面に対する殺菌力が高く、水中での過酸化水素の安定性が良好で、泡立ち性も低い硬質物品用殺菌剤組成物及び前記硬質物品用殺菌剤組成物を用いた硬質物品の表面の殺菌方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決する本発明の第一の態様は、硬質物品の表面の殺菌に用いられる硬質物品用殺菌剤組成物であって、粉体混合物(A)からなる第一剤と、過酸化水素水溶液(B−1)からなる第二剤とを備え、前記粉体混合物(A)が、水溶液塩基性を示すアルカリ金属塩(A−1)と、水溶性銅塩(A−2)と、下記一般式(1)で表される化合物(A−3)と、下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤(A−4)とを含有し、前記水溶性銅塩(A−2)及び前記化合物(A−3)の(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である、2剤型の硬質物品用殺菌剤組成物である。
本発明の第二の態様は、硬質物品の表面の殺菌に用いられる硬質物品用殺菌剤組成物であって、水溶液が塩基性を示すアルカリ金属塩(A−1)と、水溶性銅塩(A−2)と、下記一般式(1)で表される化合物(A−3)と、下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤(A−4)と、水中で過酸化水素を放出する無機過酸化物(B−2)とを含有し、前記水溶性銅塩(A−2)及び前記化合物(A−3)の(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である粉体混合物からなる1剤型の硬質物品用殺菌剤組成物である。

0007

[式中、Y1及びY2はそれぞれ独立に水素原子炭素数1〜3のアルキル基、−CH2−COOX3、−CH(OH)−COOX4、−CH2CH2−COOX5、−CH2CH2−OH又はCH2−OHを表し;Zは水素原子、炭素数8〜16のアルキル基、−CH2−COOX6又はCH2CH2−OHを表し;X1〜X6はそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金属原子アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。]

0008

[式中、R1は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を表し、EOはオキシエチレン基を表し;POはオキシプロピレン基を表し;pはEOの平均付加モル数を表しかつ2〜10の数であり;qはPOの平均付加モル数を表しかつ1〜2の数であり;かつp>qである。]

0009

本発明の第三の態様は、前記第一の態様の硬質物品用殺菌剤組成物を用いて硬質物品の表面を殺菌する方法であって、前記粉体混合物(A)からなる第一剤を水で希釈して希釈液を得ること、前記希釈液と前記過酸化水素水溶液(B−1)からなる第二剤とを混合して混合液を得ること、前記混合液と前記硬質物品の表面とを接触させること、を特徴とする殺菌方法である。
本発明の第四の態様は、前記第二の態様の硬質物品用殺菌剤組成物を用いて硬質物品の表面を殺菌する方法であって、前記硬質物品用殺菌剤組成物を水で希釈して希釈液を得ること、前記希釈液と前記硬質物品の表面とを接触させること、を特徴とする殺菌方法である。
前記第三の態様又は第四の態様においては、前記硬質物品が食品包装容器であることが好ましい。また、前記硬質物品の表面を構成する材質ガラスポリカーボネート又はポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。

発明の効果

0010

本発明によれば、硬質物品の表面に対する殺菌力が高く、水中での過酸化水素の安定性が良好で、泡立ち性も低い硬質物品用殺菌剤組成物及び前記硬質物品用殺菌剤組成物を用いた硬質物品の表面の殺菌方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0011

実施例での粉体混合物の製造方法を示すプロセスフロー図である。

0012

≪第一の態様の硬質物品用殺菌剤組成物(2剤型)≫
本発明の第一の態様の硬質物品用殺菌剤組成物(以下、単に殺菌剤組成物ということがある。)は、下記粉体混合物(A)からなる第一剤と下記(B−1)成分からなる第二剤とを備える2剤型の殺菌剤組成物である。

0013

<粉体混合物(A)>
粉体混合物(A)は、下記(A−1)成分〜(A−4)成分を含有し、(A−2)成分及び(A−3)成分の(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である粉体混合物である。

0014

[(A−1)成分:水溶液が塩基性を示すアルカリ金属塩]
(A−1)成分は、殺菌剤組成物が添加された水(処理水)のpH調整、(B−1)成分である過酸化水素(あるいは、後述する第二の態様においては(B−2)成分から放出される過酸化水素)の活性向上及びそれに伴う殺菌力の向上に寄与する成分である。(A−1)成分を含有することで、処理水のpHをアルカリ性に維持することができ、前記処理水中における過酸化水素の活性が向上し、殺菌力が向上する。
(A−1)成分におけるアルカリ金属としては、ナトリウムカリウムリチウム等が挙げられ、ナトリウム又はカリウムが好ましい。
(A−1)成分としては、アルカリ金属の無機塩有機塩のいずれも使用することができる。前記無機塩として具体的には、アルカリ金属を対イオンとする炭酸塩炭酸水素塩珪酸塩水酸化物等が挙げられる。前記有機塩としては、アルカリ金属を対イオンとする酢酸塩等が挙げられる。
(A−1)成分としては、粉体の取扱いが容易であり、水への溶解性が良好であることから、無機塩が好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
粉体混合物(A)に含まれる(A−1)成分は1種でも2種以上でもよい。
粉体混合物(A)中、(A−1)成分の配合量は、60〜98質量%が好ましく、80〜98質量%がより好ましい。前記範囲の下限値以上或いは上限値以下であると殺菌力が向上する。

0015

[(A−2)成分:水溶性銅塩]
(A−2)成分は、水中で銅イオンを放出し、前記銅イオンが後述する(A−3)成分と錯体を形成する。前記錯体は、酸化触媒として機能し、過酸化水素による殺菌効果を向上させる。この殺菌効果は、特にグラム陰性菌(なかでも大腸菌)に対して有効である。
(A−2)成分の「水溶性」は、20℃の精製水100mLに対する溶解度が1g以上の物質であることを意味する。
(A−2)成分としては、水溶性であるもの、つまり水中で溶解して銅イオンを放出し得るものであれば特に種類は限定されず、無機塩、有機塩のいずれも使用することができる。
水に溶解した際に銅イオンを放出する水溶性銅塩の具体例として、たとえば無機塩としては硝酸銅硫酸銅塩化銅過塩素酸銅、塩化アンモニウム銅、シアン化銅等が挙げられる。また、有機塩としては、酢酸銅グルコン酸銅酒石酸銅グリシン銅等が挙げられる。これらの銅塩は、水和物を用いても無水物を用いてもよい。
(A−2)成分としては、水への溶解性が良好であることから、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、グリシン銅、グルコン酸銅から選ばれる少なくとも1種が好ましく、硫酸銅、塩化銅及び/又はグリシン銅がより好ましい。
粉体混合物(A)に含まれる(A−2)成分は1種でも2種以上でもよい。
粉体混合物(A)中、(A−2)成分の配合量は、無水物換算で、0.1〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。前記範囲内であると充分な殺菌力が発現する。

0016

[(A−3)成分:式(1)で表される化合物]
(A−3)成分は、下記一般式(1)で表される化合物である。(A−3)成分は、水中で電離により−COOX(XはX1〜X5のいずれか)が−COO−となり、この−COO−の部分が上述したように前記(A−2)成分から放出された銅イオンと錯体を形成し、過酸化水素による殺菌力を向上させる。また、銅イオンと錯体を形成することで、(A−2)成分の溶解を促進する作用も有する。

0017

[式中、Y1及びY2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、−CH2−COOX3、−CH(OH)−COOX4、−CH2CH2−COOX5、−CH2CH2−OH又はCH2−OHを表し;Zは水素原子、炭素数8〜16のアルキル基、−CH2−COOX6又はCH2CH2−OHを表し;X1〜X6はそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はカチオン性アンモニウム基を表す。]

0018

式(1)中、X1〜X6におけるアルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属原子としては、カルシウムマグネシウム等が挙げられる。なお、X1〜X6におけるアルカリ土類金属原子は1/2原子分に相当する。たとえばX1がカルシウムの場合、−COOX1は、「−COO− 1/2(Ca2+)」となる。
カチオン性アンモニウムとしては、たとえば、アンモニウム(NH4+)、アンモニウムの水素原子(H)の1〜3個が有機基置換された1〜3級アンモニウムイオン;アンモニウムのHが全て有機基で置換された4級アンモニウムイオン;が挙げられる。
前記アンモニウムのHを置換する有機基としては、たとえばアルカノール基、アルキル基等が挙げられる。前記アルカノール基の炭素数は、1〜3が好ましい。前記アルキル基の炭素数は、1〜3が好ましい。本明細書中、アルカノール基とはヒドロキシアルキル基を意味する。
前記1〜3級アンモニウムイオンとして具体的には、モノエタノールアミンジエタノールアミン等のアルカノールアミン窒素原子に−Hが付加してカチオン性を有するものが挙げられる。
前記4級アンモニウムイオンとして具体的には、テトラメチルアンモニウムテトラエチルアンモニウムテトラn−ブチルアンモニウム等が挙げられる。

0019

(A−3)成分として好ましいものとして、下記(3a)〜(3i)等が挙げられる。
(3a):Y1=H、Y2=H、Z=CH2−COOX6、X1=Na、X2=Na、X6=Naである化合物(ニトリロトリ酢酸三ナトリウム。以下、NTAと略記する)。
(3b):Y1=H、Y2=CH3、Z=CH2−COOX6、X1=Na、X2=Na、X6=Naである化合物(メチルグリシンジ酢酸三ナトリウム。以下、MGDAと略記する)。
(3c):Y1=CH2−COOX3、Y2=CH2−COOX3、Z=H、X1=Na、X2=Na、X3=Naである化合物(イミノジコハク酸四ナトリウム。以下、IDSと略記する。)。
(3d):Y1=CH2−COOX3、Y2=CH(OH)−COOX4、Z=H、X1=Na、X2=Na、X3=Na、X4=Naである化合物(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸四ナトリウム。以下、HIDSと略記する。)。
(3e):Y1=CH2−COOX3、Y2=H、Z=CH2−COOX6、X1=Na、X2=Na、X3=Na、X6=Naである化合物(L−アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸四ナトリウム。以下、ASDAと略記する。)。
(3f):Y1=CH2CH2−COOX5、Y2=H、Z=CH2−COOX6、X1=Na、X2=Na、X5=Na、X6=Naである化合物(グルタミン酸−N,N−ジ酢酸四ナトリウム。以下、GLDAと略記する。)。
(3g):Y1=H、Y2=H、Z=H、X1=Na、X2=Naである化合物(イミノジ酢酸二ナトリウム。以下、IDAと略記する。)。
(3h):Y1=H、Y2=H、Z=CH2CH2−OH、X1=Na、X2=Naである化合物(ヒドロキシエチルイミノジ酢酸二ナトリウム。以下、HIDAと略記する。
)。
(3i):Y1=H、Y2=H、Z=炭素数12のアルキル基、X1=Na、X2=Naである化合物(N−ラウリルイミノジ酢酸二ナトリウム。以下、C12IDAと略記する。)。
これらの中でも、殺菌力と過酸化水素の安定性とのバランスに優れることから、NTA及び/又はMGDAが好ましい。

0020

粉体混合物(A)に含まれる(A−3)成分は1種でも2種以上でもよい。
粉体混合物(A)中、(A−3)成分の配合量は、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が所定の範囲内となる量であればよい。殺菌力と過酸化水素の安定性とのバランスから、純分換算で、0.1〜8質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。

0021

粉体混合物(A)中、前記(A−2)成分及び(A−3)成分の(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比は3.0〜20であり、5.0〜15が好ましく、6.0〜12がより好ましい。前記モル比が上記範囲内であることにより、殺菌力と過酸化水素安定化のバランスが良好となる。一方、前記モル比が上記範囲の上限値を超える場合、つまり(A−3)成分比が高すぎる場合は、処理液中の過酸化水素の安定性は良好であるものの、充分な殺菌力が得られない。また、前記モル比が上記範囲の下限値未満である場合、つまり(A−2)成分比が高すぎる場合は、処理液中の過酸化水素が短時間で分解してしまい、殺菌処理時、特に後半での殺菌力が得られない。この過酸化水素の分解を補うために処理液中に過酸化水素を追加投入することもできるが、その場合は必要以上に過酸化水素を使用することとなり、経済性の点で問題がある。なお、前記モル比において、(A−3)の配合量のモル数は、純分換算した値を意味する。

0022

[(A−4)成分:式(2)で表される非イオン界面活性剤]
(A−4)成分は、下記一般式(2)で表される非イオン界面活性剤である。
(A−4)成分は、殺菌対象面である硬質物品(ガラス製、樹脂製等)表面のぬれ性を向上することにより、殺菌剤組成物の殺菌力を有効に働かすことができる。また、殺菌対象面にいわゆるバイオフィルム状に付着した菌体複合体やコロイド状に凝集した菌体の分散にも寄与し、殺菌力が大幅に向上する。また、(A−4)成分は起泡性が低いため、前記殺菌剤組成物が、食品包装容器等の硬質物品の表面に対する殺菌処理を、工業用の洗浄機を用いて行う場合に、洗浄機内での大量の泡の発生による不具合(洗浄機からの泡あふれやすすぎ不良、洗浄水供給ポンプ過負荷)を防止できる。

0023

[式中、R1は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を表し;EOはオキシエチレン基を表し;POはオキシプロピレン基を表し;pはEOの平均付加モル数を表しかつ2〜10の数であり;qはPOの平均付加モル数を表しかつ1〜2の数であり;かつp>qである。]

0024

式(2)中、R1のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、8〜20であり、12〜18が好ましい。前記炭素数が8未満であると、硬質物品の表面に対する充分なぬれ性が得られないために殺菌力が得られず、20を超えると水溶液中での溶解性が劣ることにより充分な殺菌力が発現されなくなる。
前記アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状又は分岐鎖状が好ましく、1級又は2級であることが好ましい。
pは2〜10であり、かつqよりも大きい値である。p及びqが前記条件を満たすことにより、殺菌性能と低泡性とのバランスが良好となる。pは4〜10が好ましい。
また、pとqとの差(p−q)は、殺菌性能と低泡性とのバランスに優れることから、4以上が好ましく、5以上がより好ましい。p−qの上限は9である。

0025

(A−4)成分は、公知の製造方法により製造したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。
(A−4)成分は、たとえば、アルコール(R1OH)を出発原料とし、前記アルコールにエチレンオキシドプロピレンオキシドをそれぞれ所定の平均付加モル数(p、q)となるように付加することにより製造できる。
前記アルコールとしては、炭素数8〜20のものが用いられ、直鎖又は分岐の1級又は2級アルコールが好ましい。これらのアルコールは、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
エチレンオキシド、プロピレンオキシドの付加方法は、ランダム重合であってもブロック重合であってもよい。

0026

粉体混合物(A)に含まれる(A−4)成分は1種でも2種以上でもよい。
粉体混合物(A)中、(A−4)成分の配合量は、0.05〜2質量%が好ましく、0.05〜1.6質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。前記範囲の下限値以上であると硬質物品の表面に対する殺菌力が向上し、上限値以下であると泡立ち等の不具合がなく、使用性が向上する。

0027

粉体混合物(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(A−1)〜(A−4)成分及び後述する(B−1)〜(B−2)成分以外の他の成分を含有してもよい。
前記他の成分としては、従来、殺菌剤組成物、除菌剤組成物漂白剤組成物洗浄剤組成物等に配合し得る成分として公知のもののなかから必要に応じて適宜選択できる。前記他の成分の好ましい具体例としては、たとえば以下に示す漂白活性化剤無機塩類有機塩類高分子化合物等が挙げられる。

0028

・漂白活性化剤:
殺菌力を高めるために、漂白活性化剤を併用することもできる。
漂白活性化剤としては、たとえばオクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン、テトラアセチルエチレンジアミン等が挙げられる。

0029

・無機塩類:
前記無機塩類は、前記(A−1)成分、(A−2)成分及び後述する(B−2)成分に該当しない無機塩類であり、たとえば硫酸ナトリウム硫酸カリウム等の中性塩、下記一般式(I)で表される結晶性アルミノ珪酸塩、下記一般式(II)又は(III)で表される無定形アルミノ珪酸塩、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の無機アンモニウム塩等が挙げられる。

0030

0031

式(I)中、Mはアルカリ金属原子を表し、x1、y1及びw1はそれぞれ各成分(M2O、SiO2、H2O)のモル数を表す。
Mのアルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。x1は通常0.7〜1.5の範囲内である。y1は通常0.8〜6の範囲内である。w1は0又は任意の正数である。
式(II)中、Mはアルカリ金属原子を表し、x2、y2及びw2はそれぞれ各成分(M2O、SiO2、H2O)のモル数を表す。
Mのアルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。x2は通常0.7〜1.2の範囲内である。y2は通常1.6〜2.8の範囲内である。w2は0又は任意の正数である。
式(III)中、Mはアルカリ金属原子を表し、x3、y3、z3及びw3はそれぞれ各成分(M2O、SiO2、P2O5、H2O)のモル数を表す。
Mのアルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。x3は通常0.2〜1.1の範囲内である。y3は通常0.2〜4.0の範囲内である。z3は通常0.001〜0.8の範囲内である。w3は0又は任意の正数である。

0032

有機酸塩類
前記有機塩類は、前記(A−2)成分に該当しない有機塩類であり、たとえば、銅を対イオンに持つ銅塩を除く、ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩クエン酸塩グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネートオキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩p−トルエンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウムキュメンスルホン酸ナトリウム等の炭素数1〜5の短鎖アルキルを有するベンゼンスルホン酸塩安息香酸ナトリウム;ベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。

0033

・高分子化合物:
高分子化合物としては、たとえば、アクリル酸系高分子化合物ポリアセタールカルボン酸塩、イタコン酸フマル酸テトラメチレン−1,2−ジカルボン酸コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体ポリエチレングリコールカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体ポリビニルピロリドン及びその誘導体シリコーン油等が挙げられる。

0034

粉体混合物(A)の調製方法は特に限定されず、常法に準じて調製できる。具体的には、たとえば(A−1)〜(A−4)成分及び任意成分の粉体を乾式混合する方法、(A−1)成分に(A−2)と(A−4)成分の水溶液を噴霧混合した後、(A−3)成分を乾式混合する方法、(A−1)成分に(A−2)成分の水溶液を噴霧混合した後に(A−4)成分を噴霧混合し、最後に(A−3)成分を乾式混合する方法等が挙げられる。

0035

<(B−1)成分:過酸化水素水溶液>
(B−1)成分としては、任意の濃度の過酸化水素水溶液を使用することができる。安全性や取り扱い性の観点から、過酸化水素濃度30〜65質量%の過酸化水素水溶液が好ましく、特に、工業的に製造・販売されている35質量%過酸化水素水溶液を使用することが望ましい。
本態様の殺菌剤組成物において、(B−1)成分は、前記粉体混合物(A)とは別剤とされ、その配合量は特に限定されない。用時において処理水中の過酸化水素の純分換算濃度が、所望の殺菌効果が得られる値となるよう、過酸化水素水溶液中の過酸化水素濃度や、処理水中への(B−1)成分の添加量を考慮して適宜設定すればよい。

0036

本態様の殺菌剤組成物は、粉体混合物(A)及び(B−1)成分を含有することで、殺菌力及び処理時の過酸化水素の安定性が高く、硬質物品の表面に付着したグラム陰性菌等の微生物を効果的に殺菌できる。
上記効果が得られる理由としては、
(1)前記粉体混合物(A)に含まれる(A−1)成分が、処理水のpHを8〜12のアルカリ性にするとともに、(A−2)成分及び(A−3)成分が処理水中で錯体を形成し、過酸化水素の酸化触媒として機能して、過酸化水素の酸化作用が増大すること、
(2)(A−2)成分と(A−3)成分とを所定のモル比で組み合わせることにより、処理水中での過酸化水素の過剰な分解が抑制されること、
(3)(A−4)成分が、殺菌対象面である硬質物品の表面のぬれ性を向上することにより上記の各成分が効率よく硬質物品の表面と接触して殺菌力が有効に働くとともに、前記対象面にいわゆるバイオフィルム状に付着した菌体複合体やコロイド状に凝集した菌体の分散にも寄与すること、
等が考えられる。
また、本態様の殺菌剤組成物は、上記効果に加え、さらに、界面活性剤として(A−4)成分を有することで、泡立ち性も低い(低泡性である)。このことは、前記殺菌剤組成物による硬質物品の表面の殺菌を、工業用の洗浄機を使用して行う際に有用である。つまり、工業用の洗浄機で上記のような過酸化水素の酸化作用を利用した殺菌処理を行う場合は、50℃程度の高温下での殺菌剤組成物の溶解性や処理液中の過酸化水素の安定性(残存時間の長さ)が求められる。また、洗浄機内で大量の泡が発生すると、洗浄機からの泡あふれやすすぎ不良、洗浄水供給ポンプの過負荷といった問題も発生することから、低泡性も求められる。本態様の殺菌剤組成物は、このような要求を満たすものである。

0037

したがって、本態様の殺菌剤組成物は、硬質物品用として好適である。
ここで、殺菌剤組成物の殺菌対象である「硬質物品の表面」における硬質物品とは、表面の少なくとも一部が硬質材料からなる物品を意味し、硬質材料としては、たとえばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンポリプロピレンメラミン樹脂アクリル樹脂等のプラスチック、ガラス、陶器アルミ、鉄、ステンレス等が挙げられる。
本発明において、硬質物品の表面を構成する材質は、表面の親疎水性の影響により通常の洗浄剤では殺菌力が得られにくく、本発明の有用性が高いため、ガラス、ポリカーボネート又はポリエチレンテレフタレートが好ましい。
硬質物品の具体例としては、たとえば、食品包装容器、飲料用容器、食器、義歯等が挙げられる。これらの中でも、高温下において工業用の洗浄器を用いて洗浄される点から、食品包装容器又は飲料用容器が好ましい。

0038

≪第一の態様の硬質物品用殺菌剤組成物(2剤型)を用いた硬質物品の表面の殺菌方法≫
前記第一の態様の硬質物品用殺菌剤組成物を用いた硬質物品の表面の殺菌方法としては、前記粉体混合物(A)からなる第一剤を水で希釈し、得られた希釈液と前記(B−1)成分からなる第二剤とを混合し、得られた混合液(処理水)と前記硬質物品の表面とを接触させる方法が好ましい。第一剤を、第二剤と混合する前に予め水で希釈しておくことにより、使用前に溶解不良や解け残りの有無を確認することができる。
第一剤を希釈するときの水の使用量は、希釈液中の第一剤の濃度が1〜10質量%となる量が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。
第二剤は、そのまま第一剤の希釈液と混合してもよく、必要に応じて、水で希釈してから混合してもよい。第一剤の希釈液と混合する際の第二剤中の過酸化水素濃度は、取り扱い易さや保管性の点から、過酸化水素の純分換算で5〜60質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましい。
第一剤の希釈液と第二剤との混合は、過酸化水素の安定性を考慮すると、10〜60℃で行うことが好ましく、20〜50℃で行うことがより好ましい。

0039

上記のようにして調製された混合液(処理水)中、(B−1)成分に由来する過酸化水素濃度は、充分な殺菌性能を得るためには、純分換算で、0.01〜0.5質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましい。
また、前記混合液(処理水)中の第一剤の濃度は、充分な殺菌性能を得るためには、0.05〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。
前記混合液は、25℃におけるpHが8〜12であることが好ましく、9〜11であることがより好ましい。pHが8以上であると充分な殺菌性能が得られるが、12を超えると過酸化水素の安定性が損なわれ、殺菌力が低下する場合がある。

0040

上記のようにして調製された混合液(処理水)と硬質物品の表面とを接触させる方法は、特に制限されない。たとえば、洗浄機で、洗浄液として前記混合液を用いて硬質物品を洗浄する方法、前記混合液中に硬質物品を浸け置く等の方法、前記混合液をトリガーボトル等へ充填し、硬質表面に噴霧する方法等が挙げられる。これらの中でも、本発明の有用性に優れることから、洗浄機を用いて洗浄する方法が好ましい。
硬質物品の表面と接触させる際の混合液の温度は、殺菌効果、及び(A−4)成分の泡立ちや(A−4)成分による表面濡れ性を考慮すると、30〜65℃が好ましく、40〜55℃がより好ましい。

0041

≪第二の態様の硬質物品用殺菌剤組成物(1剤型)≫
本発明の第二の態様の殺菌剤組成物は、前記(A−1)〜(A−4)成分と下記(B−2)成分とを含有し、前記(A−2)成分及び前記(A−3)成分の(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が3.0〜20である粉体混合物からなる1剤型の殺菌剤組成物である。

0042

<(A−1)〜(A−4)成分>
本態様の殺菌剤組成物において、(A−1)〜(A−4)成分としてはそれぞれ前記第一の態様の殺菌剤組成物で説明した(A−1)〜(A−4)成分と同様のものが挙げられ、(A−3)/(A−2)で表されるモル比も同様である。
本態様の殺菌剤組成物に含まれる(A−1)〜(A−4)成分はそれぞれ1種でも2種以上でもよい。

0043

本態様においては、(B−2)成分を配合しており、水中にて前記(B−2)成分から過酸化水素が放出される際、同時に「水溶液が塩基性を示すアルカリ金属塩」が放出されることがある。具体的には(B−2)成分が過炭酸ナトリウムの場合、水中で過酸化水素と炭酸ナトリウムが放出される。(B−2)成分から放出された「水溶液が塩基性を示すアルカリ金属塩」は、(A−1)成分と同様の機能を有する。そのため、本態様の殺菌剤組成物中の(A−1)成分の配合量は、(B−2)成分の種類及び配合量を考慮して設定する。
具体的には、(B−2)成分として、「水溶液が塩基性を示すアルカリ金属塩」を放出し得るものを使用する場合、(A−1)成分と、(B−2)成分から生じ得る「水溶液が塩基性を示すアルカリ金属塩」との合計量が、殺菌剤組成物の総質量に対し、60〜98質量%となるように、(A−1)成分の配合量を調節することが好ましい。

0044

本態様の殺菌剤組成物中、(A−2)成分の配合量は、殺菌剤組成物の総質量に対し、無水物換算で0.07〜0.7質量%が好ましく、0.07〜0.4質量%がより好ましく、0.1〜0.4質量%がさらに好ましい。前記範囲内であると充分な殺菌力が発現する。
本態様の殺菌剤組成物中、(A−3)成分の配合量は、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量で表されるモル比が所定の範囲内となる量であればよい。殺菌力と過酸化水素の安定性とのバランスから、純分換算で、殺菌剤組成物の総質量に対し、純分換算で0.07〜5.3質量%が好ましく、0.35〜4.5質量%がより好ましく、0.9〜4.5質量%がさらに好ましい。
本態様の殺菌剤組成物中、(A−4)成分の配合量は、殺菌剤組成物の総質量に対し、0.03〜1.3質量%が好ましく、0.03〜0.7質量%がより好ましく、0.07〜0.7質量%がさらに好ましい。前記範囲の下限値以上であると硬質物品の表面に対する殺菌力が向上し、上限値以下であると泡立ち等の不具合がなく、使用性が向上する。

0045

<(B−2)成分:水中で過酸化水素を放出する無機過酸化物>
(B−2)成分の具体例としては、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム・三水和物等の、無機塩の過酸化水素付加体が挙げられる。これらの中でも、使用時の溶解性や貯蔵時の安定性の点から、過炭酸ナトリウムが好ましい。
過炭酸ナトリウムは炭酸ナトリウムと過酸化水素との付加物であり、Na2CO3・3/2H2O2の構造式で示される。具体的には、日本パーオキサイド株式会社「PC−A」を使用することができる。また、過炭酸ナトリウムとして、貯蔵時の安定性をさらに改善するために、表面がコーティング剤被覆されたもの(被覆過炭酸ナトリウム)を使用してもよい。前記コーティング剤としては、ケイ酸及び/又はケイ酸塩ホウ酸及び/又はホウ酸塩との混合物や、界面活性剤と無機化合物との混合物が挙げられる。
殺菌剤組成物に含まれる(B−2)成分は1種でも2種以上でもよい。
殺菌剤組成物中、(B−2)成分の配合量は、殺菌剤組成物の総質量に対し、70〜95質量%が好ましく、80〜95質量%がより好ましく、92〜95質量%がさらに好ましい。前記範囲の下限値以上或いは上限値以下であると充分な殺菌力が得られる。

0046

本態様の殺菌剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(A−1)〜(A−4)成分及び(B−1)〜(B−2)成分以外の他の成分を含有してもよい。
前記他の成分としては、従来、殺菌剤組成物、除菌剤組成物、漂白剤組成物、洗浄剤組成物等に配合し得る成分として公知のもののなかから必要に応じて適宜選択できる。前記他の成分の好ましい具体例としては、たとえば前記第一の態様の説明で挙げた漂白活性化剤、無機塩類、有機塩類、高分子化合物等が挙げられる。

0047

本態様の殺菌剤組成物は、(A−1)〜(A−4)成分、(B−2)成分及び任意成分を混合することにより調製でき、具体的には、たとえば(A−1)〜(A−4)成分、(B−2)成分及び任意成分の粉体を乾式混合する方法、(A−1)成分に(A−2)と(A−4)成分の水溶液を噴霧混合した後に(A−3)成分及び(B−2)成分を乾式混合する方法、(A−1)成分に(A−2)成分の水溶液を噴霧混合した後に(A−4)成分を噴霧混合し、続いて(A−3)成分及び(B−2)成分を乾式混合する方法等が挙げられる。

0048

本態様の殺菌剤組成物は、粉体混合物(A)及び(B−2)成分を含有することで、前記第一の態様の殺菌剤組成物と同様、殺菌力及び処理時の過酸化水素の安定性が高く、硬質物品の表面に付着したグラム陰性菌等の微生物を効果的に殺菌できる。
したがって、本態様の殺菌剤組成物は、前記第一の態様の殺菌剤組成物と同様、硬質物品の表面の殺菌用として好適である。

0049

≪第二の態様の硬質物品用殺菌剤組成物(1剤型)を用いた硬質物品の表面の殺菌方法≫
前記第二の態様の殺菌剤組成物を用いた硬質物品の表面の殺菌方法としては、前記殺菌剤組成物を水で希釈し、得られた希釈液と前記硬質物品の表面とを接触させる方法が挙げられる。
水の使用量は、希釈液中の殺菌剤組成物の濃度が1.4〜14質量%となる量が好ましく、4.1〜11質量%がより好ましい。
殺菌剤組成物の希釈は、過酸化水素の安定性を考慮すると、10〜60℃で行うことが好ましく、20〜50℃で行うことがより好ましい。
上記のようにして調製された希釈液は、25℃におけるpHが8〜12であることが好ましく、9〜11であることがより好ましい。pHが8以上であると充分な殺菌性能が得られるが12を超えると過酸化水素の安定性が損なわれ、殺菌力が低下する場合がある。
上記のようにして調製された希釈液(処理水)と硬質物品の表面とを接触させる方法は、特に制限されず、前記第一の態様の硬質物品用殺菌剤組成物(2剤型)を用いた硬質物品の表面の殺菌方法において前記混合液の代わりに前記希釈液を用いる以外は同様にして実施できる。

0050

本発明について、実施例を示してさらに具体的に説明する。ただし本発明は本実施例に限定されるものではない。
以下の各例において使用した原料を以下に示す。
[(A−1)成分]
・炭酸ナトリウム:関東化学社製、試薬(特級)。
・炭酸水素ナトリウム:関東化学社製、試薬(特級)。

0051

[(A−2)成分]
硫酸銅五水和物:関東化学社製、試薬(食品添加物)、分子量249.69(CuSO4・5H2O)。
・塩化銅二水和物:関東化学社製、試薬(特級)、分子量170.48(CuCl2・2H2O)。
・グリシン銅:Advance Scientific & Chemical社製、試薬、分子量211.66。

0052

[(A−3)成分]
・MGDA:メチルグリシンジ酢酸三ナトリウム、BASF社製「TrilonM Granules」、分子量271.11、純分80%。
・NTA:ニトリロトリ酢酸三ナトリウム、BASF社製「TrilonA92R」、分子量257.08、純分92%。
・GLDA:グルタミン酸−N,N−ジ酢酸四ナトリウム、アクゾノベル社製「ディゾルビンGL−38」、分子量351.13、純分38%。
・IDS:イミノジコハク酸四ナトリウム、ランクセス社製「Baypure CX100」、分子量337.10、純分80%。
・HIDA:ヒドロキシエチルイミノジ酢酸二ナトリウム、キレスト社製キレストEA」、分子量221.12、純分100%。

0053

[(A−4)成分]
・C13−O−(EO)9(PO)2−H:ライオン社製「ライオノールTDM−90」。式中、「C13」は、炭素数13のアルキル基、又はアルケニル基を表す。
・Cpalm−O−(EO)7(PO)2−H:ライオン社製「レオクス2008C」。「Cpalm」は天然ヤシ油由来高級アルコール中に含まれる平均約12個の炭素数を含むアルキル基、又はアルケニル基を表す。
・C13−O−(EO)5(PO)1−H:ライオン社製「ライオノールTDL−50」。式中、「C13」は、炭素数13のアルキル基、又はアルケニル基を表す。

0054

[(A−4’)成分]
・C12,14−O−(EO)3(PO)3−H:P&G社製の天然アルコールCO−1214(C12アルコールとC14アルコールとの混合物)に対して3モル相当のエチレンオキシド及び3モル相当のプロピレンオキシドをランダム重合により付加したもの。式中、「C12,14」は、炭素数12若しくは14のアルキル基、又はアルケニル基を表す。
・C13−O−(EO)7(PO)3−H:ライオン社製「ライオノールTD−730」。式中、「C13」は、炭素数13のアルキル基、又はアルケニル基を表す。
ショ糖脂肪酸エステル三菱化学フーズ社製リョートーシュガーエステルP−1570」。
・C12,14−O−(EO)15−H:P&G社製の天然アルコールCO−1214に対して15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。式中、「C12,14」は、炭素数12若しくは14のアルキル基、又はアルケニル基を表す。

0055

[任意成分]
・硫酸ナトリウム:関東化学社製、試薬(特級)。

0056

[(B−1)成分、(B−2)成分]
・過酸化水素:35%過酸化水素水、関東化学社製
・過炭酸ナトリウム:日本パーオキサイド社製「PC−A」(炭酸ナトリウム分67.5%及び過酸化水素分32.5%を含む)。

0057

<実施例1〜14、比較例1〜10:2剤型>
表1〜2に示す組成に従い、総質量が56kgとなるように、図1のプロセスフロー図に示す製造方法に従って、下記手順により、各例の粉体混合物を製造した。なお、表中、各成分の数値は質量%を表し、“—”は未評価を表す。
第1の粉体1として(A−2)成分及び(A−4)成分を精製水に溶解して、金属水溶液を調製した(溶解工程10)。
次いで、水平円筒混合ドラム内容積:130L、直径:0.6m)に、第2の粉体2として(A−1)成分を投入し、回転数20rpm(Fr=0.14)で2分間攪拌した。その後、二流体ノズル(株式会社いけうち製:SETO0407、噴射圧:1.2kg/cm2)を用いて金属水溶液を100mL/分の噴霧速度で噴霧(液滴径:20〜50μm)しながら混合した(噴霧混合工程12)。液滴径はレーザー光散乱方式粒度分布測定装置(Malvern instruments社製マスターサイザーS)を用いて測定した。
噴霧終了後、第3の粉体3として(A−3)成分を前記水平円筒混合ドラムに投入し、回転数20rpmで5分間混合して、各例の粉体混合物(A)を調製した(粉体混合工程14)。
得られた粉体混合物(2剤型殺菌剤組成物の第一剤)を用いて、以下の評価及び試験を行った。これらのうち、起泡力評価は粉体組成物(A)(第一剤)のみを用い、初期殺菌力評価、過酸化水素残存性評価及び実機殺菌試験は、予め水で希釈した粉体組成物(A)(第一剤)と過酸化水素水(第二剤)とを混合して行った。ただし比較例4のみ過酸化水素水を混合せずにこれらの評価及び試験を行った。結果を表1〜2に併記した。

0058

[起泡力評価(泡体積測定)]
粉体混合物(A)を0.2g量し、イオン交換水を添加して全量を100gとした。
この溶液のうち20mLを採取し、容積100mLの目盛り付き比色管に移し、温浴中で50℃に調整した。この比色管を2往復/1秒の速さで20秒間上下に振とうさせた後、30秒間静置した。静置後、液面から上に存在する泡の容量(泡体積)を目視で測定した。この泡体積が小さいほど、起泡力が低いことを示す。
なお、本評価にて泡体積が10mL以下の起泡力であれば、後に記載の実機殺菌試験でボトル洗浄機での洗浄に供した際に、洗浄機からの泡あふれやすすぎ性の問題がなく使用できた。

0059

[初期殺菌力評価]
第一剤である粉体混合物(A)0.4gを秤量し、滅菌水で溶解して全量を100gとした。この溶液を試験管内に5mL分取し、温浴中で50℃に調整した。この溶液に第二剤である(B−1)成分(35%過酸化水素水)を0.025mL(約0.028g)添加(比較例4のみ添加せず)した後、全体の容量が9.9mLになるように残部を滅菌水で調整した。そこに、菌数が1×106個/mLとなるように調整された大腸菌母液(NBRC12732、機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門)0.1mLを添加して試験液とし、これを15秒間均一に攪拌した後、前記試験液から1mL採取し、9mLのSCDL培地(Soybean−Casein Digest Broth with Lectin & Polysorbate 80:和光純薬工業株式会社製)に加え、10倍希釈液とした。得られた希釈液をさらに10倍に希釈する操作を2回繰り返し、10倍から1000倍の希釈液を得た。これら各希釈液から1.0mLをシャーレに採取し、溶解させた標準寒天培地(和光純薬工業株式会社製)約15mLを加えて均一化し、37℃で2日間培養した後、コロニー数30〜300の範囲にあるものを選んでコロニー数をカウントして生存菌数を求め、初菌数(1×106個/mL)の対数値と試験後の生存菌数の対数値との差(ΔLog)から以下の評価基準により評価を行った。
(評価基準)
A:ΔLog3が以上。
B:ΔLog2が以上3未満。
C:ΔLog1が以上2未満。
D:ΔLog1が未満。

0060

[過酸化水素残存性評価]
容積2Lのステンレス製ビーカーに、第一剤である粉体混合物(A)を1.6g秤量し、水道水800mLを添加して撹拌溶解させた後に温浴中で50℃に加温した。そこに、第二剤である(B−1)成分(35%過酸化水素水)を16mL(18.1g)添加して再度撹拌を開始した。1時間攪拌後、その溶液約3mLを採取し、イオン交換水で200mLまでメスアップした後に全量を300mLの三角フラスコに移し、2mol/Lの硫酸10mLを添加してpHが4以下であることをpHメーターにて確認し、0.02mol/L過マンガン酸カリウムで薄く色付くまで滴定するヨードメトリー法により過酸化水素濃度を求めた。その結果から、式[1時間攪拌後の過酸化水素濃度/初期過酸化水素濃度]×100により、過酸化水素残存率(%)を算出し、以下の評価基準により過酸化水素残存性を評価した。
初期過酸化水素濃度は、(B−1)成分を添加して攪拌を開始した直後の過酸化水素濃度を上記と同様のヨードメトリー法により測定したものである。
(評価基準)
A:過酸化水素残存率30%以上。
B:過酸化水素残存率10%以上30%未満。
D:過酸化水素残存率10%未満。

0061

[実機殺菌試験]
ボトル用洗浄機(Norland社製、BW150)の洗浄水タンクに、水道水を76L投入した。第一剤である粉体混合物(A)160gを、水道水4Lを用いて撹拌溶解させ、洗浄水タンクに投入した後、洗浄水温度が50〜55℃になるように加温した。そこに、第二剤である(B−1)成分(35%過酸化水素水)を0.6L投入し、飲料水用途で使用された後、回収されたポリカーボネート製ボトル(容量12L)を順次洗浄(15秒×3回)、すすぎ(15秒×3回)して、合計120本殺菌処理を行った。
殺菌処理済ボトル10本ごとに滅菌水100mLを添加した後、滅菌済みキャップで栓をし、ボトルを1分間激しく上下に振とうさせて、ボトル中の細菌を抽出した。この菌抽出液全量を滅菌済みメンブランフィルターでろ過した後、このメンブランフィルターを標準寒天培地プレートに移し、37℃で2日間培養した。10本毎のボトル中の菌数の総和を残存菌数として評価した。
本試験で残存菌数が合計10個未満であれば、充分な殺菌力が得られているものと評価した。

0062

0063

0064

※1:表1、及び表2中、(A−2)成分のカッコ内の数値は、無水物換算量を示す。
※2:表1、及び表2中、(A−3)成分のカッコ内の数値は、その成分の純分換算量を示す。
※3:表1、及び表2中、(B−1)成分のカッコ内の数値は、過酸化水素の純分換算量を示す。

0065

表1〜2に示すとおり、実施例1〜14は、いずれも泡体積が10mL以下であり、また、初期殺菌力評価、過酸化水素残存性評価、実機殺菌試験のすべての評価で良好な結果が得られた。
一方、(A−2)成分を配合していない比較例1、(A−4)成分を配合していない比較例3、(B−1)成分を配合していない比較例4、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量のモル比が20.6の比較例5、は、初期殺菌力評価、実機殺菌試験のいずれの評価結果も悪かった。
(A−3)成分を配合していない比較例2、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量のモル比が2.9の比較例6、(A−4)成分の代わりにショ糖脂肪酸エステルを配合した比較例9は、過酸化水素残存性評価及び実機殺菌試験の結果が悪かった。特に比較例9は、初期殺菌力評価結果も不良であった。実機殺菌試験結果が悪かったのは、ボトル用洗浄機中で過酸化水素が短時間で分解してしまったためと考えられる。
(A−4)成分の代わりにC12,14−O−(EO)3(PO)3−H又はC13−O−(EO)7(PO)3−Hを配合した比較例7、8は、初期殺菌力評価結果、実機殺菌試験結果ともに不良だった。
(A−4)成分の代わりにC12,14−(EO)15−Hを配合した比較例10は、起泡力が高く、実機殺菌試験でボトル洗浄機での洗浄に供した際に、洗浄機からの泡あふれが生じ、すすぎ性も悪かった。

0066

<実施例15〜28、比較例11〜19:1剤型>
表3〜4に示す組成に従い、総質量が56kgとなるように、図1のプロセスフロー図に示す製造方法に従って、下記手順により、各例の粉体混合物を製造した。なお、表中、各成分の数値は質量%を表し、“—”は未評価を表す。
第1の粉体1として(A−2)成分及び(A−4)成分を精製水に溶解して、金属水溶液を調製した(溶解工程10)。
次いで、水平円筒混合ドラム(内容積:130L、直径:0.6m)に、第2の粉体2として(A−1)成分を投入し、回転数20rpm(Fr=0.14)で2分間攪拌した。その後、二流体ノズル(株式会社いけうち製:SETO0407、噴射圧:1.2kg/cm2)を用いて金属水溶液を100mL/分の噴霧速度で噴霧(液滴径:20〜50μm)しながら混合した(噴霧混合工程12)。液滴径はレーザー光散乱方式粒度分布測定装置(Malvern instruments社製マスターサイザーS)を用いて測定した。
噴霧終了後、第3の粉体3として(A−3)成分及び(B−2)成分を前記水平円筒混合ドラムに投入し、回転数20rpmで5分間混合して、各例の粉体混合物を調製した(粉体混合工程14)。
得られた粉体混合物(1剤型の殺菌剤組成物)を用いて以下の評価及び試験を行った。結果を表3〜4に併記した。

0067

[起泡力評価(泡体積測定)]
殺菌剤組成物を0.3g秤量し、イオン交換水を添加して全量を100gとした。この溶液のうち20mLを採取し、容積100mLの目盛り付き比色管に移し、温浴中で50℃に調整した。この比色管を2往復/1秒の速さで20秒間上下に振とうさせた後、30秒間静置した。静置後、液面から上に存在する泡の容量(泡体積)を目視で測定した。この泡体積が小さいほど、起泡力が低いことを示す。
なお、本評価にて泡体積が10mL以下の起泡力であれば、後に記載の実機殺菌試験でボトル洗浄機での洗浄に供した際に、洗浄機からの泡あふれやすすぎ性の問題がなく使用できた。

0068

[初期殺菌力評価]
殺菌剤組成物0.6gを秤量し、滅菌水で溶解して全量を100gとした。この溶液を試験管内に5mL分取し、温浴中で50℃に調整した。この溶液の全体の容量が9.9mLになるように残部を滅菌水で調整した。そこに、菌数が1×106個/mLとなるように調整された大腸菌母液(NBRC12732、機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構・生物遺伝資源部門)0.1mLを添加して試験液とし、これを15秒間均一に攪拌したら1mL採取し、9mLのSCDLP培地(Soybean−Casein Digest Broth with Lectin & Polysorbate 80:和光純薬工業株式会社製)に加え、10倍希釈液とした。得られた希釈液をさらに10倍に希釈する操作を2回繰り返し、10倍から1000倍の希釈液を得た。これら各希釈液から1.0mLをシャーレに採取し、溶解させた標準寒天培地(和光純薬工業株式会社製)約15mLを加えて均一化し、37℃で2日間培養した後、コロニー数30〜300の範囲にあるものを選んでコロニー数をカウントして生存菌数を求め、初菌数(1×106個/mL)の対数値と試験後の生存菌数の対数値との差(ΔLog)から以下の評価基準により評価を行った。
(評価基準)
A:ΔLog3が以上。
B:ΔLog2が以上3未満。
C:ΔLog1が以上2未満。
D:ΔLog1が未満。

0069

[過酸化水素残存性評価]
容積2Lのステンレス製ビーカーに、殺菌剤組成物を2.4g秤量し、予め温浴中で50℃に加温した水道水800mLを添加して撹拌溶解を開始した。1時間攪拌後、その溶液約3mLを採取し、イオン交換水で200mLまでメスアップした後に全量を300mLの三角フラスコに移し、2mol/Lの硫酸10mLを添加してpHが4以下であることをpHメーターにて確認し、0.02mol/L過マンガン酸カリウムで薄く色付くまで滴定するヨードメトリー法により過酸化水素濃度を求めた。その結果から、式[1時間攪拌後の過酸化水素濃度/初期過酸化水素濃度]×100により、過酸化水素残存率(%)を算出し、以下の評価基準により過酸化水素残存性を評価した。
初期過酸化水素濃度は、(B−1)成分を添加して攪拌を開始した直後の過酸化水素濃度を上記と同様のヨードメトリー法により測定したものである。
(評価基準)
A:過酸化水素残存率30%以上。
B:過酸化水素残存率10%以上30%未満。
D:過酸化水素残存率10%未満。

0070

[実機殺菌試験]
ボトル用洗浄機(Norland社製、BW150)の洗浄水タンクに、水道水を76L投入した後、50〜55℃になるように加温した。別途、殺菌剤組成物240gを、水道水10Lを用いて撹拌溶解した後、上記洗浄水タンクに投入し、飲料水用途で使用された後、回収されたポリカーボネート製ボトル(容量12L)を順次洗浄(15秒×3回)、すすぎ(15秒×3回)して、合計120本殺菌処理を行った。
殺菌処理済ボトル10本ごとに滅菌水100mLを添加した後、滅菌済みキャップで栓をし、ボトルを1分間激しく上下に振とうさせて、ボトル中の細菌を抽出した。この菌抽出液全量を滅菌済みメンブランフィルターでろ過した後、このメンブランフィルターを標準寒天培地プレートに移し、37℃で2日間培養した。10本毎のボトル中の菌数の総和を残存菌数として評価した。
本試験で残存菌数が合計10個未満であれば、充分な殺菌力が得られているものと評価した。

0071

0072

0073

※4:表3、及び表4中、(A−2)成分のカッコ内の数値は、無水物換算量を示す。
※5:表3、及び表4中、(A−3)成分のカッコ内の数値は、その成分の純分換算量を示す。

実施例

0074

表3〜4に示すとおり、実施例15〜28は、いずれも泡体積が10mL以下であり、また、初期殺菌力評価、過酸化水素残存性評価、実機殺菌試験のすべての評価で良好な結果が得られた。
一方、(A−2)成分を配合していない比較例11、(A−4)成分を配合していない比較例13、(B−2)成分を配合していない比較例14、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量のモル比が20.6の比較例15、は、初期殺菌力評価、実機殺菌試験のいずれの評価結果も悪かった。
(A−3)成分を配合していない比較例12、(A−3)の配合量/(A−2)の配合量のモル比が2.7の比較例16は、過酸化水素残存性評価及び実機殺菌試験の結果が悪かった。実機殺菌試験結果が悪かったのは、ボトル用洗浄機中で過酸化水素が短時間で分解してしまったためと考えられる。
(A−4)成分の代わりにC12,14−O−(EO)3(PO)3−H又はC13−O−(EO)7(PO)3−Hを配合した比較例17、18は、初期殺菌力評価結果、実機殺菌試験結果ともに不良だった。
(A−4)成分の代わりにC12,14−(EO)15−Hを配合した比較例19は、起泡力が高く、実機殺菌試験でボトル洗浄機での洗浄に供した際に、洗浄機からの泡あふれが生じ、すすぎ性も悪かった。

0075

本発明によれば、硬質物品の表面に対する殺菌力が高く、水中での過酸化水素の安定性が良好で、泡立ち性も低い硬質物品用殺菌剤組成物及び前記硬質物品用殺菌剤組成物を用いた硬質物品の表面の殺菌方法を提供できる。

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