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技術 蛍光スペクトルの識別方法

出願人 IDEC株式会社
発明者 前田重雄徳田潤藤田俊弘
出願日 2010年2月26日 (9年6ヶ月経過) 出願番号 2010-508643
公開日 2013年6月17日 (6年3ヶ月経過) 公開番号 WO2011-104858
状態 特許登録済
技術分野 蛍光または発光による材料の調査,分析 クレジットカード等
主要キーワード 最大増加量 被識別対象 部分幅 並進対称 全発光強度 近似形状 真偽判定処理 模倣品
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図面 (15)

課題・解決手段

蛍光スペクトル識別において、簡便かつ高精度に、複数種類の蛍光スペクトルの互いを判別すると共に、それらに偽装された蛍光スペクトルを判別する。 第1蛍光材料に基づく第1蛍光スペクトルと第2蛍光材料に基づく第2蛍光スペクトルとの合成波形がそれらの蛍光材料の配合の相違に応じて異なる複数種類の合成蛍光スペクトルの識別方法において、第1蛍光スペクトルと第2蛍光スペクトルとが重なり、被識別対象物から計測された計測蛍光スペクトル(Fm(λ))に対して第1識別関数(hα(λ))、第2識別関数(hβ(λ))及び第3識別関数(hγ(λ))で重みを付けた第1加重平均値、第2加重平均値及び第3加重平均値をそれらの総和で除算して第1識別値、第2識別値及び第3識別値を算出し、それらの識別値の組み合わせに基づいて複数種類の合成蛍光スペクトルを互いに判別すると共にそれらの真偽を判別する構成とした。

概要

背景

従来において、主波長の異なる複数種類蛍光材料を所定の配合で含有させることによって物品に所定の識別情報を書き込み、その識別情報に対応する蛍光スペクトル励起光照射に基づいて読み出して、物品の種類の特定や物品の真贋を判定する方法が知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。図13は、従来における複数種類の識別情報を構成する蛍光スペクトルの組み合わせの一例を定性的に表すスペクトルである。主波長がλxである蛍光材料X及び主波長がλyである蛍光材料Yの配合量の組み合わせを識別情報とし、それらの配合量が、図13に示されたように、蛍光材料Xに基づく蛍光スペクトル(破線で示されたx1・fx(λ),x2・fx(λ),x3・fx3(λ))の主波長λxにおける発光強度がS1、S2及びS3のいずれかとなり、かつ、蛍光材料Yに基づく蛍光スペクトル(破線で示されたy1・fy(λ),y2・fy(λ),y3・fy(λ))の主波長λyにおける発光強度がS1、S2及びS3のいずれかとなるように調整されている。つまり、9種類(=蛍光材料Xの3種類の配合量(強度)×蛍光材料Yの3種類の配合量(強度))の識別情報から選択された1つの識別情報が書き込まれることになる。読み出しにおいては、蛍光材料Xに基づく蛍光スペクトルと蛍光材料Yに基づく蛍光スペクトルとが合成された合成蛍光スペクトル、例えば、蛍光材料X及び蛍光材料Yの主波長における強度がそれぞれS2及びS3となるように蛍光材料X及び蛍光材料Yが配合されている場合には、実線で示されたように、蛍光スペクトルx2・fx(λ)と蛍光スペクトルy3・fy(λ)とが合成された合成蛍光スペクトルF2,3(λ)が計測され、蛍光材料X及び蛍光材料Yの各々の主波長(波長λx,波長λy)における合成蛍光スペクトルF2,3(λ)の強度に対応する一組の識別値導出される。

この一組の識別値の各識別値が、第1許容範囲(S1±δ)、第2許容範囲(S2±δ)及び第3許容範囲(S3±δ)のいずれかの許容範囲内である場合には真のスペクトルであると判定されると共に、一組の識別値がいずれの許容範囲の組み合わせに対応するかに応じて識別情報が読み出される。なお、第1範囲(S1±δ)、第2範囲(S2±δ)、第3範囲(S3±δ)は互いに重複しない範囲である。

このように一組の識別値に基づく数値判断によって識別情報や真偽判別する場合には、それらの判別が簡素な読み出し装置によって簡便に行える。これは、読み出し装置において、合成蛍光スペクトルを表示させたりする必要がなくなり、また、人為的な判断が絡まないために高精度にかつ迅速に判断できるからである。

しかしながら、従来のように一組の識別情報を蛍光材料X及び蛍光材料Yの主波長における強度に応じて決定する場合には、同様の一組の識別値が導出されるの蛍光スペクトルが容易に再現できることになる。一般的に、識別情報としての蛍光スペクトルを偽装する場合には、安価にかつ容易に入手できる蛍光材料が用いられると共に、可能な限り少ない種類の蛍光材料が用いられる。

ここで、従来の偽装の手法について簡単に説明する。図14は、従来における複数種類の合成蛍光スペクトルに対する偽装例を表すスペクトルである。図14に示されたように、所定の主波長λx’(≠λx,λy)の既存の蛍光材料X’と所定の主波長λy’(≠λx,λy)の既存の蛍光材料Y’とを用いて、波長λxにおける強度が合成蛍光スペクトルF(λ)(=F2,3(λ))の場合と同一になるように蛍光材料X’の配合量を調整すると共に波長λyにおける強度が合成蛍光スペクトルF(λ)の場合と同一になるように蛍光材料Y’の配合量を調整して蛍光スペクトルFs(λ)を形成する方法が知られている。これは、蛍光材料X’や蛍光材料Y’として、安価にかつ容易に入手でき、主波長が実質的に固定された半導体バルク粒子有機蛍光体等の蛍光材料によって偽装される場合に相当する。このような粗雑な偽装に対して、主波長が粒径組成に応じて変化する半導体ナノ粒子等の蛍光材料を用いて、蛍光材料X及び蛍光材料Yの主波長をも同一となるように蛍光材料の種類を選択して、更に精度の高い偽造が行われるようになってきた。具体的には、図14に示されたように、蛍光材料Xの主波長λxと実質的に同一となるように蛍光材料X’を選択すると共に波長λxにおける強度が合成蛍光スペクトルF(λ)の場合と同一になるように蛍光材料X’の配合量を調整し、かつ、蛍光材料Yの主波長λyと実質的に同一となるように蛍光材料Y’を選択すると共に波長λyにおける強度が合成蛍光スペクトルF(λ)の場合と同一になるように蛍光材料Y’の配合量を調整して、蛍光スペクトルFn(λ)及びFw(λ)を形成する方法が用いられるようになってきた。これによって、蛍光スペクトルFn(λ)や蛍光スペクトルFw(λ)によって偽装された場合には、それらの波形がF(λ)と類似するために、上述のように数値化された識別値によってそれらの真偽を判別することの重要度が増すこととなる。

図14には、蛍光材料X’及び蛍光材料Y’に基づく蛍光スペクトルの半値幅が、それぞれ、蛍光材料X及び蛍光材料Yに基づく蛍光スペクトルの半値幅よりも狭い場合の合成蛍光スペクトルFn(λ)と、それらの半値幅よりも広い場合の合成蛍光スペクトルFw(λ)とが示されているが、蛍光材料の材料系の相違によって、また、同一の材料系であっても製造過程の種々の処理条件等によって、それらの蛍光材料に基づく蛍光スペクトルの半値幅は異なることによる。合成蛍光スペクトルF(λ)の偽造においては、通常、1種類の材料系の蛍光体に対する粒径の変化によって主波長が調整されるために、蛍光材料Xよりも蛍光スペクトルの半値幅が狭い蛍光材料X’が選択される場合には、蛍光材料Yよりも蛍光スペクトルの半値幅が狭い蛍光材料Y’が選択され、逆に、蛍光材料Xよりも蛍光スペクトルの半値幅が広い蛍光材料X”が選択される場合には、蛍光材料Yよりも蛍光スペクトルの半値幅が広い蛍光材料Y”が選択される。

概要

蛍光スペクトルの識別において、簡便かつ高精度に、複数種類の蛍光スペクトルの互いを判別すると共に、それらに偽装された蛍光スペクトルを判別する。 第1蛍光材料に基づく第1蛍光スペクトルと第2蛍光材料に基づく第2蛍光スペクトルとの合成波形がそれらの蛍光材料の配合の相違に応じて異なる複数種類の合成蛍光スペクトルの識別方法において、第1蛍光スペクトルと第2蛍光スペクトルとが重なり、被識別対象物から計測された計測蛍光スペクトル(Fm(λ))に対して第1識別関数(hα(λ))、第2識別関数(hβ(λ))及び第3識別関数(hγ(λ))で重みを付けた第1加重平均値、第2加重平均値及び第3加重平均値をそれらの総和で除算して第1識別値、第2識別値及び第3識別値を算出し、それらの識別値の組み合わせに基づいて複数種類の合成蛍光スペクトルを互いに判別すると共にそれらの真偽を判別する構成とした。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

第1蛍光材料に基づく第1蛍光スペクトルと第2蛍光材料に基づく第2蛍光スペクトルとの合成波形が前記第1蛍光材料と前記第2蛍光材料との配合の相違に応じて異なる複数種類の合成蛍光スペクトルを互いに判別し、かつ、前記複数種類の合成蛍光スペクトルのうち任意の1つの真の蛍光スペクトルに対して全体波形は異なるが前記第1蛍光スペクトルの主波長における強度及び前記第2蛍光スペクトルの主波長における強度は実質的に同一であるの蛍光スペクトルと前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々とを判別する蛍光スペクトルの識別方法であって、前記第1蛍光材料及び前記第2蛍光材料の各々が半導体ナノ粒子集合群であり、前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々を構成する前記第1蛍光スペクトルの一部と前記第2蛍光スペクトルの一部とが重なり、前記第1蛍光スペクトルの主波長の近傍を最頻値とする単頭ピーク形状分布関数を第1識別関数とし、前記第2蛍光スペクトルの主波長の近傍を最頻値とする単頭ピーク形状の分布関数を第2識別関数とし、前記第1識別関数の最頻値と前記第2識別関数の最頻値との間の波長を最頻値とする単頭ピーク形状の分布関数を第3識別関数として、被識別対象物から計測された計測蛍光スペクトルに対して前記第1識別関数で重みを付けた第1加重平均値を算出し、前記計測蛍光スペクトルに対して前記第2識別関数で重みを付けた第2加重平均値を算出し、かつ、前記計測蛍光スペクトルに対して前記第3識別関数で重みを付けた第3加重平均値を算出し、前記第1加重平均値を前記第1加重平均値、前記第2加重平均値及び前記第3加重平均値の総和で規格化して前記計測蛍光スペクトルに対する第1識別値を算出し、前記第2加重平均値を前記総和で規格化して前記計測蛍光スペクトルに対する第2識別値を算出し、かつ、前記第3加重平均値を前記総和で規格化して前記計測蛍光スペクトルに対する第3識別値を算出し、前記第1識別値と前記第2識別値と前記第3識別値の組み合わせが、前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々に対応付けられた所定の前記第1識別値に対する許容範囲と所定の前記第2識別値に対する許容範囲と所定の前記第3識別値に対する許容範囲との許容範囲の組み合わせのいずれか1つの組み合わせに含まれる場合には、前記計測蛍光スペクトルは前記複数種類の合成蛍光スペクトルのうちの当該組み合わせに対応する合成蛍光スペクトルと同一であると判定し、前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々に対応付けられた前記許容範囲の組み合わせのいずれの組み合わせにも含まれない場合には、前記計測蛍光スペクトルは前記偽の蛍光スペクトルであると判定することを特徴とする蛍光スペクトルの識別方法。

請求項2

前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々が双頭ピーク形状である請求項1に記載の蛍光スペクトルの識別方法。

請求項3

前記第3識別関数の最頻値は、前記第1蛍光スペクトルと前記第2蛍光スペクトルとが重なる波長領域内である請求項1又は2に記載の蛍光スペクトルの識別方法。

請求項4

前記第1識別関数、前記第2識別関数及び前記第3識別関数は並進対称関数である請求項1、2又は3に記載の蛍光スペクトルの識別方法。

請求項5

前記第1識別関数、前記第2識別関数及び前記第3識別関数の各々は、前記第1蛍光スペクトル及び前記第2蛍光スペクトルの近似形状である請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光スペクトルの識別方法。

請求項6

前記第1識別関数の最頻値が前記第1蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第2識別関数の最頻値が前記第2蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第3識別関数の最頻値が前記第1識別関数の最頻値と前記第2識別関数の最頻値との中間値と実質的に同一である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光スペクトルの識別方法。

請求項7

前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々は、前記第1蛍光スペクトルの主波長に対する前記第1蛍光スペクトルの強度と前記第2蛍光スペクトルの主波長に対する前記第2蛍光スペクトルの強度との和が実質的に一定である請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光スペクトルの識別方法。

請求項8

前記第1蛍光材料と前記第2蛍光材料とは、前記第1蛍光スペクトルの主波長と前記第2蛍光スペクトルの主波長との間の範囲における最も小さい前記複数種類の合成蛍光スペクトル間の強度差が最も小さくなるように選択されている請求項7に記載の蛍光スペクトルの識別方法。

請求項9

前記第1識別関数の最頻値が第1蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第2識別関数の最頻値が第2蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第3識別関数の最頻値が前記複数種類の合成蛍光スペクトル間の強度差が最も小さい波長と実質的に同一である、請求項7又は8に記載の蛍光スペクトルの識別方法。

請求項10

前記第1識別関数の最頻値が第1蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第2識別関数の最頻値が第2蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第3識別関数の最頻値が前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々に対する前記第3識別値間の最大差が最も小さい波長と実質的に同一である、請求項7又は8に記載の蛍光スペクトルの識別方法。

技術分野

0001

本発明は、蛍光スペクトル識別方法に関し、詳しくは、複数種類の真の蛍光スペクトルを互いに判別すると共にそれらのいずれかに偽装されたの蛍光スペクトルを判別する方法に関する。

背景技術

0002

従来において、主波長の異なる複数種類の蛍光材料を所定の配合で含有させることによって物品に所定の識別情報を書き込み、その識別情報に対応する蛍光スペクトルを励起光照射に基づいて読み出して、物品の種類の特定や物品の真贋を判定する方法が知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。図13は、従来における複数種類の識別情報を構成する蛍光スペクトルの組み合わせの一例を定性的に表すスペクトルである。主波長がλxである蛍光材料X及び主波長がλyである蛍光材料Yの配合量の組み合わせを識別情報とし、それらの配合量が、図13に示されたように、蛍光材料Xに基づく蛍光スペクトル(破線で示されたx1・fx(λ),x2・fx(λ),x3・fx3(λ))の主波長λxにおける発光強度がS1、S2及びS3のいずれかとなり、かつ、蛍光材料Yに基づく蛍光スペクトル(破線で示されたy1・fy(λ),y2・fy(λ),y3・fy(λ))の主波長λyにおける発光強度がS1、S2及びS3のいずれかとなるように調整されている。つまり、9種類(=蛍光材料Xの3種類の配合量(強度)×蛍光材料Yの3種類の配合量(強度))の識別情報から選択された1つの識別情報が書き込まれることになる。読み出しにおいては、蛍光材料Xに基づく蛍光スペクトルと蛍光材料Yに基づく蛍光スペクトルとが合成された合成蛍光スペクトル、例えば、蛍光材料X及び蛍光材料Yの主波長における強度がそれぞれS2及びS3となるように蛍光材料X及び蛍光材料Yが配合されている場合には、実線で示されたように、蛍光スペクトルx2・fx(λ)と蛍光スペクトルy3・fy(λ)とが合成された合成蛍光スペクトルF2,3(λ)が計測され、蛍光材料X及び蛍光材料Yの各々の主波長(波長λx,波長λy)における合成蛍光スペクトルF2,3(λ)の強度に対応する一組の識別値導出される。

0003

この一組の識別値の各識別値が、第1許容範囲(S1±δ)、第2許容範囲(S2±δ)及び第3許容範囲(S3±δ)のいずれかの許容範囲内である場合には真のスペクトルであると判定されると共に、一組の識別値がいずれの許容範囲の組み合わせに対応するかに応じて識別情報が読み出される。なお、第1範囲(S1±δ)、第2範囲(S2±δ)、第3範囲(S3±δ)は互いに重複しない範囲である。

0004

このように一組の識別値に基づく数値判断によって識別情報や真偽を判別する場合には、それらの判別が簡素な読み出し装置によって簡便に行える。これは、読み出し装置において、合成蛍光スペクトルを表示させたりする必要がなくなり、また、人為的な判断が絡まないために高精度にかつ迅速に判断できるからである。

0005

しかしながら、従来のように一組の識別情報を蛍光材料X及び蛍光材料Yの主波長における強度に応じて決定する場合には、同様の一組の識別値が導出される偽の蛍光スペクトルが容易に再現できることになる。一般的に、識別情報としての蛍光スペクトルを偽装する場合には、安価にかつ容易に入手できる蛍光材料が用いられると共に、可能な限り少ない種類の蛍光材料が用いられる。

0006

ここで、従来の偽装の手法について簡単に説明する。図14は、従来における複数種類の合成蛍光スペクトルに対する偽装例を表すスペクトルである。図14に示されたように、所定の主波長λx’(≠λx,λy)の既存の蛍光材料X’と所定の主波長λy’(≠λx,λy)の既存の蛍光材料Y’とを用いて、波長λxにおける強度が合成蛍光スペクトルF(λ)(=F2,3(λ))の場合と同一になるように蛍光材料X’の配合量を調整すると共に波長λyにおける強度が合成蛍光スペクトルF(λ)の場合と同一になるように蛍光材料Y’の配合量を調整して蛍光スペクトルFs(λ)を形成する方法が知られている。これは、蛍光材料X’や蛍光材料Y’として、安価にかつ容易に入手でき、主波長が実質的に固定された半導体バルク粒子有機蛍光体等の蛍光材料によって偽装される場合に相当する。このような粗雑な偽装に対して、主波長が粒径組成に応じて変化する半導体ナノ粒子等の蛍光材料を用いて、蛍光材料X及び蛍光材料Yの主波長をも同一となるように蛍光材料の種類を選択して、更に精度の高い偽造が行われるようになってきた。具体的には、図14に示されたように、蛍光材料Xの主波長λxと実質的に同一となるように蛍光材料X’を選択すると共に波長λxにおける強度が合成蛍光スペクトルF(λ)の場合と同一になるように蛍光材料X’の配合量を調整し、かつ、蛍光材料Yの主波長λyと実質的に同一となるように蛍光材料Y’を選択すると共に波長λyにおける強度が合成蛍光スペクトルF(λ)の場合と同一になるように蛍光材料Y’の配合量を調整して、蛍光スペクトルFn(λ)及びFw(λ)を形成する方法が用いられるようになってきた。これによって、蛍光スペクトルFn(λ)や蛍光スペクトルFw(λ)によって偽装された場合には、それらの波形がF(λ)と類似するために、上述のように数値化された識別値によってそれらの真偽を判別することの重要度が増すこととなる。

0007

図14には、蛍光材料X’及び蛍光材料Y’に基づく蛍光スペクトルの半値幅が、それぞれ、蛍光材料X及び蛍光材料Yに基づく蛍光スペクトルの半値幅よりも狭い場合の合成蛍光スペクトルFn(λ)と、それらの半値幅よりも広い場合の合成蛍光スペクトルFw(λ)とが示されているが、蛍光材料の材料系の相違によって、また、同一の材料系であっても製造過程の種々の処理条件等によって、それらの蛍光材料に基づく蛍光スペクトルの半値幅は異なることによる。合成蛍光スペクトルF(λ)の偽造においては、通常、1種類の材料系の蛍光体に対する粒径の変化によって主波長が調整されるために、蛍光材料Xよりも蛍光スペクトルの半値幅が狭い蛍光材料X’が選択される場合には、蛍光材料Yよりも蛍光スペクトルの半値幅が狭い蛍光材料Y’が選択され、逆に、蛍光材料Xよりも蛍光スペクトルの半値幅が広い蛍光材料X”が選択される場合には、蛍光材料Yよりも蛍光スペクトルの半値幅が広い蛍光材料Y”が選択される。

先行技術

0008

特再WO04/025550

発明が解決しようとする課題

0009

上述のように、蛍光材料X及び蛍光材料Yの主波長における強度に応じた一組の識別情報に基づく判定によっては、図14に示された各種の偽装された偽の蛍光スペクトルと真の合成蛍光スペクトルとの真偽を判別することはできない。また、一般的に、蛍光材料X及び蛍光材料Yの主波長における強度は測定誤差等によって変化するために、複数種類の真の蛍光スペクトルに対する互いの蛍光スペクトルの判別の精度も低下する。

0010

そこで、本発明では、簡便かつ高精度に、複数種類の蛍光スペクトルに対する互いの蛍光スペクトルを判別すると共に、それらに対応する真の蛍光スペクトルに偽装された偽の蛍光スペクトルを判別する。

課題を解決するための手段

0011

上記の課題を解決するために、本発明に係る蛍光スペクトルの識別方法は、
第1蛍光材料に基づく第1蛍光スペクトルと第2蛍光材料に基づく第2蛍光スペクトルとの合成波形が前記第1蛍光材料と前記第2蛍光材料との配合の相違に応じて異なる複数種類の合成蛍光スペクトルを互いに判別し、かつ、前記複数種類の合成蛍光スペクトルのうち任意の1つの真の蛍光スペクトルに対して全体波形は異なるが前記第1蛍光スペクトルの主波長における強度及び前記第2蛍光スペクトルの主波長における強度は実質的に同一である偽の蛍光スペクトルと前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々とを判別する蛍光スペクトルの識別方法であって、
前記第1蛍光材料及び前記第2蛍光材料の各々が半導体ナノ粒子の集合群であり、
前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々を構成する前記第1蛍光スペクトルの一部と前記第2蛍光スペクトルの一部とが重なり、
前記第1蛍光スペクトルの主波長の近傍を最頻値とする単頭ピーク形状分布関数を第1識別関数とし、前記第2蛍光スペクトルの主波長の近傍を最頻値とする単頭ピーク形状の分布関数を第2識別関数とし、前記第1識別関数の最頻値と前記第2識別関数の最頻値との間の波長を最頻値とする単頭ピーク形状の分布関数を第3識別関数として、被識別対象物から計測された計測蛍光スペクトルに対して前記第1識別関数で重みを付けた第1加重平均値を算出し、前記計測蛍光スペクトルに対して前記第2識別関数で重みを付けた第2加重平均値を算出し、かつ、前記計測蛍光スペクトルに対して前記第3識別関数で重みを付けた第3加重平均値を算出し、
前記第1加重平均値を前記第1加重平均値、前記第2加重平均値及び前記第3加重平均値の総和で規格化して前記計測蛍光スペクトルに対する第1識別値を算出し、前記第2加重平均値を前記総和で規格化して前記計測蛍光スペクトルに対する第2識別値を算出し、かつ、前記第3加重平均値を前記総和で規格化して前記計測蛍光スペクトルに対する第3識別値を算出し、
前記第1識別値と前記第2識別値と前記第3識別値の組み合わせが、前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々に対応付けられた所定の前記第1識別値に対する許容範囲と所定の前記第2識別値に対する許容範囲と所定の前記第3識別値に対する許容範囲との許容範囲の組み合わせのいずれか1つの組み合わせに含まれる場合には、前記計測蛍光スペクトルは前記複数種類の合成蛍光スペクトルのうちの当該組み合わせに対応する合成蛍光スペクトルと同一であると判定し、前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々に対応付けられた前記許容範囲の組み合わせのいずれの組み合わせにも含まれない場合には、前記計測蛍光スペクトルは前記偽の蛍光スペクトルであると判定することを特徴としている。

発明の効果

0012

本発明に係る蛍光スペクトルの識別方法によれば、第1識別値、第2識別値及び第3識別値の組み合わせに基づいて、複数種類の蛍光スペクトルに対する互いの蛍光スペクトルの判別及びそれらに対応する真の蛍光スペクトルに偽装された偽の蛍光スペクトルの判別が簡便かつ高精度に行える。

図面の簡単な説明

0013

第1蛍光スペクトルと第2蛍光スペクトルとの一例を定性的に表すスペクトル
複数種類の蛍光スペクトルの組み合わせの一例を定性的に表すスペクトル
複数種類の蛍光スペクトルの組み合わせの一例を重ねて表すスペクトル
情報判定及び真偽判定に用いる一組の識別値の算出方法の一例を説明するフローチャート
識別関数の一例を表すグラフ
測定誤差による蛍光スペクトルの相対的な強度のズレを表すスペクトル
複数種類の蛍光スペクトルに対する各種の識別値の差分値及びそれらの差分値の絶対値の総和を表すグラフ
測定誤差による第1蛍光スペクトル及び第2蛍光スペクトルの半値幅の変化に対する各種の識別値の差分値及びそれらの差分値の絶対値の総和の変化を表すグラフ
測定誤差による第1蛍光スペクトル及び第2蛍光スペクトルの主波長の変化に対する各種の識別値の差分値及びそれらの差分値の絶対値の総和の変化を表すグラフ
真の蛍光スペクトルの一例と狭幅偽装による偽の蛍光スペクトルの一例との相違を表す説明図
真の蛍光スペクトルの一例と広幅偽装による偽の蛍光スペクトルの一例との相違を表す説明図
真の蛍光スペクトルの一例と位置及び強度の複合偽装による偽の蛍光スペクトルの一例との相違を表す説明図
従来における複数種類の識別情報を構成する合成蛍光スペクトルの組み合わせの一例を定性的に表すスペクトル
従来における複数種類の合成蛍光スペクトルに対する偽装例を表すスペクトル

実施例

0014

本発明に係る蛍光スペクトルの識別方法について説明する。なお、蛍光スペクトルの識別方法の概念的な構成について説明した後に、その具体的な構成について図面を参照しながら説明する。

0015

〔概念的な構成〕
本発明に係る蛍光スペクトルの識別方法は、第1蛍光材料に基づく第1蛍光スペクトルと第2蛍光材料に基づく第2蛍光スペクトルとの合成波形が前記第1蛍光材料と前記第2蛍光材料との配合の相違に応じて異なる複数種類の合成蛍光スペクトルを互いに判別し、かつ、前記複数種類の合成蛍光スペクトルのうち任意の1つの真の蛍光スペクトルに対して全体波形は異なるが前記第1蛍光スペクトルの主波長に対する強度及び前記第2蛍光スペクトルの主波長に対する強度は実質的に同一である偽の蛍光スペクトルと前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々とを判別する蛍光スペクトルの識別方法であって、
前記第1蛍光材料及び前記第2蛍光材料の各々が半導体ナノ粒子の集合群であり、
前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々を構成する前記第1蛍光スペクトルの一部と前記第2蛍光スペクトルの一部とが重なり、
第1蛍光スペクトルの主波長の近傍を最頻値とする単頭ピーク形状の分布関数を第1識別関数とし、第2蛍光スペクトルの主波長の近傍を最頻値とする単頭ピーク形状の分布関数を第2識別関数とし、第1識別関数の最頻値と第2識別関数の最頻値との間の波長を最頻値とする単頭ピーク形状の分布関数を第3識別関数として、被識別対象物から計測された計測蛍光スペクトルに対して前記第1識別関数で重みを付けた前記計測蛍光スペクトルの第1加重平均値を算出し、前記計測蛍光スペクトルに対して前記第2識別関数で重みを付けた前記計測蛍光スペクトルの第2加重平均値を算出し、かつ、前記計測蛍光スペクトルに対して前記第3識別関数で重みを付けた前記計測蛍光スペクトルの第3加重平均値を算出し、
前記第1加重平均値を前記第1加重平均値、前記第2加重平均値及び前記第3加重平均値の総和で規格化して前記計測蛍光スペクトルに対する第1識別値を算出し、前記第2加重平均値を前記総和で規格化して前記計測蛍光スペクトルに対する第2識別値を算出し、かつ、前記第3加重平均値を前記総和で規格化して前記計測蛍光スペクトルに対する第3識別値を算出し、
前記第1識別値と前記第2識別値と前記第3識別値の組み合わせが、前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々に対応付けられた所定の前記第1識別値に対する許容範囲と所定の前記第2識別値に対する許容範囲と所定の前記第3識別値に対する許容範囲との許容範囲の組み合わせのいずれか1つの組み合わせに含まれる場合には、前記計測蛍光スペクトルは前記複数種類の合成蛍光スペクトルのうちの当該組み合わせに対応する合成蛍光スペクトルと同一であると判定し、前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々に対応付けられた前記許容範囲の組み合わせのいずれの組み合わせにも含まれない場合には、前記計測蛍光スペクトルは前記偽の蛍光スペクトルであると判定することを特徴としている。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法A」とも称す。

0016

ここで、「主波長」とは、蛍光材料に基づく蛍光スペクトルにおいて最大強度となる波長を意味している。「第1蛍光スペクトルの一部と第2蛍光スペクトルの一部とが重なる」とは、第1蛍光スペクトルの1/10幅(FWTM)のうち第1蛍光スペクトルの主波長よりも第2蛍光スペクトルの主波長側の部分幅と第2蛍光スペクトルの1/10幅(FWTM)のうち第2蛍光スペクトルの主波長よりも第1蛍光スペクトルの主波長側の部分幅との和が、第1蛍光スペクトルの主波長と第2蛍光スペクトルの主波長との間隔よりも大きいことを意味している。
「半導体ナノ粒子」とは、粒径が100nm以下である粒子を意味している。
「第1蛍光スペクトルの主波長の近傍」とは、第1蛍光スペクトルの9/10幅に対応する最短波長最長波長との間の波長を意味し、「第2蛍光スペクトルの主波長の近傍」とは、第2蛍光スペクトルの9/10幅に対応する最短波長と最長波長との間の波長を意味している。「単頭ピーク形状の分布関数」とは、1箇所の上に凸の尖頭部分を含む形状の関数であって、その尖頭部分の最頻値(最大値)からの波長の変化に応じて単調に減少すると共に漸近的に「0」に収束する関数である。

0017

上記の蛍光スペクトルの識別方法Aであれば、第1識別値及び第2識別値は、それぞれ、真の第1蛍光スペクトルの発光強度(第1蛍光材料の配合量)及び真の第2蛍光スペクトルの発光強度(第2蛍光材料の配合量)を良好に推定できる値となると共に、第1識別値、第2識別値及び第3識別値の各々が規格化によって第1蛍光スペクトル及び第2蛍光スペクトルの全体的な発光強度に依存せず、第1識別値、第2識別値及び第3識別値が、それぞれ、真の第1蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの第1蛍光スペクトルの主波長の周辺における相違、真の第2蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの第2蛍光スペクトルの主波長の周辺における相違、及び、真の第1蛍光スペクトルとその偽の蛍光スペクトルとの第1蛍光スペクトルの主波長と異なる波長の周辺の相違と真の第2蛍光スペクトルとその偽の蛍光スペクトルとの第2蛍光スペクトルの主波長と異なる波長の周辺の相違との双方の相違に応じて変化するために、第1識別値と第2識別値と第3識別値との組み合わせに基づいて、第1蛍光材料に基づく発光強度と第2蛍光材料に基づく発光強度の比が異なる複数種類の真の合成蛍光スペクトルを互いに高精度で判別できると共に、各種の真の合成蛍光スペクトルと各種の偽の合成蛍光スペクトルとを高精度かつ簡便に判別できる。

0018

上記の蛍光スペクトルの識別方法Aにおいて、
前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々が双頭ピーク形状である構成であることが好ましい。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法B」とも称す。

0019

ここで、「双頭ピーク形状」とは、合成蛍光スペクトルにおいて2箇所の上に凸の尖頭部分を含む形状を意味している。なお、合成蛍光スペクトルが双頭ピーク形状となる場合には、第1蛍光スペクトルの半値幅(FWHM)のうち第1蛍光スペクトルの主波長よりも第2蛍光スペクトルの主波長側の部分幅と第2蛍光スペクトルの半値幅(FWHM)のうち第2蛍光スペクトルの主波長よりも第1蛍光スペクトルの主波長側の部分幅との和は、第1蛍光スペクトルの主波長と第2蛍光スペクトルの主波長との間隔よりも小さくなる。

0020

上記の識別方法Bであれば、各種の合成蛍光スペクトルが双頭ピーク形状となるように第1蛍光スペクトルの主波長と第2蛍光スペクトルの主波長とが所定の間隔以上離れているために、第1識別値における真の第2蛍光スペクトルからの寄与が良好に低減されて真の第1蛍光スペクトルの発光強度を更に高精度で推定できる値となると共に第2識別値における真の第1蛍光スペクトルからの寄与が良好に低減されて第2蛍光スペクトルの発光強度が更に良好に推定できる値となり、また、第1識別値、第2識別値及び第3識別値が、それぞれ、真の蛍光スペクトルと偽の蛍光スペクトルとの各種の相違を更に高精度で反映することになる。これによって、第1識別値と第2識別値と第3識別値との組み合わせに基づいて、複数種類の真の合成蛍光スペクトルを更に高精度で判別できると共に各種の真の合成蛍光スペクトルと各種の偽の合成蛍光スペクトルとを更に高精度で判別できる。

0021

上記の蛍光スペクトルの識別方法A〜Bにおいて、
前記第3識別関数の最頻値は、前記第1蛍光スペクトルと前記第2蛍光スペクトルとが重なる波長領域内である構成であることが好ましい。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法C」とも称す。

0022

上記の識別方法Cであれば、第1蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの相違が大きい部分と、第2蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの相違が大きい部分とが重複するために、第3識別値がそれらの相違に応じて敏感に変化することとなり、各種の真の合成蛍光スペクトルと各種の偽の合成蛍光スペクトルとの判別精度が向上する。

0023

上記の蛍光スペクトルの識別方法A〜Cにおいて、
前記第1識別関数、前記第2識別関数及び前記第3識別関数は並進対称な関数である構成であることが好ましい。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法D」とも称す。

0024

上記の識別方法Dであれば、第1加重平均値、第2加重平均値及び第3加重平均値の算出が簡便に実行できると共に、第1識別値、第2識別値及び第3識別値における各種の加重平均値の重みを均一化できる。

0025

上記の蛍光スペクトルの識別方法A〜Dにおいて、
前記第1識別関数、前記第2識別関数及び前記第3識別関数の各々は、前記第1蛍光スペクトル及び前記第2蛍光スペクトルの近似形状である構成であることが好ましい。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法E」とも称す。

0026

ここで、「第1蛍光スペクトル及び第2蛍光スペクトルの近似形状」としては、例えば、第1蛍光スペクトルと実質的に同一の形状の関数、第1蛍光スペクトルの半値幅と同一の幅を半値幅とするガウス関数、第1蛍光スペクトルのピークフィッティングに基づくガウス関数、第2蛍光スペクトルと実質的に同一の形状の関数、第2蛍光スペクトルの半値幅と同一の幅を半値幅とするガウス関数、第2蛍光スペクトルのピークフィッティングに基づくガウス関数、第1蛍光スペクトルの半値幅と第2蛍光スペクトルの半値幅との平均値を半値幅とするガウス関数、ピークフィッティングに基づく第1蛍光スペクトルと第2蛍光スペクトルとの半値幅の平均値を半値幅とするガウス関数が挙げられる。

0027

上記の識別方法Eであれば、第1識別値及び第2識別値が、真の第1蛍光スペクトルの発光強度と真の第2蛍光スペクトルの発光強度とを更に良好に推定できる値となると共に、第1識別値、第2識別値及び第3識別値が、それぞれ、第1蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの相違、真の第2蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの第2蛍光スペクトルの相違、及び、それらの双方の相違を良好に反映させることができるために、複数種類の真の合成蛍光スペクトルに対する互いの判別精度や各種の真の合成蛍光スペクトルと各種の偽の合成蛍光スペクトルとの判別精度が更に向上する。

0028

上記の蛍光スペクトルの識別方法A〜Eにおいて、
前記第1識別関数の最頻値が前記第1蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第2識別関数の最頻値が前記第2蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第3識別関数の最頻値が前記第1識別関数の最頻値と前記第2識別関数の最頻値との中間値と実質的に同一である構成であることが好ましい。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法F」とも称す。

0029

ここで、「実質的に同一」とは、意図的には相違させないことを意味し、「実質的に同一」には、第1蛍光スペクトルや第2蛍光スペクトルの主波長と厳密に一致する場合に限らず、測定誤差等によって計測された第1蛍光スペクトルや計測された第2の蛍光スペクトルの主波長と厳密には一致しない場合を含意している。

0030

上記の識別方法Fであれば、第1識別値及び第2識別値が、真の第1蛍光スペクトルの発光強度と真の第2蛍光スペクトルの発光強度とを更に良好に推定できる値となると共に、第1識別値が、第1蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの第1蛍光スペクトルの主波長より短波長側及び長波長側の双方の相違を均等に反映し、第2識別値が、真の第2蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの第2蛍光スペクトルの主波長より短波長側及び長波長側の双方の相違を均等に反映し、かつ、第3識別値が、第1蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの第1蛍光スペクトルの主波長より第2蛍光スペクトルの主波長側の相違と第2蛍光スペクトルとそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの第2蛍光スペクトルの主波長より第1蛍光スペクトルの主波長側の相違とを均等に反映するために、複数種類の真の合成蛍光スペクトルに対する互いの判別精度や各種の真の合成蛍光スペクトルと各種の偽の合成蛍光スペクトルとの判別精度が更に向上する。

0031

上記の蛍光スペクトルの識別方法A〜Eにおいて、
前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々は、前記第1蛍光スペクトルの主波長に対する前記第1蛍光スペクトルの強度と前記第2蛍光スペクトルの主波長に対する前記第2蛍光スペクトルの強度との和が実質的に一定である構成であることが好ましい。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法G」とも称す。

0032

上記の識別方法Gであれば、第1蛍光スペクトルの発光強度と第2蛍光スペクトルの発光強度との比を確実に異ならせることができる。複数種類の真の合成蛍光スペクトルの各々に対する第1加重平均値及び第2加重平均値の和が概ね一定となり、第1識別値及び第2識別値の各々が真の合成蛍光スペクトルと偽の合成蛍光スペクトルとの相違を敏感に反映する第3加重平均値に基づいて変化し、また、第3識別値がその第3加重平均値に概ね比例して変化するために、複数種類の真の合成蛍光スペクトルに対する互いの判別精度や各種の真の合成蛍光スペクトルと各種の偽の合成蛍光スペクトルとの判別精度が更に向上する。なお、複数種類の真の合成蛍光スペクトルの各々に対する第3識別値の分布範囲が小さくなるために、各種の真の合成蛍光スペクトルと各種の偽の合成蛍光スペクトルとを一括して判別することもできる。

0033

上記の蛍光スペクトルの識別方法Gにおいて、
前記第1蛍光材料と前記第2蛍光材料とは、前記第1蛍光スペクトルの主波長と前記第2蛍光スペクトルの主波長との間の範囲における最も小さい前記複数種類の合成蛍光スペクトル間の強度差が最も小さくなるように選択されている構成であることが好ましい。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法H」とも称す。

0034

上記の識別方法Hであれば、複数種類の真の合成蛍光スペクトルの各々に対する第3識別値の分布範囲を小さくできるために、第1識別値、第2識別値及び第3識別値の各々に真の合成蛍光スペクトルと偽の合成蛍光スペクトルとの相違を敏感に反映させることができる。

0035

上記の蛍光スペクトルの識別方法G〜Hにおいて、
前記第1識別関数の最頻値が第1蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第2識別関数の最頻値が第2蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第3識別関数の最頻値が前記複数種類の合成蛍光スペクトル間の強度差が最も小さい波長と実質的に同一である構成であることが好ましい。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法I」とも称す。

0036

上記の識別方法Iであれば、複数種類の真の合成蛍光スペクトルの各々に対する第3識別値の分布範囲が更に小さくなるために、第1識別値、第2識別値及び第3識別値の各々が、真の合成蛍光スペクトルと偽の合成蛍光スペクトルとの相違を更に敏感に反映することとなる。

0037

上記の蛍光スペクトルの識別方法G〜Hにおいて、
前記第1識別関数の最頻値が第1蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第2識別関数の最頻値が第2蛍光スペクトルの主波長と実質的に同一であり、前記第3識別関数の最頻値が前記複数種類の合成蛍光スペクトルの各々に対する前記第3識別値間の最大差が最も小さい波長と実質的に同一である構成であることが好ましい。
なお、この構成の識別方法を以下においては「識別方法J」とも称す。

0038

上記の識別方法Jであれば、複数種類の真の合成蛍光スペクトルの各々に対する第3識別値の分布範囲が最も小さくなるために、第1識別値、第2識別値及び第3識別値の各々が、真の合成蛍光スペクトルと偽の合成蛍光スペクトルとの相違を更に敏感に反映することとなる。

0039

〔具体的な構成〕
本発明に係る具体的な構成について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、一具体例を挙げて説明するが、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜に設計が変更されてもよい。

0040

真の物品には、図1に示されたように、識別情報を構成する2種類の蛍光材料として、主波長がλa(=540nm)である第1のZAIS系ナノ粒子の集合群(〔第1蛍光材料〕の一種)と、主波長がλb(=757nm)であり、第1のZAIS系ナノ粒子と組成比が異なる第2のZAIS系ナノ粒子の集合群(〔第2蛍光材料〕の一種)とが含まれている。第1のZAIS系ナノ粒子の集合群に基づく蛍光スペクトル(〔第1蛍光スペクトル〕の一種)a1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の半値幅(半値全幅;FWHM)がWa(≒130nm)であり、第2のZAIS系ナノ粒子の集合群に基づく蛍光スペクトル(〔第2蛍光スペクトル〕の一種)b1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の半値幅がWb(≒130nm)である。なお、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)及び蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)は、波長λa及び波長λbを中心とし半値幅を「130」とするガウス分布に概ね従った波形で特徴付けられるために、それらは便宜的にガウス関数で表されている。

0041

第1のZAIS系ナノ粒子の集合群の配合量は、その蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)に対する波長λaにおける強度[任意単位]が「0.2(=a1)」〜「1.8(=a9)」の0.2間隔の9段階のいずれかの強度となるように調整され、また、第2のZAIS系ナノ粒子の集合群の配合量は、その蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ))に対する波長λbにおける強度[任意単位]が「0.2(=b1)」〜「1.8(=b9)」の0.2間隔の9段階のいずれかの強度となるように調整されている。但し、第2のZAIS系ナノ粒子の集合群の配合量は、第1のZAIS系ナノ粒子の集合群の配合量に依存して一意的に決定される。具体的には、第1のZAIS系ナノ粒子の集合群の配合量と第2のZAIS系ナノ粒子の集合群の配合量とは、図2(A)〜図2(I)に示されたように、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)に対する波長λaにおける強度と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)に対する波長λbにおける強度との和が一定(=2.0)となるように、つまり、[0.2(=a1),1.8(=b9)]、[0.4(=a2),1.6(=b8)]、[0.6(=a3),1.4(=b7)]、[0.8(=a4),1.2(=b6)]、[1.0(=a5),1.0(=b5)]、[1.2(=a6),0.8(=b4)]、[1.4(=a7),0.6(=b3)]、[1.6(=a8),0.4(=b2)]及び[1.8(=a9),0.2(=b1)]の9通りの組み合わせのいずれかとなるように選択される。これによって、それらの組み合わせに応じて合成された9種類の蛍光スペクトル(〔複数種類の合成蛍光スペクトル〕の一種)F1(λ)(=a1・fa(λ)+b9・fb(λ))〜F9(λ)(=a9・fa(λ)+b1・fb(λ))がそれぞれ識別情報値「1」〜「9」に対応する識別情報を表すこととなる。なお、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)とは、実質的に同一の形状(fa(λ)=fb(λ))であるために、それらの組み合わせは、第1のZAIS系ナノ粒子の集合群に基づく蛍光スペクトルの全発光強度と第2のZAIS系ナノ粒子の集合群に基づく蛍光スペクトルの全発光強度との組み合わせと等価である。なお、後述するように、本形態においては、それらの異なる組み合わせに対して同一のスケールで条件を満たす必要はなく、つまり、a1〜a9の個別の大きさやb1〜b9の個別の大きさには依存せず、それらの各組み合わせにおいて組み合わせ比が一定であればよい。例えば、[0.2,1.8]、[0.8,3.2]、[1.8,4.2]、[3.2,4.8]、[5.0,5.0]、[7.2,4.8]、[9.8,4.2]、[12.8,3.2]及び[16.2,1.8]の組み合わせが挙げられる。

0042

第1のZAIS系ナノ粒子の集合群と第2のZAIS系ナノ粒子の集合群とは、主波長の異なる任意の2種類のZAIS系ナノ粒子の集合群のうち、それらの半値幅や1/10幅(最大強度の1/10の強度に対応する全幅;FWTM)を考慮して、それらに基づく各種の合成蛍光スペクトルが双頭ピーク形状となると共にそれらに基づく2種類の蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ),b1・fb(λ)〜b9・fb(λ)が少なくとも一部で重なるように選択されている。具体的には、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)との主波長の間隔(λb−λa)が、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の半値幅Waにおける主波長(波長λa)よりも長波長側の部分幅Walと蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の半値幅Wbにおける主波長(波長λb)よりも短波長側の部分幅Wbsとの和よりも少なくとも大きく、それらの合成蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)が実質的に2種類の主波長(波長λa,波長λb)における各ピークから構成される双頭ピーク形状となるように選択されている。また、主波長の間隔(λb−λa)が、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の1/10幅Wa’における主波長(波長λa)より長波長側の部分幅Wal’と、蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の1/10幅Wb’における主波長(波長λb)より短波長側の部分幅Wbs’との和よりも小さくなるように選択されている。また、本形態においては、主波長の間隔(λb−λa)が、それらの部分幅Wal’,Wbs’のうち大きい方の部分幅よりも大きくなるように選択されている。なお、図1図3のように、2種類のZAIS系ナノ粒子の集合群に基づく蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ),b1・fb(λ)〜b9・fb(λ)が、同一幅のガウス関数等の各主波長(波長λa,波長λb)を中心として左右対称であって波長方向に並進対称な分布関数で良好に表される場合には、Wa/2=Was=Wal=Wb/2=Wbs=Wblを満たし、かつ、Wa’/2=Was’=Wal’=Wb’/2=Wbs’=Wbl’を満たす。

0043

また、第1のZAIS系ナノ粒子の集合群と第2のZAIS系ナノ粒子の集合群とは、図3に示されたように、主波長の異なる任意の2種類のZAIS系ナノ粒子の集合群のうち、それらに基づく9種類の合成蛍光スペクトルに対する任意の波長における強度差(任意の波長における9種類の合成蛍光スペクトルうちの最大強度と最小強度との差)がそれらの2つの主波長間におい最も小さくなる波長を収斂波長とし、その収斂波長における強度差を収斂強度差として、収斂強度差が最も小さくなるように選択されている。なお、図3のように、2種類のZAIS系ナノ粒子の集合群に基づく蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ),b1・fb(λ)〜b9・fb(λ)を同一幅のガウス関数等の主波長を中心として左右対称であって波長方向に並進対称な分布関数で表した場合には、収斂波長はそれらの2つの主波長の中間波長(=(λa+λb)/2)となり、収斂強度差は「0」となる。第1のZAIS系ナノ粒子の集合群と第2のZAIS系ナノ粒子の集合群とに基づく2種類の蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ),b1・fb(λ)〜b9・fb(λ)が左右対称かつ並進対称な分布を示さない場合であってもそれらの対称性のズレは大きくないために、収斂波長は蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の主波長(波長λa)と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の主波長(波長λb)との中間波長の近傍の波長となり、収斂強度差は「0」より大きくなるが第1のZAIS系ナノ粒子の集合群と第2のZAIS系ナノ粒子の集合群との配合を上記の条件を満たすように変化させない場合よりも大幅に小さい値となる。

0044

上記のように第1のZAIS系ナノ粒子の集合群と第2のZAIS系ナノ粒子の集合群とを含有させることによって識別情報が書き込まれた物品に対する識別情報の判定方法について説明する。図4は、情報判定及び真偽判定に用いる一組の識別値の算出方法の一例を説明するフローチャートである。また、図5は、識別関数の一例を表すグラフである。

0045

まず、物品に含まれる各種のZAIS系ナノ粒子を励起できる励起光の照射によって、蛍光スペクトル(〔計測蛍光スペクトル〕の一種)Fm(λ)が計測される(「蛍光スペクトル計測処理」S1)。

0046

計測された蛍光スペクトルFm(λ)に対して所定の3種類の識別関数に基づいて重みを変化させた3種類の加重平均値が算出される(「加重平均値算出処理」S2)。具体的には、図5に示されたように、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の主波長(波長λa)を最頻値(中心)とし、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の半値幅Waと実質的に同一の幅を半値幅Wα(=Wa)とするガウス関数(〔第1識別関数〕の一種)hα(λ)を重み関数として適用した下記数式1に示される数値演算によって、加重平均値α(〔第1加重平均値〕の一種)が算出される。また、蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の主波長(波長λb)を最頻値(中心)とし、蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の半値幅Wbと実質的に同一の幅を半値幅Wβ(=Wb)とする第2のガウス関数(〔第2識別関数〕の一種)hβ(λ)を重み関数として適用した下記数式2に示される数値演算によって、加重平均値β(〔第2加重平均値〕の一種)が算出される。更に、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の主波長と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の主波長との中間波長((λa+λb)/2)を最頻値とし、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の半値幅Wa又は蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の半値幅Wbと実質的に同一の幅を半値幅Wγとする第3のガウス関数(〔第3識別関数〕の一種)hγ(λ)を重み関数として適用した下記数式3に示される数値演算によって、加重平均値γ(〔第3加重平均値〕の一種)が算出される。

0047

0048

次に、算出された加重平均値α、加重平均値β及び加重平均値γに基づいて、3種類の識別値が算出される(「識別値算出処理」S3)。具体的には、下記数式4で示されるように、加重平均値αを加重平均値α、加重平均値β及び加重平均値γの総和(α+β+γ)で除算して識別値X(〔第1識別値〕の一種)を算出し、同様に、下記数式5で示されるように、加重平均値βを総和(α+β+γ)で除算して識別値Y(〔第2識別値〕の一種)を算出し、また同様に、下記数式6で示されるように、加重平均値γを総和(α+β+γ)で除算して識別値Z(〔第3識別値〕の一種)を算出する。

0049

0050

次に、識別値X、識別値Y及び識別値Zの組み合わせと、予め9種類の合成蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の各々に対して算出され、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々に対する許容範囲を決定するためデータテーブルとに基づいて、物品に書き込まれている識別情報の真偽及び識別情報値の判定が行われる(「識別情報・真偽判定処理」S4)。なお、データテーブルには、識別値Xに対する許容範囲を決める中央値X1〜X9及びその許容誤差範囲δXと、識別値Yに対する許容範囲を決定するための中央値Y1〜Y9及びその許容誤差範囲δYと、識別値Zに対する許容範囲を決定するための中央値Z1〜Z9及びその許容誤差範囲δZとが含まれている。

0051

ここで、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々に対する許容範囲について説明する。計測される蛍光スペクトルFm(λ)は、蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)に対して、測定誤差によって、相対的な強度のズレ、ピーク波長のズレ及びピーク幅のズレが生じることがある。図6は、蛍光スペクトルの相対的な強度のズレを表すスペクトルである。なお、図6には、識別情報値6に対応する識別情報が書き込まれた物品に対して計測された蛍光スペクトルFm’(λ),Fm”(λ)と共に蛍光スペクトルF6(λ)が示されている。図6に示されたように、蛍光スペクトルF6(λ)に対して相対的な強度が小さくなるようにズレが生じて蛍光スペクトルFm’(λ)が計測されたり、蛍光スペクトルF6(λ)に対して相対的な強度が大きくなるようにズレが生じて蛍光スペクトルFm”(λ)が計測されたりしたとしても、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々が、数式4〜数式6に示されたように規格化されていることによって、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々に対して実質的にそのズレに起因する影響は及ばない。

0052

一方、ピーク波長のズレ及びピーク幅のズレが生じた場合には、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々に対してそのズレに起因する影響が及ぶこととなるために、このようなズレを考慮して、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々に対する許容範囲が決められている。これによって、真の識別情報が書き込まれているにも関らず偽の識別情報であると判定されることが抑制される。識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々に対する具体的な中央値X1〜X9,Y1〜Y9,Z1〜Z9及び許容誤差範囲δX,δY,δZについて説明する。なお、以下においては、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)、蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)がガウス関数である場合についてのシミュレーション結果に基づいて説明する。

0053

下記の表1は、複数種類の合成蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)に対する各種の識別値、各種の識別値の差分値及びそれらの差分値の絶対値の総和(=|ΔX|+|ΔY|+|ΔZ|;表中の「SUM」)を表している。また、図7は、複数種類の合成蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)に対する各種の識別値の差分値及びそれらの差分値の絶対値の総和を表すグラフである。図7において、識別値Xの差分値ΔXが菱形印で表され、識別値Yの差分値ΔYが三角印で表され、識別値Zの差分値ΔZが四角印で表され、差分値ΔX、ΔY及びΔZの絶対値の総和(図中の「SUM」)が×印で表されている。なお、後述する図8及び図9についても同様である。

0054

0055

表1及び図7に示されたように、識別値Xに対する中央値X1〜X9は、情報識別値の増加に応じて概ね「0.07」ずつ一様に増加し、識別値Yに対する中央値Y1〜Y9は、情報識別値の増加に応じて概ね「0.07」ずつ一様に減少し、識別値Zに対する中央値Z1〜Z9は、識別情報値に関らず一定である。また、識別値X、識別値Y及び識別値Zに対する差分値の絶対値の総和は、情報識別値の基準値「6」からの増加及び減少に応じて概ね「0.14」ずつ一様に増加する。なお、表1及び図7には、半値幅Wa及び半値幅Wbが130nmであり、識別関数の半値幅も130nmである場合のみについて示されているが、他の組み合わせであっても、変化量は相違するものの、中央値X1〜X9、中央値Y1〜Y9及び中央値Z1〜Z9は表1及び図7に示された場合と実質的に同一の傾向を示す。また、実際の蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)及び蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)が厳密なガウス関数で表されない場合であっても概ねガウス関数に類似する形状であれば定性的に同一の傾向を示す。したがって、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々に対する中央値X1〜X9,Y1〜Y9,Z1〜Z9は、表1に示された各種の識別値と同一の値に設定される。

0056

下記の表2は、蛍光スペクトルa6・fa(λ)及び蛍光スペクトルb4・fb(λ)の半値幅Wa,Wbの変化に対する各種の識別値、各種の識別値の差分値及びそれらの差分値の絶対値の総和を表している。また、図8は、蛍光スペクトルa6・fa(λ)及び蛍光スペクトルb4・fb(λ)の半値幅の変化に対する各種の識別値の差分値及びそれらの差分値の絶対値の総和の変化を表すグラフである。

0057

0058

表2及び図8に示されたように、蛍光スペクトルa6・fa(λ)及び蛍光スペクトルb4・fb(λ)の半値幅Wa,Wbの増加に応じて、識別値Xの値は単調に減少し、識別値Yの値は単調に減少し、識別値Zの値は単調に増加する。逆に、半値幅Wa,Wbの減少に応じて、識別値Xの値は単調に増加し、識別値Yの値は単調に増加し、識別値Zの値は単調に減少する。また、識別値X、識別値Y及び識別値Zに対する差分値の絶対値の総和は、半値幅変化量の絶対値の増加に応じて増加する。なお、表2及び図8には、情報識別値6の場合のみについて示されているが、他の識別情報値1〜5,7〜9についても実質的に同一の傾向を示す。また、実際の蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)及び蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)が厳密なガウス関数で表されない場合であっても概ねガウス関数に類似する形状であれば定性的に同一の傾向を示す。

0059

下記の表3は、蛍光スペクトルa6・fa(λ)及び蛍光スペクトルb4・fb(λ)の主波長の変化(ピークシフト)に対する各種の識別値、各種の識別値の差分値及びそれらの差分値の絶対値の総和を表している。また、図9は、蛍光スペクトルa6・fa(λ)及び蛍光スペクトルb4・fb(λ)の主波長の変化に対する各種の識別値の差分値及びそれらの差分値の絶対値の総和の変化を表すグラフである。

0060

0061

表3及び図9に示されたように、蛍光スペクトルa6・fa(λ)及び蛍光スペクトルb4・fb(λ)の主波長の長波長側へのシフト(主波長変化量の増加)に応じて、識別値Xの値は単調に増加し、識別値Yの値は一旦増加した後に単調に減少し、識別値Zの値は単調に減少する。また、蛍光スペクトルa6・fa(λ)及び蛍光スペクトルb4・fb(λ)の主波長の短波長側へのシフト(主波長変化量の減少)に応じて、識別値Xの値は一旦減少した後に単調に増加し、識別値Yの値は単調に減少し、識別値Zの値は単調に増加する。主波長変化量の変化において、識別値Yは、主波長の長波長側へのシフトにおける識別値Yの最大増加量が0.006程度であって大幅に増加することはなく、また、識別値Xは、主波長の短波長側へのシフトにおける識別値Xの最大減少量は0.012程度であって大幅に減少することはない。また、識別値X、識別値Y及び識別値Zに対する差分値の絶対値の総和は、主波長変化量の絶対値の増加に応じて単調に増加する。なお、表3及び図9には、情報識別値6の場合のみについて示されているが、他の情報識別値1〜5,7〜9についても実質的に同一の傾向を示す。また、実際の蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)及び蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)が厳密なガウス関数で表されない場合であっても概ねガウス関数に類似する形状であれば定性的に同一の傾向を示す。

0062

測定誤差に基づく半値幅の変化は、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ),b1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の5%程度であり、測定誤差に基づくピークシフト(主波長の計測位置の変化)は、10nm程度である。それらの測定誤差と共にそれらが複合する場合や識別情報値の相違に基づく微少差異を考慮したとしても、識別値Xの測定誤差は「±0.02」未満であり、識別値Yの測定誤差は「±0.02」未満であり,識別値Zの測定誤差は「±0.03」未満である。なお、実際の蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)及び蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)は厳密なガウス関数で表されないが概ねガウス関数に類似する形状であるためにそれらの測定誤差は概ね同一である。したがって、識別値Xに対する許容誤差範囲δX、識別値Yに対する許容誤差範囲δY及び識別値Zに対する許容誤差範囲δZは、それぞれ、「0.02」、「0.02」及び「0.03」に設定されている。

0063

識別値X、識別値Y及び識別値Zの組み合わせが、[X1±δX,Y1±δY,Z1±δZ]で規定される許容範囲内であれば、真の識別情報であると判定されると共に情報値が「1」であると判定される。同様に、[X2±δX,Y2±δY,Z2±δZ]で規定される許容範囲内、[X3±δX,Y3±δY,Z3±δZ]で規定される許容範囲内、[X4±δX,Y4±δY,Z4±δZ]で規定される許容範囲内、[X5±δX,Y5±δY,Z5±δZ]で規定される許容範囲内、[X6±δX,Y6±δY,Z6±δZ]で規定される許容範囲内、[X7±δX,Y7±δY,Z7±δZ]で規定される許容範囲内、[X8±δX,Y8±δY,Z8±δZ]で規定される許容範囲内及び[X9±δX,Y9±δY,Z9±δZ]で規定される許容範囲内であれば、真の識別情報であると判定されると共に情報値がそれぞれ「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」であると判定される。これによって、各種の識別情報値に応じた識別値Xの範囲及び識別値Yの範囲が互いに重複しないために、複数種類の識別情報が確実に判別される。更に、数式4〜数式6に示されたように蛍光スペクトルの計測における強度変化に依存しないように識別値X及び識別値Yが規格化されているために、識別値Xの範囲及び識別値Yの範囲を狭く設定できることとなり、複数種類の識別情報が高精度で判別される。また、識別値Zを考慮することによって更に判別精度が向上する。

0064

一方、識別値X、識別値Y及び識別値Zの組み合わせが、[Xi±δX,Yi±δY,Zi±δZ](i=1〜9)のいずれの範囲内でもなければ、偽の識別情報であると判定される。これによって、9種類の識別情報値(「1」〜「9」)のいずれかに対応する真の蛍光スペクトル(a1・fa(λ)〜a9・fa(λ),b1・fb(λ)〜b9・fb(λ))が偽装された場合には、その偽装の蛍光スペクトルが9種類の真の蛍光スペクトルのいずれとも異なることが高精度で判別される。

0065

ここで、蛍光スペクトルの真偽判別について詳細に説明する。図10は、真の蛍光スペクトルの一例と狭幅偽装による偽の蛍光スペクトルの一例との相違を表す説明図であり、図11は、真の蛍光スペクトルの一例と広幅偽装による偽の蛍光スペクトルの一例との相違を表す説明図であり、図12は、真の蛍光スペクトルの一例と位置及び強度の複合偽装による偽の蛍光スペクトルの一例との相違を表す説明図である。なお、図10(A)、図11(A)及び図12(A)の各々は、蛍光材料A及び蛍光材料Bに基づく真の蛍光スペクトルとそれに偽装された蛍光スペクトルとの全体的な相違を表し、図10(B)、図11(B)及び図12(B)の各々は、蛍光材料Aに基づく蛍光スペクトルとそれに偽装された蛍光スペクトルとの部分的な相違を表し、図10(C)、図11(C)及び図12(C)の各々は、蛍光材料Bに基づく蛍光スペクトルとそれに偽装された蛍光スペクトルとの部分的な相違を表している。また、図10図12において、真の蛍光スペクトルに対して加重平均値α、加重平均値β及び加重平均値γが減少するように作用する部分には右上がりハッチが施され、一方、それらが増加する方向に作用する部分には右下がりのハッチが施されている。

0066

狭幅偽装の場合には、加重平均値α及び識別値Xは、図10(A)及び図10(B)に示されたように、偽の蛍光スペクトルa6・fna(λ)と真の蛍光スペクトルa6・fa(λ)との半値幅の相違に基づく差異を反映することとなる。同様に、加重平均値β及び識別値Yは、図10(A)及び図10(C)に示されたように、偽の蛍光スペクトルb4・fna(λ)と真の蛍光スペクトルb4・fb(λ)との半値幅の相違に基づく差異を反映することとなる。また、加重平均値γ及び識別値Zは、図10(A)〜図10(C)に示されたように、偽の蛍光スペクトルFn6(λ)と真の蛍光スペクトルF6(λ)との差異、詳細には、真の蛍光スペクトルa6・fa(λ)の主波長(波長λa)よりも長波長側における偽の蛍光スペクトルa6・fna(λ)と真の蛍光スペクトルa6・fa(λ)との半値幅の相違に基づく差異及び真の蛍光スペクトルb4・fb(λ)の主波長(波長λb)よりも短波長側における偽の蛍光スペクトルb4・fnb(λ)と真の蛍光スペクトルb4・fb(λ)との半値幅の相違に基づく差異に起因する複合的な差異を反映することとなる。具体的には、狭幅偽装の場合には、加重平均値α、加重平均値β及び加重平均値γの各々は半値幅の減少に応じて単調に減少するが、上記の表2に示されたように、識別値X及び識別値Yは数式4及び数式5に示された規格化によって単調に増加し、識別値Zは数式6に示された規格化によって単調に減少する。

0067

また、広幅偽装の場合には、加重平均値α及び識別値Xは、図11(A)及び図11(B)に示されたように、偽の蛍光スペクトルa6・fwa(λ)と真の蛍光スペクトルa6・fa(λ)との半値幅の相違に基づく差異を反映することとなる。同様に、加重平均値β及び識別値Yは、図11(A)及び図11(C)に示されたように、偽の蛍光スペクトルb4・fwa(λ)と真の蛍光スペクトルb4・fb(λ)との半値幅の相違に基づく差異を反映することとなる。また、加重平均値γ及び識別値Zは、図11(A)〜図11(C)に示されたように、広幅偽装による偽の蛍光スペクトルFw6(λ)の場合には偽の蛍光スペクトルFw6(λ)と真の蛍光スペクトルF6(λ)との差異、詳細には、真の蛍光スペクトルa6・fa(λ)の主波長(波長λa)よりも長波長側における偽の蛍光スペクトルa6・fwa(λ)と真の蛍光スペクトルa6・fa(λ)との半値幅の相違に基づく差異及び真の蛍光スペクトルb4・fb(λ)の主波長(波長λb)よりも短波長側における偽の蛍光スペクトルb4・fwb(λ)と真の蛍光スペクトルb4・fb(λ)との半値幅の相違に基づく差異に起因する複合的な差異を反映することとなる。具体的には、広幅偽装の場合には、加重平均値α、加重平均値β及び加重平均値γの各々は半値幅の増加に応じて単調に増加するが、上記の表2に示されたように、識別値X及び識別値Yは数式4及び数式5に示された規格化によって単調に減少し、識別値Zは数式6に示された規格化によって単調に増加する。

0068

したがって、狭幅偽装や広幅偽装の場合の偽の蛍光スペクトルF6w(λ)に対する識別値X、識別値Y及び識別値Zの少なくとも1つの識別値が真の蛍光スペクトルF6(λ)に対する許容範囲外となった場合には、真の蛍光スペクトルF6(λ)ではないと判断できる。なお、本形態では、表2に示されたように、偽の蛍光スペクトルF6n(λ),F6w(λ)を構成する蛍光スペクトルa6・fna(λ),a6・fwa(λ)及び蛍光スペクトルb4・fnb(λ),b4・fwb(λ)の半値幅と真の蛍光スペクトルを構成する蛍光スペクトルa6・fa(λ)及び蛍光スペクトルb4・fb(λ)の半値幅との差が30nm以上である場合には確実に偽装の蛍光スペクトルであると判断される。

0069

識別情報値が「6」である蛍光スペクトルF6(λ)に対する狭幅偽装や広幅偽装の偽の蛍光スペクトルF6n(λ),F6w(λ)の場合には、その識別値Xが識別情報値の異なる蛍光スペクトル、例えば、蛍光スペクトルF7(λ)や蛍光スペクトルF5(λ)に対する識別値Xの許容範囲内の値となったり、その識別値Yが識別情報値の異なる蛍光スペクトルに対する識別値Yの許容範囲内の値となったりする場合がある。しかし、表1に示されたように識別情報値の変化に伴って識別値Xと識別値Yとは逆極性で変化するのに対して、つまり、識別値Xが増加した場合には識別値Yは減少し、一方、識別値Xが減少した場合には識別値Yは増加するのに対して、狭幅偽装及び広幅偽装の場合には識別値Xと識別値Yとは同極性で変化するために、識別値X及び識別値Yの一方が他の識別情報値に対応する許容範囲内となったとしても他方は必ず他の識別情報値に対応する許容範囲外となる。したがって、蛍光スペクトルF6(λ)に対する狭幅偽装や広幅偽装による偽の蛍光スペクトルF6n(λ),F6w(λ)が他のいずれの真の蛍光スペクトルF1(λ)〜F5(λ),F7(λ)〜F9(λ)と判断されることもない。なお、識別情報値が「6」である蛍光スペクトルF6(λ)に対する狭幅偽装や広幅偽装の場合について説明したが、他の識別情報値である蛍光スペクトルF1(λ)〜F5(λ),F7(λ)〜F9(λ)に対する狭幅偽装や広幅偽装の場合についても同様である。

0070

また、複合偽装による偽の蛍光スペクトルa6’・fsa(λ)の場合には、図12(A)及び図12(B)に示されたように、加重平均値αは、主に、偽の蛍光スペクトルa6’・fsa(λ)と真の蛍光スペクトルa6・fa(λ)との主波長の位置、発光強度及び半値幅の相違に基づく差異を反映することとなる。同様に、図12(A)及び図12(C)に示されたように、加重平均値βは、主に、偽の蛍光スペクトルb4’・fsa(λ)と真の蛍光スペクトルb4・fb(λ)との主波長の位置、発光強度及び半値幅の相違に基づく差異を反映することとなる。また、加重平均値γは、図12(A)〜図12(C)に示されたように、偽の蛍光スペクトルa6’・fsa(λ)と真の蛍光スペクトルa6・fa(λ)との主波長の位置、発光強度及び半値幅の相違及び偽の蛍光スペクトルb4’・fsb(λ)と真の蛍光スペクトルb4・fb(λ)との主波長の位置、発光強度及び半値幅の相違に基づく差異に起因する複合的な差異を反映することとなる。複合偽装の場合には、蛍光材料の選択やその配合量の選択の多様性に基づいて識別値X、識別値Y及び識別値Zは多様に変化することとなるが、偽の蛍光スペクトルFs6(λ)に対する識別値X、識別値Y及び識別値Zの組み合わせが真の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)に対する識別値X、識別値Y及び識別値Zの許容範囲の組み合わせのいずれかに含まれる場合は極めて稀であるために、それらの蛍光スペクトルを良好に判別できる。

0071

上述のように、本形態の蛍光スペクトルの識別方法によれば、識別値X、識別値Y及び識別値Zの組み合わせに基づいて、識別情報値の異なる真の蛍光スペクトルを互いに判別できると共に、各種の真の蛍光スペクトルと狭幅偽装や広幅偽装や複合偽装による偽の蛍光スペクトルとを判別できる。

0072

また、本形態の蛍光スペクトルの識別方法によれば、識別値X及び識別値Yは、それぞれ、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の発光強度及び蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の発光強度を良好に推定できる値となると共に、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々が数式4〜数式6に示された規格化によって蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の全体的な発光強度に依存せず、識別値X、識別値Y及び識別値Zが、それぞれ、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの波長λaの周辺における相違、蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの波長λbの周辺における相違、及び、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)とその偽の蛍光スペクトルとの波長λaと異なる波長λγの周辺の相違と真の蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)とその偽の蛍光スペクトルとの波長λbと異なる波長λγの周辺の相違との双方の相違に応じて変化するために、識別値Xと識別値Yと識別値Zとの組み合わせに基づいて、第1のZAIS系ナノ粒子の集合群に基づく発光強度と第2のZAIS系ナノ粒子の集合群に基づく発光強度の比が異なる9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)を互いに高精度で判別できると共に、蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトルとを高精度かつ簡便に判別できる。また、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々が蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の全体的な発光強度に依存しないために、識別情報を含有する物品が小さくてZAIS系ナノ粒子を励起するための励起光の照射面積が十分に確保できない場合や励起光を照射する平坦領域を確保できない場合であっても各種の判別を高精度で実行できる。

0073

また、9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)が双頭ピーク形状となるように蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の主波長(波長λa)と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の主波長(波長λb)とが所定の間隔以上離れているために、識別値Xにおける蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)からの寄与が良好に低減されて蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の発光強度を更に高精度で推定できる値となると共に識別値Yにおける蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)からの寄与が良好に低減されて蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の発光強度が更に良好に推定できる値となり、また、識別値X、識別値Y及び識別値Zが、それぞれ、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ),b1・fb(λ)〜b9・fb(λ)と偽の蛍光スペクトルとの各種の相違を更に高精度で反映することになる。これによって、9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の互い判別精度及び各種の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)と各種の偽の合成蛍光スペクトルとの判別精度が更に向上する。

0074

また、本形態の蛍光スペクトルの識別方法によれば、識別関数hγ(λ)の最頻値(波長λγ)は、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)とが重なる波長領域内であり、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの相違が大きい部分と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの相違が大きい部分とが重複するために、識別値Zがそれらの相違に応じて敏感に変化することとなり、蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトルとの判別精度が向上する。

0075

また、本形態の蛍光スペクトルの識別方法によれば、識別関数hα(λ)、識別関数hβ(λ)及び識別関数hγ(λ)は並進対称な形状であるために、加重平均値α、加重平均値β及び加重平均値γの算出が簡便に実行できると共に、識別値X、識別値Y及び識別値Zにおける各種の加重平均値α,β,γの重みを均一化できる。

0076

また、本形態の蛍光スペクトルの識別方法によれば、識別関数hα(λ)及び識別関数hβ(λ)の各々は、蛍光材料Aに基づく蛍光スペクトルの近似形状fa(λ)及び蛍光材料Bに基づく蛍光スペクトルの近似形状fb(λ)であるために、識別値X及び識別値Yが、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の発光強度と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の発光強度とを更に良好に推定できる値となると共に、識別値X、識別値Y及び識別値Zが、それぞれ、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの相違、蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの相違、及び、それらの双方の相違を良好に反映させることができ、蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)に対する互いの判別精度や蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトルとの判別精度が更に向上する。

0077

また、本形態の蛍光スペクトルの識別方法によれば、識別関数hα(λ)の最頻値(波長λα)が蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の主波長(波長λa)と実質的に同一であり、識別関数hβ(λ)の最頻値(波長λβ)が蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の主波長(波長λb)と実質的に同一であり、識別関数hγ(λ)の最頻値(波長λγ)が識別関数hα(λ)の最頻値と識別関数hβ(λ)の最頻値との中間値((λα+λβ)/2=(λa+λb)/2)と実質的に同一であり、識別値X及び識別値Yが、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の発光強度と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の発光強度とを更に良好に推定できる値となると共に、識別値Xが蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの波長λaに対して短波長側及び長波長側の双方の相違を均等に反映し、識別値Yが蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの波長λbに対して短波長側及び長波長側の双方の相違を均等に反映し、かつ、識別値Zが蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの波長λaよりも長波長側の相違と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)とそれに偽装された偽の蛍光スペクトルとの波長λbよりも短波長側の相違とを均等に反映するために、蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)に対する互いの判別精度や蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトルとの判別精度が更に向上する。

0078

また、本形態の蛍光スペクトルの識別方法によれば、9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の各々は、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の主波長(波長λa)における強度と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の主波長(波長λb)における強度との和が実質的に一定であるために、それらの強度比は確実に異なる。また、9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の各々に対する加重平均値α及び加重平均値βの和が概ね一定となり、識別値X及び識別値Yの各々が蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトルとの相違を敏感に反映する加重平均値γに基づいて変化し、第3識別値が加重平均値γに概ね比例して変化するために、9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)に対する互いの判別精度や蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトルとの判別精度が更に向上する。

0079

本形態においては、識別値Zに対する許容範囲を各種の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)ごとに変化させたが、本発明においては、識別値Zに対する許容範囲を各種の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)で共通の許容範囲で代用して、各種の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトルとを一括して判別する構成とすることもできる。

0080

また、本発明においては、蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の主波長(波長λa)と蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の主波長(波長λb)との間隔が波長λaと波長λbとの間の範囲における最も小さい蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)間の最大強度差が最も小さくなるように、蛍光材料Aと蛍光材料Bとが選択されている構成とすることもできる。このように構成すれば、9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の各々に対する識別値Zの分布範囲を小さくできるために、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々に蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトルとの相違を敏感に反映させることができる。

0081

また、本形態においては、識別値X、識別値Y及び識別値Zに基づいて各種の相違を判定したが、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各差分値の総和が各種の偽装の場合のスペクトルについては一義的に増加することを利用して真偽判定を行う構成であってもよい。

0082

また、本発明においては、識別関数hα(λ)の最頻値(波長λα)が蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の主波長(波長λa)と実質的に同一であり、識別関数hβ(λ)の最頻値(波長λβ)が蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の主波長(波長λb)と実質的に同一であり、識別関数hγ(λ)の最頻値(波長λγ)が9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)間の最大強度差が最も小さい波長と実質的に同一である構成とすることもできる。このように構成すれば、9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の各々に対する識別値Zの分布範囲が更に小さくなるために、第1識別値、第2識別値及び第3識別値の各々が、蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトル偽の蛍光スペクトルとの相違を更に敏感に反映することとなる。

0083

また、本発明においては、識別関数hα(λ)の最頻値(波長λα)が蛍光スペクトルa1・fa(λ)〜a9・fa(λ)の主波長(波長λa)と実質的に同一であり、識別関数hβ(λ)の最頻値(波長λβ)が蛍光スペクトルb1・fb(λ)〜b9・fb(λ)の主波長(波長λb)と実質的に同一であり、識別関数hγ(λ)の最頻値(波長λγ)が9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の各々に対する識別値Z間の最大差が最も小さい波長と実質的に同一である構成とすることもできる。このように構成すれば、9種類の蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)の各々に対する識別値Zの分布範囲が最も小さくなるために、識別値X、識別値Y及び識別値Zの各々が、蛍光スペクトルF1(λ)〜F9(λ)とそれらのいずれかに偽装された偽の蛍光スペクトル偽の蛍光スペクトルとの相違を更に敏感に反映することとなる。

0084

本発明は、蛍光材料の配合に基づく識別情報の判別及び模倣品の判別に適している。

0085

S1:蛍光スペクトル計測処理
S2:加重平均値算出処理
S3:識別値算出処理
S4:識別情報・真偽判定処理

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