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技術 被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物ならびに被加熱殺菌処理包装用フィルムおよびその製造方法

出願人 日本ゼオン株式会社
発明者 北原静夫藤井健作
出願日 2010年12月27日 (10年0ヶ月経過) 出願番号 2011-547693
公開日 2013年5月13日 (7年7ヶ月経過) 公開番号 WO2011-081143
状態 特許登録済
技術分野 包装体 被包材 積層体(2) 高分子組成物 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード 開口辺 抑制度合い 共同発明者 乾燥気流 臭気レベル 変性ポリエチレンテレフタレート樹脂 支持基材層 ピーク面積比率
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年5月13日)のものです。
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課題・解決手段

加熱殺菌処理時までの酸素吸収能力の低減が防止され、かつ、加熱殺菌処理時に十分な酸素吸収能力を発現し、しかも、酸素吸収に伴って発生する臭気が抑制された加熱殺菌処理用の包装の材料を提供する。酸素バリア性マトリックス樹脂中に酸素吸収性樹脂組成物が分散されてなる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物であって、酸素吸収性樹脂組成物が共役ジエン重合体環化物を含んでなるものであり、酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度が31〜55℃であり、酸素バリア性マトリックス樹脂がエチレンビニルアルコール共重合体樹脂およびポリアミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物。

概要

背景

長期保存が可能な食品として、ボイル処理レトルト処理などの加熱殺菌処理が行われた食品は広く流通しているが、加熱殺菌処理の際に包装容器内部に酸素が残存していると、その酸素により食品が酸化され、食品本来風味や色調が損なわれるという問題がある。そのため、加熱殺菌処理する食品を包装容器充填する場合には、併せて窒素などの不活性ガスが包装容器のヘッドスペースに充填されている。

しかし、食品の充填工程における不活性ガスの充填は、生産性経済性の観点から望ましくないものである。そのため、不活性ガスの充填を省略しても、加熱殺菌処理時の内部の酸素量を低減させることができる包装容器が望まれている。そのような機能を有する包装容器として、例えば特許文献1〜3に記載されているような、ポリエチレンポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂鉄粉などの酸素吸収剤を配合してなる酸素吸収性を有する層と、その外側に積層される酸素バリア性を有する層とからなる部分を、包装容器の少なくとも一部として有する包装容器が提案されている。

特許文献1〜3に記載された包装容器では、加熱殺菌処理の前や加熱殺菌処理の最中に包装容器内部の酸素が包装容器の酸素吸収性を有する層に吸収されるため、加熱殺菌処理の際の食品の酸化が防止できる。しかしながら、特許文献1〜3に記載されるような、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂に鉄粉などの酸素吸収剤を配合して酸素吸収性を有する層を構成する場合では、常温下においても酸素吸収剤による酸素吸収が行われるため、包装容器の製造時や包装容器の製造後から加熱殺菌処理が行われるまでの間にも酸素吸収剤が消費されてしまうという問題が生じる。そのため、このような包装容器を用いる場合には、包装容器の製造手法や包装容器の製造後から加熱殺菌処理までの間の包装容器の取り扱いに種々の制約が存在する。しかも、特許文献1〜3に記載されるような酸素吸収剤を用いる場合には、酸素吸収剤が酸素を吸収する際に臭気が発生し、内容物の風味が損なわれるという問題も存在する。

また、特許文献4では、ポリオクテニレンなどの熱可塑性樹脂に遷移金属塩を配合することにより熱可塑性樹脂を酸化され易いものとし、それをエチレンビニルアルコール共重合体などのガスバリア性を有するマトリックス樹脂に分散させて酸素吸収性樹脂組成物を構成し、その組成物からなる層を有するレトルト用包装材が提案されている。このレトルト用包装材では、酸素吸収剤となる熱可塑性樹脂がガスバリア性を有するマトリックス樹脂に分散されているため、特許文献1〜3の包装容器に比して、常温下における酸素吸収剤の消費量が小さい。しかしながら、特許文献4に記載されるような包装材を用いる場合であっても、包装容器の製造時や包装容器の製造後から加熱殺菌処理が行われるまでの間における酸素吸収剤の消費の問題が完全には解決されず、また、酸素吸収剤が酸素を吸収する際の臭気の発生する点でも問題がある。

ところで、本発明者の一人は、特許文献5において、共役ジエン重合体環化物および特定値酸素透過度を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有してなる酸素吸収性ガスバリアー樹脂組成物を提案している。この酸素吸収性ガスバリアー樹脂組成物は、優れた酸素バリア性を示すものであるが、加熱殺菌処理される包装容器の酸素吸収性を有する層として用いると、その酸素吸収性が十分でなく、加熱殺菌処理時の内部の酸素量を十分に低減させることができなかった。

また、本発明者の一人は、他の共同発明者とともに、特許文献6において、分子中にシクロエン構造を有する酸素吸収性樹脂軟化剤とを含有し、ガラス転移温度が30℃以下である酸素吸収性樹脂組成物と、その酸素吸収性樹脂組成物をエチレン−ビニルアルコール共重合体などのガスバリアー性樹脂に配合してなる酸素吸収性バリア樹脂組成物を提案している。この酸素吸収性バリア樹脂組成物は、常温においても優れた酸素吸収性を有するものであるが、加熱殺菌処理される包装容器の酸素吸収性を有する層として用いる場合には、包装容器の製造時や包装容器の製造後から加熱殺菌処理が行われるまでの間に酸素吸収性樹脂組成物が消費されて、加熱殺菌処理時までに酸素吸収能力が低減してしまうおそれがあるものであった。

概要

加熱殺菌処理時までの酸素吸収能力の低減が防止され、かつ、加熱殺菌処理時に十分な酸素吸収能力を発現し、しかも、酸素吸収に伴って発生する臭気が抑制された加熱殺菌処理用の包装の材料を提供する。酸素バリア性マトリックス樹脂中に酸素吸収性樹脂組成物が分散されてなる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物であって、酸素吸収性樹脂組成物が共役ジエン重合体環化物を含んでなるものであり、酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度が31〜55℃であり、酸素バリア性マトリックス樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂およびポリアミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物。

目的

そのため、不活性ガスの充填を省略しても、加熱殺菌処理時の内部の酸素量を低減させることができる包装容器が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

酸素バリア性マトリックス樹脂中に酸素吸収性樹脂組成物が分散されてなる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物であって、酸素吸収性樹脂組成物が共役ジエン重合体環化物を含んでなるものであり、酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度が31〜55℃であり、酸素バリア性マトリックス樹脂がエチレンビニルアルコール共重合体樹脂およびポリアミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物。

請求項2

請求の範囲第1項に記載の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物からなる酸素吸収層、酸素吸収層の第1の面側に積層されるシーラント層、および酸素吸収層の第2の面側に積層される酸素バリア層を含んでなる被加熱殺菌処理包装用フィルム

請求項3

請求の範囲第2項に記載の被加熱殺菌処理包装用フィルムにより構成されてなる包装容器

請求項4

請求の範囲第3項に記載の包装容器を用いて内容物を包装して、当該内容物を包装した包装容器を加熱殺菌処理する殺菌方法

請求項5

請求の範囲第2項に記載の被加熱殺菌処理包装用フィルムの製造方法であって、酸素吸収層と酸素バリア層との積層を、ラミネート接着剤層を介してドライラミネート方式接着し、次いで、温度40〜60℃、相対湿度0〜65%の条件下においてエージングすることにより行うことを特徴とする被加熱殺菌処理包装用フィルムの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物、該組成物を用いた被加熱殺菌処理包装用フィルム、および該フィルムの製造方法に関し、さらに詳しくは、殺菌などの目的で加熱殺菌処理される食品などの内容物を包装するために用いられ、加熱殺菌処理時に内部の酸素量を低減させることができる包装材を得るために好適に用いられる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物、該組成物を用いた被加熱殺菌処理包装用フィルム、および該フィルムの製造方法に関する。

背景技術

0002

長期保存が可能な食品として、ボイル処理レトルト処理などの加熱殺菌処理が行われた食品は広く流通しているが、加熱殺菌処理の際に包装容器内部に酸素が残存していると、その酸素により食品が酸化され、食品本来風味や色調が損なわれるという問題がある。そのため、加熱殺菌処理する食品を包装容器充填する場合には、併せて窒素などの不活性ガスが包装容器のヘッドスペースに充填されている。

0003

しかし、食品の充填工程における不活性ガスの充填は、生産性経済性の観点から望ましくないものである。そのため、不活性ガスの充填を省略しても、加熱殺菌処理時の内部の酸素量を低減させることができる包装容器が望まれている。そのような機能を有する包装容器として、例えば特許文献1〜3に記載されているような、ポリエチレンポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂鉄粉などの酸素吸収剤を配合してなる酸素吸収性を有する層と、その外側に積層される酸素バリア性を有する層とからなる部分を、包装容器の少なくとも一部として有する包装容器が提案されている。

0004

特許文献1〜3に記載された包装容器では、加熱殺菌処理の前や加熱殺菌処理の最中に包装容器内部の酸素が包装容器の酸素吸収性を有する層に吸収されるため、加熱殺菌処理の際の食品の酸化が防止できる。しかしながら、特許文献1〜3に記載されるような、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂に鉄粉などの酸素吸収剤を配合して酸素吸収性を有する層を構成する場合では、常温下においても酸素吸収剤による酸素吸収が行われるため、包装容器の製造時や包装容器の製造後から加熱殺菌処理が行われるまでの間にも酸素吸収剤が消費されてしまうという問題が生じる。そのため、このような包装容器を用いる場合には、包装容器の製造手法や包装容器の製造後から加熱殺菌処理までの間の包装容器の取り扱いに種々の制約が存在する。しかも、特許文献1〜3に記載されるような酸素吸収剤を用いる場合には、酸素吸収剤が酸素を吸収する際に臭気が発生し、内容物の風味が損なわれるという問題も存在する。

0005

また、特許文献4では、ポリオクテニレンなどの熱可塑性樹脂に遷移金属塩を配合することにより熱可塑性樹脂を酸化され易いものとし、それをエチレンビニルアルコール共重合体などのガスバリア性を有するマトリックス樹脂に分散させて酸素吸収性樹脂組成物を構成し、その組成物からなる層を有するレトルト用包装材が提案されている。このレトルト用包装材では、酸素吸収剤となる熱可塑性樹脂がガスバリア性を有するマトリックス樹脂に分散されているため、特許文献1〜3の包装容器に比して、常温下における酸素吸収剤の消費量が小さい。しかしながら、特許文献4に記載されるような包装材を用いる場合であっても、包装容器の製造時や包装容器の製造後から加熱殺菌処理が行われるまでの間における酸素吸収剤の消費の問題が完全には解決されず、また、酸素吸収剤が酸素を吸収する際の臭気の発生する点でも問題がある。

0006

ところで、本発明者の一人は、特許文献5において、共役ジエン重合体環化物および特定値酸素透過度を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有してなる酸素吸収性ガスバリアー樹脂組成物を提案している。この酸素吸収性ガスバリアー樹脂組成物は、優れた酸素バリア性を示すものであるが、加熱殺菌処理される包装容器の酸素吸収性を有する層として用いると、その酸素吸収性が十分でなく、加熱殺菌処理時の内部の酸素量を十分に低減させることができなかった。

0007

また、本発明者の一人は、他の共同発明者とともに、特許文献6において、分子中にシクロエン構造を有する酸素吸収性樹脂軟化剤とを含有し、ガラス転移温度が30℃以下である酸素吸収性樹脂組成物と、その酸素吸収性樹脂組成物をエチレン−ビニルアルコール共重合体などのガスバリアー性樹脂に配合してなる酸素吸収性バリア樹脂組成物を提案している。この酸素吸収性バリア樹脂組成物は、常温においても優れた酸素吸収性を有するものであるが、加熱殺菌処理される包装容器の酸素吸収性を有する層として用いる場合には、包装容器の製造時や包装容器の製造後から加熱殺菌処理が行われるまでの間に酸素吸収性樹脂組成物が消費されて、加熱殺菌処理時までに酸素吸収能力が低減してしまうおそれがあるものであった。

先行技術

0008

特開平9−40024号公報
特開2006−282259号公報
特開2008−207818号公報
特開2008−201432号公報
国際公開第2006/101021号
国際公開第2007/094247号

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、加熱殺菌処理時の内部の酸素量を低減させることができる包装の材料として好適に用いられる、加熱殺菌処理時までの酸素吸収能力の低減が防止され、かつ、加熱殺菌処理時に十分な酸素吸収能力を発現し、しかも、酸素吸収に伴って発生する臭気が抑制された被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、特定の樹脂を酸素バリア性マトリックス樹脂として用い、それに、特定のガラス転移温度を有する、共役ジエン重合体環化物を含んでなる酸素吸収性樹脂組成物を分散させると、加熱殺菌処理時の比較的に高温度高湿度である条件下では強い臭気の発生を伴うことなく十分な酸素吸収能力を発現し、それ以前の比較的に低温度・低湿度である条件下では酸素吸収性樹脂組成物が消費され難い酸素吸収性の組成物が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成するに至ったものである。

0011

かくして、本発明によれば、酸素バリア性マトリックス樹脂中に酸素吸収性樹脂組成物が分散されてなる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物であって、酸素吸収性樹脂組成物が共役ジエン重合体環化物を含んでなるものであり、酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度が31〜55℃であり、酸素バリア性マトリックス樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂およびポリアミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物が提供される。

0012

また、本発明によれば、上記の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物からなる酸素吸収層、酸素吸収層の第1の面側に積層されるシーラント層、および酸素吸収層の第2の面側に積層される酸素バリア層を含んでなる被加熱殺菌処理包装用フィルムが提供される。

0013

さらに、本発明によれば、酸素吸収層と酸素バリア層との積層を、ラミネート接着剤層を介してドライラミネート方式接着し、次いで、温度0〜60℃、相対湿度30〜65%の条件下においてエージングすることにより行うことを特徴とする上記の被加熱殺菌処理包装用フィルムの製造方法が提供される。

発明の効果

0014

本発明によれば、加熱殺菌処理時の内部の酸素量を低減させることができる包装の材料として好適に用いられる、加熱殺菌処理時までの酸素吸収能力の低減が防止され、かつ、加熱殺菌処理時に十分な酸素吸収能力を発現し、しかも、酸素吸収に伴って発生する臭気が抑制された被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物が得られる。

0015

本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、特定の酸素バリア性マトリックス樹脂中に特定の酸素吸収性樹脂組成物を分散させることにより得られるものである。本発明で用いる酸素吸収性樹脂組成物は、共役ジエン重合体環化物と、必要に応じて添加される他の成分とからなる樹脂組成物であって、共役ジエン重合体環化物が酸化されることによって、酸素吸収性を発揮することができる樹脂組成物である。

0016

本発明において、酸素吸収性樹脂組成物を構成する樹脂として用いられる共役ジエン重合体環化物は、共役ジエン重合体酸触媒の存在下に環化反応させて得られるものであり、その分子中に環構造を有し、環構造中に少なくとも1つの二重結合を有するものである。

0017

共役ジエン重合体環化物を得るために用いられる共役ジエン重合体としては、共役ジエン単量体単独重合体、2種以上の共役ジエン単量体の共重合体、および共役ジエン単量体とこれと共重合可能な他の単量体との共重合体を使用することができる。共役ジエン単量体は、特に限定されず、その具体例としては、1,3−ブタジエンイソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンが挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。

0018

共役ジエン単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの鎖状オレフィン単量体、シクロペンテン、2−ノルボルネンなどの環状オレフィン単量体、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン単量体、(メタアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドなどのその他の(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、共重合様式も特に限定されず、例えば、ブロック共重合体であっても良いし、ランダム共重合体であっても良い。

0019

共役ジエン重合体の具体例としては、天然ゴム(NR)、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、スチレン−ブタジエンゴムSBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、イソプレン−イソブチレン共重合体ゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体ゴム(EPDM)、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(BIR)、スチレン−イソプレンブロック重合体、スチレン−ブタジエンブロック重合体を挙げることができる。これらのなかでも、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロック重合体が好ましく用いられ、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック重合体がより好ましく用いられ、ポリイソプレンゴムが最も好ましく用いられる。これらの共役ジエン重合体は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。

0020

共役ジエン重合体における共役ジエン単量体単位含有量は、特に限定されないが、通常40モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。共役ジエン重合体の製造方法は常法に従えばよく、例えば、チーグラー重合触媒アルキルリチウム重合触媒、ラジカル重合触媒などの適切な触媒を用いて、溶液重合法乳化重合法により共役ジエン単量体を重合することにより、共役ジエン重合体を得ることができる。また、チーグラー系重合触媒で重合した後、ルテニウムタングステンなどの触媒を用いてメタセシス分解した共役ジエン重合体も用いることもできる。

0021

共役ジエン重合体環化物は、上述したような共役ジエン重合体を酸触媒の存在下に環化反応させることにより得ることができる。環化反応に用いる酸触媒としては、公知のものを使用することができる。その具体例としては、硫酸フルオロメタンスルホン酸ジフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸キシレンスルホン酸、炭素数2〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、これらの無水物およびアルキルエステルなどの有機スルホン酸化合物三フッ化ホウ素三塩化ホウ素四塩化スズ四塩化チタン塩化アルミニウムジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアンモニウムクロリド臭化アルミニウム五塩化アンチモン六塩化タングステン塩化鉄などのルイス酸;が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、助触媒として、ターシャブチルクロライドトリクロロ酢酸を併用してもよい。これらの中でも、有機スルホン酸化合物が好ましく用いられ、p−トルエンスルホン酸やキシレンスルホン酸がより好ましく用いられる。酸触媒の使用量は、共役ジエン重合体100重量部当たり、通常0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。

0022

環化反応は、通常、共役ジエン重合体を溶媒中に溶解して行なう。溶媒としては、環化反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、ベンゼントルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素n−ペンタンn−ヘキサン、n−ヘプタンn−オクタンなどの脂肪族炭化水素シクロペンタンシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;などの炭化水素溶媒が好ましく用いられる。これらの炭化水素溶媒の沸点は、70℃以上であることが好ましい。共役ジエン重合体の重合反応に用いる溶媒と環化反応に用いる溶媒とは、同一種であってもよい。この場合は、重合反応が終了した重合反応液に環化反応用の酸触媒を添加して、重合反応に引き続いて環化反応を行なうことができる。炭化水素溶媒の使用量は、共役ジエン重合体の固形分濃度が、通常5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%となる範囲である。

0023

環化反応は、加圧減圧及び大気圧のいずれの圧力下でも行なうことができるが、操作の簡便性の点から大気圧下で行なうことが望ましい。環化反応を、乾燥気流下、特に乾燥窒素や乾燥アルゴン雰囲気下で行なうと水分によって引き起こされる副反応を抑えることができる。環化反応における反応温度や反応時間は、特に限定されない。反応温度は、通常50〜150℃、好ましくは70〜110℃であり、反応時間は、通常0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間である。環化反応を行なった後、常法により、酸触媒を不活性化し、酸触媒残渣を除去し、次いで炭化水素溶媒を除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物を得ることができる。

0024

酸素吸収性樹脂組成物を構成するために用いる共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率は、特に限定されるものではないが、56%以上であることが好ましく、59〜80%であることがより好ましく、62〜75%であることが特に好ましい。不飽和結合減少率がこのような範囲にある共役ジエン重合体環化物を用いることにより、酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収に伴う臭気の発生をさらに抑制することができる。なお、共役ジエン重合体環化物として、不飽和結合減少率の異なる共役ジエン重合体環化物を2種以上組み合わせて用いることもできる。

0025

共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率は、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、不飽和結合が環化反応によって減少した程度を表す指標であり、以下のようにして求められる数値である。即ち、プロトンNMR分析により、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、全プロトンのピーク面積に対する二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積の比率を、環化反応前後について、それぞれ求め、その減少率を計算する。具体的には、次に述べるようにして、共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率を求めることができる。すなわち、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU、環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSAUとすると、環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、式:SB=SBU/SBTで表され、環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、式:SA=SAU/SATで表される。そして、不飽和結合減少率は、式:不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SBで求められる。

0026

共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率は、共役ジエン重合体の環化反応における酸触媒の量、反応温度、反応時間などを適宜選択して調節することができる。

0027

共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィで測定される標準ポリスチレン換算値として、通常1000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000、より好ましくは80,000〜300,000である。共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量は、環化に供する共役ジエン重合体の重量平均分子量を適宜選択して調節することができる。なお、共役ジエン重合体環化物が共役ジエン/芳香族ビニル単量体共重合体環化物である場合においては、芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量は、1000〜300,000であることが好ましい。共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量を適切に設定することにより、環化反応の際の溶液粘度が適切なものとなると共に、得られる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物の加工性機械的強度が良好となる。

0028

共役ジエン重合体環化物におけるゲルの含有量は、トルエン不溶分の含有量として、通常10重量%以下であり、5重量%以下であることが好ましく、実質的にゲルを含有しないことが特に好ましい。ゲルの含有量が多いと、得られる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物の加工性が悪くなる場合がある。

0029

酸素吸収性樹脂組成物を構成するために用いる共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度は特に限定されるものではないが、酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度を目的の範囲とする観点より、31℃以上であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度は、共役ジエン重合体環化物を得るために用いられる共役ジエン重合体の種類に応じて、共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率を調節することなどにより調節することができる。

0030

本発明で用いる酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は、31〜55℃であり、31〜50℃であることがより好ましく、31〜40℃であることがさらに好ましく、33〜39℃であることが最も好ましい。酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度をこの範囲にすることにより、得られる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を用いて包装容器を構成する場合に、その製造時や製造後から加熱殺菌処理が行われるまでの間の酸素吸収性樹脂組成物による酸素吸収が抑制され、加熱殺菌処理時において優れた酸素吸収性を発揮するものとなる。酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度が低すぎる場合には、包装容器の製造時や製造後から加熱殺菌処理が行われるまでの間にも酸素吸収性樹脂組成物による酸素吸収が行われる結果、酸素吸収性樹脂組成物が消費されてしまい、加熱殺菌処理時に十分な酸素吸収性を発揮できなくなるおそれがある。一方、ガラス転移温度が高すぎる場合には、酸素吸収性樹脂組成物が酸素吸収性を発揮し難いものとなり、得られる包装容器が、加熱殺菌処理時にも十分な酸素吸収性を発揮しないものとなるおそれがある。

0031

用いる共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度が、上述の酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度の範囲外である場合には、その樹脂と相溶性を有する成分を添加することにより、酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度を調節することができる。例えば、共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度が、上述の酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度より高い場合には、軟化剤を添加することにより、酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度を調節することができる。なお、用いる軟化剤は、共役ジエン重合体環化物と相溶性を有することが必要であり、また、後述する酸素バリア性マトリックス樹脂とは相溶しないものであることが好ましい。

0032

軟化剤としては、それ自体のガラス転移温度が−30℃以下である液状物が好適に用いられ、その具体例としては、イソパラフィンオイルナフテン系オイル流動パラフィンなどの炭化水素オイルポリブテンポリイソブチレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体(線状低密度ポリエチレンLLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)など)などのオレフィン重合体(低分子量のもの);ポリイソプレンポリブタジエンなどの共役ジエン重合体の水素化物(低分子量のもの);スチレン−共役ジエン重合体の水素化物(低分子量のもの);エルカ酸などの脂肪酸脂肪酸エステルが挙げられ、なかでも、炭化水素オイル、オレフィン重合体、脂肪酸が好ましく用いられ、流動パラフィンが特に好ましく用いられる。これらの軟化剤は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。

0033

軟化剤の配合量は、酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度を目的の範囲にすることができるように、酸素吸収性樹脂組成物の各成分の種類や配合比に応じて決定されるが、酸素吸収性樹脂組成物全体に対して、通常0〜30重量%であり、好ましくは1〜20重量%であり、より好ましくは3〜15重量%である。

0034

酸素吸収性樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤を配合しても良い。樹脂に酸化防止剤を配合することにより、酸素吸収性樹脂組成物の安定性が向上し、加工時などにおける取り扱いが容易になる。酸素吸収性樹脂組成物における酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、通常5000重量ppm以下、好ましくは3000重量ppm以下、より好ましく2000重量ppm以下、特に好ましくは500重量ppm以下である。酸化防止剤の含有量が多すぎると、酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収を阻害するおそれがある。

0035

酸化防止剤は、樹脂材料ゴム材料の分野において通常使用されるものであれば、特に制限されない。このような酸化防止剤の代表的なものとしては、ヒンダードフェノール系、リン系およびラクトン系の酸化防止剤を挙げることができる。これらの酸化防止剤は、2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらのなかでも、リン系酸化防止剤を用いることが好ましい。なお、これらの酸化防止剤に加えて、さらに、アミン光安定化剤(HALS)を添加してもよい。

0036

酸素吸収性樹脂組成物には、共役ジエン重合体環化物に加えて、他の樹脂を配合しても良い。例えば、ポリα−オレフィン樹脂を配合すると、得られる組成物の機械的強度を改良することができる。ポリα−オレフィン樹脂としては、α−オレフィンの単独重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合体、α−オレフィンとα−オレフィン以外の単量体との共重合体の何れであってもよく、また、これらの(共)重合体を変性したものであってもよい。ポリα−オレフィン樹脂の具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセンポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリプロピレンポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ポリブテン−1共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体を挙げることができる。ポリα−オレフィン樹脂は、1種を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。

0037

また、酸素吸収性樹脂組成物には、共役ジエン重合体環化物の酸化反応を促進させる酸化触媒と添加しても良い。酸化触媒としては、マンガン、鉄、コバルトニッケル、銅、ロジウム、ルテニウムなどの遷移金属の塩を代表例として挙げることができる。遷移金属塩の形態の例としては、塩化物酢酸塩ステアリン酸塩パルミチン酸塩2−エチルヘキサン酸エチル、ネオデカン酸塩、ナフトエ酸塩が挙げられる。ただし、本発明において酸素吸収性樹脂組成物を構成するために用いられる共役ジエン重合体環化物は、酸化触媒の非存在下であっても十分な酸素吸収性を発揮する樹脂であるから、酸化触媒の添加は必ずしも必要ではなく、酸素吸収に伴う臭気の発生を抑制する観点からは、酸素吸収性樹脂組成物中に遷移金属塩(酸化触媒)が実質的に含有されないことが好ましい。

0038

酸素吸収性樹脂組成物には、必要に応じてさらに他の成分を配合しても良い。配合されうる他の成分の具体例としては、炭酸カルシウムアルミナ酸化チタンなどの充填剤粘着性付与剤水添石油樹脂水添テルペン樹脂ひまし油誘導体ソルビタン高級脂肪酸エステル、低分子量ポリブテン);界面活性剤レベリング剤紫外線吸収剤光安定剤脱水剤ポットライフ延長剤アセチルアセトンメタノールオルト酢酸メチルなど);ハジキ改良剤;を挙げることができる。

0039

本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を構成するために用いる酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収速度は特に限定されるものではないが、30℃における酸素吸収速度が、0.01cc/100cm2・日以上のものであることが好ましい。ここで、本発明において、酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収速度は、対象とする酸素吸収性樹脂組成物を厚さ20μmのフィルムとし、そのフィルムを、30℃、大気圧の下、一定容量乾燥空気中に置いた場合に、そのフィルムが単位面積(100cm2)当り1日(24時間)で吸収する酸素の容量(単位:cc)で表すものとする。酸素吸収速度が小さすぎる酸素吸収性樹脂組成物を用いると、得られる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物の酸素吸収能力が不十分となる。

0040

本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物において、酸素吸収性樹脂組成物を分散させるために用いられる酸素バリア性マトリックス樹脂は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂およびポリアミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂である。本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物では、酸素バリア性マトリックス樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂およびポリアミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂を用いることにより、加熱殺菌処理時までの酸素吸収能力の低減の防止と、加熱殺菌処理時の十分な酸素吸収能力の発現とが両立される。

0041

酸素バリア性マトリックス樹脂として用いられ得るエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、構造上、エチレンとビニルアルコールとを主構成単位とする共重合体であるが、通常、エチレンと脂肪酸ビニルエステルとの共重合体を、アルカリ触媒などによって部分的にまたは完全に鹸化することによって得られるものである。エチレンと共重合する脂肪酸ビニルエステルは特に限定されないが、酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられ、プロピオン酸ビニルピバリン酸ビニルなどを使用したものであってもよい。また、エチレンと脂肪酸ビニルエステルとの共重合体を鹸化する方法も特に限定されない。さらに、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、エポキシプロパンエポキシエタングリシドールなどの分子量500以下の一価エポキシ化合物を用いた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体であってもよい。

0042

エチレン−ビニルアルコール共重合体において、エチレン単位含有量は、特に限定されないが、20〜60モル%であることが好ましく、25〜50モル%であることがより好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン単位含有量がこの範囲内にあることにより、得られる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物において、加熱殺菌処理時までの酸素吸収能力の低減防止と加熱殺菌処理時の酸素吸収能力とが、さらに高度に両立される。なお、エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン単位含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。

0043

エチレン−ビニルアルコール共重合体のビニルエステル部分の鹸化度(ビニルアルコール構造を有する単量体単位部分とビニルエステル構造を有する単量体単位部分との合計に対するビニルアルコール構造を有する単量体単位部分の比率)は、特に限定されないが、95モル%以上であることが好ましく、96モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることが特に好ましい。このような鹸化度を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体は熱安定性が良好であるため、これを用いて得られる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を成形する際にゲルなどの異物が生じることがない。なお、エチレン−ビニルアルコール共重合体の鹸化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。

0044

エチレン−ビニルアルコール共重合体は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。異なるエチレン単位含有量を有する二種類以上を併用するときのエチレン−ビニルアルコール共重合体混合物におけるエチレン単位含有量は、その配合重量比から求めることができる。また、異なる鹸化度を有する二種以上を併用するときのエチレン−ビニルアルコール共重合体混合物における鹸化度は、その配合重量比から求めることからできる。

0045

エチレン−ビニルアルコール共重合体のメルトフローレートMFR)は、特に限定されないが、1.5〜15g/10min(210℃、荷重2160g)の範囲で選定することが好ましい。

0046

酸素バリア性マトリックス樹脂として用いられ得るポリアミド樹脂は、重合体主鎖中にアミド結合を含有する樹脂であれば特に限定されないが、ジカルボン酸成分とジアミン成分とから誘導される脂肪族、脂環族もしくは半芳香族ポリアミドアミノカルボン酸もしくはそのラクタムから誘導されるポリアミド、これらのコポリアミドもしくはブレンド物が好適に用いられる。

0047

ポリアミド樹脂を合成するためのジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸などの炭素数4ないし15の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、ジアミン成分としては、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの炭素数4〜25の、特に6〜18の、直鎖状または分岐鎖状アルキレンジアミンや、ビスアミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、特にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジアミン、m−キシリレンジアミンおよび/またはp−キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンが挙げられる。アミノカルボン酸成分としては、α,β,ω−アミノカプロン酸、ω−アミノオクタン酸、ω−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸などの脂肪族アミカルボン酸;p−アミノメチル安息香酸、p−アミノフェニル酢酸などの芳香族アミノカルボン酸;などを挙げることができる。

0048

ポリアミド樹脂の具体例としては、ポリε−カプロラクタム(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリラウリルラクタム(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアンモニウムアジペート共重合体(ポリアミド6/66)が挙げられる。これらのポリアミド樹脂の中でも、ポリアミド6、ポリアミド6/12、ポリアミド6/66が好適に用いられる。これらのポリアミド樹脂は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。

0049

ポリアミド樹脂の粘度数は、特に限定されないが、160〜320ml/gの範囲で選定することが好ましい。

0050

酸素バリア性マトリックス樹脂は、その酸素透過速度が、20μmの厚さのフィルムについて、23℃、相対湿度5%の条件下で測定したときに、0.15〜30cc/m2・day・atmであることが好ましい。また、酸素バリア性マトリックス樹脂は、酸素吸収性樹脂組成物の各成分(特に樹脂および軟化剤)のいずれとも相溶しないものであることが好ましい。

0051

酸素バリア性マトリックス樹脂には、必要に応じてさらに他の成分を配合しても良い。配合されうる他の成分の具体例としては、熱安定剤;紫外線吸収剤;着色剤顔料中和剤フタル酸エステルグリコールエステルなどの可塑剤;炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタンなどの充填剤;粘着性付与剤(水添石油樹脂、水添テルペン樹脂、ひまし油誘導体、ソルビタン高級脂肪酸エステル、低分子量ポリブテン);界面活性剤;レベリング剤;紫外線吸収剤;光安定剤;脱水剤;ポットライフ延長剤(アセチルアセトン、メタノール、オルト酢酸メチルなど);ハジキ改良剤;を挙げることができる。

0052

本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、酸素バリア性マトリックス樹脂中に酸素吸収性樹脂組成物が分散されてなるものである。酸素バリア性マトリックス樹脂中に酸素吸収性樹脂組成物を分散させる方法は特に限定されず、公知の手法を採用すれば良いが、工程の簡便さやコストの観点から、溶融混練法が好適に使用される。なお、酸素バリア性マトリックス樹脂中に酸素吸収性樹脂組成物を分散させる際に、それぞれの各成分を予め混合しておく必要はなく、個々の成分を一括で、または任意の順で混合して、酸素バリア性マトリックス樹脂中に酸素吸収性樹脂組成物が分散した状態とすれば良い。

0053

本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物において、酸素吸収性樹脂組成物と酸素バリア性マトリックス樹脂との配合比は特に限定されないが、酸素吸収性樹脂組成物/酸素バリア性マトリックス樹脂の重量比が、5/95〜50/50であることが好ましく、20/80〜40/60であることがより好ましい。酸素吸収性樹脂組成物/酸素バリア性マトリックス樹脂の重量比がこの範囲にあると、得られる被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物の酸素吸収能力と臭気発生抑制度合いとのバランスが特に良好なものとなる。

0054

本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物には、相溶化剤や分散安定化剤を配合しても良い。相溶化剤・分散安定化剤の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエチレンやスチレン−ジエン系ブロック共重合体(スチレン−イソプレン−ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体など)、その水添物などのスチレン系重合体を変性して得られる、極性基を含有する炭化水素系重合体などを示すことができる。また、本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物には、必要に応じて、ブロッキング防止剤防曇剤耐熱安定剤、耐候性安定剤、滑剤帯電防止剤補強剤難燃剤カップリング剤発泡剤離型剤などの他の成分を添加することができる。

0055

酸素バリア性マトリックス樹脂中に酸素吸収性樹脂組成物を分散させる際に、溶融混練法を採用する場合に用いる装置は、特に限定されないが、例えば、連続式インテンシブミキサー、(同方向または異方向)ニーディングタイプ二軸押出機ミキシングロールコニーダーなどの連続型混練機高速ミキサーバンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ型混練機;KCK社製のKCK混練押出機などの、石臼のような摩砕機構を有する回転円板を使用した装置;一軸押出機混練部(ダルメージ、CTMなど)を設けたもの;リボンブレンダーブラベンダーミキサーなどの簡易型の混練機を挙げることができる。本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を用いて、後述するような被加熱殺菌処理包装用フィルムを得る場合には、二軸押出機を用いることが好適である。混練温度は、通常50〜300℃の範囲であり、好ましくは170〜240℃の範囲である。

0056

以上のようにして得られる本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、食品などの内容物を包装するための包装容器などの包装材の材料として用いられるものであって、内容物を包装した状態で、その内容物を加熱殺菌処理するために用いられるものである。本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、加熱殺菌処理時の比較的に高温度・高湿度である条件では十分な酸素吸収能力を発現し、それ以前の比較的に低温度・低湿度である条件では酸素吸収性樹脂組成物が消費され難いものであるので、加熱殺菌処理時に内部の酸素量を低減させるための包装材の材料として好適に用いることができる。

0057

加熱殺菌処理は、通常60℃以上の温度で行われるものであり、代表例としては、レトルト処理(加圧下、100℃〜135℃の範囲で行われる)およびボイル処理(常圧下、100℃以下で行われる)が挙げられる。また、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を用いた包装材により包装する内容物は、加熱殺菌処理の対象となるものであれば特に限定されないが、水分を含有するものであることが好ましい。環境湿度が高い状態において、酸素バリア性マトリックス樹脂は酸素を通し易いものとなり、その結果、加熱殺菌処理時において、酸素バリア性マトリックス樹脂中に分散された酸素吸収性樹脂組成物による酸素の吸収が行われ易くなるからである。

0058

本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を用いた包装材の形態は特に限定されないが、加工の容易さや加熱殺菌処理時または処理後の外部から酸素の侵入を防止する観点から、次に述べる、本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムの形態を経て、包装材を構成することが好ましい。

0059

本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムは、本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物からなる酸素吸収層、酸素吸収層の第1の面側に積層されるシーラント層、および酸素吸収層の第2の面側に積層される酸素バリア層を含んでなるフィルムである。

0060

酸素吸収層は、上述した本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物からなる層である。酸素吸収層の厚さは、特に限定されず、必要とされる酸素吸収量などに応じて設定すれば良いが、通常5〜100μm、好ましくは10〜30μmの範囲で設定される。

0061

シーラント層は、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物からなる酸素吸収層の一方の面側に積層される層であって、熱によって溶融して相互に接着する(ヒートシールされる)ことによって、包装内部に外部と遮断された空間を形成する機能を有し、かつ、包装内部において酸素吸収層と内容物とが直接接触することを防ぎつつ酸素を透過させて酸素吸収層に吸収させる層である。シーラント層を構成するために用いられるヒートシール性を有する材料は、通常熱可塑性樹脂で構成され、その具体例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレンなどのポリエチレン;ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ1−ブテンなどのα−オレフィンの単独重合体;エチレン−プロピレン共重合体などのエチレンとα−オレフィンとの共重合体;エチレンまたはα−オレフィンと、他の単量体(イタコン酸メタクリル酸アクリル酸無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルオクタノエート、ビニルドデカノエート、ビニルステアレート、ビニルアラキドネートなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類ビニルピロリドン類)との共重合体;ポリエチレンまたはα−オレフィン(共)重合体をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂;エチレンとメタクリル酸との共重合体などにNaイオンやZnイオンを作用させたアイオノマー樹脂;が挙げられる。これらのなかでも、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましく用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。

0062

シーラント層には、必要に応じて、酸化防止剤;粘着性付与剤(水添石油樹脂、水添テルペン樹脂、ひまし油誘導体、ソルビタン高級脂肪酸エステル、低分子量ポリブテンなど);帯電防止剤;充填剤;可塑剤(フタル酸エステル、グリコールエステルなど);界面活性剤;レベリング剤;耐熱安定剤;耐候性安定剤;紫外線吸収剤;光安定剤;脱水剤;ポットライフ延長剤(アセチルアセトン、メタノール、オルト酢酸メチルなど);ハジキ改良剤;ブロッキング防止剤;防曇剤;滑剤;補強剤;難燃剤;カップリング剤;発泡剤;離型剤;着色剤;顔料;などを添加することができる。

0063

シーラント層の厚さは、特に限定されないが、通常30〜200μm、好ましくは40〜80μmの範囲で設定される。

0064

酸素バリア層は、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物からなる酸素吸収層のもう一方の面側(シーラント層が積層される面の裏面側)に積層される層であって、包装外部から酸素吸収層や包装内部への酸素の侵入量を低減させるために設けられる層である。酸素バリア層を構成するために用いられる材料は、酸素透過性の低いものであれば特に限定されず、金属、無機材料、樹脂などが用いられる。酸素バリア層として用いられる金属の例としては、アルミニウムが挙げられる。金属は、箔としてこれを樹脂フィルムなどの他のフィルムに積層して用いてもよく、蒸着などによって他のフィルム上に薄膜を形成して用いてもよい。酸素バリア層として用いられる無機材料の例としては、シリカやアルミナなどの金属酸化物が挙げられ、例えば、樹脂フィルムなどの他のフィルムに蒸着して用いることができる。また、そのように得られる蒸着膜には、さらに酸素バリア性を向上させる目的で、例えばポリビニルアルコールシラン化合物系の材料などによって形成されるオーバーコート層を設けても良いし、他のフィルムと蒸着膜との密着性を向上させるためにプライマー層を設けても良い。酸素バリア層として用いられる樹脂の例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール樹脂ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6などのポリアミド樹脂;ポリアラミド樹脂ポリカーボネート樹脂ポリスチレン樹脂ポリアセタール樹脂フッ素樹脂ポリエーテル系、アジペートエステル系カプロラクトンエステル系ポリ炭酸エステル系などの熱可塑性ポリウレタンポリ塩化ビニリデンポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル樹脂;ポリアクリロニトリル;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などのポリα−オレフィン樹脂;ポリエチレンやα−オレフィン(共)重合体をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂;エチレンとメタクリル酸との共重合体などにNaイオンやZnイオンを作用させたアイオノマー樹脂;これらの混合物;を挙げることができる。

0065

酸素バリア層としては、ヘキサメチレンジシロキサンなどのオルガノシランアセチレンなどの炭素源となる化合物などのガスを用いた化学気相蒸着によって形成される膜を用いることもできる。

0066

酸素バリア層としては、比較的高い湿度条件下においても高い酸素バリア性を発揮するものが特に好ましく用いられ、その具体例としては、金属または無機材料の層を有するフィルムを挙げることができる。また、被加熱殺菌処理包装用フィルムを透明にする必要がある場合には、いわゆる透明蒸着フィルムを酸素バリア層として用いることが好ましい。

0067

酸素バリア層の厚さは、特に限定されず、必要とされる酸素バリア性能や用いる材料などに応じて設定すれば良い。酸素バリア層として、樹脂フィルムに無機材料を蒸着してなるフィルムを用いる場合において、無機材料の蒸着膜の厚さは、通常0.001〜1μm、好ましくは0.01〜0.2μmの範囲で設定される。

0068

本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムは、酸素吸収層、シーラント層、および酸素バリア層以外の層を含んでなるものであっても良い。また、酸素吸収層と、シーラント層および酸素バリア層との積層は、それぞれ、直接積層されたものであっても良いし、他の層を介して積層されたものであっても良い。被加熱殺菌処理包装用フィルムを構成し得る他の層としては、接着剤層、保護層、支持基材層を例示することができる。

0069

接着剤層は、例えば、酸素吸収層と、シーラント層または酸素バリア層とを接着させるために、これらの層間に配置させる層である。接着剤層として用いられる材料としては接着性樹脂が挙げられ、その具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、およびこれらの重合体に、例えば無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸やその無水物で変性(付加、グラフトなど)させたものが挙げられる。これらのなかでも、不飽和カルボン酸やその無水物で変性させた重合体が好ましく用いられ、不飽和カルボン酸やその無水物で変性させたポリオレフィンが特に好ましく用いられる。なお、接着性樹脂は、酸素吸収層、シーラント層、酸素バリア層などに配合して、これらの層の密着性を改良するために用いることも可能である。

0070

接着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常2〜10μmの範囲で設定される。

0071

保護層は、被加熱殺菌処理包装用フィルムに耐熱性などを付与し、被加熱殺菌処理包装用フィルムを保護することを目的として設ける層である。保護層として用いられる材料としては、熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、高密度ポリエチレンなどのエチレン重合体プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体などのプロピレン重合体;ポリアミド6、ポリアミド66などのポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリ塩化ビニル;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネートポリアクリレートポリケトンを挙げることができる。これらのなかでも、ポリアミドやポリエステルを用いることが好ましい。

0072

支持基材層は、被加熱殺菌処理包装用フィルムに機械的強度を付与し、形状保持性を改良することを目的として設ける層である。支持基材層として用いられる材料の例としては、ポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6−ポリアミド66共重合体などのポリアミド樹脂;天然繊維合成繊維;これらを抄造して得られる紙が挙げられる。

0073

被加熱殺菌処理包装用フィルムの層構成は、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物からなる酸素吸収層、酸素吸収層の第1の面側に積層されるシーラント層、および酸素吸収層の第2の面側に積層される酸素バリア層を含むものである限り、特に限定されない。具体的な層構成の例としては、シーラント層をS、酸素吸収層をOa、酸素バリア層をOb、接着剤層をAd層、保護層をP、支持基材層Bとして、S/Oa/Ob、S/Ad/Oa/Ob、S/Oa/Ad/Ob、S/Ad/Oa/Ad/Ob、S/Ad/Oa/Ad/S/Ad/B/Ob、S/Ad/Oa/Ad/S/Ad/B/Ad/Ob、S/Ad/Oa/Ad/S/Ad/Obが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0074

被加熱殺菌処理包装用フィルムの全体の厚さは特に限定されないが、通常40〜300μm、好ましくは60〜200μmの範囲で設定される。

0075

本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムを製造するにあたり、各層を成形する方法、および各層を積層させる方法は特に限定されず、それぞれの材料などに応じて公知の手法を適用すれば良い。各層を成形する方法としては、押出ラミネーション成形法押出キャスト成形法、インフレーション成形法溶液キャスト法を例示することができる。また、各層を積層(接着)する方法としては、ドライラミネート方式、ウエトラミネート方式、ノンソルベントラミネーション方式などの積層法が挙げられる。但し、本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムを製造するにあたっては、酸素吸収層(他の層を含んでいても良い)と酸素バリア層(他の層を含んでいても良い)との積層は、種々の材料に対して適用可能なドライラミネート方式で行われることが好ましく、なかでも、次に述べるような条件のドライラミネート方式で行われることが好ましい。

0076

即ち、本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムの製造方法では、本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムを製造するにあたり、酸素吸収層と酸素バリア層との積層を、ラミネート接着剤層を介してドライラミネート方式で接着し、次いで、温度40〜60℃、相対湿度0〜65%の条件下においてエージングすることにより行うことを特徴とする。

0077

酸素吸収層と酸素バリア層とをドライラミネート方式で接着するには、まず、酸素吸収層および酸素バリア層の少なくとも一方の面に、溶剤に溶解したラミネート接着剤グラビアロールなどを用いて塗布し、ラミネート接着剤の溶剤を揮発させてラミネート接着剤層を形成させ、そのラミネート接着剤層にニップロールなどを用いて接着させる層を積層させる。なお、この際用いられるラミネート接着剤の例としては、接着剤層を構成し得る材料として前述した接着性樹脂を挙げることができる。また、ラミネート接着剤の溶剤は、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノールイソプロパノールn−プロパノールなどのアルコール類を主成分とする溶剤を用いることができる。

0078

以上のようにして接着された酸素吸収層および酸素バリア層は、エージングすることにより、接着剤層中の残留溶剤を除去し、その接着を強固なものとすることができる。このとき、エージングの条件を、温度40〜60℃、相対湿度0〜65%の範囲で設定することによって、酸素吸収層と酸素バリア層との強固な接着と、エージング工程における酸素吸収層を構成する酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収(すなわち、酸素吸収性樹脂組成物の消費)の防止とを両立することができる。エージング工程における温度や相対湿度が高すぎると、エージング工程において酸素吸収性樹脂組成物による酸素吸収が行われて、酸素吸収性樹脂組成物が消費されてしまい、加熱殺菌処理時に十分な酸素吸収能力を発揮できないおそれがある。一方、エージング条件の温度が低すぎると、酸素吸収層と酸素バリア層との接着力が不十分なものとなるおそれがある。なお、エージングを行う時間は特に限定されないが、通常12〜240時間、好ましくは24〜168時間の範囲である。

0079

酸素吸収層と酸素バリア層とをドライラミネート方式で接着する場合においては、生産性の観点から、予め、被加熱殺菌処理包装用フィルムを構成するために用いる他の層を酸素吸収層または酸素バリア層に積層しておくことが好ましい。したがって、被加熱殺菌処理包装用フィルムにおいて必須の層であるシーラント層は、予め酸素吸収層と積層して、積層体を得てから、その積層体と酸素バリア層とを積層することが好ましい。酸素吸収層とシーラント層との積層体を得る手法としては、多層インフレーション成形が好適である。

0080

本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムは、種々の形態の包装容器・包装材とすることが可能であり、例えば、パウチ(袋状)、箱状、カップ状などの包装容器としたり、包装フィルム、蓋などの包装材としたりすることができる。本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムは、これらのなかでも、被加熱殺菌処理包装用パウチを得るために好適に用いられる。

0081

本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムを用いて、被加熱殺菌処理包装用パウチを得るためには、公知の手法により、被加熱殺菌処理包装用フィルムのシーラント層をヒートシールして、袋状にすれば良い。パウチの形態は特に限定されず、通常のパウチ、ガゼット付きパウチ、スタンディングパウチピロー包装袋などの形態にすることができる。

0082

本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムを用いて得られる包装容器や包装材は、内容物を包装した状態で、その内容物を加熱殺菌処理するために用いることができる。包装する内容物は、加熱殺菌処理の対象となるものであれば特に限定されず、例えば、カレースープシチューパスタソース丼物の具、ハンバーグミートボール介護食などの食品や輸液などの医薬品を挙げることができる。加熱殺菌処理の手法も特に限定されないが、レトルト処理(加圧下、100℃〜135℃の範囲で行われる)およびボイル処理(常圧下、100℃以下で行われる)が好適に採用される。レトルト処理、ボイル処理の条件は、これらの処理の条件として通常のものであれば特に限定されず、レトルト処理としては、回収式、蒸気式、シャワー式スプレー式などの方法が採用できる。

0083

本発明の被加熱殺菌処理包装用フィルムを用いた包装容器や包装材では、加熱殺菌処理時までの酸素吸収能力の低減が防止され、しかも、加熱殺菌処理時に十分な酸素吸収能力が発現される。したがって、加熱殺菌処理時に、包装内の酸素濃度が十分に低くなり、内容物の酸化を高度に防止することが可能となる。

0084

以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部および%は、特に断りのない限り、重量基準である。

0085

各種の測定については、以下の方法に従って行った。

0086

〔共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量(Mw)〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算分子量として求めた。

0087

〔共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率〕
(i) M.A.Golub and J.Heller,Can.J.Chem.,第41巻,937(1963).および(ii) Y.Tanaka and H.Sato,J.Polym.Sci:Poly.Chem.Ed.,第17巻,3027(1979).の文献に記載された方法を参考にして、プロトンNMR測定により求めた。なお、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU、環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT、二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSAUとすると、環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、式:SB=SBU/SBTで表され、環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、式:SA=SAU/SATで表される。従って、不飽和結合減少率は、式:不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SBにより求められる。

0088

〔ガラス転移温度〕
示差走査熱量計セイコーインスツルメント社製、「EXSTR600DSC」)を用いて、窒素気流中、昇温速度10℃/分で測定した。

0089

〔酸素濃度〕
パウチ内部の酸素濃度は、注射器によりパウチ内部の気体の一部を抜き取って、酸素濃度計セラマテック社製、「フードチェッカーHS−750」)を用いて測定した。

0090

臭気レベル
臭気は、官能試験により試験者5名が下記の基準に基づいて評価を行い、その平均点を臭気レベルとした。
全く臭いが感じられない・・・・・評価点
僅かに臭いが感じられる・・・・・評価点 2
少し酸臭が感じられる・・・・・・評価点 3
酸臭が強い・・・・・・・・・・・評価点 4
酸臭がかなり強い・・・・・・・・評価点 5

0091

〔製造例1〕
攪拌機温度計還流冷却管および窒素ガス導入管を備えた耐圧反応器に、10mm角裁断したポリイソプレン(シス−1,4単位73%、トランス−1,4単位22%、3,4−単位5%、重量平均分子量243,100)100部を、シクロヘキサン374部とともに仕込んだ。反応器内を窒素置換した後、75℃に加温して攪拌下でポリイソプレンをシクロヘキサンに完全に溶解した後、p−トルエンスルホン酸(トルエン中で、水分量が150ppm以下になるように、還流脱水したもの)0.95部を、15%のトルエン溶液として添加し、温度が80℃を超えないように制御しながら環化反応を行った。7時間反応させた後、炭酸ナトリウム0.59部を含む25%炭酸ナトリウム水溶液を添加して反応を停止した。80℃で、共沸還流脱水により水を除去した後、孔径2μmのガラス繊維フィルターにて系中の触媒残渣を除去した。得られた溶液からシクロヘキサンを留去して、さらに、真空乾燥によってトルエンを除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物Iを得た。共役ジエン重合体環化物Iの重量平均分子量は190,800であり、不飽和結合減少率は64.6%であり、ガラス転移温度は60℃であった。

0092

得られた固形状の共役ジエン重合体環化物Iは、単軸混練押出機(40φ、L/D=25、ダイス径3mm×1穴、池社製)を用いて、シリンダー1:140℃、シリンダー2:150℃、シリンダー3:160℃、シリンダー4:170℃、ダイス温度170℃、回転数25rpmの混練条件で混練し、ペレット化した。

0093

〔製造例2〕
攪拌機、温度計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えた耐圧反応器に、10mm角に裁断したポリイソプレン(シス−1,4単位73%、トランス−1,4単位22%、3,4−単位5%、重量平均分子量154,000)300部を、シクロヘキサン700部とともに仕込んだ。反応器内を窒素置換した後、75℃に加温して攪拌下でポリイソプレンをシクロヘキサンに完全に溶解した後、p−トルエンスルホン酸(トルエン中で、水分量が150ppm以下になるように、還流脱水したもの)3.0部を、15%のトルエン溶液として添加し、温度が80℃を超えないように制御しながら環化反応を行った。7時間反応させた後、炭酸ナトリウム1.16部を含む25%炭酸ナトリウム水溶液を添加して反応を停止した。80℃で、共沸還流脱水により水を除去した後、孔径2μmのガラス繊維フィルターにて系中の触媒残渣を除去した。得られた溶液からシクロヘキサンを留去して、さらに、真空乾燥によってトルエンを除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物IIを得た。共役ジエン重合体環化物IIの重量平均分子量は142,000であり、不飽和結合減少率は71.7%であり、ガラス転移温度は79℃であった。得られた共役ジエン重合体環化物IIについては、製造例1と同様にペレット化した。

0094

〔実施例1〕
製造例1で得た共役ジエン重合体環化物Iのペレット36部、エチレン−ビニルアルコール共重合体(「DC3203」、日本合成化学社製、エチレン単位含有量32モル%、MFR3.8g/10min(210℃、荷重2160g))60部、および流動パラフィン(「ハイコールK−350」、カネダ社製)4部を、二軸混練機(「ZE40A」、ベルトルフ社製)を用いて、シリンダー1:150℃、シリンダー2:180℃、シリンダー3:170℃、シリンダー4:170℃、ダイス温度180℃、回転数150rpmの条件で混練して、ペレット化することにより、実施例1の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物のペレットを得た。この実施例1の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる酸素バリア性マトリックス樹脂中に、共役ジエン重合体環化物Iおよび流動パラフィンからなる酸素吸収性樹脂組成物が分散した構成を有していた。実施例1の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を試料としてガラス転移温度を測定したところ、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物に含まれる酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は36℃であった。実施例1の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物における、各成分の配合量および酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は、表1に示した。

0095

0096

〔実施例2〕
エチレン−ビニルアルコール共重合体60部に代えて、ポリアミド6(「ノバミッド1030」、三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度数246ml/g)60部を用い、混練の条件を、シリンダー1:150℃、シリンダー2:230℃、シリンダー3:200℃、シリンダー4:200℃、ダイス温度220℃、回転数150rpmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物のペレットを得た。この実施例2の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、ポリアミド6からなる酸素バリア性マトリックス樹脂中に、共役ジエン重合体環化物Iおよび流動パラフィンからなる酸素吸収性樹脂組成物が分散した構成を有していた。実施例2の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を試料としてガラス転移温度を測定したところ、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物に含まれる酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は36℃であった。実施例2の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物における、各成分の配合量および酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は、表1に示した。

0097

〔実施例3〕
共役ジエン重合体環化物Iのペレット36部に代えて、製造例2で得た共役ジエン重合体環化物IIのペレット34部を用い、さらにエルカ酸(日油社製)2部を加えて混練を行ったこと以外は実施例2と同様にして、実施例3の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物のペレットを得た。この実施例3の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、ポリアミド6からなる酸素バリア性マトリックス樹脂中に、共役ジエン重合体環化物II、流動パラフィン、およびエルカ酸からなる酸素吸収性樹脂組成物が分散した構成を有していた。実施例3の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を試料としてガラス転移温度を測定したところ、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物に含まれる酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は39℃であった。実施例3の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物における、各成分の配合量および酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は、表1に示した。

0098

〔比較例1〕
エチレン−ビニルアルコール共重合体60部に代えて、変性ポリエチレンテレフタレート樹脂(「SKYGREEN S2008」、SKケミカル社製)60部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物のペレットを得た。この比較例1の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、変性ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるマトリックス樹脂中に、共役ジエン重合体環化物Iおよび流動パラフィンからなる酸素吸収性樹脂組成物が分散した構成を有していた。比較例1の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を試料としてガラス転移温度を測定したところ、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物に含まれる酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は36℃であった。比較例1の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物における、各成分の配合量および酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は、表1に示した。

0099

〔比較例2〕
共役ジエン重合体環化物Iのペレットの使用量を33部に変更し、流動パラフィンの使用量を7部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物のペレットを得た。この比較例2の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる酸素バリア性マトリックス樹脂中に、共役ジエン重合体環化物Iおよび流動パラフィンからなる酸素吸収性樹脂組成物が分散した構成を有していた。比較例2の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を試料としてガラス転移温度を測定したところ、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物に含まれる酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は24℃であった。比較例2の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物における、各成分の配合量および酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は、表1に示した。

0100

〔比較例3〕
共役ジエン重合体環化物Iのペレット36部に代えて、共役ジエン重合体環化物IIのペレット30部を用い、エチレン−ビニルアルコール共重合体60部に代えて、線状低密度ポリエチレン樹脂(「ZM047」、宇部丸善ポリエチレン社製)70部を用い、流動パラフィンを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物のペレットを得た。この比較例3の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物は、線状低密度ポリエチレン樹脂からなるマトリックス樹脂中に、共役ジエン重合体環化物IIからなる酸素吸収性樹脂組成物が分散した構成を有していた。比較例3の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を試料としてガラス転移温度を測定したところ、被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物に含まれる酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は79℃であった。比較例3の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物における、各成分の配合量および酸素吸収性樹脂組成物のガラス転移温度は、表1に示した。

0101

〔実施例4〕
実施例1で得た被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物および市販の変性ポリオレフィン樹脂(「モディック F532」、三菱化学社製)を用いて、シリンダー温度200〜210℃、アダプター温度210℃、ダイス温度210℃、回転数50rpm、引取速度2.0m/分、引取ロール温度75℃の条件で、Tダイを備えた押出成形機(創研社製,ダイス幅300mm、口径25mm)によって多層インフレーション成形を行うことにより、変性ポリオレフィン樹脂からなる接着剤層(厚さ20μm)/被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物からなる酸素吸収層(厚さ20μm)/変性ポリオレフィン樹脂からなるシーラント層(厚さ20μm)の3層からなるフィルムを得た。次いで、得られた3層からなるフィルムと、透明シリカ蒸着フィルム(「テックバリア T」、三菱樹脂社製)とを重ねて、折り畳んでからホットラミネーター(「EXCELAM−3550」、GMP社製)を用いて、ロール温度120℃の条件で、ドライラミネート方式で各層を接着させつつ、シーラント層をヒートシールすることにより3方シールを行ない、外側から、透明シリカ蒸着フィルムからなる酸素バリア層/接着剤層/酸素吸収層/シーラント層の構成を有する被加熱殺菌処理包装用フィルムにより構成された、大きさ100mm×150mmの実施例4のパウチを得た。

0102

得られた実施例4のパウチの1つに、1ccの水と室温下で100ccの乾燥空気(酸素濃度20.7%)を入れた後、パウチの開口辺をヒートシールして密封し、60℃の乾燥機に30日間放置した。30日間放置後、パウチ内部の酸素濃度を測定し、その測定値からパウチに吸収された酸素量(V0)を求めた。また、別の実施例4のパウチに、室温下で100ccの乾燥空気(酸素濃度20.7%)のみを入れた後、パウチの開口辺をヒートシールして密封し、60℃の乾燥機に3日間放置した。3日間放置後、パウチ内部の酸素濃度を測定し、その測定値からパウチに吸収された酸素量(Va)を求めた。式:(Va/V0)×100の値として求められるエージング条件下酸素吸収能力低減率は、8%であった。さらに、また別の実施例4のパウチに、1ccの水と室温下で8ccの乾燥空気(酸素濃度20.7%)を入れた後、パウチの開口辺をヒートシールして密封し、レトルト殺菌装置(「レトルト高圧蒸気滅菌器RK−3030」、アルプ社製)を用いて、121℃、30分間のレトルト処理を行った。30分間のレトルト処理後、パウチ内部の酸素濃度を測定したところ、0.85%であった。また、レトルト処理後のパウチ内部の臭気を評価したところ、その臭気レベルは1であった。実施例4のパウチの、エージング条件下酸素吸収能力低減率、レトルト処理後の酸素濃度およびレトルト処理後の臭気レベルは、表2にまとめて示した。

0103

0104

〔実施例5〕
被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を実施例2で得たものに代え、透明シリカ蒸着フィルムに代えてアルミ蒸着フィルム(「VM-PET 1319(#12)」、東レフィルム加工社製)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例5のパウチを得た。この実施例5のパウチについて、実施例4と同様の測定を行った。実施例5のパウチの、エージング条件下酸素吸収能力低減率、レトルト処理後の酸素濃度およびレトルト処理後の臭気レベルは、表2に示した。

0105

〔実施例6〕
被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を実施例3で得たものに代え、透明シリカ蒸着フィルムとして、「テックバリア NR」(三菱樹脂社製)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして実施例6のパウチを得た。この実施例6のパウチについて、実施例4と同様の測定を行った。実施例6のパウチの、エージング条件下酸素吸収能力低減率、レトルト処理後の酸素濃度およびレトルト処理後の臭気レベルは、表2に示した。

0106

〔比較例4〕
被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を比較例1で得たものに代えたこと以外は、実施例4と同様にして比較例4のパウチを得た。この比較例4のパウチについて、実施例4と同様の測定を行った。比較例4のパウチの、エージング条件下酸素吸収能力低減率、レトルト処理後の酸素濃度およびレトルト処理後の臭気レベルは、表2に示した。

0107

〔比較例5〕
被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を比較例2で得たものに代えたこと以外は、実施例4と同様にして比較例5のパウチを得た。この比較例5のパウチについて、実施例4と同様の測定を行った。比較例5のパウチの、エージング条件下酸素吸収能力低減率、レトルト処理後の酸素濃度およびレトルト処理後の臭気レベルは、表2に示した。

0108

〔比較例6〕
被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を比較例3で得たものに代えたこと以外は、実施例4と同様にして比較例6のパウチを得た。この比較例6のパウチについて、実施例4と同様の測定を行った。比較例6のパウチの、エージング条件下酸素吸収能力低減率、レトルト処理後の酸素濃度およびレトルト処理後の臭気レベルは、表2に示した。

実施例

0109

実施例4〜6および比較例4〜6のパウチについて測定したV0の値はパウチが有する全酸素吸収能力に等しいといえ、Vaの値は低湿度(0%RH)下におけるエージング工程(60℃、3日間)で消費される酸素吸収能力に等しいといえる。よって、式:(Va/V0)×100の値として求められるエージング条件下酸素吸収能力低減率が小さいものほど、加熱殺菌処理時までのエージング工程などにおける酸素吸収能力の低減が防止されたものであるといえる。また、レトルト処理後の酸素濃度が低いものほど、加熱殺菌処理時に十分な酸素吸収能力が発揮されるものであるといえる。したがって、表2を参照すると分かるように、本発明の被加熱殺菌処理包装用樹脂組成物を用いて得られる被加熱殺菌処理包装用フィルムにより構成されたパウチ(実施例4〜6)は、加熱殺菌処理時までの酸素吸収能力の低減が防止され、かつ、加熱殺菌処理時に十分な酸素吸収能力を発現し、しかも、酸素吸収に伴って発生する臭気が抑制されたものであるといえる。一方、マトリックス樹脂が変性ポリエチレンテレフタレート樹脂である組成物を用いて得られたパウチ(比較例4)やマトリックス樹脂が線状低密度ポリエチレン樹脂である組成物を用いて得られたパウチ(比較例6)は、エージング条件下酸素吸収能力低減率が大きく、加熱殺菌処理時までに酸素吸収能力が低減しやすいものである上に、レトルト処理後の酸素濃度が高く、加熱殺菌処理時には十分な酸素吸収能力を発現しないものであった。しかも、これらのパウチは、レトルト処理後の臭気レベルが高く、酸素吸収に伴って発生する臭気の抑制が不十分なものであった。また、ガラス転移温度が低すぎる酸素吸収性樹脂組成物により構成された組成物を用いて得られたパウチ(比較例5)は、エージング条件下酸素吸収能力低減率が大きく、加熱殺菌処理時までに酸素吸収能力が低減しやすいものである上に、レトルト処理後の臭気レベルが高く、酸素吸収に伴って発生する臭気の抑制が不十分なものであった。

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