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技術 モザイク状ダイヤモンドの製造方法

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 山田英明茶谷原昭義杢野由明鹿田真一
出願日 2010年12月15日 (9年11ヶ月経過) 出願番号 2011-546143
公開日 2013年4月25日 (7年7ヶ月経過) 公開番号 WO2011-074599
状態 特許登録済
技術分野 CVD 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード 支持台面 エッジ部分間 タンデム型加速器 ダイヤモンド部分 単結晶ダイヤモンド層 スカイフ研磨 ダイヤモンド単結晶膜 プラズマイオン注入法
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重要な関連分野

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課題・解決手段

本発明は、モザイク状に並べた複数のダイヤモンド単結晶基板、又は裏面を単結晶ダイヤモンド層によって接合されたモザイク状のダイヤモンド単結晶基板の表面近傍イオン注入して非ダイヤモンド層を形成し、次いで、気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離することを特徴とする、モザイク状ダイヤモンドの製造方法を提供するものである。本発明方法によれば、従来法と比較してより簡単な製造方法によって、ダイヤモンド単結晶基板の破壊を回避して、安定に大量のモザイク状ダイヤモンドを効率よく製造できる。

概要

背景

半導体として優れた特性を有するダイヤモンドは、高出力パワーデバイス高周波デバイス受光デバイスなど半導体デバイス用の材料として期待されている。特に、ダイヤモンドを半導体材料として実用化するためには、大面積且つ均質単結晶ダイヤモンドからなるウェハが必要である。

従来、単結晶ダイヤモンドの成長は、主に高圧合成法気相合成法などの方法によって行われている。これらの方法の内で、高圧合成法は、1cm角程度の面積を有する基板の製造が限界とされており、これ以上の面積を有する単結晶基板を製造する方法としては期待できない。また、5mm角程度以上の面積を有する単結晶ダイヤモンド基板入手することは困難であり、その面積を拡大することも容易ではない。また、気相合成法による単結晶ダイヤモンドは、これまで報告された最大の大きさは13 mm角程度であり(下記非特許文献1参照)、一般に入手できる最大の大きさも8 mm角程度にとどまる。従って、高圧合成法、気相合成法のいずれの方法でも、デバイス作製プロセスが容易になる1インチ径以上の大きさの単結晶ダイヤモンド基板は未だ実現されていない。

一方、気相合成法により、異種基板上にダイヤモンドを成長するヘテロエピタキシャル成長法により、1インチの単結晶ダイヤモンドが実現されている(下記非特許文献2参照)。しかしながら、この方法で成長したダイヤモンドは、単結晶基板上に成長したダイヤモンドに比べ、結晶性が著しく劣るという問題がある。

このため、大面積の単結晶ダイヤモンドを作製する方法として、同一表面上に並べた複数の高温高圧合成ダイヤモンド単結晶上に気相合成法によってダイヤモンド結晶を成長させて接合することによって、大型のダイヤモンド結晶とする、いわゆるモザイク状ダイヤモンドの作製技術が開発されている(下記特許文献1参照)。

しかしながら、上記の方法では、大型のモザイク状ダイヤモンド基板を1枚作製するために多数の高温高圧合成基板が必要となり、また、基板を再利用するためには、レーザー切断などの方法により成長層を基板から分離する必要がある。この場合、特に10mmを超える大型の基板をレーザー切断によって分離する場合、切断にかなりの時間を要するとともに、損失も大きくなる上、ダイヤモンド結晶が破壊される危険性がある。

このような問題を解決する方法として、上記と同様な方法でモザイク状ダイヤモンド基板を作製した後、該基板にイオン注入し、その後、ダイヤモンドを成長させて、ダイヤモンド成長層をモザイク状ダイヤモンド基板から分離して、モザイク状ダイヤモンドを製造する方法が提案されている(下記特許文献2参照)。この方法によれば、モザイク状ダイヤモンド基板に対してイオン注入とダイヤモンドの成長を繰り返すことによって、モザイク状ダイヤモンドを複製することが可能であるが、種結晶となる複数のダイヤモンド上にダイヤモンドを成長させて接合しモザイク状ダイヤモンドを作成した後、イオン注入する前に、成長したダイヤモンドの表面を研磨して平滑な面を形成する必要がある。しかしながら、ダイヤモンドの精密加工は非常に難しいため、接合した基板の面積が増大するに伴い、多大な作業時間を必要とする上に、研磨の際にダイヤモンド結晶が破壊される危険性がある。

概要

本発明は、モザイク状に並べた複数のダイヤモンド単結晶基板、又は裏面を単結晶ダイヤモンド層によって接合されたモザイク状のダイヤモンド単結晶基板の表面近傍にイオン注入して非ダイヤモンド層を形成し、次いで、気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離することを特徴とする、モザイク状ダイヤモンドの製造方法を提供するものである。本発明方法によれば、従来法と比較してより簡単な製造方法によって、ダイヤモンド単結晶基板の破壊を回避して、安定に大量のモザイク状ダイヤモンドを効率よく製造できる。

目的

本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、従来法と比較してより簡単な製造方法によって、ダイヤモンド単結晶基板の破壊を回避して、歩留まりよく大量のモザイク状ダイヤモンドを効率よく製造できる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

複数のダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍非ダイヤモンド層を形成し、該ダイヤモンド単結晶基板はイオン注入前又はイオン注入後平坦支持台上でモザイク状に並べた状態とされ、モザイク状に並べたイオン注入後のダイヤモンド単結晶基板表面に気相合成法単結晶ダイヤモンド層成長させてダイヤモンド単結晶基板を接合した後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離することを特徴とする、モザイク状ダイヤモンドの製造方法。

請求項2

下記(i)〜(v)の工程を含むモザイク状ダイヤモンドの製造方法:(i)複数のダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成する工程、(ii)非ダイヤモンド層を形成した各ダイヤモンド単結晶基板を反転させて平坦な支持台上でモザイク状に並べる工程、(iii)モザイク状に並べたダイヤモンド単結晶基板に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させてダイヤモンド単結晶基板を接合する工程、(iv)接合されたダイヤモンド単結晶基板を、更に平坦な支持台上で反転させて、イオン注入を行った面を上面とし、この面上に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程、(v)上記(iv)工程で単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、非ダイヤモンド層をエッチングして、非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する工程。

請求項3

下記(i)〜(vi)の工程を含むモザイク状ダイヤモンドの製造方法:(i)複数のダイヤモンド単結晶基板を平坦な支持台上にモザイク状に並べる工程、(ii)モザイク状に並べられたダイヤモンド単結晶基板の表面に、気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させてダイヤモンド単結晶基板を接合する工程、(iii)接合されたダイヤモンド単結晶基板を平坦な支持台上で反転させる工程、(iv)反転したダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成する工程、(v)非ダイヤモンド層を形成した各ダイヤモンド単結晶基板の表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程、(vi)単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、非ダイヤモンド層をエッチングして、非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する工程。

請求項4

請求項1〜3のいずれかの方法によって非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離した後、単結晶ダイヤモンド層が分離されたダイヤモンド単結晶基板に対して、イオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成し、次いで、該基板表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する操作を少なくとも一回行うことを特徴とするモザイク状ダイヤモンドの製造方法。

請求項5

請求項1〜3のいずれかの方法によって非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離してモザイク状ダイヤモンドを得た後、分離されたモザイク状ダイヤモンドの分離面に対して、イオン注入を行って該モザイク状ダイヤモンドの表面近傍に非ダイヤモンド層を形成し、次いで、該ダイヤモンド表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する操作を少なくとも一回行うことを特徴とするモザイク状ダイヤモンドの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、モザイク状ダイヤモンドを簡単な製造工程によって効率よく製造できる方法に関する。

背景技術

0002

半導体として優れた特性を有するダイヤモンドは、高出力パワーデバイス高周波デバイス受光デバイスなど半導体デバイス用の材料として期待されている。特に、ダイヤモンドを半導体材料として実用化するためには、大面積且つ均質単結晶ダイヤモンドからなるウェハが必要である。

0003

従来、単結晶ダイヤモンドの成長は、主に高圧合成法気相合成法などの方法によって行われている。これらの方法の内で、高圧合成法は、1cm角程度の面積を有する基板の製造が限界とされており、これ以上の面積を有する単結晶基板を製造する方法としては期待できない。また、5mm角程度以上の面積を有する単結晶ダイヤモンド基板入手することは困難であり、その面積を拡大することも容易ではない。また、気相合成法による単結晶ダイヤモンドは、これまで報告された最大の大きさは13 mm角程度であり(下記非特許文献1参照)、一般に入手できる最大の大きさも8 mm角程度にとどまる。従って、高圧合成法、気相合成法のいずれの方法でも、デバイス作製プロセスが容易になる1インチ径以上の大きさの単結晶ダイヤモンド基板は未だ実現されていない。

0004

一方、気相合成法により、異種基板上にダイヤモンドを成長するヘテロエピタキシャル成長法により、1インチの単結晶ダイヤモンドが実現されている(下記非特許文献2参照)。しかしながら、この方法で成長したダイヤモンドは、単結晶基板上に成長したダイヤモンドに比べ、結晶性が著しく劣るという問題がある。

0005

このため、大面積の単結晶ダイヤモンドを作製する方法として、同一表面上に並べた複数の高温高圧合成ダイヤモンド単結晶上に気相合成法によってダイヤモンド結晶を成長させて接合することによって、大型のダイヤモンド結晶とする、いわゆるモザイク状ダイヤモンドの作製技術が開発されている(下記特許文献1参照)。

0006

しかしながら、上記の方法では、大型のモザイク状ダイヤモンド基板を1枚作製するために多数の高温高圧合成基板が必要となり、また、基板を再利用するためには、レーザー切断などの方法により成長層を基板から分離する必要がある。この場合、特に10mmを超える大型の基板をレーザー切断によって分離する場合、切断にかなりの時間を要するとともに、損失も大きくなる上、ダイヤモンド結晶が破壊される危険性がある。

0007

このような問題を解決する方法として、上記と同様な方法でモザイク状ダイヤモンド基板を作製した後、該基板にイオン注入し、その後、ダイヤモンドを成長させて、ダイヤモンド成長層をモザイク状ダイヤモンド基板から分離して、モザイク状ダイヤモンドを製造する方法が提案されている(下記特許文献2参照)。この方法によれば、モザイク状ダイヤモンド基板に対してイオン注入とダイヤモンドの成長を繰り返すことによって、モザイク状ダイヤモンドを複製することが可能であるが、種結晶となる複数のダイヤモンド上にダイヤモンドを成長させて接合しモザイク状ダイヤモンドを作成した後、イオン注入する前に、成長したダイヤモンドの表面を研磨して平滑な面を形成する必要がある。しかしながら、ダイヤモンドの精密加工は非常に難しいため、接合した基板の面積が増大するに伴い、多大な作業時間を必要とする上に、研磨の際にダイヤモンド結晶が破壊される危険性がある。

0008

特開平7—48198号公報
特表2009−502705号公報

先行技術

0009

Y. Mokuno, A. Chayahara, H. Yamada, and N. Tsubouchi, Diamond and Related Materials 18, 1258 (2009).
前田、渡辺、安、鈴木、澤邊、第19回ダイヤモンドシンポジウム講演要旨集、50 (2005).

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、従来法と比較してより簡単な製造方法によって、ダイヤモンド単結晶基板の破壊を回避して、歩留まりよく大量のモザイク状ダイヤモンドを効率よく製造できる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、種基板となる複数のダイヤモンド単結晶基板にイオン注入を行ってダイヤモンド単結晶基板の表面近傍非ダイヤモンド層を形成し、イオン注入の前又はイオン注入の後に平坦支持台上でモザイク状に並べたイオン注入後のダイヤモンド単結晶基板表面に、気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を形成して複数のダイヤモンド単結晶基板を接合し、引き続き、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する方法によれば、ダイヤモンド層機械的に研磨する煩雑な工程を要することなく、簡単な処理方法で効率よく大型のモザイク状ダイヤモンドを得ることができることを見出した。更に、複数のダイヤモンド単結晶基板にイオン注入を行った後、該ダイヤモンド単結晶基板を反転させて平坦な支持台上にモザイク状に並べ、引き続き、気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を形成して複数のダイヤモンド単結晶基板を接合し、次いで、接合されたダイヤモンド単結晶基板を支持台上で再度反転させる方法、或いは、平坦な支持台上でモザイク状に並べたダイヤモンド単結晶基板表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を形成して複数のダイヤモンド単結晶基板を接合した後、支持台上で反転させてイオン注入を行う方法によれば、モザイク状に接合された複数のダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成することが可能であり、その後、非ダイヤモンド層が形成された基板表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を形成した後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する方法によっても、表面研磨などの煩雑な処理を要することなく、簡単な工程で大型のモザイク状ダイヤモンドを作製できることを見出した。更に、上記したいずれかの方法でモザイク状ダイヤモンドを作製した後、イオン注入による非ダイヤモンド層の形成と、該非ダイヤモンド層のエッチングを繰り返し行うことによって、大量のモザイク状ダイヤモンドを簡単に量産することができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に、鋭意研究を重ねることによって完成されたものである。

0012

即ち、本発明は、下記のモザイク状ダイヤモンドの製造方法を提供するものである。
1. 複数のダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成し、該ダイヤモンド単結晶基板はイオン注入前又はイオン注入後に平坦な支持台上でモザイク状に並べた状態とされ、モザイク状に並べたイオン注入後のダイヤモンド単結晶基板表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させてダイヤモンド単結晶基板を接合した後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離することを特徴とする、モザイク状ダイヤモンドの製造方法。
2. 下記(i)〜(v)の工程を含むモザイク状ダイヤモンドの製造方法:
(i)複数のダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成する工程、
(ii)非ダイヤモンド層を形成した各ダイヤモンド単結晶基板を反転させて平坦な支持台上でモザイク状に並べる工程、
(iii)モザイク状に並べたダイヤモンド単結晶基板に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させてダイヤモンド単結晶基板を接合する工程、
(iv)接合されたダイヤモンド単結晶基板を、更に平坦な支持台上で反転させて、イオン注入を行った面を上面とし、この面上に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程、
(v)上記(iv)工程で単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、非ダイヤモンド層をエッチングして、非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する工程。
3. 下記(i)〜(vi)の工程を含むモザイク状ダイヤモンドの製造方法:
(i)複数のダイヤモンド単結晶基板を平坦な支持台上にモザイク状に並べる工程、
(ii)モザイク状に並べられたダイヤモンド単結晶基板の表面に、気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させてダイヤモンド単結晶基板を接合する工程、
(iii)接合されたダイヤモンド単結晶基板を平坦な支持台上で反転させる工程、
(iv)反転したダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成する工程、
(v)非ダイヤモンド層を形成した各ダイヤモンド単結晶基板の表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程、
(vi)単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、非ダイヤモンド層をエッチングして、非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する工程。
4. 上記項1〜3のいずれかの方法によって非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離した後、単結晶ダイヤモンド層が分離されたダイヤモンド単結晶基板に対して、イオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成し、次いで、該基板表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する操作を少なくとも一回行うことを特徴とするモザイク状ダイヤモンドの製造方法。
5. 上記項1〜3のいずれかの方法によって非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離してモザイク状ダイヤモンドを得た後、分離されたモザイク状ダイヤモンドの分離面に対して、イオン注入を行って該モザイク状ダイヤモンドの表面近傍に非ダイヤモンド層を形成し、次いで、該ダイヤモンド表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する操作を少なくとも一回行うことを特徴とするモザイク状ダイヤモンドの製造方法。

0013

以下、本発明方法について具体的に説明する。

0014

種基板
本発明では、モザイク状ダイヤモンドを構成する各ダイヤモンド部分基礎となる種基板として、単結晶ダイヤモンド基板を用いる。単結晶ダイヤモンドの種類については特に限定はなく、その表面が、エピタキシャル成長が可能な結晶面、又はその結晶面に対して傾斜角、即ち、オフ角を有する単結晶ダイヤモンドを用いることができる。単結晶ダイヤモンドの製造方法についても限定はなく、天然のダイヤモンドの他、高圧合成法などによって合成されたダイヤモンド単結晶、気相合成によって合成された単結晶ダイヤモンドなどを用いることができる。

0015

特に、半導体グレードのダイヤモンドを成長させるためには、通常、単結晶ダイヤモンドの表面が(100)面、(111)面等であるもの、又はこれらの結晶面に対して最大で10度程度のオフ角を有するもの等を用いることができる。

0016

また、本発明では、同一の単結晶ダイヤモンド基板から分離した複数の単結晶ダイヤモンド基板を種基板とすることによって、複数の種基板におけるオフ角、結晶面の方向、ひずみや欠陥分布を同一とすることができ、最終的に得られるモザイク状ダイヤモンドについて、オフ角、結晶面の方向、ひずみや欠陥の分布等が揃ったものとすることができる。この場合、同一の単結晶ダイヤモンド基板から複数の単結晶ダイヤモンド基板を分離する方法としては、イオン注入によって単結晶ダイヤモンド基板の表面近傍で非ダイヤモンド層を形成し、次いで、該非ダイヤモンド層をエッチングして表面層を分離する工程を複数回を繰り返せばよい。この場合のイオン注入、非ダイヤモンド層のエッチングの条件については、後述する方法と同様とすればよい。

0017

モザイク状ダイヤモンドの製造方法
(1)第一方法:
本発明のモザイク状ダイヤモンドの製造方法の一例について、図1にその概念図を示す。図1に示す方法では、まず、種基板となる複数のダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って、該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成する。種基板となるダイヤモンド単結晶基板は、イオン注入前又はイオン注入後に平坦な支持台上でモザイク状に並べた状態とされる。この様にしてモザイク状に並べたイオン注入後のダイヤモンド単結晶基板表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させてダイヤモンド単結晶基板を接合した後、該非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離することによって、モザイク状ダイヤモンドを作製する(以下、この方法を「本発明第一方法」という)。

0018

以下、本発明第一方法の各工程について具体的に説明する。

0019

(i)イオン注入工程
本発明第一方法では、まず、種基板となる複数のダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って、該基板の表面近傍に結晶構造変質したイオン注入層を形成する。

0020

イオン注入法は、試料高速イオン照射する方法であり、一般的には所望の元素イオン化して取り出し、これに電圧印加して電界により加速した後、質量分離して所定のエネルギーを持ったイオンを試料に照射することにより行うが、プラズマの中に試料を浸漬し、試料に負の高電圧パルスを加えることによりプラズマ中の正イオン誘引するプラズマイオン注入法により行ってもよい。注入イオンとしては、例えば炭素酸素アルゴンヘリウムプロトンなどを用いることができる。

0021

イオンの注入エネルギーは、一般的なイオン注入で用いられる10 keV〜10 MeV程度の範囲でよい。注入イオンは、イオンの種類とエネルギー、およびイオン注入される材料の種類によって決まる注入深さ(飛程)を中心に一定の幅を持って分布する。試料の損傷はイオンが停止する飛程近傍が最大になるが、飛程近傍より表面側でもイオンが通過することにより一定程度の損傷を受ける。これら飛程や損傷の度合いは、SRIMコードのようなモンテカルロシミュレーションコードによって計算・予測することができる。尚、SRIMコードは、例えば、 The Stoppingand Range of Ions in Matter, James F. Ziegler, Jochen P. Biersack, Matthias D. Ziegler, http://www.srim.org/index.htm#HOMETOP等からダウンロードして利用できる。

0022

ダイヤモンド単結晶基板にイオン注入を行うことにより、照射量がある一定量を超えると、イオンの飛程近傍より表面側で結晶構造が変質し、ダイヤモンド構造が破壊されて非ダイヤモンド層が形成される。

0023

形成される非ダイヤモンド層の深さや厚さは、使用するイオンの種類、注入エネルギー、照射量、イオン注入される材料の種類などによって異なるので、これらの条件については、イオンの飛程近傍において分離可能な非ダイヤモンド層が形成されるように決めればよい。通常は、注入されたイオンの原子濃度が最も高い部分について、原子濃度が1x1020 atoms/cm3程度以上であることが好ましく、確実に非ダイヤモンド層を形成するためには1x1021 atoms/cm3程度が好ましい。

0024

例えば、炭素イオンを注入エネルギー3 MeVで注入する場合には、イオンの照射量は、1x1016 ions/cm2〜1x1017ions/cm2程度とすればよい。この場合、イオンの照射量が多くなりすぎると、表面の結晶性が悪化し、一方、照射量が少なすぎると、非ダイヤモンド層が十分に形成されず、表層部分の分離が困難となる。

0025

上記した方法でイオン注入を行うことによって、種基板の表面近傍に非ダイヤモンド層が形成される。

0026

非ダイヤモンド層が形成される部分の深さについては特に限定はないが、深い程、後に分離されるモザイク状ダイヤモンドを厚くすることができる。

0027

次いで、イオン注入後、親基板真空中、還元性雰囲気、酸素を含まない不活性ガス雰囲気等の非酸化性雰囲気中で600℃以上の温度で熱処理することによって、非ダイヤモンド層のグラファイト化を進行させる。これにより、後述するエッチングによるモザイク状ダイヤモンドの分離が速く進行する。熱処理温度の上限はダイヤモンドがグラファイト化しはじめる温度となるが、通常、1200℃程度とすればよい。熱処理時間については、熱処理温度などの処理条件により異なるが、例えば、5分〜10時間程度とすればよい。

0028

イオン注入を行う際、種基板とするダイヤモンド単結晶基板の並べ方については特に限定はなく、均一にイオン注入ができる範囲に任意の配置で並べればよい。但し、後述する単結晶ダイヤモンド成長工程において単結晶ダイヤモンドを成長させる前には、種基板とするダイヤモンド単結晶基板は、平坦な支持台上でモザイク状に並べた状態とすることが必要である。よって、該ダイヤモンド単結晶基板は、イオン注入前又はイオン注入後に平坦な支持台上でモザイク状に並べることが必要である。

0029

ダイヤモンド単結晶基板をモザイク状に並べる方法は特に限定的ではなく、通常は、平坦な支持台上において、目的とするモザイク形状となるように、各基板の側面同士が接触するか、或いは、側面の間隔ができるだけ狭くなる状態で並べればよい。この場合、同一の単結晶ダイヤモンド基板から分離した複数の単結晶ダイヤモンド基板を種基板とする場合には、結晶面の方向が一致した状態となるように並べることによって、オフ角、結晶面の方向、ひずみや欠陥の分布等が揃ったモザイク状ダイヤモンドを得ることができる。

0030

尚、基板をモザイク状に並べる際に、各基板の頂点部分が接近する部分においてダイヤモンドの異常成長が生じ易くなる。このため、基板を3枚以上並べる場合には、3枚以上の基板の頂点が互いに接触する状態、或いは接近した状態となることを避けることが好ましい。具体的には、二枚の基板を、互いの頂点が接触するか或いは接近する状態で並べる場合には、これらの頂点が接触又は接近する位置と、他の基板の頂点の位置とがずれるように基板を並べることが好ましい。

0031

尚、ダイヤモンド単結晶基板は、モザイク状に並べる際に基板同士が接触する側面部分について、該側面と基板表面とによって形成される角度を90°又はそれ以下とし、且つ該側面と基板表面とによって形成される角(エッジ)部分をほぼ90°以下の角度とするか、或いは、曲率半径ができるたけ小さい曲面とすることが好ましい。これによって、隣接して配置される基板表面同士のエッジ部分間の間隔Wを狭くすることができ、この上に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を形成する際に、成長したダイヤモンド層における結晶性が劣る部分の領域を狭くすることができる。

0032

図2は、この状態を模式的に示す図面である。図2において、上部左図は、曲率半径が大きい曲面からなるエッジ部分を有する2個の基板を並べた状態のエッジ部分の拡大図であり、下部左図は、エッジ部分がほぼ90°の2個の基板を並べた状態のエッジ部分の拡大図である。

0033

この場合、該側面と基板表面とによって形成される稜線に沿ったエッジ部分については、できるだけ精度良く加工して、直線に近い状態とすることが好ましい。例えば、図2に示す通り、エッジ部分の直線からのずれの最大幅Eについては、隣接する二枚の基板のエッジ部分同士の間隔をWとした場合に、E/Wの値が1/10程度以下となるようにすることが好ましく、10−6程度以下となるようにすることがより好ましい。

0034

図2の下部左図は、基板のエッジ部分が直線からのずれが小さく、且つ、隣接する二枚の基板のエッジ部分同士の間隔Wが狭い状態を表すものである。図2の上部右図と下部右図の対比から明らかなように、エッジ部分がほぼ90°であって、直線からのずれが小さい基板を並べた上に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させる場合には、結晶性が劣るダイヤモンド層が形成される領域が非常に狭くなり、良質な単結晶ダイヤモンド層が形成される範囲を広くすることが可能となる。

0035

尚、上記した条件を満足するようにダイヤモンド単結晶基板の側面を加工する方法については特に限定はないが、例えば、スカイフ研磨メカノケミカル研磨レーザー加工紫外線照射プラズマエッチングイオンビームエッチング中性ビーム照射等の公知の方法を採用することができる。加工精度は高い方が望ましく、例えば、微小金属微粒子過酸化水素等を研磨剤として導入した研磨や、パルス幅が短く短波長レーザー光を用いたレーザー加工、ステッパ等を用いた紫外線照射、リソグラフィー技術を用いたプラズマエッチング、イオンビームエッチング、中性ビーム照射などが適用できる。

0036

上記したダイヤモンド単結晶基板の側面及びエッジ部分の形状については、後述する本発明第二方法及び第三方法において用いるダイヤモンド単結晶基板についても同様に適用できる。

0037

支持台の種類については特に限定はなく、種基板とするダイヤモンド単結晶基板を全て並べることができる平坦部を有する支持台であればよい。イオン注入に用いた支持台を、そのまま後述する気相合成法による単結晶ダイヤモンドの成長工程に用いる場合には、気相合成法に適した高融点であって熱伝導性が良好な金属又は合金、例えば、モリブデンタングステン等からなる支持台を用いることが好ましい。

0038

(ii)単結晶ダイヤモンド成長工程:
次いで、上記した方法で非ダイヤモンド層を形成し、モザイク状に並べられた種基板の表面に気相合成法によって単結晶ダイヤモンドを成長させる。

0039

気相合成法については特に限定はなく、例えば、マイクロ波プラズマCVD法熱フィラメント法直流放電法などの公知の方法を適用できる。

0040

特に、マイクロ波プラズマCVD法によれば、高純度ダイヤモンド単結晶膜を成長させることができる。具体的な製造条件については特に限定はなく、公知の条件に従って、ダイヤモンド単結晶を成長させればよい。原料ガスとしては、例えば、メタンガス水素ガス混合ガスを用いることができる。具体的なダイヤモンド成長条件の一例を示すと、反応ガスとして用いる水素及びメタン混合気体では、メタンは、水素供給量モルに対して、0.01〜0.33モル程度となる比率で供給することが好ましい。また、プラズマCVD装置内の圧力は、通常、13.3〜40kPa程度とすればよい。マイクロ波としては、通常、2.45GHz、915MHz等の工業および科学用に許可された周波数のマイクロ波が使用される。マイクロ波電力は、特に限定的ではないが、通常、0.5〜5kW程度とればよい。この様な範囲内において、例えば、基板(単結晶ダイヤモンド子基板)の温度が900〜1300℃程度、好ましくは900〜1100℃程度となるように各条件を設定すればよい。

0041

成長する単結晶ダイヤモンドの厚さについても特に限定はなく、目的とするモザイク状ダイヤモンドの厚さに応じて決めればよい。例えば、100〜1000μm程度とすることができる。

0042

(iii)非ダイヤモンド層のエッチング工程:
上記した方法で単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、上記(i)工程で形成した非ダイヤモンド層をエッチングして非ダイヤモンド層より表層部分を分離する。これにより、表層部分の単結晶ダイヤモンドが分離されて、目的とするモザイク状ダイヤモンドを得ることができる。この方法によれば、成長したダイヤモンド層の切断、研磨という煩雑な工程が不要であり、作業工程を簡略化でき、更に、研磨の際のダイヤモンド結晶の破壊を回避することができる。

0043

これに対して、例えば、上記した特許文献2に記載の方法では、種結晶となる複数のダイヤモンド上にダイヤモンドを成長させてモザイク状ダイヤモンドを作成した後、イオン注入する前に、成長したダイヤモンドの表面を研磨して平滑な面を形成する必要がある。この場合、研磨工程において、接合したモザイク状ダイヤモンドが割れやすいことに加えて、接合により大面積化したモザイク状ダイヤモンドを研磨するために、研磨工程に非常に長時間を要するという大きな問題点がある。

0044

一方、本発明によれば、成長したダイヤモンド層の切断、研磨という煩雑な工程が不要であり、処理時間を大きく短縮でき、更に、歩留まりが向上するために、製造効率飛躍的に向上させることができる。

0045

非ダイヤモンド層より表層部分を分離する方法については、特に限定的ではないが、例えば、電気化学エッチング熱酸化放電加工などの方法を適用できる。

0046

電気化学エッチングによって非ダイヤモンド層を取り除く方法としては、例えば、電解液の中に2個の電極一定間隔を置いて設置し、非ダイヤモンド層を形成した単結晶ダイヤモンド基板を電解液中の電極間に置き、電極間に直流電圧を印加する方法を採用できる。電解液としては、純水が望ましい。電極材料導電性を有するものであれば特に制限はないが、化学的に安定な白金グラファイトなどの電極が望ましい。電極間隔隔および印加電圧は、最もエッチングが速く進むように設定すればよい。電解液の中の電界強度は通常100〜300 V/cm程度であればよい。

0047

また、電気化学エッチングによって非ダイヤモンド層を取り除く方法において、交流電圧を印加してエッチングを行う方法によれば、多数の単結晶ダイヤモンド基板をモザイク状に並べた場合であっても、非ダイヤモンド層においてエッチングが結晶の内部にまで極めて速く進行し、非ダイヤモンド層より表面側のダイヤモンドを短時間に分離することが可能となる。

0048

交流電圧を印加する方法についても、電極間隔および印加電圧は、最もエッチングが速く進むように設定すればよいが、通常、印加電圧を電極間隔で割った電解液の中の電界強度は通常50〜10000V/cm程度とすることが好ましく、500〜10000V/cm程度とすることがより好ましい。

0049

交流としては、商用の周波数60または50Hzの正弦波交流を用いるのが簡単であるが、同様の周波数成分をもてば、波形は特に正弦波に限るものではない。

0050

電解液として用いる純水は、比抵抗が高い(即ち、導電率が低い)ほうが高電圧を印加できるので都合がよい。一般の超純水装置を用いて得られる超純水は、18MΩ・cm程度という十分に高い比抵抗を有するので、電解液として好適に使用できる。

0051

また、熱酸化で非ダイヤモンド層を取り除く方法としては、例えば、酸素雰囲気中で500〜900℃程度の高温に加熱し、酸化によって非ダイヤモンド層をエッチングすればよい。この際、エッチングがダイヤモンド内部まで進むと、結晶の外周から酸素が透過しにくくなるため、非ダイヤモンド層を形成するためのイオンとして酸素イオンを選択し、かつエッチングが起こるのに必要な照射量より十分に多量の酸素イオンを注入しておけば、エッチング時に酸素が非ダイヤモンド層の内部からも供給され、非ダイヤモンド層のエッチングをより速く進行させることができる。

0052

さらに、グラファイト化が進んだ非ダイヤモンド層は導電性があるため、放電加工により切断(エッチング)することもできる。

0053

上記した方法で、非ダイヤモンド層をエッチングして表層部分の単結晶ダイヤモンド層を分離することによって、目的とするモザイク状ダイヤモンドを得ることができる。

0054

また、上記した方法でモザイク状ダイヤモンドを分離した後、モザイク状に並べた複数の単結晶ダイヤモンド基板に対して、更に、イオン注入工程、気相合成法による単結晶ダイヤモンド成長工程、及び非ダイヤモンド層のエッチング工程を繰り返し行うことによって、複数のモザイク状ダイヤモンドを容易に作製できる。

0055

(2)第二方法:
本発明のモザイク状ダイヤモンドの製造方法のその他の例について、図3にその概念図を示す。図3に示す方法は、下記(i)〜(v)の工程を含む方法である(以下、この方法を「本発明第二方法」という):
(i)種基板となる複数のダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成する工程、
(ii)、非ダイヤモンド層を形成した各ダイヤモンド単結晶基板を反転させて平坦な支持台上でモザイク状に並べる工程、
(iii)上記(ii)工程でモザイク状に並べたダイヤモンド単結晶基板に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させてダイヤモンド単結晶基板を接合する工程、
(iv)接合されたダイヤモンド単結晶基板を、再度平坦な支持体上で反転させて、イオン注入を行った面を上面とし、この面上に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程、
(v)単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、非ダイヤモンド層をエッチングして、非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する工程。

0056

本発明第二方法では、上記(i)工程において、種基板とするダイヤモンド単結晶基板に対して、イオン注入を行って非ダイヤモンド層を形成する。この際、ダイヤモンド単結晶基板の並べ方については特に限定はなく、均一にイオン注入ができる範囲に任意の配置で並べればよい。イオン注入の条件については、本発明第一方法におけるイオン注入工程と同様とすればよい。

0057

次いで、本発明第二方法の(ii)工程では、(i)工程においてイオン注入を行って非ダイヤモンド層を形成した各ダイヤモンド単結晶基板を反転させて、平坦な支持台上に目的とするモザイク状に並べる。この際、ダイヤモンド単結晶基板におけるイオン注入を行った面が支持台に接する状態とする。

0058

次いで、(iii)工程では、モザイク状に並べたダイヤモンド単結晶基板のイオン注入を行った面の反対面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させて複数のダイヤモンド単結晶基板を接合する。この接合により、種基板の厚さを厳密に揃えることなく、イオン注入を行った面の高さが実質的に揃った状態のモザイク基板が得られる。

0059

単結晶ダイヤモンド層の成長方法については、特に限定的ではないが、例えば、本発明第一方法における単結晶ダイヤモンド成長工程と同様の条件とすればよい。形成される単結晶ダイヤモンド層の厚さについては特に限定的ではなく、各単結晶ダイヤモンド基板に対して十分な接合強度を付与できる厚さとすればよく、例えば、100〜1000μm程度とすればよい。また、この接合により、各単結晶基板が熱的に結合され、次の(iv)行程において基板上の温度分布が均一になり、成長速度などの成長パラメータの分布が均一になる効果が期待できる。

0060

次いで、(iv)工程では、(iii)工程において接合されたダイヤモンド単結晶基板を、再度支持台上で反転させて、イオン注入を行った面を上面とし、この面上に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させる。この場合の単結晶ダイヤモンドの成長方法についても、第一方法における単結晶ダイヤモンド成長工程と同様の条件とすればよい。形成される単結晶ダイヤモンド層の厚さについては目的とするモザイク状ダイヤモンドの厚さに応じて決めれば良く、例えば、100〜1000μm程度とすることができる。

0061

次いで、(v)工程では、非ダイヤモンド層をエッチングして、非ダイヤモンド層より表層部分を分離する。これにより、表層部分の単結晶ダイヤモンドが分離されて、目的とするモザイク状ダイヤモンドを得ることができる。この方法によっても、成長したダイヤモンド層の切断、研磨という煩雑な工程が不要であり、作業工程を簡略化でき、更に、研磨の際のダイヤモンド結晶の破壊を回避することができる。

0062

更に、上記した方法でモザイク状ダイヤモンドを分離した後、モザイク状ダイヤモンドを分離したダイヤモンド単結晶基板に対して、イオン注入による非ダイヤモンド層の形成工程、気相合成法による単結晶ダイヤモンド成長工程、及び非ダイヤモンド層のエッチング工程を繰り返し行うことによって、複数のモザイク状ダイヤモンドを容易に作製できる。

0063

(3)第三方法:
本発明のモザイク状ダイヤモンドの製造方法では、更に、その他の例として、下記(i)〜(vi)の工程を含む方法を挙げることができる(以下、この方法を「本発明第三方法」という):
(i)複数のダイヤモンド単結晶基板を平坦な支持台上にモザイク状に並べる工程、
(ii)モザイク状に並べられたダイヤモンド単結晶基板の表面に、気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を形成して、ダイヤモンド単結晶基板を接合する工程、
(iii)接合されたダイヤモンド単結晶基板を平坦な支持台上で反転させる工程、
(iv)反転したダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成する工程、
(v)非ダイヤモンド層を形成した各ダイヤモンド単結晶基板の表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程、
(vi)単結晶ダイヤモンド層を成長させた後、非ダイヤモンド層をエッチングして、非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層を分離する工程。

0064

本発明第三方法では、(i)工程において、種基板となる複数のダイヤモンド単結晶基板を平坦な支持台上にモザイク状に並べる。この方法については、特に限定はなく、本発明第一方法における種基板の並べ方と同様とすればよい。

0065

次いで、(ii)工程では、モザイク状に並べられたダイヤモンド単結晶基板の表面に、気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させて、モザイク状の並べられたダイヤモンド単結晶基板を接合する。この工程では、本発明第二方法の(iii)工程と同様に、各ダイヤモンド単結晶基板について、十分な接合強度を持つように単結晶ダイヤモンドを成長させればよい。

0066

次いで、(iii)工程では、接合されたダイヤモンド単結晶基板を平坦な支持台上で反転させる。この工程により、(ii)工程において成長させた単結晶ダイヤモンド層が、支持台の表面に接する状態となる。

0067

次いで、(iv)工程では、(iii)工程において反転させたダイヤモンド単結晶基板に対してイオン注入を行って該ダイヤモンド単結晶基板の表面近傍に非ダイヤモンド層を形成する。この工程におけるイオン注入の条件については、例えば、本発明第一方法におけるイオン注入工程と同様とすればよい。

0068

次いで、(v)工程において、非ダイヤモンド層を形成した各ダイヤモンド単結晶基板の表面に気相合成法で単結晶ダイヤモンド層を成長させ、次いで、(vi)工程において、非ダイヤモンド層をエッチングして、非ダイヤモンド層より表層部分を分離する。これにより、表層部分の単結晶ダイヤモンドが分離されて、目的とするモザイク状ダイヤモンドを得ることができる。上記(v)工程及び(vi)工程の条件としては、本発明第二方法における(iv)工程及び(v)工程の条件と同様とすればよい。この方法についても、成長したダイヤモンド層の切断、研磨という煩雑な工程が不要であり、作業工程を簡略化でき、更に、研磨の際のダイヤモンド結晶の破壊を回避することができる。

0069

更に、上記した方法でモザイク状ダイヤモンドを分離した後、モザイク状ダイヤモンドを分離したダイヤモンド単結晶基板に対して、上記(iv)〜(vi)工程のイオン注入による非ダイヤモンド層の形成、気相合成法による単結晶ダイヤモンド成長、及び非ダイヤモンド層のエッチングを繰り返し行うことによって、複数のモザイク状ダイヤモンドを容易に作製できる。

0070

更に、本発明第一方法〜第三方法の各方法において、モザイク状に並べた種基板から分離して得られたモザイク状ダイヤモンドについて、該モザイク状ダイヤモンドの種基板からの分離面に対して、上記したイオン注入による非ダイヤモンド層の形成、気相合成法による単結晶ダイヤモンド成長、及び非ダイヤモンド層のエッチングによる該非ダイヤモンド層より上層の単結晶ダイヤモンド層の分離からなる処理工程を少なくとも一回行うことによって、モザイク状ダイヤモンドと同一の形状を有するモザイク状ダイヤモンドを容易に作製することができる。

0071

尚、本発明第二方法の(iv)工程における気相合成法による単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程、及び本発明第三方法の(v)工程における気相合成法による単結晶ダイヤモンド層を成長させる工程において、単結晶ダイヤモンドの成長条件として、モザイク状に並べた種基板の境界部分にまで成長することなく、各種基板の表面にのみ単結晶ダイヤモンドが成長する条件を採用することによって、単結晶ダイヤモンド基板を量産する方法として利用することもできる。

発明の効果

0072

本発明のモザイク状ダイヤモンドの製造方法によれば、成長したダイヤモンド結晶を機械的に切断、研磨するという煩雑な工程を要することなく、簡単な処理工程によって、安定に大量のモザイク状ダイヤモンドを製造することができる。

図面の簡単な説明

0073

本発明第一方法の製造工程を示す模式図。
ダイヤモンド単結晶基板の側面及びエッジ形状と成長したダイヤモンド層の状態の関係を模式的に示す図面。
本発明第二方法の製造工程を示す模式図。
実施例1の製造工程を示す模式図。
実施例2の製造工程を示す模式図。

実施例

0074

以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。

0075

実施例1
大きさが4.5×4.5mmで厚さが339μmの単結晶ダイヤモンド(100)基板と、大きさが4.5×4.5mmで厚さが212μmの単結晶ダイヤモンド(100)基板の二枚の単結晶ダイヤモンド基板を種基板として用い、図4に示す工程に従って、モザイク状ダイヤモンドを作製した。

0076

まず、上記した二枚の種基板をアルミニウム製支持台に載置し、1.5 MVタンデム型加速器を用いて、注入エネルギー3 MeV、照射量2× 1016ions/cm2で、炭素イオンを注入した。注入イオンの注入深さの計算値は約1.6μmであった。この照射により、2枚のダイヤモンド基板の色は透明から黒色に変化し、非ダイヤモンド層が形成されていることが確認できた。

0077

次いで、イオン注入された二枚の種基板をモリブデン製支持台の平坦な支持面上で反転させて、イオン注入した面が支持台に接触し、該種基板の側面同士が接触する状態とした。

0078

次いで、市販のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、マイクロ波パワー3.5kW、ガス圧力15kPa、水素ガス流量500 sccm、メタンガス流量25sccmで、上記した種基板上に8時間単結晶ダイヤモンド膜を成長させた。成長終了時基板温度は1085℃であり、形成された単結晶ダイヤモンド膜の厚さは182μmであった。

0079

次いで、単結晶ダイヤモンド膜を形成した単結晶ダイヤモンド基板を、モリブデン製支持台の支持面上で反転させて、成長した単結晶ダイヤモンド膜が支持面に接触する状態とした。

0080

引き続き、市販のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、マイクロ波パワー3.5kW、ガス圧力15kPa、水素ガス流量500 sccm、メタンガス流量25sccmで、種基板のイオン注入された面上に7時間単結晶ダイヤモンド膜を成長させた。成長終了時の基板温度は1085℃であり、形成された単結晶ダイヤモンド膜の厚さは136μmであった。

0081

一方、純水を入れたビーカーの中に2本の離れた白金電極を約1cmの間隔を隔てて設置し、その電極間に、上記した方法で単結晶ダイヤモンド膜を成長させた単結晶ダイヤモンド基板を置いた。電極間に実効値5.6 kV、周波数60 Hzの交流電圧を印加して48時間放置した。その結果、CVD法によって形成されたダイヤモンド膜が単結晶ダイヤモンド基板から分離されて、モザイク状ダイヤモンドが得られた。

0082

実施例2
大きさが10×10mmで厚さが304μmの単結晶ダイヤモンド(100)基板と、大きさが10×10mmで厚さが302μmの単結晶ダイヤモンド(100)基板の二枚の単結晶ダイヤモンド基板を種基板として用い、図5に示す工程に従って、モザイク状ダイヤモンドを作製した。

0083

まず、上記した二枚の種基板をアルミニウム製支持台に載置し、1.5 MVタンデム型加速器を用いて、注入エネルギー3 MeV、照射量2× 1016ions/cm2で、炭素イオンを注入した。注入イオンの注入深さの計算値は約1.6μmであった。この照射により、2枚のダイヤモンド基板の色は透明から黒色に変化し、非ダイヤモンド層が形成されていることが確認できた。

0084

次いで、イオン注入された二枚の種基板をモリブデン製支持台の平坦な支持面上で反転させて、イオン注入した面が支持台面に接触し、該種基板の側面同士が接触する状態とした。

0085

次いで、市販のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、マイクロ波パワー3.5kW、ガス圧力15kPa、水素ガス流量500 sccm、メタンガス流量25sccmで、上記した種基板上に単結晶ダイヤモンド膜を成長させた。単結晶ダイヤモンド膜の成長は4回に分けて行い、合計の成長時間は32時間30分とした。4回の単結晶ダイヤモンドの成長における成長終了時の基板温度は、1043〜1063℃の範囲であった。形成された単結晶ダイヤモンド膜の合計厚さは322μmであった。

0086

次いで、単結晶ダイヤモンド膜を形成した単結晶ダイヤモンド基板を、モリブデン製支持台の支持面上で反転させて、成長した単結晶ダイヤモンド膜が支持面に接触する状態とした。

0087

引き続き、市販のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、マイクロ波パワー4.5kW、ガス圧力17kPa、水素ガス流量500 sccm、メタンガス流量25sccmで、種基板のイオン注入された面上に24時間単結晶ダイヤモンド膜を成長させた。成長終了時の基板温度は1105℃であり、形成された単結晶ダイヤモンド膜の厚さは437μmであった。

0088

一方、純水を入れたビーカーの中に2本の離れた白金電極を約1cmの間隔を隔てて設置し、その電極間に、上記した方法で単結晶ダイヤモンド膜を成長させた単結晶ダイヤモンド基板を置いた。電極間に実効値5.6 kV、周波数60 Hzの交流電圧を印加して8時間放置した。その結果、CVD法によって形成されたダイヤモンド膜が単結晶ダイヤモンド基板から分離されて、モザイク状ダイヤモンドが得られた。

0089

次いで、上記した方法でモザイク状ダイヤモンドを分離した後の単結晶ダイヤモンド基板について、更に、モザイク状ダイヤモンドを分離した面に対して上記した条件と同様にしてイオン注入を行い、引き続き、市販のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、マイクロ波パワー4.5kW、ガス圧力16kPa、水素ガス流量500 sccm、メタンガス流量25sccmで、イオン注入された面上に24時間単結晶ダイヤモンド膜を成長させた。成長終了時の基板温度は1090℃であり、形成された単結晶ダイヤモンド膜の厚さは462μmであった。

0090

このようにして単結晶ダイヤモンド膜を成長させた単結晶ダイヤモンド基板について、上記した方法と同様にして、純粋を入れたビーカー内で電極間に実効値5.6 kV、周波数60 Hzの交流電圧を印加して電気化学エッチングによって非ダイヤモンド層を取り除去した。その結果、CVD法によって形成されたダイヤモンド膜が単結晶ダイヤモンド基板から分離されて、モザイク状ダイヤモンドが得られた。

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