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技術 ラビング布

出願人 セーレン株式会社
発明者 岩永義明川島健治
出願日 2010年11月5日 (10年0ヶ月経過) 出願番号 2011-539428
公開日 2013年3月28日 (7年8ヶ月経過) 公開番号 WO2011-055852
状態 特許登録済
技術分野 液晶3(基板、絶縁膜及び配向部材) 液晶3-2(配向部材)
主要キーワード 圧縮応力特性 圧縮範囲 カゼイン繊維 キズつけ コーデュロイ ベルベット織物 クリンプ状態 パイル構造
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年3月28日)のものです。
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図面 (4)

課題・解決手段

ラビング時に発生する液晶セル及びその基板等への摩耗粉の付着もなく、かつ又、静電気の発生も極めて少なく、配向膜キズつける事のないラビング布を提供する。 本発明のラビング布は、エチレンビニルアルコールからなり、芯がエチレンビニルアルコール以外の合成繊維からなり、芯と鞘の重量比率が1:2〜2:1である複合長繊維糸から構成されるパイル部と、地組織部と、からなるパイル構造物を有する。好ましくは、パイルの圧縮量が0.2〜0.8mmの範囲で、ラビング布の圧縮応力が50〜300gf/cm2の範囲にあり、圧縮応力特性における一次降伏点が80gf/cm2以上であり、上記範囲におけるラビング布の圧縮応力の最大値最小値の差が200gf/cm2以上である。

概要

背景

透過式液晶表示装置に使用される液晶表示素子は、薄膜トランジスタからなる駆動素子(TFT)が形成されたTFT基板と、カラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板(以下CF基板略称する)と、を微小な間隔をあけて対向して配置し、その間隙液晶封入した構成を有する。TFT基板の表面にはパターン化されたITO電極画素電極として配置され、さらにITO電極の表面を覆うように配向膜が配置されている。一方、CF基板の表面には共通電極としてITO膜が配置され、ITO膜表面に配向膜が配置されている。これらTFT基板とCF基板とは、各配向膜が互いに向かい合うように対向して配置される。両基板の配向膜はいずれも、封入される液晶と接触する。

TFT基板とCF基板の配向膜には、液晶分子を配列させるために配向処理が施されている。配向処理方法としては、ラビング布で配向膜の表面を擦るラビング法が主に用いられている。通常、ラビング布はアルミステンレスローラ外周面に貼り付けられて用いられる。ラビング処理においては、このローラを回転させながら外周面に貼り付けられたラビング布を配向膜表面に接触させ、表面を擦る。このように配向膜の表面にラビング処理を施すことにより、配向膜がラビング布で擦られた方向に液晶分子が配列し、均一な表示特性が得られる。
ラビング布としては、一般的に、基布と、繊維を起毛させたパイルと、からなるベルベットが用いられている。ラビング布用のベルベットは、パイルの太さや基布に使用する糸の太さを変えることによってパイル密度が調整される。さらに、基布からのカット位置によってパイル長さが調整される。パイル部分に使用する繊維素材としては、レーヨンナイロンといった長繊維フィラメント)を用いたものと、コットンのような短繊維を用いたものと、が知られている。

パイル部分がレーヨンで形成されたラビング布は、レーヨンの耐摩耗性が不十分であるという問題を有する。このため、レーヨン製のラビング布は、ラビング処理の最中にパイルが摩耗して摩耗粉が発生しやすい。この摩耗粉が配向膜表面に付着すると、液晶表示素子の対向する2枚のガラス基板面の間隔(液晶セルギャップ)が不均一になり、表示むらなどの不良を引き起こす。また、摩耗粉はラビング布に巻き込まれやすい。摩耗粉がラビング布に巻き込まれた状態で配向膜をラビングした場合、配向膜表面に傷が生じる。この傷は、液晶表示素子に白く光り抜けする部分を生じさせる原因となる。さらに、摩耗したラビング布は均一性欠けるため、摩耗したまま用いるとラビング処理が不均一になり、液晶表示素子の表示ムラの原因となる。このためレーヨン製のラビング布は早めに交換する必要がある。

パイルがコットン製のラビング布は、パイル部分の耐摩耗性についてはレーヨンよりも若干改善されている。コットンもレーヨンも基本骨格セルロースであるものの、コットンの方がレーヨンよりも分子量が大きく、材料強度が高いためである。しかし、コットンは天然の短繊維であるため、パイル部分を構成するパイル糸は短繊維を紡績した紡績糸となる。この結果、パイル1本1本の太さは、パイル糸がフィラメントで構成されるナイロン等の合成繊維やレーヨン等の再生繊維と比較して太くなる。また、短繊維であるため、ラビングの最中にコットンの短繊維が基板上に脱落しやすい。さらに、コットンは天然繊維であるため、繊維そのものの品質のばらつきが合成繊維や半合成繊維より大きく、ラビング布のパイル均一性はレーヨンやナイロンを用いたラビング布よりも低い。このため、コットンのラビング布を用いた場合、ナイロンやレーヨン等の合成繊維や半合成繊維と比較して、液晶表示素子にラビング筋と呼ばれる筋状の輝度むらが発生しやすい。このように、コットン製のラビング布はレーヨン製のラビング布と比較して、若干改善された耐摩耗性を有するが、パイル糸が太くなる、パイルの均一性が低いという問題を有する。

パイルがポリエステルやナイロン製のラビング布は、一般にレーヨンやコットン製のラビング布よりも優れた耐摩耗性を有するため、摩耗粉の発生はレーヨンやコットン製のラビング布よりも抑制される。しかし、ナイロン製のラビング布は、ラビング時に生じる静電気によりラビング布が高電圧帯電するという問題がある。具体的には、ナイロン製のラビング布はラビング時の帯電圧が高電圧となるため、これが基板とショートする時にTFT素子配線を損傷する虞がある。

JP7−270798Aにはアラミド繊維を用いることにより、ラビング布のパイルの耐摩耗性を改善できることが記載されている。しかし、アラミド繊維は結晶化度が高く、引っ張り強度には優れるが、ラビング時にパイルが受ける剪断力には弱く、繊維が縦方向裂ける虞がある。繊維が縦方向に裂けることにより、大量のフィブリルが脱落し、これが配向膜上の異物となるという問題がある。

JP6−194662Aには、コラーゲン絹フィブロインなどの繊維状タンパク質をラビング布に用いることが記載されている。しかし、これらの繊維状タンパク質は耐熱性が低いという欠点を有する。例えば、レーヨンの熱分解温度260〜300℃に対して、は235℃、羊毛に至っては130℃から熱分解する。このため、ラビング時に発生する摩擦熱によって容易に変性し、ラビング布としては使用に耐えない。

JP6−194661Aには、カゼインを材料としたラビング布が記載されているが、カゼインもラビング時に発生する摩擦熱によって容易に変性するという問題がある。

概要

ラビング時に発生する液晶セル及びその基板等への摩耗粉の付着もなく、かつ又、静電気の発生も極めて少なく、配向膜をキズつける事のないラビング布を提供する。 本発明のラビング布は、エチレンビニルアルコールからなり、芯がエチレンビニルアルコール以外の合成繊維からなり、芯と鞘の重量比率が1:2〜2:1である複合長繊維糸から構成されるパイル部と、地組織部と、からなるパイル構造物を有する。好ましくは、パイルの圧縮量が0.2〜0.8mmの範囲で、ラビング布の圧縮応力が50〜300gf/cm2の範囲にあり、圧縮応力特性における一次降伏点が80gf/cm2以上であり、上記範囲におけるラビング布の圧縮応力の最大値最小値の差が200gf/cm2以上である。

目的

本発明は、上記の課題を解決しようとするものであり、耐摩耗性が高く、摩擦帯電圧が低く、かつ配向膜の傷発生がほとんど無いという特性を兼ね備えたラビング布を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

エチレンビニルアルコールからなり、芯がエチレンビニルアルコール以外の合成繊維からなり、芯と鞘の重量比率が1:2〜2:1である複合長繊維糸から構成されるパイル部と、地組織部と、からなるパイル構造物を有するラビング布

請求項2

複合長繊維糸が多芯構造を有する、ことを特徴とする請求項1記載のラビング布。

請求項3

パイルの圧縮量が0.2〜0.8mmの範囲において、ラビング布の圧縮応力が50〜300gf/cm2の範囲にある、ことを特徴とする請求項1または2記載のラビング布。

請求項4

ラビング布の圧縮特性における一次降伏点が80gf/cm2以上であり、ラビング布の圧縮応力の最大値最小値の差が200gf/cm2以下である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のラビング布。

請求項5

ポリイミドフィルムとの摩擦帯電圧が3000V以下である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のラビング布。

技術分野

0001

本発明は、液晶パネルの製造工程において、液晶分子配向を制御するラビング処理に用いられるラビング布に関するものである。

背景技術

0002

透過式液晶表示装置に使用される液晶表示素子は、薄膜トランジスタからなる駆動素子(TFT)が形成されたTFT基板と、カラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板(以下CF基板略称する)と、を微小な間隔をあけて対向して配置し、その間隙液晶封入した構成を有する。TFT基板の表面にはパターン化されたITO電極画素電極として配置され、さらにITO電極の表面を覆うように配向膜が配置されている。一方、CF基板の表面には共通電極としてITO膜が配置され、ITO膜表面に配向膜が配置されている。これらTFT基板とCF基板とは、各配向膜が互いに向かい合うように対向して配置される。両基板の配向膜はいずれも、封入される液晶と接触する。

0003

TFT基板とCF基板の配向膜には、液晶分子を配列させるために配向処理が施されている。配向処理方法としては、ラビング布で配向膜の表面を擦るラビング法が主に用いられている。通常、ラビング布はアルミステンレスローラ外周面に貼り付けられて用いられる。ラビング処理においては、このローラを回転させながら外周面に貼り付けられたラビング布を配向膜表面に接触させ、表面を擦る。このように配向膜の表面にラビング処理を施すことにより、配向膜がラビング布で擦られた方向に液晶分子が配列し、均一な表示特性が得られる。
ラビング布としては、一般的に、基布と、繊維を起毛させたパイルと、からなるベルベットが用いられている。ラビング布用のベルベットは、パイルの太さや基布に使用する糸の太さを変えることによってパイル密度が調整される。さらに、基布からのカット位置によってパイル長さが調整される。パイル部分に使用する繊維素材としては、レーヨンナイロンといった長繊維フィラメント)を用いたものと、コットンのような短繊維を用いたものと、が知られている。

0004

パイル部分がレーヨンで形成されたラビング布は、レーヨンの耐摩耗性が不十分であるという問題を有する。このため、レーヨン製のラビング布は、ラビング処理の最中にパイルが摩耗して摩耗粉が発生しやすい。この摩耗粉が配向膜表面に付着すると、液晶表示素子の対向する2枚のガラス基板面の間隔(液晶セルギャップ)が不均一になり、表示むらなどの不良を引き起こす。また、摩耗粉はラビング布に巻き込まれやすい。摩耗粉がラビング布に巻き込まれた状態で配向膜をラビングした場合、配向膜表面に傷が生じる。この傷は、液晶表示素子に白く光り抜けする部分を生じさせる原因となる。さらに、摩耗したラビング布は均一性欠けるため、摩耗したまま用いるとラビング処理が不均一になり、液晶表示素子の表示ムラの原因となる。このためレーヨン製のラビング布は早めに交換する必要がある。

0005

パイルがコットン製のラビング布は、パイル部分の耐摩耗性についてはレーヨンよりも若干改善されている。コットンもレーヨンも基本骨格セルロースであるものの、コットンの方がレーヨンよりも分子量が大きく、材料強度が高いためである。しかし、コットンは天然の短繊維であるため、パイル部分を構成するパイル糸は短繊維を紡績した紡績糸となる。この結果、パイル1本1本の太さは、パイル糸がフィラメントで構成されるナイロン等の合成繊維やレーヨン等の再生繊維と比較して太くなる。また、短繊維であるため、ラビングの最中にコットンの短繊維が基板上に脱落しやすい。さらに、コットンは天然繊維であるため、繊維そのものの品質のばらつきが合成繊維や半合成繊維より大きく、ラビング布のパイル均一性はレーヨンやナイロンを用いたラビング布よりも低い。このため、コットンのラビング布を用いた場合、ナイロンやレーヨン等の合成繊維や半合成繊維と比較して、液晶表示素子にラビング筋と呼ばれる筋状の輝度むらが発生しやすい。このように、コットン製のラビング布はレーヨン製のラビング布と比較して、若干改善された耐摩耗性を有するが、パイル糸が太くなる、パイルの均一性が低いという問題を有する。

0006

パイルがポリエステルやナイロン製のラビング布は、一般にレーヨンやコットン製のラビング布よりも優れた耐摩耗性を有するため、摩耗粉の発生はレーヨンやコットン製のラビング布よりも抑制される。しかし、ナイロン製のラビング布は、ラビング時に生じる静電気によりラビング布が高電圧帯電するという問題がある。具体的には、ナイロン製のラビング布はラビング時の帯電圧が高電圧となるため、これが基板とショートする時にTFT素子配線を損傷する虞がある。

0007

JP7−270798Aにはアラミド繊維を用いることにより、ラビング布のパイルの耐摩耗性を改善できることが記載されている。しかし、アラミド繊維は結晶化度が高く、引っ張り強度には優れるが、ラビング時にパイルが受ける剪断力には弱く、繊維が縦方向裂ける虞がある。繊維が縦方向に裂けることにより、大量のフィブリルが脱落し、これが配向膜上の異物となるという問題がある。

0008

JP6−194662Aには、コラーゲン絹フィブロインなどの繊維状タンパク質をラビング布に用いることが記載されている。しかし、これらの繊維状タンパク質は耐熱性が低いという欠点を有する。例えば、レーヨンの熱分解温度260〜300℃に対して、は235℃、羊毛に至っては130℃から熱分解する。このため、ラビング時に発生する摩擦熱によって容易に変性し、ラビング布としては使用に耐えない。

0009

JP6−194661Aには、カゼインを材料としたラビング布が記載されているが、カゼインもラビング時に発生する摩擦熱によって容易に変性するという問題がある。

0010

発明の目的
本発明は、上記の課題を解決しようとするものであり、耐摩耗性が高く、摩擦帯電圧が低く、かつ配向膜の傷発生がほとんど無いという特性を兼ね備えたラビング布を提供することを目的とする。

0011

発明の要約
本発明は、第1に、エチレンビニルアルコールからなり、芯がエチレンビニルアルコール以外の合成繊維からなり、芯と鞘の重量比率が1:2〜2:1である複合長繊維糸から構成されるパイル部と、地組織部と、からなるパイル構造物を有するラビング布である。
本発明は、第2に、複合長繊維糸が多芯構造を有する、ことを特徴とする第1の発明に係るラビング布である。
本発明は、第3に、パイルの圧縮量が0.2〜0.8mmの範囲において、ラビング布の圧縮応力が50〜300gf/cm2の範囲にある、ことを特徴とする第1又は第2の発明に係るラビング布である。
本発明は、第4に、圧縮応力特性における一次降伏点が80gf/cm2以上であり、ラビング布の圧縮応力の最大値最小値の差が200gf/cm2以下である、ことを特徴とする第1乃至第3の発明のいずれかに係るラビング布である。
本発明は、第5に、ポリイミドフィルムとの摩擦帯電圧が3000V以下である、ことを特徴とする第1乃至第4の発明のいずれかに係るラビング布である。

0012

発明の効果
本発明により、耐摩耗性が高く、摩擦帯電性が低く、かつラビング時の配向膜の傷発生を少なくできるという特性を兼ね備えたラビング布を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

図1は、本発明に係るラビング布の概略断面図である。
図2は、本発明に係るラビング布のパイル角度を表す概略図である。
図3は、本発明に係るラビング布におけるパイル圧縮量と圧縮応力との関係を示すグラフである。

実施例

0014

本発明は、パイル部と地組織部とからなるパイル構造物であって、該パイル部は、鞘がエチレンビニルアルコールからなり、芯がエチレンビニルアルコール以外の合成繊維からなり、芯と鞘の重量比率が1:2〜2:1である複合長繊維糸、から構成されてなるパイル構造物を用いたラビング布であることを特徴とする。

0015

本発明においてパイル構造物とは、例えばパイル布帛等のパイル糸を有する構造物をいう。本発明に係るラビング布には、例えば、ベルベット、別珍コーデュロイ等のパイル織物のパイル糸をカットシャーリングしたものや、ダブルラッセル編物連結糸の中央で切り開いたセンターカット品のようなパイル布帛が好ましく用いられる。

0016

該パイル構造物において地組織に用いられる繊維種としては、綿、、羊毛、絹などの天然繊維、レーヨン、キュプラなどのセルロース系繊維カゼイン繊維などの蛋白質系再生繊維、アセテートトリアセテートなどのセルロース系半合成繊維プロミックスなどの蛋白質系半合成繊維、ナイロン6ナイロン66などのポリアミド系繊維ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維ポリエチレンポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維ポリアクリロニトリル系繊維ポリビニルアルコール系繊維ポリウレタン系繊維若しくはポリ塩化ビニル系繊維などの合成繊維又はガラス繊維などの無機繊維が挙げられる。さらにこれらが組み合わされたものでもよい。これらの中では、収縮性熱安定性の点からポリエステル合成繊維が好ましい。かかる繊維は、中空部を有しない中実繊維であっても、中空部を有する中空繊維であってもよい。また、その断面形状は円形であっても異形であってもよい。

0017

パイル部を形成するパイルの長さ(パイル長:地組織表面からパイル糸先端までの長さ)は0.5〜30mmである事が好ましい。パイル長が0.5mm未満ではラビング時に地組織部が基板に接触する虞があるため好ましくない。一方、パイル長が30mmを越えるとゴミの発生が多くなり、ラビング処理の均一性が損なわれる虞がある。

0018

パイル部の密度は7000〜100000本/cm2であることが好ましい。本発明のラビング布のパイル部に用いられる複合長繊維糸は、従来のラビング布に用いられているレーヨンと比較して耐摩耗性が高く、摩耗粉の発生が少ないという特長を有している。そのため、ラビング処理の際に摩耗粉が発生することによる配向ムラを減少させることができる。また、ポリエステルに比べて柔軟であるという特徴を有しているため、ラビング時に配向膜を殆ど傷つけない。一方、パイルの圧縮応力も一定の範囲になるため、従来のラビング布、特にレーヨンを用いたものと比較して均一な配向処理を行うことができる。

0019

上記した好ましい構成において、精密で均一なラビング処理を行うという観点から、パイルはループパイルよりカットパイルである方が好ましい。また、カットパイルの長さが均一でかつ高密度であることがより好ましい。
更に、パイル糸抜けを防止するために、ラビング布をポリウレタン樹脂アクリル樹脂ポリ酢酸ビニル樹脂などでバックコーティングすることが好ましい。

0020

本発明のラビング布においては、パイルの圧縮量が0.2〜0.8mmの範囲で、ラビング布の圧縮応力が50〜300gf/cm2であることが好ましい。圧縮応力が50gf/cm2未満であるとラビング処理の際にパイルの接触面積が変化しやすいため、配向処理を制御することが困難となる。一方、圧縮応力が300gf/cm2より大きくなると配向膜をキズつける虞があると共に、パイルを構成する糸が摩耗しやすくなり、摩耗粉が発生しやすくなる。因みに、パイル圧縮量が0.2〜0.8mmという数値範囲は、実際のラビング処理時に想定されるパイルの圧縮範囲である。

0021

また、圧縮応力特性における一次降伏点が80gf/cm2以上であることが好ましく、ラビング布の圧縮応力の最大値と最小値の差が200gf/cm2以下であることが好ましい。一次降伏点が80gf/cm2未満であると十分なラビング効果が得られない虞がある。また、圧縮応力の最大値と最小値の差を200gf/cm2以下にすることにより、更に安定したラビング効果が得られる。この様なラビング布を用いることにより、パイル長のばらつきや基板の凹凸などによりパイルの圧縮量が変化しても圧縮応力をおおよそ一定に保つことができる。この結果、ラビング時において基板にかかる圧力が安定し、液晶の配向も安定させることができる。

0022

図2に示すパイル角度a、すなわち地組織とパイルとの角度は、50〜90度であることが好ましい。パイル角度が50度未満の場合、圧縮応力加重時にパイルが圧縮により倒れやすい。パイルが圧縮により倒れると、ラビング布の圧縮応力が50〜300gf/cm2の範囲になりにくく、また、圧縮応力特性における一次降伏点が80gf/cm2以上になりにくい。さらに、パイルの接触面積が変化しやすいため、ラビング処理を制御する事が困難となる虞がある。

0023

本発明のパイル構造物のパイル部を構成する糸としては、鞘がエチレンビニルアルコール、芯がエチレンビニルアルコール以外の合成繊維からなる複合長繊維糸が用いられる。芯に用いられる合成繊維としてはポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維などが好ましい。この中では、その熱可塑性によってパイルの直毛性と適度な反発力とを得やすい点で、ポリエステル系繊維を用いる事が特に好ましい。さらに鞘にエチレンビニルアルコールを用いることにより、パイルカット時にパイルを構成する繊維断面の縁が容易にカットされるため、バリが出ず、配向膜を傷つけ難い。さらに、バリが出ないため、繊維の削れが少なく、摩耗粉の発生を抑えられる。

0024

芯鞘複合繊維としては1芯型のものや多芯型のものを用いることができる。しかし、複数成分による複合糸の場合、1芯構造では熱による収縮差により成分間に応力が生じ、クリンプが発生しやすくなる。クリンプが発生するとラビング処理を制御しにくくなる虞があるため、多芯構造糸を用いることが好ましい。多芯構造にすることにより芯成分鞘成分の応力が分散されクリンプが起こりにくくなると考えられる。

0025

また、芯と鞘の重量比率は1:2〜2:1である。この範囲をこえてエチレンビニルアルコールが少なくなると鞘部が薄膜化するため、ラビングの摩擦により鞘部が摩耗し、芯が露出してしまう虞がある。逆に多くなるとパイルの熱セット性が十分に得られずヘタリ易くなり、ラビング処理が十分に行われなくなる虞がある。

0026

本発明に係るラビング布は親水性のエチレンビニルアルコールからなる鞘部を有する複合長繊維糸をパイル部に用いているので、基板のラビング処理を行う際、静電気の発生を低く抑えることができる。このため、静電気により基板に付着するリントやゴミの付着を少なくすることができる。摩擦帯電圧は、ポリイミドフィルムとの摩擦帯電圧が3000V以下であることが好ましい。また、これらの繊維樹脂は熱による変質が少ないため、安定したラビング処理が行える。

0027

(実施例)
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明の範囲は以下の実施例により制限されるものではない。
ラビング布の評価は以下のように行った。
(パイル角度)
パイル布帛品のパイル面を上にして水平に置いた。パイル面上に80g/cm2の荷重を乗せ、40℃×65%RH下で48時間放置した。除重後、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製 VHX−200)を用いて50倍撮影にて地組織とパイルの中心線の間の角度を測定した。
(圧縮応力)
20℃×65%RHの環境下で、パイルの圧縮量が0.2〜0.8mm時の試料の圧縮応力を測定した。測定にはカトーテックKES−G5(ハンディ圧縮試験機)を用い、加圧板降下速度は0.02cm/sとした。
(摩擦帯電圧)
20℃×40%RHの環境下で、ガラス板にポリイミドフィルムを積層した基板と、ラビング布試料のパイル面と、の帯電圧を、JIS−L−1094 B法に準じて測定した。
(耐摩耗性)
測定は20℃×65%RHの環境下で行った。平面摩耗試験機(株式会社大栄科学精器製作所製 T−TYPE)の可動板アクリル板を設置し、試験布を、パイル面をアクリル板に向けてアーム(500g)先端に貼り付けた。100回可動板を動かした後、アクリル板に付着した摩耗粉をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製 VHX−200)を用いて100倍視野角で観察し、摩耗粉数を確認した。
(配向膜のキズ
摩擦帯電圧を測定したポリイミドフィルム上の傷の有無を目視にて評価した。
(パイルクリンプ性
パイル布帛品の断面をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製 VHX−200)を用いて100倍視野角で観察し、パイルのクリンプ状態を確認した。

0028

実施例1
パイル糸として芯がポリエステル、鞘がエチレンビニルアルコールからなる複合長繊維糸(株式会社クラレ製 ソフィスタ登録商標) 芯と鞘の重量比率1:1)90dtex24fを、地組織を構成する経糸としてポリエステル糸84dtex36f 追撚S900T/Mを、緯糸としてポリエステル糸111dtex48f追撚S400T/Mをそれぞれ用い、ベルベット織物製織した。パイル糸をカット、シャーリング後、精練し、180℃で熱セットして、パイル長が1.93mm、パイル角度が71度、パイル密度35000本/cm2、経糸密度70本/inch、緯糸密度110本/inchのベルベットからなるラビング布を得た。評価結果を表1に示す。

0029

実施例2
パイル糸として芯がポリエステル、鞘がエチレンビニルアルコールからなる37芯の海島型複合長繊維糸90dtex24f((KBセーレン株式会社製 芯と鞘の重量比率1:1)を、地組織を構成する経糸としてポリエステル糸83dtex36f 追撚S900T/Mを、緯糸としてポリエステル糸111dtex48f追撚S400T/Mをそれぞれ用い、ベルベット織物を製織した。これを実施例1と同様に加工して、パイル密度25000本/cm2、パイル長が1.85mmでパイル角度が82度のベルベットからなるラビング布を得た。評価結果を表1に示す。

0030

実施例3
パイル糸として芯がポリエステル、鞘がエチレンビニルアルコールからなる37芯の海島型複合長繊維糸90dtex24f(KBセーレン株式会社製 芯と鞘の重量比率2:1)を、基布を構成する地糸の経糸としてポリエステル糸83dtex36f 追撚S900T/Mを、緯糸としてポリエステル糸111dtex48f追撚S400T/Mをそれぞれ用い、ベルベット織物を製織した。これを実施例1と同様に加工して、パイル密度25000本/cm2、パイル長が1.78mmでパイル角度が79度のベルベットからなるラビング布を得た。評価結果を表1に示す。

0031

実施例4
パイル糸として芯がポリエステル、鞘がエチレンビニルアルコールからなる37芯の海島型複合長繊維糸90dtex24f(KBセーレン株式会社製 芯と鞘の重量比率1:2)を、基布を構成する地糸の経糸としてポリエステル糸83dtex36f 追撚S900T/Mを、緯糸としてポリエステル糸111dtex48f追撚S400T/Mをそれぞれ用い、ベルベット織物を製織した。これを実施例1と同様に加工して、パイル密度25000本/cm2、パイル長が1.71mmでパイル角度が82度のベルベットからなるラビング布を得た。評価結果を表1に示す。

0032

比較例1
パイル糸としてビスコース法レーヨン糸110dtex40fを、基布を構成する地糸の経糸としてポリエステル糸83dtex36f追撚S900T/Mを、緯糸としてポリエステル糸111dtex48f追撚S400T/Mをそれぞれ用いグリオキザールを付与した。これを実施例1と同様に加工し、パイル密度25000本/cm2、パイル長が1.69mmでパイル角度が67度のベルベットからなるラビング布を得た。評価結果を表1に示す。

0033

比較例2
パイル糸としてナイロン糸110dtex48fを、基布を構成する地糸の経糸としてポリエステル糸83dtex36f追撚S900T/Mを、緯糸としてポリエステル糸111dtex48f追撚S400T/Mをそれぞれ用い、ベルベット織物を製織した。これを実施例1と同様に加工することにより、パイル密度31000本/cm2、パイル長が1.74mmでパイル角度が69度のベルベットからなるラビング布を得た。評価結果を表1に示す。

0034

比較例3
パイル糸としてポリエステル糸84dtex72fを、基布を構成する地糸としてポリエステル糸56dtex12fを用い、これを実施例1と同様に加工することにより、パイル密度58000本/cm2、パイル長が1.98mmでパイル角度が52度のダブルラッセルパイルからなるラビング布を得た。評価結果を表1に示す。

0035

比較例4
パイル糸として芯がポリエステル、鞘がエチレンビニルアルコールからなる多芯構造の複合長繊維糸90dtex24f(KBセーレン株式会社製 芯と鞘の重量比率3:1)を、基布を構成する地糸の経糸としてポリエステル糸83dtex36f 追撚S900T/Mを、緯糸としてポリエステル糸111dtex48f追撚S400T/Mをそれぞれ用い、ベルベット織物を製織した。これを実施例1と同様に加工して、パイル密度25000本/cm2、パイル長が1.84mmでパイル角度が69度のベルベットからなるラビング布を得た。評価結果を表1に示す。

0036

比較例5
パイル糸として芯がポリエステル、鞘がエチレンビニルアルコールからなる多芯構造の複合長繊維糸90dtex24f(KBセーレン株式会社製 芯と鞘の重量比率1:3)を、基布を構成する地糸の経糸としてポリエステル糸83dtex36f 追撚S900T/Mを、緯糸としてポリエステル糸111dtex48f追撚S400T/Mをそれぞれ用い、ベルベット織物を製織した。これを実施例1と同様に加工して、パイル密度25000本/cm2、パイル長が1.91mmでパイル角度が80度のベルベットからなるラビング布を得た。評価結果を表1に示す。

0037

0038

本発明によれば、耐摩耗性が高いため摩耗粉の発生が少なく、摩擦帯電性が低く、かつラビング時の配向膜の傷発生を少なくできるという特性を兼ね備えたラビング布を提供することができる。

0039

図中の各符号の内容は以下の通りである。
1ラビング布
2パイル
3地組織
a パイル角度

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