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課題・解決手段

光学活性な部位を有する高分子による新規光学異性体用分離剤を提供する。芳香族環に光学活性なアミノ酸アミド結合したアミド基を有する芳香族イソニトリル単量体としてなるらせん高分子と、らせん高分子の端部でらせん高分子と化学結合して担持する担体とからなる光学異性体用分離剤を提供する。

概要

背景

光学異性体は、医薬やその原料として用いられる。このような生体に作用させる用途では、光学異性体は、通常は一方の光学異性体のみが用いられ、非常に高い光学純度が要求される。このような高い光学純度を要する光学異性体の製造方法としては、光学分割能を有する光学異性体用分離剤を収容するカラムを、液体クロマトグラフィー疑似移動床クロマトグラフィー及び超臨界流体クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーにおいて用いることによって、ラセミ体のような光学異性体の混合物から一方の光学異性体を分離する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。

光学異性体用分離剤には、光学活性な部位を有する高分子を用いることができる。このような光学異性体用分離剤は、通常、シリカゲル等の担体とその表面に担持される前記高分子とから構成され、カラム管に収容されて光学分割に用いられる。

一方、光学活性な部位を有する高分子には、種々の高分子が知られている。このような高分子としては、例えば、芳香環に光学活性なアミノ酸又はその誘導体アミノ結合したアミド基を有する芳香族イソニトリルリビング重合させてなる、同一の単量体からなる右巻き又は左巻きのらせん構造からなる主鎖構造を有するポリ芳香族イソシアニド誘導体が知られている(例えば、特許文献2及び非特許文献1参照。)。しかしながら、このポリ芳香族イソシアニド誘導体からなる光学異性体用分離剤は知られていない。

概要

光学活性な部位を有する高分子による新規な光学異性体用分離剤を提供する。芳香族環に光学活性なアミノ酸がアミド結合したアミド基を有する芳香族イソニトリルを単量体としてなるらせん高分子と、らせん高分子の端部でらせん高分子と化学結合して担持する担体とからなる光学異性体用分離剤を提供する。

目的

本発明は、光学活性な部位を有する高分子による新規な光学異性体用分離剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記式(1)で表わされる構造を有するらせん高分子と、前記らせん高分子を担持する担体とを有し、らせん高分子の端部と前記担体の表面との化学結合によってらせん高分子が担体に担持されてなる光学異性体用分離剤。(式(1)中、Arは独立して芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、R1は独立して、ヘテロ原子を有していてもよく芳香族環を含んでいてもよい炭素数1〜10の有機基を表し、R2は独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表し、nは5以上の整数を表す。)

請求項2

前記らせん高分子が左巻きであることを特徴とする請求項1に記載の光学異性体用分離剤。

請求項3

式(1)中のアミノ酸残基が、一方の光学活性アミノ酸の残基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学異性体用分離剤。

請求項4

式(1)中のアミノ酸残基が、L型のアミノ酸の残基であることを特徴とする請求項3に記載の光学異性体用分離剤。

請求項5

式(1)中のアミノ酸残基が、単一のアミノ酸の残基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。

請求項6

式(1)中のアミノ酸残基が、L−アラニンの残基であることを特徴とする請求項5に記載の光学異性体用分離剤。

請求項7

Arがフェニレン基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。

請求項8

R2が炭素数1〜20の直鎖のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。

請求項9

R2がn−デシル基であることを特徴とする請求項8に記載の光学異性体用分離剤。

請求項10

前記担体がシリカゲルであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。

請求項11

前記担体が表面処理シリカであり、前記らせん高分子が下記式(2)で表わされることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。(式(2)中、Bは独立して担体の表面と結合している基を表し、xは1以上の整数を表し、Ar、R1、R2、及びnは式(1)と同じである。)

技術分野

0001

本発明は光学異性体用分離剤に関し、らせん構造を有する高分子を有する光学異性体用分離剤に関する。

背景技術

0002

光学異性体は、医薬やその原料として用いられる。このような生体に作用させる用途では、光学異性体は、通常は一方の光学異性体のみが用いられ、非常に高い光学純度が要求される。このような高い光学純度を要する光学異性体の製造方法としては、光学分割能を有する光学異性体用分離剤を収容するカラムを、液体クロマトグラフィー疑似移動床クロマトグラフィー及び超臨界流体クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーにおいて用いることによって、ラセミ体のような光学異性体の混合物から一方の光学異性体を分離する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。

0003

光学異性体用分離剤には、光学活性な部位を有する高分子を用いることができる。このような光学異性体用分離剤は、通常、シリカゲル等の担体とその表面に担持される前記高分子とから構成され、カラム管に収容されて光学分割に用いられる。

0004

一方、光学活性な部位を有する高分子には、種々の高分子が知られている。このような高分子としては、例えば、芳香環に光学活性なアミノ酸又はその誘導体アミノ結合したアミド基を有する芳香族イソニトリルリビング重合させてなる、同一の単量体からなる右巻き又は左巻きのらせん構造からなる主鎖構造を有するポリ芳香族イソシアニド誘導体が知られている(例えば、特許文献2及び非特許文献1参照。)。しかしながら、このポリ芳香族イソシアニド誘導体からなる光学異性体用分離剤は知られていない。

0005

国際公開第02/030853号パンフレット
国際公開第07/063994号パンフレット

先行技術

0006

J.Am.Chem.Soc., 131, 6709 (2009)

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、光学活性な部位を有する高分子による新規な光学異性体用分離剤を提供する。

課題を解決するための手段

0008

光学異性体用分離剤には、光学活性な部位を有する高分子による種々の光学異性体用分離剤が知られている。このような光学異性体用分離剤は、光学分割において、高分子の物性によっては耐溶剤性や光学分割能において優れた特性を示すことがあるが、その一方で、光学分割時における高分子の形状や有効な官能基位置関係等の要因により、期待された光学分割能が得られなかったり、又は期待以上の光学分割能が得られることがある。

0009

本発明者らは、前記ポリ芳香族イソシアニド誘導体を化学結合によって担体へ担持させたところ、得られた担持物が種々の光学異性体に対して光学分割能を発現することを見出し、以下に示す本発明を完成させた。

0010

[1] 下記式(1)で表わされる構造を有するらせん高分子と、前記らせん高分子を担持する担体とを有し、らせん高分子の端部と前記担体の表面との化学結合によってらせん高分子が担体に担持されてなる光学異性体用分離剤。

0011

0012

式(1)中、Arは独立して芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、R1は独立して、ヘテロ原子を有していてもよく芳香族環を含んでいてもよい炭素数1〜10の有機基を表し、R2は独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表し、nは5以上の整数を表す。

0013

[2] 前記らせん高分子が左巻きであることを特徴とする[1]に記載の光学異性体用分離剤。

0014

[3] 式(1)中のアミノ酸残基が、一方の光学活性のアミノ酸の残基であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の光学異性体用分離剤。

0015

[4] 式(1)中のアミノ酸残基が、L型のアミノ酸の残基であることを特徴とする[3]に記載の光学異性体用分離剤。

0016

[5] 式(1)中のアミノ酸残基が、単一のアミノ酸の残基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。

0017

[6] 式(1)中のアミノ酸残基が、L−アラニンの残基であることを特徴とする[5]に記載の光学異性体用分離剤。

0018

[7] Arがフェニレン基であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。

0019

[8] R2が炭素数1〜20の直鎖のアルキル基であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。

0020

[9] R2がn−デシル基であることを特徴とする[8]に記載の光学異性体用分離剤。

0021

[10] 前記担体がシリカゲルであることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。

0022

[11] 前記担体が表面処理シリカであり、前記らせん高分子が下記式(2)で表わされることを特徴とする[1]〜[10]のいずれか一項に記載の光学異性体用分離剤。

0023

0024

式(2)中、Bは独立して担体の表面と結合している基を表し、xは1以上の整数を表し、Ar、R1、R2、及びnは式(1)と同じである。

発明の効果

0025

本発明の光学異性体用分離剤は、前記式(1)で表わされる構造を有するらせん高分子を担体に担持させてなる。よって、本発明によれば、光学活性な部位を有する高分子による新規な光学異性体用分離剤が提供される。

0026

本発明の光学異性体用分離剤は、下記式(1)で表わされる構造を有するらせん高分子と、前記らせん高分子を担持する担体とを有し、らせん高分子の端部と前記担体の表面との化学結合によってらせん高分子が担体に担持されてなる。

0027

0028

式(1)中、Arは独立して芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、R1は独立して、ヘテロ原子を有していてもよく芳香族環を含んでいてもよい炭素数1〜10の有機基を表し、R2は独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表し、nは5以上の整数を表す。

0029

前記らせん高分子は、左巻き又は右巻きのいずれかであればよい。本発明の光学異性体用分離剤による光学分割は、前記らせん高分子と光学分割の目的物との相互作用によることから、本発明の光学異性体用分離剤の光学分割能は目的物に応じて異なる。前記らせん高分子を左巻き及び右巻きのいずれか一方の巻き方向のらせん高分子とすることによって、特定の目的物に対する光学分割能が発現し、又は向上することが期待される。

0030

前記Arは芳香族基又はヘテロ芳香族基を表す。芳香族基は、酸素窒素、及び硫黄等のヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい。ヘテロ芳香族基は、前記芳香族基のうち、芳香族環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子に置き換えられてなる芳香族基を言う。芳香族基は、複数種を含んでいてもよいし、単一であってもよい。芳香族基は、前記らせん高分子を製造する際の取り扱いの容易さの観点から、炭素数が5〜14であることが好ましく、炭素数が6〜10であることがより好ましい。このような芳香族基としては、例えば、フェニレン基をはじめ、以下に示す一価の基の任意の位置にもう一つの結合部位を有する二価の芳香族基が挙げられる。芳香族基は、上記の取り扱いの容易さの観点、及び特定の目的物に対する光学分割能の発現や向上が期待される観点から、単一であることが好ましい。このようなArの具体例としてはフェニレン基が挙げられる。

0031

0032

前記R1は、式(1)中のアミノ酸残基におけるアミド基とカルボニル基との間の炭素原子を不斉炭素とする一価の有機基であればよく、単一であっても複数種を含んでいてもよい。R1は、特定の目的物に対する光学分割能の発現や向上が期待される観点から、単一であることが好ましい。R1としては、例えばグリシンを除く天然のアミノ酸の側鎖の基が挙げられる。

0033

前記R2は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、単一であっても複数種を含んでいてもよい。前記炭化水素基の構造は特に限定されず、直鎖や分岐鎖鎖状であってもよいし、脂肪族環や芳香族環等の環状であってもよいし、これらの両方を含んでいてもよい。さらにR2は、酸素、窒素、及び硫黄等のヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい。前記R2は、前記らせん高分子を製造する際の取り扱いの容易さの観点、及び特定の目的物に対する光学分割能の発現や向上が期待される観点から、単一であることが好ましく、炭素数1〜20の直鎖のアルキル基であることが好ましい。このようなR2の具体例としてはn−デシル基が挙げられる。

0034

前記nは、5以上であればよく、光学分割能の発現又はその向上の観点からは、大きいことが好ましく、前記らせん高分子の製造や光学異性体用分離剤の製造における取り扱いの容易さの観点からは、ある上限値を有することが好ましい。これらの観点から、前記nは10〜300であることが好ましく、50〜200であることがより好ましい。

0035

前記らせん高分子の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、光学分割能の発現又はその向上の観点からは、大きいことが好ましく、前記らせん高分子の溶剤への溶解性の観点からは、ある上限値を有することが好ましい。これらの観点から、20,000〜1,000,000であることが好ましい。前記らせん高分子の分子量分散(Mw/Mn)は前記らせん高分子の巻き方向が同じであれば特に限定されない。

0036

前記らせん高分子のMn、Mw、及びMw/Mnは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって求めることができる。また前記nは、SECに加えて、NMRやIR等の通常の構造解析手段によって、前記らせん高分子の構成単位を特定することによって求めることができる。

0037

前記らせん高分子のMn、Mwは、後述するリビング重合において触媒として用いられる錯体開始剤)とモノマーとのモル比によって調整することができる。前記らせん高分子のMw/Mnは、前記開始剤の使用によって、リビング重合以外の方法でらせん高分子を製造する場合に比べて狭くすることができる。

0038

前記らせん高分子は、R1を含む光学活性なアミノ酸残基を含む。このアミノ酸残基は、光学活性なアミノ酸の残基であればよい。前記アミノ酸残基は、L型のアミノ酸とD型のアミノ酸の両方の残基を含んでいてもよいし、L型のアミノ酸の残基のみであってもよいし、D型のアミノ酸の残基のみであってもよい。前記アミノ酸残基をL型又はD型の一方の光学活性のアミノ酸の残基とすることによって、特定の目的物に対する光学分割能が発現し、又は向上することが期待される。

0039

また、前記アミノ酸残基は、光学活性な複数のアミノ酸の残基を含んでいてもよいし、光学活性な単一のアミノ酸の残基であってもよい。前記アミノ酸残基を光学活性な単一のアミノ酸の残基とすることによって、特定の目的物に対する光学分割能が発現し、又はより向上することが期待される。

0040

特に、特定の光学活性の前記アミノ酸残基を有する、特定の巻き方向のらせん高分子とすることによって、特定の目的物に対する光学分割能が発現し、又はさらに向上することが期待される。さらには、特定の光学活性の単一のアミノ酸残基を有する、特定の巻き方向のらせん高分子とすることによって、特定の目的物に対する光学分割能が発現し、又はさらに一層向上することが期待される。

0041

このような光学分割能の発現や向上が期待される前記らせん高分子としては、例えば、Arがフェニレン基であり、R1が、式(1)中のアミノ酸残基をL−アラニンの残基とするメチル基であり、R2がn−デシル基であり、左巻きのらせん高分子が挙げられる。

0042

前記らせん高分子は、前記特許文献2に記載されているように、所定のAr、R1及びR2から構成される芳香族イソニトリルのリビング重合によって得ることができる。このリビング重合は、重合溶媒の存在下、芳香族イソニトリルのリビング重合特性を有する触媒として、下記式(3)で表わされる、アセチレン架橋した複核白金パラジウム−μ−エチンジイル錯体を用いることによって好適に行うことができる。らせん高分子の巻き方向は、前記リビング重合における重合溶媒の極性によって制御することができ、生成物中の左巻きのらせん高分子と右巻きのらせん高分子とは、有機溶剤に対する溶解度差を利用して分離することができる。

0043

0044

らせん高分子の巻き方向は、CDスペクトルの符号から求めることができる。すなわち、前記らせん高分子の主鎖吸収帯である300〜400nm付近のCDスペクトルに現れるピークが正であれば、そのらせん高分子は右巻きのらせん高分子であり、300〜400nm付近のCDスペクトルに現れるピークが負であれば、そのらせん高分子は左巻きのらせん高分子であることが分かる。

0045

前記らせん高分子は担体に担持される。前記担体には、カラム管に収容され、光学分割における化学的及び物理的な耐久性を有する担体を用いることができる。このような担体としては、光学異性体用分離剤の担体として公知の担体を用いることができ、例えば、シリカアルミナマグネシアガラスカオリン酸化チタンケイ酸塩、及びヒドロキシアパタイト等の無機担体、及び、ポリスチレンポリアクリルアミドポリアクリレート等の有機担体、が挙げられる。前記担体は、目的物に対する光学分割能を高める観点から、多孔質であることが好ましい。担体は粒子状であってもよいし、カラム管に一体的に収容される一体型担体であってもよいが、光学異性体用分離剤の製造及びそのときの取り扱いの容易さの観点から、粒子状であることが好ましい。このような担体の具体例としてはシリカゲルが挙げられる。

0046

前記らせん高分子は、その端部が担体の表面に化学結合によって結合することによって、担体に担持(固定)される。このような化学結合は、前記らせん高分子に、その端部に担体の表面と結合する結合部をさらに形成し、担体の表面に適当な結合基が形成されるように担体の表面が処理された表面処理担体を用いることによって行うことができる。

0047

前記担体の表面処理は、担体の種類に応じて公知の技術によって適宜に行うことができる。例えば担体がシリカである場合には、表面処理剤としては、例えば、アミノ基やグリシジル基を有する有機ケイ素化合物が挙げられる。

0048

前記らせん高分子における前記結合部としては、表面処理担体の表面における結合基と、脱水縮合等の反応によって結合する官能基又はそれを有する構成単位が挙げられる。このような結合部は、前記らせん高分子の端部における式(1)中のR2を結合部とすることにより、又は前記らせん高分子の端部に結合部となる構造単位を導入することによって、前記らせん高分子の端部に導入することができる。前記結合部によって担体に結合している前記らせん高分子としては、例えば、下記式(2)で表わされるらせん高分子が挙げられる。

0049

0050

式(2)中、Bは独立して担体の表面と結合している基を表し、xは1以上の整数を表す。Ar、R1、R2、及びnは式(1)と同じである。

0051

前記Bは、前記担体における前記結合基と結合している基であればよく、複数種の基を含んでいてもよいし、単一の基であってもよい。前記Bは、担体との化学結合の制御の容易さの観点から、単一の基であることが好ましい。前記Bとしては、例えば水酸基の残基であるオキシ基や、アミノ基の残基であるイミノ基が挙げられる。

0052

前記xは、少なくとも1以上であればよいが、単体の表面との結合の強度を高める観点によれば大きいことが好ましく、前記らせん高分子の担持量を高める観点によればある上限値を有することが好ましい。このような観点から、前記xは1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。

0053

前記式(2)中のBを有する構造単位は、この構造単位となるモノマー(芳香族イソニトリル)を、式(1)で表わされる構造単位となる芳香族イソニトリルのリビング重合後に、引き続きリビング重合させることによって、前記らせん高分子に導入することができる。前記式(2)中のBを有する構造単位となるモノマーは、必要に応じて、Bの前駆体を保護基で保護してもよい。前記らせん高分子と担体とは、必要であれば脱保護した後に、前記Bの前駆体と前記結合基とを反応させることによって、化学結合させることができる。なお、式(2)中のArは、式(1)で表わされるArと同じであっても異なっていてもよいが、リビング重合の容易さの観点から、式(1)で表わされるArと同じであることが好ましい。

0054

本発明の光学異性体用分離剤は、前記らせん高分子が式(1)で表わされる側鎖を有しており、特定の構造を有する光学異性体の分離に好適に用いることができる。例えば、本発明の光学異性体用分離剤は、前記Arがフェニレンであり、前記R1を含むアミノ酸残基がL−アラニンの残基であり、前記R2がn−デシル基である場合では、カルボニル基又はアミド基を有する光学異性体、縮合環を有さず単独の環構造を有する光学異性体、及びこれらの両方の特徴を有する光学異性体の光学分割に有利である。

0055

カルボニル基又はアミド基を有する光学異性体は、カルボニル基又はアミド基を二以上有することが好ましい。またカルボニル基又はアミド基の隣の炭素が不斉炭素であることが好ましい。

0056

単独の環構造を有する光学異性体の環構造は、フェニル等の単環の芳香族環であってもよいし、単独の脂肪族環であってもよい。また単独の環構造の数は一又は二以上であり、脂肪族環の炭素数は3以上が好ましく、4〜6であることがより好ましい。

0057

なお、ArやR2に縮合環構造を導入することや、R2に特定の置換基を導入することや、R1に、酸性塩基性のアミノ酸残基を構成する特定の管能基を導入することや、これらの基において水酸基の導入等によって親水性を高めることによって、種々の構造の光学異性体に対して光学分割能を発現することが期待される。

0058

また、本発明の光学異性体用分離剤は、HPLC、疑似移動床クロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー等の種々のクロマトグラフィーにおいて充填剤として用いることによって、光学分割やそれによる光学異性体の製造に用いることができる。このような光学分割において、移動相には種々の有機溶剤、その混合溶剤、有機溶剤と水との混合溶剤等の液体を用いることができ、特に、THFのような高い溶解性を有する溶剤を移動相として用いることができ、移動相の種類や組成によっても、種々の構造の光学異性体に対して光学分割能を発現することが期待される。

0059

本発明の実施例を以下に示す。
なお、以下の実施例において、NMRスペクトルは、Varian VXR−500S分光計(Varian社製)を用いて、500MHzで操作し、内部標準物質としてテトラメチルシランTMS)を用いて測定した。

0060

IRスペクトルは、JASCO FT/IR−680分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。

0061

吸収スペクトル及び円二色性(CD)スペクトルは、光路長1.0mmの石英セルを25℃で用いて、それぞれJASCO V570分光光度計及びJASCO J820分光円二色計を用いて測定した。ポリマーの濃度は、モノマーユニットを基に計算し、0.2mg/mLとした。

0062

旋光度は、光路長2.0cmの石英セルを用いて、JASCO P−1030旋光計を用いて測定した。

0063

ポリマーの数平均分量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)から求めた。SECは、紫外可視検出器(JASCO UV−2070)とCD検出器(JASCO CD−2095)を備えたJASCO PU−2080液体クロマトグラフを用いて行った。カラムには、二本のTosoh TSKgel Multipore HXL−M SECカラム(30cm、東ソー社製)を用い、溶離液には、0.1重量%のテトラn−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)を含有するテトラヒドロフラン(THF)を用い、流速を1.0mL/minとした。分子量校正曲線は、ポリスチレン標準物質(東ソー社製)を用いて得た。

0064

SEC−MALS測定は、半導体レーザー(l=690nm)(Wyatt Technology社製)を備えたDAWN−EOS MALS装置に接続された示差屈折計を備えたHLC−8220 GPCシステム(東ソー社製)を用いて、25℃で操作し、二本のTSKgel Multipore HXL−Mカラム(東ソー社製)を直列で用いて行った。

0065

散乱光強度は、異なる角度で、18の光散乱検出器によって測定した。

0066

25℃における移動相に関するポリマーの固有屈折率増分dn/dcも、Optical rEX干渉屈折計(Wyatt Technology社製)によって測定した。

0067

熱重量分析は、セイコーインツル株式会社製EXSTAR6000 TG/DTA6200で、昇温速度を10℃/minとし、窒素の流速を200mL/minとして行った。

0068

質量分析実測値は、国立大学法人名古屋大学農学部分析センターで測定された値である。

0069

L−1は、特許文献2の段落0043及び0044に記載されているように、ニトロ安息香酸とL−アラニンデシルエステルとを反応させてアミド化し、得られたアミド体ニトロ基を常法に従ってアミノ基に還元し、さらにギ酸と反応させてN−ホルミル化し、さらにトリホスゲンの存在下で反応させて製造し、これを用いた。

0070

また、白金−パラジウム−μ−エチンジイル錯体は、特許文献2の段落0066に記載されているように、鬼塚らの方法(K. Onitsuka, K. Yanai, F. Takei, T. Joh, S. Takahashi, Organometallics 1994, 13, 3862-3867. K. Onitsuka, T. Joh, S. Takahashi, Bull. Chem. Soc. Jpn. 1992, 65, 1179-1181.)にしたがって製造し、これを用いた。

0071

コモノマー2の合成]

0072

0073

4−イソシアノ安息香酸(200mg、1.36 mmol)をジメチルホルムアミドDMF)2.8mLに溶解させ、そこに、イミダゾール(102mg、1.50mmol)を加えた。これに、0.75mol/Lのtert−ブチルジメチルクロロシランDMF溶液(2.0mL、1.50mmol)を滴下し、22時間攪拌した。水を加えて反応を終了し、反応生成物ジエチルエーテル/水で抽出した。有機層を集め、硫酸ナトリウム脱水した後、溶媒減圧留去した。得られた粗生成物シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:CHCl3/MeOH=9/1(v/v))で精製し、溶媒を減圧留去、真空ポンプで一晩乾燥させ、コモノマー2(98mg、収率:28%)を得た。得られたコモノマー2の物性を以下に示す。
MP:101.8〜102.2℃;
IR:(KBr、cm-1):2122(νC=N)、1693(νC=O);
1H NMR(CDCl3、rt、500MHz):δ0.38(s,CH3,6H)、δ1.02(s,CH3,9H)、δ7.44(d,J=8.5Hz,aromatic,2H)、δ8.06(d,J=8.5Hz,aromatic,2H);
元素分析
理論値(C14H19NO2Si):C 64.33;H 7.33;N 5.36;
実測値:C 64.45;H 7.38;N 5.29;

0074

[らせん構造を有するポリマーの合成]

0075

0076

L−1(2.00g、5.60mmol)を重合管に入れ、窒素置換を三回行った。蒸留したテトラヒドロフラン(THF)22.5mLにL−1を溶解させ、得られた溶液に、0.010mol/Lの白金−パラジウム−μ−エチンジイル錯体のTHF溶液(5.5mL、0.056mmol)を加えた。得られた溶液の温度を室温から55℃に上げ、20時間攪拌した。室温に戻し、溶媒を半分程度まで減圧留去した後、大量のメタノールに滴下した。生じた沈殿遠心分離回収し、真空ポンプで一晩乾燥させ、リビング重合体poly−L−1(1.86g、収率:93.0%)を得た。

0077

Onouchi H.et al.,J.Am.Chem.Soc. 2008, 130, 229−236.の記載に従い、アセトンに対するポリマーの溶解度の差を利用して、下記の操作により得られたpoly−L−1を右巻きのらせん構造を有するポリマー(P−poly−L−1(+))と左巻きのらせん構造を有するポリマー(M−poly−L−1(−))に分別した。

0078

すなわち、poly−L−1(1.72g、4.80mmol)をアセトン500mLに懸濁させ、室温で2時間攪拌し、遠心分離により、可溶部と不溶部に分別した。可溶部は溶媒を減圧留去して、真空ポンプで一晩乾燥させ、右巻きのらせん構造を有するポリフェニルイソシアニド誘導体P−poly−L−1(+)(226mg、収率:13%)を得た。

0079

不溶部は少量のクロロホルムに溶解させ、大量のアセトンに滴下し、生じた沈殿を遠心分離で回収した。真空ポンプで一晩乾燥させ、左巻きのらせん構造を有するポリフェニルイソシアニド誘導体M−poly−L−1(−)(1.07g、収率:62%)を得た。

0080

P−poly−L−1(+)、M−poly−L−1(−)の絶対分子量は、光散乱検出器(DAWNHELEOS, Wyatt Technology社製)を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(TSKgel Multipore HXL−M、東ソー社製)により求めた。その結果、P−poly−L−1(+)は、Mn=2.18×104、Mw/Mn=1.20であり、M−poly−L−1(−)はMn=6.00×104、Mw/Mn=1.06であった。

0081

[らせん構造を有する共重合体の合成]

0082

0083

M−poly−L−1(−)(299mg、0.83mmol)及びコモノマー2(22mg、0.083mmol)を重合管に入れ、窒素置換を三回行った。これらの化合物を蒸留したテトラヒドロフラン(THF)8.4mLに溶解させ、得られた溶液の温度を室温から55℃に上げ、20時間攪拌した。室温に戻し、溶媒を半分程度まで減圧留去した後、大量のメタノールに滴下した。生じた沈殿を遠心分離で回収し、真空ポンプで一晩乾燥させ、フェニルイソシアニドブロック共重合体M−poly−L−1(−)−b−2(288mg、収率:90%)を得た。得られたM−poly−L−1(−)−b−2の物性を以下に示す。
IR(film、cm-1):3279(νN−H)、1748(νC=O ester)、1634(amide I)、1537(amide II);
1H NMR(THF−d8、55℃、500MHz):δ0.20−0.80(broad,CH3,0.6H)、δ0.89(broad,CH3,3.9H)、δ1.29(broad,CH2,14H)、δ1.55(broad,CH3 and CH2,5H)、δ4.09(broad,CH2,2H)、δ4.30−4.80(broad,CH,1H)、δ4.8−7.8(broad,aromatic,4.4H)、δ8.0−9.0(broad,NH,1H);
元素分析
理論値(C21H30N2O3)10(C14H19NO2Si)1・(H2O)1.4:C 69.49;H 8.38;N 7.60;
実測値:C 69.51;H 8.28;N 7.60;

0084

同様に、P−poly−L−1(+)(150mg、0.42mmol)及びコモノマー2(11mg、0.042mmol)を重合管に入れ、窒素置換を三回行った。これらの化合物を蒸留したテトラヒドロフラン(THF)4.2mLに溶解させ、得られた溶液の温度を室温から55℃に上げ、20時間攪拌した。室温に戻し、溶媒を半分程度まで減圧留去した後、大量のメタノールに滴下した。生じた沈殿を遠心分離で回収し、真空ポンプで一晩乾燥させ、フェニルイソシアニドのブロック共重合体P−poly−L−1(+)−b−2(140mg、収率:87%)を得た。得られたP−poly−L−1(+)−b−2の物性を以下に示す。
IR (film2、cm-1):3262(νN−H)、1749(νC=O ester)、1634(amide I)、1537(amide II);
1H NMR(CDCl3、55℃、500MHz):δ0.20−0.80(broad,CH3,0.6H)、δ0.91(broad,CH3,3.9H)、δ1.31(broad,CH2,14H)、δ1.62(broad,CH3 and CH2,5H)、δ4.11(broad,CH2,2H)、δ4.52(broad,CH,1H)、δ4.8−7.8(broad,aromatic,4.4H)、δ8.3−9.2(broad,NH,1H);
元素分析
理論値(C21H30N2O3)10(C14H19NO2Si)1(H2O)3.8:C 68.73;H 8.41;N 7.51;
実測値:C 68.25;H 7.97;N 7.44;

0085

[らせん構造を有する共重合体の脱保護]

0086

0087

M−poly−L−1(−)−b−2(251.7mg、0.72mmol)を乾燥THF(25mL)に溶解させ、この溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF、1mol/LTHF溶液)(410μL、0.41mmol)を加え、室温下で撹拌した。3時間後、反応溶液を過剰のメタノール/1N HCl(5/1、v/v)混合溶液に滴下した。生じた沈殿を遠心分離で回収し、真空ポンプを用いて乾燥させ、M−poly−L−1(−)−b−2のtert−ブチルジメチルシリル基が水素に置き換えられたM−poly−L−1(−)−b−3(216.0mg、収率:88%)を得た。

0088

同様に、P−poly−L−1(+)−b−2(95.1mg、0.27mmol)を乾燥THF(4mL)に溶解させ、この溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF、1mol/LTHF溶液)(160μL、0.16mmol)を加え、室温下で撹拌した。3時間後、反応溶液を過剰のメタノール/1N HCl(5/1、v/v)混合溶液に滴下した。生じた沈殿を遠心分離で回収し、真空ポンプを用いて乾燥させ、P−poly−L−1(+)−b−2のtert−ブチルジメチルシリル基が水素に置き換えられたP−poly−L−1(+)−b−3(90.6mg、収率:98%)を得た。

0089

[光学異性体用分離剤の作製]

0090

0091

アミノプロピルトリエトキシシラン処理を施したシリカゲル(SP−1000−7−APSL、ダイソー社製粒径7μm、平均孔径100nm)850mgに、M−poly−L−1(−)−b−3(210mg)、乾燥ピリジン4.5mL、縮合剤DMT−MMを57.6mg加え、室温で7時間撹拌し、ポリフェニルイソシアニド誘導体のシリカゲルへの固定化を行った。得られた充填剤をメンブランフィルターで回収し、ピリジン、THF、メタノールで順次洗浄した後、真空乾燥を行い、ジアゾメタン/ジエチルエーテル溶液に1時間分散させ、未反応のカルボン酸部位のメチルエステル化を行った。その後、得られた充填剤をクロロホルムに分散させ、メンブランフィルターで濾取し、クロロホルム、THF、メタノールで順次洗浄した後、真空乾燥を行い、左巻きのらせん構造を有するポリフェニルイソシアニド誘導体がシリカゲルに固定化された充填剤Iso−L(−)(927.2mg)を得た。得られた充填剤のポリフェニルイソシアニド誘導体結合率は、充填剤の熱重量分析から算出したところ9.9重量%であった。

0092

同様に、アミノプロピルトリエトキシシラン処理を施したシリカゲル(SP−1000−7−APSL、ダイソー社製、粒径7μm、平均孔径100nm)429mgに、P−poly−L−1(+)−b−3(80.7mg)、乾燥ピリジン4.5mL、縮合剤DMT−MMを37.3mg加え、室温で7時間撹拌し、ポリフェニルイソシアニド誘導体のシリカゲルへの固定化を行った。得られた充填剤をメンブランフィルターで回収し、ピリジン、THF、メタノールで順次洗浄した後、真空乾燥を行い、ジアゾメタン/ジエチルエーテル溶液に1時間分散させ、未反応のカルボン酸部位のメチルエステル化を行った。その後、得られた充填剤をクロロホルムに分散させ、メンブランフィルターで濾取し、クロロホルム、THF、メタノールで順次洗浄した後、真空乾燥を行い、右巻きのらせん構造を有するポリフェニルイソシアニド誘導体がシリカゲルに固定化された充填剤Iso−L(+)(460.6mg)を得た。得られた充填剤のポリフェニルイソシアニド誘導体結合率は、充填剤の熱重量分析から算出したところ4.7重量%であった。

0093

[光学分割カラムの作製]
充填剤Iso−L(−)を25cm×0.20cm(i.d.)のステンレス製カラムにスラリー充填法により加圧充填し、カラムL(−)を作製した。同様に、充填剤Iso−L(+)を25cm×0.20cm(i.d.)のステンレス製カラムにスラリー充填法により加圧充填し、カラムL(+)を作製した。

0094

[評価]
これらのカラムを用い、液体クロマトグラフィー法により、以下に示す化合物の不斉識別能(保持係数k1’、分離係数α分離度Rs)の評価を行った。カラムL(−)を用いたHPLCによるラセミ化合物1〜18の光学分割の結果を表1及び2に、カラムL(+)を用いたHPLCによるラセミ化合物1〜18の光学分割の結果を表3に、カラムL(−)及びカラムL(+)を用いたHPLCによるラセミ化合物10〜14の光学分割の結果を表4にそれぞれ示す。

0095

0096

0097

0098

0099

0100

表1〜4の光学分割において、液体クロマトグラフィーは、表1〜3の光学分割においては移動相に表1〜3中に示す混合溶媒を用いて、流速0.1mL/min、検出波長254nm、温度25℃で行った。表4の光学分割では、移動相には、n−ヘキサン2−プロパノール(IPA)との混合溶媒(n−ヘキサン/IPS=98/2(体積比))を用いた。なお、表中、「Hex」はn−ヘキサンを、「IPA」は2−プロパノール(イソプロピルアルコール)を、「CHCl3」はクロロホルムを、「THF」はテトラヒドロフランを示し、表中の溶離液の比は体積比である。

0101

また、ベンゼンを用いてカラムの理論段数を求めたところ、カラムL(−)は約2,600、カラムL(+)は約2,000であった。保持時間は、1,3,5−トリ−tert−ブチルベンゼン溶出時間(t0)を用いて評価した。検出された光学異性体の同定は、UV/Vis多波長検出器(MD−2010 Plus、日本分光、254nm)と旋光度検出器(OR−2090 Plus、日本分光)を用いて行った。ただし、rac−8及び16〜18のような金属錯体分析には、旋光度検出器の代わりに円二色性検出器(CD−2095、日本分光、254nm)を用いた。

0102

表中、保持係数k1’は以下の式(1)求めた。分離係数αはk1’に対するk2’の比である。分離度Rsは以下の式(2)から求めた。
保持係数(kn’)=(tn−t0)/t0 (1)
(式中、tnはn番目に検出される光学異性体の保持時間を示す。)
分離度(Rs)=2×L/W (2)
(式中、Lは両光学異性体のピーク間の距離を示し、Wは両ピークバンド幅の合計を示す。)

0103

上記の表に示す様々な溶離液を用いて、Iso−L(−)の光学分割能評価を行ったところ、18種類のラセミ体rac−1〜rac−18のうち7種類(rac−1、3、6、10、12〜14)の光学分割に成功した。Iso−L(+)は、rac−1〜rac−18のうち8種類(rac−8、10、12〜17)の光学分割に成功した。また、ヘキサン/2−プロパノール=98/2の条件でIso−L(−)とIso−L(+)の光学分割能を比較すると、rac−3、6、10、15の光学分割に関して、溶出順序反転が見られた。また、同様の条件でrac−11〜14の光学分割を行ったところ、rac−13と14の分割に関してはIso−L(+)の方が高い光学分割能を示した。

0104

Iso−L(−)とIso−L(+)とは、側鎖のキラリティーは同じで、ポリマー主鎖らせんの巻き方向が異なる。一方でこのようならせん高分子を用いる充填剤では、らせん高分子の巻き方向が光学分割能に影響する。例えば、ポリマーのらせんの巻き方向のみが異なる充填剤を用いた場合、ラセミ体の溶出順序はすべて逆転すると推察される。また、Iso−L(−)のみに注目すると明らかなように、前記らせん高分子の光学分割能の発現は溶離液にも影響される。rac−1〜rac−18の光学分割において、rac−10及び12〜14以外は、Iso−L(−)が光学分割することができたラセミ体とIso−L(+)が光学分割することができたラセミ体とは異なっていたが、この理由としては、ポリマーのらせんの巻き方向のため、ポリマー、ラセミ体、及び溶離液の三者の組み合わせのため、また、Iso−L(+)の分子量(らせん構造)が、前記の条件において、Iso−L(+)が光学分割することができた前記8種類のラセミ体以外の他のラセミ体を光学分割するには小さかったため、等が考えられる。

実施例

0105

また、前記光学分割能の評価実験では、前述したように、Iso−L(−)とIso−L(+)との間で、溶出順序が逆転した結果(rac−10)と溶出順序が逆転しなかった結果(rac−12、13、14)との両方の結果が得られた。ポリマーのらせんの巻き方向のみが光学分割に寄与しているのならば、Iso−L(−)とIso−L(+)は溶出順序が逆転すると考えられ、側鎖のキラリティーのみが光学分割に寄与しているのならば、Iso−L(−)とIso−L(+)は同じ分割能、溶出順序を示すと考えられるが、実際には溶出順序の同順と逆転との両方が見られたことから、前記らせん高分子の光学分割能には、側鎖のキラリティーとポリマーのらせん構造との両方が寄与していると考えられる。

0106

本発明の光学異性体用分離剤は、耐溶剤性に優れている。このため、THFのような極性の高い溶剤を光学分割における移動相に用いることができる。また、らせん高分子におけるらせん構造の長さ、光学活性部位の種類、及び、らせん高分子の巻き方向等の因子の組み合わせによって、光学分割における目的物の分離を可能にし、又は分離効率を向上させ、又は溶出順序を逆転させることが期待される。したがって、移動相の新たな組成の検討、らせん高分子中の光学活性な部位の組み合わせの検討、及び、らせん構造の巻き方向や長さの検討によって、新たな光学異性体の分離条件発見や改良が期待される。

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