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概要
背景
ヒドロキシルラジカルは・OHと表される、水酸基に由来するラジカルであり、いわゆる活性酸素と呼ばれる分子種の一種である。ヒドロキシルラジカルは活性酸素のなかでは反応性が高く酸化力が強いため、タンパク質、脂質、糖質、核酸(DNA,RNA)などと反応し、特に脂質を連鎖的に酸化させることが分かっている。
このようなヒドロキシルラジカルの性質を利用して、大気中や水中に含まれる有害な有機物を浄化する方法について多くの研究がなされている。ここで、ヒドロキシルラジカルを発生させる方法としては、一般的にフェントン反応(酸性条件で過酸化水素と二価の鉄イオンを反応させてヒドロキシルラジカルを生成させる反応)、ハーバー・ワイス反応(三価の鉄イオンの存在下、過酸化水素とスーパーオキサイドアニオンが反応してヒドロキシルラジカルを生じる反応)、過酸化水素へ紫外線を照射する方法、水分にオゾンと紫外線を照射する方法、及び水分の多い気体中や水中でコロナ放電又はプラズマ放電を発生させることによる方法等が知られている(下記特許文献1及び2参照)。
しかしながら、上述したヒドロキシルラジカルの発生方法は、過酸化水素を用いたり紫外線やオゾンの照射、コロナ放電やプラズマ放電を利用する等、人体に危険を及ぼす恐れのある条件でヒドロキシルラジカルを発生させる必要があり、より安全かつ簡便にヒドロキシルラジカルを発生させる方法の開発が望まれてきた。
係る安全かつ簡便にヒドロキシルラジカルを発生させる方法として、発明者らは周期律表第2族元素の酸化物粉末と水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等周期律表第1族または第2族元素の水酸化物とを接触させる方法や、ドロマイト系鉱物に焼成及び水和処理を施したドロマイト消化物を用いる方法を見いだした(下記特許文献3参照)。
ここで、ドロマイトとはCa・Mg(CO3)2、石灰石(CaCO3)及びマグネサイト(MgCO3)等をその主たる構成成分とする苦灰石又は白雲石とも呼ばれる天然鉱物若しくは前記構成成分を含むものとして合成された物質である。係るドロマイトを加熱すると、700〜800℃でMgCO3が分解して二酸化炭素(CO2)を放出し、炭酸カルシウム(CaCO3)と酸化マグネシウム(MgO)を主成分とする焼成物(以下、「焼成ドロマイトA」と呼ぶ)となり、さらに900〜950℃に加熱するとCaCO3が分解してCO2を放出し、酸化カルシウム(CaO)とMgOを主成分とする焼成物(以下、「焼成ドロマイトB」と呼ぶ)になる。(以下、単に「焼成ドロマイト」というときは、焼成ドロマイトA及び焼成ドロマイトBのいずれをも含むものを意味する。)
また、ヒドロキシルラジカルを発生させる他の方法としては、光触媒である酸化チタンや銀イオンを用いることが知られており(下記特許文献4参照)、これにより発生させたヒドロキシルラジカルでウイルスや菌を不活性化することにも利用されている。
概要
効率的にヒドロキシルラジカルを発生させることが可能なヒドロキシルラジカル発生剤、このヒドロキシレジカル発生剤を用いた抗ウイルス剤及びヒドロキシルラジカルの発生方法を提供すること。本発明のヒドロキシルラジカル発生剤は、酸化チタン粉末と、ドロマイト部分水和物、酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選択された少なくとも1種からなる添加剤の粉末又は溶液と、を含む混合物からなり、前記酸化チタンと前記添加剤との含有割合は、前記酸化チタンが99〜1重量%であり、前記添加剤が1〜99重量%である。なし
目的
本発明は、従来から知られているヒドロキシルラジカルの発生方法に比べて、より効率的にヒドロキシルラジカルを発生させることが可能なヒドロキシルラジカル発生剤、このヒドロキシルラジカル発生剤を用いた抗ウイルス剤及びヒドロキシルラジカルの発生方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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請求項1
酸化チタン粉末と、ドロマイト部分水和物、酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選択された少なくとも1種からなる添加剤の粉末又は溶液と、を含む混合物からなり、前記酸化チタンと前記添加剤との含有割合は、前記酸化チタンが99〜1重量%であり、前記添加剤が1〜99重量%であることを特徴とするヒドロキシルラジカル発生剤。
請求項2
前記酸化チタン粉末はアナターゼ型酸化チタンからなることを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシルラジカル発生剤。
請求項3
前記酸化チタン粉末及び前記添加剤は水に分散又は溶解されていることを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシルラジカル発生剤。
請求項4
前記酸化チタン粉末及び前記添加剤は有機溶媒に分散又は溶解されていることを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシルラジカル発生剤。
請求項5
前記有機溶媒はアセトニトリルであることを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシルラジカル発生剤。
請求項6
請求項7
前記添加剤はドロマイト部分水和物粉末を含み、前記ドロマイト部分水和物粉末は、原料のドロマイトを700℃〜1300℃の温度で1〜20時間焼成し、その後常温になるまで冷却した後、前記ドロマイト100重量部に対して35〜60重量部の水と接触させて得られるものからなることを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシルラジカル発生剤。
請求項8
請求項1〜7のいずれかに記載のヒドロキシルラジカル発生剤を含むことを特徴とする抗ウイルス材。
請求項9
酸化チタン粉末と、ドロマイト部分水和物、酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選択された少なくとも1種からなる添加剤の粉末又は溶液と、を溶媒中で混合することを特徴とするヒドロキシルラジカル発生方法。
請求項10
前記酸化チタン粉末としてアナターゼ型酸化チタン粉末を用いることを特徴とする請求項9に記載のヒドロキシルラジカル発生方法。
請求項11
前記溶媒として水を用いることを特徴とする請求項9に記載のヒドロキシルラジカル発生方法。
請求項12
前記溶媒として有機溶媒を用いることを特徴とする請求項9に記載のヒドロキシルラジカル発生方法。
請求項13
前記有機溶媒としてアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項12に記載のヒドロキシルラジカル発生方法。
請求項14
前記添加剤として、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択された少なくとも1種の粉末を含むものを用いることを特徴とする請求項9に記載のヒドロキシルラジカル発生方法。
請求項15
前記添加剤として、原料のドロマイトを700℃〜1300℃の温度で1〜20時間焼成し、その後常温になるまで冷却した後、前記ドロマイト100重量部に対して35〜60重量部の水と接触させて得られるドロマイト部分水和物粉末を用いることを特徴とする請求項9に記載のヒドロキシルラジカル発生方法。
技術分野
0001
本発明は、酸化チタンと、添加剤とを含む新規なヒドロキシルラジカル発生剤、このヒドロキシルラジカル発生剤を用いた抗ウイルス材及びヒドロキシルラジカル発生方法に関する。
背景技術
0002
ヒドロキシルラジカルは・OHと表される、水酸基に由来するラジカルであり、いわゆる活性酸素と呼ばれる分子種の一種である。ヒドロキシルラジカルは活性酸素のなかでは反応性が高く酸化力が強いため、タンパク質、脂質、糖質、核酸(DNA,RNA)などと反応し、特に脂質を連鎖的に酸化させることが分かっている。
0003
このようなヒドロキシルラジカルの性質を利用して、大気中や水中に含まれる有害な有機物を浄化する方法について多くの研究がなされている。ここで、ヒドロキシルラジカルを発生させる方法としては、一般的にフェントン反応(酸性条件で過酸化水素と二価の鉄イオンを反応させてヒドロキシルラジカルを生成させる反応)、ハーバー・ワイス反応(三価の鉄イオンの存在下、過酸化水素とスーパーオキサイドアニオンが反応してヒドロキシルラジカルを生じる反応)、過酸化水素へ紫外線を照射する方法、水分にオゾンと紫外線を照射する方法、及び水分の多い気体中や水中でコロナ放電又はプラズマ放電を発生させることによる方法等が知られている(下記特許文献1及び2参照)。
0004
しかしながら、上述したヒドロキシルラジカルの発生方法は、過酸化水素を用いたり紫外線やオゾンの照射、コロナ放電やプラズマ放電を利用する等、人体に危険を及ぼす恐れのある条件でヒドロキシルラジカルを発生させる必要があり、より安全かつ簡便にヒドロキシルラジカルを発生させる方法の開発が望まれてきた。
0005
係る安全かつ簡便にヒドロキシルラジカルを発生させる方法として、発明者らは周期律表第2族元素の酸化物粉末と水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等周期律表第1族または第2族元素の水酸化物とを接触させる方法や、ドロマイト系鉱物に焼成及び水和処理を施したドロマイト消化物を用いる方法を見いだした(下記特許文献3参照)。
0006
ここで、ドロマイトとはCa・Mg(CO3)2、石灰石(CaCO3)及びマグネサイト(MgCO3)等をその主たる構成成分とする苦灰石又は白雲石とも呼ばれる天然鉱物若しくは前記構成成分を含むものとして合成された物質である。係るドロマイトを加熱すると、700〜800℃でMgCO3が分解して二酸化炭素(CO2)を放出し、炭酸カルシウム(CaCO3)と酸化マグネシウム(MgO)を主成分とする焼成物(以下、「焼成ドロマイトA」と呼ぶ)となり、さらに900〜950℃に加熱するとCaCO3が分解してCO2を放出し、酸化カルシウム(CaO)とMgOを主成分とする焼成物(以下、「焼成ドロマイトB」と呼ぶ)になる。(以下、単に「焼成ドロマイト」というときは、焼成ドロマイトA及び焼成ドロマイトBのいずれをも含むものを意味する。)
0007
また、ヒドロキシルラジカルを発生させる他の方法としては、光触媒である酸化チタンや銀イオンを用いることが知られており(下記特許文献4参照)、これにより発生させたヒドロキシルラジカルでウイルスや菌を不活性化することにも利用されている。
先行技術
0008
特開2001−070946号公報
特開2000−288547号公報
特開2008−037814号公報
特開2004—337562号公報
特開2000−080008号公報
特開2000−210556号公報
発明が解決しようとする課題
0009
上記特許文献3に開示されているヒドロキシルラジカルの発生方法は従来技術に比べて安全かつ簡便で、効率的にヒドロキシルラジカルを発生させることのできる方法である。しかしながら、ヒドロキシルラジカルをより効率的に発生させることや、ヒドロキシルラジカル発生の持続時間等、更なる改良の余地があった。
0010
また、上記特許文献4に開示されている酸化チタンや銀担持光触媒を利用してヒドロキシルラジカルを発生させる場合でも、より効率的なヒドロキシルラジカルの発生やその持続時間等について更なる検討の余地があった。また、酸化チタンや銀担持光触媒を利用する場合には自然光や蛍光灯などある程度の強度の光が照射されることが必要であり、係る光照射の有無にかかわらずヒドロキシルラジカルを発生させる方法についても検討の余地があった。
0011
なお、上記焼成ドロマイトAやBは、これまで抗菌剤やダイオキシン抑制剤として用いられた例が開示されている(上記特許文献5及び6参照)。例えば、上記特許文献5には焼成ドロマイトを含有する無機系抗菌・抗カビ剤が開示され、該無機系抗菌・抗カビ剤には酸化チタンが含まれてもよい旨記載されている(段落0048)。また、上記特許文献6には焼成ドロマイトを含むダイオキシン発生抑制材が開示され、該ダイオキシン発生抑制材は活性剤として酸化チタンを含んでもよい旨記載されている(段落0038)。
0012
しかしながら、上記特許文献5及び6は、ヒドロキシルラジカルの発生という観点からの検討を行ったものではなく、ヒドロキシルラジカルの発生については一切開示も示唆もされていない。また、上記特許文献5及び6で用いられているのは焼成ドロマイトAや焼成ドロマイトBであって、焼成ドロマイトに水和の工程を施したドロマイト消化物については一切開示も示唆もされていない。したがって、ドロマイト消化物と酸化チタンの混合物についても当然開示も示唆もされていない。
0013
さらに、上記特許文献5及び6で開示されている焼成ドロマイトAや焼成ドロマイトBと酸化チタンの混合物では、後述するように本発明のようなヒドロキシルラジカル発生量の顕著な増加は見られない。
0014
本発明者らは、酸化チタンと特定の添加剤との混合物を用いると、ドロマイトを焼成し、その一部を水和して得られたドロマイト消化物(ドロマイト部分水和物)や酸化チタン等単独の場合に比べてより効率的に多量のヒドロキシルラジカルを発生することを新たに見出し、本件発明を完成させたものである。
0015
すなわち、本発明は、従来から知られているヒドロキシルラジカルの発生方法に比べて、より効率的にヒドロキシルラジカルを発生させることが可能なヒドロキシルラジカル発生剤、このヒドロキシルラジカル発生剤を用いた抗ウイルス剤及びヒドロキシルラジカルの発生方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0016
すなわち、本発明のヒドロキシルラジカル発生剤は、
酸化チタン粉末と、
ドロマイト部分水和物、酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選択された少なくとも1種からなる添加剤の粉末又は溶液と、を含む混合物からなり、
前記酸化チタンと前記添加剤との含有割合は、前記酸化チタンが99〜1重量%であり、前記添加剤が1〜99重量%であることを特徴とする。
0017
本発明のヒドロキシルラジカル発生剤によれば、従来のヒドロキシルラジカル発生剤よりもヒドロキシルラジカルの発生効率が向上して、特に光を照射しなくてもヒドロキシルラジカルの発生効率が良好となって、多量に発生させることができるようになる。
0018
本発明のヒドロキシルラジカル発生剤おいては、前記酸化チタン粉末はアナターゼ型酸化チタンからなることが好ましい。
0019
酸化チタンにはアナターゼ型のもの、ルチル型のもの及びブルカイト型のものが知られているが、アナターゼ型の酸化チタン粉末を使用するとルチル型ないしブルカイト型の酸化チタン粉末を使用した場合よりもヒドロキシルラジカルの発生効率がより良好となる。
0020
本発明のヒドロキシルラジカル発生剤おいては、前記酸化チタン粉末及び前記添加剤は水に分散又は溶解されていることが好ましい。
0021
酸化チタン粉末及び添加剤が水に分散又は溶解されているものを用いれば、両者を混合することによって容易にヒドロキシルラジカルを発生させることができる。なお、酸化チタン粉末は水に不溶であるので、酸化チタン粉末を水に懸濁させたものを用いればよい。また、添加剤として、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムのように粉末状で保存し難いものは水溶液として使用すればよく、その他の添加剤は粉末を水に懸濁させたものを用いればよい。
0023
本発明のヒドロキシルラジカル発生剤は、溶媒として有機溶媒を使用することができるので、本発明のヒドロキシルラジカル発生剤の用途が広くなる。特に、有機溶媒としてアセトニトリルを用いると、水との混和性が良好であるほか、水よりも揮発性であるため、乾燥が容易になる。
0024
また、本発明のヒドロキシルラジカル発生剤おいては、前記添加剤は、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択された少なくとも1種の粉末を含むことが好ましい。
0025
特に添加剤として、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択された少なくとも1種の粉末を含むと、ヒドロキシルラジカルの発生効率が向上する。
0026
また、本発明のヒドロキシルラジカル発生剤おいては、前記添加剤として原料のドロマイトを700℃〜1300℃の温度で1〜20時間焼成し、その後常温になるまで冷却した後、前記ドロマイト100重量部に対して35〜60重量部の水と接触させて得られるものからなるドロマイト部分水和物を含むことが好ましい。
0027
ドロマイト部分水和物は、それ自体ヒドロキシルラジカル発生機能を有するが、特に酸化チタン粉末と混合したものは良好なヒドロキシルラジカル発生効率を示すようになる。
0028
また、本発明の抗ウイルス材は、上記何れかに記載のヒドロキシルラジカル発生剤を含むことを特徴とする。
0030
また、本発明のヒドロキシルラジカル発生方法は、
酸化チタン粉末と、
ドロマイト部分水和物、酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選択された少なくとも1種からなる添加剤の粉末又は溶液と、
を溶媒中で混合することを特徴とする。
0031
この場合、前記酸化チタン粉末としてアナターゼ型酸化チタン粉末を用いることが好ましく、溶媒としては水又は有機溶媒を用いることができ、有機溶媒としてはアセトニトリルを用いることができる。
0032
さらに本発明のヒドロキシルラジカル発生方法においては、前記添加剤として、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選択された少なくとも1種の粉末を含むものを用いることが好ましく、さらには、前記添加剤として、原料のドロマイトを700℃〜1300℃の温度で1〜20時間焼成し、その後常温になるまで冷却した後、前記ドロマイト100重量部に対して35〜60重量部の水と接触させて得られるドロマイト部分水和物粉末を用いることが好ましい。
0033
本発明のヒドロキシルラジカル発生方法によれば、ヒドロキシルラジカルを効率よく多量に発生させることができるようになる。
実施例
0034
以下、本発明を実施するための形態について詳しく説明する。本発明のヒドロキシルラジカル発生剤及びヒドロキシルラジカルの発生方法で添加剤として用いられるドロマイト消化物は、ドロマイトを焼成し、その一部を水和することにより得られるドロマイト部分水和物である。
0035
焼成ドロマイトは、天然または合成ドロマイトを大気圧下、昇温速度1℃/分以上15℃/分以下、好ましくは5℃/分以上10℃/分以下の範囲で、700℃以上1300℃以下、好ましくは700℃以上1000℃以下の範囲まで昇温し、係る温度の範囲を1時間以上20時間以下、好ましくは8時間以上12時間以下保持することにより得られる。
0036
上記焼成の際、ドロマイトの熱分解により発生する二酸化炭素ガスが分解挙動に影響する。二酸化炭素ガス濃度が高い場合、分解反応が高温側で起こり、逆に二酸化炭素ガス濃度が低い場合はより低温で分解反応が起こる。分解反応を促進させるために空気気流を調整する必要があり、空気気流が送り・停止の併用で行うことが好ましい。
0037
さらに、焼成工程を終えた焼成ドロマイトが常温(20±15℃(JISZ8703))になるまで冷却した後、該焼成ドロマイト100重量部に対して35〜60重量部、好ましくは45〜50重量部の水と接触させ、焼成したドロマイトの一部を水和することでドロマイト消化物が得られる。その際、焼成ドロマイトと水との接触時間は5時間から20時間が好ましく、水和工程終了後の焼成ドロマイト消化物(消化物粉末)中の水分量が1〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
0038
上記ドロマイト消化物は粉末状にして用いることが好ましい。係るドロマイト消化物の粉末は、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び水酸化マグネシウム(Mg(OH)1〜2)等を構成成分として含み、これら以外に含有が許容される成分は、炭酸カルシウム及びその他の微量成分である。それ以外の成分が焼成及び水和の工程で生成しているとヒドロキシルラジカル発生の反応が阻害されることがある。
また、酸化マグネシウム量が低下すると、ヒドロキシルラジカル発生量も低下する。
0039
ここで、MgO、Ca(OH)2及びMg(OH)1〜2の各成分のドロマイト消化物粉末中における含有量は、MgOが2〜22重量%、好ましくは5〜15重量%、Ca(OH)2が40〜60重量%、好ましくは45〜55重量%、Mg(OH)1〜2が5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%である。
0040
上記ドロマイト消化物の粉末は、ヒドロキシルラジカルの発生をより効率的にするために、その2次粒子径が0.1μm〜60μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜10μmの範囲であることがより好ましく、0.1μm〜1μmの範囲であることが特に好ましい。
0041
ドロマイト消化物は、必要に応じてその表面を処理することにより、他の物質との親和性を向上させてもよい。表面処理剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸アルミニウムなどの脂肪酸金属塩、チタン系やシラン系などのカップリング剤、界面活性剤などを挙げることができる。例えば、ドロマイト消化物にステアリン酸を0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%を添加し、高速衝撃式粉砕機を用いて表面処理を行うことができる。
0042
本発明で用いる酸化チタンは、組成式TiO2で表わされるチタンの酸化物であって、天然物及び合成物のいずれであってもよい。酸化チタンは、アナターゼ(Anatase)、ルチル(Rutile)及びブルカイト(Brookite)の3種の結晶構造を取ることが知られている。本発明で用いる酸化チタンはこれら3種の結晶構造のいずれでもその効果を発揮することができるが、特にアナターゼ型の酸化チタンを用いる場合にヒドロキシルラジカルの発生量及び発生効率が高くなる。また、酸化チタンは微粒子の形状で用いることが好ましく、ドロマイト消化物又は酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等との混合性やヒドロキシルラジカルの効率的かつ持続的発生の観点から、その2次粒子径が0.01μm〜100μmであることが好ましく、0.01μm〜10μmがより好ましい。
0043
また、本発明で用いる添加剤としての酸化銀はAg2Oで表わされる銀の酸化物をいい、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムはそれぞれAl(OH)3、Al2O3、Mg(OH)2、Ca(OH)2、KOH又はNaOHで表わされる金属水酸化物であって、前記いずれも天然物または合成物のどちらを使用してもよい。これら酸化銀若しくは金属水酸化物も微粒子の形状で用いることが好ましく、酸化チタンとの混合性やヒドロキシルラジカルの効率的かつ持続的発生の観点から、その2次粒子径が0.01μm〜100μmであることが好ましく、0.01μm〜10μmであることがより好ましい。
0044
上記ドロマイト消化物と酸化チタンの混合物、又は、酸化チタンと酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム若しくは水酸化ナトリウムから選ばれる少なくとも1種との混合物は、ドロマイト消化物、酸化チタン、酸化銀若しくは金属水酸化物を単独でヒドロキシルラジカル発生剤として用いた場合に比べて、ヒドロキシルラジカルの発生量が著しく増加する。その中でも、特に酸化チタンとドロマイト消化物の混合物又は酸化チタンと水酸化カルシウムの混合物において顕著なヒドロキシルラジカル発生量の増加が認められた。
0045
前記ドロマイト消化物と前記酸化チタンの混合物におけるドロマイト消化物と酸化チタンの質量比は、ドロマイト消化物が1〜99重量%、酸化チタンが99〜1重量%であることが好ましく、ドロマイト消化物が20〜80重量%、酸化チタンが80〜20重量%であることがより好ましく、ドロマイト消化物が30〜70重量%、酸化チタンが70〜30重量%であることが特に好ましい。
0046
一方、酸化チタンと酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム若しくは水酸化ナトリウムから選ばれる少なくとも1種の物質との混合物における両者の質量比は、酸化チタンが99〜1重量%、酸化銀若しくは金属水酸化物若しくはこれらの混合物が1〜99重量%であることが好ましく、酸化チタンが80〜20重量%、酸化銀若しくは金属水酸化物若しくはこれらの混合物が20〜80重量%であることがより好ましく、酸化チタンが70〜30重量%、酸化銀若しくは金属水酸化物若しくはこれらの混合物が30〜70重量%であることが特に好ましい。
0047
前記ドロマイト消化物の粉末及び酸化チタン、酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等の粉末については、これら粉末の単位体積の60%以上が、BET法による比表面積が20m2/g以上であることが好ましく、40m2/g以上であることがより好ましい。粉末化が困難な、比表面積が80m2/g以上の大きな比表面積(m2/g)である方がヒドロキシルラジカル発生の反応が生じ易く、円滑になる。なお、比表面積が20m2/g未満でも反応が可能な場合があるが、ヒドロキシルラジカル発生に困難を伴うようになる。
0048
粉末の「単位面積」は、粉砕した粉末からサンプリングした所定の単位面積の意味であって、人為的に粒子径が相違する粉末を混ぜたものではない。なお、本発明の「金属の酸化物粉末の量的主体」は、金属の酸化物粉末の単位体積の主体となる割合であって、例えば、単位体積の60%以上である場合が該当する。
0049
本発明のドロマイト消化物と酸化チタンとを接触させることによりヒドロキシルラジカルを発生させる具体的な方法、又は、酸化チタンと酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムから選ばれる1若しくは複数の物質を接触させることによりヒドロキシルラジカルを発生させる具体的な方法としては、例えば、ドロマイト消化物の粉末と酸化チタンの粉末を混合して接触させる方法、若しくは酸化チタンの粉末と酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムから選ばれる少なくとも1種の物質の粉末とを混合して接触させる方法が挙げられる。
0050
この他に、ドロマイト消化物の粉末を酸化チタン粉末の水溶液若しくはスラリーに混入して反応させる方法、酸化チタンの粉末を酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムから選ばれる1若しくは複数の物質の水溶液若しくはスラリーに混入して反応させる方法、ドロマイト消化物の粉末の水溶液若しくはスラリーと酸化チタン粉末とを混合して接触させる方法、酸化チタン粉末の水溶液若しくはスラリーと酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムから選ばれる1若しくは複数の物質の粉末とを混合して接触させる方法、ドロマイト消化物の粉末の水溶液若しくはスラリーと酸化チタン粉末の水溶液若しくはスラリーとを混合して接触させる方法、又は酸化チタン粉末の水溶液若しくはスラリーと酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムから選ばれる1若しくは複数の物質の水溶液若しくはスラリーとを混合して接触させる方法などが挙げられる。
0051
本発明で用いる酸化チタン、及び酸化銀、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムについては、ヒドロキシルラジカルの発生を阻害しない限り、必要に応じて添加剤等を加えても良い。
0052
ヒドロキシルラジカルの確認は、定量も含めて次の方法で測定して検証・確認することができる。
(1)APF(2-[6-(4-amino)phenoxy-3H-xanthen-3-on-9-yl]benzoicacid)またはHPF(2-[6-(4-hydroxy)phenoxy-3H-xanthen-3-on-9-yl]benzoicacid)を使用する活性酸素検出試薬にて反応させて、生成する強蛍光性化合物(フルオレセン)の蛍光強度から測定する方法である。
(2)エタノールとヒドロキシルラジカルを反応させて生成したヒドロキシエチルラジカルを、POBN(α-(4-pyridyl-1-oxide)-N-tertbutylnirone)により補足して、または、ヒドロキシルラジカルをDMPO(5,5-Dimethyl-1-pyrrolineN-oxide)により捕捉して、ESR(ElectronSpinResonance:電子スピン共鳴)により測定する方法である。
(3)ヒドロキシルラジカルが確認された場合には、ラジカル捕捉剤のDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)の紫色の消失有無により、ヒドロキシルラジカルの発生・存在を確認する方法である。
0053
本発明における「抗ウイルス材」とは、本発明に係るヒドロキシルラジカル発生剤またはヒドロキシルラジカル発生方法により発生したヒドロキシルラジカルを利用して、抗ウイルス作用を持たせた繊維やプラスチック及びこれらから成るマスクや防護服等の各種製品、その他薬品等の各種応用品を意味する。係る多様な応用品へ抗ウイルス効果を付与する場合(例えば、付着、固着、固定、担持、混入その他の方法で付与する場合)には、ウイルス効果を付与する際の制約が少ない若しくは制約が存在しないことが望まれる。この点本発明においては、ヒドロキシルラジカルの発生源として固体粉末を使用することで多様な適用手段への抗ウイルス効果の付与を可能にし、ほとんど制約なく抗ウイルス材の広範囲な使用を可能にしている。
0054
本発明における抗ウイルス材を適用しうる具体的な例としては、例えば、診断用器具、体外循環用器具、防護品、臨床検査器具(例えば、手袋、各種検査器具、無菌布、マスク、機械カバー、包帯等)、病院用器具(例えば、手術用ガウン、防護布、無菌布、マスク、機械カバー、包帯等)、医療消耗品(例えば、包帯、マスク等)、在宅医療器具(例えば、寝具その他)、衛生材料、保健衛生具、病院建物、食品製造工場、容器、食品包装材等、その他製剤用担体(固体、液体、ペースト等)及び製剤用組成物等を挙げることができる。
0055
本発明における抗ウイルス材で不活性化できるウイルスはヒドロキシルラジカルによってウイルス構造破壊、ウイルス表面の突起タンパク質の塊化現象及びウイルスタンパク質の凝集現象が生じるウイルス等多種に及ぶ。対象となるウイルスの一部を例示すると、例えば、インフルエンザウイルス(例えば、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1HPAIV)/ベトナム株および香港株)、コロナウイルス(例えばサーズウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス)、ピコルナウイルス(例えばポリオウイルス、A型肝炎ウイルス)、カリシウイルス(例えばノロウイルス)、フィロウイルス(例えばエボラウイルス、マールブルグウイルス)、ラブドウイルス(例えば狂犬病ウイルス)、パラミクソウイルス(例えばはしかウイルス、おたふくかぜウイルス)、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、バルボウイルス、レトロウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス)、ヘパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス)等がある。
0056
また、本発明で用いられるヒドロキシルラジカル発生剤は、抗ウイルス作用の他、抗菌作用やダイオキシン発生抑制作用及びダイオキシン濃度低減作用も有するので、抗菌剤、ダイオキシン発生抑制剤又はダイオキシン濃度低減剤として用いることもできる。
0057
次に、具体的な実験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
0058
各実験例に使用した原材料の詳細を以下に示す。
焼成水和ドロマイト:株式会社モチガセから提供を受けた。
焼成非水和ドロマイト:株式会社モチガセから提供を受けた。
酸化チタン(アナターゼ型):和光純薬工業株式会社製、純度99.9%、粒径5μm
酸化チタン(ルチル型):和光純薬工業株式会社製、純度99.9%、粒径5μm
鉄:和光純薬工業株式会社製、純度99.9%、粉末、粒径45μm
酸化鉄(III):和光純薬工業株式会社製、純度95.0%
銀:SIGMA社製、純度99.5%、粒子径100nm未満
酸化銀:SIGMA社製、純度99%
酸化ニッケル:和光純薬工業株式会社製、純度99.9%
水酸化ニッケル:和光純薬工業株式会社製、純度95.0%
水酸化アルミニウム:SIGMA社製
酸化アルミニウム:SIGMA社製酸化
亜鉛:和光純薬工業株式会社製、純度99%
酸化銅(II):SIGMA社製、純度98%、粒径5μm未満
酸化バナジウム(V):和光純薬工業株式会社製、純度99%
酸化マグネシウム:和光純薬工業株式会社製、純度99%
水酸化マグネシウム:和光純薬工業株式会社製
炭酸マグネシウム:和光純薬工業株式会社製
水酸化カルシウム:和光純薬工業株式会社製、純度96%
炭酸カルシウム:SIGMA社製、純度99.5%
水酸化カリウム:SIGMA社製、純度85%
水酸化ナトリウム:和光純薬工業株式会社製、純度97%
アセトニトリル:和光純薬工業株式会社製、純度99.5%
0059
(実験例1:ヒドロキシルラジカル発生量の比較)
以下の表1に示すような、焼成水和ドロマイト、酸化チタン(アナターゼ型)又はこれらの混合物が含まれる懸濁液を作成した。そのためにまず、酸化チタン(アナターゼ型)0.1gを純水9.9mLに加えて酸化チタン(アナターゼ型)1%懸濁液を調製した。また、焼成水和ドロマイト15%懸濁液は株式会社モチガセから提供を受けた。
0060
次に測定用試料を以下のように混合した。
HPF(Hydroxyphenyl Fluorescein)試薬0.1μL
0.5Mリン酸バッファー(pH7.0) 10μL
純水 69.9μL
各種懸濁液 20μL
各測定対象試料中の焼成水和ドロマイト及び/又は酸化チタン(アナターゼ型)の濃度と量を、表1に示す。
0061
0062
これらの試料につき、試料作成後から遮光した状態ですぐにヒドロキシルラジカル発生量をプレートリーダーInfiniteM1000(Tecan社)にて測定し、さらに室内光を5分照射した後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。焼成水和ドロマイト1.5%(調整直後、室内光照射なし)でのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表2に示す。
0063
0064
(実験例2:アナターゼ型とルチル型のヒドロキシルラジカル発生量の比較)
以下の表3に示すような、焼成水和ドロマイト、酸化チタン(アナターゼ型)、酸化チタン(ルチル型)又はこれらの混合物が含まれる懸濁液を作成した。
そのためにまず、酸化チタン(アナターゼ型)1gを純水9mLに加えて酸化チタン(アナターゼ型)10%懸濁液を調製した。
また、酸化チタン(ルチル型)1gを純水9mLに加えて酸化チタン(ルチル型)10%懸濁液を調製した。
また、焼成水和ドロマイト15%懸濁液10mLに純水5mLを加えて、焼成水和ドロマイト10%懸濁液を調製した。
0065
次に測定用試料を以下のように混合した。
HPF試薬0.1μL
0.5Mリン酸バッファー(pH7.0) 10μL
純水 69.9μL
各種懸濁液 20μL
各測定対象試料中の焼成水和ドロマイト及び/又は酸化チタンの濃度と量を、表3に示す。
0066
0067
これらの試料につき、室内光を5分照射した後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。酸化チタン(アナターゼ型)1%(室内光を5分照射)でのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表4に示す。
0068
0069
(実験例3:酸化チタンと種々の化合物を組み合わせた場合のヒドロキシルラジカル発生1量の比較)
以下の表5に示すような、酸化チタン(アナターゼ型)、種々の化合物、又はこれらの混合物が含まれる懸濁液・溶液を作成した。
0070
そのためにまず、水酸化カルシウム1gを純水9mLに加えて水酸化カルシウム10%懸濁液を調製した。
また、炭酸カルシウム1gを純水9mLに加えて炭酸カルシウム10%懸濁液を調製した。
また、水酸化マグネシウム1gを純水9mLに加えて水酸化マグネシウム10%懸濁液を調製した。
また、炭酸マグネシウム1gを純水9mLに加えて炭酸マグネシウム10%懸濁液を調製した。
また、酸化マグネシウム1gを純水9mLに加えて酸化マグネシウム10%懸濁液を調製した。
また、水酸化ナトリウム0.4gを純水に溶かして10mLとし、水酸化ナトリウム1M溶液を調製した。
焼成水和ドロマイト15%懸濁液、酸化チタン(アナターゼ型)1%懸濁液は実験例1で使用したものを用意した。
0071
次に測定用試料を以下のように混合した。
HPF試薬0.1μL
0.5Mリン酸バッファー(pH7.0) 10μL
純水 69.9μL
各種懸濁液・溶液20μL
各測定対象試料中の試薬の種類、濃度及び量を、表5に示す。
0072
0073
これらの試料につき、室内光を5分照射した後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。焼成水和ドロマイト1.5%(室内光照射5分)でのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表6に示す。
0074
0075
(実験例4:焼成非水和ドロマイトと焼成水和ドロマイトのラジカル産生能の比較)
以下の表7に示すような、焼成水和ドロマイト、焼成非水和ドロマイト、酸化チタン(アナターゼ型)又はこれらの混合物が含まれる懸濁液を作成した。
0076
そのためにまず、焼成水和ドロマイト0.5gをアセトニトリル9.5gに加えて焼成水和ドロマイト5%懸濁液を調整した。
また、焼成非水和ドロマイト0.5gをアセトニトリル9.5gに加えて焼成非水和ドロマ4イト5%懸濁液を調整した。
また、酸化チタン(アナターゼ型)0.5gをアセトニトリル9.5gに加えて酸化チタン(アナターゼ型)5%懸濁液を調製した。
0077
次に測定用試料を以下のように混合した。
HPF試薬0.15μL
アセトニトリル29.85μL
各種懸濁液 120μL
各測定対象試料中の焼成水和ドロマイト、焼成非水和ドロマイト及び/又は酸化チタン(アナターゼ型)の濃度と量を、表7に示す。
0078
0079
これらの試料につき、室内光を30分照射した後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。酸化チタン(アナターゼ型)2%(室内光照射30分)でのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表8に示す。
0080
0082
そのために、酸化チタン(アナターゼ型)10%懸濁液を実験例2と同様の方法で調製した。
また、焼成水和ドロマイト15%懸濁液は実験例1で使用したものを用意した。
0083
次に測定用試料を以下のように混合した。
HPF試薬0.1μL
0.5Mリン酸バッファー(pH7.0) 10μL
純水 79.9μL
各種懸濁液 10μL
各測定対象試料中の焼成水和ドロマイト、酸化チタン(アナターゼ型)の濃度と量を、表9に示す。
0084
0085
これらの試料につき、遮光した状態または室内光を当てた状態で、15分後、30分後、45分後、60分後、17時間後、88時間後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。焼成水和ドロマイト1.5%(遮光状態で15分)でのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表10に示す。
0087
(実験例6:酸化チタンと金属・金属酸化物・金属水酸化物等の組み合わせにおけるラジカル産生能)
以下の表11に示すような、金属・金属酸化物・金属水酸化物等が含まれる懸濁液を作成した。
そのためにまず、鉄1gを純水9mLに加えて鉄10%懸濁液を調製した。
また、酸化鉄(III)1gを純水9mLに加えて酸化鉄(III)10%懸濁液を調製した。
また、銀1gを純水9mLに加えて銀10%懸濁液を調製した。
また、酸化銀1gを純水9mLに加えて酸化銀10%懸濁液を調製した。
また、酸化ニッケル1gを純水9mLに加えて酸化ニッケル10%懸濁液を調製した。
また、水酸化ニッケル1gを純水9mLに加えて水酸化ニッケル10%懸濁液を調製した。
また、水酸化アルミニウム1gを純水9mLに加えて水酸化アルミニウム10%懸濁液を調製した。
また、酸化アルミニウム1gを純水9mLに加えて酸化アルミニウム10%懸濁液を調製した。
また、酸化亜鉛1gを純水9mLに加えて酸化亜鉛10%懸濁液を調製した。
また、酸化マグネシウム1gを純水9mLに加えて酸化マグネシウム10%懸濁液を調製した。
また、水酸化マグネシウム1gを純水9mLに加えて水酸化マグネシウム10%懸濁液を調製した。
また、炭酸マグネシウム1gを純水9mLに加えて炭酸マグネシウム10%懸濁液を調製した。
また、水酸化カルシウム1gを純水9mLに加えて水酸化カルシウム10%懸濁液を調製した。
また、炭酸カルシウム1gを純水9mLに加えて炭酸カルシウム10%懸濁液を調製した。
また、水酸化カリウム0.4gを純水に溶かして全量を7.14mLとし、水酸化カリウム1M溶液を調製した。
また、水酸化ナトリウム0.4gを純水に溶かして10mLとし、水酸化ナトリウム1M溶液を調製した。
また、焼成水和ドロマイト10%懸濁液は実験例2で用いたのと同じものを用意した。
また、酸化銅(II)1gを純水9mLに加えて酸化銅(II)10%懸濁液を調製した。
また、酸化バナジウム(V)1gを純水9mLに加えて酸化バナジウム(V)10%懸濁液を調製した。
0088
0089
次いで、以下の表12に示すような、金属・金属酸化物・金属水酸化物等が含まれる懸濁液を作成した。酸化チタン(アナターゼ型)10%懸濁液は実験例2で使用したものと同じものを用意した。
0090
次に測定用試料を以下のように混合した。
HPF試薬0.1μL
0.5Mリン酸バッファー(pH7.0) 10μL
純水 69.9μL
各種懸濁液 20μL
各測定対象試料中の金属・金属酸化物・金属水酸化物等の濃度と量を、表12に示す。
0091
0092
これらの試料につき、室内光を当てた状態で30分後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。酸化チタン(アナターゼ型)1%(室内光照射30分)でのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表13に示す。
0093
0094
(実験例7:酸化チタンと金属・金属酸化物・金属水酸化物等の組み合わせにおけるラジカル産生能)
実験例6(室内光ありの条件)でヒドロキシルラジカル発生量が高かったものを中心に、遮光条件でヒドロキシルラジカル発生量がどのように変化するかの検討を行った。
そのために、以下の表14に示すような、金属・金属酸化物・金属水酸化物等が含まれる懸濁液を作成した。
0095
次に測定用試料を以下のように混合した。
HPF試薬0.1μL
0.5Mリン酸バッファー(pH7.0) 10μL
純水 69.9μL
各種懸濁液 20μL
各測定対象試料中の金属・金属酸化物・金属水酸化物等の濃度と量を、表14に示す。
0096
0097
これらの試料につき、遮光した状態で30分後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。酸化チタン(アナターゼ型)1%(室内光照射30分)でのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表15に示す。
0098
0099
(実験例8:焼成水和ドロマイトと酸化チタンの組み合わせによるヒドロキシルラジカル発生量の比較)
焼成水和ドロマイトと酸化チタン(アナターゼ型)の合計が1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%となるべく、かつ、焼成水和ドロマイトと酸化チタン(アナターゼ型)との存在比が10:0、9:1〜1:9、0:10になるべく、に試料を調整した。
0100
具体的には、各種試薬を以下のように混合して測定対象試料を作成した。
HPF試薬(第一化学薬品) 0.1μL
0.5Mリン酸バッファー(pH7.0) 10μL
純水 29.9μL
各種懸濁液 60μL
各測定対象試料中の焼成水和ドロマイトと酸化チタン(アナターゼ型)の濃度と量は、表16の通りである。
0101
0102
これらの試料につき、室内光を当てた状態で5分後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。酸化チタン(アナターゼ型)1%(室内光照射5分)でのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表17に示す。
0103
0104
(実験例9:酸化チタン、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムの混合物のヒドロキシルラジカル発生量の比較)
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化カルシウムの濃度の合計が1重量%となるべく、かつ、酸化チタン(アナターゼ型)の最終濃度が0%または1%となるべく、に試料を調整した。
0105
具体的には、各種試薬を以下のように混合して測定対象試料を作成した。
HPF試薬(第一化学薬品) 0.1μL
0.5Mリン酸バッファー(pH7.0) 10μL
純水 49.9μL
各種懸濁液 40μL
各測定対象試料中の金属酸化物及び/又は水酸化物の濃度と量は、表18の通りである。
0106
0107
得られた試料を、室内光を当てた状態で30分放置し、ヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。酸化チタン(アナターゼ型)1%懸濁液(室内光30分照射)のみでのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対的に比較した。結果を表19に示す。
0108
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