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技術 圧電体、超音波トランスデューサー、医療用超音波診断装置および非破壊超音波検査装置

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 大久保毅
出願日 2010年3月2日 (10年9ヶ月経過) 出願番号 2011-523572
公開日 2012年12月27日 (8年0ヶ月経過) 公開番号 WO2011-010484
状態 特許登録済
技術分野 超音波による材料の調査、分析 超音波診断装置 酸化物セラミックスの組成2 重金属無機化合物(I) 圧電、電歪、磁歪装置
主要キーワード 整列構造体 ポリビニルアセテート共重合体 アルコールスラリー 塊状混合物 高次高調波成分 Ni金型 ハロゲン化鉛 無機セラミックス
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課題・解決手段

センサーアクチュエーター超音波トランスデューサーなどに好適に用いることができる、広帯域かつ圧電特性が向上した圧電体であって、(a)下記一般式で表され、有機オニウム(G)と無機相(MX4)が層状に交互に積層した構造を有する、または、(b)平均粒径200nm以下の凝集粒子からなるグラフェン構造体ペロブスカイト構造体からなる複合体である、ことを特徴とする圧電体。 一般式 G2MX4(前記一般式中、Gは有機オニウム、MはIV族元素および遷移金属のいずれかであり、XはCl、Br、Iのいずれかを表す。)

概要

背景

これまで圧電体は、無機セラミックスおよび有機高分子などの材料で構成され、センサートランスデューサーおよびアクチュエーターなどに好適に用いられている。

無機セラミックスとしては、PbZrO3/PbTiO3固溶体PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3/PbTiO3固溶体(PMN−PT)およびPb(Zn1/3Nb2/3)O3/PbTiO3固溶体(PZN−PT)などが知られている。圧電体を特徴付け圧電常数d33は、力を電荷に変換する指標であり、これらのセラミックス代表値はそれぞれ550、2820、2000(単位はpC/N)である。以下に述べる高分子材料に比較すると、相当に高い値を示す。

一方、高分子材料としては、ポリフッ化ビニリデン−三フッ化エチレン共重合体(P(VDF−3FE))が代表例として挙げられ、d33は17程度である。高分子材料にてこの特性を改良すべく、これまで、P(VDF−3FE)とポリウレタン、もしくはシリコーンとの混練体(米国特許第6689288号明細書)、ポリフッ化ビニリデンとナイロンの混練体(米国特許出願公開第2002/0166620号明細書)、ポリブタジエンポリ(N,N−メチレンビスアクリルアミドおよびスチレン共重合体(特開2006−049418号公報)、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)の高磁場印加成型体(特開2005−217111号公報)、メタンジイソシアネートジアミノフルオレン蒸着重合により得られたポリ尿素(久保野敦、井雅史、田茂、「ハイピエゾエレクトリックアクティビティーイン・ノンポールド・スィン・フィルムズ・プリピアード・バイベイパーデポジションポリメリゼーション」、ジャニーズジャーナルオブアプライド・フィジックス、日本、日本応用物理学会、2008年7月11日、47巻、7号、5553−5557頁(Atsushi Kubono,Masashi Murai and Shigeru Tasaka,“High Piezoelectric Activity in Nonpoled Thin Films Prepared by Vapor Deposition Polymerization”,Japanese Journal of Applied Physics,Japan,The Japan Society of Applied Physics,July 11,2008,47巻,7号,5553−5557ページ))、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体気泡取り入れエレクトレット(特開2007−231077号公報)等の有機高分子材料が、更にはPZT−シロキサン−ポリ(メタアクリレートコンポジット(特開2002−185054号公報)、ポリ乳酸リン酸カルシウムもしくはモンモリロナイトのコンポジット(特開2005−213376号公報)、等の多くの検討がなされているが、未だ十分な性能が得られていない。

近年、圧電体をトランスデューサーやセンサーなどに応用した場合求められる特性は、前記のd33に加え圧電性発現しうる周波数帯域幅があり、より広い周波数範囲で圧電体が利用できることが望まれている。

帯域幅が広い圧電体を例えば医療用超音波診断装置に用いた場合、より深い診断領域まで送波できる低周波数超音波送信非線形伝播によって高次高調波成分重畳された高空間分解能情報を有する受信が、単一の当該圧電材料にて可能になる。これを具現化できる広帯域圧電材料はこれまでなく、送信と受信をそれぞれの周波数帯域に応じて感度の高い圧電体を個別に適用している。

帯域幅は、最も高い出力を与える周波数と、この出力が半減(−6dB減衰)するまでの最大周波数最低周波数の差の割合を指標とする(−6dB帯域幅)。

前記セラミックスでは10〜70%、また知られている高分子材料では80〜400%の範囲にある。

従って、帯域幅とd33は相反関係にあり、これらを同時に高めることは非常に困難である。両者を同時に高めた材料を、例えば超音波トランスデューサーに利用した場合、このトランスデューサーを用いた医療用超音波診断装置や非破壊超音波検査装置は高精度の診断、もしくは検査結果を与える。

この課題を解決すべく、PZTと高分子材料のコンポジットが開発されており、中でも振動方向にPZTの角柱の長手配向させた1−3コンポジットが代表的である(非特許文献1)。d33と帯域幅は、主にPZT角柱の構造に依存するが、それぞれ50〜200pC/N、50〜150%の範囲の特性を与える(非特許文献2)。

さらにPZTの代わりにd33を高めた[Pb(Mg1/3Nb2/3)O3]0.68[PbTiO3]0.32の単結晶(d33=1200pC/N)を用いる試みがある(特許文献1参照。)が、得られた1−3コンポジットのd33は120pC/Nとなり、当該単結晶の特性を活かすことはできていない。

またゾルゲル法で調製されたPZTとフラーレン低温焼成して得られた複合材料が知られている(特許文献2参照。)。しかし、フラーレンの分散粒子径は200nmを超え、その10体積%の含有率において当該複合材料はPZTの圧電性を大きく下回り、かつほとんど広帯域化していない。

この様な使用周波数の範囲が広域化する中、これらの特性をさらに改良すべく、高い要求がある。

一方で、ハライド系層ペロブスカイト化合物について電界発光素子等に用いた例はこれまで知られているが(例えば、特許文献3参照。)、これらが圧電体として用いられることについて知られていない。

概要

センサー、アクチュエーター、超音波トランスデューサーなどに好適に用いることができる、広帯域かつ圧電特性が向上した圧電体であって、(a)下記一般式で表され、有機オニウム(G)と無機相(MX4)が層状に交互に積層した構造を有する、または、(b)平均粒径200nm以下の凝集粒子からなるグラフェン構造体ペロブスカイト構造体からなる複合体である、ことを特徴とする圧電体。 一般式 G2MX4(前記一般式中、Gは有機オニウム、MはIV族元素および遷移金属のいずれかであり、XはCl、Br、Iのいずれかを表す。)

目的

近年、圧電体をトランスデューサーやセンサーなどに応用した場合求められる特性は、前記のd33に加え圧電性が発現しうる周波数の帯域幅があり、より広い周波数範囲で圧電体が利用できることが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

(a)下記一般式で表され、有機オニウム(G)と無機相(MX4)が層状に交互に積層した構造を有する、または、(b)平均粒径200nm以下の凝集粒子からなるグラフェン構造体ペロブスカイト構造体からなる複合体である、ことを特徴とする圧電体。一般式G2MX4(前記一般式中、Gは有機オニウム、MはIV族元素および遷移金属のいずれかであり、XはCl、Br、Iのいずれかを表す。)

請求項2

前記(a)の一般式において、前記有機オニウムが有機アンモニウム有機フォスフォニウム、有機スルフォニウム、有機オキソニウムのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の圧電体。

請求項3

前記(a)の一般式において、前記Mが、Cd、Cu、Fe、Mn、Pd、Pbのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電体。

請求項4

前記(a)の積層した構造が、層状有機ペロブスカイトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電体。

請求項5

前記(b)のグラフェン構造体が直径60nm以下のカーボンナノチューブ、もしくはフラーレンであることを特徴とする請求項1に記載の圧電体。

請求項6

前記(b)のペロブスカイト構造体が鉛を含有しており、単独、もしくは複数の化学式からなる化合物固溶体多結晶、もしくは単結晶であることを特徴とする請求項1または5に記載の圧電体。

請求項7

前記(b)の複合体の体積抵抗率が103〜1012Ω・mであることを特徴とする請求項1、5または6のいずれか1項に記載の圧電体。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧電体を用いたことを特徴とする超音波トランスデューサー

請求項9

請求項8に記載の超音波トランスデューサーを用いたことを特徴とする医療用超音波診断装置

請求項10

請求項8に記載の超音波トランスデューサーを用いたことを特徴とする非破壊超音波検査装置

技術分野

0001

本発明は、センサーアクチュエーター超音波トランスデューサーなどに好適に用いることができる高い圧電特性広帯域特性を有する圧電体、それを用いた超音波トランスデューサー、および医療用超音波診断装置非破壊超音波検査装置に関する。

背景技術

0002

これまで圧電体は、無機セラミックスおよび有機高分子などの材料で構成され、センサー、トランスデューサーおよびアクチュエーターなどに好適に用いられている。

0003

無機セラミックスとしては、PbZrO3/PbTiO3固溶体PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3/PbTiO3固溶体(PMN−PT)およびPb(Zn1/3Nb2/3)O3/PbTiO3固溶体(PZN−PT)などが知られている。圧電体を特徴付け圧電常数d33は、力を電荷に変換する指標であり、これらのセラミックス代表値はそれぞれ550、2820、2000(単位はpC/N)である。以下に述べる高分子材料に比較すると、相当に高い値を示す。

0004

一方、高分子材料としては、ポリフッ化ビニリデン−三フッ化エチレン共重合体(P(VDF−3FE))が代表例として挙げられ、d33は17程度である。高分子材料にてこの特性を改良すべく、これまで、P(VDF−3FE)とポリウレタン、もしくはシリコーンとの混練体(米国特許第6689288号明細書)、ポリフッ化ビニリデンとナイロンの混練体(米国特許出願公開第2002/0166620号明細書)、ポリブタジエンポリ(N,N−メチレンビスアクリルアミドおよびスチレン共重合体(特開2006−049418号公報)、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)の高磁場印加成型体(特開2005−217111号公報)、メタンジイソシアネートジアミノフルオレン蒸着重合により得られたポリ尿素(久保野敦、井雅史、田茂、「ハイピエゾエレクトリックアクティビティーイン・ノンポールド・スィン・フィルムズ・プリピアード・バイベイパーデポジションポリメリゼーション」、ジャニーズジャーナルオブアプライド・フィジックス、日本、日本応用物理学会、2008年7月11日、47巻、7号、5553−5557頁(Atsushi Kubono,Masashi Murai and Shigeru Tasaka,“High Piezoelectric Activity in Nonpoled Thin Films Prepared by Vapor Deposition Polymerization”,Japanese Journal of Applied Physics,Japan,The Japan Society of Applied Physics,July 11,2008,47巻,7号,5553−5557ページ))、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体気泡取り入れエレクトレット(特開2007−231077号公報)等の有機高分子材料が、更にはPZT−シロキサン−ポリ(メタアクリレートコンポジット(特開2002−185054号公報)、ポリ乳酸リン酸カルシウムもしくはモンモリロナイトのコンポジット(特開2005−213376号公報)、等の多くの検討がなされているが、未だ十分な性能が得られていない。

0005

近年、圧電体をトランスデューサーやセンサーなどに応用した場合求められる特性は、前記のd33に加え圧電性発現しうる周波数帯域幅があり、より広い周波数範囲で圧電体が利用できることが望まれている。

0006

帯域幅が広い圧電体を例えば医療用超音波診断装置に用いた場合、より深い診断領域まで送波できる低周波数超音波送信非線形伝播によって高次高調波成分重畳された高空間分解能情報を有する受信が、単一の当該圧電材料にて可能になる。これを具現化できる広帯域圧電材料はこれまでなく、送信と受信をそれぞれの周波数帯域に応じて感度の高い圧電体を個別に適用している。

0007

帯域幅は、最も高い出力を与える周波数と、この出力が半減(−6dB減衰)するまでの最大周波数最低周波数の差の割合を指標とする(−6dB帯域幅)。

0008

前記セラミックスでは10〜70%、また知られている高分子材料では80〜400%の範囲にある。

0009

従って、帯域幅とd33は相反関係にあり、これらを同時に高めることは非常に困難である。両者を同時に高めた材料を、例えば超音波トランスデューサーに利用した場合、このトランスデューサーを用いた医療用超音波診断装置や非破壊超音波検査装置は高精度の診断、もしくは検査結果を与える。

0010

この課題を解決すべく、PZTと高分子材料のコンポジットが開発されており、中でも振動方向にPZTの角柱の長手配向させた1−3コンポジットが代表的である(非特許文献1)。d33と帯域幅は、主にPZT角柱の構造に依存するが、それぞれ50〜200pC/N、50〜150%の範囲の特性を与える(非特許文献2)。

0011

さらにPZTの代わりにd33を高めた[Pb(Mg1/3Nb2/3)O3]0.68[PbTiO3]0.32の単結晶(d33=1200pC/N)を用いる試みがある(特許文献1参照。)が、得られた1−3コンポジットのd33は120pC/Nとなり、当該単結晶の特性を活かすことはできていない。

0012

またゾルゲル法で調製されたPZTとフラーレン低温焼成して得られた複合材料が知られている(特許文献2参照。)。しかし、フラーレンの分散粒子径は200nmを超え、その10体積%の含有率において当該複合材料はPZTの圧電性を大きく下回り、かつほとんど広帯域化していない。

0013

この様な使用周波数の範囲が広域化する中、これらの特性をさらに改良すべく、高い要求がある。

0014

一方で、ハライド系層ペロブスカイト化合物について電界発光素子等に用いた例はこれまで知られているが(例えば、特許文献3参照。)、これらが圧電体として用いられることについて知られていない。

0015

特開2005−139064号公報
特開2000−272964号公報
特開2002−299063号公報

先行技術

0016

坂野久夫、「圧電セラミックスポリマー複合材料」、固体物理、日本、株式会社アグネ技術センター、1988年8月15日発行、23巻、8号、133−143頁
仲前一、平田嘉裕、溝淵弘文、橋本明、高田博史、「高分解能、広帯域複合圧電材料の開発」、エス・イー・アイ(SEIテクカルレビュー、日本、住友電気工業株式会社、2003年9月、163巻、48−52頁

発明が解決しようとする課題

0017

本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、センサー、アクチュエーター、超音波トランスデューサーなどに好適に用いることができる、広帯域かつ圧電特性が向上した圧電体を提供することである。

課題を解決するための手段

0018

本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。

0019

1.(a)下記一般式で表され、有機オニウム(G)と無機相(MX4)が層状に交互に積層した構造を有する、または、(b)平均粒径200nm以下の凝集粒子からなるグラフェン構造体ペロブスカイト構造体からなる複合体である、ことを特徴とする圧電体。

0020

一般式
G2MX4
前記一般式中、Gは有機オニウム、MはIV族元素および遷移金属のいずれかであり、XはCl、Br、Iのいずれかを表す。

0021

2.前記(a)の一般式において、前記有機オニウムが有機アンモニウム有機フォスフォニウム、有機スルフォニウム、有機オキソニウムのいずれかであることを特徴とする前記1に記載の圧電体。

0022

3.前記(a)の一般式において、前記Mが、Cd、Cu、Fe、Mn、Pd、Pbのいずれかであることを特徴とする前記1または2に記載の圧電体。

0023

4.前記(a)の積層した構造が、層状有機ペロブスカイトであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の圧電体。

0024

5.前記(b)のグラフェン構造体が直径60nm以下のカーボンナノチューブ、もしくはフラーレンであることを特徴とする前記1に記載の圧電体。

0025

6.前記(b)のペロブスカイト構造体が鉛を含有しており、単独、もしくは複数の化学式からなる化合物の固溶体、多結晶、もしくは単結晶であることを特徴とする前記1または5に記載の圧電体。

0026

7.前記(b)の複合体の体積抵抗率が103〜1012Ω・mであることを特徴とする前記1、5または6のいずれか1項に記載の圧電体。

0027

8.前記1〜7のいずれか1項に記載の圧電体を用いたことを特徴とする超音波トランスデューサー。

0028

9.前記8に記載の超音波トランスデューサーを用いたことを特徴とする医療用超音波診断装置。

0029

10.前記8に記載の超音波トランスデューサーを用いたことを特徴とする非破壊超音波検査装置。

発明の効果

0030

本発明の上記手段により、センサー、アクチュエーター、超音波トランスデューサーなどに適応可能な、広帯域かつ圧電特性が向上した圧電体を提供することができる。

図面の簡単な説明

0031

医療用超音波診断装置の主要部の機能を示すブロック図。
医療用超音波診断装置の外観構成図
非破壊超音波検査装置の一例である超音波膜厚計概念図。

0032

以下本発明を実施するための形態について詳細に説明する。

0033

本発明の第1の態様としての圧電体は、(a)MX4(MはIV族元素および遷移金属のいずれかであり、XはCl、Br、Iのいずれかを表す。)からなる理想的には無機立方晶と有機オニウム二分子(G2)が層状に交互に積層されている構造を特徴としている。前者の無機立方晶はマイナス二、またオニウム一分子あたりプラス一の価数を有し、お互いイオン結合により形成した積層構造長距離に亘って規則正しく保たれたペロブスカイト構造を有している。

0034

この構造体は1〜100MV/mの高電界中で分極することで、中心金属Mが正八面体頂点にある4つのXから変位することで分極し圧電性を発現する。

0035

この無機立方晶がオニウム塩と層状イオン結合を形成するためのMにおいて好ましい元素は、IV族元素、もしくは遷移金属であり、さらに好ましくはCd、Cu、Fe、Mn、Pd、Pbから選ばれたいずれかの元素である。XはCl、Br、Iなどのハロゲンに限定される。

0036

MがIV族元素、もしくは遷移金属であった場合、当該X(ハロゲン)と立方晶を形成し易く、またXが当該ハロゲンの場合、有機オニウムとイオン対を形成し、目的の有機層状ペロブスカイトを得ることが極めて容易である。

0037

分極の程度は主に有機オニウムの置換基の嵩高さとイオン強度に依存し、それらが嵩高く、かつイオン強度が強くなると高まり、高い圧電歪定数d33(d33は電極面に垂直(厚み方向)の伸び縮みを指す。厚み方向の変位はd33と電圧の積となる。)を発現させる。さらに、本発明の圧電体は有機オニウムに由来する低いQ特性(減衰が速い)から、帯域を向上させることができるため、本発明の圧電体はd33特性と広帯域性を同時に高めるために有用な構造を有している。広帯域性により、高次高調波に対する感度が高く高空間分解能を有する高感度なトランスデューサーを得ることができる。

0038

オニウムに好適な構造としては、CnH2n+1(n=2〜17)、ArCnH2n(Ar=フェニル縮合芳香環基複素環基、およびそれらの誘導体、n=1〜17)、ALCnH2n(AL=脂環式炭化水素基縮合脂環式炭化水素基、およびそれらの誘導体、n=1〜17)、エテニル結合やエチニル結合を有する重合性基とその誘導体の重合体などを側鎖とするアンモニウム、フォスフォニウム、スルフォニウム、およびオキソニウム等が挙げられる。

0039

本発明に好ましく用いられるオニウムの具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0040

1.トリオクチルメチルアンモニウム
2.トリフェニルn−ブチルフォスフォニウム
3.ビス(2−ビシクロ−2,2,1−ヘプチル)−3−p−トリルプロピルスルフォニウム
4.トリメチルオキソニウム
本発明の第2の態様としての圧電体は、(b)平均粒径200nm以下の凝集粒子からなるグラフェン構造体とペロブスカイト構造体の複合体からなる。グラフェンは純粋なペロブスカイトを伝達する音波散乱させ、Q値を低下させることに大きく寄与する。従って圧電性を発現する周波数帯域を広げることに効果的である。反面グラフェンは圧電特性を持たない物質であるが、その必要な量は10体積%以下、好ましくは0.5体積%以下、0.01体積%以上であるため、ペロブスカイトの有する圧電性を損なうことがほとんどない。グラフェンのこのような低含有量における広帯域化効果は、それぞれが格子ベル相互作用している必要があり、平均粒径200nmを超えるようなマクロ凝集体の複合化では、ほとんど効果がない。従って両者は200nm以下のサイズにおいて均一に混合された複合体でなければならない。このサイズではグラフェンのp電子がペロブスカイトのBサイトを構成する金属に配位し、わずかなグラフェン含有量でも効果的に上記の音波散乱を引き起こすことを見いだした。

0041

〈(b)複合体中のグラフェン構造体の凝集粒子の測定〉
本発明の圧電体は、平均粒径が200nm以下の凝集粒子からなるグラフェン構造体とペロブスカイト構造体の複合体であり、グラフェン構造体の凝集粒子の平均粒径の測定は分散型エックス線分光装置を備えた超低加速電圧走査電子顕微鏡、例えば、Zeiss社製ULTRA55によりで測定することができる。尚、本発明で言うグラフェン構造体の凝集粒子の平均粒径は、電子顕微鏡視野中の凝集粒子100個以上を選択し、球体換算した体積平均粒径で表す。

0042

この相互作用に効果的なグラフェン構造を有する物質として、C60、C70のようなフラーレン、単層カーボンナノチューブ、最外径が60nm以下の多層カーボンナノチューブ、および一部アモルファス相を有するグラファイトなどが挙げられる。これらのグラファイトは前述の如くペロブスカイトを構成する金属と配位するが、好ましくは鉛を含有するペロブスカイトと強く相互作用し、その効果は、グラフェンのより少ない含有量において広帯域化できるところに現れる。これらの好ましいペロブスカイトとして、PbTiO3,PbZrO3,Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,Pb(Zn1/3Nb2/3)O3,A2PbX4(Aはアンモニウム塩、Xはハロゲン)の単体、固溶体、さらにそれらの多結晶、および単結晶などが挙げられる。

0043

〈超音波トランスデューサーの製造〉
次に本発明の圧電体を用いた超音波トランスデューサーの製造について述べる。

0044

本圧電体は、放射する超音波に対して所望のビームフォームを得るべく、ダイアモンドカッターなど公知の加工機にて複数の圧電素子からなるアレイに加工することができる。各素子は、フレキシブルプリント基板にて電極が取り付けられ、コンピュータープログラムした超音波の送受信駆動により任意のビームフォーミングができる。さらに音響性能を適宜改良するために、本発明の圧電体に、超音波を吸収するバッキング材、超音波の反射を防ぐ整合材、さらには超音波ビーム焦点に集めるための音響レンズなどを積層し、層状構成物として用いることができる。この超音波トランスデューサーが水中、もしくは含水環境にて用いることができるように、パリレンなどの防水加工を施してもよい。このようにして得られた超音波トランスデューサーは例えば、医療用超音波診断装置や非破壊超音波検査装置などに好適に用いることができる。

0045

(圧電体の作製方法
本発明の圧電体は、上記(a)無機成分(MX4)と有機オニウム(G)を主たる構成成分として種々の方法で作製することができる。例えば、無機成分としてハロゲン化鉛を用いたとき、基本的には、有機オニウム塩化学量論量のハロゲン化鉛を溶媒中にて混合・反応させ、単離されたG2MX4の溶液を溶媒キャストスピンコート、もしくはディップコートなどの手法で所望の基板上に塗布し、その後溶媒を留去させることで本発明の圧電体の前駆体膜を得ることができる。

0046

上記の反応、もしくはコーティングに用いる溶媒は、例えば非プロトン性溶媒であるジメチルスルホキシドDMSO)、ジメチルホルムアミドDMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒テトラヒドロフランアセトンメチルエチルケトントルエンなどを挙げることができる。なお、上記で生成するG2MX4が所望の純度を有する場合は、単離せずに反応溶液を塗布し、成膜することもできる。有機オニウムが重合性基を有する場合は、所定の加熱、UV照射、もしくは放射線照射などにより重合させることができる。

0047

次に、もう一方の(b)平均粒径200nm以下の凝集粒子からなるグラフェン構造体とペロブスカイト構造体の複合体からなる圧電体の製造方法について述べる。

0048

グラフェンとしてフラーレンを用いる場合、そのナノサイズ体を得るためにトルエン溶液を用いることが好ましい。粒子径が5〜100nmに粉砕されたペロブスカイトを用いる場合は、そのアルコールスラリーをフラーレンのトルエン溶液と所望の含有量となるよう混合する。この溶液を基板にコーティングし、溶媒溜去後に、アルゴン雰囲気下にて1200℃にて焼成することで本発明の圧電体前駆体が得られる。

0049

さらに化学溶液法にて調製されるペロブスカイトを用いた場合、グラフェンとのナノサイズ複合化が容易にできる。

0050

以下PZTを用いた場合を例に具体的に説明する。具体的には、PZT(PbTiO3/PbZrO3の固溶体)を用いる場合、脱水された酢酸鉛溶液にチタンテトラアルコキサイドジルコニウムテトラアルコキサイドを加え、加熱・攪拌により縮重合させる。反応温度は50〜150℃、反応時間は1〜20時間であり、これらの条件は縮合度ができるだけ高くなるよう適宜調製される。得られた縮重合体溶液に前記のフラーレン溶液を所望量加え、さらに必要に応じてアルコール等の溶媒にて希釈し、均一溶液として後のコーティングによる成膜に適した粘度に調節する。この混合溶液スピンディップ、もしくは流延により基板上にコーティングし、室温にて2時間程度風乾する。基板上の残査を、空気中で70〜120℃にて1〜4時間、350℃にて30分焼成し、その後酸素濃度が5ppm以下のアルゴン雰囲気下で550℃にて1〜2時間、そして900〜1200℃にて4時間熱処理し、本発明の圧電体前駆体が得られる。

0051

カーボンナノチューブを用いる場合は上記と同様、粒子径が5〜100nmに粉砕されたペロブスカイトのアルコールスラリーと単層、もしくは多層カーボンナノチューブからなる分散体を用いる。この均一分散液を基板上にコーティングし、溶媒溜去後アルゴン雰囲気下1200℃にて焼成し、本発明の圧電体前駆体が得られる。

0052

カーボンナノチューブの分散が困難な場合、カーボンナノチューブに対して0.5質量%未満の量で界面活性剤などの分散剤を用いることができる。他法として、ペロブスカイトの粒子中にてカーボンナノチューブを生成させ、ナノレベルにおいて複合化させることができる。

0053

PZTを用いた場合の他の例を具体的に説明する。前述の如く化学溶液法にて調製された縮重合体溶液にフェロセンを所望量加え、均一溶液を得る。生成するカーボンナノチューブの量は、用いるフェロセン量に依存し、好ましくはペロブスカイト総量に対して0.2%未満となるように制御しなければならない。この溶液をタングステンカーバイド上にコーティングし、風乾後残査を空気中で70〜120℃にて1〜4時間、次いで900〜1200℃にて4時間熱処理する。その後、水素トルエン蒸気気流下、この熱処理生成物を1500〜1800℃に加熱しカーボンナノチューブを成長させた複合体を得る。次いでこの複合体を、1000℃以上、好ましくは2000℃以上、更に好ましくは3000℃以上にて0.5〜5分間、酸素濃度が5ppm以下の不活性ガス、例えばアルゴン雰囲気下で焼成処理し、本発明の圧電前駆体を得る。

0054

次に上記の方法により得られた前駆体膜を電場印加による分極処理することで、本発明の圧電体が得られる。電場強度は1〜100MV/m、温度は前駆体膜のガラス転移温度以上が好ましく、0〜250℃、好ましくは50〜200℃の範囲である。印加方法は、電極間静電場、もしくはコロナ放電のいずれをも適用することができる。

0055

従って、本発明に係る超音波振動子等の超音波トランスデューサーの製造方法としては、圧電体膜の両面に設置される電極の形成前、片側のみ電極形成後又は両側に電極形成後のいずれかで分極処理する態様であることが好ましい。また、当該分極処理が、電圧印加処理であることが好ましい。

0056

超音波を発生させるには、圧電体に電気刺激周期的に繰り返すと電流が発生する。高周波交流電流を流すとその変化にあわせて圧電体は伸び縮みを繰り返し、これにより周囲の空気の密度が周期的に変化して振動(=超音波)が発生する。逆にこの物質に超音波が当たり機械的な刺激(音響)を周期的に繰り返すと電流が発生する。トランスデューサーとはこのようにある刺激を電気刺激と変換する機能を持つ素子である。

0057

後述の超音波振動子は、従って超音波トランスデューサーであり、送信用受信用の超音波振動子を備えた超音波探触子、また単一の圧電体により送信用、受信用の振動子を構成する超音波探触子についても超音波トランスデューサーということができる。

0058

(基板)
本発明に係る有機圧電体膜の用途・使用方法等により基板の選択は異なる。本発明においては、ポリイミドポリアミドポリイミドアミドポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチルPMMA)、ポリカーボネート樹脂シクロオレフィンポリマーのようなプラスチック板又はフィルムを用いることができる。また、これらの素材の表面をアルミニウム、金、銅、マグネシウム珪素等で覆ったものでもよい。またアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素単体希土類ハロゲン化物の単結晶の板又はフィルムでもかまわない。また基板自体使用しないこともある。

0059

(超音波振動子)
本発明に係る超音波振動子は、本発明の圧電体を用いて形成した圧電膜を用いたことを特徴とする。なお、一般に、超音波振動子は膜状の圧電材料からなる層(又は膜)(「圧電膜」、「圧電体膜」、又は「圧電体層」ともいう。)を挟んで一対の電極を配設して構成され、複数の振動子を例えば1次元配列して超音波探触子が構成される。

0060

そして、複数の振動子が配列された長軸方向の所定数の振動子を開口として設定し、その開口に属する複数の振動子を駆動して被検体内計測部位に超音波ビームを収束させて照射すると共に、その口径に属する同じ振動子により被検体から発する超音波の反射エコー等を受信して電気信号に変換する機能を有している。

0061

〈電極〉
本発明に係る圧電体を用いた超音波振動子は、圧電体膜(層)の両面上又は片面上に電極を形成し、その圧電体膜を分極処理することによって作製されるものである。有機圧電体材料を使用した超音波振動子を作製する際には、分極処理を行う際に使用した前記第1面の電極をそのまま使用してもよい。当該電極は、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などを主体とした電極材料を用いて形成する。

0062

電極の形成に際しては、まず、チタン(Ti)やクロム(Cr)などの下地金属スパッタ法により0.02〜1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元素を主体とする金属及びそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、蒸着法その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する。これらの電極形成はスパッタ法以外でも微粉末金属粉末低融点ガラスを混合した導電ペーストスクリーン印刷ディッピング法溶射法で形成することもできる。

0063

さらに、圧電体膜の両面に形成した電極間に、所定の電圧を供給し、圧電体膜を分極することで圧電素子(超音波振動子)が得られる。

0064

(超音波探触子)
本発明に係る超音波探触子は、医療用超音波診断装置用、または非破壊超音波検査装置用探触子(プローブ)であり、本発明においては、超音波の送受信の両方をひとつの振動子で担うよう構成することが好ましい。本発明の圧電体を用い送信、受信両用の超音波振動子が構成される。

0065

本発明に係る上記圧電体を用いた超音波振動子は、広帯域であるため、超音波送信および受信を同時に行う超音波振動子とすることが好ましい。広帯域であることから高次高調波の分離がよく、感度が高めることができる。

0066

好ましい実施形態としては、圧電体材料を、支持体として電極層を設置したのち、その上に積層してよい。その際の膜厚は、探触子の設計上好ましい受信周波数帯域に合わせることが好ましく、実用的な医療用超音波診断装置および生体情報収集現実的な周波数帯から鑑みると、その膜厚は、10〜800μmであることが好ましい。

0067

なお、当該探触子には、バッキング層音響整合層、音響レンズなどを設けても良い。また、多数の圧電材料を有する振動子を2次元に並べた探触子とすることもできる。複数の2次元配列した探触子を順次走査して、画像化するスキャナーとして構成させることもできる。

0068

勿論、超音波探触子を、超音波送信用振動子超音波受信用振動子を備えた構成としても構わない。超音波探触子を構成する場合、超音波受信用振動子また、送信用振動子を分けて用いることもできる。

0069

その場合、本発明の圧電体にて超音波受信用振動子を構成することが好ましいが、超音波送信用振動子としては、公知の種々の無機圧電材料及び有機圧電材料を用いることができる。

0070

用いることができる無機圧電材料として、水晶ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ニオブ酸タンタルカリウム[K(Ta,Nb)O3]、チタン酸バリウム(BaTiO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、又はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸バリウムストロンチウムBST)等を用いることができる。尚、PZTはPb(Zr1−nTin)O3(0.47≦n≦1)が好ましい。

0071

また、有機圧電材料としては、例えば、フッ化ビニリデン等の高分子材料からなる有機圧電膜を用いることができる。厚み共振周波数における比誘電率が5〜50であることが好ましい。比誘電率の調整はCF2基、CN基のような極性官能基の数量、組成重合度等の調整、及び上記の分極処理によって行うことができる。

0072

また、有機圧電体膜は、複数の高分子材料を積層させた構成とすることもできる。この場合、積層する高分子材料としては、上記の高分子材料の他に下記の比誘電率の比較的低い高分子材料を併用することができる。

0073

なお、下記の例示において、括弧内の数値は、高分子材料(樹脂)の比誘電率を示す。

0074

例えば、メタクリル酸メチル樹脂(3.0)、アクリルニトリル樹脂(4.0)、アセテート樹脂(3.4)、アニリン樹脂(3.5)、アニリンホルムアルデヒド樹脂(4.0)、アミノアルキル樹脂(4.0)、アルキッド樹脂(5.0)、ナイロン−6−6(3.4)、エチレン樹脂(2.2)、エポキシ樹脂(2.5)、塩化ビニル樹脂(3.3)、塩化ビニリデン樹脂(3.0)、尿素ホルムアルデヒド樹脂(7.0)、ポリアセタール樹脂(3.6)、ポリウレタン(5.0)、ポリエステル樹脂(2.8)、ポリエチレン低圧)(2.3)、ポリエチレンテレフタレート(2.9)、ポリカーポネート樹脂(2.9)、メラミン樹脂(5.1)、メラミンホルムアルデヒド樹脂(8.0)、酢酸セルロース(3.2)、酢酸ビニル樹脂(2.7)、スチレン樹脂(2.3)、スチレンブタジエンゴム(3.0)、スチロール樹脂(2.4)、フッ化エチレン樹脂(2.0)等を用いることができる。

0075

(医療用超音波診断装置)
本発明に係る上記超音波探触子(トランスデューサー)は、種々の態様の超音波診断装置に用いることができる。例えば、図1及び図2に示すような医療用超音波診断装置において好適に使用することができる。

0076

図1は、本発明の実施形態の医療用超音波診断装置の主要部の機能を示すブロック図である。この医療用超音波診断装置は、患者などの被検体に対して超音波を送信し、被検体で反射した超音波をエコー信号として受信する圧電体振動子が配列されている超音波探触子(トランスデューサー)を備えている。また当該超音波探触子に電気信号を供給して超音波を発生させるとともに、当該超音波探触子の各圧電体振動子が受信したエコー信号を受信し、重畳された高調波成分フィルタにより分離する機能を備えた送受信回路と、送受信回路の送受信制御を行う送受信制御回路を備えている。

0077

更に、送受信回路が受信したエコー信号を被検体の超音波画像データに変換する画像データ変換回路を備えている。また当該画像データ変換回路によって変換された超音波画像データでモニタを制御して表示する表示制御回路と、医療用超音波診断装置全体の制御を行う制御回路を備えている。

0078

制御回路には、送受信制御回路、画像データ変換回路、表示制御回路が接続されており、制御回路はこれら各部の動作を制御している。そして、超音波探触子の各圧電体振動子に電気信号を印加して被検体に対して超音波を送信し、被検体内部で音響インピーダンス不整合によって生じる反射波をまた超音波探触子で受信する。

0079

上記のような超音波診断装置によれば、本発明の圧電特性及び耐熱性に優れかつ高周波・広帯域に適した超音波振動子(超音波トランスデューサー)の特徴を生かして、従来技術と比較して画質とその再現・安定性が向上した超音波像を得ることができる。

0080

図2は、医療用超音波診断装置の外観構成図である。

0081

(非破壊超音波検査装置)
非破壊超音波検査装置は、原理的には医療用超音波診断装置と同様の構成により、種々の態様の非破壊検査、例えば鉄骨等の材料の溶接部超音波探傷試験による亀裂の検出等、非破壊検査(製品検査)に用いることができる。

0082

また、図3に非破壊超音波検査装置の一例として、超音波膜厚計の例を示す。測定物(I)表面に接触媒質(M)として少量の液体を塗布した後、トランスデューサーを接触させ、ここから超音波を発信させ測定物の反対面から反射し戻ってきた時間(伝播時間)をもとに膜厚を算出する。材料により音速に差があるので、校正用試験片を準備し音速を調整することで、正確な厚さ測定を非破壊で行うことができる。

0083

以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。

0084

実施例1
4−(1−ナフチルブチルアミンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液に臭化水素酸滴下し、室温にて攪拌し得られた反応混合物にアセトンを加え、析出した有機アンモニウム塩(G1Br)を濾取により単離した。この有機アンモニウム塩のDMF溶液に化学量論量の臭化鉛(PbBr2)を加え、室温にて攪拌した。生成したG12PbBr4は十分な純度を有していたため、この反応混合物をガラス基板上にスピンコートし、真空下溶媒留去することで2μmの厚みで圧電体前駆体膜を成膜した。この膜は金電極により直流100Vを室温にて印加することで、d33が640pC/N、−6dB帯域幅が120%の圧電体が得られた。

0085

この圧電体を用いた超音波トランスデューサーを医療用超音波診断装置に接続し、ファントム走査したところ、送信超音波周波数6MHz、ターゲット深度16cmからのエコーを受信し0.1mmの空間分解能を有する画像を得た。

0086

実施例2
6−(2−ビシクロ−2,2,1−ヘプチル)−ヘキシルベンジルスルフォキサイドと3−p−トリルプロピルマグネシウムアイオダイドを2時間、エーテル中で還流しその後臭化水素酸を加えて得られたスルフォニウム塩(G2I:ビス(2−ビシクロ−2,2,1−ヘプチル)−(3−p−トリルプロピル)スルフォニウムアイオダイド)をジメチルスルフォキサイドに溶解し、そこに化学量論量のヨウ化鉛を加え、室温にて攪拌した。この反応液にアセトンを加え析出したG22PbI4のDMF溶液をガラス基板上に流延し、真空下溶媒留去することで10μmの厚みで圧電前駆体膜を成膜した。この膜は金電極により直流1kVを室温にて印加することで、d33が1040pC/N、−6dB帯域幅が105%の圧電体が得られた。

0087

この圧電体を用いた超音波トランスデューサーを医療用超音波診断装置に接続し、ファントムを走査したところ、送信超音波周波数18MHz、ターゲット深度4cmからのエコーを受信し0.06mmの空間分解能を有する画像を得た。

0088

実施例3
N−ビニルカルバゾールのジメチルホルムアミド(DMF)溶液にヨウ化水素酸を滴下し、室温にて攪拌し得られた反応混合物にメタノールを加え、析出した有機アンモニウム塩(G3)をろ取により単離した。この有機アンモニウム塩のDMF溶液に化学量論量のヨウ化カドミウムを加え、室温にて攪拌した。この反応液にアセトンを加え析出したG32CdI4のDMF溶液をガラス基板上にディップコートし、真空化溶媒留去することで20μmの厚みの圧電前駆体膜を成膜した。この前駆膜にアルゴン雰囲気下、高圧水銀灯にて紫外線を照射しその後、金電極により直流2kVを室温にて印加することで、d33が760pC/N、−6dB帯域幅が160%の圧電体が得られた。

0089

この圧電体を用いた超音波トランスデューサーを非破壊超音波検査装置に接続し、鉄骨を走査したところ、送信超音波周波数10MHz、深度4cmからの三次高調波(30MHz)に相当するエコーを受信し、0.2mmの亀裂が検出できた。

0090

実施例4
酢酸鉛・三水和物(3.8g)の2−メトキシエタノール(7.5ml)溶液を120℃にて12時間還流し、90℃まで冷却後、チタンテトライソプロポキサイド(2.2g)とジルコニウムテトラプロポキサイド(0.82g)を加え、140℃にて6時間還流した。この反応混合物に2−メトキシエタノール(50体積分率)と酢酸(50体積分率)の混合物(5ml)とC60(7.2mg)のトルエン(5ml)溶液を加え、80℃にて1時間攪拌した。この反応混合物をシリコン基板にディップコートし、室温にて2時間程度風乾した。基板上の残査を、空気中で70〜120℃にて4時間、350℃にて30分焼成し、その後酸素濃度が5ppm以下のアルゴン雰囲気下で550℃にて2時間、そして900〜1200℃にて4時間焼成処理し、シリコン基板上に成膜された厚み4μmの本発明の圧電体前駆体膜を得た。

0091

この膜に金電極を蒸着し、直流200Vを室温にて印加することで、d33が450pC/N、−6dB帯域幅が120%の本発明の圧電体が得られた。この圧電体を分散型エックス線分光装置を備えた超低加速電圧走査電子顕微鏡で観察したところ平均粒径30nmで、5〜40nmのサイズの揃った炭素が分散していた。この圧電体を用いた超音波トランスデューサーを医療用超音波診断装置に接続し、ファントムを走査したところ、送信超音波周波数6MHz、ターゲット深度16cmからのエコーを受信し0.1mmの空間分解能を有する画像を得た。

0092

実施例5
酢酸鉛・三水和物(11.4g)の2−メトキシエタノール(22.5ml)溶液を120℃にて12時間還流し、90℃まで冷却後、マグネシウムエトキサイド(0.38g)、ニオブ(V)エトキサイド(2.12g)、およびチタンテトライソプロポキサイド(4.4g)を加え、雰囲気アルゴン置換オートクレーブにて110℃にて16時間加熱・攪拌した。この反応混合物にフェロセン(5.6mg)のトルエン(5ml)溶液と2−メトキシエタノール(10ml)を加え、60℃にて1時間攪拌した。この反応混合物をタングステンカーバイド基板にスピンコートし、室温にて2時間程度風乾した。基板上の残査を、空気中で100℃にて3時間、次いで1050℃にて4時間熱処理した。その後、水素とトルエン蒸気の気流下、この熱処理生成物を1600℃に加熱しカーボンナノチューブを成長させ複合体を得た。次いでこの複合体を3000℃にて1分間、酸素濃度が5ppm以下のアルゴン雰囲気下で焼成処理し、タングステンカーバイド上に成膜された厚み10μmの本発明の圧電体前駆体膜を得た。

0093

この膜に金電極を蒸着し、直流500Vを室温にて印加することで、d33が1060pC/N、−6dB帯域幅が150%の本発明の圧電体が得られた。この圧電体を分散型エックス線分光装置を備えた超低加速電圧走査電子顕微鏡で観察したところ平均粒径が50nmで、20〜60nmのサイズの揃った炭素が分散していた。この圧電体を用いた超音波トランスデューサーを医療用超音波診断装置に接続し、ファントムを走査したところ、送信超音波周波数18MHz、ターゲット深度4cmからのエコーを受信し0.06mmの空間分解能を有する画像を得た。

0094

実施例6
Pb(Zn1/3Nb2/3)O3(6.4g)とPbTiO3(7.4g)の塊状混合物を50mlのトルエン(30ml)およびイソプロピルアルコール(20ml)の混合溶媒に分散させ、ボールミルにてスラリー上にした。このスラリーに平均直径45nm、平均長さ60μmの多層カーボンナノチューブ(2.7mg)とポリビニルブチラールポリビニルアルコールポリビニルアセテート共重合体(1mg、重量平均分子量:50000〜80000)のトルエン(10ml)溶液(1ml)を加え、攪拌した。この混合分散液を直径4μmの流出口を有するダイアモンドノズルより150MPaの圧力にて、噴出させ混合したペロブスカイトと多層カーボンナノチューブをさらに分散させた。分散液全量をこのダイアモンドノズルから噴出させることを10回繰り返し得た均一分散液をシリコン基板にディップコートし、溶媒溜去後アルゴン雰囲気下1200℃にて焼成し、厚み10μmの本発明の圧電体前駆体膜が得られた。この膜に空気雰囲気下、針電極アース間距離5cm、直流5kV印加によるコロナ放電により分極を施し、d33が940pC/N、−6dB帯域幅が130%の圧電体が得られた。この圧電体を分散型エックス線分光装置を備えた超低加速電圧走査電子顕微鏡で観察したところ平均粒径が200nmで、60〜240nmのサイズの揃った炭素が分散していた。この圧電体を用いた超音波トランスデューサーを非破壊超音波検査装置に接続し、鉄骨を走査したところ、送信超音波周波数10MHz、深度4cmからの三次高調波(30MHz)に相当するエコーを受信し、0.2mmの亀裂が検出できた。

0095

比較例1
1,4−ジアミノベンゼンキシリレンジイソシアネートから得られるポリ尿素、540mg、トリス(アクリロキシシアヌレート、3.9g、4−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2mg、およびDMF(46ml)の混合物を均一になるまで室温にて撹拌した。得られた溶液をスピンコートし、10Paの減圧下60℃にてDMFを溜去させることで、36μmの厚みの膜を得た。この膜を400%に延伸しながら高圧水銀灯にて0.8J(310nmにおいて)の光を照射し、厚みが14μmのフィルムを得た。その−6dB帯域幅は240%と比較的広かったものの、d33は5pC/Nであり圧電特性の低いものであった。

0096

この圧電体を用いた超音波トランスデューサーを医療用超音波診断装置に接続し、ファントムを走査したところ、送信超音波周波数6MHz、ターゲット深度16cmからのエコーを受信し2mmの空間分解能を有する画像を得た。

0097

比較例2
波長3Aのシンクロトロン放射光ポリメチルメタクリレート(PMMA)をレジストに用いた微細加工により25μm×25μm×250μmの角柱が平面上に50μmのピッチ整列しているNi金型を作製した。この金型溶融PMMAを圧延し、冷却後、この金型により凹凸成型されたPMMAを得た。この成型されたPMMAに粒子経が0.4μmのPZTを体積分率で60%含むポリビニルアルコールスラリーを圧延し、その後、酸素プラズマによるイオンエッチングにて当該PMMAを除去し、1200℃にて焼成した。生成した22mm×22mm×220mmのPZT角柱の整列構造体ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を圧延・硬化させ、目的の1−3コンポジットを得た。このコンポジットは140%の比較的広い−6dB帯域幅を有していたものの、d33は46pC/Nと低い圧電性を与え、純粋PZTの圧電性を大きく損なう結果であった。

0098

この圧電体を用いた超音波トランスデューサーを非破壊超音波検査装置に接続し、鉄骨を走査したところ、送信超音波周波数10MHz、深度4cmからのエコー受信信号を検出することができなかった。

0099

比較例3
ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド(10.93g)、チタンテトライソプロポキド(5.50g)、酢酸鉛三水和物(16.69g)および、イソプロピルアルコール(100ml)の均一分散物にC60の飽和トルエン溶液(150ml)、ジエタノールアミン(50ml)、及び酢酸(100ml)を加え、複合体前駆分散液を調製した。シリコン基板上にディップコートし、大気中にて50℃/分の昇温速度にて25℃より10分加熱し、その後525℃の定温にて10分加熱処理し、複合体膜を得た。このコンポジットは90%と狭い−6dB帯域幅を有しており、d33は46pC/Nと低い圧電性を与え、純粋PZTの圧電性を大きく下回る結果であった。この圧電体を分散型エックス線分光装置を備えた超低加速電圧走査電子顕微鏡で観察したところ平均粒径が350nmで、260〜3000nmのサイズの炭素が分散していた。この圧電体を用いた超音波トランスデューサーを医療用超音波診断装置に接続し、ファントムを走査したところ、送信超音波周波数4MHz、ターゲット深度10cmからのエコーを受信し4mmの荒い空間分解能を有する画像を得た。

実施例

0100

以上の各種実施例において得た本発明の圧電体は、それぞれの圧電定数d33と−6dB帯域幅の値さらには超音波トランスデューサーに利用した場合に観測される超音波エコー検出感度の高さと可使周波数帯域の広さから、上記比較例及び従来公知の圧電体より優れていることは明白である。したがって、本発明の圧電体は、センサー、アクチュエーター、超音波トランスデューサー、またそれを用いた医療用超音波診断装置や非破壊超音波検査装置などに好適に用いることができる。

0101

1音波
2電気信号
S医療用超音波診断装置
S1 医療用超音波診断装置の本体
S2 超音波探触子
S3操作入力
S4 表示部

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