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技術 はんだ粒子とその製造方法およびはんだペーストとその製造方法

出願人 株式会社東北テクノアーチ株式会社電子実装.com
発明者 田路和幸高橋英志田中武志
出願日 2010年4月5日 (10年8ヶ月経過) 出願番号 2011-508353
公開日 2012年10月18日 (8年2ヶ月経過) 公開番号 WO2010-116971
状態 特許登録済
技術分野 放射線を利用した材料分析 はんだ付・ろう付材料 その他の表面処理
主要キーワード d軌道 厚み低減 上澄み成分 金属フィン 基板金属 結晶格子間隔 エッチング回数 接着対象物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2012年10月18日)のものです。
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図面 (9)

課題・解決手段

はんだペーストは、接着対象物との濡れ性を高めるため、ハロゲンを含む活性剤を含有する。しかし、このハロゲンは人体への毒性が高く、またダイオキシン発生の原因ともなる。そこで、ハロゲンが無い若しくは著しく少ないはんだペーストが要望されている。そこで、表面に極微量のハロゲンを存在させたはんだ粉末粘着剤溶剤チクソトロピック剤などからなる活性剤を含まないフラックス組成物に混合してはんだペーストを作製する。このはんだペースト中のハロゲン量は極めて少ないが、接着対象物への濡れ性は十分に実用に耐える。

概要

背景

近年の電子部品微細化・高密度化に伴い、簡便に且つ高精度での実装を可能としたはんだペーストは、電子機器組み立て過程において無くてはならない技術として広く認知されている。

はんだペーストは、Snを主成分とするはんだインゴット溶融し、アトマイズ法遠心分離法といった方法で粒径数〜数十μm程度の粉体とし、分級後、松脂成分、チキソ剤溶剤等からなるフラックスを混合して作製される。

はんだの母体となるSn微粒子の表面は酸化皮膜で覆われている。その酸化物がはんだ形成時に残留すると、接触抵抗を生じ、基板金属との界面に存在した場合は剥離の原因となる。従って、はんだペーストを加熱溶融し、均質接着対象物に対する高い濡れ性を維持したはんだを形成するためには、加熱処理の段階ではんだ微粒子表面から、還元反応若しくは溶解反応により酸化皮膜を除去する必要がある。この様な理由から、はんだペーストには酸化皮膜の除去材としてフラックス中に松脂成分や活性剤が含まれている。中でもハロゲンを主成分とする活性剤は、その様な反応を進行させるための特に重要な成分であ
る。

活性剤にハロゲンを用いる点については、例えば特許文献1や2に開示がある。特に特許文献1では、保存中には分解せず、リフロー条件では分解してはんだの濡れ性を向上させるフラックス成分として、特定の有機ハロゲン化合物が有効である点が開示されている。

これらの有機ハロゲン化合物は、はんだペーストに対して、0.01wt%から2wt%の割合で添加されている。

概要

はんだペーストは、接着対象物との濡れ性を高めるため、ハロゲンを含む活性剤を含有する。しかし、このハロゲンは人体への毒性が高く、またダイオキシン発生の原因ともなる。そこで、ハロゲンが無い若しくは著しく少ないはんだペーストが要望されている。そこで、表面に極微量のハロゲンを存在させたはんだ粉末粘着剤、溶剤、チクソトロピック剤などからなる活性剤を含まないフラックス組成物に混合してはんだペーストを作製する。このはんだペースト中のハロゲン量は極めて少ないが、接着対象物への濡れ性は十分に実用に耐える。

目的

本発明では、上記の課題に鑑みて想到されたものであり、必要最小限のハロゲンだけを含んだはんだペーストを作成するために、微粒子表面の酸化皮膜を除去するのに必要な極少量のハロゲン種をはんだ粒子表面に存在させ、その様な粒子にハロゲンを含まないフラックス等の有機成分を配合することで調製されたはんだペーストを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

表面にハロゲン化物被覆されていることを特徴とするはんだ粒子であり、加速電圧10kV、電流10mA、3秒間のArエッチング後のX線光電子分光分析によって得られたXPSスペクトルにおいて、酸化物依存のピーク強度と金属依存のピーク強度の相対比率として金属/酸化物が1以上であることを特徴とするはんだ粒子。

請求項2

前記はんだ粒子は、Snを含む合金であって、加速電圧10kV、電流10mA、3秒間のArエッチング後のX線光電子分光分析によって得られたXPSスペクトルにおいて、Snの3d軌道の酸化物依存の486〜488eVに存在するピーク強度と金属Sn依存の484〜485.7eVに存在するピーク強度の相対比率としてSn金属Sn酸化物が1以上であることを特徴とする請求項1に記載されたはんだ粒子。

請求項3

前記はんだ粒子の平均粒径が3〜200μmであって、前記ハロゲン化物が前記はんだ粉末に対して10ppm以上、900ppm以下である請求項1または2のいずれかの請求項に記載されたはんだ粒子。

請求項4

前記はんだ粒子の平均粒径が25〜35μmであって、前記ハロゲン化物が前記はんだ粉末に対して30ppm以上、200ppm以下である請求項1または2のいずれかの請求項に記載されたはんだ粒子。

請求項5

前記ハロゲン化物は、前記はんだ粉末の表面上にSnハロゲン化物の形態で一層〜四層存在することを特徴とする請求項1または2のいずれかの請求項に記載されたはんだ粒子。

請求項6

前記ハロゲン化物は、前記はんだ粉末の表面上にSnハロゲン化物の形態で一層または二層である請求項5に記載されたはんだ粒子。

請求項7

前記ハロゲン化物は、前記はんだ粉末の表面上にハロゲン元素換算で、1x10−9〜1x10−8mol/cm2存在することを特徴とする請求項1または2のいずれかの請求項に記載されたはんだ粒子。

請求項8

前記ハロゲン化物のハロゲン元素としては、F、Cl、Br、Iから選択された1元素あるいは2元素以上の組み合わせからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つの請求項に記載されたはんだ粒子。

請求項9

非イオン性ハロゲン活性剤で処理する工程を含むことを特長とする請求項1乃至8のいずれか一つの請求項に記載されたはんだ粒子の製造方法。

請求項10

請求項1乃至7のいずれか一つの請求項に記載されたはんだ粒子と、フラックスからなるはんだペースト

請求項11

ハロゲン含有量が900ppm以下であることを特徴とする請求項10に記載のはんだペースト。

請求項12

請求項1乃至8のいずれか一つの請求項に記載されたはんだ粒子を得る工程と、前記はんだ粒子にフラックスを混合分散させる工程を含むはんだペーストの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、はんだ付けをする際に、接着対象物との間の濡れ性を向上させるためにはんだペーストに添加される活性剤ハロゲンを極めて少なくしたハロゲンフリーのはんだペーストに関する発明である。

背景技術

0002

近年の電子部品微細化・高密度化に伴い、簡便に且つ高精度での実装を可能としたはんだペーストは、電子機器組み立て過程において無くてはならない技術として広く認知されている。

0003

はんだペーストは、Snを主成分とするはんだインゴット溶融し、アトマイズ法遠心分離法といった方法で粒径数〜数十μm程度の粉体とし、分級後、松脂成分、チキソ剤溶剤等からなるフラックスを混合して作製される。

0004

はんだの母体となるSn微粒子の表面は酸化皮膜で覆われている。その酸化物がはんだ形成時に残留すると、接触抵抗を生じ、基板金属との界面に存在した場合は剥離の原因となる。従って、はんだペーストを加熱溶融し、均質で接着対象物に対する高い濡れ性を維持したはんだを形成するためには、加熱処理の段階ではんだ微粒子表面から、還元反応若しくは溶解反応により酸化皮膜を除去する必要がある。この様な理由から、はんだペーストには酸化皮膜の除去材としてフラックス中に松脂成分や活性剤が含まれている。中でもハロゲンを主成分とする活性剤は、その様な反応を進行させるための特に重要な成分であ
る。

0005

活性剤にハロゲンを用いる点については、例えば特許文献1や2に開示がある。特に特許文献1では、保存中には分解せず、リフロー条件では分解してはんだの濡れ性を向上させるフラックス成分として、特定の有機ハロゲン化合物が有効である点が開示されている。

0006

これらの有機ハロゲン化合物は、はんだペーストに対して、0.01wt%から2wt%の割合で添加されている。

先行技術

0007

特開平10−175093号公報
特開平10−128573号公報

発明が解決しようとする課題

0008

近年、環境汚染に対して世界的に関心が高まり、身の回りで使用されている製品に対しても高い安全性が求められるようになった。その一つとして、ダイオキシンが上げられる。ダイオキシンは、人体への毒性が非常に高いことが知られており、環境問題の一つとなっている。ダイオキシンは、ハロゲン化合物一種で、これらを燃焼する際に発生することがある。

0009

電子基板へのはんだ実装は、前述のようなハロゲン成分を含むはんだペーストを電子基板へ塗布し加熱する事で行われる。このように、はんだペーストを用いた基板にはハロゲン物が存在することとなり、これらを焼却する際、ダイオキシンが発生し、環境を悪化させることとなる。この様な観点から、近年では、ハロゲンを含有しない若しくは含有量が極めて低いはんだペースト(ハロゲンフリーはんだペースト)を開発することが求められている。

0010

しかしながら、はんだペースト中のハロゲン含有フラックス量を低減させるなど単純な方法でハロゲン含有量を低下させた場合、はんだの濡れ性が低下するなどはんだペーストとしての特性が著しく低減する。従って、ハロゲンフリーと特性の維持を両立できる技術開発が求められる。

課題を解決するための手段

0011

本発明では、上記の課題に鑑みて想到されたものであり、必要最小限のハロゲンだけを含んだはんだペーストを作成するために、微粒子表面の酸化皮膜を除去するのに必要な極少量のハロゲン種をはんだ粒子表面に存在させ、その様な粒子にハロゲンを含まないフラックス等の有機成分を配合することで調製されたはんだペーストを提供するものである。

0012

具体的に本発明は、ハロゲン化物を表面に存在させたはんだ粉末と、フラックスからなるはんだペーストを提供する。

0013

また、本発明は、
表面にハロゲン化物が被覆されていることを特徴とするはんだ粒子であり、加速電圧10kV、電流10mA、3秒間のArエッチング後のX線光電子分光分析によって得られたXPSスペクトルにおいて、酸化物依存のピーク強度と金属依存のピーク強度の相対比率として金属/酸化物が1以上であることを特徴とするはんだ粒子とその製造方法およびそのはんだ粒子を含むはんだペーストとそのはんだペーストの製造方法を提供する。

発明の効果

0014

本発明のはんだペーストは、ハロゲン化合物を酸化被膜となる表面に存在させたはんだ粉末をフラックスと混合させたもので、また、微量のハロゲン化合物ではんだ表面の酸化被膜を十分に除去させることができる。本発明ではハロゲン化合物の量ははんだ粉末に対してわずか200ppm以下であり、ほとんどハロゲン化合物のない(ハロゲンフリー)のはんだペーストを提供する。従って、本発明のはんだペーストは、接着対象物への濡れ性は良好であって、なおかつ人体への毒性が低く、またダイオキシンの発生も非常に少ないという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0015

各種濃度で処理を行ったはんだ粒子と、ハロゲン非含有フラックスから作成したはんだペーストの、加熱後残渣に含まれるハロゲン量測定結果を示すグラフである。
基板への実装結果を示す写真である。
未処理の原料粒子、及び750ppm, 1000ppm, 1500ppm, 2000ppm, 3000ppm, 5000ppmの濃度で処理を行った粒子のXPS測定結果を示すグラフである。
図3エッチング処理1回のものだけをまとめたグラフである。
各種濃度で処理を行ったはんだ粒子と、ハロゲン非含有フラックスから作成したはんだペーストの、加熱後残渣に含まれるハロゲン量の測定結果を示すグラフである。
電子基板への実装結果を示す写真である。
未使用の原料粒子図6(a)(上段)、及び、はんだペースト化し回収した処理済み粒子図6(b)(下段)のXPSによるスズの評価結果を示すグラフである。
はんだ粒子の表面写真である。
電子基板への実装結果を示す写真である。

0016

本発明のはんだペーストは、活性剤付きはんだ粉末と、フラックス組成物からなる。はんだ粉末は、Snを基本としてAg、Cu、Bi、Znなどの元素から作られる2元系、3元系、4元系の合金である。なお、合金には、その他の元素や微量添加元素を加えてもよい。

0017

はんだ粉末とは、これらの合金のインゴットを溶融し、アトマイズ法、遠心分離法といった方法で数μmから数十μmの大きさに粉末化したものである。

0018

活性剤は、臭素塩素といったハロゲン元素を有する有機酸アミンハロゲン化水素酸塩や、有機ハロゲン化合物を利用することができる。

0019

フラックス組成物は、粘着剤、溶剤、チクソトロピック剤等を成分とすることができる。粘着剤は、ロジン又は合成樹脂が好適に利用できる。ロジンは、天然ロジン、重合ロジン変性ロジンといったロジン類が利用できる。また、合成樹脂には、ポリエステルポリウレタンアクリル系樹脂等が利用できる。

0020

溶剤は、アルコールエーテルエステル芳香族系の溶剤が好適に利用できる。具体的には、ブタノールブチルセロソルブペンルアルコールエチルセロソルブブチルカルビトールキシレングリコール等を単独もしくは複数個を混合して利用できる。

0021

チクソトロピック剤としては、シリカ粒子カオリン粒子や、水添ヒマシ油アマイド化合物や等が好適に利用できる。なお、界面活性剤を添加してもよい。

0022

はんだ粉末の表面に活性剤を存在させるには、溶剤にハロゲン化合物を溶解させ、その中にはんだ粉末を浸漬させる。浸漬させる時間は、好ましくは3日以上であり、10日以上であればより好ましい。この浸漬処理によって、はんだの表面に活性剤が吸着することとなる。なお、途中で熱を加えることで、浸漬される時間を短くすることができる。浸漬後のはんだ粉末は溶剤から引きあげて乾燥させる。本発明に利用できるハロゲン化物は、ハロゲン元素であるF、Cl、Br、Iから選ばれた1元素を用いたものであるだけでなく、これらの元素から複数のハロゲン元素を利用した1または複数種類のハロゲン化合物であってもよい。

0023

ハロゲン化合を表面に吸着させられたはんだ粉末は、フラックス組成物と混合しプラネタリミキサーで分散させられる。はんだは金属としてはやわらかいので、粉末がつぶれてしまわないようにゆっくり分散を進めるためである。

0024

また、他の形態として、すでに作製されたはんだペーストを洗浄してハロゲンが表面に吸着したはんだ粉末を得ることができる。ハロゲン入りのはんだペーストは、経年変化が著しい場合が多く、低温暗所に規定量ずつ容器密閉されて保存される。従って、一度開封して使用した後に、余りがでるとそのまま廃棄される。

0025

このような廃はんだペーストは、ハロゲンが1wt%程度の濃度を有するフラックスにはんだ粉末が、長期間浸漬されている状態なので、はんだ粉末の表面には、ハロゲンが吸着されている。

0026

この廃はんだペーストを有機溶媒で洗浄し、ペースト中の有機物とはんだ粉末に分離する。利用できる有機溶媒には特に限定されないが、例えば、ベンゼントルエンヘキサンシクロヘキサンジエチルエーテルクロロホルム酢酸エチル酢酸メチル塩化メチレンテトラクロロエチレン石油エーテルシンナーガソリン軽油テトラヒドロフランアセトンアセトニトリルジメチルホルムアミドジメチルスルホキシドメタノールエタノールプロパノール酢酸ギ酸オレイン酸ステアリン酸イソプロピルアルコールヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、2エチルヘキシルグリコール、2エチルヘキシルジグリコール、フェニルグリコールフェニルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、メチルプロピレントリグリコールプロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレングリコール、ブチルプロピレンジグリコール、フェニルプロピレングリコール、ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、ジエチルジグリコール、ジブチルジグリコールジメチルプロピレンジグリコールターピネオールなどが挙げられる。

0027

これらの溶媒の中に廃はんだペーストを攪拌しながら投入する。なお、この際の攪拌にはラバーフィンなどの比較的やわらかい素材のフィンで攪拌するのがよい。硬い金属フィンだとはんだ粉末がつぶれてしまうからである。また、攪拌は超音波混合溶液に加えることでおこなってもよい。物理的な攪拌よりも表面に付着した有機物成分を効果的に洗い落とすことができる。

0028

次に混合液をはんだ粉末と不溶性物質溶解性物質と溶媒に分離する。具体的には、混合液を静置して、はんだ粉末を沈降させる。そして、沈降したはんだ粉末と、上澄み成分を分離する。上澄み成分は、溶解性物質が溶解した溶媒中に不溶性物質が浮かんだ状態のものである。

0029

混合工程と分離工程は、複数回ずつ行ってもよい。はんだ粉末の合金粒子表面には、フラックス成分が吸着しており、1度の洗浄では洗い取れない場合もあるからである。

0030

本実施例において、はんだの表面状態は、アルゴンによるスパッタエッチングとXPS(X−ray photoelectron spectroscopy:X線光電子分光)の組み合わせによりSnの3d軌道を分析することで行った。アルゴンによるスパッタおよびXPSの測定は共に10KV、10mAの条件で行った。

0031

また、処理溶液中および処理によりはんだ粒子の表面に付着したハロゲン量は電位自動滴定装置を用いて測定した。処理溶液の濃度は求めたハロゲン量から計算した。

0032

(実施例1)
非イオン性ハロゲン活性剤トリス(2.3−ジブロモプロピルイソシアヌレート)をヘキシルジグリコールに溶解し、30gのSn3.0Ag0.5Cu粒子を添加し、10日間静置した。処理温度は室温若しくは35℃とした。尚、非イオン性ハロゲン活性剤濃度は、Sn3.0Ag0.5Cu粒子に対して、750ppm,1000ppm,1500ppm,2000ppm,2500ppm,3000ppm,4000ppm,5000ppm,7500ppm及び15000ppmとなるように調製した。処理後、粒子はトルエンで十分洗浄し、乾燥した。なお、「Sn3.0Ag0.5Cu」は、モル比で3.0%のAgと0.5%のCuを有し、残りがSnである組成のはんだである。

0033

図1に、各種濃度で処理を行ったはんだ粒子と、ハロゲン非含有フラックスから作成したはんだペーストの、加熱後残渣に含まれるハロゲン量の測定結果を示す。横軸は処理溶液中のハロゲン含有非イオン性活性剤濃度(ppm)であり、縦軸は処理によりはんだ粒子表面上に添加されたハロゲン量(ppm)である。活性剤としてハロゲン非含有フラックスを用いている為、検出されるハロゲン量は、処理によりはんだ粒子表面上に添加されたハロゲン量を示唆するものである。

0034

750ppm〜1500ppmの濃度の非イオン性ハロゲン活性剤溶液で処理した場合、はんだ粒子表面には30〜50ppm程度のハロゲンが含まれていた。一方、2000ppmの濃度の非イオン性ハロゲン活性剤溶液で処理した場合、はんだ粒子中に含まれるハロゲン量は150〜160ppm程度に増加した。また、それ以上の濃度で処理を行った場合でも、はんだ粒子表面に存在するハロゲン量は変化せず、150〜200ppmの範囲で平衡状態であった。

0035

図2に、未処理の原料粒子、750ppm及び3000ppmの濃度のハロゲン含有非イオン性活性剤溶液で処理した粒子と、ハロゲン非含有フラックスを用いて作成したはんだペーストによる、電子基板への実装結果を示す。

0036

図2(a)は原料粒子の場合であり、図2(b)は750ppmで処理した場合であり、図2(c)は3000ppmで処理した場合である。原料粒子及び750ppmで処理した粒子(はんだ粒子には30〜50ppm程度のハロゲンを含有している)を用いた場合、矢印で示す円で囲んだ部分(矢印でも示した)に、加熱により溶解し流れ出した、はんだボール観測された。

0037

一方、3000ppmで処理した粒子(はんだ粒子自体には150〜200ppm程度のハロゲンを含有している)の場合、溶融したはんだが完全に一体化し、はんだボールは存在しなかった。濡れ性が悪いと、溶融したはんだは一体化できず、はんだボールが多く発生すると考えられる。したがって、ハロゲン3000ppmで処理した粒子を用いたペースとは、濡れ性等の特性が通常のはんだペーストより高く、はんだペーストとして効果的に作用できることが明らかとなった。

0038

ただし、750ppmで処理した場合であっても、原料粒子の場合より、はんだボールの発生が低減しているのがわかる。従って、750ppmの濃度の非イオン性ハロゲン活性剤溶液で処理された粒子も本発明の効果を奏するものである。なお、表1には図2(a)乃至(c)のはんだボールの発生数カウントした数字を示す。

0039

0040

図3に、未処理の原料粒子(a)、及び750ppm(b),1000ppm(c),1500ppm(d),2000ppm(e),5000ppm(f)の濃度で処理を行った粒子のXPS測定結果を示す。横軸は結合エネルギー(eV)をあらわし、縦軸は強度を示す。エッチングはArガスを用いて行い、試行回数1回につき3秒間のエッチングを行った。即ち、エッチング回数の増加と共に、粒子表面から粒子内部へと、深さ方向の情報が得られている。なお、エッチングの印加電圧および電流は上述のように10KV、10mAであった。図3(a)から(f)について試行は0回から7回まで行い、それぞれのグラフにおいて、各試行のプロファイルを縦に並べて表す。また、図3の(a)から(f)について、エッチング1回のプロファイルだけをまとめたものを図4に示す。

0041

図3(a)を参照して、未処理の原料粒子でエッチングを行わない場合は、酸化物のピーク(486乃至488eVのエネルギー帯)のみが観測され、エッチング回数の増加とともに酸化物のピークは減少し金属のピーク(484乃至485.7eVのエネルギー帯)が増加した。即ち、未処理の原料粒子表面は酸化物で覆われている。

0042

一方、750ppm〜5000ppmで処理を行った場合(図3(b)乃至(f))は、エッチング無しでも金属のピークが観測され、その強度は処理に用いた溶液の濃度の増加に伴って増加する傾向が観測された。図4を参照して、これらの試料の場合、1回のエッチング処理で金属のピークのみが明瞭に観測された。即ち、750ppm〜5000ppmの濃度の非イオン性ハロゲン活性剤溶液で処理を行った場合、10KV、10mAで3分の条件のアルゴンスパッタエッチングを1回行い、金属/酸化物の比率が1を超えれば、ハロゲンを表面に形成した効果があり、はんだ粒子の酸化皮膜の厚みが低減されていることが判る。

0043

処理によるハロゲン量の増加傾向を併せて考慮すると、1000ppmまでは主に酸化皮膜の厚み低減にフラックス成分は消費されていると考えられる。即ち、ハロゲンは酸化皮膜除去反応に消費される為、粒子表面には存在し得ない。

0044

一方、1500ppm以上の濃度(図3(d)乃至(f))になると、酸化皮膜除去反応に関与しなかったハロゲンが粒子表面に存在するようになる。本処理により酸化皮膜量は低下し、安定な状態を保てる量で一定化すると考えられる。従って、表面のハロゲン量も一定となると推察できる。

0045

スズハロゲン化物スズ酸化物のピーク位置は極めて近い。従って、2000ppm以上の濃度の場合に金属スズのピーク強度が低下する理由は、ハロゲン化物のピークが酸化物のピークに加算された為、相対的に金属スズのピーク強度が低下したものと推察することが出来る。

0046

次に、上記処理により得られた180ppmのハロゲンを含有するはんだ粒子を、有機溶媒(トルエン、アセトン、メタノール、ヘキサン、テトラヒドロフラン)で更に2回洗浄を行った。この再洗浄した粒子と、ハロゲン非含有フラックスからはんだペーストを作成した、加熱後残渣に含まれるハロゲン量の測定を行った結果を表2に示す。

0047

0048

Br含有フラックス表面吸着種としてはんだ粒子表面上に存在する場合、有機溶媒中に浸漬すると粒子表面と溶媒の間で平衡状態となり、その状態に依存して一部のBr含有フラックスが溶解し、粒子表面上のBr濃度は低下する。本実施例で用いたBr含有フラックスは上記の5種類の有機溶媒に可溶であるため、表面吸着種として存在する場合、2回の再洗浄を行うとその濃度は低下するはずである。しかしながら、トルエンによる再洗浄の結果から明らかなように、濃度は殆ど低下しない。即ち、本実施例で合成した試料では、はんだ粒子表面とBrが単純な表面吸着よりも強固な結合状態を有していることを示している。

0049

以上の結果から、低濃度ハロゲン含有非イオン性活性剤溶液を用いて金属粒子表面へハロゲンを添加した場合、処理済の粒子はハロゲンフリーはんだとしての特性を示すことが明らかとなった。なお、ここで、ハロゲンフリーとは、IPC規格で規定されたハロゲン非含有はんだのことであり、ハロゲン濃度が900ppm以下のものである。本発明のはんだ粒子は上記のようにハロゲンの濃度が900ppmである。

0050

(実施例2)
ハロゲン含有イオン性活性剤ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩)をヘキシルジグリコールに溶解し、30gのSn3.0Ag0.5Cu粒子を添加し、10日間静置した。処理温度は室温若しくは35℃とした。尚、ハロゲン含有イオン性活性剤濃度は、Sn3.0Ag0.5Cu粒子に対して、2000ppm、3000ppm、4000ppm、5000ppm及び15000ppmとなるように調整した。処理後、粒子はトルエンで十分洗浄し、乾燥して以降の分析に用いた。

0051

図5に、各種濃度で処理を行ったはんだ粒子と、ハロゲン非含有フラックスから作成したはんだペーストの、加熱後残渣に含まれるハロゲン量の測定結果を示す。横軸は処理溶液中のハロゲン含有非イオン性活性剤濃度(ppm)であり、縦軸は処理によりはんだ粒子表面上に添加されたハロゲン量(ppm)である。活性剤としてハロゲン非含有フラックスを用いている為、検出されるハロゲン量は、処理によりはんだ粒子表面上に添加されたハロゲン量を示唆するものである。

0052

処理液中のハロゲン含有イオン性活性剤濃度の増加と共に、はんだ粒子表面に付着したハロゲン量は増加した。しかし、粒子表面に付着するハロゲン量の割合は、ハロゲン含有非イオン性活性剤を用いた場合と比較して緩やかであった。飽和溶液以上の濃度となる15000ppmという条件では、はんだ粒子表面に付着したハロゲン量は約140ppmとなった。この場合、処理溶液が飽和している為、はんだ粒子に活性剤が付着し、はんだ粒子だけを取り出すには、十分な洗浄が必要となった。

0053

図6に、750ppm及び15000ppmの濃度のハロゲン含有イオン性活性剤溶液で処理した粒子と、ハロゲン非含有フラックスを用いて作成したはんだペーストによる、電子基板への実装結果を示す。図6(a)は750ppmの場合であり、図6(b)は15000ppmの場合である。原粒子は図2(a)で示したものである。はんだボールが観測された部分を矢印で示したのは、実施例1の場合と同じである。15000ppmの条件で処理を行った場合は、はんだボールは観測されず、はんだペーストとして必須の条件である濡れ性は満足できることが明らかとなった。

0054

以上の結果から、低濃度ハロゲン含有イオン性活性剤溶液を用いて金属粒子表面へのハロゲン添加した場合、処理済の粒子はハロゲンフリーはんだとしての特性を示すことが明らかとなった。但し、低濃度ハロゲン含有非イオン性活性剤溶液を用いた場合より、反応は緩慢であった。

0055

(実施例3)
次に、既に合成されたはんだペーストから回収したはんだ粒子を用いる場合の実施例について説明する。この様な系の場合、濃厚系であるため、金属粒子表面にはハロゲン種が吸着若しくは化合物として残留する。そこで、通常のはんだペースト調製法に従い、はんだペーストを調製し、それを溶剤で洗浄することで、金属粒子を回収した。

0056

図7に未使用の原料粒子図7(a)(上段)、及び、はんだペースト化し回収した処理済み粒子図7(b)(下段)のXPSによるスズの評価結果を示す。縦軸はスズ金属黒丸)とスズ酸化物(白丸)のピーク強度を示し、横軸はエッチング回数を示す。エッチングはArガスを用いて行い、試行回数1回につき5秒間のエッチングを行った。即ち、エッチング回数の増加と共に、粒子表面から粒子内部へと、深さ方向の情報が得られている。

0057

図7(a)の原料粒子の場合、エッチングを行っていない最表面は酸化物であり、エッチング回数の増加と共に酸化物強度は低下し金属の強度が増加した。尚、エッチング試行回数0回の場合と比較して、試行回数1回の場合に酸化物のピーク強度が増加していることは、エッチングにより表面吸着種(ガス等)が除去された為である。又、エッチング試行回数を増加させても酸化物種のピークが残留することは、粒子は球状であり表面からエッチングしても横部には酸化物層が必ず存在するためである。

0058

一方、図7(b)の処理済み粒子の場合、エッチング前の段階で既に金属のピークが観察され、エッチング試行回数1〜2回で表面には金属が露呈していた。尚、処理により粒子表面には吸着種が存在している為、エッチングを行っていない場合のピーク強度は原料のそれと比較して低い。また、1回のエッチングでピーク強度が著しく増加していることから、吸着種量は少なく、且つ表面にのみ存在していることがわかる。

0059

次に、処理済みの粒子とハロゲンを含まないフラックスを用いてはんだペーストを作成し、加熱し残渣中に含まれるハロゲン量(即ち処理済み粒子中に存在させたハロゲン量)を測定した。その結果、加熱残渣に含まれるハロゲン(臭素)量は130ppm〜180ppmの範囲であった。即ち、処理により、粒子表面に130ppm程度のハロゲンを存在させることができた。

0060

この粒子表面に存在する130ppmのハロゲンの存在量について説明する。上記のはんだ粒子は平均的に直径32μmの大きさがある。この1個のはんだ粒子の表面積Sおよび体積Vは、半径をrとすると、それぞれ4πr2(cm2)、4/3πr3(cm3)で表される。Sn3.0Ag0.5Cuの比重をρ(g/cm3)、1モル当たりの重量をξ(g/mol)とする。

0061

はんだ粒子1個当たりの重量はρV(g)であるので、はんだ粒子1個には、(ρV)/ξ(mol)の原子が存在する。このうち130ppm(0.0013at%)がハロゲン(臭素)であるとすると、はんだ粒子1個には、(ρV×0.00013)/ξ(mol)のハロゲン原子が存在する。このハロゲン原子ははんだ粒子の表面に存在しているのだから、単位面積あたりのハロゲン原子の数は、(ρV×0.00013)/(ξS)(mol)と求めることができる。

0062

ここで、r=1.6×10−3(cm)、ρ=7.359(g/cm3)、ξ=117.4097(g/mol)の値をそれぞれ入れると、130ppmのハロゲンが存在するということは、単位面積当たりに0.435×10−8(mol/cm2)のハロゲン原子が存在するということである。はんだ粒子表面のハロゲン量が200ppm超えることがなく、また、現実にははんだ粒子の大きさにもばらつきがあることを考慮すると、本発明のはんだ粒子の表面にはハロゲン元素換算で、1.0×10−9から1.0×10−8(mol/cm2)のハロゲン化物が存在するといえる。

0063

また、本発明のはんだ粒子の表面は、均一ではなく、凸凹が存在する。図8には、電子顕微鏡による本発明のはんだ粒子の写真を示す。写真は1800倍の写真であり、白線の長さが10μmである。粒子の表面は、凹凸が存在する。この凹凸は「ひけ」と呼ばれる現象で、この部分にはハロゲン化物は存在しにくい。従って、上記で求めたハロゲン化合物は、はんだ粒子の表面だけでなく、表面第1層目のハロゲン化合物の上に第2層目として存在する場合もある。

0064

図9に本手法を用いて作成したはんだペーストによる電子基板への実装の状況を示す。処理済み粒子とハロゲン非含有フラックスを用いて調整したはんだペーストから、はんだが基板に実装されており、はんだボールは全く観測されなかった。なお、原粒子は図2(a)で示したものである。すなわち、従来品と比較して濡れ性などの特性が向上していることがわかった。

0065

ここで、用いた粒子の組成と比重、結晶格子間隔等を考慮すると、粒子表面第一層中のスズと、表面に存在するハロゲン(臭素)の比率は、Sn:Br=1:2〜3となると算出される(比率は酸化物相結晶方位により変化する)。XPSの結果から、本処理により酸化物層の厚さが低減されている為、この様な少量のハロゲンでも機能が発現されたと考えられる。

実施例

0066

以上の結果から、通常の作成法に従って調製したはんだペーストを洗浄することで回収したはんだ粒子は、本発明のハロゲンフリーはんだとしての特性を示すことが明らかとなった。

0067

本発明は、ハロゲンフリーのはんだペーストに利用できるばかりでなく、はんだペーストをリサイクル際にも好適に利用することができる。

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