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課題・解決手段

車両電源失陥時における補助電源でのブレーキ制御時に、限られた電力を長持ちさせるように使用する。また、制動初期あるいは急制動が必要な場合の応答性を確保するブレーキ制御装置を提供する。本発明のブレーキ制御装置は、ブレーキペダル操作量電気信号で検出し、該電気信号から運転者要求制動力を算出して該要求制動力を発生させるブレーキ制御装置において、車両電源失陥時にブレーキ制御装置へ電力を供給する補助電源を有し、補助電源の充電量に応じて制御する。

概要

背景

近年、ブレーキペダル操作に基づいて、電気的な駆動力より制動力アシストする車両用ブレーキ制御装置が検討されている。これらのブレーキ制御装置車両電源から電力を供給することで動作しているので、車両電源が失陥した場合、動作不能となる。このような事態に備え、電気的に動作するブレーキ制御装置が動作不能になった場合、ブレーキペダルを踏む力が各車輪ブレーキ装置に伝達されて制動力となる機械的な構成を備えている。

しかしできるだけ電気的な駆動力を使用できるようにすることが望ましい。このような技術の一つが特開2004−17732号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1ではブレーキ制御装置の主電源が失陥した場合、補助電源から電力を供給する方法が開示されている。

概要

車両電源失陥時における補助電源でのブレーキ制御時に、限られた電力を長持ちさせるように使用する。また、制動初期あるいは急制動が必要な場合の応答性を確保するブレーキ制御装置を提供する。本発明のブレーキ制御装置は、ブレーキペダルの操作量電気信号で検出し、該電気信号から運転者要求制動力を算出して該要求制動力を発生させるブレーキ制御装置において、車両電源失陥時にブレーキ制御装置へ電力を供給する補助電源を有し、補助電源の充電量に応じて制御する。

目的

本発明の目的は、車両の搭載性を向上したブレーキ制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
5件

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請求項1

制動力を発生するための液圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダの液圧を制御するための電動モータと、主電源からの電力を受け前記電動モータを駆動する電流を発生する制御回路と、補助電源とを備え、前記制御回路はブレーキペダル操作量に基づき要求制動力を算出し、前記算出した要求制動力に基づき、前記電動モータを駆動するための電流を発生し、前記マスタシリンダが発生する液圧が前記要求制動力になるように前記電動モータを制御するブレーキ制御装置において、主電源に異常が生じた状態で前記制御回路は補助電源の電力を受け、さらに前記補助電源の供給可能電力量に基づき制動状態での前記電動モータを駆動するための電流を制御することを特徴とするブレーキ制御装置。

請求項2

請求項1に記載のブレーキ制御装置において、前記制御回路は、ブレーキペダルの操作量に基づき算出した要求制動力に従って前記電動モータを駆動するための電流を発生し、主電源に異常が生じた状態では、前記制御回路はブレーキペダルの操作量が前記操作量と同じ状態において、制動制御初期は電動モータを駆動するための電流を同じように発生し、制動制御の後期において、電動モータを駆動するための電流の大きさを主電源から供給される電力による制動制御に比べ小さくすることを特徴とするブレーキ制御装置。

請求項3

請求項1または請求項2に記載のブレーキ制御装置で、主電源に異常が生じた状態で前記制御回路は補助電源の電力を受けて制動制御を行う場合において、前記制御回路は、ブレーキペダルの操作状態から急ブレーキ状態かどうかを判断し、前記制御回路が急ブレーキ状態ではないと判断した場合に、主電源からの電力に基づいてブレーキ制御を行っているのと同じ状態でのブレーキペダルの操作に対して、電動モータを駆動するための電流の大きさを小さくすることを特徴とするブレーキ制御装置。

請求項4

請求項3に記載のブレーキ制御装置で、主電源に異常が生じた状態で前記制御回路は補助電源の電力を受けて制動制御を行う場合において、前記制御回路が急ブレーキ状態と判断した場合に、主電源からの電力に基づいてブレーキ制御を行っているのと同じ状態でのブレーキペダルの操作に対して、電動モータを駆動するための電流の大きさを略同じとすることを特徴とするブレーキ制御装置。

請求項5

請求項4に記載のブレーキ制御装置で、主電源に異常が生じた状態で前記制御回路は補助電源の電力を受けて制動制御を行う場合において、前記制御回路は、制動制御の動作に基づき低消費電力制御モード切替えることを特徴とするブレーキ制御装置。

請求項6

制動力を発生するための液圧を送出するマスタシリンダと、ブレーキペダルの操作量に基づき移動することで前記マスタシリンダの液圧を制御するインプットピストンと、前記インプットピストンと共に前記マスタシリンダの液圧を制御するアシストピストンと、前記アシストピストンを移動させるための電動モータと、主電源および補助電源からの電力を受ける電力端子をそれぞれ有し、ブレーキペダルの操作量に基づき前記電動モータを制御する制御回路と、を有し、前記制御回路は、前記ブレーキペダルの操作量に対して、前記主電源からの電力を受けて動作する場合に対して、前記補助電源からの電力を受けて動作する場合には前記電動モータの駆動電流が制限された状態で、前記電動モータが制御されることを特徴とするブレーキ制御装置。

請求項7

請求項6に記載のブレーキ制御装置において、前記制御回路は、前記ブレーキペダルの操作量に対するブレーキ制御の開始の状態では、前記主電源からの電力を受けて動作する場合に対して、前記補助電源からの電力を受けて動作する前記電動モータの駆動電流の制限を少なくし、前記ブレーキ制御の後半では、前記電動モータの駆動電流の制限を大きくして、前記電動モータを制御することを特徴とするブレーキ制御装置。

請求項8

請求項6に記載のブレーキ制御装置において、前記制御回路は、前記ブレーキペダルの操作量に対するブレーキ制御で、前記ブレーキペダルの操作量が大きい状態での、前記主電源からの電力を受けて動作する場合に対する前記補助電源からの電力を受けて動作する前記電動モータの駆動電流の減少幅より、前記ブレーキペダルの操作量が小さい状態での、前記主電源からの電力を受けて動作する場合に対する前記補助電源からの電力を受けて動作する前記電動モータの駆動電流の減少幅を大きくすることを特徴とするブレーキ制御装置。

請求項9

請求項6に記載のブレーキ制御装置で、主電源に異常が生じた状態で前記制御回路は補助電源の電力を受けて制動制御を行う場合において、前記制御回路は、制動制御の動作基づき低消費電力制御モードに切替えることを特徴とするブレーキ制御装置。

技術分野

0001

本発明は車両のブレーキ制御装置に関し、特に、ブレーキペダル操作量に基づいて制動力又はアシスト力を発生させる車両のブレーキ制御装置に関する。

背景技術

0002

近年、ブレーキペダル操作に基づいて、電気的な駆動力より制動力をアシストする車両用ブレーキ制御装置が検討されている。これらのブレーキ制御装置は車両電源から電力を供給することで動作しているので、車両電源が失陥した場合、動作不能となる。このような事態に備え、電気的に動作するブレーキ制御装置が動作不能になった場合、ブレーキペダルを踏む力が各車輪ブレーキ装置に伝達されて制動力となる機械的な構成を備えている。

0003

しかしできるだけ電気的な駆動力を使用できるようにすることが望ましい。このような技術の一つが特開2004−17732号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1ではブレーキ制御装置の主電源が失陥した場合、補助電源から電力を供給する方法が開示されている。

先行技術

0004

特開2004−17732号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ブレーキ制御装置の主電源が失陥した場合に補助電源からの電力供給切替えるシステムでは、補助電源が大きくなり、車両への搭載性に問題がある。

0006

本発明の目的は、車両の搭載性を向上したブレーキ制御装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明の課題を解決するための特徴の一つは次の構成である。

0008

制動力を発生するための液圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダの液圧を制御するための電動モータと、主電源からの電力を受け前記電動モータを駆動するための交流もしくは直流電流(以下「駆動電流」と呼ぶ。)を発生する制御回路と、補助電源とを備え、;前記制御回路はブレーキペダルの操作量に基づき要求制動力を算出し、前記算出した要求制動力に基づき、前記電動モータの駆動電流を発生し、前記マスタシリンダが発生する液圧が前記要求制動力になるように前記電動モータを制御するブレーキ制御装置において、;主電源に異常が生じた状態で前記制御回路は補助電源の電力を受け、さらに前記補助電源の供給可能電力量に基づき制動状態での前記電動モータの駆動電流を制御することを特徴とするブレーキ制御装置。

0009

本発明の課題を解決するための特徴の他の一つは次の構成である。

0010

制動力を発生するための液圧を送出するマスタシリンダと、ブレーキペダルの操作量に基づき移動することで前記マスタシリンダの液圧を制御するインプットピストンと、前記インプットピストンと共に前記マスタシリンダの液圧を制御するアシストピストンと、前記アシストピストンを移動させるための電動モータと、主電源および補助電源からの電力を受ける電力端子をそれぞれ有し、ブレーキペダルの操作量に基づき前記電動モータを制御する制御回路と、を有し;前記制御回路は、前記ブレーキペダルの操作量に対して、前記主電源からの電力を受けて動作する場合に対して、前記補助電源からの電力を受けて動作する場合には前記電動モータの駆動電流が制限された状態で、前記電動モータが制御されることを特徴とするブレーキ制御装置。

発明の効果

0011

本発明によれば、車両への搭載性が向上する効果がある。

0012

さらに前記課題の他に、以下の実施の形態では製品化において望まれる課題が色々解決されている。それは例えば安全性や信頼性の向上である。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施形態に係るブレーキ制御システムの全体構成を示す。
本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置のマスタ圧制御装置回路構成を示す。
本発明に係る制御モードの切替えロジックについてのフローチャートの一例を示す。
本発明に係るブレーキ制御装置の動作の一例を示すタイムチャート
本発明に係る制御モードの切替えロジックについてのフローチャートの一例を示す。
本発明に係る制御モードの電流制限方法の一例を示す。
本発明に係るブレーキ制御装置の動作の一例を示すタイムチャート。
本発明に係る制御モードの切替えロジックについてのフローチャートの一例を示す。
本発明に係るブレーキ制御装置の動作の一例を示すタイムチャート。

0014

以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。

0015

図1は、ブレーキ制御システムの全体構成を示すブロック図である。図で矢印付きの破線信号線であり、矢印の向きによって信号の流れを表している。ブレーキ制御システム1は、マスタシリンダ9の出力圧力であるマスタ圧を制御するための電動モータ20を備えたマスタ圧制御機構4と、前記マスタ圧制御機構4を電気的に制御するためのマスタ圧制御装置3と、ホイール圧制御機構6と、前記ホイール圧制御機構6を電気的に制御するためのホイール圧制御装置5と、インプットロッド7と、操作量検出装置8と、前記マスタシリンダ9と、リザーバタンク10と、補助電源12と、を有している。マスタシリンダ9の出力圧力を変化させるための第1の加減圧部はブレーキペダル100の操作に基づき移動するインプットロッド7と前記インプットロッド7のマスタシリンダ9側に設けられ、マスタシリンダ9のプライマリ液室42の圧力を制御するインプットピストン16とを有している。前記マスタシリンダ9の出力圧力を変化させるための第2の加減圧部は前記マスタ圧制御装置3とマスタ圧制御機構4と前記マスタ圧制御機構4により制御されるアシストピストン40を有している。なお、後述のとおり、前記インプットピストン16とアシストピストン40とは前記プライマリ液室42の液圧を制御するプライマリピストンとして作用する。

0016

マスタ圧制御装置3とホイール圧制御装置5とは双方向の通信を行っており、制御指令車両状態量共有している。車両の状態量とは、例えばヨーレート前後加速度横加速度やハンドル舵角車輪速車体速故障情報作動状態等、などを表す値あるいはデータである。

0017

ブレーキ制御を行うためのマスタ圧制御装置3は、車両に搭載されたバッテリである車両電源から供給される電力により動作し、操作量検出装置8の検出値であるブレーキ操作量に基づいて、電動モータ20を制御する。ここで車両電源とは、車両バッテリおよび車両発電機のことを示しており、従来の自動車の場合は、オルタネータとバッテリであり、ハイブリッド自動車もしくは電気自動車の場合は、高電圧電源から12V系もしくは24V系などの低電圧電源電圧変換するDC/DCコンバータ低電圧バッテリのことを示す。マスタ圧制御機構4は、マスタ圧制御装置3から出力されるモータ駆動電流に従って、アシストピストン40を押圧する機構であり、回転トルクを発生する電動モータ20、この電動モータの回転トルクを増幅する減速装置21と、回転運動直進運動との間の変換を行う回転−直動変換装置25とを備えている。

0018

ホイール圧制御装置5は、車両電源から供給される電力により動作し、各車輪がロックすることを防止する制御機能、車両の挙動乱れないように各車輪のホイールシリンダ圧を制御する機能などを有しており、車両状態量に基づいて各輪で発生させるべき目標ブレーキ力を算出し、この算出値に基づいてホイール圧制御機構6を制御する。前記ホイール圧制御機構6は、ホイール圧制御装置5の出力に従って、マスタシリンダ9で加圧された作動液を受け、各車輪に対して摩擦制動力を発生するための各ホイールシリンダ11a〜11dへ供給する作動液の圧を制御する。

0019

インプットロッド7はブレーキペダル100に連結され、その他端がプライマリ液室42に挿入されるインプットピストン16を駆動する。このような構成を採ることにより、運転者ブレーキ操作によってもマスタ圧を上昇することができるため、万一、電動モータ20が停止した場合にも、制動力を発生することができる。また、マスタ圧に応じた反力がインプットロッド7を介してブレーキペダル100に作用しブレーキペダル反力として運転者に伝達される。

0020

操作量検出装置8は、運転者のペダル操作量から要求ブレーキ力を検出するセンサを少なくとも1個以上備えた構成となっている。また、ここで使用するセンサとしては、ブレーキペダル100の移動角度もしくはインプットロッド7の移動量を検出する変位センサを用いるのが一般的であるが、ブレーキペダル100の踏力を検出する踏力センサを使用してもよいし、マスタシリンダ9内の液圧を検出するマスタ圧センサを使用してもよい。

0021

また、操作量検出装置8のセンサ構成として、変位センサ、踏力センサ、マスタ圧センサ等、異なる種類のセンサを少なくとも2個以上組み合わせた構成であってもよい。

0022

マスタシリンダ9は、アシストピストン40によって加圧されるプライマリ液室42と、セカンダリピストン41によって加圧されるセカンダリ液室43の二つの加圧室を有するタンデム型のものである。アシストピストン40およびインプットピストン16によって各加圧室で加圧された作動液は、マスタ配管102aや102bを経由してホイール圧制御機構6に供給される。リザーバタンク10は、図示しない隔壁によって仕切られた少なくとも二つの液室を有するものであり、各液室はマスタシリンダ9の各加圧室と連通可能に接続されている。

0023

ホイールシリンダ11a〜11dは、図示しないシリンダピストンパッド等から構成されており、ホイール圧制御機構6から供給された作動液によって前記ピストンが推進され、ピストンに連結されたパッドがディスクロータ101a〜101dに押圧され、摩擦制動力を発生する。ディスクロータは、車輪と一体に回転するため、ディスクロータに作用するブレーキトルクは、車輪と路面との間に作用するブレーキ力となる。なお、図示されたFL輪左前輪FR輪右前輪、RL輪は左後輪RR輪は右後輪を意味している。

0024

補助電源12は、電力を蓄電すると共に、車両電源が失陥した時に、マスタ圧制御装置3へ電力を供給することが可能であり、信頼性の観点からキャパシタを用いるのが適当である。また、小型のバッテリもしくは別系統の車両電源を用いてもよいが、いずれにしても補助電源12は、本来マスタ圧制御装置3に電力を供給する主電源と比べ供給できる電力量が少ない。

0025

次に、マスタ圧制御機構4の構成と動作について説明する。電動モータ20は、マスタ圧制御装置3で制御されるモータ駆動電流によって動作し、所望の回転トルクを発生する。電動モータ20としては、DCモータDCブラシレスモータ、ACモータ等を使用するのが適当であるが、制御性、静粛性、耐久性の点において、DCブラシレスモータが望ましい。電動モータには、例えばレゾルバなどの位置センサ図2回転角検出センサ205として示す)が備わっており、この信号がマスタ圧制御装置3に入力されるように構成されている。これにより、マスタ圧制御装置3は、上記位置センサの信号に基づいて電動モータ20の回転角すなわち回転量を算出することができ、これに基づいて回転−直動変換装置25の推進量、すなわちアシストピストン40の変位量を算出することができる。

0026

減速装置21は、電動モータ20の回転トルクを、減速比分だけ増幅させるものである。減速の方式としては、歯車減速、プーリ減速等が適当であるが、図1に示された例では、駆動側プーリ22と、従動側プーリ23と、ベルト24とからなるプーリ減速による方式を採用している。電動モータ20の回転トルクが十分に大きく、減速によるトルクの増幅が必要でない場合には、減速装置21を備えずに電動モータ20と回転−直動変換装置25とを直結することが可能である。これにより、減速装置の介在に起因して発生する信頼性、静粛性、搭載性等に係る諸問題を回避することができる。

0027

回転−直動変換装置25は、電動モータ20の回転動力直進方向動力に変換してアシストピストン40を押圧するものである。変換の機構としては、ラックピニオンボールネジ等を用いることが適当であるが、図示された例では、ボールネジによる方式を採用している。このボールネジによる方式では、ボールネジナット26の外側には、従動側プーリ23が嵌合されており、その回転によるボールネジナット26の回転によりボールネジ軸27が軸に沿って直線的に移動し、この推力によって可動部材28を介してアシストピストン40が押圧される。

0028

可動部材28には、片端が固定部に接続された戻しバネ29の一端が係合されており、ボールネジ軸27の推力と逆方向の力が可動部材を介してボールネジ軸27に作用するように構成されている。これにより、ブレーキ中、すなわちアシストピストン40が押圧されてマスタ圧が加圧されている状態において、電動モータ20が停止しボールネジ軸の戻し制御が不能となった場合にも、戻しバネ29の反力によってボールネジ軸27が初期位置に戻されてマスタ圧が概ね付近まで低下するので、ブレーキ力の引きずりに起因して車両挙動が不安定になることが回避される。

0029

次に、インプットロッド7の推力の増幅について説明する。実施形態1では、運転者のブレーキ操作によるインプットロッド7を介したインプットピストン16の変位量に応じてアシストピストン40を変位させることにより、インプットロッド7の推力にアシストピストン40の推力が加算されるため、インプットロッド7の推力が増幅される形でプライマリ液室42が加圧される。その増幅比(以下「倍力比」と呼ぶ。)は、インプットロッド7とアシストピストン40の変位量の比、インプットピストン16とアシストピストン40の断面積の比等によって任意の値に決定される。

0030

特に、インプットロッドの変位量と同量だけアシストピストン40を変位させる場合、インプットピストン16の断面積を「AIP」とし、アシストピストン40の断面積を「AAP」とすると、倍力比は、(AIP+AAP)/AIPとして一意に定まる。すなわち、必要な倍力比に基づいて、AIPとAAPを設定し、その変位量がインプットピストン16の変位量に等しくなるようにアシストピストン40を制御することで、常に一定の倍力比を得ることができる。なお、アシストピストン40の変位量は、図示しない位置センサの信号に基づいてマスタ圧制御装置3によって算出される。

0031

次に、倍力可変機能を実施する際の処理について説明する。倍力可変制御処理は、インプットピストン16の変位量に比例ゲイン(K1)を乗じた量だけアシストピストン40を変位させる制御処理である。なお、K1は、制御性の点からは1であることが望ましいが、緊急ブレーキ等により運転者のブレーキ操作量を超える大きなブレーキ力が必要な場合には、一時的に1を超える値に変更することができる。これにより、同量のブレーキ操作量でも、マスタ圧を通常時(K1=1の場合)に比べて引き上げられるため、より大きなブレーキ力を発生させることができる。ここで、緊急ブレーキの判定は、例えば、操作量検出装置8の信号の時間変化率所定値を上回るか否かで判定することができる。

0032

以上述べたとおり、倍力可変制御処理によれば、運転者のブレーキ要求に従うインプットロッド7の変位量に応じてマスタ圧が増減圧されるため、運転者の要求通りのブレーキ力を発生させることができる。また、K1を1未満の値に変更することで、ハイブリッド車において、液圧ブレーキ回生ブレーキ力分だけ減圧する回生協調ブレーキ制御に適用することも可能である。

0033

次に、自動ブレーキ機能を実施する際の処理について説明する。自動ブレーキ制御処理は、マスタシリンダ9の作動圧自動ブレーキ要求液圧(以下「自動ブレーキ要求液圧という。」に調節するようにアシストピストン40を前進又は後退させる処理である。この場合のアシストピストン40の制御方法としては、テーブルに記憶された事前に取得したアシストピストン40の変位量とマスタ圧との関係に基づいて、自動ブレーキ要求液圧を実現するアシストピストン40の変位量を抽出して目標値とする方法、マスタ圧センサ57で検出されたマスタ圧をフィードバックする方法等があるが、いずれの方法を採っても構わない。なお、自動ブレーキ要求液圧は、外部ユニットから受信することが可能であり、例えば車両追従制御車線逸脱回避制御障害物回避制御等でのブレーキ制御に適用可能である。

0034

次に、ホイール圧制御機構6の構成と動作について説明する。ホイール圧制御機構6は、マスタシリンダ9で加圧された作動液を各ホイールシリンダ11a〜11dへ供給するのを制御するゲートOUT弁50a、50b、マスタシリンダ9で加圧された作動液をポンプへの供給するのを制御するゲートIN弁51a、51b、マスタシリンダ9又はポンプから各ホイールシリンダへ作動液を供給するのを制御するIN弁52a〜52d、ホイールシリンダ11a〜11dを減圧制御するOUT弁53a〜53d、マスタシリンダ9で生成された作動圧を昇圧するポンプ54a、54b、ポンプを駆動するモータ55、マスタ圧を検出するマスタ圧センサ56を有する。なお、ホイール圧制御機構6としては、アンチロックブレーキ制御用の液圧制御ユニット、車両挙動安定化制御用の液圧制御ユニット等が適当である。

0035

ホイール圧制御機構6は、プライマリ液室42から作動液の供給を受け、FL輪とRR輪のブレーキ力を制御する第1のブレーキ系統と、セカンダリ液室43から作動液の供給を受け、FR輪とRL輪のブレーキ力を制御する第2のブレーキ系統の二つの系統から構成されている。このような構成を採ることにより、一方のブレーキ系統が失陥した場合にも、正常な他方のブレーキ系統によって対角2輪分のブレーキ力を確保できるので、車両の挙動が安定に保たれる。

0036

ゲートOUT弁50a、50bは、マスタシリンダ9とIN弁52a〜52dとの間に備えられ、マスタシリンダで加圧された作動液をホイールシリンダ11a〜11dに供給する際に開弁される。ゲートIN弁51a、51bは、マスタシリンダ9とポンプ54a、54bとの間に備えられ、マスタシリンダで加圧された作動液をポンプで昇圧してホイールシリンダに供給する際に開弁される。

0037

IN弁52a〜52dは、ホイールシリンダ11a〜11dの上流に備えられ、マスタシリンダ9又はポンプで加圧された作動液をホイールシリンダ11a〜11dに供給する際に開弁される。OUT弁53a〜53dは、ホイールシリンダの下流に備えられ、ホイール圧を減圧する際に開弁される。なお、ゲートOUT弁、ゲートIN弁、IN弁、OUT弁は、いずれもソレノイド(図示省略)への通電によって弁の開閉が行われる電磁式であり、ホイール圧制御装置5が行う電流制御によって各弁の開閉量を独立に調節できるものである。

0038

実施形態1では、ゲートOUT弁50a、50bとIN弁52a〜52dが常開弁、ゲートIN弁51a、51bとOUT弁53a〜53dが常閉弁である。このような構成を採ることにより、故障時に弁への電力供給が停止した場合にも、ゲートIN弁とOUT弁が閉じ、ゲートOUT弁とIN弁が開いて、マスタシリンダ9で加圧された作動液が全てのホイールシリンダ11a〜11dに到達するので、運転者の要求通りのブレーキ力を発生させることができる。

0039

ポンプ54a、54bは、例えば車両挙動安定化制御、自動ブレーキ等を行うために、マスタシリンダ9の作動圧を超える圧力が必要な場合に、マスタ圧を昇圧してホイールシリンダ11a〜11dに供給する。ポンプとしては、プランジャポンプトロコイドポンプギヤポンプ等の使用が適当である。

0040

モータ55は、ホイール圧制御装置5の制御指令に基づいて供給される電力により動作してモータに連結されたポンプ54a、54bを駆動する。モータとしては、DCモータ、DCブラシレスモータ、ACモータ等の使用が適当である。

0041

マスタ圧センサ56は、セカンダリ側のマスタ配管102bの下流に備えられており、マスタ圧を検出する圧力センサである。マスタ圧センサ56の個数及び設置位置については、制御性、フェイルセーフ等を考慮して任意に決定することができる。

0042

以上、ホイール圧制御機構6の構成と動作について説明したが、マスタ圧制御装置3の故障の際には、ホイール圧制御装置6は、マスタ圧センサ56で検知する作動液圧により、運転者のブレーキ操作量を検出し、この検出値に応じたホイール圧を発生させるようにポンプ54a、54b等を制御することができる。

0043

図2は、図1に示されたマスタ圧制御装置3の回路構成の一例を示す。マスタ圧制御装置3の回路は、図2において太線枠201で示されており、マスタ圧制御機構4の電気部品電気回路は、点線枠202で示されている。太線枠5は、ホイール圧制御装置5を示す。また、点線枠208は、操作量検出装置8のセンサを示しており、図2に示された例では、2個の変位センサを備えた構成としているが、少なくとも1個以上備えた構成であればよい。ここで用いるセンサを、踏力センサもしくはマスタ圧センサとしてもよいし、異なるセンサを少なくとも2個以上組み合わせた構成としてもよい。

0044

まず、太線枠201で囲まれた電気回路は、車両電源ラインからECU電源リレー214を介して供給される電力が5V電源回路215(以下第1電源回路215と記す)と5V電源回路216(以下第2電源回路215と記す)に入力されるようになっている。ECU電源リレー214は、起動信号CAN通信I/F218でCAN受信により生成する起動信号のいずれか一つによりオンする構成となっており、起動信号は、ドアスイッチ信号、ブレーキスイッチIGNスイッチ信号等を使用することができ、複数使用する場合は、マスタ圧制御装置3に全て取り込み、複数信号のいずれか一つのスイッチがオンした時に、起動信号がECU電源リレー214をオンする側に作動する回路構成とする。また、車両電源が失陥した時には、補助電源12から補助電源リレー236を介して供給される電力が第1電源回路215と第2電源回路216に供給できるようになっている。第1電源回路215によって得られる安定した電源VCC1)は、中央制御回路(CPU)211に供給される。第2電源回路216によって得られる安定した電源(VCC2)は監視用制御回路219に供給される。

0045

フェイルセーフリレー回路213は、車両電源ラインから三相モータ駆動回路222に供給する電力を遮断できるようになっており、CPU211と監視用制御回路219によって、三相モータ駆動回路222への電力の供給と遮断を制御できるようになっている。
また、車両電源が失陥した時には、補助電源12から補助電源リレー235を介して三相モータ駆動回路222に電力を供給できるようになっている。外部から供給される電力は、フィルタ回路212を介することによってノイズが除去され、三相モータ駆動回路222に供給される。

0046

ここで、車両電源が失陥した時に、補助電源12からの電力供給に切替える方法について説明する。ここでいう車両電源の失陥とは、車両バッテリの故障、車両発電機の故障、そしてハイブリッド自動車、電気自動車の場合は、モータジェネレータの故障、高電圧バッテリの故障、DC/DCコンバータの故障、低電圧バッテリの故障等により、車両電源が車両に搭載されている電気機器および電子制御装置へ電力を供給できなくなることを意味する。

0047

まず、車両電源失陥の検出は、車両電源からの電力供給ライン電圧モニタし、モニタ電圧が所定値以下になった場合に電源の失陥と判断する。こうして車両電源の失陥を検出した時に、正常状態ではオフしている補助電源リレー235と236をオンする。これにより、補助電源12から電力を供給することが可能となる。また、車両電源の失陥を検出して補助電源リレー235と236をオンする時に、ECU電源リレー214とフェイルセーフリレー回路213をオフした方が望ましい。もし、車両電源の失陥の原因が車両電源系のどこかが車体などのGNDへの短絡故障であった場合、短絡箇所より上流のヒューズ溶断するまで、補助電源12の電力を消費してしまうからである。また、ECU電源リレー214とフェイルセーフリレー回路213の上流か下流のいずれかに、アノードを車両電源側にしてダイオードを入れるような回路構成としてもよい。

0048

CPU211には、CAN通信I/F回路218を介してマスタ圧制御装置3の外部からの車両情報と自動ブレーキ要求液圧等の制御信号が入力されるようになっていると共に、マスタ圧制御機構4の側に配置された回転角検出センサ205、モータ温度センサ206、変位センサ8a、8b、マスタシリンダ圧センサ57からの出力が、それぞれ回転角検出センサI/F回路225、モータ温度センサI/F回路226、変位センサI/F回路227、228、マスタシリンダ圧センサI/F回路229を介して入力されるようになっている。

0049

CPU211には、外部装置からの制御信号と現時点における各センサの検出値等が入力され、これらに基づいて三相モータ駆動回路222に適切な信号を出力して、マスタ圧制御装置4を制御する。三相モータ駆動回路222は、マスタ圧制御機構4内の電動モータ20にその出力端が接続され、CPU211により制御され、直流電力交流電力に変換し、電動モータ20を駆動する。この場合、三相モータ駆動回路222の三相出力各相には、相電流モニタ回路223と相電圧モニタ回路224が具備されており、これらの回路223、224によって、それぞれ相電流及び相電圧が監視され、これらの情報により、CPU211は、マスタ圧制御機構4内の電動モータ20を適切に動作させるように、三相モータ駆動回路222を制御する。そして、相電圧モニタ回路でのモニタ値正常範囲外となった場合、制御指令どおりに制御できていない場合等には、故障と判断されるようになっている。

0050

マスタ圧制御装置3の回路201内には、例えば故障情報等が格納されたEEPROMからなる記憶回路230が備えられ、CPU211との間で信号の送受がなされる。CPU211は、検出した故障情報と、マスタ圧制御機構4の制御で用いる学習値、例えば制御ゲイン、各種センサオフセット値、等を記憶回路230に記憶させる。また、マスタ圧制御装置3の回路201内には、監視用制御回路219が備えられ、CPU211との間で信号の送受がなされる。監視用制御回路219は、CPU211の故障、VCC1電圧等を監視している。そして、CPU211、VCC1電圧等の異常を検出した場合は、速やかにフェイルセーフリレー回路213を動作させ、三相モータ駆動回路222への電源供給を遮断する。監視用制御回路219とVCC2電圧の監視はCPU211で行う。

0051

本実施例では、補助電源リレー235と236をマスタ圧制御装置3内に実装し、マスタ圧制御装置3内部で車両電源からの電力供給と補助電源12からの電力供給とを切替える構成としているが、車両側電源制御装置で車両電源からの電力供給と補助電源12からの電力供給とを切替える構成とし、マスタ圧制御装置3のへの電力供給ラインは、図2の車両電源からのみとすることもできる。

0052

以上、説明した第1の実施形態のブレーキ制御システム1について、その動作、特に制御モードの切替えと作用について、以下、説明する。図3は、制御モードの切替えロジックについてのフローチャートの一例を示す。ステップS11において、車両電源の状態をモニタする。そして、ステップS12で車両電源が失陥しているか否かの判断を行う。車両電源の状態をモニタして車両電源が失陥しているか否かの判断を行う方法として、車両電源からの電力供給ラインの電圧をモニタし、モニタ電圧が所定値以下の場合、車両電源が失陥していると判断する。ただし、車両電源からの電力供給ラインを1系統のみモニタする場合、モニタしているラインの断線およびモニタ回路の故障の場合も車両電源が失陥していると判断する可能性がある。そこで、車両電源からの電力供給ラインを2系統、図2の回路構成の場合、ECU電源リレー214とフェイルセーフリレー回路213の2系統の車両電源からの電力供給ラインの電圧をモニタして、両方のモニタ電圧が所定値以下の場合に車両電源が失陥していると判断した方が、車両電源の失陥を特定し易い。また、車両電源からの電力供給ラインの地絡故障を区別する場合、車両電源からの電力供給ラインの電流をモニタし、車両電源側に大電流が流れる場合を電力供給ラインの地絡故障と判断して区別してもよい。

0053

ステップS12で車両電源が失陥していないと判断された場合、すなわち車両電源が正常であり、車両電源から電力を供給していると判断された場合には、ステップS32の通常制御モードとなる。

0054

ステップS32の通常制御モードでは、従来どおりのマスタ圧制御装置3の機能を継続し、ブレーキ操作量検出装置8で検出したブレーキ操作量に基づいて算出した運転者の要求制動力を発生させるように電動モータ20の駆動電流を制御する。

0055

ステップS12で車両電源が失陥したと判断された場合には、ステップS13で補助電源12からの電力供給に切替える。車両電源の失陥を検出して補助電源12からの電力供給に切替える方法は、図2の回路構成の場合、オフしている補助電源リレー235と236をオンすることで、補助電源12から電力を供給することができる。また、車両電源の失陥を検出して補助電源リレー235と236をオンする時(直前)に、ECU電源リレー214とフェイルセーフリレー回路213をオフした方が望ましい。もし、車両電源系のどこかが地絡故障している場合、地絡箇所上流の車両ヒューズが溶断するまで、補助電源12の電力を消費してしまうからである。ステップS13で補助電源12からの電力供給に切替えたら、ステップS31で低消費電力制御モード移行する。

0056

ステップS31の低消費電力制御モードでは、電動モータ20の駆動電流を制限する。ここで電動モータ20の駆動電流の制限値は、例えば、所定の制動力が確保される範囲で通常制御モードより小さな値に設定する。このように電動モータ20の駆動電流を制限することにより、車両電源失陥時のバックアップブレーキ機能として、電動モータ20の駆動力により発生させる最大液圧は正常時より劣るが、補助電源12からの電力供給を持続させることができる。

0057

また、低消費電力制御モードとして、目標制動力もしくは目標液圧を制限する方法を用いることもできる。しかし、この場合、車両電源失陥時のバックアップブレーキ機能として、電動モータ20の駆動力により発生させる最大液圧を正常より小さくすることにより、消費電流を少なくするので、目標制動力もしくは目標液圧に達するまでに使用する電動モータ20を加速するために使用する消費電流を抑制することができない。これに比べて、電動モータ20の駆動電流を制限する方法を用いた場合は、電動モータ20を加速するために使用する消費電流を抑制することができるため、目標制動力もしくは目標液圧に到達する時間は遅くなるが、より少ない消費電力で電動モータ20の駆動力により発生させる最大液圧を大きくすることができる。

0058

以上のように、低消費電力制御モードについて説明したが、図1で説明したマスタ圧制御装置3およびマスタ圧制御機構4の場合、運転者がブレーキペダル100を踏む操作量に応じて発生する、電動モータ20の駆動力によりマスタシリンダ9を加圧する力を補助するためのアシスト力が制限されるだけであり、運転者がブレーキペダル100を踏む力なりにマスタシリンダ液圧および制動力を増加させることができる。

0059

図4に車両電源が失陥した場合の補助電源12での電力供給時の制御として、低消費電力制御モードを実施した場合のタイミングチャートの一例を示す。

0060

時刻t0までは、一定の車速走行中であり、時刻t0からブレーキペダル操作を開始し、時刻t1からブレーキペダル操作を一定に保持する。このブレーキペダル操作に応じて要求制動力が算出される。この時点では車両電源が正常なため、通常制御モードで制御が行われるため、少ない応答遅れで要求制動力に対して実制動力が発生し、時刻t2で実制動力が一定に保持される。時刻t3で制動を止めるために、ブレーキペダルを戻すとブレーキペダル操作に応じて要求制動力が0になるように算出され、実制動力も0になっていく。

0061

車両電源の失陥が発生し、時刻t4で車両電源失陥を判断されると補助電源12からの電力供給に切替わり、低消費電力制御モードとなる。時刻t5でブレーキペダル操作を開始し、時刻t6からブレーキペダル操作を一定に保持する。このブレーキペダル操作に応じて要求制動力が算出される。この時点では低消費電力制御モードで制御が行われ、電動モータ20の最大駆動電流が制限されるため、要求制動力に対する実制動力の応答性が通常制御モードより遅くなる。だだし、ここでの要求制動力は、低消費電力制御モードで設定された電流制限値で電動モータ20を駆動することにより発生できる最大制動力より小さいため、要求制動力と同じ実制動力を発生することができ、時刻t7で一定に保持される。時刻t8で車速が0すなわち停車状態となり、運転者は時刻t9でブレーキ操作を止める。時刻t5からt9までマスタ圧制御装置3は補助電源12からの電力供給により駆動するが、低消費電力制御モードで駆動しているため、補助電源12の消費電力は、通常制御モードで駆動するより少なくなり、補助電源12からの電力供給を持続させることができる。なお、時刻t4からt5まで電子回路が消費する分の電力が低下するが、電動モータ20を駆動している時と比べて消費電力が少ないため、補助電源12の充電量の低下を図示していない。

0062

次に前記低消費電力制御モードの制御方法を適用する方式について説明する。

0063

第一の方式は、補助電源12の充電量に応じて電動モータ20の駆動電流を制限する方式である。図5に第一の方式のフローチャートを示す。ステップS11からステップS13およびステップS31とステップS32は図3と同じため説明を省略する。ステップS12で車両電源が失陥したと判断された場合には、ステップS13で補助電源12からの電力供給に切替え、ステップS21で補助電源12の充電量すなわち供給可能な電力量をモニタする。ここで、補助電源12の充電量は、補助電源ラインの電圧により検出できるが、補助電源ラインの電圧と充放電電流と温度等に基づいて検出してもよい。そして、ステップS22で補助電源12の充電量が所定値未満であるか否かの判断を行い、所定値以上の場合、ステップS32の通常制御モードを継続し、所定値未満である場合、ステップS31の低消費電力制御モードとなる。

0064

本第一の方式は、補助電源12の充電量に応じてモータ駆動電流の制限値を変える方式であり、例えば、補助電源12の充電量が低下するほど、モータ駆動電流の制限値を下げていく方式である。

0065

図6に本第一の方式における補助電源12の充電量に対するモータ駆動電流の制限値を示す。図6(a)は、補助電源12の充電量が充電量C1まで低下するまでは、通常制御モードと同じように、マスタ圧制御装置3の最大駆動電流A0まで電流を使用することができるが、補助電源12の充電量が充電量C1より低下した場合、補助電源12の充電量の低下に応じて徐々にモータ駆動電流の制限値を補助電源12の充電量が0の時にモータ駆動電流の制限値が0となるように下げていく例である。図6(b)は、補助電源12の充電量が充電量C1まで低下するまでは、通常制御モードと同じように、マスタ圧制御装置3の最大駆動電流A0まで電流を使用することができるが、補助電源12の充電量が充電量C1より低下した場合、補助電源12の充電量の低下に応じて徐々にモータ駆動電流の制限値を下げていき、補助電源12の充電量が充電量C2まで低下した場合、モータ駆動電流の制限値を必要最小限の電流値A1にする例である。また、図6では、補助電源12の充電量が充電量C1より低下した場合、補助電源12の充電量に対するモータ駆動電流の制限値の下げ方を1次関数で表しているが、2次以上の関数もしくは、マップによる非線形な特性にしてもよい。

0066

図7に車両電源が失陥した場合の補助電源12での電力供給時の制御として、補助電源12の充電量に応じて、モータ駆動電流の制限値を変える第一の方式で実施した場合のタイミングチャートの一例を示す。時刻t0からt4までは図4と同じため説明を省略する。時刻t5でブレーキペダル操作を開始し、時刻t6からブレーキペダル操作を一定に保持する。このブレーキペダル操作に応じて要求制動力が算出される。この時点では車両電源が失陥して補助電源12からの電力供給になっているが、補助電源12の充電量が低下していないため、モータ駆動電流の制限値が通常制御モードと同じである制限ことから、通常制御モードと同じように少ない応答遅れで要求制動力に対して実制動力が発生し、時刻t7で実制動力が一定に保持される。時刻t8で車速が0すなわち停車状態となり、運転者は時刻t10でブレーキ操作を止めるが、その間の時刻t9で補助電源12の充電量が所定値を下回ると、補助電源12の充電量の低下に対応して電流制限値が徐々に低くなるため、ブレーキ操作を一定に保持している場合、実制動力も徐々に低下していく。なお、図1で説明したマスタ圧制御装置3およびマスタ圧制御機構4の場合、時刻t9以降でブレーキ操作を大きくすれば、ブレーキペダルを踏み込む力なりに制動力を上げることが可能である。以上、本第一の方式を用いることで、制動初期のブレーキ制御装置の応答性を正常時と変えることなく、補助電源12の消費電力を抑えることができる。

0067

第二の方式は、急ブレーキが必要となった場合のみ、マスタ圧制御装置3を正常時の制御すなわち通常制御モードと同じように制御する方式である。図8に第二の方式のフローチャートを示す。ステップS11からステップS13およびステップS31とステップS32は図3と同じため説明を省略する。ステップS12で車両電源が失陥したと判断された場合には、ステップS13で急ブレーキであるか否かを判断する。急ブレーキの判断は、ブレーキ操作量が所定値より大きいことと、ブレーキ操作速度が所定値より速いことの両方、もしくはどちらか一方で判断する。急ブレーキと判断された場合、ステップS32の通常制御モードを継続し、急ブレーキでない場合は、ステップS31の低消費電力制御モードとなる。第二の方式を用いることで、車両電源の失陥が発生した時が、急ブレーキを必要とするシチュエーションであっても、急制動を実現することが可能である。すなわち、車両電源が失陥したと判断された場合、ブレーキ操作量が大きい場合や、ブレーキ操作速度が速い場合は、緊急を要すると判断して、電動モータ20への供給電流を大きくするために、モータ駆動電流の制限値を電源正常時における主電源からの電力供給時と変わらない値とし、ブレーキ操作量がそれほど大きくない場合や、ブレーキ操作速度がそれほど速くない場合は、補助電源12の消費電力を抑えるために、モータ駆動電流の制限値を電源正常時における主電源からの電力供給時より小さく設定することで実現できる。

0068

図9に車両電源が失陥した場合の補助電源12での電力供給時の制御として、第二の方式で実施した場合のタイミングチャートの一例を示す。時刻t0からt7までは図4と同じため説明を省略する。時刻t7から低消費電力モードで一定減速中に時刻t8で例えば前方に障害物発見し、急ブレーキ操作を開始し、時刻t9までブレーキペダルを踏み増しした場合、急ブレーキと判断され、最大電流制限解除され通常制御モードになる。時刻t9から急減速し、時刻t10で車速が0すなわち停車状態となり、運転者は時刻t11でブレーキ操作を止める。この場合、時刻t5からt8までマスタ圧制御装置3は補助電源12からの電力供給により駆動するが、低消費電力制御モードで駆動しているため、通常制御モードで実施するより補助電源12からの消費電力を少なくすることができ、さらに急ブレーキが必要な場合には、急制動を許可することで安全性も確保することができる。

0069

以上、前記低消費電力制御モードの制御方法を適用する方式を2つ説明したが、これら2つの方式を組み合わせて使用してもよい。
また、以上の説明では、車両電源が失陥した時に補助電源12に切替える例で説明したが、車両の電子装置過負荷等により、車両電源の電圧が低下した場合においても、本発明を適用することができる。この場合、図5のステップS12で車両電源の電圧低下を検知し、電圧低下を検知した場合には、ステップS21で車両電源の電圧を読み込み、ステップS22で車両電源の電圧が所定の電圧以下の場合、ステップS31の低消費電力制御モードにすることで実現できる。また、低消費電力制御モードの制御方法を適用する第一の方式として、車両電源の電圧に応じてモータ駆動電流の制限値を変える方式を用いることができ、この場合、図6の充電量を車両電源の電圧に置き換えることにより実現できる。本車両電源の電圧が低下した場合に、低消費電力制御モードにしてモータ駆動電流の制限値を変える方法は、補助電源12がない車両においても適用することができる。

実施例

0070

以上、実施形態1のブレーキ制御システム1について、その動作、特に制御モードの切替えと作用について説明した。本発明は、実施形態1のブレーキ制御システム1以外においても、モータでキャリパの推力を制御することで制動力を発生させる電動キャリパ電動油圧ポンプ駆動制御することで、ホイールシリンダを加圧して制動力を発生させる油圧式電動ブレーキ等のブレーキバイワイヤシステムにも適用できる。

0071

1ブレーキ制御システム
4マスタ圧制御機構
7インプットロッド
8操作量検出装置
9マスタシリンダ
10リザーバタンク
12補助電源
16インプットピストン
20電動モータ
25 回転−直動変換装置
40アシストピストン
41セカンダリピストン
42プライマリ液室
43セカンダリ液室
55モータ
56、57マスタ圧センサ
100 ブレーキペダル

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