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技術 3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法、R/S−ムスコンの製造方法および光学活性ムスコンの製造方法

出願人 銅谷正晴
発明者 銅谷正晴
出願日 2009年3月27日 (10年10ヶ月経過) 出願番号 2010-526494
公開日 2012年9月27日 (7年4ヶ月経過) 公開番号 WO2010-109650
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 全量気化 主組成物 触媒充填管 バンド型 分離収率 脂肪族ジケトン 再賦活 分子間縮合
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課題・解決手段

元素周期律表第2族の化合物触媒として用い、2,15−ヘキサデカンジオン気相分子内縮合反応して、3−メチルシクロペンタデセノン類を生成する。なお、分子内縮合反応の触媒としては、酸化マグネシウム酸化カルシウムおよび酸化亜鉛のいずれかが好ましい。また、このように得られた3−メチル−シクロペンタデセノン類を、触媒を用いて水素化して、R/S−ムスコンを生成する。なお、水素化触媒としては、パラジウム触媒が好ましい。さらに、3−メチル−シクロペンタデセノン類を精密蒸留にて各成分に分離した後、ルテニウム光学活性錯体触媒を用いて不斉水素化して、光学活性ムスコンを生成する。これらの製造方法によれば、3−メチル−シクロペンタデセノン類、R/S−ムスコンおよび光学活性ムスコンを容易かつ経済的に製造できる。

概要

背景

従来、ムスコン製造の合成中間体である3−メチルシクロペンタデセノン類の製造方法としては、2,15−ヘキサデカンジオン不活性溶剤の存在下にて、有機亜鉛化合物を用いて分子内環化させる方法等が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、2,15−ヘキサデカンジオンを気相にて、温度300〜400℃で触媒量に対して5〜15重量%の水の存在下、触媒としてTiO2、CeO2およびThO2のいずれかを用いて分子内環化させる方法等が知られている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、3−ヒドロキシ−3−メチルシクロペンタデカノンアルコキシチタン化合物を用いて脱水反応させて(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを得る方法等が知られている(例えば、特許文献3参照。)。

3−メチル−2−シクロペンタデセノンから光学活性ムスコンを製造する方法としては、(E)−および(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンの混合物からカラムクロマトグラフィにより(E)−および(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンの混合物を分離精製し、(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンおよび(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを得て、これらをルテニウム光学活性ホスフィン錯体を用いて不斉水素化する方法等が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
特開昭59−157047号公報(第2,3頁)
特開平3−81242号公報(第3−6頁)
特開2002−69026号公報(第3−5頁)
特開平6−192161号公報(第3,4頁)

概要

元素周期律表第2族の化合物を触媒として用い、2,15−ヘキサデカンジオンを気相で分子内縮合反応して、3−メチル−シクロペンタデセノン類を生成する。なお、分子内縮合反応の触媒としては、酸化マグネシウム酸化カルシウムおよび酸化亜鉛のいずれかが好ましい。また、このように得られた3−メチル−シクロペンタデセノン類を、触媒を用いて水素化して、R/S−ムスコンを生成する。なお、水素化触媒としては、パラジウム触媒が好ましい。さらに、3−メチル−シクロペンタデセノン類を精密蒸留にて各成分に分離した後、ルテニウム/光学活性錯体触媒を用いて不斉水素化して、光学活性ムスコンを生成する。これらの製造方法によれば、3−メチル−シクロペンタデセノン類、R/S−ムスコンおよび光学活性ムスコンを容易かつ経済的に製造できる。

目的

本発明はこのような点に鑑みなされたもので、容易かつ経済的な、3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法、R/S−ムスコンの製造方法および光学活性ムスコンの製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

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請求項1

触媒として用いる元素周期律表第2族の化合物の存在下にて、2,15−ヘキサデカンジオン気相分子内縮合反応することを特徴とする3−メチルシクロペンタデセノン類の製造方法。

請求項2

触媒として用いる元素周期律表第2族の化合物は、酸化マグネシウム酸化カルシウムおよび酸化亜鉛のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法。

請求項3

請求項1または2記載の3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法にて製造された3−メチル−シクロペンタデセノン類を、触媒を用いて水素化することを特徴とするR/S−ムスコンの製造方法。

請求項4

少なくとも(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンおよび(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを含有する3−メチル−シクロペンタデセノン類を、精密蒸留にて各成分に分離することを特徴とする3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法。

請求項5

請求項4記載の3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法にて製造された3−メチル−シクロペンタデセノン類を、ルテニウム光学活性錯体触媒を用いて不斉水素化することを特徴とする光学活性ムスコンの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、香料として有用なムスコン合成中間体である3−メチルシクロペンタデセノン類の製造方法、R/S−ムスコンの製造方法および光学活性ムスコンの製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、ムスコン製造の合成中間体である3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法としては、2,15−ヘキサデカンジオン不活性溶剤の存在下にて、有機亜鉛化合物を用いて分子内環化させる方法等が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、2,15−ヘキサデカンジオンを気相にて、温度300〜400℃で触媒量に対して5〜15重量%の水の存在下、触媒としてTiO2、CeO2およびThO2のいずれかを用いて分子内環化させる方法等が知られている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、3−ヒドロキシ−3−メチルシクロペンタデカノンアルコキシチタン化合物を用いて脱水反応させて(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを得る方法等が知られている(例えば、特許文献3参照。)。

0003

3−メチル−2−シクロペンタデセノンから光学活性ムスコンを製造する方法としては、(E)−および(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンの混合物からカラムクロマトグラフィにより(E)−および(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンの混合物を分離精製し、(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンおよび(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを得て、これらをルテニウム光学活性ホスフィン錯体を用いて不斉水素化する方法等が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
特開昭59−157047号公報(第2,3頁)
特開平3−81242号公報(第3−6頁)
特開2002−69026号公報(第3−5頁)
特開平6−192161号公報(第3,4頁)

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、上述した種々の3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法では、一般的に高価な触媒の大量の使用、特殊な触媒の使用、大希釈系、収率が低い等によりコストが高騰してしまうので経済的ではないという問題が考えられる。

0005

また、上述したムスコンの製造方法では、R/S−ムスコンは水素化触媒を用いることにより容易に製造可能であるが、光学活性ムスコンは原料高純度幾何異性3−メチル−2−シクロペンタデセノンを必要とし、この高純度の幾何異性3−メチル−2−シクロペンタデセノンは製造が難しいことから、コストが高騰し経済的ではないという問題が考えられる。

0006

例えば、特許文献1に記載された方法は、液相反応であることから、分子間縮合を抑制するために大希釈系(実施例での原料2,15−ヘキサデカンジオン濃度は約0.2wt/vol%)とする必要があり、かつ、ヨウ化エチル亜鉛という一般的に高価な触媒を大量に使用することから、コストが高騰し経済的ではない。

0007

特許文献2に記載された方法は、分子間縮合を抑制するために気相にて、触媒としてTiO2、CeO2およびThO2のいずれかを用いて反応を行い、得られた3−メチル−シクロペンタデセノン類を公知の方法で水素化してR/S−ムスコンを得る方法である。しかし、3−メチル−シクロペンタデセノン類の選択率を向上させるために、触媒にアルカリ金属またはアルカリ土類金属酸化物ドーピングする等の特殊な処理をする必要があるので、経済的ではない。

0008

特許文献3に記載された方法の場合は、2,15−ヘキサデカンジオンを出発原料とし、3−ヒドロキシ−3−メチルシクロペンタデカノン経由で(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを製造する方法である。しかし、3−ヒドロキシ−3−メチルシクロペンタデカノン合成段階分子間結合を抑制するために大希釈系とする必要があるとともに、トリブチルアミン四塩化チタン等の副原料を大量に必要とするものの、収率が38%と極めて低い。また、(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノン製造段階で副原料としてオルトチタン酸エステルを大量に使用し、さらに、(Z)−体が少量副生することからコストのかかるカラムクロマトグラフィによる精製等が必要であるので、経済的ではない。

0009

特許文献4に記載された方法の場合は、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒として用い、幾何異性(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを不斉水素化する方法であり、光学活性ムスコンを製造する方法として優れた方法であるが、特許文献3と同様に原料の幾何異性−3−メチル−2−シクロペンタデセノンは、安価に製造し難く、経済的ではない。

0010

本発明はこのような点に鑑みなされたもので、容易かつ経済的な、3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法、R/S−ムスコンの製造方法および光学活性ムスコンの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

請求項1に記載された3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法は、触媒として用いる元素周期律表第2族の化合物の存在下にて、2,15−ヘキサデカンジオンを気相で分子内縮合反応するものである。

0012

請求項2に記載された3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法は、請求項1に記載された3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法において、触媒として用いる元素周期律表第2族の化合物は、酸化マグネシウム酸化カルシウムおよび酸化亜鉛のいずれかであるものである。

0013

請求項3に記載されたR/S−ムスコンの製造方法は、請求項1または2記載の3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法にて製造された3−メチル−シクロペンタデセノン類を、触媒を用いて水素化するものである。

0014

請求項4に記載された3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法は、少なくとも(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンおよび(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを含有する3−メチル−シクロペンタデセノン類を、精密蒸留にて各成分に分離するものである。

0015

請求項5に記載された光学活性ムスコンの製造方法は、請求項4記載の3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法にて製造された3−メチル−シクロペンタデセノン類を、ルテニウム/光学活性錯体触媒を用いて不斉水素化するものである。

発明の効果

0016

請求項1に記載された発明によれば、元素周期律表第2族の化合物を使用し、また、気相にて分子内縮合反応をするので、容易かつ経済的に3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造できる。

0017

請求項2に記載された発明によれば、元素周期律表第2族の化合物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化亜鉛のいずれかであるので、経済的に3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造できる。

0018

請求項3に記載された発明によれば、請求項1または2に記載された3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法にて製造された3−メチル−シクロペンタデセノン類を、触媒を用いて水素化するだけであるので、容易かつ経済的にR/S−ムスコンを製造できる。

0019

請求項4に記載された発明によれば、精密蒸留にて各成分に分離するので、容易かつ経済的に3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造できる。

0020

請求項5に記載された発明によれば、請求項4の3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法にて製造された3−メチル−シクロペンタデセノン類を、ルテニウム/光学活性錯体触媒を用いて不斉水素化するので、容易かつ経済的に光学活性ムスコンを製造できる。

発明を実施するための最良の形態

0021

以下、本発明に係る実施の形態の3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法、R/S−ムスコンの製造方法および光学活性ムスコンの製造方法について詳細に説明する。

0022

まず、3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法について説明する。

0023

3−メチル−シクロペンタデセノン類は、触媒を充填した反応管へ原料の2,15−ヘキサデカンジオンを気相であるガス状にて導入し、分子内縮合反応を行うことにより、得られる。

0024

使用される触媒は、元素周期律表第2族の化合物であり、特に、酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化亜鉛が好ましく、単独または混合物として、あるいは反応に不活性成型剤と共に用いられる。なお、触媒の形状は、通常はペレットまたは錠剤であるが、これらには限定されない。

0025

分子内縮合反応では、副反応として生じる分子間縮合反応を抑制するために溶媒または不活性ガスが用いられ、原料の2,15−ヘキサデカンジオンは、溶媒に溶解し、不活性ガスのキャリア下にて、蒸発管または蒸発缶にて気化させた後、触媒を充填した反応管へ導入される。

0026

溶媒としては、通常では炭化水素類が用いられ、特に、炭素数6〜12の脂肪族炭化水素類が好適であるが、反応に不活性なものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、トルエンキシレンデカリンおよびデカン等が挙げられる。なお、溶媒の使用量は、多過ぎると経済的ではなく、少な過ぎると副反応を抑制できなくなるので、通常は、原料の2,15−ヘキサデカンジオンに対して10〜100重量倍の範囲であると好ましいが、この範囲には特に限定されず、適宜設定できる。

0027

不活性ガスとしては、例えば二酸化炭素および窒素等が用いられるが、反応に不活性なものであれば特に限定されない。なお、不活性ガスの使用量は、多過ぎると経済的ではなく、少な過ぎると副反応を抑制できなくなるので、通常は、原料の2,15−ヘキサデカンジオン1gに対して、1〜20L用いられる。

0028

蒸発部の温度は、通常は200〜350℃であるが、この範囲に限定されず、原料の2,15−ヘキサデカンジオンが全量気化する温度であればよい。

0029

反応温度は、低過ぎると反応が進まず、高過ぎると分解反応が生じるので、300〜400℃の範囲であり、好ましくは350〜380℃にて管理する。

0030

原料の2,15−ヘキサデカンジオンの触媒層への導入速度は、速過ぎると2,15−ヘキサデカンジオンの転化率が低下し、遅過ぎると副反応が多くなって、3−メチル−シクロペンタデセノン類の選択率の低下および触媒活性の低下が生じるので、原料の2,15−ヘキサデカンジオンのLHSVが0.002〜0.05である。

0031

反応での原料の2,15−ヘキサデカンジオンの転化率は、高過ぎると目的物である3−メチル−シクロペンタデセノン類の選択率が低下し、低過ぎると目的物である3−メチル−シクロペンタデセノン類の選択率は向上するものの、低過ぎると経済的ではないので、40〜80%とすることが好ましい。

0032

反応時間の経過とともに、触媒活性が徐々に低下するが、反応温度を徐々に上昇させることにより、触媒再賦活化までの触媒使用時間を長くすることができる。

0033

反応温度を380℃まで上昇させても3−メチル−シクロペンタデセノン類の選択率が上がらなくなり、低下してきた時点で原料の供給を停止し、触媒の再賦活化を行う。

0034

触媒の再賦活化は、触媒層へ空気または酸素を導入し、触媒層に蓄積した高沸点副生物焼却除去するものである。なお、空気の導入速度は特に限定されない。また、再賦活化の温度は、400℃以上であり、好ましくは450〜500℃とする。

0035

反応生成物は、30〜60℃で捕集することにより液状で得られる。なお、この反応生成物の主組成物は、使用した溶媒、3−メチル−シクロペンタデセノン類および未反応2,15−ヘキサデカンジオンである。

0036

得られた反応生成液を更に冷却することにより、未反応2,15−ヘキサデカンジオンの大部分を晶出分離でき、回収した未反応2,15−ヘキサデカンジオンは循環利用可能である。

0037

未反応2,15−ヘキサデカンジオンの大部分を分離した後の3−メチル−シクロペンタデセノン類含有液は、R/S−ムスコンを製造するための水素化反応に用いることができる。

0038

そして、元素周期律表第2族の化合物を触媒として使用し、2,15−ヘキサデカンジオンを気相にて分子内縮合反応により3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造することにより、特殊な溶媒を使用する必要がなく、また、分子間縮合反応を抑制するために大希釈にする必要等がないので、容易かつ経済的に3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造できる。

0039

また、元素周期律表第2族の化合物として、酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化亜鉛のいずれかを用いることにより、これらの化合物は一般的に入手し易いので、容易かつ経済的に3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造できる。

0040

さらに、未反応2,15−ヘキサデカンジオンを回収して循環利用することにより、2,15−ヘキサデカンジオンを無駄なく使用できるので、より経済的に3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造できる。

0041

なお、上述の分子内縮合反応に用いる2,15−ヘキサデカンジオンとしては、脂肪族ジヨウ化物ケトン類とを無機アルカリ化合物の存在下にて反応させる脂肪族ジケトンの製造方法にて製造される脂肪族ジケトンとしての2,15−ヘキサデカンジオンを用いてもよい。

0042

次に、R/S−ムスコンの製造方法について説明する。

0043

上述したように、R/S−ムスコンは、2,15−ヘキサデカンジオンの分子内縮合反応で得られた生成液から未反応2,15−ヘキサデカンジオンの大部分を分離した後の3−メチル−シクロペンタデセノン類含有液を、そのまま触媒を用いて水素化するか、または、蒸留によって不純物を除去した後に触媒を用いて水素化することにより容易に得られる。

0044

水素化反応は、3−メチル−シクロペンタデセノン類含有液へ水素化触媒を添加した後に水素をバブリングする方法、オートクレーブを用いて0〜100KGの水素加圧化による方法および反応管へ充填した触媒中への原料と水素とを並流させる流通式等にて行うことができる。

0045

触媒としては、例えば、ニッケル触媒コバルト触媒銅触媒パラジウム触媒白金触媒ルテニウム触媒およびロジウム触媒等を用いることができ、特にパラジウム触媒が好適に用いられる。

0046

触媒の使用量は、触媒の種類、活性および反応温度等によって適宜設定されるが、通常は、3−メチル−シクロペンタデセノン類1重量に対して、0.001〜0.1重量の範囲である。

0047

水素化反応は、溶媒を用いて行うことが好ましい。この溶媒としては、水素化反応に不活性なものであればよいが、上述した2,15−ヘキサデカンジオンの分子内縮合反応で使用した炭化水素類をそのまま用いると効率的で好ましい。

0048

溶媒の使用量は、多過ぎると経済的ではないので、3−メチル−シクロペンタデセノン類の濃度が1重量%以上になるようにする。

0049

反応温度は、触媒および溶媒の種類によって異なるが、通常は、室温〜100℃の範囲に管理される。

0050

上述の水素化反応により得られた反応生成物を蒸留またはカラムクロマトグラフィにて精製することにより、R/S−ムスコンを得られる。

0051

なお、水素化反応の原料液に2,15−ヘキサデカンジオンが少量含まれていても、2,15−ヘキサデカンジオンは、水素化反応には不活性であるとともに、蒸留精製の際にボトム液として回収される。この回収2,15−ヘキサデカンジオンは、2,15−ヘキサデカンジオンの分子内縮合反応後の未反応物の晶出分離工程循環され、2,15−ヘキサデカンジオンの分子内縮合反応に再使用可能である。

0052

そして、上記3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法にて製造された3−メチル−シクロペンタデセノン類を、触媒を用いて水素化して、R/S−ムスコンを製造することにより、特殊な触媒や処理が必要ないので、容易かつ経済的にR/S−ムスコンを製造できる。

0053

次に、3−メチル−シクロペンタデセノン類含有液から精密蒸留により各成分を分離する方法について説明する。

0054

未反応2,15−ヘキサデカンジオンの大部分を分離した後の3−メチル−シクロペンタデセノン類含有液の主組成物は、反応で使用した溶媒、3−メチル−シクロペンタデセノン類および少量の未反応2,15−ヘキサデカンジオンであり、精密蒸留は溶媒留去後に行われる。

0055

2,15−ヘキサデカンジオンの分子内縮合反応で得られる3−メチル−シクロペンタデセノン類とは、(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノン、(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノン、(E)および(Z)−3−メチル−3−シクロペンタデセノンおよび3−メチレン−シクロペンタデカノンであり、少なくとも(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンおよび(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを含有している。

0056

精密蒸留で使用する蒸留塔は、理論段数30段以上のものであればよく、例えば、充填塔段塔および回転バンド型蒸留塔等が挙げられる。

0057

蒸留操作での減圧度は、低いと蒸留温度が上昇して仕込み組成物の分解が生じることから、高い方が好ましく、0.5〜50mmHgの範囲に設定することが好ましい。

0058

蒸留温度は、原料組成および減圧度により定められ、塔頂蒸気温度が100〜200℃であると好ましい。

0059

還流比は、仕込み液組成により一概には言えないが、高純度品を高い分離収率で得るためには少なくとも30以上が必要である。

0060

精密蒸留で得られた3−メチル−シクロペンタデセノン類の各成分は、光学活性ムスコンの製造原料として使用可能である。

0061

なお、上述のように精密蒸留にて各成分への分離する3−メチル−シクロペンタデセノン類としては、2,15−ヘキサデカンジオンを触媒を用いて気相で分子内縮合反応を行い、未反応2,15−ヘキサデカンジオンの大部分を分離した後のものに限定されず、少なくとも(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンおよび(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを含有していればよい。

0062

そして、少なくとも(E)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンおよび(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンを含有する3−メチル−シクロペンタデセノン類を、精密蒸留にて各成分に分離して3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造することにより、一般的にコストが高騰化するカラムクロマトグラフィによる精製の必要がないので、容易かつ経済的に3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造できる。

0063

次に、光学活性ムスコンの製造方法について説明する。

0064

光学活性ムスコンは、上述のように精密蒸留にて得られた3−メチル−シクロペンタデセノン類を、ルテニウム/光学活性錯体触媒を用いて不斉水素化することにより得られる。

0065

不斉水素化反応は、3−メチル−シクロペンタデセノン類の一成分およびルテニウム/光学活性錯体触媒を含有する液中へ水素をバブリングする方法、オートクレーブを用いて0〜100KGの水素加圧化による方法および反応管へ充填した触媒中へ原料液と水素とを並流させる流通式等にて行うことができる。

0066

ルテニウム/光学活性錯体触媒としては、特開平6−19216号公報に記載の光学活性ムスコンの製造方法と同様に、例えば、Ru2Cl4(BINAP)2(NEt3)、Ru2Cl4(Tol−BINAP)2(NEt3)、Ru2Cl4(t−Bu−BINAP)2(NEt3)、Ru(BINAP)(OAc)2、Ru(Tol−BINAP)(OAc)2およびRu(t−Bu−BINAP)(OAc)2等の化合物であるルテニウム/光学活性ホスフィン錯体を用いることが好ましい。なお、BINAPとは2,2‘−ビスジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを示し、Tol−BINAPとは、2,2‘−ビス(ジトリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを示し、t−Bu−BINAPとは、2,2‘−ビス(ジ−p−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを示す。

0067

上記ルテニウム/光学活性ホスフィン錯体には(R)−体および(S)−体があり、光学活性ムスコンを得るために適宜選択して用いられる。

0068

触媒の使用量は、触媒の種類、活性および反応温度等によって設定されるが、3−メチル−シクロペンタデセノン類1重量に対して0.0001〜0.05重量の範囲が好ましい。

0069

不斉水素化反応は、溶媒を用いて行うことが好ましい。この溶媒としては、不斉水素化反応に不活性なものであればよく、例えば、アルコール類、炭化水素類およびハロゲン化炭化水素類等が用いられる。溶媒の使用量は、多過ぎると経済的ではないので、3−メチル−シクロペンタデセノン類の濃度が1重量%以上になるようにすることが好ましい。

0070

不斉水素化反応の反応温度は、触媒および溶媒の種類によって設定されるが、室温〜100℃の範囲が好ましい。

0071

そして、得られた反応生成物を蒸留、または、カラムクロマトグラフィにて精製することにより、光学活性ムスコンを得ることができる。

0072

そして、上記精密蒸留による3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法にて製造された3−メチル−シクロペンタデセノン類を、ルテニウム/光学活性錯体触媒を用いて不斉水素化して、光学活性ムスコンを製造することにより、容易かつ経済的に光学活性ムスコンを製造できる。

0073

なお、上述した3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造方法、R/S−ムスコンの製造方法、3−メチル−シクロペンタデセノン類含有液から精密蒸留により各成分を分離する方法および光学活性ムスコンの製造方法は、回分法連続法にも適宜対応できる。

0074

次に、本発明の実施例について説明する。

0075

まず、参考例として、3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造に用いる2,15−ヘキサデカンジオンを製造について説明する。

0076

攪拌機温度計還流冷却器を付した2Lの四ツ口フラスコに、1,10−ジヨードデカン197g(0.5モル)、アセト酢酸エチル520g(4モル)、エタノール1Lおよび炭酸カリウム89.8g(0.65モル)を取し、全還流下にて4時間反応を行った。

0077

反応終了後、溶媒として使用したエタノールを留去し、室温へ冷却して5%硫酸700mlを添加し分液する。分液後、上層有機相減圧蒸留により過剰に用いたアセト酢酸エチルを留去し、ジエチル−2,13−ビスアセチル−1,14−テトラデカンジオエート含有油状物を237g得た。

0078

上述のように得られた油状物の全量および10%水酸化ナトリウム水溶液800g(2モル)を、攪拌機、温度計、還流冷却器を付した2L三ツ口フラスコに加え、室温にて5時間攪拌後、50%硫酸206g(1.05モル)を添加し3時間全還流して脱炭酸反応を行った。

0079

脱炭酸反応終了後、室温まで冷却し、固形物濾過水洗後、乾燥させて微黄色の結晶129.6gを得た。得られた結晶の組成をガスクロマトグラフィにて分析した結果、1,10−ジヨードデカンの濃度が0重量%であり、2,15−ヘキサデカンジオンの濃度が91.3重量%であった。したがって、1,10−ジヨードデカンの転化率は100%で、2,15−ヘキサデカンジオン選択率は93.2%となり、仕込みの1,10−ジヨードデカンに対する2,15−ヘキサデカンジオンの収率は93.2%であった。

0080

また、得られた粗2,15−ヘキサデカンジオンの全量を95%エタノールを用いて再結晶精製し、純度99.5%以上の精製2,15−ヘキサデカンジオン110gを得た。

0081

そして、触媒の存在下にて、上述のように製造した2,15−ヘキサデカンジオンを気相で分子内縮合反応を行い、3−メチル−シクロペンタデセノン類を製造した。

0082

[実施例1]
22mmφ、長さ40cmのカラムにおいて、3〜4mmφの磁製ラシヒ35mlを上部に充填し、触媒として元素周期律表第2族の化合物である3〜5mmφの酸化亜鉛ペレット50mlを下部に充填し、ラシヒ層温度が315℃となり、触媒層温度が360℃となるように加熱する。この加熱したカラムへ、不活性ガスとしての窒素(5L/hr)キャリア下にて、5重量%の2,15−ヘキサデカンジオンを溶解した容量比が1対3のトルエン/デカリン溶液を25g/hrの速度で導入して分子内縮合反応を行った。この反応生成物を30〜50℃へ冷却して捕集した。

0083

そして、3時間の連続反応を行い、3時間目の反応生成液をガスクロマトグラフィにて分析したところ、2,15−ヘキサデカンジオンの転化率は65%であり、3−メチル−シクロペンタデセノン類の選択率は86%であった。よって、仕込みの2,15−ヘキサデカンジオンに対する3−メチル−シクロペンタデセノン類の収率は56%であった。

0084

[実施例2および実施例3]
触媒として元素周期律表第2族の化合物である酸化カルシウムまたは酸化マグネシウムを用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして反応を行った。この結果を表1に示す。

0085

0086

[比較例1ないし比較例10]
触媒として、元素周期律表第2族ではない種々の化合物を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして反応を行った。この結果を表2に示す。

0087

0088

[実施例4]
3〜4mmφの磁製ラシヒ50ml充填管(22mmφ、長さ30cm)であるラシヒ充填管を上部に配置し、触媒として元素周期律表第2族の化合物である3〜5mmφの酸化亜鉛ペレット80ml充填管(22mmφ、長さ40cm)である触媒充填管を下部に配置し、ラシヒ管を320℃に加熱し、触媒充填管を360℃に加熱した。また、ラシヒ充填管へ窒素(5L/hr)キャリア下にて、5重量%の2,15−ヘキサデカンジオンを溶解したn−デカン溶液を25g/hrの速度で導入して分子内縮合反応を行った。この反応生成物を30〜50℃へ冷却して捕集した。

0089

そして、10時間の連続反応を行い、10時間目の反応生成液をガスクロマトグラフィにて分析したところ、2,15−ヘキサデカンジオンの転化率は59%であり、3−メチル−シクロペンタデセノン類の選択率は84%であった。

0090

反応終了後、ラシヒ充填層および触媒充填層点検したところ、ラシヒ層にタール状物が付着し、触媒層は上部が白色から灰色へ変色していた。

0091

また、ラシヒ充填管および触媒充填管を450〜500℃へ加熱し、空気を0.5L/minの速度で導入して、タール状物の焼却および触媒の再賦活化を行った後、再度上記の分子内縮合反応を行った。そして、10時間目の反応生成液をガスクロマトグラフィにて分析したところ、2,15−ヘキサデカンジオンの転化率は61%であり、3−メチル−シクロペンタデセノン類の選択率は82%であった。

0092

このような、再賦活化を伴う反応を繰り返し、合計5回の反応を行ったが、触媒の活性低下は認められず、5回目の反応における10時間目の反応生成液をガスクロマトグラフィにて分析したこところ、2,15−ヘキサデカンジオンの転化率は61%であり、3−メチル−シクロペンタデセノン類の選択率は86%であった。

0093

[実施例5]
実施例4にて得られた反応生成液を1200g採取し、20℃へ冷却し、析出する結晶を濾過分離して、3−メチル−シクロペンタデセノン類2.5重量%および未反応2,15−ヘキサデカンジオン0.1重量%含有液を1158g得た。回収した未反応2,15−ヘキサデカンジオンの結晶は、乾燥後20.4gであり、純度は95重量%であった。

0094

このようにして得られた未反応2,15−ヘキサデカンジオン分離後の3−メチル−シクロペンタデセノン類含有液を50g採取し、触媒としての5重量%パラジウムカーボンを0.1g添加後、50KG水素加圧下にて、25℃で6時間の振とう反応を行い、水素化した。

0095

そして、反応終了後の液組成をガスクロマトグラフィにて分析したところ、R/Sムスコンが2.5重量%であり、未反応3−メチル−シクロペンタデセノン類が0.1重量%以下であり、2,15−ヘキサデカンジオンが0.1重量%であった。

0096

[実施例6]
上記実施例5にて得られた未反応2,15−ヘキサデカンジオン分離後の3−メチル−シクロペンタデセノン類含有液1100gを濃縮後、東科精機製回転バンド型精密蒸留(理論段数80段)を用いて、減圧度10〜2mmHg、還流比10〜100にて精密蒸留を行い、初留分カット後、減圧度2mmHg、140.5〜142℃の留分10.3gを得た。この留分をガスクロマトグラフィにて分析したところ、(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノン含量が95.3重量%であった。

0097

[実施例7]
窒素で置換した100ml耐圧容器へ、上記実施例6にて得られた(Z)−3−メチル−2−シクロペンタデセノン留分2g、ルテニウム/光学活性錯体触媒としてのRu2Cl4[(R)−Tol−BINAP]2(NEt3)10mgおよび溶媒としてのメタノール15mlを添加し、50KG水素加圧下にて、25℃で24時間の振とう反応を行い、不斉水素化した。

0098

そして、反応終了後、溶媒のメタノールを留去し、得られた粗生成物シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し、光学活性ムスコンとしての(R)−ムスコンを1.9g得た。この(R)−ムスコンを液体クロマトグラフィにて分析したところ、R/S比は93/7であった。

0099

本発明は、香料として有用なR/S−ムスコンおよび光学活性ムスコンやムスコンの合成中間体である3−メチル−シクロペンタデセノン類の製造に利用することができる。

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