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図面 (20)

課題

本発明は、miRNAを効率的に阻害するためのRNA、該RNAを細胞内で発現させるためのベクター、該ベクターの構築方法、および該RNAを利用したmiRNAの阻害方法等を提供する。

解決手段

二本鎖構造を含み、miRNA結合配列を含む少なくとも1つのRNA鎖が、該二本鎖構造の少なくとも片端の2つの鎖に結合しているmiRNA阻害RNA複合体により、効率的にmiRNAを阻害できることを見出した。特に、miRNA結合配列を含む2本のRNAが、2つの二本鎖構造に挟まれるように配置されたRNAは、miRNAを強力に阻害することができた。当該RNAは、例えばPol IIIプロモーターから発現させることができ、レトロウイルスベクターに組み込むことにより、miRNAを長期間安定に阻害することができる。本発明はmiRNAの制御のための有用なツールを提供するものであり、miRNAが関与する分化、発生、腫瘍形成、および感染症などにおける遺伝子調節遺伝子治療等においての利用が期待される。

概要

背景

マイクロRNA(miRNA)は内在性発現される小さな(約20〜24ヌクレオチド調節性の非コードRNAであって、RNA誘導サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex;RISC)の成分として転写後レベルで数多くの標的遺伝子の発現を調節している。あるmiRNAとmRNA中にあるその標的配列とが完全に相補的である場合は、miRNAはそのmRNAの切断を誘導し、mRNAレベルの急速な減少を引き起こす。しかしながら、哺乳動物のmiRNAの大半は、3"非翻訳領域(3"-UTR)に位置する標的配列と限られたレベルの相補性しか持たず、翻訳抑制またはcytoplasmic processing bodies (P-bodies) における標的mRNAの急速な脱アデニル化(deadenylation)のどちらかを引き起こす。ヒトのコード遺伝子の1/3以上がmiRNAの標的であると予想されており(Bartel, D.P. (2004) Cell, 116, 281-297; Lewis, B.P. et al. (2005) Cell, 120, 15-20; Ambros, V. et al. (2003) Rna, 9, 277-279)、分化、発生、腫瘍形成、および感染に対する細胞防御において、miRNAは重要な役割を果たしていることを示す証拠が現在なお出され続けている(Li, Q.J. et al. (2007) Cell, 129, 147-161; Lu, J. et al. (2005) Nature, 435, 834-838; Lecellier, C.H. et al. (2005) Science, 308, 557-560)。

miRNA分子包括的な機能解析のためには、その活性を特異的に阻害する技術が不可欠であると考えられる。miRNAの機能を阻害する幾つかの方法は既に存在しており、例えば、2"-O methyl (2"-OMe) RNAなどの化学的に修飾された単鎖オリゴヌクレオチド(Hutvagner, G. et al. (2004)PLoS Biol, 2, E98; Meister, G. et al. (2004) Rna, 10, 544-550)、locked nucleic acid (LNA) および「アンタゴミア」(‘antagomirs’)(Orom, U.A. et al. (2006) Gene, 372, 137-141; Krutzfeldt, J. et al. (2005) Nature, 438, 685-689)が存在する。これらの試薬成熟miRNAに対して相補性を持つように化学合成されたもので、細胞性ヌクレアーゼ耐性であり、恐らくはRISCの切断されない基質として機能する。それらはトランスフェクションにより細胞に導入されるように設計されているので、阻害活性は必然的に一過性となる。

最近、miRNAの競合阻害剤「microRNA sponge」を発現するDNAベクター報告された(Ebert, M.S. et al. (2007) Nat Methods, 4, 721-726)。microRNA spongeベクターの一過的発現はmiRNAの機能を効率的に阻害するが、DNAベースのベクターにより導入されたとしても、その阻害効果は一箇月を超えては維持されない。従って、より長期間にわたってmiRNAを阻害する方法を確立することが望まれていた。

概要

本発明は、miRNAを効率的に阻害するためのRNA、該RNAを細胞内で発現させるためのベクター、該ベクターの構築方法、および該RNAを利用したmiRNAの阻害方法等を提供する。二本鎖構造を含み、miRNA結合配列を含む少なくとも1つのRNA鎖が、該二本鎖構造の少なくとも片端の2つの鎖に結合しているmiRNA阻害RNA複合体により、効率的にmiRNAを阻害できることを見出した。特に、miRNA結合配列を含む2本のRNAが、2つの二本鎖構造に挟まれるように配置されたRNAは、miRNAを強力に阻害することができた。当該RNAは、例えばPol IIIプロモーターから発現させることができ、レトロウイルスベクターに組み込むことにより、miRNAを長期間安定に阻害することができる。本発明はmiRNAの制御のための有用なツールを提供するものであり、miRNAが関与する分化、発生、腫瘍形成、および感染症などにおける遺伝子調節遺伝子治療等においての利用が期待される。

目的

従って、より長期間にわたってmiRNAを阻害する方法を確立することが望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
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3件

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請求項1

RNAまたはその類縁体を含むmiRNA阻害複合体であって、二本鎖構造を含み、かつmiRNA結合配列を含む少なくとも1つの鎖が、該二本鎖構造の少なくとも片端の2つの鎖に結合している、miRNA阻害複合体。

請求項2

第2の多重鎖構造を含み、該片端の2つの鎖にmiRNA結合配列を含む鎖がそれぞれ1本ずつ結合しており、該二本鎖構造と多重鎖構造とに挟まれるように、該鎖のそれぞれの他端が、該第2の多重鎖構造の2つの鎖にそれぞれ結合している、請求項1に記載の複合体。

請求項3

多重鎖が二本鎖または四本鎖である、請求項2に記載の複合体。

請求項4

該片端の2つの鎖が、該片端側でつながっている、請求項1から3のいずれかに記載の複合体。

請求項5

鎖状一本鎖RNAまたはその類縁体から構成される、請求項4に記載の複合体。

請求項6

2から5つのmiRNA結合配列を含む、請求項1から5のいずれかに記載の複合体。

請求項7

2つのmiRNA結合配列を含む、請求項6に記載の複合体。

請求項8

請求項5に記載の複合体であって、図2(C)に示された構造を含み、該構造のIおよびIIは二本鎖構造であって、該構造のaおよびbにそれぞれ1つのmiRNA結合配列を含む複合体。

請求項9

請求項5に記載の複合体であって、図2(D)に示された構造を含み、該構造のIは二本鎖構造であって片側に各鎖の末端があり、該構造のIIはヘアピンであって、該構造のaおよびbにそれぞれ1つのmiRNA結合配列を含む複合体。

請求項10

請求項1から9のいずれかの複合体を構成するRNAまたはその類縁体。

請求項11

請求項10に記載のRNAをコードする核酸

請求項12

プロモーターの下流に結合している、請求項11に記載の核酸。

請求項13

プロモーターがポリメラーゼIIIプロモーターである、請求項12に記載の核酸。

請求項14

レトロウイルスベクター中に搭載されている、請求項12または13に記載の核酸。

請求項15

請求項12に記載の核酸を作製する方法であって、プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸の間に、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸を挿入する工程を含む方法。

請求項16

miRNA結合配列をコードする核酸が、少なくとも2つのmiRNA結合配列を含み、その間にステムを形成する配列を含む、請求項15に記載の方法。

請求項17

請求項12に記載の核酸を作製するためのキットであって、下記(a)および(b)の核酸を含むキット。(a)プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列と、該1対の相補配列の間に核酸を挿入するための部位とを含む核酸。(b)少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸。

請求項18

miRNA結合配列をコードする核酸が、少なくとも2つのmiRNA結合配列を含み、その間にステムを形成する配列を含む、請求項17に記載のキット。

技術分野

0001

本発明は、miRNAの機能を効率的に阻害する方法、およびそのために用いられる核酸に関する。

背景技術

0002

マイクロRNA(miRNA)は内在性発現される小さな(約20〜24ヌクレオチド調節性の非コードRNAであって、RNA誘導サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex;RISC)の成分として転写後レベルで数多くの標的遺伝子の発現を調節している。あるmiRNAとmRNA中にあるその標的配列とが完全に相補的である場合は、miRNAはそのmRNAの切断を誘導し、mRNAレベルの急速な減少を引き起こす。しかしながら、哺乳動物のmiRNAの大半は、3"非翻訳領域(3"-UTR)に位置する標的配列と限られたレベルの相補性しか持たず、翻訳抑制またはcytoplasmic processing bodies (P-bodies) における標的mRNAの急速な脱アデニル化(deadenylation)のどちらかを引き起こす。ヒトのコード遺伝子の1/3以上がmiRNAの標的であると予想されており(Bartel, D.P. (2004) Cell, 116, 281-297; Lewis, B.P. et al. (2005) Cell, 120, 15-20; Ambros, V. et al. (2003) Rna, 9, 277-279)、分化、発生、腫瘍形成、および感染に対する細胞防御において、miRNAは重要な役割を果たしていることを示す証拠が現在なお出され続けている(Li, Q.J. et al. (2007) Cell, 129, 147-161; Lu, J. et al. (2005) Nature, 435, 834-838; Lecellier, C.H. et al. (2005) Science, 308, 557-560)。

0003

miRNA分子包括的な機能解析のためには、その活性を特異的に阻害する技術が不可欠であると考えられる。miRNAの機能を阻害する幾つかの方法は既に存在しており、例えば、2"-O methyl (2"-OMe) RNAなどの化学的に修飾された単鎖オリゴヌクレオチド(Hutvagner, G. et al. (2004)PLoS Biol, 2, E98; Meister, G. et al. (2004) Rna, 10, 544-550)、locked nucleic acid (LNA) および「アンタゴミア」(‘antagomirs’)(Orom, U.A. et al. (2006) Gene, 372, 137-141; Krutzfeldt, J. et al. (2005) Nature, 438, 685-689)が存在する。これらの試薬成熟miRNAに対して相補性を持つように化学合成されたもので、細胞性ヌクレアーゼ耐性であり、恐らくはRISCの切断されない基質として機能する。それらはトランスフェクションにより細胞に導入されるように設計されているので、阻害活性は必然的に一過性となる。

0004

最近、miRNAの競合阻害剤「microRNA sponge」を発現するDNAベクター報告された(Ebert, M.S. et al. (2007) Nat Methods, 4, 721-726)。microRNA spongeベクターの一過的発現はmiRNAの機能を効率的に阻害するが、DNAベースのベクターにより導入されたとしても、その阻害効果は一箇月を超えては維持されない。従って、より長期間にわたってmiRNAを阻害する方法を確立することが望まれていた。

先行技術

0005

Bartel, D.P. (2004) Cell, 116, 281-297
Lewis, B.P. et al. (2005) Cell, 120, 15-20
Ambros, V. et al. (2003) Rna, 9, 277-279
Li, Q.J. et al. (2007) Cell, 129, 147-161
Lu, J. et al. (2005) Nature, 435, 834-838
Lecellier, C.H. et al. (2005) Science, 308, 557-560
Hutvagner, G. et al. (2004)PLoS Biol, 2, E98
Meister, G. et al. (2004) Rna, 10, 544-550
Orom, U.A. et al. (2006) Gene, 372, 137-141
Krutzfeldt, J. et al. (2005) Nature, 438, 685-689
Ebert, M.S. et al. (2007) Nat Methods, 4, 721-726

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、miRNAを効率的に阻害するためのmiRNA阻害体、該阻害体を細胞内で発現させるためのベクター、該ベクターの構築方法、および該阻害体またはベクターを利用したmiRNAの阻害方法等に関する。

課題を解決するための手段

0007

miRNAのより効率的かつ長期間の抑制を確立するため、本発明者らは、miRNAを阻害し得るRNAを新たに設計し、miRNA阻害活性を評価した。その結果、二本鎖RNA片端の両鎖にmiRNA結合配列(MBS)を結合させたRNAが、強いmiRNA阻害活性を示すことを見出した(図1および2)。特に、2つの二本鎖RNA部分を含み、その2つの二本鎖に挟まれるように、二本鎖の各鎖にそれぞれMBSが結合しているRNA(図2、#12〜#16)は、極めて強いmiRNA阻害活性を示した。そして本発明者らは、二本鎖部分を含むこれらのRNA構造の一方の端を閉じた構造(例えばループ構造)にして、直鎖状の1本鎖RNAとしてこれらのmiRNA阻害RNAを構成させることにより、このRNAを1つの転写ユニットから発現できるようにした。また、二本鎖構造の片側にMBSを集約させ、その反対側および該二本鎖構造部分は定常領域とすることにより、この定常領域を含む発現ユニットに、目的のMBSを含むカセットを挿入することで、目的のmiRNAに応じて特異的阻害活性を示すRNAの発現ベクターを、極めて簡便に構築する系を生み出した。当該発現ベクターを導入した細胞では、標的miRNAを強力に阻害することが可能で、しかも目的のmiRNAに応じて簡単にベクターを構築することが可能である。

0008

すなわち本発明は、miRNAを効率的に阻害するためのmiRNA阻害体、該阻害体を細胞内で発現させるためのベクター、該ベクターの構築方法、および該阻害体またはベクターを利用したmiRNAの阻害方法等に関し、より具体的には、〔1〕RNAまたはその類縁体を含むmiRNA阻害複合体であって、二本鎖構造を含み、かつmiRNA結合配列を含む少なくとも1つの鎖が、該二本鎖構造の少なくとも片端の2つの鎖に結合している、miRNA阻害複合体、〔2〕第2の多重鎖構造を含み、該片端の2つの鎖にmiRNA結合配列を含む鎖がそれぞれ1本ずつ結合しており、該二本鎖構造と多重鎖構造とに挟まれるように、該鎖のそれぞれの他端が、該第2の多重鎖構造の2つの鎖にそれぞれ結合している、〔1〕に記載の複合体、〔3〕該多重鎖が二本鎖または四本鎖である、〔2〕に記載の複合体、〔4〕該片端の2つの鎖が、該片端側でつながっている、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の複合体、〔5〕直鎖状一本鎖RNAまたはその類縁体から構成される、〔4〕に記載の複合体、〔6〕2から5つのmiRNA結合配列を含む、〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の複合体、〔7〕2つのmiRNA結合配列を含む、〔6〕に記載の複合体、〔8〕〔5〕に記載の複合体であって、図2(C)に示された構造を含み、該構造のIおよびIIは二本鎖構造であって、該構造のaおよびbにそれぞれ1つのmiRNA結合配列を含む複合体、〔9〕〔5〕に記載の複合体であって、図2(D)に示された構造を含み、該構造のIは二本鎖構造であって片側に各鎖の末端があり、該構造のIIはヘアピンであって、該構造のaおよびbにそれぞれ1つのmiRNA結合配列を含む複合体、〔10〕〔1〕から〔9〕のいずれかの複合体を構成するRNAまたはその類縁体、〔11〕〔10〕に記載のRNAをコードする核酸、〔12〕プロモーターの下流に結合している、〔11〕に記載の核酸、〔13〕プロモーターがポリメラーゼIIIプロモーターである、〔12〕に記載の核酸、〔14〕レトロウイルスベクター中に搭載されている、〔12〕または〔13〕に記載の核酸、〔15〕〔12〕に記載の核酸を作製する方法であって、プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸の間に、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸を挿入する工程を含む方法、〔16〕miRNA結合配列をコードする核酸が、少なくとも2つのmiRNA結合配列を含み、その間にステムを形成する配列を含む、〔15〕に記載の方法、〔17〕〔12〕に記載の核酸を作製するためのキットであって、下記(a)および(b)の核酸を含むキット、(a)プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列と、該1対の相補配列の間に核酸を挿入するための部位とを含む核酸、(b)少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸、〔18〕miRNA結合配列をコードする核酸が、少なくとも2つのmiRNA結合配列を含み、その間にステムを形成する配列を含む、〔17〕に記載のキット、に関する。

0009

また本発明は、〔1〕RNAまたはその類縁体を含むmiRNA阻害複合体であって、二本鎖構造を含み、かつmiRNA結合配列を含む少なくとも1つの鎖が、該二本鎖構造の少なくとも片端の2つの鎖に結合している、miRNA阻害複合体、〔2〕第2の二本鎖構造を含み、該片端の2つの鎖にmiRNA結合配列を含む鎖がそれぞれ1本ずつ結合しており、前記2つの二本鎖構造に挟まれるように、該鎖のそれぞれの他端が、該第2の二本鎖構造の2つの鎖にそれぞれ結合している、〔1〕に記載の複合体、〔3〕該片端の2つの鎖が、該片端側でつながっている、〔1〕または〔2〕に記載の複合体、〔4〕直鎖状一本鎖RNAまたはその類縁体から構成される、〔3〕に記載の複合体、〔5〕2から5つのmiRNA結合配列を含む、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の複合体、〔6〕2つのmiRNA結合配列を含む、〔5〕に記載の複合体、〔7〕〔1〕から〔6〕のいずれかの複合体を構成するRNAまたはその類縁体、〔8〕〔7〕に記載のRNAをコードする核酸、〔9〕プロモーターの下流に結合している、〔8〕に記載の核酸、〔10〕プロモーターがポリメラーゼIIIプロモーターである、〔9〕に記載の核酸、〔11〕レトロウイルスベクター中に搭載されている、〔9〕または〔10〕に記載の核酸、〔12〕〔9〕に記載の核酸を作製する方法であって、プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸の間に、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸を挿入する工程を含む方法、〔13〕miRNA結合配列をコードする核酸が、少なくとも2つのmiRNA結合配列を含み、その間にステムループを形成する配列を含む、〔12〕に記載の方法、〔14〕〔9〕に記載の核酸を作製するためのキットであって、下記(a)および(b)の核酸を含むキット、(a)プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列と、該1対の相補配列の間に核酸を挿入するための部位とを含む核酸、(b)少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸、〔15〕miRNA結合配列をコードする核酸が、少なくとも2つのmiRNA結合配列を含み、その間にステムループを形成する配列を含む、〔14〕に記載のキット、にも関する。

0010

なお上記の各項において、同一の項を引用する各項に記載の発明の2つまたはそれ以上を任意に組み合わせた発明は、それらに引用される上位の項に記載の発明において、既に意図されている。また、本明細書に記載した任意の発明要素およびその任意の組み合わせは、本明細書において意図されている。また、それらの発明において、本明細書に記載の任意の要素またはその任意の組み合わせを除外した発明も、本明細書に意図されている。また本明細書は、明細書中に例えば好ましいとしてある特定の態様を記載した場合、それを開示するのみならず、その態様を含むより上位の本明細書に開示された発明から、その態様を除外した発明も開示するものである。

発明の効果

0011

本発明により、miRNAの機能を効率的かつ特異的に阻害することができるmiRNAインヒビターが提供された。本発明のmiRNAインヒビターは、例えばその発現ユニットをレトロウイルスベクターに組み込むことにより、miRNAを長期間安定に阻害することができる。これは、例えばノックダウンマウスのようなin vivoアッセイを可能にする。さらに、Cre-loxPにより調節されるU6プロモーター系が既に確立しているので、これを利用して時間特異的かつ組織特異的にmiRNAノックダウンを実施することも可能である。図6に例示した通り、本発明のmiRNA阻害RNAの発現カセットは容易に構築することができるので、これを利用してmiRNAを包括的に解析するためのRNAライブラリーを構築することもできる。このように、本発明はmiRNAの研究に極めて有用なツールを提供するものである。例えば、特定のmiRNA阻害RNAの発現の有無により培養細胞中の発現mRNAを網羅的に調べることにより、標的mRNA候補を同定するために使用できる。また生体内の遺伝子は、かなりの割合でmiRNAの標的であると予想されており、分化、発生、腫瘍形成、および感染症に対する細胞防御を含む様々な場面においてmiRNAは重要な役割を果たしていることが示唆されている。本発明の方法は、遺伝子調節機構解明や、腫瘍や感染症の遺伝子治療等において、これらに関与するmiRNAの機能を制御するために有用である。

図面の簡単な説明

0012

プロトタイプデコイRNAのステムの長さの効果を示す図である。(A)プロトタイプデコイRNAの構造。黒の太字の曲がった矢印はMBS(5"→3")を表す。(B)miR-140-3pレポーターおよびmiR140-5p/140-3pベクターの両方を保持するHeLaS3細胞に、これらのデコイRNAを発現するレンチウイルスベクターをそれぞれ導入し、導入の6〜10日後に、FACS解析により、全集団のGFP発現レベル中央値を決定した。発現レベルは、miR-140-3pレポーターのみを保持するHeLaS3細胞のそれらに対してノーマライズし、平均±SEMで表した。Cre recombinase遺伝子を標的とするshRNAをネガティブコントロールNC)として用いた。
様々なステム構造を有する一連のデコイRNAの阻害効果の比較を示す図である。(A)デコイ RNA #2 および #10〜#16 の構造。黒の太字の曲がった矢印はMBSを表す。I、II、III、およびIVはデコイRNAに存在するステムを示す。(B)図1Bの説明中に示したのと同じレポーター細胞系を用いてこれらのデコイを発現するレンチウイルスベクターの効果を決定した。発現レベルは、図1Bと同様にノーマライズした。デコイRNAの各ステム配列(I、II、III、およびIV)の長さが示されている。(C)本発明のデコイRNAを構成するユニットの一形態。Iは第1の二本鎖構造、IIは第2の二本鎖構造を表す。aおよびbはそれぞれ少なくとも1つのMBSを含む。第2の二本鎖構造の末端(図中の右端)はループを形成していてもしていなくてもよい。ループを形成する場合、デコイRNAは一本鎖となる。aおよびbは複数のMBSを含んでいてもよく、また、aおよびbは完全に一本鎖状態でなくても、部分的に二本鎖構造を形成してもよい。このユニットは、複数がタンデムにつながっていてもよい(例えばパネルAの#15および#16)。(D)パネル(C)に示したユニットにおいて、第2の二本鎖構造の末端がループを形成している場合の構造。ループ中に含まれる塩基数は特に限定はなく、0〜数個、例えば1, 2, 3, 4, 5, 6, 7塩基であり得る。なお、パネル(A)、(C)、(D) の二本鎖部分の縦線は、二本鎖構造を取っていることを表したものであって、縦線の数に塩基数を限定するものではない。
プロトタイプデコイRNAのMBS配列は、阻害効果に有意に影響を及ぼすことを示す図である。相対GFP発現を、図1Bの説明中に示したように決定した。
デコイRNAのリンカー配列の長さの効果の比較を示す図である。(A)デコイRNA #22〜#26の構造。黒の太字の曲がった矢印はMBS (5" →3")を表す。→はリンカー配列を指し示している。(B)相対GFP発現を、図1Bの説明中に示したように決定した。また、リンカー配列の長さもパネルに示した。
MBS配列内のバルジおよびMBSとステムの間をつなぐリンカーの効果を示す図である。相対GFP発現を、図1Bの説明中に示したように決定した。太字の黒の曲線矢印はMBSを表す。
(A) 本発明のmiRNA阻害RNAの代表的な構造を示す図である。MBSはmiRNA結合部位を表す。(B)マウスU6プロモーターにより駆動されるmiRNA阻害RNA発現用カセットの生成の模式図。約80〜90merの合成オリゴヌクレオチド対がアニールされ、BamHI-EcoRI断片(もともとのカセット)にある2つのBsmBI 部位の間にクローニングされ、miRNA阻害RNA発現カセットが生成される。
本発明のmiRNA阻害複合体の阻害効果の汎用性、特異性、および持続期間を示す図である。(A)図1Bに記載されているGFPレポーター細胞系により検出された、TuD-miR140-5p-4ntinまたはTuD-miR140-3p-4ntinのmiR140-3p活性に対する効果。但しGFP発現レベルは導入後8〜12日に決定された(図16D および E)。(B) TuD-miR140-5p-4ntin または TuD-miR140-3p-4ntin の miR140-5p活性に対する効果。miR-140-5p レポーターおよびmiR140-5p/140-3pベクターの両方を保持するHeLaS3細胞にこれらのmiRNA阻害RNAを発現するレンチウイルスベクターをそれぞれ導入し、導入後8〜12日にGFP発現レベルを決定した。発現レベルは、miR-140-5pレポーターのみを保持するHeLaS3細胞の発現レベルに対してノーマライズし、平均±SEMで表した。(C)図1Bに記載したTuD-miR140-3p-4ntin の miR140-3p活性に対する阻害効果の経時変化。相対GFP発現レベルは、miR-140-3pレポーターのみを保持するHeLaS3細胞のそれらに対してノーマライズされた。(D) 定量リアルタイムRT-PCRにより決定された、パネル(B)に記載の細胞中における成熟miR140-5pのレベル。miR140-5p発現レベルはmiR-140-5pレポーターおよびmiR140-5p/140-3pベクターを両方を保持するHeLaS3細胞のそれに対してノーマライズし、平均±SEMで表した (n = 3)。U6 snRNAを内在性コントロールとした。(E) miRNA阻害RNAの細胞内局在の解析。Y4 small cytoplasmic RNA (Y4 scRNA, 93nt)とACA1 small nucleolar RNA (ACA1 snoRNA, 130nt)の移動度三角印で示した。Y4 scRNAとACA1 snoRNA PA-1を細胞分画マーカーとして示した。Un, 5p, 3p, N, Cはそれぞれ非感染細胞、TuD-miR140-5p感染細胞、TuD-miR140-3p感染細胞、核分画細胞質分画を示す。
miRNA阻害複合体の内在性miR21 活性に対する阻害効果を示す図である。miRNA阻害RNA発現プラスミドベクターまたはLNA/DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Renilla luciferase miR-21 レポーター (白のバー) または非標的化コントロールRenilla luciferase レポーター (黒のバー) と、トランスフェクションのコントロールのためのFirefly luciferase レポーターと共に、PA-1細胞 (A) またはHCT-116 (B) に一過的にトランスフェクトした。dual luciferaseアッセイの後、発現レベルはTuD-NC ベクターをトランスフェクトしたPA-1細胞またはHCT-116細胞のそれらに対してノーマライズし、平均±SEMで表した。(C) miR21の標的である内在性PDCD4蛋白質の発現に対する、一過的にトランスフェクトしたmiRNA阻害RNA発現プラスミドベクターの効果。PA-1細胞にmiRNA阻害RNA発現プラスミドベクターをトランスフェクトし、トランスフェクションの72時間後に全蛋白質を調製した。PDCD4 (上) およびβ-actin loading コントロール (下) をウェスタンブロットにより決定した。(D) リアルタイムRT-PCRにより、(B)と同様の操作をした細胞におけるmiR21発現レベルを測定した。miR21発現レベルはTuD-NCベクターをトランスフェクションしたHCT-116細胞のmiR21発現レベルに対してノーマライズし、平均±SEMで表した (n = 3)。U6 snRNAを内在性コントロールとした。(E) ノザンブロットにより、(B)と同様の操作をした細胞におけるpre-miR21およびmature-miR21の発現レベルを測定した。Y4 scRNAをloading コントロールとして示した。
miRNA阻害RNA発現プラスミドベクターとCMV sponge発現プラスミドベクター、H1-Antagomir発現プラスミドベクター、miRNA eraser発現プラスミドベクター、LNA/DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果の比較を示す図である。HCT-116細胞を用いてトランスフェクションから72時間後にdual luciferaseアッセイを行った。発現レベルは非標的化コントロールRenilla luciferase レポーターをトランスフェクトしたHCT-116細胞のそれらに対してノーマライズし、平均±SEMで表した。
ノザンブロットによるmiRNA阻害RNA発現レベルの解析を示す図である。miRNA阻害RNA発現ベクターをトランスフェクションしたPA-1細胞(A)、HCT-116細胞(B)においてそれぞれTuD-miR-21-4ntinおよびTuD-miR-21-pfの発現レベルをノザンブロットにより解析した。Y4 scRNAとACA1 snoRNAの移動度を三角印で示した。Y4 scRNAをloading コントロールとして示した。
miRNA阻害RNAの導入により誘導された生物的活性を示す図である。(A) TuD-miR21の導入によるPA-1細胞の細胞増殖活性の解析。PA-1細胞へmiRNA阻害RNA発現ベクターを導入し、細胞数をベクター導入から4日間解析した。 (B) TuD-miR21の導入によるPA-1細胞のアポトーシス誘導の解析。PA-1細胞へmiRNA阻害RNA発現ベクターを導入し、カスパーゼ3およびカスパーゼ7の活性をベクター導入から3日後に解析した。この活性をそれぞれのmiRNA阻害RNA発現ベクターを導入したPA-1細胞の細胞数に対してノーマライズし、平均±SEMで表した。
miRNA阻害RNAの標的miRNAのfamilyへの阻害効果を示す図である。(A) miR-16, 195, 497の配列およびその相同性を示した。ブラケットで示した配列はseed部位であり、黒のバーは相同部位を示す。(B) TuD-miR-16-4ntin、TuD-miR-195-4ntinおよびTuD-miR497-4ntin のMBSとmiR-16の結合を示した。黒点はG-U結合を示す。(C)miRNA阻害RNA発現プラスミドベクターを、Renilla luciferase miR-16 レポーター (白のバー) または非標的コントロールRenilla luciferase レポーター (黒のバー) と、トランスフェクションのコントロールのためのFirefly luciferase レポーターと共に、HCT-116細胞にトランスフェクションし、Dual luciferaseアッセイを行った。発現レベルはTuD-NC ベクターをトランスフェクションしたHCT-116細胞の値に対してノーマライズし、平均±SEMで表した(n = 3)。
miR140-3pのためのデコイRNAの構造および配列を示す図である。MBSは、miR140-3pと完全または部分的に相補的なmiRNA結合部位を表す。
miR140-3pのためのデコイRNAの構造および配列を示す図である(図13続き)。
miR-140-3p または miR-140-5p の高感度アッセイ系の構築のために使用したレトロウイルスベクターの構造を示す図である。(A) レポーターMLVベースレトロウイルスベクター pMXs-GIN-miR140-3pT のプロウイルスの構造。GFP遺伝子のすぐ下流に、成熟miR-140-3pと完全に相補的な21bpのインサーションを持つ。U3、RおよびU5はそれぞれMoMLV long terminal repeat由来の対応する配列を示す。Ψ, レトロウイルスベクターのパッケージングシグナル。(B) レポーターMLVベースレトロウイルスベクター pMXs-GIN-miR140-5pT のプロウイルスの構造。(C) MoMLVベースのmiR140-5p/140-3p発現ベクター pSSCH-miR140-5p/140-3p のプロウイルスの構造。内部のCMVプロモーターから転写されるようにPri-miR140-5p/140-3p配列がΔU3配列中に挿入されている。ΔU3, 主要エンハンサー配列(major enhancer sequences)が除去されたU3配列。(D)HIVベースの自己不活性化デコイRNA発現ベクターの構造。ΔU3, 主要エンハンサー配列(major enhancer sequences)が除去されたU3配列。R,レンチウイルスのR配列。U5, レンチウイルスのU5配列。Ψ, レンチウイルスのパッケージングシグナル。
miR140-3p活性の高感度アッセイ系の樹立、およびmiRNA阻害RNAの導入の効果を示す図である(パネルA〜E)。 HeLaS3細胞のGFP発現レベル(自家蛍光)のFACS解析(A)、miR140-3pレポーターのみを保持するHeLaS3細胞のGFP発現レベルのFACS解析(B)およびmiR140-3pレポーターとmiR140-5p/140-3p発現ベクターの両方を保持するHeLaS3細胞のGFP発現レベルのFACS解析(C)。miR140-3pレポーター細胞にそれぞれTuD-miR140-3p-4ntin(D)またはTuD-miR140-5p-4ntin(E)のいずれかを導入して8日後のGFP発現レベルのFACS解析。太い実線および点線は、それぞれmiR140-3pレポーターのみを保持するHeLaS3細胞のGFP発現プロフィール、miR140-3pレポーターとmiR140-5p/140-3p発現ベクターの両方を保持するHeLaS3細胞のGFP発現プロフィールを表す。
ルシフェラーゼ発現ベクターの構造を示す図である。(A) Firefly luciferase 発現プラスミドベクターpTK4.12C.P-の構造。(B) 挿入を持たないRenilla luciferaseレポーター pGL4.74の構造。(C) Renilla luciferase遺伝子のすぐ下流に成熟miR-21と完全に相補的な22bp の挿入を持つRenilla luciferaseレポーター pGL4.74-miR21T の構造。(D) Renilla luciferase遺伝子のすぐ下流に成熟miR-16と完全に相補的な22bpの挿入を持つRenilla luciferaseレポーター pGL4.74-miR16Tの構造。
本発明のmiRNA阻害RNAの構造および配列を示す図である。MBSは、対応するmiRNAに対して完全または部分的に相補的なmiRNA結合部位を表す。
miR-21阻害効果におけるTuD-miR-21-4ntin 発現ベクターの量依存性を示す図である。HCT-116細胞にTuD-NC、TuD-miR-21-4ntin発現プラスミドの量のみを変更し、その他は図8(B)と同様の条件でトランスフェクションした。発現レベルはTuD-NC ベクターをトランスフェクションしたHCT-116細胞の値に対してノーマライズし、平均±SEMで表した(n = 3)。
miRNA阻害複合体の内在性miR21 活性に対する阻害効果を示す図である。miRNA阻害RNA発現プラスミドベクターまたはLNA/DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Renilla luciferase miR-21 レポーター (白のバー) または非標的化コントロールRenilla luciferase レポーター (黒のバー) と、トランスフェクションのコントロールのためのFirefly luciferase レポーターと共に、SW480細胞(A)、HT29細胞(B)、TIG-3/E/TERT細胞(C)または3Y1細胞(D)に一過的にトランスフェクトした。dual luciferaseアッセイの後、発現レベルはTuD-NC ベクターをトランスフェクトしたSW480細胞、HT29細胞、TIG-3/E/TERT細胞または3Y1細胞のそれらに対してノーマライズし、平均±SEMで表した(n = 3)。
HCT-116細胞におけるmiR-15a/15b/16/195/424/497ファミリーの発現レベルを示す図である。発現レベルはアジレント社のmiRNA-microarrayにより解析した。
2"-O-メチル合成オリゴヌクレオチドによる本発明のmiRNA阻害RNAとその効果。(A)デュアルルシフェラーゼ・アッセイ用レポータープラスミド。実施例7〜9の実験は、すべてHCT-116細胞を使って行った。(B) 2"-O-メチル合成オリゴヌクレオチドによる本発明のmiRNA阻害RNAの構造。すべてのヌクレオチドが2"-O-メチル化修飾されている2本の合成オリゴヌクレオチドをアニールして使用した。(C) 2"-O-メチル合成オリゴヌクレオチドによる合成RNAのmiRNA阻害効果を示す。この阻害RNAによるmiRNA阻害効果を、濃度を変えて測定し、従来の2"-O-メチル合成オリゴヌクレオチドと比較した。
本発明のmiRNA阻害RNAのmiRNA阻害効果を、通常のLNA、PNA、および2"-O-メチル化オリゴと比較した結果を示す。
本発明のmiRNA阻害RNAのmiRNA阻害効果を、miRIDIAN Inhibior他を比較した結果を示す。
グアニン四重鎖(G-quadruplex)を利用した本発明のmiRNA阻害RNAの転写とその効果。(A) G-quadruplex-Loop111のパラレル重鎖構造と、G-quadruplex-Loop333のパラレルおよびアンチパラレル四重鎖構造。(B) TuD-miR21-4ntin、TuD-miR21-4ntin-GqL111、およびTuD-miR21-4ntin-GqL333の構造の模式図。(C) 各RNAによるmiRNA阻害活性。
miRNA阻害RNAの構造が及ぼす効果を示す。(A) TuD-miR21-4ntin、TuD-miR21-4ntin-1MBS-1、および TuD-miR21-4ntin-1MBS-2 の構造の模式図。破線の矢印は、1MBS-1ではMBSリバース配列、1MBS-2では TuD-NC(コントロール配列)を示す。(B) 各RNAによるmiRNA阻害活性。
ヒト7SKプロモーターからの本発明のmiRNA阻害RNAの転写とその効果。(A) 本発明のmiRNA阻害RNAをヒト7SKプロモーターから転写させる発現カセットの構造を示す。ヒト7SKプロモーターは7SK RNAの転写開始点直下の配列(特に1番目〜8番目のヌクレオチド)によって転写が強化されるので、7SK RNAの1番目〜13番目のヌクレオチドを本発明の阻害RNAのステム部分に組み込んだ。(B) HCT-116細胞におけるmiR-21阻害効果。図22(A) に記載のデュアル・ルシフェラーゼ・アッセイにより測定した。
本発明のmiRNA阻害RNAによるmiR200の阻害効果を示す。(A-D) miR200を標的とする本発明のmiRNA阻害RNAの発現プラスミドを構築し、ルシフェラーゼレポーターアッセイ系を用いて2種類のプロモーターから発現させたmiRNA阻害RNAの効果を示した。(E) TuD-miR200c-4ntinによる上皮-間充織転換の様子。HCT-116細胞にmiRNA阻害RNA発現レンチウイルスベクターを導入してmiRNA阻害RNAを安定に発現する細胞集団を作製し、導入の15日後に全蛋白質を調製した。上皮細胞間充織細胞それぞれの遺伝子マーカーであるE-カドヘリン(上)、ビメンチン(中)、およびβ-actin loading コントロール (下) をウェスタンブロットにより決定した。

0013

本発明は、miRNAを効率的かつ特異的に阻害することができるmiRNA阻害複合体に関する。本発明のmiRNA阻害複合体は、二本鎖または多重鎖構造を含み、miRNA結合配列(MBS)を含む少なくとも1つの鎖が、該二本鎖または多重鎖構造の少なくとも片端の2つの鎖に結合している。なお本発明においては、この二本鎖または多重鎖構造を「第一の」二本鎖構造と呼ぶことで、本発明の複合体に含まれ得るさらなる二本鎖または多重鎖構造と区別できるようにすることがある(後述)。本発明の複合体は、一本鎖(すなわち共有結合で結合した1分子)であってもなくてもよく、例えば一本鎖、二本鎖、またはそれ以上の複数の鎖で構成されていてよい。例えば二本鎖構造の片端の2つの鎖に、MBSを含むRNA鎖が、それぞれ一本ずつ結合した、二本鎖RNAからなる複合体は本発明に含まれる。また、例えば二本鎖構造の片端の2つの鎖に、少なくとも1つのMBSを含む一本のRNA鎖が結合していてもよい。この場合、MBSを含むRNA鎖により、二本鎖構造の片端の2つの鎖はつながれることになる(例えば図1)。二本鎖構造の2つの鎖をつなぐRNAには、MBSが少なくとも1つ含まれているが、例えば2つ、3つ、またはそれ以上含まれていてもよい(例えば図2A)。二本鎖構造は、ステムループまたはヘアピンを含む。すなわち、二本鎖構造は、ステムループまたはヘアピンに含まれる二本鎖構造であってもよい。 本発明においてmiRNA阻害複合体は、二本鎖構造を持つ、少なくとも1本のRNAまたはその類縁体を含む構造体であってよい。該複合体は、好ましくはRNAまたはその類縁体を含む分子を1分子または2分子含む。

0014

本発明においてmiRNA結合配列(MBS)とは、miRNAに結合する配列を言う。MBSは、miRNAに結合できるように、miRNAに相補的な部分を少なくも含んでいる。実施例に示す通り、MBSは、miRNAに完全に相補的な配列であってもなくてもよい。例えばMBSは、miRNAが標的とする天然のRNAの配列であってもよい。MBSは、例えばmiRNAに対して、少なくとも10塩基、例えば11塩基以上、12塩基以上、13塩基以上、14塩基以上、15塩基以上、16塩基以上、17塩基以上、18塩基以上、19塩基以上、20塩基以上、21塩基以上、22塩基以上、23塩基以上、または24塩基以上の相補的な塩基を連続または非連続に含む。好ましくは、該相補的な塩基は連続しているか、あるいは3箇所以下、2箇所以下、好ましくは1箇所のギャップを有する。ギャップは、MBS側および/またはmiRNA側の不対合(バルジ)であってよく、1箇所のギャップについても、片方の鎖のみにバルジ塩基があるものであってもよく、両方の鎖に不対合の塩基を有していてもよい。好ましくは、少なくともMBS側に不対合塩基を含むように設計する。バルジおよびミスマッチの塩基数は、それぞれ1箇所のバルジおよびミスマッチあたり、片鎖あたり例えば6塩基以下、好ましくは5塩基以下、4塩基以下、3塩基以下、2塩基以下、または1塩基である。本発明において、バルジを形成し得るMBSは、完全に相補的な配列からなるMBSよりも高いmiRNA阻害効果を示した(実施例4)。従って、より高いmiRNA阻害効果を得るためには、バルジを形成するようにMBSを設計することが好ましい。例えば、MBSの3’末端から10番目および/または11番目の塩基が、miRNAと相補的になっていないか、あるいは10番目と11番目の間に余計な塩基を含むMBS(あるいは、miRNA中の標的配列(MBSとハイブリダイズする配列)の5"末端から10番目および/または11番目の塩基がMBSと相補的な塩基となっていないか、あるいは10番目と11番目のヌクレオチドの間に不対合の塩基を含むMBS)は、分解を受けにくく、高い活性が期待できる。この場合、例えばmiRNAの5"末端から10番目および11番目を含む塩基が不対合となるようにMBSを設計してもよく、例えば9〜11番目、10〜12番目、または9〜12番目が不対合となるようにMBSを設計してもよい。また、miRNA側には不対合となる塩基はないが、MBS側に、3"末端から10番目と11番目の間(あるいは、miRNA中の標的配列(MBSとハイブリダイズする配列)の5"末端から10番目および11番目に相当する部位の間)に不対合となる塩基を有していてもよい。不対合となる塩基は、miRNA側および/またはMBS側に存在してよいが、好ましくは少なくともMBS側に存在する。各鎖で不対合になるヌクレオチドの数は適宜調整することができるが、例えば1〜6ヌクレオチドであり、好ましくは1〜5ヌクレオチドであり、より好ましくは3〜5、例えば3、4または5ヌクレオチドである。

0015

また、miRNAのターゲットの認識には、miRNAの5"端から2〜7番目あるいは3〜8番目の塩基(seed領域と呼ばれる)がマッチすることが重要であることが知られている(Jackson AL et al., RNA 12(7):1179-1187, 2006; Lewis BP et al., Cell 120: 15-20, 2005; Brennecke et al.PLoS BIOLOGY 3, 0404-0418, 2005; Lewis et al. Cell 115, 787-798, 2003; Kiriakidou et al. Genes & Development 18, 1165-1178, 2004)。実際、本発明のmiRNA阻害RNAは、seed領域しかマッチしておらず、他の領域とは低い相補性しか有さないMBSを持つものであっても、miRNAを効果的に阻害できることが示された(実施例6、図12)。本発明におけるMBSとしては、miRNAのseed領域(miRNAの5"端から2〜7番目および/または3〜8番目の塩基)が完全に相補的であるものが好ましい。この場合、G:U対(U:G対)も相補的とみなしてよいが、好ましくはG:C(C:G)およびA:U(U:A)のみを相補的とみなす。また本発明におけるMBSとしては、miRNAのseed領域(miRNAの5"端から2〜7番目および/または3〜8番目の塩基)が完全に相補的であって、miRNAに対して、少なくとも8塩基、より好ましくは9塩基、より好ましくは10塩基の相補的な塩基を連続して含むものが好ましい。さらに本発明におけるMBSは、miRNAに対して、合計11塩基以上、より好ましくは12塩基以上、より好ましくは13塩基以上の相補的な塩基を含むことが好ましい。

0016

MBSは、好ましくは、miRNA配列生理的条件下でハイブリダイズする配列である。生理的条件下とは、例えば150 mM NaCl、15 mM sodium citrate、pH 7.0、37℃ である。より好ましくは、MBSは、miRNA配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列である。ストリンジェントな条件とは、例えば1×SSC(1×SSCは150 mM NaCl、15 mM sodium citrate、pH 7.0)または0.5×SSC、42℃の条件であり、より好ましくは1×SSCまたは0.5×SSC、45℃の条件であり、より好ましくは1×SSCまたは0.5×SSC、50℃の条件である。ハイブリダイゼーションにおいては、例えばmiRNA配列を含むRNAまたはMBSを含むRNAのどちらかを標識し、他方を膜に固定して、両者をハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの条件は、例えば 5xSSC、7%(W/V) SDS、100 μg/ml変性サケ精子DNA、5xデンハルト液(1xデンハルト溶液は0.2%ポリビニールピロリドン、0.2%牛血清アルブミン、及び0.2%フィコールを含む)を含む溶液中、例えば37℃、または45℃、または50℃で行えばよい。十分な時間(例えば3、4、5または6時間以上)インキュベートした後、上記の条件で洗浄を行い、標識した核酸がハイブリダイズしているかを検出することにより、当該条件で核酸がハイブリダイズするか否かを決定することができる。

0017

あるいはMBSは、好ましくは、miRNA配列の相補配列と高いホモロジーを示す。高いホモロジーとは、例えば70%以上、75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、93%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上の同一性を有する塩基配列である。塩基配列の同一性は、例えばBLASTプログラム(Altschul, S. F. et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410, 1990)を用いて決定することができる。例えばNCBI(National Center for Biothchnology Information)のBLASTのウェブページにおいて、デフォルトパラメータを用いて検索を行うことができる(Altschul S.F. et al., Nature Genet. 3:266-272, 1993; Madden, T.L. et al., Meth. Enzymol. 266:131-141, 1996; Altschul S.F. et al., Nucleic AcidsRes. 25:3389-3402, 1997; Zhang J. & Madden T.L., Genome Res. 7:649-656, 1997)。例えば2つの配列の比較を行うblast2sequencesプログラム(Tatiana A et al., FEMS Microbiol Lett. 174:247-250, 1999)により、2配列のアライメントを作成し、配列の同一性を決定することができる。miRNA配列の塩基配列の外側のギャップは無視し、内側のギャップは例えばミスマッチと同様に扱い、アライメントにおけるmiRNA配列の塩基配列全体(配列の内側に入れたギャップを加算したトータルの塩基の長さ)に対する同一性の値を計算する。但し、実施例に示した通り、MBSとmiRNAとのミスマッチはmiRNAの阻害活性を上昇させ得る。従って、例えばアライメントの内側においてmiRNA配列に挿入したギャップは無視して同一性を算出することが好ましい。

0018

あるいはMBSは、好ましくは、miRNA配列の相補配列に対して、1または数個の塩基を挿入、置換、および/または欠失させた配列からなる。好ましくは、MBSは、miRNA配列の相補配列に対して8塩基以内、7塩基以内、6塩基以内、5塩基以内、4塩基以内、3塩基以内、2塩基以内、または1塩基の挿入、置換、および/または欠失を有する配列からなる。より好ましくは、MBSは、miRNA配列の相補配列に対して8塩基以内、7塩基以内、6塩基以内、5塩基以内、4塩基以内、3塩基以内、2塩基以内、または1塩基の挿入を有する配列からなる。本発明において、MBSは、miRNA配列と完全に相補的な配列よりも、ミスマッチを有する配列の方がmiRNAの阻害活性が高いことが示された。これはMBSが完全に相補的であると、miRNAを含むRISCにより切断を受け、それによりmiRNA阻害RNAの発現レベルが低下することに起因すると考えられる。特に、MBSがmiRNAとハイブリダイズしたときに、MBSの3"末端から10番目および/または11番目の塩基が不対合となる(あるいは、MBSとハイブリダイズするmiRNA側の標的配列の5"末端から10番目および/または11番目の塩基がMBSとハイブリダイズさせたときに不対合となる)か、あるいは10番目と11番目のヌクレオチドの間に不対合の塩基を含むように設計したMBSは高い活性が期待できる。このような不対合は、例えばMBS側のバルジであってよく、バルジを形成する塩基は1〜6塩基、好ましくは1〜5塩基、より好ましくは3〜5塩基(例えば3、4または5塩基)である。

0019

MBSは、RNAからなっていてもよく、あるいは核酸類塩体を含んだり、または核酸類塩体からなっていてもよい(実施例7)。特にMBSの切断される部位(MBSの3"末端から10番目および/または11番目の塩基等)を、切断が起こらないように核酸類塩体することで、miRNA阻害効果の上昇が期待できる。また、ホスホチオエートや2"-O-メチルなどのバックボーンや糖を有する核酸を用いることも好適である(Krutzfeldt, J. et al., Nucleic AcidsRes. 35: 2885-2892; Davis, S. et al., 2006, Nucleic Acids Res. 34: 2294-2304)。

0020

本発明のmiRNA阻害複合体が標的とするmiRNAに特に制限はない。miRNA構造をとるものであれば、植物、線虫脊椎動物等のいかなる種由来のものにも適用可能である。miRNAの配列は、ヒト、マウス、ニワトリ、ゼブラフィシュ、シロイヌナズナをはじめとする数多くの生物において、非常に多数が知られている(miRBase::Sequencesのウェブページを参照:microrna.sanger.ac.uk/sequences/)。例えば、マウス、ラットヤギ等の含む哺乳動物、サルを含む霊長類、およびヒトのmiRNAを標的とすることができる。例えば、miR21(Lagos-Quintana M et al., Science. 294:853-858, 2001; Mourelatos Z et al., Genes Dev. 16:720-728, 2002; Michael MZ et al., Mol Cancer Res. 1:882-891, 2003; Dostie J et al. RNA. 9:180-186, 2003)、miR140(Lagos-Quintana M et al., Curr Biol. 12:735-739, 2002; Cai X et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 102:5570-5575, 2005)、miR1995(Lagos-Quintana M et al., RNA. 9:175-179, 2003; Landgraf P et al., Cell. 129:1401-1414, 2007)、miR16(Lagos-Quintana M et al., Science. 294:853-858, 2001; Mourelatos Z et al., Genes Dev. 16:720-728, 2002; LimLPet al., Science. 299:1540, 2003; Calin GA et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 99:15524-15529, 2002; Michael MZ et al., Mol Cancer Res. 1:882-891, 2003)、miR497(Bentwich I et al., Nat Genet. 37: 766-770, 2005; Landgraf P et al., Cell. 129:1401-1414, 2007)等が例示できるが、これらに限定されない。

0021

また本発明の上記miRNA阻害複合体は、第1の多重鎖構造に加え第2の多重鎖構造をさらに含み、第1の多重鎖構造の一端にある2つの鎖に、MBSを含むRNA鎖がそれぞれ1本ずつ結合する構造となっており、第1の多重鎖構造と第2の多重鎖構造の間に挟まれるように、該RNA鎖のそれぞれの他端が、該第2の多重鎖構造の一端にある2つの鎖にそれぞれ結合しているmiRNA阻害複合体に関する。多重鎖構造は2本鎖であってもよく、あるいはG-quadruplex(G-クアドプレクス)のような4本鎖であってもよい。第1の多重鎖構造は2本鎖で、第2の多重鎖構造は2本鎖または4本鎖とすることが好適である。例えば本発明は、第1の二本鎖構造に加え第2の二本鎖構造をさらに含み、第1の二本鎖構造においてMBSが結合している方の末端の2つの鎖は、MBSを含むRNA鎖がそれぞれ1本ずつ結合する構造となっており、第1の二本鎖構造と第2の二本鎖構造の間に挟まれるように、該RNA鎖のそれぞれの他端が、該第2の二本鎖構造の2つの鎖にそれぞれ結合しているmiRNA阻害複合体に関する。当該RNA複合体は、例えば少なくとも2つの二本鎖構造を有し、該2つの二本鎖構造を構成する4つのRNA鎖のそれぞれが、残る3つのいずれの鎖も介することなく、MBSを含むRNAに結合している構造を有している。このようなmiRNA阻害複合体をより分かりやすく言えば、MBSを含む2本のRNA鎖が、2つの二本鎖構造に挟まれるように、2つの二本鎖構造の各鎖にそれぞれ結合しているmiRNA阻害複合体である(図2(C))。すなわち図2(C)の構造を持つRNA複合体であって、二本鎖構造IおよびIIにRNA鎖aおよびbが挟まれており、該aおよびbにそれぞれ1つ以上のMBSを含むRNAは、本発明に含まれる。MBSを含む2本のRNA鎖は、二本鎖構造の対合しているそれぞれの鎖に結合しているので、RNA鎖の方向は互いに反対方向となる(図2、#12〜#16)。このように二本鎖の各鎖にそれぞれMBSを付加することにより、より高いmiRNA阻害活性を発揮させることが可能となる。

0022

2つの二本鎖構造に挟まれるように存在するMBSを含む2本のRNA鎖には、それぞれ1つ以上のMBSが含まれている。それらのMBSは同じ配列であってもよく、違っていてもよい。また同じmiRNAを標的とするものであってもよく、異なる標的miRNAに結合する配列であってもよい。例えば、1つの鎖に2つ以上、例えば2、3、4、または5個のMBSが含まれていてよい(図2、#12〜#16)。例えば、2つの二本鎖構造に挟まれた各鎖に1つまたは2つのMBSを含んでよい。例えば、本発明のmiRNA阻害複合体は、トータルで2つのMBSを含むものであってよく、それら2つのMBSは、同一の配列、または同一のmiRNAに結合する配列であってよい。

0023

本発明のmiRNA阻害複合体に含まれる二本鎖の対合するそれぞれの鎖は、上述の通り別々のRNA分子であってもよいし、二本鎖の一方または両方の末端がつながっており、直鎖状または環状となっていてもよい。なお直鎖状とは環状に対する言葉であって、末端を有していることを意味するに過ぎず、当然のことながら、二次構造を形成していないことを意味するものではない。直鎖状一本鎖RNAにより構成されるmiRNA阻害複合体は、例えば一回のRNA合成により作製し得るし、また発現ベクター等を用いて1つの発現ユニットから発現させることもできる。例えば、2つの二本鎖構造を含む場合、第2の二本鎖構造の一端(MBSが結合していない側)の2つの鎖をループにより連結して全体を一本鎖とすることができる。二本鎖をつなぐ配列中には、1つまたはそれ以上のMBSが含まれていてよい(図2、#2、#11、#13、#14、#16)。配列をなるべくコンパクトにするには、二本鎖を短いループにより連結させることができる。例えば1〜10塩基、好ましくは1〜8塩基、2〜6塩基、3〜5塩基、例えば4塩基の配列で二本鎖を結合させることができる。配列は特に制限はない。例えば 5"-GUCA-3" が挙げられる(図6A)。例えば本発明は、図2(A)#13または図2(D)の構造を持つRNAであって、二本鎖構造IおよびIIにRNA鎖aおよびbが挟まれており、二本鎖構造IIはヘアピン(またはステム・ループ)を形成しており、該aおよびbにそれぞれ1つ以上のMBSを含むRNAが含まれる。

0024

本発明のmiRNA阻害複合体に含まれる二本鎖構造は、配列に特に制限はないが、好ましくは4塩基対以上の長さを有する。特に、本発明のRNA複合体に含まれる二本鎖構造の少なくとも1つ(すなわち第一の二本鎖構造)は、RNA複合体の核外輸送に重要な機能を持つ。この二本鎖の鎖長は、例えば15〜50塩基対であってよく、好ましくは15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45塩基、あるいはそれらのいずれか以上であり、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、または18塩基、あるいはそれらのいずれか以下である。より好ましい態様では、二本鎖構造の塩基対の長さは、例えば15〜30、好ましくは16〜28、好ましくは17〜25、好ましくは17〜24、例えば17、18、19、20、21、22、23、または24である。20bpを超えても高い活性を発揮することはできるが、20bpを超えるdsRNAは、細胞質においてDicerによる切断の潜在的な標的となり得ることから、それを避けるために、本発明の複合体に含まれる二本鎖構造は20bp以下、例えば19bp以下、または18bp以下とすることができる。

0025

本発明のmiRNA阻害複合体に第二またはそれ以上の二本鎖構造が含まれる場合においては、これらの二本鎖構造の配列やその長さに特に制限はない。これらの二本鎖構造は、例えばmiRNA阻害複合体全体をコンパクトにするために、第一の二本鎖構造の長さよりも短くしてもよい。各二本鎖の鎖長は適宜調整してよいが、例えば4bp〜20bpであり、例えば5bp〜15bp、5bp〜12bp、5bp〜10bp、6bp〜9bp、または7bp〜8bpとしてよい。

0026

二本鎖構造を形成する塩基対の配列は、miRNA阻害複合体の中で特異的かつ安定に二本鎖を形成できるように適宜設計することができる。例えば、同じ塩基が長く(例えば8塩基以上、好ましくは7塩基以上、より好ましくは5塩基以上、より好ましくは4塩基以上、より好ましくは3塩基以上)連続するホモポリメリックな配列は避けることが好ましい。また、二塩基繰り返し配列や3〜4塩基繰り返し配列などの、数塩基の配列がタンデムに繰り返す配列も避けることが好ましい。二本鎖部分のGC含量は適宜調整してよいが、例えば12%〜85%、好ましくは15%〜80%、20%〜75%、25%〜73%、32%〜72%、35%〜70%、37%〜68%、または40%〜65%である。一例を挙げれば、図6Aに示されているステムIおよびステムIIの配列を例示することができるが、それらに限定されるものではない。4本鎖としてはG-quadruplexが挙げられ、具体的にはGGG-loop-GGG-loop-GGG-loop-GGGという配列とすることができる。ここでloopの配列は適宜選択することができ、例えば3つのループを共に1塩基(例えばM (AまたはC))としたり、共に3塩基としたりすることができる(配列番号:167、168など)。

0027

MBSと二本鎖構造は、直接連結させてもよいし、他の配列を介して連結させてもよい。例えば、適当なリンカーまたはスペーサー配列を介して、MBSを二本鎖構造の端に結合させることができる。MBSを二本鎖部分に直接繋げても有意な阻害活性を得ることができるが、リンカー(またはスペーサーとも言う)を付加することにより、miRNAに対する阻害効果がより上昇する(実施例4)。MBS配列と二本鎖構造との間のリンカーまたはスペーサー配列は、MBSがRISCに存在するmiRNAへのアクセシビリティーを増加させる可能性がある。リンカーまたはスペーサーの長さは適宜調整してよいが、例えば1〜10塩基、好ましくは1〜9塩基、1〜8塩基、1〜7塩基、1〜6塩基、1〜5塩基、1〜4塩基、または1〜3塩基である。例えば、2つ以上のMBSをつなげる場合であっても、リンカーまたはスペーサーを介して連結させるとよい。リンカーまたはスペーサーの配列は特に制限はないが、例えばAおよび/またはCからなる配列、あるいはAおよび/またはCをその他の塩基よりも多く含む配列とすることができる。またリンカーまたはスペーサー配列は、向かい合ったリンカーまたはスペーサー配列や、MBSとの間で安定な塩基対を形成しないよう配慮することが好ましい。一例を挙げれば、AAC、CAA、ACC、CCA、またはそれらのいずれかを含む配列等を例示できる。MBSに両側に付加する一対のリンカーまたはスペーサー配列は、インバートした配列(鏡像配列)にしてもよい。例えばMBSの5’側にAAC、3’側にCAAを付加することができる。

0028

また本発明のmiRNA阻害複合体を構成する核酸は修飾されていてもよい。例えば核酸を構成するヌクレオチドは、天然のヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド、人工のヌクレオチド、またはそれらの組み合わせであってよい。また本発明のmiRNA阻害複合体に含まれる核酸は、RNAからなっていてもよく、またはRNA・DNAキメラであってよく、あるいはその他の核酸類縁体を含んでもよく、それらの任意を組み合わせを含んでよい。核酸には、リン酸ジエステル結合により結合しているもののみならず、アミド結合やその他のバックボーンを有するもの(ペプチド核酸(PNA)等)が含まれる。核酸類縁体には、例えば天然および人工の核酸が含まれ、核酸誘導体核酸アナログ、核酸派生体等であってよい。そのような核酸類縁体は当該分野において周知であり、例えばホスホロチオエート、ホスホアミデート、メチルホスホネートキラルメチルホスホネート、2"-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。PNAの骨格には、アミノエチルグリシンポリアミドポリエチルポリチオアミドポリスルフィナミド、ポリスルホンアミド、またはそれらの組み合わせからなる骨格を含んでよい(Krutzfeldt, J. et al., Nucleic AcidsRes. 35: 2885-2892; Davis, S. et al., 2006, Nucleic Acids Res. 34: 2294-2304; Boutla, A. et al., 2003), Nucleic Acids Res. 31: 4973-4980; Hutvagner, G. et al., 2004,PLoS Biol. 2: E98; Chan, J.A. et al., 2005, Cancer Res. 65: 6029-6033; Esau, C. et al., 2004, J. Biol. Chem. 279: 52361-52365; Esau, C. et al., 2006, Cell Metab. 3: 87-98)。

0029

核酸の修飾は、エンドヌクレアーゼによる分解を阻害するために行われ得る。特に好ましい修飾には、2"または3"糖修飾、例えば2"-O-メチル(2"-O-Me)化ヌクレオチドまたは2"-デオキシヌクレオチド、または2"-フルオロジフルオロトルイル、5-Me-2"-ピリミジン、5-アリルアミノ-ピリミジン、2"-O-メトキシエチル(2"-O-MOE)、2"-O-アミノプロピル(2"-O-AP)、2"-O-N-メチルアセタミド(2"-O-NMA)、2"-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2"-DMAEOE)、2"-O-ジメチルアミノエチル(2"-O-DMAOE)、2"-O-ジメチルアミノプロピル(2"-O-AP)、2"-ヒドロキシヌクレオチド、ホスホロチオエート、4"-チオヌクレオチド、2"-O-トリフルオロメチルヌクレオチド、2"-O-エチル-トリフルオロメトキシヌクレオチド、2"-O-ジフルオロメトキシ-エトキシヌクレオチド、または2"-アラ−フルオロヌクレオチド、Locked核酸(LNA)、2"-O,4"-C-エチレン架橋核酸 (2"-O,4"-C-ethylene bridged nucleic acid (ENA)) などのエチレン核酸、その他の bridged nucleic acid (BNA)、ヘキシトール核酸(hexitol nucleic acid; HNA)、モルホリノ核酸、トリシクロ-DNA(tcDNA)、ポリエーテル核酸(US Pat. No. 5,908,845)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。またジフルオロトルイル(DFT)修飾、例えば2,4-ジフルオロトルイルウラシル、またはグアニジンイノシンへの置換を行ってもよい。

0030

また、核酸は末端に結合体を含んでよい。結合体としては、例えば親油性物質テルペンタンパク質結合物質ビタミン炭水化物レチノイド、およびペプチド等が挙げられる。具体的には、C5-アミノアルキルdT、ナプロキセンニトロインドール葉酸コラン酸イブプロフェン、レチノイド、ポリエチレングリコール(PEG)、C5ピリミジンリンカー、グリセリド脂質(例えばジアルキルグリセリド誘導体)、ビタミンEコレステロール、チオコレステロール、dU-コレステロール、アルキル鎖アリール基複素環式複合体、および修飾糖(D-リボースデオキシリボースグルコースなど)が例示できる。結合体と核酸は、例えば任意のリンカーを介して結合させることができ、具体的には、ピロリジンリンカー、セリノールリンカー、アミノオキシ、またはヒドロキシプロリノールリンカー等が挙げられる。また、核酸には適宜、細胞透過シグナルを付加することができる。例えば、核酸を細胞に導入するための細胞透過性ペプチドが多数知られている(WO2008/082885)。具体的には、例えばポリアルギニンなどのアルギニンリッチなペプチドが挙げられ、例えばHIV-1 Tat(48-60)、HIV-1 Rev(34-50)、FHVCoat(35-49)、BMV Gag(7-25)、HTLV-II Rex(4-16)、それらの部分ペプチド、またはそのインベルソ(inverso)又はレトロインベルソ(retro-inverso)などであってよい。好適な一例は、配列番号:152に示したHIV-1 Tat 57-49である。アミノ酸は、適宜d体を用いてよい。細胞透過性ペプチド等は、周知のリンカーにより、核酸に結合させればよい。

0031

本発明のmiRNA阻害複合体は直鎖状の一本鎖核酸により構成されるように設計することができる(図2)。本発明は特に、MBSの全てがある二本鎖構造(図2のステムI)の片側(図2においては右側)に集中しており、該二本鎖構造の各鎖は、その側で閉じた構造となっており(すなわちMBSを含む配列によりつながっており)、該二本鎖構造の反対側に一本鎖RNAの両端があるような複合体に関する(図2)。MBSを含む配列中には、さらなる多重鎖(例えば二または四本鎖)構造(図2のステムIIやIIIなど)を含んでもよい。一本鎖RNAの長さは適宜決めてよいが、例えば500塩基内、好ましくは450塩基以内、420塩基以内、400塩基以内、380塩基以内、360塩基以内、340塩基以内、320塩基以内、300塩基以内、280塩基以内、260塩基以内、240塩基以内、220塩基以内、200塩基以内、180塩基以内、160塩基以内、140塩基以内、120塩基以内、100塩基以内、または80塩基以内である。例えば2つの二本鎖構造と2つのMBSを持つ複合体を形成する一本鎖RNAの長さは、例えば60〜300塩基、好ましくは70〜250塩基、80〜200塩基、90〜180塩基、または100〜150塩基である。第一の二本鎖構造(一本鎖RNAの両端に近い二本鎖構造)は、例えば15〜30bp、好ましくは16〜28bp、好ましくは17〜25bp、好ましくは17〜24bp、例えば17bp、18bp、19bp、20bp、21bp、22bp、23bp、または24bpとすることができ、第二の二本鎖構造(MBSを含む配列中に含まれるさらなる二本鎖構造)は、全体をコンパクトにするために、第一の二本鎖構造の長さよりも短くしてもよく、例えば4bp〜20bpであり、例えば5bp〜15bp、5bp〜12bp、5bp〜10bp、6bp〜9bp、または7bp〜8bpとしてよい。

0032

また本発明は、本発明のmiRNA阻害複合体を構成するRNA(ここでRNAとしては、天然のRNAおよび核酸類縁体を含む)、および該RNAをコードする核酸(DNAまたはRNA)に関する。miRNA阻害RNA複合体が1分子のRNAにより構成されている場合は、そのRNAの分子内アニーリングにより、また2本以上のRNA分子により構成されている場合は、それらのRNAをアニールさせることにより、本発明の複合体を構築することができる。これらのRNAは適宜合成することができる。例えば、RNAの化学合成により所望のRNAを製造することができる。あるいは、該RNAを発現する発現ベクターにより、RNAを発現させることもできる。発現ベクターは特に制限はなく、例えば大腸菌などのバクテリア酵母等の真核細胞昆虫細胞植物細胞、または動物細胞等で発現する所望の発現ベクターを用いることができる。例えば、植物、昆虫動物等の高等真核生物の細胞で発現するベクターを用いて、それらの細胞中でRNAを発現させ、miRNAの機能を阻害することが考えられる。RNAを転写させるためのプロモーターは特に制限はなく、Pol Iプロモーター、Pol IIプロモーター、Pol IIIプロモーター、バクテリオファージのプロモーター等を用いることができる。例えばバクテリオファージの転写酵素とそのプロモーターを有するベクターを同時に導入して用いる場合には、T4ファージやT7ファージRNAポリメラーゼやプロモーターを例示することができる。またポリメラーゼII(Pol II)プロモーターとしては、例えばCMVプロモーターやβ-globinプロモーター等を例示することができる。数百塩基以内の比較的短いRNAを発現させるためには、Pol IIよりも高い発現量が見込めるポリメラーゼIII(Pol III)プロモーターを利用することが好ましい。Pol IIIプロモーターとしては、U6プロモーター、H1プロモーター、tRNAプロモーター、7SKプロモーター、7SLプロモーター、Y3プロモーター、5SrRNAプロモーター、Ad2 VAIおよびVAIIプロモーター等を例示することができる(Das, G. et al., 1988,EMBO J. 7:503-512; Hernandez, N., 1992, pp. 281-313, In S. L. McKnight and K. R. Yamamoto (ed.), Transcriptional regulation, vol. 1. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.; Kunkel, G. R., 1991, Biochim. Biophys. Acta 1088:1-9; Lobo, S. M., and N. Hernandez, 1989, Cell 58:55-67; Mattaj, I. W. et al., 1988, Cell 55:435-442; Geiduschek, E.P. and G.A. Kassavetis, 1992, pp.247-280, In Transcriptional regulation. Monograph 22 (ed. S.L. McKnight and K.R. Yamamoto), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York.)。特に、数多くのsnRNAや細胞質RNA遺伝子に見出されるClass 3プロモーターが例示でき、例えばU6, 7SK, hY1 および hY3, H1, およびMRP/Th RNA遺伝子のプロモーターが挙げられる(Hernandez, N., 1992, pp. 281-313, In Transcriptional regulation. Monograph 22 (ed. S. McKnight and K.R. Yamamoto), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)。例えばhuman U6、human H1、human 7SKあるいは mouse U6プロモーター等を好適に用いることができる。特に、7SKプロモーターを用いて本発明のmiRNA阻害RNAを発現させた場合、極めて高い効率で標的miRNAを阻害できることが実施例において示された。Pol IIIプロモーターを用いる場合、転写させるRNAをコードするDNAの下流に、例えば4〜7塩基程度のポリ(T) tractを付加することにより、転写のターミネーターとして機能させることができる。

0033

このようにして構築した転写ユニットは、そのまま発現に用いることもできるし、さらに別のベクター系に組み込んで用いることもできる。ベクターとしては、特に制限はなく、発現プラスミドや所望のウイルスベクター等を利用することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターアデノ随伴ウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに制限されない(Miller, A.D. et al. (1991) J. Virol. 65, 2220-2224; Miyake, S. et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 8802-8806; Samulski, R. J. et al. (1989) J. Virol. 63, 3822-3828)。例えば、Pol IIIプロモーターを含む転写ユニットは、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)のLTR中に組み込んで用いられてもよい。レトロウイルスベクターに組み込むことにより、標的細胞へ高い効率で遺伝子を導入することができるようになる他、導入遺伝子染色体に組み込まれるため、長期間安定してmiRNAを阻害することが可能となる。用いられるレトロウイルスとしては特に制限はなく、例えばエコトロピックウイルスベクター(Kitamura, T. et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 92, 9146-9150)、アンフォトピックウイルスベクター、VSV-G等によりシュードタイプ化されたウイルスベクター(Arai, T. et al. (1998) J. Virol. 72, 1115-1121)、HIVベクター、SIVベクター、FIVベクター等のレンチウイルスベクター(Shimada, T. et al. (1991) J. Clin. Inv. 88, 1043-1047)などが含まれる。例えばMoMLVベースのレトロウイルスベクターや、HIVベースのレンチウイルスベクターを用いることができる。LTRに組み込む場合、例えばU3領域に欠失(ΔU3)を有するLTRのΔU3領域に組み込むことができる(図15)。このましい態様においては、ベクターは、細胞に導入後1週間以上、好ましくは2週間以上、3週間以上、4週間以上、または1箇月以上にわたり、miRNA阻害RNAを発現し、miRNAの機能を阻害することができる。

0034

前述の通り、miRNA阻害RNA複合体を一本鎖の直鎖状RNA分子から構成されるように設計した場合、このRNAを転写する一種類の発現ベクターを細胞に導入するだけで、細胞内でmiRNA阻害RNA複合体を形成させ、目的のmiRNAを阻害することができるので好都合である。この場合、既に述べた通り、miRNA阻害RNA複合体に含まれる1または複数のMBSの全てが、ある二本鎖構造(第一の二本鎖構造;図2のステムIに相当)の片側のみに存在し、該片側の二本鎖は、MBSを含むRNAによりつながれるように(すなわち閉じたように)設計し、該二本鎖構造の反対側は、直鎖状RNA鎖の両端となるようにすることができる。こうすることで、該二本鎖構造を形成する部分および直鎖状一本鎖RNAの両端に相当する部分は、MBSによらない定常領域であり、該一本鎖RNAの部分だけが、MBSにより変わりうる可変領域とすることができる。すなわち、このような構造を持つRNAは、miRNA阻害の効率性と製造のしやすさを兼ね備えたものである。該MBSを含むRNAは、2つ以上のMBSを含んでよく、MBSの間にステム(またはステムループ)を形成する配列を含んでよい。ステムは例えば2または4本鎖のステムであってよい。

0035

miRNA阻害RNA複合体を構成する一本鎖RNAをこのように設計すれば、定常領域となる二本鎖構造を構成する一対の相補配列をコードするベクター(例えばmiRNA阻害RNA発現用カセット)を予め構築しておき、その一対の相補配列の間に、目的のmiRNAに結合するMBSをコードするDNAを挿入することにより、目的のmiRNAに応じてmiRNA阻害RNA複合体を発現するベクターを簡便に構築することが可能となる(図6)。一対の相補配列の上流には、適宜プロモーターを配置してよい(図6B)。プロモーターとしては、特に制限はないが、Pol IIIプロモーターは好適である。また、一対の相補配列の下流には、ターミネーターを配置することができる。一対の相補配列を発現するDNAは、miRNA阻害RNA複合体を構成する一本鎖RNAを発現させるために極めて有用である。一対の相補配列の間には、MBSをコードするDNAを挿入することができるように、適宜挿入部位を設計することができる。挿入部位としては、所望の制限酵素認識配列マルチクローニングでもよい)や、att配列などの部位特異的組み換え配列などであってもよく、あるいは直ぐに挿入できるように予め切断されていてもよい。

0036

また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAをコードする核酸(例えばDNA)を製造する方法であって、少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする2本鎖DNAの間に、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする2本鎖DNAを挿入する工程を含む方法に関する。また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAを発現する核酸(例えばDNA)を製造する方法であって、プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする2本鎖DNAの間に、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする2本鎖DNAを挿入する工程を含む方法に関する。

0037

また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAをコードする核酸を製造するための核酸であって、少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸および/またはその相補鎖に関する。また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAをコードする核酸を製造するための組成物であって、少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸および/またはその相補鎖を含む組成物に関する。組成物は、適宜薬学的に許容される担体をさらに含んでよい。また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAを発現するベクターを製造するための核酸であって、プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸および/またはその相補鎖に関する。また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAを発現するベクターを製造するための組成物であって、プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸および/またはその相補鎖を含む組成物に関する。

0038

また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAをコードする核酸を製造するための核酸(例えばDNA)であって、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸および/またはその相補鎖に関する。また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAをコードする核酸(例えばDNA)を製造するための組成物であって、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸および/またはその相補鎖を含む組成物に関する。

0039

また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAをコードする核酸を製造するための、少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸および/またはその相補鎖の使用に関する。また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAを発現するベクターを製造するための、プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸および/またはその相補鎖の使用に関する。また本発明は、本発明のRNA複合体を構成するRNAをコードする核酸を製造するための、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸および/またはその相補鎖の使用に関する。

0040

また上記の核酸の任意の組み合わせは、本発明のRNA複合体を構成するRNAをコードする核酸を製造するためのキットの要素とすることができる。特に本発明は、少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸およびその相補鎖を含むキットに関する。該核酸および相補鎖は、2本鎖DNAを形成していてよい。また1対の相補配列を含む2本鎖DNAには、プロモーターおよび/またはターミネーターが機能的に連結されていてよい。該核酸は、例えば発現プラスミドであってよい。またキットには、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸および/またはその相補鎖をさらに含んでいてよい。例えば本発明は、本発明のRNA複合体を発現するベクターを製造するためのキットであって、(a)プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列と、該一対の相補配列の間に核酸を挿入するための部位とを含む核酸、および(b)少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸、を含むキットに関する。

0041

上記少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列をコードする核酸の間に、少なくとも1つのmiRNA結合配列をコードする核酸を挿入することにより、本発明のRNA複合体をコードする核酸を簡便に得ることができる。各核酸の構造は、本発明のRNA複合体について詳述した通りである。例えば二本鎖構造を形成する1対の相補配列は、適宜決められてよく、その鎖長は、例えば15〜50塩基対であってよく、好ましくは15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45塩基、あるいはそれらのいずれか以上であり、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、または18塩基、あるいはそれらのいずれか以下である。より好ましい態様では、二本鎖構造の塩基対の長さは、例えば15〜30、好ましくは16〜28、好ましくは17〜25、好ましくは17〜24、例えば17、18、19、20、21、22、23、または24である。好ましい態様では、当該核酸は二本鎖核酸であり所望のプロモーターが機能的に連結されている。プロモーターは、好ましくはPol IIIプロモーターである。1対の相補配列の間には、核酸を挿入するための部位を有することができ、例えば核酸を挿入しやすいように制限酵素認識配列を持つことができる。すなわち本発明は、本発明のRNA複合体を発現する核酸を製造するためのベクターであって、プロモーターの下流に少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列と、該一対の相補配列の間に核酸を挿入するための部位とを含む核酸を含むベクターに関する。制限酵素認識配列としてはBsmBI配列を例示することができるが、これは例示に過ぎず適宜選択することができる。

0042

少なくとも1つのMBSをコードする核酸は、2つ以上のMBSを含んでもよく、また多重鎖(例えば二または四本鎖)構造を形成し得る1対またはそれ以上の相補配列のセットを一続きの配列中に含んでいてもよい。例えば、当該核酸としては少なくとも1つの二本鎖構造を形成する1対の相補配列と、該一対の相補配列の両端にそれぞれ少なくとも1つのMBSをと含む核酸が例示できる。このような核酸は、具体的には、2つのMBSの間に、ステムを形成し得る一対の相補配列を含んでいる核酸である。このステムは、上記第二の二本鎖構造に相当する。あるいは第二の多重鎖構造としてG-quadruplexを形成する配列を含んでもよい。 また当該核酸は、2つのMBSの間に二本鎖構造を形成し得る1対の相補配列を含む構造単位を、2個以上含んでいてもよい。その構造単位は複数入れ子状に含むことができ、1対のMBSの間にある二本鎖構造を形成し得る1対の相補配列の間に、さらに1対のMBSとその間に二本鎖構造を形成し得る1対の相補配列を含む配列を含むことができる(図2の#15や#16等)。複数含まれているMBSの配列は同一であっても異なっていてもよい。

0043

このような核酸を上記の1対の相補配列の間に挿入すると、第一の二本鎖構造を形成する一対の相補配列(図6のステムI)の間に、MBS−第二の多重鎖構造を形成する配列−MBSの構造を持つ配列が挿入された構造を持つ核酸が得られる。具体的には、例えばMBS−第二の二本鎖構造を形成する一対の相補配列(図6のステムII)−MBSの構造を持つ配列が挿入された構造を持つ核酸である。これを転写させることで、MBSを含む2本の鎖が2つの多重鎖(例えば二本鎖)構造に挟まれるように配置されたRNA複合体をコードする核酸を得ることができる(図6)。2つの多重鎖(例えば二本鎖)構造とその間の一対の対向する一本鎖(それぞれにMBSを含む)からなる核酸は、コンパクトでかつ十分なmiRNA阻害活性を示す。 二本鎖構造を形成し得る1対の相補配列とMBSは、適宜リンカーやスペーサーを介して連結させることができる。リンカーやスペーサーの長さは明細書に記載した通りである。また、相補配列はリンカーやスペーサーを介して連結してよく、二本鎖を形成したときに、当該リンカーやスペーサーはループとなり、二本鎖を合わせてステムループを形成する。ループの長さも適宜調整してよく、詳細は明細書に記載した通りである。あるいは4本鎖とする場合は、G-quadruplexを形成する配列を適宜用いることができる。 MBSをコードする核酸と、その相補鎖を合成し、両者をアニールする(例えば図6Bの合成オリゴDNA)。アニールした2本鎖核酸の末端は、制限酵素認識部位に挿入する場合には、それに合わせて、適宜制限酵素で切断された末端と同じ構造にすることができる。

0044

本発明のmiRNA阻害複合体、または該複合体を構成するRNA(ここでRNAとしては、天然のRNAおよび類縁体を含む)、あるいは該RNAを発現するベクターは、miRNAを阻害するための組成物とすることができる。本発明の組成物は、標的miRNAを特異的かつ効率的に阻害できるので、miRNAの阻害を介した遺伝子の機能制御に有用である。本発明の組成物は、必要に応じて薬理学的に許容される所望の担体または媒体と組み合わせることができる。それらには、通常核酸の懸濁に用いられる所望の溶液が挙げられ、例えば蒸留水リン酸緩衝生理食塩水PBS)、塩化ナトリウム溶液リンゲル溶液培養液等が例示できる。また植物油懸濁剤界面活性剤、安定剤、殺生物剤等が含有されていてもよい。また保存剤またはその他の添加剤を添加することができる。また本発明の組成物は、バイオポリマーなどの有機物ハイドロキシアパタイトなどの無機物、具体的にはコラーゲンマトリックスポリ乳酸ポリマーまたはコポリマーポリエチレングリコールポリマーまたはコポリマーおよびその化学的誘導体などを担体として組み合わせることもできる。本発明の組成物は、所望の試薬として、または医薬組成物として使用できる。また本発明は、本発明の組成物、本発明のmiRNA阻害複合体、または該複合体を構成するRNAもしくは該RNAを発現するベクターの、miRNAを阻害するための使用を提供する。また本発明は、それらのいずれかを含むmiRNA阻害剤を提供する。

0045

細胞への導入はin vitro、ex vivoまたはin vivoで行うことができる。細胞を介して投与する場合は、適当な培養細胞または接種対象動物から採取した細胞などに導入する。核酸の導入としては、リン酸カルシウム共沈殿法、リポフェクションDEAEデキストラン法、注射針等により直接DNA溶液を組織に注入する方法、ジーンガンによる導入などが挙げられる。ウイルスベクターは、標的細胞に対して高い効率で遺伝子を導入することができるため好ましい。投与量は、疾患、患者の体重、年齢性別、症状、投与目的、投与組成物の形態、投与方法、導入遺伝子等により異なるが、投与対象動物、投与部位投与回数などに応じて適宜調整してよく、当業者であれば適宜決定することが可能である。投与経路は適宜選択することができる。投与対象は、好ましくは哺乳動物(ヒトおよび非ヒト哺乳類を含む)である。具体的には、ヒト、サル等の非ヒト霊長類、マウス、ラットなどのげっ歯類ウサギ、ヤギ、ヒツジブタウシイヌネコ、およびその他の哺乳動物が含まれる。

0046

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本明細書中に引用された文献は、すべて本明細書の一部として組み込まれる。

0047

[実施例1]1.1プラスミド構築下記(1)に示したオリゴヌクレオチドをアニールさせ、NotIおよびSalIで切断したpMXs-GIN(Haraguchi, T. et al. (2007) FEBSLett, 581, 4949-4954)にクローニングし、それぞれmiR-140-5p および miR-140-3pのGFPレポーターであるpMXs-GIN-miR140-5pT および pMXs-GIN-miR140-3pTを作製した。pMXs-GFP(Kitamura, T. (1998) Int J Hematol, 67, 351-359)の0.7kbBamHI-EcoRI断片をpcDNA3.1 (Invitrogen)のBamHI-EcoRI部位に挿入し、pcDNA3.1-GFPを作製した。pcDNA3.1-GFPのBamHI 部位および EcoRI部位を、Klenow fragmentでそれぞれフィルインした。このプラスミドの1.7kb BglII-EcoRV断片をpQCXIH (Clontech)のBglII-EcoRV部位に挿入してpSSCGを作製した。pIRES1Hyg (Clontech)の1.3kb HindIII-XbaI断片をpcDNA3.1のHindIII-XbaI部位に挿入してpCMV-Hygを作製した。pCMV-Hygの2.1kb NruI-ApaI断片をpSSCGのNruI-EcoRV部位に挿入してpSSCHを作製した。miR-140-5p/140-3p発現レトロウイルスベクタープラスミドを構築するため、下記(1)に示したプライマー対を用いてマウスゲノムからPCRにより 0.5-kb マウス miR-140-5p/140-3p断片を増幅し、PCR産物をpCR2.1 (Invitrogen)にクローニングした。このプラスミドの0.5-kb BamHI-XhoI断片をBamHIおよびSalIで消化したpSSCH にクローニングし、pSSCH-miR140-5p/140-3pを作製した。

0048

用いたオリゴヌクレオチド(1)GFPレポーターベクター構築のためのプライマー対pMXs-GIN-miR140-3pT のためには、センス鎖5"- GGCCGCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAGGG -3"(配列番号:1)およびアンチセンス鎖5"- TCGACCCTACCACAGGGTAGAACCACGGAGC-3"(配列番号:2)、pMXs-GIN-miR140-5pT のためには、センス鎖 5"- GGCCGCTCTACCATAGGGTAAAACCACTGGGG -3"(配列番号:3)およびアンチセンス鎖 5"- TCGACCCCAGTGGTTTTACCCTATGGTAGAGC -3"(配列番号:4)、PCR-miR140-5p/140-3p のためには、センス鎖 5"-TGCTTGCTGGTGGTGTAGTC -3"(配列番号:5)およびアンチセンス鎖 5"- ACCAACACCCACCCAATAGA -3"(配列番号:6)である。

0049

下記(2)に示したオリゴペアをアニールさせ、BbsI および EcoRIで消化したpmU6 にクローニングし、pmU6-TuD-shuttleを作製した。miRNA阻害RNA発現レンチウイルスベクタープラスミドを構築するため、下記(3)に示した一連のオリゴヌクレオチド対を合成した。各オリゴペアをアニールし、BsmBIで消化したpmU6-TuD-shuttleにクローニングした。その後、各mU6-TuD RNAカセットをレンチウイルスベクタープラスミド(pLSP)に、以前記載したようにサブクローニングした(Haraguchi, T. et al. (2007) FEBSLett, 581, 4949-4954)。これらのカセットをpSL1180 (Pharmacia)のBamHI-EcoRI 部位にも挿入し、miRNA阻害RNA発現プラスミドベクターを作製した。下記(2)に示されているオリゴペアをアニールさせ、BbsI および EcoRIで消化したpmU6にクローニングし、pmU6-protoshuttleを作製した。阻害RNA発現レンチウイルスベクタープラスミドを構築するため、下記(4)に示した一連のオリゴヌクレオチド対を合成した。オリゴペア(デコイRNA #1-12, 17-21)それぞれをアニールし、BbsI および EcoRIで消化したpmU6にクローニングした。オリゴペア(デコイ RNA #13-16)それぞれをアニールし、BsmBIで消化したpmU6-protoshuttleにクローニングした。オリゴペア(デコイ RNA #22-26)それぞれをアニールし、BsmBIで消化したpmU6-TuD-shuttleにクローニングした。mU6-デコイ RNA #27カセットの構築のために、下記(4)に示したオリゴペアをPCRのプライマーおよびテンプレートとして用い、PCT産物をpCR2.1にクローニングした。このプラスミドの0.2-kbBsmBI断片をBsmBIで消化したpmU6-TuD-shuttleにクローニングした。その後、各mU6-デコイ RNAカセットをレンチウイルスベクタープラスミド(pLSP)に、以前の通りにサブクローニングした(Haraguchi, T. et al. (2007) FEBS Lett, 581, 4949-4954)。

0050

用いたオリゴヌクレオチド(2)本発明のRNAのシャトルベクター構築のためのプライマー対pmU6-TuD-shuttleのためには、センス鎖5"-TTTGACGGCGCTAGGATCATCGGAGACGGTACCGTCTCGATGATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG -3"(配列番号:7)およびアンチセンス鎖5"- AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATCATCGAGACGGTACCGTCTCCGATGATCCTAGCGCCGT-3"(配列番号:8)、pmU6-protoshuttleのためには、センス鎖 5"- TTTGACGGCGCTAGGATCATCGGAGACGGTACCGTCTCCGATGATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG -3"(配列番号:9)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATCATCGGAGACGGTACCGTCTCCGATGATCCTAGCGCCGT-3"(配列番号:10)を用いた。

0051

(3)本発明のRNAの発現ベクター構築のためのプライマー対TuD-miR-140-5p-4ntinのためには、センス鎖センス鎖 5"-CATCAACCTACCATAGGGTCATCAAAACCACTGCAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACCTACCATAGGGTCATCAAAACCACTGCAAG -3"(配列番号:11)およびアンチセンス鎖5"- TCATCTTGCAGTGGTTTTGATGACCCTATGGTAGGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGCAGTGGTTTTGATGACCCTATGGTAGGTT -3"(配列番号:12)を用いた。TuD-miR-140-3p-4ntinのためには、センス鎖 5"- CATCAACTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACAAG -3"(配列番号:13)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCTTGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGTT-3"(配列番号:14)を用いた。TuD RNA-miR140-3p-pfのためには、センス鎖 5"- CATCAACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTACAA -3"(配列番号:15)およびアンチセンス鎖 5"- CATCTTGTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTT -3"(配列番号:16)を用いた。TuD RNA-miR21-4ntinのためには、センス鎖 5"- CATCAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAG -3"(配列番号:17)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTT -3"(配列番号:18)を用いた。TuD RNA-miR21-pfのためには、センス鎖 5"- CATCAACTCAACATCAGTCTGATAAGCTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACTCAACATCAGTCTGATAAGCTACAAG -3"(配列番号:19)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCTTGTAGCTTATCAGACTGATGTTGAGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTAGCTTATCAGACTGATGTTGAGTT-3"(配列番号:20)を用いた。TuD RNA-NCのためには、センス鎖 5"- CATCAACAAGCCACAACGAATCTCTATATCATCAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACAAGCCACAACGAATCTCTATATCATCAAG -3"(配列番号:21)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCTTGATGATATAGAGATTCGTTGTGGCTTGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGATGATATAGAGATTCGTTGTGGCTTGTT-3"(配列番号:22)を用いた。

0052

(4)デコイRNA発現ベクターの構築のためのプライマー対デコイRNA #1のためには、センス鎖5"-TTTGACGGCGCTGGATGCTTGGATCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAAGGAAGCATCCAGCGCCGTCTTTTTTG -3"(配列番号:23)およびアンチセンス鎖5"- AATTCAAAAAAGACGGCGCTGGATGCTTCCTTACCACAGGGTAGAACCACGGATCCAAGCATCCAGCGCCGT -3"(配列番号:24)を用いた。 デコイRNA #2のためには、センス鎖 5"- TTTGACGGCGCTAGGATGCTTGGATCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAAGGAAGCATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG -3"(配列番号:25)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATGCTTCCTTACCACAGGGTAGAACCACGGATCCAAGCATCCTAGCGCCGT -3"(配列番号:26)を用いた。 デコイRNA #3のためには、センス鎖 5"- TTTGACAGCGCTCTACGATGAAGGCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAAGGTTCATCGTAGAGCGCTGTCTTTTTTG -3"(配列番号:27)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACAGCGCTCTACGATGAACCTTACCACAGGGTAGAACCACGGAGCCTTCATCGTAGAGCGCTGT -3"(配列番号:28)を用いた。 デコイRNA #4のためには、センス鎖 5"- TTTGACAGCGCTCTACGATGCAAGGCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAAGGTTGCATCGTAGAGCGCTGTCTTTTTTG -3"(配列番号:29)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACAGCGCTCTACGATGCAACCTTACCACAGGGTAGAACCACGGAGCCTTGCATCGTAGAGCGCTGT -3"(配列番号:30)を用いた。 デコイRNA #5のためには、センス鎖 5"- TTTGACAGCGCTCGCAGGATGCTTGGCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAAGGAAGCATCCTGCGAGCGCTGTCTTTTTTG -3"(配列番号:31)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACAGCGCTCGCAGGATGCTTCCTTACCACAGGGTAGAACCACGGAGCCAAGCATCCTGCGAGCGCTGT -3"(配列番号:32)を用いた。 デコイRNA #6のためには、センス鎖 5"- TTTGACAGCGCTCAAAGCAGGATGCTTGGCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAAGGAAGCATCCTGCTTTGAGCGCTGTCTTTTTTG -3"(配列番号:33)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACAGCGCTCAAAGCAGGATGCTTCCTTACCACAGGGTAGAACCACGGAGCCAAGCATCCTGCTTTGAGCGCTGT -3"(配列番号:34)を用いた。 デコイRNA #10のためには、センス鎖 5"-TTTGACGGCGCTAGGATCATCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAGTATTCTGGTCACAGAATACGATGATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG-3"(配列番号:35)およびアンチセンス鎖 5"-AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATCATCGTATTCTGTGACCAGAATACTACCACAGGGTAGAACCACGGAGATGATCCTAGCGCCGT-3"(配列番号:36)を用いた。 デコイRNA #11のためには、センス鎖 5"-TTTGACGGCGCTAGGATCATCGTATTCTGGTCACAGAATACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTATCTTCTCTAACGAGAGAAGAGATGATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG-3"(配列番号:37)およびアンチセンス鎖 5"-AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATCATCTCTTCTCTCGTTAGAGAAGATACCACAGGGTAGAACCACGGAGTATTCTGTGACCAGAATACGATGATCCTAGCGCCGT-3"(配列番号:38)を用いた。 デコイRNA #12のためには、センス鎖 5"-TTTGACGGCGCTAGGATCATCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAGTATTCTGGTCACAGAATACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAGATGATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG-3"(配列番号:39)およびアンチセンス鎖 5"-AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATCATCTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTATTCTGTGACCAGAATACTACCACAGGGTAGAACCACGGAGATGATCCTAGCGCCGT-3"(配列番号:40)を用いた。 デコイRNA #13のためには、センス鎖 5"- CATCAACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTACAA -3"(配列番号:41)およびアンチセンス鎖 5"- CATCTTGTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTT -3"(配列番号:42)を用いた。 デコイRNA #14のためには、センス鎖 5"- CATCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAGTATTCTGAGATCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAAGACAGAATACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTA -3"(配列番号:43)およびアンチセンス鎖 5"- CATCTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTATTCTGTCTTACCACAGGGTAGAACCACGGATCTCAGAATACTACCACAGGGTAGAACCACGGA -3"(配列番号:44)を用いた。 デコイRNA #15のためには、センス鎖 5"- CATCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAGTATTCTGTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAGTATTCTGGTCACAGAATACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTACAGAATACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTA -3"(配列番号:45)およびアンチセンス鎖 5"- CATCTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTATTCTGTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTATTCTGTGACCAGAATACTACCACAGGGTAGAACCACGGACAGAATACTACCACAGGGTAGAACCACGGA -3"(配列番号:46)を用いた。 デコイRNA #16のためには、センス鎖 5"- CATCTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAGTATTCTGTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAGTATTCTGAGATCCGTGGTTCTACCCTGTGGTAAGACAGAATACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTACAGAATACTCCGTGGTTCTACCCTGTGGTA -3"(配列番号:47)およびアンチセンス鎖 5"- CATCTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTATTCTGTACCACAGGGTAGAACCACGGAGTATTCTGTCTTACCACAGGGTAGAACCACGGATCTCAGAATACTACCACAGGGTAGAACCACGGACAGAATACTACCACAGGGTAGAACCACGGA -3"(配列番号:48)を用いた。 デコイRNA #17のためには、センス鎖 5"- TTTGACGGCGCTAGGATGCTTGGATCCGTGGTTCTAACCCTGTGGTAAGGAAGCATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG -3"(配列番号:49)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATGCTTCCTTACCACAGGGTTAGAACCACGGATCCAAGCATCCTAGCGCCGT -3"(配列番号:50)を用いた。 デコイRNA #18のためには、センス鎖 5"- TTTGACGGCGCTAGGATGCTTGGATCCGTGGTTCTAATCCCTGTGGTAAGGAAGCATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG -3"(配列番号:51)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATGCTTCCTTACCACAGGGATTAGAACCACGGATCCAAGCATCCTAGCGCCGT -3"(配列番号:52)を用いた。 デコイRNA #19のためには、センス鎖 5"- TTTGACGGCGCTAGGATGCTTGGATCCGTGGTTCTAACTCCCTGTGGTAAGGAAGCATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG -3"(配列番号:53)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATGCTTCCTTACCACAGGGAGTTAGAACCACGGATCCAAGCATCCTAGCGCCGT -3"(配列番号:54)を用いた。

0053

デコイRNA #20のためには、センス鎖5"-TTTGACGGCGCTAGGATGCTTGGATCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTAAGGAAGCATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG -3"(配列番号:55)およびアンチセンス鎖5"- AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATGCTTCCTTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGATCCAAGCATCCTAGCGCCGT -3"(配列番号:56)を用いた。 デコイRNA #21のためには、センス鎖 5"- TTTGACGGCGCTAGGATGCTTCCATCCCAGTACACATTTAAATCTGTGGTACCAAGCATCCTAGCGCCGTCTTTTTTG -3"(配列番号:57)およびアンチセンス鎖 5"- AATTCAAAAAAGACGGCGCTAGGATGCTTGGTACCACAGATTTAAATGTGTACTGGGATGGAAGCATCCTAGCGCCGT -3"(配列番号:58)を用いた。 デコイRNA #22のためには、センス鎖 5"- CATCCTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACGTATTCTGGTCACAGAATACCTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACG -3"(配列番号:59)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGGTATTCTGTGACCAGAATACGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAG -3"(配列番号:60)を用いた。 デコイRNA #23のためには、センス鎖 5"- CATCCCTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACCGTATTCTGGTCACAGAATACCCTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACCG -3"(配列番号:61)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCGGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGGGTATTCTGTGACCAGAATACGGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGG -3"(配列番号:62)を用いた。 デコイRNA #24 のためには、センス鎖 5"- CATCAACTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACAAG -3"(配列番号:63)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCTTGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGTT-3"(配列番号:64)を用いた。 デコイRNA #25のためには、センス鎖 5"- CATCACCCTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACCCAGTATTCTGGTCACAGAATACACCCTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACCCAG -3"(配列番号:65)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCTGGGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGGGTGTATTCTGTGACCAGAATACTGGGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGGGT -3"(配列番号:66)を用いた。 デコイRNA #26のためには、センス鎖 5"- CATCAACCCTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACCCAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACCCTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACCCAAG-3"(配列番号:67)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCTTGGGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGGGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGGGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGGGTT-3"(配列番号:68)を用いた。 デコイRNA #27のためには、センス鎖 5"- CGTCTCACATCAACTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACAAGCGACAAGAACTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGTACAAGTATTCTGAACTCCGTGGTTCTAATCTCCCTGTGGT-3"(配列番号:69)およびアンチセンス鎖 5"- CGTCTCATCATCTTGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGTTGCGACAAGTTGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGGAGTTGTATTCTGTTGTACCACAGGGAGATTAGAACCACGG-3"(配列番号:70)を用いた。

0054

microRNA CMV sponge miR21発現ベクタープラスミドの構築のために、下記(5)に示したオリゴペアをPCRのプライマーおよびテンプレートとして用い、PCR産物をpCR2.1にクローニングした。このプラスミドの0.2-kbXhoI-AgeI断片をXhoI および AgeIで消化したpLenti6/V5-GW/lacZ (Invitrogen)にクローニングし、pLenti6/CMV-sponge-miR21/lacZを作製した。pCS2-Venusの 0.3-kb XbaI-ApaI 断片をpSL1180のXbaI-ApaI部位にクローニングしてpSL1180-polyAを作製した。pLenti6/CMV-sponge-miR21/lacZ の3.9-kb HindIII-AgeI断片をpSL1180-polyAのHindIII-AgeI 部位にクローニングしてpSL1180-CMVsponge21を作製した。Antagomir21 発現ベクタープラスミドを構築するため(Scherr, M. et al. (2007) Nucleic AcidsRes, 35(22):e149)、下記(5)に示したオリゴペアをPCRのプライマーとして用い、 pSilencer 3.1-H1 hygro (Ambion) をテンプレートとして用いた。PCR産物をpCR2.1にクローニングし、このプラスミドの0.2-kb BglII-EcoRI断片をpSL1180のBamHI-EcoRI断片にクローニングしてpSL1180-H1Antagomir21を作製した。miR-21 eraser発現ベクタープラスミドを構築するため(Sayed, D. et al. (2008) Mol Biol Cell, 19(8):3272-82)、下記(5)に示したオリゴペアをPCRのプライマーとして用い、 pmU6 をテンプレートとして用いた。PCR産物をBamHI および EcoRIで消化し、pSL1180のBamHI-EcoRI断片にクローニングしてpSL1180-miR-21 eraserを作製した。

0055

ルシフェラーゼレポータープラスミドを構築するため、pGL4.74 (Promega)の0.8-kbKpnI-HindIII 断片をKpnI および HindIIIで消化したpGL4.12 (Promega) にクローニングしpTK4.12を作製した。下記(6)に示したオリゴヌクレオチド対をアニールし、pTK4.12の4.9-kb EcoRI-XbaI断片にライゲーションしてpTK4.12C.P-を作製した。下記(6)に示したオリゴヌクレオチド対をアニールさせ、XbaI および FseI で消化したpGL4.74にクローニングしてpGL4.74-miR21Tを作製した。

0056

用いたオリゴヌクレオチド(5)AntagomiR, miRNA eraser およびCMV sponge発現ベクター構築のために用いたプライマー対CMVsponge21のためには、センス鎖5"- CTCGAGTAACTCAACATCAGGACATAAGCTAAGTCTCAACATCAGGACATAAGCTATCAGTCAACATCAGGACATAAGCTACTGATCAACATCAGGACATAAGCTA -3"(配列番号:71)およびアンチセンス鎖5"-ACCGGTTAGCTTATGTCCTGATGTTGACCGATAGCTTATGTCCTGATGTTGACAGTTAGCTTATGTCCTGATGTTGAGTTCTAGCTTATGTCCTGATGTTGATCAG -3"(配列番号:72)を用いた。AntagomiR21のためには、フォワード5"- AGATCTAATTCATATTTGCATGTCGCT -3"(配列番号:73)およびリバース5"- GAATTCAAAAAATAGCTTATGTCCTGATGTTGAGGATCCGAGTGGTCTCATACAGAACTTATA -3"(配列番号:74)を用いた。miR-21 eraserのためには、フォワード 5"- CGGGATCCATCCGACGCCGCCATCTCTA -3"(配列番号:133)およびリバース 5"- GGAATTCAAAAAATAGCTTATCAGACTGATGTTGATAGCTTATCAGACTGATGTTGAAAACAAGGCTTTTCTCCAA -3"(配列番号:134)を用いた。(6)ルシフェラーゼレポーターベクター構築のために用いたプライマー対 pTK4.12C.P-のインサートのためには、センス鎖 5"- AATTAATAATGACTCGAGT-3"(配列番号:75)およびアンチセンス鎖 5"- CTAGACTCGAGTCATTATT-3"(配列番号:76)を用いた。pGL4.74-miR21Tのためには、センス鎖 5"- AATTCTCAACATCAGTCTGATAAGCTAC-3"(配列番号:77)およびアンチセンス鎖 5"- TCGAGTAGGCTTATCAGACTGATGTTGAG-3"(配列番号:78)を用いた。

0057

1.2細胞培養および安定細胞株の構築HeLaS3細胞(Puck et al., J. Exp. Med. 103: 273-284 (1956))、PA-1細胞(Giovanella, BC et al., In Vitro Cell Dev. Biol., 10: 382, 1974, 10:382; Giovanella, BC. et al., J Natl Cancer Inst, 1974, 52:921-30)、HCT-116細胞(Cancer Res 1981;41:1751; J Nat Cancer Inst 1982;69:767)、SW480細胞(Leibovitz et al., Cancer Res. 36: 4562-4569 (1976))、HT29細胞(Fogh & Trempe in Human Tumor Cells in Vitro (ed. Fogh J.), Plenum Press, New York, 1975, pp. 115-159)、TIG-3/E/TERT細胞(Akagi T et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 100, 13567-13572. (2003))、および3Y1細胞(Ushijima T et al., Jpn. J. Cancer Res. 85:455-458, 1994; Kimura G et al., Int. J. Cancer, 15: 694-706, 1975)は10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM中、37℃で培養した。HeLaS3細胞は6wellプレートに1x105 cells per wellでまき、24時間後に、それぞれpMXs-GIN, pMXs-GIN-miR140-5pT および pMXs-GIN-miR140-3pTウイルスストック(<1x104 TU) を、8μg/ml のポリブレンの存在下で導入し、トランスダクションの24時間後からG418 (1mg/ml) で選択した。2週間の選択の後、培地から G418 を除去した。miR-140-5pレポーターまたはmiR-140-3pレポーターを保持するHeLaS3 細胞を、1x105 cells per wellで6well プレートにまき、24時間後に、pSSCH-miR140-5p/140-3pウイルスストック(<1x104 TU)を8μg/ml のポリブレンの存在下で導入し、トランスダクションの24時間後から、Hygromycin (0.5mg/ml) で選択した。2週間の選択の後、培地から Hygromycin を除去した。

0058

1.3ウイルス導入およびFACS解析miR-140-5pレポーターおよびmiR140-5p/140-3pベクターの両方を保持するHeLaS3細胞、およびmiR-140-3p レポーターおよびmiR140-5p/140-3pベクターの両方を保持するHeLaS3細胞は、10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM中、1x105 cells per wellで6wellプレートにまき、24時間後に、各miRNA阻害RNA発現ウイルスストック(2x105 TU) または各デコイRNA発現ウイルスストック (2x105 TU) を、8μg/ml のポリブレンの存在下で導入した。さらに24時間後に、10% foetal bovine serum (FBS) および puromycin (1μg/ml) を含むDMEM に培地を交換した。7日の選択後、puromycin を培地から除去した。GFP発現レベルをFACS Calibur (BD) を用いて測定した。

0059

1.4 RNA単離、miR-qRT-PCRmiR-140-5pレポーターおよび miR140-5p/140-3pベクターの両方を保持する、miRNA阻害RNA発現レンチウイルスベクターを導入したHeLaS3細胞およびmiRNA阻害RNA発現ベクターを導入したHCT-116細胞から、mirVanaTM miRNA Isolation Kit (Ambion) を用いて全RNAを調製した。成熟miRNAの発現は、miRNA特異的looped RTプライマーおよびTaqManプローブを用いた miR-qRT-PCRにより、製造元推奨に従って決定した (Applied Biosystems, FosterCity, USA)。内部コントロールとしてU6 snRNAを用いた。PCRは7300 Real Time PCR System (Applied Biosystems)を用いてトリプリケートで行った。

0060

1.5ルシフェラーゼアッセイPA-1細胞、HCT-116細胞、SW480細胞、HT29細胞、TIG-3/E/TERT細胞、および3Y1細胞を、10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM中、それぞれ、1.5x105 cells per well、1.7x105 cells per well、3.5x105 cells per well、3.0x105 cells per well、7.0x104 cells per wellおよび1.2x105 cells per well で導入の前日に24wellプレートにまき、Lipofectamine 2000 (Invitrogen) および 10ng の pTK4.12C.P- (Firefly luciferaseプラスミド), 100ng の RLuc targetレポータープラスミド、および500ng の miRNA阻害RNA発現プラスミドをトリプリケートでトランスフェクトした。locked nucleic acid (LNA/DNA)アンチセンスオリゴヌクレオチドは50 nMでコトランスフェクトした。LNA/DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドはThermoELECTRON社で合成され、8つの連続的に中央に位置する塩基にlocked核酸を含む(Naguibneva, I. et al. (2006) Biomed Pharmacother, 60, 633-638)。LNA/DNA アンチセンスオリゴヌクレオチドは下記(7)に示した配列を有する。全てのアッセイはトランスフェクションの48時間後にdual luciferase assay (Promega) によりGLOMAXTM (Promega) で実施した。

0061

用いたオリゴヌクレオチド(7)LNA/DNAアンチセンスオリゴの配列 LNA-miR21のためには、5"- TCAACATCAGTCTGATAAGCTA -3"(配列番号:79)を用いた。LNA-NCのためには、5"-CATTAATGTCGGACAACTCAAT -3"(配列番号:80)を用いた。LNAを下線で示した。

0062

1.6ウェスタンブロット1.5 x SDS Bufferにより細胞から全蛋白質を抽出し、Bio-Rad protein assay kitを用いて蛋白質濃度を測定した。蛋白質抽出物は10% SDS-PAGEで分離させ、PVDF-membrane (Milipore)に転写した。イムノブロッティングはmembraneをanti-PDCD4 (ab51495, Abcam)抗体およびanti-Actin (612656, BD transduction)抗体と室温で1時間インキュベートすることにより実施した。Tween 20含有phosphate-buffered salineで3回洗浄した後、horseradish peroxidase結合2次抗体と室温で1時間membranes をインキュベートした。シグナルはECLreagent (Amersham)を用いて検出した。

0063

1.7細胞増殖測定およびアポトーシス活性の測定 PA-1細胞を、10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM中、1x104 cells per wellで48wellプレートにまき、24時間後に、それぞれTuD-miR21-4ntinおよびTuD-NC発現レンチウイルスストック(1x105 TU) を、8μg/ml のポリブレンの存在下で導入し、トランスダクションの24時間後に培地を交換した。トランスダクションの直前およびトランスダクションから24, 48, 72, 96時間後に細胞の代謝活性をCellTiter-GloTM (Promega) によりGLOMAXTMで測定することにより細胞増殖の測定を実施した。 PA-1細胞を、10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM 中、3x103 cells per wellで48well プレートにまき、18時間後に、それぞれTuD-miR21-4ntinおよびTuD-NC発現レンチウイルスストック (3x104 TU) を、8μg/ml のポリブレンの存在下で導入し、トランスダクションの24時間後に培地を交換した。さらにトランスダクションの72時間後にカスパーゼ3および7の活性の測定をCaspase-GloTM 3/7 (Promega)によりGLOMAXTMで実施した。

0064

1.8 ノザンブロット非感染HeLaS3細胞またはTuD-miR-140-3p-4ntin、TuD-miR-140-5p-4ntinを発現しているHeLaS3細胞から核画分、細胞質画分をベクター導入から14日後に分離、回収した。細胞は10cm dish14枚分を用いた。dishを冷PBSで2回洗い、さらに2mlの冷PBS をdishに加えスクレイパーで細胞を回収し、1500 rpm,4℃で5分間遠心した。細胞沈殿をNP40 lysis Buffer (10mM Tris-HCl (pH 7.4), 10mM NaCl, 3mM MgCl2, 0.5% Nonidet P-40)に懸濁し、上に10分間静置した後、1500 rpm,4℃で5分間遠心した。上清を細胞質画分として回収し、ISOGEN (Wako Pure Chemical Industries, Osaka, Japan)によって細胞質RNAを回収した。また核画分である沈澱を4mlのNP40 lysis Bufferで2回洗浄した。mirVanaTM miRNA Isolation Kit (Ambion, Austin, TX)を用いて細胞質RNAと核画分である沈澱から200bpよりも小さいRNAのみを精製した。元の細胞の数を揃えて比較するために回収したRNAの5%相当量をノザンブロット解析に用いた。

0065

small RNAを18%変性アクリルアミドゲルで分離した。この際、電気泳動は80℃のインキュベーター内で行った。そしてHybond-XL membranes (Amersham BioSciences)へ転写を行い、60 mJ/cm2 UVでクロスリンクした。DNAプローブをT4 polynucleotide kinase (TAKARA)を用いて[γ-32P]ATPで5"端をラベルした。ハイブリダイゼーションはUltrahyb-Oligo buffer (Ambion)を用いて37℃で行った。メンブレンは2XSSC, 0.5% SDS bufferで洗った。RIシグナルはFLA-5100 (FUJIFILM)を用いて測定した。また0.5% SDS水溶液を用いて、脱プローブを行った。

0066

用いたオリゴヌクレオチド(8)ノザンブロットに用いたDNAプローブの配列 miRNA阻害RNA検出プローブとして 5’-GTTGATGATCCTAGCGCCGTC -3’(配列番号:135)を用いた。miR-21検出プローブとして 5’- TCAACATCAGTCTGATAAGCTA -3’(配列番号:136)を用いた。Y4 scRNA検出プローブとして 5’-GCAGTGGGGGGTTGTATACCAAC -3’(配列番号:137)を用いた。ACA1 snoRNA検出プローブとして 5’- GTGATGGAAGCATAACCTGTCTC -3’(配列番号:138)を用いた。

0067

[実施例2] miR-140-3p活性を検出するための高感度アッセイ系 miR-140-3pおよびmiR-140-5pを内在性に僅かにしか発現しないHeLaS3(Landgraf, P. et al. (2007) Cell, 129, 1401-1414)を用いて、miR-140-3p活性の極めて高感度なアッセイ系を構築した。このために、成熟miR-140-3pと完全に相補的な21bpの挿入をGFP遺伝子のすぐ下流に持つ、レトロウイルスベースのGFPレポーターを構築した(miR-140-3pレポーター)(図15A)。これらをHeLaS3細胞に導入し、GFPを安定に発現するmixed cell populationsを樹立した。 次に、miR140-5p および miR140-3pの両方を内包するpre-miRNA全体を含むRNAをPol IIプロモーターから駆動するレトロウイルスベクターを構築した(miR140-5p/140-3pベクター)(図15C)。これをmiR-140-3pレポーターを持つHeLaS3細胞に導入し、mixed cell populationsを樹立した。miR-140-3pレポーターを持つ非導入のHeLaS3細胞と比較して、GFPの発現レベルは20%未満であった(図16A, B, およびC)。

0068

[実施例3]プロトタイプデコイRNAの設計および有効性デコイRNAのプロトタイプとして、成熟miR-140-3pのRNA配列に対して完全に相補的なRNA配列を露出することが期待される、単純な二次構造を持つデコイRNAを設計した。これらのプロトタイプデコイRNA(図1A)は、ステムループ構造を形成し、そのループは成熟miR-140-3pと完全に相補的なMBSとその両端にある3塩基のリンカーとから構成される。これらのデコイRNAを細胞内で安定に発現させるために、インテグレーション後の両LTR中に存在するpolymerase IIIプロモーター(mU6)により駆動されるshort RNA発現用カセットを搭載するレンチウイルスベクターを使用することを選択した(図15D)。RNAポリメラーゼIIIによるRNA転写産物はUU(またはUUUU)で終わるように設計されるため、RNAデコイは2(〜4)ヌクレオチドの3"-突出末端をステム中に持つことが見込まれる(図1A)。

0069

合成されたデコイRNAは細胞核から細胞質に輸送されるはずで、そこで対応するmiRNAであるmiR-140-3pを含むRISCに作用することになる。ステム−ループ構造を持つsmall RNAの核輸送については、これまでに詳細に調べられており、ステムの長さがExp-5による核外移送の効率に重要であることが示されている(Zeng, Y. and Cullen, B.R. (2004) Nucleic AcidsRes, 32, 4776-4785)。hairpin RNAのExp-5への結合活性は、ステム配列の長さが16 bpより短くなると劇的に低下することが示されているので、プロトタイプRNAデコイのステムの長さを17bp〜24bpで変化させた(デコイ #1〜#6, 図1B)。バクテリオファージ遺伝子Cre recombinase のコード領域を標的とするshRNA (shCre) をデコイRNAベクターのネガティブコントロール(NC)として使用した。18bpのステムを持つプロトタイプRNAデコイが他のものよりも僅かに高い阻害効果を示し、さらに20bpを超えるdsRNAは細胞質においてDicerによる切断の潜在的な標的となり得ることから、その後の全ての試験においては、18bpのステム長を使用することとした。

0070

[実施例4]プロトタイプデコイRNAの二次構造およびMBSの改変による阻害力の最適化 阻害効力を上昇させるために、デコイRNAをプロトタイプよりもより複雑な二次構造を持つように設計し(図2A)、その発現カセットをレンチウイルスベクターに挿入し、図1Bで用いたのと同じアッセイ細胞に導入した。ここで試験したこれらのRNA(デコイ #10〜#16、図2A)は、プロトタイプデコイRNA(デコイ RNA #2)よりも効率が高かった(図2AB)。重要なことに、デコイ RNA #12のMBSの両端に3ヌクレオチドのリンカー配列を挿入すると(デコイ RNA #13)、GFPの発現はほぼ完全な回復を示し、デコイ #13の導入によるGFPレベルは、miR-140-3pレポーターだけを持つHeLa S3のそれと同レベルに達した(99.5%)(図2B)。この回復は、miR-140-5p/miR-140-3pベクターにより供給されるmiR-140-3p活性が、完全に相殺されたことを示す。

0071

次に、より効率的なデコイ活性を達成するために、MBSのための幾つかの配列をスクリーニングした。哺乳動物においては、完全に相補的なMBSの3"末端から8番目のヌクレオチドと9番目のヌクレオチドの間に4つの余分なヌクレオチドを含むMBSで、RNA切断よりも翻訳の減弱化(attenuation)が起こることが報告されている(Kiriakidou, M. et al. (2004) Genes Dev, 18, 1165-1178; Vermeulen, A. et al. (2007) RNA, 13: 723-730)。従って、4つの余分なヌクレオチドを含むMBSは、デコイRNA分子自身の切断が回避されるので、完全に相補的なMBS (MBS-pf) よりもmiRNAの機能をより効率的に阻害する可能性がある。阻害に効率的なMBSをスクリーニングするため、RISC中のAgo2蛋白質が標的mRNAを切断する部位である完全に相補的なMBSの3"末端から10番目のヌクレオチドと11番目のヌクレオチドの間に、1〜4ヌクレオチドの余計な配列を挿入することにより、プロトタイプデコイ(図1A)を改変した。これらのデコイの効果を調べることにより、4ヌクレオチドの挿入を有するMBS(MBS-4ntin)は、調べたデコイの中で最大のGFP発現の回復を示すことが見出された(52%)(図3)。

0072

プロトタイプデコイのMBSとステムとの間にリンカーを挿入することでも阻害効果は劇的に改善したことから(図2B、デコイRNA#12と #13とを比較のこと)、MBSがMBS-4ntinに置換されているデコイ #12型のRNAを用いて、リンカーの長さを1〜5ヌクレオチドに注意深く変化させた。1〜3ヌクレオチドの挿入は、高い阻害効果をもたらし、4ヌクレオチドまたは5ヌクレオチドの挿入も、それより低いものの、中程度の活性を示した(図4)。そこで以後の解析では、MBSとステムRNAとの間のリンカーの長さは3ヌクレオチドとした。

0073

上記の結果を統合することにより、図2に示したデコイ#16 の阻害効果の向上を試みた。ステム配列とMBSとの間に3ヌクレオチドのリンカーを挿入し、さらにMBS-pfをMBS-4ntinに置換することにより、デコイ #27 を生成させた。デコイ#27 は極めて改善された(55.2% から80.1%、図2および5)。一方、デコイ#13に対して同じ原理で構造を改変して、デコイ#24を作成したが、これは阻害能力を向上させなかった。これは恐らく、デコイ#24のデコイ活性がすでにほとんど飽和していて、外来的に導入したmiR-140-3p活性を完全に相殺していたためであろう。

0074

暫定的には、デコイ#13 および #24の構造を持つデコイRNA(図6A)は、これらのRNAはmiRNAの機能を非常に効率的に阻害することから、極めて有望と結論される。このデコイRNAは2つのMBSを持ち、それらは2つのステム構造に隣接されている。例えば、2つのMBSは、それぞれが該2つのステム構造に挟まれており、それぞれのMBSは、核酸鎖の方向が逆向きとなっている。2つのステム構造は、2本鎖であっても4本鎖であってもよい。図6Bに示す通り、このRNAのための発現カセットは容易に構築することが可能である。このように、2つのMBSを持ち、それらが2つのステム構造に挟まれている構造を持つデコイRNA(Tough Decoy;TuDと呼ぶ)は、特に強いmiRNA阻害効果をもたらすことが判明した。

0075

[実施例5] 本発明のRNA複合体の阻害効果の汎用性、特異性および持続期間 本発明のRNA複合体の阻害効果の汎用性および特異性を調べるため、miR-140-3pレポーターの挿入配列を、単にmiR-140-5pと完全に相補的な配列に置換した、miR-140-5pのためのレポーター細胞系を構築した(図15(B))。MBSに4ヌクレオチドの余分なヌクレオチドを含むTuD-miR-140-3p(TuD-miR-140-3p-4ntin)(デコイ#24)またはTuD-miR-140-5p-4ntin(図18)のいずれかの阻害効果を、これらのレポーター細胞系の両方を使用して決定した。miR-140-3pレポーター系においては、TuD-miR-140-3p-4ntinの導入はGFP発現の完全な回復を示したが、TuD miR-140-5p-4ntinの発現では効果を示さなかった(図7A)。miR-140-5pレポーター系においては、TuD miR-140-5p-4ntinベクターの導入は、GFP発現の完全な回復を示したが、TuD-miR-140-3p-4ntinベクターの導入では、このレポーターに対して効果を示さなかった(図7B)。これらの結果は、これらのRNAの阻害効果は、その標的miRNAに対して高度に効率的かつ特異的であることを示しており、本発明のRNA複合体が様々なmiRNAに対して高い特異性をもって適用できることを示唆している。

0076

レンチウイルスベースのベクターの重要な利点の1つは、デコイRNAの発現を長期間維持でき得ることである。そこで、TuD-miR-140-3p-4ntinベクターを、miR-140-3pレポーターおよびmiR140-5p/140-3pベクターの両方を持つHeLaS3細胞に導入し、一箇月を超えてGFP発現レベルの経時変化をモニターした(図7C)。それらの結果から、TuD-miR-140-3p-4ntinはHeLaS3細胞において標的であるmiR-140-3pを一箇月を超えて効率的に阻害し、TuD-miR-140-5p-4ntinでは一切阻害しない状態が維持されることが示された。

0077

次に定量的リアルタイムRT-PCRを用いて、miR-140-5pレベルを直接調べた。TuD-miR-140-5p-4ntinは、この方法で検出する限り、miR-140-5pの見かけ上の発現レベルを約65%減少させたが、TuD-miR-140-3p-4ntinでは減少させないことが示された(図7D)。この結果により、フリーのmiR-140-5pの量が約1/3に減少したことが明らかとなったが、RNAデコイと成熟miRNAとの間で形成されたdsRNAは、例えRNAの調製後であっても、リアルタイムPCRにより成熟miRNAを検出するには安定すぎる可能性はある。

0078

TuD-miR-140-3p-4ntinまたはTuD-miR-140-5p-4ntinを発現しているHeLaS3細胞において発現したRNAの細胞内局在を調べた。TuD-miR-140-3p-4ntinベクターまたはTuD-miR-140-5p-4ntinベクターの導入から14日後に細胞の核画分RNAと細胞質画分RNAをそれぞれ調製し、分子内、分子間結合を最小化するために高温にてPAGEを行い、ノザンブロットにより解析した。発現させたmiRNA阻害RNAに対するプローブにより120ntのバンドおよび90nt付近ブロードなバンドが観察された(図7E)。同じRNAサンプルを室温にてPAGEを行いノザンブロットにより解析するとこのブロードなバンドはより強くなるので、これは分子内結合している全長RNAである。TuD-miR-140-3p-4ntinおよびTuD-miR-140-5p-4ntinは主に細胞質に存在しており、TuD-miR-140-5p-4ntinはわずかに核に存在していた。これにより転写されたRNAが核外に効率的に輸送されることを確認した。またMBS配列はRNAの核外輸送効率に影響をある程度与えるが、その影響は軽微であることが示された。

0079

[実施例6]内在性miRNAに対する本発明のRNA複合体の阻害効果本発明のRNA複合体の阻害機能が汎用性を有することを確かめるため、次に、従来の合成miRNA阻害剤との比較ができる、異なる標的miRNA(内在性miR-21)および異なるアッセイ系を用いて幾つかの実験を行った。TuD-miR-140-3p-4ntin および TuD-miR-140-3p-pf と同じ原理を用いて、2つのTuD-miR21、それぞれTuD-miR-21-4ntin および TuD-miR21-pf を構築した(図18)。次にPA-1細胞における内在性のmiR-21活性の抑制を試みるために、TuD-miR-21-4ntin または TuD-miR-21-pf (図18)を発現するDNAベースのベクターを、 3"-UTR中に成熟miR-21と完全に相補的な21bpDNA配列の挿入を持つまたは持たないRenilla luciferaseレポーターと、トランスフェクションのコントロールとしてのコントロールFirefly luciferaseレポーター(図17(A-C))と共に、PA-1細胞に一過的にトランスフェクトした。TuD-miR21-4ntinを発現する細胞集団は、miR21レポーターの発現、すなわち Firefly luciferase活性でノーマライズしたRenilla luciferase活性を、ネガティブコントロールを発現するDNAベースのベクター(TuD-NC)をトランスフェクションした細胞の発現よりも、約25倍上昇させた(図8A)。TuD-miR-21-pfはより低い阻害効果を示したが、約14倍の活性に相当する依然として有意な回復をもたらした。重要なことに、回復したレポーター活性のレベルは、miR-21標的配列を持たないコントロールレポーターのそれと近かった。このコントロールレポーターの活性は、期待された通り、導入したデコイRNAと独立してほぼ一定していた。

0080

次に、一過的にトランスフェクトした本発明のRNA複合体を生成する発現ベクターの阻害効果を、実施例1のセクション1.5に記載したように、LNA/DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドのそれと比較した(図8A)。locked nucleic acid (LNA/DNA) アンチセンスオリゴヌクレオチド(LNA-miR21)によるPA-1細胞のトランスフェクションは、ネガティブコントロールとして用いたLNA/DNA-NCをトランスフェクトしたPA-1細胞のそれに比べ、miR21標的レポーターの発現を2倍上昇させた。これらの結果は、本発明のRNA複合体は、これらの従来の合成試薬よりも、これらのトランスフェクションの条件下において、miRNAを阻害するはるかに高い能力を持つことを示している。

0081

アッセイのための細胞株を上記で使用したPA-1からHCT-116に変え、本発明のRNA複合体を発現するプラスミドベクターと、CMV sponge発現プラスミドベクター、H1-Antagomir発現プラスミドベクター、miRNA eraser発現プラスミドベクター、および LNA/DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドのmiRNA阻害効果の比較を、実施例1のセクション1.5に記載したように行った(図9)。その結果、本発明のRNA複合体が他の手法に比べてきわめて効果が高いことが示された。

0082

次に、アッセイのための細胞株をPA-1からHCT-116に替えて類似した実験を行った。HCT-116は、内在性のmiR-21がPA-1のそれよりも高いことが報告されている。全体的な結果は、TuD-miR-21-pfの阻害効果が劇的に低下した以外は非常に類似していた(図8B)。これらの結果は、大量の内在性miR-21がきわめて効率的にTuD-miR-21-pf分子を切断することにより、このデコイの物理的濃度が、TuD-miR-21-4ntinの濃度に比べて有意に低下することを明らかにしているのかも知れない。

0083

miRNA阻害RNA(TuD-miR-21-4ntinおよびTuD-miR-21-pf)の発現ベクターをトランスフェクションしたPA-1細胞、HCT-116細胞においてそれぞれTuD-miR-21-4ntinおよびTuD-miR-21-pfの発現レベルをノザンブロットにより解析した。PA-1細胞においてはTuD-miR-21-4ntin、TuD-miR-21-pfともに強く発現していた(図10A)。HCT-116細胞においてはTuD-miR-21-4ntinは強く発現していたが、TuD-miR-21-pfはそれに比べて弱い発現しか見られなかった(図10B)。この現象は、miR-21濃度が高い条件下ではTuD-miR-21-4ntinがmiRNAによる分解に対して安定である一方、TuD-miR-21-pfは分解を受けやすいという上記の仮説とよく一致している。

0084

定量的リアルタイムRT-PCRを用いて、miR-21レベルを調べた。その結果TuD-miR-21-4ntinおよびTuD-miR-21-pfは、miR-21の見かけ上の発現レベルを大きく減少させた(図8D)。しかし、ノザンブロットによりmiR-21レベルを調べた結果では、pre-miR-21、mature-miR-21ともに減少は見られなかった(図8E)。この結果の説明として、miR-21の実際の量は減少していないが、miR-21とTuD-miR-21が強力に結合しているためにRT-PCRによる検出が阻害されたことが考えられる。この現象は他の研究グループによっても指摘されている。

0085

HCT-116細胞においてmiR-21阻害効果におけるTuD-miR-21-4ntin発現プラスミドの量依存性を調べた。図8A, B, および9の実験は24穴プレートにおいて500ng/wellで行っていたが、量依存性を調べたところ、300ng/wellにおいて効果が飽和しており、10ng/wellでもその1/3程度のmiRNA阻害効果が観察された(図19)。

0086

本発明のRNAは大腸癌細胞(SW480,HT29)、不死化ヒト胚性繊維芽細胞(TIG-3/E/TERT)およびラット繊維芽細胞(3Y1)においても高いmiRNA阻害効果を示した(図20)。

0087

miR21の内在性の標的であるPDCD4蛋白質に対する効果を直接的にモニターするため、一連のmiRNA阻害RNA発現ベクターをそれぞれPA-1細胞にトランスフェクトし、全蛋白質を回収してPDCD4 の発現レベルをウェスタンブロッティングにより調べた(図8C)。PDCD4の発現はTuD-miR21-4ntin または TuD-miR21-pf により上昇したが、TuD-NCは効果を示さなかった。この結果は、本発明のRNA複合体は内在性のmiRNAの機能を特異的に阻害できることを示している。

0088

PA-1細胞株において、上記miRNA阻害RNAがmiRNAの機能を抑制することにより生物的活性を誘導するかどうかを調べた。TuD-miR21-4ntinおよびTuD-NCを発現するレンチウイルスベクターをPA-1細胞にMOI10で導入し、細胞増殖活性を測定した(図11A)。TuD-NCを導入した細胞は4日間で5倍以上にまで増殖したが、TuD-miR21-4ntinを導入した細胞は1.6倍程度にまでしか増殖しなかった。さらに同様のculture をもちいてカスパーゼ3及び7の活性を測定してアポトーシスについて評価した(図11B)。TuD-miR21-4ntinを導入した細胞はTuD-NCを導入した細胞に比べ、3倍程度にまで上昇していた。このことはTuD-miR21-4ntinを導入した細胞において細胞増殖の程度が低かったことの一因にアポトーシスが誘導されたことがあげられる。以上より、本発明のRNAがmiRNAの機能を十分に抑制し、それによりmiR-21の増殖刺激活性、アポトーシス抑制活性を阻害したこと(Corsten, M.F., (2007) Cancer Res. 67, 8994-9000)が示された。

0089

miRNAには、seed配列が同一であり、共通の標的遺伝子を有すると考えられているmiRNA familyが存在する。そこで本発明のmiRNA阻害RNAが標的miRNAのfamilyに対しても阻害効果を有するかどうかを調べるため、miRNA-15a, 15b, 16, 195, 424, 497 familyを標的として実験を行った。miR-21ルシフェラーゼレポーターの挿入配列を、miR-16と完全に相補的な配列に置換した、miR-16のためのルシフェラーゼレポーターベクターを構築した(図17D)。miRNA-15a, 15b, 16が発現しており、miRNA-195, 424, 497は発現していないことがmiRNA micro arrayにより観察されているHCT-116細胞を用いた(図21)。図12Aに示したようにmiRNA-16, 195の相同性は高く、miRNA-16, 497の相同性はseed部位以外は低い。そこでTuD-miR-16-4ntin、TuD-miR-195-4ntinおよびTuD-miR497-4ntinを構築した(図18、12B)。この条件下ではmiRNA-195, 497が発現していないため、TuD-miR-195-4ntinおよびTuD-miR497-4ntinのmiRNA-15a, 15b, 16に対する阻害効果を観測できる。ルシフェラーゼアッセイを行ったところ、TuD-miR16-4ntin、TuD-miR-195-4ntinおよびTuD-miR497-4ntinを発現する細胞集団は、miR16レポーターの発現、すなわち Firefly luciferase活性でノーマライズしたRenilla luciferase活性を、TuD-NCをトランスフェクションした細胞集団の発現よりも、それぞれ3.1倍、5.2倍、2.6倍上昇させた(図12C)。とくに、TuD-miR-16-4ntinおよびTuD-miR-195-4ntinにより回復したレポーター活性のレベルは、miR-16標的配列を持たないコントロールレポーターの活性と同レベルであった。また、コントロールレポーターの活性は導入したmiRNA阻害RNAによらず、ほぼ一定であった。この実験により本発明のRNAの阻害効果は標的miRNAだけではなくそのfamilyにも及ぶものであることが確認された。また相同性の高いfamilyへの阻害効果の方が相同性の低いfamilyに対する阻害効果よりも高いが、相同性が低くても阻害効果があることが示された。

0090

[実施例7]合成オリゴヌクレオチドによるmiRNA阻害本発明のRNA複合体をオリゴヌクレオチドで製造し、内在性miRNAに対する阻害効果を調べた。細胞培養HCT-116細胞(Cancer Res 1981;41:1751; J Nat Cancer Inst 1982;69:767)は10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM中、37℃で培養した。ルシフェラーゼアッセイ導入の前日にHCT-116細胞を、10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM 中、1.0x105 cells per wellで24wellプレートにまき、Lipofectamine 2000 (Invitrogen) および 10ng の pTK4.12C.P- (Firefly luciferaseプラスミド;内部コントロール), 100ng のpGL4.74-miR21T(RLuc targetレポータープラスミド)、または標的配列をもたないpGL4.74、および1, 3, 10, 50, 200nM の 2"-O-Methyl-TuD-RNAオリゴヌクレオチド、および2"-O-Methyl-RNAアンチセンスオリゴヌクレオチド・LNA/DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド・PNAアンチセンスオリゴヌクレオチドをトリプリケートでトランスフェクトした。LNA/DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドはThermoELECTRON社で合成され、8つの連続的に中央に位置する塩基にlocked核酸を含む(Naguibneva, I. et al. (2006) Biomed Pharmacother, 60, 633-638)。TuD-2"-O-Methyl-RNAオリゴヌクレオチド、2"-O-Methyl-RNAアンチセンスオリゴヌクレオチド、LNA/DNA アンチセンスオリゴヌクレオチド、PNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは下記(1)に示した配列を有する。miRIDIAN InhibitorはThermo scientific Dharmacon社から購入した合成オリゴである。全てのアッセイはトランスフェクションの48時間後にdual luciferase assay (Promega) によりGLOMAXTM (Promega) で実施した。

0091

用いたオリゴヌクレオチド(1)2"-O-MethylアンチセンスオリゴおよびLNA/DNAアンチセンスオリゴの配列 2"-O-Methyl-TuD-miR21のためには、5"- GACGGCGCUAGGAUCAUCAACUCAACAUCAGUCAAUGUGAUAAGCUACAAGUAUUCUGGU -3"(配列番号:148)と5"-ACCAGAAUACAACUCAACAUCAGUCAAUGUGAUAAGCUACAAGAUGAUCCUAGCGCCGUC -3"(配列番号:149)を混合したものをアニーリングして用いた。全ての塩基が2"-O-Methyl化されている。 2"-O-Methyl-miR21のためには、5"- GUCAACAUCAGUCUGAUAAGCUA -3"(配列番号:150)を用いた。2"-O-Methyl-NCのためには、5"- AAGGCAAGCUGACCCUGAAGU -3"(配列番号:151)を用いた。全ての塩基が2"-O-Methyl化されている。 LNA-miR21のためには、5"- TCAACATCAGTCTGATAAGCTA -3"(配列番号:79)を用いた。LNA-NCのためには、5"-CATTAATGTCGGACAACTCAAT -3"(配列番号:80)を用いた。LNA修飾を行った配列を下線で示した。PNA-miR21のためには、5"-RRRQRRKKR-OO-ATTAATGTCGGACAA -3"(配列番号:152, 153)を用いた。PNA-NCのためには、5"- RRRQRRKKR-OO-TCAACATCAGTCTGA -3"(配列番号:152, 154)を用いた。全ての塩基がPNAである。cell penetrating peptideおよびAEEA linker(AEEA: 8-amino-3,6-dioxaoctanoic acid)を下線で示した。

0092

結果 2"-O-Methyl-TuD-RNAオリゴヌクレオチドの阻害機能を調べるため、3"-UTR中に成熟miR-21と完全に相補的な21bpDNA配列の挿入を持つ、または持たないRenilla luciferaseレポーターと、トランスフェクションの内部コントロールとしてのFirefly luciferaseレポーターpTK4.12C.P-と共に、HCT-116細胞に各種アンチセンスオリゴを一過的にトランスフェクトした(図22)。2"-O-Methyl-TuD-miR21をトランスフェクトした細胞集団は、miR21レポーターの発現、すなわち Firefly luciferase活性でノーマライズしたRenilla luciferase活性を、2"-O-Methyl-NCをトランスフェクションした細胞の発現よりも、1nM, 3nM, 10nM, 50nM, 200nM それぞれの濃度において約21倍、約43倍、約51倍、約58倍、約69倍上昇させた(図22、23)。一方、2"-O-Methyl-miR21, LNA-miR21, PNA-miR21は200nMにおいてでもそれぞれ約6倍、約2倍、約11倍程度の上昇しか示さなかった。また、0.1nM, 0.3nM, 1nM, 3nM の濃度において2"-O-Methyl-TuD-RNAオリゴヌクレオチドとmiRIDIAN InhibitorのmiR-21阻害効果の比較を行ったところ、それぞれの濃度で2"-O-Methyl-TuD-miR21は約3.0倍、約9.1倍、約28.9倍、約45.9倍程度の上昇を示し、miRIDIAN Inhibitor-miR21は約2.5倍、約5.2倍、約11.6倍、約20.1倍程度の上昇を示した(図24)。一方、標的配列を持たないRenilla luciferaseレポーターの活性は、低濃度においては、導入したアンチセンスオリゴと独立してほぼ一定していた。これらの結果は、2"-O-Methyl-TuD-miR21は、従来の合成試薬よりも、これらのトランスフェクションの条件下において、miRNAを阻害するはるかに高い能力を持つことを示している。

0093

[実施例8] 他のプロモーターを用いたmiRNA阻害プラスミド構築下記(2)に示したプライマーを用いてヒトゲノムDNAからPCRを行い、pCR2.1にクローニングしph7SK-protoshuttleを作製した(図27(A))。ph7SK-protoshuttleをKpnI-HindIIIで消化し、下記(2)に示したオリゴヌクレオチドをアニールさせてクローニングし、ph7SK-TuD-shuttleを作製した。下記(3)に示した各オリゴペアをアニールし、BsmBIで消化したph7SK-TuD-shuttleにクローニングしてph7SK-TuD-miR21-4ntinを作製した。その後、pSL1180 (Pharmacia)のBamHI-EcoRI部位にph7SK-TuD-miR21-4ntinのBamHI-EcoRI断片を挿入し、miRNA阻害RNA発現プラスミドベクターpSL1180-TuD-miR21-4ntinを作製した。

0094

用いたオリゴヌクレオチド(2)本発明のRNAのシャトルベクター構築のためのプライマー対ph7SK-protoshuttleのためには、フォワードプライマー5"- GGATCCTGCAGTATTTAGCATGCCCCA -3"(配列番号:155)およびリバースプライマー5"-GAATTCAAAAAAGGATGTGAGGGCGTCATCGAGACGGTACCGTCTCCGATGACGCCCTCACATCCGAGGTACCCAGGCGGCGCACAAGC -3"(配列番号:156)、ph7SK-TuD-shuttleのためには、センス鎖5"- CTCGGATGTGAGGGCGTCATCGGAGACGACACCATCCACAGCCAGCGTCTCGATGACGCCCTCACATCCTTTTTTGAATTCA -3"(配列番号:157)およびアンチセンス鎖5"- AGCTTGAATTCAAAAAAGGATGTGAGGGCGTCATCGAGACGCTGGCTGTGGATGGTGTCGTCTCCGATGACGCCCTCACATCCGAGGTAC -3"(配列番号:158)を用いた。(3)本発明のRNAの発現ベクター構築のためのプライマー対 TuD RNA-miR21-4ntinのためには、センス鎖 5"- CATCAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAG -3"(配列番号:17)およびアンチセンス鎖 5"- TCATCTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTT -3"(配列番号:18)を用いた。

0095

結果mU6 promoterとh7SKpromoterの阻害効果の比較 mU6 promoterとh7SK promoterの阻害効果の比較を行うため、3"-UTR中に成熟miR-21と完全に相補的な21bpDNA配列の挿入を持つまたは持たないRenilla luciferaseレポーター(それぞれpGL4.74-miR21TとpGL4.74)と、トランスフェクションの内部コントロールとしてのFirefly luciferaseレポーター(pTK4.12C.P-)と共に、HCT-116細胞にmiRNA阻害RNA発現プラスミドベクターを一過的にトランスフェクトした。mU6 promoter-TuD-miR21をトランスフェクトした細胞集団は、miR21レポーターの発現、すなわち Firefly luciferase活性でノーマライズしたRenilla luciferase活性を、mU6 promoter-TuD-NCをトランスフェクションした細胞の発現よりも、約59倍上昇させた(図27(B))。一方、h7SK promoter-TuD-miR21はh7SK promoter-TuD-NCをトランスフェクションした細胞の発現よりも、約77倍上昇させた。これらの結果は、これらのトランスフェクションの条件下において、h7SK promoterの方が高い能力を持つことを示している。

0096

[実施例9]高次構造の効果プラスミド構築下記(4)に示した各オリゴペアをアニールし、BsmBIで消化したpmU6-TuD-shuttleにクローニングしてpmU6-TuD-miR21-4ntin-GqL111、pmU6-TuD-miR21-4ntin-GqL333、pmU6-TuD-miR21-4ntin-1MBS-1、pmU6-TuD-miR21-4ntin-1MBS-2を作製した。これらのプラスミドのBamHI-EcoRI断片をpSL1180 (Pharmacia)のBamHI-EcoRI 部位に挿入し、miRNA阻害RNA発現プラスミドベクターpSL1180-TuD-miR21-4ntin-GqL111、pSL1180-TuD-miR21-4ntin-GqL333、pSL1180-TuD-miR21-4ntin-1MBS-1、pSL1180-TuD-miR21-4ntin-1MBS-2を作製した。

0097

用いたオリゴヌクレオチド(4)本発明のRNAの発現ベクター構築のためのプライマー対TuD RNA-miR21-4ntin-GqL111のためには、センス鎖5"-CATCAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAGGGAGGGCGGGAGGGAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAG -3"(配列番号:159)およびアンチセンス鎖5"- TCATCTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTTCCCTCCCGCCCTCCCTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTT -3"(配列番号:160)を用いた。 TuD RNA-miR21-4ntin-GqL333のためには、センス鎖 5"- CATCAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAGGGAGAGGGGCGGGGCGCGGGAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAG -3"(配列番号:161)およびアンチセンス鎖5"- TCATCTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTTCCCGCGCCCCGCCCCTCTCCCTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTT -3"(配列番号:162)を用いた。 TuD RNA-miR21-4ntin-1MBS-1のためには、センス鎖 5"- CATCAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACATCGAATAGTGTAACTGACTACAACTCAAG -3"(配列番号:163)およびアンチセンス鎖5"- TCATCTTGAGTTGTAGTCAGTTACACTATTCGATGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTT -3"(配列番号:164)を用いた。 TuD RNA-miR21-4ntin-1MBS-2のためには、センス鎖 5"- CATCAACTCAACATCAGTCAATGTGATAAGCTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACAAGCCACAACGAATCTCTATATCATCAAG -3"(配列番号:165)およびアンチセンス鎖5"- TCATCTTGATGATATAGAGATTCGTTGTGGCTTGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTAGCTTATCACATTGACTGATGTTGAGTT -3"(配列番号:166)を用いた。

0098

結果(i) 各構造の阻害効果へ与える影響の比較 (G-quadruplex) 2つのステム構造のうち長さの短い方を強固な構造として知られるG-quadruplexで置き換えたmiRNA阻害RNAを作製した(図25)。G-quadruplexはGGG-loop-GGG-loop-GGG-loop-GGGという配列である。このloopの配列の長さを1-1-1としたものはParallelと呼ばれる構造をとり、3-3-3としたものはParallel構造とAntiparallel構造の間を遷移する。これらをそれぞれGqL111、GqL333とした。HCT-116細胞を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイ系により、各構造のmiRNA阻害RNAの効果を比較した。mU6-TuD-miR21-4ntinは、miR21レポーターの発現を、mU6 promoter-TuD-NCよりも、約40倍上昇させた。一方、mU6-TuD-miR21-4ntin-GqL111, mU6-TuD-miR21-4ntin-GqL333は約33倍、約20倍上昇させた(図25(C))。

0099

(ii) 各構造の阻害効果へ与える影響の比較 (1MBS) 1分子中に互いに向かい合って存在する2つのMBSのうち一方を、標的miRNAと結合しない配列に置換してMBSが1つのmiRNA阻害RNAを2種類作製した(図26(A))。HCT-116細胞を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイ系により、各構造のmiRNA阻害RNAの効果を比較した。mU6 promoter-TuD-miR21は、miR21レポーターの発現を、mU6 promoter-TuD-NCよりも、約59倍上昇させた。一方、mU6-TuD-miR21-4ntin-1MBS-1, mU6-TuD-miR21-4ntin-1MBS-2は約22倍、約6.5倍上昇させた(図26(B))。 以上の結果からMBSの数は阻害効果に大きく影響する。MBSが1つ、または3つであるmiRNA阻害RNAも高い阻害効果を示したが、2つのMBSを持つmiRNA阻害RNAが最も効果的であった。特に、MBSを2つ持つTuD-miR21は、MBSを1つ持つTuD-miR21-4ntin-1MBS-1やTuD-miR21-4ntin-1MBS-2に比べ、2倍を有意に超える高い阻害作用を発揮した。MBSと向かい合って存在する領域がMBSでない場合、その塩基配列は阻害効果に大きな影響を与え得ることが示された。

0100

[実施例10] miR-200 family阻害による生物学的活性1.1プラスミド構築下記(5)に示した各オリゴペアをアニールし、BsmBIで消化したpmU6-TuD-shuttleおよびph7SK-TuD-shuttleにクローニングしてpmU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、pmU6-TuD-miR200c-4ntin-3pL、ph7SK-TuD-miR200c-4ntin-3L、ph7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLを作製した。これらのプラスミドのBamHI-EcoRI断片をpSL1180 (Pharmacia)のBamHI-EcoRI 部位に挿入し、miRNA阻害RNA発現プラスミドベクターpSL1180-mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、pSL1180-mU6-TuD-miR200c-4ntin-3pL、pSL1180-h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3L、pSL1180-h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLを作製した。同様のBamHI-EcoRI断片をpLCG(HIV-1基盤のGFP遺伝子搭載レンチウイルスベクター)のBamHI-EcoRI 部位に挿入し、miRNA阻害RNA発現レンチウイルスベクターpLCG- mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、pLCG-h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLを作製した。ルシフェラーゼレポータープラスミドを構築するため、下記に示したオリゴヌクレオチド対をアニールさせ、XbaI および FseI で消化したpGL4.74(Promega)にクローニングしてpGL4.74-miR200cTを作製した。

0101

1.2細胞培養および安定細胞株の構築HCT-116細胞(Cancer Res 1981;41:1751; J Nat Cancer Inst 1982;69:767)は10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM中、37℃で培養した。 HCT-116細胞は6wellプレートに1x105 cells per wellでまき、24時間後に、それぞれpLCG-mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、pLCG-mU6-TuD-NC、pLCG-h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pL、pLCG-h7SK-TuD-NCウイルスストック(1x106 TU) を、8μg/ml のポリブレンの存在下で導入し、トランスダクションの8日後にFACSAreaを用いてGFP発現細胞分取した。

0102

1.3ルシフェラーゼアッセイ導入の前日にHCT-116細胞を、10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM中、1.0x105 cells per wellで24wellプレートにまき、Lipofectamine 2000 (Invitrogen) および 10ng の pTK4.12C.P- (Firefly luciferaseプラスミド;内部コントロール), 100ng のpGL4.74-miR200cT(RLuc targetレポータープラスミド)、または標的配列をもたないpGL4.74(図28A)、1ng,10ng のpSL1180-mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、およびpSL1180-mU6-TuD-NC・pSL1180-h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pL・pSL1180-h7SK-TuD-NCをトリプリケートでトランスフェクトした。またpLCG-mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、pLCG-h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLレンチウイルス導入から21日後にそれぞれ導入した細胞を、10% foetal bovine serum (FBS)を含むDMEM 中、1.0x105 cells per wellで24well プレートにまき、Lipofectamine 2000 (Invitrogen) および 10ng の pTK4.12C.P- (Firefly luciferase プラスミド;内部コントロール), 100ng のpGL4.74-miR200cT(RLuc target レポータープラスミド)、または標的配列をもたないpGL4.74(図28A)をトリプリケートでトランスフェクトした。全てのアッセイはトランスフェクションの48時間後にdual luciferase assay (Promega) によりGLOMAXTM (Promega) で実施した。

0103

1.4ウェスタンブロットレンチウイルス導入から15日後に1.5 x SDS Bufferにより細胞から全蛋白質を抽出し、Bio-Rad protein assay kitを用いて蛋白質濃度を測定した。蛋白質抽出物は10% SDS-PAGEで分離させ、PVDF-membrane (Milipore)に転写した。イムノブロッティングはmembraneをanti-E-cadherin (ab76055, Abcam)抗体、anti-Vimentin (sc6260, Santa cruz)抗体およびanti-Actin (612656, BD transduction)抗体と室温で2時間インキュベートすることにより実施した。Tween 20含有phosphate-buffered salineで3回洗浄した後、horseradish peroxidase結合2次抗体と室温で1時間membranes をインキュベートした。シグナルはECLreagent (Amersham)を用いて検出した。

0104

用いたオリゴヌクレオチド(5)本発明のRNAの発現ベクター構築のためのプライマー対pmU6-TuD-miR200c-4ntin-3Lおよびph7SK-TuD-miR200c-4ntin-3Lのためには、センス鎖5"-CATCAACTCCATCATTACCCCACTGGCAGTATTACAAGTATTCTGGTCACAGAATACAACTCCATCATTACCCCACTGGCAGTATTACAAG -3"(配列番号:179)およびアンチセンス鎖5"- TCATCTTGTAATACTGCCAGTGGGGTAATGATGGAGTTGTATTCTGTGACCAGAATACTTGTAATACTGCCAGTGGGGTAATGATGGAGTT -3"(配列番号:180)を用いた。 pmU6-TuD-miR200c-4ntin-3pLおよびph7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLのためには、センス鎖 5"- CATCTCCATCATTACCCCACTGGCAGTATTACGTATTCTGGTCACAGAATACTCCATCATTACCCCACTGGCAGTATTACG -3"(配列番号:181)およびアンチセンス鎖5"- TCATCGTAATACTGCCAGTGGGGTAATGATGGAGTATTCTGTGACCAGAATACGTAATACTGCCAGTGGGGTAATGATGGA -3"(配列番号:182)を用いた。 pGL4.74-miR200cTのためには、センス鎖 5"- CTAGACCGGAATTCTCCATCATTACCCGGCAGTATTACTCGAGCGGAGGCCGG -3"(配列番号:183)およびアンチセンス鎖5"-CCTCCGCTCGAGTAATACTGCCGGGTAATGATGGAGAATTCCGGT -3"(配列番号:184)を用いた。

0105

結果ルシフェラーゼアッセイによるTuD200のmiR200阻害効果の検討ルシフェラーゼレポーターアッセイ系を用いてmU6プロモーターとh7SKプロモーターの2種類のプロモーターから発現されるmiRNA阻害RNAの効果を調べた。さらにリンカー配列の長さが異なる2種類のmiRNA阻害RNA、TuD-miR200c-4ntin-3LとTuD-miR200c-4ntin-3pLを試験した。miR200を標的とする本発明のmiRNA阻害RNA(TuD200)発現プラスミドベクターを1ngトランスフェクションした実験において、mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、mU6-TuD-miR200c-4ntin-3pL, h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3L, h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLは、miR200cレポーターの発現を、mU6-TuD-NCよりも、それぞれ約5.7倍、約6.7倍、約6.1倍、約6.7倍上昇させた。一方、h7SK-TuD-NCはほぼ同等であった(図28B)。TuD RNA発現プラスミドベクターを10ngトランスフェクションした実験において、mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、mU6-TuD-miR200c-4ntin-3pL, h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3L, h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLは、miR200cレポーターの発現を、mU6-TuD-NCよりも、それぞれ約8.2倍、約8.7倍、約8.0倍、約8.5倍上昇させた。一方、h7SK-TuD-NCはほぼ同等であった。また1ngのトランスフェクションでも、10ngの結果と比較してもさほど劣らない効果が発揮された(図28C)。以上の結果からTuD-200cは少ない導入量で充分に内在のmiR-200 を阻害し得ることが分かった。また、miR-200での実験においてもmU6プロモーター,h7SKプロモーターおよびTuD-miR200c-4ntin-3L、TuD-miR200c-4ntin-3pLともに高い阻害活性を示すことが分かった。

0106

さらにTuD-miR200c発現レンチウイルスベクターを導入して作製したTuD RNA安定発現細胞においてもウイルス導入から23日後にルシフェラーゼレポーターアッセイを行ったところ、mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L, h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pL発現細胞はmU6-TuD-NC発現細胞よりも、miR200cレポーターの発現をそれぞれ約6.9倍、約6.9倍上昇させた。一方、h7SK-TuD-NC発現細胞はほぼ同等であった(図28D)。この結果からTuD-miR200c発現レンチウイルスベクターを用いることにより長期間、高効率にmiR-200を阻害できることが示された。

実施例

0107

miR200阻害による上皮-間充織転換の誘導上皮系細胞であるHCT116細胞にmiRNA阻害RNA発現レンチウイルスベクターpLCG-mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、pLCG-mU6-TuD-NC、pLCG-h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLおよびpLCG-h7SK-TuD-NCをそれぞれ導入し、GFP発現細胞を分取した。これらの細胞のタンパク質を回収し、上皮細胞・間充織細胞の遺伝子マーカーであるE-cadherin,Vimentinの発現量をウェスタンブロット法により解析した。E-cadherinの発現量はpLCG-mU6-TuD-NC、pLCG-h7SK-TuD-NCを導入した細胞に比べ、pLCG-mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、pLCG-h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLを導入した細胞において顕著に減少しており、VimentinについてはpLCG-mU6-TuD-NC、pLCG-h7SK-TuD-NCを導入した細胞においては発現が認められなかったが、pLCG-mU6-TuD-miR200c-4ntin-3L、pLCG-h7SK-TuD-miR200c-4ntin-3pLを導入した細胞においては発現していた(図28E)。以上の結果からTuD-miR200cによるmiR-200 familyの阻害によって上皮系細胞であるHCT116が間充織系細胞へと転換されたことが示された。

0108

本発明により、miRNAを効率的かつ特異的に阻害することができるmiRNA阻害複合体が提供された。本発明のmiRNA阻害複合体は、例えばレトロウイルスベクターから発現させることにより、miRNAを長期間安定に阻害することができ、例えばノックダウンマウスのようなin vivoアッセイを可能にする。さらに、Cre-loxPを利用して時間特異的かつ組織特異的にmiRNAノックダウンを実施することも可能である。図6に例示した通り、本発明のmiRNA阻害RNAの発現カセットは容易に構築することができるので、miRNAを包括的に解析するためのRNAライブラリーを構築することもできる。このように、本発明はmiRNAの研究に極めて有用なツールを提供するものである。また生体内の遺伝子は、かなりの割合でmiRNAの標的であると予想されており、分化、発生、腫瘍形成、および感染症に対する細胞防御を含む様々な場面においてmiRNAは重要な役割を果たしていることが示唆されている。本発明の方法は、遺伝子調節機構の解明や腫瘍や感染症の遺伝子治療等において、これらのmiRNAの機能を制御するために有用である。

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