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技術 培養細胞の活性計測方法、マイクロチャンバ、マイクロチャンバアレイ、培養容器および培養細胞の活性計測装置

出願人 国立大学法人東京大学株式会社ニコン
発明者 一木隆範塩野博文
出願日 2009年6月26日 (11年5ヶ月経過) 出願番号 2010-517771
公開日 2011年12月8日 (9年0ヶ月経過) 公開番号 WO2009-157211
状態 特許登録済
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 自動分析、そのための試料等の取扱い 微生物・酵素関連装置
主要キーワード 計測時期 酸素透過性材料 非晶質フッ素樹脂 光学的計測 光散乱量 改良物 計測項目 高分子被膜
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年12月8日)のものです。
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図面 (14)

課題・解決手段

培養細胞活性計測方法は、区画手順と計測手順とを有する。区画手順では、培養液および培養細胞を収容した培養容器内計測対象細胞を取り囲むマイクロチャンバを配置し、培養容器容積に対して微少被計測空間をマイクロチャンバの内側に形成する。また、計測手順では、被計測空間に含まれる環境因子計測し、計測対象の細胞の活性を求める。

概要

背景

培養細胞生物学的活性計測する技術は、再生医療などの先端医療分野医薬品のスクリーニングをはじめとする幅広い分野における基盤技術となっている。一例として、再生医療分野では、インビトロ細胞を増殖、分化させるプロセスが存在する。そして、上記のプロセスでは、細胞の分化の成否、細胞の癌化や感染の有無を管理するために、培養細胞の生物学的活性を計測することが不可欠となる。

一方、従来から公知の細胞の活性計測方法のうち、個々の細胞を解析した上で分離する手法の一例としてフローセルソーターによる計測が挙げられる。フローセルソーターでは、電荷を持たせた液滴中蛍光染色処理後の細胞を単離して滴下する。そして、この液滴中の細胞の蛍光の有無、光散乱量の大小に基づいて液滴の落下方向を電界印加で制御し、複数の容器に細胞を分画して回収することができる(例えば、非特許文献1参照)。

また、細胞の集団を対象とした活性評価を行うための手法として、液体中の物質高感度分析を行う酵素免疫測定法EIA)や蛍光免疫測定法(FIA)、あるいは両者を組み合わせたELISA法なども知られている。

概要

培養細胞の活性計測方法は、区画手順と計測手順とを有する。区画手順では、培養液および培養細胞を収容した培養容器内計測対象の細胞を取り囲むマイクロチャンバを配置し、培養容器容積に対して微少被計測空間をマイクロチャンバの内側に形成する。また、計測手順では、被計測空間に含まれる環境因子を計測し、計測対象の細胞の活性を求める。

目的

本発明の目的は、計測対象の細胞および周囲の培養環境に対して低侵襲で、かつ計測対象の細胞の活性を高い感度で計測するための手段を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

培養液および培養細胞を収容した培養容器内計測対象細胞を取り囲むマイクロチャンバを配置し、前記培養容器容積に対して微少被計測空間を前記マイクロチャンバの内側に形成する区画手順と、前記被計測空間に含まれる環境因子計測し、前記計測対象の細胞の活性を求める計測手順と、を有することを特徴とする培養細胞の活性計測方法

請求項2

請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、前記計測手順では、前記被計測空間を形成した後に所定の待機時間をあけて前記環境因子を計測することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項3

請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、前記計測手順では、各々の計測時期を変化させて前記環境因子を複数回計測し、前記環境因子の量が変化する速度を求めることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項4

請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の培養細胞の活性計測方法において、前記計測手順の終了後に前記培養容器から前記マイクロチャンバを除去し、前記計測対象の細胞の培養環境復元する復元手順をさらに有することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項5

請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、前記マイクロチャンバは、前記培養容器と接触する底面側が開放されたカップ状の部材で構成されることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項6

請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、前記マイクロチャンバは、前記培養容器と接触する底面と、上面または側面とにそれぞれ開口部を有する筒状の部材で構成されることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項7

請求項6に記載の培養細胞の活性計測方法において、前記マイクロチャンバの上面または側面に形成された開口部は、前記培養液の流出入阻害する半透過膜で覆われていることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項8

請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、前記環境因子の量を電気信号に変換するセンサを前記被計測空間に配置するとともに、前記計測手順では、前記センサの出力に基づいて前記環境因子を計測することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項9

請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、前記環境因子の量に応じて光学的な変化を示す検出プローブを前記被計測空間に配置するとともに、前記計測手順では、前記検出プローブによる光学的な変化に基づいて前記環境因子を計測することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項10

請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法において、前記培養容器に前記マイクロチャンバを複数配置し、前記マイクロチャンバごとに形成された各々の前記被計測空間で前記計測手順を並行して実行することを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項11

請求項10に記載の培養細胞の活性計測方法において、複数の前記マイクロチャンバは、前記培養容器内で一定間隔をおいて2次元的に配列されることを特徴とする培養細胞の活性計測方法。

請求項12

請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法で用いられるマイクロチャンバであって、前記培養容器と接触する底面側が開放されたカップ状の部材で構成され、計測対象の細胞を内部に収容可能であることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項13

請求項12に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバの内面親水性を有することを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項14

請求項12に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバの上面部が平坦に形成されることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項15

請求項1に記載の培養細胞の活性計測方法で用いられるマイクロチャンバであって、前記培養容器と接触する底面と、上面または側面とにそれぞれ開口部を有する筒状の部材で構成され、計測対象の細胞を内部に収容可能であることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項16

請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバの上面または側面に形成された開口部は、前記培養液の流出入を阻害する半透過膜で覆われていることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項17

請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバの内面に、培養液に含まれる環境因子の量を電気信号に変換するセンサが配置されていることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項18

請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバの内面に、培養液に含まれる環境因子の量に応じて光学的な変化を示す検出プローブが固定されていることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項19

請求項18に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバは、前記光学的な変化に対応した波長の光を透過する透光性材料で形成されることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項20

請求項19に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバの屈折率は、培養液の屈折率と同じ値に設定されていることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項21

請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバが弾性材料で形成されることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項22

請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバが酸素透過性を有する材質で形成されることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項23

請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバにおいて、前記マイクロチャンバの表面に蛋白質吸着を阻害する被膜が形成されていることを特徴とするマイクロチャンバ。

請求項24

請求項12または請求項15に記載のマイクロチャンバが同一平面上に複数配置された本体部を有し、各々の前記マイクロチャンバは、一定間隔をおいて2次元的に配列されていることを特徴とするマイクロチャンバアレイ

請求項25

請求項24のマイクロチャンバアレイを、容器内の培養面上に配置可能な培養容器であって、培養細胞を許容する複数の第1領域と、前記第1領域よりも培養細胞の付着性を低下させた第2領域とが前記培養面上にそれぞれ形成され、各々の前記第1領域の形成位置は、前記マイクロチャンバアレイ上で各々のマイクロチャンバが配列される位置に対応することを特徴とする培養容器。

請求項26

培養容器内に存在する計測対象の細胞の位置を特定する位置検出部と、前記計測対象の細胞を取り囲むマイクロチャンバを前記培養容器内に配置し、前記培養容器の容積に対して微少な被計測空間を前記マイクロチャンバの内側に形成するマイクロチャンバ配置部と、前記被計測空間に含まれる環境因子を計測する計測部と、を備えることを特徴とする培養細胞の活性計測装置

技術分野

0001

本発明は、培養細胞活性計測方法とその周辺技術に関する。

背景技術

0002

培養細胞の生物学的活性計測する技術は、再生医療などの先端医療分野医薬品のスクリーニングをはじめとする幅広い分野における基盤技術となっている。一例として、再生医療分野では、インビトロ細胞を増殖、分化させるプロセスが存在する。そして、上記のプロセスでは、細胞の分化の成否、細胞の癌化や感染の有無を管理するために、培養細胞の生物学的活性を計測することが不可欠となる。

0003

一方、従来から公知の細胞の活性計測方法のうち、個々の細胞を解析した上で分離する手法の一例としてフローセルソーターによる計測が挙げられる。フローセルソーターでは、電荷を持たせた液滴中蛍光染色処理後の細胞を単離して滴下する。そして、この液滴中の細胞の蛍光の有無、光散乱量の大小に基づいて液滴の落下方向を電界印加で制御し、複数の容器に細胞を分画して回収することができる(例えば、非特許文献1参照)。

0004

また、細胞の集団を対象とした活性評価を行うための手法として、液体中の物質高感度分析を行う酵素免疫測定法EIA)や蛍光免疫測定法(FIA)、あるいは両者を組み合わせたELISA法なども知られている。

先行技術

0005

Kamarck,M.E. MethodsEnzymol. 第151巻第150頁から第165頁(1987年)

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、フローセルソーターをはじめとする従来の計測手法では、計測対象の細胞および周囲の培養環境に大きな影響を与えずに、個々の細胞の活性を高い感度で計測することが非常に困難であった。そのため、上記のニーズを満たす細胞の活性計測方法がなお探求されている。

0007

そこで、本発明の目的は、計測対象の細胞および周囲の培養環境に対して低侵襲で、かつ計測対象の細胞の活性を高い感度で計測するための手段を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

一の態様に係る培養細胞の活性計測方法は、区画手順と計測手順とを有する。区画手順では、培養液および培養細胞を収容した培養容器内に計測対象の細胞を取り囲むマイクロチャンバを配置し、培養容器容積に対して微少被計測空間をマイクロチャンバの内側に形成する。また、計測手順では、被計測空間に含まれる環境因子を計測し、計測対象の細胞の活性を求める。

0009

なお、上述の培養細胞の活性計測方法に適用されるマイクロチャンバ、マイクロチャンバアレイ、培養容器などの消耗品の構成や、上述の培養細胞の活性計測方法に適した活性計測装置の構成も、本発明の具体的態様として有効である。

図面の簡単な説明

0010

一の実施形態に係る活性計測方法の概要
一の実施形態に係るマイクロチャンバの構成例を模式的に示す断面図
マイクロチャンバの他の構成例を模式的に示す断面図
マイクロチャンバの他の構成例を模式的に示す断面図
他の実施形態に係る培養細胞の活性計測方法の概要を示す図
他の実施形態に係るマイクロチャンバシートを模式的に示す部分断面図
他の実施形態で用いる培養容器の培養面と、マイクロチャンバシートとの対応関係を示す図
活性計測装置の構成例を示すブロック図
活性計測装置の動作例を示す流れ図
実施例での測定系の構成を示す概略図
実施例での蛍光強度溶存酸素濃度との関係を示すグラフ
実施例での蛍光強度の逆数と溶存酸素濃度との関係を示すグラフ
実施例での検量線を示したグラフ

実施例

0011

<一の実施形態の活性計測方法の説明>
図1は、一の実施形態に係る培養細胞の活性計測方法の概要を示す図である。一の実施形態では、液体培地11とともに培養細胞12を収容したディッシュなどの培養容器13に対して、計測対象の細胞12を取り囲むマイクロチャンバ14を配置し、マイクロチャンバ14内の空間に含まれる環境因子を測定する。

0012

ここで、本明細書の環境因子とは、細胞の代謝で産生または消費される物質を意味する。一例として、環境因子には、グルコースカルシウムイオンカリウムイオンナトリウムイオン水素イオン酸素活性酸素種過酸化水素二酸化炭素、細胞が産出するタンパクヘプタイドなど(例えばサイトカインホルモンなど)が含まれる。

0013

図2は、一の実施形態に係るマイクロチャンバ14の構成例を模式的に示す断面図である。一の実施形態のマイクロチャンバ14の全体形状は、培養容器13の培養面と接触する底面側が開放されるとともに、上面側が閉塞された有底円筒形カップ状に構成されている。そのため、マイクロチャンバ14の内側には計測対象の細胞12を収容可能となっている。そして、一の実施形態では、培養容器13の培養面上にマイクロチャンバ14を配置することで、培養容器13の容積に対して十分に微小な被計測空間がマイクロチャンバ14の内側に構築される。なお、マイクロチャンバ14の大きさは、計測対象の細胞12の種類や数、計測する環境因子の種類、計測の所要時間などに応じて適宜選択されるが、一例として、その直径が50μmから100μm程度に設定される。

0014

また、一の実施形態のマイクロチャンバ14の内側には、環境因子センサ15および生体分子検出プローブ16がそれぞれ固定されている。環境因子センサ15は、培養液に含まれる環境因子の量を電気化学的手段によって電気信号に変換するセンサである。一例として、環境因子センサ15は、酸素センサや各種のバイオセンサグルコースセンサなど)で構成される。

0015

生体分子検出プローブ16は、環境因子のうちから選択された標的分子を特異的に補足する分子で構成され、例えば、抗体、酵素等のタンパク質ペプチド、糖類等を用いることができる。一の実施形態では、異なる種類の生体分子検出プローブ16をパターニング等でマイクロチャンバ14の特定の位置(マイクロチャンバ14内の上面など)にアレイ化して固定してもよい。この場合には、同時に多項目網羅的な解析が可能になる。また、標的分子を蛍光標識等しておけば、生体分子検出プローブ16と標的分子との結合を容易に判断することができる。なお、上記の場合には蛍光強度によって標的分子の量を測ることもできる。

0016

ここで、一の実施形態でのマイクロチャンバ14は、以下の(1)から(5)の構成(あるいはこれらの組み合わせ)を有していてもよい。

0017

(1)光学的計測蛍光測定色変化の測定、吸光度測定)によって環境因子を計測する場合には、マイクロチャンバ14内で生じる光学的な変化に対応した波長の光を透過する透光性材料でマイクロチャンバ14を形成することが好ましい。このとき、光学的計測を容易に行う観点から、マイクロチャンバ14の屈折率は液体培地11の屈折率と同じ値に設定することが好ましい。一例として、可視光に対する透光性を有するとともに屈折率が液体培地11とほぼ同等な材質として、非晶質フッ素樹脂(例えば、サイトップ登録商標))などが挙げられる。

0018

また、光学的計測を行う場合には、計測時の光学像のひずみを避けるために、マイクロチャンバ14の上面を平坦にしてもよい。あるいは、光学的計測でのNAを向上させるために、マイクロチャンバ14の上面にマイクロレンズを形成してもよい(この場合の図示は省略する)。

0019

(2)マイクロチャンバ14は、柔軟性の高い弾性材料で形成してもよい。かかる構成によれば、例えば、外部の細胞と接合した軸索などにダメージを与えずに計測対象の細胞12にマイクロチャンバ14を被せることができる。また、培養容器13の培養面に対してマイクロチャンバ14に傾きが生じている場合にも、マイクロチャンバ14の変形によってアライメント誤差を吸収することが可能となる。なお、マイクロチャンバ14に用いられる弾性材料としては、例えば、シリコンゴムポリジメチルシロキサン)が挙げられる。

0020

(3)マイクロチャンバ14は、酸素透過性を有する材質で形成してもよい。かかる構成によれば、比較的長時間の計測を行う場合にも、マイクロチャンバ14内に細胞の培養環境を維持できる。勿論、この場合には酸素濃度計測項目に含まれないことが前提となる。なお、マイクロチャンバ14に用いられる酸素透過性材料としては、例えば、シリコンゴム(ポリジメチルシロキサン)が挙げられる。

0021

(4)被計測空間内を液体培地11で満たすことを容易とするために、マイクロチャンバ14の内面には、親水性被膜の形成などによって親水性を付与してもよい。この場合には、マイクロチャンバ14を上下に反転させて空気が入らないように予め液体培地11を容器内に充填し、その後にマイクロチャンバ14を本来の状態(底面側に開口がある状態)に戻しても表面張力によって容器内の液体は保持される。したがって、この場合には、予め液体培地11で満たされている状態のマイクロチャンバ14を、細胞12の上に被せることが可能となる。

0022

(5)マイクロチャンバ14の表面には、蛋白質吸着阻害する物質(ポリエチレングリコール(PEG)、2−メタクリロイオキシエチルホスホリルコリンMPC)など)で被膜を形成してもよい。この場合には、計測が培養環境に及ぼす影響をより低減させることができる。

0023

次に、一の実施形態における培養細胞の活性計測方法の各手順を具体的に説明する。

0024

第1の手順では、培養容器13内の上側から、計測対象の細胞12を取り囲むようにマイクロチャンバ14を配置する。これにより、計測対象の細胞12が収容されるとともに培養容器13の容積に対して微少な被計測空間がマイクロチャンバ14の内側に形成される。

0025

また、熱の移動による培養環境への悪影響を抑制するために、マイクロチャンバ14は予め培地11と同じ温度に保温しておくことが好ましい。なお、被計測空間に収容する細胞12の数は複数であってもよいが、一の実施形態ではマイクロチャンバ14内に1つの細胞を収容するものとする。

0026

第2の手順では、被計測空間に含まれる環境因子を計測する。これにより、計測された環境因子の量に基づいて、計測対象の細胞の活性、細胞のアポトーシスや分化の度合い、細胞の性質などを評価することができる。

0027

培養容器13の環境因子を測定する場合には、培地全体に代謝物などが拡散されるため、個々の細胞に着目して環境因子を測定することは不可能である。一方、一の実施形態では、培養容器13内にマイクロチャンバ14を配置して、計測対象の細胞12を含む微小な被計測空間を構成して環境因子を計測している。この被計測空間に含まれる環境因子は計測対象の細胞12と密接に関連するので、培養環境下において計測対象の細胞12に注目した局所的な環境因子の計測が可能となる。

0028

また、マイクロチャンバ14内の被計測空間は培養容器13の容積に対して微小であるので、マイクロチャンバ14の外側の環境と比べて被計測空間内では代謝物などの濃度変化がより大きくなる。そのため、非常に高い感度で環境因子を検出できる。また、被計測空間内では環境因子の濃度変化が高くなるため、比較的短時間で計測を行うことが可能となる。

0029

さらに、一の実施形態では、細胞12の周囲の空間に含まれる環境因子を計測対象として細胞の活性を評価する。そのため、細胞自体を計測対象とする場合と比べて計測による細胞への影響を少なくできる。また、一の実施形態では計測対象の細胞12を培養容器13内でそのまま計測できるので、計測によって細胞12や周囲の培養環境に与える影響を極めて少なくできる。

0030

ここで、第2の手順での計測方法をより詳細に説明する。具体的には、第2の手順では、マイクロチャンバ14内に配置された環境因子センサ15で被計測空間の環境因子を計測する。あるいは、第2の手順では、マイクロチャンバ14内に配置した生体分子検出プローブ16や、試薬pH指示薬など)による被計測空間の光学的な変化を顕微鏡で観察し、環境因子の光学的計測(蛍光測定、色変化の測定、吸光度測定など)を行ってもよい。なお、上記の光学的計測で用いる生体分子検出プローブは、マイクロチャンバ14の内面に固定するものでもよく、マイクロチャンバ14に固定せずに培養容器13内の培地11に直接投入するものであってもよい。

0031

また、第2の手順では、マイクロチャンバ14内の被計測空間で代謝物を十分蓄積させるために、被計測空間を形成した後に所定の待機時間をあけて環境因子を計測してもよい。さらに、第2の手順では、各々の計測時期を変化させて環境因子を複数回計測してもよい。この場合には、環境因子の量の変化と計測のインターバルとに基づいて、環境因子の量が変化する速度を求めることが可能となる。

0032

第3の手順では、上記の環境因子の計測が終了した後に、培養容器13からマイクロチャンバ14を除去する。これにより、細胞の培養環境を計測前とほぼ同様の状態に復元できる。したがって、一の実施形態では、上記の第1の手順から第3の手順を繰り返すことで、培養環境下で培養される細胞12の活性をほぼ非侵襲周期的に判断することが可能となる。

0033

なお、一の実施形態において、1つの培養容器13内に複数のマイクロチャンバ14を配置して、異なる細胞12の活性測定並行して行うようにしてもよい。

0034

<一の実施形態の変形例>
図3図4は、一の実施形態のマイクロチャンバ14の他の構成例をそれぞれ模式的に示す断面図である。これらの構成によっても、計測対象の細胞12の周囲に微小な被計測空間を構築することができ、図2に示すマイクロチャンバ14の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。なお、図3図4において図2と共通する構成については、同一符号を付して重複説明は省略する。

0035

図3に示すマイクロチャンバ14は、培養容器13と接触する底面と、上面とがそれぞれ開口した筒状の部材で構成されている。図3の構成によれば、マイクロチャンバ14を細胞12に被せるときに上面側の開口から空気を逃がすことができる。なお、図3の構成では、マイクロチャンバ14の上面側から培地11が流入することを防ぐように、マイクロチャンバ14の高さを設定する必要がある。

0036

図4に示すマイクロチャンバ14は、培養容器13と接触する底面と、上面とがそれぞれ開口した筒状の部材で構成されている。そして、図4のマイクロチャンバ14では、培地11の流出入を阻害するとともに空気の流出入を許容する疎水性半透過膜17で上面側の開口部が覆われている。図4の構成によれば、マイクロチャンバ14を細胞12に被せるときに上面側の開口から空気を一方的に逃がすことができ、かつ、被計測空間内を形成したときにマイクロチャンバ14の内外で培地11が混ざることを防止できる。

0037

<他の実施形態の活性計測方法の説明>
図5は、他の実施形態に係る培養細胞の活性計測方法の概要を示す図である。他の実施形態は、図1に示す一の実施形態の変形例であって、マイクロチャンバ14を配列したマイクロチャンバシート21を用いて各々の被計測空間毎に環境因子の計測を行う。なお、他の実施形態では培養容器13側の培養面を修飾することで、培養細胞12の付着位置がマイクロチャンバシート21に合わせて制御されている。

0038

図6は、他の実施形態に係るマイクロチャンバシート21を模式的に示す部分断面図である。また、図7は、他の実施形態で用いる培養容器13の培養面と、マイクロチャンバシート21との対応関係を示す図である。他の実施形態に係るマイクロチャンバシート21の全体形状は、培養容器13の内径よりも外径が小さい円板状の部材であって、一方の面(底面側)には複数のマイクロチャンバ14が形成されている。マイクロチャンバ14は有底円筒形の凹部で構成されており、例えばリソグラフィなどの公知の微細加工手段で形成される。

0039

そして、マイクロチャンバシート21の各々のマイクロチャンバ14は一定間隔をおいて2次元的に配列されている。なお、図5図7では、一例として、マイクロチャンバ14が4×4の配列をなすマイクロチャンバシート21を図示する。

0040

一方、培養容器13の培養面上には、各々で細胞の付着性が異なる第1領域22と第2領域23とが形成されている。上記の第1領域22は、培養面上で相対的に細胞の付着性が高い領域である。この第1領域22は培養面上に複数形成されており、その数はマイクロチャンバシート21のマイクロチャンバ14の数と対応する。培養面上の第1領域22は、マイクロチャンバ14の間隔に合わせて4×4の配列をなしている。なお、個々の第1領域22のサイズは、マイクロチャンバ14のサイズよりも若干小さくなるように設定されている。

0041

また、第2領域23は、培養面上で相対的に細胞の付着性が低い領域であって、第1領域22を取り囲むように形成されている。そのため、培養容器13内では、マイクロチャンバ14の位置に対応する第1領域22に細胞が付着しやすくなっている。

0042

ここで、第1領域22および第2領域23の形成手段としては、以下の(1)から(4)の例が考えられる。なお、これらの構成は適宜組み合わせてもかまわない。
(1)第1領域22に対して親水性を付与することで蛋白質の吸着を高め、第1領域22での細胞の付着性を相対的に高くする。一例として、培養容器13の培養面にプラズマ紫外線照射してパターニングを行うことで、親水性が付与された第1領域22を形成することができる。
(2)電荷を持った高分子被膜(例えばポリリジンコーティングなど)を第1領域22に形成することで蛋白質の吸着を高め、第1領域22での細胞の付着性を相対的に高くする。
(3)第2領域23に対して蛋白質の吸着を阻害する皮膜を形成することで、第2領域23での細胞の付着性を相対的に低くする。上記の被膜の材料としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)や、2−メタクリロイオキシエチルホスホリルコリン(MPC)などが挙げられる。
(4)第2領域23に表面加工で微小な突起を形成し、細胞の接着面積を低くすることで第2領域23での細胞の付着性を相対的に低くしてもよい。

0043

なお、他の実施形態における活性計測方法の手順は、マイクロチャンバシート21を培養容器13に配置する点と、個々のマイクロチャンバ14ごとに環境因子を計測する点を除いて、一の実施形態とほぼ共通するので説明を省略する。なお、マイクロチャンバシート21や培養容器13にアライメントマークを予め設けておけば、マイクロチャンバシート21を培養容器13に配置するときの位置決めが容易となる。

0044

他の実施形態の構成によれば、上記の一の実施形態の効果に加えて、細胞の活性の計測をアレイ化して一度に行うことができるので、複数の細胞の活性を評価するときのスループットを大幅に向上させることができる。また、他の実施形態では、アレイ化により個々のマイクロチャンバ14をそれぞれ独立してアライメントする必要がないので、計測作業の煩雑さが低減して作業効率が一層向上する。

0045

<活性計測装置の構成例>
図8は、上述の一の実施形態または他の実施形態の活性計測方法を実行するための活性計測装置の構成例を示すブロック図である。

0046

活性計測装置は、恒温室31と、ロボットアーム32と、光学観察ユニット33と、モニタ34と、記憶部35と、制御部36と、ユーザーから各種の操作を受け付ける操作部37とを有している。ここで、ロボットアーム32、光学観察ユニット33、モニタ34、記憶部35および操作部37は、それぞれ制御部36に接続されている。

0047

恒温室31には、計測対象の細胞12を培養する培養容器13が収納される。この恒温室31の内部は、細胞の培養に適した環境(例えば温度37℃、湿度90%の雰囲気)に維持されるとともに、コンタミネーションを防止するために高い清浄度に保たれている。

0048

ロボットアーム32は、マイクロチャンバ14(またはマイクロチャンバシート21)が先端に保持されており、マイクロチャンバ14を三次元的に移動させる。そして、ロボットアーム32は、制御部36の指示に応じて、培養容器13の所定位置の細胞12にマイクロチャンバ14を被せるとともに、計測終了後にマイクロチャンバ14を除去する動作を行う。

0049

光学観察ユニット33は、培養細胞を照明する照明装置と、培養細胞を観察するための顕微光学系と、顕微光学系を介した培養容器13内の像を撮像する撮像装置とを有している。この光学観察ユニット33は、ロボットアーム32が培養容器13内にマイクロチャンバ14を位置決めするときの位置情報の取得や、マイクロチャンバ14内の被計測空間で生じる光学的な変化を示す画像情報の取得に用いられる。なお、光学観察ユニット33で撮像された画像は、制御部36の制御によってモニタ34に表示することができる。

0050

記憶部35は、ハードディスクフラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体で構成される。この記憶部35には、環境因子の計測情報や、環境因子の計測時に光学観察ユニット33が生成した画像情報がそれぞれ記憶される。上記の画像情報や環境因子の計測情報は、計測対象の細胞の識別情報および計測日時の情報とそれぞれ対応付けされた状態で記憶部35に記憶される。なお、記憶部35には、制御部36によって実行されるプログラムも記憶される。

0051

制御部36は、活性計測装置の各部の動作を統括的に制御するプロセッサである。例えば、制御部36は、ロボットアーム32を制御してマイクロチャンバ14を移動させる。また、制御部36は、光学観察ユニット33の撮像装置やマイクロチャンバ14内の環境因子センサ15によって、マイクロチャンバ14内の環境因子の計測を行う。

0052

以下、図9の流れ図を参照しつつ、活性計測装置の動作例を説明する。

0053

テップS101:制御部36は、光学観察ユニット33を駆動させて培養容器13内の状態を撮像した観察画像を取得する。これにより、制御部36は、マイクロチャンバ14を位置決めするときの位置情報を取得する。一例として、制御部36は、画像の基準点(例えば画面の中心)と培養容器13での位置とを予め対応付けておく。そして、制御部36は、光学観察ユニット33での撮影倍率レンズ位置などを考慮して、画像内における細胞と基準点との位置関係から、培養容器13での実際の細胞の座標幾何学的に求めることができる。

0054

その後、制御部36は、上記の観察画像をモニタ34に表示する。これにより、ユーザーは観察画像に基づいて、計測対象となる細胞12を操作部37から指定することができる。

0055

ステップS102:ユーザーから計測対象となる細胞12の指定を受け付けると、制御部36は、上記の位置情報(S101)に基づいてロボットアーム32を駆動させて計測対象の細胞12の上からマイクロチャンバ14を配置する。これにより、計測対象の細胞12の周囲にマイクロチャンバ14で被計測空間が形成される。

0056

ステップS103:制御部36は、光学観察ユニット33による画像の撮像や、環境因子センサ15の出力によって、被計測空間内の環境因子の計測を実行する。そして、制御部36は、必要に応じて環境因子の計測結果を統計解析した後に、記憶部35への計測結果の記録や、モニタ34での計測結果の表示を行う。

0057

ステップS104:制御部36は、計測終了後に、ロボットアーム32を駆動させて培養容器13からマイクロチャンバ14を除去し、培養容器13内の培養環境を復元する。

0058

以上で、図9の流れ図の説明を終了する。上記の活性計測装置によれば、上述の実施形態の活性計測方法を効率的に実行することが可能となる。

0059

<実施例>
本発明の実施例として、マイクロチャンバ(リアクター)内の溶残酸素濃度の測定が可能であることを示すために、酸素センサの検量線を作成した。

0060

図10は、実施例での測定系の構成を示す概略図である。実施例では、ルテニウム(Ru)錯体を含むポリジメチルシロキサン(PDMS)シートをガラス基板上に配置し、上記のシートを配置したガラス基板と、直径500μm−800μmの穴を開口したシリコン(Si)ウエハとを接着してリアクターを構成した。また、Siウエハの上面側もガラス基板で封止した。なお、リアクター全体の厚さは500μmとした。

0061

そして、上記のリアクター内に溶存酸素濃度の異なる溶液封入して、それぞれ顕微鏡で蛍光強度を測定した。

0062

図11は、実施例での蛍光強度と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。図11からは、リアクター内の溶存酸素濃度が上昇するに従って、蛍光強度が低下することが確認できた。

0063

次に、実施例での実験データをもとに酸素センサの検量線を作成した。検量線のパラメータは、下記の式(1)で示される。
I0/I=1+KSV[O2] …(1)
ここで、「I0」は、溶存酸素濃度が0mg/Lであるときの蛍光強度を示す。「I」は、各溶存酸素濃度での蛍光強度を示す。「KSV」は、検量線の傾きを示す値である。「O2」は溶存酸素濃度を示す。

0064

実施例では、溶存酸素濃度が0mg/Lであるときの蛍光強度を実験から得ることができないため、蛍光強度の逆数を直線で近似し(図12参照)、近似曲線のy切片から求まるI”をI0とした。
I”=1/(2.159×10−5)=46317.74 …(2)
そして、上記のI”を用いて、縦軸をI”/Iとし、横軸を溶存酸素濃度として検量線を作成した(図13参照)。このとき、KSV=0.19976となった。

0065

<実施形態の補足事項
(1)上記の実施形態において、マイクロチャンバ14に光硬化性樹脂を用いた場合には、マイクロチャンバ14にレーザーを照射することで任意の細胞をマイクロチャンバ14内に封止することができる。上記の構成によれば、被計測空間における環境因子の計測結果に基づいて、所望の細胞を選択的に分離抽出することが可能となる。

0066

(2)上記の図4の例において、マイクロチャンバ14の側面に疎水性の半透過膜17で覆われた開口部を形成してもよい。

0067

(3)上記の実施形態において、マイクロチャンバ14内の蛍光を観察する場合には、マイクロチャンバ14の側壁の内面側に、蛍光の波長を反射する反射膜を形成してもよい。この場合には、マイクロチャンバ14内の蛍光シグナルをより高感度に検出できるようになる。

0068

(4)なお、上記実施形態のマイクロチャンバ14、マイクロチャンバシート21、培養容器13などの器具は、使い捨て物品として設計することが好ましい。

0069

以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。

0070

11…培地、12…細胞、13…培養容器、14…マイクロチャンバ、15…環境因子センサ、16…生体分子検出プローブ、17…半透過膜、21…マイクロチャンバシート、22…第1領域、23…第2領域、31…恒温室、32…ロボットアーム、33…光学観察ユニット、34…モニタ、35…記憶部、36…制御部、37…操作部

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