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図面 (20)

課題・解決手段

アンテナ装置は、アンテナ素子(1)上の所定の各位置にそれぞれ設けられた2つの給電ポートを備え、アンテナ素子(1)は、2つの給電ポートにそれぞれ対応した2つのアンテナ部として同時に動作するように、各給電ポートを介してそれぞれ同時に励振される。アンテナ装置は、2つの給電ポート間に設けられ、アンテナ素子(1)の共振周波数を変化させるとともに、所定のアイソレーション周波数において給電ポート間に所定のアイソレーションを生成するスリット(S1)と、アンテナ素子(1)の動作周波数を、変化された共振周波数からアイソレーション周波数にシフトさせる整合手段(11,12)とを備える。

概要

背景

携帯電話機等の移動体通信無線装置の小型化、薄型化が急速に進んでいる。また、携帯無線通信装置は、従来の電話機として使用されるのみならず、電子メールの送受信やWWW(ワールドワイドウェブ)によるウェブページ閲覧などを行うデータ端末機に変貌を遂げている。取り扱う情報も従来の音声文字情報から写真動画像へと大容量化を遂げており、通信品質のさらなる向上が求められている。また、携帯無線通信装置は、電話としての音声通話、ウェブページの閲覧のためのデータ通信テレビジョン放送視聴など、さまざまなアプリケーション対処することが求められている。このような状況にあって、それぞれのアプリケーションに係る無線通信を行うために、幅広周波数で動作できるアンテナ装置が必要である。

従来、広い周波数帯域カバーしかつ共振周波数を調整するアンテナ装置として、例えば、特許文献1記載のように、アンテナ素子部にスリットを設けて共振周波数を調整するアンテナ装置や、特許文献2記載のように、スリットにトラップ回路を設けたノッチアンテナがあった。

特許文献1のアンテナ装置は、板状放射素子放射板)とそれに平行に対向する接地板を含み、さらに、放射板の縁端部の略中央に位置して高周波信号を供給する給電部と、給電部の近傍で放射板と接地板とを短絡する短絡部と、放射板上において給電部と略対向する縁端部にスリット部を設けることによりそれぞれ形成された2つの共振器とを含んで構成される。このスリット部の形状や寸法を調整することにより、又はスリット部にリアクタンス素子導体板装荷することにより、2つの共振器間結合度が最適化される。こうして、適切な特性を有する小型・低背化アンテナが得られる。

特許文献2のノッチアンテナは、低い通信周波数帯共振すべき時には、トラップ回路の位置においてスリットを高周波的開状態とすることができると共に、高い通信周波数帯で共振すべき時には、トラップ回路の位置においてスリットを高周波的に閉状態にすることができ、かくして共振すべき通信周波数帯に応じてノッチアンテナの共振長を適宜変更することができる。

概要

アンテナ装置は、アンテナ素子(1)上の所定の各位置にそれぞれ設けられた2つの給電ポートを備え、アンテナ素子(1)は、2つの給電ポートにそれぞれ対応した2つのアンテナ部として同時に動作するように、各給電ポートを介してそれぞれ同時に励振される。アンテナ装置は、2つの給電ポート間に設けられ、アンテナ素子(1)の共振周波数を変化させるとともに、所定のアイソレーション周波数において給電ポート間に所定のアイソレーションを生成するスリット(S1)と、アンテナ素子(1)の動作周波数を、変化された共振周波数からアイソレーション周波数にシフトさせる整合手段(11,12)とを備える。

目的

本発明の目的は、以上の問題点を解決し、簡単な構成でありながら、互いに低相関である複数の無線信号の送受信を同時に実行することができるアンテナ装置、及びそのようなアンテナ装置を備えた無線通信装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

アンテナ素子上の所定の各位置にそれぞれ設けられた第1及び第2の給電ポートを備えたアンテナ装置において、上記アンテナ素子は、上記第1及び第2の給電ポートにそれぞれ対応した第1及び第2のアンテナ部として同時に動作するように、上記第1及び第2の給電ポートを介してそれぞれ同時に励振され、上記アンテナ装置は、上記第1及び第2の給電ポートの間に設けられ、上記アンテナ素子の共振周波数を変化させるとともに、所定のアイソレーション周波数において上記第1及び第2の給電ポートの間に所定のアイソレーションを生成する電磁結合調整手段と、上記アンテナ素子の動作周波数を、上記変化された共振周波数から上記アイソレーション周波数にシフトさせるインピーダンス整合手段とを備えたことを特徴とするアンテナ装置。

請求項2

上記電磁結合調整手段は、上記アンテナ素子に設けられた少なくとも1つのスリットであることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。

請求項3

上記アンテナ装置は、第1のアンテナ素子及び第2のアンテナ素子を備えたダイポールアンテナとして構成され、上記第1の給電ポートは、上記第1及び第2のアンテナ素子が対向した第1の位置において設けられ、上記第2の給電ポートは、上記第1の位置とは異なる位置であって、上記第1及び第2のアンテナ素子が対向した第2の位置において設けられ、上記電磁結合調整手段は、上記第1及び第2のアンテナ素子の少なくとも1つに設けられた少なくとも1つのスリットであることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。

請求項4

上記アンテナ装置は、上記スリットのうちの少なくとも1つにおいて、当該スリットに沿って当該スリットの開口部から所定距離の位置に設けられたトラップ回路をさらに備え、上記トラップ回路は、所定の第1の周波数では開放となって上記スリット全体を共振させ、上記第1の周波数から離隔した周波数では上記スリットの開口部から上記トラップ回路までの区間のみを共振させることを特徴とする請求項2又は3記載のアンテナ装置。

請求項5

上記スリットのうちの少なくとも1つに設けられ、上記共振周波数及び上記アイソレーション周波数を変化させるリアクタンス素子をさらに備えたことを特徴とする請求項2又は3記載のアンテナ装置。

請求項6

上記スリットのうちの少なくとも1つに設けられた可変リアクタンス素子と、上記可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより上記共振周波数及び上記アイソレーション周波数を変化させる制御手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項2又は3記載のアンテナ装置。

請求項7

上記電磁結合調整手段は、上記アンテナ素子に設けられた少なくとも1つのスロットであることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。

請求項8

上記アンテナ素子は、接地導体上に板状逆Fアンテナ素子として構成されたことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。

請求項9

複数の無線信号送受信する無線通信装置において、請求項1乃至8のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置を備えたことを特徴とする無線通信装置。

技術分野

0001

本発明は、主として携帯電話などの移動体通信用のアンテナ装置と、それを備えた無線通信装置に関する。

背景技術

0002

携帯電話機等の移動体通信無線装置の小型化、薄型化が急速に進んでいる。また、携帯無線通信装置は、従来の電話機として使用されるのみならず、電子メールの送受信やWWW(ワールドワイドウェブ)によるウェブページ閲覧などを行うデータ端末機に変貌を遂げている。取り扱う情報も従来の音声文字情報から写真動画像へと大容量化を遂げており、通信品質のさらなる向上が求められている。また、携帯無線通信装置は、電話としての音声通話、ウェブページの閲覧のためのデータ通信テレビジョン放送視聴など、さまざまなアプリケーション対処することが求められている。このような状況にあって、それぞれのアプリケーションに係る無線通信を行うために、幅広周波数で動作できるアンテナ装置が必要である。

0003

従来、広い周波数帯域カバーしかつ共振周波数を調整するアンテナ装置として、例えば、特許文献1記載のように、アンテナ素子部にスリットを設けて共振周波数を調整するアンテナ装置や、特許文献2記載のように、スリットにトラップ回路を設けたノッチアンテナがあった。

0004

特許文献1のアンテナ装置は、板状放射素子放射板)とそれに平行に対向する接地板を含み、さらに、放射板の縁端部の略中央に位置して高周波信号を供給する給電部と、給電部の近傍で放射板と接地板とを短絡する短絡部と、放射板上において給電部と略対向する縁端部にスリット部を設けることによりそれぞれ形成された2つの共振器とを含んで構成される。このスリット部の形状や寸法を調整することにより、又はスリット部にリアクタンス素子導体板装荷することにより、2つの共振器間結合度が最適化される。こうして、適切な特性を有する小型・低背化アンテナが得られる。

0005

特許文献2のノッチアンテナは、低い通信周波数帯共振すべき時には、トラップ回路の位置においてスリットを高周波的開状態とすることができると共に、高い通信周波数帯で共振すべき時には、トラップ回路の位置においてスリットを高周波的に閉状態にすることができ、かくして共振すべき通信周波数帯に応じてノッチアンテナの共振長を適宜変更することができる。

先行技術

0006

国際出願の国際公開WO2002/075853号。
特開2004−32303号公報。

発明が解決しようとする課題

0007

最近になって、通信容量を増大させて高速通信を実現するために、複数のチャンネル無線信号空間分割多重により同時に送受信するMIMO(Multi−Input Multi−Output)技術を採用したアンテナ装置が登場している。MIMO通信を実行するアンテナ装置は、空間分割多重を実現するために、指向性又は偏波特性などを相違させることにより、互いに低相関である複数の無線信号の送受信を同時に実行する必要がある。

0008

特許文献1及び2の構成では、共振周波数を変えることができるものの、給電部が1つだけであるので、MIMO通信、ダイバーシチ方式を用いた通信、またアダプティブアレーに利用できないという課題を有していた。

0009

本発明の目的は、以上の問題点を解決し、簡単な構成でありながら、互いに低相関である複数の無線信号の送受信を同時に実行することができるアンテナ装置、及びそのようなアンテナ装置を備えた無線通信装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明の第1の態様に係るアンテナ装置は、アンテナ素子上の所定の各位置にそれぞれ設けられた第1及び第2の給電ポートを備え、
上記アンテナ素子は、上記第1及び第2の給電ポートにそれぞれ対応した第1及び第2のアンテナ部として同時に動作するように、上記第1及び第2の給電ポートを介してそれぞれ同時に励振され、
上記アンテナ装置は、
上記第1及び第2の給電ポートの間に設けられ、上記アンテナ素子の共振周波数を変化させるとともに、所定のアイソレーション周波数において上記第1及び第2の給電ポートの間に所定のアイソレーションを生成する電磁結合調整手段と、
上記アンテナ素子の動作周波数を、上記変化された共振周波数から上記アイソレーション周波数にシフトさせるインピーダンス整合手段とを備えたことを特徴とする。

0011

上記アンテナ装置において、上記電磁結合調整手段は、上記アンテナ素子に設けられた少なくとも1つのスリットであることを特徴とする。

0012

また、上記アンテナ装置は、第1のアンテナ素子及び第2のアンテナ素子を備えたダイポールアンテナとして構成され、
上記第1の給電ポートは、上記第1及び第2のアンテナ素子が対向した第1の位置において設けられ、
上記第2の給電ポートは、上記第1の位置とは異なる位置であって、上記第1及び第2のアンテナ素子が対向した第2の位置において設けられ、
上記電磁結合調整手段は、上記第1及び第2のアンテナ素子の少なくとも1つに設けられた少なくとも1つのスリットであることを特徴とする。

0013

さらに、上記アンテナ装置は、上記スリットのうちの少なくとも1つにおいて、当該スリットに沿って当該スリットの開口部から所定距離の位置に設けられたトラップ回路をさらに備え、上記トラップ回路は、所定の第1の周波数では開放となって上記スリット全体を共振させ、上記第1の周波数から離隔した周波数では上記スリットの開口部から上記トラップ回路までの区間のみを共振させることを特徴とする。

0014

またさらに、上記アンテナ装置は、上記スリットのうちの少なくとも1つに設けられ、上記共振周波数及び上記アイソレーション周波数を変化させるリアクタンス素子をさらに備えたことを特徴とする。

0015

また、上記アンテナ装置は、
上記スリットのうちの少なくとも1つに設けられた可変リアクタンス素子と、
上記可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより上記共振周波数及び上記アイソレーション周波数を変化させる制御手段とをさらに備えたことを特徴とする。

0016

さらに、上記アンテナ装置において、上記電磁結合調整手段は、上記アンテナ素子に設けられた少なくとも1つのスロットであることを特徴とする。

0017

またさらに、上記アンテナ装置において、上記アンテナ素子は、接地導体上に板状逆Fアンテナ素子として構成されたことを特徴とする。

0018

本発明の第2の態様に係る無線通信装置は、複数の無線信号を送受信する無線通信装置において、本発明の第1の態様に係るアンテナ装置を備えたことを特徴とする。

発明の効果

0019

以上説明したように、本発明に係るアンテナ装置及びそれを用いた無線通信装置によれば、所定の動作周波数においてアンテナ素子を共振させるとともに給電ポート間のアイソレーションを高く確保することができ、低結合で動作するMIMOアンテナ装置を実現することができる。複数の給電ポートをもつアンテナ素子にスリットを設けることで、アンテナ素子の共振周波数を変化させる。また、スリットは、2つの給電ポート間のアイソレーションを高くする役目も果たす。

0020

複数の給電ポートを同時に用いて通信するためには、動作させようとする所定の周波数においてアンテナが共振し、かつ、給電ポート間のアイソレーションが高くなければならない。本発明のアンテナ装置及びそれを備えた無線通信装置は、共振周波数とアイソレーションが高くなる周波数を同一周波数に調整するために、各給電ポートに接続された整合回路を備えて構成される。本発明によれば、アンテナ素子の動作周波数を調整することができ、その動作周波数において2つの給電ポート間のアイソレーションを高くすることができるので、複数の無線信号の送受信を同時に実行可能な無線通信装置を提供することができる。

0021

本発明によれば、アンテナ素子数は1つのままでありながら、当該アンテナ素子を複数のアンテナ部として動作させることができ、それとともに、複数のアンテナ部の間のアイソレーションを確保することができる。アイソレーションを確保してMIMOアンテナ装置の複数のアンテナ部を互いに低結合にすることにより、各アンテナ部を用いて、互いに低相関である複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。また、アンテナ素子の動作周波数を調整することができ、周波数の異なるアプリケーションにも対応することができる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第6の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第7の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第8の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第9の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施例1に係るアンテナ装置のアンテナ素子1の構成を示す図である。
図10AのスリットS1の等価回路を示す図である。
図10Aのアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1に対する共振周波数の特性を示すグラフである。
本発明の実施例2に係るアンテナ装置の概略構成を示す図である。
図12のアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1及び周波数に対する反射係数パラメータS11を示すグラフである。
図12のアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1及び周波数に対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。
図12のアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1に対する周波数の特性を示すグラフである。
本発明の実施例3に係るアンテナ装置の概略構成を示す図である。
図16のアンテナ装置に係る整合回路11,12の有無と周波数とに対する反射係数のパラメータS11を示すグラフである。
図16のアンテナ装置に係る整合回路11,12の有無と周波数とに対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。
図16のアンテナ装置に係る整合回路11,12がない場合のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図16のアンテナ装置に係る整合回路11,12を設けた場合のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
本発明の実施例4に係るアンテナ装置のアンテナ素子1の構成を示す図である。
図20AのスリットS1及びリアクタンス素子15の等価回路を示す図である。
図20Aのアンテナ素子に係るリアクタンス素子15と周波数特性との関係を示すグラフである。
図20Aのアンテナ素子に係るスリットS1の長さD1とリアクタンス素子15のリアクタンス値とに対する共振周波数の特性を示すグラフである。
本発明の実施例5に係るアンテナ装置の概略構成を示す図である。
図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が0.5pFであるときのリアクタンス素子15の位置及び周波数に対する反射係数のパラメータS11を示すグラフである。
図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が0.5pFであるときのリアクタンス素子15の位置及び周波数に対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。
図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が0.5pFであるときのリアクタンス素子15の位置に対する周波数の特性を示すグラフである。
図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が10pFであるときのリアクタンス素子15の位置及び周波数に対する反射係数のパラメータS11を示すグラフである。
図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が10pFであるときのリアクタンス素子15の位置及び周波数に対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。
図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が10pFであるときのリアクタンス素子15の位置に対する周波数の特性を示すグラフである。
図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が4.7nHであるときのリアクタンス素子15の位置及び周波数に対する反射係数のパラメータS11を示すグラフである。
図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が4.7nHであるときのリアクタンス素子15の位置及び周波数に対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。
図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が4.7nHであるときのリアクタンス素子15の位置に対する周波数の特性を示すグラフである。
本発明の実施例6に係るアンテナ装置の概略構成を示す図である。
図33のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値と周波数とに対する反射係数のパラメータS11を示すグラフである。
図33のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値と周波数とに対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。
図33のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値に対する周波数の特性を示すグラフである。
本発明の実施例7に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。
図37Aのアンテナ装置の側面図である。
図37A及び図37Bのアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1及び周波数に対する反射係数のパラメータS11を示すグラフである。
図37A及び図37Bのアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1及び周波数に対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。
図37A及び図37Bのアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1に対する周波数の特性を示すグラフである。

0023

以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。

0024

第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置は、異なる2つの給電点1a,1bを備えた長方形形状のアンテナ素子1を備え、給電点1aを介してアンテナ素子1を第1のアンテナ部として励振させると同時に、給電点1bを介してアンテナ素子1を第2のアンテナ部として励振させることにより、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させる。

0025

通常、単一のアンテナ素子に複数の給電ポート(又は給電点)を設けた場合、給電ポート間のアイソレーションを確保することができず、異なるアンテナ部間の電磁結合が高くなるので、信号間の相関が高くなってしまう。従って、例えば受信時には、各給電ポートから同一の受信信号が出力される。このような場合、ダイバーシチやMIMOの良好な特性を得ることが出来ない。本実施形態では、アンテナ素子1の給電点1a,1b間にスリットS1を備え、スリットS1の長さによってアンテナ素子1の共振周波数を調整するとともに、さらに、給電点1a,1b間にアイソレーションを確保できる周波数を調整することを特徴とする。

0026

図1において、アンテナ装置は、長方形形状の導体板にてなるアンテナ素子1と、長方形形状の導体板にてなる接地導体2とを備え、アンテナ素子1と接地導体2とは、それぞれの一辺を対向させて、所定距離だけ離隔して並置されている。アンテナ素子1及び接地導体2の互いに対向した一対の辺の両端において、給電ポートがそれぞれ設けられる。一方の給電ポートは、アンテナ素子1上において、接地導体2に対向した辺の一端(図1ではアンテナ素子1の左下の端部)に設けられた給電点1aと、接地導体2上において、アンテナ素子1に対向した辺の一端(図1では接地導体2の左上の端部)に設けられた接続点2aとを含む。他方の給電ポートは、アンテナ素子1上において、接地導体2に対向した辺の他端(図1ではアンテナ素子1の右下の端部)に設けられた給電点1bと、接地導体2上において、アンテナ素子1に対向した辺の他端(図1では接地導体2の右上の端部)に設けられた接続点2bとを含む。アンテナ素子1はさらに、2つの給電ポート間、すなわち給電点1a,1b間に、アンテナ部間の電磁結合を調整し、給電ポート間の所定のアイソレーションを確保するためのスリットS1を備える。スリットS1は所定幅及び長さを有し、その一端は給電点1a,1b間の辺に開口部を有することにより開放端として構成される。給電点1a及び接続点2aは、信号線F3a,F3b(以下、総称して給電線F3で表す。)を介してインピーダンス整合回路11(以下、整合回路11という。)に接続され、整合回路11は給電線F1を介してMIMO通信回路10に接続される。同様に、給電点1b及び接続点2bは、信号線F4a,F4b(以下、総称して給電線F4で表す。)を介してインピーダンス整合回路12(以下、整合回路12という。)に接続され、整合回路12は給電線F2を介してMIMO通信回路10に接続される。給電線F1,F2は、例えば、50Ωの特性インピーダンスを有する同軸ケーブルにてそれぞれ構成される。同様に、給電線F3,F4は、例えば、50Ωの特性インピーダンスを有する同軸ケーブルにてそれぞれ構成され、この場合、各信号線F3a,F4aは同軸ケーブルの内部導体としてアンテナ素子1と整合回路11,12とをそれぞれ接続し、各信号線F3b,F4bは同軸ケーブルの外部導体として接地導体2と整合回路11,12とをそれぞれ接続する。それに代わって、給電線F3,F4はそれぞれ、平衡給電線路として構成されてもよい。また、MIMO通信回路10は、MIMO通信方式に係る複数のチャンネル(本実施形態では2チャンネル)の無線信号をアンテナ素子1により送受信させる。本実施形態では、以上の構成を備えたことにより、一方の給電ポート(すなわち給電点1a)を介してアンテナ素子1を第1のアンテナ部として励振させると同時に、他方の給電ポート(すなわち給電点1b)を介してアンテナ素子1を第2のアンテナ部として励振させることにより、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させることができる。

0027

アンテナ素子1にスリットS1を設けることによる効果は、以下の通りである。スリットS1を設けることにより、アンテナ素子1自体の共振周波数は低下する。さらに、スリットS1は、図10A図10B及び図11を参照して後述するように、スリットS1の長さに応じて共振器として動作する。スリットS1はアンテナ素子1自体と電磁的に結合するので、アンテナ素子1の共振周波数は、スリットS1を持たない場合と比較して、スリットS1の共振条件の周波数に従って変化している。スリットS1を設けることにより、アンテナ素子1の共振周波数が変化するとともに、所定の周波数において給電ポート間のアイソレーションを高くすることができる。スリットS1を設けたことによりアイソレーションを高く確保できる周波数(以下、アイソレーション周波数という。)は、一般には、アンテナ素子1の共振周波数とは一致しない。従って、本実施形態では、アンテナ素子1の動作周波数(すなわち所望信号を送受信する周波数)を、スリットS1により変化された共振周波数からアイソレーション周波数にシフトさせるために、各給電ポートとMIMO通信回路10との間に整合回路11,12を設けている。整合回路11を設けたことにより、MIMO通信回路10側の端子(すなわち給電線F1に接続された側の端子)において、当該端子からアンテナ素子1をみたときのインピーダンスは、当該端子からMIMO通信回路10を見たときのインピーダンス(すなわち給電線F1の50Ωの特性インピーダンス)に一致する。同様に、整合回路12を設けたことにより、MIMO通信回路10側の端子(すなわち給電線F2に接続された側の端子)において、当該端子からアンテナ素子1をみたときのインピーダンスは、当該端子からMIMO通信回路10を見たときのインピーダンス(すなわち給電線F2の50Ωの特性インピーダンス)に一致する。整合回路11,12を設けることは、共振周波数とアイソレーション周波数との両方に影響するが、主に、共振周波数を変化させるように寄与する。本実施形態では、以上の構成を備えたことにより、所望の動作周波数においてアンテナ素子1を共振させるとともに給電ポート間のアイソレーションを高く確保することができ、低結合で動作するMIMOアンテナ装置を実現することができる。

0028

以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置によれば、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。

0029

なお、図1に例示するように接地導体2がアンテナ素子1と同じような大きさの場合には、このアンテナ装置は、アンテナ素子1及び接地導体2からなるダイポールアンテナとみなすことができる。接地導体2は、一方の給電ポート(すなわち接続点2a)を介して第3のアンテナ部として励振されると同時に、他方の給電ポート(すなわち接続点2b)を介して第4のアンテナ部として励振され、これにより、接地導体2もまた2つのアンテナ部として動作する。このとき、接地導体2には、スリットS1のイメージ鏡像)が形成されるので、第3及び第4のアンテナ部に関しても、給電ポート間のアイソレーションを確保することができる。以上の構成を備えたことにより、一方の給電ポートを介して第1及び第3のアンテナ部を第1のダイポールアンテナ部として励振させると同時に、他方の給電ポートを介して第2及び第4のアンテナ部を第2のダイポールアンテナ部として励振させることにより、単一のダイポールアンテナ(すなわちアンテナ素子1及び接地導体2)を2つのダイポールアンテナ部として動作させることができる。本実施形態のアンテナ装置によれば、単一のダイポールアンテナを2つのダイポールアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。

0030

第2の実施形態.
図2は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置は、複数の異なる周波数でアイソレーションを確保するように、複数の異なるスリットS1,S2を備えたことを特徴とする。

0031

図2において、本実施形態のアンテナ装置は、図1の構成に加えて、アンテナ素子1上の2つの給電ポート間、すなわち給電点1a,1b間に、給電ポート間の所定のアイソレーションを確保するように電磁結合調整のためのスリットS2をさらに備える。スリットS2は、スリットS1と同様に、所定幅及び長さを有し、その一端は給電点1a,1b間の辺に開口部を有することにより開放端として構成される。ただし、スリットS2は、例えばその長さをスリットS1とは相違させることにより、スリットS1を設けたことによってアンテナ素子1が共振する周波数とは異なる周波数においてアンテナ素子1を共振させるとともに、スリットS1とは異なる周波数において給電ポート間のアイソレーションを確保するように構成される。本実施形態では、給電ポート間に2つのスリットS1,S2を備えたことにより、異なる2つのアイソレーション周波数を実現することができる。本実施形態のアンテナ装置はさらに、第1の実施形態における整合回路11,12及びMIMO通信回路10に代えて、動作周波数を調整可能な整合回路11A,12A及びMIMO通信回路10Aを備えるとともに、これらの動作周波数を調整するコントローラ13を備えて構成される。コントローラ13は、整合回路11A,12Aの動作周波数を調整することにより、アンテナ素子1の動作周波数を2つのアイソレーション周波数のいずれかに選択的にシフトさせる。

0032

このように、本実施形態では、複数のスリットS1,S2を備え、それぞれのスリットS1,S2の長さを別々に設定することにより、それぞれ異なる共振周波数を実現できるとともに、それぞれ異なるアイソレーション周波数を実現することができる。言い換えると、スリットS1,S2はそれぞれの異なる周波数でアンテナ素子1と電磁的に結合するので、アンテナ素子1の共振周波数は複数個になり、アイソレーション周波数もまた複数個になり、アンテナ素子1の動作周波数をこれらのアイソレーション周波数のいずれかに選択的にシフトさせることにより、アンテナ装置の多周波化が可能になる。

0033

以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置によれば、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら複数のアイソレーション周波数で給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。

0034

第3の実施形態.
図3は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置は、アンテナ素子1上のスリットS1に加えて、接地導体2上のスリットS3を備えたことを特徴とする。第1の実施形態においてはアンテナ素子1の側にスリットS1を設けたが、前述のように接地導体2がアンテナ素子1と同じような大きさの場合にはこのアンテナ装置はダイポールアンテナとなるので、接地導体2の側にさらにスリットを設けても同様の周波数調整の効果を得ることができる。

0035

図3において、アンテナ素子1は、第1の実施形態の場合と同様に給電点1a,1b間にスリットS1を備える。また、接地導体2は、2つの給電ポート間、すなわち接続点2a,2b間に、給電ポート間の所定のアイソレーションを確保するように電磁結合調整のためのスリットS3を備える。スリットS3は所定幅及び長さを有し、その一端は接続点2a,2b間の辺に開口部を有することにより開放端として構成される。好ましくは、スリットS3は、例えばその長さをスリットS1とは相違させることにより、スリットS1を設けたことによってアンテナ素子1及び接地導体2が共振する周波数とは異なる周波数においてアンテナ素子1及び接地導体2を共振させるとともに、スリットS1とは異なる周波数において給電ポート間のアイソレーションを確保するように構成される。本実施形態では、給電ポート間に2つのスリットS1,S3を備えたことにより、異なる2つのアイソレーション周波数を実現することができる。また、給電線F3,F4はそれぞれ、平衡給電線路として構成される。本実施形態のアンテナ装置はさらに、第2の実施形態と同様に、動作周波数を調整可能な整合回路11A,12A及びMIMO通信回路10Aと、これらの動作周波数を調整するコントローラ13とを備えて構成される。コントローラ13は、整合回路11A,12Aの動作周波数を調整することにより、アンテナ素子1及び接地導体2の動作周波数を2つのアイソレーション周波数のいずれかに選択的にシフトさせる。

0036

このように、本実施形態では、複数のスリットS1,S3を備え、それぞれのスリットS1,S3の長さを別々に設定することにより、それぞれ異なる共振周波数を実現できるとともに、それぞれ異なるアイソレーション周波数を実現することができる。言い換えると、スリットS1,S3はそれぞれの異なる周波数でアンテナ素子1及び接地導体2と電磁的に結合するので、アンテナ素子1及び接地導体2の共振周波数は複数個になり、アイソレーション周波数もまた複数個になり、アンテナ素子1及び接地導体2の動作周波数をこれらのアイソレーション周波数のいずれかに選択的にシフトさせることにより、アンテナ装置の多周波化が可能になる。

0037

本実施形態では、スリットS1,S3を互いに異なる長さになるように構成することに代えて、スリットS1,S3を等長に構成することにより単一のアイソレーション周波数を実現してもよい。この場合、整合回路11A,12A及びMIMO通信回路10Aに代えて、第1の実施形態と同様に固定された動作周波数を有する整合回路11,12及びMIMO通信回路10を備え、コントローラ13を省くことができる。この場合さらに、給電線F3,F4が平衡給電線路であるので、アンテナ装置は、アンテナ素子1上にスリットS1を設けることなく、接地導体2上のスリットS3のみを備えるように構成されてもよい。これにより、アンテナ装置の構成上の自由度を増大させることができる。

0038

以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置によれば、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら複数のアイソレーション周波数で給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。

0039

第4の実施形態.
図4は、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置のように、第2及び第3の実施形態に係るアンテナ装置の構成を組み合わせてもよい。

0040

図4において、アンテナ素子1は、第2の実施形態の場合と同様に給電点1a,1b間にスリットS1,S2を備え、接地導体2は、第3の実施形態の場合と同様に接続点2a,2b間にスリットS3を備える。好ましくは、スリットS1,S2,S3は、例えばその長さを互いに相違させることにより、互いに異なる共振周波数を実現するとともに、互いに異なる周波数において給電ポート間のアイソレーションを確保するように構成される。本実施形態では、給電ポート間に3つのスリットS1,S2,S3を備えたことにより、異なる3つのアイソレーション周波数を実現することができる。また、給電線F3,F4はそれぞれ、平衡給電線路として構成される。コントローラ13は、整合回路11A,12Aの動作周波数を調整することにより、アンテナ素子1及び接地導体2の動作周波数を3つのアイソレーション周波数のいずれかに選択的にシフトさせる。

0041

このように、本実施形態では、複数のスリットS1,S2,S3を備え、それぞれのスリットS1,S2,S3の長さを別々に設定することにより、それぞれ異なる共振周波数を実現できるとともに、それぞれ異なるアイソレーション周波数を実現することができる。言い換えると、スリットS1,S2,S3はそれぞれの異なる周波数でアンテナ素子1及び接地導体2と電磁的に結合するので、アンテナ素子1及び接地導体2の共振周波数は複数個になり、アイソレーション周波数もまた複数個になり、アンテナ素子1及び接地導体2の動作周波数をこれらのアイソレーション周波数のいずれかに選択的にシフトさせることにより、アンテナ装置の多周波化が可能になる。

0042

スリットの配置は第1乃至第4の実施形態について説明したものに限定されず、アンテナ素子1と接地導体2との少なくとも一方に少なくとも1つのスリットを備えた構成を用いることができる。

0043

以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置によれば、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら複数のアイソレーション周波数で給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。

0044

第5の実施形態.
図5は、本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置は、複数のアイソレーション周波数で給電ポート間のアイソレーションを確保するために、第2の実施形態のようにアンテナ素子1上に複数のスリットS1,S2を設けることに代えて、トラップ回路14を備えた単一のスリットS1を設けたことを特徴とする。

0045

図5において、本実施形態のアンテナ装置は、スリットS1に沿ってスリットS1の開口部から所定距離の位置にトラップ回路14を備える。トラップ回路14は、並列接続されたインダクタ(L)及びキャパシタ(C)を備えて構成され、並列LCの共振周波数のみにおいて開放となる。従って、トラップ回路14は、この周波数ではスリットS1全体を共振させ、この周波数から離隔した他の周波数ではスリットS1の開口部からトラップ回路14までの区間のみを共振させる。このように、スリットS1は周波数に応じて実効長が変化するので、本実施形態のアンテナ装置は、アンテナ素子1の動作周波数を変化させてスリットS1の実効長を変化させることにより、互いに異なる共振周波数を実現するとともに、互いに異なる周波数において給電ポート間のアイソレーションを確保するように構成される。本実施形態では、アンテナ素子1の動作周波数を変化させてスリットS1の実効長を変化させることにより、異なる2つのアイソレーション周波数を実現することができる。コントローラ13は、整合回路11A,12A及びMIMO通信回路10Aの動作周波数を調整することにより、アンテナ素子1の動作周波数を2つのアイソレーション周波数のいずれかに選択的にシフトさせる。本実施形態では、以上の構成により、アンテナ装置の多周波化が可能になる。

0046

以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置によれば、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら複数のアイソレーション周波数で給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。

0047

第6の実施形態.
図6は、本発明の第6の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置は、アンテナ素子1の共振周波数とアイソレーションを確保できる周波数とを調整するために、第1の実施形態のようにスリットS1の長さを変化させるだけでなく、スリットS1に沿った所定の位置にリアクタンス素子15を設けたことを特徴とする。

0048

図6において、本実施形態のアンテナ装置は、図1の構成に加えて、スリットS1に沿ってスリットS1の開口部から所定距離の位置にリアクタンス素子15を備える。図10A図10B及び図11を参照して後述するように、アンテナ素子1の共振周波数とアイソレーションを確保できる周波数とは、スリットS1の長さに依存して変化するので、スリットS1の長さはこれらの周波数を調整するように決定される。本実施形態ではさらに、これらの周波数を調整するために、スリットS1に沿った所定の位置に、所定のリアクタンス値を有するリアクタンス素子15(すなわちキャパシタ又はインダクタ)を設ける。また、これらの周波数は、リアクタンス素子15がスリットS1に設けられる位置にも依存して変化するので、リアクタンス素子15の位置はこれらの周波数を調整するように決定される。周波数の調整量(推移量)は、リアクタンス素子15がスリットS1の開口部に設けられたときに最大になる。このことから、リアクタンス素子15のリアクタンス値を決定した後に、その実装位置をずらすことによって、アンテナ素子1の共振周波数とアイソレーションを確保できる周波数とを微調整することが可能である。

0049

以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置によれば、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。

0050

第7の実施形態.
図7は、本発明の第7の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置は、第6の実施形態のリアクタンス素子15に代えて、コントローラ13Aの制御下でリアクタンス値が変化する可変リアクタンス素子15Aを備えたことを特徴とする。これにより、本実施形態のアンテナ装置は、第2の実施形態のようにアンテナ素子1上に複数のスリットS1,S2を設けることなく、可変リアクタンス素子15Aを備えた単一のスリットS1を設けることにより、複数のアイソレーション周波数で給電ポート間のアイソレーションを確保することができる。

0051

図7において、本実施形態のアンテナ装置は、スリットS1に沿ってスリットS1の開口部から所定距離の位置に可変リアクタンス素子15Aを備える。可変リアクタンス素子15Aには、容量性のリアクタンス素子として例えばバラクタダイオードなどの可変容量素子を用いることができ、可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値は、コントローラ13Aから印加される制御電圧に従って変化する。本実施形態のアンテナ装置は、可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値を変化させることにより、アンテナ素子1の異なる共振周波数を実現するとともに、異なる周波数において給電ポート間のアイソレーションを確保するように構成される。コントローラ13Aは、可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値を変化させるとともに、整合回路11A,12A及びMIMO通信回路10Aの動作周波数を調整することにより、アンテナ素子1の動作周波数を、可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値によって決まるアイソレーション周波数にシフトさせる。本実施形態では、以上の構成により、アンテナ装置の多周波化が可能になる。

0052

本実施形態では、可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値を適応的に変化させて、使用するアプリケーションに応じてアンテナ素子1の動作周波数を変化させることができる。

0053

以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置によれば、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら複数のアイソレーション周波数で給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。

0054

第8の実施形態.
図8は、本発明の第8の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置は、第1の実施形態のスリットS1に代えて、アンテナ素子1の辺に開口部を持たないスロットS4を備えたことを特徴とする。このような構成によっても、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。スロットの個数は1つに限らず、アンテナ素子1及び接地導体2の少なくとも一方に、2つ以上のスロットを設けてもよい。給電線F3,F4がそれぞれ平衡給電線路である場合には、第3の実施形態と同様に、アンテナ素子1上にスロットS4を設けることなく、接地導体2上にのみスロットを備えるように構成されてもよい。本実施形態の構成によれば、アンテナ装置の構成上の自由度を増大させることができる。

0055

第9の実施形態.
図9は、本発明の第9の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。本実施形態のアンテナ装置は、第1乃至第8の実施形態のようなダイポールアンテナの構成に代えて、板状逆F型アンテナ装置として構成されたことを特徴とする。

0056

図9において、アンテナ装置は、長方形形状の導体板にてなるアンテナ素子1と、長方形形状の導体板にてなる接地導体2とを備え、アンテナ素子1と接地導体2とは、互いに重なり合うように、所定距離だけ離隔して平行に設けられる。アンテナ素子1の一辺と接地導体2の一辺とは、互いに近接して設けられ、直線状の接続導体3a,3bによって互いに機械的かつ電気的に接続される。アンテナ素子1において、接続導体3a,3bが接続された辺と、その対辺との間に延在するように、所定幅及び長さを有するスリットS1が設けられる。スリットS1の一端は、接続導体3a,3bが接続された辺の対辺のほぼ中央部に開口部を有することにより開放端として構成される。アンテナ素子1上において、スリットS1をはさんでその両側に、給電点1a,1bが設けられ、給電点1a,1bにはそれぞれ、接地導体2の裏側から接地導体2を貫通して給電線F3,F4が接続される。給電線F3,F4は例えば同軸ケーブルであり、その内部導体である信号線F3a,F4aはそれぞれ給電点1a,1bに接続され、その外部導体である信号線F3b,F4bはそれぞれ接続点1b,2bにおいて接地導体2に接続される。さらに、給電線F3,F4はそれぞれ、第1の実施形態と同様に、整合回路11,12及び給電線F1,F2を介してMIMO通信回路10に接続される。本実施形態では、以上の構成を備えたことにより、一方の給電点1aを介してアンテナ素子1を第1のアンテナ部として励振させると同時に、他方の給電点1bを介してアンテナ素子1を第2のアンテナ部として励振させることにより、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させることができる。変形例として、アンテナ素子1と接地導体2を複数の接続導体3a,3bによって接続することに代えて、単一の導体板によって接続してもよい。

0057

以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置によれば、単一のアンテナ素子1を2つのアンテナ部として動作させるとき、簡単な構成でありながら給電ポート間のアイソレーションを確保することができ、複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。

0058

以下の実施例1〜7において、実施形態のアンテナ装置を銅板スリットアンテナ装置としてモデル化したときのシミュレーション結果について説明する。

0059

図10Aは本発明の実施例1に係るアンテナ装置のアンテナ素子1の構成を示す図であり、図10B図10AのスリットS1の等価回路を示す図である。本実施例のアンテナ装置は、第1の実施形態のアンテナ装置に対応する。本実施例のシミュレーションでは、スリットS1の長さD1を可変にし、長さD1に対する共振周波数の特性を示す。スリットS1の幅は1mmであるとし、この値は実施例2〜7のシミュレーションでも同じである。

0060

共振周波数を調整する際には、スリットS1を伝送線路にみたてて、スリットS1の共振器として考える。図10AのスリットS1は、長さD1と、所定の特性インピーダンスZ0と、所定の伝搬定数βとを有する。波長λを有する無線信号が給電される。図10Bに示すスリットS1の両端A,Bのうち、上端Aは短絡端であり、下端Bは開放端であり、A端からみた入力インピーダンスZinは、B端が開放であるので、次式で表される。

0061

0062

ここで、A端は短絡端であるので、図10Bの等価回路の共振条件は、A端から見た入力インピーダンスZinが0になることである。すなわち、共振するのは式(1)のtan(β・D1)が無限大のときであるので、β・D1=π/2のとき、すなわちβ=2π/λよりD1=λ/4のときに、入力インピーダンスZinは0になる。光速をc[m/s]で表し、スリット長さD1をメートルを単位として表するとき、共振周波数f[Hz]とスリットS1の長さD1との関係は、次式で表される。

0063

0064

図11は、図10Aのアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1に対する共振周波数fの特性を示すグラフである。B端が開放されている条件下では、スリットS1の長さD1を90mmまで長くしたとき、すなわちアンテナ素子1がスリットS1の左側のアンテナ部と右側のアンテナ部とに完全に分離されたとき、共振周波数fは0.84GHzまで下がる。

0065

前述のように、スリットS1はアンテナ素子1自体と電磁的に結合するので、アンテナ素子1の共振周波数は、スリットS1を持たない場合と比較して、スリットS1の共振条件の周波数に従って変化している。ただし、スリットS1の共振条件の周波数がアンテナ素子1自体の共振周波数と大きくずれている場合には、結合度が小さく、アンテナ素子1の共振周波数の変化が小さくなる。図11によれば、スリットS1が長くなるとスリットS1の共振条件の周波数が低くなり、短くなると共振条件の周波数は高くなるので、スリットS1の長さD1によりアンテナ素子1の共振周波数を調整することができる。

0066

図12は、本発明の実施例2に係るアンテナ装置の概略構成を示す図である。本実施例のアンテナ装置もまた、実施例1のアンテナ装置と同様に、第1の実施形態のアンテナ装置に対応する。本実施例のシミュレーションでは、スリットS1の長さD1に依存して、アンテナ素子1の共振周波数と、アイソレーション周波数とが変化することを示す。

0067

図12において、アンテナ素子1及び接地導体2はそれぞれ、45×90mmの大きさを有する片面銅張基板を用いて作成された。アンテナ素子1の幅方向の中央からは、幅1mmにわたって完全に導体が除去され、この導体が除去された部分に銅テープを貼り付けることにより、所望の長さD1を有するスリットS1を形成した。スリットS1の長さD1を調節することにより、アンテナ装置の周波数特性の変化を調べた。また、アンテナ装置の2つの給電ポート(すなわち、給電点1a及び接続点2aからなる給電ポートと、給電点1b及び接続点2bからなる給電ポート)にはそれぞれ、長さ50mmを有するセミリジッドケーブルを給電線F3,F4として接続した。各セミリジッドケーブルの内部導体は、長さ5mmにわたって、アンテナ素子1を構成する基板ハンダ付けされ、各セミリジッドケーブルの外部導体は、長さ40mmにわたって、接地導体2を構成する基板にハンダ付けされた。さらに、給電線F3,F4はそれぞれ、図12ではP1,P2として概略的に示した信号源に接続した。

0068

次に、図13及び図14を参照して、スリットS1の長さD1を変化させたときに2つの給電ポートに係るSパラメータS11,S21の周波数特性がどのように変化するかを示す。図13は、図12のアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1及び周波数に対する反射係数のパラメータS11を示すグラフであり、図14は、図12のアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1及び周波数に対する通過係数(すなわち給電ポート間のアイソレーションの特性)のパラメータS21を示すグラフである。図12のアンテナ装置は対称構造を有するので、パラメータS12はS21と同じであり、パラメータS22はS11と同じである。図13及び図14より、スリットS1の長さD1を変えることにより、アンテナ素子1の共振周波数及びアイソレーション周波数が変化していることがわかる。

0069

次に、スリットS1の長さD1(単位:mm)を変化させたときにおけるアンテナ素子1の共振周波数(単位:GHz)の変化とアイソレーション周波数(単位:GHz)の変化との関係を、以下の表に示す。

0070

0071

上の表1の関係を、図15のグラフにも示す。図15は、図12のアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1に対する周波数の特性を示すグラフである。表1及び図15によれば、スリットS1が長くなるにつれて、アンテナ素子1の共振周波数及びアイソレーション周波数が低くなることがわかる。パラメータS21に関しては、給電点1aから給電点1bまでの迂回経路が長くなったことが原因でアイソレーション周波数が下がったと考えられる。周波数が推移する範囲は、パラメータS11に関しては960MHz〜2.6GHzとなり、パラメータS21に関しては730MHz〜2.7GHzとなった。

0072

図16は、本発明の実施例3に係るアンテナ装置の概略構成を示す図である。本実施例のアンテナ装置もまた、実施例1のアンテナ装置と同様に、第1の実施形態のアンテナ装置に対応する。本実施例のシミュレーションでは、所定の周波数においてアンテナ素子1を共振させるとともに給電ポート間のアイソレーションを高く確保することを目的としてアンテナ装置に整合回路11,12を設け、整合回路11,12を設けたことによる効果を示す。

0073

図16において、アンテナ素子1及び接地導体2は、実施例2の場合(図12参照)と同様に構成され、スリットS1の長さは30mmに固定される。さらに、給電線F3,F4上には整合回路11,12が挿入される。詳しくは、整合回路11,12は、給電線F3の信号線F3a上に3.3nHのインダクタ11aが直列に挿入され、給電線F4の信号線F4a上に3.3nHのインダクタ12aが直列に挿入されるように構成される。

0074

図17は、図16のアンテナ装置に係る整合回路11,12の有無と周波数とに対する反射係数のパラメータS11を示すグラフであり、図18は、図16のアンテナ装置に係る整合回路11,12の有無と周波数とに対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。図19A図16のアンテナ装置に係る整合回路11,12がない場合のインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図19B図16のアンテナ装置に係る整合回路11,12を設けた場合のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。ここで、図19A及び図19Bは、給電点1aの側の給電ポートにおけるインピーダンス特性を示す。図17によれば、整合回路11,12がない場合のアンテナ素子1の共振周波数は2.08GHzであり、図18によれば、整合回路11,12がない場合のアイソレーション周波数は1.99GHzであることがわかる。整合回路11,12の定数(すなわち、3.3nHのインダクタンス)は、整合回路11,12を設けた場合のアンテナ素子1の共振周波数を、整合回路11,12がない場合のアイソレーション周波数1.99GHにシフトさせて一致させるように設定されたものである。図17及び図18によれば、アンテナ素子1の共振周波数は、整合回路11,12を設けたことにより変化するが、アイソレーション周波数は整合回路11,12の有無によってほとんど変化していないことがわかる。図17からわかるように、整合回路11,12が内場合には共振周波数のずれが90MHzあったものが、整合回路11,12を設けたことにより10MHzにおさまった。整合回路11,12を設けたとき、パラメータS11,S21の両方が−20dB以下となるのは1.96〜2.00GHzの範囲においてであって、40MHzの帯域を確保できる。また、整合回路11,12を設けたとき、パラメータS11,S21の両方が−10dB以下となるのは1.87〜2.09GHzの範囲においてであって、220MHzの帯域を確保できている。

0075

本実施例のシミュレーションによれば、アンテナ装置に整合回路11,12を設けたことにより、所定の周波数においてアンテナ素子1を共振させるとともに給電ポート間のアイソレーションを高く確保できることがわかる。

0076

図20Aは本発明の実施例4に係るアンテナ装置のアンテナ素子1の構成を示す図であり、図20B図20AのスリットS1及びリアクタンス素子15の等価回路を示す図である。図21は、図20Aのアンテナ素子に係るリアクタンス素子15と周波数特性との関係を示すグラフである。図22は、図20Aのアンテナ素子に係るスリットS1の長さD1とリアクタンス素子15のリアクタンス値とに対する共振周波数の特性を示すグラフである。本実施例のアンテナ装置は、第6の実施形態のアンテナ装置に対応する。本実施例のシミュレーションでは、スリットS1の長さD1と、リアクタンス素子15のリアクタンス値とを可変にし、これらのパラメータに対する共振周波数の特性を示す。

0077

図20Aにおいて、アンテナ装置は実施例1のアンテナ装置(図10A参照)と同様の構成を備え、さらに、スリットS1の開口部に所定のリアクタンス値を有するリアクタンス素子を備えて構成される。スリットS1は、長さD1と、所定の特性インピーダンスZ0と、所定の伝搬定数βとを有する。リアクタンス素子15は、所定の負荷インピーダンスZLを有する。波長λを有する無線信号が給電される。まず、スリットS1の長さD1を30mmに固定したときの、リアクタンス値と共振周波数の関係について検討する。図20Aに示すスリットS1の両端A,Bのうち、上端Aは短絡端であり、下端Bは開放端であり、A端からみた入力インピーダンスZinは、B端が開放であるので、次式で表される。

0078

0079

ここで、A端は短絡端であるので、図20Bの等価回路の共振条件は、A端から見た入力インピーダンスZinが0になること、すなわち、式(3)右辺分数式の分子が0になることである。
ZL+jZ0tan(β・D1)=0 (4)
よって、共振条件は、式(4)から次式のように変形される。
tan(β・D1)=−ZL/jZ0 (5)

0080

ここで、式(5)の左辺関数y1として、図21のグラフにプロットした。
y1=tan(β・D1) (6)

0081

また、図20Aのリアクタンス素子15として容量Cを有するキャパシタを用いたときは、負荷インピーダンスZL=1/jωCとなり、式(5)の右辺を関数y2とすると次式のように表される。

0082

0083

図21には、所定の容量値C1を有するキャパシタを用いたときと、C1よりも大きな容量値C2を有するキャパシタを用いたときのy2をプロットした。

0084

また、図20Aのリアクタンス素子15としてインダクタンスLを有するインダクタを用いたときは、負荷インピーダンスZL=jωLとなり、式(5)の右辺を関数y3とすると次式のように表される。

0085

0086

図21には、所定のインダクタンスL1を有するインダクタを用いたときと、L1よりも大きなインダクタンスL2を有するインダクタを用いたときのy3をプロットした。

0087

スリットS1の開口部が開放されているときには、負荷インピーダンスZL=∞となり、式(5)の右辺を関数y4とすると次式のように表される。
y4=−∞ (9)

0088

スリットS1の共振条件が満たされる場合、すなわち式(5)が成り立つ場合は、図21において、y1と、y2又はy3との交点で表される。本実施例では例示的に、共振条件が満たされる場合のうちのごく一部を、交点Q2,Q3,Q4,Q5として示す。リアクタンス素子15が容量性であるとき、容量Cが大きくなると、共振条件は交点Q2から交点Q3に向かうように変化し、横軸における交点の座標、すなわち共振周波数が下がる。また、リアクタンス素子15が誘導性であるとき、インダクタンスLが小さくなると、共振条件は交点Q5から交点Q4に向かうように変化し、共振周波数が増大する。負荷インピーダンスZLが∞である場合、共振条件はスリットS1の長さD1で決まり、β・D1=π/2をみたす周波数のときに共振する。図21では、これを点Q1で表す。

0089

次に、スリットS1の長さD1=30mmであり、特性インピーダンスZ0=139Ωであるときの、リアクタンス素子15のリアクタンス値に対する共振周波数(単位:GHz)の変化を、以下の表に示す。ここで、リアクタンス値は、所定の容量である場合、所定のインダクタンスである場合、又は何も負荷されていない場合のいずれかになる。

0090

0091

上の表2によれば、共振周波数は、リアクタンス値に応じて0.3〜4.2GHzまで変化していることがわかる。スリットS1の開口部にキャパシタを装荷したときには共振周波数が低下し、インダクタを装荷したときには共振周波数が増大する。特に、スリットの開口部が開放されている場合には共振周波数2.5GHzであったものが、20pFのキャパシタを用いたときには0.3GHzに変化し、2.7nHのインダクタを用いたときには4.2GHzにまで変化している。このことから、容量性のリアクタンス素子15を装荷することで共振周波数を低くすることができ、アンテナの小型化に寄与する。

0092

また、図22に、スリットS1の長さD1が30mm以外の場合も含む、スリットS1の長さD1と、リアクタンス素子15のリアクタンス値とに対する共振周波数の特性を示す。スリットS1の長さD1が短いほうが、リアクタンス値による共振周波数の可変幅が大きいことがわかる。

0093

図23は、本発明の実施例5に係るアンテナ装置の概略構成を示す図である。本実施例のアンテナ装置もまた、実施例4のアンテナ装置と同様に、第6の実施形態のアンテナ装置に対応する。本実施例のシミュレーションでは、スリットS1の開口からのリアクタンス素子15の距離D2に依存して、アンテナ素子1の共振周波数と、アイソレーション周波数とが変化することを示す。

0094

図23において、アンテナ素子1及び接地導体2は、実施例2の場合(図12参照)と同様に構成され、スリットS1の長さは30mmに固定される。さらに、スリットS1の開口部から所定距離D2の位置に、リアクタンス素子15を備える。このリアクタンス素子15を設ける位置(すなわち開口部からの距離D2)を変化させたときの、アンテナ装置の周波数特性の変化を調べた。

0095

図24乃至図26に、図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が0.5pFであるときのシミュレーション結果を示す。図24は、リアクタンス素子15の位置及び周波数に対する反射係数のパラメータS11を示すグラフであり、図25は、リアクタンス素子15の位置及び周波数に対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。図26は、リアクタンス素子15の位置に対する周波数の特性を示すグラフであり、リアクタンス素子15の位置を変化させたときの、アンテナ素子1の共振周波数(すなわちS11)の変化とアイソレーション周波数(すなわちS21)の変化との関係を示す。

0096

図27乃至図29に、図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が10pFであるときのシミュレーション結果を示す。図27は、リアクタンス素子15の位置及び周波数に対する反射係数のパラメータS11を示すグラフであり、図28は、リアクタンス素子15の位置及び周波数に対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。図29は、リアクタンス素子15の位置に対する周波数の特性を示すグラフであり、リアクタンス素子15の位置を変化させたときの、アンテナ素子1の共振周波数の変化とアイソレーション周波数の変化との関係を示す。

0097

図30乃至図32に、図23のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値が4.7nHであるときのシミュレーション結果を示す。図30は、リアクタンス素子15の位置及び周波数に対する反射係数のパラメータS11を示すグラフであり、図31は、リアクタンス素子15の位置及び周波数に対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。図32は、リアクタンス素子15の位置に対する周波数の特性を示すグラフであり、リアクタンス素子15の位置を変化させたときの、アンテナ素子1の共振周波数の変化とアイソレーション周波数の変化との関係を示す。

0098

図24乃至図32を参照すると、リアクタンス素子15を設ける位置に応じて、アンテナ素子1の共振周波数及びアイソレーション周波数が変化することがわかる。0.5pFの容量を有する容量性のリアクタンス素子15を用いた場合には、変動幅はS11で1.5〜1.9GHzであり、S21で1.4〜1.8GHzであり、400MHzにわたる周波数シフトが生じていることがわかる。10pFの容量を有する容量性のリアクタンス素子15を用いた場合と、4.5nHのインダクタンスを有する誘導性のリアクタンス素子15を用いた場合には、S11とS21の共振周波数の変化はほぼ同じであり、10pFのときは0.4〜1.3GHzの900MHzにわたる周波数シフトが生じ、4.5nHのときは2.8〜2.0GHzの800MHzにわたる周波数シフトが生じていることがわかる。リアクタンス素子15としてキャパシタを用いた場合には、スリットS1の開口からのリアクタンス素子15の距離D2を大きくすると共振周波数が上がり、一方、リアクタンス素子15としてインダクタを用いた場合には、距離D2を大きくすると共振周波数が下がる傾向があることがわかった。

0099

図33は、本発明の実施例6に係るアンテナ装置の概略構成を示す図である。本実施例のアンテナ装置は、第7の実施形態のアンテナ装置に対応する。本実施例のシミュレーションでは、可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値に依存して、アンテナ素子1の共振周波数と、アイソレーション周波数とが変化することを示す。

0100

図33において、アンテナ素子1及び接地導体2は、実施例5の場合(図23参照)と同様に構成され、可変リアクタンス素子15AはスリットS1の開口から15mmの位置に固定される。図7のコントローラ13A等の構成要素は、図示を省略した。

0101

図34は、図33のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値と周波数とに対する反射係数のパラメータS11を示すグラフであり、図35は、図33のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値と周波数とに対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。図34によれば、可変リアクタンス素子15Aが容量性であるとき、容量Cが大きくなるにつれて共振周波数が低くなり、可変リアクタンス素子15Aが誘導性であるとき、インダクタンスLが小さくなるにつれて共振周波数が高くなることがわかる。また、図35によれば、アイソレーション周波数は共振周波数と同様に変化し、600MHz〜2.5GHzの範囲にわたって変化していることがわかる。図34及び図35に係るシミュレーションで用いたリアクタンス値の下限は10pFであり、上限は4.7nHであった。リアクタンス値を変化させる範囲をさらに大きくすれば、より広帯域な周波数シフトが可能であると期待される。

0102

次に、可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値を変化させたときにおけるアンテナ素子1の共振周波数(単位:GHz)の変化とアイソレーション周波数(単位:GHz)の変化との関係を、以下の表に示す。

0103

0104

上の表3の関係を、図36のグラフにも示す。図36は、図33のアンテナ装置に係る可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値に対する周波数の特性を示すグラフである。表3及び図36によれば、本実施例のアンテナ装置の構成において可変リアクタンス素子15Aがない場合には、S11とS21ではリアクタンス値の変化に対する周波数の変化の割合が異なるが、可変リアクタンス素子15Aのリアクタンス値により周波数シフトさせた場合には、S11とS21の周波数の差が小さくなることがわかる。

0105

図37Aは、本発明の実施例7に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、図37Bはその側面図である。本実施例のアンテナ装置は、第9の実施形態のアンテナ装置に対応する。本実施例のシミュレーションでは、スリットS1の長さD1に依存して、アンテナ素子1の共振周波数と、アイソレーション周波数とが変化することを示す。

0106

図37A及び図37Bにおいて、アンテナ装置は第9の実施形態の場合(図9参照)と同様に構成された。本実施例では、スリットS1の効果を大きくするために、給電点1a,1bの位置を他の実施例に比べて−Z方向に移動した。

0107

図38は、図37A及び図37Bのアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1及び周波数に対する反射係数のパラメータS11を示すグラフであり、図39は、図37A及び図37Bのアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1及び周波数に対する通過係数のパラメータS21を示すグラフである。

0108

次に、スリットS1の長さD1(単位:mm)を変化させたときにおけるアンテナ素子1の共振周波数(単位:GHz)の変化とアイソレーション周波数(単位:GHz)の変化との関係を、以下の表に示す。

0109

0110

上の表1の関係を、図40のグラフにも示す。図40は、図37A及び図37Bのアンテナ装置に係るスリットS1の長さD1に対する周波数の特性を示すグラフである。表4及び図40より、共振周波数は1.19GHz〜2.478GHzの範囲にわたって変化し、アイソレーション周波数は0.989GHz〜2.573GHzの範囲にわたって変化することがわかる。スリットS1の長さD1=40mmのときに、帯域1.399〜1.525[GHz]の範囲においてS11とS21が−10dB以下になり、帯域幅は0.125[GHz]である。

実施例

0111

変形例.
アンテナ素子1及び接地導体2の形状は、長方形に限定されるものではなく、例えば他の多角形円形楕円形などであってもよい。また、各実施形態を組み合わせたアンテナ装置を構成することも可能であり、例えば、第5の実施形態のトラップ回路14を、第2乃至第4の実施形態のアンテナ装置のいずれかにおける少なくとも1つのスリットに設けてもよい。また、例えば、第6の実施形態のリアクタンス素子15又は第7の実施形態の可変リアクタンス素子15Aを、第2乃至第4の実施形態のアンテナ装置のいずれかにおける少なくとも1つのスリットに設けてもよい。この場合、複数の共振周波数を、スリット長、リアクタンス素子のリアクタンス値、リアクタンス素子の実装位置によって調整することが可能となり、周波数調整の自由度があがる。さらに、MIMO通信回路10,10Aに代えて、独立した2つの無線信号の変復調を実行する無線通信回路を設けてもよく、この場合、本実施形態のアンテナ装置は複数のアプリケーションに係る無線通信を同時に実行したり、複数の周波数帯での無線通信を同時に実行したりすることが可能になる。

0112

本発明のアンテナ装置及びそれを用いた無線装置によれば、例えば携帯電話機として実装することができ、あるいは無線LAN用の装置として実装することもできる。このアンテナ装置は、例えばMIMO通信を行うための無線通信装置に搭載することができるが、MIMOに限らず、複数のアプリケーションのための通信を同時に実行可能(マルチアプリケーション)な無線通信装置に搭載することも可能である。

0113

1…アンテナ素子、
1a,1b…給電点、
2a,2b…接続点、
2…接地導体、
3a,3b…接続導体、
10,10A…MIMO通信回路、
11,12,11A,12A…インピーダンス整合回路、
11a,12a…インダクタ、
13,13A…コントローラ、
14…トラップ回路、
15…リアクタンス素子、
15A…可変リアクタンス素子、
S1,S2,S3…スリット、
S4…スロット、
F1,F2,F3,F4…給電線、
F3a,F3b,F4a,F4b…信号線、
P1,P2…信号源。

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