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技術 紙、その製造方法及び印刷物

出願人 凸版印刷株式会社
発明者 牛腸智村上徹山田順子安井重成
出願日 2009年3月30日 (11年10ヶ月経過) 出願番号 2010-505915
公開日 2011年7月28日 (9年6ヶ月経過) 公開番号 WO2009-119879
状態 特許登録済
技術分野 紙(4)
主要キーワード 各表面領域 磁気的応答 エチレンビニルアルコール系共重合体 亜硫酸水溶液 光学干渉性 力学的負荷 ウール状 常用光源
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年7月28日)のものです。
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図面 (9)

課題・解決手段

より優れた偽造防止効果を発揮する紙を提供する。紙1は、互いに向き合った第1及び第2表面領域20と、前記第1及び第2表面領域20間に介在した中間領域10とを具備した紙であって、前記第1及び第2表面領域20並びに前記中間領域10の各々はセルロース繊維を含み、少なくとも前記第1表面領域は、物理的刺激に対し、前記セルロース繊維が前記物理的刺激に対して示す応答とは異なる応答を示す機能性繊維を更に含み、前記第1表面領域に含まれている前記機能性繊維は、前記第1表面領域において前記セルロース繊維と混ざり合っており且つ前記紙の一方の主面に対して平行な又は傾いた一方向に配向している。

概要

背景

有価証券及び証書等の書面には、偽造が困難であることが望まれる。そのため、このような書面に使用する紙には、何らかの偽造防止技術を適用することが望ましい。

紙に適用可能な偽造防止技術としては、例えば、パルプ等のセルロース繊維と、複写による色等の再現が困難な機能性繊維とを混抄する技術が知られている。例えば、国際公開第03/085177号パンフレットには、セルロース繊維中に光学干渉性繊維分散混合されてなる紙が記載されている。

しかしながら、このような紙には、機能性繊維の視認性に関して改良の余地がある。即ち、その偽造防止効果を更に向上させる余地がある。

概要

より優れた偽造防止効果を発揮する紙を提供する。紙1は、互いに向き合った第1及び第2表面領域20と、前記第1及び第2表面領域20間に介在した中間領域10とを具備した紙であって、前記第1及び第2表面領域20並びに前記中間領域10の各々はセルロース繊維を含み、少なくとも前記第1表面領域は、物理的刺激に対し、前記セルロース繊維が前記物理的刺激に対して示す応答とは異なる応答を示す機能性繊維を更に含み、前記第1表面領域に含まれている前記機能性繊維は、前記第1表面領域において前記セルロース繊維と混ざり合っており且つ前記紙の一方の主面に対して平行な又は傾いた一方向に配向している。

目的

本発明の目的は、より優れた偽造防止効果を発揮する紙を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

互いに向き合った第1及び第2表面領域と、前記第1及び第2表面領域間に介在した中間領域とを具備した紙であって、前記第1及び第2表面領域並びに前記中間領域の各々はセルロース繊維を含み、少なくとも前記第1表面領域は、物理的刺激に対し、前記セルロース繊維が前記物理的刺激に対して示す応答とは異なる応答を示す機能性繊維を更に含み、前記第1表面領域に含まれている前記機能性繊維は、前記第1表面領域において前記セルロース繊維と混ざり合っており且つ前記紙の一方の主面に対して平行な又は傾いた一方向に配向している紙。

請求項2

前記機能性繊維は光学干渉性繊維である請求項1に記載の紙。

請求項3

前記光学干渉性繊維は、異なる屈折率を有している層の積層体を含んでいる請求項2に記載の紙。

請求項4

前記光学干渉性繊維は、前記光学干渉性繊維の長さ方向に平行な前記積層体の面の少なくとも一部を被覆した保護層を更に含んでいる請求項3に記載の紙。

請求項5

前記光学干渉性繊維の表面の少なくとも一部は、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体及び/又はポリエーテルウレタンにより被覆又は修飾されている請求項2に記載の紙。

請求項6

前記光学干渉性繊維の表面の少なくとも一部は、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体及び/又はポリエーテルウレタン並びに環状アミノ酸及び/又はその誘導体により被覆又は修飾されている請求項2に記載の紙。

請求項7

前記第1表面領域に含まれた前記機能性繊維の各々の長さ方向と前記主面に平行な基準軸とが為す角度の標準偏差が25゜以下である請求項2に記載の紙。

請求項8

前記第1及び第2表面領域並びに前記中間領域のうち前記第1及び第2表面領域の少なくとも一方のみが前記機能性繊維を含んでいる請求項1に記載の紙。

請求項9

請求項1乃至8の何れか1項に記載の紙と、その上に設けられた印刷層とを含んだ印刷物

請求項10

物理的刺激に対し、セルロース繊維が前記物理的刺激に対して示す応答とは異なる応答を示す機能性繊維と第1分散媒とを含有した第1分散液を、前記セルロース繊維と第2分散媒とを含有した第2分散液の流れの上に供給することと、前記第1及び第2分散媒の少なくとも一部を除去して前記機能性繊維と前記セルロース繊維とを含んだ繊維層を形成することと、前記繊維層を乾燥させることとを具備した紙の製造方法。

請求項11

前記機能性繊維は光学干渉性繊維である請求項10に記載の紙の製造方法。

請求項12

前記第1分散液を調製する前に、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体及び/又はポリエーテルウレタンを用いて前記光学干渉性繊維を表面処理する請求項11に記載の紙の製造方法。

請求項13

前記第1分散液を調製する前に、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体及び/又はポリエーテルウレタン並びに環状アミノ酸及び/又はその誘導体を用いて前記光学干渉性繊維を表面処理する請求項11に記載の紙の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、紙、その製造方法及び印刷物に関する。

背景技術

0002

有価証券及び証書等の書面には、偽造が困難であることが望まれる。そのため、このような書面に使用する紙には、何らかの偽造防止技術を適用することが望ましい。

0003

紙に適用可能な偽造防止技術としては、例えば、パルプ等のセルロース繊維と、複写による色等の再現が困難な機能性繊維とを混抄する技術が知られている。例えば、国際公開第03/085177号パンフレットには、セルロース繊維中に光学干渉性繊維分散混合されてなる紙が記載されている。

0004

しかしながら、このような紙には、機能性繊維の視認性に関して改良の余地がある。即ち、その偽造防止効果を更に向上させる余地がある。

0005

本発明の目的は、より優れた偽造防止効果を発揮する紙を提供することにある。

0006

本発明の第1側面によると、互いに向き合った第1及び第2表面領域と、前記第1及び第2表面領域間に介在した中間領域とを具備した紙であって、前記第1及び第2表面領域並びに前記中間領域の各々はセルロース繊維を含み、少なくとも前記第1表面領域は、物理的刺激に対し、前記セルロース繊維が前記物理的刺激に対して示す応答とは異なる応答を示す機能性繊維を更に含み、前記第1表面領域に含まれている前記機能性繊維は、前記第1表面領域において前記セルロース繊維と混ざり合っており且つ前記紙の一方の主面に対して平行な又は傾いた一方向に配向している紙が提供される。

0007

本発明の第2側面によると、第1側面に係る紙と、印刷層とを含んだ印刷物が提供される。

0008

本発明の第3側面によると、物理的刺激に対し、セルロース繊維が前記物理的刺激に対して示す応答とは異なる応答を示す機能性繊維と第1分散媒とを含有した第1分散液を、前記セルロース繊維と第2分散媒とを含有した第2分散液の流れの上に供給することと、前記第1及び第2分散媒の少なくとも一部を除去して前記機能性繊維と前記セルロース繊維とを含んだ繊維層を形成することと、前記繊維層を乾燥させることとを具備した紙の製造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0009

図1は、本発明の一態様に係る紙を概略的に示す平面図である。
図2は、図1に示す紙のII−II線に沿った断面図である。
図3は、図1及び図2に示す紙において使用可能な光学干渉性繊維の一例を概略的に示す断面図である。
図4は、図1及び図2に示す紙の一変形例を概略的に示す断面図である。
図5は、他の技術に係る紙の一例を概略的に示す平面図である。
図6は、図5に示す紙のVI−VI線に沿った断面図である。
図7は、例12に係る紙の表面の顕微鏡写真である。
図8は、例13に係る紙の表面の顕微鏡写真である。

発明を実施するための最良の形態

0010

以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。

0011

図1は、本発明の一態様に係る紙を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す紙のII−II線に沿った断面図である。

0012

紙1は、層形状を有している中間領域10と、中間領域10の両主面上に設けられた一対の表面領域20とを含んでいる。この紙1は、セルロース繊維と機能性繊維とを含んでいる。

0013

セルロース繊維は、中間領域10及び表面領域20の全体に亘って分布している。中間領域10及び表面領域20の各々において、セルロース繊維は、互いに絡み合うか又は部分的に重なり合っている。また、中間領域10と表面領域20との境界では、中間領域10に含まれているセルロース繊維と表面領域20に含まれているセルロース繊維とは、互いに絡み合うか又は部分的に重なり合っている。このセルロース繊維としては、典型的には、植物繊維からなるパルプを使用する。また、複数の種類の合成繊維を使用してもよい。

0014

機能性繊維は、物理的刺激に対し、セルロース繊維が上記物理的刺激に対して示す応答とは異なる応答を示す繊維である。例えば、機能性繊維は、セルロース繊維とは異なる光学的応答磁気的応答又は電気的応答を示す繊維である。

0015

機能性繊維は、中間領域10及び表面領域20の全体に亘って分布していてもよく、表面領域20のみに分布していてもよい。後者の場合、機能性繊維は、表面領域20の何れか一方にのみ含まれていてもよく、表面領域20の双方に含まれていてもよい。紙1の各領域において、当該領域に含まれている機能性繊維は、セルロース繊維と混ざり合っている。典型的には、紙1の各領域において、当該領域に含まれている機能性繊維は、セルロース繊維と絡み合っているか又は部分的に重なり合っている。なお、表面領域20に含まれた機能性繊維は、紙1の表面に露出させるか又は表面のごく近傍に分布させると、外部から視認し易い。

0016

機能性繊維は、表面領域20の少なくとも一方において、紙1の主面に対して平行な又は傾斜した一方向に配向している。即ち、表面領域20の少なくとも一方において、機能性繊維の長さ方向は、平均的に一定の方向に揃っている。以下、この方向の紙1の主面に平行な平面への正射影を「配向主軸」と呼ぶ。なお、これら機能性繊維の多くは、典型的には、紙1の主面にほぼ平行な向きで存在している。

0017

機能性繊維としては、典型的には、光学干渉性繊維を使用する。或いは、この機能性繊維として、金、銀、銅若しくは白金等を含んだ光輝性繊維、強磁性体等の特殊磁性材料を含んだ繊維、又は、可視光以外の電磁波を照射した際にセルロース繊維とは異なる吸収及び/又は発光特性を示す繊維を使用してもよい。また、複数種の機能性繊維を使用してもよい。以下では、一例として、機能性繊維が光学干渉性繊維であるとする。

0018

光学干渉性繊維は、光を照射されると干渉光射出する繊維である。そして、ここで光学干渉性繊維とは、太さが10乃至100μmの範囲内にあり、長さが0.5乃至20mmの範囲内にあり、太さに対する長さの比が50乃至2000の範囲内にあるものをいう。なお、繊維の断面が真円でない場合には、上記の「太さ」は、以下のようにして求める。即ち、繊維の断面積Sを測定し、この断面積Sと等しい面積を有する円の半径rを計算する。そして、上記の円の直径d=2rを繊維の「太さ」とする。

0019

図3は、図1及び図2に示す紙において使用可能な光学干渉性繊維の一例を概略的に示す断面図である。図3には、光学干渉性繊維の長さ方向に垂直な断面を描いている。

0020

この光学干渉性繊維300は、積層体301と保護層302とを含んでいる。この光学干渉性繊維300の断面は、扁平形状を有している。
積層体301は、異なる屈折率を有している複数の層を備えている。具体的には、この積層体301は、光学干渉性繊維300の長さ方向と直交する方向に積層され、隣り合う層間で屈折率が互いに異なる複数の透明材料層を含んでいる。図3には、一例として、各々が一方向に延びた平板形状を有し、長さ方向が平行となるように厚さ方向に積層され、隣り合う層間で屈折率が互いに異なる複数の透明材料層からなる積層体301を描いている。積層体301を構成している層の各々は、例えば、透明な樹脂を含んでいる。これら層の各々は、典型的には、ポリマーを含んでいる。

0021

積層体301は、典型的には、異なる屈折率を有している層301A及び301Bが交互に積層した交互積層体である。層301Aは、例えば、ポリエステルを含んでいる。層301Bは、例えば、ナイロンを含んでいる。

0022

光学干渉性繊維300に光線入射すると、積層体301において、繰り返し反射干渉を生じる。従って、この積層体301を含んだ繊維は、光学干渉性を示す。

0023

保護層302は、光学干渉性繊維300の長さ方向に平行な積層体301の面の少なくとも一部を被覆している。保護層302は、可視光線反射効率を高めると共に、積層体301の層間剥離を防止し、光学干渉性繊維300の耐摩耗性を向上させる役割を有している。この保護層302は、例えば、ポリエステルを含有した透明樹脂を含んでいる。保護層302は、省略してもよい。

0024

上述したように、光学干渉性繊維300の断面は、扁平形状を有している。そして、層301A及び301Bの主面は、光学干渉性繊維300の主面に対して平行である。この場合、層301A及び301B間の界面は、紙1の主面に対して平行になり易い。そのため、光学干渉性繊維から射出される回折光の視認性が向上する。また、この場合、光学干渉性繊維とセルロース繊維とが接する部分の面積が比較的大きくなる。そのため、これらの密着性が向上し、光学干渉性繊維の紙1からの剥離が生じ難くなる。

0025

光学干渉性繊維300の断面の偏平率、即ち、光学干渉性繊維300の断面の短軸の長さに対する長軸の長さの比率は、典型的には4乃至15の範囲内とする。例えば、光学干渉性繊維300の断面の長軸の長さを70μmとし、短軸の長さを17μmとする。こうすると、特に優れた視認性及び密着性を達成できる。

0026

なお、光学干渉性繊維としては、各々が筒形状を有し、同軸に配置され、隣り合う層間で屈折率が互いに異なる複数の透明材料層からなる繊維を使用してもよい。

0027

光学干渉性繊維は、表面処理されていてもよい。即ち、光学干渉性繊維の表面の少なくとも一部は、表面処理剤により被覆又は修飾されていてもよい。
例えば、光学干渉性繊維は、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体及び/又はポリエーテルウレタンを用いて表面処理されていてもよい。即ち、光学干渉性繊維の表面の少なくとも一部を、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体及び/又はポリエーテルウレタンにより被覆又は修飾してもよい。或いは、光学干渉性繊維は、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体及び/又はポリエーテルウレタン並びに環状アミノ酸及び/又はその誘導体を用いて表面処理されていてもよい。即ち、光学干渉性繊維の表面の少なくとも一部を、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体及び/又はポリエーテルウレタン並びに環状アミノ酸及び/又はその誘導体により被覆又は修飾してもよい。

0028

ポリエステルポリエーテルブロック共重合体を構成する酸成分としては、例えば、テレフタル酸及びイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を使用する。この酸成分は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル等のスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸を更に含んでいてもよい。この場合、スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸の含量は、全酸成分に対して、例えば0乃至40モル%の範囲内とする。この含量が多すぎると、光学干渉性繊維の表面を被覆又は修飾しているポリエステルポリエーテルブロック共重合体の皮膜が脆くなる可能性がある。

0029

ポリエステルポリエーテルブロック共重合体を構成するアルコール成分としては、例えば、エチレングリコールプロピレングリコールブタンジオールジエチレングリコールジプロピレングリコール及びネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコールを使用する。或いは、アルコール成分として、下記式(1)で表され且つゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した数平均分子量が600乃至4000の範囲内であるポリエチレングリコールを使用してもよい。或いは、アルコール成分として、上記脂肪族グリコール又はポリエチレングリコールのエステル形成性誘導体を使用してもよい。

0030

(式中、Rは水素アルキル基アリール基又はシクロアルキル基であり;nは正の整数である。)
このポリエステルポリエーテルブロック共重合体に占めるアルコール成分の質量比は、例えば20乃至80質量%の範囲内とし、典型的には40乃至80質量%の範囲内とする。また、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体がスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸を含んでいない場合には、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体に占める上記式(1)に示すポリエチレングリコールの質量比は、例えば50質量%以上とする。この質量比が小さいと、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体の乳化分散性が不十分となる可能性がある。

0031

ポリエーテルウレタンとしては、例えば、ポリエチレングリコール鎖を含有し、イソシアネート基ブロックされた水溶性熱反応型ウレタンを使用する。この水溶性熱反応型ウレタンは、例えば、2個以上の活性水素原子を有する化合物と過剰量のポリイソシアネートとの重付加法により2個以上の遊離イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを作成し、遊離のイソシアネート基を当量以上の重亜硫酸水溶液を用いてブロックしたものである。この水溶性熱反応型ウレタンに占めるポリエチレングリコールの質量比は、例えば10乃至40質量%の範囲内とする。この質量比が10質量%より小さいと、ポリエーテルウレタンを水溶性とするのが困難となる場合がある。この質量比が40質量%より大きいと、光学干渉性繊維の表面を被覆又は修飾しているポリエーテルウレタンの耐久性が低下する可能性がある。

0032

2個以上の活性水素を有する化合物としては、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド、そのランダム又はブロック共重合物、グリセリン等の多価アルコールへの付加重合物、並びにε−カプロラクトン開環重合物等のポリエーテル型の化合物を使用する。或いは、2個以上の活性水素を有する化合物として、コハク酸アジピン酸フタル酸及び無水マレイン酸等の多価カルポン酸又はその酸無水物と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール及びグリセリン等の多価アルコールとの縮合物等のポリエステル型の化合物を使用してもよい。或いは、ポリエステル型の化合物にポリエチレングリコール等のアルキレングリコールを共重合させたポリエーテルエステル型の化合物を使用してもよい。

0033

ポリイソシアネートとしては、例えば、へキサメレンジイソシアネートキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の脂肪族、脂環式又は芳香脂肪族ポリイソシアネートを使用する。この場合、黄変を抑制すること及びブロック化物熱安定性を向上させることが可能となる。

0034

活性水素原子を有する連鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール及びジエチレングリコール等のグリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の多価アルコール、エチレンジアミン及びへキサメチレンジアミン等のジアミンモノエタノールアミン及びジエタノールアミン等のアミノアルコール、チオジエチレングリコール等のチオジグリコール、又は水を使用する。

0035

環状アミノ酸及び/又はその誘導体としては、例えば、下記式(2)で表される化合物を使用する。このような化合物としては、例えば、L−プロリンオキシプロリン、2−ピロリドン−5−カルボン酸PCA)又は2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム(PCAソーダ)を使用する。

0036

(式中、nは2又は3であり;XはH又はCH2OHであり;YはH又はOHであり;ZはCH2又はC=Oであり;Mは、H、アルカリ金属又はアミンである。)
ポリエステルポリエーテルブロック共重合体、ポリエーテルウレタン、並びに環状アミノ酸及び/又はその誘導体の各々の使用量は、例えば、以下の通りとする。即ち、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体の固形分としての使用量は、光学干渉性繊維に対して、例えば0.01乃至5質量%の範囲内とし、典型的には0.05乃至0.5質量%の範囲内とする。また、ポリエーテルウレタンの固形分としての使用量は、光学干渉性繊維に対して、例えば0.1乃至10質量%の範囲内とし、典型的には0.5乃至5質量%の範囲内とする。そして、環状アミノ酸及び/又はその誘導体の固形分としての使用量は、光学干渉性繊維に対して、例えば0.5乃至100質量%の範囲内とし、典型的には1乃至50質量%の範囲内とする。

0037

ポリエステルポリエーテルブロック共重合体、ポリエーテルウレタン、並びに環状アミノ酸及び/又はその誘導体を含んだ表面処理剤としては、例えば、本油脂製薬株式会社(Matsumoto Yushi-Seiyaku Co.,Ltd)製の試薬「YM−80」が挙げられる。

0038

なお、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体を含んだ水溶液を用いて光学干渉性繊維の表面処理を行う際に、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体の反応性を向上させるべく、触媒を使用してもよい。この触媒としては、例えば、塩化第1スズ、塩化第2スズ、トリn−ブチルチンアセテート及びジブチルチンラウレート等のSnを含有した化合物を使用する。また、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体と他の化合物とを併用する場合には、予めポリエステルポリエーテルブロック共重合体により光学干渉性繊維の表面の少なくとも一部を被覆又は修飾した後に、当該他の化合物を用いた表面処理を行ってもよい。

0039

光学干渉性繊維の表面処理は、例えば、以下のようにして行う。即ち、まず、表面処理剤を含んだ水溶液を、浸漬法スプレー法又はローラ法を用いて、光学干渉性繊維の表面に適用する。その後、これを乾燥させる。このようにして、光学干渉性繊維の表面の少なくとも一部を表面処理剤により被覆又は修飾する。

0040

光学干渉性繊維の長さは、例えば1mm乃至20mmの範囲内とする。光学干渉性繊維が短いと、その視認性が低下し、優れた偽造防止効果を達成できない場合がある。光学干渉性繊維が長いと、光学干渉性繊維の折れ曲がり等が生じ易くなり、それらの配向の制御が困難となる場合がある。

0041

光学干渉性繊維は干渉色が同一の色相のものを単独で使用してもよく、異なった色相のものを数種類併用してもよい。或いは、同一の色相を有し且つ明るさが異なった光学干渉性繊維を使用してもよい。

0042

光学干渉性繊維の表面は、滑らかであることが望ましい。この場合、光学干渉性繊維の表面における乱反射等が起こり難くなる。そのため、光学干渉性繊維から射出される回折光の視認性を更に高くすることができる。

0043

以下、紙1が示す効果について更に説明する。
上述した通り、紙1は、表面領域20の少なくとも一方に光学干渉性繊維を含んでいる。そのため、紙1を観察すると、光学干渉性繊維から射出される干渉光を視認することができる。そして、この干渉光に基づく色彩及び光沢は、コピー機等による複写によっては再現できない。即ち、紙1を複写しても、当該複製物は、紙1と同様の光学効果を示さない。従って、この光学効果の有無を調べることにより、真正物と複製物とを判別することができる。

0044

また、本発明者らは、本発明に至る過程で、以下の事実を見出した。即ち、光学干渉性繊維の長さ方向が揃っている場合、それらの長さ方向が無秩序である場合と比較して光学干渉性繊維をより容易に視認できることを見出した。

0045

この現象は、以下の理由によるものと考えられる。
光学干渉性繊維に入射した照明光の一部は、その内部で、繰り返し反射干渉等の光学干渉を生じる。観察者は、光学干渉性繊維において強め合う干渉を生じた光を知覚し、この干渉光とセルロース繊維からの反射光との波長及び/又は強度等の相違に基づいて、光学干渉性繊維をセルロース繊維から判別する。

0046

光学干渉性繊維は、入射角及び波長がそれぞれ特定の範囲内にある光成分について、他の光成分と比較して、遥かに強い干渉光を射出するように設計されている。従って、照明方向及び観察方向が所定の範囲内にない場合には、光学干渉性繊維に特徴的な干渉光を知覚することは不可能又は困難である。

0047

光学干渉性繊維は細長い形状を有しているため、光学干渉性繊維の長さ方向に略垂直な方向から照明光として白色光放射した場合、照明光の入射角は、ごく狭い一定の範囲に限られる。従って、この場合、観察者は、干渉光を知覚できないか、又は、狭い波長範囲の干渉光しか知覚できない。即ち、この場合、干渉光を知覚できないか、又は、仮に知覚できたとしても、光強度が小さなほぼ単色の干渉光に限られる。

0048

これに対し、光学干渉性繊維の半径方向に略垂直な方向から照明光を放射した場合、光学干渉性繊維には、その長さ方向に沿って、様々な入射角で照明光が入射する。従って、この場合、長さ方向に垂直な方向から照明した場合と比較して、観察者が干渉光を知覚する可能性が高く、知覚可能な干渉光の波長範囲がより広い。即ち、この場合、高い確率で干渉光を知覚できる。加えて、知覚した光が干渉光であることを直ちに判断できる。そのため、この場合、光学干渉性繊維の視認性は、極めて高い。

0049

このような現象は、上記の説明から分かるように、太さと長さとの差異が大きな繊維状の光学干渉性材料を使用する場合に特に顕著となる。従って、紙1において、光学干渉性繊維の配向制御を行うことは極めて重要である。

0050

本態様に係る紙1では、表面領域20の少なくとも一方において、光学干渉性繊維を紙1の主面に対して平行な又は傾斜した一方向に配向させている。そのため、上記の配向主軸を含み且つ紙1の主面に垂直な平面に沿った方向から紙1を照明した場合、光学干渉性繊維の半径方向と照明光の入射方向とが略垂直となる確率が高い。従って、この場合、光学干渉性繊維の視認性は極めて高い。即ち、これにより、真正物と複製物との判別をより容易に行うことができる。加えて、これにより、紙1の意匠性をも向上させることができる。

0051

紙1の表面領域20に含まれた光学干渉性繊維の各々の長さ方向と紙1の主面に平行な基準軸とが為す角度の標準偏差は、例えば30゜以下とし、好ましくは25゜以下とし、より好ましくは20゜以下とし、特に好ましくは15°以下とする。また、上記の標準偏差は、0゜であってもよいが、例えば1゜以上とし、好ましくは3゜以上とし、特に好ましくは5゜以上とする。この標準偏差が過度に大きいと、光学干渉性繊維の配向のばらつきが大きくなり、それらの視認性が向上し難くなる可能性がある。また、この標準偏差が過度に小さいと、光学干渉性繊維から射出される干渉光を視認することができる角度範囲が狭くなる可能性がある。なお、上記の基準軸としては、例えば、上述した配向主軸を採用する。

0052

先に述べたように、紙1の少なくとも一方の表面領域20において、光学干渉性繊維は、セルロース繊維と混ざり合っている。即ち、光学干渉性繊維は、セルロース繊維と重なり合っている。従って、例えば、光学干渉性繊維を分散媒に分散させてなる分散液を通常の紙にコーティングした場合と比較して、光学干渉性繊維の脱落が生じ難い。そのため、紙1は、長期間に亘って使用した場合においても、優れた偽造防止効果を維持することができる。

0053

なお、光学干渉性繊維の脱落を生じ難くするために、繊維の表面をけば立たせることも考えられる。しかしながら、この場合、繊維の表面において乱反射が生じ易い。そのため、光学干渉性繊維が射出する干渉光の視認性が低下する。また、光学干渉性繊維をウール状縮れさせることも考えられる。しかしながら、この場合、光学干渉性繊維の光干渉面が一定に揃わないため、干渉光の視認性が著しく低下する。

0054

表面領域20の少なくとも一方の表面において、光学干渉性繊維は、典型的には、表面領域20の表面積を基準として、30本/(10cm×10cm)乃至500本/(10cm×10cm)の割合で視認できるようにする。この割合が小さいと、光学干渉性繊維から射出される干渉光を視認することが比較的困難となる場合がある。この割合が大きいと、紙1を印刷用紙等として使用することが困難となる場合がある。また、過剰な量の光学干渉性繊維が観察されるため、違和感の大きな紙となりやすい。

0055

紙1は、紫外線の照射により蛍光発色する繊維を更に含んでいてもよい。或いは、紙1は、上述した光学干渉性繊維の代わりに、紫外線の照射により蛍光発色する光学干渉性繊維を含んでいてもよい。紫外線の照射により蛍光発色する光学干渉性繊維としては、たとえな、紫外線照射によって蛍光を発しない光学干渉性繊維を蛍光塗料で染色したものを使用する。

0056

紙1は、紫外線の照射により蛍光発色しない光学干渉性繊維と、紫外線の照射により蛍光発色する光学干渉性繊維とを含んでいてもよい。これら繊維は、紫外線以外の通常光の照射下では、互いに区別がつかない。しかしながら、紙1を紫外線の照射下で観察すると、光学干渉性繊維の一部のみが蛍光発色する。それゆえ、紫外線の照射下では、これら繊維を互いから判別することが可能となる。

0057

紫外線の照射により蛍光発色しない光学干渉性繊維と、紫外線の照射により蛍光発色する光学干渉性繊維とを併用する場合、両者の数の比は、例えば10:1乃至10:5の範囲内とする。紫外線の照射により蛍光発色する光学干渉性繊維の比率が小さいと、偽造防止効果を高める作用が不十分となる可能性がある。紫外線の照射により蛍光発色する光学干渉性繊維の比率が大きいと、紙1の製造コストが高くなる場合がある。

0058

以下に、光学干渉性繊維に蛍光塗料を染着する方法の例を挙げる。
まず、2%owf(繊維質量対比染料質量)に相当する蛍光塗料(例えば、日本化薬株式会社製「MIKA WHITEKTS EXTRA CONE」)を、酢酸0.2g/Lを添加した40℃の湯浴中に、光学干渉性繊維と共に投入する。次に、これを2.2℃/分の速度で昇温し、100℃で30分間保温する。その後、これを3.3℃/分の速度で降温する。このようにして、蛍光発色する光学干渉性繊維を得る。

0059

紙1は、バインダ繊維を更に含んでいてもよい。バインダ繊維は、光学干渉性繊維を紙1から脱落し難くする役割を担っている。バインダ繊維としては、例えば、エチレンビニルアルコール系共重合体繊維、芯鞘型のバインダ繊維、又は分割型のバインダ繊維を使用することができる。芯鞘型のバインダ繊維としては、例えば、芯部分ポリプロピレンからなり且つ鞘部分がエチレンビニルアルコール系共重合体からなる繊維を使用することができる。分割型のバインダ繊維としては、例えば、エチレンビニルアルコール系共重合体及びポリオレフィン重合体の何れか一方により他方が挟持された構造の繊維を使用することができる。

0060

紙1の表面領域20には、表面平滑化処理が施されていてもよい。この場合、例えば、紙1の平滑度を5秒以上に調整する。こうすると、光学干渉性繊維の光干渉面が表面領域20上に屈曲せずに分布され易くなる。そのため、光学干渉性繊維から射出される干渉光の視認性が向上する。なお、上記の「平滑度」は、日本工業規格JIS P8119:1998(ISO5627:1995)「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠した測定値である。

0061

紙1は、例えば、以下のようにして製造する。

0062

まず、セルロース繊維と分散媒とを含んだ分散液を調製する。
この分散液は、セルロース繊維からなるパルプを主成分として含んでいる。パルプとしては、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹サルファイトパルプNBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)及びこれらの混合物等の木材パルプコットンパルプ麻パルプワラパルプ及びこれらの混合物等の非木材パルプ、又はこれらの混合物を使用することができる。この分散液は、填料サイズ剤乾燥紙力増強剤湿潤紙力増強剤定着剤歩留り向上剤濾水性向上剤及び消泡剤等の製紙用副資材を更に含んでいてもよい。

0063

なお、この分散液は、典型的には、フリーネスが550mlC.S.F.乃至250mlC.S.F.となるように叩解される。この場合、分散液に含まれるセルロース繊維と、後に添加される機能性繊維との絡みつきが生じ易くなる。そのため、機能性繊維は、紙1から脱落し難くなる。なお、上記の「フリーネス」は、日本工業規格JIS P8121:1995「パルプのろ水度試験方法」中の「カナダ標準ろ水度試験方法」に準拠した測定値である。

0064

次に、先の分散液からなる紙層の流れの上に、機能性繊維と分散媒とを含んだ分散液を供給する。この際、紙層の流れの速さ、紙層の含水量、分散液中での機能性繊維の濃度、ノズル出口面積及び分散液の供給量等を調整することにより、紙1の表面領域20における機能性繊維の配向性を制御することができる。なお、機能性繊維と分散媒とを含んだ分散液は、セルロース繊維等の他の成分を更に含んでいてもよい。また、ここでは、機能性繊維と分散媒とを含んだ分散液の流れが連続流となり且つ乱流とならないように留意する。

0065

紙層は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。但し、紙層を多層構造とし、その表面に位置する紙層にのみ機能性繊維を混抄すると、機能性繊維を有効に使用でき経済的に有利である。なお、このような多層構造を製造する好ましい方法は、多槽式の円網抄紙機を使用する方法である。

0066

次いで、得られた構造を、シリンダドライヤ及びヤンキードライヤ等により乾燥させる。その後、必要に応じて、マシンカレンダ処理及びスーパーカレンダ処理等の表面平滑化処理を施す。
このようにして、紙1を得る。

0067

なお、機能性繊維として光学干渉性繊維を使用する場合には、光学干渉性繊維と分散媒とを混合して分散液を調製する前に、光学干渉性繊維に表面処理を施してもよい。こうすると、紙1の製造過程において、光学干渉性繊維同士の重なりが生じ難くなる。従って、各々の光学干渉性繊維が互いに独立して分散し易くなり、紙1における光学干渉性繊維の視認性が向上する。加えて、上記の表面処理を施された光学干渉性繊維を使用すると、光学干渉性繊維とセルロース繊維との密着性が向上する。従って、紙1からの光学干渉性繊維の脱落が生じ難くなる。即ち、力学的負荷に対する紙1の耐久性が向上する。

0068

図4は、図1及び図2に示す紙の一変形例を概略的に示す断面図である。

0069

図4に示す紙1は、表面領域20の少なくとも一方を被覆した樹脂層100を更に備えていることを除いては、図1及び図2を参照しながら説明した紙1と同様の構成を有している。樹脂層100は、典型的には、機能性繊維を含んだ表面領域20を被覆する。

0070

樹脂層100は、表面領域20に含まれた機能性繊維の脱落を生じ難くする役割を担っている。また、紙1の平坦性を向上させ、後述する印刷層の形成等をより容易とする役割も担っている。

0071

本態様では、機能性繊維は、少なくとも一方の表面領域20において、紙1の主面に対して平行な又は傾斜した一方向に配向している。この場合、機能性繊維が一方向に配向していない場合と比較して、機能性繊維へのセルロース繊維の絡み合いが生じ難い。そこで、樹脂層100を設けることにより、脱落が更に生じ難く、長期間に亘って偽造防止効果を示す紙1を得ることができる。

0072

樹脂層100の材料としては、典型的には、透明樹脂を使用する。樹脂層の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂ポリウレタン樹脂アクリル酸エステル樹脂スチレンアクリル酸エステル共重合樹脂等のアクリル酸エステル共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂ポリアクリルアミド樹脂メラミン樹脂尿素樹脂ポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、セルロース誘導体並びにカゼイン等の樹脂を使用することができる。

0073

樹脂層100は、例えば、グラビアコータロールコータエアナイフコータブレードコータ及びバーコータ等の塗工機により形成することができる。

0074

樹脂層の塗工量は、例えば、乾燥質量換算で、0.1g/m2乃至3.0g/m2の範囲内とする。塗工量が小さいと、機能性繊維の脱落を更に生じ難くする効果を得ることが困難である。塗工量が大きいと、紙面の光沢が増し、機能性繊維の干渉色を知覚し難くなる場合がある。或いは、紙1を印刷用紙等として使用することが困難となる場合がある。

0075

次に、他の技術について説明する。
紙に適用可能な偽造防止技術としては、上述したものの他に、パルプ等のセルロース繊維と、複写による色等の再現が困難な機能性繊維とを混抄する技術が知られている。例えば、特許第2843898号公報には、通常の紙料と中間色の着色繊維とを混抄してなる複写防止用着色繊維混抄紙が記載されている。

0076

しかしながら、着色繊維等の機能性繊維を含んだ混抄紙は、比較的多量の機能性繊維を使用するため高コストである。以下に説明する技術は、より少ない機能性繊維使用量で十分な偽造防止効果を発揮する紙を提供する。

0077

この技術に係る紙は、セルロース繊維と、物理的刺激に対し、セルロース繊維がこの物理的刺激に対して示す応答とは異なる応答を示す機能性繊維とを含んだ紙である。セルロース繊維は、紙の全体に亘って分布している。機能性繊維は、紙の一方若しくは双方の表面領域にのみ又はそれらの一部にのみ分布しており且つそこでセルロース繊維と混ざり合っている。

0078

この紙では、例えば、表面領域の少なくとも一方ではその一部にのみ機能性繊維が分布している。或いは、この紙では、前記表面領域の少なくとも一方ではその全体に亘って機能性繊維が分布していてもよい。

0079

この技術に係る紙は、例えば以下の方法により製造する。まず、セルロース繊維及び物理的刺激に対してセルロース繊維とは異なる応答を示す機能性繊維を含んだ第1紙料と第1分散媒とを含有した分散液から第1紙料を漉いてなる未乾燥の第1繊維層と、機能性繊維を含有せずにセルロース繊維を含んだ第2紙料と第2分散媒とを含有した分散液から第2紙料を漉いてなる未乾燥の第2繊維層との積層体を備え、第1繊維層の表面が一方の最表面の少なくとも一部を構成している多層構造を形成する。次に、多層構造を乾燥処理に供する。

0080

この技術では、機能性繊維は、表面領域にのみ分布している。それゆえ、この紙は、機能性繊維を紙全体に分布させた場合と比較して、より少ない機能性繊維使用量で、同等の偽造防止効果を発揮する。即ち、この紙を用いることにより、比較的低コストで、十分な偽造防止効果を達成できる。

0081

この紙では、各表面領域において、機能性繊維はセルロース繊維と混ざり合っている。典型的には、表面領域において、機能性繊維には、セルロース繊維が絡み付いている。したがって、例えば、機能性繊維を分散媒に分散させてなる分散液を通常の紙にコーティングした場合と比較して、機能性繊維の脱落が生じ難い。そのため、この紙は、長期間に亘って使用した場合においても、優れた偽造防止効果を維持することができる。

0082

また、例えば、機能性繊維を分散媒に分散させてなる分散液を通常の紙にコーティングする場合、紙面上に機能性繊維の形状に起因した凹凸が生じ易い。一方、この技術に係る紙では、機能性繊維はセルロース繊維と混ざり合っているため、このような凹凸は生じ難い。したがって、この紙は、機能性繊維を分散媒に分散させてなる分散液を通常の紙にコーティングする場合等と比較して、より平坦性に優れている。そのため、この紙は、印刷及び筆記用紙等としても適している。

0083

この技術に係る紙は、例えば、以下のようにして製造する。

0084

まず、下記表1に示す紙料の分散液を含んだ複数の槽を準備する(nは3以上の自然数)。これらのうち、第1槽及び第n槽に含まれている紙料は、表面領域を形成するための原料として使用され、第2槽乃至第(n−1)槽に含まれている紙料は、中間領域を形成するための原料として使用される。

0085

次に、これらの槽を用いて、多槽式円網抄紙機による抄造を行う。即ち、第1槽乃至第n槽の各々が含んだ紙料を漉いてなる未乾燥の第1繊維層乃至第n繊維層を積層させて多層構造を形成し、その後、これを乾燥処理に供する。このようにして、上述した紙を得る。

0086

この際、各槽に含まれる繊維の濃度を調整することにより、中間領域及び表面領域の厚さを調整することができる。また、機能性繊維を含んでいない槽の数を変化させることにより、中間領域の厚さに対する表面領域の厚さの比Rを調整することができる。なお、各分散液が機能性繊維を含んだ複数の槽を用いて、1つの表面領域を形成してもよい。

0087

この紙には、様々な変形が可能である。例えば、表面領域の何れか一方のみが機能性繊維を含み、他方は機能性繊維を含んでいない構成としてもよい。この場合、上記第1槽及び第n槽の何れか一方を省略して抄造を行う。

0088

図5は、他の技術に係る紙の一例を概略的に示す平面図である。図6は、図5に示す紙のVI−VI線に沿った断面図である。

0089

図5及び図6に示す紙1では、一方の表面領域20の一部にのみ機能性繊維が分布している。具体的には、この紙1では、一方の表面領域20は、機能性繊維を含んでいない。そして、他方の表面領域20のうち、帯状部分20aは機能性繊維を含んでおり、他の部分20bは機能性繊維を含んでいない。

0090

この紙1は、例えば、以下のようにして製造する。

0091

まず、長網抄紙機等により、機能性繊維を含むことなしにセルロース繊維を含んだ紙料からなる第1繊維層を金網上に形成する。次に、金網上に保持された繊維層の任意の箇所に、等を用いてセルロース繊維と機能性繊維とを含んだ紙料の分散液を流して第2繊維層を形成する。続いて、これら第1及び第2繊維層を積層してなる多層構造を乾燥させて、表面領域20の任意の箇所に機能性繊維を含んだ紙1を得る。

0092

なお、図5及び図6には、表面領域20のうち機能性繊維を含んでいる部分20aが1つである場合を描いているが、表面領域20は、機能性繊維を含んでいる部分20aを複数備えていてもよい。また、図6には、表面領域20の一方にのみ機能性繊維を含んでいる部分20aが形成されている場合を描いているが、この部分20aは、表面領域20の双方に形成されていてもよい。

0093

この技術は、図1乃至図4を参照しながら説明した技術と組み合わせて用いてもよい。即ち、図1乃至図4を参照しながら説明した紙1の中間領域10及び表面領域20のうち、表面領域20の少なくとも一方のみが機能性繊維を含んでいる構成を採用してもよい。このような構成を採用すると、より少ない機能性繊維使用量で、機能性繊維の優れた視認性を達成することができる。

0094

なお、紙1において、他の偽造防止手段を併用してもよい。例えば、すき入れ染色繊維の混抄、細片の混抄、又はスレッドの抄込み等を更に行ってもよい。これにより、紙1の偽造防止効果を更に向上させることができる。

0095

紙1は、その表面領域上に被覆層を設けてなる被覆紙としてもよい。この被覆層の材料としては、表面領域中の機能性繊維が示す応答の検出に悪影響を与えないものを使用する。この被覆層を設けることにより、紙の耐久性及び平坦性を更に向上させることができる。

0096

紙1の上には、印刷層を形成することができる。これにより、偽造防止効果に優れた印刷物が得られる。

0097

紙1は、偽造防止以外の目的で使用してもよい。例えば、紙1は、美観に優れた包装紙等としても利用することができる。

0098

以下、図1乃至図4を参照しながら説明した紙の具体例を記載する。なお、以下に示す質量部、坪量及び塗工量は、乾燥換算の値である。

0099

<例1:紙P1の製造>
まず、30質量部のNBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)と、70質量部のLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)と、6500質量部の水とを混合し、フリーネスが360mlC.S.F.となるまでビーターを使用して叩解した。次に、15質量部のカオリンと、0.5質量部の紙力増強剤(荒川化学工業株式会社製「ポリストロン」)と、1.0質量部のサイズ剤(荒川化学工業株式会社製「サイズパインE」)と、適量の硫酸バンドとを加え、紙料を調製した。

0100

次に、1質量部の光学干渉性繊維(帝人ファイバー株式会社製「MORPHOTEX」、長さ8mm、繊度10dtex)を、適量のポリエチレングリコールを溶解した10000質量部の水に分散させた分散液を調製した。そして、順流型すき槽構造を有した3槽式円網抄紙機を使用して、表層25g/m2、内層50g/m2、裏層25g/m2の合計坪量100g/m2の用紙を抄紙速度10m/分で抄造する際に、この分散液を、表層及び裏層を形成する紙料にのみ導入した。このようにして、紙層を得た。

0101

その後、サイズプレス装置を用いて、この紙層上に、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製「クラレPVA117」)の5%水溶液を塗工した。その後、これを乾燥させた。

0102

以上のようにして、坪量100g/m2の紙を得た。以下、この紙を「紙P1」と呼ぶ。

0103

なお、紙P1の表面領域20において視認可能な光学干渉性繊維の割合は、表面領域20の表面積を基準として、500本/(10cm×10cm)であった。また、紙P1の表面領域20に含まれ、紙の表面に露出して干渉色を観察できる光学干渉性繊維の各々の長さ方向と、紙の主面に平行な基準軸とが為す角度の標準偏差は、25°であった。

0104

<例2〜例10:紙P2〜P10の製造>
抄紙速度、槽内に導入する紙料濃度シリンダーに当たる紙料の導入速度及び光学干渉性繊維の導入量等を変化させた以外は、紙P1について述べたのと同様にして、紙P2乃至P10を製造した。その内容を表2に示す。

0105

表2において、「標準偏差」とは、紙の表面領域に含まれ、紙の表面に露出して干渉色を観察できる光学干渉性繊維の各々の長さ方向と、紙の主面に平行な基準軸とが為す角度を測定し、その標準偏差を計算により求めた値である。「光学干渉性繊維の本数」とは、紙の表面領域中の10cm×10cmの領域に含まれた視認可能な光学干渉性繊維の本数である。「評点」とは、光学干渉性繊維の視認性を後述する5点法で評価した値である。

0106

<視認性>
紙P1乃至P10について、5人の被験者に対して、光学干渉性繊維から射出される干渉光の視認性に関する官能試験を行った。具体的には、これら被験者にISO/CIE10526に規定する常用光源規格を満たした蛍光灯下で紙P1乃至P10を目視観察させて、被験者が感じた視認性を以下の5点法で評価させた。

0107

5点:干渉色が強く視認できるレベル
4点:干渉色が5点より弱く視認できるレベル。
3点:干渉色が4点より弱く視認できるレベル。
2点:干渉色が3点より弱く視認できるレベル。
1点:干渉色が2点より弱く視認できるレベル。

0108

その結果を表2に示す。表2には、各被験者による評点の平均値四捨五入した値を示している。実用的には、この評点は、3点以上であることが望ましい。

0109

表2に示すように、紙P1乃至P6では、光学干渉性繊維から射出される干渉光の視認性が高かった。即ち、優れた偽造防止効果を達成できた。特に、紙P5及びP6では、干渉光の視認性が著しく高かった。即ち、特に優れた偽造防止効果を達成することができた。

0110

続いて、上述した他の技術に係る紙の具体例を記載する。なお、以下に示す質量部、坪量及び塗工量は、乾燥換算の値である。

0111

<例12:紙P12の製造>
まず、下記表3に示す構成の槽をそれぞれ準備した。ここで、下記表3における「組成1」及び「組成2」は、それぞれ下記表4及び表5に示す組成である。

0112

次に、これらの各槽を用いて、多槽式円網抄紙機による抄造を行った。即ち、第1槽乃至第4槽から各槽が含んでいる紙料を漉いてなる未乾燥の第1繊維層乃至第4繊維層を積層させて多層構造を形成した後、これを乾燥処理に供した。なお、各槽の紙料を用いて形成する紙層の坪量は、表3に示す値とした。このようにして、表面領域にのみ純金糸を含んだ紙を得た。以下、この紙を「紙P12」と呼ぶ。

0113

<例13(比較例)>
長網抄紙機により、上記表4に示す組成の原料を用いて、坪量104g/m2の紙を抄造した。その後、下記表6に示す「組成3」からなるインキを、10μm厚スペーサを用いて、上記紙上にコーティングした。以下、このようにして得られた紙を「紙P13」と呼ぶ。

0114

<紙P12と紙P13との比較>
紙P12及びP13の各々について、拡大観察を行った。その結果を図7及び図8に示す。

0115

図7は、例12に係る紙の表面の顕微鏡写真である。図8は、例13に係る紙の表面の顕微鏡写真である。

0116

図7に示すように、紙P12において、パルプは純金糸に絡み付いていた。これに対し、図8に示すように、紙P13においては、パルプは純金糸に絡み付いておらず、純金糸は単にパルプ層上に貼付されているのみであった。

0117

また、紙P12及びP13の各々について、粘着テープを用いて、純金糸の脱落しやすさを調べた。その結果、紙P12については殆んど脱落が見られなかったのに対し、紙P13については多量の脱落が見られた。

0118

更なる利益及び変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。従って、添付の請求の範囲及びその等価物によって規定される本発明の包括概念の真意又は範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。

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