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図面 (8)

課題・解決手段

系列相関が発生しない正規分布に従う乱数発生機構を提供する。 正規分布に従う乱数発生機構であって、ランダムリカレンスプロットを生成するランダムリカレンスプロット生成機構1と、このランダムリカレンスプロット生成機構1からのランダムなリカレンスプロットを時系列に変換するリカレンスプロット時系列変換機構4とを備え、このリカレンスプロット時系列変換機構4により正規乱数を発生させる。

概要

背景

正規分布に従う乱数は、科学技術のシミュレーション広範囲に用いられている。計算アルゴリズムを用いてこの乱数を作る一般的な方法は、最初に一様分布に従う乱数を生成し、それを中心極限定理、または、Box−Muller法(下記非特許文献1参照)を用いて、正規分布に変換するものである。従って、このような方法で生成された正規分布に従う乱数は、一様分布に従う乱数を作るときの欠点を継承している。一様分布に従う乱数を作る一般的な方法は、線形合同法、2次合同法、またはフィボナッチ数列を使う方法(下記非特許文献2参照)である。

また、リカレンスプロット手法自体については、下記非特許文献3に紹介されている。
W.H.Press,S.A.Teukolsky,W.T.Vetterling,and B.P.Flannery,Numerical recipes in C,2nd edition,Cambridge University Press,Cambridge,UK,1992
D.E.Knuth,The art of computer programming,Volume2,3rd edition,Addison−Wesley,Reading,MA,1997
J.P.Eckmann,S.O.Kamphorst,and D.Ruelle,Europhys.Lett.4,973(1987).
N.Marwan,M.C.Romano,M.Thiel,and J.Kurths,Phys.Rep.438,237(2007).
N.Marwan,N.Wessel,U.Meyerfeldt,A.Schirdewan,and J.Kurths,Phys.Rev.E66,026702(2002)
J.P.Zbilut and C.L.Webber Jr., Phys.Lett.A 171,199(1992).
L.L.Trulla,A.Giuliani,J.P.Zbilut,C.L.Webber Jr., Phys.Lett.A 223,255(1996).
P.Faure and H.Korn,Physica D 122,265(1998)
M.Thiel,M.C.Romano,P.L.Read,and J.Kurths,Chaos14,234(2004).
C.Letellier,Phys.Rev.Lett.96,254102(2006).
M.Thiel,M.C.Romano,J.Kurths,Phys.Lett.A 330,343(2004).
G.McGuire,N.B.Azar,M.Shelhamer,Phys.Lett.A 237,43(1997).
J.B.Kruskal and M.Wish,Multidimensional Scaling,Sage Publications,1978.
E.W.Dijkstra,Numer.Math. 1 269(1959).
J.C.Gower,Biometrika53, 325(1966).
N.Elmaci and R.S.Berry,J.Chem.Phys.110,10606(1999).
E.N.Lorenz,J.Atmos.Sci.20,130(1963).
O.E.Rossler,Phys.Lett.57A,397(1976)
T.M.Cover and J.A.Thomas,Elements of Information Theory,John Wiley & Sons,Inc.,New York,1991
K.T.Alligood,T.D.Sauer,and J.A.Yorke,Chaso:An introduction to dymamical systems,Springer−Verlag,New York,1997

概要

系列相関が発生しない正規分布に従う乱数発生機構を提供する。 正規分布に従う乱数発生機構であって、ランダムなリカレンスプロットを生成するランダムリカレンスプロット生成機構1と、このランダムリカレンスプロット生成機構1からのランダムなリカレンスプロットを時系列に変換するリカレンスプロット時系列変換機構4とを備え、このリカレンスプロット時系列変換機構4により正規乱数を発生させる。

目的

そのため、系列相関が発生しないような正規分布に従う乱数の生成法を如何にして実現するかが課題である

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

(a)ランダムリカレンスプロットを生成するランダムリカレンスプロット生成機構と、(b)該ランダムリカレンスプロット生成機構からのランダムなリカレンスプロットを時系列に変換するリカレンスプロット時系列変換機構とを備え、(c)該リカレンスプロット時系列変換機構により正規乱数を発生させることを特徴とする正規分布に従う乱数発生機構

請求項2

請求項1記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記ランダムリカレンスプロット生成機構は、ビット乱数を生成させるビット乱数生成装置と、該ビット乱数生成装置から発生されたビット乱数をリカレンスプロットとして蓄えるリカレンスプロット保存装置とからなり、前記リカレンスプロット時系列変換機構は、前記リカレンスプロット保存装置からの情報によりグラフを生成するグラフ生成装置と、該グラフ生成装置からの情報により距離行列を生成する距離行列生成装置と、該距離行列生成装置からの情報により時系列を生成する時系列生成装置を備えることを特徴とする正規分布に従う乱数発生機構。

請求項3

請求項1記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記リカレンスプロットは、時系列を視覚化するための、2つの時間軸からなる2次元の図であり、対応する時間の組において、それぞれの時間に対応する状態が近いか否かを調べ、前記状態が近ければ対応する2次元の平面上の場所に点を打ち、前記状態が近くなければ何も打たないようにして得られるプロットであることを特徴とする正規分布に従う乱数発生機構。

請求項4

請求項2記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記ビット乱数は量子力学に従う機構を用いて生成することを特徴とする正規分布に従う乱数発生機構。

請求項5

請求項4記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記量子力学に従う機構はスピンの向きやコバルトガンマ線放射時間間隔であることを特徴とする正規分布に従う乱数発生機構。

請求項6

請求項2記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記ビット乱数は電子回路実装された一次元のカオス写像を用いて生成することを特徴とする正規分布に従う乱数発生機構。

技術分野

0001

本発明は、正規分布に従う乱数発生機構に関するものである。

背景技術

0002

正規分布に従う乱数は、科学技術のシミュレーション広範囲に用いられている。計算アルゴリズムを用いてこの乱数を作る一般的な方法は、最初に一様分布に従う乱数を生成し、それを中心極限定理、または、Box−Muller法(下記非特許文献1参照)を用いて、正規分布に変換するものである。従って、このような方法で生成された正規分布に従う乱数は、一様分布に従う乱数を作るときの欠点を継承している。一様分布に従う乱数を作る一般的な方法は、線形合同法、2次合同法、またはフィボナッチ数列を使う方法(下記非特許文献2参照)である。

0003

また、リカレンスプロット手法自体については、下記非特許文献3に紹介されている。
W.H.Press,S.A.Teukolsky,W.T.Vetterling,and B.P.Flannery,Numerical recipes in C,2nd edition,Cambridge University Press,Cambridge,UK,1992
D.E.Knuth,The art of computer programming,Volume2,3rd edition,Addison−Wesley,Reading,MA,1997
J.P.Eckmann,S.O.Kamphorst,and D.Ruelle,Europhys.Lett.4,973(1987).
N.Marwan,M.C.Romano,M.Thiel,and J.Kurths,Phys.Rep.438,237(2007).
N.Marwan,N.Wessel,U.Meyerfeldt,A.Schirdewan,and J.Kurths,Phys.Rev.E66,026702(2002)
J.P.Zbilut and C.L.Webber Jr., Phys.Lett.A 171,199(1992).
L.L.Trulla,A.Giuliani,J.P.Zbilut,C.L.Webber Jr., Phys.Lett.A 223,255(1996).
P.Faure and H.Korn,Physica D 122,265(1998)
M.Thiel,M.C.Romano,P.L.Read,and J.Kurths,Chaos14,234(2004).
C.Letellier,Phys.Rev.Lett.96,254102(2006).
M.Thiel,M.C.Romano,J.Kurths,Phys.Lett.A 330,343(2004).
G.McGuire,N.B.Azar,M.Shelhamer,Phys.Lett.A 237,43(1997).
J.B.Kruskal and M.Wish,Multidimensional Scaling,Sage Publications,1978.
E.W.Dijkstra,Numer.Math. 1 269(1959).
J.C.Gower,Biometrika53, 325(1966).
N.Elmaci and R.S.Berry,J.Chem.Phys.110,10606(1999).
E.N.Lorenz,J.Atmos.Sci.20,130(1963).
O.E.Rossler,Phys.Lett.57A,397(1976)
T.M.Cover and J.A.Thomas,Elements of Information Theory,John Wiley & Sons,Inc.,New York,1991
K.T.Alligood,T.D.Sauer,and J.A.Yorke,Chaso:An introduction to dymamical systems,Springer−Verlag,New York,1997

0004

上記した一様分布に従う乱数を生成する方法は、有限次元の力学系とみなすことができる。力学系では、過去から将来が完全に決まってしまうため、乱数列中の別の点間の相関が避けられない。

0005

また、シャッフルを使って2つ以上の一様分布に従う乱数からより複雑な一様分布に従う乱数を作る方法が知られているが、この場合も元の一様分布に従う乱数は上記した方法で作る必要があり系列相関が残る。系列相関があると、過去の系列から将来の系列を予測することができる。そのため、既存の正規分布に従う乱数では、高度なコンピュータシミュレーション秘匿通信においては問題である。さらに、物理的なシステムを使って作る物理乱数が存在する。しかし、一様分布を生成するような物理乱数も力学系であるため系列相関が存在する。

0006

このように、従来技術を用いた正規分布に従う乱数は系列相関が避けられない。そのため、系列相関が発生しないような正規分布に従う乱数の生成法を如何にして実現するかが課題である。

0007

本発明は、上記状況に鑑みて、系列相関が発生しない正規分布に従う乱数発生機構を提供することを目的とする。

0008

本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕正規分布に従う乱数発生機構であって、ランダムなリカレンスプロットを生成するランダムリカレンスプロット生成機構と、このランダムリカレンスプロット生成機構からのランダムなリカレンスプロットを時系列に変換するリカレンスプロット時系列変換機構とを備え、このリカレンスプロット時系列変換機構により正規乱数を発生させることを特徴とする。

0009

〔2〕上記〔1〕記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記ランダムリカレンスプロット生成機構は、ビット乱数を生成させるビット乱数生成装置と、このビット乱数生成装置から発生されたビット乱数をリカレンスプロットとして蓄えるリカレンスプロット保存装置とからなり、前記リカレンスプロット時系列変換機構は、前記リカレンスプロット保存装置からの情報によりグラフを生成するグラフ生成装置と、このグラフ生成装置からの情報により距離行列を生成する距離行列生成装置と、この距離行列生成装置からの情報により時系列を生成する時系列生成装置を備えることを特徴とする。

0010

〔3〕上記〔1〕記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記リカレンスプロットは、時系列を視覚化するための、2つの時間軸からなる2次元の図であり、対応する時間の組において、それぞれの時間に対応する状態が近いか否かを調べ、前記状態が近ければ対応する2次元の平面上の場所に点を打ち、前記状態が近くなければ何も打たないようにして得られるプロットであることを特徴とする。

0011

〔4〕上記〔2〕記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記ビット乱数は量子力学に従う機構を用いて生成することを特徴とする。

0012

〔5〕上記〔4〕記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記量子力学に従う機構はスピンの向きやコバルトガンマ線放射時間間隔であることを特徴とする。

0013

〔6〕上記〔2〕記載の正規分布に従う乱数発生機構において、前記ビット乱数は電子回路実装された一次元のカオス写像を用いて生成することを特徴とする。

図面の簡単な説明

0014

本発明の実施例を示す正規分布に従う乱数発生機構のブロック図である。
本発明に係るリカレンスプロットの一例を示す図である。
本発明に係るLorenzモデルを示す図である。
本発明に係るRosslerモデルを示す図である。
本発明に係る正規乱数のリカレンスプロットと、そのリカレンスプロットから生成される正規乱数の散布図と、その時系列と、そのヒストグラムを示す図である。
本発明によって生成した正規乱数の自己相関相互情報量を示す図である。
ビット乱数が周期的である場合における、本発明(実線)とBox−Muller法(破線)の自己相関を使って比較した図である。

発明を実施するための最良の形態

0015

本発明の正規分布に従う乱数発生機構は、ランダムなリカレンスプロットを生成するランダムリカレンスプロット生成機構と、このランダムリカレンスプロット生成機構からのランダムなリカレンスプロットを時系列に変換するリカレンスプロット時系列変換機構とを備え、このリカレンスプロット時系列変換機構により正規乱数を発生させる。

0016

以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。

0017

図1は本発明の実施例を示す正規分布に従う乱数発生機構のブロック図である。

0018

この図において、本発明の正規分布に従う乱数発生機構は、ランダムリカレンスプロット生成機構1とリカレンスプロット時系列変換機構4とからなる。ランダムリカレンスプロット生成機構1は、ビット乱数生成装置2とこのビット乱数生成装置2から発生されたビット乱数をリカレンスプロットとして蓄えるリカレンスプロット保存装置3とからなる。また、リカレンスプロット時系列変換機構4は、リカレンスプロット保存装置3からの情報によりグラフを生成するグラフ生成装置5と、このグラフ生成装置5からの情報により距離行列を生成する距離行列生成装置6と、この距離行列生成装置6からの情報により時系列を生成する時系列生成装置7を備えている。そして、この時系列生成装置7からは正規乱数が発生する。

0019

このように、本発明の正規分布に従う乱数発生機構は、ビット乱数生成装置2からの「0」又は「1」の情報により、全体として、ランダムなリカレンスプロットを作り、そのリカレンスプロットを時系列に変換する。

0020

リカレンスプロットとは、時系列を視覚化するのに使われる2次元の図である。2つの軸はどちらも時間軸である。対応する時間の組みにおいて、それぞれの時間に対応する状態が近いかどうかを調べ、もしも状態が近ければ、対応する平面上の場所に点を打つ。もしも状態が近くなければ、何も打たない。正規乱数のリカレンスプロットでは、点がランダムに分布する。そのため、ランダムなビット乱数を使うことで、正規乱数に対応するリカレンスプロットを生成することが可能である。

0021

ランダムリカレンスプロット生成機構1で生成されたリカレンスプロットはグラフ生成装置5でグラフに変換される。このグラフでは、各ノードと各時刻が対応する。もしも、2つの対応する時刻の状態が近い、つまり、対応するリカレンスプロットのところに点が打たれていれば、グラフ上の対応するノード同士をエッジで結ぶ。エッジは、各時刻に対応するリカレンスプロットの列に打たれている点を考慮しながら決める。次に、できあがったグラフ上で各ノード間の最短距離を計算する。この最短距離を多次元尺度法を用いて、実空間上の点を位置に変換することで、時系列に変換する。この得られた時系列が正規乱数になる。得られた時系列が正規分布になるのは、平均と分散による制約下で、時系列のエントロピー最大化したためである(非特許文献19参照)。

0022

本発明の正規分布に従う乱数発生機構では、リカレンスプロットがランダムなビット乱数で作られているため、得られた乱数に系列相関は存在しない。ビット乱数は、量子力学に従う機構、例えば、スピンの向きやコバルトのガンマ線放射の時間間隔、または、電子回路で実装された一次元のカオス写像を用いて生成できる。

0023

したがって、ランダムなリカレンスプロットを作り、それを時系列に戻すことで正規乱数を発生させることができる。

0024

以下、本発明の実施例について、詳細に説明する。

0025

まず、リカレンスプロットから元の時系列が復元できることを示す。

0026

J.P.Eckmann(非特許文献3参照)やN.Marwan(非特許文献4参照)によって導入されたリカレンスプロットは、m次元の状態空間Rm 内のダイナミクス記述する、2次元空間上に視覚化するための優れたツールである。

0027

時系列〔xi ∈Rm:i=1,2,…,n〕が与えられたとする。もし、xiとxjの間の距離があらかじめ決められた閾値εよりも小さいとき、(i,j)に点を打つ。つまり、リカレンスプロットRi,jはヘビサイト関数Θを用いて
Rij=Θ(ε−‖xi−xj‖)と定義できる。

0028

リカレンスプロット上で点が一様に分布している状態は定常であることを意味し、斜めの線は決定論性周期性特徴づける。リカレンスプロットは、例えば心拍の変化を調べるのに用いられてきた(非特許文献5参照)。また、リカレンスプロットを用いてダイナミックス定量化を試みた論文がある(非特許文献5−10参照)。特に、リカレンスプロットから相関エントロピーと相関次元が計算できる(非特許文献8及び9参照)。よって、リカレンスプロットには、元の時系列の多くの情報が含まれている。

0029

リカレンスプロットには、元の時系列の情報がどのくらい含まれているのかという点に関して、上記非特許文献11は、リカレンスプロットが1次元の時系列から1次元の状態空間を使って求められたとき、元の時系列が復元できることを示した。よって、この結果を多次元の状態空間を用いた場合に拡張できるかどうかが問題である。

0030

本発明では、リカレンスプロットが多次元の状態空間を用いて求められたとしても、元の時系列を復元できることを示す。2つの任意の点間の距離を表現する距離行列が与えられたとき、元の時系列が復元できることが知られている(非特許文献12参照)。

0031

距離行列を状態空間上の点に変換するのに、多次元尺度法(非特許文献12参照)を用いることもできる。よって、リカレンスプロットから距離行列を復元することができれば、元の時系列を再構築できる。

0032

まず、リカレンスプロットが与えられたと仮定する。Giはi行目に点が打たれる列の時間インデックス集合、つまり、Gi=(j:Ri,j=1)である。

0033

(1)まず、リカレンスプロットからグラフを作る。このグラフでは、それぞれのノードがそれぞれの時間インデックスに対応し、もしも2つの時間インデックスに対応する場所に点が打たれていれば、対応するノード間にエッジをつける。単純に説明するためにリカレンスプロットの時間インデックスを使って、グラフ上のノードを識別することにする。

0034

(3)グラフ上の任意の2つのノード間の最小距離を求める。この操作は、例えば、ダイクストラ法(非特許文献14参照)を用いて行うことができる。そして、距離行列を得る。ダイクストラ法は2つの都市間の最も短い行程探すのに広く用いられている。なお、別の方法を用いてもよい。

0035

(4)次に、多次元尺度法を上記(3)で得た距離行列に対して使う。本発明では、非特許文献15の方法を用いる。描画のため、得られた結果のうち最も大きな固有値の成分を選ぶ。なお、非特許文献15の多次元尺度法自体は、n次元の時系列を返す。大きな固有値の成分だけをプロットすることで、この方法は、例えば、タンパク質構造の視覚化(非特許文献16参照)に使われている。ここでは、非特許文献15以外の方法を用いてもよい。

0036

図2は本発明に係るリカレンスプロットから時系列を得るまでのリカレンスプロット時系列変換の一例を示す図である。

0037

まず、図2(a)に示されるリカレンスプロットが与えられていると仮定する。これから図2(b)に示されるグラフが作られる。例えば、1行目と2行目で点の打たれている例の集合を比較すると、和集合には5つの時間インデックスがあり、積集合には2つの時間インデックスがあるため、1と2の間のエッジには、重み1−(2/5)=0.6が割り当てられる。もし、各ノード間の距離を全て計算すると、次のような距離行列が得られる。

そして、多次元尺度法を用いて、図2(c)に示されるような時系列を得る。

0038

図3は本発明に係るLorenzモデルを示す図である。

0039

ここでは、x座標0.05単位時間ごとに観測し、長さ200の時系列を生成した〔図3(a)上〕。これを遅れ座標系〔x(t),x(t−0.05),x(t−0.1)〕を使って、埋め込んで〔2次元上への射影図3(b)に示す〕、リカレンスプロット〔図3(c)〕を得るための距離を計算した。ここではユークリッド距離を用い、リカレンスプロットの閾値を20%の時間インデックスの対がプロットされるように選んだ。この場合、得られた時系列と上下逆であるが〔図3(a)下〕、図3(e)に示された再構成されたアトラクタ図3(b)に示される元の時系列のアトラクタとよく似ている。埋め込み空間上での距離とグラフ上の距離の相関係数は、0.99である〔図3(d)〕。最大値ノルムを使ったときでも、似た結果を得た。

0040

ここではx座標を0.5単位時間おきに観測し、長さ200の時系列を生成した〔図4(a)上〕。そして時系列を遅れ座標系〔x(t),x(t−0.5),x(t−1)〕を使って埋め込み〔2次元上への射影を図4(b)に示す〕、図4(c)に示すリカレンスプロットをユークリッド距離と20%の時間インデックスの対が打たれるような閾値を使って得た。グラフ上の距離は、埋め込み時間上の距離とよく相関しており、相関係数は0.98である。再構成された時系列は上下逆である〔図4(a)下〕が、図4(e)に示す再構成されたアトラクタは図4(b)に示された元のアトラクタと位相幾何学的同値である。

0041

次に、最終的に得られる正規乱数について説明する。

0042

図5は本発明に係る正規乱数のリカレンスプロットと、そのリカレンスプロットから生成される正規乱数の散布図と、その時系列と、そのヒストグラムを示す図であり、図5(a)はMATLABのランダムによって生成された正規乱数のリカレンスプロットを、図5(b)は本発明によって生成された正規乱数の散布図を、図5(c)はその時系列を、図5(d)は本発明によって生成した正規乱数のヒストグラムをそれぞれ示している。このヒストグラムを得るのに、長さ1000の100個の正規乱数を提案する方法を用いて作った。

0043

正規分布に従う系列のリカレンスプロットでは、図5(a)に示すように、点が一様に、また、ランダムに広がる。正規分布に従う乱数は、時系列のエントロピーを最大化するので、リカレンスプロットのエントロピーも最大化する。「エントロピー」という言葉はリカレンスプロットを定量化するのによく使われるが、本発明では、単純にリカレンスプロットに含まれている情報の内容を意味している。情報の内容は、リカレンスプロット中の(n−1)(n−2)/2個の自由なビットである。エントロピーを最大化する目的のためには、これらのビットをコイン投げで決めることもできる。コイン投げをする代わりに、以下の例では、ロジスティック写像yt+1=4yt(1−yt)を用いる。つまり、もしyt<0.5であれば、Yt=0とし、そうでなければ、Yt=1とし、

と決める。このようにして作られた記号列は、無記憶なランダムな2値列(非特許文献20参照)とみなすことができる。

0044

図6は本発明によって生成した正規乱数の自己相関と相互情報量を示す図であり、図6(a)は本発明によって生成した正規乱数の自己相関を、図6(b)はその相互情報量をそれぞれ示している。

0045

上記した方法を用いることで、正規分布に従う乱数のリカレンスプロットを得ることができる。このとき、図5(c)に示される時系列を得る。ここで時系列の平均が0、標準偏差が1になるように変更した。図5(b)に示すように、生成された正規分布の散布図には際立ったパターンがない。この時系列には、異なる時間インデックス間の相関がない。ある遅れだけ時間的に離れた点間の自己相関や相互情報量は平らで、有益な情報を示していない(図6参照)。コルモゴロフ−スミルノフテスト(非特許文献1参照)では、この得られた時系列の累積分布と正規分布の累積分布との区別がつかない。図5(d)で使われた全ての点を用いるとき、p値は0.33となった。

0046

非特許文献15の多次元尺度法は、主成分分析と密接な関係があり、独立な成分を返す。また、長さnの時系列からn次元の時系列が得られ、各次元の成分は正規分布に従う。リカレンスプロットの自由度がn(n−1)/2であることを考えると、最初の(n−1)/2次元が独立であると考えられる。つまり、本発明では、n(n−1)/2ビットのランダムなビット乱数からn(n−1)/2個の正規乱数が得られる。また、得られる正規乱数の精度は、グラフの重み割り当ての精度に依存するため、log2nビットである。n(n−1)/2ビットのランダムなビット乱数とBox−Muller法を用いてlog2nビット精度の正規乱数を作る場合、たかだかn(n−1)/(2log2n)個の正規乱数が得られる程度である。Box−Muller法では使ったビット乱数を再利用してより多くの正規乱数を発生させることができると考えられるが、再利用の方法を決定論的に決めれば秘匿性に問題ができ、確率論的に決めればさらにランダムなビット乱数を必要とするため、再利用するのは適切な方法ではない。つまり、nが2以上のとき、本発明の方が、既存の方法の組み合わせで考えられる方法よりも、より多くの正規乱数を生成することができる。

0047

本発明は、ランダムなビットの生成機構の性能に依存する。ビットがランダムに生成されさえすれば、本発明は、無限次元確率過程に従う系を利用して、正規分布に従う乱数を生成しているとみなすことができる。これは、過去から将来の値が予測できないことを意味する。

0048

本発明を利用すれば、ビットの生成機構の性能が悪い場合でも、既存の方法よりもより性能の良い疑似正規乱数を生成することができる。2つの方法の違いを強調する究極的な例として、16ビットのビット乱数列を繰り返し使用し、6ビットの精度で疑似正規乱数を生成する場合を考える。生成した疑似正規乱数から求めた自己相関関数図7に示す。図7において、実線は本発明の結果、破線はBox−Muller法を使った場合の結果を示している。(図7に示した自己相関関数は100回の試行の平均)Box−Muller法では、この場合、周期16の系列になってしまうため、自己相関が遅れ16のところで1になってしまう。それに対して、本発明の方法として、大きさ64のリカレンスプロットを使う場合、遅れ16のところで相関が大きくなるが、Box−Muller法に比べて小さい。つまり、本発明は、既存の方法よりもより高い品質の疑似正規乱数を期待できる。

0049

本発明によれば、系列相関が発生しない正規分布に従う乱数を発生させることができる。

0050

なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。

0051

本発明の正規分布に従う乱数発生機構は、系列相関が発生しない正規乱数を生成することができるツールとして利用可能である。

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