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技術 受音装置、指向特性導出方法、指向特性導出装置及びコンピュータプログラム

出願人 富士通株式会社
発明者 早川昭二
出願日 2007年8月3日 (14年2ヶ月経過) 出願番号 2009-526276
公開日 2010年10月28日 (10年11ヶ月経過) 公開番号 WO2009-019748
状態 特許登録済
技術分野 可聴帯域変換器の細部(特性を得るもの) 可聴帯域変換器用回路 可聴帯域変換器の回路等 電話機の構造 電話機の回路等 電話機の機能
主要キーワード 導出装置 アンチエイリアジングフィルタ 位相差スペクトル 折り返し誤差 受音装置 抑制係数 到達経路 受音面
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課題・解決手段

複数方向から到来する音を受音することが可能な複数の受音部を配設した筐体10を備える受音装置1において、無指向性の主受音部11と、所定の方向以外の方向から到来する音に対して、主受音部11が受音する時点より所定時間以上早く受音する位置に配設された副受音部12とを備え、受音した音に対して、副受音部12が受音した時点に対する主受音部11が受音した時点の時間差遅延時間として算出し、算出した遅延時間が、基準時間以上である場合に主受音部11が受音した音の抑制及び/又は基準時間未満である場合に主受音部11が受音した音の強調を行う。

概要

背景

マイクロホンを配設した携帯電話等の受音装置において、話者の口方向に対してのみ指向性を有する様に設計する場合、指向性マイクロホンを使用する必要がある。また指向性マイクロホンを含む複数のマイクロホンを筐体に配設して同期減算等の信号処理により強い指向性を実現する受音装置が開発されている。

例えば特許文献1には、指向性マイクロホン及び無指向性マイクロホンを組み合わせたマイクロホンアレイを搭載し、筐体の前面に当たる口方向の指向性を強くした携帯電話が開示されている。

また特許文献2では、指向性マイクロホンを筐体の前面に配設し、更に筐体の底面に指向性マイクロホンを配設して、底面の指向性マイクロホンにて受音した口方向以外から到来する雑音を、正面の指向性マイクロホンが受音した音から減じることにより、口方向の指向性を強くした装置が開示されている。
米国特許出願公開第2003/0044025号明細書
特開平08—256196号公報

概要

複数方向から到来する音を受音することが可能な複数の受音部を配設した筐体10を備える受音装置1において、無指向性の主受音部11と、所定の方向以外の方向から到来する音に対して、主受音部11が受音する時点より所定時間以上早く受音する位置に配設された副受音部12とを備え、受音した音に対して、副受音部12が受音した時点に対する主受音部11が受音した時点の時間差遅延時間として算出し、算出した遅延時間が、基準時間以上である場合に主受音部11が受音した音の抑制及び/又は基準時間未満である場合に主受音部11が受音した音の強調を行う。

目的

本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、無指向性の主受音部と、所定の方向以外の方向から到来する音に対して、主受音部が受音する時点より所定時間以上早く受音する位置に配設された副受音部とを筐体に配設し、受音した音に対して、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出し、算出した遅延時間が、基準時間以上である場合に主受音部が受音した音の抑制及び/又は基準時間未満である場合に主受音部が受音した音の強調を行うことにより、筐体の背面に開口部の穿設又は受音部の配設を行うことなく指向特性を維持することが可能な受音装置、該受音装置の指向特性を導出する指向特性導出方法、該指向特性導出方法を適用した指向特性導出装置、及び該指向特性導出装置を実現するためのコンピュータプログラムの提供を目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

複数方向から到来する音を受音することが可能な複数の無指向性の受音部を配設した筐体を備える受音装置であって、少なくとも一つの主受音部と、所定の方向以外の方向から到来する音に対して、主受音部が受音する時点より所定時間以上早く受音する位置に配設された少なくとも一つの副受音部と、受音した音に対して、所定の副受音部が受音した時点に対する所定の主受音部が受音した時点の時間差遅延時間として算出する算出手段と、算出した遅延時間が、基準時間以上である場合に前記所定の主受音部が受音した音の抑制及び/又は基準時間未満である場合に前記所定の主受音部が受音した音の強調を行う抑制強調手段とを備えることを特徴とする受音装置。

請求項2

前記筐体は、主受音部を配設した一つの受音面と、該受音面に接した接面とを備え、該接面に副受音部を配設してあることを特徴とする請求項1に記載の受音装置。

請求項3

前記筐体は、前記主受音部及び副受音部を配設した一つの受音面を備え、前記副受音部は、前記受音面の縁部までの最短距離が、前記主受音部より短い位置に配設されてあることを特徴とする請求項1に記載の受音装置。

請求項4

前記強調抑制手段は、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の差を示す遅延時間が最大となる場合に、主受音部が受音した音を強調する様に又は主受音部が受音した音を抑制しない様に構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の受音装置。

請求項5

携帯電話に組み込まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の受音装置。

請求項6

前記携帯電話は、音声通信、又は映像及び音声通信を行う様に構成してあり、音声通信と、映像及び音声通信とを切り替え切替手段と、該切替手段による切り替えに応じて前記抑制強調手段の基準時間に係る値を変更する手段とを更に備えることを特徴とする請求項5に記載の受音装置。

請求項7

受音装置の筐体に配設する複数の無指向性の受音部の配設位置及び指向特性の関係を導出する指向特性導出装置を用いた指向特性導出方法であって、前記指向特性導出装置は、受音装置の筐体の三次元形状を示す情報を受け付けるステップと、筐体に配設された無指向性の主受音部の配設位置を示す情報を受け付けるステップと、筐体に配設された無指向性の副受音部の配設位置を示す情報を受け付けるステップと、到来する音の方向を示す情報を受け付けるステップと、到来する音が筐体に到達した場合に、筐体に沿った複数の経路で主受音部及び副受音部に到達すると仮定して、主受音部及び副受音部までの各経路の経路長を、音の複数の到来方向について算出するステップと、算出した各経路長に基づき、各経路にて主受音部又は副受音部に到達した各音は、合成された一つの音として到達すると仮定した場合の到達に要する時間を算出するステップと、算出した到達に要する時間に基づき、各到来方向について、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出するステップと、算出した遅延時間及び到来方向の関係に基づいて、指向特性を導出するステップと、導出した指向特性を、主受音部及び副受音部の配設位置に対応付けて記録するステップとを実行することを特徴とする指向特性導出方法。

請求項8

受音装置の筐体に配設する複数の無指向性の受音部の配設位置及び指向特性の関係を導出する指向特性導出装置であって、受音装置の筐体の三次元形状を示す情報を受け付ける手段と、筐体に配設された無指向性の主受音部の配設位置を示す情報を受け付ける手段と、筐体に配設された無指向性の副受音部の配設位置を示す情報を受け付ける手段と、到来する音の方向を示す情報を受け付ける手段と、到来する音が筐体に到達した場合に、筐体に沿った複数の経路で主受音部及び副受音部に到達すると仮定して、主受音部及び副受音部までの各経路の経路長を、音の複数の到来方向について算出する手段と、算出した各経路長に基づき、各経路にて主受音部又は副受音部に到達した各音は、合成された一つの音として到達すると仮定した場合の到達に要する時間を算出する手段と、算出した到達に要する時間に基づき、各到来方向について、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出する手段と、算出した遅延時間及び到来方向の関係に基づいて、指向特性を導出する手段と、導出した指向特性を、主受音部及び副受音部の配設位置に対応付けて記録する手段とを備えることを特徴とする指向特性導出装置。

請求項9

コンピュータに、受音装置の筐体に配設する複数の無指向性の受音部の配設位置及び指向特性の関係を導出させるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、受音装置の筐体の三次元形状を示す情報、筐体に配設された無指向性の主受音部の配設位置を示す情報、筐体に配設された無指向性の副受音部の配設位置を示す情報、及び到来する音の方向を示す情報を記録させる手順と、コンピュータに、到来する音が筐体に到達した場合に、筐体に沿った複数の経路で主受音部及び副受音部に到達すると仮定して、主受音部及び副受音部までの各経路の経路長を、音の複数の到来方向について算出させる手順と、コンピュータに、算出した各経路長に基づき、各経路にて主受音部又は副受音部に到達した各音は、合成された一つの音として到達すると仮定した場合の到達に要する時間を算出させる手順と、コンピュータに、算出した到達に要する時間に基づき、各到来方向について、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出させる手順と、コンピュータに、算出した遅延時間及び到来方向の関係に基づいて、指向特性を導出させる手順と、コンピュータに、導出した指向特性を、主受音部及び副受音部の配設位置に対応付けて記録させる手順とを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

技術分野

0001

本発明は、複数方向から到来する音を受音することが可能な複数の受音部を配設した筐体を備える受音装置、該受音装置の指向特性導出する指向特性導出方法、該指向特性導出方法を適用した指向特性導出装置、及び該指向特性導出装置を実現するためのコンピュータプログラムに関し、特に目的とする方向から到来する音の強調及び/又は目的とする方向以外から到来する音の抑制に適用することが可能な受音装置、指向特性導出方法、指向特性導出装置及びコンピュータプログラムに関する。

背景技術

0002

マイクロホンを配設した携帯電話等の受音装置において、話者の口方向に対してのみ指向性を有する様に設計する場合、指向性マイクロホンを使用する必要がある。また指向性マイクロホンを含む複数のマイクロホンを筐体に配設して同期減算等の信号処理により強い指向性を実現する受音装置が開発されている。

0003

例えば特許文献1には、指向性マイクロホン及び無指向性マイクロホンを組み合わせたマイクロホンアレイを搭載し、筐体の前面に当たる口方向の指向性を強くした携帯電話が開示されている。

0004

また特許文献2では、指向性マイクロホンを筐体の前面に配設し、更に筐体の底面に指向性マイクロホンを配設して、底面の指向性マイクロホンにて受音した口方向以外から到来する雑音を、正面の指向性マイクロホンが受音した音から減じることにより、口方向の指向性を強くした装置が開示されている。
米国特許出願公開第2003/0044025号明細書
特開平08—256196号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら筐体の前面に指向性を有する指向性マイクロホンを配設する場合、指向性マイクロホンの構造上、筐体の背面に開口部を穿設する必要があるが、受音装置が携帯電話である場合、携帯電話の所持者は、携帯電話を握る様にして保持する可能性が高いため、開口部が塞がれ、十分な指向性が得られないという問題がある。また口方向以外から到来する雑音を受音すべく筐体の背面にマイクロホンを配設した場合も同様の問題が生じる。

0006

本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、無指向性の主受音部と、所定の方向以外の方向から到来する音に対して、主受音部が受音する時点より所定時間以上早く受音する位置に配設された副受音部とを筐体に配設し、受音した音に対して、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差遅延時間として算出し、算出した遅延時間が、基準時間以上である場合に主受音部が受音した音の抑制及び/又は基準時間未満である場合に主受音部が受音した音の強調を行うことにより、筐体の背面に開口部の穿設又は受音部の配設を行うことなく指向特性を維持することが可能な受音装置、該受音装置の指向特性を導出する指向特性導出方法、該指向特性導出方法を適用した指向特性導出装置、及び該指向特性導出装置を実現するためのコンピュータプログラムの提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0007

第1発明に係る受音装置は、複数方向から到来する音を受音することが可能な複数の無指向性の受音部を配設した筐体を備える受音装置であって、少なくとも一つの主受音部と、所定の方向以外の方向から到来する音に対して、主受音部が受音する時点より所定時間以上早く受音する位置に配設された少なくとも一つの副受音部と、受音した音に対して、所定の副受音部が受音した時点に対する所定の主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出する算出手段と、算出した遅延時間が、基準時間以上である場合に前記所定の主受音部が受音した音の抑制及び/又は基準時間未満である場合に前記所定の主受音部が受音した音の強調を行う抑制強調手段とを備えることを特徴とする。

0008

第2発明に係る受音装置は、第1発明において、前記筐体は、主受音部を配設した一つの受音面と、該受音面に接した接面とを備え、該接面に副受音部を配設してあることを特徴とする。

0009

第3発明に係る受音装置は、第1発明において、前記筐体は、前記主受音部及び副受音部を配設した一つの受音面を備え、前記副受音部は、前記受音面の縁部までの最短距離が、前記主受音部より短い位置に配設されてあることを特徴とする。

0010

第4発明に係る受音装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記強調抑制手段は、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の差を示す遅延時間が最大となる場合に、主受音部が受音した音を強調する様に又は主受音部が受音した音を抑制しない様に構成してあることを特徴とする。

0011

第5発明に係る受音装置は、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、携帯電話に組み込まれていることを特徴とする。

0012

第6発明に係る受音装置は、第5発明において、前記携帯電話は、音声通信、又は映像及び音声通信を行う様に構成してあり、音声通信と、映像及び音声通信とを切り替え切替手段と、該切替手段による切り替えに応じて前記抑制強調手段の基準時間に係る値を変更する手段とを更に備えることを特徴とする。

0013

第7発明に係る指向特性導出方法は、受音装置の筐体に配設する複数の無指向性の受音部の配設位置及び指向特性の関係を導出する指向特性導出装置を用いた指向特性導出方法であって、前記指向特性導出装置は、受音装置の筐体の三次元形状を示す情報を受け付けるステップと、筐体に配設された無指向性の主受音部の配設位置を示す情報を受け付けるステップと、筐体に配設された無指向性の副受音部の配設位置を示す情報を受け付けるステップと、到来する音の方向を示す情報を受け付けるステップと、到来する音が筐体に到達した場合に、筐体に沿った複数の経路で主受音部及び副受音部に到達すると仮定して、主受音部及び副受音部までの各経路の経路長を、音の複数の到来方向について算出するステップと、算出した各経路長に基づき、各経路にて主受音部又は副受音部に到達した各音は、合成された一つの音として到達すると仮定した場合の到達に要する時間を算出するステップと、算出した到達に要する時間に基づき、各到来方向について、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出するステップと、算出した遅延時間及び到来方向の関係に基づいて、指向特性を導出するステップと、導出した指向特性を、主受音部及び副受音部の配設位置に対応付けて記録するステップとを実行することを特徴とする。

0014

第8発明に係る指向特性導出装置は、受音装置の筐体に配設する複数の無指向性の受音部の配設位置及び指向特性の関係を導出する指向特性導出装置であって、受音装置の筐体の三次元形状を示す情報を受け付ける手段と、筐体に配設された無指向性の主受音部の配設位置を示す情報を受け付ける手段と、筐体に配設された無指向性の副受音部の配設位置を示す情報を受け付ける手段と、到来する音の方向を示す情報を受け付ける手段と、到来する音が筐体に到達した場合に、筐体に沿った複数の経路で主受音部及び副受音部に到達すると仮定して、主受音部及び副受音部までの各経路の経路長を、音の複数の到来方向について算出する手段と、算出した各経路長に基づき、各経路にて主受音部又は副受音部に到達した各音は、合成された一つの音として到達すると仮定した場合の到達に要する時間を算出する手段と、算出した到達に要する時間に基づき、各到来方向について、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出する手段と、算出した遅延時間及び到来方向の関係に基づいて、指向特性を導出する手段と、導出した指向特性を、主受音部及び副受音部の配設位置に対応付けて記録する手段とを備えることを特徴とする。

0015

第9発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、受音装置の筐体に配設する複数の無指向性の受音部の配設位置及び指向特性の関係を導出させるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、受音装置の筐体の三次元形状を示す情報、筐体に配設された無指向性の主受音部の配設位置を示す情報、筐体に配設された無指向性の副受音部の配設位置を示す情報、及び到来する音の方向を示す情報を記録させる手順と、コンピュータに、到来する音が筐体に到達した場合に、筐体に沿った複数の経路で主受音部及び副受音部に到達すると仮定して、主受音部及び副受音部までの各経路の経路長を、音の複数の到来方向について算出させる手順と、コンピュータに、算出した各経路長に基づき、各経路にて主受音部又は副受音部に到達した各音は、合成された一つの音として到達すると仮定した場合の到達に要する時間を算出させる手順と、コンピュータに、算出した到達に要する時間に基づき、各到来方向について、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出させる手順と、コンピュータに、算出した遅延時間及び到来方向の関係に基づいて、指向特性を導出させる手順と、コンピュータに、導出した指向特性を、主受音部及び副受音部の配設位置に対応付けて記録させる手順とを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

0016

第1発明及び第5発明では、無指向性の主受音部が配設された筐体に、所定の方向以外の方向から到来する音に対して、主受音部が受音する時点より所定時間以上早く受音する位置に副受音部を配設し、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差である遅延時間に基づいて、例えば所定の方向以外の方向から到来する音を抑制することができるので、無指向性の受音部にて所望の指向特性を形成させることが可能となり、単体で指向性を有する受音部を用いる必要がないので、筐体の背面に開口部を穿設する必要が無く、従って受音装置の保持者が開口部を塞ぐ可能性を低減して、安定した指向特性を維持することが可能である。また指向性の受音部を用いる必要がないため受音部に要する費用を低減することが可能である。

0017

特に第2発明では、副受音部を底面、側面等の接面に配設することにより、また第3発明では、副受音部を受音面の縁部に配設することにより、受音面以外の方向から到来する音は、筐体を回り込んで受音面に配設された主受音部に到達するのに対し、縁部又は接面に配設された副受音部へは、直線的に到達することになる。このため受音面の方向以外の方向、例えば背面の方向から到来する音に対しては、受音面の方向から到来する音よりも大きな時間差を生じさせることができるため、受音面の方向から到来する音に係る時間差と、受音面の方向以外の方向から到来する音に係る時間差との差を大きくすることができるので、到来方向を高精度に判定し、到来方向に基づく音の抑制又は強調を行うことで指向性を明確にすることが可能である。また受音部を必ずしも背面に配設する必要がないので、受音装置の保持者が受音部を塞ぐ可能性を低減し、安定した指向性を維持することが可能である。

0018

第4発明では、遅延時間が最大となる方向に指向性を向けることが可能である。

0019

第6発明では、テレビ電話として用いる場合等の使用方法に応じて指向特性を変更することが可能である。

0020

第7発明乃至第9発明では、音の到達経路を仮定したシミュレーションを行うことにより、主受音部及び副受音部の配設位置に基づく指向特性を導出することが可能であり、従って音の到来方向を特定する上で受音部の好ましい配置を導出し、所望の指向特性を実現することが可能である。

発明の効果

0021

本発明に係る受音装置は、無指向性の主受音部と、所定の方向以外の方向から到来する音に対して、主受音部が受音する時点より所定時間以上早く受音する位置に配設された無指向性の副受音部とを筐体に配設し、受音した音に対して、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出し、算出した遅延時間が、基準時間以上である場合に主受音部が受音した音の抑制及び/又は基準時間未満である場合に主受音部が受音した音の強調を行う。具体的には、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出し、遅延時間が所定時間以上である場合に、特定の方向以外から到来する音と見なして主受音部が受音した音を抑制する。即ち主受音部及び副受音部を、特定の方向以外の方向から到来する音の遅延時間が所定時間以上となる様に配設する。そしてこの様な配設位置及び処理により、特定の方向に指向性が強い指向特性を実現する。

0022

この構成により、本発明では、所望する指向特性の実現に際し、単体で指向性を有する受音部を用いる必要がないので、筐体の背面に開口部を穿設する必要が無く、従って受音装置の保持者が開口部を塞ぐ可能性を低減して、安定した指向性を維持することが可能である等、優れた効果を奏する。また指向性の受音部を用いる必要がないため受音部に要する費用を低減することが可能である等、優れた効果を奏する。

0023

そして本発明の受音装置は、主受音部が受音した音に対し、所定の方向から到来する音として特定した音の強調及び/又は所定の方向以外から到来する音として特定した音の抑制を行うことにより、主受音部が主に受音する話者が発する声等の特定の方向から到来する音を強調し、それ以外の方向から到来する音を雑音として抑制することができるので、話者が発する声等の特定の方向からの音が明確になる様に出力することが可能である等、優れた効果を奏する。

0024

また本発明に係る受音装置は、受音面以外の底面、側面等の接面に副受音部を配設することにより、受音面の反対となる背面方向等の受音面以外の方向から到来する音は、筐体を回り込んで受音面に配設された主受音部に到達するのに対し、接面に配設された副受音部へは直線的に到達することになる。従って受音面の反対となる背面方向等の受音面以外の方向から到来する音に対して主受音部及び副受音部に到達する時点に所定時間以上の時間差が発生する様にして、時間差に基づく音の抑制又は強調を行うことで指向特性を明確にすることが可能である等、優れた効果を奏する。また受音部を背面に配設する必要が無いので、受音装置の保持者が受音部を塞ぐ可能性を低減し、安定した指向性を維持することが可能である等、優れた効果を奏する。

0025

さらに本発明に係る受音装置は、話者に面した受音面に主受音部を配設し、副受音部を、受音面の縁部までの最短距離が、主受音部より短い位置に配設することにより、即ち副受音部を受音面の縁部又はその近傍に配設することにより、受音面の反対となる背面方向等の受音面以外の方向から到来する音は、筐体を回り込んで受音面に配設された主受音部及び副受音部に到達するが、その際、副受音部に到達するまでの経路の方が短くなる。このため受音面以外の方向から到来する音に対しては、受音面の方向から到来する音よりも大きな時間差を生じさせることができるため、受音面方向から到来する音に係る時間差と、受音面以外の方向から到来する音に係る時間差との差を大きくすることができるので、時間差に基づく音の抑制又は強調を行うことで指向特性を明確にすることが可能である等、優れた効果を奏する。また受音部を背面に配設する必要が無いので、受音装置の保持者が受音部を塞ぐ可能性を低減し、安定した指向特性を維持することが可能である等、優れた効果を奏する。

0026

さらに本発明の受音装置は、映像及び音声通信を行うテレビ電話モード等の発話形態が異なるモードに切り替わった場合に、基準値を変更することにより、例えば筐体に口を近付けて話す発話形態のモードでは指向方向絞り、筐体を見ながら話す発話形態のモードでは指向方向を広くするという様に、指向特性を変更することが可能である等、優れた効果を奏する。

0027

本発明の指向特性導出方法、指向特性導出装置及びコンピュータプログラムは、到来する音が筐体に到達した場合に、筐体に沿った複数の経路で主受音部及び副受音部に到達すると仮定して、主受音部及び副受音部までの各経路の経路長を、音の複数の到来方向について算出し、算出した各経路長に基づき、各経路にて主受音部又は副受音部に到達した各音は、合成された一つの音として到達すると仮定した場合の到達に要する時間を算出し、算出した到達に要する時間に基づき、各到来方向について、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差を遅延時間として算出し、算出した遅延時間及び到来方向の関係に基づいて、指向特性を導出する。

0028

この構成により、本発明では、主受音部及び副受音部の配設位置に基づいて、音の到来方向と、音の到達に係る時間差の関係とを導出し、到来方向と時間差との関係から指向特性を導出することができるので、例えば各受音部に到達する音の時間差に基づいて音を抑制又は強調する受音装置について、受音部の配設位置に対する音の到来方向及び時間差の関係の導出に適用することが可能であり、従って指向性を有する受音装置の設計に際し、所望する指向特性に応じた受音部の好ましい配置を導出することが可能である等、優れた効果を奏する。

図面の簡単な説明

0029

本発明の実施の形態1に係る受音装置の概要を示す説明図である。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の外形の一例を示す三面図である。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の大きさの一例を示す図表である。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の構成例を示すブロック図である。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の位相差スペクトルの一例を示すグラフである。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の抑制係数の一例を示すグラフである。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の処理の一例を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の指向特性の測定環境の概要を示す説明図である。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の水平方向の指向特性の測定結果である。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の垂直方向の指向特性の測定結果である。
本発明の実施の形態1に係る受音装置の外形の一例を示す三面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置に対して仮定する音信号の到達経路の一例を示す斜視図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置に対して仮定する音信号の到達経路の一例を示す上面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置及び仮想平面の0≦θ<π/2における位置関係概念的に示す上面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置及び仮想平面のπ/2≦θ<πにおける位置関係を概念的に示す上面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置及び仮想平面のπ≦θ<3π/2における位置関係を概念的に示す上面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置及び仮想平面の3π/2≦θ<2πにおける位置関係を概念的に示す上面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置の水平方向の指向特性を示すレーダーチャートである。
本発明の実施の形態2に係る受音装置の水平方向の指向特性を示すレーダーチャートである。
本発明の実施の形態2に係る受音装置及び仮想平面の0≦θ<π/2における位置関係を概念的に示す側面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置及び仮想平面のπ/2≦θ<πにおける位置関係を概念的に示す側面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置及び仮想平面のπ≦θ<3π/2における位置関係を概念的に示す側面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置及び仮想平面の3π/2≦θ<2πにおける位置関係を概念的に示す側面図である。
本発明の実施の形態2に係る受音装置の垂直方向の指向特性を示すレーダーチャートである。
本発明の実施の形態2に係る指向特性導出装置の構成例を示すブロック図である。
本発明の実施の形態2に係る指向特性導出装置の処理を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態3に係る受音装置の構成例を示すブロック図である。
本発明の実施の形態3に係る受音装置の処理の一例を示すフローチャートである。

符号の説明

0030

1受音装置
10筐体
11 主受音部
12 副受音部
5指向特性導出装置
500 コンピュータプログラム

発明を実施するための最良の形態

0031

以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。

0032

実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る受音装置の概要を示す説明図である。受音装置1は、図1に示す様に直方体状の筐体10を備えている。筐体10の正面は、話者が発する音声を受音すべく無指向性のマイクロホン等の主受音部11が配設された受音面となっている。また正面(受音面)に接する接面の一つである底面には、無指向性のマイクロホン等の副受音部12が配設されている。

0033

受音装置1に対しては様々な方向から音が到来しており、例えば到来方向D1として示した筐体10の正面方向から到来する音は、主受音部11及び副受音部12に直線的に到達する。従って副受音部12への到達時点に対する主受音部11への到達時点の時間差を示す遅延時間τ1は、正面と底面に配設された奥行きの距離に応じた時間差をとる。

0034

また例えば到来方向D2として示した筐体10の正面の斜め上方から到来する音は、主受音部11に対しては直線的に到達するが、副受音部12に対しては、筐体10に到達後、底面に回り込んでから到達する。従って主受音部11に到達する経路の経路長より、副受音部12に到達する経路の経路長の方が長くなるため、副受音部12への到達時点に対する主受音部11への到達時点の時間差を示す遅延時間τ2は、負の値をとる。

0035

さらに例えば到来方向D3として示した筐体10の背面方向から到来する音は、主受音部11に対しては、筐体10に沿って回折し、正面に回り込んでから到達するのに対し、副受音部12に対しては直線的に到達する。従って主受音部11に到達する経路の経路長より、副受音部12に到達する経路の経路長の方が短くなるため、副受音部12への到達時点に対する主受音部11への到達時点の時間差を示す遅延時間τ3は、正の値をとる。本発明の受音装置1は、この様な時間差に基づいて特定の方向以外から到来する音の抑制を行うことにより、指向性を有する受音装置1を実現する。

0036

図2は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の外形の一例を示す三面図であり、図3は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の大きさの一例を示す図表である。図2(a)が正面図、図2(b)が側面図、そして図2(c)が底面図を示している。図3には、図2に示した受音装置1の大きさ並びに主受音部11及び副受音部12の配設位置を示している。図2及び図3に示す様に主受音部11は、受音装置1の筐体10の正面の下方右よりの位置に配設されており、主受音部11の配設位置には主受音部11が受音するための開口部11aが穿設されている。即ち話者が一般的な保持方法にて受音装置1を保持した場合に、話者の口元に主受音部11が接近する様にした設計である。また副受音部12は、受音装置1の筐体10の底面に配設されており、副受音部12の配設位置には副受音部12が受音するための開口部12aが穿設されている。なお話者が一般的な保持方法にて受音装置1を保持した場合、話者の手により開口部12aが覆われることはない。

0037

次に受音装置1の内部構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の構成例を示すブロック図である。受音装置1は、装置全体を制御するCPU等の制御部13と、制御部13の制御により実行されるコンピュータプログラム及び各種データ等の情報を記録するROM、RAM等の記録部14と、通信インタフェースとなるアンテナ及びその付属機器等の通信部15とを備えている。また受音装置1は、無指向性のマイクロホンを用いた前述の主受音部11及び副受音部12と、音出力部16と、音信号の変換処理を行う音変換部17とを備えている。なおここでは主受音部11及び副受音部12の2の受音部を用いる構成を例示しているが、3以上の受音部を用いる様にしても良い。音変換部17による変換処理とは、主受音部11及び副受音部12が受音したアナログ信号である音信号をデジタル信号に変換する処理である。さらに受音装置1は、英数字及び各種命令等のキー入力による操作を受け付ける操作部18と、各種情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示部19とを備えている。

0038

図5は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。本発明の受音装置1は、主受音部11及び副受音部12と、音信号受付手段140と、信号変換手段141と、位相差分算出手段142と、抑制係数算出手段143と、振幅算出手段144と、信号補正手段145と、信号復元手段146と、通信部15とを備えている。なお音信号受付手段140、信号変換手段141、位相差分算出手段142、抑制係数算出手段143、振幅算出手段144、信号補正手段145及び信号復元手段146は、記録部14内に記録された各種コンピュータプログラムを制御部13にて実行することにより実現されるソフトウェアとしての機能を示しているが、各種処理チップ等の専用ハードウェアを用いて実現する様にしても良い。

0039

主受音部11及び副受音部12は、アナログ信号として音信号を受け付け、音変換部17にてデジタル信号に変換した際の折り返し誤差エイリアジング)を防止すべく、LPF(Low Pass Filter )によるアンチエイリアジングフィルタ処理を行った後、デジタル信号に変換し、音信号受付手段140に渡す。音信号受付手段140は、デジタル信号に変換された音信号を受け付け、信号変換手段141へ渡す。信号変換手段141は、受け付けた夫々の音信号から処理の単位となる所定時間長フレームを夫々生成し、FFT高速フーリエ変換:Fast Fourier Transformation)処理にて周波数軸上の信号である複素スペクトルに夫々変換する。なお以降の説明において、角周波数ωを用い、主受音部11が受音した音を変換した複素スペクトルをINm(ω)、副受音部12が受音した音を変換した複素スペクトルをINs(ω)として示す。

0040

位相差分算出手段142は、副受音部12が受音した音の複素スペクトルINs(ω)に対する主受音部11が受音した音の複素スペクトルINm(ω)の位相差を、位相差スペクトルφ(ω)として角周波数毎に算出する。位相差スペクトルφ(ω)は、副受音部12が受音した時点に対する主受音部11が受音した時点の遅延時間を示す角周波数毎の時間差であり、単位としてはラジアンを用いる。

0041

抑制係数算出手段143は、位相差分算出手段142が算出した位相差スペクトルφ(ω)に基づいて抑制係数gain(ω)を各周波数毎に算出する。

0042

振幅算出手段144は、主受音部11が受音した音を変換した複素スペクトルINm(ω)の振幅スペクトル|INm(ω)|の値を算出する。

0043

信号補正手段145は、振幅算出手段144にて算出した振幅スペクトル|INm(ω)|に、抑制係数算出手段143にて算出した抑制係数gain(ω)を乗じる。

0044

信号復元手段146は、信号補正手段145にて抑制係数gain(ω)を乗じた振幅スペクトル|INm(ω)|と位相差を示す情報を用いてIFFT(逆フーリエ変換)処理にて時間軸上の音信号に戻し、フレーム単位の音信号を再合成して、デジタルの時間信号系列にする。この信号を通信に必要な符号化を行った後、通信部15のアンテナから送信する。

0045

次に本発明の実施の形態1に係る受音装置1の指向性について説明する。図6は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の位相差スペクトルφ(ω)の一例を示すグラフである。図6は、位相差分算出手段142が算出した位相差スペクトルφ(ω)について、横軸周波数(Hz)をとり、縦軸に位相差(rad)をとってその関係を示している。位相差スペクトルφ(ω)は、主受音部11及び副受音部12が受音した音の時間差を周波数別に表したものであり、理想的な環境であれば、位相差スペクトルφ(ω)は、図6に示すグラフの原点を通る直線となり、到達時間差、即ち音の到来方向によって傾きが変わる。

0046

図6(a)は、受音装置1の筐体10の正面(受音面)方向から到来する音の位相差スペクトルφ(ω)であり、図6(b)は、筐体10の背面方向から到来する音の位相差スペクトルφ(ω)である。図1乃至図3にて示した様に主受音部11が受音装置1の筐体10の正面に配設され、副受音部12が筐体10の底面に配設されている場合、正面方向、特に正面の斜め上方から到来する音の位相差スペクトルφ(ω)は負の傾きを示す。また正面方向以外の方向、例えば背面方向から到来する音の位相差スペクトルφ(ω)は正の傾きを示す。筐体10の正面の斜め上方から到来した音についての位相差スペクトルφ(ω)の傾きが負方向に最大となり、図6(b)に示す様に筐体10の背面方向から到来した音についての位相差スペクトルφ(ω)の傾きが正方向に大きくなる。

0047

抑制係数算出手段143では、位相差分算出手段142が算出した位相差スペクトルφ(ω)の値が正方向である周波数の音信号に対し、振幅スペクトル|INm(ω)|を抑制する抑制係数gain(ω)を算出することにより、正面方向以外の方向から到来する音を抑制することができる。

0048

図7は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の抑制係数gain(ω)の一例を示すグラフである。図7では、横軸に位相差スペクトルφ(ω)を角周波数ωで正規化した値φ(ω)×π/ωをとり、縦軸に抑制係数gain(ω)をとってその関係を示している。また図7に示すグラフを示す数式が下記の式1である。

0049

0050

図7及び式1に示す様に、筐体10の正面方向から到来する音に対しては、抑制係数gain(ω)が1となる様に、全く抑制しない傾きφ(ω)×π/ωの上限となる第1閾値thre1を設定し、筐体10の背面方向から到来する音に対しては、抑制係数gain(ω)が0となる様に、完全に抑制する傾きφ(ω)×π/ωの下限となる第2閾値thre2を設定する。そして第1閾値thre1及び第2閾値thre2間の音に対する抑制係数gain(ω)は、第1閾値thre1と第2閾値thre2とを抑制係数gain(ω)について線形補間した値を設定する。

0051

この様に設定した抑制係数gain(ω)を用いることにより、正規化した位相差スペクトルφ(ω)×π/ωの値が小さい場合、即ち主受音部11が受音してから遅れて副受音部12が受音した場合、筐体10の正面方向から到来する音であるため、抑制は不要であると判定して、音信号を抑制せず、正規化した位相差スペクトルφ(ω)×π/ωの値が大きい場合、即ち副受音部12が受音してから遅れて主受音部11が受音した場合、筐体10の背面方向から到来する音であるため、抑制を要すると判定して、音信号を抑制することになる。これにより筐体10の正面方向に指向性を向け、正面方向以外から到来する音を抑制することが可能となる。

0052

次に本発明の実施の形態1に係る受音装置1の処理について説明する。図8は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の処理の一例を示すフローチャートである。受音装置1は、コンピュータプログラムを実行する制御部13の制御により、主受音部11及び副受音部12にて、夫々音信号を受音する(S101)。

0053

受音装置1は、制御部13の制御に基づく音変換部17の処理により、アナログ信号として受音した音信号を、アンチエイリアジングフィルタにて濾波した後、8000Hz等の周期標本化して、デジタル信号に変換する(S102)。

0054

受音装置1は、制御部13の制御に基づく信号変換手段141の処理により、デジタル信号に変換した音信号から所定時間長のフレームを生成する(S103)。ステップS103では、音信号を、32ms程度の所定時間長の単位でフレーム化する。なお各フレームは、前のフレームとオーバーラップさせながら20ms等の所定時間長ずつフレームをシフトさせて処理を進める。そして各フレームに対しては、ハミング窓ハニング窓等の窓関数高域強調フィルタによるフィルタリング等の音声認識の分野で一般的なフレーム処理が施される。この様にして生成された各フレームに対し、以降の処理が行われる。

0055

そして受音装置1は、制御部13の制御に基づく信号変換手段141の処理により、フレーム単位の音信号をFFT処理して周波数軸上の信号である複素スペクトルに変換する(S104)。

0056

受音装置1は、制御部13の制御に基づく位相差分算出手段142により、副受音部12が受音した音の複素スペクトルに対する主受音部11が受音した音の複素スペクトルの位相差を、位相差スペクトルとして周波数毎に算出し(S105)、抑制係数算出手段143により、位相差分算出手段142が算出した位相スペクトルに基づいて抑制係数を周波数毎に算出する(S106)。ステップS105では、到来した音に対する主受音部11が受音した時点及び副受音部12が受音した時点の時間差として、位相差スペクトルを算出する。

0057

また受音装置1は、制御部13の制御に基づく振幅算出手段144の処理により、主受音部11が受音した音を変換した複素スペクトルの振幅スペクトルを算出し(S107)、信号補正手段145の処理により、振幅スペクトルに抑制係数を乗じて音信号を補正し(S108)、信号復元手段146にてIFFT処理することにより、時間軸上の音信号に復元する変換を行い(S109)、フレーム単位の音信号を再合成して通信部15へ出力し(S110)、通信部15から送信する。受音装置1は、上述した一連の処理を、主受音部11及び副受音部12の受音が終了するまで続けて実行する。

0058

次に本発明の実施の形態1に係る受音装置1の指向特性の測定結果について説明する。図9は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の指向特性の測定環境の概要を示す説明図である。図9に示す測定では、携帯電話の模型に主受音部11及び副受音部12を配設した受音装置1を水平方向に回転するターンテーブル2に固定する。また受音装置1は、45cm離隔した位置に配置した音声再生スピーカ3と共に、無響箱4内に収納する。そしてターンテーブル2を30度単位で水平方向に回転させ、都度、音声再生スピーカ3から男性話者発声した2秒程度の文書音声を出力するという作業をターンテーブル2が360度回転するまで繰り返すことにより、受音装置1の指向特性を測定した。なお第1閾値thre1は、—1.0とし、第2閾値thre2は、0.05とした。

0059

図10は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の水平方向の指向特性の測定結果である。図10(a)は、指向特性の測定に係る受音装置1の筐体10の回転方向を矢印にて示している。図10(b)は、指向特性の測定結果を示すレーダーチャートであり、音の到来方向毎に、受音装置1が受音した音の抑制後の信号強度(dB)を示している。なお受音装置1の筐体10の受音面である正面方向から音が到来する状況を0度、右側面の方向から到来する状況を90度、背面方向から到来する状況を180度、そして左側面の方向から到来する状況を270度としている。図10に示す様に本発明の受音装置1は、90〜270度の範囲、即ち筐体10の側面方向から背面方向にかけて到来する音を50dB以上抑制しており、話者以外の方向から到来する音を抑制することを目的とした場合、良好な指向特性を示していることが明らかである。

0060

図11は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の垂直方向の指向特性の測定結果である。図11(a)は、指向特性の測定に係る受音装置1の筐体10の回転方向を矢印にて示している。図11(b)は、指向特性の測定結果を示すレーダーチャートであり、音の到来方向毎に、受音装置1が受音した音の抑制後の信号強度(dB)を示している。垂直方向の指向特性の測定に際しては、受音装置1の筐体10において両側面の重心を結ぶ直線を回転軸として、30度単位で回転させ、都度、音声再生スピーカ3から男性話者が発声した2秒程度の文書音声を出力するという作業を360度回転するまで繰り返すことにより、受音装置1の指向特性を測定した。なお受音装置1の筐体10の受音面である正面方向から音が到来する状況を0度、上面方向から到来する状況を90度、背面方向から到来する状況を180度、そして底面方向から到来する状況を270度としている。本発明の受音装置1は、図11に示す様に筐体10の正面から上面にかけて、即ち話者の口元の方向に指向性を有するという測定結果が得られている。

0061

上述した実施の形態1では、受音装置1の底面に副受音部12を配設した例を示したが、目的とする指向特性が得られるのであれば底面以外の面に副受音部12を配設することも可能である。図12は、本発明の実施の形態1に係る受音装置1の外形の一例を示す三面図である。図12(a)が正面図、図12(b)が側面図、そして図12(c)が底面図を示している。図12に示した受音装置1では、筐体10の受音面である正面の縁部に副受音部12が配設されている。即ち副受音部12は、受音面の縁部までの最短距離が、主受音部11より短い位置に配設されている。この様に主受音部11及び副受音部12を配設した受音装置1は、背面方向からの音に対しては到達時間差が生じるため、背面方向から到来する音を抑制することが可能である。但し、この配置の場合、正面から到来する音の時間差と、横から到来する音の時間差が同じになるため、90度方向及び270度方向の抑制ができなくなるので注意が必要である。また副受音部12を背面に配設することで到達時間差を生じさせることが可能であるが、受音装置1が携帯電話である場合、背面は話者の手により覆われる可能性があるため、好ましい配設位置ではない。

0062

前記実施の形態1では、筐体の後方からの音を抑制することで指向性を有する受音装置に適用する形態を示したが、本発明はこれに限らず、筐体の前方からの音を強調する等、方向に応じて抑制だけではなく、強調をも行うことで、様々な指向特性を実現することが可能である。

0063

実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1に示した受音装置の指向特性を、実際の測定を行うことなくシミュレートする形態であり、指向特性の確認の他、受音部の配設位置の決定に適用することが可能な形態である。実施の形態2では、実施の形態1の図1に示した様に直方体状の筐体を備え、受音面となる筐体の正面に主受音部が配設され、底面に副受音部が配設された受音装置に適用する形態について説明する。なお以降の説明において実施の形態1と同様の構成要件については、実施の形態1と同様の符号を付し、その説明を省略する。

0064

実施の形態2では、筐体10の一辺又は一面に接した無限広がりを持つ仮想平面を想定し、音源から到来する音は、想定した仮想平面の全面に対して一様に、即ち同時に到達すると仮定し、仮定した仮想平面から主受音部11までの距離を示す経路長及び副受音部12までの距離を示す経路長の関係に基づいて位相差を算出する。そして仮想平面から主受音部11又は副受音部12に直線的に到達することができない場合、音信号は、筐体10に到達後、筐体10に沿って回折し、筐体10に沿った複数の経路で、主受音部11又は副受音部12に到達すると仮定する。

0065

なお実施の形態2では、筐体10の正面、背面、右側面及び左側面に接する仮想平面、並びに正面、背面、右側面及び左側面の中の2つの面にて構成される一辺に接する仮想平面を想定し、夫々の仮想平面から到来する音について、水平方向の指向特性としてシミュレートする。更に筐体10の正面、背面、上面及び底面に接する仮想平面、並びに正面、背面、上面及び底面の中の2つの面にて構成される一辺に接する仮想平面を想定し、夫々の仮想平面から到来する音について、垂直方向の指向特性としてシミュレートする。

0066

先ず水平方向の指向特性についてシミュレートする。図13は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1に対して仮定する音信号の到達経路の一例を示す斜視図である。図13は、筐体10の背面及び左側面にて構成される一辺に接する仮想平面VPを想定し、受音装置1の筐体10に配設された主受音部11に背面側から到達した音の経路を示している。図13に示す様に背面側から筐体10に到達した音は、筐体10の上面、底面、右側面及び左側面を通る夫々の最短経路となる4の到達経路で主受音部11に到達する。なお図13において、経路Aは、筐体10に沿って左側面から到達する経路、経路Bは、底面から到達する経路、経路Cは、上面から到達する経路、そして経路Dは、右側面から到達する経路を示している。

0067

図14は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1に対して仮定する音信号の到達経路の一例を示す上面図である。図14(a)は、筐体10の背面及び左側面にて構成される一辺に接する仮想平面VPを想定し、主受音部11までの音の到達経路を示している。また筐体10の正面に対する垂線と、仮想平面VPに対する垂線とにより形成される角度を、筐体10に対する音の入射角θとして示している。図14(a)に示す様に仮想平面VPまで一様に到達した音は、経路A、経路B、経路C及び経路Dにて主受音部11へ到達する。

0068

図14(b)は、副受音部12までの到達経路を示している。副受音部12は、筐体10の底面に配設されているため、背面方向から到達した音に対して仮想平面VPから直線的に到達する到達経路を有するので、直線的に到達する一の到達経路にて副受音部12まで到達する。

0069

複数の到達経路にて主受音部11へ夫々到達する音信号は、経路長に応じた位相で到達するため、異なる位相の音信号が合成された音信号となる。合成された音信号の導出方法について説明する。先ず、夫々の到達経路の経路長から、夫々の到達経路で到達した音信号の1000Hzにおける位相を下記の式2に基づいて算出する。なおここでは1000Hzを例にとって説明しているが、500Hz、2000Hz等のナイキスト周波数以下の周波数を用いることも可能である。

0070

φp =1000・dp ・2π/v …(式2)
但し、φp :経路p(p=A,B,C,D)を経て到達した音信号の1000Hzにおける位相
dp :経路pの経路長
v:音速(340m/s)

0071

式2にて算出された各経路A,B,C,Dの位相φA ,φB ,φC ,φD から、合成された音信号を示す正弦波を下記の式3に基づいて算出し、算出した正弦波の位相φm を主受音部11に到達する音信号の位相とする。

0072

α・sin(x+φm )={sin(x+φA )}/dA +{sin(x+φB )}/dB +{sin(x+φC )}/dC +{sin(x+φD )}/dD …(式3)
但し、α・sin(x+φm ):合成された音信号を示す正弦波
α:合成された音信号の振幅(定数
x:1000/(f・2π・i)
f:標本化周期(8000Hz)
i:標本識別
φm :主受音部11が受音する音信号(合成された音信号)の位相
sin(x+φA ):経路Aにて到達した音信号を示す正弦波
sin(x+φB ):経路Bにて到達した音信号を示す正弦波
sin(x+φC ):経路Cにて到達した音信号を示す正弦波
sin(x+φD ):経路Dにて到達した音信号を示す正弦波

0073

式3に示す様に、合成された音信号を示す正弦波は、各経路A,B,C,Dを経て到達した夫々の音信号に、経路長の逆数重み係数として乗じた上で合算することにより導出される。なお式3にて導出した合成された音信号の位相φm は、1000Hzにおける位相であるので、4倍することにより、ナイキスト周波数である4000Hzにおける位相に変換する。

0074

なお音信号が、直線的に主受音部11へ到達した場合、主受音部11が受音する音信号の4000Hzにおける位相は、経路長から下記の式4を用いて算出される。

0075

φm =(4000・d・2π)/v …(式4)
但し、d:仮想平面VPからの経路長

0076

受音装置1に対して、水平方向から到来する音を想定する場合、副受音部12には、常に直線的に音信号が到来することになるので、副受音部12が受音する音信号の4000Hzにおける位相は、経路長から下記の式5を用いて算出される。

0077

φs =(4000・d・2π)/v …(式5)

0078

仮想平面VPから主受音部11及び副受音部12までの夫々の経路長は、入射角θをπ/2単位で区分した象限毎に求める。なお以降の説明において、受音装置1の筐体10に関する様々な距離等の大きさを示す符号は、実施の形態1に係る図2及び図3に示した符号に対応している。

0079

0≦θ<π/2の場合
図15は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1及び仮想平面VPの0≦θ<π/2における位置関係を概念的に示す上面図である。受音装置1及び仮想平面VPが図15に示す関係にある場合、仮想平面VPから主受音部11までの経路長は、下記の式6にて示される。

0080

0081

また仮想平面VPから副受音部12までの経路長は、下記の式7にて示される。なお仮想平面VPから副受音部12までの経路長は、入射角θに応じて式7に示す様に異なる2式にて示される。

0082

0083

π/2≦θ<πの場合
図16は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1及び仮想平面VPのπ/2≦θ<πにおける位置関係を概念的に示す上面図である。受音装置1及び仮想平面VPが図16に示す関係にある場合、仮想平面VPから主受音部11までの経路Aにおける経路長は、下記の式8にて示される。

0084

0085

仮想平面VPから主受音部11までの経路Bにおける経路長は、下記の式9にて示される。なお仮想平面VPから主受音部11までの距離は、入射角θに応じて式9に示す様に異なる2式にて示される。

0086

0087

仮想平面VPから主受音部11までの経路Cにおける経路長は、下記の式10にて示される。なお仮想平面VPから主受音部11までの経路Cにおける経路長は、入射角θに応じて式10に示す様に異なる2式にて示される。

0088

0089

仮想平面VPから主受音部11までの経路Dにおける経路長は、下記の式11にて示される。

0090

0091

また仮想平面VPから副受音部12までの経路長は、下記の式12にて示される。なお仮想平面VPから副受音部12までの経路長は、入射角θに応じて式12に示す様に異なる2式にて示される。

0092

0093

π≦θ<3π/2の場合
図17は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1及び仮想平面VPのπ≦θ<3π/2における位置関係を概念的に示す上面図である。受音装置1及び仮想平面VPが図17に示す関係にある場合、仮想平面VPから主受音部11までの経路Aにおける経路長は、下記の式13にて示される。

0094

0095

仮想平面VPから主受音部11までの経路Bにおける経路長は、下記の式14にて示される。なお仮想平面VPから主受音部11までの距離は、入射角θに応じて式14に示す様に異なる2式にて示される。

0096

0097

仮想平面VPから主受音部11までの経路Cにおける経路長は、下記の式15にて示される。なお仮想平面VPから主受音部11までの経路Cにおける経路長は、入射角θに応じて式15に示す様に異なる2式にて示される。

0098

0099

仮想平面VPから主受音部11までの経路Dにおける経路長は、下記の式16にて示される。

0100

0101

また仮想平面VPから副受音部12までの経路長は、下記の式17にて示される。なお仮想平面VPから副受音部12までの経路長は、入射角θに応じて式17に示す様に異なる2式にて示される。

0102

0103

3π/2≦θ<2πの場合
図18は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1及び仮想平面VPの3π/2≦θ<2πにおける位置関係を概念的に示す上面図である。受音装置1及び仮想平面VPが図18に示す関係にある場合、仮想平面VPから主受音部11までの経路長は、下記の式18にて示される。

0104

0105

また仮想平面VPから副受音部12までの経路長は、下記の式19にて示される。なお仮想平面VPから副受音部12までの経路長は、入射角θに応じて式19に示す様に異なる2式にて示される。

0106

0107

上述した方法により算出する経路長に基づいて、主受音部11及び副受音部12が受音する音の位相を夫々求め、副受音部12が受音する音の位相から主受音部11が受音する音の位相を減じることで位相差を算出する。そして算出した位相差から、実施の形態1にて示した式1を用いて抑制係数を算出し、デシベル単位に換算する処理を、0≦θ<2πの範囲で、例えば15度毎に実行する。この処理により、受音装置1の主受音部11及び副受音部12の配設位置に対する指向特性を導出することが可能となる。

0108

図19は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1の水平方向の指向特性を示すレーダーチャートである。図19は、実施の形態1に係る図2及び図3に示した大きさの受音装置1の筐体10についての指向特性を示している。図19(a)は、実測による測定結果を示しており、図19(b)は、上述した方法により導出した指向特性のシミュレーション結果を示している。夫々のレーダーチャートは、音の到来方向毎に、受音装置1が受音した音の抑制後の信号強度(dB)を示している。なお図19(a)では、30度毎の到来方向について、図19(b)は、15度毎の到来方向について、夫々の信号強度を示している。図19に示す様に、シミュレーション結果及び実測値共に、正面方向の指向性が強く、後方からの音を抑制していることが明らかである。またシミュレーション結果が実測値の指向特性を再現していることを読み取ることができる。

0109

図20は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1の水平方向の指向特性を示すレーダーチャートである。図20は、実施の形態1に係る図2及び図3に示した大きさの受音装置1において、副受音部12の右端からの距離W2 を2.4cmから3.8cmに変更した筐体10についての指向特性を示している。図20(a)は、実測による測定結果を示しており、図20(b)は、上述した方法により導出した指向特性のシミュレーション結果を示している。夫々のレーダーチャートは、音の到来方向毎に、受音装置1が受音した音の抑制後の信号強度(dB)を示している。なお図20(a)では、30度毎の到来方向について、図20(b)は、15度毎の到来方向について、夫々の信号強度を示している。図20に示す様に、副受音部12を移動させることで、実測値では、指向性の中心が右方向にずれており、またシミュレーション結果においても、このずれを再現することができている。この様に本発明の実施の形態2では、シミュレーション結果から水平方向の指向性ができる方向を確認することができるので、これを用いて指向特性を確認しながら主受音部11及び副受音部12の配設位置を決定することが可能である。

0110

次に垂直方向の指向特性についてシミュレートする。垂直方向の指向特性のシミュレートにおいても、受音部に到達する経路が複数である場合、複数の経路の夫々の経路長から、夫々の到達経路で到達した音信号の1000Hzにおける位相を算出し、算出した位相から到達する音信号の位相を導出する方法を用いる。

0111

仮想平面VPから主受音部11及び副受音部12までの夫々の経路長は、筐体10の正面に対する垂線と、仮想平面VPに対する垂線とにより形成される角度を入射角θとし、入射角θをπ/2単位で区分した象限毎に求める。なお以降の説明において、受音装置1の筐体10に関する様々な距離等の大きさを示す符号は、実施の形態1に係る図2及び図3に示した符号に対応している。

0112

0≦θ<π/2の場合
図21は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1及び仮想平面VPの0≦θ<π/2における位置関係を概念的に示す側面図である。経路Eは、筐体10の上方から背面を通って底面の副受音部12に到達する経路であり、経路Fは、筐体10の下方から底面を通って副受音部12に到達する経路である。受音装置1及び仮想平面VPが図21に示す関係にある場合、仮想平面VPから主受音部11までの経路長は、下記の式20にて示される。

0113

0114

また仮想平面VPから副受音部12までの経路Eにおける経路長は、下記の式21にて示される。

0115

0116

仮想平面VPから副受音部12までの経路Fにおける経路長は、下記の式22にて示される。

0117

0118

π/2≦θ<πの場合
図22は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1及び仮想平面VPのπ/2≦θ<πにおける位置関係を概念的に示す側面図である。経路Eは、筐体10の下方から底面の副受音部12に到達する経路であり、経路Fは、筐体10の上方から前面を通って底面の副受音部12に到達する経路であり、経路Gは、筐体10の右方から右側面を通って前面の主受音部11に到達する経路であり、経路Hは、筐体10の左方から左側面を通って前面の主受音部11に到達する経路であり、経路Iは、筐体10の上方から前面の主受音部11に到達する経路であり、経路Jは、筐体10の下方から底面を通って前面の主受音部11に到達する経路である。

0119

受音装置1及び仮想平面VPが図22に示す関係にある場合、仮想平面VPから主受音部11までの経路Gにおける経路長は、下記の式23にて示される。なお式23に示す経路長は、arctan(W1 /H+π/2)≦θ<πの区間に限られる。

0120

0121

仮想平面VPから主受音部11までの経路Hにおける経路長は、下記の式24にて示される。なお式24に示す経路長は、arctan{(W−W1 )/H+π/2}≦θ<πの区間に限られる。

0122

0123

仮想平面VPから主受音部11までの経路Iにおける経路長は、下記の式25にて示される。

0124

0125

仮想平面VPから主受音部11までの経路Jにおける経路長は、下記の式26にて示される。

0126

0127

また仮想平面VPから副受音部12までの経路Eにおける経路長は、下記の式27にて示される。

0128

0129

仮想平面VPから副受音部12までの経路Fにおける経路長は、下記の式28にて示される。

0130

0131

π≦θ<3π/2の場合
図23は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1及び仮想平面VPのπ≦θ<3π/2における位置関係を概念的に示す側面図である。経路Eは、筐体10の下方から底面の副受音部12に到達する経路であり、経路Gは、筐体10の右方から右側面を通って前面の主受音部11に到達する経路であり、経路Hは、筐体10の左方から左側面を通って前面の主受音部11に到達する経路であり、経路Iは、筐体10の上方から前面の主受音部11に到達する経路であり、経路Jは、筐体10の下方から底面を通って前面の主受音部11に到達する経路である。

0132

受音装置1及び仮想平面VPが図23に示す関係にある場合、仮想平面VPから主受音部11までの経路Gにおける経路長は、下記の式29にて示される。なお式29に示す経路長は、π≦θ<arctan(L/W1 )+πの区間に限られる。

0133

0134

仮想平面VPから主受音部11までの経路Hにおける経路長は、下記の式30にて示される。なお式30に示す経路長は、π≦θ<arctan{L/(W−W1 )}+πの区間に限られる。

0135

0136

仮想平面VPから主受音部11までの経路Iにおける経路長は、下記の式31にて示される。

0137

0138

仮想平面VPから主受音部11までの経路Jにおける経路長は、下記の式32にて示される。

0139

0140

また仮想平面VPから副受音部12までの経路Eにおける経路長は、下記の式33にて示される。

0141

0142

3π/2≦θ<2πの場合
図24は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1及び仮想平面VPの3π/2≦θ<2πにおける位置関係を概念的に示す側面図である。経路Eは、筐体10の上方から背面を通って底面の副受音部12に到達する経路であり、経路Fは、筐体10の底面の副受音部12に到達する経路である。

0143

受音装置1及び仮想平面VPが図24に示す関係にある場合、仮想平面VPから主受音部11までの経路長は、下記の式34にて示される。

0144

0145

また仮想平面VPから副受音部12までの経路Eにおける経路長は、下記の式35にて示される。

0146

0147

仮想平面VPから副受音部12までの経路Fにおける経路長は、下記の式36にて示される。

0148

0149

図25は、本発明の実施の形態2に係る受音装置1の垂直方向の指向特性を示すレーダーチャートである。図25は、実施の形態1に係る図2及び図3に示した大きさの受音装置1の筐体10についての指向特性を示している。図25(a)は、実測による測定結果を示しており、図25(b)は、上述した方法により導出した指向特性のシミュレーション結果を示している。夫々のレーダーチャートは、音の到来方向毎に、受音装置1が受音した音の抑制後の信号強度(dB)を示している。なお図25(a)では、30度毎の到来方向について、図25(b)は、15度毎の到来方向について、夫々の信号強度を示している。図25に示す様に、シミュレーション結果及び実測値共に、正面の斜め上方向の指向性が強く、後方からの音を抑制していることが明らかである。またシミュレーション結果が実測値において指向性ができる方向を再現していることを読み取ることができる。

0150

次に上述したシミュレーションを実行する装置について説明する。上述したシミュレーションは、汎用コンピュータ等のコンピュータを用いた指向特性導出装置5により実行される。図26は、本発明の実施の形態2に係る指向特性導出装置5の構成例を示すブロック図である。指向特性導出装置5は、装置全体を制御するCPU等の制御部50と、本発明の指向特性導出装置用のコンピュータプログラム500及びデータ等の各種情報を記録したCD−ROM等の記録媒体から各種情報を読み取るCD−ROMドライブ等の補助記憶部51と、補助記憶部51により読み取った各種情報を読み取るハードディスク等の記録部52と、情報を一時的に記憶するRAM等の記憶部53とを備えている。そして記録部52に記録した本発明のコンピュータプログラム500を記憶部53に記憶させて、制御部50の制御にて実行することにより、コンピュータは、本発明の指向特性導出装置5として動作する。さらに指向特性導出装置5は、マウスキーボード等の入力部54と、モニタプリンタ等の出力部55とを備えている。

0151

次に指向特性導出装置5の処理について説明する。図27は、本発明の実施の形態2に係る指向特性導出装置5の処理を示すフローチャートである。指向特性導出装置5は、コンピュータプログラム500を実行する制御部50の制御により、入力部54から受音装置の筐体の三次元形状を示す情報を受け付け(S201)、筐体に配設された無指向性の主受音部の配設位置を示す情報を受け付け(S202)、筐体に配設された無指向性の副受音部の配設位置を示す情報を受け付け(S203)、到来する音の方向を示す情報を受け付ける(S204)。ステップS201〜S204は、指向特性導出のための条件を受け付ける処理である。

0152

そして指向特性導出装置5は、制御部50の制御により、到来する音が筐体に到達した場合に、筐体に沿った複数の経路で主受音部及び副受音部に到達すると仮定して、主受音部及び副受音部までの各経路の経路長を、音の複数の到来方向について算出し(S205)、算出した各経路長に基づき、各経路にて主受音部又は副受音部に到達した各音は、合成された一つの音として到達すると仮定した場合の到達に要する時間を算出し(S206)、算出した到達に要する時間に対応する位相に基づき、各到来方向について、副受音部が受音した時点に対する主受音部が受音した時点の時間差(位相差)を遅延時間として算出し(S207)、算出した遅延時間及び到来方向の関係に基づいて、指向特性を導出する(S208)。ステップS205〜S208の処理は、上述したシミュレーションの方法にて実行される。

0153

そして指向特性導出装置5は、制御部50の制御により、導出した指向特性が所定の条件を満足する主受音部及び副受音部の配設位置の組み合わせを選択し(S209)、選択した主受音部及び副受音部の配設位置に対応付けて指向特性を記録部52に記録する(S210)。ステップS209では、予め所望する指向特性を所定の条件として記録部52に設定を記録しておく。所定の条件としては、例えば正面を0度とした場合に、指向性が傾いていないことを規定する数値条件として、指向性の中心が0±10度以内、側面方向から到来する音を大きく抑圧することを規定する数値条件として、90度及び270度方向の抑圧量が10dB以上、背面方向から到来する音を大きく抑圧することを規定する数値条件として、180度方向の抑圧量が20dB以上、そして正面方向のずれに対して急峻な抑圧を防止することを規定する数値条件として、0±30度以内の抑圧量が6dB以下等の条件が設定される。ステップS209の選択により、所望する指向特性を有する受音装置を設計する上で、主受音部及び副受音部の配設位置の候補を抽出することが可能となる。そしてステップS210にて記録した主受音部及び副受音部の配設位置並びに指向特性は、必要に応じて出力され、設計担当者は、所望する指向特性を実現するための主受音部及び副受音部の配設位置を検討することが可能となる。

0154

前記実施の形態2では、二の受音部を配設した直方体の筐体についてシミュレーションする形態を示したが、本発明は、これに限らず、三以上の受音部を用いる形態でも良く、また直方体以外の形状の筐体についてシミュレーションする等、様々な形態に展開することが可能である。

0155

実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態1において、テレビ電話モード等の発話形態が異なるモードに切り替えた場合に指向特性を変更する形態である。図28は、本発明の実施の形態3に係る受音装置の構成例を示すブロック図である。なお実施の形態1と同様の構成要件については、実施の形態1と同様の符号を付し、その説明を省略する。

0156

実施の形態3に係る受音装置1は、モードが切り替えられたことを検出するモード切替検出部101を備えている。モード切替部は、通常の電話通信として音声通信を行う通常モードから、映像及び音声通信を行うテレビ電話モードに切り替えられた場合、又はその逆の切替が行われた場合に、発話形態が異なるモードに切り替えられたことを検出する。通常モードでは、筐体10に口を近付けて話す発話形態となるため、指向方向を絞り、テレビ電話モードでは、筐体10の表示部19を見ながら話す発話形態となるため、指向方向を広くする。指向方向の切替は抑制係数gain(ω)を決定する第1閾値thre1及び第2閾値thre2を変更することにより行われる。

0157

図29は、本発明の実施の形態3に係る受音装置1の処理の一例を示すフローチャートである。受音装置1は、制御部13の制御により、モード切替検出部101が、発話形態が異なるモード切替が行われたことを検出した場合(S301)、第1閾値thre1及び第2閾値thre2を変更する(S302)。例えば通常モードからテレビ電話モードに切り替えた場合、モード切替検出部101から抑制係数算出手段143へ所定の信号を出力し、抑制係数算出手段143では、受け付けた信号に基づいてテレビ電話モード用の第1閾値thre1及び第2閾値thre2に変更することにより、この処理は実現される。

0158

第1閾値thre1及び第2閾値thre2の例として、通常モード用に設定されている第1閾値thre1=−0.7、第2閾値thre2=0.05を、テレビ電話モード用に設定された第1閾値thre1=−0.7、第2閾値thre2=0.35に変更する。この変更により、抑制されない角度が大きくなるため、指向性が拡がり、発話形態が変化した場合でも、話者の音声を抑制しない様にすることができる。なお第1閾値thre1及び第2閾値thre2を予め設定されている値に変更するのではなく、モード変更後に受音した音の位相差から話者の口の位置を推定し、その位置からの音声が抑制されない様に第1閾値thre1及び第2閾値thre2を自動調整する様にしても良い。

0159

前記実施の形態3では、テレビ電話モードに切り替えた場合に抑制係数を変更して指向特性を変更する形態を示したが、本発明はこれに限らず、通常モードと発話形態が異なるハンズフリーモード等のモード切替が行われた場合に適用することも可能である。

0160

前記実施の形態1乃至3では、受音装置を携帯電話に適用する形態を示したが、本発明はこれに限らず、様々な形状の筐体に配設された複数の受音部を用いて音を受音する様々な装置に適用することが可能である。

0161

また前記実施の形態1乃至3では、主受音部及び副受音部が夫々一つである形態を示したが、本発明はこれに限らず、複数であっても良い。

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