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技術 粉末焼結体用成形体および粉末焼結体並びにこれらの製造方法

出願人 国立大学法人広島大学アロイ工業株式会社
発明者 鈴木裕之下井谷良信
出願日 2008年3月27日 (12年8ヶ月経過) 出願番号 2009-512898
公開日 2010年7月29日 (10年4ヶ月経過) 公開番号 WO2008-136224
状態 特許登録済
技術分野 粉末冶金
主要キーワード 磁性体部品 シリンダー内圧 加工成形体 静水圧力 溶解性溶剤 オーステナイト系ステンレス鋼粉末 固化収縮 高純度アルミナ粉末
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この項目の情報は公開日時点(2010年7月29日)のものです。
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図面 (7)

課題・解決手段

本発明は、原料粉末結合剤樹脂分散媒とを含む泥漿成形金型内遠心成形して、原料粉末と結合剤樹脂とからなる成形体を製造する粉末焼結体用成形体の製造方法、およびその成形体を焼結する粉末焼結体の製造方法、並びに原料粉末と、該原料粉末の間に介在し、該原料粉末同士を結合する結合剤樹脂とを有して成る粉末焼結体用成形体およびその成形体を焼結して得られる粉末焼結体である。本発明の粉末焼結体用成形体の製造法方法によれば、高度に複雑な形状であっても亀裂または破損等が生じにくい粉末焼結体用成形体を製造することができ、また機械的加工により高度に複雑な内部構造と形状にすることのできる粉末焼結体用成形体を製造することができる。本発明の粉末焼結体の製造方法は、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル等、高度に複雑な内部構造と形状を有する粉末焼結体を製造することができる。

概要

背景

粉末冶金法は、通常金属粉末等を型に入れて加圧成形することにより粉末焼結体用成形体を作成し、これを全体が融解するよりやや低い温度で焼結して粉末焼結体である製品を製造する技術である。この技術は、同一形状の製品を大量にかつ安価に製造することができるので、自動車用部品機械部品磁性材料切削工具等の製造に広く利用されている。

しかし、従来の粉末冶金法では複雑な形状を有する製品の製造は困難であった。これは、従来の粉末焼結体用成形体の製造方法では、成形体中に空隙が生じやすい等の理由から、成形体の機械的強度が小さく、複雑形状の成形体は破損を生じやすかったからである。また単純な形状の成形体に機械的加工を加えて複雑形状の成形体を作ることも、同様に成形体の機械的強度が小さいことから困難であった。

このような従来法の他、近年成形体の製造方法として高速遠心成形法の研究が進められている。高速遠心成形法は、溶媒中に原料粉末を均一に分散させて泥漿を作成し、この泥漿を成形金型注入してこれに遠心機にて遠心力を加えることにより、原料粉末を成形金型底部に沈降させて成形金型の形状に成形し、成形体を作成する方法である。成形体の製造方法として高速遠心成形法を採用すると、微細な原料粉末を使用して高密度均質充填が可能になり、成形体中の空隙の発生を防止することができる。このため高速遠心成形法を用いれば、機械的強度の大きい成形体が得られるので、ある程度複雑な形状の成形体の製造も可能になる。たとえば特開2005−48230号公報(特許文献1)に示されたように、成形体に所定の形状を付与する中子を成形金型の中に挿入して原料粉末を成形することにより、ある程度複雑な形状の成形体の製造を容易に行うことができる。これは、遠心力により原料粉末が降り積もるように進行する一方、成形金型内に挿入した中子に対してはほぼ等方的な静水圧力のみがかかるので、複雑な形状を有する中子を挿入しても成形体が崩壊せず、くるみ成形が可能になるからである。

しかし、この高速遠心成形法によっても成形体の形状が高度に複雑化すると、成形体の凹凸の激しい部分に亀裂等が生じやすい。上記特開2005−48230号公報に示される方法によっても、亀裂等の発生を回避することはできなかった。また、高速遠心法によって作成した成形体に機械的加工を施すことにより、高度に複雑な形状の成形体を作ろうとしても、破損を起こしやすい。このため、たとえばディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルを製造するための成形体のような高度に複雑な形状を有する成形体の製造は、高速遠心成形法によっても困難であった。この結果、高度に複雑な形状を有する粉末焼結体を粉末冶金法で製造することも困難であった。
特開2005−48230号公報

概要

本発明は、原料粉末と結合剤樹脂分散媒とを含む泥漿を成形金型内で遠心成形して、原料粉末と結合剤樹脂とからなる成形体を製造する粉末焼結体用成形体の製造方法、およびその成形体を焼結する粉末焼結体の製造方法、並びに原料粉末と、該原料粉末の間に介在し、該原料粉末同士を結合する結合剤樹脂とを有して成る粉末焼結体用成形体およびその成形体を焼結して得られる粉末焼結体である。本発明の粉末焼結体用成形体の製造法方法によれば、高度に複雑な形状であっても亀裂または破損等が生じにくい粉末焼結体用成形体を製造することができ、また機械的加工により高度に複雑な内部構造と形状にすることのできる粉末焼結体用成形体を製造することができる。本発明の粉末焼結体の製造方法は、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル等、高度に複雑な内部構造と形状を有する粉末焼結体を製造することができる。

目的

本発明は、上記のような従来の粉末焼結体用成形体および粉末焼結体用成形体の製造方法が有する問題を解決することを目的とする。すなわち本発明の課題は、機械的加工を施すことにより複雑な形状にすることのできる強度の大きい粉末焼結体用成形体、または機械的加工を施すことなく複雑な形状を有する粉末焼結体用成形体を提供すること、および複雑な形状を有する粉末焼結体を提供すること、並びにそのような成形体および粉末焼結体の製造方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

原料粉末結合剤樹脂分散媒とを含む泥漿成形金型内遠心成形して、原料粉末と結合剤樹脂とからなる成形体を製造することを特徴とする粉末焼結体用成形体の製造方法。

請求項2

結合剤樹脂は、エポキシアクリレート樹脂ウレタンアクリレート樹脂ポリエステルアクリレート樹脂不飽和ポリエステル樹脂またはエチルセルロースである請求項1に記載の粉末焼結体用成形体の製造方法。

請求項3

原料粉末が冷間成形用型鋼であり、結合剤樹脂がエポキシアクリレート樹脂であり、分散媒がスチレンである請求項1に記載の粉末焼結体用成形体の製造方法。

請求項4

成形金型の中に中子が装着されている請求項1〜3に記載の粉末焼結体用成形体の製造方法。

請求項5

中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体が、複雑な内部構造と形状の形成用である請求項4に記載の粉末焼結体用成形体の製造方法。

請求項6

中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体が、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル形成用である請求項4または5に記載の粉末焼結体用成形体の製造方法。

請求項7

中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体中の中子は、棒状の幹部と、該幹部の先端部から放射状に延びて粉末焼結体に噴射孔を形成する枝部と、これら枝部を成形金型内で安定して支持すべく、枝部の先端を一体に連結するリング状に形成された支持部とを有して成る請求項6に記載の粉末焼結体用成形体の製造方法。

請求項8

枝部の数が4〜20個である請求項7に記載の粉末焼結体用成形体の製造方法。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載の粉末焼結体用成形体の製造方法により製造された粉末焼結体用成形体を焼結して焼結体を製造する粉末焼結体の製造方法。

請求項10

請求項4〜8のいずれか1項に記載の粉末焼結体用成形体の製造方法により製造された中子をくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体中の中子を除去する中子除去工程を経た後、前記粉末焼結体用成形体を焼結して焼結体を製造する粉末焼結体の製造方法。

請求項11

中子除去工程は、中子を、前記粉末焼結体用成形体とともに溶解性溶剤に浸して溶解除去する工程である請求項10に記載の粉末焼結体の製造方法。

請求項12

中子除去工程は、中子を、前記粉末焼結体用成形体とともに加熱して熱分解除去する工程である請求項10に記載の粉末焼結体の製造方法。

請求項13

粉末焼結体用成形体に機械的加工を加える機械的加工工程を含む請求項9〜12のいずれか1項に記載の粉末焼結体の製造方法。

請求項14

粉末焼結体用成形体中の結合剤樹脂を熱分解して除去する熱脱脂工程を含む請求項9〜13のいずれか1項に記載の粉末焼結体の製造方法。

請求項15

原料粉末と、該原料粉末の間に介在し、該原料粉末同士を結合する結合剤樹脂とを有して成ることを特徴とする粉末焼結体用成形体。

請求項16

結合剤樹脂は、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはエチルセルロースである請求項15に記載の粉末焼結体用成形体。

請求項17

原料粉末が冷間成形用型鋼であり、結合剤樹脂がエポキシアクリレート樹脂である請求項15に記載の粉末焼結体用成形体。

請求項18

原料粉末と結合剤樹脂と分散媒とを含む泥漿を成形金型内で遠心成形して製造された請求項15〜17のいずれか1項に記載の粉末焼結体用成形体。

請求項19

中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体が複雑な内部構造と形状の形成用である請求項15〜18のいずれか1項に記載の粉末焼結体用成形体。

請求項20

中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体がディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル形成用である請求項15〜19のいずれか1項に記載の粉末焼結体用成形体。

請求項21

中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体中の中子は、棒状の幹部と、該幹部の先端部から放射状に延びて粉末焼結体に噴射孔を形成する枝部と、これら枝部を成形金型内で安定して支持すべく、枝部の先端を一体に連結するリング状に形成された支持部とを有して成る請求項20に記載の粉末焼結体用成形体。

請求項22

枝部の数が4〜20個である請求項21に記載の粉末焼結体用成形体。

請求項23

請求項15〜22のいずれか1項に記載の粉末焼結体用成形体を焼結して製造された粉末焼結体。

請求項24

請求項15〜22いずれか1項に記載の粉末焼結体用成形体に機械的加工を加えて生成した成形体を焼結して製造された粉末焼結体。

請求項25

複雑な内部構造と形状を有する請求項23または24に記載の粉末焼結体。

請求項26

ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルである請求項23〜25のいずれか1項に記載の粉末焼結体。

技術分野

0001

本発明は、粉末焼結体用成形体および粉末焼結体並びにこれらの製造方法に関し、さらに詳しくは、結合剤樹脂を含有する粉末焼結体用成形体および粉末焼結体、並びにこれらの製造方法に関する。

背景技術

0002

粉末冶金法は、通常金属粉末等を型に入れて加圧成形することにより粉末焼結体用成形体を作成し、これを全体が融解するよりやや低い温度で焼結して粉末焼結体である製品を製造する技術である。この技術は、同一形状の製品を大量にかつ安価に製造することができるので、自動車用部品機械部品磁性材料切削工具等の製造に広く利用されている。

0003

しかし、従来の粉末冶金法では複雑な形状を有する製品の製造は困難であった。これは、従来の粉末焼結体用成形体の製造方法では、成形体中に空隙が生じやすい等の理由から、成形体の機械的強度が小さく、複雑形状の成形体は破損を生じやすかったからである。また単純な形状の成形体に機械的加工を加えて複雑形状の成形体を作ることも、同様に成形体の機械的強度が小さいことから困難であった。

0004

このような従来法の他、近年成形体の製造方法として高速遠心成形法の研究が進められている。高速遠心成形法は、溶媒中に原料粉末を均一に分散させて泥漿を作成し、この泥漿を成形金型注入してこれに遠心機にて遠心力を加えることにより、原料粉末を成形金型底部に沈降させて成形金型の形状に成形し、成形体を作成する方法である。成形体の製造方法として高速遠心成形法を採用すると、微細な原料粉末を使用して高密度均質充填が可能になり、成形体中の空隙の発生を防止することができる。このため高速遠心成形法を用いれば、機械的強度の大きい成形体が得られるので、ある程度複雑な形状の成形体の製造も可能になる。たとえば特開2005−48230号公報(特許文献1)に示されたように、成形体に所定の形状を付与する中子を成形金型の中に挿入して原料粉末を成形することにより、ある程度複雑な形状の成形体の製造を容易に行うことができる。これは、遠心力により原料粉末が降り積もるように進行する一方、成形金型内に挿入した中子に対してはほぼ等方的な静水圧力のみがかかるので、複雑な形状を有する中子を挿入しても成形体が崩壊せず、くるみ成形が可能になるからである。

0005

しかし、この高速遠心成形法によっても成形体の形状が高度に複雑化すると、成形体の凹凸の激しい部分に亀裂等が生じやすい。上記特開2005−48230号公報に示される方法によっても、亀裂等の発生を回避することはできなかった。また、高速遠心法によって作成した成形体に機械的加工を施すことにより、高度に複雑な形状の成形体を作ろうとしても、破損を起こしやすい。このため、たとえばディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルを製造するための成形体のような高度に複雑な形状を有する成形体の製造は、高速遠心成形法によっても困難であった。この結果、高度に複雑な形状を有する粉末焼結体を粉末冶金法で製造することも困難であった。
特開2005−48230号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、上記のような従来の粉末焼結体用成形体および粉末焼結体用成形体の製造方法が有する問題を解決することを目的とする。すなわち本発明の課題は、機械的加工を施すことにより複雑な形状にすることのできる強度の大きい粉末焼結体用成形体、または機械的加工を施すことなく複雑な形状を有する粉末焼結体用成形体を提供すること、および複雑な形状を有する粉末焼結体を提供すること、並びにそのような成形体および粉末焼結体の製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するための本発明は、原料粉末と結合剤樹脂と分散媒とを含む泥漿を成形金型内で遠心成形して、原料粉末と結合剤樹脂とからなる成形体を製造する粉末焼結体用成形体の製造方法である。

0008

その好ましい態様として、結合剤樹脂は、エポキシアクリレート樹脂ウレタンアクリレート樹脂ポリエステルアクリレート樹脂不飽和ポリエステル樹脂またはエチルセルロースであり、
原料粉末が冷間成形用型鋼粉末であり、結合剤樹脂がエポキシアクリレート樹脂であり、分散媒がスチレンであり、
成形金型の中に中子が装着されており、
中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体が、複雑な内部構造と形状の形成用であり、
中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体が、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル形成用であり、
中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体中の中子は、棒状の幹部と、該幹部の先端部から放射状に延びて粉末焼結体に噴射孔を形成する枝部と、これら枝部を成形金型内で安定して支持すべく、枝部の先端を一体に連結するリング状に形成された支持部とを有して成り、
枝部の数が4〜100個である。

0009

また、本発明は、前記粉末焼結体用成形体の製造方法により製造された粉末焼結体用成形体を焼結して焼結体を製造する粉末焼結体の製造方法である。

0010

その好ましい態様として、前記中子をくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体の製造方法により製造された粉末焼結体用成形体中の中子を除去する中子除去工程を経た後、前記粉末焼結体用成形体を焼結して焼結体を製造する粉末焼結体の製造方法であり、
前記中子除去工程は、中子を、前記粉末焼結体用成形体とともに溶解性溶剤に浸して溶解除去する工程であり、
前記中子除去工程は、中子を、前記粉末焼結体用成形体とともに加熱して熱分解除去する工程であり、
前記粉末焼結体の製造方法は、粉末焼結体用成形体に機械的加工を加える機械的加工工程を含み、
前記粉末焼結体の製造方法は、粉末焼結体用成形体中の結合剤樹脂を熱分解して除去する熱脱脂工程を含む。

0011

また、本発明は、原料粉末と、該原料粉末の間に介在し、該原料粉末同士を結合する結合剤樹脂とを有して成る粉末焼結体用成形体である。

0012

その好ましい態様として、結合剤樹脂は、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはエチルセルロースであり、
原料粉末が冷間成形用型鋼であり、結合剤樹脂がエポキシアクリレート樹脂であり、
前記粉末焼結体用成形体は、原料粉末と結合剤樹脂と分散媒とを含む泥漿を成形金型内で遠心成形して製造され、
前記中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体が複雑な内部構造と形状の形成用であり、
前記中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体は、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル形成用であり、
中子がくるみ装着成型された粉末焼結体用成形体中の中子は、棒状の幹部と、該幹部の先端部から放射状に延びて粉末焼結体に噴射孔を形成する枝部と、これら枝部を成形金型内で安定して支持すべく、枝部の先端を一体に連結するリング状に形成された支持部とを有して成り、
枝部の数が4〜100個である。

0013

また、本発明は、前記粉末焼結体用成形体を焼結して製造された粉末焼結体であり、前記粉末焼結体用成形体に機械的加工を加えて生成した成形体を焼結して製造された粉末焼結体である。

0014

その好適な態様として、前記粉末焼結体は、複雑な内部構造と形状の成型体であり、さらにはディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルである。

発明の効果

0015

本発明の粉末焼結体用成形体は、機械的強度が大きいので、高度に複雑な形状であっても、亀裂または破損等が生じにくく、また機械的加工により高度に複雑な形状にすることができる。本発明の粉末焼結体用成形体は、機械的強度が大きいので、離型が容易である。

0016

本発明の粉末焼結体は、高度に複雑な内部構造と形状にすることができ、しかも強度が大きいので、機械部品等様々な工業部品に使用することができる。

0017

本発明の粉末焼結体用成形体の製造法方法によれば、機械的強度が大きく、高度に複雑な内部構造や形状を有していても亀裂または破損等が生じにくい粉末焼結体用成形体を製造することができ、また機械的加工により高度に複雑な内部構造や形状にすることのできる粉末焼結体用成形体を製造することができる。

0018

本発明の粉末焼結体の製造方法は、高度に複雑な内部構造と形状を有する、強度の大きい粉末焼結体を製造することができる。このため、多数の微細な噴射孔を有するディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル等は、従来法ではコスト等の理由から製造が困難であったが、本発明では、安価に、簡易に、かつ精度良く製造することができる。

図面の簡単な説明

0019

図1は、本発明の成形体の製造方法および粉末焼結体の製造方法を説明する説明図である。
図2(a)は、中子3の平面図であり、図2(b)は、中子3の側面図である。
図3は、実施例2における高速遠心成形直後の成形体の側面概略図である。
図4は、実施例2におけるドリル処理後の成形体の縦断面概略図である。
図5(A)は、実施例2で得られた焼結体の上面の写真であり、図5(B)は、実施例2で得られた焼結体の側面の写真である。
図6は、燃料噴射試験における噴射の状態を示す写真である。

符号の説明

0020

1・・・泥漿
2・・・成形金型
3・・・中子
7・・・成形体
8・・・上澄
9・・・加工成形体
10・・・熱脱脂済加工成形体
11・・・粉末焼結体

発明を実施するための最良の形態

0021

本発明の粉末焼結体用成形体の製造方法および本発明の粉末焼結体の製造方法を、図1を例にして説明する。図1は、粉末焼結体であるディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル、およびこのノズルを作るための成形体の製造工程を示している。図1(a)〜(d)が本発明の粉末焼結体用成形体の製造方法に該当し、図1(a)〜(h)が本発明の粉末焼結体の製造方法に該当する。

0022

図1(a)に示すように、円筒状の成形金型2に中子3をセットする。中子3は、成形体内部および粉末焼結体内部に複雑な内部構造と形状を付与するために挿入される冶具である。図2(a)に中子3の平面図、図2(b)に中子3の側面図を示した。中子3は、棒状の幹部4と、該幹部4の先端部から放射状に延びて噴射孔を形成する枝部5と、これら枝部5を成形金型2内で安定して支持すべく、枝部5の先端を一体に連結するリング状に形成された支持部6とを有している。中子3には、枝部5が6本設けられている。後述のように、高速遠心成形法においては中子にはほぼ等方的な静水圧力のみがかかる。つまり、高速遠心成形法においては、成形している間、中子に強い機械的力や熱等が加わることがないので、成形中に中子に破損や亀裂等が生じる可能性は小さい。したがって、高速遠心成形法にいては、複雑で微細な構造を有する中子を使用することができ、中子の材料についても、特に強度の大きさを要求されることはない。この中子3は、たとえばアクリル樹脂ポリスチレンABS樹脂などのスチレン系樹脂またはポリカーボネート等の合成樹脂製である。

0023

泥漿1を調整する。泥漿は、通常溶媒に原料粉末を均一に分散させて調整される。本発明は、この泥漿が結合剤樹脂を含有していることに特徴を有する。

0024

原料粉末は、目的とする粉末焼結体に応じて適宜選択され、たとえばオーステナイト系ステンレス鋼粉末、冷間成形用型鋼の高水圧アトマイズ粉末超硬合金サーメット、およびその他の焼結金属製用粉末、並びに高純度アルミナ粉末アルミナマグネシアシリカチタニア等を添加した混合粉末、ベリリア、およびマグネシア磁器等の磁性体部品製造用粉末等である。

0025

分散媒は、原料粉末等に応じて適宜選択され、たとえば水、メタノールエタノールヘプタン2−エトキシエタノール、スチレン、α−メチルスチレントルエンベンゼン等である。

0026

前記結合剤樹脂は、原料粉末が成形され成形体になったときに、原料粉末間に介在し、原料粉末間の結合を強化することにより、成形体の機械的強度を増大する機能を有する。このために、結合剤樹脂を含有する泥漿を用いて遠心成形法により成形体を製造すると、高度に複雑な内部構造と形状にしても、亀裂または破損等を生じにくい成形体を製造することができ、また機械的加工により高度に複雑な形状にすることのできる成形体を製造することができる。結合剤樹脂は、原料粉末および分散媒等に応じて適宜選択され、たとえばエポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エチルセルロース等である。

0027

前記泥漿には、必要に応じて分散剤および硬化剤等を添加することができる。分散剤としては、たとえばポリオキシエチレンジスルホン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートラウリルグリコシド、ジスルホン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、およびソルビタンモノオレエート等を挙げることができる。硬化剤としては、たとえばパーキュアVLおよびメチルエチルケトンパーオキサイド等を挙げることができる。

0028

泥漿は、たとえば次のように調整することができる。原料粉末に分散媒および結合剤樹脂を加えて攪拌する。泥漿に分散剤または硬化剤を添加する場合には、原料粉末、分散媒および結合剤樹脂の混合液に分散剤または硬化剤を添加して攪拌する。分散剤および硬化剤の両方を添加する場合には、分散剤、硬化剤の順番に添加して攪拌することが好ましい。

0029

本発明の泥漿は、このように少なくとも3種類の物質の混合物であり、5種類以上の物質の混合物になることもある。このため本発明の泥漿では、各物質間の相互作用を考慮して、好適な成形体が得られるように、各物質の選択およびその配合量の決定を行う。

0030

たとえば原料粉末が冷間成形用型鋼である場合には、次のような物質が選択される。結合剤樹脂として、常温硬化系のエポキシアクリレート樹脂が好ましい。これは、樹脂としては粘度が低く成形時の粒子充填性に優れているほか,熱分解除去も容易であるからである。このとき硬化剤として有機過酸化物系架橋剤(たとえばパーキュアVL(日本油脂(株)製))を添加することが好ましい。分散媒としては、スチレンモノマーが好ましい。これは、結合剤樹脂との適合性が良いことに加え、結合剤樹脂の固化時にスチレンモノマーが結合剤樹脂と架橋しながら取り込まれていくので、固化収縮を抑制することができるからである。分散剤としては、ポリオキシエチレンジスチレンまたはフェニルエーテルが好ましい。これは、その親水基ポリオキシエチレン基)が原料粉末に吸着し、さらにその芳香族系の親油基が分散媒および結合剤樹脂によくなじむからである。

0031

なお、泥漿の用いる分散媒と中子との組み合わせによっては、成形中に中子が分散媒に溶解することがある。したがって、成形中に中子の溶解が起こるような分散媒と中子との組み合わせは避けることが好ましい。たとえば、中子の材料をアクリル樹脂、分散媒をスチレンとすると、成形中にたとえば前記中子の枝部が溶解して細くなり、その結果、最終的に得られるディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルの噴射孔が細くなって、効率的な噴射を行うことが困難になる場合がある。もっとも、前記組み合わせにおいても、成形時の温度を約−20℃に維持すると、中子の溶解を防止することができ、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルの噴射孔が細くなるのを防ぐことができる。

0032

上記のような原料粉末、結合剤樹脂、硬化剤、分散媒および分散剤を採用した場合の配合割合としては、原料粉末の径が1〜10μmであるときには、前記分散媒に対して結合剤樹脂が50〜70質量%、原料粉末の径が0.1〜1μmであるときには、前記分散媒に対して結合剤樹脂が1〜5質量%であることが好ましい。また原料粉末の配合割合は、分散媒と結合剤樹脂との合計量を1としたとき、約2であることが好ましい。このような配合割合であると、成形体を複雑形状にしても破損や亀裂の発生が抑制され、さらに成形体の成形金型からの離型も容易になる。

0033

このような泥漿1を成形金型2内に注入する。泥漿1が成形金型2内に注入された状態を図1(b)に示した。

0034

次に高速遠心成形を行う。高速遠心成形は公知の方法により行うことができる(特開2005−48230号公報参照)。結合剤樹脂を使用する本発明においては、10〜20℃、5,000〜13,000rpm、1.8〜7.2ksという条件で行うことが、強度の高い成形体が得られる点で好ましい。

0035

この高速遠心成形において、くるみ成形が行われる。「くるみ成形」とは、原料粉末が、中子が存在している部分を除いて堆積し、中子をくるむようにして成形される成形法をいう。この高速遠心成形法におけるくるみ成形においては、成形金型2内の中子3に対してはほぼ等方的な静水圧力のみがかかる。このようにして、中子がくるみ装着されて成型された成形体7が得られる。高速遠心成形を行った後の状態を図1(c)に示した。成形金型2の底部に成形体7が形成され、その上部に上澄み8が形成される。この上澄み8は、分散媒と結合剤樹脂等とからなる。成形体7中に内在する分散媒と結合剤樹脂、および上澄み8中の分散媒と結合剤樹脂とは、重合が起こって固化する。
このようにして製造された成形体7は、原料粉末と、この原料粉末の間に介在し、この原料粉末同士を結合する結合剤樹脂とを有して成る。すなわち、成形体7は、本願発明に係る粉末焼結体用成形体である。上記固化により成形体7の機械的強度は大きくなる。このため、図2に示したような中子3を使用して複雑で微細な内部構造の成形体を作成しても、成形体の破損や亀裂が生じにくい。つまりこの成形体の製造方法は、機械的加工を施さなくても、高度に複雑な内部構造と形状を有する成形体を製造することができる。また、成形金型2から成形体を取り出すときにも、成形体の破損が生じにくい。

0036

成形体7および上澄み8を成形金型2から取り出す。成形金型2から取り出した成形体7および固化した上澄み8を図1(d)に示した。

0037

上澄み8を除去した後、成形体7にドリル等による穴あけ切削旋盤加工等の機械的加工を施し、成形体7を目的形状に整形する。成形体7に機械的加工を施して得られる加工成形体9を図1(e)に示した。前述のように成形体7の機械的強度は大きいので、このような機械的加工を施しても成形体7の破損や亀裂が生じにくい。したがって、中子を使用して複雑な内部構造と形状にするのではなく、機械的加工を施すことにより複雑な形状にすることもできる。つまり、この成形体の製造方法は、機械的加工を施すことにより複雑な内部構造と形状にすることのできる強度の大きい成形体を製造することができる。また、この機械的加工においては、成形体を中子とともに加工し、成形体を所定形状に成形することもできる。

0038

中子3がくるみ装着成型されている加工成形体9から中子3を除去する。中子3を除去した後の加工成形体9を図1(f)に示した。この中子3を除去する操作においても、上述の通り、加工成形体9が強固であるので、加工成形体9の破損や亀裂が生じにくい。中子3を除去する方法としては、加工成形体9とともに中子3を溶剤に浸して中子3を溶解除去する方法、および加工成形体9とともに中子3を加熱して中子3を熱分解除去する方法等を挙げることができる。成形体が複雑形状を有する場合には、成形体にクラックが生じにくい等の理由により、中子3を溶解除去する方法が好適である。しかし、中子の溶解除去の際、浸漬温度が高いほど、また泥漿中の結合剤の割合が低いほど成形体にクラックが生じやすくなるので、このような場合には、熱分解除去する方法が適している。

0039

溶解除去に使用する溶剤としては、中子3は溶解するが結合剤樹脂は溶解しない溶剤が好ましい。このような溶剤を使用すれば、中子の溶解除去中にも成形体の強度が維持されるので、溶解除去中成形体にクラック等が生じにくくなり、また中子の溶解除去後にも成形体の強度が維持されるので、中子の溶解除去後にも成形体の機械的加工が可能になる。このような溶剤としては、中子3がアクリル樹脂製である場合には、ジクロロエタン等を挙げることができる。

0040

加工成形体9を加熱し、加工成形体9中に存在する結合剤樹脂を熱分解して除去する(熱脱脂)。熱脱脂済加工成形体10を図1(g)に示した。この熱脱脂操作においても、上述の通り、加工成形体9が強固であるので、熱脱脂済加工成形体10の破損や亀裂が生じにくい。熱脱脂をするときの温度は、結合剤樹脂を熱分解することが可能な温度であり、結合剤樹脂ごとに決定される。たとえば結合剤樹脂にエポキシアクリレート樹脂を使用したときには、熱脱脂温度としては300〜350℃が好ましい。また成形体のクラック発生を防止するためには、熱脱脂温度まで一気昇温するのではなく、25〜100℃/hで昇温することが好ましい。熱脱脂時間としては、結合剤樹脂にエポキシアクリレート樹脂を使用したときには、熱脱脂温度に達した後4〜200時間であることが好ましい。熱脱脂は、真空アルゴン-水素、アルゴン、空気等の雰囲気下で行うことができる。

0041

また、前記の中子の熱分解除去を、結合剤樹脂の熱脱脂と同一の操作で行うことも可能である。結合剤樹脂の熱脱脂と同一の操作で行う場合、たとえば中子の材料がアクリル樹脂であるときには、真空雰囲気において、25〜100℃/hで昇温していき、280〜300℃の範囲では5℃/h程度でゆっくり昇温して先に中子を熱分解除去し、その後約315℃で60時間保持して、結合剤樹脂を分解除去することができる。

0042

熱脱脂済加工成形体10を焼結する。この焼結によって得られるディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルである粉末焼結体11を図1(h)に示した。焼結温度および焼結時間は、原料粉末、成形体の大きさおよびその形状等に応じて適宜決定される。たとえば1,200〜1,250℃で、0.5〜3時間である。たとえば、原料粉末に冷間成形用型鋼を使用し、通常のディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルを製造する場合、電子顕微鏡観察によると、焼結温度が高くなるに従い焼結体の組織中の気泡の形状が丸くなり、数も減少し、組織の緻密化が進行する。1150〜1180℃では気泡の数の減少は著しく、焼結体の相対密度は93%程度に上昇する。約1260℃以上になると、組織、密度の変化は小さくなり、1350℃で4時間保持すると、相対密度は97%程度まで上昇する。

0043

この粉末焼結体11は、本願発明に係る粉末焼結体である。粉末焼結体11は、図2に示したような複雑で微細な構造を有する中子3を使用して作成した成形体7から作られているので、粉末焼結体11も複雑で微細な構造を有する。すなわちこの粉末焼結体の製造方法は、高度に複雑な形状を有する粉末焼結体を製造することができる。中子3には、枝部5が6本設けられていたので、粉末焼結体11には、6本の枝部5に対応して6個の噴射孔が形成されている。

0044

上述の通り、本発明においては、複雑で微細な構造を有する焼結体を得ることができるので、中子3において枝部の数を増やし、焼結体に設けられる噴射孔の数を7個以上にすることもできる。したがって、本発明によれば、実用上十分な数の噴射孔を有するディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル、たとえば4〜100個、好ましくは10〜50個の噴射孔を有するディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルを製造することができる。4〜100個の噴射孔を有するディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルの製造は、中子3において枝部を4〜100本にすることにより達成される。

0045

また、本発明によれば噴射孔の内径を小さくすることができ、実用上十分な内径の噴射孔を有するディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル、たとえば内径30〜100μm、好ましくは50〜80μmの噴射孔を有するディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルを製造することができる。このようなディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルの製造は、中子3において枝部の径を噴射孔の内径に対応して決定することにより達成される。

0046

また粉末焼結体11を作成した後、これに機械的加工を施して所望の形状の製品を作ることも可能である。

0047

本発明である粉末焼結体用成形体および粉末焼結体、並びにこれらの製造方法は、上記一形態の構成のみには限定されない。

0048

たとえば粉末焼結体としては、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズル以外のノズルであってもよく、小型化や精密化省エネ化など様々な要求の高い電子機器通信機機器などを始めとする各方面の製品であってもよい。この場合、図2に示した中子以外の中子を使用することができる。

0049

上記例では、中子を使用して成形体および粉末焼結体に複雑な形状を付与しているが、本発明の粉末焼結体用成形体および粉末焼結体の製造方法では、中子を用いず、成形金型により成形体に複雑な形状を付与することも可能である。また上述のように、遠心成形で単純な形状の成形体を作った後、これに機械的加工を行って成形体に複雑な形状を付与することもできる。

0050

上記例では、成形体の機械加工を行った後に中子の除去を行っているが、本発明の粉末焼結体の製造方法では、中子除去の後に成形体の機械加工を行ってもよく、また中子除去の前後で成形体の機械加工を行ってもよい。

0051

上記例では、成形体に機械的加工を加えた上で粉末焼結体を製造しているが、本発明の粉末焼結体の製造方法では、成形体に機械的加工を加えることなく、成形体を焼結して粉末焼結体を製造することができる。

0052

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
以下のようにしてディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルおよびこれを製造するための成形体を作成した。

0053

組み合わされると、内径8mmの円筒状の成形型を形成するアルミニウム製の2つの割型を用意し、それらの間に、図2の中子3と同様の形状を有するアクリル樹脂製中子を挟んで、この2つの割型を組み合わせた。中子の枝部は、直径0.2mmであった。

0054

スチレンモノマー5gに常温硬化系のエポキシアクリレート樹脂5gを混合し、この混合液に粉径が4μmである冷間成形用型鋼SKD11(エプソンアトミック(株)製)を20g加えて混合した。この混合液に、ポリオキシエチレンジスチレンを0.8g、パーキュアVLを0.3g添加して、よく攪拌し、泥漿を調整した。

0055

この泥漿を成形型内に注入した。この成形型をロータ半径98mmの高速冷却遠心機(日立株式会社製、CR−22G型)にセットし、これを作動させて、7000rpmで10.8ks間泥漿に遠心力を加え、成形体を作成した。2つの割型を引き離して、成形型から中子とともに成形体を取り出し、上澄みを除去した。このとき成形体に破損および亀裂は生じなかった。

0056

中子とともに成形体をジクロロエタンに浸して中子を溶解除去した。このとき成形体には、中子の枝部が存在していた部位に孔が形成されていた。

0057

この成形体を、50℃/hで昇温して、300℃にて60時間加熱することにより、熱脱脂を行った。

0058

この熱脱脂済の成形体を電気炉に入れ、9.0×10−3Pa以下で、1723Kにて5.4ks間加熱して、焼結した。このようにして焼結体が得られた。この焼結体には破損および亀裂は生じておらず、歪みもなかった。またこの焼結体には、中子の枝部が存在していた部位にノズル孔が形成されていた。この焼結体は、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルとして使用可能であると認められた。
[比較例1]
泥漿中に結合剤樹脂を添加しない以外は、上記実施例と同様にしてディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルおよび成形体の製造を試みた。

0059

成形金型から取り出された成形体には、中子が存在する部分の周辺に亀裂が生じていた。溶媒により中子を溶解除去すると、中子の枝部が存在していた部位に孔は形成されているが、この孔から数本の亀裂が走っていた。

0060

この成形体を焼結して得られた焼結体には、その中央部に大きな亀裂が生じており、焼結体が大きく歪んでいた。またこの焼結体には、中子の枝部が存在していた部位には空隙が存在していたが、その空隙から亀裂が走っているので、ノズル孔としては機能しえないものであった。この焼結体は、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルとしては使用できないと認められた。
[実施例2]
以下の方法により、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルを作製し、燃料噴射試験を行った。
(焼結体の作製)
組み合わされると、内径18 mmの円筒状の成形型を形成するアルミニウム製の2つの割型を用意し、それらの間に、図2の中子3と同様の形状を有するアクリル樹脂製中子を挟んで、この2つの割型を組み合わせた。中子の枝部は、直径100μmであった。

0061

スチレンモノマー5gに常温硬化系のエポキシアクリレート樹脂5gを混合し、この混合液に粉径が4μmである冷間成形用型鋼SKD11(エプソンアトミック(株)製)を20g加えて混合した。この混合液に、ポリオキシエチレンジスチレンを0.8g、パーキュアVLを0.15g添加して、よく攪拌し、泥漿を調整した。

0062

この泥漿を成形型内に注入した。この成形型をロータ半径98mmの高速冷却遠心機(日立株式会社製、CR−22G型)にセットし、これを作動させて、7000rpmで10.8ks間泥漿に遠心力を加え、成形体を作成した。2つの割型を引き離して、成形型から、固化した上澄み部および中子とともに成形体を取り出した。このときの成形体の側面概略図を図3に示した。

0063

この段階で成形体に機械的加工を施し、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルとなるべき外部形状を形成させた。このとき、成形体に付着している中子も一緒に加工した。

0064

成形体に付着していた上澄み部を除去し、成形体をドリルにて穴あけ処理して、ディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルとなるべき内部形状を形成させた。このドリル処理後の成形体の縦断面概略図を図4に示した。

0065

中子が付着したこの成形体を、1.13×10−3Pa以下の真空雰囲気において加熱した。雰囲気温度が280℃までは200℃/hで昇温し、280〜350℃の範囲では2℃/hで昇温した。この操作により、中子を熱分解除去し、さらに結合剤樹脂を分解除去した。

0066

この熱脱脂済の成形体を電気炉に入れ、9.0×10−3Pa以下で、200℃/hで昇温し、1150℃にて1時間保持して、焼結した。このようにして焼結体が得られた。この焼結体の写真を図5に示した。図5(A)は、この焼結体の上面の写真であり、図5(B)は、この焼結体の側面の写真である。
(燃料噴射試験)
この焼結体を、実際のディーゼルエンジンにおいてディーゼルエンジン用燃料噴射ノズルが置かれている条件と同条件下に置き、燃料噴射試験を行った。燃焼室の圧力を1000MPa、シリンダー内圧力を1.5MPa、噴射時間を0.7msとした。噴射孔から噴射された燃料自然着火し、燃焼した。そのときの状態を高速度カメラ撮影した。

0067

図6にこのときに撮影された4枚の写真を示した。図6から、焼結体に設けられた6つの噴射孔から燃料がほぼ均等に噴射されていることがわかる。図6から、焼結体に設けられた6つの噴射孔はすべて十分に実用できるように形成されており、さらにこの焼結体は、実際の燃料噴射に耐えうる強度を有していることがわかった。

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