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技術 高分子アクチュエータ素子、及びそれを用いた点字用ディスプレイ

出願人 国立大学法人山梨大学タカノ株式会社
発明者 奥崎秀典玉木昭男春日久男斉木久政伊東孝道
出願日 2008年3月19日 (12年10ヶ月経過) 出願番号 2009-509041
公開日 2010年7月15日 (10年7ヶ月経過) 公開番号 WO2008-123090
状態 特許登録済
技術分野 高分子成形体の製造 特殊な電動機、発電機
主要キーワード スライドガイド穴 pHメータ 電極ソケット 組立基板 通電接続 取付長 基本パーツ 形状記憶合金コイル
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年7月15日)のものです。
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図面 (10)

課題・解決手段

従来実用化が難しかった空気中などの気体中(乾式)で動作する高分子フィルム又は繊維を用いた高分子アクチュエータ素子(1)を提供する。また、前記高分子アクチュエータ素子を用いた点字ディスプレイを提供する。外部刺激により伸縮する高分子フィルム(17)の一端を固定端、他端を可動端とし、ケース(26)に収納し、前記可動端の近傍に所定長ロッド(12)の一端を固着するとともに前記ロッドの他端を開放端とし、前記高分子フィルムの伸縮により、前記ロッドの先端(22)が前記ケースの外側に突出するように構成する。

概要

背景

高分子フィルム又は繊維に外部刺激を与え、高分子フィルム等を伸縮させる技術は、特許文献1から4により開示されている。これらの特許文献においては、高分子フィルム又は繊維を用い、電気刺激による分子吸脱着によって、気体中で高分子フィルム又は繊維を伸縮または屈曲せしめる方法が開示されている。しかし、これらの特許文献においては、高分子フィルム又は繊維を用いた点字ディスプレイの具体的な構造は一切開示されていない。

点字ディスプレイの構造に関する技術としては、特許文献5、6により開示されている。特許文献5では、点字ピン磁石、あるいはソレノイドにより稼働せしめる点字ディスプレイが開示されている。特許文献6は点字ピンの駆動装置に関すものであるが、この文献においては、形状記憶合金コイル電気通電することで点字ピンを駆動する機構が開示されている。

特許第3131180号公報
特許第3102773号公報
特許第3039994号公報
国際公開第2006−025399号パンフレット
特開2000−206873号公報
特開2001−265213号公報

概要

従来実用化が難しかった空気中などの気体中(乾式)で動作する高分子フィルム又は繊維を用いた高分子アクチュエータ素子(1)を提供する。また、前記高分子アクチュエータ素子を用いた点字ディスプレイを提供する。外部刺激により伸縮する高分子フィルム(17)の一端を固定端、他端を可動端とし、ケース(26)に収納し、前記可動端の近傍に所定長ロッド(12)の一端を固着するとともに前記ロッドの他端を開放端とし、前記高分子フィルムの伸縮により、前記ロッドの先端(22)が前記ケースの外側に突出するように構成する。

目的

そこで、本発明は、従来実用化が難しかった空気中などの気体中(乾式)で動作する高分子フィルム又は繊維を用いた高分子アクチュエータ素子を提供することにある。また、本発明の他の課題は、高分子アクチュエータ素子を用いた点字用ディスプレイを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
3件

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請求項1

外部刺激により伸縮する高分子フィルムの一端を固定端、他端を可動端としケース収納し、前記可動端の近傍に所定長ロッドの一端を固着するとともに前記ロッドの他端を開放端とし、前記高分子フィルムの収縮により、前記ロッドの先端が前記ケースの外側に突出するように構成されていることを特徴とする高分子アクチュエータ素子

請求項2

少なくとも前記ロッドの一部に前記高分子フィルムの伸縮に合わせて伸縮するバネを設け、前記バネにより前記高分子フィルムの伸長が助長されることを特徴とする請求項1に記載の高分子アクチュエータ素子。

請求項3

前記ケース内湿度、及び/又は温度の調節手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の高分子アクチュエータ素子。

請求項4

前記外部刺激は電圧であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。

請求項5

前記可動端が電極を兼ねていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。

請求項6

前記バネのバネ定数を調節する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。

請求項7

外部電極プラグ挿入可能な電極ソケットを更に備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。

請求項8

請求項1から7のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子を備えた点字ディスプレイ

請求項9

請求項8に記載の点字用ディスプレイを備えた現金自動支払機、又は自動販売機

請求項10

請求項8に記載の点字用ディスプレイと、前記高分子アクチュエータ素子を制御する制御回路と、前記制御回路に制御信号を送信するコンピュータとを含む点字ディスプレイシステム

技術分野

0001

本発明は、高分子フィルム又は繊維に外部刺激を与え、これにより分子吸脱着を発生させ高分子フィルム又は繊維が伸縮することを利用した高分子アクチュエータ素子、及びそれを用いた点字ディスプレイに関する。

背景技術

0002

高分子フィルム又は繊維に外部刺激を与え、高分子フィルム等を伸縮させる技術は、特許文献1から4により開示されている。これらの特許文献においては、高分子フィルム又は繊維を用い、電気刺激による分子の吸脱着によって、気体中で高分子フィルム又は繊維を伸縮または屈曲せしめる方法が開示されている。しかし、これらの特許文献においては、高分子フィルム又は繊維を用いた点字ディスプレイの具体的な構造は一切開示されていない。

0003

点字ディスプレイの構造に関する技術としては、特許文献5、6により開示されている。特許文献5では、点字ピン磁石、あるいはソレノイドにより稼働せしめる点字ディスプレイが開示されている。特許文献6は点字ピンの駆動装置に関すものであるが、この文献においては、形状記憶合金コイル電気通電することで点字ピンを駆動する機構が開示されている。

0004

特許第3131180号公報
特許第3102773号公報
特許第3039994号公報
国際公開第2006−025399号パンフレット
特開2000−206873号公報
特開2001−265213号公報

発明が解決しようとする課題

0005

上述したように、空気中などの気体中(乾式)で動作する高分子フィルム又は繊維を用いた点字ディスプレイの具体的な構造を開示する先行技術はない。一方、従来の点字ディスプレイに用いられているアクチュエータは、ソレノイドや形状記憶合金を用いたものであるため、軽量化が難しく、また価格が高いという問題がある。

0006

そこで、本発明は、従来実用化が難しかった空気中などの気体中(乾式)で動作する高分子フィルム又は繊維を用いた高分子アクチュエータ素子を提供することにある。また、本発明の他の課題は、高分子アクチュエータ素子を用いた点字用ディスプレイを提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、外部刺激により伸縮する高分子フィルムの一端を固定端、他端を可動端としケース収納し、前記可動端の近傍に所定長ロッドの一端を固着するとともに前記ロッドの他端を開放端とし、前記高分子フィルムの収縮により、前記ロッドの先端が前記ケースの外側に突出するように構成されていることを特徴とする。

0008

少なくとも前記ロッドの一部に前記高分子フィルムの伸縮に合わせて伸縮するバネを設け、前記バネにより前記高分子フィルムの伸長が助長されることは好適である。高分子フィルム又は繊維の特性として、外部刺激により収縮する速度は速いが、伸長する速度が遅いという問題がある。これは高分子フィルム等の伸縮が拡散律速により決定されるためである。しかし、本発明のように高分子フィルムの伸縮に合わせて収縮するバネを設けることにより高分子フィルムの伸長速度を速くすることができる。

0009

前記ケース内湿度、及び/又は温度の調節手段を備えることは好ましい。高分子フィルムは気体中の水分子の吸脱着により伸縮するため、その伸縮率は湿度に依存する。発明者は、相対湿度が90%以上の環境に高分子フィルム等を設置することにより、相対湿度50%のときよりも3倍近く伸縮率を高めることができる知見を得ている。相対湿度を90%以上に調節するには、温度50℃、相対湿度90%以上の雰囲気下で、高分子フィルム又は繊維に水蒸気を充分吸収させた状態で前記ケース内に固定する。蒸発漏れにより不足した水蒸気は、前記ケースに開けられた水分供給口より適宜供給する。これにより、ケース内の相対湿度を常に90%以上に保つことができる。

0010

前記外部刺激が電圧であることは好ましい。また、前記可動端が電極を兼ねていることは好ましい。可動端が電極を兼ねることにより、高分子フィルムに電圧を印加するための配線が高分子フィルムの伸縮に合わせて動くという問題を解消することができる。

0011

前記バネのバネ定数を調節する手段を備えることは好ましい。これにより、高分子フィルムの伸縮率や伸縮速度を必要に応じて容易に変更することができる。

発明の効果

0012

この発明によれば、空気中などの気体中(乾式)で動作する高分子フィルム又は繊維を用いた高分子アクチュエータ素子を作製することができる。また、本発明の高分子アクチュエータ素子をアセンブルすることにより、点字用ディスプレイを製造することができる。

図面の簡単な説明

0013

高分子アクチュエータ素子の構造図である。
高分子アクチュエータ素子の組み立て構造である。
高分子アクチュエータ素子を点字ディスプレイとして利用したときの構成図である。
高分子アクチュエータ素子の上部の拡大図である。
高分子アクチュエータ素子に直流電圧を印加し、温湿度を制御して、その伸縮挙動を測定したグラフである。
高分子アクチュエータ素子に直流電圧を印加し、温湿度を制御して、その推力特性を測定したグラフである。
湿度を80〜90%RHに保ったケース内で、高分子アクチュエータ素子の耐久性を調べた結果のグラフである。
従来のPEDOT/PSSフィルム高伸縮タイプのPEDOT/PSSフィルムを用いた場合の高分子アクチュエータ素子の大きさの比較を示すグラフである。
本実施例に基いて設計された点字セル外観図9に示すグラフである。

符号の説明

0014

1高分子アクチュエータ素子
11固定電極
12ロッド
13バネ定数調整部
13−1,13−2調整ネジ
14バネ押さえ
15バネ
16可動電極
17高分子フィルム
18 高分子フィルム固定ネジ
19電極固定ネジ
20スライドガイド穴
21 ロッド固定ネジ
22ロッド先端ピン
23通電接続端子
23−1a,23−1b 電極凹部
23−2a,23−2b 電極凸部
24共通電極基板
25接続ソケット
26ケース
27水蒸気供給
30組立基板
40制御回路
50コンピュータ
60配線用基板
100点字ユニット
200点字ディスプレイ
300 点字セル

発明を実施するための最良の形態

0015

本発明は、外部刺激による水分子の吸脱着で伸縮する高分子フィルム又は繊維を用いた高分子アクチュエータ素子に関するものであるが、ここで高分子フィルム及び繊維とは、中性高分子高分子電解質導電性高分子をいう。中性高分子としては、セルロースセロファンナイロンポリビニルアルコールビニロンポリオキシメチレンポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリビニルピロリドンポリビニルフェノールポリ2-ヒドロキシエチルメタクリレート、及びこれらの誘導体から選択される少なくとも1つが挙げられる。

0016

高分子電解質としては、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸などのポリカルボン酸ポリスチレンスルホン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナフィオンなどのポリスルホン酸ポリアリルアミン、ポリジメチルプロピルアクリルアミドなどポリアミンとその四級化塩及びこれらの誘導体から選択される少なくとも1つが挙げられる。

0018

これらの高分子フィルム及び繊維は、キャスト法バーコーティング法スピンコーティング法スプレー法電解重合法化学的酸化重合法、溶融紡糸法湿式紡糸法固相押出法エレクトロスピニング法から選択された少なくとも1つの手法を用いて作製することができる。

0019

これら高分子の吸湿性電導度を上げるために、ドーパントをドープすることは好適である。ドーパントとしては、例えば硫酸塩酸硝酸リン酸ヨウ素、臭素、フッ化ヒ素過塩素酸テトラフルオロホウ酸ヘキサフルオロリン酸アルキルベンゼンスルホン酸アルキルスルホン酸パーフルオロスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸イミドシュウ酸酢酸マレイン酸フタル酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びこれらの誘導体、カーボンブラックカーボンファイバーカーボンナノチューブフラーレン等の炭素添加物、鉄、銅、金、銀等の金属から選択された少なくとも1つが挙げられる。中でも、高い電導度と安定性再現性に優れているポリ(4−スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)のキャストフィルムが好適である。

0020

外部刺激による高分子フィルム又は繊維の分子吸脱着法としては、ニクロム線トーチバーナー赤外線照射レーザー照射マイクロ波照射による加熱、真空ポンプアスピレーターによる減圧直流波や交流波、三角波矩形波及びパルス波などの電圧印加によるジュール加熱から選択される少なくとも1つが挙げられる。中でも、簡便であり制御性に優れた直流電圧が好ましい。

0021

本発明の実施形態では、高分子アクチュエータに使用する高分子フィルムとして、電圧を印加すると水分子の脱着により体積が収縮し、電圧を切ると大気中の水分子を吸着することで膨張して元の体積に戻る特性を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)フィルムを用いた。

0022

かかるPEDOT/PSSフィルムはキャスト法により作製した。PEDOT/PSS水溶液(Baytron P AG,H.C.Starck)に、ドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)(東京化成工業)を0.01wt%、エチレングリコール(東京化成工業)を3wt%加え、テフロン登録商標シャーレ(直径φ105)上でキャストした。キャストの際、PEDOT/PSS水溶液の溶媒である水と、加えたエチレングリコールを蒸発させるため、乾燥オーブン(NDO−400W,EYELA)で60℃、6時間乾燥させ、真空オーブンADP200,ヤマト科学工業)で160℃、1時間熱処理した。上記により作製したフィルム(膜厚10μm)を長さ50mm、幅2mmに切り出した。なお、チャックの掴みしろを考慮して4mm程度長めに切り出した。

0023

図1は、高分子アクチュエータの基本パーツである高分子アクチュエータ素子(単セル)の構造を示した図である。高分子アクチュエータ素子1は、高分子フィルム17が電圧印加により収縮することでロッド12の先端22(ピン22ともいう)が突出し、電圧を切るとフィルムが元の寸法に戻るためロッド12の先端22も元の位置に戻る構造となっている。

0024

上述した方法により作製した高分子フィルムをフィルム固定ネジ18により両端を固定した。高分子アクチュエータ素子1には通電接続端子23を介して電圧が印加される。電圧は直流電圧が好ましく、通電端子(電極凹部)23−1aと23−1bに電圧を印加することで高分子フィルム17の両端に電圧が印加される。なお、印加する電圧の極性は問わない。即ち、通電端子23−1aが正、又は通電端子23−1bが正であってもよく、対極がこれに対応する極性であれば良い。電極は、固定電極11と可動電極16とから構成されている。可動電極16は、スライドガイド穴20に沿って、高分子フィルム17の収縮に合わせて上下に動く。可動電極16とロッド12とはロッド固定ネジ21により固着連結されているため、ロッド12は高分子フィルム17が収縮するのと連動して上の方向に引き上げられ、ロッド12の先端であるピン22が突出する構造となっている。

0025

高分子フィルム17は電圧印加の有無により伸縮するが、収縮する速度が速いのに対して、伸長するときの速度は収縮速度よりも数倍以上遅いという特性がある。これは、高分子フィルム17の伸縮が周囲にある水分子の吸脱着により起こり、水分子の吸脱着の速度は拡散律速により決まるためである。

0026

高分子フィルム17は気体中の水分子の吸脱着により伸縮するため、ケース26内の湿度、温度を調節する必要がある。相対湿度が90%以上の環境に高分子フィルム17を設置することにより、相対湿度50%のときよりも3倍近く伸縮率を高めることができる。このためには、例えば、温度50℃、相対湿度90%以上の雰囲気下で、高分子フィルム17に水蒸気を充分吸収させた状態でケース26内に固定する。蒸発や漏れにより不足した水蒸気は、ケース26に開けられた水分供給口より適宜供給する。これにより、ケース26の相対湿度を常に90%以上に保つことができる。また、湿度、温度を調節する他の手段として、この実施例では水蒸気供給孔27を備えている。水蒸気供給孔27からケース26内に所定の温度の水蒸気を供給することにより、ケース26内の湿度、温度を所定の条件に調節することができる。

0027

高分子フィルム17の伸縮速度の向上を図るため、ロッド12の可動電極16側には、バネ15が挿入されている。バネ15は高分子フィルム17が収縮しない状態において自然長であり、高分子フィルム17が電圧の印加により収縮することにより、バネ15は収縮する。バネ15は、高分子フィルム17に印加される電圧を切った際の高分子フィルム17の伸長を補助するのみならず、高分子アクチュエータ素子1の縦置横置等、任意の設置方向で駆動させることを可能ならしめる。また、バネ定数調整部13によりバネ15のバネ定数を調整することができるように、調整ネジ13−1、13−2等の複数の調整ネジが設けられている。図1においては、バネを受けるバネ押さえ板14に開けた3つの穴と、筐体に開けた4つの穴でバネの取付長を1mm毎に変化させ、アクチュエータのバネ圧を任意に調整することができるように構成している。

0028

図2は、複数個の高分子アクチュエータ素子1を組み合わせたときの構造を示した図である。組立用基板30には、電極の凹部23−1a及び23−1bを差し込むための電極凸部23−2a及び23−2bが必要数設けられている。なお、組立用基板30と高分子アクチュエータ素子1とは必要に応じて両者をボルト等により固定すれば良い。

0029

電極凸部23−2a、23−2bは共通電極基板24と接続しており、共通電極基板24は接続ソケット25と接続している。高分子アクチュエータ素子1への電圧印加は、接続ソケット25に接続する制御回路40により、可動させたい高分子アクチュエータ素子1に選択的に印加される。このような構成とすることにより、高分子アクチュエータ素子1を電子部品のように扱うことができる。また、共通電極基板24上に突出したピンに挿入するだけで簡便に通電させることができる。なお、この実施例ではコンピュータ50が制御パターンを制御回路40に送る構成となっている。

0030

高分子アクチュエータ素子1は単素子としての利用はもちろんであるが、複数個の高分子アクチュエータ素子1と共通電極基板24等を組み合わせることにより、点字セルや点字ディスプレイを作製することができる。

0031

図3は、高分子アクチュエータ素子1を点字ディスプレイとして利用したときの構成の概略図である。この実施例では、高分子アクチュエータ素子1を6個組み合わせることにより、一組の点字ユニット100とし、これを複数個設けて点字ディスプレイ200としている。点字ディスプレイ200は、制御回路40とコンピュータ50に接続し、コンピュータ50からの信号に基づいて制御回路40がロッド12の先端(ピン)22を上下させ、ピン22をケース26の外側に突出させることで点字を表示する。

0032

図4は、高分子アクチュエータ素子1の上部の拡大図である。図4(a)はピン22が突出していない状態、即ち、高分子フィルム17に電圧が印加されていない状態を示した図であり、図4(b)は高分子フィルム17に電圧が印加されることにより、高分子フィルム17が収縮し、これによりピン22が突出した様子を示した図である。

0033

(実施例1)
前述した方法により作製した高分子フィルムを用いて、共通電極基板24上に超小型二段重ね用端子(MB−3−1.2H,マックエイト)を半田付けし、高分子アクチュエータ素子1を挿入した。直流安定化電源(MSAZ36,日本スタビライザー工業)を用いて高分子アクチュエータ素子1に直流電圧を印加し、恒温恒湿槽(KCL−2000W,EYELA)を用いて温湿度を調節する中で高分子アクチュエータ素子1の伸縮挙動を測定した。伸縮挙動はレーザー変位計(LB−080,KEYENCE)で測定し、データ収集システム(NR−500,KEYENCE)を用いてコンピュータ上で解析した。

0034

図5はその結果を示したグラフである。25℃,50%RHの環境下で10Vの電圧を印加すると64mAの電流が流れ、ロッド12の先端(ピン)22は1.2mm(2.4%)持ち上げられた。また電圧を切るとピン22は元の位置に戻った。図5において、電圧ON時、電圧OFF時の傾きからアクチュエータの最大応答速度を求めると、電圧ON時は0.51mm/s、電圧OFF時は0.055mm/sとなった。電圧をOFFした際のピン22の戻り速度は、電圧をONした際のピン22の突出速度に比べて遅く、10分の1程度であることがわかった。これは、電圧をONした際のピン22の突出速度に起因するフィルムの収縮は電気的な強制力によるが、電圧をOFFした際のピン22の戻り速度に起因するフィルムの伸長は水分子の自然拡散で起こるためと考えられる。

0035

また、図6に見られるように、同じ25℃,50%RHの環境下で10Vの電圧を印加した際のロッド12の推力は25gf(約0.25N)となった。これは、現行ピエゾアクチュエータを用いた点字ディスプレイの20gfを超える値で、点字を認識するのに十分満足できる値である。

0036

次に、湿度を80〜90%RHに保ったケース26内で、高分子アクチュエータ素子1の耐久性を調べた。PEDOT/PSSフィルムを高分子アクチュエータ素子1のチャックに挟み、チャック間が50mmとなるように固定した。共通電極基板24上に超小型二段重ね用端子(MB−3−1.2H,マックエイト)を半田付けし、高分子アクチュエータ素子1を挿入した。ポテンショスタットHA−301,電工)を用いて10Vの電圧を2秒間ON、8秒間OFFを1サイクルとし繰り返し印加した。伸縮挙動は、ビデオカメラ(DCR−PC1000,ソニー)で録画した映像をコンピュータ上で画像解析することにより求めた。

0037

その結果を示したものが図7である。始め、1000回あたりまで、高分子フィルム17の収縮に伴う高分子アクチュエータ素子1の変位は変動するが、やがて定常状態に達した。高分子アクチュエータ素子1は、安定した変位量を8万回以上継続して発生させることがわかった。

0038

(実施例2)
高伸縮タイプのPEDOT/PSSフィルムを作製し、このフィルムを用いることにより高分子アクチュエータ素子の小型化が可能なことを検証した。
高伸縮タイプのPEDOT/PSSフィルムの作製は、PEDOT/PSS水溶液(Baytron P AG,H.C.Starck)とポリ(4−スチレンスルホン酸)(PSS)(Aldrich社)をそれぞれPSSの重量比で3:7になるよう混合し、ドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)(東京化成工業)を0.01wt%、エチレングリコール(東京化成工業)を10wt%加え、さらにその混合溶液アンモニア水(1N)(関東化学)を滴下してpHメータ(F−53,堀場製作所)を用いてpH2.5に溶液中和してよく撹拌させた後、テフロン(登録商標)シャーレ(直径105mm)上でキャストした。キャストの際、PEDOT/PSS水溶液の溶媒である水と、加えたエチレングリコールを蒸発させるため、乾燥オーブン(NDO−400W,EYELA)で60℃,6時間乾燥させ、真空オーブン(ADP200,ヤマト科学工業)で160℃,1時間熱処理した。

0039

従来のPEDOT/PSSフィルムの伸縮率は2.4%であったが、高伸縮タイプのPEDOT/PSSフィルムを用いることによりその伸縮率は4%に向上した。図8に、従来のPEDOT/PSSフィルムと高伸縮タイプのPEDOT/PSSフィルムを用いた場合の高分子アクチュエータ素子1の大きさの比較を示す。高分子アクチュエータ素子1に高伸縮フィルムを用いることによって、従来と同じ1mmのピン22の突出に必要なフィルム長が50mmから半分の25mmになり、図8に見られるように、高分子アクチュエータ素子自身を全長68.5mmから43.5mmへと25mm短くすることができ、従来の全長から36%小型化することができた。

0040

小型化した高分子アクチュエータ素子1を6個集積し、一つの点字セル300として一体化した構造の設計を行った。設計された点字セル300の外観を図9に示す。点字セル300として一体化するにあたり、高分子アクチュエータ素子1のピッチ間隔をより狭くするため、6個の筐体を一つにして固定電極11を共通電極とした。また可動電極16側の通電は、配線用基板60を点字セル300に挿入し、6個のバネ15の固定端からまとめて取れるようにした。
本点字セル300は、制御装置から6個の高分子アクチュエータ素子1に電圧をそれぞれ印加し、ピン22の突出を独立して制御することによって点字の表示を可能としたものである。さらに、この点字セル300を並べることで、コンピュータの文字情報を連続した点字表示として出力する点字ディスプレイを作製することが可能になる。

0041

本発明によれば、高分子フィルム又は繊維の伸縮を利用した高分子アクチュエータ素子を作製することができ、かかる高分子アクチュエータ素子は点字ディスプレイ、人工弁ケミカルバルブ、スイッチ等の電子工学素子として応用することができる。

0042

本明細書は、2007年3月20日出願の特願2007−072647に基づく。この内容はすべてここに含めておく。

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