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技術 粉末乾燥調味料とその製造方法及びその製造装置

出願人 ナサコア株式会社
発明者 清川晋清川太郎
出願日 2006年11月30日 (13年11ヶ月経過) 出願番号 2008-548109
公開日 2010年3月11日 (10年8ヶ月経過) 公開番号 WO2008-068814
状態 未査定
技術分野 調味料 醤油及び醤油関連製品
主要キーワード シリコン樹脂膜 気体排出装置 エア導入路 二流体噴霧ノズル さな割れ シャボン玉 直径略 亀甲形
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

少なくとも塩化ナトリウム調味成分及び溶媒を含む液状体調味料を該液状体の沸点温度以下の温度で乾燥させて大径球状体及び小径球状体を含む混合体を生成するため、溶媒が急激に気化することはなく、ゆっくりと蒸発し、水分に溶け込んでいる成分、特に、塩化ナトリウムが、大径球状体の表層部に集積せずに、内部に保持されるため、表層部における塩化ナトリウムの偏析が抑えられ、潮解性が低下する。したがって、使用状態における潮解性が低く、長期間の保存性に優れた粉末乾燥調味料を得ることが可能となる。

概要

背景

わが国における消費量が多く、代表的な液体状の調味料として醤油がある。この醤油には、こいくち醤油、うすくち醤油、たまり醤油、白醤油、さいしこみ醤油、生醤油減塩醤油など多数の種類の商品が製造され、販売されている。通常使用する醤油は液状であり、これをガラスビンペットボトルなどの容器に収容して貯蔵輸送、そして販売され、そして小口に分けて使用される。しかし、液体での貯蔵や輸送することは容積が大きく重量もあることから輸送コストが増加し、また、高温になる場所で保存すると短期間に変質する傾向があり、その保存条件がかなり厳しく、保存中に味が変化するという問題もある。従って、蔵出し直後の新鮮なものが賞用される。
粉ミルクインスタントラーメンなどのは、凍結乾燥噴霧乾燥などの方法によって乾燥して粉体として減容して取扱性や保存性が改善されている。

潮解性について)
しかし、乾燥醤油には本質的な問題がある。
即ち、第1に「潮解性」を有していることである。潮解性を有すると、例えば、直径が5cm程度の平皿状の容器に乾燥醤油を山盛りにした状態で、湿度が50〜60%程度の雰囲気内に放置した場合、約2〜3時間の放置で表面の層が吸湿し、その吸湿した部分が山形に沿って硬化し、あたかも円錐形焼き菓子カサブタのような状態で乾燥醤油の山から剥離する状態に至る。そして、乾燥醤油を1昼夜保存すると全体がベトベト状態となり、取扱性が極端に悪化する。

第2に、第1の潮解性乃至吸湿性により乾燥醤油の微粉末小出しする容器に入れ、これを少量ずつ振りかけのように粉末状で使用することが実質的に困難である。前記のように短時間の吸湿により表面の層がカサブタのように凝集固化してしまうことから、短時間に容器の排出孔目詰まりする。
第3に、乾燥醤油を元の液体に戻した場合には味が大きく変化する。長期に保管すると、吸湿によりカビ臭くなり、味が悪化する。
特に、従来品では穎粒状に形成するために大量の「賦形剤」を付与することから粉末乾燥醤油をもとの状態に戻すと、味が変化する。

乾燥方法について)
粉ミルクやインスタントラーメンの汁などの粉末状の調味料や薬品などには加熱乾燥方法が多く使用されている。この乾燥方法を実施する乾燥機としては、噴霧乾燥機スプレードライヤ)が多く使用されている。
一方、醤油を乾燥する方法は、減圧ドラム乾燥法真空凍結乾燥法噴霧乾燥法が使用されているが、噴霧乾燥法が最も好ましいようである。この噴霧乾燥法に用いられる好ましい装置は、例えば、加圧ノズル式噴霧乾燥機、二流体ノズル式噴霧乾燥機デスクアトマイザー式噴霧乾燥機、噴霧乾燥・造粒兼用乾燥機などが使用されている(非特許文献1、特許文献1、2参照)。
従来では、熱風が上方より下方に供給される乾燥塔内に、高圧の空気と共に醤油を噴霧し、或いは回転円板によって微細化した醤油を分散状態で放出し、霧化された醤油の液滴を加熱して乾燥している。この場合、熱風は120〜200℃、効率を考慮し260℃もの高温加熱空気が採用されている。
株式会社 幸書房 1997.9.1発行乾燥食品基礎と応用」第92〜94頁
特開2004−105066号公報
特開平7−213249号公報

概要

少なくとも塩化ナトリウム調味成分及び溶媒を含む液状体の調味料を該液状体の沸点温度以下の温度で乾燥させて大径球状体及び小径球状体を含む混合体を生成するため、溶媒が急激に気化することはなく、ゆっくりと蒸発し、水分に溶け込んでいる成分、特に、塩化ナトリウムが、大径球状体の表層部に集積せずに、内部に保持されるため、表層部における塩化ナトリウムの偏析が抑えられ、潮解性が低下する。したがって、使用状態における潮解性が低く、長期間の保存性に優れた粉末乾燥調味料を得ることが可能となる。

目的

ところで、一般に、醤油を原料としてこれを乾燥して穎粒状の粉末乾燥醤油とするためには、「賦形剤」としてデキストリンを添加する。賦形剤を使用しない場合、目的とする大きさの穎粒状の粉末乾燥醤油を製造できないからである。ところが、賦形剤は粉末の水溶化にすぐれた性質を持ち、これはとりもなおさず潮解性に大きく寄与する物質である。従って、デキストリンを大量に含むために従来の粉末乾燥醤油は保存性が悪く、たびたび蓋を開閉するような用途には使用できない。その上にデキストリンを含む粉末乾燥醤油に水を添加して元の液体に戻した場合、元の醤油とは異なる成分となっているために元の味と違った味となり、品質の低下が避けられない。
また、従来のスプレードライヤを使用した高温の熱風を使用する乾燥粉末は、上記固形分に僅かな水分(約2〜3%)が含まれるが、醤油として存在していた水分の多くは蒸発している。しかし、この乾燥した粉末乾燥醤油は本質的に潮解性があり、短時間に吸湿することは上述した通りである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

少なくとも塩化ナトリウム調味成分及び溶媒を含む液状体調味料を該液状体の沸点温度以下の温度で乾燥させて大径球状体及び小径球状体を含む混合体を生成し、大径球状体の表層部に塩化ナトリウムの偏析を抑えたことを特徴とする粉末乾燥調味料。

請求項2

前記大径球状体の表層部に塩素及びナトリウムを略均一な分散状態分布させて塩化ナトリウムの偏析を抑えたことを特徴とする請求項1に記載の粉末乾燥調味料。

請求項3

前記偏析による前記塩化ナトリウムの結晶あるいは前記結晶が固結した固結体の大きさは5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉末乾燥調味料。

請求項4

前記液状体の調味料を前記溶媒に含まれるアルコール及び水の共沸点温度以下の温度で乾燥させて大径球状体及び小径球状体を含む混合体を生成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粉末乾燥調味料。

請求項5

前記大径球状体の表層部を断裂のない滑面に形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粉末乾燥調味料。

請求項6

前記混合体の水分量を4〜12重量%としたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の粉末乾燥調味料。

請求項7

前記大径球状体の直径が40μm以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の粉末乾燥調味料。

請求項8

少なくとも塩化ナトリウム、調味成分及び溶媒を含む液状体の調味料を乾燥させて粉末乾燥調味料を製造する製造方法において、前記液状体の沸点温度以下の温度で、高所内壁面の温度が低所内壁面の温度に比べ低くなるように制御された乾燥塔内に、前記液状体の調味料を霧滴となるように噴霧し、この霧滴を乾燥塔内で上下に対流させながら乾燥させることを特徴とする粉末乾燥調味料の製造方法。

請求項9

前記乾燥塔内の温度を溶媒に含まれるアルコール及び水の共沸点温度以下の温度に制御し、この乾燥塔内に、液状体の調味料を霧滴となるように噴霧することを特徴とする請求項8に記載の粉末乾燥調味料の製造方法。

請求項10

高所と低所の温度差が約10〜30℃の範囲となるように、乾燥塔本体の内壁面に温度差を設け、該温度差を利用して内壁面に沿って上昇流を発生させることを特徴とする請求項8又は9記載の粉末乾燥調味料の製造方法。

請求項11

少なくとも塩化ナトリウム、調味成分及び溶媒を含む液状体の調味料を乾燥させて粉末乾燥調味料を製造する製造装置において、乾燥塔本体と、この乾燥塔本体の上部に設けられた原料調味料の噴霧手段と、この噴霧手段に接続された原料調味料の温度制御機能付き供給装置と、前記乾燥塔本体の下部に接続され、乾燥粉末醤油を分離するためのサイクロンと、このサイクロン中減圧状態に保持する気体排出装置とを備え、前記乾燥塔本体の外面に電熱ヒータなどの加熱手段を設けると共に、前記本体の必要な箇所の温度を測定する温度センサを設け、前記塔本体内の温度が、前記液状体の沸点温度以下の温度で、高所内壁面の温度が低所内壁面の温度に比べ低くなるように前記加熱手段の発熱状態を制御する制御装置を設けたことを特徴とする粉末乾燥調味料の製造装置。

請求項12

前記乾燥塔本体内の温度が、前記溶媒に含まれるアルコール及び水の共沸点温度以下の温度で、高所内壁面の温度が低所内壁面の温度に比べ低くなるように前記加熱手段の発熱状態を制御する制御装置を設けたことを特徴とする請求項11に記載の粉末乾燥調味料の製造装置。

請求項13

前記乾燥塔本体の内壁面には、液滴の付着を防止するシリコン加工フッ素樹脂加工等の撥水加工が施されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の粉末乾燥調味料の製造装置。

請求項14

前記乾燥塔本体の外面には酸化アルミ主体の酸化アルミ溶射層と、この酸化アルミ溶射層の上に更に酸化チタンが主体の酸化チタン溶射層とを有する二層構造セラミックス層を形成し、前記酸化チタン層の外面に前記加熱手段を配置したことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の粉末乾燥調味料の製造装置。

請求項15

前記乾燥塔本体の外面に形成した二層構造セラミックス層上に電気絶縁層を介して少なくとも前記乾燥塔本体の長手方向に区分した3つの領域毎に加熱手段を配置し、前記制御部は、各加熱手段をそれぞれ独立して温度制御することを特徴とする請求項14に記載の粉末乾燥調味料の製造装置。

技術分野

0001

本発明は、液状体調味料を乾燥させて製造した粉末乾燥調味料とその製造方法及びその製造装置に関する。

背景技術

0002

わが国における消費量が多く、代表的な液体状の調味料として醤油がある。この醤油には、こいくち醤油、うすくち醤油、たまり醤油、白醤油、さいしこみ醤油、生醤油減塩醤油など多数の種類の商品が製造され、販売されている。通常使用する醤油は液状であり、これをガラスビンペットボトルなどの容器に収容して貯蔵輸送、そして販売され、そして小口に分けて使用される。しかし、液体での貯蔵や輸送することは容積が大きく重量もあることから輸送コストが増加し、また、高温になる場所で保存すると短期間に変質する傾向があり、その保存条件がかなり厳しく、保存中に味が変化するという問題もある。従って、蔵出し直後の新鮮なものが賞用される。
粉ミルクインスタントラーメンなどのは、凍結乾燥噴霧乾燥などの方法によって乾燥して粉体として減容して取扱性や保存性が改善されている。

0003

潮解性について)
しかし、乾燥醤油には本質的な問題がある。
即ち、第1に「潮解性」を有していることである。潮解性を有すると、例えば、直径が5cm程度の平皿状の容器に乾燥醤油を山盛りにした状態で、湿度が50〜60%程度の雰囲気内に放置した場合、約2〜3時間の放置で表面の層が吸湿し、その吸湿した部分が山形に沿って硬化し、あたかも円錐形焼き菓子カサブタのような状態で乾燥醤油の山から剥離する状態に至る。そして、乾燥醤油を1昼夜保存すると全体がベトベト状態となり、取扱性が極端に悪化する。

0004

第2に、第1の潮解性乃至吸湿性により乾燥醤油の微粉末小出しする容器に入れ、これを少量ずつ振りかけのように粉末状で使用することが実質的に困難である。前記のように短時間の吸湿により表面の層がカサブタのように凝集固化してしまうことから、短時間に容器の排出孔目詰まりする。
第3に、乾燥醤油を元の液体に戻した場合には味が大きく変化する。長期に保管すると、吸湿によりカビ臭くなり、味が悪化する。
特に、従来品では穎粒状に形成するために大量の「賦形剤」を付与することから粉末乾燥醤油をもとの状態に戻すと、味が変化する。

0005

乾燥方法について)
粉ミルクやインスタントラーメンの汁などの粉末状の調味料や薬品などには加熱乾燥方法が多く使用されている。この乾燥方法を実施する乾燥機としては、噴霧乾燥機スプレードライヤ)が多く使用されている。
一方、醤油を乾燥する方法は、減圧ドラム乾燥法真空凍結乾燥法噴霧乾燥法が使用されているが、噴霧乾燥法が最も好ましいようである。この噴霧乾燥法に用いられる好ましい装置は、例えば、加圧ノズル式噴霧乾燥機、二流体ノズル式噴霧乾燥機デスクアトマイザー式噴霧乾燥機、噴霧乾燥・造粒兼用乾燥機などが使用されている(非特許文献1、特許文献1、2参照)。
従来では、熱風が上方より下方に供給される乾燥塔内に、高圧の空気と共に醤油を噴霧し、或いは回転円板によって微細化した醤油を分散状態で放出し、霧化された醤油の液滴を加熱して乾燥している。この場合、熱風は120〜200℃、効率を考慮し260℃もの高温加熱空気が採用されている。
株式会社 幸書房 1997.9.1発行乾燥食品基礎と応用」第92〜94頁
特開2004−105066号公報
特開平7−213249号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、一般に、醤油を原料としてこれを乾燥して穎粒状の粉末乾燥醤油とするためには、「賦形剤」としてデキストリンを添加する。賦形剤を使用しない場合、目的とする大きさの穎粒状の粉末乾燥醤油を製造できないからである。ところが、賦形剤は粉末の水溶化にすぐれた性質を持ち、これはとりもなおさず潮解性に大きく寄与する物質である。従って、デキストリンを大量に含むために従来の粉末乾燥醤油は保存性が悪く、たびたび蓋を開閉するような用途には使用できない。その上にデキストリンを含む粉末乾燥醤油に水を添加して元の液体に戻した場合、元の醤油とは異なる成分となっているために元の味と違った味となり、品質の低下が避けられない。
また、従来のスプレードライヤを使用した高温の熱風を使用する乾燥粉末は、上記固形分に僅かな水分(約2〜3%)が含まれるが、醤油として存在していた水分の多くは蒸発している。しかし、この乾燥した粉末乾燥醤油は本質的に潮解性があり、短時間に吸湿することは上述した通りである。

0007

そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、使用状態における潮解性が低く、長期間の保存性に優れた粉末乾燥調味料とその製造方法及びその製造装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するため、本発明は、粉末乾燥調味料において、少なくとも塩化ナトリウム調味成分及び溶媒を含む液状体の調味料を該液状体の沸点温度以下の温度で乾燥させて大径球状体及び小径球状体を含む混合体を生成し、大径球状体の表層部における塩化ナトリウムの偏析を抑えたことを特徴としている。
本発明では、液状体の沸点温度以下の温度で乾燥させることで、液状体を構成する溶媒が急激に気化することはなく、ゆっくりと蒸発することとなる。
このため、大径球状体を形成するに際し、水蒸気は大径球状体内部から外部に向かってゆっくりと移動し、表面からゆっくりと放出されるので、水分に溶け込んでいる成分、特に、塩化ナトリウムを表層部に集積させることなく、内部に保持させた状態を保つことができる。
従って、大径球状体の表面における塩化ナトリウムの固結による結晶化が促進されることはなく、ひいては、大径球状体の表層部における塩化ナトリウムの偏析を抑え、潮解性を低く保つことが可能となる。

0009

この場合において、好ましくは、前記大径球状体の表層部に塩素及びナトリウムを略均一な分散状態で分布させて塩化ナトリウムの偏析を抑えるようにしてもよい。
また、より好ましくは、前記液状体の調味料を前記溶媒に含まれるアルコール及び水の共沸点温度以下の温度で乾燥させて大径球状体及び小径球状体を含む混合体を生成するようにしてもよい。
本構成では、溶媒に含まれるアルコール及び水の共沸点温度以下の温度で乾燥させることで、アルコールの蒸発に伴う、アルコール及びこのアルコールに溶けている旨味成分が失われるのを抑制し、旨味成分及びアルコールを大径球状体又は小径球状体内部に保持させたままとすることができ、より、原料調味料に近い味を保持することができる。

0010

さらに、好ましくは、前記大径球状体の表層部を断裂のない滑面に形成するようにしてもよい。
また、好ましくは、前記混合体の水分量を4〜12重量%とするようにしてもよい。
さらに、好ましくは、前記大径球状体の直径が40μm以上であるようにしてもよい。

0011

また、少なくとも塩化ナトリウム、調味成分及び溶媒を含む液状体の調味料を乾燥させて粉末乾燥調味料を製造する製造方法において、前記液状体の沸点温度以下の温度で、高所内壁面の温度が低所内壁面の温度に比べ低くなるように制御された乾燥塔内に、前記液状体の調味料を霧滴となるように噴霧し、この霧滴を乾燥塔内で上下に対流させながら乾燥させることを特徴としている。

0012

この場合において、好ましくは、前記乾燥塔内の温度を溶媒に含まれるアルコール及び水の共沸点温度以下の温度に制御し、この乾燥塔内に、液状体の調味料を霧滴となるように噴霧するようにしてもよい。
また、より好ましくは、高所と低所の温度差が約10〜30℃の範囲となるように、乾燥塔本体の内壁面に温度差を設け、該温度差を利用して内壁面に沿って上昇流を発生させるようにしてもよい。

0013

また、少なくとも塩化ナトリウム、調味成分及び溶媒を含む液状体の調味料を乾燥させて粉末乾燥調味料を製造する製造装置において、乾燥塔本体と、この乾燥塔本体の上部に設けられた原料調味料の噴霧手段と、この噴霧手段に接続された原料調味料の温度制御機能付き供給装置と、前記乾燥塔本体の下部に接続され、乾燥粉末醤油を分離するためのサイクロンと、このサイクロン中減圧状態に保持する気体排出装置とを備え、前記乾燥塔本体の外面に電熱ヒータなどの加熱手段を設けると共に、前記本体の必要な箇所の温度を測定する温度センサを設け、前記塔本体内の温度が、前記液状体の沸点温度以下の温度で、高所内壁面の温度が低所内壁面の温度に比べ低くなるように前記加熱手段の発熱状態を制御する制御装置を設けたことを特徴としている。
従って、本発明の装置では、液状体の沸点温度以下の温度で乾燥させることで、液状体を構成する溶媒が急激に気化することはなく、ゆっくりと蒸発することとなり、大径球状体を形成するに際し、水蒸気は大径球状体内部から外部に向かってゆっくりと移動し、表面からゆっくりと放出されるので、水分に溶け込んでいる成分、特に、塩化ナトリウムを表層部に集積させることなく、内部に保持させた状態を保たせることできる。
従って、本装置で得られる大径球状体の表面における塩化ナトリウムの固結による結晶化が促進されることはなく、ひいては、大径球状体の表層部における塩化ナトリウムの偏析を抑え、潮解性を低く保つことが可能となる。

0014

この場合において、好ましくは、前記乾燥塔本体内の温度が、前記溶媒に含まれるアルコール及び水の共沸点温度以下の温度で、高所内壁面の温度が低所内壁面の温度に比べ低くなるように前記加熱手段の発熱状態を制御する制御装置を設けるようにしてもよい。
本構成では、溶媒に含まれるアルコール及び水の共沸点温度以下の温度で乾燥させることで、アルコールの蒸発に伴う、アルコール及びこのアルコールに溶けている旨味成分が失われるのを抑制する。したがって、得られる大径球状体あるいは小径球状体は、旨味成分及びアルコールをその内部に保持したままとすることができ、より、原料調味料に近い味を保持した粉末乾燥調味料を得ることが可能となる。
また、より好ましくは、前記乾燥塔本体の内壁面には、液滴の付着を防止するシリコン加工フッ素樹脂加工等の撥水加工が施されているようにしてもよい。

0015

さらに、好ましくは、前記乾燥塔本体の外面には酸化アルミ主体の酸化アルミ溶射層と、この酸化アルミ溶射層の上に更に酸化チタンが主体の酸化チタン溶射層とを有する二層構造セラミックス層を形成し、前記酸化チタン層の外面に前記加熱手段を配置するようにしてもよい。
さらにまた、好ましくは、前記乾燥塔本体の外面に形成した二層構造セラミックス層上に電気絶縁層を介して少なくとも前記乾燥塔本体の長手方向に区分した3つの領域毎に加熱手段を配置し、前記制御部は、各加熱手段をそれぞれ独立して温度制御するようにしてもよい。

発明の効果

0016

本発明では、少なくとも塩化ナトリウム、調味成分及び溶媒を含む液状体の調味料を該液状体の沸点温度以下の温度で乾燥させて大径球状体及び小径球状体を含む混合体を生成したから、混合体の生成過程で大径球状体の表層部に塩化ナトリウムの偏析を抑えることができ、潮解性の原因である成分が空気と接触が少なく、或いは露出しないように保護されるため、使用状態における潮解性を低下し、長期間の保存性が高められる。

図面の簡単な説明

0017

本発明を実施するための装置の一例を示す図である。
(A)は図1に示す乾燥塔における気流の流れの説明図、(B)は同じく混合流発生状態の説明図である。
乾燥塔本体の一部断面図。
乾燥塔本体の一部断面図。
ノズルの断面図。
図5のV−V断面図。
ノズルの横断面図。
ノズルの断面図。
ノズルの横断面図。
実施形態の製造方法により得られる粉末乾燥醤油の走査型電子顕微鏡写真である。
図10の粉末乾燥醤油を拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
従来の製造方法による粉末乾燥醤油の走査型電子顕微鏡写真である。
実施形態の粉末乾燥醤油試料表面状態及び表層の元素分析結果を対応づけた説明図である。
従来例の粉末乾燥醤油試料における反射電子像に基づく、表層の元素分析結果の説明図である。
実施形態の粉末乾燥醤油をFIB加工した断面の走査型イオン顕微鏡写真である。
従来例の粉末乾燥醤油をFIB加工した断面の走査型イオン顕微鏡写真である。
実施形態の粉末乾燥醤油の顕微鏡写真のスケッチである。
実施形態の粉末乾燥醤油の顕微鏡写真のスケッチである。
実施形態の粉末乾燥醤油の顕微鏡写真である。
実施形態の粉末乾燥醤油の顕微鏡写真である。
実施形態の粉末乾燥醤油の顕微鏡写真である。
実施形態の粉末乾燥醤油の顕微鏡写真である。
従来法によって得られた粉末乾燥醤油の顕微鏡写真のスケッチである。
従来法によって得られた粉末乾燥醤油の顕微鏡写真のスケッチである。
従来法によって得られた粉末乾燥醤油の顕微鏡写真である。
従来法によって得られた粉末乾燥醤油の顕微鏡写真である。
従来法によって得られた粉末乾燥醤油の顕微鏡写真である。
従来法によって得られた粉末乾燥醤油の顕微鏡写真である。

符号の説明

0018

1乾燥塔本体
噴霧ノズル
ポンプ
原料タンク
配管
5a加熱器
ダクト
7サイクロン
ブロア
排気処理装置
17電熱ヒータ
D ドレン
d粉末乾燥醤油
dn下降流
m霧滴
原料醤油
S1、S2温度センサ
u 上昇流

発明を実施するための最良の形態

0019

以下、本発明の一実施の形態を添付した図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の製造装置である。
図1において、符号1は乾燥塔本体を示し、乾燥塔本体1の上部には、スプレーノズル2(二流体噴霧ノズル)が接続されている。スプレーノズル2には加熱器5a、ポンプ3が順に接続され、ポンプ3には醤油rが充満したタンク4が接続されている。タンク4内の醤油rはポンプ3で加圧され、更に、加熱器5aで加熱され、配管5を経由して所定量ずつスプレーノズル2に供給され、塔本体1内に噴霧されて微細な霧滴mを形成するようになっている。加熱器5aを介在させた意味は、低温の醤油をそのまま噴霧した場合、粉末乾燥醤油の形成が円滑にできず、場合によっては爆発的な蒸発を発生する危険性があるからである。

0020

この乾燥塔本体1は、低温乾燥を適用する関係もあって、比較的長尺竪型円筒状に形成されており、例えば、直径が0.5〜1m、高さが5m〜10mの円筒形の装置を使用している。そのために霧滴が塔本体1内を降下するための時間を長くして低温加熱によっても十分に粉体を形成できる。
図2(A)及び図2(B)は、それぞれ乾燥塔本体の一部断面図であり、図3は、乾燥塔本体に形成された2層構造セラミックス層の説明図である。乾燥塔本体1は、アルミニウム製(場合によってはステンレス鋼鉄板を使用することも可能である。)であって、その外表面には、図3に示すように、アルミナセラミックス層C1を溶射し、このアルミナセラミックス層C1の上に酸化チタンセラミックス層C2を溶射して二層構造セラミックス層21を形成している。

0021

二重構造セラミックス層21の外表面の上層には、図4に示すように、電気絶縁層22を介して遠赤外線電熱ヒータ17が設けられている。電熱ヒータ17は、図2に示すように、乾燥塔本体1の長手方向に複数段(17a、17b、17c)に分割され、塔本体1の長さ方向の温度を自在に調整できるようにしている。そして、乾燥塔本体1の内部には、図1に示すように、少なくとも上部と中間部と下部とに、乾燥塔本体1の内部の温度と温度分布を測定するための温度センサS1,S2を複数本設けており、乾燥塔本体1内の全体的、総合的に温度制御できるようになっている。
また、乾燥塔本体1の内面には、撥水性樹脂膜としてシリコン樹脂膜あるいはフッ素樹脂膜コーティングされ、醤油の霧滴が付着せず、粉末乾燥醤油を効率的に生成できるようにしている。

0022

図5は、スプレーノズルの断面図、図6は、図5のV−V断面図、図7乃至図9は、霧滴生成の説明図である。
スプレーノズル2は、ポンプ3からの醤油rを一時的に蓄える液だめ部31を備え、この液だめ部31は複数の細孔32を介して霧滴生成部35(=霧滴生成空間)に連通している。33は、供給された醤油rをシャワー状態で噴出するノズル部を示す。
霧滴生成部35には、図6に示すように、3本のエア導入路35が連通し、3本のエア導入路35は、霧滴生成部35の中心方向、かつ、互いに交差する方向に延びている。各エア導入路35には、加熱空気供給手段(図示せず)を介して、所定の温度に加熱された圧縮空気(エアa)が導入される。

0023

ポンプ3を駆動し、液だめ部31に醤油rが供給されると、供給された醤油rは、複数の細孔32を有するノズル部33に導入され、シャワー状の醤油fとして霧滴生成部35内に供給される。この状態で、エア導入路36からエアaが導入されると、図7乃至図9に示すように、霧滴生成部35内で乱流が発生し、シャワー状の醤油fは、かき乱されて、霧滴mとされる。そして、霧滴生成部35の下方の開口から乾燥塔本体1内に滴下する。
このとき、エア導入路36から導入されたエアaは、図9に示すように、霧滴生成部35の内面の略対向する位置に吹き付けられ、胴部の壁に沿って流れをつくり、霧滴fが胴部の壁に接することなく、滴下するようにされている。

0024

乾燥塔本体1の下部には、パイプ乃至ダクト6が接続され、ダクト6はサイクロン7の供給管に接続され、サイクロン7の排出管6aは強力な排気を行うブロア8に接続されている。ブロア8よりの排気は、排気処理装置9に導かれ、排気処理装置9は、乾燥工程で発生した水蒸気を冷却水の噴霧によって液化してドレンDとし、或いは排気中に含まれている固形分をフィルタにより分離除去する機能を有する。また、サイクロン7により分離された生成結果物の粉末乾燥醤油dは、バルブを介して接続されているタンク7a内に収容されるようになっている。

0025

図2(A)において、電熱ヒータ17は三区分17a、17b、17cに分割され、それぞれ別の温度に制御が可能である。例えば、スプレーノズル2の存在する部分の温度T1が60℃となるように電熱ヒータ17aの温度を制御し、中間部の温度T2が65℃となるように電熱ヒータ17bの温度を制御し、更に下部の温度T3が75℃となるように電熱ヒータ17cの温度を制御することが可能である。ここで、乾燥塔本体1の内部の温度を正確に測定することは、気流や輻射熱などの関係で困難である。そこで、電熱ヒータ17の部分の温度を正確に測定して、乾燥塔本体1の内部の温度を予測して制御する方法も採用することができる。

0026

上記構成では、乾燥塔1の内部から放射される遠赤外線を利用して、噴霧に間接的な熱エネルギの付与によって乾燥することを主体としている。もっとも被処理原料である醤油を噴霧するために使用する低温の温風と塔本体の内面からの輻射熱の放射によっても熱エネルギが与えられることは勿論である。

0027

つぎに、粉末乾燥醤油の製造方法について説明する。
液状調味料である原料醤油rには、少なくとも塩化ナトリウム(塩分)、調味成分(全窒素分等)及び溶媒(アルコール及び水)等が含まれているが、例えば、「こいくち醤油」成分の一例を挙げると次の通りである。
(1)全窒素分:1.602%…(旨味成分・固形成分)
アスパラギン酸グルタミン酸
(2)塩分:16.15%… (潮解性関与成分・固形成分)
(3)糖類:3.1%… (潮解性関与成分)
還元糖グリコースアラビノース
グリセリンアラニン
(4)固形分:19.1%… (核となる成分の一部・固形成分)
無機質カリウムカルシウム、マ
グネシウム、リン、鉄など)
酵素
(5)アルコール分:2.65%…(蒸発気化成分)
(6)水分:57.4%… (蒸発気化成分)
本実施形態において、この原料醤油rには、粉末に賦形するための賦形剤が添加されていない。これは、原料となる醤油の味に変化を与えないためである。

0028

上述のように、乾燥塔本体1内の各部の温度T1、T2、T3(つまり電熱ヒータ側の温度)が調節される。この実施の形態では、下部の温度T3を82℃(醤油中の水とアルコールの共沸温度)以下とし、上部の温度T1を40℃以上とし、さらに中央部の温度T2を上部の温度T1と下部の温度T3の中間の温度となるように制御する。このとき、
10℃≦|T3−T1|≦30℃ …(1)
となるように制御する。
乾燥塔本体1内の各部の温度T1、T2、T3の制御は、上記の制御装置21(図1参照。)が司る。

0029

ついで、タンク4とノズル2の間に設けてある加熱器5aにより原料醤油rを約70℃に加熱しつつ、約80℃の熱風と共に塔本体1内に噴霧する。
図2(B)は、塔本体1内部の霧滴の撹乱状態を示し、図2(A)のような気流によって、塔本体1内部には効率的な撹乱状態が作りだされている。その結果、醤油rの霧滴は、濃霧海のように形成されて乾燥塔本体1内を気流(上昇気流及び下降気流)に乗って浮遊し、回転し、融合し、合体を繰り返して乾燥し、粉末乾燥醤油が得られる。
実際に得られた粉末乾燥醤油は、醤油の微細な霧滴が、乾燥塔の中で独立して個々に、そのままの状態で乾燥したとして得られるであろう微粉末の大きさと比較して、遙に大型のものに成長している。即ち、霧滴がそのまま乾燥しても必要とする大きさの粉末乾燥醤油を形成しないと考えられる。

0030

この観察より、発明者は、次のように推察している。乾燥塔本体1内に噴霧された微細な醤油の霧滴は、乾燥塔本体の中の温風(遠赤外線と温風が充満)の中を浮遊し、旋回しながら、回転し、衝突し、しかも衝突した霧滴同志は互いに融け合い、合体して次第に集合体として成長する。つまり、シャボン玉が浮遊し、旋回しながら落下する間に、他のシャボン玉と接触し、互いに付着したものは大きく成長する。この成長過程において、融合することができない小さなシャボン玉を内部に、あたかも種を含むように外殻が次第に成長していくのである。また、この成長の段階の温度条件や後述する撹乱の条件により、製品となった微粉末の外形的に変化する。醤油の成分は、先に例示したように固形分と水分と揮発分の混合体であるため、乾燥が進むにつれて原料醤油に含まれていた固形分が粉末の骨格を形成することとなる。

0031

即ち、乾燥塔本体1内へ噴霧された醤油rの霧滴を穏やかに加熱することで、ヒートショックを防止しつつ、中間部から下部に至るに従って温度を高め、その間に乾燥塔本体1の側壁より多量の遠赤外線を照射して霧滴内部も均一に加熱することで、表面のみが乾燥してしまうことにより、内圧が上昇して水蒸気爆発が発生するような乾燥を防ぎながら造粒を助長する。
この造粒の過程では、上記(1)式に従い、乾燥塔本体1の内部の壁面に沿って上昇流uを、中央部に下降流dnを発生することができ、それによって、霧滴が塔本体1の内部を浮遊する時間を調節可能である。

0032

以上をまとめると乾燥条件加熱条件)の設定の指針は、以下のようになる。
本実施の形態は、少量の粉末乾燥醤油を製造した経験と、電子顕微鏡写真等の観察、粉末乾燥醤油の外形からの蒸発挙動の推察、予想などを考慮した結果得られたものである。
(1)霧滴が乾燥する際には、霧滴より水蒸気が発生する。この場合、「水分の沸騰」を極力防止することを目的として、醤油の霧滴の加熱条件と加熱手段を、従来技術では適用されていない範囲の低温乾燥の採用に適したものとする。
(2) 低温乾燥を行うために、乾燥に寄与する熱エネルギーとして大量の「遠赤外線の放射」と、少量の熱風を併用する。
そして乾燥塔本体内の温度を、原料醤油に含まれている水とアルコールの共沸点(約82℃)以下の温度として爆発的な水蒸気の発生を抑制する。
具体的には、原料醤油の成分を構成している水とアルコール分の混合体の共沸点以下である、40℃〜82℃であり、乾燥温度を前記範囲内とし、好ましくは60℃前後とする。
その理由は、霧滴からの水分の蒸発を、従来技術に比較して、遙かに穏やかなものとするためである。
この結果、乾燥温度が醤油の成分を構成している水とアルコールの共沸温度である82℃より低いと、粉末乾燥醤油の中に水分を7%〜8%程度残すことが可能となり、醤油に含まれているアルコール分と旨み成分残留させることが可能となる。

0033

(3) 本実施の形態は、霧滴から穏やかな水分の蒸発を目的としているから、乾燥を助けるために、乾燥塔本体の長さは従来の高温乾燥を行う装置と比較すると長く設定することとなる。
(4) また、乾燥塔本体の内部の壁面に沿う「上昇流」を塔本体の上下の温度差によって自然に発生させ、乾燥の状態に加熱状態を合わせる必要があるので、乾燥塔本体の温度を上部と中間部と下部、あるいは上下に分割して下部側の温度を高温に、上部側の温度を下部側の温度より低い温度とする。上部−下部の温度差は、好ましくは15℃以上とする。この場合に、最高温度が醤油の成分を構成している水とアルコールの共沸温度である82℃より低ければ、20℃〜30℃程の温度差でも実施可能である。
即ち、実際の製造装置では、上部−下部の温度差が小さいと必要とする上昇気流を十分に発生し乃至、温度差を大きくするために下部側(高温度側)の温度を上げると、上述した温度範囲から外れることになるので、上述した温度範囲内において実現可能な温度差を実際の装置で設定する必要がある。

0034

図10は、実施形態の製造方法により得られる粉末乾燥醤油の走査型電子顕微鏡写真であり、図11は、一部の大径球状体を拡大して示す同写真である。
本実施形態の構成では、醤油rの霧滴mは所定の温度(醤油中の水とアルコールの共沸温度以下の温度)及び(1)式に従う所定の温度分布となるように加熱されている乾燥塔本体1内の上記撹乱状態の中を長時間に亘り浮遊し、この霧滴が他の霧滴、或いは霧滴から一部の水分が蒸発した略乾燥粉末醤油と接触、融合、合体を繰り返し、図10に示すように、例えば直径略5〜30μm程度の小径球状体を形成し、或いは、形成された小径球状体を経て直径略30μm以上(より好ましくは40μm以上)の大径球状体を形成する。

0035

本実施形態では、小径球状体及び大径球状体が混合体を生成し、大径球状体の表層部は、図11に示すように、断裂のない滑面に形成され、しかも、上記の接触、融合、合体の繰り返しにより生成された大径球状体(直径が略100μm)の表層部には塩化ナトリウム結晶(あるいは塩化ナトリウム結晶が固結した固結体)の偏析が2箇所aに現れるだけで、それ以外の部位への偏析が抑えられている。該写真では、塩化ナトリウム結晶の偏析は白色で現れている。

0036

偏析による塩化ナトリウム結晶等の大きさは、1個単位で例えば5μm以下であれば、それが球状体の表層部に、複数個出現したとしても、潮解性はより低く抑えられる。また、塩化ナトリウム結晶等で覆われる表層部の面積は、大径球状体の全表面積に対する面積比で、実用的には、略30%程度以下であればよく、より好ましくは、その面積比が15%以下であればよく、さらに好ましくは数%未満であれば、潮解性はより低く抑えられる。
これらは、吸湿した場合であっても、各塩化ナトリウム結晶等が互いに物理的に離れた位置に配置されているため、各塩化ナトリウム結晶等の表面に水分(飽和食塩水)が付着したとしても、協働することができないので、付着する水分の量が増加することなく、再び空気中に放散され、多くの水分を蓄えることができ、潮解性の原因となる塩化ナトリウム結晶の固結体が成長しづらいからである。
ここで、表層部への偏析が抑えられるのは、乾燥を穏やかに行っているため、原料醤油に含まれていた塩化ナトリウムが球状体の表層側一気に水と一緒に移動することがなく、球状体の各部に均等に留まるためと推察される。
本実施形態の粉末乾燥醤油は、残留水分量7〜9%が高いため、塩化ナトリウム(あるいは塩素イオン及びナトリウムイオン)を球状体内部に均等に保持し、結晶化させにくくしている。

0037

ここで、従来の製造方法による粉末乾燥醤油との比較を行う。
図12は、従来の製造方法による粉末乾燥醤油の走査型電子顕微鏡写真である。
図12に示すように、従来の製造方法による粉末乾燥醤油における、大径球状体の表層部には、塩化ナトリウム結晶の偏析が随所(符号bで示す白く見える箇所)に見られ、表層部の全域にほぼ均一に塩化ナトリウム結晶の偏析が認められる。これを裏付けるように、従来の製造方法による粉末乾燥醤油を賞味した場合には、強い塩味感じることとなる。
これに対し、本実施形態の粉末乾燥醤油では、直径100μm以上の大径球状体においても、大径球状体の表層部には顕微鏡写真の分解能(≒1μm)の範囲内にて、塩化ナトリウム結晶の偏析が2箇所aに認められるだけで、広範な偏析は認められない。これを裏付けるように、本実施形態の粉末乾燥醤油を賞味した場合には、塩味が押さえられ、穏やかでまろやかな味となっている。

0038

図13は、実施形態の粉末乾燥醤油試料の表面状態及び表層(表面から約1μm)の元素分析結果を対応づけた説明図である。ここで、図13(A)は、BEI(Back scattering Electron Image)像、図13(B)は、EDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)による塩素原子(Cl)の分布状態説明図、図13(C)は、同じくEDSによるナトリウム原子(Na)の分布状態説明図である。
図13(A)に示すようなBEI像によれば、外観的には、塩化ナトリウム結晶の偏析は見受けられない。BEI像では、塩化ナトリウム結晶が存在すると、図13(A)の中央部に示した粉末乾燥醤油の大径球状体(直径が略80μm)の表面に白っぽい部分が外観されるが、図13(A)には、それが外観されない。また、元素分析的にも、図13(A)の中央部に示した粉末乾燥醤油の大径球状体(直径が略80μm)に着目した場合、図13(B)に示すように、塩素原子(Cl)は、大径球状体の表面にほぼ一様に分散状態で分布していることがわかる。塩化ナトリウム結晶が存在すれば、塩素原子(Cl)の点の密度増して、図中、大径球状体の表面の黒色が色濃くなるはずであるが、図13(B)には、それが外観されない。
同様に、ナトリウム原子(Na)についても、図13(C)に示すように、図13(A)の中央部に示した粉末乾燥醤油の大径球状体の表面にほぼ一様に分散状態で分布していることがわかる。この場合も塩化ナトリウム結晶が存在すると、ナトリウム原子(Na)の点の密度が増して、図中、大径球状体の表面の黒色が色濃くなるはずであるが、図13(C)には、それが外観されない。

0039

図14は、従来例の粉末乾燥醤油試料における反射電子像に基づく、表層(表面から約1μm)の元素分析結果の説明図である。ここで、図14(A)は、BEI像、図14(B)は、塩素原子(Cl)の分布状態説明図、図14(C)は、ナトリウム原子(Na)の分布状態説明図である。図14(A)に示すBEI像によれば、外観的にも、試料の表面に白色部分が多く散見され、従来のものでは、塩化ナトリウムの偏析とみられる状態が観察されている。そして、従来の粉末乾燥醤油の大径球状体(図14(A)中央より左斜め上に存在する最も径が大きいもの)に着目した場合、塩素原子(Cl)は、図14(B)に示すように、図中、黒い領域(塩素原子の多い領域)と、白い領域(塩素原子の少ない領域)とが明確に分かれており、塩素が表面の一部に偏って存在していることがわかる。同様に、ナトリウム原子(Na)も、図14(C)に示すように、大径球状体の一部に偏って存在していることがわかる。

0040

これらの結果から、従来の粉末乾燥醤油では、表面に塩化ナトリウム結晶の偏析が見られ、これにより、塩化ナトリウムに起因する潮解性が生じると推定される。先に述べたように、粉末乾燥醤油を賞味した場合に強い塩味を感じるのは、この偏析した塩化ナトリウムに起因していると考えられる。
これに対し、本構成の粉末乾燥醤油においては、深度1μm程度までの表層において、塩素(Cl)及びナトリウム(Na)が略均一に分散状態で分布しているが、表層部には塩化ナトリウム結晶の偏析は認められず、これにより、塩化ナトリウムに起因する潮解性が低下していることがわかる。これにともなって、先に述べたように、本実施形態の粉末乾燥醤油を賞味した場合には、塩味が押さえられ、穏やかでまろやかな味が感じられるのは、塩化ナトリウム以外の成分が表面に現れているからであると考えられる。

0041

次に粉末乾燥醤油の断面の状態について検討する。
図15は、実施形態の粉末乾燥醤油をFIB加工した断面の走査型イオン顕微鏡写真である。図15(A)、図15(B)はそれぞれ異なる試料球状体の断面を示す。
FIB(Focused Ion Beam)加工とは、ガリウム(Ga)イオンビームを試料に照射してスパッタリングすることにより、走査型イオン顕微鏡像を見ながら試料の特定箇所を加工する技術であり、平滑な試料断面を得ることが可能となっている。
図15(A)、図15(B)に示すように、いずれの粉末乾燥醤油の試料も、その断面において複数の空洞k1が見られ、肉厚は厚く形成され、肉厚部BD1の組織は、外観上、緻密で均質である。
従って、本実施形態の粉末乾燥醤油は、試料内部においても、塩化ナトリウム結晶の偏析がなく、塩化ナトリウムが安定、かつ、均一に分散している状態にあると考えられ、このことも潮解性を抑制するのに役立っていると思料する。

0042

一方、図16は、従来例の粉末乾燥醤油をFIB加工した断面の走査型イオン顕微鏡写真である。なお、図16(A)、図16(B)はそれぞれ異なる試料球状体の断面を示す。
図16(A)、(B)に示すように、従来例の粉末乾燥醤油は、その断面において、複数の空洞k2が見られ、肉厚部の組織は外観上均質ではなく、一部に塩化ナトリウムの結晶k3と推定される、組成の異なる部分が観察されている。また、一部の粒子は、殻体の表面に割れ目や窪みが観察されている。
従って、表面における塩化ナトリウム結晶の偏析及び割れ目が、潮解性に影響を与えるものと思料する。

0043

生成結果物の粉末乾燥醤油dは、図1に示すサイクロン7により分離された後にバルブを介してタンク7a内に取りだされる。
タンク7aから回収した粉末乾燥醤油dを容器(不図示)に入れ、蓋をして時々この蓋をあけては必要な量の醤油を取出し、蓋をし、この開閉操作を数10回以上も繰り返して行った。しかし、驚くべきことに、遠赤外線を乾燥塔内に放射し、低温(60〜75℃)で乾燥した粉末乾燥醤油は、蓋の開閉のたびに、容器の外から内部に空気が強制交換され、そして水分が浸入する機会があったが、製造からかなりの期間が経つに、全く潮解せずに保管されていた。この粉末乾燥醤油の成分分析化学的品質評価をした結果、成分は通常の醤油と実質的に変化しておらず、また、醤油としての味や香りなどが元の状態を保持しているとの評価を得た。

0044

この粉末乾燥醤油は、従来の粉末乾燥醤油のように賦形剤であるデキストリンを全く添加しておらず、市販品のままを原料としている。この粉末乾燥醤油と従来の粉末乾燥醤油との違いは、残留水分量にも見られる。前者は残留水分量が2〜3%であったのに対し、後者は7〜9%であった。乾燥温度が上述のように醤油中の水とアルコールの共沸温度以下の温度であるため、乾燥過程で水の蒸発及びアルコールの蒸発が抑えられ、アルコールとともに旨味成分の封じ込みが確認された。この場合において、残留水分量は、4〜12%であってもよい。これは、残留水分量が4%未満では、旨味成分も一緒に抜けてしまうし、12%超では、さらさらとした粉末状態を維持できないからである。また、より好ましくは、旨み成分の封じ込み及び粉末状態の維持の観点から、6〜10%としてもよい。さらに好ましくは、実施形態の場合のように、残留水分量7〜9%とすることが原料醤油と同程度の旨み成分を感じることができ、さらさらとした粉末状態を長期に亘って維持することができる。

0045

次に、実施形態の粉末乾燥醤油の特徴を、従来の粉末乾燥醤油と比較してより詳細に説明する。
図17及び図18は、電子顕微鏡写真に含まれていた、本実施形態による粉末乾燥醤油の内、大径球状体を模写したものをd1,d2をそれぞれ示している。また、図19図20には、粉末乾燥醤油の二次電子像(SEI)をそれぞれ示す。さらに、図21図22にBEI像(反射電子像)をそれぞれ示す。
これらの場合において、図19図21とは、倍率350倍の電子顕微鏡写真である。また、図20図22とは、倍率750倍の電子顕微鏡写真である。

0046

図17乃至図22に示す、これらの電子顕微鏡写真より求めると、実施形態の粉末乾燥醤油を構成する大径球状体の径は、40〜120μm、小径球状体の径は、30〜40μm程度の寸法を持っている。そして、これらの大、小の球状体は、外観的には、下記の特徴を持っている。
(1)図19及び図21に示すように、全体として大きく成長したもの(大径球状体)と、それほど成長しない小さいもの(小径球状体)とが混在している。そして、大径球状体の数はそれほど多くはない。

0047

(2) 大径球状体は、図19又は図21に示すように、綺麗で平滑な表面を持つ球状のものと、図22に示すように、表面に「亀甲形あるいは至サッカーボール型」の突起あるいは模様を有するものや、図20に示すように、図22に示したものに近い形状を有するものがある。
(3)図17図22に示すように、大径球状体も、小径球状体も殆んどが「独立した球状の殻体」を形成している。そして表面に割れ目や開口などが見られない。

0048

図23及び図24(顕微鏡写真を模写した画)は、従来の市販の粉末乾燥醤油d3,d4,d5,d6の特徴を示す画であり、図25及び図26は、走査型電子顕微鏡によって撮影した市販の粉末乾燥醤油に関するBEI像(反射電子像)であり、図27図28は、電子顕微鏡によって撮影した市販の粉末乾燥醤油の二次電子像(SEI)である。
ここで、図25図27は、倍率350倍、図26図28は、倍率750倍である。

0049

従来の高温を適用した高速加熱方法で乾燥した粉末乾燥醤油の特徴をまとめると、以下のようになる。
図25乃至図28に示した顕微鏡写真より概略の寸法を推定すると、微粉末の1個の直径が大きなもので100〜120μmであり、小さなもので、15〜25μm程度で大小種々のもが混在している。そして、これらの球状体は、外観的には、下記の特徴を持っている。
(1)図23図24の粉末d3〜d6は球体を構成している。全体として大きさが不揃いで、大・小の球状乃至ジャガイモ状の微粉末の混合体である。
(2) 球状体の表面には凹凸があり、ゴツゴツとしており、球状体の外面には多数の穴や割れ目が形成されている。
(3) 大径の球体の内部に中に複数の小径の球体が粒状に含まれている(図25及び図26参照)。
(4) 球状体は、個々に分離しているものは少ない。大径球状体の内部に多数の小径球状体が収容され、また、大径球状体の表面に中径乃至小径の球状体がコブのように付着し、更にこれに別の球体が付着し、あたかも生姜の塊の外形を呈している(図25乃至図26)。

0050

すなわち、従来技術で採用されている約120℃〜260℃の高温の熱風を乾燥塔内に吹き込む乾燥方法は、霧滴の水分が蒸発の際に大量の熱エネルギーを一瞬にして受ける。そしてこの熱エネルギーの授受により水分は一気に蒸発するものと考えられる。しかも、この急激な加熱による水分の急激な蒸発は、従来の乾燥方法では不可避的なものである。

0051

従って、瞬間的あるいは短時間の乾燥の際に発生した液滴から発生した水蒸気は、成長した、あるいは成長しつつある固形分の集合体である殻体を形成しつつある骨格まで破壊することになると推察される。即ち、微細な霧滴の内部の水分が沸騰状態で蒸発し、この水蒸気は、殻体に囲まれて逃げ道がなく、殻体を破壊しつつ(水蒸気爆発)、蒸発する。

0052

さらに従来技術によれば、水蒸気の噴出状態強弱に関係して球体の形状が変化し、特に、爆発的な水蒸気の噴出は、殻体を恰も月面クレーターのように破壊する。
一方、小さな噴出は殻体に小さな割れ目や穴をあける。更に殻体の破壊状態により表面積の大小、つまり空気との接触面積に影響があり、これに関係して潮解性が本実施形態の乾燥粉末醤油と比較して大きくなると推察される。

0053

本実施形態の乾燥粉末醤油の潮解性が低く、さらさらとした状態を確保できる理由は以下の点にある。
(1)表層(及び内層)に塩化ナトリウム結晶の偏析が抑制され、塩化ナトリウムが表面に分散するように分布している。
(2)残留水分量が高く、旨み成分を封じ込めるとともに、塩化ナトリウムも内層に封じ込めている。
(3) 比較的低温で、長時間乾燥させているため、大径球状体の径が比較的大きくなり、凝集しにくくなっており、ひいては、全体としての表面積が小さくなって吸湿しにくい。
これらの結果、本実施形態の乾燥粉末醤油によれば、潮解性の原因である成分が空気と接触が少なく、あるいは露出しないように保護されるため、使用状態における潮解性を低下し、長期間の保存性を高めることができる。

0054

以上の説明は、本発明の一態様について説明したが、以下のような変形例が可能である。
以上の説明においては、原料醤油の組成として、市販のものをそのまま使用していたが、これに限定されず、例えば醤油を完成する前の処理工程で発生した「澱」(熟成もろみを絞って生醤油を製造し、これを火入れ処理した後、澱引き工程で発生した澱)でも簡単に乾燥し味の良い粉末調味料を製造することができる。

0055

以上の説明においては、液状の調味料として、醤油の場合について説明したが、本発明の適用はこれに限られるものではない。
例えば、そばつゆ、ポン酢、魚醤牡蠣油、焼き肉やすき焼きなどのたれ、ドレッシング(特にノンオイルドレッシング)、ケチャップソース、ドミグラスソース、トマトピュレーなどのピューレスープペッパーソース、マヨネーズ等が挙げられる。これら調味料の内、例えば油分が多く含まれて、例えば練り状となったものなどは、一担、アルコールなどの溶媒で溶解した後に、乾燥塔内に霧滴として噴霧してもよい。

0056

また、以上の説明においては、原料調味料には添加物は加えない場合について説明したが、さらに潮解性を抑制するためには、少量の食用撥水剤を添加することも可能である。食用撥水剤としては、例えば、植物性蛋白質からなる可食性被覆材ロジンサンダラックコーパルアラビアガムツエイン大豆タンパクカゼインなどが挙げられる。

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