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技術 軟骨組織再生治療用骨充填剤

出願人 国立大学法人北海道大学
発明者 安田和則長田義仁グンチェンピン北村信人
出願日 2007年11月29日 (12年3ヶ月経過) 出願番号 2008-546879
公開日 2010年3月4日 (10年0ヶ月経過) 公開番号 WO2008-065756
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 網目部分 埋植試験 採取作業 正中矢状面 架橋網目構造 富士薬品 プレスフィット 再生部位
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題・解決手段

本発明は、自家軟骨組織軟骨代替物あるいは未分化細胞移植による治療法とは異なる、全く新規概念に基づいた、新たな軟骨組織再生治療法を可能にする医療材料を提供する。本発明は、2以上の架橋網目ポリマーによって形成される相互侵入網目構造又は架橋網目ポリマーと直鎖ポリマーとによって形成されるセミ相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる軟骨組織再生用骨充填剤を提供する。本発明の骨充填剤は、損傷を受けた軟骨組織の直下にある軟骨下骨に設けた孔ないし溝に充填されることで、軟骨組織又は軟骨組織と軟骨下骨の両方の再生を促すことが出来る。

概要

背景

膝関節肩関節等に代表される関節組織において、関節によって連結されている骨の頂部は、骨同士が直接擦れ合うことのない様に軟骨組織で覆われている。加齢により又は過大な荷重負荷もしくは荷重の反復負荷などによってこの軟骨組織が損傷を受けると、関節内で炎症が起こり、いわゆる関節痛として自覚されることになる。関節の軟骨組織の損傷と関節痛は、若年者から高齢者に至るまで広くかつ高頻度に認められており、患者のQOL(Quality of Life)向上の見地から、あるいは医療経済学的見地からも、有効かつ合理的な治療法の開発が求められている。

損傷を受けた軟骨組織の治療において最も重要な問題は、軟骨組織は生体内では自然再生せず、従って薬物投与等によって損傷した軟骨組織を再生させることが極めて困難であることである。例えば、軟骨下骨に多数の小穿孔を加えるマイクロフラクチャー法では線維軟骨が形成されるが、正常の関節軟骨である硝子軟骨は再生しない。そのため、損傷を受けた軟骨組織の治療は、専ら生体から採取される軟骨組織の移植によって行われているのが実情である。

生体から採取される軟骨組織の移植による治療法は、自家軟骨移植法(モザイクラスティー)と培養自家軟骨移植法の2種類に大きく分けることが出来る。自家軟骨移植法(モザイクプラスティー)は、損傷を受けた関節の健常部分または反対側の関節組織から自己の軟骨組織を骨プラグを付けて採取し、これを欠損部に自家移植する方法である。しかしこの治療法は、軟骨を採取する部位における正常な軟骨を傷つけてしまうという不可避の問題を有し、また軟骨組織の損傷部位が大きい場合には、移植に足る量の軟骨組織を生体から採取することができないという問題を有する。一方、培養自家軟骨移植法は、患者の自家軟骨(硝子軟骨)組織の一部を採取し、これを適当な培地及び/又は培養基材と共に培養することによって試験管内で軟骨組織を再生させ、これを患部に自家移植する方法である。培養自家軟骨移植法は、軟骨組織の無菌的培養のためのきわめて高額な設備の用意、軟骨組織の採取作業と移植という2度の処置、患者の長期間の入院などによる治療コストの増加、培養時の汚染による人獣共通疾患感染リスク治療効果不確実性という問題を有している。

この様な問題を回避するためにも、患者の体内での軟骨組織の自然再生を促す治療法の開発は、重要な課題である。現在、損傷を受けた軟骨組織を含む関節にb−FGFやOP−1などのサイトカイン担体と共に局所投与する方法や、自家間葉系幹細胞ES細胞を、損傷を受けた軟骨組織を含む関節に投与する方法も実験的に研究されている。しかしこれらの方法に関する効果や副作用等の問題点の確認は、今後の大きな課題であり、この種の治療法は全く実用化されていない。

概要

本発明は、自家軟骨組織、軟骨代替物あるいは未分化細胞の移植による治療法とは異なる、全く新規概念に基づいた、新たな軟骨組織の再生治療法を可能にする医療材料を提供する。本発明は、2以上の架橋網目ポリマーによって形成される相互侵入網目構造又は架橋網目ポリマーと直鎖ポリマーとによって形成されるセミ相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる軟骨組織再生用骨充填剤を提供する。本発明の骨充填剤は、損傷を受けた軟骨組織の直下にある軟骨下骨に設けた孔ないし溝に充填されることで、軟骨組織又は軟骨組織と軟骨下骨の両方の再生を促すことが出来る。

目的

本発明は、自家軟骨組織、軟骨代替物あるいは未分化細胞の移植による治療法とは異なる、全く新規な概念に基づいた、新たな軟骨組織の生体内自然再生治療法を可能にする医療材料を提供するものである。

効果

実績

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請求項1

架橋網目構造を有する2以上のポリマーによって形成される相互侵入網目構造又は架橋網目構造を有するポリマーと直鎖ポリマーとによって形成されるセミ相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる、軟骨組織再生治療骨充填剤

請求項2

架橋網目構造を有するポリマー又は直鎖ポリマーが電荷を有する不飽和モノマー及び/又は電気的に中性である不飽和モノマーの重合体である、請求項1に記載の骨充填剤。

請求項3

電荷を有する不飽和モノマーが酸性基及び/又は塩基性基を有する不飽和モノマーである、請求項2に記載の骨充填剤。

請求項4

酸性基がカルボキシル基リン酸基又はスルホン酸基或いはそれらの基の塩である、請求項3に記載の骨充填剤。

請求項5

酸性基を有する不飽和モノマーが2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸又はそれらの塩である、請求項3に記載の骨充填剤。

請求項6

電気的に中性である不飽和モノマーがN,N−ジメチル−アクリルアミドである、請求項2に記載の骨充填剤。

請求項7

2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をモノマーとする架橋網目構造を有するポリマーと、N,N−ジメチル−アクリルアミドを原料モノマーとする架橋網目構造を有するポリマーとから構成される相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる、請求項1に記載の軟骨組織再生治療用骨充填剤。

請求項8

架橋網目構造を有する2以上のポリマーによって形成される相互侵入網目構造又は架橋網目構造を有するポリマーと直鎖ポリマーとによって形成されるセミ相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる、軟骨又は軟骨組織再生誘導剤。

請求項9

2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をモノマーとする架橋網目構造を有するポリマーと、N,N−ジメチル−アクリルアミド、アクリルアミド又は2−アクリルアミド−2ーメチルプロパン硫酸ナトリウムを原料モノマーとする架橋網目構造を有するポリマーとから構成される相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる、請求項8に記載の軟骨又は軟骨組織再生誘導剤。

技術分野

0001

本発明は、関節組織における軟骨組織再生治療に有用な骨充填剤に関する。

背景技術

0002

膝関節肩関節等に代表される関節組織において、関節によって連結されている骨の頂部は、骨同士が直接擦れ合うことのない様に軟骨組織で覆われている。加齢により又は過大な荷重負荷もしくは荷重の反復負荷などによってこの軟骨組織が損傷を受けると、関節内で炎症が起こり、いわゆる関節痛として自覚されることになる。関節の軟骨組織の損傷と関節痛は、若年者から高齢者に至るまで広くかつ高頻度に認められており、患者のQOL(Quality of Life)向上の見地から、あるいは医療経済学的見地からも、有効かつ合理的な治療法の開発が求められている。

0003

損傷を受けた軟骨組織の治療において最も重要な問題は、軟骨組織は生体内では自然再生せず、従って薬物投与等によって損傷した軟骨組織を再生させることが極めて困難であることである。例えば、軟骨下骨に多数の小穿孔を加えるマイクロフラクチャー法では線維軟骨が形成されるが、正常の関節軟骨である硝子軟骨は再生しない。そのため、損傷を受けた軟骨組織の治療は、専ら生体から採取される軟骨組織の移植によって行われているのが実情である。

0004

生体から採取される軟骨組織の移植による治療法は、自家軟骨移植法(モザイクラスティー)と培養自家軟骨移植法の2種類に大きく分けることが出来る。自家軟骨移植法(モザイクプラスティー)は、損傷を受けた関節の健常部分または反対側の関節組織から自己の軟骨組織を骨プラグを付けて採取し、これを欠損部に自家移植する方法である。しかしこの治療法は、軟骨を採取する部位における正常な軟骨を傷つけてしまうという不可避の問題を有し、また軟骨組織の損傷部位が大きい場合には、移植に足る量の軟骨組織を生体から採取することができないという問題を有する。一方、培養自家軟骨移植法は、患者の自家軟骨(硝子軟骨)組織の一部を採取し、これを適当な培地及び/又は培養基材と共に培養することによって試験管内で軟骨組織を再生させ、これを患部に自家移植する方法である。培養自家軟骨移植法は、軟骨組織の無菌的培養のためのきわめて高額な設備の用意、軟骨組織の採取作業と移植という2度の処置、患者の長期間の入院などによる治療コストの増加、培養時の汚染による人獣共通疾患感染リスク治療効果不確実性という問題を有している。

0005

この様な問題を回避するためにも、患者の体内での軟骨組織の自然再生を促す治療法の開発は、重要な課題である。現在、損傷を受けた軟骨組織を含む関節にb−FGFやOP−1などのサイトカイン担体と共に局所投与する方法や、自家間葉系幹細胞ES細胞を、損傷を受けた軟骨組織を含む関節に投与する方法も実験的に研究されている。しかしこれらの方法に関する効果や副作用等の問題点の確認は、今後の大きな課題であり、この種の治療法は全く実用化されていない。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、自家軟骨組織、軟骨代替物あるいは未分化細胞の移植による治療法とは異なる、全く新規概念に基づいた、新たな軟骨組織の生体内自然再生治療法を可能にする医療材料を提供するものである。

0007

本発明者らは、架橋網目構造を有するポリマーからなるハイドロゲルが特殊な外科的処置による軟骨組織の再生治療用骨充填剤として利用可能であることを見いだし、下記の各発明を完成した。

0008

(1)架橋網目構造を有する2以上のポリマーによって形成される相互侵入網目構造又は架橋網目構造を有するポリマーと直鎖ポリマーとによって形成されるセミ相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる、軟骨組織再生治療用骨充填剤。

0009

(2)架橋網目構造を有するポリマー又は直鎖ポリマーが電荷を有する不飽和モノマー及び/又は電気的に中性である不飽和モノマーの重合体である、(1)に記載の骨充填剤。

0010

(3)電荷を有する不飽和モノマーが酸性基及び/又は塩基性基を有する不飽和モノマーである、(2)に記載の骨充填剤。

0011

(4)酸性基がカルボキシル基リン酸基又はスルホン酸基或いはそれらの基の塩である、(3)に記載の骨充填剤。

0012

(5)酸性基を有する不飽和モノマーが2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸又はそれらの塩である、(3)に記載の骨充填剤。

0013

(6)電気的に中性である不飽和モノマーがN,N−ジメチル−アクリルアミドである、(2)に記載の骨充填剤。

0014

(7)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をモノマーとする架橋網目構造を有するポリマーと、N,N−ジメチル−アクリルアミドを原料モノマーとする架橋網目構造を有するポリマーとから構成される相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる、(1)に記載の軟骨組織再生治療用骨充填剤。

0015

架橋網目構造を有する2以上のポリマーによって形成される相互侵入網目構造又は架橋網目構造を有するポリマーと直鎖ポリマーとによって形成されるセミ相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる、軟骨又は軟骨組織再生誘導剤。

0016

2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をモノマーとする架橋網目構造を有するポリマーと、N,N−ジメチル−アクリルアミド、アクリルアミド又は2−アクリルアミド−2ーメチルプロパン硫酸ナトリウムを原料モノマーとする架橋網目構造を有するポリマーとから構成される相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる、請求項8に記載の軟骨又は軟骨組織再生誘導剤。

発明の効果

0017

本発明の骨充填剤は、後に詳細に述べるように、損傷を受けた軟骨組織の直下にある下骨に設けた孔ないし溝に充填することで、軟骨組織又は軟骨組織と軟骨下骨の両方の再生を促すことが出来る。この様な治療法は、これまでの自家移植法や培養自家軟骨移植法について指摘されてきた前記の諸問題を全く伴わない、極めて有効な治療法となり得る。

図面の簡単な説明

0018

本発明の「相互侵入網目構造」(ダブルネットワーク型)を模式的に示した図である。図中、Aは一つの架橋網目ポリマー、Bは他方の架橋網目ポリマー、1及び2は各架橋網目ポリマーの架橋点を示す。尚、この図は網目構造中に溶媒(水)を含有しているゲルの概念図である。
本発明の「セミ相互侵入網目構造」(ダブルネットワーク型)を模式的に示した図である。図中、Cは架橋網目ポリマー、Dは直鎖ポリマー、3は架橋網目ポリマーの架橋点を示す。
骨欠損部の関節面から2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をモノマーとする架橋網目構造を有するポリマーと、N,N−ジメチル−アクリルアミドを原料モノマーとする架橋網目構造を有するポリマーとから構成される相互侵入網目構造を有するハイドロゲル(以下、PAMPS/PDMAAmゲルと表す)表面までの間隔が0.0mmの場合の組織学染色像サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。
骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔が0.0mm〜0.6mmの場合の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。
骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔が0.7mm〜1.3mmの場合の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。上下2種類の写真は、同条件の施術を受けた異なる個体についての染色像である。
骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔が1.4mm〜2.0mmの場合の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。上下2種類の写真は、同条件の施術を受けた異なる個体についての染色像である。
骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔が2.1mm〜2.8mmの場合の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。
骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔が2.8mmより大きい場合の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。
骨欠損部の関節面からPAMPS/PAAmゲル表面までの間隔が0.7mm〜1.3mmの場合の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。
骨欠損部の関節面からPAMPS/PAAmゲル表面までの間隔が1.4mm〜2.0mmの場合の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。
骨欠損部の関節面からPAMPS/PAAmゲル表面までの間隔が2.1mm〜2.7mmの場合の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。
骨欠損部の関節面からPAMPS/PAAmゲル表面までの間隔が2.8mmより大きい場合の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。図中、ピンク色に染色されている部分が軟骨組織を示す。
本発明の骨充填剤を用いた軟骨再生治療を模式的に表す。
実施例1の4)骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔が1.4mm〜2.0mmの場合の、1〜4週間までの経時的な変化を示す組織学的染色像(サフラニン−O染色像)である。
実施例1の4)骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔が1.4mm〜2.0mmの場合の、再生部位における2型コラーゲン免疫学的組織染色像である。
試験例2の再生部位における軟骨組織細胞におけるII型コラーゲンパネルA)、アグリカン(パネルB)、Sox9(パネルC)のmRNA量を測定した結果を示すグラフである。レーン1、2は正常軟骨(ポジティブコントロール)、レーン3,4は本発明の充填剤を充填した検体、レーン5、6は骨欠損部に何も充填しない検体、レーン7、8はUltra High Molecular Weight Polyetylene(以下、UHMPEと表す)を骨欠損部に充填した検体をそれぞれ表す。
比較例のポリビニルアルコールゲルを骨欠損部に充填した検体、UHMPEを骨欠損部に充填した検体の組織学的染色像(サフラニン−O染色像)を示す。

発明を実施するための最良の形態

0019

本発明の骨充填剤は、架橋網目構造を有する2以上のポリマー(以下、架橋網目構造を有するポリマーを架橋網目ポリマーと表す)によって形成される相互侵入網目構造又は架橋網目ポリマーと直鎖ポリマーとによって形成されるセミ相互侵入網目構造を有するハイドロゲルからなる。本発明における架橋網目構造とは、例えば国際特許出願公開WO2006/013612の[図1](本明細書に図1として引用する)に示されるように、複数の架橋点を有するポリマーによって形成される網目構造をいう。また本発明における「相互侵入網目構造」とは、2以上の架橋網目ポリマーが互いの網目構造に進入するように絡みついており、結果として内部に複数の網目構造が形成されている構造ないし状態をいう。例えば図1に示すように、複数の架橋点1を有する架橋網目ポリマーAと、複数の架橋点2を有する架橋網目ポリマーBとから構成され、両架橋網目ポリマーが互いに網目に進入して物理的に絡まり合っている構造ないし状態である。

0020

本発明における「セミ相互侵入網目構造」とは、架橋網目ポリマーに直鎖ポリマーが架橋網目ポリマーの網目に進入するように絡みついており、結果として内部に複数の網目構造が形成されているハイドロゲルの構造ないし状態をいう。例えば国際特許出願公開WO2006/013612[図2](本明細書に図2として引用する)に示すように、複数の架橋点3を有する架橋網目ポリマーCと直鎖ポリマーDとから構成され、架橋網目ポリマーの網目に直鎖ポリマーDが進入して物理的に絡まり合っている、ハイドロゲルの構造ないし状態である。

0021

なお、本発明における「相互侵入網目構造」を有するハイドロゲルは、部分的にさらに直鎖ポリマーが絡んでなる上記のセミ相互侵入網目構造を含んでいてもよく、また本発明における「セミ相互侵入網目構造」は、部分的にさらに別の架橋網目ポリマーが絡んでなる「相互侵入網目構造」を含んでいてもよい。すなわち、一つのハイドロゲルが相互侵入網目構造とセミ相互侵入構造を同時に有していてもよい。

0022

なお、図1及び図2において、第一の網目構造A及びCを、第二の網目構造B及び直鎖ポリマーDより太く描いたが、これは、便宜的に太さを変えて描いたものである。また、「相互侵入網目構造」及び「セミ相互侵入網目構造」は、2つのポリマーからなる構造(ダブルネットワーク型)のみでなく、3つ又はそれ以上のポリマーから構成される態様をも含む概念である。また、「2以上の」とは、「相互侵入網目構造」又は「セミ相互侵入網目構造」を形成するポリマーが2つ以上であることを意味し、種類の異なる、すなわち互いに異なる化学物質である2種以上のポリマーが網目構造を形成する場合も、化学物質として同じ種類である2つ以上のポリマーが網目構造を形成する場合も含む意味である。

0023

本発明では、架橋網目構造を構成する2以上のポリマーは、正又は負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーからなるポリマーと、電気的に中性の基を有する不飽和モノマーからなるポリマーとの組み合わせであることが好ましい。上記における正又は負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーとしては、好適には、酸性基(例えば、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基)や塩基性基(例えば、アミノ基)を有する不飽和モノマー、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸又はそれらの塩を挙げることができる。また、電気的に中性な基を有する不飽和モノマーとしては、例えば、ジメチルシロキサンスチレン(St)、アクリルアミド(AAm)、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド、ビニルピリジン、スチレン、メチルメタクリレート(MMA)、フッ素含有不飽和モノマー(例えば、トリフルオロエチルアクリレート(TFE))、ヒドロキシエチルアクリレート又は酢酸ビニルを挙げることができる。

0024

本発明で利用可能なハイドロゲルの場合、正又は負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーを重合させて第一の網目構造を先に形成しておき、この網目部分に電気的に中性の基を有する不飽和モノマーを含ませた後に、電気的に中性の基を有する不飽和モノマーを重合、または重合及び架橋させることで、「相互侵入網目構造」あるいは「セミ相互侵入網目構造」を形成させることができる。「相互侵入網目構造」及び「セミ相互侵入網目構造」のいずれの場合も、架橋網目ポリマーの架橋度は、第一の架橋網目において概ね0.1モル%〜20モル%の範囲内で、第二の架橋網目は概ね0モル%〜20モル%の範囲内で任意に設定することができる。好ましくは第一の架橋網目は、概ね0.5モル%〜10モル%の範囲内で、第二の架橋網目は概ね0モル%〜5モル%の範囲内で任意に設定することができる。さらに好ましくは第一の架橋網目は、概ね2モル%〜6モル%の範囲内で、第二の架橋網目は概ね0モル%〜2モル%の範囲内で任意に設定することができる。ここで「架橋度」とは、モノマーの仕込みモル濃度に対する架橋剤のモル濃度の比をパーセントで表した値をいう。また、「相互侵入網目構造」における2以上の架橋網目ポリマーの架橋度はそれぞれ独立して設定することができる。例えば、荷電し得る基を有する架橋網目ポリマーの架橋度を電気的に中性の基を有する架橋網目ポリマーの架橋度より大きく設定してもよいし、またその逆でも良い。架橋剤は、モノマー成分に応じて適宜選択して使用すればよい。

0025

本発明で利用可能なハイドロゲルとその製造法は、いずれも本発明の発明者らによる発明にかかる、国際特許出願公開WO2003/093337、国際特許出願公開WO2006/013612、特開2006−42795、国際特許出願公開WO2006/001313、特開2006/213868、さらにはJ.P. Gongら(Advanced Materials、2003年、第15巻、第1155−1158頁)などに、詳細に開示されている。本発明では、これらの先行文献に記載のゲルのいずれも利用することができる。なお、本発明の骨充填剤は、例えば国際特許出願公開WO2006/013612に開示されている人工半月板として望まれる機械強度を特に必要とはしないので、国際特許出願公開WO2006/013612において記載されている、ハイドロゲルの強度を高めるための種々の条件は、本発明における骨充填剤又はその製造法にとっては必ずしも必要とされない。

0026

本発明の好適な骨充填剤は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を原料モノマーとする架橋網目ポリマー(PAMPS)と、N,N−ジメチル−アクリルアミド(DMAA)を原料モノマーとする架橋網目ポリマー(PDMAAm)とから構成される、相互侵入網目構造を有するハイドロゲル(以下、PAMPS/PDMAAmゲルとする)である。このPAMPS/PDMAAmゲルは、国際特許出願公開WO2006/013612の実施例23に記載されている通りの方法によって製造されるハイドロゲルである。PAMPS/PDMAAmゲルは、摩擦係数は約10−3と軟骨のそれにほぼ等しく、6週間の皮下埋植試験において物性はほとんど変化せず、またペレット埋植試験で1週間後の炎症反応陰性対照より有意に高く、陽性対照よりも有意に少ないが、4週間後および6週間後では陰性対照よりも炎症反応は少ないという特性を有している。

0027

また、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を原料モノマーとする架橋網目ポリマー(PAMPS)とアクリルアミドを原料モノマーからなる架橋網目ポリマー(PAAm)から構成される、相互侵入網目構造を有するハイドロゲル(PAMPS/PAAmゲル)、また2−アクリルアミド−2ーメチルプロパン硫酸ナトリウム(Sodium 2−acrylamido−2−methylpropanesulfate、NaAMPS)を原料モノマーとする架橋網目ポリマー(PNaAMPS)とN,N−ジメチル−アクリルアミド(DMAA)を原料モノマーとする架橋網目ポリマー(PDMAAm)とから構成される、相互侵入網目構造を有するハイドロゲル(PNaAMPS/PDMAAmゲル)も、PAMPS/PDMAAmゲルと同様の軟骨組織の再生を促す働きを有する。

0028

なお、本発明の骨充填剤は、人口軟骨ほどの強度は特に必要とはされないが、骨に充填する際の操作性、また軟骨組織の再生促進能等を考慮すれば、ある程度の強度を有することが好ましい。例えば、上記の好ましい態様であるPAMPS/PDMAAmゲルとPAMPS/PAAmゲルに関する機械的強度は、次のように表すことができる。

0029

0030

次に、本発明に係る骨充填剤の使用方法について説明する。

0031

本発明の骨充填剤は、軟骨組織の再生治療を目的とした外科的処置において用いるための骨充填剤である。この外科的処置は、損傷を受けた軟骨組織の直下にある軟骨下骨を軟骨組織と共に削って適当な深さを有する孔ないし溝(以下、これを骨欠損部とする)を設け、ここに本発明の骨充填剤を適当な深さの骨欠損部が残るように充填するというものである。本発明の骨充填剤を用いた上記外科的処置を模式的に図13に表す。

0032

従来から存在した治療概念である人工軟骨は軟骨の再生を期待するものではなく、代替材料としての人工材料を骨欠損が残らないように軟骨面にあわせて充填するもので、本発明における人工材料の使用法はこれとまったく異なる。この本発明の骨充填剤を利用した外科的処置による軟骨組織の再生治療においては、生体から採取される軟骨組織の移植も、軟骨の再生を促す特別な液性因子の投与も必須ではなく、軟骨組織の自然再生のための生物学的および力学的環境を軟骨下骨にゲル材料を充填することで提供して、軟骨組織の自然再生を促すという、これまでに例を見ない軟骨組織の再生治療法である。特にこの治療方法によれば、軟骨組織を再生させることができることに加え、骨欠損部に埋め込んだ骨充填剤を覆い被さるように軟骨下骨組織を再生させ、この再生した軟骨下骨組織をさらに覆うように軟骨組織を再生させることができる。従来、軟骨組織を生体内で再生することは不可能であると考えられていたので、本発明の骨充填剤を利用することによって軟骨組織が再生するばかりでなく、軟骨下骨と軟骨組織が共に再生するということは、他に例を見ない驚くべき結果である。

0033

本発明の骨充填剤を用いた外科的処置は、前記の通り、損傷を受けた軟骨組織の直下にある軟骨下骨を軟骨組織と共に削って骨欠損部を設け、ここに本発明の骨充填剤を適当な深さの骨欠損部が残るように充填するものである。この外科的処置において、骨欠損部周囲の軟骨組織の関節面(軟骨下骨と接する面とは反対側の面、単に関節面と表す)から当該関節面側に向いたハイドロゲルの表面(以下、単にハイドロゲル表面と表す)までの間隔が残るように、ハイドロゲルの充填量を調節することが望ましい。なお、例えば実施例で示される日本白色家兎においては、骨欠損部の関節面からハイドロゲル表面までの間隔を5mm以下、好ましくは0.7mm〜2.8mm、より好ましくは0.7mm〜2.1mmとすることが望ましい。なおこの間隔は、対象となる生物種や軟骨部位周辺の力学的環境によって、適宜調整することが好ましい。

0034

また、本発明の骨充填剤は、骨に充填されるという使用形態において生体にとって無毒であり、軟骨組織又は軟骨組織と軟骨下骨組織が再生した後に骨欠損部から除去することは必ずしも必要ではない。そのため、本発明の骨充填剤を用いた外科的処置を受ける患者は、骨欠損部を設けて骨充填剤を充填するという処置を一回受けるだけで済むので、複数回の処置が必要であった従来の治療法に比べて、患者の負担軽減をもたらすことができる。

0035

この様に、本発明の骨充填剤は、上記の通りに骨欠損部に埋め込まれることで軟骨下骨組織や軟骨組織の再生を誘導することができることから、本発明は、前記ハイドロゲルを軟骨及び/又は軟骨組織再生誘導剤、あるいは軟骨及び/又は軟骨組織再生促進剤として利用する発明も意図するものである。

0036

以下、本発明の骨充填剤の製造例と使用例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、これらの例は本発明を限定的に解釈させるものではない。

0037

<実施例1>
縦80mm×横80mm×厚さ5mm、幅5mmのシリコン板枠を用意し、板枠の1片に枠の外から内に向けた3mmの溝を空けた。このシリコン板枠を2枚の縦100mm×横100mm×厚さ3mmのガラス板で挟み、重合容器を組み立てた。

0038

2mol/Lの2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)水溶液25mL、架橋剤である2mol/LのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)水溶液1mL、0.1mol/Lの2−オキソグルタル酸水溶液0.5mL、及び水を混合して水溶液50mLを調製した。窒素ガスを用いて脱酸素した水溶液を前記重合容器の溝から流し込み、溝部分をシールした後、波長365nmのUVランプ(22W、0.34A)を用いて紫外線常温で6時間照射して重合させることにより、架橋度が4mol%のPAMPSゲル(第一の網目構造)を作製した。

0039

次に、6mol/LのN,N−ジメチル−アクリルアミド(DMAA)水溶液100mL、0.1mol/LのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)水溶液2mL、0.1mol/Lの過硫酸カリウム水溶液2mL及び水を混合して水溶液(浸漬溶液)200mLを得た。この浸漬溶液を、窒素ガスを用いて30分間脱酸素した。

0040

適当なバットに移した浸漬溶液に、重合容器から取り出した前記PAMPSゲルを浸して4℃の冷蔵庫にて時折軽く振蕩させながら2日間置き、前記浸漬溶液を前記PAMPSゲル中に拡散浸透させた。

0041

次いで、前記浸漬液からゲルを取り出し、適当な大きさに裁断した後、このゲルを縦100mm×横100mm×厚さ3mmの2枚のガラス板の間に気泡混入しないように挟持した。この2枚のガラス板の周囲4辺をシールした後、60℃のウォーターバス中で6時間DMAAの重合を行うことにより、ダブルネットワーク型のハイドロゲルである骨充填剤(PAMPS/PDMAAmゲル)を製造した。

0042

<試験例1>
実施例で製造した本発明の骨充填剤を用いて、軟骨組織再生のための外科的処置を次のようにして行った。

0043

成熟した日本白色家兎(3.0〜4.2kg、20羽)の両大腿骨膝蓋骨関節の大腿骨側に、垂直に径4.3mm×9.0mmの骨欠損部を作成し、実施例で作成したPAMPS/PDMAAmゲル(径4.5mm×9.0mm)を右膝の骨欠損にプレスフィットで充填した。このとき、骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔を、0.0〜5.0mmに調節してPAMPS/PDMAAmゲルを充填した。ここで、間隔0.0mmとは関節面とPAMPS/PDMAAmゲル表面とが一致するようにPAMPS/PDMAAmゲルが充填された状態ないし処置群を意味し、間隔5.0mmとは関節面とPAMPS/PDMAAmゲル表面との間に5.0mmの隙間を設けるようにPAMPS/PDMAAmゲルが充填された状態ないし処置群を意味する。

0044

術後4週間ケージ内での飼育を行ってから屠殺し、膝関節を肉眼観察した後に、左右それぞれの膝を組織学的(サフラニン−O染色:廣谷ら、臨床整形外科、1976年、第11巻、第12号、40頁−44頁)に評価した。組織学的評価に際し、大腿骨は円形の損傷部位の中心を通る矢状面で、膝蓋骨は正中矢状面切片を作成した。なお骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔(mm)の計測は、充填したPAMPS/PDMAAmゲルの中心部、及び該中心部を挟んで対峙して位置するハイドロゲルの端二点の計三点で行い、その実測値の平均を骨欠損部の関節面からPAMPS/PDMAAmゲル表面までの間隔とした。また、成熟した日本白色家兎(3.0〜4.2kg、20羽)の両膝大腿骨/膝蓋骨の大腿骨側に、垂直に骨欠損部(径4.3mm、深さはランダムに1mm、2mm、3mm、4mm、5mmとした)を作製し、そのまま何も充填せずにケージ内で4週間飼育した群を無処置対照群とした。

0045

この結果、無処置対照群では、いずれの深さの骨欠損部においても、ほとんどの膝において骨欠損部は新生骨で充填されていたが、その表層段差を残したまま線維組織で被われており、軟骨組織はまったく認められなかった。幾つかの膝では新生骨の表層の線維組織と線維軟骨様組織が混在していたが、それらの膝においても硝子軟骨細胞の再生は認められなかった。

0046

これに対して、実施例で製造したPAMPS/PDMAAmゲルを骨欠損部に充填した群では、関節面とPAMPS/PDMAAmゲル表面との間隔によって、次のような結果が観察された。

0047

1)間隔0.0mmの場合(図3
骨欠損部周囲には無処置対照群と比較して特別な変化は観察されず、また関節水腫なども確認されなかった。骨欠損部はPAMPS/PDMAAmゲルで充填時と変化なく充填されていた。PAMPS/PDMAAmゲルと骨欠損部との境界部において新生骨による骨壁が取り巻くように認められ、その一部に軟骨組織の再生が確認された。

0048

2)間隔が0.0mm〜0.6mmの場合(図4
PAMPS/PDMAAmゲル表面は薄い線維組織で被われており、またPAMPS/PDMAAmゲルと骨欠損部との境界部に軟骨様組織が認められた。

0049

3)間隔が0.7〜1.3mmの場合(図5
PAMPS/PDMAAmゲル表面の上に設けた間隔は、再生した軟骨組織で完全に埋まっていた。この再生した軟骨組織はサフラニン−Oでよく染色された。軟骨細胞はPAMPS/PDMAAmゲル表面に近い部分で密に、関節面に近い部分で疎に存在し、正常軟骨に近い分布を示した。また、再生した軟骨組織の最表層にはLamina splendens様の構造が認められた。

0050

4)間隔が1.4〜2.0mmの場合(図6
3)と同様に、PAMPS/PDMAAmゲル表面の上に設けた間隔は再生した軟骨組織で完全に埋まっていた。さらにPAMPS/PDMAAmゲル表面と再生した軟骨組織との間に、軟骨下骨の骨新生が確認された。

0051

5)間隔が2.1〜2.8mmの場合(図7
PAMPS/PDMAAmゲル表面に軟骨下骨の骨新生が、さらにその上に軟骨組織の再生が認められた。また再生した軟骨組織の関節面に近い部位には線維組織と軟骨組織が混在した軟骨様組織の再生が確認された。この軟骨様組織内には新生骨が散在していた。

0052

6)間隔が2.8mmより大きい場合(図8
無処置対照群と類似した所見であり、PAMPS/PDMAAmゲル表面の上に設けた間隔は新生骨で充填され、その表面部は段差を残したまま線維組織で被われており、軟骨組織の再生は認められなかった。幾つかの膝では、新生骨の表面に線維組織と線維軟骨様組織の混在が認められたが、軟骨細胞の配列構造は確認されず、線維軟骨様組織の内部が骨化している膝も確認された。

0053

<試験例2>
試験例1の4)の間隔を1.4〜2.0mmとした検体について実験を繰り返し、1週間毎の軟骨組織再生の様子を、サフラニン−O染色によって確認した。その結果を図14に示す。

0054

<試験例3>
試験例2の検体の再生部位における2型コラーゲンの発現を、Kumagaiらの方法(Kumagaiら、J.Anat.,1994年、第185巻、第279−284頁)を参考にして確認した。具体的には、切片をProteinaseKで室温で6分間処理した後、PBS洗浄し、1%過酸化水素メタノールに30分間浸漬した。PBSで洗浄後、50倍稀釈した一次抗体マウス抗ヒトコラーゲンII型抗体、富士薬品工業)を用いて室温で60分間インキュベートした。PBSで再洗浄し、二次抗体抗マウスIgG抗体、Envision)を用いて室温で30分間インキュベートした。その後、DAB DAKO(DAB基質セット)で発色させ、ヘマトキシリンで核を染色した。その染色像を図15に表す。

0055

<試験例4>
試験例2の再生部位、ならびにコントロール試験後の処置周辺部位から組織を回収し、RiboPure Kit(Ambion)を用いてRNAを抽出した。1μgのRNAに対して、PrimeScriptRTTM Reagent Kit (TAKARA)を用いて逆転写反応(37℃15分、次いで85℃5秒)を行って一本鎖cDNAを合成した。さらに、軟骨細胞のマーカーとして知られるII型コラーゲン、アグリカン、Sox9であり、これらの3種類のタンパク質のmRNA量を、それぞれのタンパク質をコードする核酸塩基配列情報を基にして設計したプライマーDNAを用い、SYBR(登録商標) Premix Ex Taq (Takara)を用いてThermal Cycler Dice(登録商標)TP800 (Takara)でリアルタイムPCR(95℃5秒及び60℃30秒を40サイクル)を行い、Thermal Cycler Dice Real Time System Softwareにて解析した。プライマーDNAの塩基配列は、アグリカンがGCACGACGCCATTGCTAC(フォワード)とGTCTGGACCGTGATGTCCTC(リバース)、II型コラーゲンがGACCATCAATGGCGGCTTC(フォワード)とCACGCTGTTCTTGCAGTGGTAG(リバース)、Sox9がAACGCCGAGCTCAGCAAGA(フォワード)とTGGTACTTGTAGTCCGGGTGGTC(リバース)である。
その結果を図16に示す。軟骨組織の再生が認められた組織では、上記3種類のマーカータンパク質mRNAの発現が確認された。一方、対照群ではいずれのマーカータンパク質の発現は殆ど認められなかった。

0056

<実施例2>
実施例1の6mol/LのN,N−ジメチル−アクリルアミド(DMAA)を同モルのアクリルアミド(AAm)に変更する他は全て同じ条件で操作を行い、ダブルネットワーク型のハイドロゲルである骨充填剤(PAMPS/PAAmゲル)を製造した。

0057

<試験例5>
実施例2で製造した本発明の骨充填剤を用いて、軟骨組織再生のための外科的処置を試験例1の記載と同一の方法で行った。実施例2で製造したPAMPS/PAAmゲルを骨欠損部に充填した群では、関節面とPAMPS/PAAmゲル表面との間隔によって、次のような結果が観察された。

0058

1)間隔が0.0mm〜0.6mmの場合
軟骨組織の再生は認められなかった。

0059

2)間隔が0.7〜1.3mmの場合(図9
PAMPS/PAAmゲル表面の上に設けた間隔に、局所的な軟骨組織の再生が認められた。

0060

3)間隔が1.4〜2.0mmの場合(図10)
骨表面の近くに少量の軟骨再生組織が存在していた。

0061

4)間隔が2.1〜2.8mmの場合(図11)
PAMPS/PAAmゲル表面に脂肪変性様の壊死と思われる組織像が認められたが、関節面に近い部位には関節面と並行に軟骨様組織の再生が確認された。

0062

5)間隔が2.8mmより大きい場合(図12
PAMPS/PAAmゲル表面に脂肪変性様の壊死と思われる組織像が認められたが、関節面に近い部位には関節面と並行に軟骨様組織の再生が確認された。

0063

<比較例>
試験例1と同様の条件において、本発明の骨充填剤に代えてポリビニルアルコールゲルを骨欠損部に充填した検体、人工関節材料として利用されているUltra High Molecular Weight Polyetylene(UHMPE)を骨欠損部に充填した検体は、いずれも軟骨組織の再生は観察されなかった(図17)。

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