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技術 ジスルフィド架橋高分子ミセルを用いた環境応答性siRNAキャリア

出願人 国立大学法人東京大学
発明者 片岡一則西山伸宏松本悟
出願日 2007年11月22日 (12年2ヶ月経過) 出願番号 2008-545464
公開日 2010年3月4日 (9年11ヶ月経過) 公開番号 WO2008-062909
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 荷電性官能基 イオン強度変化 使用マニュアル 酸無水環 抑制現象 高分子ブロック 異物認識 必須構成要素
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題・解決手段

単分散性及び構造安定性が高く、かつ細胞へのsiRNA送達能に優れた、siRNA内包高分子ミセル複合体ポリイオンコンプレックス)を提供する。さらに本発明は、当該複合体を用いた核酸送達デバイス、核酸送達用キット医薬組成物及び遺伝子治療剤を提供する。 本発明のポリイオンコンプレックスは、ポリエチレングリコール部分および末端チオール基の側鎖を有するポリカチオン部分を構成成分とするブロックコポリマーと、siRNAとを含むことを特徴とする。

概要

背景

siRNA(small interfering RNA)とは、19〜21塩基対二本鎖RNAであり、強力かつ特異的な遺伝子発現抑制現象として知られるRNA干渉(RNAi:RNA interference)を担う主要分子である(Fire A et al.,Potent and specific genetic interference by double−stranded RNA in Caenorhabditis elegans.,Nature,vol.391,p.744−745,1998)。2001年にTushlらによって哺乳類細胞におけるRNAiが報告されて以来(Sayda M et al.,Duplexes of 21−nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells.,Nature,vol.411,p.494−498,2001)、あらゆる疾病治療への適用を目指した研究開発活発に行われている。但し、先行する開発は目や呼吸器など患部への到達が容易な部位に対するものであり、適用範囲が限定的である。そもそも、siRNAは生理的環境にて易分解性の不安定な化学種であり、マウスに単独で静脈投与した場合には速やかに(t1/2=数分)腎排泄されることが知られている。したがって、siRNAの体内動態を改善するDDSは、siRNA実用化の鍵を握るものとして切望されている。
しかし、全身性のDDSは、未だ研究室ベルに留まり、実用化には程遠い。最も前衛的な成果発表しているAlnylam及びProtiva Biotherapeuticsの両社によるSNALP(Stable Nucleic Acid Lipid Particles)の系であっても、肝臓への受動的な取り込みのため肝臓以外の組織への適用は困難である(Tracy S et al.,RNAi−mediated gene silencing in non−human primates.,Nature,vol.441,p.111−114,2006)。一方、血流中への長期滞留という点のみについては、協和発酵社によるWrapped liposomeの系が、一本鎖DNAを対象としながらも飛躍的な滞留性向上に成功したため(Masahiro Yamauchi et al.,Improved formulations of Antisense oligonucleotides using wrapped liposomes.,J.Control Release,vol.114,p.268−275,2006)、今後のsiRNAへの展開が大いに期待されているが、リポソームの場合、安定すぎて内部の薬剤を放出するのが困難な場合が多い。
前述したように、siRNAの適用を拡大するにあたっては、siRNAの体内動態を改善し、血流中へのsiRNA投与を可能とする技術が極めて重要である。
これまでに、プラスミドDNAやアンチセンスDNAにつき、ポリエチレングリコールポリリシンブロックコポリマー(PEG−PLys)を用いて当該DNAを内包したナノメートルスケール構造体(すなわち高分子ミセル)が形成され、その有用性が報告されている(K.Kataoka et al.,Spontaneous formation of polyion complex micelles with narrow distribution form antisense oligonucleotide and cationic block copolymer in physiological saline.,Macromolecules,vol.29,p.8556−8557,1996 ; M.A.Woflert et al.,Characterization of vector for gene therapy formed by self−assembly of DNA with synthetic block co−polymers.Hum.,Gene Ther.,vol.7,p.2123−2133,1996;S.Katayose et al.,Water−soluble polyion complex associates of DNA and poly(ethylene glycol)−poly(L−lysine)block copolymer.Bioconjug.,Chem.,vol.8,p.702−707,1997;S.Katayose et al.,Remarkable increase in nuclease resistance of plasmid DNA through supramolecular assembly with poly(ethylene glycol)−poly(L−lysine)block copolymer.,J.Pharm.Sci.,vol.87,p.160−163,1998)。
このような高分子ミセルは、上記ブロックコポリマー中ポリカチオン部分(PEG−PLysではポリリシン部分)と、ポリアニオンである核酸分子(DNA等)との静電相互作用による自己組織化によって形成される。形成された高分子ミセルは、ポリカチオンとポリアニオンとのポリイオンコンプレックス部分が内核様部分となり、その表層がポリエチレングリコール(PEG)で覆われたような、コアシェル型の構造となる。そのため、当該高分子ミセルは、生体内異物認識機構や腎排泄を回避し得ることが期待される。
本発明者は、上記プラスミドDNAやアンチセンスDNAがsiRNAの類縁体であることに鑑み、siRNAの体内動態を改善する方策として、PEG−PLysを用いてsiRNAを内包する高分子ミセルの形成を試みた。しかしながら、実際に得られたものは、構造安定性が低く、目的のコア−シェル型のミセル構造を十分に備えるものではなく、培養細胞へのsiRNA送達能に極めて乏しいものであった。そのため、PEG−PLysを、siRNAのキャリアとして利用することは極めて困難であった。

概要

単分散性及び構造安定性が高く、かつ細胞へのsiRNA送達能に優れた、siRNA内包高分子ミセル複合体(ポリイオンコンプレックス)を提供する。さらに本発明は、当該複合体を用いた核酸送達デバイス、核酸送達用キット医薬組成物及び遺伝子治療剤を提供する。 本発明のポリイオンコンプレックスは、ポリエチレングリコール部分および末端チオール基の側鎖を有するポリカチオン部分を構成成分とするブロックコポリマーと、siRNAとを含むことを特徴とする。

目的

本発明が解決しようとする課題は、単分散性及び構造安定性が高く、かつ細胞へのsiRNA送達能に優れた、siRNA内包高分子ミセル複合体(ポリイオンコンプレックス)を提供する

効果

実績

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請求項1

ポリエチレングリコール部分および末端チオール基の側鎖を有するポリカチオン部分を構成成分とするブロックコポリマーと、siRNAとを含むことを特徴とする、ポリイオンコンプレックス

請求項2

ポリカチオン部分が、側鎖にカチオン性基を有するポリペプチドである、請求項1記載のポリイオンコンプレックス。

請求項3

ブロックコポリマーが下記一般式(1)で示されるものである、請求項1又は2記載のポリイオンコンプレックス。〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表し、L1は、NH、下記一般式(2):−(CH2)p1−NH−(2)(式中、p1は1〜5の整数を表す。)で示される基、又は下記一般式(3):−L2a−(CH2)q1−L3a−(3)(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NHを表す。q1は1〜5の整数を表す。)で示される基を表す。kは100〜500の整数を表し、mは0〜499の整数を表し、nは1〜500の整数を表す。但し、m+nは10〜500である。pは1〜10の整数を表し、qは1〜10の整数を表し、rは1〜10の整数を表す。「/」の表記は、その左右に示された(m+n)個の各モノマー単位配列順序が任意であることを表す。〕

請求項4

ポリカチオン部分とsiRNAとが静電的相互作用により結合したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイオンコンプレックス。

請求項5

ポリカチオン部分とsiRNAとがコア部分を形成し、ポリエチレングリコール部分が当該コア部分の周囲にシェル部分を形成したものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイオンコンプレックス。

請求項6

ブロックコポリマーの分子内及び/又は分子間でジスルフィド結合が形成されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイオンコンプレックス。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリイオンコンプレックスを含むことを特徴とする、細胞内への核酸送達デバイス

請求項8

ポリエチレングリコール部分および末端がチオール基の側鎖を有するポリカチオン部分を構成成分とするブロックコポリマーを含む、細胞内への核酸送達キット

請求項9

請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリイオンコンプレックスを含む、細胞内への核酸送達用キット。

請求項10

請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリイオンコンプレックスを含むことを特徴とする、癌治療用医薬組成物

請求項11

請求項10記載の組成物を有効成分として含むことを特徴とする、癌の遺伝子治療剤

技術分野

0001

本発明は、核酸を内包した高分子ミセル複合体、特に、siRNAを内包した高分子ミセル複合体に関する。また本発明は、当該複合体を用いた核酸送達デバイス、核酸送達キット医薬組成物及び遺伝子治療剤に関する。

背景技術

0002

siRNA(small interfering RNA)とは、19〜21塩基対二本鎖RNAであり、強力かつ特異的な遺伝子発現抑制現象として知られるRNA干渉(RNAi:RNA interference)を担う主要分子である(Fire A et al.,Potent and specific genetic interference by double−stranded RNA in Caenorhabditis elegans.,Nature,vol.391,p.744−745,1998)。2001年にTushlらによって哺乳類細胞におけるRNAiが報告されて以来(Sayda M et al.,Duplexes of 21−nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells.,Nature,vol.411,p.494−498,2001)、あらゆる疾病治療への適用を目指した研究開発活発に行われている。但し、先行する開発は目や呼吸器など患部への到達が容易な部位に対するものであり、適用範囲が限定的である。そもそも、siRNAは生理的環境にて易分解性の不安定な化学種であり、マウスに単独で静脈投与した場合には速やかに(t1/2=数分)腎排泄されることが知られている。したがって、siRNAの体内動態を改善するDDSは、siRNA実用化の鍵を握るものとして切望されている。
しかし、全身性のDDSは、未だ研究室ベルに留まり、実用化には程遠い。最も前衛的な成果発表しているAlnylam及びProtiva Biotherapeuticsの両社によるSNALP(Stable Nucleic Acid Lipid Particles)の系であっても、肝臓への受動的な取り込みのため肝臓以外の組織への適用は困難である(Tracy S et al.,RNAi−mediated gene silencing in non−human primates.,Nature,vol.441,p.111−114,2006)。一方、血流中への長期滞留という点のみについては、協和発酵社によるWrapped liposomeの系が、一本鎖DNAを対象としながらも飛躍的な滞留性向上に成功したため(Masahiro Yamauchi et al.,Improved formulations of Antisense oligonucleotides using wrapped liposomes.,J.Control Release,vol.114,p.268−275,2006)、今後のsiRNAへの展開が大いに期待されているが、リポソームの場合、安定すぎて内部の薬剤を放出するのが困難な場合が多い。
前述したように、siRNAの適用を拡大するにあたっては、siRNAの体内動態を改善し、血流中へのsiRNA投与を可能とする技術が極めて重要である。
これまでに、プラスミドDNAやアンチセンスDNAにつき、ポリエチレングリコールポリリシンブロックコポリマー(PEG−PLys)を用いて当該DNAを内包したナノメートルスケール構造体(すなわち高分子ミセル)が形成され、その有用性が報告されている(K.Kataoka et al.,Spontaneous formation of polyion complex micelles with narrow distribution form antisense oligonucleotide and cationic block copolymer in physiological saline.,Macromolecules,vol.29,p.8556−8557,1996 ; M.A.Woflert et al.,Characterization of vector for gene therapy formed by self−assembly of DNA with synthetic block co−polymers.Hum.,Gene Ther.,vol.7,p.2123−2133,1996;S.Katayose et al.,Water−soluble polyion complex associates of DNA and poly(ethylene glycol)−poly(L−lysine)block copolymer.Bioconjug.,Chem.,vol.8,p.702−707,1997;S.Katayose et al.,Remarkable increase in nuclease resistance of plasmid DNA through supramolecular assembly with poly(ethylene glycol)−poly(L−lysine)block copolymer.,J.Pharm.Sci.,vol.87,p.160−163,1998)。
このような高分子ミセルは、上記ブロックコポリマー中ポリカチオン部分(PEG−PLysではポリリシン部分)と、ポリアニオンである核酸分子(DNA等)との静電相互作用による自己組織化によって形成される。形成された高分子ミセルは、ポリカチオンとポリアニオンとのポリイオンコンプレックス部分が内核様部分となり、その表層がポリエチレングリコール(PEG)で覆われたような、コアシェル型の構造となる。そのため、当該高分子ミセルは、生体内異物認識機構や腎排泄を回避し得ることが期待される。
本発明者は、上記プラスミドDNAやアンチセンスDNAがsiRNAの類縁体であることに鑑み、siRNAの体内動態を改善する方策として、PEG−PLysを用いてsiRNAを内包する高分子ミセルの形成を試みた。しかしながら、実際に得られたものは、構造安定性が低く、目的のコア−シェル型のミセル構造を十分に備えるものではなく、培養細胞へのsiRNA送達能に極めて乏しいものであった。そのため、PEG−PLysを、siRNAのキャリアとして利用することは極めて困難であった。

0003

そこで、本発明が解決しようとする課題は、単分散性及び構造安定性が高く、かつ細胞へのsiRNA送達能に優れた、siRNA内包高分子ミセル複合体(ポリイオンコンプレックス)を提供することにある。さらに本発明は、当該複合体を用いた核酸送達デバイス、核酸送達用キット、医薬組成物及び遺伝子治療剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、ポリイオンコンプレックスの単分散性及び構造安定性が低い要因は、siRNAがプラスミドDNA等と比較して塩基長が極めて短い分子であることにあると考えた。そこで、この要因を解消し得るため、ポリエチレングリコール−ポリカチオンブロックコポリマーについて種々検討した結果、該コポリマーのポリカチオン部分の側鎖末端塩基性の高い官能基チオール基を導入したものを用いれば、前述した課題を解消し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ポリエチレングリコール部分および末端がチオール基の側鎖を有するポリカチオン部分を構成成分とするブロックコポリマーと、siRNAとを含むことを特徴とする、ポリイオンコンプレックス。
本発明のポリイオンコンプレックスにおいて、ポリカチオン部分として、例えば、側鎖にカチオン性基を有するポリペプチドが挙げられる。また、ブロックコポリマーとして、例えば、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。

〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表し、
L1は、NH、下記一般式(2):
−(CH2)p1−NH− (2)
(式中、p1は1〜5の整数を表す。)
で示される基、又は下記一般式(3):
−L2a−(CH2)q1−L3a− (3)
(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NHを表す。q1は1〜5の整数を表す。)
で示される基を表す。
kは100〜500の整数を表し、mは0〜499の整数を表し、nは1〜500の整数を表す。但し、m+nは10〜500である。
pは1〜10の整数を表し、qは1〜10の整数を表し、rは1〜10の整数を表す。
「/」の表記は、その左右に示された(m+n)個の各モノマー単位配列順序が任意であることを表す。〕
本発明のポリイオンコンプレックスとしては、例えば、ポリカチオン部分とsiRNAとが静電的相互作用により結合したものが挙げられる。また、ポリカチオン部分とsiRNAとがコア部分を形成し、ポリエチレングリコール部分が当該コア部分の周囲にシェル部分を形成したものが挙げられる。さらに、ブロックコポリマーの分子内及び/又は分子間でジスルフィド結合が形成されたものが挙げられる。
(2)上記(1)のポリイオンコンプレックスを含むことを特徴とする、細胞内への核酸送達デバイス。
(3)ポリエチレングリコール部分および末端がチオール基の側鎖を有するポリカチオン部分を構成成分とするブロックコポリマーを含む、細胞内への核酸送達用キット。
本発明のキットとしては、例えば、上記(1)のポリイオンコンプレックスを含むものが挙げられる。
(4)上記(1)のポリイオンコンプレックスを含むことを特徴とする、癌治療用の医薬組成物。
(5)上記(4)の医薬組成物を有効成分として含むことを特徴とする、癌の遺伝子治療剤。
(6)上記(4)の医薬組成物又は上記(5)の治療剤患者に投与することを含む、癌の治療方法
(7)癌の治療用の(好ましくは、癌の遺伝子治療用の)上記(1)のポリイオンコンプレックス。
(8)癌を治療するための医薬の製造のための上記(1)のポリイオンコンプレックスの使用。

図面の簡単な説明

0004

図1は、本発明のポリイオンコンプレックスの構造を示す概略図である。
図2は、PEG−PLys(SH+)の化学構造式およびPEG−PLys(SH+)のその1H−NMRスペクトルを示す図である。構造式中の「/」の表記は、その左右に示された合計(m+n)個の各モノマー単位の配列順序が任意であることを意味する。
図3は、PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルに関し、PEG−PLys(SH+)及びsiRNAの混合比(N/P)と、散乱光強度との関係を示すグラフである。
図4は、PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルのポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。
図5は、PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルの粒度分布を示す図である。
図6は、PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルのζ電位を示す図である。
図7は、イオン強度変化NaCl濃度変化)に対する、PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルの構造安定性を示すグラフである。
図8は、Huh7細胞へのsiRNAトランスフェクション効率に対する、PEG−PLys(SH+)の影響を示すグラフである。
図9は、Cy3−siRNAを内包したジスルフィド架橋高分子ミセルのマウス血中滞留性評価の結果を示すグラフである。

符号の説明

0005

1ブロックコポリマー
2ポリエチレングリコール(PEG)部分
3ポリカチオン部分
4 siRNA
5ポリイオンコンプレックス(PIC)

発明を実施するための最良の形態

0006

以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。
なお、本明細書は、本願優先権主張の基礎となる特願2006−315753号明細書の全体を包含する。また、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
1.本発明の概要
本発明者は、siRNAを内包した高分子ミセル複合体(ポリイオンコンプレックス)を形成するにあたり、該ポリイオンコンプレックスの単分散性及び構造安定性を改善するためには、siRNAのキャリアとなる高分子ブロックコポリマー(ポリエチレングリコール−ポリカチオンブロックコポリマー)の改良が必要であると考え、種々の検討を行った。
そこで本発明者は、ポリカチオン部分の側鎖末端にチオール基(−SH基)が導入されたブロックコポリマーを用いて、siRNA内包ポリイオンコンプレックスを調製した。具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)とポリリシン(PLys)からなる高分子ブロックコポリマーの一級アミンに、−SH基を含有する1−イミノ−4−メルカプトブチル基を導入したブロックコポリマー(以下、PEG−PLys(SH+))を用いて、siRNA内包ポリイオンコンプレックスを調製した。
その結果、ポリアニオンであるsiRNAを安定に内包したナノメートルスケールの構造体で、単分散性及び構造安定性に非常に優れた、コア−シェル型の構造を有するミセル状のポリイオンコンプレックスの形成に成功した(図1参照)。
また、得られたsiRNA内包ポリイオンコンプレックスは、ポリカチオン部分の側鎖末端のチオール基(−SH基)が互いに反応することで、ジスルフィド(−S−S−)結合による架橋構造を形成することができる。この結合により、ポリイオンコンプレックスを構成する前記ブロックコポリマー同士の会合性が強められ、siRNAのような塩基長の短い分子であっても安定した内包状態を保つことができ、結果としてミセル構造の安定化を効果的に図ることができる。しかも、ジスルフィド結合による架橋構造は、細胞内外環境変化に応じて安定性が変化するため、これを利用して細胞への高いsiRNA送達能を達成することができる。つまり、ジスルフィド結合は、還元的環境下において容易に開裂する結合であるが、細胞外と細胞内とではグルタチオン濃度差による酸化還元環境の違いがある。具体的には、細胞外では非還元的環境であり(約10μM)、細胞内では還元的環境である(約10mM)。そのため、本発明のポリイオンコンプレックスは、標的細胞に取り込まれた後、架橋構造による安定化が解かれることで、内包物であるsiRNAを標的細胞内にスムーズかつ効率的に放出することができ、RNAiによる遺伝子発現の抑制効率(ノックダウン効率)等を飛躍的に向上させ得る。
以上のように、本発明のポリイオンコンプレックスは、生理的環境にて易分解性の不安定な化学種であるsiRNAを、標的細胞内に導入するまで極めて安定な状態で保持することができ、しかも、細胞外から細胞内への環境変化に応答して効率的にsiRNAを放出する(細胞内に導入する)ことができるインテリジェントベクターとして、極めて有用性の高いものである。
本発明のポリイオンコンプレックスに用いるブロックコポリマーは、本発明者らによる既報の文献(Miyata,K.et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.126,p.2355−2361,2004)に開示されたものである(例えば、p.2356スキーム1中の“PEG−PLL−IM”で示されるポリマー)。しかし、当該文献は、pDNAのキャリアとして有用なブロックコポリマーの報告を目的としたものであり、当該ブロックコポリマーをsiRNAのキャリアとして用いることについては開示されていない。すなわち、この文献は、pDNAのキャリアとしての有用性を示さない比較対照のポリマーとして、本発明に用いるブロックコポリマーを開示している。また、pDNAとsiRNAとはいずれも核酸の一種として分類されるものであるが、前述したように、pDNA等のキャリアとして有用な既存のブロックコポリマーを、siRNAの有用なキャリアとして用いることは困難であった。このような状況の下、本発明者は、当該文献に比較対照として開示されていたブロックコポリマーをsiRNAのキャリアとして用いることにより、安定に内包することが極めて困難であったsiRNAを十分に実用化が可能なレベルで、ミセル状のポリイオンコンプレックスに内包できることを見出した。しかも、このsiRNA内包ポリイオンコンプレックスが、標的細胞へのsiRNA導入効率が非常に高いものであるなど、siRNA送達デバイスとして当業者予想し得ない格段の効果を有することも見出した。
2.ポリイオンコンプレックス
本発明のポリイオンコンプレックス(PIC)は、末端にチオール基が導入された側鎖を有するポリカチオン部分を含む特定のブロックコポリマーと、siRNAとを含むことを特徴とする、ミセル状のsiRNA内包高分子複合体である。
(1)ブロックコポリマー
本発明のPICを構成するブロックコポリマーは、PEG部分及びポリカチオン部分を構成成分として含むブロックコポリマーであって、ポリカチオン部分が、末端にチオール基(−SH基)が導入された側鎖を有することを特徴とするものである。
ポリカチオン部分において、側鎖の末端に導入された−SH基は、ポリカチオン部分が有する側鎖のうちの少なくとも一部の側鎖に導入されていればよい。導入率として、例えば、ポリカチオン部分が有する全側鎖のうち、0.2〜100%の側鎖が末端−SH基を有するものであることが好ましく、より好ましくは5〜70%、さらに好ましくは30〜65%である。
PEG部分及びポリカチオン部分は、上述した末端−SH基の点を除き、その構造(例えば重合度)は限定されず、任意の構造のものを選択できるが、特に、ポリカチオン部分は、側鎖にカチオン性基を有するポリペプチドであることが好ましい。ここで言うカチオン性基とは、水素イオン配位して既にカチオンとなっている基に限らず、水素イオンが配位すればカチオンとなる基も含む意味である。このようなカチオン性基としては、公知のものが全て含まれる。カチオン性基を側鎖に有するポリペプチドは、塩基性側鎖を有する公知のアミノ酸リシンアルギニンヒスチジン等)がペプチド結合してなるもののほか、各種アミノ酸がペプチド結合し、結合後その側鎖がカチオン性基を有するように置換されたものも含む。
本発明において使用し得るブロックコポリマーとしては、例えば、下記一般式(1)で示されるブロックコポリマーが好ましく挙げられる。

ここで、一般式(1)の構造式中、繰り返し単位数(重合度)がkのブロック部分がPEG部分であり、繰り返し単位数がmの部分とnの部分とを合わせたブロック部分(一般式(1)中、[ ]内に示された部分)がポリカチオン部分である。また、ポリカチオン部分における「/」の表記は、その左右に示された各モノマー単位の配列順序が任意であることを意味する。例えば、A及びBというモノマー単位から構成されるブロック部分が、[−(A)a—/—(B)b−]と表記されている場合は、a個のAとb個のBとからなる合計(a+b)個の各モノマー単位が、ランダムにどのような並び順で連結していてもよいことを意味する。但し、すべてのA及びBは、直鎖状に連結していることが必要である。
一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、同一又は異なって、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表す。
炭素数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基としては、例えば、メチル基エチル基、n−プロピル基イソプロピル基n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基n−ヘキシル基、デシル基及びウンデシル基等が挙げられる。
またアルキル基の置換基としては、例えば、アセタール化ホルミル基シアノ基ホルミル基カルボキシル基アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミド基、シロキシ基シリルアミノ基、及びトリアルキルシロキシ基(各アルキルシロキシ基は、それぞれ独立に、炭素数1〜6である)等が挙げられる。
置換基がアセタール化ホルミル基である場合、酸性温和な条件下で加水分解することにより、他の置換基であるホルミル基(アルデヒド基;−CHO)に転化することができる。また置換基(特にR1における置換基)がホルミル基、カルボキシル基又はアミノ基の場合は、例えば、これらの基を介して、抗体若しくはその断片又はその他の機能性若しくは標的指向性を有するタンパク質等を結合させることができる。
一般式(1)中、L1は、PEG部分とポリカチオン部分とのリンカー部分であり、NH、下記一般式(2):
−(CH2)p1−NH− (2)
〔式(2)中、p1は1〜5(好ましくは2〜3)の整数を表す。〕
で示される基、又は下記一般式(3):
−L2a−(CH2)q1−L3a− (3)
〔式(3)中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NHを表す。q1は1〜5(好ましくは2〜3)の整数を表す。〕
で示される基を表す。
一般式(1)中、kは、PEG部分の繰り返し単位の数(重合度)を表し、具体的には、100〜500(好ましくは200〜300)の整数を表す。
また、ポリカチオン部分を構成する各モノマー単位の重合度については、mが0〜499(好ましくは0〜100、より好ましくは20〜100、さらに好ましくは30〜100、特に好ましくは30〜70)の整数を表し、nが1〜500(好ましくは1〜100、より好ましくは5〜100、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜50)の整数を表す。但し、m+nは、10〜500(好ましくは10〜200、より好ましくは20〜150、さらに好ましくは30〜120、さらに好ましくは30〜100、さらにより好ましくは40〜100、特に好ましくは40〜70)である。
さらに、ポリカチオン部分の側鎖中のメチレン基(−CH2−)の繰り返し単位数については、pは1〜10(好ましくは3〜4)の整数を表し、qは1〜10(好ましくは3〜4)の整数を表し、rは1〜10(好ましくは2〜4)の整数を表す。
上より、一般式(1)で示されるポリマーは、以下の2つのブロック部分を必須構成要素とするポリマーであると言える。
親水性であり生体適合性に優れたポリエチレングリコール(PEG)鎖からなるブロック部分(重合度kのブロック部分:PEG部分)
・siRNAと静電結合する側鎖、及び側鎖同士でジスルフィド結合による架橋構造を形成し得る側鎖を有するブロック部分(側鎖にカチオン性基と末端チオール基とを有する重合度m+nのブロック部分:ポリカチオン部分)
一般式(1)で示されるブロックコポリマーの分子量(Mw)は、限定はされないが、10,000〜150,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜40,000である。また、個々のブロック部分については、PEG部分の分子量(Mw)は、限定はされないが、4,400〜22,000であることが好ましく、より好ましくは8,000〜15,000であり、さらに好ましくは10,000〜13,000、特に好ましくは10,000〜12,000であり、ポリカチオン部分の分子量(Mw)は、限定はされないが、2,500〜125,000であることが好ましく、より好ましくは2,500〜25,000である。
一般式(1)で示されるポリマーの製造方法は、限定はされないが、概略を述べると、例えば、(a)R1とPEG鎖のブロック部分とを含むセグメント(PEGセグメント)を予め合成しておき、(b1)このPEGセグメントの片末端(R1と反対の末端)に、所定のモノマーを順に重合し、その後必要に応じて側鎖がカチオン性基を含むように置換若しくは変換するか、又は(b2)上記PEGセグメントと、カチオン性基を含む側鎖を有するブロック部分とを予め合成してこれらを互いに連結し、その後、(c)カチオン性基を含む側鎖に−SH基含有化合物を反応させて、側鎖の末端に−SH基を導入する方法が挙げられる。当該製法において、各種反応の方法及び条件は、常法を考慮し適宜選択又は設定することができる。当該製造方法の具体例としては、後述する実施例に記載の合成スキームを参照することができる。
上記PEGセグメントは、例えば、WO 96/32434号公報、WO 96/33233号公報又はWO 97/06202号公報に記載のブロックコポリマーのPEGセグメント部分の製法を用いて調製することができる。PEGセグメントのうち−R1基と反対側の末端は、一般式(1)において「−L1」となる部分であり、−NH2、下記一般式(4):
−(CH2)p2−NH2 (4)
〔式(4)中、p2は1〜5(好ましくは2〜3)の整数を表す。〕
で示される基、又は一般式(5):
−L2b−(CH2)q2−L3b (5)
〔式(5)中、L2bは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3bは、NH2を表す。q2は1〜5(好ましくは2〜3)の整数を表す。〕
で示される基であることが好ましい。
(2)内包する核酸
本発明のPICにおいて、コア部分の構成成分として内包する核酸は、1つの態様ではsiRNA(small interfering RNA)である。siRNAは、RNA干渉(RNAi:RNA interference)利用して目的の遺伝子の発現を抑制し得るものであればよく、例えば、目的遺伝子としては、癌(腫瘍)遺伝子、抗アポトーシス遺伝子細胞周期関連遺伝子、増殖シグナル遺伝子等が好ましく挙げられる。また、siRNAの塩基長は、通常、30塩基未満(好ましくは19〜21塩基)であればよく、限定はされない。
但し、本発明においては、内包する核酸はsiRNAのみには限定されず、必要に応じて、他の核酸、例えばプラスミドDNA及びアンチセンスオリゴDNA、デコイ核酸二重鎖DNA)、各種RNA、並びに化学修飾核酸及び非天然型核酸類縁体(例えばPNA(ペプチド核酸))を内包することもできる。
siRNA等の核酸分子はポリアニオンとなるため、前記ブロックコポリマーのポリカチオン部分の側鎖と、静電的相互作用により結合(会合)することができる。
本発明では、必要に応じて、上記siRNA等と共に、生理活性タンパク質や各種ペプチドなど、細胞内で機能発現する様々な物質をコア部分に含有させることもできる。
また、本発明のPICの他の一態様においては、コア部分の構成成分として、さらに高分子量又は低分子量の「アニオン性物質」を用いることができ、例えば、ウイルス粒子ペプチドホルモン、タンパク質、酵素等の高分子物質、あるいは分子内に荷電性官能基を有する低分子物質水溶性化合物)等が挙げられる。当該アニオン性物質としては、複数の異なる帯電状態の官能基(アニオン性基及びカチオン性基)を有する分子について、pHを変化させることにより分子全体としての帯電状態をアニオン性に変化させることができるものも含まれる。これらアニオン性物質は、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよく、限定はされない。
(3)ポリイオンコンプレックス(PIC)
本発明のPICは、siRNAと前記ブロックコポリマー中の一部(ポリカチオン部分)とが相互作用してイオンコンプレックスとなるコア部分を形成し、当該ブロックコポリマー中の他の部分(PEG部分を含む部分)がコア部分の周囲にシェル部分を形成した状態の、コア−シェル型のミセル状複合体ということができる(図1参照)。
本発明のPICは、例えば、siRNAとブロックコポリマーとを任意のバッファー(例えばTrisバッファー等)中で混合することにより容易に調製することができるが、ブロックコポリマーとsiRNAとの静電結合の前に、ブロックコポリマーのみがジスルフィド結合をして凝集等しないよう、十分な還元条件下で行うことが好ましい。還元条件は、例えばDTT(Dithiothreitol)等を添加することにより調整することができる。
さらに、本発明のPICは、ブロックコポリマーとsiRNAとの静電結合後(ミセル構造の形成後)、DMSO等の添加により酸化条件下とすることで、ブロックコポリマー中の−SH基どうしを反応させ、ブロックコポリマーの分子内及び/又は分子間においてジスルフィド架橋構造を形成することができる。この架橋構造により、siRNAの内包状態及びミセル構造の一層の安定化を図ることができる。
ブロックコポリマーとsiRNAとの混合比は、限定はされないが、例えば、ブロックコポリマー中のカチオン性基(例えばアミノ基)の総数(N)と、siRNA中のリン酸基の総数(P)との比(N/P比)が、0.5〜100であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10、さらに好ましくは1〜10、さらにより好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2である。ブロックコポリマーが一般式(1)のコポリマーである場合のN/P比も、上記と同様に0.5〜10であることが好ましく、より好ましくは0.5〜4、さらに好ましくは1〜2である(この場合のNは、ポリカチオン部分の側鎖に含まれる1級アミンと2級アミンの合計数である。)。N/P比が上記範囲のときは、遊離のポリマーが存在せず、in vivoでの高い発現効率が得られる等の点で好ましい。なお、上記カチオン性基(N)は、内包する核酸中のリン酸基と静電的に相互作用してイオン結合を形成することができる基を意味する。
本発明のPICの大きさは、限定はされないが、例えば、動的光散乱測定法(DLS)による粒径が30〜150nmであることが好ましく、より好ましくは50〜100nmである。
3.核酸送達デバイス
本発明においては、上述したポリイオンコンプレックス(PIC)を含む核酸送達デバイスが提供される。本発明の送達デバイスは、標的細胞内へ安定したまま送達することが困難であったsiRNAを、容易に安定化状態にすることができるため、少ないsiRNA使用量であっても十分にRNAi等の効果を得ることができる。また、細胞内外の酸化還元環境の変化を利用し、PICのコア部分に内包した所望のsiRNAを標的細胞内に効率的に導入する手段としても使用できる。
例えば、所望のsiRNAを内包したPICを含む溶液被験動物に投与して、体内の標的細胞に取り込ませる。その後、細胞内に取り込まれたPICがエンドソームから細胞質移行する。ブロックコポリマー間でジスルフィド結合が形成されていた場合は、細胞質内の還元的環境に応答して、当該結合が開裂し、その結果、PICに内包されているsiRNAと細胞内に存在するポリアニオンとの置換が促進され、PICが解離することにより、所望のsiRNAを細胞質内に放出することができる。
本発明の送達デバイスは、ヒト、マウス、ラットウサギブタイヌネコ等の各種動物に適用することができ、限定はされない。被験動物への投与方法は、通常、点滴静注などの非経口用法が採用され、投与量、投与回数及び投与期間などの各条件は、被験動物の種類及び状態に合わせて適宜設定することができる。
本発明の送達デバイスは、各種疾患の原因となる細胞に所望のsiRNAを導入する治療(遺伝子治療)に用いることができる。よって本発明は、前述したPICを含む各種疾患の治療用の医薬組成物、当該医薬組成物を有効成分として含む各種疾患用の遺伝子治療剤、及び、前述したPICを用いる各種疾患の治療方法(特に遺伝子治療方法)を提供することもできる。投与の方法及び条件は前記と同様である。また、各種疾患としては、例えば、癌(例えば、肺癌膵臓癌脳腫瘍肝癌乳癌大腸癌神経芽細胞腫及び膀胱癌等)、循環器疾患運動器疾患、及び中枢系疾患等が挙げられる。
上記医薬組成物については、薬剤製造上一般に用いられる賦形剤充填剤増量剤結合剤湿潤剤崩壊剤潤滑剤、界面活性剤分散剤緩衝剤保存剤溶解補助剤防腐剤矯味矯臭剤無痛化剤安定化剤及び等張化剤等を適宜選択して使用し、常法により調製することができる。また、医薬組成物の形態は、通常、静脈内注射剤(点滴を含む)が採用され、例えば、単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態等で提供される。
4.核酸送達用キット
本発明の核酸送達用キットは、前記特定のブロックコポリマー又は本発明のポリイオンコンプレックスを含むことを特徴とするものである。当該キットは、例えば癌細胞等の各種標的細胞に対してsiRNAを導入する、RNAiを利用した遺伝子治療に好ましく用いることができる。
本発明のキットにおいて、ブロックコポリマーの保存状態は、限定はされず、その安定性(保存性)及び使用容易性等を考慮して溶液状又は粉末状等の状態を選択できる。
本発明のキットは、前記特定のブロックコポリマー以外に他の構成要素を含んでいてもよい。他の構成要素としては、例えば、細胞内に導入するsiRNA、溶解用又は希釈用等の各種バッファー、溶解用バッファー、各種タンパク質、及び使用説明書使用マニュアル)等を挙げることができる。
本発明のキットは、標的細胞内に導入する所望のsiRNAをコア部分としたポリイオンコンプレックス(PIC)を調製するために使用され、調製したPICは、標的細胞へのsiRNA送達デバイスとして有効に用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0007

<材料>
以下に、本実施例で用いた化合物及び装置等の名称及び略称並びに入手元等を記載した。
ε−ベンジルオキシカルボニル−L−リシン(Lys(Z))(シグマアルドリッチ
n−ヘキサンテトラヒドロフラン(THF)(和光純薬工業)
トリホスゲン(東京化成工業)
α−メトキシ−ω−アミノ−ポリエチレングリコール(分子量12,000)(日本油脂
クロロホルム(和光純薬工業)
ジエチルエーテル(昭和エーテル
ベンゼン(和光純薬工業)
N,N−ジメチルホルムアミドDMF)(和光純薬工業)
トリフルオロ酢酸(和光純薬工業)
30%HBr/CH3COOH(東京化成工業)
塩化リチウム(和光純薬工業)
N−メチルピロリジドン(NMP)(シグマ−アルドリッチ)
ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(和光純薬工業)
2−イミノチオラン(和光純薬工業)
0.01mol/L塩酸(和光純薬工業)
IR−Report 100(日本分光
MREX400spectrometer(日本電子
HLC−8820 GPC(東ソー)
2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニルエタンスルホン酸HEES)(DOJINDO)
ジチオスレイトール(DTT)(和光純薬工業)
ジメチルスルホキシド(DMSO)(和光純薬工業)
ゼータサイザー(Malvern)
SYBR Green II(Molecular Probes)
ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(シグマ−アルドリッチ)
siRNA(21bp(二本鎖):配列番号1,2)(Dharmacon)
センス鎖:5’−CUUACGCUGAGUACUUCGAdTdT−3’(配列番号1)
アンチセンス鎖:5’−UCGAAGUACUCAGCGUAAGdTdT−3’(配列番号2)
Mini dialysis kit(分画分子量(MWCO)=1,000)(Amersham)
Dual−Luciferase(登録商標)Reporter Assay System(Promega)
Mithras LB−940(Berthold)
<方法>
1.Lys(Z)−N−カルボキシ無水物(Lys(Z)−NCA)の合成
Lys(Z)25gを一晩減圧乾燥させ、アルゴン雰囲気下でTHF200mLを加え、Lys(Z)を懸濁した。Lys(Z)に対し1.3倍当量ホスゲンとなるようにトリホスゲン/THF溶液を加え、50℃で溶液が無色透明になるまで反応を行った。反応終了後貧溶媒であるn−ヘキサン750mLに、Ar下でこの溶液を滴下して再沈し、−20℃で静置した。その後、上澄みは除去し、減圧乾燥した。Lys(Z)−NCAは再度THFに溶解させ、ヘキサンを少量の結晶析出するまで加え、−20℃で一晩静置した。結晶と上澄みは分離し、Lys(Z)−NCAの結晶は再び再結晶させた後、減圧乾燥して回収した。上澄みに関しては、同様に再結晶操作を繰り返した後、Lys(Z)−NCAの結晶を得た。
2.ポリエチレングリコール(PEG)の精製
片末端に一級アミノ基を有するα−メトキシ−ω−アミノ−ポリエチレングリコール(分子量12,000)に、その3倍量に相当するクロロホルムを加えて溶解させた。次いで、この溶解物を、貧溶媒である0℃のジエチルエーテル(クロロホルムに対し20倍量)に滴下して、再沈を行い、吸引濾過により沈殿物を回収した。その後、回収した沈殿物にベンゼンを加えて溶解させ、凍結乾燥を行い、PEGを回収した。
3.PEG−PLys(Z)の合成
アルゴン雰囲気下で精製したPEGと合成したLys(Z)−NCAにそれぞれ100mg/mLになるようにDMFを加えて溶解させ、PEG溶液をLys(Z)−NCA溶液に加え、40℃で反応させた。IR測定により、N−カルボキシ無水物(NCA)の酸無水環由来する910cm−1(C−O伸縮)、1,780cm−1(C=O伸縮)、1,850cm−1(C=O伸縮)の吸収ピーク消失を確認し、反応を終了した。反応終了後、エバポレーターにより40℃でDMFを蒸発させた。蒸発後の残存物にクロロホルムを加えて溶解させ、0℃のジエチルエーテルにより再沈を行い、吸引濾過により沈殿物を回収した。その後、回収した沈殿物を減圧乾燥し、PEG−PLys(Z)を回収した。得られたPEG−PLys(Z)のポリマー構造は、1H−NMR及びゲル透過クロマトグラフィー(GPC)の測定により確認した。
4.PEG−PLys(Z)の脱保護
合成したPEG−PLys(Z)にトリフルオロ酢酸を加えて溶解させた後、30%HBr/CH3COOHを加え、4時間反応させた。反応終了後、0℃のジエチルエーテルにより、再沈及び洗浄を2回行った。ジエチルエーテルを除去し、得られたポリマーに純水を加えて溶解させ、200倍量の純水に対して透析(MWCO=1,000の透析膜を使用)を行い、塩を除去した。透析終了後、凍結乾燥し、ポリマーを回収した。1H−NMR測定を行い、保護基であるZ基に由来するピークの消失により、脱保護の終了を確認した。
5.PEG−PLys(SH+)の合成
アルゴン雰囲気下で塩化リチウム5gにNMPを100mL加えて、塩化リチウムを溶解させた。脱保護したPEG−PLysにこのNMPを加えて溶解させ、DIEAを加えてPEG−PLysを脱プロトン化し、2−イミノチオランを加えてから遮光し、48時間反応させた。アルゴンバブリングにより酸素を除去したジエチルエーテルにより、再沈及び洗浄を2回行った。ジエチルエーテルを除去し、得られたポリマーに0.01mol/Lの塩酸を加えて溶解させ、100倍量の純水に対して透析(MWCO=2,000の透析膜を使用)を行い、塩を除去した。透析終了後、凍結乾燥し、ポリマーを回収した。1H−NMR測定を行い、新たに生じた導入基由来のピークからチオール基の導入率を算出した。
6.PEG−PLys(SH+)/siRNA混合溶液の散乱光強度測定
siRNA(配列番号1,2)を15μMとなるよう10mM HEPES−NaOH,pH7.4に溶解した。使用したsiRNAは、ルシフェラーゼ(Pp−Luc)の遺伝子発現をRNAiにより抑制し得るものである。同じくPEG−PLys(SH+)も10mM HEPES−NaOH,pH7.4に溶解した。続いて、siRNA溶液に1/2体積のPEG−PLys(SH+)溶液を目的とするN/P比(+/− charge ratio)となる濃度にて混合し、25℃に24時間静置した後、ゼータサイザーにより散乱光強度測定を行った。
7.PEG−PLys(SH+)/siRNA混合物のポリアクリルアミドゲル電気泳動
N/P比を変えて形成したPEG/PLys(SH+)/siRNA混合物について20%NATIVE−PAGE(非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い、SYBRGreenII染色及びUVトランスイルミネーターにより、遊離のsiRNAを検出した。
8.PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルの調製
PEG−PLys(SH+)およびsiRNAともに10mM HEPES−NaOH(pH7.4)に溶解してストック溶液とした。続いて、PEG−PLys(SH+)に大過剰量のDTTを加えてチオール基を還元状態とし、電荷的に中性付近となる混合比(N/P=1〜2)にてsiRNAと混合した。25℃にて24時間静置した後、Mini dialysis kitを用いて透析を行いてDTTを除くとともに、酸化剤として外液に0.5%DMSOを添加することでジスルフィド架橋形成処理を施した。ジスルフィド架橋の形成は、遊離のチオール基の定量法であるEllman法により確認した。
9.PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルの粒度分布の測定
PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルに150mM NaClを添加し、37℃にてゼータサイザーにより動的光散乱測定を行った。
10.PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルのζ−電位測定
PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルに150mM NaClを添加し、37℃にてゼータサイザーによりζ−電位測定を行った。
11.PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルの安定性評価
PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルに0〜600mM NaClを添加して、37℃で24時間静置し、ゼータサイザーを用いて散乱光強度測定を行った。
12.培養細胞へのsiRNAトランスフェクション
Huh7細胞(ヒト肝由来細胞)を10%FBSDMEM、5%CO2、37℃にて培養し、播種から20時間後にpGL3−Control(ホタルルシフェラーゼ発現ベクター)及びpRL−CMV(ウミシイタケルシフェラーゼ発現ベクター)をLipofectamine2000TMにより導入した。続いて、当該導入から4時間後に培地交換を行い、ホタルルシフェラーゼに対するsiRNAを内包したPEG−PLys(SH+)/siRNAミセルを培地に添加した。ミセルの添加から48時間後にDual−Luciferase(登録商標)Reporter Assay System及びプレートリーダー(Mithras LB−940)により、ルシフェラーゼの定量を行った。
<結果・考察>
1.PEG−PLys(SH+)の合成
下記の合成スキームに則り、PEG−PLys(SH+)を合成した。PEG−PLysのリシン残基の重合度は37であり、PEG−PLysと2−イミノチオランの反応比を変化させることで、1−イミノ−4−メルカプトブチル基の導入率が異なる複数のPEG−PLys(SH+)を得た。PEG−PLys(SH+)中のPLys(SH+)部分(すなわちポリカチオン部分)を構成するモノマー単位の組成は、図2に示した1H−NMRスペクトルの積分比より算出された。
以下、本明細書及び図面では、PEG−PLys(SH+)の組成を、一般に12−(m+n)−(n)と示す。ここで、12は、PEG部分の存在を表しており分子量12,000のPEG(PEG12,000)の略記である。mは、PLys(SH+)部分におけるLys残基(−SH基の導入無し)の重合度を表し、nは、PLys(SH+)部分における1−イミノ−4−メルカプトブチル基(−SH基含有)が導入されたLys残基の重合度を表す。なお、下記の合成スキームに示す化学構造式中の「/」の表記は、その左右に示された合計(m+n)個の各モノマー単位の配列順序が任意であることを意味する。

2.PEG−PLys(SH+)とsiRNAの混合比の検討
PEG−PLys(SH+)とsiRNAとによる高分子ミセル形成条件を検討するべく、PEG−PLys(SH+)とsiRNAとの混合比を変えて形成したPEG−PLys(SH+)/siRNA溶液の散乱光強度測定を行った。
その結果、電荷的に中性付近となるN/P=1〜2において分子量の大きな会合体の存在を示す強い散乱光が得られた(図3)。この会合体はsiRNAを内包した高分子ミセルであると考えられた。
3.PEG−PLys(SH+)/siRNAのポリアクリルアミドゲル電気泳動
PEG−PLys(SH+)とsiRNAの混合比を変えて形成した複合体についてNATIVE−PAGEを行った。
その結果、N/Pを上げるにつれて遊離のsiRNAは検出されなくなった(図4)。この結果は、図3の結果から推定された分子量の大きな会合体には、siRNAが含まれることを示すものである。
4.PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルの粒度分布
PEG−PLys(SH+)とsiRNAとが会合体を形成する条件にてジスルフィド架橋形成処理を施し、150mM NaClを添加して動的光散乱測定を行った。
PEG−PLysから形成される会合体は単分散とはならなかったが、PEG−PLys(SH+)では粒径が90nm以下の単分散な粒度分布が観測された(図5)。
5.PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルのζ−電位測定
PEG−PLys(SH+)とsiRNAとから形成される会合体に150mM NaClを添加してζ−電位測定を行った。
その結果、各々の会合体のζ−電位はほぼ0mVであった(図6)。通常、総電荷が中性となるように形成されたポリイオンコンプレックスは、静電反発を失い凝集体を形成すると考えられている。しかし、PEG−PLys(SH+)/siRNA会合体は、ζ−電位が中性であるにも関わらず、長時間静置しても凝集体が形成されなかった。
以上、図3図6に示される結果は、siRNAを内包しその表層がPEGに覆われた高分子ミセルの形成を示している。
6.PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルの安定性評価
ジスルフィド架橋による安定化効果を検証するために、PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルの分散媒イオン強度を変化させて、散乱光強度を測定した。通常、ポリイオンコンプレックスはイオン強度の増大に伴い解離して散乱光強度は減少する。
本実施例においても、PEG−PLys/siRNA会合体は、分散媒のイオン強度に伴い会合体の解離が観察された(図7)。しかし、PEG−PLys(SH+)/siRNAミセルは極めて安定であり、特に、生理的条件である150mM NaCl程度までは、会合体にはほとんど変化が無く高い構造安定性を有し、極めて実用性に優れたものであることが示された(図7)。
7.培養細胞へのsiRNAトランスフェクション
2種類のルシフェラーゼ(Pp−Luc及びRr−Luc)を発現するHuh7細胞(ヒト肝癌由来細胞)に、一方のルシフェラーゼ(Pp−Luc)に対するsiRNAを内包した高分子ミセルを与えて遺伝子発現抑制効果を評価した。
その結果、PEG−PLys(SH+)への1−イミノ−4−メルカプトブチル基導入率を上げるに伴い、遺伝子発現抑制効果、すなわちsiRNA送達能が顕著に向上した(図8)。50%ノックダウンを達成するsiRNA濃度で比較した場合、PEG−PLys(SH+)(具体的には12−68−44)を用いたときのsiRNA送達能は、最大でPEG−PLys(具体的には12−37−0)を用いたときの約1000倍であった(図8)。

0008

「siRNA内包ジスルフィド架橋高分子ミセルの血中滞留性の評価」
蛍光標識siRNA(Cy3−siRNA)を内包したジスルフィド架橋高分子ミセルを調製し、マウス尾静脈より投与して、その血中滞留性(血中安定性)を評価した。
<方法>
実施例1で用いたsiRNA(二本鎖;配列番号1及び2)と同様のsiRNAを、常法により、Cy3で蛍光標識した(Cy3−siRNA)。次いで、このCy3−siRNAを内包したジスルフィド架橋高分子ミセル(PEG−PLys(SH+)/Cy3−siRNAミセル)を調製した。ここで、当該ミセルの調製は、実施例1に記載の方法と同様にして行った。なお、本実施例では、当該ミセルの調製に用いるPEG−PLys(SH+)として、1−イミノ−4−メルカプトブチル基の導入率(置換基導入率;%substitution)が、14%、49%、68%及び97%のものをそれぞれ使用し、架橋度の異なる4種類のミセルを調製した。なお、対照として、Cy3−siRNA(Naked siRNA:ミセルに内包されていないもの)、及び上記置換基導入率が0%のPEG−PLys(SH+)(すなわちPEG−PLys)を用いたCy3−siRNA内包高分子ミセルも調製した。
PEG−PLys(SH+)/Cy3−siRNAミセルのマウスへの投与は、マウスの体重に対するsiRNA量が1mg/kgとなるように、マウス(Balb/cヌードマウス、8〜10週齢メス)の尾静脈より投与した。前記対照についても同様に投与を行った。
投与から7.5分後に、マウスの下大静脈から全血を回収し、遠心(2000g、10分、4℃)により血漿を分離した。分離した血漿に、10mM Dithiothreitol及び0.002w/v%ポリビニル硫酸を添加して、当該ジスルフィド架橋ミセルを破壊し、その後、蛍光プレートリーダーによりCy3の蛍光励起波長:544nm、蛍光波長:590nm)を測定した。
<結果・考察>
図9に示すように、Naked siRNAは、尾静脈投与後わずか7.5分にして、投与量の95%が血流中から失われた。また、ジスルフィド架橋無しのミセル(前記置換基導入率:0%)を用いてsiRNAを投与した場合も、血中滞留性の向上効果は特に認められなかった。これらに対し、PEG−PLys(SH+)を用いてジスルフィド架橋高分子ミセルに内包したsiRNAは、置換基導入率の上昇に伴い、血中滞留性の向上が認められた。特に、置換基導入率が97%のPEG−PLys(SH+)を用いたPEG−PLys(SH+)/Cy3−siRNAミセルを投与した場合は、血流中からの消失量が50%以下にまで抑制された。

0009

本発明によれば、単分散性及び構造安定性が高く、かつ細胞へのsiRNA送達能に優れた、siRNA内包高分子ミセル複合体(ポリイオンコンプレックス)を提供することができる。さらに本発明によれば、当該ポリイオンコンプレックスを用いた核酸送達デバイス、核酸送達用キット、医薬組成物及び遺伝子治療剤を提供することができる。
本発明のポリイオンコンプレックスは、生理的環境下で易分解性の不安定な化学種であるsiRNAを、標的細胞に到達するまでの間、極めて安定な状態で保持することができる。そのため、本発明のポリイオンコンプレックスは、例えばノックアウト動物の作製や各種疾患の遺伝子治療など、研究及び臨床のいずれの分野においても極めて実用性の高いものである。
また、本発明のポリイオンコンプレックスは、ポリカチオン部分の側鎖末端のチオール基が互いに反応してジスルフィド結合を形成し、ポリイオンコンプレックスの構造をより一層安定化することができるものである。このジスルフィド結合は、ポリイオンコンプレックスが細胞内に導入(送達)された後、グルタチオン濃度の上昇に応じて開裂し得る。そのため、本発明のポリイオンコンプレックスは、環境応答的にsiRNAを細胞内に放出するsiRNA送達デバイスとして、極めて有用性の高いものである。

0010

配列番号1:DNA/RNA結合分子
配列番号2:DNA/RNA結合分子
配列表

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